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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年8月13日
【発行日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】真空処理装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20210122BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20210122BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/07 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】特願2020-511400(P2020-511400)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年2月7日
(11)【特許番号】特許第6792098号(P6792098)
(45)【特許公報発行日】2020年11月25日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西郷 佳和
(72)【発明者】
【氏名】末光 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 寛之
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA01
5F131BA19
5F131BB03
5F131BB04
5F131BB18
5F131CA32
5F131CA44
5F131DA02
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB57
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD19
5F131DD47
5F131DD53
5F131DD62
5F131FA26
5F131FA33
5F131GA14
5F131GA92
5F131HA04
5F131HA28
5F131HA42
5F131HA44
5F131JA09
5F131JA12
5F131JA34
5F131KA11
5F131KB32
5F131KB58
(57)【要約】
真空処理装置の運転方法に関して、リンク式の真空処理装置の場合に、複数工程処理に係わる効率的な搬送および処理を実現できる技術を提供する。実施の形態の真空処理装置の運転方法は、複数工程処理において複数のウエハの全ての処理に要する時間が最短となるように、各々のウエハについて複数の処理ユニットのうち1つの第1処理ユニットおよび1つの第2処理ユニットを選択し、選択した処理ユニットを使用する搬送経路を含む搬送スケジュールを決定する第1ステップ(ステップ601〜607)を有する。第1ステップは、少なくとも1つのウエハについて、複数の第1処理ユニットから少なくとも1つの第1処理ユニットを除外して選択された第1処理ユニットを使用して搬送経路を含む搬送スケジュールを構成する。この運転方法は、第2工程が律速する場合に、最適な搬送スケジュールを選択する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理装置の運転方法であって、
前記真空処理装置は、
並べて配置されている複数の真空搬送容器であって、各々の真空搬送容器にはウエハを搬送する搬送ロボットが収納されている前記複数の真空搬送容器と、
前記複数の真空搬送容器における隣り合う2つの真空搬送容器の間に配置され、前記ウエハが収納される複数の中間室と、
前記複数の真空搬送容器のうち1つの真空搬送容器に接続され、前記ウエハが収納され、所定の圧力までの減圧および大気圧までの昇圧が可能であるロードロック室と、
前記複数の真空搬送容器に接続される複数の処理ユニットであって、各々の処理ユニットには前記ウエハを処理する処理室を含み、複数工程処理のうちの第1工程の第1処理を行うための複数の第1処理ユニット、および第2工程の第2処理を行うための複数の第2処理ユニットを含む前記複数の処理ユニットと、
を備え、
前記運転方法は、
前記複数工程処理において複数のウエハの全ての処理に要する時間が最短となるように搬送スケジュールを決定するステップであって、各々のウエハについて前記複数の処理ユニットのうち1つの第1処理ユニットおよび1つの第2処理ユニットを選択し、選択した処理ユニットを使用する搬送経路を含む前記搬送スケジュールを決定する第1ステップと、
前記ロードロック室の前方に配置されたカセットに収納されている前記複数のウエハの各々のウエハを、前記搬送スケジュールに従って搬送し、前記第1工程の前記1つの第1処理ユニットを使用して前記第1処理を実施し、その後に前記第2工程の前記1つの第2処理ユニットを使用して前記第2処理を実施するように制御する第2ステップと、
を有し、
前記第1ステップは、前記複数のウエハのうち少なくとも1つのウエハについて、前記複数の第1処理ユニットから少なくとも1つの第1処理ユニットを除外して選択された第1処理ユニットを使用して前記搬送経路を含む前記搬送スケジュールを構成する、
真空処理装置の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載の真空処理装置の運転方法において、
前記第1ステップは、
前記真空処理装置に備える前記複数の第1処理ユニットの個数と前記複数の第2処理ユニットの個数との個数比率を算出し、
前記複数の第1処理ユニットの各第1処理ユニットの前記第1処理に要する第1処理時間と、前記複数の第2処理ユニットの各第2処理ユニットの前記第2処理に要する第2処理時間との時間比率を算出し、
前記個数比率が前記時間比率よりも大きい場合には、前記複数のウエハの少なくとも1つのウエハについて、前記時間比率に前記複数の第2処理ユニットの個数を乗算した算出値以上で最小の自然数から使用個数を算出し、前記使用個数の第1処理ユニットを選択して前記搬送スケジュールを決定する、
真空処理装置の運転方法。
【請求項3】
請求項1に記載の真空処理装置の運転方法において、
前記複数の第1処理ユニットの各第1処理ユニットの前記第1処理に要する第1処理時間、および前記複数の第2処理ユニットの各第2処理ユニットの前記第2処理に要する第2処理時間の各々の処理時間は、前記各々のウエハの前記ロードロック室から前記第1処理ユニットまでの第1搬送時間、および前記第1処理ユニットから前記第2処理ユニットまでの第2搬送時間の各々の搬送時間よりも長い、
真空処理装置の運転方法。
【請求項4】
請求項1に記載の真空処理装置の運転方法において、
前記第1ステップは、前記複数のウエハの少なくとも1つのウエハについて、前記搬送経路の長さまたは搬送時間を考慮した所定の順で、前記複数の第1処理ユニットから前記除外する処理ユニットを選択する、
真空処理装置の運転方法。
【請求項5】
請求項4に記載の真空処理装置の運転方法において、
前記第1ステップは、前記第1処理ユニットから前記第2処理ユニットまでの搬送経路の長さが最も大きい前記第1処理ユニットを除外する、
真空処理装置の運転方法。
【請求項6】
請求項5に記載の真空処理装置の運転方法において、
前記第1ステップは、前記第1処理ユニットから前記第2処理ユニットまでの搬送経路の長さが等しい除外候補の複数の第1処理ユニットがある場合には、前記除外候補の複数の第1処理ユニットのうち、前記ロードロック室から前記第1処理ユニットまでの搬送経路の長さが最も大きい前記第1処理ユニットを除外する、
真空処理装置の運転方法。
【請求項7】
請求項1に記載の真空処理装置の運転方法において、
前記第1ステップは、前記複数のウエハのうち少なくとも2つのウエハについて、前記複数の第1処理ユニットから異なる第1処理ユニットが除外されて、選択された異なる搬送経路を含む前記搬送スケジュールを決定する、
真空処理装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理装置等の技術に関し、真空処理装置の複数工程処理における運転方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
真空処理装置としては、各々の真空搬送容器内に搬送ロボットを持つ複数の真空搬送容器が接続され、複数の真空搬送容器に対し複数の処理ユニットが接続されている、リンク式の真空処理装置がある。
【0003】
上記のような真空処理装置の運転方法に係わる先行技術例として、特開2013−98412号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、複数の搬送ロボット間で、ウエハの受け渡しを行う線形ツールの真空処理装置において、複数ウエハを連続的に処理する際のスループット(単位時間当たりの処理枚数)を向上させる旨の技術が記載されている。特許文献1には、複数ウエハ搬送開始前に処理室の数および配置とウエハの処理時間との組合せの条件毎にウエハの搬送を制御する複数の搬送アルゴリズムをシミュレーションして得られた搬送アルゴリズム判定ルールの中から、最大のスループット値が予測される搬送アルゴリズムを選択し、選択された搬送アルゴリズムに基づいてウエハの搬送先を算出することにより、最高スループットの搬送制御を提供する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−98412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、複数工程処理に関して、シミュレーションに基づいてスループットが最大となる搬送アルゴリズムを選択することで、装置利用効率を向上する。複数工程処理は、同一のウエハ等の被処理体に対し、複数の異なる処理室で、各工程の各処理を行って、処理全体を完了することを指す。単一工程処理は、同一の被処理体に対し、いずれか1つの処理室で単一工程の1回の処理を行って処理全体を完了することを指す。
【0006】
上記のような従来技術は、複数工程処理に係わる搬送アルゴリズム(言い換えると搬送スケジュール)の選択に際し、シミュレーション計算の負荷が増大する場合がある。その場合、例えば真空処理装置の制御システムの能力に合わせて計算処理を簡略化する必要が生じる。このため、最適な搬送パターンを含む最適な搬送スケジュールを選択できない場合が生じ得る。従来技術は、ウエハの搬送および処理に使用する処理室の組合せが発生することによってシミュレーション対象の搬送パターンの数が単一工程処理に比べて増加することへの考慮が不十分である。
【0007】
一般的に、量産過程で使用する真空処理装置は、例えば多数の半導体デバイスの製造の際、複数工程処理の各工程で、決められた同じ条件の処理が連続的に実施されることによって運用される。
【0008】
本発明の目的は、真空処理装置の運転方法に関して、リンク式の真空処理装置の場合に、複数工程処理に係わる効率的な搬送および処理を実現できる技術を提供することである。本発明の他の目的は、工程毎に使用の候補となる複数の処理ユニット(対応する複数の処理室)の処理時間が同一である処理条件において、複数工程のうちの後工程である第2工程が律速する場合(言い換えるとボトルネックとなる場合)でも、全体的な処理負荷を抑制しつつ最適な搬送パターンを選択できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち代表的な実施の形態は、真空処理装置の運転方法であって、以下に示す構成を有する。真空処理装置は、並べて配置されている複数の真空搬送容器であって、各々の真空搬送容器にはウエハを搬送する搬送ロボットが収納されている前記複数の真空搬送容器と、前記複数の真空搬送容器における隣り合う2つの真空搬送容器の間に配置され、前記ウエハが収納される複数の中間室と、前記複数の真空搬送容器のうち1つの真空搬送容器に接続され、前記ウエハが収納され、所定の圧力までの減圧および大気圧までの昇圧が可能であるロードロック室と、前記複数の真空搬送容器に接続される複数の処理ユニットであって、各々の処理ユニットには前記ウエハを処理する処理室を含み、複数工程処理のうちの第1工程の第1処理を行うための複数の第1処理ユニット、および第2工程の第2処理を行うための複数の第2処理ユニットを含む前記複数の処理ユニットと、を備える。前記運転方法は、前記複数工程処理において複数のウエハの全ての処理に要する時間が最短となるように搬送スケジュールを決定するステップであって、各々のウエハについて前記複数の処理ユニットのうち1つの第1処理ユニットおよび1つの第2処理ユニットを選択し、選択した処理ユニットを使用する搬送経路を含む前記搬送スケジュールを決定する第1ステップと、前記ロードロック室の前方に配置されたカセットに収納されている前記複数のウエハの各々のウエハを、前記搬送スケジュールに従って搬送し、前記第1工程の前記1つの第1処理ユニットを使用して前記第1処理を実施し、その後に前記第2工程の前記1つの第2処理ユニットを使用して前記第2処理を実施するように制御する第2ステップと、を有する。前記第1ステップは、前記複数のウエハのうち少なくとも1つのウエハについて、前記複数の第1処理ユニットから少なくとも1つの第1処理ユニットを除外して選択された第1処理ユニットを使用して前記搬送経路を含む前記搬送スケジュールを構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、真空処理装置の運転方法に関して、リンク式の真空処理装置の場合に、複数工程処理に係わる効率的な搬送および処理を実現できる。また、本発明のうち代表的な実施の形態によれば、工程毎に使用の候補となる複数の処理ユニット(対応する複数の処理室)の処理時間が同一である処理条件において、複数工程のうちの後工程である第2工程が律速する場合でも、全体的な処理負荷を抑制しつつ最適な搬送パターンを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態の真空処理装置の運転方法における、真空処理装置の全体概略構成を示す図である。
図2】実施の形態で、真空処理装置の機械部の構成を示す図である。
図3】実施の形態で、複数工程処理の条件における、複数の処理ユニットの配置構成例を示す図である。
図4】実施の形態で、複数工程処理の条件における、搬送経路情報の構成例を示す図である。
図5】実施の形態に対する比較例の運転方法における、複数工程処理の条件での、複数の処理ユニットのウエハ処理のタイムチャートを示す図である。
図6】実施の形態で、複数工程処理の条件でのスループットを最適化する搬送スケジュールを決定するための搬送判定処理の処理フローを示す図である。
図7】実施の形態での搬送判定方式の適用前後における搬送経路の例を比較して示す図である。
図8】実施の形態での搬送判定方式の適用前後におけるウエハ処理のタイムチャートを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[課題等]
従来技術に関する課題等について補足説明する。前述のように、従来技術の運転方法は、リンク式(または線形ツール)の真空処理装置における複数工程処理に係わる搬送スケジュールを決定する。その際、従来技術の運転方法は、複数の処理ユニット(対応する複数の処理室)の組合せを考慮して計算する必要から、処理負荷が増大し、最適な搬送パターンを含む搬送スケジュールを選択できない可能性がある。
【0014】
従来技術の運転方法は、例えば多数の処理ユニットの組合せがある場合に、制御システムの処理能力が不足する。そのため、従来技術の運転方法は、真空処理装置の一般的な処理条件に対し、第2工程が律速しない複数の処理室を備える装置構成を前提として、第1工程のみを対象とする搬送制御を行う。この場合に、従来技術の運転方法は、前工程である第1工程および後工程である第2工程を含む搬送経路に関して、最適な搬送パターンが選択されない場合があった。具体的には、第1工程および第2工程の各工程の処理時間の関係や、選択された処理室の組合せに応じて、第2工程が律速する。
【0015】
上記各工程の処理時間の関係では、以下のように搬送待ち時間が発生する場合がある。前工程の処理室に対して後工程の処理室が必要とするタイミングよりも早くFOUP(Front-Opening-Unified Pod:フープ)からウエハが搬送されることによって、前工程のウエハが滞留する。FOUPは、言い換えるとカセットであり、複数枚のウエハが収容される。これにより、搬送経路上に滞留するウエハが発生する。その影響から、次に各工程の処理室が必要とするタイミングでウエハを搬送できなくなる。これにより、各工程の処理室にウエハの搬送待ち時間が発生する。
【0016】
上記選択された処理室の組合せの関係では、以下のように搬送待ち時間が発生する場合がある。前工程の処理室からのウエハ搬送で次に空く後工程の処理室が正しく選択されないことによって、後工程の処理室のウエハが滞留する。これに伴い、前工程のウエハも滞留する。また一方で、空きになった別の後工程の処理室には必要なタイミングでウエハが搬送されないことになる。これにより、各工程の処理室にウエハの搬送待ち時間が発生する。
【0017】
そこで、本発明の実施の形態の運転方法は、リンク式の真空処理装置における複数工程処理の工程毎の複数の処理室の処理時間が同一である条件において、後工程である第2工程が律速した場合でも、搬送待ち時間が少ない最適な搬送スケジュールを決定する。
【0018】
(実施の形態1)
図1図8を用いて、本発明の実施の形態の真空処理装置の運転方法について説明する。実施の形態の運転方法は、リンク式の真空処理装置の複数工程処理に係わる運転方法、言い換えると制御方法や計算方法である。この運転方法は、被処理体の複数工程処理に係わる複数の処理室(対応する処理ユニット)に対する効率的な搬送パターンを含む搬送スケジュール、言い換えるとスループットが最大となる搬送スケジュールを決定する方法である。
【0019】
[(1)概要]
実施の形態の運転方法において適用される真空処理装置は、被処理体であるウエハに対し、真空容器内の処理室内でプラズマ等を用いた処理を行う、リンク式(言い換えると線形ツール)の真空処理装置である。被処理体は、例えば半導体デバイスを製造するために用いられる半導体ウエハである。リンク式の真空処理装置は、機械部の設置面積を小さくしてスループット向上を実現するための構造を持つ方式の真空処理装置である。リンク式の真空処理装置は、各々の真空搬送容器内に搬送ロボットを持つ複数の真空搬送容器が例えば第1方向に並べて配置され、各真空搬送容器の側壁には処理室を含む処理ユニットが接続されている構造を有する。複数の真空搬送容器は、例えば中間室(言い換えると中間容器)を介して連結されている。この真空処理装置は、複数の搬送ロボットを備え、各搬送ロボットが並行してウエハの搬送を行う。
【0020】
この運転方法では、ウエハ処理は、複数工程処理として、前工程である第1工程および後工程である第2工程の各々が、第1処理ユニットおよび第2処理ユニットの各々で別々に実施される。第1処理ユニットは第1処理室を含む。第2処理ユニットは第2処理室を含む。複数工程処理は、前工程である第1工程の第1処理と、後工程である第2工程の第2処理とを有して構成される。第1工程の第1処理は、選択された第1処理ユニットの第1処理室で行われ、第2工程の第2処理は、選択された第2処理ユニットの第2処理室で行われる。
【0021】
この運転方法は、ウエハ処理のスループットをより高くするように、制御システムでのシミュレーション計算に基づいて、搬送スケジュールを決定する。搬送スケジュールは、搬送パターン(言い換えると複数の搬送経路)と、各搬送経路での搬送タイミングとを含む概念である。搬送タイミングは、各ステーションからのウエハの搬送開始タイミング等である。この運転方法は、一まとまりの複数枚のウエハ、言い換えるとロットについて、そのウエハの搬送の開始前に、そのウエハを搬送および処理する対象となる処理ユニットとその順序とを含む搬送スケジュールを予め選択する。搬送スケジュールは、処理対象のウエハ毎に、第1工程で使用する第1処理ユニット、および第2工程で使用する第2処理ユニットの選択を含む。
【0022】
真空処理装置の機械部は、所定の複数(個数Mとする)の第1処理ユニット、および所定の複数(個数Nとする)の第2処理ユニットを備える。それらの処理ユニットが、搬送スケジュールでの使用の候補である。特に、実施の形態では、処理ユニットおよび処理室の個数の関係として、第2工程用の第2処理ユニットの個数Nが、第1工程用の第1処理ユニットの個数Mよりも少ない(M>N)。また、条件として、第1工程の複数の各第1処理ユニットおよび第1処理室の処理時間(T1とする)は同一であり、第2工程の複数の各第1処理ユニットおよび第2処理室の処理時間(T2とする)は同一である。このような処理室個数や処理時間の条件に応じて、第2工程が律速する場合がある。
【0023】
実施の形態の運転方法は、この場合に、各処理ユニットの個数(M,N)および各工程の処理時間(T1,T2)の関係の判断に基づいて、前工程での必要な処理室の使用個数(Kとする)を算出する(K≦M)。すなわち、この運転方法は、第1工程用の複数の第1処理ユニットのうち一部の第1処理ユニットを、第1工程での使用の候補から除外する。この運転方法は、除外後の候補である複数(使用個数K)の第1処理ユニットを使用して、複数の搬送経路の候補を含む、複数のスケジュールの候補を作成する。そして、この運転方法は、計算に基づいて、複数のスケジュールの候補から、スループットが最も高くなる1つのスケジュールを選択して、搬送スケジュールとして決定する。この運転方法は、決定した搬送スケジュールを、ウエハ処理の実施に用いる。スループットが最も高いことは、複数工程処理において複数のウエハの全ての処理に要する時間が最短となることに対応する。
【0024】
実施の形態の運転方法は、後工程の第2処理室がウエハを必要とするタイミングに合わせて前工程の第1処理が終わるようにFOUPから前工程の第1処理室にウエハを搬送し、前工程の第1処理室からのウエハの搬送先として次に空く後工程の第2処理室を正しく選択するように、搬送スケジュールを構成する。
【0025】
この運転方法は、具体的には、後工程の各第2処理室で処理されるウエハ処理枚数の差が最小になるように、前工程で使用する第1処理室を選択する。つまり、この運転方法は、ウエハ処理枚数を均等に近付ける場合に必要となる前工程の第1処理室の使用個数Kを算出する。この運転方法は、その使用個数Kに合わせて、前工程のうち一部の第1処理室を除外し、選択した使用個数Kの第1処理室と、その第1処理室に対する搬送経路を構成する。そして、この運転方法は、前工程の第1処理室からは、後工程の各第2処理室の処理状況に応じて後工程の使用する第2処理室を選択し、第1処理室から第2処理室への搬送経路を構成する。このようにして構成されるウエハ毎の搬送スケジュールによって、各工程の処理室にウエハ搬送待ち時間が発生することが防止される、または搬送待ち時間が最小にされる。
【0026】
[(2)真空処理装置]
図1を用いて、実施の形態の真空処理装置1の全体概略構成について説明する。この真空処理装置1は、大きく分けて、機械部101と、機械部101の動作を制御する制御部102とから構成される。制御部101と機械部102はケーブル等の手段で接続されている。機械部101は、搬送ロボットを含む搬送機構や、処理室を含む処理ユニット等を有して構成される装置機械部である。処理室は、ウエハに対する処理を行う真空処理室である。
【0027】
制御部102は、機械部101の動作を制御するコントローラまたはプロセッサ等を含む装置、例えばIC基板や計算機で構成される。制御部102は、演算部103と記憶部104とを有する。また、制御部102は、通信インタフェース装置およびLAN等のネットワーク114を介してホスト115となる計算機等と接続される。ホスト115の計算機等から制御部102に対し必要に応じて処理命令や状態監視を行うことが可能である。利用者は、ホスト115の計算機等に対し、入力操作を行い、表示画面等で真空処理装置の状態等を確認することができる。
【0028】
演算部103は、機械部101の全体の状態を監視しながら、複数のウエハの搬送および処理に伴う各ステーションの動作制御を行い、ウエハの搬送スケジュールの決定や、搬送スケジュールに従ったウエハ搬送動作の指示や制御を行う。ステーションは、ウエハが移動、滞在、経由する場所を指し、具体的には、真空搬送容器、中間室、ロードロック室を含む。
【0029】
演算部103は、より詳しい機能ブロックである処理部として、搬送スケジュール処理部105、および搬送制御処理部106を有する。各処理部は、ソフトウェアプログラム処理または回路等によって実現される。搬送スケジュール処理部105は、搬送スケジュールを決定する第1ステップに対応する処理を行う部分であり、搬送制御処理部106は、搬送スケジュールに基づいて搬送等を制御する第2ステップに対応する処理を行う部分である。
【0030】
搬送スケジュール処理部105は、FOUPに収納されている処理対象の複数枚のウエハの各ウエハについての搬送スケジュールを決定する。搬送スケジュールは、ウエハ毎に、搬送する順番や搬送経路や搬送タイミング等を含む。搬送スケジュール処理部105は、予めソフトウェアに記載された搬送アルゴリズムに沿って、記憶部104に記憶された各情報を、通信を介して入手する。各情報は、装置構成情報107、装置状態情報108、処理室情報109、搬送経路情報110、処理進捗情報111、および動作時間情報112である。搬送スケジュール処理部105は、これらの入手した情報を用いて搬送スケジュールを算出し、記憶部104のウエハ搬送順情報113に記憶する。搬送スケジュール処理部105は、算出した搬送スケジュールに対応するウエハ搬送順情報を、搬送制御処理部106に送信する。
【0031】
搬送制御処理部106は、搬送スケジュール処理部105で決定された搬送スケジュール(対応するウエハ搬送順情報113)に従って、機械部101における複数のウエハの搬送処理を制御する。搬送制御処理部106は、機械部101の搬送ロボットの動作や、ステーション間のゲートバルブ等の機器の動作を制御する。搬送制御処理部106は、ウエハ搬送順情報113に基づいて、機械部101に対しウエハ搬送制御を行うための指令信号を算出して送信する。搬送制御処理部106は、指令信号を用いて、搬送ロボットによるウエハの搬入、搬出、移動、ロードロック室の減圧や昇圧、処理ユニットの処理、ゲートバルブの開閉、等の個々の動作を制御する。
【0032】
記憶部104は、メモリ等で構成され、制御部102が有する各種の情報やデータを記憶する。記憶部104は、演算部103による演算処理に必要な情報として、装置構成情報107、装置状態情報108、処理室情報109、搬送経路情報110、処理進捗情報111、動作時間情報112、およびウエハ搬送順情報113を記憶する。
【0033】
装置構成情報107には、機械部101に備える各種の設備の構成情報が含まれ、複数の処理室を含む複数の処理ユニットのID(識別情報)や個数や種別の情報が含まれる。装置構成情報107は、第1処理ユニットの第1処理の種別や第2処理ユニットの第2処理の種別の情報を含む。装置構成情報107は、複数の第1処理ユニットの個数M、複数の第2処理ユニットの個数Nの情報を含む。
【0034】
装置状態情報108には、機械部101の各部の動作の状態を表す情報や、圧力値等の情報が含まれる。
【0035】
処理室情報109には、装置構成や装置状態のうち、特に、機械部101の複数の処理室の各々の処理室の現在の内部の状態や処理の状況を表す情報を含む。また、処理室情報109には、各処理室の各処理を行う処理時間(T1,T2)の情報、および各処理室の処理の残り時間を表す情報、等を含む。処理時間は、第1工程用の複数の第1処理室の同一の処理時間T1、および第2工程用の複数の第2処理室の同一の処理時間T2である。これらの情報は、処理進行に伴い変化し、所定の時間間隔で周期的に更新され、最新の情報とともに過去の情報を含む。これらの情報が区別されて、装置状態情報108または処理室情報109に記憶される。なお、装置構成情報107や装置状態情報108に処理室情報109が併合されてもよい。
【0036】
搬送経路情報110には、ウエハが搬送によって移動や経由する各ステーションに係わる、ウエハ毎の搬送経路、複数のウエハの搬送の順番といったシーケンス情報が含まれる。ある搬送経路は、順序を持つ複数のステーションで構成され、第1工程で使用する第1処理室のIDと、第2工程で使用する第2処理室のIDとを含む。搬送スケジュール情報は、搬送経路情報110の搬送経路を用いて構成される。なお、搬送経路情報110とウエハ搬送順情報113とを1つに併合してもよい。
【0037】
処理進捗情報111には、機械部101で処理が進行しているウエハの特定のまとまりであるロットに対し、このロットでの処理の進捗状況を表す情報が格納される。例として、1つのFOUPには、所定の複数枚、例えば15枚、25枚といったウエハが収納される。各ウエハには番号等のIDを持つ。処理進捗情報111は、所定の時間間隔で情報が取得される場合に、そのうちの任意の時刻で、予め与えられたウエハ処理順序のうちの何枚目のウエハがFOUPから搬出され処理されているか等を表す情報を含む。また、処理進捗情報111は、対応するウエハ処理指示情報(言い換えるとシーケンスレシピ)におけるどのシーケンスを実行中であるかを表す情報を含む。
【0038】
動作時間情報112には、機械部101の各部の動作時間情報が格納されている。動作時間情報112は、機械部101に備える搬送ロボットの動作時間や、ゲートバルブの動作時間に係わる情報を含む。
【0039】
ウエハ搬送順情報113には、搬送スケジュール情報のうち、FOUPに収納された複数枚のウエハの各々のウエハについての搬送順を表す情報や、各ウエハの搬送経路の情報等が格納されている。この情報は、例えば、各ウエハの搬送順を示す番号、各ウエハが収納されるFOUP内のスロットを示す番号、および各ウエハが処理される処理室の番号等を含む。
【0040】
[(3)機械部]
次に、図2を用いて、機械部101の構成について説明する。図2は、機械部101の上面図(X−Y面)を示す。なお、説明上の方向として(X,Y,Z)を示す。X方向およびY方向は水平面を構成し直交する2つの方向であり、Z方向は鉛直方向である。Y方向で示す第1方向は、複数の真空搬送容器が並べて配置される前後方向とする。X方向で示す第2方向は、図示の左右方向とする。機械部101は、大きく分けて、大気側装置構成部201と、真空側装置構成部202とで構成される。
【0041】
大気側装置構成部201は、FOUPからウエハの搬出および搬入を実施する部分である。FOUPは大気圧下において複数枚のウエハを内部に収納可能である。大気側装置構成部201は、筐体200に設けられた、複数(例えば3個)のロードポートであるロードポート41,42,43と、大気側搬送ロボット47と、アライナー48と、待避ステーション49とを有して構成されている。例えば、筐体200に対し、Y方向の前側の側面に複数のロードポートが接続されており、X方向で一方の側面にアライナー48が接続されており、Y方向の後側でX方向の一方寄りの位置の側面に待避ステーション49が接続されている。複数のロードポートには、FOUPが置かれる。大気側搬送ロボット47は、大気圧下でのウエハ搬送を行うロボットであり、ロボットアームの伸縮、上下移動、旋回等ができる。アライナー48は、ウエハの向きの調節、および中心位置検出を行う。待避ステーション49は、ウエハの一時的な待避用の場所である。
【0042】
大気側装置構成部201は、大気側搬送ロボット47によって、FOUPから処理対象のウエハを搬出し、アライナー48を経由して、真空側装置構成部202に接続されているロードロック室10への搬入や、待避ステーション48への搬入を行う。また、大気側装置構成部201は、真空側装置構成部202からロードロック室10に搬送されてきたウエハを搬出し、FOUPまたは待避ステーション48への収納を行う。なお、ロードロック室10は、真空側装置構成部202に含まれるものとする。
【0043】
ただし、この大気側装置構成部201は一例であり、この構成に限定されない。真空処理装置は、ロードポートの数が3つより多くても少なくてもよい。また、真空処理装置は、1つの大気側搬送ロボット47に限らず、複数の大気側搬送ロボットを備えてもよい。真空処理装置は、1つのアライナー48に限らず、複数のアライナーを備えてもよいし、アライナー48が無くてもよい。また、真空処理装置は、1つの待避ステーション49に限らず、2つ以上の待機ステーションを備えてもよいし、待避ステーション49が無くてもよい。
【0044】
真空側装置構成部202は、大気圧から所定の真空度の圧力まで減圧された圧力下においてウエハの搬送等を行い、複数の処理室の内部でウエハを処理する部分である。真空側装置構成部202は、複数の真空処理室である処理室11〜17と、複数の真空搬送容器である搬送容器20,21,22と、複数の中間室である中間室18,19とを有して構成される。
【0045】
大気側装置構成部201と真空側装置構成部202との間、特に、筐体200と、Y方向で最前の搬送容器20との間には、ゲートバルブ51,52を介して、ロードロック室10を備える。ロードロック室10は、内部にウエハを有した状態で、所定の真空圧下までの減圧や、大気圧下までの昇圧を行うことができ、大気側と真空側との相互の領域への流通の仲介を担う部分である。
【0046】
複数の真空搬送容器である搬送容器20,21,22は、Y方向に並べて配置および接続されている。複数の真空搬送容器は、複数の真空側搬送ロボットとして真空側搬送ロボット23,24,25を備える。各搬送容器内には真空側搬送ロボットを備える。例えば搬送容器20内には真空側搬送ロボット23を含む。本例では、全体で3個の真空搬送容器がある。真空側搬送ロボット23,24,25は、各々、ウエハの搬送を行うロボットである。真空側搬送ロボット23,24,25は、ウエハを保持可能なハンドやロボットアームを備える。ロボットアームは、伸縮、旋回、上下運動等が可能である。真空側搬送ロボットは、ウエハを、隣接するロードロック室10または処理室または中間室に搬送する。
【0047】
複数の真空処理室である処理室11,12,13,14,15,16,17は、それぞれ、ウエハに対し所定の処理を行う処理室である。本例では、第1工程および第2工程を含む全体では7個の処理室がある。各処理室は、処理ユニットと対応付けられる。言い換えると、真空側装置構成部202は、処理室11〜17に対応した複数(7個)の処理ユニットを備える。具体的に、複数の処理室の配置としては、搬送容器20には第2方向(X方向)で左右に処理室11,12が接続されている。搬送容器21には第2方向で左右に処理室13,16が接続されている。搬送容器22には第2方向で左右に処理室14,15が接続され、第1方向で後側に処理室17が接続されている。
【0048】
複数の中間室である中間室18,19は、それぞれ、ウエハを保持する機構を有し、隣り合う2つの真空搬送容器の間に接続されている。本例では全体で2個の中間室がある。具体的には、搬送容器20と搬送容器21の間に中間室18が接続されている。搬送容器21と搬送容器22の間に中間室19が接続されている。
【0049】
機械部101におけるこれらの複数の設備の間には、複数のゲートバルブとして、ゲートバルブ51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63が配置されている。各ゲートバルブによって、対応する2つの部分が相互に連結されている。例えば、搬送容器20と処理室11との間にはゲートバルブ53を有する。搬送容器20と中間室18との間にはゲートバルブ59を有する。各ゲートバルブの開閉の制御によって、各設備の空間を区切ることや繋げることができる。
【0050】
ただし、この真空側装置構成部202は一例であって、この構成に限定されない。真空処理装置は、7個の処理室に限らず、7個より多くても少なくてもよい。また、この実施の形態では、1つの真空搬送容器の側壁に対し2つまたは3つの処理室が接続されている。真空処理装置は、このような処理室の接続の個数に限らず、1つの真空搬送容器に1つの処理室が接続されてもよいし、3つ以上の処理室が接続されてもよい。また、真空処理装置は、3個の真空搬送容器に限らず、3個より多くても少なくてもよい。複数の真空搬送容器は、第1方向のみに配置されているが、これに限らず、他の方向に配置されてもよい。また、この実施の形態では、真空搬送容器と中間室との間にゲートバルブを備えるが、このゲートバルブが開閉動作しない構成でもよいし、無い構成でもよい。
【0051】
[(4)処理室]
次に、図3を用いて、真空処理装置1の真空側構成部202における複数の処理室の配置の一構成例について説明する。図3は、この実施の形態で、図2に対応する複数の処理室11〜17の配置構成を示す。この構成は、前工程である第1工程で使用するための複数(個数M=5)の第1処理室である処理室11〜15と、後工程である第2工程で使用するための複数(個数N=2)の第2処理室である処理室16,17とで構成される。第1処理室は、それを含む第1処理ユニットと対応付けられ、第2処理室は、それを含む第2処理ユニットと対応付けられる。第1処理ユニットは、第1種別として第1処理を行う。第2処理ユニットは、第2種別として第2処理を行う。
【0052】
実施の形態では、複数工程処理は、第1工程の第1処理が第1種別としてアッシング(ashing)処理であり、第2工程の第2処理が第2種別としてクーリング(cooling)処理である。アッシング処理は、不要なレジスト等の有機物等を除去する処理である。クーリング処理は、アッシング処理によって生じた熱を冷却して下げる処理である。なお、第1処理および第2処理は、これらの構成に限らず可能である。第1処理はアッシング処理に限らず他の種別の処理でもよいし、第2処理はクーリング処理に限らず他の種別の処理でもよい。他の実施の形態では、他の種別として、エッチング処理や成膜処理等を同様に適用可能である。
【0053】
実施の形態では、前工程で使用する処理室11〜15(対応する第1処理ユニット)を、便宜的に、AU{AU1,AU2,AU3,AU4,AU5}とも記載し、後工程で使用する処理室16,17(対応する第2処理ユニット)を、CU{CU1,CU2}とも記載する。AUは、アッシングユニットの略であり、アッシング処理を行う第1処理ユニットである。CUは、クーリングユニットの略であり、クーリング処理を行う第2処理ユニットである。
【0054】
実施の形態では、機械部101に備える第1処理ユニットおよび第1処理室の個数Mは5であり、機械部101に備える第2処理ユニットおよび第2処理室の個数Nは2であり、M>Nの関係である。また、個数Mのうち、搬送スケジュールにおいて前工程で使用する第1処理ユニットおよび第1処理室の個数を使用個数Kとし、K≦Mである。搬送スケジュールにおいて除外する第1処理室の個数を除外個数L(L=1,2,……)とする。K=M−Lである。
【0055】
ただし、この配置構成は一例であって、この構成には限定されない。真空処理装置は、前工程の第1処理室の個数Mが5個に限らず、3個以上であればよい。また、真空処理装置は、後工程の第2処理室の個数Nが2個に限らず、2個以上であればよい。
【0056】
実施の形態では、第1工程用の処理ユニットAU{AU1〜AU5}は、図示するように、処理室11〜15に対応する場所に配置されており、第2工程用の処理ユニットCU{CU1,CU2}は、図示するように、処理室16,17に対応する場所に配置されている。各処理ユニット(AU,CU)の配置の場所については、この構成に限らず可能である。
【0057】
[(5)搬送経路]
図4は、実施の形態および後述の比較例における、搬送経路情報の構成例を示す。図4の表401には、5つの経路候補を含む搬送経路情報が格納されており、前述の搬送経路情報110と対応している。図4の搬送経路情報は、図3の機械部101の構成で、前工程および後工程の全処理室を使用する複数工程処理の条件において搬送スケジュールを構成する場合に、想定される搬送経路の候補を示す。搬送経路の全体は、FOUPを開始位置として、ロードロック室、第1処理ユニット、および第2処理ユニットを経由して、FOUPへ戻る経路である。表401で、例えば、第1行における「1」で識別される第1経路候補は、開始をFOUPとして、前工程が処理ユニットAU1であり、後工程が処理ユニットCU1またはCU2であり、終了がFOUPである。なお、これらの5つの経路候補は、処理ユニットCU1,CU2を個別に分けずにまとめて記載した場合であるが、個別に分ける場合には全部で10個の経路候補に相当する。
【0058】
[(6)比較例−課題]
次に、図5を用いて、前工程および後工程を含む複数工程処理の条件に係わる、従来技術の方法の搬送アルゴリズムにおける課題について説明する。
【0059】
図5は、実施の形態に対する比較例の方法の構成として、図3と同様の機械部の複数の処理室の配置構成において、図4の搬送経路情報に対し、複数工程処理を実施する場合のウエハ処理のタイムチャート501を示す。このタイムチャート501は、前工程および後工程の各処理ユニット(AU,CU)によって所定の処理条件で複数のウエハの処理を実施する場合の搬送スケジュールと対応している。このタイムチャート501は、図示の横方向が時間、縦方向が複数の処理ユニット{AU1,AU2,AU3,CU1,AU4,AU5,CU2}を示す。このタイムチャート501における処理条件は、前工程の第1処理室を含む第1処理ユニットAU{AU1〜AU5}の処理時間T1が同一の50秒で、後工程の第2処理室を含む第2処理ユニットCU{CU1,CU2}の処理時間T2が同一の30秒である場合を示す。実線枠で示す処理時間502は、ウエハの処理時間を示し、破線枠で示す滞留時間503は、ウエハの滞留時間を示す。枠内の数字は、ウエハの番号を示す。例えば、処理ユニットAU1において、「2」で識別されるウエハを処理する時間が処理時間502であり、その後、次の「7」で識別されるウエハの処理時間の前に、滞留時間503がある。
【0060】
比較例における搬送経路および対応する搬送スケジュールは以下のようになる。例えば「1」で示すウエハについては、第1工程の処理ユニットAU4から第2工程の処理ユニットCU2への搬送経路となる。簡略化して記載すると、各ウエハの搬送経路は以下の通りとなる。ウエハ「1」:AU4→CU2,ウエハ「2」:AU1→CU1,ウエハ「3」:AU3→CU2,ウエハ「4」:AU5→CU1,ウエハ「5」:AU2→CU2,ウエハ「6」:AU4→CU1,ウエハ「7」:AU1→CU1,ウエハ「8」:AU3→CU2,ウエハ「9」:AU5→CU2,ウエハ「10」:AU2→CU1,ウエハ「11」:AU4→CU2,ウエハ「12」:AU1→CU1,ウエハ「13」:AU3→CU2,ウエハ「14」:AU5→CU1,ウエハ「15」:AU2→CU2。
【0061】
この比較例における装置構成かつ処理条件においては、後工程およびそれに対応する第2処理ユニットCUが律速する(言い換えるとボトルネックとなる)。このように、第2工程が律速する場合、前工程での第1処理室の使用個数Kを必要以上に多くする場合、言い換えると前工程の使用個数Kと後工程の個数Nとの差が大きい場合、ウエハの搬送待ち時間が発生する場合がある。すなわち、前述と同様に、後工程の処理ユニットCU1およびCU2が必要とするタイミングよりも早くFOUPからウエハが搬送されることで、真空処理装置内のウエハ枚数が増加する。そして、他のウエハを搬送するための搬送ロボットの動作完了待ちが生じ、これにより、ウエハの搬送待ち時間が発生する場合がある。
【0062】
また、中間室にウエハが滞留する時間が発生することで、他のウエハの搬送経路上に留まるウエハが発生する。その影響から、次の第2工程のいずれかの処理ユニットCUが必要とするタイミングでウエハを搬送できなくなることにより、ウエハの搬送待ち時間が発生する。
【0063】
これらの搬送待ち時間によって、滞留時間504,505,506,507の例のように、律速領域である後工程の各処理ユニットCUでウエハの滞留時間が発生する。例えば、滞留時間504は、処理ユニットCU1でのウエハ「2」の処理後で、ウエハ「4」の処理前に発生する滞留時間である。これにより、比較例では、真空処理装置全体の処理効率を損なうという課題がある。
【0064】
[(7)搬送判定方式−処理フロー]
次に、図6を用いて、実施の形態の真空処理装置の運転方法における、複数工程処理の条件における搬送判定方式であるスループット最適化搬送判定方式について説明する。図6の処理フロー600は、この搬送判定方式を実装した処理フローであり、図1の演算部103の搬送スケジュール処理部105、および第1ステップに係わる処理フローである。この処理フロー600は、複数工程における処理時間(T1,T2)の関係から、最適な前工程の第1処理室の使用個数Kを選択し、工程間の搬送を制御する方式を示す。この処理フロー600は、ステップ601〜607を有し、以下、ステップの順に説明する。概要として、ステップ601〜605までの処理は、前工程の第1処理ユニットの使用個数Kを決定する処理であり、一部の第1処理ユニットを除外する処理である。ステップ606は、前工程の使用個数Kの第1処理ユニットに関する搬送経路を決定する処理である。さらに、ステップ607は、前工程の第1処理ユニットからの搬送先として、後工程の第2処理ユニットを決定する処理である。ステップ607では、複数の第2処理ユニットから、スループットが最も高くなる第2処理ユニットが選択され、前工程の第1処理ユニットから後工程の第2処理ユニットへの搬送経路が決定される。これにより、この処理フロー600は、複数工程処理の条件における搬送動作の最適化を実現する。
【0065】
なお、処理フロー600の前、またはステップ601の前には、図示しないが、所定の条件の確認がある。制御部102は、この条件を確認し、条件を満たす場合には、ステップ601以降の処理、すなわち一部の第1処理ユニットを除外して搬送スケジュールを決定する処理等を行う。制御部102は、条件を満たさない場合には、ステップ601以降の処理をせずに、例えば従来のような処理、すなわち、全ての第1処理ユニットを用いて搬送スケジュールを決定する処理等を行う。この条件は、第2工程が律速するかどうかに係わる条件であり、以下の通りである。この条件は、第1工程の処理時間T1と第2工程の処理時間T2との各々が、ウエハのロードロック室10から第1処理ユニットまでの搬送時間(H1とする)と第1処理ユニットから第2処理ユニットまでの搬送時間(H2とする)との各々よりも長いことである(T1>H1,T1>H2,T2>H1,T2>H2)。
【0066】
ステップ601で、演算部103は、装置構成情報107から、第1処理ユニットの個数Mと第2処理ユニットの個数Nとの個数比率(Q=M/N)を算出する。また、演算部103は、処理室情報108から、複数工程の各工程の処理室の処理時間の関係として、後工程の処理時間T2を基準とした、前工程の処理時間T1の比率である時間比率Rを算出する。各処理時間(T1,T2)は、ウエハ1枚あたりの1つの処理室(対応する処理ユニット)での占有時間に相当する。前工程の第1処理ユニットでのウエハの第1処理の占有時間を処理時間T1とし、後工程の第2処理ユニットでのウエハの第2処理の占有時間を処理時間T2とする。式としては、[時間比率(R)]=[前工程の処理時間(T1)]/[後工程の処理時間(T2)]、すなわち、R=T1/T2である。
【0067】
ステップ602で、演算部103は、条件の確認として、個数比率(Q=M/N)が、時間比率(R=T1/T2)よりも大きいかどうかを確認する。演算部103は、この条件で、大きい場合(Q>R)には、以下の処理を行う。演算部103は、上記ステップ601で算出した時間比率Rに対し、装置構成情報107に記憶されている、後工程の第2処理室の個数Nを乗算することで、前工程に必要な第1処理室の使用個数Kを算出する。式としては、[前工程の処理室の使用個数(K)]=[時間比率(R)]×[後工程の処理室の個数(N)]、すなわち、K=R×N(=T1/T2×N)である。
【0068】
ステップ603,604,605で、演算部103は、実際の使用個数Kが自然数である必要があるため、その確認に基づいて自然数の使用個数Kを決定する処理を行う。ステップ603は、ステップ602の算出値が自然数であるかどうかの確認であり、肯定(Y)の場合にはステップ604へ進み、否定(N)の場合にはステップ605へ進む。ステップ604は、算出値を、前工程で必要な処理室の使用個数Kとみなす処理である。ステップ605は、算出値以上で最小の自然数を、前工程で必要な処理室の使用個数Kとみなす処理である。
【0069】
ステップ606で、演算部103は、装置構成情報107に記憶されている、前工程の処理室の個数Mが、処理時間(T1,T2)の関係から、前工程の必要な処理室の使用個数Kを備えるか(言い換えるとM≧Kであるか)を確認する。そして、演算部103は、その前工程の処理室の個数Mと使用個数Kとから、前工程での使用個数Kの処理室(対応する第1処理ユニット)に対する搬送経路を決定する。
【0070】
演算部103は、前工程で必要な処理室の使用個数Kが、前工程の処理室の個数Mよりも小さい場合(K<M)には、前工程の個数Mの第1処理室から、使用せずに候補から除外する第1処理室を選択する。すなわち、演算部103は、除外個数L(=M−K)に対応する1個以上の一部の第1処理室を選択して除外する。演算部103は、除外後の候補となる使用個数Mの第1処理室を用いて、複数の搬送経路の候補を構成する。
【0071】
演算部103は、複数のウエハの少なくとも1つのウエハについて、個数Mの第1処理ユニットから、搬送経路の長さまたは搬送時間等を考慮した所定の順で、除外する第1処理ユニットを選択する。実施の形態では、搬送経路の長さは、起点から終点までで経由するステーションの数で表される。なお、搬送経路の長さを、他の方式で計測、表現するようにしてもよい。
【0072】
前工程の個数Mの第1処理室から除外する第1処理室を選択する場合、詳しくは以下の処理例が挙げられる。前工程と後工程とで経由するステーション数が多い処理室は、つまり、工程間のウエハの搬送時間が長い処理室、あるいは搬送経路が長い処理室である。なお、経由するステーション数は、装置構成情報107等から算出できる。工程間の搬送時間は、動作時間情報112等から算出できる。
【0073】
このような処理室は、ある第1処理室からの次の第2処理室へのウエハ搬送時に、他のウエハの搬送経路を塞ぐ等の錯綜によって、動作待ち時間を発生させ、処理効率を損なう可能性が高い。そのため、演算部103は、このような工程間の搬送時間が最も長い第1処理室から順に、除外個数L分だけ、候補から除外する。演算部103は、その除外の結果の複数の第1処理室の候補を用いた搬送経路を構成し、新たな搬送経路情報109として記憶する。
【0074】
具体的には、例えば、演算部103は、前工程の各第1処理室から後工程の各第2処理室への搬送経路で経由するステーション数が最も多い第1処理室から順に、除外する。なお、その際、搬送経路または搬送時間が同じとなる2つ以上の第1処理室、すなわち経由するステーション数が同一となる2つ以上の第1処理室がある場合、演算部103は、さらに、それらの2つ以上の第1処理室から、除外する第1処理室を選択する。具体的には、演算部103は、FOUPからその前工程の第1処理室までの搬送時間を考慮し、その搬送時間が最も長い第1処理室から順に、除外する。
【0075】
この実施の形態の例では、比較例と同様に、前工程の処理時間T1が50秒で、後工程の処理時間T2が30秒であるとする。図3の装置構成の条件である場合、図6の処理フロー600による搬送判定結果は、例えば以下のようになる。処理時間(T1,T2)の関係として、前工程の処理時間T1は、後工程の処理時間T2の約1.666倍となる(R=T1/T2=50/30≒1.66)。この装置構成では、後工程に2個の処理室{処理ユニットCU1,CU2}を有するので、前工程に必要な処理室の使用個数Kの算出値は約3.33となる(K=R×N≒1.66×2=3.33)。前工程の処理室の使用個数Kは、自然数とするために、4となる。
【0076】
前工程の処理室の個数Mが5、使用個数Kが4であるため、L=M−Kから、L=1個の第1処理室が除外される。演算部103は、除外する第1処理ユニットを選択する際に、各第1処理ユニットAU{AU1〜AU5}から各第2処理ユニット{CU1,CU2}へ搬送する間に経由するステーション数を考慮する。この結果、経由するステーション数が最も多い第1処理ユニットが、例えば処理ユニットAU1およびAU2となる。そのため、これらの2つの処理ユニットAU1およびAU2が、除外の候補となる。
【0077】
さらに、演算部103は、それらの2つの第1処理ユニットから、1つの第1処理ユニットを選択するために、前工程の第1処理ユニットに係わる搬送時間、動作時間等を考慮する。具体的に、演算部103は、真空側搬送ロボットの旋回動作等の動作時間も考慮する。その結果、搬送時間が最も長い前工程の第1処理ユニットが、例えば処理ユニットAU2となる。演算部103は、この処理ユニットAU2を選択して除外し、残りの使用個数Mの第1処理ユニットを用いて、搬送経路の組合せを構成する。
【0078】
ステップ607で、演算部103は、ステップ606の搬送経路に基づいて、複数工程処理用の搬送パターンとして、前工程の第1処理室から後工程の第2処理室への搬送における最適な搬送先の第2処理室(対応する第2処理ユニット)を選択する。演算部103は、前工程から後工程への搬送先として、後工程の処理が終了している第2処理室、もしくは、処理室情報108に記憶されている残りの処理時間に基づいて最も早く処理が終了する第2処理室を、この後工程の搬送先として選択する。
【0079】
ここで、演算部103は、後工程の複数の第2処理室が既に処理を終了している、もしくは同時期に処理が終了する予定の搬送先の候補となる複数の第2処理室がある場合には、以下のように搬送先を選択する。すなわち、演算部103は、動作時間情報111から、搬送時間が最も短い第2処理室、具体的には工程間で経由するステーション数が最も少ない第2処理室を、搬送先として選択する。
【0080】
このようにして、実施の形態の真空処理装置の運転方法では、制御部102によって、上記ステップ606で選択された前工程の処理室からステップ607で選択された後工程の処理室への搬送経路を用いた搬送スケジュールが決定される。この処理フロー600の処理は、処理対象のウエハ毎(例えばロット毎)に同様に繰り返しである。すなわち、処理対象のウエハ毎(例えばロット毎)に最適な搬送スケジュールが決定できる。同一の処理条件が適用されるウエハの場合には、同一の搬送スケジュールによる搬送制御が適用される。その後、制御部102の搬送制御処理部106は、決定された搬送スケジュールに基づいたウエハ処理の実施を制御する。
【0081】
実施の形態の運転方法は、上記のようなステップの通り、処理対象のウエハ毎に、処理時間と処理室個数の関係を最適化して選択した搬送パターンおよび対応する搬送スケジュールの決定および切り替えを行う。これにより、この運転方法は、一定期間あたりの後工程の各処理室のウエハ処理枚数の差が最小となり、第2工程が律速する場合でも、制御システムにかかる処理負荷を抑制しつつ最適な搬送パターンを選択する。これにより、複数のウエハの処理のスループットが最適化される。
【0082】
上記処理フロー600は、計算の結果、例えばある1つの第1処理ユニット(例えば処理ユニットAU2)を除外するが、これに限らず、計算の結果、条件に応じて、2つ以上の第1処理ユニットを除外する場合もある。すなわち、ウエハに応じて異なる第1処理ユニットが除外される場合がある。この場合、複数のウエハのうち少なくとも2つのウエハについては、異なる第1処理ユニットが除外されて、異なる搬送パターンを含む搬送スケジュールとなる。言い換えると、そのうちの第1ウエハについては、ある第1処理ユニット(例えば処理ユニットAU2)が除外されてそれ以外から選択された搬送経路を含む第1スケジュールが構成され、第2ウエハについては、別の第1処理ユニット(例えば処理ユニットAU3)が除外されてそれ以外から選択された搬送経路を含む第2スケジュールが構成される。
【0083】
[(8)搬送動作]
次に、図7および図8を用いて、実施の形態の真空処理装置の運転方法(対応する図6の搬送判定方式)の適用前後における搬送動作の違いとその効果について説明する。図7および図8は、図3の装置構成および図4の搬送経路情報の場合で、前工程の第1処理室の処理時間T1が50秒で、後工程の第2処理室の処理時間T2が30秒である処理条件の場合における、適用前後の搬送動作の比較を示す。
【0084】
図7は、適用前後の搬送経路を示す。搬送経路701は、適用前の複数の搬送経路を示し、搬送経路702は、適用後の複数の搬送経路を示す。矢印は、工程間のウエハ搬送経路を示す。適用前に有する複数の搬送経路は、図4の5つの経路候補(処理ユニットCU1,CU2を分ける場合には10個の経路候補)と対応している。適用前の搬送経路701に対し、適用後の搬送経路702では、処理時間(T1,T2)の関係から、最適な前工程の処理室の使用個数Kを判定した結果、除外される処理ユニットAU2に係わる搬送経路k1,k2が除外されている。具体的には、適用前において、第1工程の第1処理ユニットAU{AU1〜AU5}毎に、2個の第2処理ユニットCU1,CU2への2つの搬送経路を有する。例えば、搬送経路k1は、処理ユニットAU2から処理ユニットCU1への搬送経路であり、搬送経路k2は、処理ユニットAU2から処理ユニットCU1への搬送経路である。適用後においては、処理ユニットAU2が除外となることで、これらの2つの搬送経路k1,k2が除外されている。
【0085】
図8は、図7に対応した適用前後のウエハ処理のタイムチャートの比較を示す。タイムチャート703は、適用前における処理ユニット毎のウエハ処理のタイムチャートを示し、図5のタイムチャート501と同様の搬送動作を示す。タイムチャート704は、適用後における処理ユニット毎のウエハ処理のタイムチャートを示す。横軸は時間、縦軸は複数の処理ユニット{AU1,AU2,AU3,CU1,AU4,AU5,CU2}を示す。処理時間502や滞留時間503の意味は前述と同様である。
【0086】
適用後において、搬送経路および対応するスケジュールは以下のようになる。簡略化して記載すると、各ウエハの搬送経路は以下の通りとなる。ウエハ「1」:AU4→CU2,ウエハ「2」:AU1→CU1,ウエハ「3」:AU5→CU2,ウエハ「4」:AU3→CU1,ウエハ「5」:AU4→CU2,ウエハ「6」:AU1→CU1,ウエハ「7」:AU5→CU2,ウエハ「8」:AU3→CU1,ウエハ「9」:AU4→CU2,ウエハ「10」:AU1→CU1,ウエハ「11」:AU5→CU2,ウエハ「12」:AU3→CU1,ウエハ「13」:AU4→CU2,ウエハ「14」:AU1→CU1,ウエハ「15」:AU5→CU2。
【0087】
適用前のタイムチャート703と適用後のタイムチャート704とを比較すると、以下のようになる。適用前では、律速する第2工程に関し、ウエハの搬送待ち時間504,506,507,508のように、ウエハ滞留箇所が発生している。それに対し、適用後では、時間方向で隣り合う処理時間の間の時点(ウエハ滞留解消箇所)704,705,706,707で示すように、適用前のウエハ搬送待ち時間が解消されている。適用後では、前工程での処理室の使用個数Mが必要な数(K=4)に最適化されている。これにより、真空処理装置内のウエハ枚数が最適化され、工程間のウエハ搬送動作時における搬送ロボットの動作待ち等の影響が無くなる、または低減される。これにより、適用後では、搬送待ち時間が解消されている。例えば、時点704では、ウエハ「2」の処理時間後に滞留が無くすぐにウエハ「4」の処理時間が続いている。
【0088】
処理効率向上時間(ΔT)713は、適用前の処理全体の終了時点と、適用後の処理全体の終了時点との差分を示す。適用前後では、例えばウエハ「1」〜「15」の15枚のウエハの処理について、処理効率向上時間(ΔT)713に対応した装置利用効率、言い換えるとスループットの向上が実現されている。
【0089】
[(9)効果等]
上記のように、実施の形態の真空処理装置の運転方法によれば、リンク式の真空処理装置の場合に、複数工程処理に係わる効率的な搬送および処理を実現できる。実施の形態によれば、工程毎に使用の候補となる複数の処理ユニットの複数の処理室の処理時間が同一である処理条件において、複数工程のうちの後工程である第2工程が律速した場合でも、全体的な処理負荷を抑制しつつ最適な搬送パターンを含む搬送スケジュールを選択できる。実施の形態によれば、図8の処理効率向上時間(ΔT)713のように、第2工程が律速した場合でも、装置利用効率等を向上できる制御方式を提供できる。実施の形態によれば、処理対象のウエハ毎に、処理時間と処理室個数との関係が最適化された搬送パターンの決定および切り替えが行われる。これにより、一定期間あたりでの第2工程の各処理室のウエハ処理枚数の差が最小となる。よって、第2工程が律速した場合でも、制御システムに処理負荷をあまりかけずに最適な搬送パターンを選択することができる。
【0090】
最適化のためには、後工程の処理室がウエハを必要とするタイミングに合わせて前工程の処理室の処理が終わるように、FOUPから前工程の第1処理室にウエハを搬送し、第1処理室からのウエハの搬送先として次に空く後工程の第2処理室を正しく選択することが必要である。そのために、実施の形態の運転方法は、各工程の処理時間(T1,T2)の関係から、前工程の処理室の使用個数Kの算出後に、搬送経路情報を更新し、工程間の搬送では、後工程の処理状況から搬送効率が良い後工程の処理室を選択している。これにより、この運転方法は、最適な搬送パターンを切り替える制御を実現している。
【0091】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0092】
101…機械部、102…制御部、103…演算部、104…記憶部、105…搬送スケジュール処理部、106…搬送制御処理部、107…装置構成情報、108…装置状態情報、109…処理室情報、110…搬送経路情報、111…処理進捗情報、112…動作時間情報、113…ウエハ搬送順情報、114…ネットワーク、115…ホスト、201…大気側装置構成部、202…真空側装置構成部、10…ロードロック室、11,12,13,14,15,16,17…処理室、18,19…中間室、20,21,22…搬送容器、23,24,25…真空側搬送ロボット、26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38…ゲートバルブ、41,42,43…ロードポート、47…大気側搬送ロボット、48…アライナー、49…待避ステーション。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】