再表2019-65465IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月4日
【発行日】2020年10月22日
(54)【発明の名称】耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物、耐ダスト摺動性部材及びその製造方法、ウィンドウレギュレータ用キャリアプレート、耐ダスト摺動性の発現方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 59/04 20060101AFI20200925BHJP
【FI】
   C08L59/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2019-545038(P2019-545038)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年9月20日
(31)【優先権主張番号】15/718,390
(32)【優先日】2017年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】門間 智宏
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆憲
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB052
4J002BB152
4J002BB213
4J002BN062
4J002CB001
4J002CH054
4J002CP032
4J002DE076
4J002DE236
4J002DJ046
4J002FD016
4J002FD172
4J002GM00
4J002GN00
4J002GT00
(57)【要約】
オキシアルキレン単位を全構成単位に対して0.4〜0.9モル%含有するポリアセタール共重合体100質量部に対して、25℃で液体である特定の潤滑剤0.5〜5.0質量部と、無機充填剤0.1〜30質量部と、特定の変性オレフィン系重合体1.0〜20質量部と、1級又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体0.01〜5.0質量部と、を含む耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、
無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、
オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、
1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【請求項2】
前記潤滑剤(B)がエチレン−プロピレンコポリマーである、請求項1に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機充填剤(C)が、炭酸カルシウム、タルク及び酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【請求項4】
前記変性オレフィン系重合体(D)がオレフィン系重合体100質量部を無水マレイン酸0.1〜20質量部で変性したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物を用いて作製された耐ダスト摺動性部材。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物を用いて作製されたウィンドウレギュレータ用キャリアプレート。
【請求項7】
オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、
無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、
オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、
1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を準備する工程、及び
前記樹脂組成物を所定の形状に成形する工程、を含む耐ダスト摺動性部材の製造方法。
【請求項8】
オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、
無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、
オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、
1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を用いる、ポリアセタール樹脂組成物を用いてなる部材に対して耐ダスト摺動性を発現する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアセタール樹脂を用いた耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物、耐ダスト摺動性部材及びその製造方法、ウィンドウレギュレータ用キャリアプレート、並びにポリアセタール樹脂組成物を用いてなる部材に対して耐ダスト摺動性を発現させる方法
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂(以下、「POM樹脂」とも呼ぶ。)は、種々の物理的・機械特性に優れることからエンジニアリングプラスチックとして多方面で利用されている。特に、POM樹脂は摺動性に優れるため、軸受け、ギア部品などの摺動部材として使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、自動車のドアガラスを昇降させるための機構はウィンドウレギュレータと呼ばれる。ウィンドウレギュレータは、ドアガラスを支持するキャリアプレートと、キャリアプレートを昇降移動可能に支持するガイドレールと、キャリアプレートをガイドレールに沿って昇降させる駆動部とを有する。この機構において、ドアガラスを昇降させるとき、キャリアプレートはガイドレールに支持された状態で摺動するため、摺動部には摺動性に優れる材料が必要であり、POM樹脂を用いた成形部材が広く使用されている。
【0004】
のような成形部材は、摺動性に優れるPOM樹脂を用いるため、摺動性に関して一定の効果を奏する。しかし、砂などのダスト及び雨水などの水分がドア内に侵入した場合には、平常時と同じように考えることができない。つまり、そのような環境下においては、部材同士が擦れ合った状態で昇降移動すると、いわゆる鳴き音(squeak noise)といった異音が発生したり、摩耗量が多くなったりするといった問題があるからである。特に、その鳴き音は半乾燥状態の環境下、又は小さい粒径のダストが存在する環境下において顕著に生じる。
【0005】
のような環境下であっても、摺動部にグリスを付与することにより、異音の発生を抑え、耐摩擦摩耗性を確保することが考えられる。しかし、近年、開発の方向はグリスを使用せずに問題の解決を図る方向にある。そこで、摺動部にのみ特殊グレードのPOM樹脂を使用し、それ以外の部分には標準グレードのPOM樹脂を使用して作製するなどの提案がなされている。しかし、摺動部とそれ以外とで材料を分けると、一体化するための工数が増えること及びコストがアップするといった問題がある。そのため、のような成形部材は、単一のPOM樹脂組成物で作製することが望まれる。
【0006】
一方、キャリアプレートは、のようにドアガラスを支持することからも優れた機械特性(引張強さ)が要求されるため、機械特性を低下させずに耐摩擦摩耗性を向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−169344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、砂などのダストと水分とが存在する環境下であっても、ダストの粒径の大小に依存せず、耐摩擦摩耗性に優れ、摺動時において異音の発生が極めて少なく、かつ、優れた機械特性(引張強さ)を有する耐ダスト摺動性部材及びその製造方法、並びに当該耐ダスト摺動性部材用の樹脂組成物、ウィンドウレギュレータ用キャリアプレート、耐ダスト摺動性の発現方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、
無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、
オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、
1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【0010】
(2)前記潤滑剤(B)がエチレン−プロピレンコポリマーである、前記(1)に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【0011】
(3)前記無機充填剤(C)が、炭酸カルシウム、タルク及び酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である、前記(1)又は(2)に記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【0012】
(4)前記変性オレフィン系重合体(D)がオレフィン系重合体100質量部を無水マレイン酸0.1〜20質量部で変性したものである、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物。
【0013】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物を用いて作製された耐ダスト摺動性部材。
【0014】
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物を用いて作製されたウィンドウレギュレータ用キャリアプレート。
【0015】
(7)オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、
無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、
オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、
1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を準備する工程、及び
前記樹脂組成物を所定の形状に成形する工程、を含む耐ダスト摺動性部材の製造方法。
【0016】
(8)オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、
無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、
オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、
1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を用いる、ポリアセタール樹脂組成物を用いてなる部材に対して耐ダスト摺動性を発現する方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、砂などのダストと水分とが存在する環境下であっても、ダストの粒径の大小に依存せず、耐摩擦摩耗性に優れ、摺動時において異音の発生が極めて少なく、かつ、優れた機械特性(引張強さ)を有する耐ダスト摺動性部材及びその製造方法、当該耐ダスト摺動性部材用の樹脂組成物、ウィンドウレギュレータ用キャリアプレート、耐ダスト摺動性の発現方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物>
本実施形態の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも呼ぶ。)は、オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む。
ここで、「耐ダスト摺動性」とは、砂などのダスト及び雨水などの水分が存在する環境下であっても、耐摩擦摩耗性に優れ、異音の発生を抑えられる性能を言う。「耐摩擦摩耗性」は、摩擦及び摩耗に対する耐久性を有する性質である。
【0019】
本実施形態の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物は、の通り、砂などのダストと水分とが存在する環境下であっても、ダストの粒径の大小に依存せず、耐摩擦摩耗性に優れ、摺動時において異音の発生が極めて少なく、かつ、優れた機械特性(引張強さ)を有するという効果を奏する。そのような効果を奏するメカニズムについて以下に説明する。
【0020】
POM樹脂は、POM樹脂同士での摺動において鳴き音と呼ばれる異音が発生しやすい。これを改善するために潤滑剤を添加し、POM樹脂同士の摺動とならないようにする手法が採用される。しかしながら、上述のようなダスト及び水分が存在する環境下では、の手法では異音の発生を十分には抑制できない。この原因として、樹脂成形品が摺動する摺動面においては、摺動時には摩擦熱により温度が上昇するが、水分が存在すると温度上昇し難い。従って、例えば固形潤滑剤を用いた場合、固形潤滑剤は液体に相変化しにくいため、潤滑剤の本来の機能を発揮し難くなる。その上、摺動面に砂などのダストが存在すると、ダストにより摩耗粉の発生が促進される。その結果、潤滑剤が機能しづらい状況下において、樹脂成形品と摩耗粉とでPOM樹脂同士の摺動状態が生まれ、鳴き音が発生する。
【0021】
そこで、本実施形態においては、25℃で液体である特定の潤滑剤を用い、水分が存在する環境下においても潤滑剤本来の機能を発揮させている。しかし、本発明者らの検討によると、当該潤滑剤を用いるのみでは異音の発生を十分に抑えることができない。これは、ダスト存在下においては、摺動面において局所的な面圧上昇があることによるものと推察される。そこで、局所的な面圧上昇を抑えるために無機充填剤を併用し、異音の発生を抑えたのである。
【0022】
ところが、粒径が小さいダストが存在する環境下では異音が発生しやすくなる傾向にあり、そのような環境下では異音の発生を完全に抑えられないことがある。そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の相溶化剤を2種(変性オレフィン系重合体、1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体)を特定量添加すると、粒径が小さいダストが存在する環境下でも異音の発生を抑えられることを見出した。つまり、本実施形態においては、成分に加えて、特定の相溶化剤2種を特定量用いることによりダストの粒径に依存することなく異音の発生を抑えた。
【0023】
また、相溶化剤を添加することにより機械特性の低下が懸念される。そこで、本実施形態においては、POM樹脂として特定のポリアセタール共重合体を用いることで機械特性の向上を図っている。
【0024】
一方、以下に示す耐摩擦摩耗性の評価試験において、荷重を増大させていった場合、異音が発生する面圧が4.0MPa以上であると、砂などのダストと水分とが存在する環境下での摺動時に異音の発生を抑えることができる。すなわち、以下に示す評価試験において、異音が発生する面圧が4.0MPa以上であることが、耐ダスト摺動性に優れるということの指標となる。
(評価試験)
JIS K 7218 A法に従い、以下の試験機を用い、荷重を0MPaから段階的に増大させていき、異音が発生したときの面圧を得る。
試験片:中空円筒形(内径:20mm、外径:25.6mm、高さ:15mm)
試験機:オリエンテック製、スラスト式摩擦摩耗試験機EFM−III−E
環境 :23℃,50%RH
線速度:10mm/sec
試験時間:3時間(ダスト水を塗布し2時間摺動させたのち、ダスト水を再度塗布し、さらに1時間摺動)
相手材:ポリエチレンコート平板
【0025】
以下に、本樹脂組成物の各成分について説明する。
【0026】
[ポリアセタール共重合体(A)]
本実施形態においては、POM樹脂として、ポリアセタール共重合体(A)(以下、「(A)成分」とも呼ぶ。)を用いる。本(A)成分は、オキシメチレン単位(−CH2O−)を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有する。このような(A)成分を用いることで機械特性の向上を図ることができる。
【0027】
オキシアルキレン単位としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、などが挙げられる。
【0028】
(A)成分は、その重合度に関しても特に制限はなく、溶融成形加工性を有するもの(例えば、190℃、2160g荷重下でのメルトフロー値(MFR)が1.0g/10分以上100g/10分以下)であればよい。
(A)成分は公知の製造方法によって製造される。
【0029】
本(A)成分において、全構成単位に占める割合としてオキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を0.4モル%以上0.9モル%以下含有するが、0.4モル%未満であると熱安定性が不十分となり、0.9モル%を超えると機械特性(引張強さ)が劣化する。当該オキシアルキレン単位を全構成単位に占める割合は、0.5モル%以上0.8モル%以下であることが好ましく、0.5モル%以上0.7モル%以下であることがより好ましい。
【0030】
[潤滑剤(B)]
本実施形態において使用される潤滑剤(B)(以下、「(B)成分」とも呼ぶ。)は、エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体のものである。25℃で液体であるが故に、温度が上昇し難い、水分を含む環境下でも液体であり、潤滑剤としての機能を発揮しうる。
【0031】
エチレン・α−オレフィンコポリマーとしては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体が挙げられ、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブチレンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマーが好ましく、中でも、エチレン−プロピレンコポリマーが好ましい。
【0032】
ポリα−オレフィンとしては、α−オレフィンとしての炭素数が6〜18であるα−オレフィンの重合体が挙げられ、中でもα−オレフィンとしての炭素数が10〜16であるα−オレフィンの重合体が好ましい。
【0033】
シリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられ、中でも、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0034】
エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンは、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンのうち、鳴き音の抑制の点で、エチレン・α−オレフィンコポリマーが好ましい。
【0035】
本実施形態において、(A)成分100質量部に対して、(B)成分は0.5〜5.0質量部含む。(B)成分が0.5質量部未満であると、鳴き音の発生を十分に抑えることができず、5.0質量部を超えると、製造性が著しく悪化する。(B)成分の含有量は、好ましくは0.8〜4.0質量部であり、より好ましくは1.0〜2.0質量部である。
【0036】
[無機充填剤(C)]
本実施形態において用いられる無機充填剤(C)(以下、「(C)成分」とも呼ぶ。)としては、例えば、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属酸化物、タルク、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレークなどが挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、タルク、ガラスビーズが好ましい。さらには、炭酸カルシウム、タルク及び酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの無機充填剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本実施形態において、(C)成分は、ポリアセタール共重合体100質量部に対して、0.1〜30質量部含む。(C)成分が0.1質量部未満であると、鳴き音の発生を十分に抑制することができず、30質量部を超えると、機械特性の低下が顕著となる。(C)成分の含有量は、好ましくは0.2〜20質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部である。
【0038】
本実施形態において、潤滑剤(X)と、無機充填剤(Y)との質量比(X/Y)は、1.5〜5.0であることが好ましい。
【0039】
[変性オレフィン系重合体(D)]
本実施形態において使用される変性オレフィン系重合体(D)(以下、「(D)成分」とも呼ぶ。)は、オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸及びその酸無水物並びにそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性したものである。当該(D)成分は、アルキレングリコール系重合体(E)と併用することで、耐摩擦摩耗性が向上し、粒径が小さいダストが存在する環境下であっても異音の発生を抑えることができる。
【0040】
ここで用いられるオレフィン系重合体としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン等のα−オレフィンの単独重合体、及びこれらの二種以上から成るランダム、ブロック又はグラフト共重合体、及びこれらに1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエン等の非共役ジエン成分、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン等の共役ジエン成分、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸又はそのエステル等の誘導体、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、又は酢酸ビニル等のビニルエステル、ビニルメチルエーテル等のビニルエーテルやこれらのビニル系化合物の誘導体等のコモノマー成分のうちの少なくとも1種を含んで成るランダム、ブロック又はグラフト共重合体等が挙げられ、その重合度、側鎖や分岐の有無や程度、共重合組成比等の如何を問わない。
【0041】
オレフィン系重合体の例としては、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、気相法エチレン−α−オレフィン共重合体、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体等がある。好ましくは、ポリエチレン、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体である。
【0042】
オレフィン系重合体の変性に用いられるモノマー化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸、アリルコハク酸などの不飽和カルボン酸、及び無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、アリル無水コハク酸等の不飽和カルボン酸無水物、及びこれらの誘導体等からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
【0043】
好ましい(D)成分は、そのMI(メルトインデックス)が0.01〜100g/10分のものであり、更に好ましいのは、MIが0.1〜50g/10分のものであり、特に好ましいのは、MIが0.2〜30g/10分のものである。
【0044】
好ましい(D)成分の具体例としては、無水マレイン酸で変性されたポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
【0045】
(D)成分を得るための変性方法としては、オレフィン系重合体と、不飽和カルボン酸、その無水物、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種のモノマー化合物を、溶液状態又は溶融状態で適当な有機過酸化物等のラジカル開始剤の存在下で加熱して反応させる方法等が好適であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0046】
両成分の配合量は、オレフィン系重合体100質量部に対して、前記モノマー化合物0.1質量部以上20質量部以下、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下が適当である。そのような配合比率で変性すると、(A)成分と(D)成分との間に十分な親和性が得られるとともに、摺動性等の物性が良好に保たれる。
【0047】
本実施形態において、(D)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体の2種の併用が挙げられる。
【0048】
本実施形態において、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、1.0〜20質量部含む。(D)成分が1.0質量部未満であると、鳴き音の発生を十分に抑制することができず、20質量部を超えると、機械特性の低下が顕著となる。(D)成分の含有量は、好ましくは1.5〜10質量部であり、より好ましくは1.8〜5.0質量部である。
【0049】
[アルキレングリコール系重合体(E)]
本実施形態において使用されるアルキレングリコール系重合体(E)(以下、「(E)成分」とも呼ぶ。)は、1級アミノ基又は2級アミノ基を有する。の通り、当該(E)成分は、(D)成分と併用することで、耐摩擦摩耗性が向上し、粒径が小さいダストが存在する環境下であっても異音の発生を抑えることができる。(E)成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、等が挙げられる。そして、本実施形態において使用される、1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体は、のようなアルキレングリコール系重合体に1級アミノ基又は2級アミノ基が結合したものである。当該アミノ基はアルキレングリコール系重合体の末端に有することが好ましい。
【0050】
(E)成分の数平均分子量は、400以上500,000以下であり、400以上100,000以下であることが好ましく、1,000以上6,000以下であることがさらに好ましい。これは、(E)成分の配合により、(D)成分の(A)成分への分散性が改善されるが、(E)成分の数平均分子量が400以上500,000以下であると、(A)成分又は(B)成分の高分子材料として持つ機械特性、摺動性を損なうことなく、かつ、適度な溶融粘度で(A)成分に分散させることができるからである。
【0051】
本実施形態において、(E)成分は、ポリアセタール共重合体100質量部に対して、0.01〜5.0質量部含む。(E)成分が0.01質量部未満であると、鳴き音の発生を十分に抑制することができず、5.0質量部を超えると、機械特性の低下が顕著となる。(E)成分の含有量は、好ましくは0.05〜3.0質量部であり、より好ましくは0.1〜 2.0質量部である。
【0052】
本実施形態において、変性オレフィン系重合体(P)と、アルキレングリコール系重合体(Q)との質量比(P/Q)は、耐摩擦摩耗性を向上させる観点から4.0〜40であることが好ましい。
【0053】
[他の成分]
本実施形態の樹脂組成物においては、他の成分として、酸化防止剤、共安定化剤、離型剤、核剤等公知の添加剤を含んでもよい。
【0054】
<耐ダスト摺動性部材>
本実施形態の耐ダスト摺動性部材は、以上の耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物を用いて作製されたものである。そして、本実施形態の耐ダスト摺動性部材は、上述の通り、砂などのダストと水分とが存在する環境下であっても、ダストの粒径の大小に依存せず、耐摩擦摩耗性に優れ、摺動時において異音の発生が極めて少なく、かつ、優れた機械特性(引張強さ)を有する部材である。
【0055】
本実施形態の樹脂組成物を成形してなる耐ダスト摺動性部材としては、具体的には、以下に説明するウィンドウレギュレータ用キャリアプレートの他に、自動車のサンルーフ用の摺動部材、自動車のドアチェッカー用の機構部材などが挙げられる。すなわち、ダスト及び水が存在する環境において使用される部材として好適である。
【0056】
<ウィンドウレギュレータ用キャリアプレート>
本実施形態のウィンドウレギュレータ用キャリアプレートは、耐ダスト摺動性部材と同様、耐ダスト摺動性部材用樹脂組成物を用いて作製されたものである。上述した通り、ウィンドウレギュレータは自動車のドアガラスを昇降させるための機構であり、ドアガラスを支持するキャリアプレートを本樹脂組成物を用いて作製する。そして、自動車などの車両のドア内部には、砂などのダスト及び雨水などの水分がドア内に侵入することがある。そのような場合でも、本実施形態のキャリアプレートが配置された場合、耐摩擦摩耗性に優れ、かつ、ウインドウの昇降時、すなわちキャリアプレートの摺動時に鳴き音などの異音の発生を抑えることができる。
【0057】
<耐ダスト摺動性部材の製造方法>
本実施形態の耐ダスト摺動性部材の製造方法は、オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を準備する工程(以下、「工程A」と呼ぶ)、及び樹脂組成物を所定の形状に成形する工程(以下、「工程B」と呼ぶ)、を含む。以下に、各工程について説明する。
【0058】
[工程A]
本工程においては、(A)成分100質量部に対して、エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である(B)成分0.5〜5.0質量部と、(C)成分0.1〜30質量部と、(D)成分1.0〜20質量部と、(E)成分0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を準備する。各成分の好ましいものと、その好ましい含有量、及び他の成分は上述の通りである。当該樹脂組成物は、定法に従い、各成分と、必要に応じて他の成分とを混合することにより得られる。例えば、本実施形態の樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化することにより得ることができる。
【0059】
[工程B]
本工程においては、工程Aで準備した樹脂組成物を、所定の形状に成形する。例えば、のようにして得たペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入して射出成形する。
【0060】
以上の本実施形態の製造方法により、上述の通り、砂などのダストと水分とが存在する環境下であっても、ダストの粒径の大小に依存せず、耐摩擦摩耗性に優れ、摺動時において異音の発生が極めて少なく、かつ、優れた機械特性(引張強さ)を有する耐ダスト摺動性部材を製造することができる。
【0061】
<耐ダスト摺動性の発現方法>
本実施形態の耐ダスト摺動性を発現する方法は、オキシメチレン単位を主たる構成単位とし、オキシアルキレン単位(オキシメチレン単位を除く)を全構成単位に占める割合として0.4モル%以上0.9モル%以下含有するポリアセタール共重合体(A)100質量部に対して、エチレン・α−オレフィンコポリマー、ポリα−オレフィン及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、25℃で液体である潤滑剤(B)0.5〜5.0質量部と、無機充填剤(C)0.1〜30質量部と、オレフィン系重合体を、不飽和カルボン酸、その酸無水物、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性した変性オレフィン系重合体(D)1.0〜20質量部と、1級アミノ基又は2級アミノ基を有するアルキレングリコール系重合体(E)0.01〜5.0質量部と、を含む樹脂組成物を用いる。
上述の通り、本実施形態の樹脂組成物を成形して得られる部材は、砂などのダストと水分とが存在する環境下であっても、ダストの粒径の大小に依存せず、耐摩擦摩耗性に優れ、摺動時において異音の発生が極めて少なく、かつ、優れた機械特性(引張強さ)を有する。つまり、本実施形態の樹脂組成物を用いることにより、ポリアセタール樹脂組成物を用いてなる部材に対して耐ダスト摺動性を発現することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0063】
[実施例1〜8、比較例1〜7]
各実施例・比較例において、表1及び表2に示す各原料成分をドライブレンドした後、シリンダー温度200℃の二軸押出機に投入して、溶融混練し、ペレット化した。なお、表1、表2において、各成分の数値は質量部を示す。
また、使用した各原料成分の詳細を以下に示す。
(1)ポリアセタール共重合体(A)
A−1:オキシアルキレン単位(オキシエチレン基)の全構成単位に占める割合が0.7モル%であるポリアセタール共重合体(メルトインデックス(190℃、荷重2160gで測定):2.4g/10min)
A−2:オキシアルキレン単位(オキシブチレン基)の全構成単位に占める割合が0.5モル%であるポリアセタール共重合体(メルトインデックス(190℃、荷重2160gで測定):2.7g/10min)
A−3:オキシアルキレン単位(オキシエチレン基)の全構成単位に占める割合が1.2モル%であるポリアセタール共重合体(メルトインデックス(190℃、荷重2160gで測定):2.5g/10min)
【0064】
(2)潤滑剤(B)
B−1:エチレン−プロピレンコポリマー(流動点:−15℃、三井化学(株)製、ルーカントHC600)
B−2:ジメチルポリシロキサン(流動点:−41℃、東レ・ダウコーニング(株)製、SH200)
【0065】
(3)無機充填剤(C)
C−1:炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、SL−101)
C−2:炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、Brilliant−1500)
C−3:炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、ホワイトンP−30)
C−4:タルク(松村産業(株)製、クラウンタルクPP)
C−5:酸化マグネシウム(共和化学工業(株)製、キョーワマグMF150)
【0066】
(4)変性オレフィン系重合体(D)
D−1:無水マレイン酸変性LDPE(低密度ポリエチレン)(LDPE100重量部に対し、無水マレイン酸1重量部変性)
D−2:無水マレイン酸変性EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)(EEA100重量部に対し、無水マレイン酸1重量部変性)
D−3:LDPE(低密度ポリエチレン)−g−AS(アクリロニトリル− スチレン共重合体)(日油(株)製、モディパーA1401)
【0067】
(5)アルキレングリコール系重合体(E)
E−1:両末端アミン変性ポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製、ケミスタットY−400)
【0068】
(6)酸化防止剤
BASF社製、Irganox1010
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
<評価>
[耐ダスト摺動性]
各実施例・比較例において、得られた樹脂組成物ペレットを用い、中空円筒形の試験片を射出成形(金型温度80℃、シリンダー温度200℃)にて作製した。また、評価試験において、ダスト及び水分が存在する環境とするため、平均粒子径が異なる下記3種のダストをそれぞれ2.5質量%の濃度で純水に分散させた3種のダスト水を調製した。
(1)ISOダスト(ISO12103−1(A4)、平均粒子径:35μm)
(2)JISダスト(JIS Z8901(クラス8)、平均粒子径:10μm)
(3)チャイナダスト(fiatec社製、CHINA DUST、平均粒子径:7μm)
【0072】
耐ダスト摺動性の評価として、耐摩擦摩耗性(動摩擦係数)及び鳴き音の評価を行った。評価は、各実施例・比較例において試験片を3個ずつ用意し、それら3個の試験片の摺動面に対して3種のダスト水のそれぞれを塗布した。そして、JIS K 7218 A法に従い、以下に示す評価試験を行った。試験条件の詳細を以下に示す。
(試験条件)
試験機:オリエンテック製、スラスト式摩擦摩耗試験機EFM−III−E
面圧 :1.0MPa(荷重200N)
環境 :23℃,50%RH
線速度:10mm/sec
試験時間:3時間(ダスト水を塗布し2時間摺動させたのち、ダスト水を再度塗布し、さらに1時間摺動)
相手材:ポリエチレンコート平板
(評価項目)
(1)動摩擦係数(‐):摩擦力をロードセルで検出し、その値から算出した。試験後半1時間の平均値を表3、表4に表記した。
(2)鳴き音発生率(%):試験後半1時間のうち、鳴き音が発生した時間の百分率(%)を表3及び表4において括弧書きで表記した。そして、鳴き音発生率が0%の場合を「○」、100%の場合を「×」、0%及び100%以外の場合を「△」として評価した。
【0073】
[機械特性]
各実施例・比較例において、ISO527に従って、得られた樹脂組成物ペレットを用いて試験片を作製して引張強さを測定した(ISO527−2/1A/50)。測定結果を表3、表4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表3、表4より、いずれの実施例も、耐ダスト摺動性が良好で鳴き音が全くなく、さらに機械特性に優れることが分かる。特に、すべての実施例において、ダストの粒径にかかわらず鳴き音の発生率は0%であった。つまり、いずれの実施例においても、耐ダスト摺動性に優れ、機械強度に優れる部材が得られたことが分かる。これに対して、いずれの比較例も、鳴き音の評価と、耐摩擦摩耗性の評価と、機械特性とを同時に良好な結果とすることができなかった。
【国際調査報告】

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