(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「感染症実用化研究事業 肝炎等克服実用化研究事業ii」「革新的な動物モデルや培養技術の開発を通じたHBV排除への創薬研究」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
本開示は、preS1抗原に対する抗体またはその組み合わせ、前記抗体またはその組み合わせを用いるpreS1抗原の測定方法並びにそのための組成物およびキット、HBV感染の評価方法並びにそのための組成物およびキット、並びに前記抗体またはその組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、アミノ酸残基は以下の略号で表される。
AlaまたはA:アラニン
ArgまたはR:アルギニン
AsnまたはN:アスパラギン
AspまたはD:アスパラギン酸
CysまたはC:システイン
GlnまたはQ:グルタミン
GluまたはE:グルタミン酸
GlyまたはG:グリシン
HisまたはH:ヒスチジン
IleまたはI:イソロイシン
LeuまたはL:ロイシン
LysまたはK:リジン
MetまたはM:メチオニン
PheまたはF:フェニルアラニン
ProまたはP:プロリン
SerまたはS:セリン
ThrまたはT:スレオニン
TrpまたはW:トリプトファン
TyrまたはY:チロシン
ValまたはV:バリン
【0015】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、少なくとも、A、B、C、D、E、F、G、H、Jの9種類の遺伝子型(Genotype)に分けられる。本開示におけるHBVには、いずれの遺伝子型のHBVも含まれる。
【0016】
本明細書において、preS1抗原とは、preS1ドメインを含むHBs抗原(Hepatitis B surface antigen, HBsAg)を意味する。本開示におけるHBs抗原は、いずれの遺伝子型のタンパク質であってもよい。HBs抗原(Genotype C)の代表的アミノ酸配列(accession No. MH887433)を配列番号1に示すが、本開示のHBs抗原は配列番号1のアミノ酸配列を含むものに限定されない。
MGGWSSKPRQGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFGANSNNPDWDFNPNKDHWPEANQVGAGAFGSGFTPPHGGLLGWSPQAQGILTTVPAAPPPASTNRQSGRQPTPISPPLRDSHPQAMQWNSTTFHQALLDPRVRGLYFPAGGSSSGTVNPVPTTASPISSIFSRTGDPAPNMENTTSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGAPTCPGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLLPGTSTTSTGPCKTCTIPAQGTSMFPSCCCTKPSDGNCTCIPIPSSWAFARFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMMWYWGPSLYNILSPFLPLLPIFFCLWVYI(配列番号1)
配列番号1におけるpreS1ドメイン、preS2ドメインおよびSドメインは、それぞれ、1番目〜119番目、120番目〜174番目および175番目〜400番目の領域である。当業者は、各遺伝子型のHBs抗原のアミノ酸配列を、GenBankなどのデータベースから容易に取得することができる。
【0017】
本明細書において、抗preS1抗体とは、HBs抗原のpreS1ドメイン中のエピトープに結合する抗体を意味する。本明細書において、抗S抗体とは、HBs抗原のSドメイン中のエピトープに結合する抗体を意味し、抗preS2抗体とは、HBs抗原のpreS2ドメイン中のエピトープに結合する抗体を意味する。抗HBs抗体なる用語は、HBs抗原に対する抗体を意味し、Sドメイン、preS1ドメインおよびpreS2ドメインのいずれのドメイン中のエピトープに結合する抗体も含む意味で用いられる。
【0018】
本明細書における「抗体」なる用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体断片など、種々の抗体構造を含む意味で用いられる。モノクローナル抗体には、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体が含まれる。抗体断片は、抗体の一部分を構成要素として含む分子意味し、例えば、限定はされないが、抗体の重鎖および軽鎖可変領域(V
HおよびV
L)、F(ab')
2、Fab'、Fab、Fv、disulphide-linked FV (sdFv) 、Single-Chain FV (scFV) およびこれらの重合体が挙げられる。抗体の種は特に限定されず、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒト由来の抗体が挙げられる。
【0019】
抗体のイムノグロブリンクラスは、重鎖定常領域に基づき決定される。イムノグロブリンクラスとしては、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが挙げられ、これらに対応する重鎖はそれぞれ、α鎖、δ鎖、ε鎖、γ鎖、およびμ鎖と呼ばれる。イムノグロブリンクラスは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分けることができる。本明細書における抗体のイムノグロブリンクラスは、特に限定はされない。ある実施形態において、抗体は、IgGである。さらなる実施形態において、抗体は、IgG1またはIgG4である。抗体の軽鎖は、その定常領域に基づきκ鎖およびλ鎖に分けることができるが、本明細書における抗体は、κ鎖およびλ鎖のいずれを有していてもよい。
【0020】
抗体の可変領域は、通常、4つのフレームワーク領域(framework region)(FRとも記載する)にはさまれた3つの相補性決定領域(complementarity determining region)(CDRとも記載する)で構成される。本明細書において、抗体の可変領域およびCDRは、特に記載する場合を除き、ウェブベースの抗体検索システムのabYsis(Swindells, M.B., Porter, C.T., Couch, M., Hurst, J., Abhinandan, K.R., Nielsen, J.H., Macindoe, G., Hetherington, J. and Martin, A.C., 2017. abYsis: integrated antibody sequence and structure-management, analysis, and prediction. Journal of molecular biology, 429(3), pp.356-364.)において Chothia Numbering Schemeにより特定する。
【0021】
抗体の抗原への結合および結合親和性は、酵素免疫測定法(EIA)(ELISAを含む)、放射免疫測定法(RIA)、化学発光免疫測定法(CIA)、蛍光免疫測定法(FIA)などの免疫測定法や、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイなどにより確認することができる。ある実施形態において、抗preS1抗体は、10
-8M以下、例えば10
-8M〜10
-13M、10
-8M〜10
-12M、10
-9M〜10
-12M、または10
-9M〜10
-11Mの解離定数 (Kd) を有する。ある実施形態において、結合親和性は、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイにより測定される。
【0022】
本開示の抗体は、PLGFFPDHQLDPAFG(配列番号2)、NSNNPDWDFNPN(配列番号3)、またはDPAFGANSNN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むペプチド、またはこれらアミノ酸配列からなるペプチドを免疫原として用いて、あるいは、NNPDWDFNP(配列番号17)、NNPDWDFN(配列番号21)、またはGFFPDHQLD(配列番号80)のアミノ酸配列を含むペプチド、またはこれらアミノ酸配列からなるペプチドを免疫原として用いて、一般的な方法により取得することができる。免疫原は、通常のペプチド合成法により、例えば遺伝子工学的手法または化学合成により、作製することができる。あるいは、本開示の抗体は、遺伝子工学的手法を用いて抗体遺伝子を含む発現ベクターを作製し、細胞で発現させることによっても、得ることができる。
【0023】
ポリクローナル抗体は、「Antibodies: A Laboratory Manual, Lane, H. D. et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989」などに記載の一般的な方法により作製することができる。具体的には、前記の免疫原により、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等の哺乳動物を免疫することで、作製することができる。
【0024】
モノクローナル抗体は、抗体を産生するハイブリドーマを作製する方法や、遺伝子工学的手法を用いて抗体遺伝子を含む発現ベクターを作製して細胞で発現させる方法など、公知の方法により取得することができる。
【0025】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマは、Kohler et al., Nature 256:495, 1975に記載の方法に準じて作製することができる。まず、免疫原を、抗原性を高めるための適当な物質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニンやウシ血清アルブミン等)、および必要に応じて免疫賦活剤(フロイントの完全若しくは不完全アジュバント等)とともに混合し、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等の非ヒト哺乳動物に免疫する。通常、免疫動物は3〜10日間隔で複数回免疫され、免疫原であるペプチドは1〜100μgが投与される。次いで、複数回の免疫を経た免疫動物から免疫担当細胞(免疫動物において抗体産生能を有する細胞)を回収し、自己抗体産生能のないミエローマ細胞(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物に由来する細胞)と、細胞融合させる。細胞融合には、ポリエチレングリコール法、電気融合法などが用いられる。さらに、融合細胞が有する選択マーカーに基づき細胞融合に成功した細胞を選択し、選択された細胞が産生する抗体の免疫源に対する反応性を、前述の免疫測定法などにより確認することにより、目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが得られる。モノクローナル抗体は、得られたハイブリドーマをインビトロで培養した培養上清から単離することができる。また、マウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等の腹水中等のインビボで培養し、腹水から単離することもできる。
【0026】
モノクローナル抗体は、また、抗体遺伝子を含む発現ベクターを作製し宿主細胞で発現させることにより、得ることができる(P.J.Delves., ANTIBODY PRODUCTION ESSENTIAL TECHNIQUES., 1997 WILEY; P.Shepherd and C.Dean., Monoclonal Antibodies., 2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS; J.W. Goding., Monoclonal Antibodies:principles and practice., 1993 ACADEMIC PRESS)。さらに、トランスジェニック動物作製技術を用いて、目的とする抗体の遺伝子が内在性遺伝子に組み込まれたトランスジェニック動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタ)を作製し、そのトランスジェニック動物のミルク中からその抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を取得することもできる。
【0027】
得られたモノクローナル抗体は、当該分野において周知の方法、例えばプロテインAカラムによるクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、硫安塩析法、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー等を適宜組み合わせることにより、精製することができる。
【0028】
キメラ抗体は、互いに由来の異なる配列を含む抗体であり、例えば、互いに由来の異なる可変領域と定常領域とを連結した抗体である。ある実施形態において、キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来の抗体の可変領域と、ヒト抗体由来の定常領域から構成される。キメラ抗体は、例えば、ヒト以外の哺乳動物由来の抗体の可変領域をコードするポリヌクレオチドとヒト抗体の定常領域をコードするポリヌクレオチドを連結し、これを発現ベクターに組み込み、この発現ベクターを宿主に導入して発現させることによって、取得することができる。
【0029】
CDRは、実質的に抗体の結合特異性を決定する領域であり、そのアミノ酸配列は多様性に富む。一方、FRを構成するアミノ酸配列は、異なる結合特異性を有する抗体の間でも高い相同性を示す。そのため、CDRの移植によって、ある抗体の結合特異性を他の抗体に移植することができる。
【0030】
ヒト化抗体は、一般に、ヒト以外の動物由来の抗体のCDRと、ヒト抗体由来のFRおよびヒト抗体由来の定常領域とから構成される。ヒト化抗体は、ヒト以外の動物由来の抗体のCDRをヒト抗体に移植することにより得ることができる。ヒト化抗体は種々の方法により作製することができるが、一例として、Overlap Extension PCRが挙げられる(Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008))。本方法では、ヒト以外の動物由来の抗体(例えばマウス抗体)のCDRとヒト抗体のFRとの末端にオーバーラップする部分を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行い、ヒト以外の動物由来の抗体のCDRとヒト抗体のFRとが連結されたポリヌクレオチドを合成する。次いで、得られたポリヌクレオチドをヒト抗体の定常領域をコードするポリヌクレオチドと連結し、発現ベクターに組み込んで、この発現ベクターを宿主に導入して発現させることにより、ヒト化抗体を取得することができる。
【0031】
ヒト化抗体の作製に好適なFRの選択方法は公知であり、例えば、ベストフィット法(Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993))により選択されたFRや、ヒト抗体の軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのコンセンサス配列に由来するFR(Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285 (1992); Presta et al. J. Immunol. 151:2623 (1993))を用いることができる。
【0032】
ヒト抗体は、例えば、ヒトリンパ球をインビトロで所望の抗原で感作し、次いで、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞と融合させることによって取得することができる(特公平1-59878号公報)。融合パートナーであるヒトミエローマ細胞には、例えばU266などを利用することができる。また、ヒト抗体は、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することによっても取得することができる(Lonberg, Nat. Biotech. 23: 1117-1125, 2005)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている(Antibody Phage Display: Methods and Protocols, Methods in Molecular Biology 178, 2001)。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択し、選択されたファージの遺伝子を解析することにより、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。次いで、この可変領域配列をヒト抗体定常領域の配列とインフレームで連結し、適当な発現ベクターに挿入して、この発現ベクターを宿主に導入して発現させることにより、ヒト抗体を取得することができる。
【0033】
多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に結合する抗体である。多重特異性抗体としては、二重特異性抗体、三重特異性抗体などが挙げられる。ある実施形態において、多重特異性抗体は、preS1抗原と、1以上の他の抗原とに結合する。多重特異性抗体は、例えば、遺伝子工学的手法により、あるいは認識抗原が異なる2つ以上の抗体を結合することにより、作製することができる。
【0034】
抗体断片は、例えば、パパイン、ペプシン等のプロテアーゼにより抗体を消化することにより得ることができる。あるいは、抗体断片をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入し発現させることで得ることができる(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976; Better, M. and Horwitz, A. H., Methods Enzymol. (1989) 178, 476-496; Pluckthun, A. and Skerra, A., Methods Enzymol. (1989) 178, 497-515; Lamoyi, E., Methods Enzymol. (1986) 121, 652-663; Rousseaux, J. et al., Methods Enzymol. (1986) 121, 663-669; Bird, R. E. and Walker, B. W., Trends Biotechnol. (1991) 9, 132-137; Hudson et al., Nat. Med., (2003) 9, 129-134)。
【0035】
前述のように、抗体は、これをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを細胞に導入して発現させることにより、得ることができる。具体的には、抗体をコードする配列がエンハンサーやプロモーターなどの発現制御領域のもとで発現するよう発現ベクターを構築し、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換して、抗体を発現させる。
【0036】
すなわち、本開示はまた、抗preS1抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および前記抗体を発現可能なポリヌクレオチドを含む形質転換細胞を提供する。
【0037】
宿主細胞としては、例えば、動物細胞、植物細胞、真菌細胞などの真核細胞を用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞(例えば、CHO、COS、NIH3T3、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero)、両生類細胞(例えばアフリカツメガエル卵母細胞)、または昆虫細胞(例えば、Sf9、Sf21、Tn5)が挙げられる。真菌細胞としては、酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、糸状菌(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))などが挙げられる。また、大腸菌(E. coli)(例えば、JM109、DH5α、HB101等)、枯草菌などの原核細胞を宿主細胞として用いることもできる。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リポフェクションなどの方法により行うことができる。
【0038】
得られた抗体の抗原への結合は、EIA(ELISAを含む)、RIA、CIA、FIAなどの免疫測定法や、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイなどにより確認することができる。
【0039】
抗体の抗原への結合は、競合アッセイにより確認することもできる。例えば、抗体が、本明細書に記載の(a)〜(i)のいずれかの抗体、(a’)〜(i’)のいずれかの抗体、(a’’)〜(i’’)のいずれかの抗体、(a’’’)〜(i’’’)のいずれかの抗体、または(a’’’’)〜(i’’’’)のいずれかの抗体と、preS1抗原への結合において競合するか否かを調べることにより、確認することができる。
【0040】
ある実施形態において、本開示の抗体は、本明細書に記載の(a)〜(i)のいずれかの抗体、(a’)〜(i’)のいずれかの抗体、(a’’)〜(i’’)のいずれかの抗体、(a’’’)〜(i’’’)のいずれかの抗体、または(a’’’’)〜(i’’’’)のいずれかの抗体と、preS1抗原への結合において競合する抗体である。本明細書において、所定の抗体(すなわち、参照抗体)と競合する抗体とは、参照抗体のpreS1抗原への結合を有意に減少させる抗体を意味する。競合実験は、以下のように行うことができる。まず、試験抗体と参照抗体とを種々のモル比で混合する。試験抗体は、通常、参考抗体に対して過剰量で(例えば、1倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍)用いられる。参照抗体は、適当な標識(例えばビオチン)で標識されていてもよい。次いで、前記混合物を、preS1抗原を固相化したプレートに添加し、反応させた後、プレートを洗浄し、検出試薬(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)で標識した二次抗体、または、ビオチン化した試験抗体を用いた場合、HRP-ストレプトアビジン)を添加して、preS1抗原に結合した標識参照抗体の量を測定する。ある実施形態において、本開示の抗体は、参照抗体のpreS1抗原への結合を、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%以上減少させる。
【0041】
さらなる実施形態において、本開示の抗体は、本明細書に記載の(a’)〜(i’)のいずれかの抗体、(a’’’)〜(i’’’)のいずれかの抗体、または(a’’’’)〜(i’’’’)のいずれかの抗体と、preS1抗原への結合において競合する抗体;本明細書に記載の(a’)〜(i’)のいずれかの抗体または(a’’’)〜(i’’’)のいずれかの抗体と、preS1抗原への結合において競合する抗体;または、本明細書に記載の(a’’’)〜(i’’’)のいずれかの抗体と、preS1抗原への結合において競合する抗体である。
【0042】
ある実施形態において、本開示の抗体は、PLGFFPDHQLDPAFG(配列番号2)、NSNNPDWDFNPN(配列番号3)、またはDPAFGANSNN(配列番号4)から選択されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する。ある実施形態において、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体は、GFFPDHQLD(配列番号80)のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体である。別の実施形態において、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体は、NNPDWDFNP(配列番号17)またはNNPDWDFN(配列番号21)のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体である。所定のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合するか否かは、実施例に記載するように、当該アミノ酸配列からなるペプチドに結合するか否かを調べることにより、確認することができる。
【0043】
別の実施形態において、本開示の抗体は、以下の(a)〜(i)から選択される:
(a)配列番号24のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号25のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号26のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号28のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号29のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号30のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b)配列番号32のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号37のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c)配列番号32のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号43のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号45のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号47のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f)配列番号50のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号51のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号52のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号54のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号55のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号56のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号60のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号63のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i)配列番号65のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号66のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号67のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号69のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号70のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号71のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体。
【0044】
さらなる実施形態において、本開示の抗体は、以下の(a’)〜(i’)から選択される:
(a’)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’)配列番号65のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号66のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR3。
【0045】
さらなる実施形態において、本開示の抗体は、以下の(a’’)〜(i’’)から選択される:
(a’’)配列番号23のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号23のアミノ酸配列もしくは配列番号23のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号27のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号27のアミノ酸配列もしくは配列番号27のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’’)配列番号31のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号31のアミノ酸配列もしくは配列番号31のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号35のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号35のアミノ酸配列もしくは配列番号35のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’’)配列番号31のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号31のアミノ酸配列もしくは配列番号31のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号39のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号39のアミノ酸配列もしくは配列番号39のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’’)配列番号41のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号41のアミノ酸配列もしくは配列番号41のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号44のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号44のアミノ酸配列もしくは配列番号44のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’’)配列番号46のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号46のアミノ酸配列もしくは配列番号46のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号48のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号48のアミノ酸配列もしくは配列番号48のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’’)配列番号49のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号49のアミノ酸配列もしくは配列番号49のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号53のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号53のアミノ酸配列もしくは配列番号53のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’’)配列番号57のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号57のアミノ酸配列もしくは配列番号57のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号59のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号59のアミノ酸配列もしくは配列番号59のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’’)配列番号57のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号57のアミノ酸配列もしくは配列番号57のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号62のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号62のアミノ酸配列もしくは配列番号62のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’’)配列番号64のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号64のアミノ酸配列もしくは配列番号64のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号68のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号68のアミノ酸配列もしくは配列番号68のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体。
【0046】
さらなる実施形態において、本開示の抗体は、以下の(a’’’)〜(i’’’)から選択される:
(a’’’)配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’’’)配列番号41のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’’’)配列番号46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’’’)配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’’’)配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体。
【0047】
ある実施形態において、本開示の抗体は、、以下の(a’’’’)〜(i’’’’)から選択される:
(a’’’’)配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’’’’)配列番号41のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’’’’)配列番号46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’’’’)配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’’’’)配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体。
本実施形態において、CDRの特定方法は任意である。好ましくは、CDRは、Kabatの定義 (Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. 1991)、Chothiaの定義(Chothia et al., J. Mol. Biol., 1987; 196: 901-917)、AdMの定義 (Martin et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1989; 86: 9268-9272)、Contactの定義 (MacCallum et al., J. Mol. Biol. 1996; 262: 732-745)、およびIMGTの定義(Lefranc et al., Dev Comp Immunol. 2003; 27(1): 55-77)のいずれかにより特定される。
【0048】
本明細書において、所定のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列には、その所定のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列と、その所定のアミノ酸からなる配列とが包含される。
【0049】
本明細書において、所定の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域または軽鎖可変領域、および、所定の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域または軽鎖可変領域には、その所定の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるCDRに改変が生じていない抗体が含まれる。
【0050】
本明細書における、アミノ酸配列に関する「配列同一性」とは、比較対象の配列の全領域にわたって最適な状態に(一致が最大となる状態に)アラインメントされた2つの配列間で一致するアミノ酸残基の割合を意味する。ここで、比較対象の配列は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加または欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。配列同一性は、公共のデータベース(例えば、DDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp))で提供されるFASTA、BLAST、CLUSTAL W等のプログラムを用いて算出することができる。あるいは、市販の配列解析ソフトウェア(例えば、Vector NTI(登録商標)ソフトウェア、GENETYX(登録商標) ver. 12)を用いて求めることもできる。
【0051】
アミノ酸配列を改変し所望の特性を有する抗体を得る方法として、様々な方法が知られている。例えば、結合親和性を改善した変異体は、ファージディスプレイに基づく方法により得ることができる。この方法では、例えば、アラニンスキャニング変異導入法により抗体と抗原の相互作用に影響するアミノ酸残基を同定するか、あるいは、抗原抗体複合体の結晶構造を解析して抗体と抗原の間の接触点を同定するなどして、変異導入部位を決定する。この部位のアミノ酸を改変した変異体をエラープローンPCRや部位特異的変異導入などにより作製し、得られた変異体のライブラリーをスクリーニングすることにより、所望の特性を有する変異体を得ることができる。
【0052】
抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や補体依存性細胞傷害(CDC)活性または体内動態の調節のため、イムノグロブリンのサブクラスが選択されていてもよく、Fc領域のアミノ酸配列または糖鎖が改変されていてもよい。例えば、補体活性化能の低減を目的として、IgG4が選択されうる。また、Fc受容体またはC1qへの結合性を低減または増強する改変、血中半減期の延長のためFcRnへの結合親和性を上昇させる改変などが行われうる。
【0053】
抗体は、また、例えば抗体の血中半減期の延長、または安定性の改善等のため、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンまたはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーなどのポリマーと結合していてもよい。抗体は、また、化学療法剤、毒性ペプチド、放射性化学物質などと結合していてもよい。
【0054】
2種以上の本開示の抗体を組み合わせて使用することもできる。ある実施形態において、本開示の抗体の組み合わせは、異なるエピトープに結合する抗体の組み合わせである。また、本開示の抗体は、本開示の抗preS1抗体とは異なるエピトープに結合する抗HBs抗体と組み合わせても良い。ある実施形態において、本開示の抗preS1抗体は、抗S抗体または抗preS2抗体と組み合わせて使用される。
【0055】
2.preS1抗原の測定
本開示の抗体は、preS1抗原の測定に用いることができる。本開示の方法は、対象から得た試料を本開示の抗体と接触させること、およびpreS1抗原と抗体との複合体を検出することを含む。
【0056】
対象には、HBVに感染している対象およびHBVへの感染が疑われる対象が含まれる。対象から得る試料は、preS1抗原を含むものであればよく、例えば、血液、血漿、血清、尿、汗、乳汁、初乳、涙液、唾液、精液、膣分泌物などが挙げられる。本明細書における「対象から得た試料」なる用語は、対象から得た試料そのもののみならず、当該試料中のpreS1抗原と抗preS1抗体との複合体の形成のために必要な処理を施した後の試料を包含する意味で用いられる。
【0057】
preS1抗原と抗体との複合体は、当業界に知られるいずれの方法で測定してもよい。測定方法としては、例えば、EIA(ELISAを含む)、RIA、CIA、FIA、ラテックス凝集反応に基づく方法などの免疫測定法が挙げられる。
【0058】
抗体は、測定方法に応じて修飾されていてもよい。例えば、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ)、蛍光物質(例えば、フルオレセイン、ローダミン)、放射性同位元素(例えば、
3H、
14C、
32P、
35Sまたは
125I)などで標識されていてもよく、アビジンと結合した標識を結合させるため、ビオチンで修飾されていてもよい。
【0059】
免疫測定法には、直接法、間接法、競合法、サンドイッチ法などがある。各方法は、通常、以下のように実施される。直接法では、固相化した抗原を、標識した抗原特異的な抗体と接触させる。間接法では、固相化した抗原を、抗原特異的な一次抗体と接触させ、続いて一次抗体に特異的な標識した二次抗体と反応させる。サンドイッチ法では、固相化した抗原特異的な抗体を抗原と接触させ、続いて標識した(または標識との結合のため修飾した)別の抗原特異的な抗体を、固相化抗体に結合した抗原と接触させる。競合法では、固相化した抗原特異的な抗体を、測定対象の抗原および既知濃度の標識抗原と同時に接触させる。洗浄後、標識に基づいて、抗原抗体複合体を測定することができる。
【0060】
ある実施形態において、preS1抗原と抗体との複合体は、ELISAにより測定される。さらなる実施形態において、preS1抗原と抗体との複合体は、サンドイッチELISAにより測定される。サンドイッチELISAの一実施形態では、使用する抗preS1抗体とは異なるエピトープに結合する抗HBs抗体をマイクロプレートなどの固相に固定し、対象から得た試料を添加する。洗浄後、固相に抗preS1抗体を添加し、標識に基づきpreS1抗原と抗preS1抗体との複合体を測定する。あるいは、抗preS1抗体を固相に固定化し、これとは異なるエピトープに結合する抗HBs抗体によって、抗原と抗preS1抗体との複合体を測定してもよい。
【0061】
ある実施形態において、本開示の方法は、本開示の抗preS1抗体と、抗S抗体または抗preS2抗体との組み合わせを用いる。さらなる実施形態において、本開示の方法は、本開示の抗preS1抗体と抗S抗体との組み合わせを用いる。例えば、本開示の抗preS1抗体を検出用抗体とし、抗S抗体を固相化抗体として、あるいは、本開示の抗preS1抗体を固相化抗体とし、抗S抗体を検出用抗体として、使用することができる。本開示の抗体のエピトープと離れた部位にあるエピトープを認識する抗体を用いることにより、精度のよい測定を行うことができる。抗S抗体としてはHyb-824およびHyb-5124A、抗preS2抗体としてはHyb-5520(いずれも株式会社特殊免疫研究所)などの市販の抗体を用いることができる。また、抗S抗体および抗preS2抗体は、SドメインまたはpreS2ドメインの全体または一部のアミノ酸配列を有するポリペプチドを免疫原として、本開示の記載にしたがい作製することができる。
【0062】
preS1抗原を測定することにより、HBV感染を評価することができる。preS1抗原の測定は、HBV感染について、感染性のあるHBV粒子と小型球形粒子とを区別できない抗HBs抗体を用いた方法や、HBe抗原もしくはHBcr抗原またはこれらに対する抗体、またはHBV DNA量を測定する方法とは異なる新たな情報を与えることができる。HBV感染の評価には、感染の有無の判定、HBV感染の病態の判定、HBV感染に対する治療効果の判定、HBV感染対象の予後の判定などが含まれる。HBV感染の評価結果は、HBV感染に対する治療の開始または中止もしくは中断に有用な情報を提供しうる。
【0063】
HBV感染の評価は、対象のpreS1抗原の測定値と基準値とを比較することにより行われる。基準値は、評価の目的に応じて適宜設定される。基準値は、対象から得た試料と同時に測定した別の試料の測定値であってもよく、事前の測定により設定された値であってもよい。比較には、標準的な統計学的方法を用いることができる。
【0064】
ある実施形態において、基準値は、preS1抗原を含まない試料(ネガティブコントロール)の測定値である。別の実施形態において、基準値は、HBVに感染していない複数の対象の測定値から設定された値(例えば、平均値)である。対象の測定値が基準値より高い場合(すなわち、preS1抗原が検出された場合)、対象はHBVに感染していると判定することができる。また、対象の測定値が高いほど、HBV感染が重症であると判定することができる。例えば、測定値が高いほど、対象における感染性のHBV粒子が多く、肝内のHBV cccDNA(covalently closed circular DNA)量が多いと判定することができ、治療中止後の再増悪の可能性が高いと判定しうる。あるいは、測定値が高いほど、HBs抗原の消失または持続性感染の消失の見込みが低いと判定しうる。
【0065】
さらなる実施形態において、基準値は、同じ対象の以前の測定値である。対象の測定値が基準値より高い場合、HBV感染が進行していると判定され、基準値より低い場合、HBV感染が改善していると判定される。
【0066】
さらなる実施形態において、基準値は、HBV感染の所定の病態または予後の複数の対象の測定値から設定された値である。例えば、対象の測定値が基準値より高い場合、または低い場合に、対象が前記所定の病態または予後を有すると判定される。
【0067】
本開示の抗体は、preS1抗原の測定用組成物またはキット、およびHBV感染の評価用組成物またはキットに含まれていてもよい。測定用組成物は、本開示の抗体に加え、水、グリセロール、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、緩衝剤などを含んでよく、その形態は限定されず、例えば、液体であっても固体(例えば、凍結乾燥粉末)であってもよい。ある実施形態において、キットは、本開示の抗体に加え、抗S抗体または抗preS2抗体を含む。さらなる実施形態において、キットは、本開示の抗体に加え、抗S抗体を含む。例えば、本開示の抗preS1抗体を検出用抗体とし、抗S抗体を固相化抗体として、あるいは、本開示の抗preS1抗体を固相化抗体とし、抗S抗体を検出用抗体として、含むことができる。キットは、さらに、測定方法に応じた機器および/または試薬を含みうる。例えば、キットは、マイクロプレートなどの固相、標準抗原としてのpreS1抗原、反応用および/または希釈用緩衝液、発色試薬、反応停止液および使用説明書などを含んでよい。本開示の抗体または抗S抗体もしくは抗preS2抗体が、キット中の固相に結合していてもよい。
【0068】
3.医薬組成物
本開示の抗体は、医薬組成物の有効成分として使用することができる。ある実施形態において、本開示の抗体は、HBV感染の治療または予防に用いられる。HBV感染の治療には、HBV感染による症状または疾患の治療、例えば慢性または急性B型肝炎および肝硬変の治療が含まれる。HBV感染の予防には、HBVの汚染針の受針事故後の感染予防、輸血または臓器移植の後の感染予防などが含まれる。
【0069】
本開示の抗体は、所望の効果(例えば、HBV感染の治療または予防)を発揮しうる量(本明細書において、有効量という)で対象に投与される。抗体の投与量は、投与方法、投与対象の年齢、体重、健康状態等によって適宜選択される。例えば、成人1日あたり、10 μg/kg〜100 mg/kg、100 μg/kg〜10 mg/kg、または1 mg/kg〜10 mg/kgを、連日、または数日、1週間もしくは数週間に1回、投与することができるが、これに限定されない。抗体の投与方法も、投与対象の年齢、体重、健康状態等によって適宜選択される。投与方法は、経口投与であっても非経口投与であってもよいが、非経口投与が好ましい。非経口投与としては、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、静脈内投与などが挙げられるが、静脈内投与によることが好ましい。
【0070】
医薬組成物は、常法により製剤化することができる。医薬組成物は、抗体に加えて、滅菌水、生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤、キレート剤、結合剤などの、医薬上許容される担体または添加剤を含むことができる。
【0071】
ある実施形態において、医薬組成物は、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体;または、(a)、(a')、(a’')、(a’’’)または(a’’’’)の抗体を含む。別の実施形態において、医薬組成物は、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体;または、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体を含む。別の実施形態において、医薬組成物は、配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体;または、(i)、(i')、(i’')、(i’’’)または(i’’’’)の抗体を含む。
【0072】
医薬組成物の有効成分として、2種以上の本開示の抗体を併用してもよい。ある実施形態において、前記2種以上の本開示の抗体は、異なるエピトープに結合する抗体を含む。さらなる実施形態において、前記2種以上の本開示の抗体は、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体;または、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体と、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体とを含む。さらなる実施形態において、前記2種以上の本開示の抗体は、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と、配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体;または、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体と、(i)、(i')、(i’')、(i’’’)または(i’’’’)の抗体とを含む。さらなる実施形態において、前記2種以上の本開示の抗体は、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と、配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体;または、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体と、(i)、(i')、(i’')、(i’’’)または(i’’’’)の抗体とを含む。本開示の抗体は、本開示の抗体とは異なる抗HBs抗体と併用してもよく、他のHBV感染治療薬と併用してもよい。他の治療薬としては、インターフェロン(例えば、ペグインターフェロンα−2a)および核酸アナログ(例えば、ラミブジン、アデホビル、エンテカビル、テノホビル)が挙げられる。本明細書において、2種以上の有効成分を併用する場合、その全てまたは一部の有効成分が同一の組成物に含まれていてもよく、全ての薬剤が別の組成物に含まれていてもよい。また、2種以上の有効成分の投与スケジュールは同じであっても異なっていても良い。
【0073】
本開示の例示的実施形態を以下に記載する。
【0074】
[1]
抗preS1抗体であって、配列番号2、3および4から選択されるアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する、抗体。
[2]
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する、前記1に記載の抗体。
[3]
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体が、配列番号80のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体である、前記2に記載の抗体。
[4]
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する、前記1に記載の抗体。
[5]
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体が、配列番号17または配列番号21のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体である、前記4に記載の抗体。
[6]
以下の(a)〜(i)から選択される、前記1〜5のいずれかに記載の抗体:
(a)配列番号24のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号25のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号26のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号28のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号29のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号30のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b)配列番号32のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号37のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c)配列番号32のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号43のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号45のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号47のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f)配列番号50のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号51のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号52のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号54のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号55のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号56のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号60のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号63のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i)配列番号65のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号66のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号67のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号69のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号70のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号71のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体。
[7]
抗preS1抗体であって、以下の(a)〜(i)から選択される、抗体:
(a)配列番号24のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号25のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号26のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号28のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号29のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号30のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b)配列番号32のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号37のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c)配列番号32のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号43のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号45のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号47のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f)配列番号50のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号51のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号52のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号54のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号55のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号56のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号60のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h)配列番号42のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号63のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i)配列番号65のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号66のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号67のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号69のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号70のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号71のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体。
[8]
抗体が、以下の(a’)〜(i’)のいずれかの抗体である、前記1〜7のいずれかに記載の抗体:
(a’)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’)配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’)配列番号65のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号66のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号67のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域、および、
配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR1、
配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR2、および
配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR3。
[9]
抗体が、以下の(a’’)〜(i’’)のいずれかの抗体である、前記1〜8のいずれかに記載の抗体:
(a’’)配列番号23のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号23のアミノ酸配列もしくは配列番号23のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号27のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号27のアミノ酸配列もしくは配列番号27のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’’)配列番号31のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号31のアミノ酸配列もしくは配列番号31のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号35のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号35のアミノ酸配列もしくは配列番号35のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’’)配列番号31のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号31のアミノ酸配列もしくは配列番号31のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号39のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号39のアミノ酸配列もしくは配列番号39のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’’)配列番号41のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号41のアミノ酸配列もしくは配列番号41のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号44のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号44のアミノ酸配列もしくは配列番号44のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’’)配列番号46のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号46のアミノ酸配列もしくは配列番号46のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号48のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号48のアミノ酸配列もしくは配列番号48のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’’)配列番号49のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号49のアミノ酸配列もしくは配列番号49のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号53のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号53のアミノ酸配列もしくは配列番号53のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’’)配列番号57のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号57のアミノ酸配列もしくは配列番号57のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号59のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号59のアミノ酸配列もしくは配列番号59のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’’)配列番号57のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号57のアミノ酸配列もしくは配列番号57のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号62のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号62のアミノ酸配列もしくは配列番号62のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’’)配列番号64のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号64のアミノ酸配列もしくは配列番号64のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および
配列番号68のアミノ酸配列と80%、85%、90%、または95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、配列番号68のアミノ酸配列もしくは配列番号68のアミノ酸配列において1〜20個、1〜10個、1〜5個、または1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体。
[10]
抗体が、以下の(a’’’)〜(i’’’)のいずれかの抗体である、前記1〜9のいずれかに記載の抗体:
(a’’’)配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’’’)配列番号41のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’’’)配列番号46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’’’)配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’’’)配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体。
[11]
抗体が、以下の(a’’’’)〜(i’’’’)のいずれかの抗体である、前記1〜10のいずれかに記載の抗体:
(a’’’’)配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(b’’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(c’’’’)配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(d’’’’)配列番号41のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(e’’’’)配列番号46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(f’’’’)配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(g’’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;
(h’’’’)配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体;および
(i’’’’)配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域、および配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域におけるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗体。
[12]
preS1抗原への結合において前記7〜11のいずれかに記載の抗体と競合する、抗preS1抗体。
[13]
preS1抗原への結合において前記8、10、または11に記載の抗体と競合する、前記12に記載の抗preS1抗体。
[14]
preS1抗原への結合において前記8または10に記載の抗体と競合する、前記12に記載の抗preS1抗体。
[15]
preS1抗原への結合において前記10に記載の抗体と競合する、前記12に記載の抗preS1抗体。
【0075】
[16]
2種以上の抗preS1抗体の組み合わせであって、前記2種以上の抗preS1抗体が前記1〜15のいずれかに記載の抗体から独立に選択される、組み合わせ。
[17]
2種以上の抗preS1抗体が、
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体;
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体;または
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体、
を含む、前記16に記載の組み合わせ。
[18]
2種以上の抗preS1抗体が、
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体
を含む、前記17に記載の組み合わせ。
[19]
2種以上の抗preS1抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体
を含む、前記17に記載の組み合わせ。
[20]
2種以上の抗preS1抗体が、
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体、および、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体;
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体、および、(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体;または
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体、および、(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体
を含む、前記17に記載の組み合わせ。
[21]
2種以上の抗preS1抗体が、
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体、および、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体
を含む、前記18に記載の組み合わせ。
[22]
2種以上の抗preS1抗体が、
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体、および、(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体
を含む、前記19に記載の組み合わせ。
[23]
2種以上の抗preS1抗体が、
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および(b)、(b’)、(b’’)、(b’’’)または(b’’’’)の抗体;
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体;
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および(g)、(g’)、(g’’)、(g’’’)または(g’’’’)の抗体;
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体;または
(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体および(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体
を含む、前記20に記載の組み合わせ。
【0076】
[24]
preS1抗原の測定方法であって、
対象から得た試料を前記1〜15のいずれかに記載の抗体と接触させること、および
preS1抗原と前記抗体との複合体を検出すること
を含む方法。
[25]
抗体が、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体である、前記24に記載の方法。
[26]
抗体が、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される抗体である、前記24に記載の方法。
[27]
preS1抗原と前記抗体との複合体をELISAにより検出する、前記24〜26のいずれかに記載の方法。
[28]
前記1〜15のいずれかに記載の抗体と、これとは異なるエピトープに結合する抗HBs抗体とを用いる、前記24〜27のいずれかに記載の方法。
[29]
抗HBs抗体が、抗S抗体または抗preS2抗体である、前記28に記載の方法。
【0077】
[30]
B型肝炎ウイルス感染の評価方法であって、
前記24〜29のいずれかに記載の方法によりpreS1抗原を測定すること、および
前記測定値を基準値と比較すること
を含む方法。
[31]
有効量の前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを対象に投与することをさらに含む、前記30に記載の方法。
【0078】
[32]
前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを含む、preS1抗原の測定用組成物。
[33]
前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを含む、B型肝炎ウイルス感染の評価用組成物。
[34]
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体を含む、前記32または33に記載の組成物。
[35]
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される抗体を含む、前記32または33に記載の組成物。
【0079】
[36]
前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを含む、preS1抗原の測定用キット。
[37]
前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを含む、B型肝炎ウイルス感染の評価用キット。
[38]
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体を含む、前記36または37に記載のキット。
[39]
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される抗体を含む、前記36または37に記載のキット。
[40]
前記1〜15のいずれかに記載の抗体とは異なるエピトープに結合する抗HBs抗体をさらに含む、前記36〜39のいずれかに記載のキット。
[41]
抗HBs抗体が、抗S抗体または抗preS2抗体である、前記40に記載のキット。
【0080】
[42]
前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを含む、医薬組成物。
[43]
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体を含む、前記42に記載の医薬組成物。
[44]
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体を含む、前記42に記載の医薬組成物。
[45]
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体を含む、前記42に記載の医薬組成物。
[46]
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体を含む、前記42に記載の医薬組成物。
[47]
配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する抗体を含む、前記42に記載の医薬組成物。
[48]
(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体を含む、前記42に記載の医薬組成物。
[49]
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および/または配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および/または配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む、;
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および/または配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および/または配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む;または
配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および/または配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体および/または配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む、
前記42に記載の医薬組成物。
[50]
配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む;または
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号2のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む、
前記49に記載の医薬組成物。
[51]
配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む;または
配列番号4のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体を含み、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体と併用されるか、配列番号3のアミノ酸配列に含まれるエピトープに結合する1種以上の抗体をさらに含む、
前記49に記載の医薬組成物。
[52]
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体を含み、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体および/または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体と併用されるか、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体および/または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体をさらに含む;
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および/または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および/または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体をさらに含む;または、
(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および/または(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体および/または(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体をさらに含む、
前記42に記載の医薬組成物。
[53]
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体を含み、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体と併用されるか、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体をさらに含む;または
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体をさらに含む、
前記52に記載の医薬組成物。
[54]
(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体を含み、(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体と併用されるか、(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体をさらに含む;または、
(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体を含み、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体と併用されるか、(b)〜(h)、(b’)〜(h’)、(b’’)〜(h’’)、(b’’’)〜(h’’’)または(b’’’’)〜(h’’’’)から選択される1種以上の抗体をさらに含む、
前記52に記載の医薬組成物。
[55]
(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体を含み、(b)、(b’)、(b’’)、(b’’’)または(b’’’’)の抗体、(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体、(g)、(g’)、(g’’)、(g’’’)または(g’’’’)の抗体、または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体と併用されるか、(b)、(b’)、(b’’)、(b’’’)または(b’’’’)の抗体、(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体、(g)、(g’)、(g’’)、(g’’’)または(g’’’’)の抗体、または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体をさらに含む;
(b)、(b’)、(b’’)、(b’’’)または(b’’’’)の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体をさらに含む;
(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体または(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体をさらに含む;
(g)、(g’)、(g’’)、(g’’’)または(g’’’’)の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体をさらに含む;または
(i)、(i’)、(i’’)、(i’’’)または(i’’’’)の抗体を含み、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体または(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体と併用されるか、(a)、(a’)、(a’’)、(a’’’)または(a’’’’)の抗体または(c)、(c’)、(c’’)、(c’’’)または(c’’’’)の抗体をさらに含む、
前記52に記載の医薬組成物。
[56]
前記1〜15のいずれかに記載の抗体とは異なるエピトープに結合する抗HBs抗体と併用されるか、前記抗HBs抗体をさらに含む、前記42〜55のいずれかに記載の医薬組成物。
[57]
抗HBs抗体が、抗S抗体または抗preS2抗体である、前記56に記載の医薬組成物。
[58]
B型肝炎ウイルス感染の治療または予防のための、前記42〜57のいずれかに記載の医薬組成物。
[59]
慢性B型肝炎の治療のための、前記42〜58のいずれかに記載の医薬組成物。
【0081】
[60]
B型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための方法であって、その処置を必要とする対象に有効量の前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせを投与することを含む方法。
[61]
前記30に記載の方法により対象のB型肝炎ウイルス感染を評価することをさらに含む、前記60に記載の方法。
[62]
慢性B型肝炎の治療のための、前記60または61に記載の方法。
【0082】
[63]
B型肝炎ウイルス感染の治療または予防に使用するための、前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせ。
[64]
慢性B型肝炎の治療に使用するための、前記63に記載の抗体または組み合わせ。
【0083】
[65]
B型肝炎ウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造のための、前記1〜23のいずれかに記載の抗体または組み合わせの使用。
[66]
慢性B型肝炎の治療のための医薬の製造のための、前記65に記載の使用。
【実施例1】
【0084】
1.抗体の作製
HBs抗原のpreS1ドメインに由来する以下のペプチドを用いて、抗体を作製した。
【表1】
株式会社アイティーエムにおいて、ペプチド21-35、34-48、および37-55を混合してマウスに免疫し、腸骨リンパ節法によりハイブリドーマを取得した。また、株式会社スクラムにおいて、ペプチドPep1およびPep2を混合してマウスに免疫し、ハイブリドーマを取得した。
【0085】
得られたハイブリドーマが産生する抗体と、免疫に使用したペプチドを用いて、ELISAを行った。96ウェルポリスチレンプレートにそれぞれのペプチドを固相化し、ハイブリドーマの培養上清を添加してインキュベートした。洗浄後、ホースラディッシュパーオキシデース(HRP)で標識した抗マウスウサギ抗体を添加し、陽性反応を呈する上清を陽性とし、ペプチドに反応するハイブリドーマを選択した。表2の結果から、21-35、34-48、および37-55を用いて得たハイブリドーマからは、21-35に反応する抗体(15、25、41、および51)と、34-48および37-55の両方に反応する抗体(7、10、13、27、39、49、55、および63)とが得られたことがわかった(表2)。
【表2】
【0086】
34-48および37-55の両方に反応する抗体は、両ペプチドの共通部分(NSNNPDWDFNPN、配列番号3)にエピトープが存在すると考えられた。エピトープの決定のため、抗体7、10、および55について、表3に示すペプチドを用いてファインマッピングを行った。ELISAプレートにはアミノ基導入プレート(住友ベークライト)を使用した。重炭酸バッファー(pH9.6)で希釈した2%グルタルアルデヒド溶液200 μlを各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベーションして、アミノ基を活性化させた。200 μlの滅菌超純水で各ウェルを2回洗浄後、直ちに、0.2 Mリン酸緩衝液(pH6.0)を用いて100 μMの濃度に希釈した固相化用の各ペプチド溶液100 μlを各ウェルに添加して、4℃で一晩インキュベーションして固相化を行った。固相化後、ウェル中の抗体溶液を廃棄して、200 μlのリン酸緩衝食塩水(PBS, pH 7.4)で3回洗浄した。洗浄後の各ウェルに200 μlのブロッキング溶液(5% スキムミルクと0.05%のTween 20を含むPBS (pH 7.4))を添加し、37℃で1時間インキュベーションしてブロッキングを行った。その後、ウェル中のブロッキング溶液を廃棄して、200 μlのPBST(0.2% Tween 20を含むPBS, pH7.4)で3回洗浄した。ハイブリドーマの上清より精製された抗体をブロッキングバッファーで1 μg/mlの濃度に希釈し、100 μlずつ各ウェルに添加して、37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション後の各ウェルの溶液は廃棄し、300 μlのPBSTで3回洗浄した。洗浄後、HRPを標識した市販の抗体であるGoat anti-mouse IgG (H+L), HRP conjugate (Proteintech Group, Inc)をブロッキングバッファーで1:2000 (0.5 μg/ml)に希釈したものを各ウェルに100 μlずつ添加し、37℃で1時間のインキュベーションを行った。その後、各ウェルの溶液を除去し、300 μlのPBSTで3回洗浄した。次に、100 μlのTMB基質溶液を添加して37℃で15分間反応させ、2Mの硫酸溶液を100 μl添加して反応を止めて、450 nmにおける吸光度を測定した。
【0087】
表3の結果から、抗体7および10についてはNNPDWDFN(配列番号21)が、抗体55についてはNNPDWDFNP(配列番号17)がエピトープであるか、この配列中にエピトープが含まれる可能性が示された。
【表3】
【0088】
ペプチドPep1およびPep2を用いて得たハイブリドーマからは、6種類(1A、1B、1C、5A、5B、5C)の抗体が得られた。これら抗体はPep1とPep2の両方のペプチドに反応したことから、両ペプチドの共通部分(DPAFGANSNN、配列番号4)にエピトープが存在すると考えられた。
【0089】
これらのエピトープは各遺伝子型のHBVで配列同一性の高い部分あり(
図1)、これら抗体は各遺伝子型のpreS1抗原を認識すると考えられた。
【0090】
抗体の配列解析ツールであるabYsis(http://www.abysis.org/)により、得られた抗体の軽鎖および重鎖の可変領域(VR)、並びにそれらのCDR1、2および3の配列を特定した(
図2AおよびBおよび表4−1〜4−9)。可変領域およびCDRは、Chothia Numbering Schemeにより特定した。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【0091】
上記と同様にして、抗体41について、表5に示すペプチドを用いてファインマッピングを行った。表5の結果から、抗体41についてはGFFPDHQLD(配列番号80)がエピトープであるか、この配列中にエピトープが含まれる可能性が示された。
【表5】
【0092】
2.抗体によるHBV感染阻止
ヒト肝細胞キメラマウス(Tateno C, et al., PLoS One. 2015 Nov 4;10(11):e0142145)の肝臓から作製したヒト初代培養肝細胞を用いて、得られた抗体のHBV感染阻止効果を検討した。ヒト初代培養肝細胞(10
5 細胞)に、HBV(約20ウイルス粒子/細胞)と、抗体産生ハイブリドーマの培養上清または精製抗体とを添加し、13日間培養後、培養上清中のHBs抗原の量を、HBsAg検出キット(シスメックス株式会社)を用いてCLIA法により測定した。精製抗体は、拡大培養した抗体産生ハイブリドーマの培養上清から抗体精製カラム(プロテノバ株式会社)を用いて取得した。精製抗体および培養上清中の抗体濃度は、Mouse IgG1 ELISAキットを用いて定量した。結果は、各ウェルの測定値の平均(IU/mL)で示した。コントロールのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と比較して、各抗体は培養後のHBs抗原の産生を顕著に抑制しており、HBVの感染を阻止することが示された(
図3〜5)。特に、抗体7、10、13、39、49、55および63は高い感染阻止効果を示した(
図3)。
【0093】
同様に、ヒト初代培養肝細胞において、抗体41と、抗体7または10との組み合わせのHBV感染阻止効果を検討した。抗体41を産生するハイブリドーマの培養上清と、抗体7または10を産生するハイブリドーマの培養上清とを組み合わせることにより、感染阻止効果が増強されることが示された(
図6)。精製抗体である抗体41と抗体10または55との組み合わせによっても、相乗的な感染阻止効果の増強が観察された(
図7)。抗体49と抗体55とを組み合わせた場合、抗体49単独と比較して併用により用量依存的にウイルスの増殖抑制効果が増強された(
図8)。また、Sドメインにエピトープを持つHyb-824(株式会社特殊免疫研究所)のIgG3抗体(本明細書中、抗体824とも記載する)と抗体10または55との組み合わせによっても、感染阻止効果の増強が観察された(
図9)。
【0094】
3.preS1抗原の測定
(1)固相化に使用する抗体の検討(i)
ELISAプレートにはアミノ基導入プレート(住友ベークライト)を使用した。重炭酸バッファー(pH9.6)で希釈した2%グルタルアルデヒド溶液200 μlを各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベーションして、アミノ基を活性化させた。200 μlの滅菌超純水で各ウェルを2回洗浄後、直ちに、0.2 Mリン酸緩衝液(pH6.0)を用いて0.5 μg/mlの濃度に希釈した固相化用抗体の溶液100 μlを各ウェルに添加して、4℃で一晩インキュベーションして固相化を行った。固相化用抗体としては、抗体41またはSドメインにエピトープを持つハイブリドーマクローン5124AのIgM抗体(株式会社特殊免疫研究所)(本明細書中、抗体5124Aとも記載する)を使用した。また、血清中のHBVまたは酵素標識抗体の非特異的な吸着の観察のため、抗体を加えないウェルを準備し、抗体の固相化中は0.2 Mリン酸緩衝液のみ添加した。固相化後、ウェル中の抗体溶液を廃棄し、200 μlのリン酸緩衝食塩水(PBS, pH 7.4)で2回洗浄した。洗浄後の各ウェルに200 μlのブロッキング溶液(3% BSAを含むPBS (pH 7.4))を添加し、室温で2時間インキュベーションしてブロッキングを行った。その後、ウェル中のブロッキング溶液を廃棄し、HBV陽性被験者血清をブロッキング溶液で10倍に希釈したものを100 μlずつ各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。ネガティブコントロール(NTC)には血清を添加せず、ブロッキング溶液のみを添加した。インキュベーション後、各ウェルの溶液を廃棄し、300 μlのPBST(0.2% Tween 20を含むPBS, pH7.4)で3回洗浄した。洗浄後、HRPで標識した抗体55を1:1000(3 μg/ml)となるようにブロッキング溶液で希釈したものを各ウェルに100 μlずつ添加し、37℃で1時間のインキュベーションを行った。その後、各ウェルの溶液を除去し、300 μlのPBSTで3回洗浄した。次に、100 μlのTMB基質溶液を添加して室温で15分間反応させ、2 Mの硫酸溶液を100 μl添加して反応を止めて、450 nmにおける吸光度を測定した。
【0095】
比較した2種類の抗体はいずれもHBs抗原の捕集能を有していたが、抗体5124Aの方がより高い検出能を示した(
図10)。HBVまたは酵素標識抗体の非特異的な吸着による吸光度は、0.128 ± 0.005 (0.087〜0.313)であった。
【0096】
(2)被験者血清中のpreS1抗原の測定
固相化抗体に抗体5124Aを使用して、上記(1)と同じ方法でHBV陰性被験者10名とHBV陽性被験者50名の血清中のpreS1抗原の測定を行った。被験者血清中のpreS1抗原の吸光度測定値と、既存法によるHBVマーカーの測定値を表6に示す。HBV-DNA値は、リアルタイムPCR法により決定し、HBs抗原およびHBe抗原は、全自動免疫測定装置HISCL(シスメックス株式会社)を使用して、それぞれHBsAg検出キットとHBeAg検出キットを用いてCLIA法で測定した。HBc関連抗原は、B型肝炎ウイルスコア関連抗原キット ルミパルスHBcrAg(富士レビオ株式会社)を用いてCLIA法で測定した。HBe抗体は、アーキテクトi2000SR(アボットジャパン株式会社)とアーキテクト・HBe抗体試薬を用いてCLIA法で測定した。。HBV陽性被験者の吸光度は0.603〜3.141であった。吸光光度法では、実用的な吸光度の測定範囲は0.05から1.5と言われているが、HBs抗原値(IU/ML)が1,000を超えると、吸光度1.5を超えるサンプルが多くあり、さらなる希釈が必要と考えられた。preS1抗原の吸光度他のHBVマーカーとの相関を、回帰分析を用いて解析したが、どのマーカーとも相関が見られなかった(データ非提示)。
【表6-1】
【表6-2】
【0097】
(3)血清希釈率と固相化に使用する抗体の検討(ii)
ELISAプレートにはアミノ基導入プレート(住友ベークライト)を使用した。重炭酸バッファー(pH9.6)で希釈した2%グルタルアルデヒド溶液200 μlを各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベーションして、アミノ基を活性化させた。200 μlの滅菌超純水で各ウェルを2回洗浄後、直ちに、0.2 Mリン酸緩衝液(pH6.0)を用いて0.5 μg/mlの濃度に希釈した固相化用抗体の溶液100 μlを各ウェルに添加して、4℃で一晩インキュベーションを行い、固相化を行った。固相化抗体としては、抗体5124Aまたは抗体824を使用した。固相化後、ウェル中の抗体溶液を廃棄し、200 μlのリン酸緩衝食塩水(PBS, pH 7.4)で3回洗浄した。洗浄後の各ウェルに、ブロッキング溶液としてChonBlock(商標) Blocking/Sample Dilution Buffer (Chondrex)を100 μlずつ添加し、室温で1時間インキュベーションしてブロッキングを行った。その後、ウェル中のブロッキング溶液を廃棄し、200 μlのPBST(0.2% Tween 20を含むPBS, pH7.4)で3回洗浄した。HBs抗原が90,000 IU/mlでHBV-DNAが9.1 Log copies/mlのHBV患者血清をポジティブコントロール(PTC)血清として、ブロッキング溶液を用いて50倍希釈液を作成し、さらに3倍希釈系列を作成して、上記の抗体をそれぞれ固相化したウェルに50 μlずつ添加した。また、HBV陽性被験者および陰性被験者の血清について、ブロッキング溶液を用いて10倍希釈系列を作成し、同じく50 μlずつ各ウェルに添加した。37℃で1時間インキュベーションし、インキュベーション後に各ウェルの溶液を廃棄し、200 μlのPBSTで3回洗浄した。洗浄後、HRPを標識した抗体55を1:1000(3 μg/ml)となるように、ChonBlock(商標) Detection Antibody Dilution Buffer (Chondrex)で希釈したものを各ウェルに100 μlずつ添加し、37℃で1時間のインキュベーションを行った。その後、各ウェルの溶液を除去し、200 μlのPBSTで3回洗浄した。次に、100 μlのTMB基質溶液を添加して室温で15分間反応させ、2Mの硫酸溶液を100 μl添加して反応を止め、450 nmにおける吸光度を測定した。
【0098】
PTC血清の希釈系列を用いてpreS1抗原の検量線を作製したところ、固相化に用いた抗体5124Aは吸光度が2.4、抗体824は2.3付近まで、R
2=0.999の近似曲線を作成することが可能であった(表7、
図11)。HBV陽性または陰性被験者血清の各希釈系列のpreS1抗原の吸光度と、既存法で測定したHBs抗原の測定値を表8に示す。吸光度はHBs抗原値が高くなるにつれて高くなった。血清希釈率は10,000 IU/ml以下では1:10、10,000 IU/ml 付近では1:100、100,000 IU/ml付近では1:500〜1:1000が良いとみられた。各血清に適した抗体希釈率で抗体5124Aと抗体824の吸光度を比較したところ、抗体824の方が抗体5124Aよりもより高い検出能を示した(
図12)。HBV陰性被験者の吸光度は、血清を1:10の濃度で添加した場合でも0.056 (5124A)、0.069 (824)と低く、ブロッキング溶液と血清希釈液に3% BSAを含むPBSを用いた場合よりもバックグラウンドの吸光度が低下した。
【表7】
【表8】
【0099】
(4)固相化に使用する抗体の検討(iii)
上記(3)と同様の方法を用いて、固相化に使用する抗体の比較を、他の被験者の血清を用いて2連で行った。固相化の際の抗体濃度は2 μg/mlで行った。波長450 nmにおける吸光度の平均値を
図13に示す。一部の被験者血清(HBV(+)64および65)では、抗体5124Aの吸光度が高かったが、他の被験者血清では抗体824の吸光度の方が高かった。抗体824の方が抗体5124Aよりも、より多くの被験者血清に対して高い検出能を有することが示唆されたことから、以降の試験では、固相化抗体に抗体824を使用することとした。
【0100】
(5)preS1抗原検出のための検出用抗体の比較
上記(3)と同様の方法を用い、検出用抗体としてHRP標識した抗体10、13、39または55を用いて、検出能の比較を2連で行った。固相化抗体濃度は0.5μg/ml、検出用抗体濃度は、これまでと同じく1:1000とし、各ウェルに70 μl添加した。波長450 nmにおける吸光度の平均値を
図14に示す。4種類の抗体の検出能はどの血清でも類似した傾向を示し、いずれの抗体もpreS1抗原の測定に使用できることがわかった。測定値は抗体10が最も高く、続いて抗体55、39、13の順で高かった。
【実施例2】
【0101】
実施例1と同様にして、ヒト初代培養肝細胞を用いて、抗体41、抗体1A、および抗体10のHBV感染阻止効果を検討した。培養上清中のHBs抗原およびHBe抗原の量は、HBsAg検出キットおよびHBeAg検出キット(シスメックス株式会社)を用いてCLIA法により測定した。コントロールとして、HBVのみを添加する群、および前記抗体にかえてIgG1(OY-TES-1 (G-5), santacruz: sc-390594)またはIgG3(Mouse IgG3 (isotype control), MBL: M078-3)を添加する群を設定した。各抗体は培養後のHBs抗原およびHBe抗原の産生を顕著に抑制しており、HBVの感染を阻止することが示された(
図15、16)。
【0102】
同様に、抗体824と、抗体41、抗体1A、または抗体10との組み合わせのHBV感染阻止効果を検討した。Sドメインにエピトープを持つ抗体824と、抗体41、抗体10または抗体1Aとを組み合わせることにより、HBs抗原およびHBe抗原の産生抑制効果が用量依存的に増強され、相乗的な感染阻止効果が観察された(
図17、18)。また、抗体41、抗体10および抗体1Aをそれぞれ組み合わせることによっても、相乗的な感染阻止効果が観察された(
図19、20)。