【実施例】
【0083】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。
【0084】
〔実施例1〕難燃剤組成物−1(リン酸エステル組成物−1)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを309.7g(2.02mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−1を得た。得られたリン酸エステル組成物−1は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−1中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、60.3質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は39.7質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−1中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−1は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−1の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−1の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0085】
〔実施例2〕難燃剤組成物−2(リン酸エステル組成物−2)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを312.8g(2.04mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−2を得た。得られたリン酸エステル組成物−2は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−2中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、61.2質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は38.8質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−2中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−2は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−2の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−2保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0086】
〔実施例3〕難燃剤組成物−3(リン酸エステル組成物−3)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを315.8g(2.06mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−3を得た。得られたリン酸エステル組成物−3は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−3中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、62.1質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は37.9質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−3中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−3は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−3の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−3の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0087】
〔実施例4〕難燃剤組成物−4(リン酸エステル組成物−4)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを318.9g(2.08mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−4を得た。得られたリン酸エステル組成物−4は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−4中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、63.0質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は37.0質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−4中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−4は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−4の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−4の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0088】
〔実施例5〕難燃剤組成物−5(リン酸エステル組成物−5)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを335.8g(2.19mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−5を得た。得られたリン酸エステル組成物−5は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−5中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、67.9質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は32.1質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−5中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−5は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−5の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−5の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0089】
〔実施例6〕難燃剤組成物−6(リン酸エステル組成物−6)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを341.9g(2.23mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−6を得た。得られたリン酸エステル組成物−6は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−6中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、68.8質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は31.2質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−6中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−6は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−6の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−6の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0090】
〔実施例7〕難燃剤組成物−7(リン酸エステル組成物−7)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを346.5g(2.26mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル組成物−7を得た。得られたリン酸エステル組成物−7は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、このリン酸エステル組成物−7中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、69.5質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は30.5質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、リン酸エステル組成物−7中、1質量%未満であった。
得られたリン酸エステル組成物−7は25℃で液体状であった。
得られたリン酸エステル組成物−7の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られたリン酸エステル組成物−7の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0091】
〔比較例1〕比較難燃剤組成物−1(比較リン酸エステル組成物−1)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを306.6g(2.00mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル組成物−1を得た。得られたリン酸エステル組成物−1は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル組成物−1中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、59.0質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は41.0質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、比較リン酸エステル組成物−1中、1質量%未満であった。
得られた比較リン酸エステル組成物−1は25℃で液体状であった。
得られた比較リン酸エステル組成物−1の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた比較リン酸エステル組成物−1の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0092】
〔比較例2〕比較難燃剤組成物−2(比較リン酸エステル組成物−2)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを349.6g(2.28mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル組成物−2を得た。得られたリン酸エステル組成物−2は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル組成物−2中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、70.2質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は29.8質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、比較リン酸エステル組成物−2中、1質量%未満であった。
得られた比較リン酸エステル組成物−2は25℃で液体状であった。
得られた比較リン酸エステル組成物−2の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた比較リン酸エステル組成物−2の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0093】
〔比較例3〕比較難燃剤組成物−3(比較リン酸エステル組成物−3)
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1.00mol)に、触媒として塩化マグネシウム1.05g(0.011mol)を加え、オキシ塩化リンを368.0g(2.40mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール329.4g(3.50mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒することで比較リン酸エステル組成物−3を得た。得られたリン酸エステル組成物−3は、IR分析及びNMR分析により前記式(1)で表されるリン酸エステルであることを確認した。
下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、この比較リン酸エステル組成物−3中の、式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、72.4質量%であった(n=2〜5に該当する化合物の合計の含有量は27.6質量%)。また、n=6及び7に該当する化合物の含有量は、比較リン酸エステル組成物−3中、1質量%未満であった。
得られた比較リン酸エステル組成物−3は25℃で液体状であった。
得られた比較リン酸エステル組成物−3の粘度を下記測定方法で測定した。結果を表1に示す。
得られた比較リン酸エステル組成物−3の保存安定性の評価を下記保存安定性試験方法で行った。結果を表1に示す。
【0094】
尚、難燃剤組成物−1〜7及び比較難燃剤組成物1〜3における、式(1)においてnが6及び7の化合物の含有量は1質量%未満であった。
【0095】
<液体クロマトグラフ測定条件>
装置:日本分光(株)製、Pump(PU−2089 PLUS)、Detector(MD 2018 PLUS)
カラム:(株)センシュー科学製(PEGASIL ODS φ4.6mm×L250mm)
カラム温度:40℃
検出波長:261nm
展開溶媒:MeOH/0.3%リン酸水溶液
【0096】
<粘度の測定方法>
試験装置:B型粘度計(英弘精機(株)製)
測定方法:JIS K 7117−1規格に準拠して以下のように測定した。
サンプルを1時間、25℃の恒温槽で保持後、前記B型粘度計を用い、粘度を測定した。少量サンプルアダプター、No.SC4−31のスピンドルを使用し、回転速度(0.6rpm)で、測定を行った。
【0097】
<保存安定性試験>
リン酸エステル組成物(難燃剤組成物)の30gをガラス製サンプル瓶に取り、保存安定性促進試験として種晶0.03gを加えて密栓した。(種晶は式(1)においてn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量が、92質量%の25℃で固体のリン酸エステルを用いた。)
サンプル瓶を25℃の恒温槽に保存した。保存前と、保存後3カ月後に、ヘイズ−ガードプラス((株)東洋精機製作所製)を用いて、Haze値と全光線透過率を測定した。
Haze値が大きくなるほど、濁りが生じたり、固体が析出したり、固体状になったりしたことを示し、保存安定性が悪いことになる。また、透過率が小さくなるほど、濁りが生じたり、固体が析出したり、固体状になったりしたことを示し、保存安定性が悪いことになる。
【0098】
〔実施例8〕難燃性樹脂組成物−1
実施例1で製造した難燃剤組成物−1(リン酸エステル組成物−1)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−1は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0099】
〔実施例9〕難燃性樹脂組成物−2
実施例2で製造した難燃剤組成物−2(リン酸エステル組成物−2)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−2は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0100】
〔実施例10〕難燃性樹脂組成物−3
実施例3で製造した難燃剤組成物−3(リン酸エステル組成物−3)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−3は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0101】
〔実施例11〕難燃性樹脂組成物−4
実施例4で製造した難燃剤組成物−4(リン酸エステル組成物−4)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−4は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0102】
〔実施例12〕難燃性樹脂組成物−5
実施例5で製造した難燃剤組成物−5(リン酸エステル組成物−5)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−5は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0103】
〔実施例13〕難燃性樹脂組成物−6
実施例6で製造した難燃剤組成物−6(リン酸エステル組成物−6)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−6は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性良好、加工性良好と評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0104】
〔実施例14〕難燃性樹脂組成物−7
実施例7で製造した難燃剤組成物−7(リン酸エステル組成物−7)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−7は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0105】
〔比較例4〕比較難燃性樹脂組成物−1
比較例1で製造した比較難燃剤組成物−1(比較リン酸エステル組成物−1)を用いて、下記表2に示す配合の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を下記の加工条件で押出加工し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。比較難燃剤組成物−1は、常温(25℃)での流動性が悪く、ハンドリング性に劣り、加工に手間と長時間を要した。よって、ハンドリング性が不良であり、且つ加工性が不良であると評価した。
作製したペレットを用い、下記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表2に示す。
【0106】
<加工条件>
押し出し機:PCM30−38−3V−ISE((株)池貝製)
温度:280℃
スクリュー:2軸
回転数:100rpm
【0107】
<射出成形条件>
横型射出成形機:NEX−80−9E(日精樹脂工業(株)製)
温度:280℃、金型温度:80℃
【0108】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm及び厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるに従って難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとする。
【0109】
〔実施例15〕難燃性樹脂組成物−8
実施例1で製造した難燃剤組成物−1(リン酸エステル組成物−1)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工し、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−1は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、上記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0110】
〔実施例16〕難燃性樹脂組成物−9
実施例2で製造した難燃剤組成物−2(リン酸エステル組成物−2)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工し、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−2は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件の射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、上記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0111】
〔実施例17〕難燃性樹脂組成物−10
実施例3で製造した難燃剤組成物−3(リン酸エステル組成物−3)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工し、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−3は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、前記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0112】
〔実施例18〕難燃性樹脂組成物−11
実施例4で製造した難燃剤組成物−4(リン酸エステル組成物−4)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工し、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−4は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、前記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0113】
〔実施例19〕難燃性樹脂組成物−12
実施例5で製造した難燃剤組成物−5(リン酸エステル組成物−5)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工を行い、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−5は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0114】
〔実施例20〕難燃性樹脂組成物−13
実施例6で製造した難燃剤組成物−6(リン酸エステル組成物−6)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工を行い、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−6は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0115】
〔実施例21〕難燃性樹脂組成物−14
実施例7で製造した難燃剤組成物−7(リン酸エステル組成物−7)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記加工条件で押出加工を行い、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。難燃剤組成物−7は常温(25℃)で良好な流動性を有するため、ハンドリング性に優れ、短時間で容易に加工することができ、ハンドリング性が良好であり、且つ加工性が良好であると評価できた。
作製したペレットを用い、前記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0116】
〔比較例5〕比較難燃性樹脂組成物−2
比較例1で製造した比較難燃剤組成物−1(比較リン酸エステル組成物−1)を用いて、下記表3に示す配合の難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を調製した。調製した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を前記の加工条件で押出加工を行い、難燃性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のペレットを作製した。比較難燃剤組成物−1は常温(25℃)での流動性が悪く、ハンドリング性に劣り、加工に手間と長時間を要した。よって、ハンドリング性が不良であり、且つ加工性が不良であると評価した。
作製したペレットを用い、下記の条件での射出成形により難燃性試験片を作製した。この試験片を用いて、下記試験方法にて、難燃性試験(UL−94V試験)を行った。結果を表3に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
表1の結果から、本発明の難燃剤組成物は、保存安定性に優れることがわかる。また表1の結果から、本発明の難燃剤組成物は流動性に優れ、ハンドリング性に優れることがわかる。また、表2及び表3の結果から本発明の難燃剤組成物は、ハンドリング性と加工性に優れることがわかり、更に充分な難燃性能を有することがわかる。これに対し、nが1である一般式(1)で表されるリン酸エステルの含有量が70質量%以上である比較リン酸エステル2及び3は、保存安定性に劣ったものであった。また、nが1である一般式(1)で表されるリン酸エステルの含有量が60質量%未満である比較リン酸エステル1は、保存安定性は良好であるが、流動性が悪く、結果、該リン酸エステルを含有する比較難燃性樹脂組成物は、ハンドリング性が不良であり、且つ加工性が不良であった。