特表-20003879IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2020-3879金属パターンを有する成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年1月2日
【発行日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】金属パターンを有する成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/24 20060101AFI20200828BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20200828BHJP
   C25D 5/56 20060101ALI20200828BHJP
   C25D 5/02 20060101ALI20200828BHJP
【FI】
   H05K3/24 C
   H05K3/06 A
   C25D5/56 C
   C25D5/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
【出願番号】特願2020-527314(P2020-527314)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】特願2018-120976(P2018-120976)
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】深澤 憲正
(72)【発明者】
【氏名】冨士川 亘
(72)【発明者】
【氏名】白髪 潤
【テーマコード(参考)】
4K024
5E339
5E343
【Fターム(参考)】
4K024AA09
4K024AB01
4K024BA12
4K024BB11
4K024DA10
4K024DB10
4K024FA01
5E339AB02
5E339AB06
5E339BB02
5E339BC01
5E339BD01
5E339BD08
5E339BE13
5E339DD03
5E343AA16
5E343AA17
5E343AA18
5E343AA22
5E343AA26
5E343BB23
5E343BB25
5E343BB34
5E343BB35
5E343BB44
5E343BB45
5E343BB49
5E343BB72
5E343CC03
5E343CC04
5E343DD01
5E343DD43
5E343EE22
5E343EE23
5E343EE24
5E343EE32
5E343ER32
5E343ER45
5E343ER47
5E343FF02
5E343FF05
5E343GG11
(57)【要約】
本発明は、絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1、前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法を提供する。この製造方法は、成形体表面を粗化することなく、密着性の高い金属パターンを形成することができ、また、真空装置や、特別な装置を必要とせずに、表面に金属パターンを有する成形体を製造できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1、
前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、
前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、
前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4、
を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法。
【請求項2】
絶縁性成形体(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1’、
前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、
前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、
前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4、
を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法。
【請求項3】
前記工程2において、導電性金属層(M1)の一部を除去する方法が、電磁波を照射する方法である請求項1又は2記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
請求項2記載の成形体の製造方法において、前記プライマー層(B)が、前記電磁波を吸収する物質を含有するものである請求項3記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
前記エッチング液の有効成分が、カルボン酸及び過酸化水素である請求項1〜4のいずれか1項記載の成形体の製造方法。
【請求項6】
前記銀粒子が、高分子分散剤で被覆されたものである請求項1〜5のいずれか1項記載の成形体の製造方法。
【請求項7】
請求項2記載の成形体の製造方法において、前記プライマー層(B)に反応性官能基[X]を有する樹脂を用い、前記高分子分散剤に反応性官能基[Y]を有するものを用い、前記反応性官能基[X]と前記反応性官能基[Y]との間で結合を形成させる請求項6記載の成形体の製造方法。
【請求項8】
前記反応性官能基[Y]が、塩基性窒素原子含有基である請求項7記載の成形体の製造方法。
【請求項9】
前記反応性官能基[Y]を有する高分子分散剤が、ポリアルキレンイミン、及びオキシエチレン単位を含むポリオキシアルキレン構造を有するポリアルキレンイミンからなる群から選ばれる1種以上である請求項7記載の成形体の製造方法。
【請求項10】
前記反応性官能基[X]が、ケト基、アセトアセチル基、エポキシ基、カルボキシル基、N−アルキロール基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基からなる群より選ばれる1種以上である請求項7〜9のいずれか1項記載の成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面又は三次元立体の絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁性成形体上に金属パターンを形成する方法としては、例えば、めっき析出性の異なる2種の材料を二色成形することによって表面にパターン形成領域と非パターン形成領域を作製し、めっき析出性の差を利用して金属パターンを形成する方法が知られているが、この方法は、2回の成形工程を必要とすることから、煩雑で、高コストであるばかりでなく、微小なパターンを成形加工によって表現することは困難であり、また、2種の樹脂材料界面にめっき液が浸透、残留するなどの問題を生じることがあった。
【0003】
一方、二色成形を行わない方法として、成形体全面に形成しためっきシード層を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法においては、成形基材として、ポリイミド、ABS、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、アルミナセラミックス等の電気絶縁材料によって形成したものを用い、表面をクロム酸液、水酸化カリウム水溶液、リン酸液等で処理することによって、凹凸を付与する粗面化処理を行った後、その上に電解めっき用のシード層を形成する。形成したシード層にレーザー光を照射して配線となる金属パターン輪郭部分を除去し、シード層を導電部と非導電部とに分離した後、配線パターン部のみに電解銅めっきを行って、配線パターン部の銅膜厚を非配線部の銅膜厚よりも厚くする。次いで、ソフトエッチングを行うことで成形品の表面に、銅の配線パターンを形成することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術においては、成形体表面が粗化処理されていることによって、微細なパターン形成が困難で、ファインピッチ化が難しく、また、高周波信号伝送に用いる配線用途では、伝送ロスが生じるなどの課題があった。さらに、成形体表面の粗化が影響し、めっき膜表面も光沢の無い粗面になる傾向があった。
【0005】
また、特許文献1においては、成形体表面の粗化処理を、薬液処理でなくプラズマ処理に変更して活性化することによって、表面に凹凸を付与する粗面化処理を行い、全面に銅をスパッタしてめっきシード層を形成する方法も開示されている。この方法では、電解めっきのシード層をスパッタ法で形成するため、高価な真空装置が必要であること、生産効率が低いこと、スパッタ膜形成時に高温の負荷が掛かるため耐熱性の低い基材への対応が困難であること、密着性の高い金属膜を得ることが困難であること等の課題があった。
【0006】
また、成形体表面の粗化を行わずに密着性を高め、かつ、真空装置を用いない方法として、表面部に金属元素含有微粒子を分散させたプラスチック成形体を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。表面部に金属元素含有微粒子を分散させたプラスチック成形体を得る方法としては、プラスチック成形体をアルコール又は還元剤に浸透し、さらに、金属錯体を含む高圧二酸化炭素を接触させる方法、プラスチック成形体を射出成形するための可塑化シリンダ内の溶融樹脂に、金属錯体を含む高圧二酸化炭素を溶解させ、さらに、溶解後の溶融樹脂を金型へ射出してプラスチック成形体を成形する方法が開示されている。この方法においては、プラスチック成形体の表面に金属元素含有微粒子を形成するために、高圧二酸化炭素を利用する特別な装置が必要であること、また、プラスチック成形体の表面部は、金属元素を含浸させる操作によって、表面がバルクと異なる物性となること等の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−66533号公報
【特許文献2】特開2010−80495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、成形体表面を粗化することなく、密着性の高い金属パターンを形成することができ、また、真空装置や、特別な装置を必要とせずに、表面に金属パターンを有する成形体を製造できる成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、成形体表面に銀粒子を含有する導電性金属層を形成し、前記導電性金属層の一部を除去することによって、パターン形成領域と非パターン形成領域に分離し、電解めっき法によってパターン形成領域上に金属層を形成した後、非パターン領域の金属層をエッチング液で除去することによって、成形体表面を粗化することなく、密着性の高い金属パターンを形成することができ、また、真空装置や、特別な装置を必要とせずに、表面に金属パターンを有する成形体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1、前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、絶縁性成形体(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1’、前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4、を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法により、複雑な二色成形や、フォトレジストを用いた暗室内での露光・現像といった煩雑な作業を必要とせず、かつ、高価な真空装置を用いることなく、その表面に、密着性の高く、表面が平滑な金属パターンを有する平面又は三次元立体形状を有する成形体を製造することできる。したがって、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法により、種々の形状、サイズの高密度、高性能のプリント配線板、立体配線を有する成形回路部品(MID;Molded Interconnect Device)を、低コストで提供することができるため、プリント配線の分野における産業上の利用性が高い。また、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法は、基材表面にパターン化された金属層を有する種々の電子部材に用いることができ、例えば、コネクター、電磁波シールド、RFID等のアンテナなどにも応用できる。
【0013】
さらに、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法により製造された金属パターンを有する成形体は、電子部材のみならず、種々の形状、サイズの成形体上にパターン化された金属層を有する機能部品、装飾めっき等の用途でも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、絶縁性成形体上に導電性金属層を形成したものの模式図である。
図2図2は、導電性金属層をパターン形成領域の導電性金属層と非パターン形成領域の導電性金属層に分離したものの模式図である。
図3図3は、パターン形成領域の導電性金属層に電解めっきを施して、パターン金属層を形成したものの模式図である。
図4図4は、非パターン形成領域の導電性金属層をエッチング液により除去したものの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1、前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法である。
【0016】
また、本発明のより好ましい態様は、絶縁性成形体(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1’、前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する工程3、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程4、を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法である。
【0017】
本発明の工程1又は工程1’で用いる前記絶縁性成形体(A)の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂をグラフト共重合化した塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、セルロースナノファイバー、シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、サファイア、セラミックス、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アルミナ等が挙げられる。
【0018】
また、前記絶縁性成形体(A)として、熱硬化性樹脂及び無機充填材を含有する樹脂基材を好適に用いることもできる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。一方、前記無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂と無機充填剤は、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0019】
前記絶縁性成形体(A)の形態としては、フレキシブル材、リジッド材、リジッドフレキシブル材のいずれのものも用いることができ、その形状は平面であっても、三次元立体形状であってもよい。より具体的には、前記絶縁性成形体(A)に、三次元立体形状、フィルム、シート、板状に成形された市販材料を用いてもよいし、上記した樹脂の溶液、溶融液、分散液から、任意の形状に成形した材料を用いてもよい。また、前記絶縁性成形体(A)は、金属等の導電性材料の上に、上記した樹脂の材料を形成した基材であってもよい。
【0020】
また、前記絶縁性成形体(A)の形態としては、フィルム、シート、板等、平面状基材の両面を貫通する貫通孔を有してもよく、基材が積層体であって、外層が貫通孔を有しており、積層体全体としては非貫通孔を有し、内層部に達する孔を持つ構造を有してもよい。前記絶縁性成形体(A)が貫通孔を有している場合には、後述する本発明のプリント配線板の製造工程を経ることによって、貫通孔の両面を電気的に接続することが可能である。また、前記絶縁性成形体(A)が積層体であって、非貫通孔を有し、内層部に達する孔を持つ構造を有している場合には、本発明のプリント配線板の製造工程を経ることによって、外層と内層の導電層を電気的に接続することが可能である。
【0021】
また、本発明の工程2の前記導電性金属層(M1)の一部を除去するのに電磁波を用いる場合、前記絶縁性成形体(A)の耐熱性、機械的強度、絶縁特性等が、目的とする使用環境において損なわれない範囲で、当該電磁波を吸収するグラファイトやカーボン、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の光を吸収する顔料、又は色素を光吸収剤として、前記絶縁性成形体(A)中に含有させてもよい。これらの顔料や色素は、使用する当該電磁波の波長に合わせて適宜選択すればよい。また、これらの顔料や色素は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。さらに、前記絶縁性成形体(A)の材料として市販の樹脂材料を用いる場合、着色グレードとして市販されている着色樹脂材料を用いてもよい。当該電磁波を吸収する顔料や色素が前記絶縁性成形体(A)中に含まれていると、当該電磁波が前記絶縁性成形体(A)の表面で吸収され、本発明の工程2において導電性金属層(M1)を除去しやすくなるので好ましい。
【0022】
本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法の工程1は、前記絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程である。この導電性金属層(M1)は、後述する工程3において、電解めっきによりパターン金属層(PM2)を形成する際のめっき下地層となる。前記導電性金属層(M1)は、銀粒子を含有する金属層であるが、銀粒子以外の金属粒子を含有していてもよい。銀粒子以外の金属粒子としては、例えば、金、白金、パラジウム、ルテニウム、スズ、銅、ニッケル、鉄、コバルト、チタン、インジウム、イリジウム等の金属粒子が挙げられる。これらの金属粒子を用いる場合は、銀粒子とともに1種以上を用いることができる。本発明において、銀粒子を必須の金属粒子とする理由としては、比較的安価であること、後述する電解めっき工程での導電性金属層として電気抵抗値が十分に低いこと、大気下で保存しても表面が酸化されにくいこと等が挙げられる。
【0023】
銀粒子以外の金属粒子が含有される場合、銀粒子以外の金属粒子の割合は、前記導電性金属層(M1)を形成可能であり、後述する工程3における電解めっきが問題なく実施できる限りは、特に制限はないが、後述する工程4におけるエッチング除去性をより向上できることから、銀粒子100質量部に対して5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。
【0024】
前記導電性金属層(M1)を形成する方法としては、例えば、前記絶縁性成形体(A)上に、銀粒子分散液を塗工する方法が挙げられる。前記銀粒子分散液の塗工方法は、導電性金属層(M1)が良好に形成できれば特に制限はなく、種々の塗工方法を、用いる絶縁性成形体(A)の形状、サイズ、剛柔の度合いなどによって適宜選択すればよい。具体的な塗工方法としては、例えば、グラビア法、オフセット法、フレキソ法、パッド印刷法、グラビアオフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、インクジェット法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコーター法等が挙げられる。
【0025】
また、フィルム、シート、板状の前記絶縁性成形体(A)の両面に、銀粒子分散液を塗工する方法は、導電性金属層(M1)が良好に形成できれば特に制限はなく、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよい。この際、導電性金属層(M1)は、前記絶縁性成形体(A)の両面に同時形成してもよいし、前記絶縁性成形体(A)の片面に形成した後、他方の面に形成してもよい。さらに、前記絶縁性成形体(A)が立体形状の成形体の場合は、成形体のサイズ、形状に応じて、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよいが、スプレーコーター法、インクジェット法、ディップコーター法等が好適である。
【0026】
前記絶縁性成形体(A)は、銀粒子分散液の塗工性向上、工程3で形成する金属パターン層(PM2)の基材への密着性を向上させる目的で、銀粒子分散液を塗工する前に、表面処理を行ってもよい。前記絶縁性成形体(A)の表面処理方法としては、表面の粗度が大きくなって、ファインピッチパターン形成性や粗面による信号伝送ロスが問題とならない限りは特に制限はなく、種々の方法を適宜選択すればよい。このような表面処理方法としては、例えば、UV処理、気相オゾン処理、液層オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらの表面処理方法は、1種の方法で行うことも2種以上の方法を併用することもできる。
【0027】
前記銀粒子分散液を前記絶縁性成形体(A)上に塗工した後、塗工膜を乾燥・焼成することにより、銀粒子分散液に含まれる溶媒が揮発し、銀粒子同士が密着して接合することで、前記絶縁性成形体(A)上に導電性金属層(M1)が形成される。ここで、乾燥とは、主として、前記銀粒子の分散液から溶媒を揮発させるプロセスであり、焼成とは、主として銀粒子同士を接合させて導電性を発現させるプロセスを意味する。
【0028】
上記の乾燥と焼成は、同時に行ってもよいし、塗工膜を一旦乾燥しておき、使用前に必要に応じて焼成を行ってもよい。乾燥の温度及び時間は、後述する前記銀粒子分散液に使用する溶媒の種類に応じて適宜選択すればよいが、20℃〜250℃の範囲で、時間は1〜200分の範囲が好ましい。また、焼成の温度及び時間は、所望とする導電性に応じて適宜選択すればよいが、温度は80〜350℃の範囲で、時間は1〜200分の範囲が好ましい。また、前記絶縁性成形体(A)上に、密着性に優れた導電性金属層(M1)を得るためには、前記焼成の温度を80〜250℃の範囲にすることがより好ましい。
【0029】
上記の乾燥・焼成は、送風を行ってもよいし、特に送風を行わなくてもよい。また、乾燥・焼成は、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスの置換雰囲気下、もしくは気流下で行ってもよく、真空下で行ってもよい。
【0030】
上記の乾燥・焼成は、前記絶縁性成形体(A)が、枚葉のフィルム、シート、板、もしくは三次元立体形状の成形体の場合には、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器等の乾燥器内で行うことができる。また、前記絶縁性成形体(A)がロールフィルム、ロールシート等のロール材の場合には、塗工工程に続けて、設置された非加熱又は加熱空間内でロール材を連続的に移動させることにより、乾燥・焼成を行うことができる。この際の乾燥・焼成の加熱方法としては、例えば、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、マイクロウェーブ、光照射(フラッシュ照射装置)等を用いる方法が挙げられる。これらの加熱方法は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0031】
前記導電性金属層(M1)は、層中に80〜99.9質量%の範囲で銀粒子を含有し、0.1〜20質量%の範囲で、後述する分散剤成分を含有するものが好ましい。
【0032】
また、本発明の工程2の前記導電性金属層(M1)の一部を除去するのに電磁波を用いる場合、その除去効率を高める目的で、前記導電性金属層(M1)を形成可能であり、後述する工程3における電解めっきが問題なく実施でき、工程4におけるエッチング除去性を確保できる範囲で、当該電磁波を吸収するグラファイトやカーボン、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等の光を吸収する顔料、又は色素を光吸収剤として、前記導電性金属層(M1)中に含有されてもよい。これらの顔料や色素は、使用する当該電磁波の波長に合わせて適宜選択すればよい。また、これらの顔料や色素は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0033】
前記導電性金属層(M1)の厚さは、電気抵抗値をより低くでき、後述する工程3におけるより優れためっき下地層とすることができることから、50〜500nmの範囲が好ましい。さらに、工程4の除去工程における除去性をより向上できることから、50〜200nmの範囲がより好ましい。
【0034】
前記導電性金属層(M1)は、後述する工程3の電解めっきを容易に実施できることから、銀粒子同士が密着、接合しており導電性が高いものが好ましい。また、本発明の工程2により形成されるパターン形成領域の導電性金属層(PM1)は、銀粒子間の空隙が、前記パターン金属層(PM2)を構成するめっき金属によって充填されているものであってもよい。銀粒子間の空隙がめっき金属によって充填されると、めっき金属の存在によって、後述する工程4の非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程において、パターン金属層(PM2)下の導電性金属層(PM1)のエッチングが抑制され、金属パターン形成部のアンダーカットが起こりにくくなるので好ましい。
【0035】
前記導電性金属層(M1)を形成するために用いる銀粒子分散液は、銀粒子が溶媒中に分散したものである。前記銀粒子の形状としては、導電性金属層(M1)を良好に形成するものであれば特に制限はなく、球状、レンズ状、多面体状、平板状、ロッド状、ワイヤー状など、種々の形状の銀粒子を用いることができる。これらの銀粒子は、単一形状の1種で用いることも、形状が異なる2種以上を併用することもできる。
【0036】
前記銀粒子の形状が球状や多面体状である場合には、その平均粒子径が1〜20,000nmの範囲のものが好ましい。また、微細な回路パターンを形成する場合には、導電性金属層(M1)の均質性がより向上し、後述する工程4でのエッチング液による除去性もより向上できることから、その平均粒子径が1〜200nmの範囲のものがより好ましく、1〜50nmの範囲のものがさらに好ましい。なお、ナノメートルサイズの粒子に関する「平均粒子径」は、前記銀粒子を分散良溶媒で希釈し、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定にはマイクロトラック社製「ナノトラックUPA−150」を用いることができる。
【0037】
一方、銀粒子がレンズ状、ロッド状、ワイヤー状などの形状を有する場合には、その短径が1〜200nmの範囲のものが好ましく、2〜100nmの範囲のものがより好ましく、5〜50nmの範囲のものがさらに好ましい。
【0038】
前記銀粒子は、銀を主成分とするものであるが、前記導電性金属層(A)の電気抵抗値の増加による工程3における電解めっき阻害を生じたり、工程4における前記導電性金属層(A)のエッチング液による除去性が損なわれたりしない限りは、一部が他の金属で置換されていたり、銀以外の金属成分が混合されていてもよい。
【0039】
置換又は混合される金属としては、金、白金、パラジウム、ルテニウム、スズ、銅、ニッケル、鉄、コバルト、チタン、インジウム及びイリジウムからなる群より選ばれる1種以上の金属元素が挙げられる。
【0040】
置換又は混合される金属の比率は、前記銀粒子中に5質量%以下が好ましく、前記導電性金属層(A)の電気抵抗値、エッチング液による除去性の観点から2質量%以下がより好ましい。
【0041】
前記導電性金属層(M1)を形成するために用いる銀粒子分散液は、銀粒子を各種溶媒中に分散したものであり、その分散液中の銀粒子の粒径分布は、単分散で揃っていてもよく、また、上記の平均粒子径の範囲である粒子の混合物であってもよい。
【0042】
前記銀粒子の分散液に用いる溶媒としては、水性媒体や有機溶剤を使用することができる。前記水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。また、前記有機溶剤としては、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
【0043】
前記アルコール溶剤又はエーテル溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0044】
前記ケトン溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等が挙げられる。また、前記エステル溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、3―メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート等が挙げられる。さらに、その他の有機溶剤として、トルエン等の炭化水素溶剤、特に炭素原子数8以上の炭化水素溶剤が挙げられる。
【0045】
前記炭素原子数8以上の炭化水素溶剤としては、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロオクタン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン、トリメチルベンゼンシクロヘキサン等の非極性溶剤が挙げられ、他の溶媒と必要に応じて組み合わせて用いることができる。さらに、混合溶剤であるミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の溶媒を併用することもできる。
【0046】
前記溶媒は、銀粒子が安定に分散し、前記絶縁性成形体(A)、もしくは、後述する前記絶縁性成形体(A)上に形成されたプライマー層(B)上に、導電性金属層(M1)を良好に形成するものであれば特に制限はない。また、前記溶媒は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0047】
前記銀粒子分散液中の銀粒子の含有率は、上記の塗工方法に応じて最適な塗工適性を有する粘度になるように調整するが、0.5〜90質量%の範囲が好ましく、1〜60質量%の範囲がより好ましく、2〜10質量%の範囲がさらに好ましい。
【0048】
前記銀粒子分散液は、前記銀粒子が、前記の各種溶媒媒中で凝集、融合、沈殿することなく、長期間の分散安定性を保つことが好ましく、銀粒子を前記の各種溶媒中に分散させるための分散剤を含有することが好ましい。このような分散剤としては、銀粒子に配位する官能基を有する分散剤が好ましく、例えば、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アセトアセチル基、リン原子含有基、チオール基、チオシアナト基、グリシナト基等の官能基を有する分散剤が挙げられる。
【0049】
前記分散剤としては、市販、もしくは独自に合成した低分子量、又は高分子量の分散剤を用いることができ、銀粒子を分散する溶媒や、銀粒子の分散液を塗工する前記絶縁性成形体(A)の種類など、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、ドデカンチオール、1−オクタンチオール、トリフェニルホスフィン、ドデシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン;ミリスチン酸、オクタン酸、ステアリン酸等の脂肪酸;コール酸、グリシルジン酸、アビンチン酸等のカルボキシル基を有する多環式炭化水素化合物などが好適に用いられる。ここで、後述するプライマー層(B)上に導電性金属層(M1)を形成する場合は、これら2層の密着性が良好になることから、後述するプライマー層(B)に用いる樹脂が有する反応性官能基[X]と結合を形成しうる反応性官能基[Y]を有する化合物を用いることが好ましい。
【0050】
反応性官能基[Y]を有する化合物としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキロールアミド基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、オキセタン環、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(ブロック化)イソシアネート基、(アルコキシ)シリル基等を有する化合物、シルセスキオキサン化合物等が挙げられる。特に、プライマー層(B)と導電性金属層(M1)との密着性をより向上できることから、前記反応性官能基[Y]は塩基性窒素原子含有基が好ましい。前記塩基性窒素原子含有基としては、例えば、イミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられる。
【0051】
前記塩基性窒素原子含有基は、分散剤1分子中に単数、もしくは複数存在してもよい。分散剤中に複数の塩基性窒素原子を含有することで、塩基性窒素原子含有基の一部は、銀粒子との相互作用により、銀粒子の分散安定性に寄与し、残りの塩基性窒素原子含有基は、前記絶縁性成形体(A)との密着性向上に寄与する。また、後述するプライマー層(B)に反応性官能基[X]を有する樹脂を用いた場合には、分散剤中の塩基性窒素原子含有基は、この反応性官能基[X]との間で結合が形成でき、前記絶縁性成形体(A)上への後述するパターン金属層(PM2)の密着性をより一層向上できるため好ましい。
【0052】
前記分散剤は、銀粒子の分散液の安定性、塗工性、及び、前記絶縁性成形体(A)上に良好な密着性を示す導電性金属層(M1)を形成できることから、分散剤は、高分子分散剤が好ましく、この高分子分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミン、前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物などが好ましい。
【0053】
前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物としては、ポリエチレンイミンとポリオキシアルキレンとが、直鎖状で結合したものであってもよく、前記ポリエチレンイミンからなる主鎖に対して、その側鎖にポリオキシアルキレンがグラフトしたものであってもよい。
【0054】
前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物の具体例としては、例えば、ポリエチレンイミンとポリオキシエチレンとのブロック共重合体、ポリエチレンイミンの主鎖中に存在するイミノ基の一部にエチレンオキサイドを付加反応させてポリオキシエチレン構造を導入したもの、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基と、ポリオキシエチレングリコールが有する水酸基と、エポキシ樹脂が有するエポキシ基とを反応させたもの等が挙げられる。
【0055】
前記ポリアルキレンイミンの市販品としては、株式会社日本触媒製の「エポミン(登録商標)PAOシリーズ」の「PAO2006W」、「PAO306」、「PAO318」、「PAO718」等が挙げられる。
【0056】
前記ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、3,000〜30,000の範囲が好ましい。
【0057】
前記銀粒子を分散させるために必要な前記分散剤の使用量は、前記銀粒子100質量部に対し、0.01〜50質量部の範囲が好ましく、また、前記絶縁性成形体(A)上、もしくは、後述するプライマー層(B)上に、良好な密着性を示す導電性金属層(M1)を形成できることから、前記銀粒子100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、さらに前記導電性金属層(M1)の導電性を向上できることから、0.1〜5質量部の範囲がより好ましい。
【0058】
前記銀粒子の分散液の製造方法としては、特に制限はなく、種々の方法を用いて製造できるが、例えば、低真空ガス中蒸発法などの気相法を用いて製造した銀粒子を、溶媒中に分散させてもよいし、液相で銀化合物を還元して直接銀粒子の分散液を調製してもよい。気相、液相法とも、適宜、必要に応じて、溶媒交換や溶媒添加により、製造時の分散液と塗工時の分散液の溶剤組成を変更することが可能である。気相、液相法のうち、分散液の安定性や製造工程の簡便さから、液相法を特に好適に用いることができる。液相法としては、例えば、前記高分子分散剤の存在下で銀イオンを還元することによって製造することができる。
【0059】
前記銀粒子の分散液には、さらに必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤などの有機化合物を配合してもよい。
【0060】
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系界面活性剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0061】
前記レベリング剤としては、一般的なレベリング剤を使用することができ、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0062】
前記粘度調整剤としては、一般的な増粘剤を使用することができ、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体、合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0063】
前記成膜助剤としては、一般的な成膜助剤を使用することができ、例えば、ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩等アニオン系界面活性剤、ソルビタンモノオレエート等の疎水性ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0064】
前記消泡剤としては、一般的な消泡剤を使用することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル,高級アルコール、ポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
【0065】
前記防腐剤としては、一般的な防腐剤を使用することができ、例えば、イソチアゾリン系防腐剤、トリアジン系防腐剤、イミダゾール系防腐剤、ピリジン系防腐剤、アゾール系防腐剤、ピリチオン系防腐剤等が挙げられる。
【0066】
また、本発明のより好ましい態様として、絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する前に、絶縁性成形体(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、その層の上に銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する方法がある(工程1’)。このプライマー層(B)を設ける方法は、前記絶縁性成形体(A)への金属パターン層(PM2)の密着性をより一層向上できることから好ましい。
【0067】
前記プライマー層(B)は、前記絶縁性成形体(A)の表面の一部、又は全面にプライマーを塗工し、前記プライマー中に含まれる水性媒体、有機溶剤等の溶媒を除去することによって形成できる。ここで、プライマーとは、絶縁性成形体(A)への金属パターン層(PM2)の密着性を向上させる目的で用いるものであり、後述する各種の樹脂を溶剤中に溶解、もしくは分散させた液状組成物である。
【0068】
前記プライマーを前記絶縁性成形体(A)に塗工する方法としては、プライマー層(B)が良好に形成できれば特に制限は無く、種々の塗工方法を、使用する絶縁性成形体(A)の形状、サイズ、剛柔の度合いなどによって適宜選択すればよい。具体的な塗工方法としては、例えば、グラビア法、オフセット法、フレキソ法、パッド印刷法、グラビアオフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、インクジェット法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコーター法等が挙げられる。
【0069】
また、フィルム、シート、板状の前記絶縁性成形体(A)の両面に、前記プライマーを塗工する方法は、プライマー層(B)が良好に形成できれば特に制限はなく、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよい。この際、前記プライマー層(B)は、前記絶縁性成形体(A)の両面に同時形成してもよく、前記絶縁性成形体(A)の片面に形成した後、他方の面に形成してもよい。さらに、前記絶縁性成形体(A)が立体形状の成形体の場合は、成形体のサイズ、形状に応じて、上記で例示した塗工方法を適宜選択すればよいが、スプレーコーター法、インクジェット法、ディップコーター法等が好適である。
【0070】
前記絶縁性成形体(A)は、プライマーの塗工性向上や、前記金属パターン層(PM2)の基材への密着性を向上させる目的で、プライマー塗工前(工程1’)に、表面処理を行ってもよい。前記絶縁性成形体(A)の表面処理方法としては、上述した絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する場合の表面処理方法と同様の方法を用いることができる。
【0071】
前記プライマーを絶縁性成形体(A)の表面に塗工した後、その塗工層に含まれる溶媒を除去してプライマー層(B)を形成する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、前記溶媒を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ前記絶縁性成形体(A)に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよく、室温乾燥でも加熱乾燥でもよい。具体的な乾燥温度は、20〜350℃の範囲が好ましく、60〜300℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分の範囲が好ましく、1〜60分の範囲がより好ましい。
【0072】
上記の乾燥は、送風を行ってもよいし、特に送風を行わなくてもよい。また、乾燥は、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンなどの置換雰囲気、もしくは気流下で行ってもよく、真空下で行ってもよい。
【0073】
前記絶縁性成形体(A)が、枚葉のフィルム、シート、板、もしくは三次元立体形状の成形体の場合には、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器などの乾燥器内で行うことができる。また、前記絶縁性成形体(A)がロールフィルムやロールシートの場合には、塗工工程に続けて、設置された非加熱又は加熱空間内でロール材を連続的に移動させることにより、乾燥を行うことができる。
【0074】
前記プライマー層(B)の膜厚は、本発明を用いて製造する金属パターンを有する成形体の仕様、用途によって適宜選択すればよいが、前記絶縁性成形体(A)と前記パターン金属層(PM2)との密着性を、より向上できることから、10nm〜30μmの範囲が好ましく、10nm〜1μmの範囲がより好ましく、10nm〜500nmの範囲がさらに好ましい。
【0075】
プライマー層(B)を形成する樹脂は、前記銀粒子の分散剤に反応性官能基[Y]を有するものを用いる場合、反応性官能基[Y]に対して反応性を有する反応性官能基[X]を有する樹脂が好ましい。前記反応性官能基[X]としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキロールアミド基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、オキセタン環、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(ブロック化)イソシアネート基、(アルコキシ)シリル基等が挙げられる。また、プライマー層(B)を形成する化合物として、シルセスキオキサン化合物を用いることもできる。
【0076】
特に、前記分散剤中の反応性官能基[Y]が、塩基性窒素原子含有基の場合、前記絶縁性成形体(A)上での金属パターン層(PM2)の密着性をより向上できることから、プライマー層(B)を形成する樹脂は、反応性官能基[X]として、カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、アルキロールアミド基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基を有するものが好ましい。
【0077】
前記プライマー層(B)を形成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネートポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。なお、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂は、例えば、ウレタン樹脂存在下でアクリル単量体を重合することにより得られる。また、これらの樹脂は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0078】
上記のプライマー層(B)を形成する樹脂の中でも、絶縁性成形体(A)上への金属パターン層(PM2)の密着性をより向上できることから、加熱により還元性化合物を生成する樹脂が好ましい。前記還元性化合物としては、例えば、フェノール化合物、芳香族アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。これらの還元性化合物の中でも、フェノール化合物、アルデヒド化合物が好ましい。
【0079】
加熱により還元性化合物を生成する樹脂をプライマーに用いた場合、プライマー層(B)を形成する際の加熱乾燥工程でホルムアルデヒド、フェノール等の還元性化合物を生成する。加熱により還元性化合物を生成する樹脂の具体例としては、例えば、N−アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、尿素―ホルムアルデヒド−メタノール縮合物、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド−メタノール縮合物、ポリN−アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドのホルムアルデヒド付加物、メラミン樹脂等の加熱によりホルムアルデヒドを生成する樹脂;フェノール樹脂、フェノールブロックイソシアネート等の加熱によりフェノール化合物を生成する樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、密着性向上の観点から、ウレタン樹脂をシェルとしN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、メラミン樹脂、フェノールブロックイソシアネートが好ましい。
【0080】
なお、本発明において、「(メタ)アクリルアミド」とは、「メタクリルアミド」及び「アクリルアミド」の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」及び「アクリル酸」の一方又は両方をいう。
【0081】
加熱により還元性化合物を生成する樹脂は、加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体をラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の重合方法により重合することによって得られる。
【0082】
加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体としては、例えば、N−アルキロールビニル単量体が挙げられ、具体的には、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エタノール(メタ)アクリルアミド、N−プロパノール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0083】
また、上記の加熱により還元性化合物を生成する樹脂を製造する際には、加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体等とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのその他の各種単量体を共重合することもできる。
【0084】
前記ブロックイソシアネートを、前記プライマー層(B)を形成する樹脂として用いた場合は、イソシアネート基間で自己反応することでウレトジオン結合を形成し、又は、イソシアネート基と、他の成分が有する官能基とが結合を形成することによって、プライマー層(B)を形成する。この際形成される結合は、前記銀粒子分散液を塗工する前に形成されていてもよいし、前記銀粒子分散液を塗工する前には形成されておらず、前記銀粒子分散液を塗工した後に加熱によって形成されてもよい。
【0085】
前記ブロックイソシアネートとしては、イソシアネート基がブロック剤によって封鎖され形成した官能基を有するものが挙げられる。
【0086】
前記ブロックイソシアネートは、ブロックイソシアネート1モルあたり、前記官能基を350〜600g/molの範囲で有するものが好ましい。
【0087】
前記官能基は、密着性向上の観点から、前記ブロックイソシアネートの1分子中に1〜10個有するものが好ましく、2〜5個有するものがより好ましい。
【0088】
また、前記ブロックイソシアネートの数平均分子量は、密着性向上の観点から、1,500〜5,000の範囲が好ましく、1,500〜3,000の範囲がより好ましい。
【0089】
さらに、前記ブロックイソシアネートとしては、密着性をさらに向上する観点から、芳香環を有するものが好ましい。前記芳香環としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0090】
なお、前記ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の一部又は全部と、ブロック剤とを反応させることによって製造することができる。
【0091】
前記ブロックイソシアネートの原料となるイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香環を有するポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物又は脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物などが挙げられる。また、前記したポリイソシアネート化合物のそれらのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等も挙げられる。
【0092】
また、前記イソシアネート化合物としては、上記で例示したポリイソシアネート化合物と、水酸基又はアミノ基を有する化合物等とを反応させて得られるものも挙げられる。
【0093】
前記ブロックイソシアネートに芳香環を導入する場合、芳香環を有するポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。また、芳香環を有するポリイソシアネート化合物の中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
【0094】
前記ブロックイソシアネートの製造に用いるブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム化合物;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;2−ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1H−ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。これらの中でも、70〜200℃の範囲で加熱することによって解離してイソシアネート基を生成可能なブロック化剤が好ましく、110〜180℃の範囲で加熱することによって解離するイソシアネート基を生成可能なブロック化剤がより好ましい。具体的には、フェノール化合物、ラクタム化合物、オキシム化合物が好ましく、特に、フェノール化合物は、ブロック化剤が加熱により脱離する際に還元性化合物となることからより好ましい。
【0095】
前記ブロックイソシアネートの製造方法としては、例えば、予め製造した前記イソシアネート化合物と前記ブロック化剤とを混合し反応させる方法、前記イソシアネート化合物の製造に用いる原料とともに前記ブロック化剤を混合し反応させる方法等が挙げられる。
【0096】
より具体的には、前記ブロックイソシアネートは、前記ポリイソシアネート化合物と、水酸基又はアミノ基を有する化合物とを反応させることによって末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を製造し、次いで、前記イソシアネート化合物と前記ブロック化剤とを混合し反応させることによって製造することができる。
【0097】
上記の方法で得られたブロックイソシアネートの前記プライマー層(B)を形成する樹脂中の含有比率は、50〜100質量%の範囲が好ましく、70〜100質量%の範囲がより好ましい。
【0098】
前記メラミン樹脂としては、例えば、メラミン1モルに対してホルムアルデヒドが1〜6モル付加したモノ又はポリメチロールメラミン;トリメトキシメチロールメラミン、トリブトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等の(ポリ)メチロールメラミンのエーテル化物(エーテル化度は任意);尿素−メラミン−ホルムアルデヒド−メタノール縮合物などが挙げられる。
【0099】
また、上記のように加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いる方法の他に、樹脂に還元性化合物を添加する方法も挙げられる。この場合に、添加する還元性化合物としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ビタミンC、ビタミンE、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、亜硫酸塩、次亜燐酸、次亜燐酸塩、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、フェノール等が挙げられる。
【0100】
本発明において、樹脂に還元性化合物を添加する方法は、最終的に低分子量成分やイオン性化合物が残留することで電気特性が低下する可能性があるため、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いる方法がより好ましい。
【0101】
前記プライマー層(B)を形成するために用いるプライマーは、塗工性、成膜性の観点から、プライマー中に前記樹脂を1〜70質量%含有するものが好ましく、1〜20質量%含有するものがより好ましい。
【0102】
また、前記プライマーに使用可能な溶媒としては、各種有機溶剤、水性媒体が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。
【0103】
前記の水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。
【0104】
また、前記プライマー層(B)を形成する樹脂は、必要に応じて、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基、アミノ基等、架橋反応に寄与する官能基を有していてもよい。これらの官能基を利用して形成される架橋構造は、後工程の銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程以前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成してもよい。銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成する場合、前記金属パターン層(PM2)を形成する前に、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成しておいてもよく、前記金属パターン層(PM2)を形成した後に、例えば、エージングすることによって、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよい。
【0105】
前記プライマー層(B)には、必要に応じて、架橋剤をはじめ、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを適宜添加して使用してもよい。
【0106】
前記架橋剤としては、例えば、金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物等が挙げられ、25〜100℃程度の比較的低温で反応し架橋構造を形成する熱架橋剤、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物等の100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成する熱架橋剤や各種光架橋剤が挙げられる。
【0107】
前記架橋剤の使用量は、種類によって異なるものの、前記絶縁性成形体(A)上へのパターン金属層(PM2)の密着性向上の観点から、前記プライマーに含まれる樹脂の合計100質量部に対して、0.01〜60質量部の範囲が好ましく、0.1〜10質量部の範囲がより好ましく、0.1〜5質量部の範囲がさらに好ましい。
【0108】
前記架橋剤を用いた場合、後工程の銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程以前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成してもよい。銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程以降で架橋構造を形成する場合、前記パターン金属層(PM2)を形成する前に、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよく、前記パターン金属層(PM2)を形成した後に、例えば、エージングすることによって、前記プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよい。
【0109】
本発明の工程1’において、前記プライマー層(B)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する方法は、絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する方法と同様である。
【0110】
また、前記プライマー層(B)は、前記絶縁性成形体(A)と同様に、前記銀粒子分散液の塗工性向上や、金属パターン層(PM2)の前記絶縁性成形体(A)への密着性を向上する目的で、銀粒子分散液を塗工する前に、表面処理を行ってもよい。
【0111】
本発明の工程2においては、前記導電性金属層(M1)の一部を除去することによって、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する。前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域(PM1)と非パターン形成領域(NPM1)に分離するためには、目的とする金属パターンの形成領域(PM1)と非パターン形成領域(NPM1)の境界部の導電性金属層(M1)を除去すればよい。境界部の導電性金属層(M1)を除去する方法としては、機械的に導電性金属層(M1)を削り取る方法、電磁波の照射によって除去する方法等が挙げられる。導電性金属層(M1)を機械的に削り取る方法は、例えば、イープロニクス社の基板加工機等を用いることができる。また、電磁波を照射して除去する方法としては、X線、パルスフラッシュランプ、レーザー等を用いる方法が挙げられる。
【0112】
前記境界部の導電性金属層(M1)を除去する方法のうち、パターン形成の解像度の高さや、種々の成形体形状への対応が容易なことから、電磁波を照射して除去する方法が好ましく、電磁波を照射する方法の中でも、照射エネルギーが高く、導電性金属層(M1)を除去しやすいこと、工業的使用の簡便さから、レーザーを用いることが好ましい。
【0113】
使用するレーザーとしては、公知慣用の赤外線レーザー、可視光レーザー、紫外線レーザーを用いることができ、連続発振レーザーであっても、パルスレーザーであってもよい。前記赤外線レーザーとしては、例えば、炭酸ガス(CO)レーザー、Nd:YAGレーザー、Er:YAGレーザー、Yb:YAGレーザー、Tm:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:ガラスレーザー、Nd:YVOレーザー、Crフォルステライトレーザー、チタンサファイアレーザー、アレキサンドライトレーザー等が挙げられる。また、可視光レーザーとしては、例えば、ガラスレーザー、ルビーレーザー、銅蒸気レーザー、色素レーザー、及び、各種赤外線レーザーの第二高調波等が挙げられる。さらに、紫外線レーザーとしては、窒素レーザー、エキシマーレーザー、及び、各種赤外線レーザーの第三、第四高調波等が挙げられる。また、各種波長の半導体レーザー、及び、半導体レーザーの高調波を目的に応じて選択してもよい。
【0114】
前記境界部の導電性金属層(M1)を除去するレーザーは、所望するパターン形状に沿ってレーザー光を照射するために、ガルバノスキャナー、光ファイバー等を用いて、導電性金属層(M1)上に、高速でレーザー光の照射部を移動することが可能な走査系を有することが好ましい。このような走査系は、レーザー発振機とガルバノスキャナー、光ファイバーを組み合わせて作製してもよいし、市販のレーザー加工機、レーザーマーカー等を用いてもよい。
【0115】
上記の種々のレーザーの中でも、炭酸ガス(CO)レーザー、Nd:YAGレーザー、Er:YAGレーザー、Yb:YAGレーザー、Tm:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:ガラスレーザー、Nd:YVOレーザー、及び、半導体レーザーは、レーザー加工機やレーザーマーカーとしてシステムが市販されているので、工業的利用に適している。
【0116】
工程2において、前記導電性金属層(M1)のパターン形成領域と非パターン形成領域との境界に、所望するパターンに沿ってレーザー光を移動(走査)させながら照射することによって、前記導電性金属層(M1)を除去し、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する。前記導電性金属層(M1)を除去する際には、前記導電性金属層(M1)とともにレーザーを照射した前記導電性金属層(M1)下の前記絶縁性基材(A)の表面、もしくは前記プライマー層(B)の表面、又は、前記プライマー層(B)及び前記絶縁性基材(A)の表面を同時に除去してもよい。
【0117】
本発明の工程3においては、上記のようにして、形成されたパターン形成領域の導電性金属層(PM1)をカソードとして電解めっき処理を行うことにより、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、めっき金属層であるパターン金属層(PM2)を形成する。非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)には通電されないので、非パターン形成領域は、電解めっき処理によって厚膜化しない。
【0118】
前記パターン金属層(PM2)を構成する金属としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、金、銀、ロジウム、パラジウム、白金等が挙げられる。これらの金属の中でも、形成する金属パターンが導体回路パターンである場合には、安価で電気抵抗値が低いことから、銅が好ましく、電解銅めっきにより前記パターン金属層(PM2)を形成することが好ましい。電解銅めっきは、公知慣用の方法を用いて行えばよいが、硫酸銅浴を用いる硫酸銅めっき法が好ましい。
【0119】
前記パターン金属層(PM2)を構成するめっき金属は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。例えば、形成する金属パターンが装飾パターンである場合、めっき金属の応力緩和を目的として、最外層のニッケルークロムめっきの下層に銅めっきが施される。この際のめっきは、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に電解ニッケルめっきを行った後、電解銅めっきを行い、さらに電解ニッケル、電解クロムめっきを行ってもよいし、前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に電解銅めっきを行い、その後、電解ニッケル、電解クロムめっきを行ってもよい。
【0120】
また、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法においては、めっき膜の応力緩和や密着力向上を目的として、めっき後にアニーリングを行ってもよい。アニーリングは、後述する工程4のエッチングの前に行ってもよいし、エッチングの後に行ってもよく、エッチングの前後で行ってもよい。
【0121】
アニーリングの温度は、用いる基材の耐熱性や使用目的によって40〜300℃の温度範囲で適宜選択すればよいが、40〜250℃の範囲が好ましく、めっき膜の酸化劣化を抑制する目的から、40〜200℃の範囲がより好ましい。また、アニーリングの時間は、40〜200℃の温度範囲の場合には、10分〜10日間、200℃を超える温度でのアニーリングは、5分〜10時間程度がよい。また、めっき膜をアニーリングする際には、適宜、めっき膜表面に防錆剤を付与してもよい。
【0122】
本発明の工程4において、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する際に用いるエッチング液は、前記導電性金属層(M1)のみを選択的にエッチングし、前記金属パターン層(M2)はエッチングしないものが好ましい。ここで、前記導電性金属層(M1)は、銀粒子を含有するものであることから、銀を溶解する速度の高いエッチング液が好ましい。このようなエッチング液の組成としては、例えば、希硝酸、カルボン酸と過酸化水素との混合物、アンモニア水と過酸化水素との混合物、塩酸、塩酸と硝酸との混合物、硫酸と硝酸との混合物、硫酸と硝酸と有機酸(例えば酢酸等)との混合物、リン酸と硝酸と有機酸(例えば酢酸等)との混合物等が挙げられる。
【0123】
前記金属パターン層(PM2)を構成する金属として銅を用いる場合は、本発明の工程4において、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)を除去する際、銅はできるだけエッチングせず、銀のみを効率よく除去することができるエッチング液が好ましい。このようなエッチング液としては、カルボン酸と過酸化水素との混合物が挙げられる。
【0124】
前記カルボン酸としては、例えば、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、アミノ酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。これらのカルボン酸の中でも、エッチング液としての製造、取り扱いが容易であることから、主として酢酸を用いることが好ましい。
【0125】
エッチング液として、カルボン酸と過酸化水素との混合物を用いると、過酸化水素がカルボン酸と反応することによって、過カルボン酸(ぺルオキシカルボン酸)が生成すると考えられる。生成した過カルボン酸は、パターン金属層(PM2)を構成する銅の溶解を抑制しながら、導電性金属層(M1)を構成する銀を優先的に溶解するものと推測される。
【0126】
前記カルボン酸と過酸化水素との混合物の混合割合としては、金属パターン層(PM2)の溶解を抑制できることから、カルボン酸1モルに対して、過酸化水素を2〜100モルの範囲が好ましく、過酸化水素2〜50モルの範囲がより好ましい。
【0127】
前記カルボン酸と過酸化水素との混合物は、水で希釈された水溶液が好ましい。また、前記水溶液中の前記カルボン酸と過酸化水素との混合物の含有比率は、エッチング液の温度上昇の影響を抑制できることから、2〜65質量%の範囲が好ましく、2〜30質量%の範囲がより好ましい。
【0128】
上記の希釈に用いる水としては、イオン交換水、純水、超純水等のイオン性物質や不純物を除去した水を用いることが好ましい。
【0129】
前記エッチング液には、前記金属パターン層(PM2)を保護して、溶解を抑制するための保護剤をさらに添加してもよい。前記金属パターン層(PM2)を電解銅めっき層とする場合、保護剤として、アゾール化合物を用いることが好ましい。
【0130】
前記アゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキソゾール、チアゾール、セレナゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール等が挙げられる。
【0131】
前記アゾール化合物の具体例としては、例えば、2−メチルベンゾイミダゾール、アミノトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−アミノベンゾトリアゾール、1−ビスアミノメチルベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、フェニルテトラゾール、2−フェニルチアゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0132】
前記アゾール化合物のエッチング液中の濃度は、0.001〜2質量%の範囲が好ましく、0.01〜0.2質量%の範囲がより好ましい。
【0133】
また、前記エッチング液には、前記金属パターン層(PM2)を電解銅めっき層とする場合、電解銅めっき層の溶解を抑制できることから、保護剤として、ポリアルキレングリコールを添加することが好ましい。
【0134】
前記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の水溶性などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリアルキレングリコールの数平均分子量としては、200〜20,000の範囲が好ましい。
【0135】
前記ポリアルキレングリコールのエッチング液中の濃度は、0.001〜2質量%の範囲が好ましく、0.01〜1質量%の範囲がより好ましい。
【0136】
前記エッチング液には、pHの変動を抑制するため、有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0137】
本発明の工程4における前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)の除去は、電解めっきにより厚膜化した前記金属パターン層(PM2)を形成した後、基材を前記エッチング液に浸漬するか、前記基材上にエッチング液をスプレー等で噴霧することによって行うことができる。
【0138】
パターン金属層(PM2)が上述のように複数種の金属によって構成される場合は、電解めっきを行った後、エッチング液による非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)の除去を行い、さらに別種金属の電解めっきを行ってもよいし、複数種の電解めっきを行った後に、エッチング液による除去を行ってもよい。
【0139】
エッチング装置を用いて、前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)を除去する場合には、例えば、前記エッチング液の全成分を所定の組成になるように調製した後、エッチング装置に供給してもよく、前記エッチング液の各成分を個別にエッチング装置に供給し、装置内で、前記各成分を混合して、所定の組成になるように調製してもよい。
【0140】
前記エッチング液は、10〜35℃の温度範囲で用いることが好ましく、特に過酸化水素を含有するエッチング液を使用する場合には、過酸化水素の分解を抑制できることから、30℃以下の温度範囲で用いることが好ましい。
【0141】
本発明の工程4において、非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)を、前記エッチング液で除去処理した後、エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で、水洗以外に、さらに洗浄操作を行ってもよい。洗浄操作には、酸化銀、硫化銀、塩化銀を溶解するが、銀をほとんど溶解しない洗浄溶液を用いることが好ましい。具体的には、チオ硫酸塩もしくはトリス(3−ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液、又は、メルカプトカルボン酸もしくはその塩を含有する水溶液を洗浄薬液として用いることが好ましい。
【0142】
前記チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられる。また、前記トリス(3−ヒドロキシアルキル)ホスフィンとしては、例えば、トリス(3−ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン等が挙げられる。これらのチオ硫酸塩又はトリス(3−ヒドロキシアルキル)ホスフィンは、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0143】
チオ硫酸塩を含有する水溶液を用いる場合の濃度としては、工程時間、用いる洗浄装置の特性等によって適宜設定すればよいが、0.1〜40質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や連続使用時の薬液の安定性の観点から、1〜30質量%の範囲がより好ましい。
【0144】
また、前記トリス(3−ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液を用いる場合の濃度としては、工程時間、用いる洗浄装置の特性等によって適宜設定すればよいが、0.1〜50質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や連続使用時の薬液の安定性の観点から、1〜40質量%の範囲がより好ましい。
【0145】
前記メルカプトカルボン酸としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、システイン、N―アセチルシステイン等が挙げられる。また、前記メルカプトカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
【0146】
メルカプトカルボン酸又はその塩の水溶液を用いる場合の濃度としては、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や大量に処理する場合のプロセスコストの観点から、0.5〜15質量%の範囲がより好ましい。
【0147】
上記の洗浄操作を行う方法としては、例えば、前記工程4で得られたプリント配線板を前記洗浄溶液に浸漬する方法、前記プリント配線板にスプレー等で洗浄溶液を噴霧する方法等が挙げられる。洗浄溶液の温度は、室温(25℃)で用いることができるが、外気温に影響を受けずに安定的に洗浄処理を行えることから、例えば、30℃に温度設定して用いてもよい。
【0148】
また、前記工程4の非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)をエッチング液により除去する工程と洗浄操作は、必要に応じて繰り返して行うことができる。
【0149】
本発明の製造方法で形成した前記金属パターン層(PM2)は、主に金属層を保護することを目的として、表層が無電解めっきによって別種の金属層で覆われていてもよい。例えば、形成する金属パターンが導体回路パターンである場合には、銅で形成されたパターン金属層(PM2)は、適宜、必要に応じて、ニッケル/金めっき、ニッケル/パラジウム/金めっき、パラジウム/金めっきを施してもよい。
【0150】
以上に述べた本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法により、複雑な二色成形や、フォトレジストを用いた暗室内での露光・現像といった煩雑な作業を必要とせず、かつ、高価な真空装置を用いることなく、その表面に、密着性の高く、表面が平滑な金属パターンを有する平面又は三次元立体形状を有する成形体を製造することできる。したがって、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法により、種々の形状、サイズの高密度、高性能のプリント配線板、立体配線を有する成形回路部品(MID;Molded Interconnect Device)を、低コストで提供することができるため、プリント配線の分野における産業上の利用性が高い。また、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法は、基材表面にパターン化された金属層を有する種々の電子部材に用いることができ、例えば、コネクター、電磁波シールド、RFID等のアンテナなどにも応用できる。
【0151】
さらに、本発明の金属パターンを有する成形体の製造方法により製造された金属パターンを有する成形体は、電子部材のみならず、種々の形状、サイズの成形体上にパターン化された金属層を有する機能部品、装飾めっき等の用途でも用いることができる。
【実施例】
【0152】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0153】
[製造例1:プライマー(B−1)の製造]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール)100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸17.6質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21.7質量部及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート106.2質量部を、メチルエチルケトン178質量部の混合溶剤中で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
【0154】
次いで、前記ウレタンプレポリマー溶液にトリエチルアミン13.3質量部を加えて、前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基を中和し、さらに水380質量部を加えて十分に攪拌することにより、ウレタンプレポリマーの水性分散液を得た。
【0155】
上記で得られたウレタンプレポリマーの水性分散液に、25質量%エチレンジアミン水溶液8.8質量部を加え、攪拌することによって、ウレタンプレポリマーを鎖伸長した。次いでエージング・脱溶剤することによって、ウレタン樹脂の水性分散液(不揮発分30質量%)を得た。前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は53,000であった。
【0156】
次に、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水140質量部、上記で得られたウレタン樹脂の水分散液100質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。その後、攪拌しながら、メタクリル酸メチル60質量部、アクリル酸n−ブチル30質量部及びN−n−ブトキシメチルアクリルアミド10質量部からなる単量体混合物と、0.5質量%過硫酸アンモニウム水溶液20質量部とを別々の滴下漏斗から、反応容器内温度を80℃に保ちながら120分間かけて滴下した。
【0157】
滴下終了後、さらに同温度にて60分間攪拌した後、反応容器内の温度を40℃に冷却して、不揮発分が20質量%になるように脱イオン水で希釈した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、前記ウレタン樹脂をシェル層とし、メタクリル酸メチル等を原料とするアクリル樹脂をコア層とするコア・シェル型複合樹脂であるプライマー層用樹脂組成物の水分散液を得た。次に、イソプロパノールと水の質量割合が7/3となり、不揮発分が2質量%となるように、この水分散液にイソプピルアルコールと脱イオン水を加えて混合し、プライマー(B−1)を得た。
【0158】
[製造例2:プライマー(B−2)の製造]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水350質量部、界面活性剤(花王株式会社製「ラテムルE−118B」:有効成分25質量%)4質量部を入れ、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。
【0159】
撹拌下、反応容器中にメタクリル酸メチル47.0質量部、メタクリル酸グリシジル5.0質量部、アクリル酸n−ブチル45.0質量部、メタクリル酸3.0質量部からなるビニル単量体混合物と界面活性剤(第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH−1025」:有効成分25質量%)4質量部と脱イオン水15質量部とを混合して得られたモノマープレエマルジョンの一部(5質量部)を添加し、続いて過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、反応容器内温度を70℃に保ちながら60分間で重合させた。
【0160】
次いで、反応容器内の温度を70℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(114質量部)と、過硫酸カリウムの水溶液(有効成分1.0質量%)30質量部とを、各々別の滴下漏斗を使用して、180分間かけて滴下した。滴下終了後、同温度にて60分間撹拌した。
【0161】
前記反応容器内の温度を40℃に冷却し、ついで、不揮発分が10.0質量%になるように脱イオン水を使用した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、本発明で使用するプライマー層用樹脂組成物を得た。次に、この樹脂組成物に水を加えて希釈混合することで、不揮発分5質量%のプライマー(B−2)を得た。
【0162】
[製造例3:プライマー(B−3)の製造]
温度計、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部、イソフタル酸830質量部、1,6−ヘキサンジオール685質量部、ネオペンチルグリコール604質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み、180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、水酸基価55.9、酸価0.2のポリエステルポリオールを得た。
【0163】
次に、上記で得られたポリエステルポリオール1,000質量部を減圧下100℃で脱水し、80℃まで冷却した後、メチルエチルケトン883質量部を加え十分撹拌、溶解し、2,2−ジメチロールプロピオン酸80質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート244質量部を加えて70℃で8時間反応させた。
【0164】
上記の反応終了後、40℃まで冷却し、トリエチルアミン60質量部加えて中和した後、水4700質量部と混合し透明な反応生成物を得た。前記反応生成物から、40〜60℃の減圧下でメチルエチルケトンを除去し、次いで、水を混合することで、固形分10質量%のプライマー(B−3)を得た。
【0165】
[調製例1:銀粒子分散液の調製]
エチレングリコール45質量部及びイオン交換水55質量部の混合溶媒に、分散剤としてポリエチレンイミンにポリオキシエチレンが付加した化合物を用いて平均粒径30nmの銀粒子を分散させることによって、銀粒子及び分散剤を含有する分散体を調製した。次いで、得られた分散体に、イオン交換水、エタノール及び界面活性剤を添加して、5質量%の銀粒子分散液を調製した。
【0166】
[調製例2:銀用エッチング液の調製]
水47.4質量部に、酢酸2.6質量部を加え、さらに、35質量%過酸化水素水50質量部を加えて、銀用エッチング液を調製した。この銀用エッチング液の過酸化水素とカルボン酸とのモル比(過酸化水素/カルボン酸)は13.6であり、銀用エッチング液(1)中の過酸化水素及びカルボン酸の混合物の含有比率は22.4質量%であった。
【0167】
[調製例4:黒着色プライマー(B−4)の調製]
前記製造例3で得られたプライマー(B−3)100質量部に対し、黒着色剤(DIC株式会社製「ダイラックブラックHS9530」)2質量部を加え、さらにイソプロパノールを加えて攪拌することで、不揮発分6質量%の黒色着色プライマー(B−4)を調製した。
【0168】
[作製例1:ポリフェニレンスルフィド(PPS)成形体の作製]
リニア型ポリフェニレンスルフィド(ASTM D1238−86によるMFR:600g/10分)100質量部、チョップドガラス繊維(旭ファイバーグラス株式会社製「FT562」、繊維状無機充填剤)58.8質量部、エチレン−メタクリル酸共重合体亜鉛イオンタイプ(三井デュポンケミカル株式会社製「ハイミラン1855」)、8.4質量部及びモンタン酸複合エステルワックス(クラリアントジャパン株式会社製「リコルブWE40」)0.8質量部を均一に混合した後、35mmφの2軸押出機を用いて290〜330℃で溶融混錬し、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形機で成形することにより、50mm×105mm×2mmのサイズのPPS成形体を作製した。
【0169】
(実施例1)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、調製例1で得られた銀粒子分散液を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、乾燥後の平均厚さが60nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて200℃で30分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面に銀粒子を含有する導電性金属層を形成した(図1)。
【0170】
レーザー描画装置(株式会社キーエンス製「MD−V9900A」;YVO4レーザー、波長1,064nm)を用いて、導電性金属層上に、レーザー強度50%、描画速度500mm/sec、周波数50kHzでレーザー照射を行い、直線状のパターン形成領域(図2の3)と非パターン形成領域(図2の4)に分離した。なお、パターン形成領域は、200μm幅の直線パターンとした。
【0171】
次いで、パターン形成領域の導電性金属層(図2の3)をカソードに設定し、含リン銅をアノードとして、硫酸銅を含有する電解めっき液(硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製「トップルチナSF−M」)を用いて電流密度2.5A/dmで20分間電解めっきを行うことによって、パターン形成領域に線幅200μmの電解銅めっきによるパターン金属層(膜厚10μm)を形成した(図3)。
【0172】
上記で得られたフィルムを、上記調製例2で調製した銀用エッチング液に25℃で3分間浸漬することで、非パターン形成領域の導電性金属層が除去し、金属パターンを有する成形体を得た(図4)。
【0173】
(実施例2)
銀粒子を含有する導電性金属層の厚さを60nmから100nmに変更し、銀用エッチング液への浸漬時間を3分から5分にした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド基材上に、線幅200μm、厚さ10μmの直線状の銅からなるパターン金属層を形成し、金属パターンを有する成形体を得た。
【0174】
(実施例3)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、製造例1で得られたプライマー(B−1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、乾燥後の厚さが100nmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて80℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した
【0175】
次に、プライマー層の表面に、調製例1で得られた銀粒子分散液を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて、乾燥後の平均厚さが250nmとなるように塗工し、熱風乾燥機を用いて200℃で30分間乾燥することによって、プライマー層の表面に銀粒子を含有する導電性金属層を形成した。導電性金属層形成後は、実施例2と同様にして、金属パターンを有する成形体を得た。
【0176】
(実施例4)
上記作製例1で得られたPPS成形体を用い、製造例2で得られたプライマー(B−2)に10秒間浸漬した後、PPS成形体を引き揚げ、1分間静置した後、熱風乾燥機を用いて200℃で5分間乾燥して、PPS成形体上にプライマー層(厚さ130nm)を形成した。
【0177】
次いで、このプライマー層を形成したPPS成形体を、調製例1で得られた銀粒子分散液に10秒間浸漬した。その後、PPS成形体を引き揚げ、1分間静置した後、熱風乾燥機を用いて200℃で5分間乾燥して、プライマー層上に銀粒子を含有する100nm厚の導電性金属層を形成した。導電性金属層形成後は、実施例3と同様にして、金属パターンを有する成形体を得た。
【0178】
(実施例5)
実施例3で用いたポリイミドフィルムに代えて、ポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」と略記する。)フィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製「テオネックスQ51」;25μm厚)を用い、プライマー(B−1)に代えて、製造例3で得られたプライマー(B−3)を用い、銀粒子分散液塗工後の乾燥温度を150℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、プライマー層の表面に銀粒子を含有する導電性金属層を形成した。導電性金属層形成後は、実施例3と同様にして、金属パターンを有する成形体を得た。
【0179】
(実施例6)
実施例3で用いたプライマー(B−3)に代えて、黒色プライマー(B−4)を用い、レーザー描画装置のレーザー強度を50%から30%に変更した以外は、実施例5と同様にして、黒色プライマー層を形成したポリエチレンナフタレートフィルム上に線幅200μm、厚さ10μmの直線状銅金属パターンを有する成形体を得た。
【0180】
(比較例1)
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「カプトン 150EN−C」;厚さ38μm)の表面に、ニッケル/クロム層(膜厚30nm;ニッケル/クロム質量比=8/2)をスパッタ法により形成し、次いで銅層(膜厚100nm)をスパッタ法により形成して導電性金属層とした。
【0181】
実施例1と同様に、レーザー描画装置を用いて、導電性金属層上に、200μm幅の直線状のパターン形成領域を形成したところ、スパッタ法による金属層は連続膜であるため、レーザー加工縁部の導電性金属層に膨れが生じ、後工程の電解めっきにより、金属パターン縁部が浮きあがり、パターンに乱れが生じた。
【0182】
上記で得られたフィルムを、銅のシードエッチングに用いる10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液に5分間浸漬したところ、パターン形成領域以外の導電性金属層の銅が除去されたが、ニッケル/クロム層は除去されず残留した。また、電解めっきにより形成した金属パターン層と、ニッケル/クロム層との間に存在するスパッタ法による銅層がエッチングされる結果、アンダーカットが認められ、上記の浮き上がり部分では、パターン金属層の剥離が起こった。
【0183】
(比較例2)
上記作製例1で得られたPPS成形体を用い、その表面に、ニッケル層(膜厚300nm)をスパッタ法により形成し、次いで銅層(膜厚100nm)をスパッタ法により形成して導電性金属層とした。
【0184】
実施例1と同様に、レーザー描画装置を用いて、導電性金属層上に200μm幅の直線状のパターン形成領域を形成したところ、スパッタ法による金属層は連続膜であるため、レーザー加工縁部の導電性金属層に膨れが生じ、後工程の電解めっきにより、金属パターン縁部が浮きあがり、パターンに乱れが生じた。
【0185】
また、上記で得られた電解めっき後のPPS成形体を、銅のシードエッチングに用いる10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液に5分間浸漬したところ、パターン形成領域以外の導電性金属層の銅が除去されたが、ニッケル層は除去されず残留した。また、電解めっきにより形成した金属パターン層でも銅がエッチングされる結果、アンダーカットが認められ、パターン金属層の剥離が起こった。
【0186】
上記の実施例1〜6で得られた金属パターンを有する成形体について、下記の方法により、配線間のテスターによる導通確認、絶縁抵抗の測定、非パターン形成領域の絶縁抵抗の測定、剥離強度の測定、アンダーカットの有無及びパターン形成領域のパターン金属層の断面形状の確認を行った。
【0187】
[非パターン形成領域部の絶縁抵抗の測定]
上記で得られた金属パターンを有する成形体の非パターン形成領域部(パターン金属層形成部以外の銀除去領域)について、株式会社三菱ケミカルアナリティック製のハイレスタ−UP(MCP−HT450型)を用いて、100V印加での抵抗値を測定した。なお、抵抗値が「オーバーレンジ」となった場合は、測定装置の仕様から9.99×1013Ω以上の抵抗値であることを示す。
【0188】
[パターン形成部のアンダーカットの有無及び断面形状の確認]
上記で得られたプリント配線板のパターン形成部(導電金属層及びパターン金属層で構成される部分)の断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM7800」)で500〜10,000倍に拡大し観察して、アンダーカットの有無及び断面形状を確認した。
【0189】
[剥離強度の測定]
上記の実施例1〜6において、導電性金属層を形成した後、上記と同様にして、線幅1cm幅の直線状パターン形成領域を作製し、硫酸銅めっきを30分間行うことによって、銅めっき膜厚15μmのパターン金属層を有する試験片を作製した。作成した試験片について、西進商事株式会社製「マルチボンドテスター SS−30WD」を用いて、90°方向の剥離試験を行って剥離強度を測定した。
【0190】
実施例1〜6で得られた金属パターンを有する成形体の測定結果をまとめたものを、表1に示す。
【0191】
【表1】
【符号の説明】
【0192】
1:絶縁性成形体
2:導電性金属層
3:パターン形成領域の導電性金属層
4:非パターン形成領域の導電性金属層
5:パターン金属層
図1
図2
図3
図4

【手続補正書】
【提出日】2020年5月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性成形体(A)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1、
前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、
前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきにより銅からなるパターン金属層(PM2)を形成する工程3、
前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)を、有効成分が、カルボン酸及び過酸化水素であるエッチング液により除去する工程4、
を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法。
【請求項2】
絶縁性成形体(A)上に、プライマー層(B)を形成した後、プライマー層(B)上に、銀粒子を含有する導電性金属層(M1)を形成する工程1’、
前記導電性金属層(M1)の一部を除去することにより、前記導電性金属層(M1)を、パターン形成領域の導電性金属層(PM1)と非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)に分離する工程2、
前記パターン形成領域の導電性金属層(PM1)上に、電解めっきにより銅からなるパターン金属層(PM2)を形成する工程3、
前記非パターン形成領域の導電性金属層(NPM1)を、有効成分が、カルボン酸及び過酸化水素であるエッチング液により除去する工程4、
を有することを特徴とする絶縁性成形体上に金属パターンを有する成形体の製造方法。
【請求項3】
前記工程2において、導電性金属層(M1)の一部を除去する方法が、電磁波を照射する方法である請求項1又は2記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
前記銀粒子が、高分子分散剤で被覆されたものである請求項1〜3のいずれか1項記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項2記載の成形体の製造方法において、前記プライマー層(B)に反応性官能基[X]を有する樹脂を用い、前記高分子分散剤に反応性官能基[Y]を有するものを用い、前記反応性官能基[X]と前記反応性官能基[Y]との間で結合を形成させる請求項4記載の成形体の製造方法。
【請求項6】
前記反応性官能基[Y]が、塩基性窒素原子含有基である請求項5記載の成形体の製造方法。
【請求項7】
前記反応性官能基[Y]を有する高分子分散剤が、ポリアルキレンイミン、及びオキシエチレン単位を含むポリオキシアルキレン構造を有するポリアルキレンイミンからなる群から選ばれる1種以上である請求項5記載の成形体の製造方法。
【請求項8】
前記反応性官能基[X]が、ケト基、アセトアセチル基、エポキシ基、カルボキシル基、N−アルキロール基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基からなる群より選ばれる1種以上である請求項5〜7のいずれか1項記載の成形体の製造方法。
【国際調査報告】