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再表2019-131779リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年7月4日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20191129BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20191129BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01M4/525
   H01M4/505
   C01G53/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
【出願番号】特願2019-536614(P2019-536614)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年12月26日
(11)【特許番号】特許第6587044号(P6587044)
(45)【特許公報発行日】2019年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2017-252400(P2017-252400)
(32)【優先日】2017年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】軍司 章
(72)【発明者】
【氏名】所 久人
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 源衛
(72)【発明者】
【氏名】遠山 達哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 心
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AD06
4G048AE05
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA27
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA09
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、粉体を構成する二次粒子の破壊強度が高く、且つ塗工性の良好なリチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池を提供するものである。リチウムイオン二次電池用正極活物質は、下記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子と、一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、一次粒子の平均粒径と二次粒子の平均粒径との比が0.006以上、且つ、0.25以下であり、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下であり、二次粒子の破壊強度が30MPa以上である。Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)(但し、式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2である。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子と、前記リチウム複合化合物の一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、
前記一次粒子の平均粒径(D)と前記二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が0.006以上、且つ、0.25以下であり、
炭酸リチウムの量が0.4質量%以下であり、
前記二次粒子の破壊強度が30MPa以上であるリチウムイオン二次電池用正極活物質。
Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)
(但し、前記式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2、を満たす数である。)
【請求項2】
炭酸リチウムの量が0.3質量%以下であり、前記二次粒子の破壊強度が40MPa以上である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項3】
比表面積が0.1m/g以上、且つ、1.2m/g以下である請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項4】
前記二次粒子のアスペクト比が0.6以上、且つ、1.0以下であり、
前記二次粒子は、水銀圧入法により求められる細孔径0.1μm以上、且つ、0.5μm以下の範囲内の開気孔容積率が20%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項5】
リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
炭酸リチウムと下記式(1)中のLi以外の金属元素をそれぞれ含む化合物とを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を焼成して下記式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る焼成工程と、を有し、
前記焼成工程は、
前記混合物を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下に亘って熱処理して第1前駆体を得る第1熱処理工程と、
前記第1前駆体を450℃以上かつ800℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下に亘って酸化性雰囲気下で熱処理して第2前駆体を得る第2熱処理工程と、
前記第2前駆体を755℃以上かつ900℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下に亘って酸化性雰囲気下で熱処理して前記リチウム複合化合物を得る第3熱処理工程と、
前記焼成工程後に、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下、且つ、水分率を500ppm以下としたリチウム複合化合物を保存用容器に封入する封入工程と、
を有するリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)
(但し、前記式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2、を満たす数である。)
【請求項6】
前記焼成工程後に、前記リチウム複合化合物を水洗する水洗工程と、水洗された前記リチウム複合化合物を乾燥する乾燥工程とを、さらに有し、
前記乾燥工程後に、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下、且つ、水分率を500ppm以下としたリチウム複合化合物を前記保存用容器に封入する請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備えるリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高いエネルギ密度を有し、小型で軽量な二次電池として、リチウムイオン二次電池が広く普及している。リチウムイオン二次電池は、ニッケル・水素蓄電池や、ニッケル・カドミウム蓄電池等の他の二次電池と比較して、エネルギ密度が高く、メモリ効果が小さいといった特徴を有している。そのため、携帯電子機器、家庭用電気機器等の小型電源から、電力貯蔵装置、無停電電源装置、電力平準化装置等の定置用電源や、船舶、鉄道車両、ハイブリッド鉄道車両、ハイブリット自動車、電気自動車等の駆動電源等の中型・大型電源に至るまで、その用途が拡大している。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、用途の拡大等に伴って、更なる高容量化が求められるようになっている。リチウムイオン二次電池の充放電容量は、正極中における正極活物質の充填率に大きく左右される。そのため、正極作製時には、正極活物質の粉末が粒度を調整されてから加圧成形されている。一般に、正極は、一次粒子が凝集した二次粒子が電解液を浸透させる空隙を残して高い充填率の多孔質体を形成するように設けられる。正極の性能は、このような状態における固相内の拡散距離や粒子間の界面抵抗等の影響を受けると考えられている。
【0004】
リチウムイオン二次電池用正極活物質の一種に、α−NaFeO型の結晶構造を有するリチウム複合化合物がある。この種のリチウム複合化合物のうち、ニッケルの含有率が高いLiNiO系の酸化物は、高い充放電容量を示すため、各種の用途への応用が期待されている。しかし、ニッケルの含有率が高いリチウム複合化合物は、構造の安定性が低く、充放電サイクルや高温保存により劣化し易いことが知られている。また、充放電に伴い大きな体積変化を生じることが知られている。
【0005】
リチウム複合化合物の粒子は、加圧成形時に加えられる圧力や、充放電に伴う体積変化によって、割れ等の破壊や、変形を生じることがある。特に、リチウム複合化合物の二次粒子は、このような応力で凝集構造が破壊され易いため、イオンや電子の伝導に寄与しない孤立粒子を生じたり、界面抵抗を増大したりすることが問題となる。このような状況下、大きな体積変化を生じるLiNiO系のリチウム複合化合物について、粒子強度を高める技術が検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、組成式:LiNi1−(y+z)MnCo2+α(前記式において、0.9≦x≦1.2であり、0<y+z≦0.3であり、−0.1≦α≦0.1である。)で表され、平均粒子径D50が5〜7μmであり、粒子強度が60MPa以上であり、粒子径3μm以上の粒子内部の平均空隙率が5%以下であるリチウムイオン電池用正極活物質が記載されている。特許文献1には、焼成時の昇温速度を200℃/h以上に制御することで、正極活物質中の空隙(ポア)が低減し、粒子強度が向上する旨が記載されている(段落0029参照)。また、パルペライザーにより、分級ローター、粉砕ローター共に5000rpm以上の回転速度で解砕すると、内包されたポアが消失し、さらに粒子強度が強くなる旨が記載されている(段落0030参照)。
【0007】
従来、正極活物質に混入する不純物の影響についても、検討がなされている。特許文献2には、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性が、正極活物質の粒子表面に不純物として存在する炭酸リチウムや水酸化リチウムに影響される旨が記載されている。リチウム複合化合物は、合成に用いる原料や、大気への暴露等が原因で、炭酸リチウム等の不純物が異相を形成した状態ないし付着した状態になり得ることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016−149258号公報
【特許文献2】特開2016−076470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された技術では、粒子強度が60MPa程度以上の正極活物質の粉末が得られている(実施例参照)。しかし、特許文献1においては、正極活物質の平均粒子径D50が5μm以上に制御されており、二次粒子に占める一次粒子数の比率も高く制御されている。そのため、得られる正極活物質の粉末は、正極活物質を構成する粒子が単粒子に近く、二次粒子中に含まれる一次粒子が1.2〜1.7個程度である。また、正極活物質の粉末は、個々の粒子径が比較的大きく、比表面積が0.6m/g以下程度に小さいものである。
【0010】
正極を作製するにあたり、特許文献1のように単粒子に近く粒子径が大きい正極活物質の粉末を用いると、粒子内におけるイオンの拡散距離が長くなり、深部に位置する拡散距離が長い領域の体積率も高くなる。そのため、リチウムイオン二次電池の出力特性が悪くなるという問題がある。また、単粒子に近く粒子径が大きい場合、正極活物質の比表面積を大きく作れず、正極中の空孔率も高くなる傾向がある。そのため、粒子強度を高めても、リチウムイオン二次電池の充放電容量が低くなったり、高出力化が難しくなったりする可能性がある。
【0011】
また、特許文献1に記載された技術では、炭酸リチウムを原料とした液相法で正極活物質を合成しており、析出したリチウム含有炭酸塩を濾別し、乾燥を行ってから焼成している(段落0028等参照)。このように濾別や乾燥を行う方法では、工程が複雑になって正極活物質の量産化が難しくなるし、濾過処理や濾別されたリチウム分の再利用のために専用の設備機器を要する。また、濾別して乾燥させた前駆体は、粒子形状が異形となり、粒子形状の均一性が低くなり易い。そのため、正極合剤層を形成するときの塗工性が悪く、ハンドリングに問題を生じたり、焼成中、容易に破壊や変形を生じたりする可能性がある。
【0012】
このような状況下、ニッケルの含有率が高いリチウム複合化合物について、比表面積の設計に影響されず適用可能であり、正極活物質を構成する粒子を特許文献1のように単粒子に近い状態にしなくとも粒子強度を向上し得る技術が求められている。本発明者によると、リチウム複合化合物の原料として炭酸リチウムを用いる場合、特許文献2のように炭酸リチウム等の不純物が混入する虞があり、二次粒子の破壊強度(粒子破壊強度)が低下する傾向があることが確認されている。粒子破壊強度が低い二次粒子を正極合剤層の形成に用いた場合には、正極活物質の粒子同士や集電体との密着性が低くなる問題もある。
【0013】
そこで、本発明は、粉体を構成する二次粒子の破壊強度が高く、且つ塗工性の良好なリチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、下記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子と、前記リチウム複合化合物の一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、前記一次粒子の平均粒径(D)と前記二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が0.006以上、且つ、0.25以下であり、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下であり、前記二次粒子の破壊強度が30MPa以上である。
Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)
(但し、前記式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2、を満たす数である。)
【0015】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、炭酸リチウムと式(1)中のLi以外の金属元素をそれぞれ含む化合物とを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を焼成して式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る焼成工程と、を有し、前記焼成工程は、前記混合物を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下に亘って熱処理して第1前駆体を得る第1熱処理工程と、前記第1前駆体を450℃以上かつ800℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下に亘って酸化性雰囲気下で熱処理して第2前駆体を得る第2熱処理工程と、前記第2前駆体を755℃以上かつ900℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下に亘って酸化性雰囲気下で熱処理して前記リチウム複合化合物を得る第3熱処理工程と、前記焼成工程後に、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下、且つ、水分率を500ppm以下としたリチウム複合化合物を保存用容器に封入する封入工程と、を有する。また、リチウムイオン二次電池は、前記のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、粉体を構成する二次粒子の破壊強度が高く、且つ塗工性の良好なリチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。
図2】リチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す部分断面図である。
図3】実施例に係る正極活物質における炭酸リチウムの溶出量と粒子破壊強度との関係を示す図である。
図4】実施例に係る正極活物質の比表面積と粒子破壊強度との関係を示す図である。
図5】実施例3に係る正極活物質の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法について詳細に説明する。なお、以下の各図において共通する構成については同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
[正極活物質]
本実施形態に係る正極活物質は、結晶構造としてα−NaFeO型の層状構造を有し、リチウムと遷移金属とを含んで組成されるリチウム複合酸化物(リチウム複合化合物)からなる。正極活物質の主相は、層状構造を有するリチウム複合化合物である。但し、正極活物質は、後記するように、製造条件に依存して、炭酸リチウムを不可避的不純物として含み得る。炭酸リチウムは、異相を形成した状態や、正極活物質の粒子に付着した状態で存在し得る。
【0020】
本実施形態に係る正極活物質は、リチウム複合化合物の粒子で構成される粉体であり、下記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子と、下記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子が凝集した二次粒子とを含む。
Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)
(但し、前記式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2、を満たす数である。)
【0021】
前記式(1)で表される正極活物質は、ニッケルの含有率が高いため、4.3V付近までの範囲で、LiCoO等と比較して高い充放電容量を示すことができる。また、ニッケルの含有率が高いため、LiCoO等と比較して、原料費が安価であり、原料を入手し易い正極活物質である。
【0022】
ここで、前記式(1)におけるa、x、y、z及びαの数値範囲の意義について説明する。
【0023】
前記式におけるaは、−0.1以上、且つ、0.2以下とする。aは、一般式:LiM1Oで表されるリチウム複合化合物の量論比、すなわちLi:M1:O=1:1:2からのリチウムの過不足量を表している。リチウムが過度に少ないと、正極活物質の充放電容量が低くなる。一方、リチウムが過度に多いと、充放電サイクル特性が悪化する。aが前記の数値範囲であれば、高い充放電容量と、良好な充放電サイクル特性とを両立させることができる。
【0024】
aは、−0.02以上、且つ、0.05以下としてもよい。aが−0.02以上であれば、充放電に寄与するのに十分なリチウム量が確保されるため、正極活物質の充放電容量を高くすることができる。また、aが0.05以下であれば、遷移金属の価数変化による電荷補償が十分になされるので、高い充放電容量と、良好な充放電サイクル特性とを両立させることができる。
【0025】
ニッケルの係数xは、0.7以上、且つ、1.0未満とする。xが0.7以上であると、他の遷移金属を用いる場合と比較して、十分に高い充放電容量が得られる。よって、xが前記の数値範囲であれば、高い充放電容量を示す正極活物質を、LiCoO等と比較して安価に製造することができる。
【0026】
xは、0.8以上、且つ、0.95以下とすることが好ましく、0.85以上、且つ、0.95以下とすることがより好ましい。xが0.8以上で、より大きいほど、より高い充放電容量が得られる。また、xが0.95以下で、より小さいほど、リチウムイオンの挿入や脱離に伴う格子歪みないし結晶構造変化が小さくなり、焼成時、リチウムサイトにニッケルが混入するカチオンミキシングや結晶性の低下が生じ難くなるため、充放電容量や充放電サイクル特性の悪化が抑制される。
【0027】
コバルトの係数yは、0以上、且つ、0.3未満とする。コバルトが添加されていると、結晶構造が安定化し、リチウムサイトにニッケルが混入するカチオンミキシングが抑制される等の効果が得られる。そのため、充放電容量を大きく損なわず、充放電サイクル特性を向上させることができる。一方、コバルトが過剰であると、原料費が高くなるので、正極活物質の製造コストが増大してしまう。yが前記の数値範囲であれば、良好な生産性をもって、高い充放電容量と、良好な充放電サイクル特性とを両立させることができる。
【0028】
yは、0.01以上、且つ、0.2以下としてもよいし、0.03以上、且つ、0.2以下としてもよい。yが0.01以上で大きいほど、コバルトの元素置換による効果が十分に得られ、充放電サイクル特性がより向上する。また、yが0.2以下であれば、原料費がより低廉となり、正極活物質の生産性がより良好になる。
【0029】
M1の係数1−x−y−zは、0を超え、且つ、0.3未満とする。マンガン及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素(M1)が元素置換されていると、充電によってリチウムが脱離しても層状構造がより安定に保たれるようになる。一方、これらの元素(M1)が過剰であると、ニッケル等の他の遷移金属の割合が低くなり、正極活物質の充放電容量が低下する。1−x−y−zが前記の数値範囲であれば、正極活物質の結晶構造を安定に保ち、高い充放電容量と共に、良好な充放電サイクル特性や、熱的安定性等を得ることができる。
【0030】
M1で表される元素としては、マンガン、アルミニウム等が好ましい。このような元素は、高いニッケル含有量を有する正極材の結晶構造安定化に寄与する。中でもマンガンが特に好ましい。マンガンが元素置換されていると、アルミニウムが元素置換される場合と比較して、より高い充放電容量が得られる。また、リチウム複合化合物の焼成時、マンガンも炭酸リチウムと下記式(2)に示すように反応する。このような反応により結晶粒の粗大化が抑制され、高温でニッケルの酸化反応を進めることができるため、高い充放電容量を示す正極活物質を効率的に得ることができる。
【0031】
LiCO+2M´O+0.5O→2LiM´O+CO ・・・(2)
(但し、前記式(2)中、M´は、Ni、Co、Mn等の金属元素を表す。)
【0032】
M1の係数1−x−y−zは、0.02以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましい。M1の係数1−x−y−zが大きいほど、マンガンの元素置換による効果が十分に得られる。すなわち、より高温でニッケルの酸化反応を進めることが可能になり、高い充放電容量を示す正極活物質をより効率的に得ることができる。また、M1の係数1−x−y−zは、0.18以下であることが好ましい。M1の係数1−x−y−zが0.18以下であれば、元素置換されていても充放電容量が高く保たれる。
【0033】
M2の係数zは、0以上、且つ、0.25以下とする。マグネシウム、チタン、ジルコニウム、モリブデン及びニオブからなる群より選択される少なくとも一種の元素(M2)が元素置換されていると、正極活物質の活性を維持しながらも、充放電サイクル特性等の諸性能を向上させることができる。一方、これらの元素(M2)が過剰であると、ニッケル等の他の遷移金属の割合が低くなり、正極活物質の充放電容量が低下する。zが前記の数値範囲であれば、高い充放電容量と、良好な充放電サイクル特性等とを両立させることができる。
【0034】
前記式(1)におけるαは、−0.2以上、且つ、0.2以下とする。αは、一般式:LiM´Oで表されるリチウム複合化合物の量論比、すなわちLi:M´:O=1:1:2からの酸素の過不足量を表している。αが前記の数値範囲であれば、結晶構造の欠陥が少ない状態であり、高い充放電容量と良好な充放電サイクル特性が得られる。
【0035】
本実施形態に係る正極活物質は、リチウム複合化合物の一次粒子の平均粒径(D)と、リチウム複合化合物の一次粒子が凝集した二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が、0.006以上、且つ、0.25以下である。比(D/D)が0.006未満であると、正極活物質を構成する一次粒子が、二次粒子と比較して小さく、一次粒子が粒成長していない状態である。そのため、一次粒子同士の結合が不十分で二次粒子の強度が低くなる。また、比表面積が大きいので、雰囲気中の二酸化炭素等と反応し易く、粒子の表面に炭酸リチウム等の不純物が生成し易い状態である。一次粒子の表面に炭酸リチウム等の不純物が生成すると、二次粒子の破壊強度が低くなる傾向がある。粒子破壊強度が低くなると、正極合剤の塗布時に微粉を生じ易くなり、微粉が結着剤を吸う結果、結着剤の分布が不均一になり、正極活物質の粒子同士や集電体との密着性が低くなる虞がある。また、粒子破壊強度が低くなると、加圧成形時や、充放電に伴う体積変化時に、破壊や変形を生じ易くなる虞がある。一方、比(D/D)が0.25を超えていると、正極活物質を構成する一次粒子が、二次粒子と比較して大きく、二次粒子を構成する粒子数が少なすぎる状態である。そのため、粒子内におけるイオンの拡散距離が長くなり、リチウムイオン二次電池の出力特性が悪くなる虞がある。
【0036】
これに対し、粒径の比(D/D)が0.006以上、且つ、0.25以下であると、正極活物質を構成する一次粒子が、適切な大きさに粒成長しており、二次粒子を構成する粒子数も適切な状態となる。そのため、一次粒子自体の強度が高くなると共に、比表面積が適切な大きさとなり、且つ、イオンが拡散し易い正極活物質となる。よって、このような正極活物質を用いると、正極活物質の塗工の状態が良好になると共に、外力や体積変化に対する安定性も高くなり、高い充放電容量や良好な出力特性を示すリチウムイオン二次電池を得ることができる。また、このような正極活物質を構成する二次粒子の破壊強度は、炭酸リチウムの量を低減することによって、通常の純度の正極活物質よりも高くすることができる。
【0037】
リチウム複合化合物の一次粒子の平均粒径(D)は、0.1μm以上、且つ、2.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、且つ、1.0μm以下であることがより好ましい。平均粒径がこの範囲であると、粒子内におけるイオンの拡散距離が過大にならない一方、正極活物質の比表面積や、正極における正極活物質の充填率が高くなり易い。そのため、高い充放電容量や良好な出力特性を得ることができる。
【0038】
リチウム複合化合物の一次粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)や、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)による観察に基づいて測定することができる。粒子径が中央値に近い順に10個の粒子を抽出し、これらの粒径の加重平均を算出することによって平均粒径とする。なお、粒径は、観察された電子顕微鏡像における粒子の長軸径と短軸径の平均値として求めることができる。また、リチウム複合化合物の二次粒子の粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、体積基準の積算粒子径分布における50%粒子径として求めることができる。
【0039】
リチウム複合化合物の二次粒子は、アスペクト比が0.6以上、且つ、1.0以下であることが好ましい。アスペクト比がこの範囲であると、二次粒子の破壊強度が均一に高くなり易く、加圧成形時や充放電に伴う体積変化時に、破壊や変形を生じ難くなる。また、リチウム複合化合物の粒子の充填性が向上し、正極の成形密度や、正極における正極活物質の充填率が高くなる。そのため、より高い充放電容量や良好な充放電サイクル特性を得ることができる。リチウム複合化合物の二次粒子のアスペクト比は、任意の二次粒子を電子顕微鏡で観察して粒子径が中央値に近い順に10個の粒子を抽出し、これらの粒子の長軸径及び短軸径を測定し、長軸径を短軸径で除算して求めた値を試料数10で平均することにより求めることができる。
【0040】
正極活物質のBET比表面積は、0.1m/g以上、好ましくは0.2m/g以上である。また、BET比表面積は、1.2m/g以下、好ましくは1.0m/g以下である。BET比表面積がこの範囲であると、正極の成形密度や、正極における正極活物質の充填率が十分に高くなる。また、BET比表面積が過度に大きくないため、雰囲気中の二酸化炭素等との反応が抑制されて、正極活物質に混入する炭酸リチウム等の不純物の量が低減し、二次粒子の破壊強度が低下し難くなる。その結果、正極合剤の塗布時に微粉を生じ難くなり、均一に分布する二次粒子や結着剤によって、正極活物質の粒子同士や集電体との密着性が高く保たれるようになる。また、加圧成形時や、充放電に伴う体積変化時に、破壊や変形を生じ難くなる。加えて、正極活物質自体の空隙に結着剤が過剰に吸い上げられることも無くなり、結着剤の本来の機能が損なわれ難くなる。そのため、正極活物質の塗工の状態が良好になると共に、外力や体積変化に対する安定性も高くなり、高い充放電容量や良好な出力特性を示すリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0041】
本実施形態に係る正極活物質は、二次粒子の開気孔容積率が20%以下であれば、正極における正極活物質の充填率を高くすることができる。また、雰囲気中の二酸化炭素等との反応を低減することができるため、炭酸リチウム等の量を低減して、加圧成形時や、充放電に伴う体積変化時に、破壊や変形を生じ難くさせることができる。二次粒子の開気孔容積率は、12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。このような範囲にすることで、二次粒子の粒子強度を確保でき、放電容量を高く維持したまま、塗工性を向上させることができる。また、開気孔容積率は、0%でも良い。これは、実質的に粒子内部の空隙が無くても、比表面積を0.1m/g以上にすることによって、二次粒子表面での電池反応を有効に確保できるためである。さらに、二次粒子は締まっているので粒子強度が向上し、塗工性向上だけでなく電極プレス時の粒子崩壊を防ぎ、電極の高密度化も可能である。なお、開気孔容積率は、二次粒子の見かけ体積に占める、細孔径0.1μm以上、且つ、0.5μm以下の開気孔の合計容積の割合を意味する。開気孔容積率は、水銀圧入法を用いて測定した開気孔容積(単位重量当たり)と、二次粒子のみかけの密度との積から算出することができる。
【0042】
本実施形態に係る正極活物質は、炭酸リチウムの量が、純水中に浸漬させたときに溶出する溶出量で、0.4質量%以下である。正極活物質の原料として炭酸リチウムを用いる場合、リチウム複合化合物中のリチウムが、焼成中に脱離した二酸化炭素と再反応することがある。また、原料中にアルカリ化合物が存在していたり、リチウムと水分との反応でアルカリ化合物が生成していたりした場合、リチウム複合化合物中のリチウムが、大気中の二酸化炭素と反応することがある。このような反応で層状構造からリチウムを引き抜いて炭酸リチウムが生成すると、正極活物質の活性が低下したり、粒子破壊強度が低下したりする。しかし、炭酸リチウムの溶出量が0.4質量%以下に低減されていれば、正極活物質の活性が良好になると共に、正極活物質を構成する二次粒子の破壊強度が通常の純度の正極活物質よりも高くなる。炭酸リチウムの溶出量は、0.3質量%以下に低減されていることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0043】
本実施形態に係る正極活物質は、不純物として含まれる水酸化リチウムの量が、純水中に浸漬させたときに溶出する溶出量で、0.7質量%以下であることが好ましい。リチウム複合化合物中のリチウムは、原料中に含まれていた水分や大気中の水分との反応によって、水酸化リチウムを生成することがある。水酸化リチウムは、正極活物質の活性を低下させたり、リチウムイオン二次電池の電解液中にフッ酸を生じて充放電サイクル特性を悪化させたりする。また、PVDF等の結着剤を変質させて、正極活物質の塗工性や密着性を低下させることがある。しかし、水酸化リチウムの溶出量が十分に低減されていれば、活性が良好な正極活物質が得られ、リチウムイオン二次電池の性能も悪化し難くなる。
【0044】
炭酸リチウムの溶出量や水酸化リチウムの溶出量は、正極活物質を浸漬させた溶液を中和滴定する方法で求めることができる。具体的には、正極活物質を固形分比が0.016質量%となるように純水中に浸漬し、60分間浸漬、撹拌させた後、濾過して得られた溶液の中和滴定で定量を行い、正極活物質の重量当たりの不純物重量に換算する。炭酸リチウムの溶出量や水酸化リチウムの溶出量は、リチウム複合化合物を焼成するときの熱処理温度、熱処理時間、雰囲気等の調節や、焼成されたリチウム複合化合物を水洗する処理によって低減することができる。また、炭酸リチウムの溶出量や水酸化リチウムの溶出量は、大気への暴露等によって増大するが、焼成以降の工程において、焼成されたリチウム複合化合物を二酸化炭素濃度や水分濃度が低い雰囲気下で取り扱うことによって抑制することができる。
【0045】
本実施形態に係る正極活物質は、焼成の直後からリチウムイオン電池の作製時までの水分率が、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、250ppm以下であることがさらに好ましい。水分率が500ppm以下であると、正極作製時に正極合剤のスラリーがゲル化し難くなるため、正極合剤の塗工性の悪化を防ぐことができる。また、リチウム複合化合物中のリチウムと水分との反応や、電解液と水分との反応が生じ難くなるため、リチウムイオン二次電池の性能が低下し難くなる。リチウム複合化合物の水分率は、リチウム複合化合物を焼成するときの熱処理温度、熱処理時間、雰囲気等の調節や、焼成後の保存雰囲気の適切な管理や、リチウム複合化合物を乾燥させる処理によって低くすることができる。リチウム複合化合物の水分率は、カールフィッシャー法により測定することができる。
【0046】
本実施形態に係る正極活物質は、リチウム複合化合物の二次粒子の破壊強度(粒子破壊強度)が30MPa以上であり、好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上、さらに好ましくは80MPa以上、且つ、200MPa以下である。このような粒子破壊強度があると、加圧成形時や充放電に伴う体積変化時に、破壊や変形を生じ難くなる。そのため、高い充放電容量や良好な出力特性を得ることができる。また、粒子が破壊され難くなるため、正極集電体にリチウム複合化合物を含む正極合剤を塗工して正極合剤層を形成するとき、正極活物質の粒子同士や集電体との密着性が保たれ易くなり、剥がれ等の塗工不良が発生し難くなる。二次粒子の破壊強度は、炭酸リチウムの量を低減することによって、通常の純度の正極活物質よりも高くすることができる。すなわち、二次粒子を構成する粒子が単粒子に近いか否かにかかわらず、外力に対する耐性を向上させる効果を得ることが可能である。粒子破壊強度は、例えば、一粒子当たりの計測が可能な微小圧縮試験機を用いて測定することができる。
【0047】
正極活物質の結晶構造は、例えば、X線回折法(X-ray diffraction;XRD)等によって確認することができる。また、正極活物質の組成は、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)発光分光分析、原子吸光分析(Atomic Absorption Spectrometry;AAS)等によって確認することができる。
【0048】
[正極活物質の製造方法]
次に、前記のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法について説明する。前記の正極活物質は、例えば、固相法、共沈法、ゾルゲル法、水熱法等の一般的な正極活物質の製造方法に準じて製造することができる。以下においては、前記の正極活物質を炭酸リチウムを原料として用いて固相法で合成する方法を説明する。
【0049】
炭酸リチウムの量が低減しており、正極活物質を構成する二次粒子の破壊強度が高められた前記の正極活物質は、焼成の終了時にリチウム複合化合物中に残留する炭酸リチウムの量を、焼成の熱処理温度、熱処理時間、雰囲気等の調節によって十分に低減しておき、適切に粒成長させたリチウム複合化合物を取り扱う以後の工程において、雰囲気中の二酸化炭素との接触を低減することによって得られる。このとき、焼成されたリチウム複合化合物を水洗すると、水酸化リチウムの溶出量と共に炭酸リチウムの溶出量も低下させることができる。
【0050】
そこで、本実施形態においては、固相法により合成されたリチウム複合化合物を、焼成後に水洗、乾燥して、保存用容器に保存された状態の正極活物質を得る製造方法を例示する。この製造方法では、焼成の終了時から保存用容器に封入するまでの工程において、焼成されたリチウム複合化合物を二酸化炭素濃度が低い雰囲気下で取り扱い、雰囲気中の二酸化炭素との接触による炭酸リチウムの増加を防止する。
【0051】
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、混合工程S10と、焼成工程S20と、水洗工程S30と、乾燥工程S40と、封入工程S50と、を有している。これらの工程を経ることにより、前記式(1)で表されるリチウム複合化合物が合成され、品質を保持した正極活物質が保存用容器に封入された状態で得られる。なお、これらの工程以外の工程が加わっても良いし、減じられても良い。例えば、水洗工程S30及び乾燥工程S40は、焼成の終了時における残留量が少ない場合等には、工程が省略されてもよい。
【0052】
混合工程S10では、炭酸リチウムと前記式(1)中のLi以外の金属元素を含む化合物とを混合する。すなわち、正極活物質の原料として、炭酸リチウム、及び、ニッケルを含むニッケル化合物を混合する。また、前記式(1)で表されるリチウム複合化合物が、コバルトや、M1で表される元素や、M2で表される元素を含む場合には、これらの元素を含む化合物を加えて混合する。
【0053】
混合工程S10では、リチウムを含む原料として、少なくとも炭酸リチウムを用いる。炭酸リチウムは、酢酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム等と比較して安価であり、容易に入手することができる。また、炭酸リチウムは、弱アルカリ性であるので、製造装置へのダメージが少なくなる利点がある。また、炭酸リチウムは、融点が比較的高いため、固相法による合成時、液相が形成されて結晶粒が粗大化するのを避けることができる。
【0054】
混合工程S10では、ニッケルを含む原料として、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、酸化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等のニッケル化合物を用いることができる。ニッケル化合物としては、これらの中でも、特に、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル又は酸化ニッケルを用いることが好ましい。
【0055】
混合工程S10では、コバルトを含むコバルト化合物や、M1で表される元素を含む金属化合物や、M2で表される元素を含む金属化合物として、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、酸化物、水酸化物等を用いることができる。これらの中でも、特に、炭酸塩、酸化物、又は、水酸化物を用いることが好ましい。
【0056】
混合工程S10では、炭酸リチウム等の原料をそれぞれ秤量し、粉砕及び混合して粉末状の混合物を得る。原料を粉砕する粉砕機としては、例えば、ボールミル、ジェットミル、サンドミル等の一般的な精密粉砕機を用いることができる。原料の粉砕は、乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれであってもよい。湿式粉砕して得た原料スラリーは、例えば、噴霧乾燥機、流動床乾燥機、エバポレータ等の各種の乾燥機を使用して乾燥させることができる。
【0057】
混合工程S10では、炭酸リチウム等の原料を平均粒径が0.5μm以下になるまで粉砕することが好ましく、平均粒径が0.2μm以下になるまで粉砕することがより好ましい。原料がこのような微小な粒径に粉砕されていると、炭酸リチウムとニッケル化合物等との反応性が向上し、炭酸リチウム等の原料から二酸化炭素等の成分が脱離し易くなる。また、粉砕物の混合度が高くなって焼成が均一に進み易くなり、正極活物質としてのリチウム複合化合物の一次粒子の平均粒径を、容易に適切な範囲に制御し得るようになる。
【0058】
混合工程S10では、湿式粉砕による混合でスラリーを調製し、得られたスラリーを噴霧乾燥により造粒することが好ましい。炭酸リチウム等の原料を、水等の媒体中で湿式粉砕して混合し、得られたスラリーを噴霧乾燥により造粒すると、焼成後、二次粒子の平均粒径が制御されており、アスペクト比が1に近似した二次粒子を安定して得ることができる。噴霧乾燥機としては、2流体ノズル式、4流体ノズル式、ディスク式等の各種の方式を用いることができる。
【0059】
噴霧乾燥により造粒する二次粒子の平均粒径は、5μm以上、且つ、25μm以下とすることが好ましい。このような粒径まで造粒すると、焼成後に得られるリチウム複合化合物の二次粒子の平均粒径を、容易に目的の範囲にすることができる。造粒する二次粒子の平均粒径は、例えば、スラリーの濃度、スラリーの粘度、スラリーの噴霧量、懸濁質の分散度、噴霧温度、噴霧圧力、送風速度等を調節して制御することができる。
【0060】
焼成工程S20では、混合工程S10を経て得られた前駆体(混合物)を焼成して前記式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る。焼成工程S20において、混合工程S10を経て得られた前駆体、すなわち、噴霧造粒等の適宜の処理を施された混合物が所定の条件下で焼成されて、層状構造を有するリチウム複合化合物が形成される。リチウム複合化合物の一次粒子の平均粒径は、主として、焼成工程S20における熱処理温度や熱処理時間によって制御することができる。なお、焼成工程S20は、熱処理温度が一定の範囲に制御される一段の熱処理で行ってもよいし、熱処理温度が互いに異なる範囲に制御される複数段の熱処理で行ってもよい。
【0061】
焼成工程S20は、図1に示すように、第1熱処理工程S21と、第2熱処理工程S22と、第3熱処理工程S23と、を有することが好ましい。このような複数段の熱処理を行うと、熱処理温度、熱処理時間、雰囲気等の調節によって、リチウム複合化合物の粒径を適正な範囲に成長させつつ、焼成の終了時にリチウム複合化合物中に残留する炭酸リチウムの量を大きく低減することができるため、一次粒子自体の強度や二次粒子の破壊強度を高くすることができる。
【0062】
第1熱処理工程S21では、混合工程S10で得られた混合物を200℃以上、且つ、400℃以下の熱処理温度で、0.5時間以上、且つ、5時間以下にわたって熱処理して第1前駆体を得る。第1熱処理工程S21は、混合工程S10で得られた混合物から、リチウム複合化合物の合成反応を妨げる水分等を除去することを主な目的として行われる。
【0063】
第1熱処理工程S21において、熱処理温度が200℃以上であれば、不純物の燃焼反応や原料の熱分解等が十分に進むため、以降の熱処理で不活性な異相等が形成されるのを抑制することができる。また、熱処理温度が400℃以下であれば、この工程でリチウム複合化合物の結晶が形成されることが略無いため、水分、不純物等が含まれるガスの存在下、純度が低い結晶相が形成されるのを防ぐことができる。
【0064】
第1熱処理工程S21における熱処理温度は、250℃以上、且つ、400℃以下であることが好ましく、250℃以上、且つ、380℃以下であることがより好ましい。熱処理温度がこの範囲であれば、水分、不純物等を効率的に除去する一方、この工程でリチウム複合化合物の結晶が形成されるのを確実に防ぐことができる。なお、第1熱処理工程S21における熱処理時間は、例えば、熱処理温度、混合物に含まれている水分や不純物等の量、水分や不純物等の除去目標、結晶化の度合い等に応じて、適宜の時間とすることができる。
【0065】
第1熱処理工程S21は、雰囲気ガスの気流下や、ポンプによる排気下で行うことが好ましい。このような雰囲気下で熱処理を行うことにより、水分、不純物等が含まれているガスを効率的に排除することができる。雰囲気ガスの気流の流量や、ポンプによる時間当たりの排気量は、混合物から生じるガスの体積よりも多くすることが好ましい。混合物から生じるガスの体積は、例えば、原料の使用量や、燃焼や熱分解でガス化する成分の原料当たりのモル比等に基づいて求めることができる。
【0066】
第1熱処理工程S21は、酸化性ガス雰囲気下で行ってもよいし、非酸化性ガス雰囲気下で行ってもよいし、減圧雰囲気下で行ってもよい。酸化性ガス雰囲気としては、酸素ガス雰囲気及び大気雰囲気のいずれであってもよい。また、減圧雰囲気としては、例えば、大気圧以下等、適宜の真空度の減圧条件であってもよい。
【0067】
第2熱処理工程S22では、第1熱処理工程S21で得られた第1前駆体を450℃以上、且つ、800℃以下の熱処理温度で、0.5時間以上、且つ、50時間以下にわたって熱処理して第2前駆体を得る。第2熱処理工程S22は、炭酸リチウムとニッケル化合物等との反応により、炭酸成分を除去すると共に、ニッケルを2価から3価へと酸化し、リチウム複合化合物の結晶を生成させることを主な目的として行われる。
【0068】
第2熱処理工程S22では、原料として投入した炭酸リチウムの92質量%以上を反応させることが好ましく、97質量%以上を反応させることがより好ましい。炭酸リチウムの反応が不十分であり、ニッケルの酸化が不足していると、2価のニッケルがリチウムサイトに置換し易くなり、正極活物質の充放電容量が低下する虞がある。また、第2熱処理工程S22の終了時に炭酸リチウムが多量に残留していると、第3熱処理工程S23の雰囲気中に二酸化炭素が放出され、結晶を生成する反応が阻害されたり、炭酸成分がリチウム複合化合物の結晶に取り込まれたりし、粒子破壊強度や充放電容量が低下する虞がある。これに対し、第2熱処理工程S22で炭酸リチウムの大部分を反応させると、第3熱処理工程S23で高い粒子破壊強度や充放電容量を示すリチウム複合化合物を焼成できる。
【0069】
また、炭酸リチウムの反応が不十分であり、第2熱処理工程S22の終了時に炭酸リチウムが多量に残留していると、第3熱処理工程S23において炭酸リチウムが溶融し、液相を形成する可能性がある。液相中でリチウム複合化合物を焼成すると、結晶粒が粗大化し、リチウムイオン二次電池の出力特性が悪化する虞がある。これに対し、第2熱処理工程S22で炭酸リチウムの大部分を反応させると、第3熱処理工程S23で液相が生じ難くなるので、熱処理温度を高くしても、リチウム複合化合物の結晶粒が粗大化し難くなる。そのため、リチウムイオン二次電池の出力特性を確保しつつ、高温でニッケルの酸化を進めて、高い粒子破壊強度や充放電容量を示すリチウム複合化合物を焼成できる。
【0070】
第2熱処理工程S22において、熱処理温度が450℃以上であれば、炭酸リチウムとニッケル化合物等との反応により、層状構造の形成が進むため、未反応の炭酸リチウムが残留するのを防止することができる。そのため、以降の熱処理で炭酸リチウムが液相を形成し難くなり、結晶粒の粗大化が抑制されて、高い粒子破壊強度や充放電容量を示す正極活物質が得られる。また、熱処理温度が800℃以下であれば、粒成長が過度に進行することが無いので、正極活物質の充放電容量が高くなる。
【0071】
第2熱処理工程S22における熱処理温度は、550℃以上であることが好ましく、600℃以上であることがより好ましく、650℃以上であることがさらに好ましい。熱処理温度がこのように高いほど、炭酸リチウムの反応がより促進し、炭酸リチウムの残留がより確実に防止される。特に、前記式(1)中、M1で表される元素としてマンガンを元素置換するとき、マンガンの係数1−x−y−zが0を超え、且つ、0.075未満の場合は、600℃以上とすることが好ましい。一方、マンガンの係数1−x−y−zが0.075以上の場合は、反応温度が下がるため、550℃以上とすればよい。
【0072】
第2熱処理工程S22における熱処理温度は、700℃以下であることが好ましく、680℃以下であることがより好ましい。熱処理温度がこのように低いほど、粒成長がより抑制されるため、正極活物質の充放電容量が高くなる。また、炭酸リチウムが溶融し難くなり、液相が形成され難くなるため、結晶粒の粗大化をより確実に抑制することができる。
【0073】
第2熱処理工程S22における熱処理時間は、0.5時間以上、且つ、50時間以下とすることが好ましく、2時間以上、且つ、15時間以下とすることがより好ましい。熱処理時間がこの範囲であると、炭酸リチウムの反応が十分に進むため、炭酸成分を確実に除去することができる。また、熱処理の所要時間が短縮されて、正極活物質の生産性が向上する。
【0074】
第2熱処理工程S22は、酸化性雰囲気で行うことが好ましい。雰囲気の酸素濃度は、80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることがさらに好ましく、100%とすることが特に好ましい。また、雰囲気の二酸化炭素濃度を、5%以下とすることが好ましく、1%以下とすることがより好ましく、0.1%以下とすることがさらに好ましい。また、第2熱処理工程S22は、酸化性ガスの気流下で行うことが好ましい。酸化性ガスの気流下で熱処理を行うと、ニッケルを確実に酸化させることができるし、雰囲気中に放出された二酸化炭素を確実に排除することができる。第2熱処理工程S22は、仮焼き工程として複数回にわたって行ってもよい。
【0075】
第3熱処理工程S23では、第2熱処理工程S22で得られた第2前駆体を755℃以上、且つ、900℃以下の熱処理温度で、0.5時間以上、且つ、50時間以下にわたって熱処理してリチウム複合化合物を得る。第3熱処理工程S23は、第2前駆体中のニッケルを2価から3価へと十分に酸化させると共に、層状構造を有するリチウム複合化合物の結晶粒を適切な大きさまで粒成長させることを主な目的として行われる。
【0076】
第3熱処理工程S23において、熱処理温度が755℃以上であれば、ニッケルを十分に酸化して、一次粒子を適切な粒径に成長させることができるので、結晶化度が高く、開気孔容積率が低いリチウム複合化合物が焼成される。そのため、炭酸リチウムの焼成時の残留量や焼成後の混入量が少なくなり、粒子破壊強度や充放電容量が高い正極活物質を得ることができる。また、熱処理温度が900℃以下であれば、リチウムが揮発し難く、層状構造を有するリチウム複合化合物の分解が抑制されるため、焼成後に得られる結晶の純度が低くなって充放電容量が低下するのを避けることができる。
【0077】
第3熱処理工程S23における熱処理温度は、800℃以上であることが好ましく、840℃以上であることがより好ましく、850℃以上であることがさらに好ましい。熱処理温度がこのように高いほど、ニッケルがより確実に酸化されるし、リチウム複合化合物の粒成長を促進させて一次粒子の粒径をより大きくすることができる。
【0078】
第3熱処理工程S23における熱処理温度は、890℃以下であることが好ましい。熱処理温度がこのように低いほど、リチウムがより揮発し難くなるため、層状構造を有するリチウム複合化合物の分解をより確実に防止して、高い充放電容量を示すリチウム複合化合物を得ることができる。
【0079】
第3熱処理工程S23における熱処理時間は、0.5時間以上、且つ、15時間以下とすることが好ましい。熱処理時間がこの範囲であると、リチウム複合化合物の結晶粒が適切な大きさまで効率的に粒成長し、ニッケルを十分に酸化して、結晶の純度が高く、高い粒子破壊強度や充放電容量を示すリチウム複合化合物を得ることができる。また、熱処理の所要時間が短縮されて、正極活物質の生産性が向上する。
【0080】
第3熱処理工程S23は、酸化性雰囲気で行うことが好ましい。雰囲気の酸素濃度は、80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることがさらに好ましく、100%とすることが特に好ましい。また、雰囲気の二酸化炭素濃度を、5%以下とすることが好ましく、1%以下とすることがより好ましく、0.1%以下とすることがさらに好ましい。また、第3熱処理工程S23は、酸化性ガスの気流下で行うことが好ましい。酸化性ガスの気流下で熱処理を行うと、ニッケルを確実に酸化させることができるし、雰囲気中に放出された二酸化炭素を確実に排除することができる。第3熱処理工程S23は、本焼成工程として1回が好ましいが、複数回にわたって行ってもよい。
【0081】
焼成工程S20においては、熱処理の手段として、ロータリーキルン等の回転炉、ローラーハースキルン、トンネル炉、プッシャー炉等の連続炉、バッチ炉等の適宜の加熱装置を用いることができる。第1熱処理工程S21、第2熱処理工程S22、及び、第3熱処理工程S23は、同一の加熱装置を用いて行ってもよいし、異なる加熱装置を用いて行ってもよい。また、各熱処理工程は雰囲気を入れ替えて断続的に行ってもよいし、雰囲気中のガスを排気しながら熱処理を行う場合は連続的に行ってもよい。
【0082】
以上の混合工程S10、焼成工程S20を経ることにより、前記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子と、前記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、一次粒子の平均粒径(D)と二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が0.006以上、且つ、0.25以下であるリチウム複合化合物が得られる。リチウム複合化合物は、二次粒子の平均粒径が適切になるように、必要に応じて分級してもよい。焼成後のリチウム複合化合物の水分率は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、250ppm以下であることがさらに好ましい。焼成後のリチウム複合化合物の水分率は、カールフィッシャー法により測定することができる。
【0083】
粒径の比(D/D)が制御されており、比表面積が比較的大きいリチウム複合化合物は、通常の第1熱処理工程S21、第2熱処理工程S22、及び、第3熱処理工程S23を経て、結晶の純度が高い状態に焼成された場合であっても、雰囲気中の二酸化炭素や水分との反応によって、炭酸リチウムや水酸化リチウム等の不純物を混入している場合がある。そのため、不純物の量をより低減する場合、水洗工程S30に供することが好ましい。
【0084】
水洗工程S30では、焼成工程S20で得られたリチウム複合化合物を水洗する。リチウム複合化合物の水洗は、リチウム複合化合物を水中に浸漬させる方法、リチウム複合化合物に通水する方法等、適宜の方法で行うことができる。リチウム複合化合物を水洗することにより、リチウム複合化合物の表面や表層付近に残留している炭酸リチウム、水酸化リチウム等を除去することができる。リチウム複合化合物を浸漬する水は、静水であってもよいし、攪拌されてもよい。水としては、脱イオン水、蒸留水等の純水、超純水等を用いることができる。
【0085】
水洗工程S30では、リチウム複合化合物を水中に浸漬させる場合、浸漬する水に対するリチウム複合化合物の固形分比を、33質量%以上、且つ、77質量%以下とすることが好ましい。固形分比が33質量%以上であれば、リチウム複合化合物から水に溶出するリチウムの量が少なく抑えられる。そのため、充放電容量、出力特性等が良好な正極活物質を得ることができる。また、固形分比が77質量%以下であれば、粉体の水洗を均一に行えるので、不純物を確実に除去することができる。
【0086】
リチウム複合化合物を水洗する時間は、20分以下が好ましく、10分以下がより好ましい。水洗する時間が20分以下であれば、リチウム複合化合物から水に溶出するリチウムの量が少なく抑えられる。そのため、充放電容量、出力特性等が良好な正極活物質を得ることができる。
【0087】
水中に浸漬させたリチウム複合化合物は、適宜の固液分離操作により回収することができる。固液分離の方法としては、例えば、減圧式濾過、加圧式濾過、フィルタープレス、ローラープレス、遠心分離等が挙げられる。水中から固液分離したリチウム複合化合物の水分率は、20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。このように水分率が低いと、水中に溶出しているリチウム化合物が多量に再析出することが無いため、正極活物質の性能が低下するのを防止できる。固液分離後のリチウム複合化合物の水分率は、例えば、赤外線水分計を用いて測定することができる。
【0088】
乾燥工程S40では、水洗工程S30で水洗されたリチウム複合化合物を乾燥する。リチウム複合化合物を乾燥させることにより、電解液の成分と反応して電池を劣化させたり、結着剤を変質させて塗工不良を生じたりする水分が除去される。また、水洗工程S30と乾燥工程S40を経ることにより、リチウム複合化合物の表面が改質されるため、正極活物質の粉体としての圧縮性が向上する効果が得られる。乾燥の方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥等を用いることができる。
【0089】
乾燥工程S40における雰囲気は、二酸化炭素を含まない不活性ガス雰囲気、又は、高真空度の減圧雰囲気とする。このような雰囲気であれば、雰囲気中の二酸化炭素や水分との反応により、炭酸リチウムや水酸化リチウムが混入した状態になるのが防止される。
【0090】
乾燥工程S40における乾燥温度は、300℃以下が好ましく、80℃以上、且つ、300℃以下がより好ましい。乾燥温度が300℃以下であれば、副反応を抑制して乾燥させることができるため、正極活物質の性能が悪化するのを避けることができる。また、乾燥温度が80℃以上であれば、水分を短時間で十分に除去することができる。乾燥後のリチウム複合化合物の水分率は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、250ppm以下であることがさらに好ましい。乾燥後のリチウム複合化合物の水分率は、カールフィッシャー法により測定することができる。
【0091】
乾燥工程S40では、乾燥条件を変えた2段以上の乾燥処理を行うことが好ましい。具体的には、乾燥工程S40は、図1に示すように、第1乾燥工程S41と、第2乾燥工程S42と、を有することが好ましい。このような複数段の乾燥処理を行うと、リチウム複合化合物の粉体表面が急速な乾燥で変質するのを避けることができる。そのため、粉体表面の変質によって乾燥速度が低下するのを防止することができる。
【0092】
第1乾燥工程S41では、水洗工程S30で水洗されたリチウム複合化合物を80℃以上、且つ、100℃以下の乾燥温度で乾燥させる。第1乾燥工程S41においては、主として恒率乾燥期間の乾燥速度でリチウム複合化合物の粒子表面に存在する大部分の水分が除去される。
【0093】
第1乾燥工程S41において、乾燥温度が80℃以上であれば、短時間に大量の水分を除去することができる。また、乾燥温度が100℃以下であれば、高温で生じ易いリチウム複合化合物の粉体表面の変質を抑制することができる。
【0094】
第1乾燥工程S41における乾燥時間は、10時間以上、且つ、20時間以下とすることが好ましい。乾燥時間がこの範囲であると、リチウム複合化合物の粉体表面の変質が抑制される比較的低い乾燥温度であっても、リチウム複合化合物の粒子表面に存在する大部分の水分を除去することができる。
【0095】
第2乾燥工程S42では、第1乾燥工程S41で乾燥させたリチウム複合化合物を190℃以上、且つ、300℃以下の乾燥温度で乾燥させる。第2乾燥工程S42においては、正極活物質の性能を悪化させる副反応を抑制しつつ、リチウム複合化合物の粒子表層付近に存在する水分を低減し、適正な水分率に乾燥されたリチウム複合化合物を得る。
【0096】
第2乾燥工程S42において、乾燥温度が190℃以上であれば、リチウム複合化合物の粒子表層付近に浸透している水分を十分に除去することができる。また、乾燥温度が300℃以下であれば、正極活物質の性能を悪化させる副反応を抑制して乾燥させることができる。
【0097】
第2乾燥工程S42における乾燥時間は、10時間以上、且つ、20時間以下とすることが好ましい。乾燥時間がこの範囲であると、正極活物質の性能を悪化させる副反応を抑制して、リチウム複合化合物を十分に低い水分率まで乾燥させることができる。
【0098】
封入工程S50では、乾燥工程S40で乾燥されたリチウム複合化合物を保存用容器に封入する。リチウム複合化合物は、大気に暴露されると、大気中の二酸化炭素や水分と反応して劣化する。そのため、リチウム複合化合物は、必要に応じて解砕、分級等の後処理をされた後、リチウムイオン二次電池の製造時まで保存用容器に保存される。保存用容器に封入するリチウム複合化合物は、二次粒子の破壊強度及び塗工性を確保する観点から、少なくとも、炭酸リチウムの量を0.4質量%以下、且つ、水分率を500ppm以下としておくことが好ましい。
【0099】
保存用容器としては、ガス透過性が低く、二酸化炭素や水分との接触を防止できるものであれば、アルミニウム製缶、鋼鉄製缶、コンテナバッグ、ラミネートフィルムバッグ等、適宜の形状及び材質の包装容器を用いることができる。保存用容器の内部の雰囲気は、二酸化炭素及び水分を含まない不活性ガス雰囲気、又は、高真空度の減圧雰囲気とすることができる。
【0100】
以上の製造方法によると、熱処理温度、熱処理時間、雰囲気等の調節によって、焼成の終了時にリチウム複合化合物中に残留する炭酸リチウムの量を低減し、その後の工程において、雰囲気中の二酸化炭素や水分との反応によって、炭酸リチウムや水酸化リチウム等の不純物が混入するのを抑制することができる。すなわち、焼成工程S20を終了した時点で、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下に低減されていれば、水洗工程S30、乾燥工程S40、封入工程S50を適切に実施することにより、純水中に浸漬させて溶出する炭酸リチウムの量を0.4質量%以下に維持することができるので、二次粒子の破壊強度が高い正極活物質を、リチウムイオン二次電池の製造に用いることができる。
【0101】
正極活物質についての炭酸リチウムの溶出量、水酸化リチウムの溶出量、水分率は、製造直後の正極活物質や、保存用容器に封入された正極活物質を、不活性ガス雰囲気下で滴定セル等の試料容器に採取し、中和滴定や電量滴定に供することによって確認することができる。保存用容器の開封や、試料容器への移し替えは、アルゴンガス等の不活性ガスを導入したグローブボックス内で行うことが好ましい。水分率を測定する電量滴定に際しては、電解液への溶解が困難な場合、適切な昇温範囲で水分気化法を用いてもよい。
【0102】
[リチウムイオン二次電池]
次に、前記のリチウムイオン二次電池用正極活物質を正極に用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
【0103】
図2は、リチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す部分断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、非水電解液を収容する有底円筒状の電池缶101と、電池缶101の内部に収容された捲回電極群110と、電池缶101の上部の開口を封止する円板状の電池蓋102と、を備えている。
【0104】
電池缶101及び電池蓋102は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属材料によって形成される。正極111は、正極集電体111aと、正極集電体111aの表面に形成された正極合剤層111bと、を備えている。また、負極112は、負極集電体112aと、負極集電体112aの表面に形成された負極合剤層112bと、を備えている。
【0105】
正極集電体111aは、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル等によって形成される。金属箔は、例えば、15μm以上、且つ、25μm以下程度の厚さにすることができる。正極合剤層111bは、前記のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含んでなる。正極合剤層111bは、例えば、正極活物質と、導電材、結着剤等とを混合した正極合剤によって形成される。
【0106】
負極集電体112aは、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル等によって形成される。金属箔は、例えば、7μm以上、且つ、10μm以下程度の厚さにすることができる。負極合剤層112bは、リチウムイオン二次電池用負極活物質を含んでなる。負極合剤層112bは、例えば、負極活物質と、導電材、結着剤等とを混合した負極合剤によって形成される。
【0107】
負極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる適宜の種類を用いることができる。負極活物質の具体例としては、天然黒鉛、石油コークス、ピッチコークス等から得られる易黒鉛化材料を2500℃以上の高温で処理したもの、メソフェーズカーボン、非晶質炭素、黒鉛の表面に非晶質炭素を被覆したもの、天然黒鉛又は人造黒鉛の表面を機械的処理することにより表面の結晶性を低下させた炭素材、高分子等の有機物を炭素表面に被覆・吸着させた材料、炭素繊維、リチウム金属、リチウムとアルミニウム、スズ、ケイ素、インジウム、ガリウム、マグネシウム等との合金、シリコン粒子又は炭素粒子の表面に金属を担持した材料、スズ、ケイ素、リチウム、チタン等の酸化物等が挙げられる。担持させる金属としては、例えば、リチウム、アルミニウム、スズ、インジウム、ガリウム、マグネシウム、これらの合金等が挙げられる。
【0108】
導電材としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる適宜の種類を用いることができる。導電材の具体例としては、黒鉛、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等の炭素粒子や、ピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN)系等の炭素繊維が挙げられる。これらの導電材は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。導電材の量は、例えば、合剤全体に対して、3質量%以上、且つ、10質量%以下とすることができる。
【0109】
結着剤としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる適宜の種類を用いることができる。結着剤の具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル、変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。これらの結着剤は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。また、カルボキシメチルセルロース等の増粘性の結着剤を併用してもよい。結着剤の量は、例えば、合剤全体に対して、2質量%以上、且つ、10質量%以下とすることができる。
【0110】
正極111や負極112は、例えば、一般的なリチウムイオン二次電池用電極の製造方法に準じて製造することができる。例えば、活物質と、導電材、結着剤等とを溶媒中で混合して電極合剤を調製する合剤調製工程と、調製された電極合剤を集電体等の基材上に塗布した後、乾燥させて電極合剤層を形成する合剤塗工工程と、電極合剤層を加圧成形する成形工程と、を経て製造することができる。
【0111】
合剤調製工程では、材料を混合する混合手段として、例えば、プラネタリーミキサ、ディスパーミキサ、自転・公転ミキサ等の適宜の混合装置を用いることができる。溶媒としては、結着剤の種類に応じて、例えば、N−メチルピロリドン、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
【0112】
合剤塗工工程では、調製されたスラリー状の電極合剤を塗布する手段として、例えば、バーコーター、ドクターブレード、ロール転写機等の適宜の塗布装置を用いることができる。塗布された電極合剤を乾燥する手段としては、例えば、熱風加熱装置、輻射加熱装置等の適宜の乾燥装置を用いることができる。
【0113】
成形工程では、電極合剤層を加圧成形する手段として、例えば、ロールプレス等の適宜の加圧装置を用いることができる。正極合剤層111bについては、例えば、100μm以上、且つ、300μm以下程度の厚さにすることができる。また、負極合剤層112bについては、例えば、20μm以上、且つ、150μm以下程度の厚さにすることができる。加圧成形した電極合剤層は、必要に応じて正極集電体と共に裁断して、所望の形状のリチウムイオン二次電池用電極とすることができる。
【0114】
図2に示すように、捲回電極群110は、帯状の正極111と負極112とをセパレータ113を挟んで捲回することにより形成される。捲回電極群110は、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド等で形成された軸心に捲回されて、電池缶101の内部に収容される。
【0115】
セパレータ113としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の微多孔質フィルムや、このような微多孔質フィルムの表面にアルミナ粒子等の耐熱性物質を被覆したフィルム等を用いることができる。
【0116】
図2に示すように、正極集電体111aは、正極リード片103を介して電池蓋102と電気的に接続される。一方、負極集電体112aは、負極リード片104を介して電池缶101の底部と電気的に接続される。捲回電極群110と電池蓋102との間、及び、捲回電極群110と電池缶101の底部との間には、短絡を防止する絶縁板105が配置される。正極リード片103及び負極リード片104は、それぞれ正極集電体111aや負極集電体112aと同様の材料で形成され、正極集電体111a及び負極集電体112aのそれぞれにスポット溶接、超音波圧接等によって接合される。
【0117】
電池缶101は、内部に非水電解液が注入される。非水電解液の注入方法は、電池蓋102を開放した状態で直接注入する方法であってもよいし、電池蓋102を閉鎖した状態で電池蓋102に設けた注入口から注入する方法等であってもよい。また、電池缶101は、電池蓋102がかしめ等によって固定されて封止される。電池缶101と電池蓋102との間には、絶縁性を有する樹脂材料からなるシール材106が挟まれ、電池缶101と電池蓋102とが互いに電気的に絶縁される。
【0118】
非水電解液は、電解質と、非水溶媒と、を含んで組成される。電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等の各種のリチウム塩を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートや、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、メチルアセテート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の鎖状カルボン酸エステルや、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステルや、エーテル類等を用いることができる。電解質の濃度は、例えば、0.6M以上、且つ、1.8M以下とすることができる。
【0119】
非水電解液は、電解液の酸化分解、還元分解の抑制や、金属元素の析出防止や、イオン伝導性の向上や、難燃性の向上等を目的として、各種の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、リン酸トリメチル、亜リン酸トリメチル等の有機リン化合物や、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンサルトン等の有機硫黄化合物や、ポリアジピン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の無水カルボン酸類、ホウ酸トリメチル、リチウムビスオキサレートボレート等のホウ素化合物等が挙げられる。
【0120】
以上の構成を有するリチウムイオン二次電池100は、電池蓋102を正極外部端子、電池缶101の底部を負極外部端子として、外部から供給された電力を捲回電極群110に蓄電することができる。また、捲回電極群110に蓄電されている電力を外部の装置等に供給することができる。なお、このリチウムイオン二次電池100は、円筒形の形態とされているが、リチウム二次電池の形状は特に限定されず、例えば、角形、ボタン形、ラミネートシート形等の適宜の形状であってもよい。
【0121】
リチウムイオン二次電池100は、例えば、携帯電子機器、家庭用電気機器等の小型電源や、電力貯蔵装置、無停電電源装置、電力平準化装置等の定置用電源や、船舶、鉄道車両、ハイブリッド鉄道車両、ハイブリット自動車、電気自動車等の駆動電源等、各種の用途に使用することができる。
【実施例】
【0122】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
【0123】
[実施例1]
はじめに、出発原料として、炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト及び炭酸マンガンを用意した。次に、各原料を、原子比でLi:Ni:Co:Mnが、1.04:0.80:0.10:0.10となるように秤量し、粉砕機で粉砕すると共に湿式混合してスラリーを調製した(混合工程S10)。
【0124】
続いて、得られたスラリーをスプレードライヤで乾燥させた後、乾燥させた混合物を焼成してリチウム複合化合物の焼成粉を得た(焼成工程S20)。具体的には、スラリーを乾燥させた混合物300gを、縦300mm、横300mm、高さ100mmのアルミナ容器に充填し、連続搬送炉によって、大気雰囲気下、350℃で1時間にわたって熱処理して第1前駆体を得た(第1熱処理工程S21)。そして、第1前駆体を、酸素濃度99%以上の雰囲気に置換した焼成炉によって、酸素気流中、650℃で4時間にわたって熱処理して第2前駆体を得た(第2熱処理工程S22)。その後、第2前駆体を、酸素濃度99%以上の雰囲気に置換した焼成炉によって、酸素気流中、880℃で1時間にわたって熱処理してリチウム複合化合物を得た(第3熱処理工程S23)。得られたリチウム複合化合物の焼成粉は、目開き53μm以下に分級して試料の正極活物質とした。
【0125】
続いて、得られた正極活物質40gを直ちに濾過器に入れ、その上に純水20mLを注いだ(水洗工程S30)。そして、減圧式濾過を行い、濾別された正極活物質を、真空中、80℃で14時間にわたって乾燥させた後、真空中、240℃で14時間にわたって乾燥させた(乾燥工程S40)。焼成して得られたリチウム複合化合物は、乾燥が終了するまで大気との接触を極力避け、以下の測定を行うまで保存用容器に保存した。
【0126】
[実施例2]
正極活物質の粒径を変え、水洗工程S30及び乾燥工程S40を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得た。
【0127】
[実施例3]
第3熱処理工程S23の熱処理温度を825℃とした以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得た。
【0128】
[実施例4]
正極活物質の原料を、原子比でLi:Ni:Co:Mnが、1.04:0.80:0.15:0.05となるように秤量し、正極活物質の粒径を変え、水洗工程S30を正極活物質10gに純水5mLを注いで行ったこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得た。
【0129】
[実施例5]
第3熱処理工程S23の熱処理時間を3時間とし、正極活物質の粒径を変え、水洗工程S30及び乾燥工程S40を行わなかったこと以外は、実施例4と同様にして正極活物質を得た。
【0130】
[実施例6]
正極活物質の粒径を変えたこと以外は、実施例4と同様にして正極活物質を得た。
【0131】
[実施例7]
正極活物質の粒径を変え、水洗工程S30及び乾燥工程S40を行わなかったこと以外は、実施例4と同様にして正極活物質を得た。
【0132】
[実施例8]
正極活物質の粒径を変え、水洗工程S30を正極活物質40gに純水20mLを注いで行い、乾燥工程S40で、80℃で14時間にわたって乾燥させた後、190℃で14時間にわたって乾燥させたこと以外は、実施例4と同様にして正極活物質を得た。
【0133】
[実施例9]
正極活物質の粒径を変えたこと以外は、実施例8と同様にして正極活物質を得た。
【0134】
[実施例10]
正極活物質の粒径を変えたこと以外は、実施例8と同様にして正極活物質を得た。
【0135】
[実施例11]
正極活物質の粒径を変え、乾燥工程S40で、80℃で14時間にわたって乾燥させた後、240℃で14時間にわたって乾燥させたこと以外は、実施例8と同様にして正極活物質を得た。
【0136】
[実施例12]
正極活物質の粒径を変えたこと以外は、実施例11と同様にして正極活物質を得た。
【0137】
[実施例13]
正極活物質の粒径を変えたこと以外は、実施例7と同様にして正極活物質を得た。
【0138】
[実施例14]
正極活物質の原料としてさらに酸化チタンを用い、各原料を、原子比でLi:Ni:Co:Mn:Tiが、1.02:0.90:0.03:0.05:0.02となるように秤量し、第3熱処理工程S23の熱処理温度を860℃とし、正極活物質の粒径を変えた以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得た。
【0139】
[実施例15]
第3熱処理工程S23の熱処理温度を850℃、第3熱処理工程S23の熱処理時間を2時間とし、正極活物質の粒径を変えた以外は、実施例14と同様にして正極活物質を得た。
【0140】
[比較例1]
第3熱処理工程S23の熱処理温度を750℃とし、正極活物質の粒径を変えた以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得た。
【0141】
[比較例2]
第3熱処理工程S23の熱処理温度を725℃とし、正極活物質の粒径を変えた以外は、実施例2と同様にして正極活物質を得た。
【0142】
(正極活物質の粒度、アスペクト比)
正極活物質を構成する一次粒子の平均粒径(D)と、二次粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡観察によって測定した。電子顕微鏡としては、電界放出形走査電子顕微鏡「S−4700」(日立ハイテクノロジーズ社製)を使用し、正極活物質を加速電圧5.0kV、倍率3000倍で観察し、粒子径が中央値に近い順に10個の粒子を抽出し、これらの一次粒子及び二次粒子の短軸径と長軸径を測定した。一次粒子の平均粒径は、短軸径と長軸径から二軸平均径として求めた。また、アスペクト比は、二次粒子の長軸径を短軸径で除算して求めた。一次粒子の平均粒径及びアスペクト比は、粒子の試料数を10として平均することにより求めた。また、二次粒子の平均粒径(D)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を使用し、二次粒子の体積基準の積算粒子径分布における50%粒子径を測定して求めた。
【0143】
(正極活物質の組成、比表面積、水分率の測定)
正極活物質の組成を、ICP発光分光分析装置「OPTIMA8300」(パーキンエルマー社製)を使用して分析した。なお、分析用の試料は、正極活物質を王水に溶解させて調製した。また、正極活物質の比表面積を、自動比表面積測定装置「BELCAT」(日本ベル社製)を使用してBET法により求めた。また、正極活物質の焼成後と乾燥後の水分率を、カールフィッシャー水分測定装置「VA−100/CA−100」(三菱化学アナリテック社製)を用いて測定した。
【0144】
(開気孔容積率)
正極活物質を構成する二次粒子の開気孔容積率は、ポロシメータ「オートポア 9520形」(島津製作所社製)を使用し、水銀圧入法を用いて測定した。測定用セルに正極活物質0.5gを収容し、細孔径が0.1μm以上、且つ、0.5μm以下に対応する範囲で開気孔の容積分布を測定した。そして、二次粒子のみかけの密度との積から開気孔容積率を算出した。
【0145】
(炭酸リチウムの溶出量)
正極活物質から溶出する炭酸リチウムの量を自動滴定装置「COM−1700A」(平沼産業社製)を用いて中和滴定によって測定した。はじめに、アルゴンガスでバブリングした30mLの純水中に0.5gの正極活物質を分散させた。そして、分散液を60分間にわたって攪拌した後、吸引濾過により濾液を回収し、その濾液を塩酸で滴定した。滴定曲線は2段階となり、第一等量点までが水酸化リチウムの水酸化物イオンと炭酸リチウムの炭酸イオンの合計量に対応しており、第一等量点から第二等量点までが炭酸イオンから生成した炭酸水素イオンの量に対応している。そのため、第一等量点から第二等量点までの滴定量から炭酸リチウムの量(質量%)を算出した。
【0146】
(二次粒子の粒子破壊強度)
正極活物質を構成する二次粒子の粒子破壊強度は、微小圧縮試験機「MCT−510」(島津製作所社製)を使用して測定した。加圧板上に微少量の正極活物質を散布し、試験力49mN、負荷速度0.4747mN/秒で圧子を一粒子に押し込み、二次粒子が圧壊するときの荷重を破壊強度として求めた。
【0147】
(正極活物質の塗工性、放電容量)
正極活物質を用いて正極及びリチウムイオン二次電池を作製し、正極活物質の塗工性とリチウムイオン二次電池の放電容量を評価した。はじめに、正極活物質と、結着剤と、導電材とを混合し、正極合剤スラリーを調製した。そして、調製した正極合剤スラリーを、厚さ20μmのアルミ箔からなる集電体に塗布し、120℃で乾燥させて正極合剤層を形成した後、電極密度が2.6g/cmとなるようにプレスで圧縮成形し、直径15mmの円盤状に打ち抜いて正極を作製した。ここで、正極活物質の塗工性を、正極合剤層と集電体との密着状態を目視して評価した。具体的には、正極合剤層の剥離が生じない場合を「○」の評価、正極合剤層の全体に剥離した領域が広がっており、電極の接触面積を確保できない場合を「×」の評価とした。
【0148】
また、負極活物質として金属リチウムを用いて負極を作製した。その後、作製した正極と負極を用いて、リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液としては、体積比が3:7となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した溶媒に、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。作製したリチウムイオン二次電池のそれぞれについて、充電は、充電電流を0.2CAとして、充電終止電圧(4.3V)まで定電流、定電圧で行い、放電は、放電電流を0.2CAとして、放電終止電圧(3.3V又は2.5V)まで定電流で行って放電容量を測定した。
【0149】
表1に、実施例及び比較例に係る正極活物質の化学組成、一次粒子の平均粒径(D)、二次粒子の平均粒径(D)、一次粒子の平均粒径(D)と二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)、焼成温度と焼成時間(第3熱処理工程S23の熱処理温度と熱処理時間)、水洗・乾燥の有無(水洗工程S30における正極活物質の粉末と純水の使用量、及び、乾燥工程S40における乾燥温度と乾燥時間、「−」が不実施)、焼成後と乾燥後の水分率、二次粒子のアスペクト比、比表面積、開気孔容積率、炭酸リチウムの溶出量、粒子破壊強度、塗工性、放電容量の結果を示す。
【0150】
【表1】
【0151】
図3は、実施例に係る正極活物質における炭酸リチウムの溶出量と粒子破壊強度との関係を示す図である。
図3に示すように、正極活物質を純水中に浸漬させて溶出する炭酸リチウムの溶出量が低減するほど、正極活物質を構成する二次粒子の粒子破壊強度が高くなることが分かる。図3によれば、炭酸リチウムの溶出量が0.4質量%以下で30MPa以上の粒子破壊強度が得られることが見て取れる。
【0152】
また、表1に示すように、一次粒子の平均粒径(D)と二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が0.006以上、且つ、0.25以下の範囲においては、炭酸リチウムの溶出量が低減されることにより、少なくとも30MPa以上の粒子破壊強度が得られている。炭酸リチウムの溶出量及び粒子破壊強度は、粒径比(D/D)、比表面積及び開気孔容積率に対して、凡そ相関を示しているが、同等の粒径比(D/D)や比表面積や開気孔容積率である実施例同士を比較すると、炭酸リチウムの溶出量が粒子破壊強度に大きく影響しているものと推察される。例えば、実施例1と比較して単粒子に近い実施例2よりも、水洗を行った実施例1で粒子破壊強度が高くなっており、正極活物質を構成する粒子を単粒子に近い状態にしなくとも、炭酸リチウムの溶出量を低減することで、二次粒子の外力に対する耐性を向上し得ることが分かる。実施例11、12は、他の実施例と同等の粒径比(D/D)や比表面積や開気孔容積率であるが、炭酸リチウムの溶出量が小さく、高い粒子破壊強度を示している。
【0153】
図4は、実施例に係る正極活物質の比表面積と粒子破壊強度との関係を示す図である。
図4に示すように、正極活物質の比表面積と粒子破壊強度とは、炭酸リチウムの溶出量の場合と類似した相関を示し、比表面積が小さくなるほど、二次粒子の粒子破壊強度が高くなることが分かる。但し、実施例1〜15同士のばらつきは比較的大きく、比表面積の大きさのみで、粒子破壊強度が決まるわけではないことが分かる。比表面積が1.20m/g以下であり、炭酸リチウムの溶出量が0.4質量%以下である実施例1〜15と、比表面積が1.2m/gを超え、炭酸リチウムの溶出量が0.4質量%を超える比較例1〜2とを比較すると、比表面積がある程度小さく、炭酸リチウムの溶出量も低減されており、且つ、粒子破壊強度が高い実施例1〜15では、正極活物質の塗工性が改善している。粒子破壊強度の向上によって、正極合剤の塗布時に微粉を生じ難くなり、正極活物質の粒子同士や集電体との密着性が向上した点、加圧成形時に二次粒子が破壊され難くなった点等が寄与したものと推察される。
【0154】
また、実施例1、2等と実施例3とを比較すると、比表面積が大きい実施例3は、粒子破壊強度については実施例1、2等よりも劣っているが、放電容量は高くなっている。実施例3のように焼成温度がある程度低く、比表面積や開気孔容積率が大きいと、反応面積が拡大するため、高い放電容量を得ることが可能である。このような正極活物質についても、炭酸リチウムの溶出量を水洗等で低減することで、粒子破壊強度や塗工性をより向上させることができると考えられる。
【0155】
図5は、実施例3に係る正極活物質の走査型電子顕微鏡写真である。
図5には、作製した実施例3に係る正極活物質の粉末を、走査型電子顕微鏡を使用して、加速電圧5.0kV、倍率5000倍で観察した結果を示す。図5において、符号1は、リチウム複合化合物の一次粒子、符号2は、リチウム複合化合物の二次粒子を示す。
【0156】
図5に示すように、一次粒子の平均粒径(D)と二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が比較的小さい正極活物質は、二次粒子を構成する粒子が単粒子に近い従来の正極活物質とは異なり、多数の微小な粒子で構成されている。このような形態の粒子は、比表面積や開気孔容積率がある程度の大きさを持つ傾向がある。しかし、炭酸リチウムの溶出量を低減し、二次粒子の破壊強度を向上させれば、正極活物質の塗工性を改善してリチウムイオン二次電池の性能を向上し得ると考えられる。
【符号の説明】
【0157】
100 リチウムイオン二次電池
101 電池缶
102 電池蓋
103 正極リード片
104 負極リード片
105 絶縁板
106 シール材
110 捲回電極群
111 正極
111a 正極集電体
111b 正極合剤層
112 負極
112a 負極集電体
112b 負極合剤層
113 セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5

【手続補正書】
【提出日】2019年7月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるリチウム複合化合物の一次粒子と、前記リチウム複合化合物の一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、
前記一次粒子の平均粒径(D)と前記二次粒子の平均粒径(D)との比(D/D)が0.006以上、且つ、0.25以下であり、
比表面積が0.1m/g以上、且つ、1.2m/g以下であり、
炭酸リチウムの量が0.4質量%以下であり、
前記二次粒子の破壊強度が30MPa以上であるリチウムイオン二次電池用正極活物質。
Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)
(但し、前記式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2、を満たす数である。)
【請求項2】
炭酸リチウムの量が0.3質量%以下であり、前記二次粒子の破壊強度が40MPa以上である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項3】
前記二次粒子のアスペクト比が0.6以上、且つ、1.0以下であり、
前記二次粒子は、水銀圧入法により求められる細孔径0.1μm以上、且つ、0.5μm以下の範囲内の開気孔容積率が20%以下である請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
【請求項4】
リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
炭酸リチウムと下記式(1)中のLi以外の金属元素をそれぞれ含む化合物とを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を焼成して下記式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る焼成工程と、を有し、
前記焼成工程は、
前記混合物を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下に亘って熱処理して第1前駆体を得る第1熱処理工程と、
前記第1前駆体を450℃以上かつ800℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下に亘って酸化性雰囲気下で熱処理して第2前駆体を得る第2熱処理工程と、
前記第2前駆体を755℃以上かつ900℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ50時間以下に亘って酸化性雰囲気下で熱処理して前記リチウム複合化合物を得る第3熱処理工程と、
前記焼成工程後に、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下、且つ、水分率を500ppm以下としたリチウム複合化合物を保存用容器に封入する封入工程と、
を有するリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
Li1+aNiCoM11−x−y−zM22+α ・・・(1)
(但し、前記式(1)中、M1は、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、M2は、Mg、Ti、Zr、Mo及びNbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦x<1.0、0≦y<0.3、0≦z≦0.25、0<1−x−y−z<0.3、−0.2≦α≦0.2、を満たす数である。)
【請求項5】
前記焼成工程後に、前記リチウム複合化合物を水洗する水洗工程と、水洗された前記リチウム複合化合物を乾燥する乾燥工程とを、さらに有し、
前記乾燥工程後に、炭酸リチウムの量が0.4質量%以下、且つ、水分率を500ppm以下としたリチウム複合化合物を前記保存用容器に封入する請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備えるリチウムイオン二次電池。
【国際調査報告】