特表-20217918IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2020-217918硬化性組成物、硬化物、繊維強化複合材料、成形品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年10月29日
【発行日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物、繊維強化複合材料、成形品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20210409BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20210409BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20210409BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   C08L63/00
   C08L51/04
   C08G59/50
   C08J5/24CFC
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2020-545754(P2020-545754)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年4月2日
(31)【優先権主張番号】特願2019-81871(P2019-81871)
(32)【優先日】2019年4月23日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】木村 真実
(72)【発明者】
【氏名】松井 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】河崎 顕人
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB10
4F072AB22
4F072AB28
4F072AD02
4F072AD25
4F072AD28
4F072AD31
4F072AD52
4F072AE01
4F072AF15
4F072AF28
4F072AG02
4F072AK03
4F072AK11
4F072AK12
4F072AK13
4F072AK14
4F072AK15
4F072AL02
4F072AL03
4F072AL14
4J002BN122
4J002BN141
4J002BN172
4J002CD011
4J002CD041
4J002CD051
4J002CD061
4J002CD131
4J002GN00
4J036AA01
4J036AD08
4J036DC03
4J036DC05
4J036DC39
4J036JA11
(57)【要約】
本発明は、エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)を含有し、前記アミン化合物(B)がN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とすることを特徴とする硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及び繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供する。この硬化性樹脂組成物は、速硬化性を有しており、また、強化繊維への含浸性も良好であり、さらに、強靭性等に優れた硬化物を形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)を含有し、前記アミン化合物(B)がN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とすることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂(A)がビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)を必須の成分とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が165〜190g/eqの範囲であり、25℃における粘度が2,000〜11,000mPa・sの範囲である請求項1又は2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記アミン化合物(B)の全質量に対する前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)の割合が20〜80質量%の範囲である請求項1〜3の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記コアシェル粒子(C)がエラストマーまたはゴム状の共重合体を主成分とする共重合体からなるコア部と、これにグラフト重合された第二の(共)重合体からなるシェル層より構成される共重合である請求項1〜4の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記コアシェル粒子(C)が、前記エポキシ樹脂(A)中に一次粒子の状態で平均粒径が30〜1000nmの範囲で分散しているものである請求項1〜5の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記コアシェル粒子(C)の含有量が、エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)の合計質量に対して、0.5〜10質量%の範囲である請求項1〜6の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項記載の硬化性組成物と、強化繊維とを必須成分とする繊維強化複合材料。
【請求項10】
請求項8記載の硬化物と強化繊維とを必須成分とする繊維強化樹脂成形品。
【請求項11】
請求項9記載の繊維強化複合材料を熱硬化させる繊維強化樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速硬化性であり、硬化物における強靭性等に優れる硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及び繊維強化樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、高い比強度および比弾性率を活かし、自動車や風車などの一般産業用途、航空宇宙産業用途、スポーツ用途に広く利用されており、近年では、金属の軽量化として繊維強化複合材料の開発が盛んに行われている。
【0003】
この繊維強化複合材料用のマトリクス樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が主に使用されている。その中でも、エポキシ樹脂を含む硬化性組成物から得られる硬化物には、優れた耐熱性、高強度、高弾性率、密着性、耐薬品性を有し、成形性も良好である点から、繊維強化複合材料用の樹脂として、様々な用途において実用化が進んでいる。
【0004】
一方、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂には、他の樹脂系に比較して、硬化物がかた脆くなりやすいという短所がある。繊維強化複合材料用の樹脂として、より広い用途に展開するためには、このかた脆さを改善し、強靭性に優れる硬化物を与えうる樹脂組成物の開発が求められている。
【0005】
前記課題の解決手段の一つとして、エポキシ樹脂をゴム成分を含む化合物とあらかじめ反応させてなる変性エポキシ樹脂を用いる方法や、組成物に靭性付与成分を添加する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、靭性付与成分の添加により、配合物(組成物)の粘度が上がることになり、その結果として、強化繊維への含浸性が悪くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−59300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、速硬化性であり、硬化物における強靭性等に優れ、強化繊維への含浸性も良好である硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及び繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ樹脂組成物の硬化剤としてN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物を用い、これをコアシェル粒子と併用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)を含有し、前記アミン化合物(B)がN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とすることを特徴とする硬化性組成物を提供するものである。
【0010】
本発明は更に、前記硬化性組成物の硬化物、前記硬化性組成物を用いた繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及び繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、速硬化性であり、硬化物における強靭性等に優れる硬化性組成物とその硬化物、繊維強化複合材料、繊維強化樹脂成形品、及び繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の硬化性組成物は、エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)を含有し、前記アミン化合物(B)がN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とすることを特徴とする。
【0013】
前記エポキシ樹脂(A)は特に限定なく多種多様な化合物を用いることができる。また、エポキシ樹脂(A)は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。エポキシ樹脂(A)の具体例の一部としては、例えば、ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルオキシナフタレン、脂肪族エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂、フェノール又はナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応物型エポキシ樹脂、フェノール性水酸基含有化合物−アルコキシ基含有芳香族化合物共縮合型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、これら以外のナフタレン骨格含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0014】
前記脂肪族エポキシ樹脂は、例えば、各種の脂肪族ポリオール化合物のグリシジルエーテル化物が挙げられる。前記脂肪族ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチルプロパンジオール、1,2,2−トリメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−3−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の脂肪族ジオール化合物;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の脂肪族ポリオール化合物等が挙げられる。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、前記脂肪族ジオール化合物のグリシジルエーテル化物が好ましい。
【0015】
前記ビフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、ビフェノールやテトラメチルビフェノール等のビフェノール化合物の一種乃至複数種をエピハロヒドリンでポリグリシジルエーテル化したものが挙げられる。中でも、エポキシ当量が150〜200g/eqの範囲であるものが好ましい。
【0016】
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物の一種乃至複数種をエピハロヒドリンでポリグリシジルエーテル化したものが挙げられる。中でも、エポキシ当量が158〜200g/eqの範囲であるものが好ましい。
【0017】
前記ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、フェノール、ジヒドロキシベンゼン、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノール、ビフェノール等、各種フェノール化合物の一種乃至複数種からなるノボラック樹脂をエピハロヒドリンでポリグリシジルエーテル化したものが挙げられる。
【0018】
前記トリフェノールメタン型エポキシ樹脂は、例えば、下記構造式(1)で表される構造部位を繰り返し構造単位として有するものが挙げられる。
【0019】
【化1】
[式中R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は構造式(1)で表される構造部位と*印が付されたメチン基を介して連結する結合点の何れかである。nは1以上の整数である。]
【0020】
前記フェノール又はナフトールアラルキル型エポキシ樹脂は、例えば、グリシジルオキシベンゼン又はグリシジルオキシナフタレン構造が、下記構造式(2−1)〜(2−3)の何れかで表される構造部位にて結節された分子構造を有するものが挙げられる。
【0021】
【化2】
(式中Xは炭素原子数2〜6のアルキレン基、エーテル結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基、スルフィド基、スルホン基の何れかである。]
【0022】
前記グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、4,4’−メチレンビス[N,N−ジグリシジルアニリン]、トリグリシジルアミノフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン等が挙げられる。
【0023】
前記ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂の一例としては、例えば、下記構造式(3−1)〜(3−3)の何れかで表されるビス(ヒドロキシナフタレン)型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0024】
【化3】
【0025】
前記エポキシ樹脂(A)の中でも、硬化物における耐熱性と機械強度とのバランスに優れる硬化性組成物となることから、脂肪族エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、前記構造式(3−1)〜(3−3)の何れかで表されるビス(ヒドロキシナフタレン)型エポキシ樹脂のいずれかを用いることが好ましい。これらの中でも特にビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、エポキシ樹脂(A)の全質量に対し40質量%以上用いることが好ましい。更に、硬化物における耐熱性と機械強度に一層優れる点では前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂とを併用することが好ましい。この場合、ビスフェノール型エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂との質量比は70/30〜99/1の範囲であることが好ましい。また、前記脂肪族エポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂(A)の全質量に対する脂肪族エポキシ樹脂の割合は1〜30質量%の範囲であることが好ましい。前記トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂(A)の全質量に対し5〜50質量%の範囲で用いることが好ましい。前記グリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂(A)の全質量に対し5〜50質量%の範囲で用いることが好ましい。前記ビス(ヒドロキシナフタレン)型エポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂(A)の全質量に対し1〜30質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0026】
また、特に後述する繊維強化複合材料として用いる場合には、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が165〜190g/eqの範囲であり、25℃における粘度が2,000〜11,000mPa・sの範囲であることが、組成物の硬化性、流動性や強化繊維への含浸性の観点から好ましい。
【0027】
前記アミン化合物(B)は、前記エポキシ樹脂(A)の硬化剤或いは硬化促進剤として用いるものである。本発明では、アミン化合物(B)としてN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とする。
【0028】
前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)は、例えば、下記構造式(4)で表される化合物等が挙げられる。
【0029】
【化4】
[式中Rはアルキレン基、Rは水素原子又はアルキル基である。Rは水素原子又は−R−NRで表されるアミノアルキル基である。]
【0030】
前記構造式(4)中Rで表されるアルキレン基は直鎖型であっても分岐構造を有するものであってもよい。また、その炭素原子数も特に限定されない。中でも、硬化物における耐熱性や機械強度に加え、速硬化性にも優れる硬化性組成物となることから、Rは炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。更に、炭素原子数1〜6の直鎖のアルキレン基であることがより好ましい。
【0031】
前記構造式(4)中のRは水素原子又はアルキル基である。アルキル基は直鎖型であっても分岐構造を有するものであってもよい。また、その炭素原子数も特に限定されない。中でも、硬化物における耐熱性や機械強度に加え、速硬化性にも優れる硬化性組成物となることから、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0032】
前記構造式(4)中のRは水素原子又は−R−NRで表されるアミノアルキル基である。中でも、硬化物における耐熱性や機械強度に加え、速硬化性にも優れる硬化性組成物となることから、Rは水素原子であることがより好ましい。
【0033】
本発明では、前記アミン化合物(B)としてN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)以外のその他のアミン化合物を併用してもよい。本発明では、硬化物における耐熱性や機械強度にも優れる効果が十分に発揮されることから、アミン化合物(B)の合計質量に対する前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)の割合が20〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0034】
その他のアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノヘキサノール、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト等の脂肪族アミン化合物(B2);
【0035】
ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン等、分子構造中にポリオキシアルキレン構造を有するアミン化合物(B3);
【0036】
シクロヘキシルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、メチレンビス(メチルシクロヘキサンアミン)等の脂環族アミン化合物(B4);
【0037】
ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、モルホリン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、キヌクリジン(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン)、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピロール、ピラゾール、ピリジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)−1,3,5−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン等の複素環式アミン化合物(B5);
【0038】
フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルトルエンジアミン、キシリレンジアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香環含有アミン化合物(B6);
【0039】
イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、3−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、3−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、5−エチルイミダゾール、1−n−プロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、1−イソプロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾール、2−n−ブチルイミダゾール、1−イソブチルイミダゾール、2−イソブチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,3−ジメチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール塩酸塩等のイミダゾール化合物(B7);
【0040】
2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物(B8)等が挙げられる。
【0041】
これらその他のアミン化合物の中でも前記脂肪族アミン化合物(B2)を用いることが好ましく、トリエチレンテトラミンがより好ましい。脂肪族アミン化合物(B2)を用いる場合、前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)との質量比[(B1)/(B2)]は20/80〜80/20の範囲であることが好ましい。
【0042】
また、硬化物における耐熱性や機械強度に一層優れる点では脂環族アミン化合物(B4)を用いることが好ましい。更に、硬化物における耐熱性や機械強度に加え、速硬化性にも優れる硬化性組成物となることからノルボルネンジアミンやビス(アミノメチル)シクロヘキサン等、脂環構造とアミノ基とがアルキレン基を介して結合している化合物がより好ましい。脂環族アミン化合物(B4)を用いる場合、前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)との質量比[(B1)/(B4)]は20/80〜80/20の範囲であることが好ましい。
【0043】
本発明の硬化性組成物において、前記エポキシ樹脂(A)とアミン化合物(B)との配合割合は特に限定されるものではなく、所望の硬化物性能や、用途に応じて適宜調整することができる。配合の一例としては、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1モルに対し、アミン化合物(B)中の活性水素の合計モル数が0.5〜1.05モルの範囲となる割合で配合する方法が挙げられる。
【0044】
また、前記アミン化合物(B)として3級アミンや前記イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物を用いる場合には、硬化性組成物の合計質量に対し、0.01〜10質量%の割合で配合することが好ましい。
【0045】
本発明では、前記アミン化合物(B)と合せて、その他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)を用いても良い。その他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)は、エポキシ樹脂の硬化剤或いは硬化促進剤として一般的に用いられている様々な化合物の何れを用いても良い。具体的には、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドエチレンテトラヒドロフタル酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸、無水メチルナジック酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸等の酸無水物;
【0046】
ジシアンジアミド、或いは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、脂肪酸、ダイマー酸等のカルボン酸化合物と前記アミン化合物(B)とを反応させて得られるアミド化合物;
【0047】
フェノール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、アントラセノール、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、ビフェノール、ビスフェノール、これらの芳香核上にメチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換したアリール基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換したアラルキル基等の置換基を一つ乃至複数有するフェノール性水酸基含有化合物;
【0048】
前記フェノール性水酸基含有化合物の一種乃至複数種からなるノボラック型フェノール樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、テトラフェノールエタン型フェノール樹脂、フェノール又はナフトールアラルキル型フェノール樹脂、フェニレン又はナフチレンエーテル型フェノール樹脂樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応物型フェノール樹脂、フェノール性水酸基含有化合物−アルコキシ基含有芳香族化合物共縮合型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;
【0049】
p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素、N−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N’,N’−ジメチル尿素等の尿素化合物;
【0050】
リン系化合物;有機酸金属塩;ルイス酸;アミン錯塩等が挙げられる。
【0051】
その他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)の配合割合は、所望の硬化物性能や用途に応じて適宜調整されるが、硬化性組成物中0.5〜30質量%の範囲で用いることが好ましい。前記その他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)の中でも、速硬化性や、硬化物における耐熱性や機械強度に優れる硬化性組成物となることから、前記フェノール性水酸基含有化合物やフェノール樹脂が好ましい。フェノール樹脂はその水酸基当量が100〜300g/当量の範囲であることが好ましい。前記フェノール性水酸基含有化合物やフェノール樹脂の配合割合は所望の硬化物性能や用途に応じて適宜調整されるが、硬化性組成物中0.5〜30質量%の範囲で用いることが好ましく、0.5〜10質量%の範囲で用いることがより好ましい。
【0052】
前記エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びその他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)の配合割合は特に限定されるものではなく、所望の硬化物性能や、用途に応じて適宜調整することができる。一例としては、前記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1モルに対し、アミン化合物(B)及びその他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)中の硬化性官能基の合計モル数が0.5〜1.05モルの範囲となる割合で配合する方法が挙げられる。
【0053】
本発明で使用するコアシェル粒子(C)は、第一の(共)重合体のコア層と、これにグラフト重合された第二の(共)重合体からなるシェル層より構成される共重合体であることが好ましい。シェル層は、グラフト成分を構成する単量体をコア成分の存在下でグラフト重合することで、コア部の表面の一部もしくは全体を覆うことができる。また、コアシェル粒子(C)は、2層構造からなるものであっても、3層以上の多層構造を含むものであってもよい。
【0054】
前記コア部はエラストマーまたはゴム状の共重合体を主成分とする共重合体からなることが、硬化物における機械強度、特に破壊靭性を効果的に改良する点から好ましい。コア部を構成する(共)重合体は、ゴムとしての性質を有することが好ましいことから、ガラス転移温度が0℃以下が好ましく、さらには−20℃以下であることが好ましい。
【0055】
前記コア部の好ましい具体例としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエンアルキルアクリレートゴム、アルキルアクリレートゴム、オルガノシロキサンゴム等が挙げられる。。
【0056】
前記コア部の数平均粒径は、20〜600nmが好ましく、効果的な靱性改良の観点から、30〜400nmであることがより好ましい。なお、コア部の数平均粒径は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
【0057】
前記コアシェル粒子(C)は、前記コア部の存在下に、1種以上のビニル単量体を重合することでシェル層を形成することで得られる。コアシェル共重合体の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、粒子径のコントロールの観点から、乳化重合で製造することが好ましい。
【0058】
前記コアシェル粒子(C)は、好ましくは50〜97質量%、より好ましくは70〜90質量%のゴムポリマーのコア部と、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%のビニル単量体の重合物であるシェル層とからなるものが好ましい。シェル層は好ましくはコア部に対して少なくとも70%以上がポリマー鎖の少なくとも一方が化学結合しており、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が化学結合している。
【0059】
前記コアシェル粒子(C)は、硬化物となった後でもコアシェル構造を保つことが容易になる点から、コア部において少なくとも部分的に架橋構造を有していることが好ましい。架橋構造を有する場合、溶媒不溶分を含み、架橋度の程度を見るために、コアシェル粒子の溶媒不溶物の量(即ち、ゲル分率)を測定できる。測定は、過剰量のメチルエチルケトン(MEK)にサンプルを室温で24時間浸した後、1万2000rpmで1時間遠心分離することで可溶分を溶媒と共に除去し、残留したMEK不溶物の質量を測定したときの、投入サンプル質量に対する残留サンプル質量の割合として質量%で表される。部分的に架橋構造を有するとはこの質量%が100%未満のことをいう。溶媒不溶分量は、優れた性能バランスを得る観点から、80〜100質量%とすることが好ましく、90〜100質量%がより好ましい。
【0060】
前記シェル層を構成するビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、又はメタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジルやグリシジルビニルエーテルなどのグリシジルビニル単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;4−ビニルシクロヘキセン1,2−エポキシド、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ基含有ビニル誘導体;2−オキセタニルプロピル(メタ)アクリレートなどのオキセタン基含有ビニル誘導体;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3ブチレングリコール等のジビニル単量体などが挙げられる。前記ビニル単量体は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
前記シェル層はエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基から選ばれる少なくとも一種以上の反応性官能基を含有する事がコア部との反応性の点で好ましい。
【0062】
前記コアシェル粒子(C)は、本発明の硬化性樹脂組成物中において、エポキシ樹脂(A)を主成分とするマトリクス相に対して、良好に分散していること、例えば、一つの分散相あたり平均して10個以下のコアシェル粒子(C)の一次粒子が凝集した緩凝集状態で分散していることが硬化物において優れた破壊靭性等を示す上で好ましい。
【0063】
前記コアシェル粒子(C)は本発明の硬化性樹脂組成物中において、エポキシ樹脂(A)を主成分とするマトリクス相に対して一次粒子が独立して分散していることが、硬化物においてより優れた破壊靭性等を示す上で好ましい。このため、あらかじめエポキシ樹脂(A)に、一次粒子の状態で、凝集することなく分散させてから使用することが好ましい。この時、一次粒子の平均粒径が30〜1000nmの範囲で分散していることがより好ましい。
【0064】
前記コアシェル粒子(C)を分散させたエポキシ樹脂は、従来技術(例えば、米国特許第4,778,851号)に記載されている方法を用いて得ることができる。さらに、本発明のコアシェル共粒子(C)をエポキシ樹脂中に、一次粒子の状態で容易に分散させる観点から、また、工業生産できる程度に高速かつ安価にコアシェル粒子を分散させたエポキシ樹脂を製造する観点から、例えば下記の様な工程を経ることが好ましい。すなわち、特定の有機溶媒を含むコアシェル粒子の分散物を得る第1工程と、この分散物にエポキシ樹脂を添加してコアシェル粒子分散エポキシ樹脂を得る第2工程と、このコアシェル粒子分散エポキシ樹脂から前記特定の有機溶媒を除去する第3工程とを含んで調製する方法である。このような方法は、例えば、特開2013−241479号に記載されている。
【0065】
また、コアシェル粒子(C)として市販品として入手可能なものとしては「メタブレン」(三菱ケミカル株式会社製)や、「スタフィロイド」(アイカ工業株式会社製)、「パラロイド」(ダウケミカル社製)等が挙げられる。コアシェル粒子分散エポキシ樹脂としては、「カネエース」(株式会社カネカ製)や「アクリセットBPシリーズ」(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。組成物の調製時間を短縮するだけでなく、組成物中のゴム粒子の分散状態を良好にすることができるのでコアシェル粒子分散エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0066】
本発明の硬化性組成物では、前記コアシェル粒子(C)の含有量が、エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)の合計質量に対して、0.5〜10質量%の範囲であることが、得られる硬化物の強靭性の観点から好ましく、特に2〜7質量%の範囲であることが、硬化性組成物の流動性、速硬化性、硬化物の性能のバランスにより優れる観点から好ましい。
【0067】
本発明の硬化性組成物は、前記エポキシ樹脂(A)、前記アミン化合物(B)、前記その他の硬化剤或いは硬化促進剤(B’)及び前記コアシェル粒子(C)の他、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、酸変性ポリブタジエン、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂などを挙げることができる。
【0068】
前記酸変性ポリブタジエンは、エポキシ樹脂(A)との反応性を有する成分であり、酸変性ポリブタジエンを併用することにより、得られる硬化物において優れた機械強度、耐熱性、および耐湿熱性を発現させることができる。
【0069】
前記酸変性ポリブタジエンとしては、ブタジエン骨格に、1,3−ブタジエンや、2−メチル−1,3−ブタジエン由来の骨格を有するものが挙げられる。1,3−ブタジエン由来のものとしては、1,2−ビニル型、1,4−トランス型、1,4−シス型のいずれかの構造を有するものやこれらの構造を2種以上有するものが挙げられる。2−メチル−1,3−ブタジエン由来のものとしては、1,2−ビニル型、3,4−ビニル型、1,4−シス型、1,4−トランス型のいずれかの構造を有するものや、これらの構造を2種以上有するものが挙げられる。
【0070】
前記酸変性ポリブタジエンの酸変性成分としては、特に限定されないが、不飽和カルボン酸を挙げることができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、反応性の点から無水イタコン酸、無水マレイン酸が好ましく、無水マレイン酸がさらに好ましい。
【0071】
前記酸変性ポリブタジエン中の不飽和カルボン酸の含有量は、前記エポキシ樹脂(A)との反応性の観点から、酸変性ポリブタジエンが1,3−ブタジエン由来のものから構成される場合には、その酸価は5mgKOH/g〜400mgKOH/gであることが好ましく、20mgKOH/g〜300mgKOH/gであることがより好ましく、50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることがさらに好ましい。また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリブタジエン中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられる。酸変性ポリブタジエンの重量平均分子量(Mw)は1,000〜100,000の範囲であることが好ましい。
【0072】
酸変性ポリブタジエンは、ポリブタジエンを不飽和カルボン酸変性して得られるが、市販のものをそのまま用いてもよい。市販のものとしては、例えば、エボニック・デグサ社製無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン(polyvest MA75、Polyvest EP MA120等)、クラレ社製無水マレイン酸変性ポリイソプレン(LIR−403、LIR−410)などを使用することができる。
【0073】
硬化性組成物中の前記酸変性ポリブタジエンの含有量は、得られる硬化物の伸び、耐熱性、耐湿熱性が良好となる点から、硬化性組成物の樹脂成分の合計質量を100質量部としたとき、1質量部〜40質量部の割合で含まれていることが好ましく、3質量部〜30質量部の割合で含まれていることがさらに好ましい。
【0074】
前記ポリエーテルスルホン樹脂は、熱可塑性樹脂であり、硬化性組成物の硬化反応において、架橋ネットワークには含まれないが、高Tgを有する優れた改質剤効果により、得られる硬化物において、さらに優れた機械強度と耐熱性を発現させることができる。
【0075】
硬化性組成物中の前記ポリエーテルスルホン樹脂の含有量は、得られる硬化物の機械強度と、耐熱性が良好となる点から、硬化性組成物の樹脂成分の合計質量を100質量部としたとき、1質量部〜30質量部の割合で含まれていることが好ましく、3質量部〜20質量部の割合で含まれていることがさらに好ましい。
【0076】
前記ポリカーボネート樹脂は、例えば、2価又は2官能型のフェノールとハロゲン化カルボニルとの重縮合物、或いは、2価又は2官能型のフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換法により重合させたものが挙げられる。
【0077】
前記2価又は2官能型のフェノールは、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これら2価のフェノールの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、さらに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料としたものが特に好ましい。
【0078】
他方、2価又は2官能型のフェノールと反応させるハロゲン化カルボニル又は炭酸ジエステルは、例えば、ホスゲン;二価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート等のジアリールカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物などが挙げられる。
【0079】
また、前記ポリカーボネート樹脂は、そのポリマー鎖の分子構造が直鎖構造であるもののほか、これに分岐構造を有していてもよい。斯かる分岐構造は、原料成分として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等を用いることにより導入することができる。
【0080】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂は、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
【0081】
この中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含むポリフェニレンエーテルであってもよい。
【0082】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂は、その樹脂構造にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、水酸基、無水ジカルボキル基等の反応性官能基を、グラフト反応や、共重合等何らかの方法で導入した変性ポリフェニレンエーテル樹脂も本発明の目的を損なわない範囲で使用できる。
【0083】
前記アクリル樹脂は、硬化物における機械強度、特に破壊靱性を向上させる目的で添加することができる。
【0084】
前記アクリル樹脂の構成モノマーや重合方式等は所望の性能によって適宜選択される。構成モノマーの具体例の一部としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2−トリフルオロエチル等の(メタ)アクリル酸(フルオロ)アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、無水マレイン酸等の酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン等の芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物等が挙げられる。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル樹脂が好ましい。
【0085】
前記アクリル樹脂は、異なるモノマー構成のブロック重合体が複数共重合したブロック共重合体であることが好ましい。ブロック共重合体としては、A−B型のジブロック型、A−B−A型或いはA−B−C型のトリブロック型等が挙げられる。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、(メタ)アクリル酸メチルを主成分とするブロックと、(メタ)アクリル酸ブチルを主成分とするブロックの両方を有することが好ましい。より具体的には、ポリメチルメタクリレートブロック−ポリブチルアクリレートブロック−ポリメチルメタクリレートブロックからなるトリブロック型アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレートブロック−ポリブチルアクリレートブロックからなるジブロック型アクリル樹脂が好ましく、ジブロック型アクリル樹脂が特に好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は1,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
【0086】
硬化性組成物中の前記アクリル樹脂の含有量は特に限定されず、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整される。中でも、硬化物における機械強度に一層優れる硬化性組成物となることから、硬化性組成物の樹脂成分の合計質量を100質量部としたとき、0.1〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.5〜10質量部の範囲であることがより好ましい。
【0087】
本発明の硬化性組成物は、難燃剤/難燃助剤、充填材、添加剤、有機溶剤等を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。硬化性組成物を製造する際の配合順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に限定されない。すなわち、すべての成分を予め混合して用いてもよいし、適宜順番に混合して用いてもよい。また、配合方法は、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。以下で、本発明の硬化性組成物に含有可能な各種部材について説明する。
【0088】
・難燃剤/難燃助剤
本発明の硬化性組成物は、難燃性を発揮させるために、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を含有していてもよい。
【0089】
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
【0090】
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
【0091】
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
【0092】
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物が挙げられる。
【0093】
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
【0094】
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
【0095】
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、前記アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び該アミノトリアジン変性フェノール樹脂を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
【0096】
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
【0097】
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.05質量部〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1質量部〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
【0098】
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
【0099】
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0100】
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.05質量部〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
【0101】
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
【0102】
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
【0103】
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
【0104】
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
【0105】
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
【0106】
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
【0107】
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
【0108】
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.05質量部〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5質量部〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
【0109】
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
【0110】
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、硬化性組成物の樹脂成分の合計100質量部に対し、0.005質量部〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
【0111】
・充填材
本発明の硬化性組成物は、充填材を含有していてもよい。本発明の硬化性組成物が充填材を含有すると、得られる硬化物において優れた機械特性を発現させることができるようになる。
【0112】
充填材としては、例えば、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウム、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミや、ケナフ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤等が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。また、これらは、有機物や無機物等で被覆されていてもよい。
【0113】
また、充填材としてガラス繊維を用いる場合、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は使用する樹脂用に表面処理した物を用いるのが好ましい。充填材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができる。燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
【0114】
・添加剤
本発明の硬化性組成物は、添加剤を含有していてもよい。本発明の硬化性組成物が添加剤を含有すると、得られる硬化物において剛性や寸法安定性等、他の特性が向上する。添加剤としては、例えば可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等を添加することも可能である。
【0115】
・有機溶剤
本発明の硬化性組成物は、フィラメントワインディング法にて繊維強化樹脂成形品を製造する場合などには、有機溶剤を含有していてもよい。ここで使用し得る有機溶剤としては、メチルエチルケトンアセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得る。
【0116】
本発明の硬化性組成物は、硬化速度が非常に高く、硬化物における耐熱性や機械強度に優れる特徴を生かし、塗料や電気・電子材料、接着剤、成型品等、様々な用途に用いることができる。本発明の硬化性組成物はそれ自体を硬化させて用いる用途の他、繊維強化複合材料や繊維強化樹脂成形品等にも好適に用いることができる。以下にこれらについて説明する。
【0117】
・硬化性組成物の硬化物
本発明の硬化性組成物から硬化物を得る方法としては、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよく、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよい。例えば、硬化性組成物を、室温〜250℃程度の温度範囲で加熱する方法が挙げられる。成形方法なども硬化性組成物の一般的な方法が用いること可能であり、特に本発明の硬化性組成物に特有の条件は不要である。
【0118】
・繊維強化複合材料
本発明の繊維強化複合材料とは、硬化性組成物を強化繊維に含浸させた後の硬化前の状態の材料のことである。ここで、強化繊維は、有撚糸、解撚糸、又は無撚糸などいずれでも良いが、解撚糸や無撚糸が、繊維強化複合材料において優れた成形性を有することから、好ましい。さらに、強化繊維の形態は、繊維方向が一方向に引き揃えたものや、織物が使用できる。織物では、平織り、朱子織りなどから、使用する部位や用途に応じて自由に選択することができる。具体的には、機械的強度や耐久性に優れることから、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。これらの中でもとりわけ成形品の強度が良好なものとなる点から炭素繊維が好ましく、かかる、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系などの各種のものが使用できる。
【0119】
本発明の硬化性組成物から繊維強化複合材料を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、硬化性組成物を構成する各成分を均一に混合してワニスを製造し、次いで、前記で得られたワニスに強化繊維を一方向に引き揃えた一方向強化繊維を浸漬させる方法(プルトルージョン法やフィラメントワインディング法での硬化前の状態)や、強化繊維の織物を重ねて凹型にセットし、その後、凸型で密閉してから樹脂を注入し圧力含浸させる方法(RTM法での硬化前の状態)等が挙げられる。
【0120】
本発明の繊維強化複合材料は、前記硬化性組成物が必ずしも繊維束の内部まで含浸されている必要はなく、繊維の表面付近に該硬化性組成物が局在化している態様であっても良い。
【0121】
さらに、本発明の繊維強化複合材料は、繊維強化複合材料の全体積に対する強化繊維の体積含有率が40%〜85%であることが好ましく、強度の点から50%〜70%の範囲であることがさらに好ましい。体積含有率が40%未満の場合、前記硬化性組成物の含有量が多すぎて得られる硬化物の難燃性が不足したり、比弾性率と比強度に優れる繊維強化複合材料に要求される諸特性を満たすことができなかったりする場合がある。また、体積含有率が85%を超えると、強化繊維と樹脂組成物の接着性が低下してしまう場合がある。
【0122】
・繊維強化樹脂成形品
本発明の繊維強化樹脂成形品とは、強化繊維と硬化性組成物の硬化物とを有する成形品であり、繊維強化複合材料を熱硬化させて得られるものである。本発明の繊維強化樹脂成形品として、具体的には、繊維強化成形品における強化繊維の体積含有率が40%〜85%の範囲であることが好ましく、強度の観点から50%〜70%の範囲であることが特に好ましい。そのような繊維強化樹脂成形品としては、例えば、フロントサブフレーム、リアサブフレーム、フロントピラー、センターピラー、サイドメンバー、クロスメンバー、サイドシル、ルーフレール、プロペラシャフトなどの自動車部品、電線ケーブルのコア部材、海底油田用のパイプ材、印刷機用ロール・パイプ材、ロボットフォーク材、航空機の一次構造材、二次構造材などを挙げることができる。
【0123】
本発明の硬化性組成物から繊維強化成形品を得る方法としては、特に限定されないが、引き抜き成形法(プルトルージョン法)、フィラメントワインディング法、RTM法などを用いることが好ましい。引き抜き成形法(プルトルージョン法)とは、繊維強化複合材料を金型内へ導入して、加熱硬化したのち、引き抜き装置で引き抜くことにより繊維強化樹脂成形品を成形する方法であり、フィラメントワインディング法とは、繊維強化複合材料(一方向繊維を含む)を、アルミライナーやプラスチックライナー等に回転させながら巻きつけたのち、加熱硬化させて繊維強化樹脂成形品を成形する方法であり、RTM法とは、凹型と凸型の2種類の金型を使用する方法であって、前記金型内で繊維強化複合材料を加熱硬化させて繊維強化樹脂成形品を成形する方法である。なお、大型製品や複雑な形状の繊維強化樹脂成形品を成形する場合には、RTM法を用いることが好ましい。
【0124】
繊維強化樹脂成形品の成形条件としては、繊維強化複合材料を50℃〜250℃の温度範囲で熱硬化させて成形することが好ましく、70℃〜220℃の温度範囲で成形することがより好ましい。かかる成形温度が低すぎると、十分な速硬化性が得られない場合があり、逆に高すぎると、熱歪みによる反りが発生しやすくなったりする場合があるためである。他の成形条件としては、繊維強化複合材料を50℃〜100℃で予備硬化させ、タックフリー状の硬化物にした後、更に、120℃〜200℃の温度条件で処理するなど、2段階で硬化させる方法などを挙げることができる。
【0125】
本発明の硬化性組成物から繊維強化成形品を得る他の方法としては、金型に繊維骨材を敷き、前記ワニスや繊維骨材を多重積層してゆくハンドレイアップ法やスプレーアップ法、オス型・メス型のいずれかを使用し、強化繊維からなる基材にワニスを含浸させながら積み重ねて成形、圧力を成形物に作用させることのできるフレキシブルな型をかぶせ、気密シールしたものを真空(減圧)成型する真空バッグ法、あらかじめ強化繊維を含有するワニスをシート状にしたものを金型で圧縮成型するSMCプレス法などが挙げられる。
【実施例】
【0126】
次に、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。
【0127】
実施例1〜16及び比較例1〜4
下記表1〜3に示す配合に従って各成分を配合し、均一に撹拌混合して硬化性組成物を得た。該硬化性組成物について、下記の要領で各種評価試験を行った。結果を表1〜3に示す。
【0128】
なお、実施例及び比較例で使用した成分は以下の通り。
<エポキシ樹脂(A)>
840S:DIC株式会社製「EPICLON 840S」
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量184g/当量
830S:DIC株式会社製「EPICLON 830S」
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ基当量168g/当量
S720:SYNASYA社製「S−720」
4,4’−メチレンビス[N,N−ジグリシジルアニリン]、エポキシ基当量118g/当量
EX212L:ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX212L」
1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、エポキシ基当量135g/当量
<アミン化合物>
N−AEP:N−アミノエチルピペラジン
TETA:トリエチレンテトラミン
1,3−BAC:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
NBDA:ノルボルネンジアミン
IPDA:イソホロンジアミン
DETDA:ジエチルトルエンジアミン
<コアシェル粒子分散エポキシ樹脂>
MX−153:株式会社カネカ製 「カネエースMX−153」
ポリブタジエンゴム粒子33%分散ビスフェノールA型エポキシ樹脂
MX−257:株式会社カネカ製 「カネエースMX−257」
ポリブタジエンゴム粒子37%分散ビスフェノールA型エポキシ樹脂
MX−136:株式会社カネカ製 「カネエースMX−136」
ポリブタジエンゴム粒子25%分散ビスフェノールF型エポキシ樹脂
<その他樹脂>
PVF:JNC株式会社製 「VINYLEC K」ポリビニルホルマール樹脂
【0129】
<粘度の測定>
E型粘度計「TV−20」(東機産業株式会社製)を用いて、アミン化合物以外を配合した状態での25℃の粘度を測定した。
【0130】
<ガラス転移温度の測定>
先で得た硬化性組成物を厚さ2mmの型枠内に流し込み、120℃で5分加熱した。得られた硬化物をダイヤモンドカッターで幅5mm、長さ50mmに切り出し、これを試験片とした。次に、粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「DMS6100」)を用いて試験片の両持ち曲げによる動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる値の温度をガラス転移温度(Tg)として評価した。なお、動的粘弾性測定の測定条件は、温度条件 室温〜260℃、昇温速度3℃/分、周波数1Hz、歪振幅10μmとした。
【0131】
<破壊靱性の測定>
前記で得られた硬化物を用いて、ASTM D 5045−99に準拠し、KICの値を測定した。
【0132】
<引張強度・伸びの測定>
前記で得られた硬化物を用いて、精密万能試験機(島津製作所株式会社製「AUTOGRAPH AG−1」)を用いて、JIS K 7161に準拠し、引張強度の測定を実施した。
【0133】
<ゲルタイムの測定>
表2に示す割合で各成分を配合した直後に100℃に熱したホットプレート上に硬化性組成物0.15gを載せ、スパチュラで撹拌しながらゲル状になるまでの時間(秒)を測定した。同操作を三回繰り返し、その平均値で評価した。
A:300秒以下
B:300秒〜600秒
C:600秒以上
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】

【手続補正書】
【提出日】2020年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)を含有し、前記アミン化合物(B)がN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とし、前記コアシェル粒子(C)の一次粒子の平均粒径が30〜1000nmの範囲であり、前記コアシェル粒子(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)、前記アミン化合物(B)、及び前記コアシェル粒子(C)の合計質量に対して0.5〜10質量%の範囲であることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂(A)がビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)を必須の成分とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が165〜190g/eqの範囲であり、25℃における粘度が2,000〜11,000mPa・sの範囲である請求項1又は2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記アミン化合物(B)の全質量に対する前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)の割合が20〜80質量%の範囲である請求項1〜3の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記コアシェル粒子(C)がエラストマーまたはゴム状の共重合体を主成分とする共重合体からなるコア部と、これにグラフト重合された第二の(共)重合体からなるシェル層より構成される共重合である請求項1〜4の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記コアシェル粒子(C)が、前記エポキシ樹脂(A)中に一次粒子の状態で平均粒径が30〜1000nmの範囲で分散しているものである請求項1〜5の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1〜の何れか1項記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項8】
請求項1〜の何れか1項記載の硬化性組成物と、強化繊維とを必須成分とする繊維強化複合材料。
【請求項9】
請求項記載の硬化物と強化繊維とを必須成分とする繊維強化樹脂成形品。
【請求項10】
請求項記載の繊維強化複合材料を熱硬化させる繊維強化樹脂成形品の製造方法。

【手続補正書】
【提出日】2020年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、アミン化合物(B)、及びコアシェル粒子(C)を含有し、前記アミン化合物(B)がN−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)を必須の成分とし、前記コアシェル粒子(C)の一次粒子の平均粒径が30〜1000nmの範囲であり、前記コアシェル粒子(C)の含有量が、前記エポキシ樹脂(A)、前記アミン化合物(B)、及び前記コアシェル粒子(C)の合計質量に対して0.5〜10質量%の範囲であり、前記コアシェル粒子(C)が、有機溶媒を含むコアシェル粒子(C)の分散物を得る第1工程と、この分散物にエポキシ樹脂(A)の一部乃至全部を添加してコアシェル粒子(C)が分散したエポキシ樹脂を得る第2工程と、このコアシェル粒子(C)が分散したエポキシ樹脂から前記有機溶媒を除去する第3工程とを含んで調製する方法によって製造されるものであることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂(A)がビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)を必須の成分とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が165〜190g/eqの範囲であり、25℃における粘度が2,000〜11,000mPa・sの範囲である請求項1又は2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記アミン化合物(B)の全質量に対する前記N−(アミノアルキル)ピペラジン化合物(B1)の割合が20〜80質量%の範囲である請求項1〜3の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記コアシェル粒子(C)がエラストマーまたはゴム状の共重合体を主成分とする共重合体からなるコア部と、これにグラフト重合された第二の(共)重合体からなるシェル層より構成される共重合である請求項1〜4の何れか1項記載の硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1〜の何れか1項記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項1〜の何れか1項記載の硬化性組成物と、強化繊維とを必須成分とする繊維強化複合材料。
【請求項8】
請求項記載の硬化物と強化繊維とを必須成分とする繊維強化樹脂成形品。
【請求項9】
請求項記載の繊維強化複合材料を熱硬化させる繊維強化樹脂成形品の製造方法。
【国際調査報告】