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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年8月13日
【発行日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210122BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210122BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H01L21/302 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2020-513354(P2020-513354)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年2月8日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一野 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】中本 和則
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004BA20
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA06
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA02
5F131CA12
5F131EB15
5F131EB16
5F131EB17
(57)【要約】
プラズマを用いてウエハ1が処理される処理室と、上記プラズマを生成する高周波電力を供給する高周波電源と、上記処理室に配置され、かつウエハ1が載置される試料台2と、試料台2と電気的に接続され、かつ試料台2に吸着力を発生させる直流電源106と、を有するプラズマ処理装置である。試料台2は、上記吸着力によってウエハ1を吸着する凸部201aと、凸部201aの下部において凸部201aから迫り出した段差部201bと、を備え、凸部201aの外側には、ウエハ1の下面と接触可能なリング5が設けられており、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着された状態で、ウエハ1と凸部201aとリング5とによって形成される空間部7が密閉されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを用いて試料が処理される処理室と、前記プラズマを生成する高周波電力を供給する高周波電源と、前記処理室に配置され、かつ前記試料が載置される試料台と、前記試料台と電気的に接続され、かつ前記試料台に吸着力を発生させる第1直流電源と、を有するプラズマ処理装置であって、
前記試料台は、前記吸着力によって前記試料を吸着する凸部を備え、
前記凸部の外側には、前記試料の下面と接触可能なリング状部材が設けられ、
前記試料が前記試料台の前記凸部の上面に吸着された状態で、前記試料と前記凸部と前記リング状部材とによって形成される空間部が密閉されている、プラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記リング状部材は、前記試料と接触可能な試料支持部を有し、
前記リング状部材の外側に誘電体からなるリング状のサセプタが設けられ、
前記試料が前記試料台の前記凸部の前記上面に吸着された状態で、前記試料の前記下面の周縁部と前記試料支持部とが接触し、かつ平面視で前記サセプタの内周部は前記試料の前記周縁部と重なっている、プラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台と前記リング状部材とは、接着剤によって密着し、
前記試料が前記試料台の前記凸部の前記上面に吸着された状態で、密閉された前記空間部に冷却ガスが充填されている、プラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記リング状部材に内蔵された静電吸着用電極と、
前記静電吸着用電極に電気的に接続する第2直流電源と、
を備え、
前記第2直流電源から前記静電吸着用電極に印加する直流電圧によって生じる吸着力で前記リング状部材と前記試料台とを密着させ、
前記試料が前記試料台の前記凸部の前記上面に吸着された状態で、密閉された前記空間部に冷却ガスが充填されている、プラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台と前記リング状部材とは、前記試料台と前記リング状部材との接触部にOリングを介在させた状態で、前記試料台の下方側から装着されたネジによって締結され、
前記試料が前記試料台の前記凸部の前記上面に吸着された状態で、前記Oリングによって密閉された前記空間部に冷却ガスが充填されている、プラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台は、前記凸部の下部において前記凸部から迫り出し、かつ前記リング状部材が載置される段差部を備え、
前記段差部の表面に形成された誘電体膜の内部にヒータが設けられている、プラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のプラズマ処理装置において、
前記リング状部材と前記試料台との間の隙間を介して前記空間部に連通するガス導入部を備え、
冷却ガスは、前記ガス導入部から導入される、プラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載のプラズマ処理装置において、
前記ネジが装着される前記試料台のネジ穴に連通するガス導入部を備え、
冷却ガスは、前記ガス導入部から導入される、プラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のプラズマ処理装置において、
前記リング状部材は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムまたは石英からなる、プラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のプラズマ処理装置において、
前記試料台における前記凸部の前記上面の表面粗さはRa0.6〜1.0であり、
前記リング状部材における前記試料と接触可能な試料支持部の表面粗さはRa0.4以下である、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエッチング装置などのプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置、特にドライエッチング装置などでは、ノード幅の縮小に伴い、試料(以降、半導体ウエハまたは単にウエハと言う)上に形成される半導体の素子形状に関する要求は年々厳しくなっている。特にエッチング装置中の微小異物については、半導体に悪影響を及ぼす異物がより微細化しており、エッチング装置において低異物化が求められている。この中で半導体ウエハを載置し、静電吸着する試料台においては、プラズマからのイオンを引き込み、異方性のエッチングを実現するために数kHz〜MHzの高周波を印加することが一般的である。
【0003】
一方、半導体ウエハの最外周部と試料台が接触すると最外周部に付着したゴミなどが試料台と接触して前述した異物になってしまうため、試料台はウエハよりも小さく設計され、プラズマに対してウエハで隠れるような構造であることが一般的である。また、試料台の外側でウエハと重なる部分にはセラミクスまたは半導体などからなるリング状のサセプタを設けて試料台の外周を保護している。
【0004】
上記のような一般的な構造のプラズマ処理装置では、ウエハの外周部とサセプタとの間には隙間が形成されているため、この隙間からプラズマ中のイオン、あるいはラジカルが回り込み、試料台の側面部が徐々に消耗してしまう。この消耗により例えばチャンバの内部に放出されて異物が発生したり、消耗が試料台中の電極などに達すれば絶縁破壊などが起き、これが試料台の側面部の寿命を決定してしまう。試料台の交換はコストとメンテナンスの時間がかかるため、試料台の交換回数を減らす、すなわち試料台の寿命を延ばすことはドライエッチング処理装置に求められる条件の一つである。
【0005】
なお、試料台の側面部のダメージについて、例えば、特許文献1には、試料台の側面部の消耗を抑えるために試料台の側面部の外側にセラミクス製のリングを備えた構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、導電性のサセプタを静電吸着し、さらに冷却ガスを導入して導電性のサセプタを温調する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−30693号公報
【特許文献2】特開2015−62237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1や特許文献2では、ウエハの外周部とリング状のサセプタとの間に隙間が形成されるため、この隙間からプラズマ中のイオン、あるいはラジカルが回り込み、試料台の側面部がダメージを受け、徐々に消耗して異物が発生し、試料に形成される半導体素子の製造上の歩留まりが低下するという課題が生じる。
【0009】
また、試料台の側面部を保護するリングを設けた構造の場合に、試料台の大きさが小さくなり、プラズマ処理時のウエハ面内の温度分布が悪化するという課題が発生する。
【0010】
本発明の目的は、試料台の側面部からの異物の発生を抑制し、試料に形成される半導体素子の製造上の歩留まりを向上させることができる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、試料台の側面部の消耗を抑制して試料台の長寿命化を図ることができる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の上記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0014】
本発明のプラズマ処理装置は、プラズマを用いて試料が処理される処理室と、上記プラズマを生成する高周波電力を供給する高周波電源と、上記処理室に配置され、かつ上記試料が載置される試料台と、上記試料台と電気的に接続され、かつ上記試料台に吸着力を発生させる第1直流電源と、を有するものである。さらに、上記試料台は、上記吸着力によって上記試料を吸着する凸部を備え、上記凸部の外側には上記試料の下面と接触可能なリング状部材が設けられ、上記試料が上記試料台の上記凸部の上面に吸着された状態で、上記試料と上記凸部と上記リング状部材とによって形成される空間部が密閉されている。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
本発明によれば、試料台の側面部からの異物の発生を抑制し、試料に形成される半導体素子の製造上の歩留まりを向上させることができる。さらに、試料台の側面部からの異物の発生を抑制することができるため、試料台の側面部の消耗を抑制することができ、試料台の長寿命化を図ることができる。
また、プラズマ処理時のウエハ面内の温度分布の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1のプラズマ処理装置の構成を示す模式図である。
図2図1に示すプラズマ処理装置の試料台の側面部付近の構造を示す拡大部分断面図である。
図3】本発明者が比較検討を行った比較例のプラズマ処理装置の試料台の側面部付近の構造を示す拡大部分断面図である。
図4】本発明の実施の形態2のプラズマ処理装置における試料台の側面部付近の構造を示す拡大部分断面図である。
図5】本発明の実施の形態3のプラズマ処理装置における試料台の側面部付近の構造を示す拡大部分断面図である。
図6】本発明の実施の形態4のプラズマ処理装置における試料台の側面部付近の構造を示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を図面を用いて説明する。
図1および図2を用いて本実施の形態1のプラズマ処理装置について説明する。
【0019】
本実施の形態1では、プラズマ処理が行われる試料として、ウエハ1を用いる場合を説明する。また、プラズマ処理装置として、試料台2の外周部(外側)にリング部材を設け、ウエハ1を吸着保持した際にウエハ1と試料台2との間に形成される空間部7に導入される冷却ガスをこのリング状部材とウエハ1との密着によって密閉する。さらに、リング状部材と試料台2との間の空間部7の密閉に、接着剤6を用いる例を説明する。
【0020】
本実施の形態1のプラズマ処理装置は、試料にプラズマ処理が行われる処理室101と、ウエハ1が載置され、かつ電極を兼ねた試料台2と、プラズマ生成用の高周波電力が供給されるアンテナ102と、整合器103と、プラズマ生成用の高周波電源104と、静電吸着用の直流電源(第1直流電源)106と、高周波バイアス電源107と、を有する。試料台2は、処理室101内に配置されており、プラズマ処理時には、処理室101は真空排気される。また、プラズマ処理装置は、図示しない処理ガス供給系を備えており、この処理ガス供給系は、処理室101を有する真空容器であるチャンバ101aに接続されている。
【0021】
チャンバ101a内の処理室101においては、誘導結合によりプラズマ10を生成するため、アンテナ102にはプラズマ生成用の高周波電源104より整合器103を介して高周波電力が供給され、処理室101の内部に上記処理ガス供給系より供給された処理ガスとウィンドウ105を介して誘導結合し、上記処理ガスをプラズマ化する。
【0022】
本実施の形態1では誘導結合型のプラズマ処理装置を示すが、プラズマ10の生成方式については、その他の方式、例えば容量結合型、ECRプラズマ型で生じたプラズマ10に対して使用してもよい。
【0023】
図2に示すように、電極を兼ねた試料台2は、チタン、アルミニウムなどの金属からなる基材部201と、基材部201の表面に形成されたアルミナなどのセラミクスの溶射膜202と、を有する。また、試料台2は、ウエハ1を吸着する凸部201aと、凸部201aの下部において凸部201aから迫り出した段差部201bと、を含んでいる。したがって、溶射膜202は、ウエハ1を吸着する凸部201aの最上層(上面)や、凸部201aの側面部201c、および段差部201bの上面や側面部201cのそれぞれの表面に形成された誘電体膜である。
【0024】
また、溶射膜202の内部には、ウエハ1との電位差によって静電吸着力(吸着力)を得るために埋設された静電吸着用電極204と、試料台2を所望の温度に制御するためのヒータ電極205と、が形成されている。そして、ヒータ電極205には、ヒータ電極205に電力を供給するためのヒータ電源109が接続されている。さらに、試料台2の基材部201の内部には、温度調節された冷媒が通る冷媒流路206が設けられている。
【0025】
また、試料台2の静電吸着用電極204には静電吸着用の直流電源(第1直流電源)106が電気的に接続されている。したがって、直流電源106から静電吸着用電極204に静電吸着用の電圧を印加することで試料台2との間に電位差が生じ、試料台2の凸部201aに静電吸着力を発生させる。これにより、ウエハ1を試料台2の凸部201aに吸着させることができる。具体的には、溶射膜202を介してウエハ1と静電吸着用電極204との間に作用するクーロン力、あるいは表面電流により生じるジョンソン・ラーベック力(以降、JR力とも言う)により、ウエハ1が溶射膜202の表面に吸着保持される。この時、直流電源106を適切に設定することで、好適な静電吸着力が得られるような電圧に静電吸着用電極204の電位を制御することができる。
【0026】
また、静電吸着用電極204あるいは基材部201には、400KHz〜13.56MHzの周波数の高周波バイアス電源107が高周波の整合器108を介して接続されており、高周波バイアス電源107からの出力を溶射膜202を介してウエハ1に印加することができる。そして、この高周波バイアス電源107により、図1に示すプラズマ10中からイオンを引き込み、ウエハ1を所望の形状に処理(加工)することができる。基材部201は、ヒータ電極205と、冷媒流路206とにより所望の温度に制御されており、プラズマ処理に好適な温度に保たれる。
【0027】
さらに、ウエハ1と接する溶射膜202の表面にはガス溝203が設けられ、図示しない冷却ガス導入機構よりHe(ヘリウム)などの冷却ガスがガス溝203を介してウエハ1と溶射膜202との間の空間部7に導入される。この冷却ガスは、ウエハ1と溶射膜202との間の熱伝導を促進させる媒体であり、これにより、ウエハ1の温度制御を容易に行うことができる。
【0028】
なお、試料台2は金属に溶射することで形成されたものである必要はなく、例えばアルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミクスに静電吸着用電極などを埋設し、焼結することで形成されたものであってもよい。
【0029】
ここで、図3を用いて本発明者が比較検討を行った比較例のプラズマ処理装置について説明する。
【0030】
図3に示す比較例のプラズマ処理装置では、試料台(電極)2を保護するため、試料台2の周辺には誘電体からなるリング状のサセプタ4が配置されている。サセプタ4の内周部4aの内周壁の直径は、ウエハ1の直径よりも小さく設計されている。したがって、試料台2にウエハ1を静電吸着した状態では、試料台2の上面をウエハ1が覆うような構造になり、ウエハ1の周縁部が試料台2の上面から迫り出した状態となる。これにより、プラズマ処理中に試料台2の表面が図1に示すプラズマ10に直接さらされないようになっている。
【0031】
しかしながら、図3に示すような構造では、試料台2とウエハ1とサセプタ4とによって囲まれた部分に隙間部3が形成される。この隙間部3はプラズマ10が形成される空間と繋がっていて、プラズマ10に対して露出している。さらに、試料台2にはイオンを引き込む目的で高周波が印加されるため、プラズマ中の正に帯電したイオンは試料台(電極)2に引き付けられ、試料台2の側面部201cに衝突する。これにより、側面部201cの溶射膜202がスパッタされてチャンバ内に異物が生じたり、金属汚染を引き起こす場合がある。あるいは側面部201cに付着していた付着物が同様にスパッタされて異物を発生させたり、金属汚染を引き起こす場合がある。このような異物や金属汚染は原子層レベルまで微細化の進んだ半導体素子に対してはその所望の動作を妨げる要因となり、半導体製造メ−カ−にとっては歩留まりの低下を引き起こす。また、側面部201cのスパッタが経時的に進む場合には一定間隔での試料台交換が必要となり、プラズマ処理装置の稼働率の低下の要因となる。
【0032】
また、試料台2の表面(上面や側面部201c)の材料としては、ク−ロン力を用いるタイプの電極では表層の焼結板を接着材で基材部201に張り付け、側面部201cは溶射を用いる場合が多い。上述したJR力を用いるタイプの電極でも同様に表層の焼結板を接着材で基材部201に張り付け、側面部201cは溶射を用いる場合や、焼結板の代わりに抵抗率を制御した溶射膜202を基材部201にそのまま生成する場合もある。
【0033】
どちらの場合にも側面部201cは溶射膜202が露出した構造であり、焼結板を張り付ける構造では焼結板下の接着材が暴露される。側面部201cまで溶射よりも構造が強固でスパッタに強い焼結板を用いることも可能であるが、厚くなることで熱容量が上昇し表面の温度応答が悪くなってしまうという課題や焼結板の製造コストの増加という課題も生じる。
【0034】
そこで、図1および図2に示す本実施の形態1のプラズマ処理装置は、主に、試料台2の側面部201cへのイオン入射によるスパッタで起こる側面部201cのダメ−ジに対して対策を図るものである。
【0035】
図2に示す本実施の形態1のプラズマ処理装置では、電極を兼ねた試料台2の凸部201aの外周の外側には、セラミクスなどからなり、かつウエハ1の下面と接触可能な絶縁性のリング(リング状部材)5が設けられている。すなわち、凸部201aの外側に凸部201aを囲むように絶縁性のリング5が配置されている。なお、リング5は、試料台2の凸部201aの外周部に沿って配置される鉛直部5eと、鉛直部5eから迫り出した鍔部5fと、を有している。すなわち、リング5は、リング状の鉛直部5eとリング状の鍔部5fとが一体に形成された形状となっており、図2に示すように、縦断面の形状がL字形状となっている。
【0036】
そして、リング5の鉛直部5eが試料台2の凸部201aの外周部に沿って配置されるとともに、リング5の鍔部5fは試料台2の段差部201b上に配置される。なお、リング5は、その鉛直部5eにウエハ1と接触可能な試料支持部5bを有している。そして、試料支持部5bには最上面5a(最も高い位置に配置された上面)が形成されている。この最上面5aは、凸部201aの静電吸着力を発生させる表面(上面)に対して同一高さ、あるいは凸部201aの表面より100μm程度高い位置の平面となっている。
【0037】
したがって、静電吸着力によってウエハ1が試料台2の凸部201aに吸着された状態で、ウエハ1の下面とリング5の最上面5aとが接触する。つまり、試料台2の段差部201b上にリング5が凸部201aを囲むように配置されており、ウエハ1が試料台2に静電吸着された際には、リング5の試料支持部5bの最上面5aがウエハ1の下面と接触してウエハ1を支持する。
【0038】
なお、リング5の外側には誘電体からなるリング状のサセプタ4が設けられている。したがって、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着された状態においては、ウエハ1の下面の周縁部とリング5の試料支持部5bとが接触するとともに、平面視でサセプタ4の内周部4aはウエハ1の上記周縁部と重なっている。
【0039】
そして、本実施の形態1のプラズマ処理装置では、ウエハ1が試料台2に静電吸着によって保持された際に、ウエハ1の下面がリング5の最上面5aに静電吸着力で押し付けらることで、試料台2とウエハ1とリング5とによって形成される空間部7が密閉状態となる。つまり、この空間部7に導入される熱伝達を促進するための冷却ガスを密閉(シ−ル)する構造となっている。
【0040】
空間部7が密閉されているため、空間部7は冷却ガスで満たされ、真空中に置かれるよりも良好な熱伝達の状態を確保することができる。また、プラズマ10から入って来るウエハ1とリング5への入熱を試料台2側に排熱することができるため、ウエハ1とリング5が過度に温度上昇することを防ぐことができる。
【0041】
また、試料台2の段差部201b上のリング5の鍔部5fの上部には、サセプタ4の内周部4aが配置されている。これにより、プラズマ10によってリング5がダメージを受けることや、ウエハ1に対して熱容量が大きいリング5がプラズマ10からの入熱を直接受けて温度変動が大きくなることを防ぐことができる。
【0042】
また、リング5と試料台2との間においても冷却ガスを密閉する必要があるため、本実施の形態1ではリング5の鍔部5fの下面と試料台2の段差部201bとの接触部201dに接着剤6を塗布し、試料台2とリング5との間から冷却ガスが漏れることを防いでいる。つまり、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着された状態で、密閉された空間部7に冷却ガスを充填させることができる。なお、接着剤6の材質としては、例えばシリコ−ン系の接着剤6を用いてもよく、またはシリコ−ン系の接着剤6を耐プラズマ性の高い他の接着剤6でコ−ティングしたものでもよい。
【0043】
試料台2の段差部201bにリング5が配置されることにより、プラズマ処理中の試料台2の露出がなくなり、スパッタを受ける部分が試料台2ではなくセラミクスのリング5になる。これにより、本実施の形態1のプラズマ処理装置は、図3に示す比較例のプラズマ処理装置に比べて、試料台2の側面部201cの溶射部が、サセプタ4の表面のセラミクスを接着剤で固定した部分よりもスパッタに対する耐性が向上し、異物や汚染の問題が発生しないようにすることができる。
【0044】
なお、リング5に用いられるセラミクスの材料は、例えば酸化アルミニウム(アルミナ)であったり、酸化イットリウム(イットリア)、あるいは石英などでもよく、その他耐プラズマ性の高い材料を用いることが好ましく、プラズマ処理に使用するガスに応じて適切に選択することもできる。また、リング5の製造方法については、試料台2の表面のように未焼成のシ−トを積層して焼成する方法でなく、一体で焼成後に加工することが好ましい。また、ウエハ1とのシ−ル面(リング5の試料支持部5bの最上面5a)については、その表面粗さはRa0.4以下、好ましくはRa0.1以下の粗さに仕上げることにより、空間部7の密閉度をさらに高めることができる。なお、試料台2の凸部201aの上面の表面粗さは、Ra0.6〜1.0である。
【0045】
本実施の形態1のプラズマ処理装置によれば、試料台2の凸部201aの外側にリング5が配置されたことで、試料台2の側面部201cがリング5によって覆われる。さらに、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着された状態において、ウエハ1と凸部201aとリング5とによって形成される空間部7が密閉される。これにより、空間部7内へのプラズマ10の進入を阻止することができる。したがって、プラズマ10の進入によって試料台2の側面部201cが受けるダメージを抑制することができる。
【0046】
これにより、試料台2の側面部201cからの異物の発生を抑制することができ、その結果、ウエハ1に形成される半導体素子の製造上の歩留まりを向上させることができる。さらに、試料台2の側面部201cからの異物の発生を抑制することができるため、試料台2の側面部201cの消耗を抑制することができ、試料台2の長寿命化を図ることができる。
【0047】
また、試料台2が従来のプラズマ処理装置の試料台2よりも小さくなることにより懸念されるウエハ外周部の温度の上昇についても、リング5の最上面5aがウエハ1との接触部201dとなることで解消することができる。
【0048】
これにより、プラズマ処理時のウエハ面内の温度分布の均一化を図ることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2を図4を用いて説明する。
【0049】
図4に示す実施の形態2のプラズマ処理装置の基本的な構造は、実施の形態1のプラズマ処理装置と同様であるが、試料台(電極)2とリング5の固定の方法が異なっている。実施の形態1の構成ではリング5と試料台2とは、接着剤6によって固定される場合を説明した。この場合、実際にリング5が消耗して交換必要となった際には、試料台2を取り外し、さらにリング5を取り外して再度接着剤6によって接着することが必要になる。
【0050】
これに対して本実施の形態2のプラズマ処理装置では、リング5のみを取り外せるような構造とするためにリング5に内蔵された静電吸着用電極207を有することを特徴としている。そして、静電吸着用電極207は直流電源(第2直流電源)110と電気的に接続されている。すなわち、本実施の形態2のプラズマ処理装置は、リング5に内蔵された静電吸着用電極207と、静電吸着用電極207に電気的に接続する第2直流電源である直流電源110と、を備えている。
【0051】
これにより、プラズマ処理時には静電吸着用電極207に直流電源110より所定の電圧が印加されると、基材部201の段差部201bと静電吸着用電極207との間に生じる電位差によってク−ロン力、あるいはJR力が発生し、リング5は試料台2に吸着される。すなわち、直流電源110から静電吸着用電極207に印加する直流電圧によって生じる静電吸着力でリング5と試料台2とが密着する。そして、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着保持された状態で、密閉された空間部7に冷却ガスが充填されている。
【0052】
なお、リング5と試料台2との接触部201dの表面粗さは、リング5とウエハ1との接触部5cの表面粗さよりも小さく設定されることが望ましく、接触している部分のシ−ル幅も上述のリング5とウエハ1とのシ−ル幅よりも長いことが望ましい。これは通常のプラズマ処理においてはウエハ1と試料台2との間から漏れる冷却ガスの漏れ量を監視しており、異常の発生を検知している。したがって、本実施の形態2の構造ではリング5とウエハ1との間からの冷却ガスの漏れ量を監視することで、リング5と電極2の間からの漏れ量は小さくすることができ、上記冷却ガスの漏れ量の監視に影響を与えないようにすることができる。
【0053】
本実施の形態2のように、リング5に静電吸着用電極207が内蔵され、静電吸着用電極207に印加する直流電圧によって生じる静電吸着力でリング5と試料台2とが密着する構造とすることにより、リング5の消耗時にはリング5のみの交換で済むようになる。これにより、プラズマ処理装置のメンテナンスコストを低減することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3を図5を用いて説明する。
【0054】
図5に示す実施の形態3のプラズマ処理装置の基本的な構造は、実施の形態1のプラズマ処理装置と同様であるが、実施の形態2と同様に試料台(電極)2とリング5との固定の方法が異なっている。
【0055】
上述の実施の形態2の試料台2とリング5との固定の方法では、試料台2を新たに設ける必要があるためリング5のコスト上昇と、直流電源110の設置による装置全体のコスト上昇とが懸念となる。
【0056】
そこで本実施の形態3では、セラミクスからなるリング5に金属などの固定用のネジ穴5dを有する部材を埋め込む、あるいはセラミクス自身にネジ穴5dを設け、リング5と試料台2とをボルト(ネジ)208の締結力により固定し、さらにこのボルト208の外側に設けたOリング209により冷却ガスをシ−ルすることを特徴としている。
【0057】
すなわち、試料台2とリング5とは、試料台2の段差部201bとリング5の鍔部5fとの接触部201dにOリング209を介在させた状態で、試料台2の下方側から装着されたボルト208によって締結されている。そして、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着された状態で、Oリング209によって密閉された空間部7に冷却ガスが充填されている。さらに、図5に示すプラズマ処理装置では、ボルト208が装着される試料台2のネジ穴211に連通するガス導入部111を備えており、冷却ガスは、ガス導入部111からネジ穴211を介して空間部7に導入される。なお、リング5と試料台2との間の隙間を介して空間部7に連通するガス導入部111を備えていてもよく、その際には、冷却ガスは、ガス導入部111からリング5と試料台2との間の隙間を介して空間部7に導入される。
【0058】
例えば、図3に示す比較例のプラズマ処理装置では、冷却ガスは試料台2の表面から導入されていたが、本実施の形態3のプラズマ処理装置では、ボルト208のネジ穴211を通してガス導入部111よりリング5と試料台2の間の領域から導入する。この時、ウエハ1と試料台2との間の冷却ガスのシ−ルは最外周のリング5とウエハ1との接触部5cにより成されているため、図2に示すプラズマ処理装置と同様に、本実施の形態3の図5に示すプラズマ処理装置においても、ウエハ1と試料台2の間の冷却ガスの導入を行うことができ、さらに試料台2の表面の構造が複雑になることを防ぐことができる。
【0059】
また、図3に示す比較例のプラズマ処理装置では、ウエハ1は高周波バイアス電圧によりセルフバイアス電位となるが、試料台2にはセルフバイアスが生じないためこのセルフバイアス電位分の電位差が冷却ガスの圧力の空間に生じる。この電位差と圧力により好ましくない異常放電が発生する場合があり、歩留まりの悪化を生じる場合がある。このため、図3に示す比較例のプラズマ処理装置では、ウエハ1と試料台2の金属部分の間の沿面距離を長く確保する必要があり、絶縁性のセラミクスや樹脂などで複雑な形状の導入孔を形成していた。
【0060】
しかしながら、本実施の形態3のプラズマ処理装置のように、リング5と試料台2との間から冷却ガスを導入すると、導入される部分はウエハ1から離れた場所になるため、上記のウエハ1と試料台2の間の沿面距離を長く確保することができる。これによって、本実施の形態3のプラズマ処理装置は、図3に示す比較例のプラズマ処理装置に比べて、より簡素な構造で冷却ガスの導入を行うことが可能となる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4を図6を用いて説明する。
【0061】
図6に示す実施の形態4のプラズマ処理装置の基本的な構造は、実施の形態1のプラズマ処理装置と同様であるが、図6に示すプラズマ処理装置では、リング5の鍔部5fが載置される試料台2の段差部201bに、温度制御のための外周用のヒータ電極210を備え、さらにこのヒータ電極210と電気的に接続されるヒータ電源112が設けられていることを特徴としている。
【0062】
すなわち、試料台2の段差部201bの表面に形成された溶射膜(誘電体膜)202の内部にヒータ電極(ヒータ)210が設けられており、さらにこのヒータ電極210と電気的に接続されたヒータ電源112を備えている。
【0063】
なお、本発明の上記実施の形態1〜3のウエハ1の外周部とリング5の接触部5c、および図3に示す比較例のプラズマ処理装置のウエハ1と試料台2の接触部は、冷却ガスの圧力が凸部201aの中心より外周方向に向かって徐々に低下していく構造となっており、またウエハ1がリング5または試料台2よりも大きいためにウエハ1の外周部は温度が上がりやすい傾向がある。
【0064】
その際、本発明の実施の形態1〜3のプラズマ処理装置の構造では、その接触部201dにはヒータ電極が配置されないため、図3に示す比較例のプラズマ処理装置よりも加熱されやすくなる半面、冷え過ぎてウエハ1の外周部の温度が特異的になる可能性がる。この時、本実施の形態4の図6に示すプラズマ処理装置のように、リング5の鍔部5fの下部にヒータ電極210を設け、ヒータ電極210の加熱量を調整することにより、ウエハ1の外周部の温度も好適に制御することが可能となる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0066】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0067】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる。
【0068】
上記実施の形態のプラズマ処理装置は、リング状部材とサセプタ4とが一体化したものであってもよい。すなわち、上記リング状部材として、誘電体からなるサセプタが設けられていてもよい。この場合のプラズマ処理装置では、上記サセプタは、ウエハ1と接触可能な試料支持部を有し、ウエハ1が試料台2の凸部201aの上面に吸着された状態で、ウエハ1の下面の周縁部と上記サセプタの上記試料支持部とが接触する構造となる。
【符号の説明】
【0069】
1 ウエハ(試料)
2 試料台
3 隙間部
4 サセプタ
4a 内周部
5 リング(リング状部材)
5a 最上面
5b 試料支持部
5c 接触部
5d ネジ穴
5e 鉛直部
5f 鍔部
6 接着剤
7 空間部
10 プラズマ
101 処理室
101a チャンバ
102 アンテナ
103 整合器
104 高周波電源
105 ウィンドウ
106 直流電源(第1直流電源)
107 高周波バイアス電源
108 整合器
109 ヒータ電源
110 直流電源(第2直流電源)
111 ガス導入部
112 ヒータ電源
201 基材部
201a 凸部
201b 段差部
201c 側面部
201d 接触部
202 溶射膜(誘電体膜)
203 ガス溝
204 静電吸着用電極
205 ヒータ電極
206 冷媒流路
207 静電吸着用電極
208 ボルト(ネジ)
209 Oリング
210 ヒータ電極(ヒータ)
211 ネジ穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】