特表-19138796IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年7月18日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】細胞培養装置及び細胞培養方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/02 20060101AFI20201127BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20201127BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20201127BHJP
   C12M 3/06 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   C12M3/02
   C12M1/00 A
   C12M1/00 C
   C12M3/00 Z
   C12M3/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2019-564361(P2019-564361)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2018-4222(P2018-4222)
(32)【優先日】2018年1月15日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲田 淳史
(72)【発明者】
【氏名】高山 英俊
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA02
4B029BB11
4B029CC01
4B029DA05
4B029DB19
4B029DG06
(57)【要約】
細胞培養装置は、細胞懸濁液を分割収容する複数の培養容器と、培養容器に収容された細胞懸濁液及び培養容器に収容された細胞懸濁液に含まれる細胞の少なくとも一方に対して、処理単位に対応する分量毎に処理を施す処理部と、処理部において処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液を混合する混合部と、混合部において混合された細胞懸濁液を撹拌する撹拌部と、処理部、混合部及び撹拌部への細胞懸濁液の移送を制御する移送制御部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞懸濁液を分割収容する複数の培養容器と、
前記複数の培養容器の各々に収容された細胞懸濁液及び前記複数の培養容器に収容された細胞懸濁液に含まれる細胞の少なくとも一方に対して、処理単位に対応する分量毎に処理を施す処理部と、
前記処理部において処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液を混合する混合部と、
前記混合部において混合された細胞懸濁液を撹拌する撹拌部と、
前記処理部、前記混合部及び前記撹拌部への細胞懸濁液の移送を制御する移送制御部と、
を含む細胞培養装置。
【請求項2】
前記混合部において混合される細胞懸濁液の温度を制御する温度制御部を更に含む
請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記混合部と前記撹拌部とが一体的に構成されている
請求項1または請求項2に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記混合部は、前記処理部において処理された、前記複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液を混合する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項5】
前記撹拌部において撹拌された細胞懸濁液を回収する複数の回収容器を更に含み、
前記移送制御部は、前記複数の回収容器の各々への細胞懸濁液の移送を更に制御する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項6】
前記移送制御部は、前記撹拌部において撹拌された細胞懸濁液を、前記複数の培養容器の各々に移送する制御を更に行う
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項7】
前記混合部は、
前記処理部において処理された細胞懸濁液または前記処理部において処理された細胞を含む細胞懸濁液を、前記処理部における処理単位毎に貯留する複数の貯留部と、
前記複数の貯留部の各々から所定量ずつ抜き出された細胞懸濁液を合流させる合流部と、
を含む
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
【請求項8】
前記処理部において処理された、前記複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液が、前記複数の貯留部のいずれかに貯留される
請求項7に記載の細胞培養装置。
【請求項9】
細胞懸濁液及び細胞懸濁液に含まれる細胞の少なくとも一方に対して、処理単位に対応する分量毎に処理を施し、
処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液を混合し、
混合された細胞懸濁液を撹拌する、
細胞培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、細胞培養装置及び細胞培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養装置に関する技術として、以下の技術が知られている。例えば特開2005−198626号公報には、付着系細胞の継代培養を行なう装置であって、複数の培養容器が配置され、これらの培養容器に、1つの共通の処理容器が接続されており、各培養容器と処理容器との間にはバルブ手段が介在し、処理容器内には、培地、洗浄液及び剥離液が通過可能であって細胞の通過を阻止するためのフィルタ手段が設けられると共に、該処理容器には、フィルタ手段を通過した培地、洗浄液及び剥離液を外部へ排出するための排水口が開設された装置が記載されている。
【0003】
また、特開2016−131538号公報には、細胞を培養するための培養容器と、培養容器で培養される細胞を貯留するための貯留容器、細胞塊を分割する分割処理を行う分割処理部と、を含む細胞培養装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細胞培養において必要とされる処理の少なくとも一部を自動化した細胞培養装置は、例えば、細胞懸濁液を収容する培養容器と、培養容器に収容された細胞懸濁液または細胞懸濁液に含まれる細胞に対して所定の処理を施す処理部と、培養容器から処理部への細胞懸濁液の移送を制御する移送制御部と、を含んで構成され得る。上記のような構成を有する細胞培養装置を用いて、例えば1010個以上の細胞を培養する大量培養を行う場合、細胞懸濁液を、複数の培養容器に小分けした状態でインキュベータ内に収容して培養する方法が考えられる。複数の培養容器に分割収容された細胞懸濁液は、処理部の処理能力に応じた所定量が培養容器から抜き出され、処理部に順次移送される。処理部は、培養容器から段階的に移送される細胞懸濁液を移送された順に処理する。
【0005】
上記の細胞培養装置を用いて製造された細胞は、例えば、所定量ずつ回収容器に収容され、製品として出荷されることが想定される。例えば、製造された細胞を、再生医療の用途で用いる場合、回収容器間で細胞の品質が均一であることが要求される。しかしながら、細胞懸濁液を複数の培養容器に小分けして細胞の培養を行うと、例えば、インキュベータ内の僅かな温度差等に起因して、細胞の品質が培養容器間で異なってしまうおそれがある。更に、上記の構成の細胞培養装置によれば、処理部における細胞懸濁液の累積処理量または細胞の累積処理数の増加に伴って、処理部における処理状態が変化するおそれがある。例えば、処理部が、細胞懸濁液に対して膜分離処理を施す、濾過膜を備えた濾過装置を含む場合、濾過装置における細胞懸濁液の累積処理量の増加に伴って、死細胞等のデブリスが濾過膜に堆積し、濾過膜の濾過性能が変化するおそれがある。処理部における処理状態が変化すると、処理後の細胞の品質が変化するおそれがある。すなわち、処理部において先に処理された細胞と、後に処理された細胞とで品質が異なるおそれがある。
【0006】
開示の技術は、細胞懸濁液を複数の培養容器に小分けして細胞の培養を行う場合における、培養状態の培養容器間での差を吸収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術に係る細胞培養装置は、細胞懸濁液を分割収容する複数の培養容器と、複数の培養容器の各々に収容された細胞懸濁液及び複数の培養容器に収容された細胞懸濁液に含まれる細胞の少なくとも一方に対して、処理単位に対応する分量毎に処理を施す処理部と、処理部において処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液を混合する混合部と、混合部において混合された細胞懸濁液を撹拌する撹拌部と、処理部、混合部及び撹拌部への細胞懸濁液の移送を制御する移送制御部と、を含む。開示の技術に係る細胞培養装置によれば、細胞懸濁液を複数の培養容器に小分けして細胞の培養を行う場合における、培養状態の培養容器間での差を吸収することが可能となる。
【0008】
開示の技術に係る細胞培養装置は、混合部において混合される細胞懸濁液の温度を制御する温度制御部を更に含んでいてもよい。この態様によれば、細胞懸濁液が長時間に亘り細胞の培養に適さない温度環境下に晒されることを防止することができるので、細胞の生存率を高めることができる。
【0009】
開示の技術に係る細胞培養装置において、混合部と撹拌部とが一体的に構成されていてもよい。この態様によれば、装置の小型化を実現することができる。また、混合部と撹拌部との間で、細胞懸濁液の移送を行うことを要しないので、細胞懸濁液の移送に伴う細胞へのダメージを小さくすることができる。
【0010】
開示の技術に係る細胞培養装置において、混合部は、処理部において処理された、複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液を混合することが好ましい。この態様によれば、処理部における処理状態の経時的な変動に伴う細胞の品質のばらつきを抑制する効果が促進される。
【0011】
開示の技術に係る細胞培養装置は、撹拌部において撹拌された細胞懸濁液を回収する複数の回収容器を更に含んでいてもよい。この場合、移送制御部は、複数の回収容器の各々への細胞懸濁液の移送を更に制御する。この態様によれば、回収容器間において細胞の品質が略均一である状態が提供される。
【0012】
開示の技術に係る細胞培養装置において、移送制御部は、撹拌部において撹拌された細胞懸濁液を、複数の培養容器の各々に移送する制御を更に行ってもよい。この態様によれば、複数の細胞培養容器を再利用して細胞の培養を継続することが可能となる。
【0013】
開示の技術に係る細胞培養装置において、混合部は、処理部において処理された細胞懸濁液または処理部において処理された細胞を含む細胞懸濁液を、処理部における処理単位毎に貯留する複数の貯留部と、複数の貯留部の各々から所定量ずつ抜き出された細胞懸濁液を合流させる合流部と、を含んでいてもよい。この態様によれば、撹拌部は、複数の培養容器に収容された細胞懸濁液の全量を収容可能な容積を有することを要しないので、撹拌部の容積を小さくすることができる。
【0014】
開示の技術に係る細胞培養装置において、処理部において処理された、複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液が、複数の貯留部のいずれかに貯留されることが好ましい。この態様によれば、処理部における処理状態の経時的な変動に伴う細胞の品質のばらつきを抑制する効果が促進される。
【0015】
開示の技術に係る細胞培養方法は、細胞懸濁液及び細胞懸濁液に含まれる細胞の少なくとも一方に対して、処理単位に相当する分量毎に処理を施し、処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液を混合し、混合された細胞懸濁液を撹拌することを含む。開示の技術に係る細胞培養方法によれば、細胞懸濁液を複数の培養容器に小分けして細胞の培養を行う場合における、培養状態の培養容器間での差を吸収することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
開示の技術によれば、処理部における処理状態の経時的な変動に伴う細胞の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】開示の技術の第1の実施形態に係る細胞培養装置の構成の一例を示す図である。
図2】開示の技術の実施形態に係る処理部の構成の一例を示す図である。
図3】開示の技術の実施形態に係る処理部の構成の他の例を示す図である。
図4】開示の技術の実施形態に係る移送制御部の動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。
図5A】開示の技術の実施形態に係る混合部において、各処理単位に対応する細胞懸濁液が収容されている様子の一例を示す図である。
図5B】開示の技術の実施形態に係る撹拌部に、各処理単位に対応する細胞懸濁液が移送されている様子の一例を示す図である。
図5C】開示の技術の実施形態に係る複数の回収容器に対して細胞懸濁液が一括処理により収容されている様子の一例を示す図である。
図6】開示の技術の第2の実施形態に係る細胞培養装置の構成の一例を示す図である。
図7】開示の技術の第3の実施形態に係る細胞培養装置の構成の一例を示す図である。
図8】開示の技術の第4の実施形態に係る細胞培養装置の構成の一例を示す図である。
図9】開示の技術の第4の実施形態に係る混合部の構成の一例を示す図である。
図10】開示の技術の第4の実施形態に係る移送制御部の動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の第1の実施形態に係る細胞培養装置1の構成の一例を示す図である。細胞培養装置1は、複数の培養容器10、処理部20、混合部30、温度制御部40、撹拌部50、複数の回収容器60及び移送制御部70を含んで構成されている。
【0020】
複数の培養容器10は、培養の対象とされる細胞を含む細胞懸濁液を分割収容する容器である。複数の培養容器10は、それぞれ、ガス透過性を有するフィルムからなるバッグの形態を有していてもよい。複数の培養容器10の総容積は、例えば、1010個以上の細胞を培地とともに収容可能な容積とされている。1010個以上の細胞を含む大量の細胞懸濁液を、複数の培養容器10に分割収容することで、個々の培養容器10の容積を小さくすることができる。これにより、個々の培養容器10において、培養容器10の表面を透過して培養容器10の内部に導入される酸素の、各細胞への供給状態を良好に保つことが可能となる。
【0021】
複数の培養容器10は、インキュベータ11の内部に収容されている。インキュベータ11の内部の温度は、培養容器10に収容された細胞の培養に適した温度(例えば37℃)に保持されている。
【0022】
複数の培養容器10の各々は、個別流路F1及び流路F2を介して処理部20に接続されている。個別流路F1の各々にはバルブV1が設けられている。個別流路の各々は、流路F2に接続されており、流路F2上にはポンプP1が設けられている。ポンプP1は、培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液を処理部20に移送する場合に駆動される。
【0023】
処理部20は、培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液及び培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液に含まれる細胞の少なくとも一方に対して、所定の処理単位毎に所定の処理を施す。すなわち、処理部20は、複数の培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液の全量を一括で処理するのではなく、処理部20の処理能力に応じた処理量を1処理単位として処理を行う。処理部20において実施される処理は、特に限定されないが、例えば、細胞懸濁液の膜分離処理を含んでいてもよく、また、複数の細胞が凝集した凝集体(スフェア)を細胞数がより少ない小規模な凝集体に分割する分割処理を含んでいてもよい。
【0024】
処理部20は、流路F3を介して混合部30に接続されている。流路F3上には、ポンプP2が設けられている。ポンプP2は、処理部20において処理された細胞懸濁液を混合部30に移送する場合に駆動される。
【0025】
混合部30は、複数の培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液の全量を収容可能な容積を有する容器の形態を有し、処理部20において処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液を混合する。すなわち、処理部20において処理が完了した細胞懸濁液は、処理単位毎に混合部30に順次移送され、混合部30において、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液が混合された状態とされる。
【0026】
温度制御部40は、混合部30において混合される細胞懸濁液の温度を、細胞の培養に適した温度(例えば37℃)に制御する。温度制御部40は、例えば、混合部30内の雰囲気温度を制御するヒータ及びクーラを含んで構成されていてもよい。温度制御部40は、例えば、混合部30に収容された細胞懸濁液の温度を検出する温度センサ(図示せず)からの温度検出信号に基づいて細胞懸濁液の温度を制御してもよい。
【0027】
混合部30は、流路F4を介して撹拌部50に接続されている。流路F4上には、ポンプP3が設けられている。ポンプP3は、混合部30において混合された細胞懸濁液を撹拌部50に移送する場合に駆動される。
【0028】
撹拌部50は、混合部30において混合された細胞懸濁液を撹拌する。すなわち、撹拌部50は、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液が混在した混合物を撹拌する。撹拌部50は、混合部30で混合された細胞を回収容器60に送液する際、細胞懸濁液に含まれる細胞や細胞凝集体の密度、細胞凝集体のサイズ分布を均一化し、回収容器60間での細胞の品質を均一化する目的で処理される。撹拌部50における撹拌方式は、特に限定されないが、例えば、撹拌翼を使用する方式、サイフォン方式及び上下動撹拌方式などを適用することができる。
【0029】
複数の回収容器60は、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液を分割収容する容器である。回収容器60の形態は、培養容器10と同じであってもよい。複数の回収容器60の総容量は、複数の培養容器10の総容量と同等以上とされていてもよい。また、複数の回収容器60の総容量は、複数の培養容器10の総容量よりも少なくてもよい。回収容器60の各々は、培養容器10を収容するインキュベータ11の内部に収容されている。なお、回収容器60の各々は、細胞懸濁液を冷凍保存するための冷凍庫の内部に収容されていてもよい。
【0030】
回収容器60の各々は、個別流路F6及び流路F5を介して撹拌部50に接続されている。個別流路F6の各々にはバルブV2が設けられている。個別流路F6の各々は、流路F5に接続されており、流路F5上にはポンプP4が設けられている。ポンプP4は、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液を回収容器60に移送する場合に駆動される。
【0031】
移送制御部70は、培養容器10から処理部20への細胞懸濁液の移送、処理部20から混合部30への細胞懸濁液の移送、混合部30から撹拌部50への細胞懸濁液の移送、及び撹拌部50から回収容器60への細胞懸濁液の移送をそれぞれ制御する。移送制御部70は、バルブV1、V2の開閉制御及びポンプP1、P2、P3、P4の駆動制御を行うことで、細胞懸濁液の移送を制御する。
【0032】
図2は、処理部20の構成の一例を示す図である。なお、図2において、細胞懸濁液の送液を行うポンプ等の送液手段、細胞懸濁液が通過する経路を規制するバルブ等の経路規制手段については図示を省略している。処理部20は、一例として、濾過装置21、分割装置22及び培地添加装置23を含んで構成されている。
【0033】
濾過装置21は、濾過膜(図示せず)を備えており、流路F2を介して供給される細胞懸濁液に対して膜分離処理(濃縮処理)を施す。膜分離処理(濃縮処理)は、細胞懸濁液に含まれる細胞と、使用済みの培地及び死細胞等を含むデブリスとを濾過膜によって分離する処理である。濾過装置21を通過することにより濃縮された細胞懸濁液は、流路F11に排出される。
【0034】
バイパス流路F12は、一端が流路F2に接続され、他端が流路F11に接続されている。バイパス流路F12は、流路F2を介して処理部20に流入する細胞懸濁液を、濾過装置21を介さずに分割装置22に移送する場合に使用される。また、流路F11に排出された細胞懸濁液に対して濾過装置21による膜分離処理を再度行う場合にもバイパス流路F12を使用することが可能である。
【0035】
培地添加装置23は、濾過装置21による膜分離処理(濃縮処理)によって濃縮された細胞懸濁液に、新鮮な培地を供給する。濾過装置21及び培地添加装置23の連携により、使用済みの培地を新鮮な培地に置換する培地交換を行うことが可能である。
【0036】
分割装置22は、細胞懸濁液に含まれる複数の細胞が凝集した凝集体(スフェア)を、細胞数がより少ない小規模な凝集体に分割する分割処理を行う。分割装置22は、繊維状部材を編み込むことで形成された複数の網目を有するメッシュを備えている。メッシュの網目サイズよりも大きい細胞塊は、メッシュを通過することで、メッシュの網目サイズに応じた大きさの細胞塊に分割される。
【0037】
例えば、多能性幹細胞の培養においては、細胞を培養することによって生じる細胞の凝集体のサイズが過大となると、凝集体同士が接着融合し、細胞が分化を開始したり、凝集体の中心部の細胞が壊死したりするといった問題が生じる。従って、凝集体のサイズが過大となることを防止するために、培養期間中の適切な時期に、凝集体を分割(解砕)する分割処理が必要となる。分割装置22を通過することにより分割された細胞塊は、流路F3に排出される。
【0038】
バイパス流路F13は、一端が流路F11に接続され、他端が流路F3に接続されている。バイパス流路F13は、例えば、濾過装置21による膜分離処理が施された細胞懸濁液を、分割装置22を介さずに混合部30に移送する場合に使用される。また、バイパス流路F12及びF13は、分割装置22による分割処理を実施した後に濾過装置21による膜分離処理を実施する場合に使用することも可能である。
【0039】
図3は、処理部20の構成の他の例を示す図である。図3に示すように、処理部20は、複数の濾過装置21及び複数の分割装置22、及び分配装置24、25を含んで構成されていてもよい。
【0040】
分配装置24は、流路F2を介して処理部20に流入した細胞懸濁液を、複数の濾過装置21の各々に分配する。複数の濾過装置21は、それぞれ、分配装置24により分配された細胞懸濁液に対して膜分離処理(濃縮処理)を施す。分配装置24及び複数の濾過装置21の連携により膜分離処理(濃縮処理)を並列化することができ、これにより膜分離処理(濃縮処理)の処理時間を短縮することが可能となる。
【0041】
分配装置25は、濾過装置21から排出された細胞懸濁液またはバイパス流路F12を介して供給される細胞懸濁液を複数の分割装置22の各々に分配する。複数の分割装置22は、それぞれ、分配装置25により分配された細胞懸濁液に含まれる細胞に対して分割処理を施す。分配装置25及び複数の分割装置22の連携により、分割処理を並列化することができ、これにより分割処理の処理時間を短縮することが可能となる。
【0042】
以下において、細胞培養装置1の動作を図4を参照しつつ説明する。図4は、移送制御部70の動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。なお、初期状態において、培養対象とされる細胞を含む細胞懸濁液は、インキュベータ11内に配置された複数の培養容器10の各々に収容されているものとする。
【0043】
ステップS1において、移送制御部70は、バルブV1のいずれかを選択的に開状態に制御するとともにポンプP1を駆動させる。すなわち、移送制御部70は、複数の培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液のうち、処理部20における1処理単位に対応する分量の細胞懸濁液を、培養容器10のいずれかから抜き出す。このとき、全ての培養容器10の各々から細胞懸濁液の一部を抜き出してもよいし、少なくとも1つの一部の培養容器10から細胞懸濁液の一部または全部を抜き出してもよい。培養容器10から抜き出された細胞懸濁液は、処理部20に移送され、処理部20において所定の処理が施される。
【0044】
ステップS2において、移送制御部70は、処理部20において処理が完了したか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、細胞懸濁液を処理部20に移送してから所定時間が経過したことをもって処理部20において処理が完了したものと判定してもよい。また、処理部20から処理完了を通知する信号が供給される場合には、上記の信号に基づいて処理部20において処理が完了したものと判定してもよい。移送制御部70は、処理部20において処理が完了したものと判定すると、処理をステップS3に移行する。
【0045】
ステップS3において、移送制御部70は、ポンプP2を駆動させることにより、処理部20において処理が施された一処理単位に対応する分量の細胞懸濁液を混合部30に移送する。
【0046】
ステップS4において、移送制御部70は、培養容器10のいずれかに細胞懸濁液が残留しているか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、培養容器10から抜き出した細胞懸濁液の累積量が、初期状態において培養容器10の各々に収容されていた細胞懸濁液の総量に達したか否かを判定することで、培養容器10における細胞懸濁液の残留の有無を判定してもよい。また、培養容器10に収容されている細胞懸濁液の重量を示す情報がリアルタイムに提供される場合には、上記の情報に基づいて培養容器10における細胞懸濁液の残留の有無を判定してもよい。
【0047】
移送制御部70は、培養容器10のいずれかに細胞懸濁液が残留しているものと判定した場合、処理をステップS1に戻す。すなわち、移送制御部70は、処理部20における1処理単位に対応する分量の細胞懸濁液を、培養容器10から抜き出し、処理部20に移送し、処理部20における処理の完了後、混合部30に移送する処理を、全ての培養容器10において残留する細胞懸濁液がなくなるまで繰り返し実施する。
【0048】
混合部30には、図5Aに示すように、処理部20において処理が施された、各処理単位(処理単位1、処理単位2、・・・、処理単位n)に対応する細胞懸濁液が収容される。すなわち、混合部30において、各処理単位に対応する細胞懸濁液が混在した状態が形成される。ここで、「処理単位1」は、処理部20において1番目に処理された細胞懸濁液に対応し、「処理単位2」は、処理部20において2番目に処理された細胞懸濁液に対応し、「処理単位n」は、処理部20においてn番目(最後)に処理された細胞懸濁液に対応する。本実施形態において、混合部30は、処理部20において処理された、複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液を混合する。なお、混合部30への細胞懸濁液の注入は、混合部30を構成する容器の底部から行うことが好ましい。混合部30への細胞懸濁液の注入に伴って必要となる混合部30からの空気の排出は、混合部30を構成する容器の上部に設けられた配管(図示せず)を介して行われる。上記配管には無菌コネクタが設けられていることが好ましく、上記配管を通過する空気の流れ方向は常に一方向であることが好ましい。
【0049】
混合部30において混合される細胞懸濁液の温度は、温度制御部40によって細胞の培養に適した温度(例えば37℃)に制御される。すなわち、混合部30に収容された細胞懸濁液の温度環境は、インキュベータ11内の温度環境と同じであってもよい。従って、混合部30に収容される細胞懸濁液は、n番目(最後)に処理された細胞懸濁液が混合部30に収容されるまでの間、培養に適した好ましい温度環境下で待機する。
【0050】
移送制御部70は、培養容器10のいずれにも細胞懸濁液が残留していないものと判定した場合、処理をステップS5に移行する。ステップS5において、移送制御部70は、ポンプP3を駆動させることにより、細胞懸濁液を混合部30から撹拌部50に移送する。撹拌部50には、図5Bに示すように、各処理単位(処理単位1、処理単位2、・・・、処理単位n)に対応する細胞懸濁液が移送される。撹拌部50は、各処理単位に対応する細胞懸濁液を混合した混合物を撹拌する。本実施形態において、撹拌部50は、処理部20において処理された、複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液を撹拌する。
【0051】
ステップS6において、移送制御部70は、撹拌部50において撹拌処理が完了したか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、細胞懸濁液を撹拌部50に移送してから所定時間が経過したことをもって撹拌部50において撹拌処理が完了したものと判定してもよい。また、撹拌部50から撹拌完了を通知する信号が供給される場合には、上記の信号に基づいて撹拌部50において撹拌処理が完了したものと判定してもよい。移送制御部70は、撹拌部50において撹拌処理が完了したものと判定すると、処理をステップS7に移行する。なお、撹拌部50に設けられた観察装置により、撹拌部50における撹拌処理により細胞懸濁液に含まれる細胞の単位面積あたりの数が均一化されたかどうかを判定してもよい。
【0052】
ステップS7において、移送制御部70は、バルブV2のいずれかを選択的に開状態に制御するとともにポンプP4を駆動させる。これにより、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液が、複数の回収容器60に収容される。このとき、複数の回収容器60に対して細胞懸濁液を一括で収容してもよいし、順次収容してもよい。複数の回収容器60に対して細胞懸濁液を順次収容する場合、個々の回収容器60の各々に重量センサを設け、重量センサの出力に基づいてバルブV2の開閉タイミングを決定してもよい。図5Cには、複数の回収容器60に対して細胞懸濁液が収容されている様子が例示されている。なお、複数の回収容器60の各々に収容された細胞懸濁液に含まれる細胞を、インキュベータ11内部において継続して培養してもよい。培養容器10とは別の回収容器60を新たな培養容器として用いて培養を継続することで、元の培養容器10を再利用する場合と比較して、細胞が細菌などによって汚染されるリスクを低減することができる。細胞懸濁液が、複数の回収容器60の各々に収容されると、移送制御部70による細胞懸濁液の移送制御が終了する。
【0053】
細胞培養装置1を用いて、例えば1010個以上の細胞を培養する大量培養を行った場合には、処理部20における細胞懸濁液の累積処理量または細胞の累積処理数の増加に伴って、処理部20における処理状態の変化が顕著となるおそれがある。例えば、処理部20が濾過装置21を含む場合、細胞懸濁液の累積処理量の増加に伴って、死細胞等のデブリスが濾過膜に堆積し、濾過膜の濾過性能が変化するおそれがある。また、処理部20が分割装置22を含む場合、細胞の累積処理数の増加に伴って、細胞の凝集体がメッシュに堆積し、メッシュの膜面差圧が変化するおそれがある。これにより、分割処理後における細胞の凝集体のサイズが変化するおそれがある。
【0054】
このように、細胞培養装置1を用いて大量培養を行うと、処理部20における処理状態の経時的な変動が顕著となり、処理部20において先に処理された細胞と、後に処理された細胞とで品質が異なるおそれがある。一方、細胞培養装置1を用いて製造された細胞を、例えば、再生医療の用途で用いる場合、回収容器60間で細胞の品質が均一であることが要求される。
【0055】
細胞培養装置1によれば、処理部20において処理された、複数の処理単位の各々に対応する細胞懸濁液が混合部30において混合され、混合された細胞懸濁液が撹拌部50において撹拌された後、複数の回収容器60の各々に収容される。これにより複数の処理単位(処理単位1、処理単位2、・・・、処理単位n)の各々に対応した細胞懸濁液が、略均等に分散した状態で複数の回収容器60の各々に収容される。従って、回収容器60間での細胞の品質差を抑制することができる。すなわち、開示の技術の実施形態に係る細胞培養装置1によれば、処理部20における処理状態の経時的な変動を吸収し、回収容器60間での細胞の品質の均一性を向上させることが可能となる。
【0056】
ここで、大量の細胞懸濁液の全量を、処理部において一括処理する場合について考える。この場合、処理部における処理時間が膨大となり、細胞懸濁液が長時間に亘り、細胞の培養に適さない温度環境下に晒され、細胞の生存率が低下したり、細胞の品質が低下したりするおそれがある。そこで処理部において処理が施されている間、細胞懸濁液の温度を、インキュベータ内の温度(培養温度)と同程度の温度に保持する対応が考えられる。しかしながら、例えば、膜分離処理(濃縮処理)中においては、細胞懸濁液の濃度が高い状態となり、この状態において、細胞懸濁液の温度が、培養温度と同程度の温度に保持されると、細胞が活性化される。細胞が活性化されると、細胞による栄養及び酸素の消費が促進され、栄養及び酸素が枯渇状態となり、細胞が死滅するおそれがある。開示の技術の実施形態に係る細胞培養装置1によれば、温度制御部40は、混合部30において混合される細胞懸濁液の温度を制御するので、細胞の活性化を促進させることなく、細胞懸濁液が長時間に亘り細胞の培養に適さない温度環境下に晒されることを防止することができる。これにより、細胞の生存率を高めることができる。
【0057】
また、大量の細胞懸濁液の全量を、単一の培養容器に収容して培養を行う場合、培養容器の容積が大きくなる。従って、この場合、培養容器の表面を透過して培養容器の内部に導入される酸素の、各細胞への供給状態を良好に保つことが困難となる。開示の技術の実施形態に係る細胞培養装置1によれば、細胞懸濁液は、複数の培養容器10に分割収容されるので、個々の培養容器10の容積を小さくすることができる。これにより、個々の培養容器10において、培養容器10の表面を透過して培養容器10の内部に導入される酸素の、各細胞への供給状態を良好に保つことが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態では、細胞懸濁を移送する手段として流路F2〜F5上にそれぞれ配置されたポンプP1〜P4を用いて、細胞懸濁液を移送する場合を例示したが、この態様に限定されない。例えば、培養容器10の各々、処理部20、混合部30及び撹拌部50にそれぞれ付随して設けられた、細胞懸濁液の液面を加圧する加圧機構を用いて細胞懸濁液の移送を行ってもよい。
【0059】
[第2の実施形態]
図6は、開示の技術の第2の実施形態に係る細胞培養装置1Aの構成の一例を示す図である。細胞培養装置1Aは、混合部30と撹拌部50とが一体的に構成されている点が、第1の実施形態に係る細胞培養装置1(図1参照)と異なる。すなわち、混合部30は、撹拌部50において撹拌処理を行う処理容器として構成されている。
【0060】
温度制御部40は、撹拌部50の処理容器として機能する混合部30に収容された細胞懸濁液の温度を、細胞の培養に適した温度(例えば37℃)に制御する。
【0061】
開示の技術の第2の実施形態に係る細胞培養装置1Aによれば、混合部30と撹拌部50とが一体的に構成されているので、装置の小型化を実現することができる。また、混合部30と撹拌部50との間で、細胞懸濁液の移送を行うことを要しないので、細胞懸濁液の移送に伴う細胞へのダメージを小さくすることできる。
【0062】
[第3の実施形態]
図7は、開示の技術の第3の実施形態に係る細胞培養装置1Bの構成の一例を示す図である。細胞培養装置1Bは、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液を、培養容器10に戻すための流路F7を備えている点が、第1の実施形態に係る細胞培養装置1(図1参照)と異なる。流路F7の一端は、流路F5に接続され、流路F7の他端は、流路F2に接続されている。
【0063】
細胞培養装置1Bにおいて、移送制御部70は、図4に示すフローチャートのステップS7において、バルブV1を開状態に制御するとともにポンプP4を駆動させる。これにより、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液が、複数の培養容器10に収容される。このとき、複数の培養容器10に対して細胞懸濁液を一括で収容してもよいし、順次収容してもよい。複数の培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液に含まれる細胞を継続して培養してもよい。培養容器10を再利用して培養を継続することで、新たな培養容器を利用する場合と比較してコストを抑えることが可能となる。
【0064】
[第4の実施形態]
図8は、開示の技術の第4の実施形態に係る細胞培養装置1Cの構成の一例を示す図である。細胞培養装置1Cは、混合部30Cを備える。
【0065】
図9は、混合部30Cの構成の一例を示す図である。混合部30Cは、処理部20において処理された細胞懸濁液を、処理部20における処理単位毎に貯留する複数の貯留部31_1、31_2、・・・、31_nを備える。貯留部31_1には、処理部20において1番目に処理された「処理単位1」に対応する細胞懸濁液が貯留される。貯留部31_2には、処理部20において2番目に処理された「処理単位2」に対応する細胞懸濁液が貯留される。貯留部31_nには、処理部20においてn番目(最後)に処理された「処理単位n」に対応する細胞懸濁液が貯留される。すなわち、複数の処理単位の全てに対応する細胞懸濁液が、貯留部31_1〜31_nのいずれかに貯留される。温度制御部40は、貯留部31_1〜31_nの各々に貯留される細胞懸濁液の温度を、細胞の培養に適した温度(例えば37℃)に制御する。
【0066】
混合部30Cは、更に、貯留部31_1〜31_nの各々から所定量ずつ抜き出される細胞懸濁液を合流させる合流部32を備える。
【0067】
貯留部31_1〜31_nへの細胞懸濁液の振り分けは、貯留部31_1〜31_nの各々の流入口の近傍に設けられたバルブV11の開閉制御により行われる。貯留部31_1〜31_nの各々から合流部32への細胞懸濁液の移送は、貯留部31_1〜31_nの各々の流出口の近傍に設けられたバルブV12の開閉制御により行われる。バルブV11及びV12の開閉制御は、移送制御部70によって行われる。
【0068】
図10は、本実施形態に係る移送制御部70の動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。なお、初期状態において、培養対象とされる細胞を含む細胞懸濁液は、インキュベータ11内に配置された複数の培養容器10の各々に収容されているものとする。
【0069】
ステップS11において、移送制御部70は、バルブV1のいずれかを選択的に開状態に制御するとともにポンプP1を駆動させる。すなわち、移送制御部70は、複数の培養容器10の各々に収容された細胞懸濁液のうち、処理部20における1処理単位に対応する分量の細胞懸濁液を、培養容器10のいずれかから抜き出す。このとき、全ての培養容器10から細胞懸濁液を抜き出してもよいし、少なくとも1つの一部の培養容器10から細胞懸濁液を抜き出してもよい。培養容器10から抜き出された細胞懸濁液は、処理部20に移送され、処理部20において所定の処理が施される。
【0070】
ステップS12において、移送制御部70は、処理部20において処理が完了したか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、細胞懸濁液を処理部20に移送してから所定時間が経過したことをもって処理部20において処理が完了したものと判定してもよい。また、処理部20から処理完了を通知する信号が供給される場合には、上記の信号に基づいて処理部20において処理が完了したものと判定してもよい。移送制御部70は、処理部20において処理が完了したものと判定すると、処理をステップS13に移行する。
【0071】
ステップS13において、移送制御部70は、バルブV11のいずれかを選択的に開状態に制御するとともにポンプP2を駆動させる。これにより、処理部20において処理が施された1処理単位に対応する分量の細胞懸濁液を、貯留部31_1〜31_nのうち対応する貯留部に移送する。
【0072】
ステップS14において、移送制御部70は、培養容器10のいずれかに細胞懸濁液が残留しているか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、培養容器10から抜き出した細胞懸濁液の累積量が、初期状態において培養容器10の各々に収容されていた細胞懸濁液の総量に達したか否かを判定することで、培養容器10における細胞懸濁液の残留の有無を判定してもよい。また、培養容器10に収容されている細胞懸濁液の重量を示す情報がリアルタイムに提供される場合には、上記の情報に基づいて培養容器10における細胞懸濁液の残留の有無を判定してもよい。
【0073】
移送制御部70は、培養容器10のいずれかに細胞懸濁液が残留しているものと判定した場合、処理をステップS11に戻す。すなわち、移送制御部70は、処理部20における1処理単位に対応する分量の細胞懸濁液を、培養容器10から抜き出し、処理部20に移送し、処理部20における処理の完了後、貯留部31_1〜31_nのいずれかに移送する処理を、培養容器10に残留する細胞懸濁液がなくなるまで繰り返し実施する。処理部20において処理が施された細胞懸濁液は、処理単位毎に別々の貯留部に貯留される。移送制御部70は、培養容器10のいずれにも細胞懸濁液が残留していないものと判定すると、処理をステップS15に移行する。
【0074】
ステップS15において、移送制御部70は、バルブV12の全てを開状態とするとともにポンプP2を駆動することにより、所定量の細胞懸濁液を、貯留部31_1〜31_nの各々から合流部32に移送する。貯留部31_1〜31_nの各々に貯留された細胞懸濁液の一部が、合流部32に移送される。各処理単位(処理単位1、処理単位2、・・・、処理単位n)に対応する細胞懸濁液が、合流部32において合流することで、混合される。
【0075】
ステップS16において、移送制御部70は、ポンプP3を駆動させることにより、細胞懸濁液を混合部30Cから撹拌部50に移送する。撹拌部50には、各処理単位(処理単位1、処理単位2、・・・、処理単位n)に対応する細胞懸濁液が移送される。撹拌部50は、各処理単位に対応する細胞懸濁液を混合したものを撹拌する。
【0076】
ステップS17において、移送制御部70は、撹拌部50において撹拌処理が完了したか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、細胞懸濁液を撹拌部50に移送してから所定時間が経過したことをもって撹拌部50において撹拌処理が完了したものと判定してもよい。また、撹拌部50から撹拌完了を通知する信号が供給される場合には、上記の信号に基づいて撹拌部50において撹拌処理が完了したものと判定してもよい。移送制御部70は、撹拌部50において撹拌処理が完了したものと判定すると、処理をステップS18に移行する。
【0077】
ステップS18において、移送制御部70は、バルブV2を開状態に制御するとともにポンプP4を駆動させる。これにより、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液が、1つまたは複数の回収容器60に収容される。
【0078】
ステップS19において、移送制御部70は、貯留部31_1〜31_nの各々に細胞懸濁液が残留しているか否かを判定する。移送制御部70は、例えば、貯留部31_1〜31_nの各々から抜き出した細胞懸濁液の累積量に基づいて、貯留部31_1〜31_nにおける細胞懸濁液の残留の有無を判定してもよい。また、貯留部31_1〜31_nに貯留されている細胞懸濁液の重量を示す情報がリアルタイムに提供される場合には、上記の情報に基づいて貯留部31_1〜31_nにおける細胞懸濁液の残留の有無を判定してもよい。
【0079】
移送制御部70は、貯留部31_1〜31_nの各々に細胞懸濁液が残留しているものと判定した場合、処理をステップS15に戻す。すなわち、移送制御部70は、所定量の細胞懸濁液を、貯留部31_1〜31_nの各々から抜き出し、合流部32を介して撹拌部50に移送し、撹拌部50における撹拌処理の完了後、回収容器60に移送する処理を、貯留部31_1〜31_nの各々に残留する細胞懸濁液がなくなるまで繰り返し実施する。移送制御部70は、貯留部31_1〜31_nの各々に細胞懸濁液が残留していないものと判定すると、移送制御部70による細胞懸濁液の移送制御が終了する。
【0080】
本実施形態に係る細胞培養装置1Cによれば、混合部30Cから撹拌部50への細胞懸濁液の移送は、段階的に行われる。従って、撹拌部50は、複数の培養容器10に収容された細胞懸濁液の全量を収容可能な容積を有することを要しない。従って、撹拌部50の容積を小さくすることができる。
【0081】
また、本実施形態に係る細胞培養装置1Cによれば、貯留部31_1〜31_nの各々に貯留された細胞懸濁液が、合流部32において合流して混合されるので、撹拌部50が細胞懸濁液の全量を収容可能な容積を有していない場合でも、複数の処理単位(処理単位1、処理単位2、・・・、処理単位n)の各々に対応した細胞懸濁液が、略均等に分散した状態で、複数の回収容器60の各々に収容される。従って、回収容器60間での細胞の品質差を抑制することができる。
【0082】
なお、細胞培養装置1Cにおいて、図6に示す細胞培養装置1Aの例に倣って、撹拌部50と混合部30Cとを一体的に構成してもよい。また、細胞培養装置1Cにおいて、図7に示す細胞培養装置1Bの例に倣って、撹拌部50において撹拌された細胞懸濁液、複数の培養容器10の各々に収容してもよい。
【0083】
なお、2018年1月15日に出願された日本国特許出願2018−004222の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。また、本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】