特表-20027223IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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再表2020-27223ケーブル、ケーブルの形状センシングシステム、センシングシステム、ケーブル形状のセンシング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年2月6日
【発行日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】ケーブル、ケーブルの形状センシングシステム、センシングシステム、ケーブル形状のセンシング方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20210827BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20210827BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20210827BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20210827BHJP
   H01B 11/22 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   G01B11/16 G
   G01D5/353 B
   G02B6/44 366
   H01B7/00 310
   H01B11/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
【出願番号】特願2020-534721(P2020-534721)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年7月31日
(31)【優先権主張番号】特願2018-144389(P2018-144389)
(32)【優先日】2018年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】忠隈 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】高坂 繁弘
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 隆一
【テーマコード(参考)】
2F065
2F103
2H201
5G309
5G319
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065AA65
2F065BB12
2F065CC23
2F065DD03
2F065EE01
2F065FF41
2F065GG25
2F065LL03
2F065NN06
2F103BA37
2F103CA01
2F103CA07
2F103EB02
2F103EB19
2F103EC09
2F103ED02
2H201AX10
2H201AX43
2H201AX44
2H201BB03
2H201BB04
2H201BB06
2H201BB12
2H201BB16
2H201BB18
2H201BB22
2H201BB24
2H201BB33
2H201BB44
2H201BB64
2H201BB66
2H201BB67
2H201BB68
2H201BB75
2H201DD02
2H201DD13
2H201DD16
2H201FF01
2H201KK02
2H201KK06
2H201KK08
2H201KK17
2H201KK20
2H201KK23C
5G309KA02
5G309KA05
5G319HA01
5G319HB10
5G319HC01
5G319HD03
5G319HE03
5G319HE08
(57)【要約】
ケーブルは、複数の光ファイバコアを有し、かつ1以上の前記光ファイバコアを有する1以上の光ファイバ心線を有する、ケーブルであって、前記光ファイバ心線は、ケーブル長手方向における複数の箇所において、ケーブル径方向に実質的に位置ずれしないよう、固定されている。前記ケーブルは伝送線を含む複数の構造材で構成され、前記光ファイバ心線は、長手方向における複数の箇所が前記複数の構造材の少なくとも一つに固定されていてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバコアを有し、かつ1以上の前記光ファイバコアを有する1以上の光ファイバ心線を有する、ケーブルであって、
前記光ファイバ心線は、ケーブル長手方向における複数の箇所において、ケーブル径方向に実質的に位置ずれしないよう、固定されている、
ことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルは伝送線を含む複数の構造材で構成され、
前記光ファイバ心線は、長手方向における複数の箇所が前記複数の構造材の少なくとも一つに固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの外周を構成する外部被覆層を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記外部被覆層に固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部に設けられた内部被覆層を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記内部被覆層に固定されている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部の少なくとも一部に充填された充填材を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記充填材に固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項6】
前記複数の構造材は、テンションメンバを含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記テンションメンバに固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項7】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部に設けられたスロット材を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記スロット材に固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項8】
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、固定対象の構造体に、長手方向にわたって連続的に固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項9】
断面が円形である、
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項10】
前記伝送線は電力線である、
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項11】
前記伝送線は通信線である、
ことを特徴とする請求項2〜10のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項12】
前記光ファイバコアの少なくとも1つが、シングルコア光ファイバのコアである、
ことを特徴とする請求項2〜11のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項13】
前記光ファイバコアの少なくとも2つが、マルチコア光ファイバのコアである、
ことを特徴とする請求項2〜12のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項14】
前記光ファイバコアの少なくとも1つが、長手方向において屈折率が周期的に変化しているファイバブラッググレーティングコアである、
ことを特徴とする請求項2〜13のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項15】
前記光ファイバコアの1つが、長手方向において当該ケーブルの中心軸近傍に配置されている、
ことを特徴とする請求項2〜14のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項16】
前記光ファイバコアの少なくとも1つが、長手方向において当該ケーブルの中心軸の周りに撚られた状態で配置されている、
ことを特徴とする請求項2〜15のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項17】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルが備える前記複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に入力する試験光を出力する光源部と、
前記試験光のそれぞれに起因して発生し、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの前記一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行う測定部と、
前記測定部におけるそれぞれの前記後方散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、前記算出したそれぞれの歪みをもとに前記ケーブルの形状を算出する演算部と、
を備えることを特徴とするケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項18】
前記後方散乱光のそれぞれはレーリー散乱光であり、
光周波数領域反射法を用いて前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項19】
前記後方散乱光のそれぞれはブリユアン散乱光であり、
前記ブリユアン散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項20】
前記光ファイバコアの少なくとも1つからの後方散乱光の測定結果をもとに前記ケーブルの長手方向における温度分布を求め、算出された前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを、前記温度分布をもとに補正することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17〜19のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項21】
前記試験光のそれぞれを前記ケーブルにおける前記複数の光ファイバコアのそれぞれに入力させるとともに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれから出力された前記後方散乱光のそれぞれを前記測定部に出力させる光デバイスを備える、
ことを特徴とする請求項17〜20のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項22】
前記試験光を前記光デバイスに伝送する試験光伝送路と、前記試験光伝送路とは別個の、前記後方散乱光のそれぞれを前記光デバイスから前記測定部に伝送する後方散乱光伝送路とを備える、
ことを特徴とする請求項21に記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項23】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルと、
請求項17〜22のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステムと、
を備え、
前記ケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルの前記試験光が入力される端部とは反対側の先端部側に位置する測定対象物の位置または形状をセンシングできるように構成されている、
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項24】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルと、
請求項17〜22のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステムと、
を備え、
前記ケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルが敷設される測定対象物の形状をセンシングできるように構成されている、
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項25】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルが備える前記複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に試験光を入力するステップと、
前記試験光のそれぞれに起因して発生し、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの前記一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行うステップと、
それぞれの前記後方散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、前記算出したそれぞれの歪みをもとに前記ケーブルの形状を算出するステップと、
を備える、
ことを特徴とするケーブル形状のセンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状のセンシングが可能なケーブル、ケーブルの形状センシングシステム、当該ケーブルの形状センシングシステムを有したセンシングシステム、およびケーブル形状のセンシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバは様々な物理量をセンシングするために用いられている(特許文献1参照)。また、近年では、マルチコア光ファイバの長手方向における局所的な曲げをセンシングすることによって、そのマルチコア光ファイバの長手方向における形状をセンシングする技術が開示されている(非特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−32979号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. P. Moore, “Shape sensing using multi-core fiber,” in Proc. Opt. Fiber Commun. Conf., 2015, p. Th1C.2.
【非特許文献2】J. P. Moore and M. D. Rogge, “Shape sensing using multi-core fiber optic cable and parametric curve solutions,” Opt. Express, vol. 20, no. 3, pp. 2967 - 2973, 2012.
【非特許文献3】Paul S. Westbrook, Tristan Kremp, Kenneth S. Feder, Wing Ko, Eric. M. Monberg, Hongchao Wu, Debra A. Simoff, Thierry F. Taunay, and Roy M. Ortiz, “Continuous Multicore Optical Fiber Grating Arrays for Distributed Sensing Applications” J. Lightw. Technol., vol. 35, no. 6, pp. 1248 - 1252, March 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケーブルには、伝送線として電力線を含む電力ケーブルや、伝送線として光ファイバやメタル線等の通信線を備える通信ケーブルや、光ファイバと電力線とを含む複合ケーブルなど、様々が種類のケーブルが存在する。これらのケーブルにおいて、その形状をセンシングすることは重要である。例えば、通信ケーブルにおいては、敷設時あるいは敷設後の周囲環境の影響などにより、ケーブルの形状が変化して、その形状の変化が内部の光ファイバ線の光伝送特性に影響を与える場合がある。また、ケーブルの形状の変化は、ケーブルの損傷や破断を引き起こす場合もある。ケーブルの種類やその使用形態の多様化に応じて、ケーブルの形状のセンシングに対する要求は高まっている。一方で、通常のケーブルは、長手方向の形状の変化に伴って、ケーブル内の構造材の位置がケーブル径方向で変化するため、単に光ファイバ(コア)を導入するだけではケーブル形状の高精度のセンシングが困難であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、長手方向における形状のセンシングが可能なケーブル、ケーブルの形状センシングシステム、当該ケーブルの形状センシングシステムを有したセンシングシステム、およびケーブル形状のセンシング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るケーブルは、複数の光ファイバコアを有し、かつ1以上の前記光ファイバコアを有する1以上の光ファイバ心線を有する、ケーブルであって、前記光ファイバ心線は、ケーブル長手方向における複数の箇所において、ケーブル径方向に実質的に位置ずれしないよう、固定されている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係るケーブルは、伝送線を含む複数の構造材で構成され、前記光ファイバ心線は、長手方向における複数の箇所が前記複数の構造材の少なくとも一つに固定されている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記複数の構造材は、当該ケーブルの外周を構成する外部被覆層を含み、前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記外部被覆層に固定されている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部に設けられた内部被覆層を含み、前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記内部被覆層に固定されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部の少なくとも一部に充填された充填材を含み、前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記充填材に固定されている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記複数の構造材は、テンションメンバを含み、前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記テンションメンバに固定されている、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部に設けられたスロット材を含み、前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記スロット材に固定されている、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、固定対象の構造体に、長手方向にわたって連続的に固定されている、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係るケーブルは、断面が円形である、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記伝送線は電力線である、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記伝送線は通信線である、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記光ファイバコアの少なくとも1つが、シングルコア光ファイバのコアである、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記光ファイバコアの少なくとも2つが、マルチコア光ファイバのコアである、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記光ファイバコアの少なくとも1つが、長手方向において屈折率が周期的に変化しているファイバブラッググレーティングコアである、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記光ファイバコアの1つが、長手方向において当該ケーブルの中心軸近傍に配置されている、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様に係るケーブルは、前記光ファイバコアの少なくとも1つが、長手方向において当該ケーブルの中心軸の周りに撚られた状態で配置されている、ことを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルが備える前記複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に入力する試験光を出力する光源部と、前記試験光のそれぞれに起因して発生し、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの前記一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行う測定部と、前記測定部におけるそれぞれの前記後方散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、前記算出したそれぞれの歪みをもとに前記ケーブルの形状を算出する演算部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシングシステムは、前記後方散乱光のそれぞれはレーリー散乱光であり、光周波数領域反射法を用いて前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出することができるように構成されている、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシングシステムは、前記後方散乱光のそれぞれはブリユアン散乱光であり、前記ブリユアン散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出することができるように構成されている、ことを特徴とする。
【0026】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシングシステムは、前記光ファイバコアの少なくとも1つからの後方散乱光の測定結果をもとに前記ケーブルの長手方向における温度分布を求め、算出された前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを、前記温度分布をもとに補正することができるように構成されている、ことを特徴とする。
【0027】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシングシステムは、前記試験光のそれぞれを前記ケーブルにおける前記複数の光ファイバコアのそれぞれに入力させるとともに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれから出力された前記後方散乱光のそれぞれを前記測定部に出力させる光デバイスを備える、ことを特徴とする。
【0028】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシングシステムは、前記試験光を前記光デバイスに伝送する試験光伝送路と、前記試験光伝送路とは別個の、前記後方散乱光のそれぞれを前記光デバイスから前記測定部に伝送する後方散乱光伝送路とを備える、ことを特徴とする。
【0029】
本発明の一態様に係るセンシングシステムは、前記ケーブルと、前記ケーブル形状のセンシングシステムと、を備え、前記ケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルの前記試験光が入力される端部とは反対側の先端部側に位置する測定対象物の位置または形状をセンシングできるように構成されている、ことを特徴とする。
【0030】
本発明の一態様に係るセンシングシステムは、前記ケーブルと、前記センシングシステムと、を備え、前記ケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルが敷設される測定対象物の形状をセンシングできるように構成されている、ことを特徴とする。
【0031】
本発明の一態様に係るケーブル形状のセンシング方法は、前記ケーブルが備える前記複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に試験光を入力するステップと、前記試験光のそれぞれに起因して発生し、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの前記一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行うステップと、それぞれの前記後方散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、前記算出したそれぞれの歪みをもとに前記ケーブルの形状を算出するステップと、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、長手方向における形状のセンシングが可能なケーブルを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、実施形態1に係るケーブルの模式的な断面図である。
図2図2は、図1のケーブルにおけるセンサ光ファイバの形状を説明する模式図である。
図3図3は、実施形態2に係るケーブルの模式的な断面図である。
図4図4は、実施形態3に係るケーブルの模式的な断面図である。
図5図5は、実施形態4に係るケーブルの模式的な断面図である。
図6図6は、実施形態5に係るケーブルの模式的な断面図である。
図7図7は、実施形態6に係るケーブルの模式的な断面図である。
図8図8は、実施形態7に係るケーブルの模式的な断面図である。
図9図9は、実施形態8に係るケーブルの形状センシングシステムの模式的な構成図である。
図10図10は、実施形態9に係る形状センシングシステムの模式的な構成図である。
図11図11は、実施形態10に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。
図12図12は、実施形態11に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。
図13図13は、実施形態12に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。
図14図14は、実施形態13に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。
図15図15は、実施形態14に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0035】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10は、断面が円形の複合ケーブルであって、電力を伝送する伝送線である電力線1a、1b、1cと、アース線2と、光信号を伝送する通信線である光ファイバ線3a、3bと、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dと、内部被覆層5と、複数のテンションメンバ6と、外部被覆層7と、充填材8と、を備えている。電力線1a、1b、1c、アース線2、光ファイバ線3a、3b、内部被覆層5、テンションメンバ6、外部被覆層7、充填材8は、ケーブル10の構造を構成する構造材である。センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、光ファイバ心線の一例である。
【0036】
電力線1a、1b、1cおよびアース線2は、それぞれ、導体からなる撚り線と該撚り線の外周を被覆する樹脂等からなる絶縁性被覆とで構成されている。電力線1a、1b、1cの3本は長手方向において螺旋状に撚られている。光ファイバ線3a、3bは、それぞれ、光ファイバコアとクラッドとからなる、樹脂等で被覆されたガラス光ファイバで構成されている。なお、光ファイバ線3a、3bは、それぞれ、複数の被覆されたガラス光ファイバを含んでいてもよい。
【0037】
センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dも、光ファイバコアとクラッドとからなる、樹脂等で被覆されたガラス光ファイバで構成されている。センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、いずれも、ガラス光ファイバが単一のコアを備えるシングルコア光ファイバである。なお、長手方向に垂直な面において、センサ光ファイバ4b、4c、4dは、それぞれの中心がセンサ光ファイバ4aの中心から等距離、かつセンサ光ファイバ4aを中心として等角度で配置されている。
【0038】
図2は、ケーブル10におけるセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの形状を説明する模式図である。センサ光ファイバ4aは、長手方向においてケーブル10の中心軸近傍に配置されている。なお、中心軸近傍とは中心軸を含むものである。センサ光ファイバ4b、4c、4dは、それぞれ、長手方向においてケーブル10の中心軸の周りに螺旋状に配置されている。なお、図2では、図面の簡略化のため、センサ光ファイバ4bのみ、螺旋状の配置を図示している。センサ光ファイバ4bの螺旋の周期はlである。センサ光ファイバ4c、4dについても、螺旋の周期はlであるとする。
【0039】
センサ光ファイバ4b、4c、4dのそれぞれの中心の、センサ光ファイバ4aの中心(またはケーブル10の中心軸)からの距離、および螺旋の周期は、ケーブル10全体の大きさや検出するケーブル形状の求められる正確性から決定される。たとえばケーブル10全体の直径が11.5mmである場合に、たとえば距離は3mm、螺旋の周期は100mmに設定される。なお、距離が大きい方がケーブル形状のセンシング精度が高く、螺旋の周期が小さい方がケーブル形状のセンシング精度が高い。
【0040】
内部被覆層5は、ケーブル10の内部に設けられている。内部被覆層5は、樹脂等からなり、電力線1a、1b、1c、アース線2、光ファイバ線3a、3b、およびセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの外周を囲むように形成されている。内部被覆層5の内部の隙間の部分はシリコン等の充填材8で充填されている。
【0041】
複数のテンションメンバ6は、内部被覆層5の外周に配置されている。各テンションメンバ6は、鋼線やFRP等からなり、ケーブル10に掛かる外力から内部の線材(主に伝送線である電力線1a、1b、1cおよび光ファイバ線3a、3b)を保護する。外部被覆層7は、ケーブル10の外周を構成する被覆層であり、本実施形態では金属線等からなるブレード被覆である。
【0042】
ここで、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、ケーブル10の長手方向における複数箇所において、ケーブル10の径方向に実質的に位置ずれしないように、固定されている。ここで、「実質的に位置ずれしない」とは、ケーブル10の断面においてケーブル中心からの距離が変化しないことをいう。具体的に、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、長手方向において、言い換えると、長手方向における複数の箇所において、充填材8によって、電力線1a、1b、1c、アース線2、光ファイバ線3a、3bなどの構造材の少なくとも一つに、相対的な位置関係が変わらないように固定されている。その結果、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dを構成する光ファイバコアのそれぞれは、固定対象の構造材の歪みに応じて歪むように固定されていることとなる。
【0043】
これにより、ケーブル10が局所的に曲がると、その曲がりに応じてセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dもそれぞれ曲がり、歪むこととなる。その結果、ケーブル10の長手方向における形状の変化に応じて、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における形状および歪み分布も変化する。したがって、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における歪み分布をセンシングすることによって、ケーブル10の長手方向における形状をセンシングすることができる。なお、センサ光ファイバ4aがケーブル10の中心軸近傍に配置されていることによって、たとえばケーブル10が直線状であるが中心軸を中心に捻れた形状になっている場合も、その捻れを好適にセンシングすることができる。
【0044】
光ファイバの長手方向における形状をセンシングする方法としては、例えば非特許文献1、2に示した方法を適用することができる。センシングを実現するケーブル10の形状センシングシステムについては、後に詳述する。
【0045】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10Aは、断面が円形であって、図1に示すケーブル10と同様に、電力線1a、1b、1cと、アース線2と、光ファイバ線3a、3bと、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dと、内部被覆層5と、複数のテンションメンバ6と、外部被覆層7と、充填材8と、を備えている。
【0046】
本実施形態でも、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、ケーブル10Aの長手方向における複数箇所において、ケーブル10Aの径方向に実質的に位置ずれしないように固定されている。ただし、ケーブル10Aでは、センサ光ファイバ4b、4c、4dが、長手方向にわたって構造体である内部被覆層5の内部に配置され、相対的な位置関係が変わらないように、内部被覆層5に対して固定されている構成が、ケーブル10とは異なる。ケーブル10Aのその他の要素の構成はケーブル10と同じなので、説明を省略する。センサ光ファイバ4b、4c、4dは、長手方向に垂直な面において、それぞれの中心がセンサ光ファイバ4aの中心から等距離、かつセンサ光ファイバ4aを中心として等角度で配置されている。このケーブル10Aにおいても、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における歪み分布をセンシングすることによって、ケーブル10Aの長手方向における形状をセンシングすることができる。
【0047】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10Bは、断面が円形であって、図1に示すケーブル10と同様に、電力線1a、1b、1cと、アース線2と、光ファイバ線3a、3bと、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dと、内部被覆層5と、複数のテンションメンバ6と、外部被覆層7と、充填材8と、を備えている。
【0048】
本実施形態でも、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、ケーブル10Bの長手方向における複数箇所において、ケーブル10Bの径方向に実質的に位置ずれしないように固定されている。ただし、ケーブル10Bでは、センサ光ファイバ4b、4c、4dが、長手方向にわたって構造体であるテンションメンバ6に囲まれて配置され、相対的な位置関係が変わらないようにテンションメンバ6に固定されている構成がケーブル10とは異なる。ケーブル10Bのその他の要素の構成はケーブル10と同じなので、説明を省略する。センサ光ファイバ4b、4c、4dは、長手方向に垂直な面において、それぞれの中心がセンサ光ファイバ4aの中心から等距離、かつセンサ光ファイバ4aを中心として等角度で配置されている。このケーブル10Bにおいても、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における歪み分布をセンシングすることによって、ケーブル10Bの長手方向における形状をセンシングすることができる。
【0049】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10Cは、断面が円形であって、図1に示すケーブル10と同様に、電力線1a、1b、1cと、アース線2と、光ファイバ線3a、3bと、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dと、内部被覆層5と、複数のテンションメンバ6と、外部被覆層7と、充填材8と、を備えている。
【0050】
本実施形態でも、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、ケーブル10Cの長手方向における複数箇所において、ケーブル10Cの径方向に実質的に位置ずれしないように固定されている。ただし、ケーブル10Cでは、センサ光ファイバ4b、4c、4dが、長手方向にわたって構造体である外部被覆層7の内部に配置され、相対的な位置関係が変わらないように外部被覆層7に固定されている構成がケーブル10とは異なる。ケーブル10Cのその他の要素の構成はケーブル10と同じなので、説明を省略する。また、長手方向に垂直な面において、センサ光ファイバ4b、4c、4dは、それぞれの中心がセンサ光ファイバ4aの中心から等距離、かつセンサ光ファイバ4aを中心として等角度で配置されている。このケーブル10Bにおいても、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における歪み分布をセンシングすることによって、ケーブル10Bの長手方向における形状をセンシングすることができる。
【0051】
(実施形態5)
図6は、実施形態5に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10Dは、断面が円形の通信ケーブルであって、光信号を伝送する伝送線である複数の光ファイバ線3Dと、センサ光ファイバ4a、4Db、4Dc、4Ddと、テンションメンバ6Dと、外部被覆層7Da、7Dbと、充填材8と、を備えている。複数の光ファイバ線3D、テンションメンバ6D、外部被覆層7Da、7Db、充填材8は、ケーブル10Dの構造を構成する構造材である。センサ光ファイバ4Db、4Dc、4Ddは、光ファイバ心線の一例である。
【0052】
テンションメンバ6Dは、長手方向においてケーブル10Dの中心軸近傍に配置されている。テンションメンバ6Dの中心軸近傍に形成された貫通孔には、センサ光ファイバ4aが挿通固定されている。
【0053】
複数の光ファイバ線3Dは、テンションメンバ6Dの外周を囲むように、本実施形態では9本配置されている。また、センサ光ファイバ4Db、4Dc、4Ddは、いずれも光ファイバ線3Dと同じ構造に形成されている。センサ光ファイバ4Db、4Dc、4Ddはそれぞれ、テンションメンバ6Dの外周を囲む2本の光ファイバ線3Dの間に、それぞれの中心がセンサ光ファイバ4a中心から等距離、かつセンサ光ファイバ4aを中心として等角度で配置されている。
【0054】
外部被覆層7Da、7Dbは、樹脂等からなり、二層構造を構成し、複数の光ファイバ線3Dの外周を囲むように形成されている。外部被覆層7Dbがケーブル10Dの外周を構成している。テンションメンバ6Dの外周と外部被覆層7Daの内周の間の隙間の部分は充填材8で充填されている。
【0055】
本実施形態でも、センサ光ファイバ4a、4Db、4Dc、4Ddは、ケーブル10Dの長手方向における複数箇所において、ケーブル10Dの径方向に実質的に位置ずれしないように固定されている。ただし、ケーブル10Dでは、センサ光ファイバ4aは長手方向にわたってテンションメンバ6Dに固定されており、センサ光ファイバ4Db、4Dc、4Ddは、充填材8によって、長手方向にわたってテンションメンバ6Dまたは外部被覆層7Da、7Dbに固定されている。このケーブル10Dにおいても、センサ光ファイバ4a、4Db、4Dc、4Ddの長手方向における歪み分布をセンシングすることによって、ケーブル10Dの長手方向における形状をセンシングすることができる。
【0056】
(実施形態6)
図7は、実施形態6に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10Eは、断面が円形の通信ケーブルであって、光信号を伝送する伝送線である複数の光ファイバテープ心線3Eと、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dと、テンションメンバ6Eと、外部被覆層7Ea、7Ebと、スロット材9と、を備えている。複数の光ファイバテープ心線3E、テンションメンバ6E、外部被覆層7Ea、7Eb、スロット材9は、ケーブル10Eの構造を構成する構造材である。
【0057】
テンションメンバ6Eは、長手方向においてケーブル10Eの中心軸近傍に配置されている。テンションメンバ6Eの中心軸近傍に形成された貫通孔には、センサ光ファイバ4aが挿通固定されている。
【0058】
スロット材9は、ケーブル10Eの内部に設けられている。スロット材9は、その中心軸近傍に形成された貫通孔にテンションメンバ6Eが挿通固定されている。スロット材9は、樹脂等からなり、その外周には長手方向に沿って螺旋状に形成された複数の収容溝9aを有する。収容溝9a内には複数の光ファイバテープ心線3Eが積層して収容されている。光ファイバテープ心線3Eは、ガラス光ファイバの外周に被覆が形成された光ファイバ素線を複数本並列に並べ、その外周に一括被覆をして形成されたものである。外部被覆層7Eaは、たとえば不織布テープをスロット材9の外周に巻いて形成したものであり、押巻とも呼ばれる。ケーブル10Eの外周を構成する外部被覆層7Ebは樹脂等からなり、外部被覆層7Eaの外周に形成されている。
【0059】
ここで、センサ光ファイバ4b、4c、4dは、互いに異なる収容溝9aの底部に配置され、スロット材9に対して固定されている。長手方向に垂直な面において、センサ光ファイバ4b、4c、4dは、それぞれの中心がセンサ光ファイバ4aの中心から等距離、かつセンサ光ファイバ4aを中心として等角度で配置されている。
【0060】
本実施形態でも、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dは、ケーブル10Eの長手方向における複数箇所において、ケーブル10Eの径方向に実質的に位置ずれしないように固定されている。ただし、ケーブル10Eでは、センサ光ファイバ4aは長手方向にわたってテンションメンバ6Dに固定されており、センサ光ファイバ4b、4c、4dは、長手方向にわたってスロット材9に固定されている。このケーブル10Eにおいても、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における歪み分布をセンシングすることによって、ケーブル10Eの長手方向における形状をセンシングすることができる。
【0061】
(実施形態7)
図8は、実施形態7に係るケーブルの長手方向に垂直な面における模式的な断面図である。ケーブル10Fは、断面が円形の複合ケーブルであって、電力線1a、1b、1cと、アース線2と、光ファイバ線3a、3bと、センサ光ファイバとしてのセンサ光ファイバユニット4Fと、内部被覆層5と、複数のテンションメンバ6と、外部被覆層7と、充填材8と、を備えている。電力線1a、1b、1c、アース線2、光ファイバ線3a、3b、内部被覆層5、テンションメンバ6、外部被覆層7、充填材8は、ケーブル10の構造を構成する構造材である。センサ光ファイバユニット4Fは、光ファイバ心線の一例である。
【0062】
ケーブル10Fでは、センサ光ファイバ4b、4c、4dに換えてセンサ光ファイバユニット4Fを備えている構成がケーブル10とは異なる。ケーブル10Fのその他の要素の構成はケーブル10と同じなので、説明を省略する。
【0063】
センサ光ファイバユニット4Fは、長手方向においてケーブル10Fの中心軸の周りに螺旋状に配置されている。センサ光ファイバユニット4Fは、クラッド内に複数の光ファイバコアを含むマルチコア光ファイバである。すなわち、センサ光ファイバユニット4Fは、4本の光ファイバコア4Fa、4Fb、4Fc、4Fdと、光ファイバコア4Fa、4Fb、4Fc、4Fdの外周に形成されたクラッド4Feとを備える。なお、クラッド4Feの外周には不図示の被覆が形成されている。
【0064】
光ファイバコア4Faは、センサ光ファイバユニット4Fの中心軸近傍に配置されている。センサ光ファイバユニット4Fの長手方向に垂直な面において、光ファイバコア4Fb、4Fc、4Fdは、それぞれの中心が光ファイバコア4Faの中心から等距離、かつ光ファイバコア4Faを中心として等角度で配置されている。また、光ファイバコア4Fb、4Fc、4Fdは、長手方向において光ファイバコア4Faの周りに螺旋状に配置されている。螺旋の周期はたとえば10mmである。
【0065】
ここで、本実施形態では、センサ光ファイバユニット4F、および当該センサ光ファイバユニット4Fに含まれる光ファイバコア4Fa、4Fb、4Fc、4Fdは、ケーブル10Fの長手方向における複数箇所において、ケーブル10Fの径方向に実質的に位置ずれしないように固定されている。具体的に、センサ光ファイバユニット4Fは、長手方向において、充填材8によって、電力線1a、1b、内部被覆層5などの構造材の少なくとも一つに固定されている。また、光ファイバコア4Fa、4Fb、4Fc、4Fdは、センサ光ファイバユニット4Fに含まれているので、その相対的な位置は変化しない。したがって、このケーブル10Fにおいても、光ファイバコア4Fa、4Fb、4Fc、4Fdの長手方向における形状の変化をセンシングすることによって、ケーブル10Fの長手方向における形状の変化をセンシングすることができる。
【0066】
センサ光ファイバユニット4Fと同様の構成のセンサ光ファイバユニットを、クラッド内にそれぞれ単一の光ファイバコアを有する光ファイバを4本用いて構成することもできる。例えば、被覆外径0.9mmの4本の光ファイバ心線や被覆外径250μmの4本の光ファイバ素線を、センサ光ファイバユニット4Fの光ファイバコア4Fa、4Fb、4Fcと同様に配列し、共通の被覆層で被覆することによって、センサ光ファイバユニット4Fと同様な構成をなすことができる。このセンサ光ファイバユニットにおいて、3本の光ファイバ素線または光ファイバ心線は、センサ光ファイバユニット4Fにおける光ファイバコア4Fb、4Fc、4Fdと同様に、長手方向において、中心軸近傍に配置された光ファイバ素線または光ファイバ心線の周りに螺旋状に配置される。
【0067】
また、センサ光ファイバユニット4Fは、長手方向においてケーブル10Fの中心軸の中心に設置することもできる。この場合、センサ光ファイバユニット4Fは長手方向において常にケーブル10Fの中心軸の中心に設置される。
【0068】
なお、上記実施形態におけるセンサ光ファイバとしては、国際通信連合(ITU:International Telecommunication Union)で規定されたG.652、G.653、G.654、G.655、G.656に準拠するシングルモード光ファイバを用いることができる。センサマルチコア光ファイバとしては、各光ファイバコアの特性が上記規定に準拠するものを用いることができる。また、センサ光ファイバまたはセンサマルチコア光ファイバとして、光ファイバコアの屈折率が長手方向に周期的に変化しているファイバブラッググレーティングコアを有するFGB光ファイバを用いてもよい。FGB光ファイバを用いることにより、ある特定の波長の光を効率的に後方に戻すことができる。これにより、光ファイバコアにおける後方散乱光の強度を増加させることができるので、センシングの感度を向上させることができる(非特許文献3参照)。
【0069】
また、上記実施形態におけるセンサ光ファイバは、固定対象の構造体に、長手方向にわたって連続的に固定されている。しかしながら、ケーブルの長手方向における形状の変化に応じてセンサ光ファイバの長手方向における形状も変化するのであれば、固定状態はこれに限定されず、センサ光ファイバが、固定対象の構造体に、長手方向にわたって断続的に固定されていてもよい。
【0070】
また、本発明において、複数のセンサ光ファイバは、全てが同一の構造物に固定されている必要はなく、各センサ光ファイバが別々の構造物に固定されていてもよい。また、センサ光ファイバまたは光ファイバコアの数は、4本に限られず、複数であればよい。また、本発明に係るケーブルは、シングルコア光ファイバであるセンサ光ファイバと、マルチコアセンサ光フィアバとを備えていてもよい。
【0071】
(実施形態8)
図9は、実施形態8に係るケーブルの形状センシングシステムの模式的な構成図である。このケーブルの形状センシングシステム100(以下、適宜形状センシングシステム100と記載する)は、ケーブル10の形状をセンシングするためのものであって、4つの光源部110と、4つの光デバイス120と、4つの測定部130と、演算部140とを備えている。形状センシングシステム100は、OFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry:光周波数領域反射法)の原理を用いることができるように、ソフトウェア的およびハードウェア的に構成されたものである。なお、図9ではセンサ光ファイバ4aに対応する光源部110、光デバイス120、測定部130のみを示している。形状センシングシステム100は、ケーブル形状のセンシング方法を実行することができる。
【0072】
4つの光源部110は、ケーブル10が備えるセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれの光ファイバコアの一方の端部に入力する試験光を出力する。光源部110は、いずれも、所定の周期で波長(周波数)の掃引が可能な光源111と、偏波保持光カプラ112と、光増幅器113と、遅延光ファイバ114とを備えている。
【0073】
光源111は、たとえば波長が1.55μm帯に属する直線偏波のレーザ光を出力する。偏波保持光カプラ112は、直線偏波のレーザ光を試験光L1と参照光L2とに分岐する。光増幅器113は、たとえばエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)であり、試験光L1を光増幅して光デバイス120に出力する。一方、遅延光ファイバ114は、参照光L2を直線偏波状態のまま伝送するとともに、参照光L2に所定量の時間的な伝送遅延を与えて、測定部130に出力する。
【0074】
光デバイス120は、試験光L1をケーブル10のセンサ光ファイバ4aに出力する。すなわち、光デバイス120は、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に入力する試験光を出力する。言い換えると、光デバイス120は、ケーブル形状のセンシング方法における、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に試験光を入力するステップを、実行する。センサ光ファイバ4aは試験光L1を一方の端部から他方の端部に伝送する。伝送中、試験光L1に起因して、センサ光ファイバ4aの長手方向にわたってレーリー散乱光が発生し、後方散乱光として試験光L1とは反対方向に伝送し、試験光L1が入力された端部から出力する。光デバイス120は、出力された後方散乱光L3を測定部130に出力する。このような光デバイス120としては光サーキュレータを用いることができる。
【0075】
測定部130は、コヒーレントミキサ131と、バランスドフォトディテクタ132a、132b、132c、132dと、トランスインピーダンスアンプ133a、133b、133c、133dと、電気増幅器134a、134b、134c、134dと、オシロスコープ135と、信号発生器136と、を備えている。測定部130は、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行う。言い換えると、測定部130は、ケーブル形状のセンシング方法における、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行うステップを実行する。
【0076】
コヒーレントミキサ131は、入力された参照光L2と後方散乱光L3とを干渉させて、それぞれ光信号である、一組のX偏波のI(強度)成分に対応するI信号SXI、一組のX偏波のQ(位相)成分に対応するQ信号SXQ、一組のY偏波のI信号SYI、一組のY偏波のQ信号SYQ、を出力する。なお、X偏波とY偏波は互いに直交する直線偏波である。バランスドフォトディテクタ132a、132b、132c、132dは、それぞれ、I信号SXI、Q信号SXQ、I信号SYI、Q信号SYQを受信し、電流信号に変換して出力する。トランスインピーダンスアンプ133a、133b、133c、133dは、それぞれ、入力された電流信号を電圧信号に変換して出力する。電気増幅器134a、134b、134c、134dは、それぞれ、入力された電圧信号を増幅し、オシロスコープ135に出力する。
【0077】
オシロスコープ135は、光源111の波長掃引周期と同期させるためのクロック信号CSが信号発生器136から入力され、参照光L2と後方散乱光L3とによる干渉信号を測定する。オシロスコープ135で測定される波形の横軸は時間、縦軸は干渉信号の強度である。
【0078】
光源111から出力される光は周波数(波長)が時間により変化していることから、光ファイバ上で後方散乱される地点が光源から長距離であるほど、後方散乱光L3と参照光L2との間に光周波数差が生じる。測定部130でオシロスコープ135を用いて後方散乱光L3と参照光L2の干渉波形が観測されるが、この干渉波形の干渉周波数が距離に対応して変化する。従って干渉波形をフーリエ変換することにより、周波数すなわち距離に対する散乱光強度が得られる。
【0079】
センサ光ファイバ4aの長手方向の或る位置において局所的に形状が変化する(歪む)と、その位置に対応する周波数の位置において、干渉信号の波形が変化する。この波形の変化は、たとえば形状変化に伴って発生するセンサ光ファイバ4aの伸縮(歪み)による、後方散乱光の強度や位相の変化などに起因する。したがって、干渉信号の波形を測定し、その波形をフーリエ変換することによって、センサ光ファイバ4aの長手方向における歪みの分布の情報を得ることができる。オシロスコープ135は干渉信号の波形のデータをデータ信号DSとして、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成される演算部140に出力する。なお、他のセンサ光ファイバ4b、4c、4dの干渉信号の波形のデータも、これらに対応する測定部130のオシロスコープ135から、データ信号DSとして演算部140に出力される。なお、オシロスコープ135および信号発生器136は、同様の機能を有するデジタルシグナルプロセッサに置き換えてもよい。
【0080】
演算部140は、それぞれの後方散乱光に関する測定結果をもとに、複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、算出したそれぞれの歪みをもとにケーブル10の形状を算出する。言い換えると、演算部140は、ケーブル形状のセンシング方法における、それぞれの後方散乱光に関する測定結果をもとに、複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、算出したそれぞれの歪みをもとにケーブル10の形状を算出するステップを実行する。具体的に、演算部140は、干渉信号の波形のデータをフーリエ変換することにより得られたセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長手方向における歪みの分布の情報を含むデータ信号をもとに、歪みの分布を算出し、さらに算出した歪みの分布をもとに、ケーブル10の形状を算出する。この方法はFrenet-Serret equationsを光ファイバの長手方向に適用する公知の計算法である(特許文献1、2)。
【0081】
以上説明したように、形状センシングシステム100は、ケーブル10の形状をセンシングすることができる。
【0082】
つぎに、形状センシングシステム100の特性について具体例をもとに説明する。まず、試験光L1および参照光L2の特性として、スペクトル線幅が挙げられる。OFDRでは、参照光L2とセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれからの後方散乱光L3との干渉状態を観測している。そのため、この二つの光が十分に干渉するためには、二つの光がコヒーレンス性を保っている必要がある。言い換えると、試験光L1が参照光L2と分岐し、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dを往復して参照光L2と合波されるまでの距離と、参照光L2が試験光L1と分岐してセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれからの後方散乱光L3と合波されるまでの距離との差が、試験光L1のコヒーレンス長よりも短いことが必要になる。したがって、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dの長さを長くする場合には、よりコヒーレンス長の長い、つまりスペクトル線幅の狭いレーザ光を発生させる光源111が必要になる。たとえば、ケーブル10の長さを10km程度とするためには、10kHz以下のスペクトル線幅のレーザ光が必要になる。
【0083】
また、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれの歪分布を測定する際、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれからの後方散乱光L3の強度がより強いことが望ましい。そのため光源111から出力されるレーザ光はより強いことが望ましい。しかしながら、光ファイバ中を伝搬する光強度が高くなると、誘導ブリユアン散乱(SBS)が発生する問題がある。SBSが発生すると、入力した光の強度の多くが後方に散乱してしまい、前方に進行する光の強度が減衰してしまう。そのため、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれに入力する試験光L1の強度は、SBSの発生しきい値以下とすることが望ましい。式(1a)、(1b)は光ファイバで発生するSBSのしきい値強度Pthを示す関係式である。したがって、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれに入力する際の試験光L1の光強度Pinは式(2)を満たすことが望ましい。
【0084】
【数1】
なお、式(1a)、(1b)中の変数は以下の通りである。
Δν:光源の線幅、K:偏波依存性パラメータ、Aeff:光ファイバ有効断面積、gB:ブリユアンゲイン定数、ΔνB:ブリユアンゲインスペクトルの線幅、Leff:光ファイバの有効長、α:光ファイバの損失係数、L:光ファイバの長さ
【数2】
【0085】
また、OFDRでは、参照光L2と後方散乱光L3との干渉光のビート周波数(参照光L2と後方散乱光L3との周波数差)が、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dそれぞれの長手方向における位置に対応している。そのため、より精度の高い位置分解能で歪分布を測定するためには、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれの全長でのビート周波数を大きくし、長さに対する周波数変化を大きくすることが望ましい。ここで、ある特定の位置において、その位置からの後方散乱光L3によるビート周波数を考えると、そのビート周波数をより大きくするためには、たとえば光源111から出力するレーザ光の周波数の掃引スピードを大きくする方法がある。測定部130での周波数分別限界を100Hzとすると、たとえばセンサ光ファイバ4aの光が入力される端部からの距離10kmの位置に対し、1cmの位置分解能を得るためには、たとえばレーザ光の周波数の掃引スピードを1THz/s以上にすることが望ましい。
【0086】
(実施形態9)
図10は、実施形態9に係るケーブルの形状センシングシステムの模式的な構成図である。この形状センシングシステム100Aは、ケーブル10の形状をセンシングするためのものであって、光デバイス120Aと、演算部140と、光源/測定部160と、延長ケーブル170と、を備えている。形状センシングシステム100Aは、形状センシングシステム100と同様に、OFDRの原理を用いることができるようにソフトウェア的およびハードウェア的に構成されたものである。形状センシングシステム100Aは、ケーブル形状のセンシング方法を実行することができる。
【0087】
光源/測定部160は、光源111と、偏波保持光カプラ112と、光増幅器113と、遅延光ファイバ114と、光カプラ115と、測定部130a、130b、130c、130dと、を備えている。光源111と、偏波保持光カプラ112と、光増幅器113と、遅延光ファイバ114とは、形状センシングシステム100と同一なので、説明を省略する。
【0088】
光カプラ115は、1×4ポートの偏波保持光カプラであり、1ポート側が遅延光ファイバ114に接続し、4ポート側がそれぞれ測定部130a、130b、130c、130dに接続している。光カプラ115は、遅延光ファイバ114から入力された参照光L2を4分岐し、分岐した参照光L2のそれぞれを測定部130a、130b、130c、130dに出力する。
【0089】
延長ケーブル170は、後方散乱光伝送路171、172、173、174と、これらとば別個の試験光伝送路175とを備えている。試験光伝送路175は、光増幅器113から出力された試験光L1を光デバイス120Aに伝送する。
【0090】
光デバイス120Aは、光デバイス121A、122A、123A、124A、125Aを備えている。光デバイス121Aは、1×4ポートの光カプラである。光デバイス122A、123A、124A、125Aは、1×2ポートの光カプラまたは光サーキュレータである。光デバイス121Aの1ポート側は試験光伝送路175に接続し、4ポート側は、それぞれ、光デバイス122A、123A、124A、125Aのそれぞれの2ポート側の一方に接続している。光デバイス122A、123A、124A、125Aの2ポート側の他方は、それぞれ、後方散乱光伝送路171、172、173、174のそれぞれに接続している。光デバイス122A、123A、124A、125Aの1ポート側は、それぞれ、ケーブル10のセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれに接続している。
【0091】
光デバイス121Aは、試験光伝送路175から入力された試験光L1を4分岐し、分岐した試験光L1のそれぞれを光デバイス122A、123A、124A、125Aのそれぞれに出力する。光デバイス122A、123A、124A、125Aは、それぞれ、入力された試験光L1をケーブル10のセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれに出力する。すなわち、光デバイス122A、123A、124A、125Aは、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に入力する試験光を出力する。言い換えると、光デバイス122A、123A、124A、125Aは、ケーブル形状のセンシング方法における、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に試験光を入力するステップを、実行する。
【0092】
センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれは、試験光L1を一方の端部から他方の端部に伝送する。伝送中、試験光L1に起因して、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれの長手方向にわたってレーリー散乱光が発生し、後方散乱光として試験光L1とは反対方向に伝送し、試験光L1が入力された端部から出力する。光デバイス122A、123A、124A、125Aは、それぞれ、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれから出力された後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dのそれぞれが入力され、これらをそれぞれ後方散乱光伝送路171、172、173、174に出力する。後方散乱光伝送路171、172、173、174は、それぞれ、後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dのそれぞれを伝送し、測定部130a、130b、130c、130dに出力する。
【0093】
測定部130a、130b、130c、130dは、それぞれ、形状センシングシステム100における測定部130と同様の構成、機能を有する。すなわち、測定部130a、130b、130c、130dは、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行う。言い換えると、測定部130a、130b、130c、130dは、ケーブル形状のセンシング方法における、複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行うステップを実行する。具体的に、測定部130a、130b、130c、130dは、それぞれ、入力された参照光L2と、後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dのそれぞれとを干渉させ、干渉信号の波形のデータをそれぞれデータ信号DS1、DS2、DS3、DS4として、演算部140に出力する。
【0094】
演算部140は、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれの長手方向における歪みの分布の情報を含むデータ信号DS1、DS2、DS3、DS4をもとに、ケーブル10の形状を算出する。これにより、形状センシングシステム100Aは、ケーブル10の形状をセンシングすることができる。
【0095】
形状センシングシステム100Aでは、延長ケーブル170は、試験光伝送路175で試験光L1を伝送し、これとは別個の後方散乱光伝送路171、172、173、174のそれぞれで後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dのそれぞれを伝送する。したがって、試験光伝送路175で後方散乱光が発生しても、この後方散乱光は後方散乱光伝送路171、172、173、174を伝送せず、測定部130a、130b、130c、130dにも入力されない。これにより、形状センシングシステム100Aは、試験光L1に起因する後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dがそれぞれ発生するセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれを含むケーブル10の形状のみをセンシングすることができる。したがって、たとえば延長ケーブル170の長さを数kmとし、ケーブル10の長さを数百mとした場合に、形状センシングシステム100Aでは、光源/測定部160から数km離れた遠隔地に敷設された数百mの長さのケーブル10の形状をセンシングすることができる。
【0096】
上記実施形態8、9では、形状センシングシステム100、100Aは、OFDRの原理を用いることができるように構成されたものである。しかしながら、本発明に係る形状センシングシステムにおいて用いる測定原理はOFDRに限られない。たとえば、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dからの後方散乱光としてブリユアン散乱光をそれぞれ測定し、それぞれのブリユアン散乱光に関する測定結果をもとに、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれの歪みを算出することができるように、形状センシングシステムをソフトウェア的およびハードウェア的に構成してもよい。この場合、形状センシングシステムは、BOTDR(Brillioun Optical Time Domain Relectometry)の原理を用いることができるように構成する。
【0097】
また、その他の実施形態として、実施形態9の形状センシングシステム100Aの構成において、延長ケーブル170を削除し、延長ケーブル170を介さずに、光源/測定部160から試験光L1を光デバイス120Aに出力し、センサ光ファイバ4a、4b、4c、4dのそれぞれからの後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dを光源/測定部160に入力する構成としてもよい。
【0098】
(実施形態10)
上記実施形態8、9に記載されるようなケーブルの形状センシングシステムは、様々なセンシングシステムに適用できる。以下では、センシングシステムの実施形態について説明する。
【0099】
図11は、実施形態10に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。このセンシングシステム1000は、ケーブル10A、10と、形状センシングシステム100とを備えている。センシングシステム1000は、海洋探査船1001と、無人探査機であるランチャー1002と、子機であるビークル1003とを備え、海SEAの海底を探査する海底探査システムに適用されるものである。
【0100】
形状センシングシステム100は、海洋探査船1001に搭載されている。ケーブル10Aは、形状センシングシステム100と接続されている。ケーブル10Aは、1次ケーブルとも呼ばれ、ケーブル10と同様の断面構造を有しており、その長さはたとえば10kmと比較的長い。
【0101】
ランチャー1002は、ケーブル10Aによって海洋探査船1001と接続している。ランチャー1002は、各種探査装置を搭載しており、ビークル1003を収容、誘導、回収するための機構を備えている。
【0102】
ケーブル10は、ランチャー1002を介し、ケーブル10Aと接続されている。ケーブル10は、2次ケーブルとも呼ばれ、その長さはたとえば200mと比較的短い。
【0103】
ビークル1003は、ケーブル10によってランチャー1002と接続している。ビークル1003は、ランチャー1002から発進し、海底の近傍を移動する。ビークル1003は、各種探査装置を搭載している。ビークル1003は、ケーブル10A、10において、形状センシングシステム100から試験光が入力される端部とは反対側の先端部側に位置する。
【0104】
ケーブル10、10Aは、海洋探査船1001からランチャー1002やビークル1003に電力を供給したり、通信を行ったりする機能を有する複合ケーブルである。
【0105】
実施形態8で説明したように、形状センシングシステム100は、ケーブル10、10Aの形状をセンシングすることができる。
【0106】
海中においては、ケーブル10、10Aは潮の流れによって動いているが、その挙動は不明なことが多い。場合によってはケーブル10、10Aの歪が特定の箇所に集中したり、ケーブル10A、10の捩れの一部がケーブル先端部に伝わったりしてキンクが発生し、損傷の原因になる場合もある。そのためケーブル10、10Aの構造設計としてトルクバランスに配慮した設計が行われている。しかしながら、上記した局所的な歪やキンクの発生、あるいは海底面に近い位置では海底から突起している岩との接触による損傷など、ケーブル10A、10の破断につながる要因を確実に避けることは困難である。
【0107】
これに対して、このセンシングシステム1000では、形状センシングシステム100が、ケーブル10、10Aの形状をセンシングすることができるので、ケーブル10、10Aを海中から回収することなく、局所的な歪やキンクが発生している箇所を特定できる。その結果、ケーブル10、10Aの損傷や破断をある程度予測することができる。また、これにより、より効率的なケーブルの検査や、歪やキンク発生のメカニズムの解明のためのデータを収集することができる。
【0108】
また、形状センシングシステム100の演算部140は、ケーブル10Aとケーブル10との形状をもとに、測定対象物であるビークル1003の、海洋探査船1001に対する3次元的な相対位置を算出してもよい。これにより、センシングシステム1000は、ビークル1003の3次元的な相対位置をセンシングすることができる。なお、海洋探査船1001はGPS機器を搭載しており、GPS機器は、海洋探査船1001の地球上における絶対位置(経緯度)の情報を得ることができる。この場合、演算部140は、海洋探査船1001の位置情報をGPS機器から取り込み、その位置情報と、ケーブル10Aとケーブル10との形状の情報をもとに、海中でのビークル1003の3次元的な絶対位置をセンシングすることができる。
【0109】
(実施形態11)
図12は、実施形態11に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。このセンシングシステム1000Aは、ケーブル10と、形状センシングシステム100Bとを備えている。形状センシングシステム100Bは、光デバイス120Aと、演算部140と、光源/測定部160と、1次ケーブル170Bと、を備えている。光デバイス120A、演算部140、光源/測定部160は、図10に示す形状センシングシステム100Aにおける対応する要素と同様の構成であるので、説明を省略する。なお、演算部140と、光源/測定部160とは、海洋探査船1001に搭載されている。光デバイス120Aは、ランチャー1002に搭載されている。形状センシングシステム100Bは、ケーブル形状のセンシング方法を実行することができる。
【0110】
1次ケーブル170Bの構成は、ケーブル10の構成からセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dを削除し、図10に示す延長ケーブル170と同様の4つの後方散乱光伝送路と、これらとは別個の試験光伝送路とを追加したものである。1次ケーブル170Bの長さはたとえば10kmと比較的長い。
【0111】
1次ケーブル170Bは、複合ケーブルであり、ケーブル10と同様に、海洋探査船1001とランチャー1002とビークル1003との間での、電力供給と通信とに使用される。また、1次ケーブル170Bは、延長ケーブル170と同様に、試験光L1を試験光伝送路によって光デバイス120Aに伝送する機能を有する。また、1次ケーブル170Bは、ケーブル10のセンサ光ファイバ4a、4b、4c、4dからの後方散乱光L3a、L3b、L3c、L3dのそれぞれを、4つの後方散乱光伝送路のそれぞれによって光源/測定部160に伝送する機能を有する。
【0112】
このセンシングシステム1000Aでは、形状センシングシステム100Bは、光源/測定部160から、1次ケーブル170Bを介して、数km以上という長いケーブルの先に接続されたケーブル10の形状をセンシングすることができる。特に、1次ケーブル170Bの先端側に位置し、海底にも近く、キンク等が発生しやすいケーブル10の形状を好適にセンシングすることができる。
【0113】
また、形状センシングシステム100Bの演算部140は、ケーブル10の形状をもとに、測定対象物であるビークル1003の、海洋探査船1001に対する大凡の3次元的な相対位置を算出してもよい。これにより、センシングシステム1000は、ビークル1003の大凡の3次元的な相対位置をセンシングすることができる。なお、演算部140は、海洋探査船1001の位置情報をGPS機器から取り込み、その位置情報と、ケーブル10Aとケーブル10との形状の情報をもとに、海中でのビークル1003の大凡の3次元的な絶対位置をセンシングすることができる。
【0114】
(実施形態12)
図13は、実施形態12に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。このセンシングシステム1000Bでは、ケーブル10の形状をセンシングする形状センシングシステム100は、ランチャー1002に搭載されている。海洋探査船1001とランチャー1002とは、電力供給と通信とに使用される複合ケーブルである1次ケーブル1004で接続されている。
【0115】
このセンシングシステム1000Bでは、1次ケーブル1004の先端側に位置し、海底にも近く、キンク等が発生しやすいケーブル10の形状を好適にセンシングすることができる。
【0116】
なお、ランチャー1002は1次ケーブル1004のケーブル長相当の深海に達することができるので、高い水圧が掛かる。そのため、ランチャー1002搭載する形状センシングシステム100は、その全体を耐水圧用容器内に設置する等、耐水圧用の構成とする必要がある。
【0117】
(実施形態13)
図14は、実施形態13に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。このセンシングシステム1000Cは、ケーブル10、10Aと、形状センシングシステム100と、距離測定装置であるソナー装置1005とを備えている。すなわち、センシングシステム1000Cは、図11に示すセンシングシステム1000の構成にソナー装置1005を追加した構成を有する。
【0118】
ソナー装置1005は、ビークル1003に搭載されている。ソナー装置1005は、海底SFの所定箇所に向かって音波信号SSを送信し、その所定箇所で反射した音波信号を受信する。これにより、ソナー装置1005から海底SFの所定箇所までの距離を測定する。
【0119】
上述したように、センシングシステム1000では、海中でのビークル1003の3次元的な絶対位置をセンシングすることができる。さらに、センシングシステム1000Cでは、演算部140は、ビークル1003の3次元的な絶対位置の情報と、ソナー装置1005が測定した海底SFの所定箇所までの距離の情報とを用いて、海底SFの所定箇所の3次元的な絶対位置を算出することができる。そして、ソナー装置1005が海底SFまでの距離の測定を様々な箇所に対して行うことによって、演算部140は、海底SFの3次元的な座標を算出することができる。その結果、センシングシステム1000Cは、海底SFの3次元的な座標や形状をセンシングすることができる。この場合、海底SFが、ケーブル10の先端部側に位置する測定対象物に相当する。
【0120】
なお、上記実施形態10〜13では、位置または形状をセンシングする測定対象物はビークル1003や海底SFであるが、位置または形状をセンシングする測定対象物はこれらに限られない。たとえば、本発明に係るセンシングシステムは、建造物内に侵入し、建造物内部を調査する調査ロボットの位置や、建造物の内部の形状をセンシングする用途にも適用可能である。
【0121】
(実施形態14)
図15は、実施形態14に係るセンシングシステムの模式的な構成図である。このセンシングシステム2000は、ケーブル10と、形状センシングシステム100とを備えている。ケーブル10は、測定対象物である鉄道等の線路2001に沿って敷設されている。ケーブル10は線路2001と接しており、長手方向において連続的または断続的に固定されている。
【0122】
線路2001が伸縮や屈曲等、形状変形すると、それに応じてケーブル10の形状も変化する。形状センシングシステム100は、ケーブル10の形状変形をセンシングすることによって、線路2001の変形をセンシングできる。これにより、センシングシステム2000では、線路2001における形状的な異常の発生を監視することができる。
【0123】
なお、測定対象物は、線路に限らず、橋梁等の構造物でもよい。また、形状センシングシステム100に換えて形状センシングシステム100Aを用いてセンシングシステムを構成してもよい。形状センシングシステム100Aを用いた場合、形状センシングシステム100Aのケーブル10を測定対象物に敷設し、延長ケーブル170によって演算部140および光源/測定部160を、測定対象物から遠隔の地点に設置することができる。これにより、たとえば演算部140および光源/測定部160を設置しにくいまたは測定者が到達し難い山奥等に存在する建造物等の形状をケーブル10でセンシングし、形状的な異常の発生を監視することができる。
【0124】
また、上記実施形態8〜14に係るケーブルの形状センシングシステムまたはセンシングシステムでは、形状をセンシングするケーブルは主に実施形態1に係るケーブル10であるが、このケーブル10を適宜、実施形態2〜7に係るケーブルに置き換えてもよい。
【0125】
また、一般的に、光ファイバは温度の変化によって伸縮する。そのためセンサ光ファイバの歪分布測定を行う際、センサ光ファイバの温度が変化すると歪測定に影響を生じる。そのため、形状センシングシステムの演算部において、センサ光ファイバの光ファイバコアの少なくとも1つからの後方散乱光の測定結果をもとに、形状をセンシングするケーブルの長手方向における温度分布を求め、算出された複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを、温度分布をもとに補正することが好ましい。このようなケーブル(センサ光ファイバ)の長手方向における温度分布測定は、センサ光ファイバ中のラマン散乱の変化を用いたR−OTDR(ラマンOTDR)法や、ブリユアン散乱の周波数変化を用いたB−OTDR法等を用いることができる。したがって、形状センシングシステムはこれらの方法を使用して温度分布を測定し、これをもとに歪みを補正できるようにソフトウェア的およびハードウェア的に構成されていることが好ましい。なお、温度分布を測定するために使用するセンサ光ファイバの光ファイバコアは、ケーブル内のいずれの位置にあるものでもよい。
【0126】
なお、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0127】
例えば、ケーブルは、複数の光ファイバコアと、少なくとも一つの光ファイバコアを有した少なくとも一つの光ファイバ心線と、を含むものであればよく、光ファイバコアおよび光ファイバ心線の数やレイアウト等のスペックが異なる種々の構成として、実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、光ファイバを用いた様々な物理量のセンシングに利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1a、1b、1c 電力線
2 アース線
3a、3b、3D 光ファイバ線
3E 光ファイバテープ心線
4a、4b、4c、4d、4Db、4Dc、4Dd センサ光ファイバ(光ファイバ心線)
4F センサ光ファイバユニット(光ファイバ心線)
4Fa、4Fb、4Fc、4Fd 光ファイバコア
4Fe クラッド
5 内部被覆層
6、6D、6E テンションメンバ
7、7Da、7Db、7Ea、7Eb 外部被覆層
8 充填材
9 スロット材
9a 収容溝
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F ケーブル
100、100A、100B 形状センシングシステム
110 光源部
111 光源
112 偏波保持光カプラ
113 光増幅器
114 遅延光ファイバ
115 光カプラ
120、120A、121A、122A、123A、124A、125A 光デバイス
130、130a、130b、130c、130d 測定部
131 コヒーレントミキサ
132a、132b、132c、132d バランスドフォトディテクタ
133a、133b、133c、133d トランスインピーダンスアンプ
134a、134b、134c、134d 電気増幅器
135 オシロスコープ
136 信号発生器
140 演算部
160 光源/測定部
170 延長ケーブル
170B、1004 1次ケーブル
171、172、173、174 後方散乱光伝送路
175 試験光伝送路
1000、1000A、1000B、1000C、2000 センシングシステム
1001 海洋探査船
1002 ランチャー
1003 ビークル
1005 ソナー装置
2001 線路
CS クロック信号
DS、DS1、DS2、DS3、DS4 データ信号
L1 試験光
L2 参照光
L3、L3a、L3b、L3c、L3d 後方散乱光
SEA 海
SF 海底
SS 音波信号
SXI、SYI I信号
SXQ、SYQ Q信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15

【手続補正書】
【提出日】2019年11月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバコアを有し、かつ1以上の前記光ファイバコアを有する1以上の光ファイバ心線を有する、ケーブルであって、
前記光ファイバ心線は、ケーブルの長手方向における複数の箇所において、ケーブル径方向に実質的に位置ずれしないよう、固定され、
前記ケーブルの長手方向に垂直な面において、少なくとも一組の前記光ファイバコアは相対的な位置関係が変わらないように固定され、
前記少なくとも一組の光ファイバコアの長手方向における歪み分布をセンシングすることにより、長手方向における形状がセンシングされる、
ことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記ケーブルは伝送線を含む複数の構造材で構成され、
前記光ファイバ心線は、長手方向における複数の箇所が前記複数の構造材の少なくとも一つに固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの外周を構成する外部被覆層を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記外部被覆層に固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部に設けられた内部被覆層を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記内部被覆層に固定されている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部の少なくとも一部に充填された充填材を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記充填材に固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項6】
前記複数の構造材は、テンションメンバを含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記テンションメンバに固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項7】
前記複数の構造材は、当該ケーブルの内部に設けられたスロット材を含み、
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、前記スロット材に固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項8】
前記光ファイバ心線の少なくとも1つが、固定対象の構造体に、長手方向にわたって連続的に固定されている、
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項9】
断面が円形である、
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項10】
前記伝送線は電力線である、
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項11】
前記伝送線は通信線である、
ことを特徴とする請求項2〜10のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項12】
前記光ファイバコアの少なくとも1つが、シングルコア光ファイバのコアである、
ことを特徴とする請求項2〜11のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項13】
前記光ファイバコアの少なくとも2つが、マルチコア光ファイバのコアである、
ことを特徴とする請求項2〜12のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項14】
前記光ファイバコアの少なくとも1つが、長手方向において屈折率が周期的に変化しているファイバブラッググレーティングコアである、
ことを特徴とする請求項2〜13のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項15】
前記光ファイバコアの1つが、長手方向において当該ケーブルの中心軸近傍に配置されている、
ことを特徴とする請求項2〜14のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項16】
前記光ファイバコアの少なくとも1つが、長手方向において当該ケーブルの中心軸の周りに撚られた状態で配置されている、
ことを特徴とする請求項2〜15のいずれか一つに記載のケーブル。
【請求項17】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルが備える前記複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に入力する試験光を出力する光源部と、
前記試験光のそれぞれに起因して発生し、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの前記一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行う測定部と、
前記測定部におけるそれぞれの前記後方散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、前記算出したそれぞれの歪みをもとに前記ケーブルの形状を算出する演算部と、
を備えることを特徴とするケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項18】
前記後方散乱光のそれぞれはレーリー散乱光であり、
光周波数領域反射法を用いて前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項19】
前記後方散乱光のそれぞれはブリユアン散乱光であり、
前記ブリユアン散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項20】
前記光ファイバコアの少なくとも1つからの後方散乱光の測定結果をもとに前記ケーブルの長手方向における温度分布を求め、算出された前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを、前記温度分布をもとに補正することができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項17〜19のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項21】
前記試験光のそれぞれを前記ケーブルにおける前記複数の光ファイバコアのそれぞれに入力させるとともに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれから出力された前記後方散乱光のそれぞれを前記測定部に出力させる光デバイスを備える、
ことを特徴とする請求項17〜20のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項22】
前記試験光を前記光デバイスに伝送する試験光伝送路と、前記試験光伝送路とは別個の、前記後方散乱光のそれぞれを前記光デバイスから前記測定部に伝送する後方散乱光伝送路とを備える、
ことを特徴とする請求項21に記載のケーブル形状のセンシングシステム。
【請求項23】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルと、
請求項17〜22のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステムと、
を備え、
前記ケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルの前記試験光が入力される端部とは反対側の先端部側に位置する測定対象物の位置または形状をセンシングできるように構成されている、
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項24】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルと、
請求項17〜22のいずれか一つに記載のケーブル形状のセンシングシステムと、
を備え、
前記ケーブル形状のセンシングシステムは、前記ケーブルが敷設される測定対象物の形状をセンシングできるように構成されている、
ことを特徴とするセンシングシステム。
【請求項25】
請求項2〜16のいずれか一つに記載のケーブルが備える前記複数の光ファイバコアのそれぞれの一方の端部に試験光を入力するステップと、
前記試験光のそれぞれに起因して発生し、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの前記一方の端部から出力する後方散乱光に関して測定を行うステップと、
それぞれの前記後方散乱光に関する測定結果をもとに、前記複数の光ファイバコアのそれぞれの歪みを算出し、前記算出したそれぞれの歪みをもとに前記ケーブルの形状を算出するステップと、
を備える、
ことを特徴とするケーブル形状のセンシング方法。
【国際調査報告】