再表2019-240153IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年12月19日
【発行日】2020年8月27日
(54)【発明の名称】液晶性樹脂微粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20200731BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20200731BHJP
   B29B 9/12 20060101ALI20200731BHJP
   B29C 48/345 20190101ALI20200731BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20200731BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20200731BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20200731BHJP
【FI】
   C08J3/12 ZCER
   C08J3/20 ZCEZ
   B29B9/12
   B29C48/345
   C08L101/12
   C08L101/00
   C08L67/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2019-571759(P2019-571759)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年6月12日
(11)【特許番号】特許第6697644号(P6697644)
(45)【特許公報発行日】2020年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2018-113244(P2018-113244)
(32)【優先日】2018年6月14日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田口 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】川崎 達也
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4F207
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA18
4F070AA48
4F070AC76
4F070AE30
4F070DA60
4F070DC07
4F070FA03
4F070FB06
4F070FC06
4F201AA27
4F201AA30
4F201AR12
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC12
4F201BC37
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BL08
4F201BL43
4F207AA27
4F207AA30
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL64
4F207KM15
4F207KM30
4J002AA00W
4J002AA01X
4J002BB01X
4J002BB03X
4J002BB12X
4J002BB17X
4J002BB20X
4J002BB21X
4J002BC03X
4J002BC10X
4J002CF16W
4J002CL08W
4J002FD010
(57)【要約】
耐熱性が高いとともに、不純物が少なくかつ球状である液晶性樹脂微粒子の製造方法を提供する。
融点が250℃以上370℃以下である液晶性樹脂A100質量部と、液晶性樹脂Aと非相溶性であり融点又はガラス転移点が80℃以上400℃以下である熱可塑性樹脂B300質量部以上900質量部以下とを、280℃以上400℃以下で溶融混合して液晶性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含む組成物Cを得る溶融混合工程、及び、前記組成物Cを、40℃における溶媒100gに溶ける樹脂の質量(g)で表される液晶性樹脂Aの溶解度が1以下であり熱可塑性樹脂Bの溶解度が5以上である溶媒中で攪拌する洗浄工程を有し、溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂B中のエステル結合、及びアミド結合の含有量が全モノマーユニット中合計20モル%以下である、液晶性樹脂微粒子の製造方法とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が250℃以上370℃以下である液晶性樹脂A100質量部と、液晶性樹脂Aと非相溶性であり融点又はガラス転移点が80℃以上400℃以下である熱可塑性樹脂B300質量部以上900質量部以下とを、280℃以上400℃以下で溶融混合して液晶性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含む組成物Cを得る溶融混合工程、及び、
前記組成物Cを、40℃における溶媒100gに溶ける樹脂の質量(g)で表される液晶性樹脂Aの溶解度が1以下であり熱可塑性樹脂Bの溶解度が5以上である溶媒中で攪拌する洗浄工程を有し、
溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂B中のエステル結合及びアミド結合の含有量が全モノマーユニット中合計20モル%以下である、液晶性樹脂微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記溶融混合工程の後であって前記洗浄工程の前に、ノズル付き押出機を用いて前記組成物Cのストランドを形成しペレットを得る押出工程を有し、
前記押出機のノズル開口部の数n及び各開口部の面積Sの積nS(mm2)と1時間あたりの樹脂押出量Q(kg/hr)との比(nS/Q)が、20以上80以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂Bの末端官能基が、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリール基;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリールオキシ基;ビニル基から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂Bの化学構造の繰り返し単位が、エーテル結合、アルキレン結合、イミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合、及びスルホン結合から選択されるいずれかで結合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
平均粒子径が1μm以上150μm以下である液晶性樹脂微粒子を得る、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶性樹脂微粒子の製造方法
【背景技術】
【0002】
球状の樹脂微粒子は、流動性や密着性に優れていることから、コーティング用粉体材料、成形体製造用粉体材料、添加剤等の種々の用途に用いられている。液晶性樹脂は、高剛性及び高弾性を有するとともに、耐熱性、耐衝撃性及び耐薬品性等に優れるので、その球状樹脂微粒子は、耐熱性や機械強度等が求められる分野における、コーティング材料、成形体製造用粉体材料及び添加剤等への応用が期待されている。
球状液晶性樹脂微粒子(微小球状体)の製造方法として、液晶性樹脂を溶媒に可溶なマトリクス樹脂と溶融混合した後、マトリクス樹脂を溶媒で溶解除去する方法が知られている。例えば、特許文献1には、液晶性高分子と溶媒に可溶な非液晶性高分子とを所定の割合で混合したのち所定の温度で加熱して押出成形し、次いで非液晶性高分子を溶媒で溶解除去する液晶性高分子微小球状体の製造方法が開示されている。特許文献2には、熱可塑性樹脂(A)を連続相とし液晶ポリエステル(B)を分散相とする熱可塑性樹脂組成物を溶融混錬したのちノズルから押し出し、所定の引き取り速度で引き取ってストランド状に成形後カットしてペレットとし、該ペレットを溶媒に浸漬して熱可塑性樹脂を溶解除去する液晶ポリエステル微小球状体の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−003033号公報
【特許文献2】特開2001−064399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の製造方法では、液晶性樹脂と溶融混合されるマトリクス樹脂として、融点の高い液晶性樹脂と溶融混練することができかつ液晶性樹脂を容易に分散できる点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリカーボネート樹脂が多く用いられている。しかし、化学構造中にエステル結合及び/又はアミド結合を有するマトリクス樹脂を用いると、280℃を超える高温で溶融混合する場合に液晶性樹脂微粒子中にエステル交換反応もしくはアミド交換反応によって生成した不純物が入ってしまうことがある。加えて、球状の液晶性樹脂微粒子を得ることが難しい又は得られたとしてもその割合が少なくなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、耐熱性が高いとともに、不純物が少なくかつ球状である液晶性樹脂微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に関するものである。
[1]融点が250℃以上370℃以下である液晶性樹脂A100質量部と、液晶性樹脂Aと非相溶性であり融点又はガラス転移点が80℃以上400℃以下である熱可塑性樹脂B300質量部以上900質量部以下とを、280℃以上400℃以下で溶融混合して液晶性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含む組成物Cを得る溶融混合工程、及び、前記組成物Cを、40℃における溶媒100gに溶ける樹脂の質量(g)で表される液晶性樹脂Aの溶解度が1以下であり熱可塑性樹脂Bの溶解度が5以上である溶媒中で攪拌する洗浄工程を有し、溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂B中のエステル結合及びアミド結合の含有量が全モノマーユニット中合計20モル%以下である、液晶性樹脂微粒子の製造方法。
[2]前記溶融混合工程の後であって前記洗浄工程の前に、ノズル付き押出機を用いて前記組成物Cのストランドを形成しペレットを得る押出工程を有し、前記押出機のノズル開口部の数n及び各開口部の面積Sの積nS(mm2)と1時間あたりの樹脂押出量Q(kg/hr)との比(nS/Q)が、20以上80以下である、[1]に記載の製造方法。[3]熱可塑性樹脂Bの末端官能基が、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリール基;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリールオキシ基;ビニル基から選択される少なくとも一種である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]熱可塑性樹脂Bの化学構造の繰り返し単位が、エーテル結合、アルキレン結合、イミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合、及びスルホン結合から選択されるいずれかで結合されている、[1]からの[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]平均粒子径が1μm以上150μm以下である液晶性樹脂微粒子を得る、[1]から[4]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐熱性が高いとともに、不純物が少なくかつ球状である液晶性樹脂微粒子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例2の液晶性樹脂微粒子の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
【0010】
本液晶性樹脂微粒子(以下、単に「樹脂微粒子」ともいう。)の製造方法は、液晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとを溶融混合して組成物Cを得る工程(溶融混合工程)、及び得られた組成物Cを、液晶性樹脂Aを溶解せずかつ熱可塑性樹脂Bを溶解する溶媒中で攪拌する工程(洗浄工程)を有する。組成物Cを得る工程の後に、押出機を用いて組成物Cのペレットを形成する工程(押出工程)を有していてもよい。押出工程を有する場合は、押出工程で得られるペレットを洗浄工程に供する。すなわち、押出工程を有する場合は、溶融混合工程、押出工程、及び洗浄工程の順で行う。
【0011】
[溶融混合工程]
溶融混合工程では、液晶性樹脂Aと液晶性樹脂Aと非相溶性の熱可塑性樹脂Bとを溶融混合して、液晶性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含む組成物Cを得る。
【0012】
(液晶性樹脂A)
液晶性樹脂Aは、液晶性を示す熱可塑性樹脂であり、公知の液晶性樹脂の中から融点が250℃以上370℃以下であるものを用いることができる。融点については後述する。「液晶性」とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有することをいう。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。液晶性を有する樹脂は、直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
【0013】
液晶性樹脂Aとしては、液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドとしては、特に限定されないが、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましく、全芳香族ポリエステル及び全芳香族ポリエステルアミドから選択される少なくとも一種の樹脂を含むことがより好ましい。また、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルを用いることもできる。
【0014】
芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとしては、特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成成分として有する芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドである。
【0015】
芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとしては、より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上を含むポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上とを含むポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上、とを含むポリエステル;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上、とを含むポリエステルアミド;
(5)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体由来の構成単位から選択される1種又は2種以上、とを含むポリエステルアミド等、を挙げることができる。液晶性樹脂Aは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらにの構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
【0016】
液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドを構成する具体的化合物(モノマー)の好ましい具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(HNA)等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(I)で表される化合物、及び下記一般式(II)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及び下記一般式(III)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【化1】
(X:アルキレン(C1〜C4)、アルキリデン、−O−、−SO−、−SO2−、−S−、及び−CO−より選ばれる基である。)
【化2】
【化3】
(Y:−(CH2)n−(n=1〜4)及び−O(CH2)nO−(n=1〜4)より選ばれる基である。)
【0017】
液晶性ポリエステル及び液晶性ポリエステルアミドの製造方法は、特に限定されず、上述したモノマー化合物(又はモノマーの混合物)を用いて、直接重合法やエステル交換法を用いて、公知の方法で製造することができるが、通常は、溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法、固相重合法等、又はこれらの2種以上の組み合わせが用いられ、溶融重合法、又は溶融重合法と固相重合法との組み合わせが好ましく用いられる。エステル形成能を有する化合物である場合は、そのままの形で重合に用いてもよく、また、重合の前段階でアシル化剤等を用いて前駆体から該エステル形成能を有する誘導体に変性されたものを用いてもよい。アシル化剤としては、無水酢酸等の無水カルボン酸等を挙げることができる。
【0018】
重合に際しては、種々の触媒の使用が可能である。使用可能な触媒の代表的なものとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)等の金属塩系触媒、N−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン等の有機化合物系触媒を挙げることができる。触媒の使用量は、一般にはモノマーの全重量に対して、約0.001〜1質量%であり、特に、約0.01〜0.2質量%が好ましい。
【0019】
液晶性樹脂Aには、製造段階で、各種の繊維状、粉粒状、板状の、無機充填剤及び/又は有機充填剤を配合することができる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、ミルドガラスファイバー、カーボン繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイト等の珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維である。なお、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
粉粒状充填剤としては、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラス粉、硅酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、ウォラストナイト等の硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナ等の金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、タルク、各種の金属箔等が挙げられる。
これらの無機充填剤及び/又は有機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。
充填剤の含有量は、液晶性樹脂A100質量部に対して、0〜100質量部とすることができる。
また、液晶性樹脂Aには、その他の成分として、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、結晶核剤等の添加剤が配合されていてもよい。
【0020】
液晶性樹脂Aは、融点が250℃以上370℃以下であり、好ましくは260℃以上360℃以下であり、より好ましくは280℃以上355℃以下である。「融点」とは、示差走査熱量計で測定される融点Tm2を意味している。融点が250℃以上370℃以下であるので、液晶性樹脂微粒子の耐熱性を高めることができる。なお、融点Tm2は、JIS K−7121(1999)に基づいた方法により、室温から20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)した際に観測される吸熱ピークにおけるピークトップの温度(融点Tm1)の測定後、(融点Tm1+40)℃で2分間保持し、次いで20℃/分の降温速度で室温まで冷却し、再度室温から20℃/分の昇温速度で加熱(2stRUN)した際に観測される2ndRUNの吸熱ピークにおけるピークトップの温度とする。
【0021】
液晶性樹脂Aの溶融粘度は、特に限定されず、用途に応じて調整される。例えば、示差走査熱量計で測定される融点Tm2よりも10〜30℃高いシリンダー温度及びせん断速度1000sec−1で測定した溶融粘度が、1Pa・s以上300Pa・s以下とすることができ、5Pa・s以上100Pa・s以下とすることができる。なお、「融点Tm2よりも10〜30℃高いシリンダー温度」で測定した溶融粘度とは、シリンダー温度が融点Tm2よりも10〜30℃高い温度のうち液晶性樹脂の種類によって適宜選択したいずれか一の温度で測定した溶融粘度を意味しており、融点Tm2よりも10〜30℃高い温度範囲の全てにおいて測定した溶融粘度が範囲内でなくともよい。溶融粘度の調整は、液晶性樹脂の溶融重合時の最終重合温度を調整することで行うことができる。
【0022】
(熱可塑性樹脂B)
熱可塑性樹脂Bは、後述する溶媒に可溶でありかつ液晶性樹脂Aと非相溶性の熱可塑性樹脂のうち、エステル結合、及びアミド結合の含有量が、全モノマーユニット中合計20モル%以下である熱可塑性樹脂を用いることができる。「非相溶性」とは、ここでは、液晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとを混合した際に、熱可塑性樹脂Bで形成されたマトリックス樹脂中に、液晶性樹脂Aが島状に分散する性質を意味する。熱可塑性樹脂B中のエステル結合、及びアミド結合の含有量は、好ましくは全モノマーユニット中10モル%以下であり、より好ましくは5モル%以下である。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂Bは、化学構造中にエステル結合、及びアミド結合を有していない熱可塑性樹脂である。
一実施形態において、熱可塑性樹脂Bは、後述する溶媒に可溶でありかつ液晶性樹脂Aと非相溶性の熱可塑性樹脂のうち、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル結合、及びアミド結合の含有量が、全モノマーユニット中合計20モル%以下である熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、10モル%以下である熱可塑性樹脂を用いることがより好ましく、5モル%以下である熱可塑性樹脂を用いることがさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂Bは、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基、エステル結合、及びアミド結合を有していない熱可塑性樹脂を用いることもできる。
熱可塑性樹脂B中のエステル結合及びアミド結合の含有量が全モノマーユニット中合計20モル%以下であるので、280℃を超える温度で溶融混合しても液晶性樹脂Aとの間でエステル交換反応もしくはアミド交換反応が進行することを防ぐことができる。その結果、最終的に得られる液晶性樹脂微粒子中に不純物が入ることを防ぐことができるとともに、溶融混合時のガスの発生を防ぐことができる。液晶性樹脂微粒子中の不純物を防ぐことができるので、より高剛性及び高弾性を有し、耐熱性、耐衝撃性及び耐薬品性等にもより優れた液晶性樹脂微粒子を得ることができる。また、熱可塑性樹脂Bをマトリクス樹脂として用いることにより、後述する実施例で示すように球状の液晶性樹脂微粒子を容易に得ることができる。球状の液晶性樹脂微粒子を容易に得ることができるので、粉体流動性に優れた粉体材料をより低コストで得ることができる。なお、熱可塑性樹脂B中のヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル結合、及びアミド結合の含有量は、FT−IR、1H−NMR、13C−NMR等により測定することができる。
【0023】
熱可塑性樹脂Bの末端官能基は、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリール基;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリールオキシ基;ビニル基から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
一実施形態において、熱可塑性樹脂Bの末端官能基は、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基を除く置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基;ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基を除く置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリール基;ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基を除く置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルコキシ基;ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基を除く置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリールオキシ基;ビニル基から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
中でも、熱可塑性樹脂Bの末端官能基は、エステル交換抑制の点で、メチル基であることがより好ましい。なお、「末端官能基」は、1H−NMR、13C−NMR等により測定することができる。
また、熱可塑性樹脂Bの化学構造の繰り返し単位が、エーテル結合、アルキレン結合、イミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合、及びスルホン結合から選択されるいずれかで結合されていることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂Bの化学構造の繰り返し単位の結合状態は、FT−IR等により測定することができる。
【0024】
このような熱可塑性樹脂Bとしては、例えば、ポリスチレン樹脂、オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、及びこれらの誘導体、並びにこれらの構成成分同士又は他の成分との共重合体等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。ポリエチレンとしては、高圧法ポリエチレン(LDPE)、直鎖状の高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPEやULDPE)等を挙げることができる。
環状オレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等を挙げることができる。
誘導体としては、官能基(好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基を除く官能基)が導入されたものを挙げることができ、例えば、置換基として無水マレイン酸を有する、変性ポリスチレン樹脂、変性オレフィン系樹脂及び変性環状オレフィン樹脂を挙げることができる。
共重合体としては、エチレン−スチレン共重合体等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂Bとしては、これらから選択される1又は2以上の熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、溶媒に溶けやすくかつコスト面から、ポリスチレン及びその誘導体から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂Bは、融点(結晶性樹脂)もしくはガラス転移点(非晶性樹脂)が80℃以上400℃以下であり、好ましくは80℃以上350℃以下であり、より好ましくは100℃以上300℃以下である。融点もしくはガラス転移点が80℃以上400℃以下であるので、融点の高い液晶性樹脂と溶融混練することができる。なお、「融点」は、と同様に示差走査熱量計で測定される融点Tm2を意味している。融点Tm2についてはのとおりである。また、「ガラス転移点」(ガラス転移温度)は、示差走査熱量計で測定されるガラス転移点Tgを意味している。
【0026】
熱可塑性樹脂Bの溶融粘度は、液晶性樹脂Aの分散性を高める点で、液晶性樹脂Aの融点Tm2よりも15℃高いシリンダー温度及びせん断速度1000sec−1で測定した溶融粘度が、液晶性樹脂Aの溶融粘度の0.1倍以上10倍以下であることが好ましく、0.5倍以上5倍以下であることがより好ましく、0.8倍以上3倍以下であることがさらに好ましい。
【0027】
(溶融混合)
溶融混合工程では、した液晶性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを、シリンダー温度が280℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上390℃以下、より好ましくは320℃以上380℃以下で溶融混合して組成物Cを得る。280℃以上400℃以下で溶融混合することで、マトリクス樹脂である熱可塑性樹脂B中に液晶性樹脂Aを分散性よく混合することができる。溶融混合方法は、特に限定されず、公知の一軸又は二軸押出機等の溶融混練機を用いて行うことができる。後述する押出工程を有する場合は、ノズル付きの溶融混練機を用いることが好ましい。溶融混練に際しては、各成分を予めタンブラー又はヘンシェルミキサー等の装置で均一に混合しておいてもよいし、事前の混合を省いて各成分を別々に溶融混練装置に定量供給してもよい。
【0028】
液晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとの混合割合は、液晶性樹脂A100質量部に対して、熱可塑性樹脂Bが300質量部以上900質量部以下であり、好ましくは3質量部以上40質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上30質量部以下である。混合割合とすることで、マトリクス樹脂である熱可塑性樹脂B中に液晶性樹脂Aを分散性よく混合することができるとともに、後述する洗浄工程において球状の液晶性樹脂微粒子を得ることができる。
【0029】
(組成物C)
組成物Cは、マトリクス樹脂である熱可塑性樹脂B中に、粒状の液晶性樹脂Aが分散されている組成物である。組成物Cの形状は、特に限定されず、溶融混合工程後に後述する押出工程を有する場合はペレット状であってもよく、押出工程を有しない場合は塊状であってもよい。
【0030】
[押出工程]
本液晶性樹脂微粒子の製造方法は、必要に応じて、前記溶融混合工程の後であって前記洗浄工程の前に、ノズル付き押出機を用いて組成物Cのストランドを形成し、次いでカットしてペレットを得る押出工程を有してもよい。
押出機のノズル開口部の数nと各開口部の面積Sとの積nS(mm2)と1時間あたりの樹脂押出量Q(kg/hr)との比(nS/Q)は、20以上80以下であることが好ましく、25以上60以下であることがより好ましく、30以上50以下であることがさらに好ましい。nS/Qの値を範囲内とすることで、押出機から押し出される際に組成物C中の液晶性樹脂Aが引き伸ばされて変形することを防ぐことができ、最終的に得られる液晶性樹脂微粒子中の球状微粒子の割合をより高めることができる。
【0031】
[洗浄工程]
洗浄工程は、溶融混合工程で得られた組成物C、又は押出工程を経たペレット状の組成物Cを、液晶性樹脂Aを溶解せず熱可塑性樹脂Bを溶解する溶媒中で攪拌する工程である。
【0032】
(溶媒)
液晶性樹脂Aを溶解せず熱可塑性樹脂Bを溶解する溶媒としては、40℃における溶媒100gに溶ける樹脂の質量(g)で表される、液晶性樹脂Aの溶解度が1以下であり熱可塑性樹脂Bの溶解度が5以上である溶媒とすることができる。この溶媒中で組成物Cを攪拌することで、組成物Cから熱可塑性樹脂Bを除去して液晶性樹脂Aを主として含む液晶性樹脂微粒子を得ることができる。
【0033】
溶媒としては、例えば、ニトロベンゼン、フェノール、トルエン、塩化メチレン、四塩化炭素、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシド等の有機溶媒を挙げることができ、これらから選択される1又は2以上の有機溶媒を用いることができる。熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレンを用いる場合は、トルエンを用いることが好ましい。
【0034】
攪拌時間及び攪拌温度は特に限定されず、例えば、マグネチックスターラー等を用いて、30℃〜100℃、40分〜80分で行うことができる。その後、溶液を、フィルター等を用いてろ過して不溶分を回収し、必要に応じてさらに不溶分を乾燥させて、液晶性樹脂微粒子を得る。
【0035】
(液晶性樹脂微粒子)
液晶性樹脂微粒子(粉状液晶性樹脂)は、液晶性樹脂を主として含み、実質的に球状である。「主として含み」とは、液晶性樹脂微粒子中の液晶性樹脂Aの含有量が50質量%以上であることを意味しており、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。液晶性樹脂微粒子中の液晶性樹脂A以外の不純物としての他の樹脂成分の含有量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。この範囲にすることで、不純物としての他の樹脂成分の含有量が少ない又は実質的に含まれない樹脂微粒子とすることができ、液晶性樹脂Aが有する耐熱性、耐衝撃性及び耐薬品性等の優れた各種特性を備えた粉体材料とすることができる。「不純物としての他の樹脂成分」には、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂Bや、液晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとがエステル交換反応もしくはアミド交換反応してできた樹脂成分等が含まれる。不純物の含有量は、不純物が可溶な溶媒にて、液晶性樹脂微粒子から不純物を抽出し、1H−NMRにより測定することができる。また、示差熱熱重量同時測定装置を用いて測定した1%重量減少温度が、(融点Tm2+150)℃以上であれば不純物は少ないと判断することもできる。
【0036】
「微粒子」とは、0.1μm〜1000μm程度の平均粒径を有する粒子を意味する。液晶性樹脂微粒子の平均粒径は、1μm以上150μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましく、5μm以上80μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上50μm以下であることが特に好ましい。本製造方法によれば、平均粒径が1μm以上150μm以下(例えば1μm以上100μm以下)である球状の液晶性樹脂微粒子を得ることができ、コーティング材料、成形体用粉体材料、添加剤等の種々の用途に好適に用いることができる。「平均粒径」とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定法による体積基準の算術平均粒子径を意味する。平均粒径は、例えば、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて測定することができる。
【0037】
液晶性樹脂微粒子の融点Tm2は、液晶性樹脂Aの融点Tm2と同様に、250℃以上370℃以下であることが好ましく、260℃以上360℃以下であることがより好ましく、280℃以上355℃以下であることがさらに好ましい。融点Tm2を範囲内にすることで、耐熱性が高い液晶性樹脂微粒子にすることができる。「融点Tm2」についてはのとおりである。
【0038】
液晶性樹脂微粒子の溶融粘度は、用途に応じて調整され、例えば、示差走査熱量計で測定される融点Tm2よりも10〜30℃高いシリンダー温度及びせん断速度100sec−1で測定した溶融粘度が、1Pa・s以上300Pa・s以下とすることができ、5Pa・s以上100Pa・s以下とすることができる。溶融粘度を範囲内にすることで、例えば成形体用粉体材料として用いる場合に成形性を高めることができる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
【0040】
実施例及び比較例で用いた液晶性樹脂を以下のようにして製造した。
[製造例1]LCP1:全芳香族ポリエステル
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に330℃まで3.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら重縮合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてLCP1ペレットを得た。得られたLCP1の融点Tm2は325℃、溶融粘度は31Pa・sであった。なお、LCP1の融点Tm2及び溶融粘度は、後述する方法で測定した。
(原料)
4−ヒドロキシ安息香酸;2524g(79.3モル%)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;867g(20モル%)
テレフタル酸(TA);27g(0.3モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);150mg
アシル化剤(無水酢酸);2336g
【0041】
[製造例2]LCP2:全芳香族ポリエステル
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから30分かけて5Torr(即ち667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットを、窒素雰囲気下で室温から290℃まで20分かけて昇温し、3時間保持した後、放冷し、LCP2ペレットを得た。得られたLCP2ペレットの融点Tm2は348℃、溶融粘度は55Pa・sであった。なお、LCP2の融点Tm2及び溶融粘度は、後述する方法で測定した。
(原料)
4−ヒドロキシ安息香酸;37g(2モル%)
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;1218g(48モル%)
テレフタル酸;560g(25モル%)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル;628g(25モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);165mg
アシル化剤(無水酢酸);1432g
【0042】
[物性測定]
(融点Tm2)
示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、DSC7000X)を用いて、室温から20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)した際に観測される吸熱ピークにおけるピークトップの温度(融点Tm1)の測定後、(融点Tm1+40)℃の温度で2分間保持し、次いで20℃/分の降温速度で室温まで冷却し、再度室温から20℃/分の昇温速度で加熱した際に観測される2ndRUNの吸熱ピークにおけるピークトップの温度を液晶性樹脂の融点Tm2として測定した。
【0043】
(溶融粘度)
キャピラリー式レオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1D:ピストン径10mm)を用いて、以下の条件で、ISO 11443に準拠し、液晶性樹脂の見かけの溶融粘度を測定した。測定には、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いた。
シリンダー温度:
340℃(LCP1)
370℃(LCP2)
せん断速度:1000sec−1
【0044】
(溶解度)
40℃に保持されたトルエン100g中に、マグネチックスターラーで攪拌しながらLCP1を0.1g入れて混合したところ、LCP1が溶解せず析出した。この結果からLCP1のトルエンに対する溶解度は0.1未満とした。同様に、LCP2を0.1g入れて混合したところ溶解せず析出した。よって、LCP2のトルエンに対する溶解度についても0.1未満とした。
また、後述する実施例及び比較例で用いた熱可塑性樹脂である、ポリスチレン1,2、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンオキサイド、ポリカーボネートについて、と同様に、トルエン中に0.1gずつ入れて混合したところ、20g入れた段階でも熱可塑性樹脂は析出しなかった。この結果から、熱可塑性樹脂のトルエンに対する溶解度は20以上とした。
【0045】
[実施例1]
製造例1で得られたLCP1を100質量部に対して、熱可塑性樹脂としてポリスチレン1(PSジャパン株式会社製、「SGP10」、ガラス転移温度Tg100℃、溶融粘度27Pa・s(シリンダー温度340℃、せん断速度1000sec−1))を900質量部となるように、株式会社日本製鋼所製二軸押出機「TEX−α」(ノズル開口部の数と各開口部の面積との積300mm2)を用い、シリンダー温度340℃、スクリュー回転数125rpmで溶融混練して組成物を得た。組成物を円形ノズルから、樹脂押出速度10kg/hrで押出ストランドを得て、カットしてペレット化した。この際、ノズル開口部の数nと各開口部の面積Sとの積nS(mm2)と1時間あたりの樹脂押出量Q(kg/hr)との比(nS/Q)は、30であった。
得られた組成物ペレット100gを、2Lフラスコ中で40℃に加熱したトルエン900g中に投入し、30分間攪拌し、ポリスチレンをトルエン中に溶解させた。吸引ろ過により不溶成分を回収し、40℃のトルエン90gでよく追加洗浄した。追加洗浄は3度行った。追加洗浄後の不溶成分を1μmのフィルターでろ過して回収し乾燥して微粒子を得た。この微粒子を電子顕微鏡(超深度マルチアングル顕微鏡、KEYENCE社製、「VHX−D510」、倍率500倍)で観察したところ、球状の粒子が認められた。なお、ポリスチレン1中のエステル結合及びアミド結合の含有量は、全モノマーユニット中合計0モル%である。
【0046】
[実施例2]
熱可塑性樹脂としてポリスチレン2(PSジャパン株式会社製、「HF77」、ガラス転移点Tg100℃、溶融粘度16Pa・s(シリンダー温度340℃、せん断速度1000sec−1))を用いた以外は、実施例1と同様にして、微粒子を得た。実施例1と同様にして電子顕微鏡で観察したところ、球状の粒子が認められた。電子顕微鏡写真を図1に示した。なお、ポリスチレン2中のエステル結合及びアミド結合の含有量は、全モノマーユニット中合計0モル%である。
【0047】
[実施例3]
ポリスチレン1の使用量を、LCP100質量部に対して300質量部とした以外は、実施例1と同様にして、微粒子を得た。実施例1と同様にして電子顕微鏡で観察したところ、球状の粒子が認められた。
【0048】
[実施例4]
製造例2で得られたLCP2を100質量部に対して、熱可塑性樹脂としてポリスチレン2(PSジャパン株式会社製、「SGP10」、ガラス転移点Tg100℃、溶融粘度8Pa・s(シリンダー温度363℃、せん断速度1000sec−1)を900質量部となるように、(株式会社日本製鋼所製二軸押出機「TEX−α」(ノズル開口部の数と各開口部の面積との積300mm2)を用い、シリンダー温度363℃、スクリュー回転数125rpmで溶融混練して組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、微粒子を得た。実施例1と同様にして電子顕微鏡で観察したところ、球状の粒子が認められた。
【0049】
[比較例1]
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(インドラマ社製、「BF3067」、融点(Tm2)254℃、溶融粘度28Pa・s(シリンダー温度340℃、せん断速度1000sec−1))を用いた以外は、実施例1と同様にして、微粒子を得た。この微粒子を実施例1と同様の方法で観察したところ、球状の粒子が認められた。なお、ポリエチレンテレフタレート中のエステル結合及びアミド結合の含有量は、全モノマーユニット中合計100モル%である。
【0050】
[比較例2]
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンオキサイド(明成化学工業社製、「アルコックスR−150」、融点65℃、溶融粘度1Pa・s(シリンダー温度340℃、せん断速度1000sec−1))を用いた以外は、実施例1と同様にして、微粒子を得た。この微粒子を実施例1と同様の方法で観察したところ、球状の粒子が認められた。なお、ポリエチレンオキサイド中のエステル結合及びアミド結合の含有量は、全モノマーユニット中合計0モル%である。
【0051】
[比較例3]
熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート(帝人株式会社製、「パンライトL−1225L」、ガラス転移点148℃、溶融粘度63Pa・s(シリンダー温度340℃、せん断速度1000sec−1))を用いた以外は、実施例1と同様にして、微粒子を得た。この微粒子を実施例1と同様の方法で観察したところ、球状の粒子が認められた。なお、ポリカーボネート中のエステル結合及びアミド結合の含有量は、全モノマーユニット中合計100モル%である。
【0052】
[評価]
実施例及び比較例で得られた微粒子について、以下の方法で平均粒径、溶融粘度、1%重量減少温度を評価した。結果を表1に示した。
【0053】
(平均粒径)
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA−920)を用いて、平均粒径を測定した。なお、平均粒径は、体積基準の算術平均粒子径である。
【0054】
(融点Tm2)
示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、DSC7000X)を用いて、室温から20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)した際に観測される吸熱ピークにおけるピークトップの温度(融点Tm1)の測定後、(融点Tm1+40)℃の温度で2分間保持し、次いで20℃/分の降温速度で室温まで冷却し、再度室温から20℃/分の昇温速度で加熱した際に観測される2ndRUNの吸熱ピークにおけるピークトップの温度を樹脂微粒子の融点Tm2として測定した。
【0055】
(溶融粘度)
キャピラリー式レオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1D:ピストン径10mm)を用いて、以下の条件で、ISO 11443に準拠し、樹脂微粒子の見かけの溶融粘度を測定した。測定には、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いた。
シリンダー温度:
340℃(LCP1)
370℃(LCP2)
せん断速度:100sec−1
【0056】
(1%重量減少温度)
示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA、セイコーインスツル(株)製)を使用し、窒素気流下における1%重量減少温度を、不純物の含有量の指標として測定した。結果を表1に示した。なお、1%重量減少温度が(樹脂微粒子の融点Tm2+160)℃以上であれば不純物は少ないと判断した。
表1に示すように、実施例で得られた樹脂微粒子は、球状であるとともに、1%重量減少温度が(樹脂微粒子の融点Tm2+160)℃以上であり、不純物が少ない。これに対して、表2に示すように、比較例で得られた樹脂微粒子は、球状ではあるものの、1%重量減少温度が(樹脂微粒子の融点Tm2+160)℃未満であり、不純物が多い。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【図1】

【手続補正書】
【提出日】2019年12月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が250℃以上370℃以下である液晶性樹脂A100質量部と、液晶性樹脂Aと非相溶性であり融点又はガラス転移点が80℃以上400℃以下である熱可塑性樹脂B300質量部以上900質量部以下とを、280℃以上400℃以下で溶融混合して液晶性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを含む組成物Cを得る溶融混合工程、及び、
前記組成物Cを、40℃における溶媒100gに溶ける樹脂の質量(g)で表される液晶性樹脂Aの溶解度が1以下であり熱可塑性樹脂Bの溶解度が5以上である溶媒中で攪拌する洗浄工程を有し、
溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂B中のエステル結合及びアミド結合の含有量が全モノマーユニット中合計20モル%以下である、液晶性樹脂微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記溶融混合工程の後であって前記洗浄工程の前に、ノズル付き押出機を用いて前記組成物Cのストランドを形成しペレットを得る押出工程を有し、
前記押出機のノズル開口部の数n及び各開口部の面積Sの積nS(mm2)と1時間あたりの樹脂押出量Q(kg/hr)との比(nS/Q)が、20以上80以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂Bの末端官能基が、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリール基;置換基を有していてもよい炭素数1以上10以下のアルコキシ基;置換基を有していてもよい炭素数6以上12以下のアリールオキシ基;ビニル基から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂Bの化学構造の繰り返し単位が、エーテル結合、アルキレン結合、イミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合、及びスルホン結合から選択されるいずれかで結合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
平均粒子径が1μm以上150μm以下である液晶性樹脂微粒子を得る、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂B中のエステル結合及びアミド結合の含有量が全モノマーユニット中合計5モル%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂Bが、化学構造中にエステル結合を有していない、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【国際調査報告】

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