再表2021-111781IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年6月10日
【発行日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】環状オレフィン重合体、溶液、フィルム、及び金属樹脂積層体
(51)【国際特許分類】
   C08F 232/00 20060101AFI20211105BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20211105BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20211105BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20211105BHJP
   C08J 5/16 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
   C08F232/00
   B32B15/085 Z
   B32B27/00 A
   C08J5/18CES
   C08J5/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】51
【出願番号】特願2021-507713(P2021-507713)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年10月29日
(31)【優先権主張番号】特願2019-221643(P2019-221643)
(32)【優先日】2019年12月6日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,IT,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】斯波 正名
(72)【発明者】
【氏名】山田 真司
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
4F071AA21
4F071AA76
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4J100FA03
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4J100FA19
4J100JA44
(57)【要約】
本発明の課題は、金属箔に対する良好な接着性、半田耐熱性、及び耐熱信頼性を有する環状オレフィン重合体を提供することである。
本発明は、環状オレフィンモノマーと、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、前記付加型重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、環状オレフィン重合体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィンモノマーと、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、
前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、
前記付加型重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、
環状オレフィン重合体。
【請求項2】
前記付加型重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が0.6%以上1.60%以下である、請求項1に記載の環状オレフィン重合体。
【請求項3】
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上35%以下である、請求項1又は2に記載の環状オレフィン重合体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の環状オレフィン重合体と、溶媒と、を含む溶液。
【請求項5】
請求項4に記載の溶液から得られたフィルム。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン重合体、溶液、フィルム、及び金属樹脂積層体
【背景技術】
【0002】
環状オレフィン重合体は、高い透明性を有し、各種分野で広く利用されている。また、ノルボルネン系重合体は、樹脂層と金属箔層とを積層することで得られる金属積層体における、樹脂層の材料としても用いられる。例えば、特許文献1〜3には、環状オレフィン重合体であるノルボルネン系重合体を含む溶液から得られる樹脂層を有する金属樹脂積層体が開示されている。
【0003】
金属積層体の用途として、プリント基板等の絶縁体が挙げられる。プリント基板とは、通常、銅配線が施された絶縁体上に電子部品が半田付けされたものを意味し、電気機器(コンピューター、モバイル通信機器等)における電子回路として作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第98/56011号パンフレット
【特許文献2】特開2005−103949号公報
【特許文献3】特開2016−37045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント基板やその部品に対しては、通常、誘電特性(低誘電率、低誘電正接等)だけではなく、金属箔に対する良好な接着性や、耐熱性が要求される。
【0006】
環状オレフィン重合体の耐熱性や銅箔密着性を高めるために、従来は、例えば、重合体に官能基や極性基等を含むものが使用されてきた。しかし、このような重合体は、比誘電率及び誘電正接が高くなる傾向があるため、プリント基板の絶縁体としては適さない可能性があった。
【0007】
したがって、官能基や極性基等を含まなくとも、金属箔に対する良好な接着性や、耐熱性を有する環状オレフィン重合体に対するニーズがある。
【0008】
本発明は、の状況に鑑みてなされたものであり、金属箔に対する良好な接着性、半田耐熱性、及び耐熱信頼性を有する環状オレフィン重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、環状オレフィン重合体のなかでも、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量、二重結合の含有量、及び、該二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が所定の割合である環状オレフィンモノマーとα−オレフィンの付加型重合体によれば、課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) 環状オレフィンモノマーと、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、
前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、
前記付加型重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、
環状オレフィン重合体。
【0011】
(2) 前記付加型重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が0.6%以上1.60%以下である、(1)に記載の環状オレフィン重合体。
【0012】
(3) 前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上35%以下である、(1)又は(2)に記載の環状オレフィン重合体。
【0013】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の環状オレフィン重合体と、溶媒と、を含む溶液。
【0014】
(5) (4)に記載の溶液から得られたフィルム。
【0015】
(6) (5)に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属箔に対する良好な接着性、半田耐熱性、及び耐熱信頼性を有する環状オレフィン重合体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の付加型重合体におけるα−オレフィンの比率を特定するために用いたスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0019】
<環状オレフィン重合体>
本発明の環状オレフィン重合体(以下、「本発明の重合体」ともいう。)は、環状オレフィンモノマーとα−オレフィンとの付加型重合体であって、以下の要件を全て満たす。
(要件1)α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満である。
(要件2)本発明の重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下である。
(要件3)二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である。
【0020】
本発明者らの検討の結果、要件を全て満たす特定の構造の重合体は、意外にも、金属箔に対する良好な接着性、耐熱性(特に半田耐熱性、及び耐熱信頼性)を有することが見出された。
【0021】
本発明において「金属箔に対する接着性が良好である」とは、任意の手段で金属箔と接着された本発明の重合体が、該金属箔の表面から剥がれにくいこと、又は、剥がれないことを意味する。金属箔に対する接着性は、実施例に示した銅箔接着性試験等で評価される。
金属箔の種類、及び、金属箔と本発明の重合体との接着方法としては、特に限定されないが、下記(金属箔層)の項で挙げたものを好適に採用できる。
【0022】
本発明において、「半田耐熱性」とは、本発明の重合体を用いた成形体(例えば、金属箔を積層させたプリント基板等)が、半田リフロー等の高温下にさらされても変形や金属箔の剥離が生じにくいことを意味する。例えば、本発明の重合体を用いた成形体が、金属箔を積層させたプリント基板である場合、高温実装プロセス(半田リフロー等)を経ても、変形や金属箔(銅箔等)の剥離を起こさずに、回路として機能することを意味する。なお、半田リフローの温度は、最高温度が260℃程度であり得る(一般社団法人電子情報技術産業協会の推奨によるリフロープロファイルを参照。)。半田耐熱性は、実施例に示した方法等で評価される。
【0023】
本発明において、「耐熱信頼性」とは、本発明の重合体を用いた成形体(例えば、金属箔を積層させたプリント基板)が、高温下の加速試験に供されても、成形体の機能が損なわれにくいことを意味する。例えば、本発明の重合体を用いた成形体が、金属箔を積層させたプリント基板である場合、信頼性評価として高温保管(150℃)の加速条件で寿命評価をした後であっても、金属箔(銅箔等)の剥離を起こさずに、回路として機能することを意味する。耐熱信頼性は、実施例に示した熱処理後接着性試験等で評価される。
【0024】
以下、本発明の重合体の詳細について説明する。なお、本発明の重合体は官能基や極性基等を含まないことが好ましいが、官能基や極性基等が含まれる態様は排除されない。
【0025】
(環状オレフィンモノマー)
本発明の重合体を構成する環状オレフィンモノマーは、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
(式(I)中、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R1〜R4及びR9〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
【0028】
R9とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
【0029】
R9又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
【0030】
環状オレフィンモノマーは、側鎖を有するものであってもよく、側鎖を有さないものであってもよい。ただし、低い比誘電率及び誘電正接を有する環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、環状オレフィンモノマーは、側鎖を有さないものが好ましい。
例えば、側鎖を有する単量体(エチリデン等)は、金属箔との接着性を向上させ得るが、意外にも、本発明の要件を満たす重合体においては、重合体を構成する単量体が側鎖を有さなくても、金属箔との接着性が高い。
【0031】
環状オレフィンモノマーとしては、ノルボルネン、テトラドデセンが挙げられる。後述するメタロセン触媒に対する反応性が高いという観点から、環状オレフィンモノマーとしては、ノルボルネンが特に好ましい。
【0032】
本発明の重合体において、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、半田耐熱性が高い環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、全構造単位に対し、好ましくは65mol%以上100mol%未満、より好ましくは90mol%以下である。65mol%以上であれば、半田耐熱性が十分に高い環状オレフィン重合体が得られる。100mol%未満(より好ましくは90mol%以下)であれば、十分な金属接着性が得られる。
【0033】
重合体における、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、後述の13C−NMRを用いた方法で特定する。
【0034】
(α−オレフィン)
本発明の重合体を構成するα−オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数6以上10以下のα−オレフィンが挙げられる。
【0035】
α−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。のうち、炭素数6以上10以下のα−オレフィンが好ましく、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンがより好ましい。
重合体の精製がし易いという観点から、α−オレフィンとしては、沸点が150℃以下であるα−オレフィン(特に、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンのうちいずれか)がさらに好ましく、沸点が100℃以下であるα−オレフィン(特に、1−ヘキセン、及び1−ヘプテンのうちいずれか)が特に好ましい。
【0036】
(α−オレフィンに由来する構造単位の含有量)
本発明の重合体は、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量(以下、「α−オレフィン量」ともいう。)が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満である。溶媒に対する溶解性が高い環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、α−オレフィン量は、全構造単位に対し、0mol%超である。十分に高いガラス転移点を有し、半田耐熱性や強度に優れる環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、α−オレフィン量は、全構造単位に対し、35mol%未満である。
【0037】
α−オレフィン量の下限は、全構造単位に対し、好ましくは10mol%以上である。α−オレフィンに由来する構造単位が相対的に多いほど、重合体の溶解性が適度に高まり、かつ、十分な分子量の本願の重合体が得られやすい。また、α−オレフィン量がかかる範囲である重合体の製造時においては、十分量のα−オレフィンを材料として用いることになるうえ、α−オレフィンの触媒に対する反応性が環状オレフィンモノマーよりも相対的に低い結果、析出が生じにくく、重合反応が良好に進行する。
【0038】
α−オレフィン量の上限は、全構造単位に対し、好ましくは25mol%以下である。かかる範囲であると、十分に高いガラス転移点を有し、半田耐熱性や強度に優れる環状オレフィン重合体が得られやすい。
【0039】
重合体におけるα−オレフィン量は、13C−NMRのα−オレフィンユニット由来炭素の積分値と、環状オレフィンモノマー由来の炭素の積分値とを用いて、各成分の導入量を算出し、その比率から重合体中の共重合組成比を算出することで特定される。
具体的には、まず、本発明の重合体において、1級炭素は全てα−オレフィンユニットに帰属する。そのため、1級炭素由来のピーク(14ppm近辺の最も高磁場に存在する)、及び、該ピークの隣に現れる、1級炭素由来のピークと同等の積分値を有する2級炭素のピークに基づき、α−オレフィンユニット由来の炭素の積分値を特定できる。
一方、25ppmから55ppmには、α−オレフィンユニット由来の2級炭素及び3級炭素のピーク、並びに、環状オレフィンモノマー由来の2級炭素及び3級炭素のピークが重なり合った状態で発現する。
なお、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、の全ピークの積分値と、α−オレフィンユニット由来の積分値との差から特定できる。
【0040】
より具体的には、α−オレフィン量は、実施例の「α−オレフィンの比率」の項に示した方法で特定する。
【0041】
(二重結合の含有量)
本発明の重合体は、環状オレフィン重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量(以下、「二重結合量」ともいう。)が0.50%以上1.60%以下である。重合体に対し、金属への十分な接着性を付与できるという観点から、二重結合量は0.50%以上である。という観点から、二重結合量は1.60%以下である。
【0042】
本発明において、「環状オレフィン重合体(又は付加型重合体)における1000構成単位中の二重結合」とは、重合体の任意の位置における、連続する1000個の構成単位に含まれる二重結合を意味する。なお、環状オレフィン重合体(又は付加型重合体)における二重結合は、環状オレフィンモノマーのユニットや、α−オレフィンユニット(ヘキセンユニット等)において生成した二重結合に加え、本願の重合体の末端におけるビニリデン基中の二重結合として存在していることが確認できている。
【0043】
二重結合量の下限は、好ましくは0.55%以上、より好ましくは0.60%以上である。
【0044】
二重結合量の上限は、好ましくは1.55%以下である。
【0045】
重合体における二重結合量は、1H−NMRを用いて特定される。具体的には、α−オレフィンユニット由来の二重結合ピーク、環状オレフィンモノマーユニット由来の二重結合ピーク、単結合由来ピークの積分値をそれぞれ算出する。組成分析により得られた組成比を用い、1000ユニット中に含まれる単結合由来の平均水素数を算出し、得られた値より、1000ユニット中に含まれる二重結合量を算出する。以下、詳細に説明する。
【0046】
まず、本発明者らは、重合体中のα−オレフィン単量体と環状オレフィンモノマーのそれぞれに由来する構造を「ユニット」とみなした。それぞれのユニットに由来するプロトン数は異なるが、各々にユニットの存在比率をかけ、足し合わせると、模式的に平均化した際の1ユニットに存在するプロトン数を算出することができる。
本発明においては、0.2ppmから2.5ppmに現れるピークを、C−H単結合のプロトンピークとみなす。なお、一般的に、4.5ppmから5.5ppmの低磁場のケミカルシフトには、ビニル基やビニリデン基のような二重結合した炭素に結合するプロトン由来のピークが現れることが知られるが、本発明者らは、ビニリデン基が4.7ppm近辺に現れ、分子末端に存在することを実験的に確認した。
本発明の重合体における、二重結合由来のプロトンの積分値はごく小さいため、C−H単結合のプロトンピークの積分値は、そのまま本発明の重合体のプロトン数とみなすことができる。したがって、プロトンピーク(0.2ppmから2.5ppmのピーク)の積分値を、平均化した1ユニット当たりのプロトン数で割ることで、全体のユニット数を算出することができる。
また、本発明においては、1ユニットあたりの二重結合した炭素に結合するプロトン数を約2であるとみなすことができる。なぜならば、重合体の製造の際に、通常、脱水素反応を介して、骨格中や末端に意図的に二重結合を導入することになるためである。したがって、4.5ppmから5.5ppmの低磁場の二重結合した炭素に結合するプロトン由来のピークの積分値を2で割ることで、二重結合を有するユニット数を算出することができる。
【0047】
より具体的には、二重結合量は、実施例の「二重結合量」の項に示した方法のように、二重結合含有ユニット由来のプロトンの積分値が、全プロトンの積分値に占める割合として特定する。
【0048】
(末端ビニリデン基の比率)
本発明の重合体は、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率(以下、「二重結合中の末端ビニリデン基量」ともいう。)が10%以上50%以下である。
【0049】
本発明者らの検討の結果、環状オレフィン重合体における二重結合量(つまり、環状オレフィン重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量)、及び、該二重結合量に占める末端ビニリデン基の割合(つまり、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率)を調整することで、環状オレフィン重合体に高い耐熱性、及び、金属に対する良好な接着性を付与できることが見出された。
【0050】
通常、付加型重合体等の共重合体に二重結合が存在すると、該共重合体の耐熱性は低下する傾向にあるが、末端ビニリデン基が所定の割合で含まれるように調整することで、耐熱性がむしろ高まることは意外な知見である。さらに、本発明の重合体は、高熱処理したとしても、耐熱性を有するだけではなく、金属への接着性が損なわれにくいという有利な効果を奏する。
【0051】
本発明において、「末端ビニリデン基」とは、本発明の重合体を構成する末端基として存在するビニリデン基(H2C=CH−)を意味する。重合体に対し、金属への十分な接着性、及び十分な耐熱性を付与できるという観点から、二重結合中の末端ビニリデン基量は10%以上である。重合体を高温にさらした後でも金属への十分な接着性が損なわれにくいという観点から、二重結合中の末端ビニリデン基量は50%以下である。
【0052】
二重結合中の末端ビニリデン基量の下限は、好ましくは20%以上である。
【0053】
二重結合中の末端ビニリデン基量の上限は、好ましくは35%以下である。
【0054】
二重結合中の末端ビニリデン基量は、で説明した二重結合量(環状オレフィン重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量)における、ビニリデン基(α−オレフィン末端ユニット由来のビニリデンピーク)が占める割合として特定される。
【0055】
(その他)
本発明の重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)は、十分な耐熱性を奏する観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。本発明の重合体のTgは、溶媒への溶解性や加工性が良好であるという観点から、好ましくは320℃以下、より好ましくは290℃以下である。
【0056】
なお、本発明において、Tgは、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度20℃/分の条件で測定した値を採用する。
【0057】
本発明の重合体の数平均分子量(Mn)は、重合体から得られる樹脂膜の強度が良好となりやすいという観点から、好ましくは40000以上、より好ましくは60000以上である。また、本発明の重合体のMnは、溶媒へ溶解させた場合の粘度が高くなり過ぎにくいという観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは150000以下である。
【0058】
なお、本発明において、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量として特定される。
【0059】
<本発明の重合体の製造方法>
本発明の重合体は、付加型重合体の製造方法として知られる任意の手法を採用して製造することができる。
【0060】
重合触媒としては、メタロセン系触媒を特に好適に用いることができる。本発明で重合触媒として好適に用いられるメタロセン触媒の具体的な例としては、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)チタンジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)チタンジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本発明の重合体は、重合触媒とともに、助触媒を使用するとより容易に得られやすい。助触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0062】
助触媒としては、アルキルアルミノキサンが好ましく、本発明の重合体を容易に製造するに際しては、少なくも1種類の助触媒を用いる必要がある。アルキルアルミノキサンは、触媒を反応中心の環境に変え、触媒を活性化させるために有効である。
【0063】
アルキルアルミノキサンの製造方法としては、特に限定されないが、通常、アルキルアルミニウムを適度に加水分解することで得られる。アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO−3A、TMAO−200シリーズ、TMAO−340シリーズ(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。
【0064】
その他の助触媒としては、アルキルアルミニウムを用いてもよい。アルキルアルミニウムは触媒活性を低下させる水等と反応するため、スカベンジャー(捕捉剤)として有効である。アルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドが挙げられる。これらの助触媒は単独で用いてもよく、これらの助触媒のうち1以上をアルキルアルミノキサンと組み合わせて用いてもよい。
【0065】
以下に、本発明の重合体の製造方法について、特に好ましい条件を説明する。
【0066】
本発明の重合体は、側鎖に二重結合を有さない単量体を用いた場合であっても、その分子内、及び分子末端に二重結合が導入されるように製造される。二重結合の導入方法としては、メタロセン触媒及びアルキルアルミノキサンを用いた、α−オレフィンの連鎖移動反応を採用することが好ましい。
α−オレフィンの連鎖移動反応の機序は以下のとおりである。α−オレフィンは、そのβ位に、3級炭素に結合した水素が存在している。重合が進行すると、β水素脱離が起こり、連鎖移動が生じる。これにより、分子の骨格中(分子内)だけではなく分子末端にも二重結合を導入できる。
【0067】
α−オレフィンの連鎖移動反応を良好に進行する観点から、アルキルアルミノキサンを助触媒として使用することが好ましい。重合や、二重結合の導入が制御しやすくなるという観点から、アルキルアルミノキサンは、複数の種類よりも、1種類のものを用いることが望ましい。1種類のアルミノキサンを用いることで、適切な二重結合量、及び適切な分子量の重合体をより重合しやすくなる。
【0068】
なお、環状構造を有する単量体と、α−オレフィンとの重合方法として、リビング重合が知られるが、この方法は、反応機構上二重結合を導入することが困難であるため、本発明の重合体の製造方法としては適さない。
【0069】
本発明の重合体のより具体的な製造方法としては、上述のようにアルミノキサンを助触媒に用いる方法、仕込み組成比の調整による方法や、重合体の加熱による方法が挙げられる。以下、各方法について説明する。
【0070】
(仕込み組成比の調整による方法)
本発明の重合体は、本発明の重合体の要件を満たすように、モノマー(環状オレフィンモノマー、及びα−オレフィン)の仕込み組成比を設定し、通常の重合方法を採用することで得ることができる。
【0071】
重合温度は、モノマーの重合反応を進行させることができる範囲であればよく、本発明の重合体が得られる限り特に限定されない。
【0072】
重合時間は、モノマーを十分に重合させることができる範囲であればよく、本発明の重合体が得られる限り特に限定されない。
【0073】
(重合体の加熱による方法)
本発明の重合体は、得られた重合体を加熱(追加加熱)することによっても得ることができる。このような追加加熱を、温度や時間を調整して行うことで、脱水素反応を進行させ、重合体中の二重結合を調整することができる。
したがって、重合体の加熱による方法は、の仕込み組成比の調整による方法よりも、選択できる仕込み組成比の範囲が広くなり得る。
【0074】
追加加熱の温度は、特に限定されないが、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜200℃である。通常、追加加熱の温度が高いほど、環状オレフィン重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が増加する傾向にある。そのため、追加加熱の温度は過度ではないことが好ましい。
【0075】
追加加熱の時間は、特に限定されないが、時間が長いほど、環状オレフィン重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量が増加する傾向にある。これにともない、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率は低くなる。
【0076】
追加加熱は、通常、窒素雰囲気下で行われる。
【0077】
(重合体の精製による方法)
本発明の重合体の精製の有無、及び精製方法は特に限定されない。ただし、精製条件は、重合体の構成に若干影響する可能性がある。例えば、重合体を再沈殿によって精製する場合、貧溶媒の量が少なくなるほど、二重結合量が低下する可能性がある。
【0078】
<溶液>
本発明の溶液は、本発明の重合体を、任意の溶媒とともに配合することで調製できる。このような溶液は様々な用途に利用でき、例えば、後述するフィルムや金属樹脂積層体を作製することができる。
【0079】
溶媒は、環状オレフィン重合体を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素溶媒等が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレンが好ましい。溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0080】
本発明の溶液には、本発明の重合体及び溶媒のほか、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の添加剤、本発明の重合体以外の樹脂を適宜配合してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、無機フィラー、酸化防止剤、密着剤等が挙げられる。本発明の重合体以外の樹脂としては、特に限定されないが、本発明の効果を損ないにくいという観点から、比較的低極性の重合体が好ましい。比較的低極性の重合体としては、例えば、脂肪族系ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0081】
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、チッ化ホウ素、フォルステライト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0082】
無機フィラーは、重合性不飽和結合を有する表面処理剤で表面処理されていてもよい。
重合性不飽和結合としては、ビニル基、アリル基、メタリクル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びマレイミドル基等が挙げられる。
表面処理剤としては、重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤が挙げられる。
【0083】
なお、無機フィラーは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレン等の溶媒に分散させて添加してもよい。
【0084】
(本発明の溶液を用いたフィルムの形成)
本発明の溶液はフィルム形成のために好ましく用いられる。フィルム形成の方法としては、例えば、本発明の溶液を支持体上に塗布し、塗布した溶液から溶媒を除去することにより、本発明の重合体を含むフィルム(樹脂膜)を得ることができる。
【0085】
本発明の溶液の塗布方法は特に限定されず、マイクログラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
【0086】
本発明の溶液から得られるフィルムは、比誘電率及び誘電正接が低い傾向にあり、絶縁被膜として好適に使用できる。また、本発明の溶液から得られるフィルムは、高周波における比誘電率及び誘電正接が低い傾向にあり、高周波特性に優れ得るので、電気デバイス又は電子デバイスにおける層間絶縁層として特に好適に使用できる。電気デバイス又は電子デバイスとしては、特に限定されないが、1GHz以上の伝送周波数を用いるデバイス等が挙げられ、具体的には、アンテナ、SAWフィルター、イメージセンサーモジュール、ジャイロセンサーモジュール、RFID、デュプレクサ、ダイプレクサ、チュナーモジュール等が挙げられる。
【0087】
<金属樹脂積層体>
本発明の金属樹脂積層体は、本発明の溶液から得られる樹脂層と、該樹脂層の片面又は両面に設けられる金属箔層とを含む。
【0088】
(樹脂層)
樹脂層としては、本発明の溶液から得られるものであれば任意の形態であり得る。例えば、樹脂層は、上述のように本発明の溶液から得られるフィルム、繊維(ガラス繊維布、PTFE繊維布、等)に本発明の溶液を含浸して得られる繊維強化材、及び、これらを任意の組み合わせで重ねたもの等が挙げられる。樹脂層は単層であってもよく、多層であってもよい。
【0089】
樹脂層の厚さは、特に限定されず、例えば、一般的に採用される値である12.5μm〜150μmであってもよい。
【0090】
(金属箔層)
本発明の金属樹脂積層体を構成する金属箔層の材料としては、特に限定されず、配線基板において通常使用される金属であってもよく、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、等が挙げられる。本発明の金属樹脂積層体は、電気伝導度が高く、コストが低い等の観点から、CCL(copper clad laminate)として好適に使用できるため、金属箔層の材料としては、銅が好ましい。
【0091】
金属箔層として銅箔を採用する場合、圧延銅箔や電解銅箔等を好適に使用できる。
【0092】
金属箔層として銅箔を採用する場合、高速伝送技術に好適に使用できるという観点から、低粗度の銅箔を用いることが好ましい。高粗度(粗さの程度が大きい)であると、高周波信号を伝送する際に表皮効果で導体損失が大きくなるためである。なお、本発明において「粗度」は、「JIS C 6515:1998 プリント配線板用銅はく」で説明される定義が採用される。より具体的には、10点平均粗さの最大値Rzに基づく下記分類のうち、「VL」に相当するものを低粗度の銅箔として好適に使用できる。
「S」(Standard):Rzが14μm以下である
「LS」(Low Profile):Rzが10μm以下である
「VL」(Very Low Profile):Rzが5μm以下である
【0093】
従来、プリント基板に用いられてきたノルボルネン系重合体は、低粗度(「VL」に分類される粗度)の銅箔への接着性が十分ではない可能性があった。しかし、本発明における樹脂層は、このような銅箔に対して良好な接着性を奏する。
【0094】
金属箔層の厚さは、特に限定されず、市販の金属箔の厚さを任意に採用できる。
【0095】
(金属樹脂積層体の製造方法)
金属樹脂積層体の製造方法としては、ラミネート方式、スパッタリング方式、キャスト方式、ボンディングシート等を用いた接着方式を利用できる。
【0096】
金属樹脂積層体の別の製造方法としては、金属箔層(又は樹脂層)の表面に、本発明の溶液(又は金属箔)を塗布等する方法が挙げられる。
【0097】
金属樹脂積層体のさらに別の製造方法としては、本発明の溶液から環状オレフィン重合体フィルムを作製して、該フィルムの表面に金属(特に、銅)をスパッタリングやイオンプレーティング等の方法により金属層を形成する方法も挙げられる。
【0098】
金属箔層は、樹脂層の片面又は両面に形成してもよい。金属箔層は、樹脂層の表面の全面に形成してもよいし、表面の一部にのみ形成してもよい。
【0099】
樹脂層と金属箔層との間には、その他の層(接着剤層等)が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。必要に応じて、金属箔層の表面をキレート剤で処理して金属箔層と樹脂層との密着性を改善させてもよい。本発明の金属樹脂積層体においては、樹脂層と金属箔層との密着性が良好であるので、好ましくは、樹脂層と金属箔層とは直接接触しており、樹脂層と金属箔層との間に他の層等が存在しない。
【0100】
本発明の金属樹脂積層体は、耐熱性、金属への接着性、及び高周波特性が要求される用途に好適に使用できる。例えば、本発明の金属樹脂積層体は、種々の基板(プリント基板(フレキシブルプリント基板等)、金属樹脂積層体を複数重ね合わせた多層基板、高周波用配線基板)、半導体パッケージ用配線フィルム等として好適に使用できる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0102】
<付加型重合体の作製>
以下の材料及び重合方法に基づき、付加型重合体(環状オレフィン重合体)を作製した。
【0103】
(付加型重合体の材料)
以下のモノマー、触媒、及び助触媒を用いた。なお、溶媒としてトルエンを用いた。各材料の仕込み組成比を表1に示す。
【0104】
(モノマー)
2−ノルボルネン(NB):環状オレフィンモノマーに相当する
1−オクテン(1−Oct):α−オレフィンに相当する
1−ヘキセン(1−Hex):α−オレフィンに相当する
【0105】
(触媒)
(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル((t−BuNSiMe2Flu)TiMe2)
【0106】
(助触媒)
助触媒A:TMAO−211トルエン溶液(メチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製)
助触媒B:MMAO−3Aトルエン溶液([(CH3)0.7(iso−C4H9)0.3AlO]nで表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製)
助触媒C:トリイソブチルアルミニウム
助触媒D:トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート
【0107】
【表1】
【0108】
(実施例1〜4、7〜9、比較例2の付加型重合体の重合方法)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び5時間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液に、12mol/Lの塩酸水溶液を、重合反応液に含まれる金属量の10倍量となるように加えた後、蒸留水による洗浄を行って金属塩を除いた。
洗浄後の重合反応液をポリマー溶液に対し1.5倍量のアセトンに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間以上減圧乾燥して、各付加型重合体を得た。
【0109】
(実施例5の付加型重合体の重合方法)
以下のように、重合反応液に加えたアセトン量以外は実施例4と同様にして、実施例5の付加型重合体を得た。
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び5時間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液に、12mol/Lの塩酸水溶液を、重合反応液に含まれる金属量の10倍量となるように加えた後、蒸留水による洗浄を行って金属塩を除いた。
洗浄後の重合反応液をポリマー溶液に対し1倍量のアセトンに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間以上減圧乾燥して、付加型重合体を得た。
【0110】
(実施例6の付加型重合体の重合方法)
以下のように、実施例3と同様にして得られた付加型重合体に対して追加加熱を行い、実施例6の付加型重合体を得た。
実施例3と同様に重合を進め、付加型重合体を得た。得られた付加型重合体に対し、200℃で2時間、窒素雰囲気下で追加加熱を行い、実施例6の付加型重合体を得た。
【0111】
(比較例1の付加型重合体の重合方法)
以下のように、実施例3と同様にして得られた付加型重合体に対して追加加熱を行い、比較例1の付加型重合体を得た。
実施例3と同様に重合を進め、付加型重合体を得た。得られた付加型重合体に対し、250℃で3時間、窒素雰囲気下で追加加熱を行い、比較例1の重合体を得た。
【0112】
(比較例3の付加型重合体の重合方法)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、25℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
25℃の重合温度及び30分間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、メタノールを添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液を多量の塩酸酸性メタノール中に注いで重合体を析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間減圧乾燥して、付加型重合体を得た。
【0113】
(比較例4〜7の付加型重合体の重合方法)
国際公開第2015/178143号公報に記載された方法に基づき、比較例4〜7の付加型重合体を得た。
具体的には、乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び1時間(比較例4)、1.5時間(比較例5)、4時間(比較例6)、又は5時間(比較例7)の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。得られた重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで重合体を析出させ、濾別及び洗浄を行った後、60℃で1日間以上減圧乾燥して付加型重合体を得た。
【0114】
<付加型重合体の諸特性の評価>
得られた各付加型重合体について、下記の各種測定を行った。その結果を表2に示す。
【0115】
(α−オレフィンの比率)
以下の方法で、各付加型重合体における、α−オレフィンの比率(α−オレフィンに由来する構造単位の含有量)を特定した。
【0116】
用いた装置及び条件は下記のとおりである。
NMR装置:「BrukerAVANCE600」
測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2
測定核種:13C
測定温度:353K
サンプル濃度:80mg/mL
サンプルチューブ径:5mm
測定方法:Inverse gate法
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:4096回
パルス繰り返し時間:10秒
ケミカルシフトのリファレンス:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2に含まれる、重水素化されていない1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを74.47ppmとした。
【0117】
図1に示される13C−NMRスペクトルを取得した。該スペクトルにおいて、α−オレフィンのα位の炭素と反対側の末端の1級炭素(約14ppm)、及び、その隣接炭素(約23ppm)の積分値に基づき、α−オレフィン由来炭素の積分値を算出した。
次いで、25〜55ppmの2種の炭素以外の炭素の積分値から、ヘキセン由来炭素の積分値を引いた積分値を、ノルボルネン(環状オレフィンモノマーに相当する。)ユニット由来の積分値として特定した。
【0118】
下記の式に基づき、α−オレフィンの比率を算出した。
α−オレフィンの比率(mol%)=α−オレフィン由来炭素の積分値/(α−オレフィン由来炭素の積分値+環状オレフィンモノマーユニット由来の積分値)×100
【0119】
なお、図1は、下記サンプルの13C−NMRスペクトルを示す。
PNb:ポリノルボルネン
PHex:ポリヘキセン
Nb/Hex共重合体A:ノルボルネンとα−オレフィン(1−ヘキセン)との共重合体
Nb/Hex共重合体B:ノルボルネンとα−オレフィン(1−ヘキセン)との共重合体
Nb/Hex共重合体C:ノルボルネンとα−オレフィン(1−ヘキセン)との共重合体
【0120】
(二重結合量)
以下の方法で、各付加型重合体における1000構成単位中の二重結合の含有量を特定した。
【0121】
用いた装置及び条件は下記のとおりである。
NMR装置:「BrukerAVANCE600」
測定溶媒:クロロホルム−d
測定核種:1H
測定温度:323K
サンプル濃度:80mg/mL
サンプルチューブ径:5mm
測定方法:Inverse gate法
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:1024回
ケミカルシフトのリファレンス:テトラメチルシランのピークを0ppmとした。
【0122】
以下の3つのピークに基づき、二重結合由来プロトンの積分値を算出し、単結合由来プロトン(2.5〜0.2ppm)の積分値を算出した。次いで、組成分析により特定した組成比に基づき、付加型重合体1000構成単位中に含まれる単結合由来の平均水素数を算出した。
(1)α−オレフィン由来の二重結合のピーク(5.0ppm〜5.5ppm)
(2)ノルボルネン(環状オレフィンモノマー)ユニット由来の二重結合のピーク(4.8ppm〜5.0ppm)
(3)α−オレフィン末端ユニット由来のビニリデンピーク(4.7ppm近辺)
【0123】
で特定した値(付加型重合体1000構成単位中に含まれる単結合由来の平均水素数の割合)に基づき、付加型重合体1000構成単位中の二重結合量(単位:%)を算出した。
【0124】
(末端ビニリデン基の比率)
(二重結合量)において算出した各種二重結合由来の積分値を用い、付加型重合体中の二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率(単位:%)を算出した。
【0125】
(数平均分子量(Mn))
各付加型重合体について、下記の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を測定した。
装置:「Viscotek TDA302検出器」、及び「Pump autosampler装置」(いずれもMalvern社製)
検出器:RI
溶媒:トルエン
カラム:「TSKgel GMHHR−M」(300mm×7.8mmφ、東ソー社製)
流速:1mL/分
温度:75℃
試料濃度:2.5mg/mL
注入量:100μL
標準試料:単分散ポリスチレン
【0126】
(ガラス転移温度(Tg))
JIS K 7121に準拠して、DSC法に基づく下記の条件で、各付加型重合体のガラス転移温度(単位:℃)を測定した。
DSC装置:示差走査熱量計「DSC−7000X」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
測定雰囲気:窒素
昇温条件:20℃/分
【0127】
<金属樹脂積層体の作製及び評価>
【0128】
各付加型重合体を用いて、以下の方法で、樹脂フィルムを作製し、該フィルムの金属への接着性を評価した。その結果を表2に示す。
【0129】
(樹脂フィルムの作製)
各付加型重合体(20g)をトルエン(80g)に溶解させ、20質量%のトルエン溶液を作製した。得られた溶液を、フィルムアプリケータ(隙間厚250μm)を用いてPETフィルムに塗布し、90℃で8分間乾燥した後、さらに真空乾燥機によって100℃で12時間乾燥し、樹脂フィルムを得た。
【0130】
(銅箔接着性)
各樹脂フィルムを100mm×100mmの大きさに切り出し、「エキシマ照射装置 VUS−3100」(オーク製作所製)を用いて、3分間フィルムの両面に紫外線を照射した。照射後のフィルムを、110mm×110mmにカットした12μmの厚みの銅箔(「CF−T49A−DS−HD2(Rzjis 1μm、「JIS C 6515:1998 プリント配線板用銅はく」における分類のうち「VL」に相当する。)」、福田金属箔紛製)に挟み込み、真空プレス機を用いて真空下250℃で5分、1MPaで圧着し、銅張積層体(金属樹脂積層体)を得た。
【0131】
得られた銅張積層体(金属樹脂積層体)を、カッターを用いて縦横2mm間隔に切り、100個の2mm正方形セルを銅張積層体表面に作った。その上にセロテープ(登録商標)を貼った後に剥がし、樹脂フィルム上に残存したセル数を数え、セル100個中に残存したセルの割合(単位:%)を算出した。得られた値を下記の基準で評価した。残存したセル数が多いほど、樹脂フィルムと銅箔との接着性が高く、銅箔接着性が高いことを意味する。
【0132】
[銅箔接着性の評価基準]
〇:残存したセル数が100個である
△:残存したセル数が80個以上99個である
×:残存したセル数が79個以下である
【0133】
(半田耐熱性)
(銅箔接着性)の項と同様に作製した銅張積層体を、260℃に加熱した半田浴に30秒間浸漬した後の変形状態を目視で観察し、以下の基準で変形を評価した。積層体のふくれが少ないほど、半田耐熱性が高いことを意味する。
【0134】
[半田耐熱性の評価基準]
〇:銅張積層体にふくれが認められない
△:銅張積層体のごく一部にふくれが認められる
×:銅張積層体の全面にふくれが認められない
未実施:樹脂フィルムに銅箔が接着せず銅張積層体が得られなかったので、半田耐熱性を評価していない
【0135】
(熱処理後接着性)
(銅箔接着性)の項と同様に作製した銅張積層体を、150℃に加熱したギアオーブン(「GPHH−102」、エスペック製)で24時間加熱した。加熱後の銅張積層板をオーブンから取り出し、室温まで冷却した。冷却後、カッターを用いて縦横2mm間隔に切り、100個の2mm正方形セルを銅張積層体表面に作った。その上にセロテープ(登録商標)を貼った後に剥がし、樹脂フィルム上に残存したセル数を数え、セル100個中に残存したセルの割合(単位:%)を算出した。得られた値を下記の基準で評価した。残存したセル数が多いほど、高熱処理後であっても樹脂フィルムと銅箔との接着性が高く、熱処理後接着性が高いことを意味する。
【0136】
[熱処理後接着性の評価基準]
〇:残存したセル数が100個である
△:残存したセル数が80個以上99個である
×:残存したセル数が79個以下である
未実施:樹脂フィルムに銅箔が接着せず銅張積層体が得られなかったので、半田耐熱性を評価していない
【0137】
(総合評価)
の3つの評価結果(銅箔接着性、半田耐熱性、及び熱処理後接着性の評価結果)に基づき、以下の基準で総合評価を行った。
〇:3つの評価結果が全て「○」である
△:3つの評価結果に1以上の「△」が含まれ、かつ、「×」が含まれない
×:3つの評価結果に1以上の「×」が含まれる
【0138】
【表2】
【0139】
表2に示されるとおり、本発明の重合体を含む金属樹脂積層体は、耐熱性が高く、金属への接着性が良好であり、さらには、高温(150℃)にさらした後であっても、金属への接着性の低下が抑制されていた。
【図1】

【手続補正書】
【提出日】2021年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環構造を有する単量体と、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、
前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、
前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、
環状オレフィン重合体。
【請求項2】
前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.6%以上1.60%以下である、請求項1に記載の環状オレフィン重合体。
【請求項3】
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上35%以下である、請求項1又は2に記載の環状オレフィン重合体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の環状オレフィン重合体と、溶媒と、を含む溶液。
【請求項5】
請求項4に記載の溶液から得られたフィルム。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(1) 環構造を有する単量体と、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、
前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、
前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、
環状オレフィン重合体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(2) 前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.6%以上1.60%以下である、(1)に記載の環状オレフィン重合体。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
<環状オレフィン重合体>
本発明の環状オレフィン重合体(以下、「本発明の重合体」ともいう。)は、環構造を有する単量体とα−オレフィンとの付加型重合体であって、以下の要件を全て満たす。
(要件1)α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満である。
(要件2)本発明の重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下である。
(要件3)二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
(二重結合の含有量)
本発明の重合体は、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量(以下、「二重結合量」ともいう。)が0.50%以上1.60%以下である。重合体に対し、金属への十分な接着性を付与できるという観点から、二重結合量は0.50%以上である。という観点から、二重結合量は1.60%以下である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
本発明において、「環状オレフィン重合体(又は付加型重合体)における1000構造単位中の二重結合」とは、重合体の任意の位置における、連続する1000個の構造単位に含まれる二重結合を意味する。なお、環状オレフィン重合体(又は付加型重合体)における二重結合は、環構造を有する単量体のユニットや、α−オレフィンユニット(ヘキセンユニット等)において生成した二重結合に加え、本願の重合体の末端におけるビニリデン基中の二重結合として存在していることが確認できている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
まず、本発明者らは、重合体中のα−オレフィン単量体と環構造を有する単量体のそれぞれに由来する構造を「ユニット」(構造単位とも呼ばれる。)とみなした。それぞれのユニットに由来するプロトン数は異なるが、各々にユニットの存在比率をかけ、足し合わせると、模式的に平均化した際の1ユニットに存在するプロトン数を算出することができる。
本発明においては、0.2ppmから2.5ppmに現れるピークを、C−H単結合のプロトンピークとみなす。なお、一般的に、4.5ppmから5.5ppmの低磁場のケミカルシフトには、ビニル基やビニリデン基のような二重結合した炭素に結合するプロトン由来のピークが現れることが知られるが、本発明者らは、ビニリデン基が4.7ppm近辺に現れ、分子末端に存在することを実験的に確認した。
本発明の重合体における、二重結合由来のプロトンの積分値はごく小さいため、C−H単結合のプロトンピークの積分値は、そのまま本発明の重合体のプロトン数とみなすことができる。したがって、プロトンピーク(0.2ppmから2.5ppmのピーク)の積分値を、平均化した1ユニット当たりのプロトン数で割ることで、全体のユニット数を算出することができる。
また、本発明においては、1ユニットあたりの二重結合した炭素に結合するプロトン数を約2であるとみなすことができる。なぜならば、重合体の製造の際に、通常、脱水素反応を介して、骨格中や末端に意図的に二重結合を導入することになるためである。したがって、4.5ppmから5.5ppmの低磁場の二重結合した炭素に結合するプロトン由来のピークの積分値を2で割ることで、二重結合を有するユニット数を算出することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
本発明者らの検討の結果、環状オレフィン重合体における二重結合量(つまり、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量)、及び、該二重結合量に占める末端ビニリデン基の割合(つまり、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率)を調整することで、環状オレフィン重合体に高い耐熱性、及び、金属に対する良好な接着性を付与できることが見出された。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
二重結合中の末端ビニリデン基量は、で説明した二重結合量(環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量)における、ビニリデン基(α−オレフィン末端ユニット由来のビニリデンピーク)が占める割合として特定される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
追加加熱の温度は、特に限定されないが、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜200℃である。通常、追加加熱の温度が高いほど、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が増加する傾向にある。そのため、追加加熱の温度は過度ではないことが好ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
追加加熱の時間は、特に限定されないが、時間が長いほど、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が増加する傾向にある。これにともない、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率は低くなる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
(二重結合量)
以下の方法で、各付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量を特定した。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0119
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0119】
以下の3つのピークに基づき、二重結合由来プロトンの積分値を算出し、単結合由来プロトン(2.5〜0.2ppm)の積分値を算出した。次いで、組成分析により特定した組成比に基づき、付加型重合体1000構造単位中に含まれる単結合由来の平均水素数を算出した。
(1)α−オレフィン由来の二重結合のピーク(5.0ppm〜5.5ppm)
(2)ノルボルネン(環構造を有する単量体)ユニット由来の二重結合のピーク(4.8ppm〜5.0ppm)
(3)α−オレフィン末端ユニット由来のビニリデンピーク(4.7ppm近辺)
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
で特定した値(付加型重合体1000構造単位中に含まれる単結合由来の平均水素数の割合)に基づき、付加型重合体1000構造単位中の二重結合量(単位:%)を算出した。

【手続補正書】
【提出日】2021年9月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィンモノマーと、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、
前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、
前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、
環状オレフィン重合体。
【請求項2】
前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.6%以上1.60%以下である、請求項1に記載の環状オレフィン重合体。
【請求項3】
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上35%以下である、請求項1又は2に記載の環状オレフィン重合体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の環状オレフィン重合体と、溶媒と、を含む溶液。
【請求項5】
請求項4に記載の溶液から得られたフィルム。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン重合体、溶液、フィルム、及び金属樹脂積層体
【背景技術】
【0002】
環状オレフィン重合体は、高い透明性を有し、各種分野で広く利用されている。また、ノルボルネン系重合体は、樹脂層と金属箔層とを積層することで得られる金属積層体における、樹脂層の材料としても用いられる。例えば、特許文献1〜3には、環状オレフィン重合体であるノルボルネン系重合体を含む溶液から得られる樹脂層を有する金属樹脂積層体が開示されている。
【0003】
金属積層体の用途として、プリント基板等の絶縁体が挙げられる。プリント基板とは、通常、銅配線が施された絶縁体上に電子部品が半田付けされたものを意味し、電気機器(コンピューター、モバイル通信機器等)における電子回路として作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第98/56011号パンフレット
【特許文献2】特開2005−103949号公報
【特許文献3】特開2016−37045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント基板やその部品に対しては、通常、誘電特性(低誘電率、低誘電正接等)だけではなく、金属箔に対する良好な接着性や、耐熱性が要求される。
【0006】
環状オレフィン重合体の耐熱性や銅箔密着性を高めるために、従来は、例えば、重合体に官能基や極性基等を含むものが使用されてきた。しかし、このような重合体は、比誘電率及び誘電正接が高くなる傾向があるため、プリント基板の絶縁体としては適さない可能性があった。
【0007】
したがって、官能基や極性基等を含まなくとも、金属箔に対する良好な接着性や、耐熱性を有する環状オレフィン重合体に対するニーズがある。
【0008】
本発明は、の状況に鑑みてなされたものであり、金属箔に対する良好な接着性、半田耐熱性、及び耐熱信頼性を有する環状オレフィン重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、環状オレフィン重合体のなかでも、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量、二重結合の含有量、及び、該二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が所定の割合である環状オレフィンモノマーとα−オレフィンの付加型重合体によれば、課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) 環状オレフィンモノマーと、α−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体であって、
前記α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満であり、
前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下であり、
前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である、
環状オレフィン重合体。
【0011】
(2) 前記付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.6%以上1.60%以下である、(1)に記載の環状オレフィン重合体。
【0012】
(3) 前記二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上35%以下である、(1)又は(2)に記載の環状オレフィン重合体。
【0013】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の環状オレフィン重合体と、溶媒と、を含む溶液。
【0014】
(5) (4)に記載の溶液から得られたフィルム。
【0015】
(6) (5)に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属箔に対する良好な接着性、半田耐熱性、及び耐熱信頼性を有する環状オレフィン重合体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の付加型重合体におけるα−オレフィンの比率を特定するために用いたスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0019】
<環状オレフィン重合体>
本発明の環状オレフィン重合体(以下、「本発明の重合体」ともいう。)は、環状オレフィンモノマーとα−オレフィンとの付加型重合体であって、以下の要件を全て満たす。
(要件1)α−オレフィンに由来する構造単位の含有量が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満である。
(要件2)本発明の重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が0.50%以上1.60%以下である。
(要件3)二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率が10%以上50%以下である。
【0020】
本発明者らの検討の結果、要件を全て満たす特定の構造の重合体は、意外にも、金属箔に対する良好な接着性、耐熱性(特に半田耐熱性、及び耐熱信頼性)を有することが見出された。
【0021】
本発明において「金属箔に対する接着性が良好である」とは、任意の手段で金属箔と接着された本発明の重合体が、該金属箔の表面から剥がれにくいこと、又は、剥がれないことを意味する。金属箔に対する接着性は、実施例に示した銅箔接着性試験等で評価される。
金属箔の種類、及び、金属箔と本発明の重合体との接着方法としては、特に限定されないが、下記(金属箔層)の項で挙げたものを好適に採用できる。
【0022】
本発明において、「半田耐熱性」とは、本発明の重合体を用いた成形体(例えば、金属箔を積層させたプリント基板等)が、半田リフロー等の高温下にさらされても変形や金属箔の剥離が生じにくいことを意味する。例えば、本発明の重合体を用いた成形体が、金属箔を積層させたプリント基板である場合、高温実装プロセス(半田リフロー等)を経ても、変形や金属箔(銅箔等)の剥離を起こさずに、回路として機能することを意味する。なお、半田リフローの温度は、最高温度が260℃程度であり得る(一般社団法人電子情報技術産業協会の推奨によるリフロープロファイルを参照。)。半田耐熱性は、実施例に示した方法等で評価される。
【0023】
本発明において、「耐熱信頼性」とは、本発明の重合体を用いた成形体(例えば、金属箔を積層させたプリント基板)が、高温下の加速試験に供されても、成形体の機能が損なわれにくいことを意味する。例えば、本発明の重合体を用いた成形体が、金属箔を積層させたプリント基板である場合、信頼性評価として高温保管(150℃)の加速条件で寿命評価をした後であっても、金属箔(銅箔等)の剥離を起こさずに、回路として機能することを意味する。耐熱信頼性は、実施例に示した熱処理後接着性試験等で評価される。
【0024】
以下、本発明の重合体の詳細について説明する。なお、本発明の重合体は官能基や極性基等を含まないことが好ましいが、官能基や極性基等が含まれる態様は排除されない。
【0025】
(環状オレフィンモノマー)
本発明の重合体を構成する環状オレフィンモノマーは、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
(式(I)中、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R1〜R4及びR9〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
【0028】
R9とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
【0029】
R9又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
【0030】
環状オレフィンモノマーは、側鎖を有するものであってもよく、側鎖を有さないものであってもよい。ただし、低い比誘電率及び誘電正接を有する環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、環状オレフィンモノマーは、側鎖を有さないものが好ましい。
例えば、側鎖を有する単量体(エチリデン等)は、金属箔との接着性を向上させ得るが、意外にも、本発明の要件を満たす重合体においては、重合体を構成する単量体が側鎖を有さなくても、金属箔との接着性が高い。
【0031】
環状オレフィンモノマーとしては、ノルボルネン、テトラドデセンが挙げられる。後述するメタロセン触媒に対する反応性が高いという観点から、環状オレフィンモノマーとしては、ノルボルネンが特に好ましい。
【0032】
本発明の重合体において、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、半田耐熱性が高い環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、全構造単位に対し、好ましくは65mol%以上100mol%未満、より好ましくは90mol%以下である。65mol%以上であれば、半田耐熱性が十分に高い環状オレフィン重合体が得られる。100mol%未満(より好ましくは90mol%以下)であれば、十分な金属接着性が得られる。
【0033】
重合体における、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、後述の13C−NMRを用いた方法で特定する。
【0034】
(α−オレフィン)
本発明の重合体を構成するα−オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数6以上10以下のα−オレフィンが挙げられる。
【0035】
α−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。のうち、炭素数6以上10以下のα−オレフィンが好ましく、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンがより好ましい。
重合体の精製がし易いという観点から、α−オレフィンとしては、沸点が150℃以下であるα−オレフィン(特に、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテンのうちいずれか)がさらに好ましく、沸点が100℃以下であるα−オレフィン(特に、1−ヘキセン、及び1−ヘプテンのうちいずれか)が特に好ましい。
【0036】
(α−オレフィンに由来する構造単位の含有量)
本発明の重合体は、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量(以下、「α−オレフィン量」ともいう。)が、全構造単位に対し、0mol%超35mol%未満である。溶媒に対する溶解性が高い環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、α−オレフィン量は、全構造単位に対し、0mol%超である。十分に高いガラス転移点を有し、半田耐熱性や強度に優れる環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、α−オレフィン量は、全構造単位に対し、35mol%未満である。
【0037】
α−オレフィン量の下限は、全構造単位に対し、好ましくは10mol%以上である。α−オレフィンに由来する構造単位が相対的に多いほど、重合体の溶解性が適度に高まり、かつ、十分な分子量の本願の重合体が得られやすい。また、α−オレフィン量がかかる範囲である重合体の製造時においては、十分量のα−オレフィンを材料として用いることになるうえ、α−オレフィンの触媒に対する反応性が環状オレフィンモノマーよりも相対的に低い結果、析出が生じにくく、重合反応が良好に進行する。
【0038】
α−オレフィン量の上限は、全構造単位に対し、好ましくは25mol%以下である。かかる範囲であると、十分に高いガラス転移点を有し、半田耐熱性や強度に優れる環状オレフィン重合体が得られやすい。
【0039】
重合体におけるα−オレフィン量は、13C−NMRのα−オレフィンユニット由来炭素の積分値と、環状オレフィンモノマー由来の炭素の積分値とを用いて、各成分の導入量を算出し、その比率から重合体中の共重合組成比を算出することで特定される。
具体的には、まず、本発明の重合体において、1級炭素は全てα−オレフィンユニットに帰属する。そのため、1級炭素由来のピーク(14ppm近辺の最も高磁場に存在する)、及び、該ピークの隣に現れる、1級炭素由来のピークと同等の積分値を有する2級炭素のピークに基づき、α−オレフィンユニット由来の炭素の積分値を特定できる。
一方、25ppmから55ppmには、α−オレフィンユニット由来の2級炭素及び3級炭素のピーク、並びに、環状オレフィンモノマー由来の2級炭素及び3級炭素のピークが重なり合った状態で発現する。
なお、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の含有量は、の全ピークの積分値と、α−オレフィンユニット由来の積分値との差から特定できる。
【0040】
より具体的には、α−オレフィン量は、実施例の「α−オレフィンの比率」の項に示した方法で特定する。
【0041】
(二重結合の含有量)
本発明の重合体は、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量(以下、「二重結合量」ともいう。)が0.50%以上1.60%以下である。重合体に対し、金属への十分な接着性を付与できるという観点から、二重結合量は0.50%以上である。という観点から、二重結合量は1.60%以下である。
【0042】
本発明において、「環状オレフィン重合体(又は付加型重合体)における1000構造単位中の二重結合」とは、重合体の任意の位置における、連続する1000個の構造単位に含まれる二重結合を意味する。なお、環状オレフィン重合体(又は付加型重合体)における二重結合は、環状オレフィンモノマーのユニットや、α−オレフィンユニット(ヘキセンユニット等)において生成した二重結合に加え、本願の重合体の末端におけるビニリデン基中の二重結合として存在していることが確認できている。
【0043】
二重結合量の下限は、好ましくは0.55%以上、より好ましくは0.60%以上である。
【0044】
二重結合量の上限は、好ましくは1.55%以下である。
【0045】
重合体における二重結合量は、1H−NMRを用いて特定される。具体的には、α−オレフィンユニット由来の二重結合ピーク、環状オレフィンモノマーユニット由来の二重結合ピーク、単結合由来ピークの積分値をそれぞれ算出する。組成分析により得られた組成比を用い、1000ユニット中に含まれる単結合由来の平均水素数を算出し、得られた値より、1000ユニット中に含まれる二重結合量を算出する。以下、詳細に説明する。
【0046】
まず、本発明者らは、重合体中のα−オレフィン単量体と環状オレフィンモノマーのそれぞれに由来する構造を「ユニット」(構造単位とも呼ばれる。)とみなした。それぞれのユニットに由来するプロトン数は異なるが、各々にユニットの存在比率をかけ、足し合わせると、模式的に平均化した際の1ユニットに存在するプロトン数を算出することができる。
本発明においては、0.2ppmから2.5ppmに現れるピークを、C−H単結合のプロトンピークとみなす。なお、一般的に、4.5ppmから5.5ppmの低磁場のケミカルシフトには、ビニル基やビニリデン基のような二重結合した炭素に結合するプロトン由来のピークが現れることが知られるが、本発明者らは、ビニリデン基が4.7ppm近辺に現れ、分子末端に存在することを実験的に確認した。
本発明の重合体における、二重結合由来のプロトンの積分値はごく小さいため、C−H単結合のプロトンピークの積分値は、そのまま本発明の重合体のプロトン数とみなすことができる。したがって、プロトンピーク(0.2ppmから2.5ppmのピーク)の積分値を、平均化した1ユニット当たりのプロトン数で割ることで、全体のユニット数を算出することができる。
また、本発明においては、1ユニットあたりの二重結合した炭素に結合するプロトン数を約2であるとみなすことができる。なぜならば、重合体の製造の際に、通常、脱水素反応を介して、骨格中や末端に意図的に二重結合を導入することになるためである。したがって、4.5ppmから5.5ppmの低磁場の二重結合した炭素に結合するプロトン由来のピークの積分値を2で割ることで、二重結合を有するユニット数を算出することができる。
【0047】
より具体的には、二重結合量は、実施例の「二重結合量」の項に示した方法のように、二重結合含有ユニット由来のプロトンの積分値が、全プロトンの積分値に占める割合として特定する。
【0048】
(末端ビニリデン基の比率)
本発明の重合体は、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率(以下、「二重結合中の末端ビニリデン基量」ともいう。)が10%以上50%以下である。
【0049】
本発明者らの検討の結果、環状オレフィン重合体における二重結合量(つまり、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量)、及び、該二重結合量に占める末端ビニリデン基の割合(つまり、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率)を調整することで、環状オレフィン重合体に高い耐熱性、及び、金属に対する良好な接着性を付与できることが見出された。
【0050】
通常、付加型重合体等の共重合体に二重結合が存在すると、該共重合体の耐熱性は低下する傾向にあるが、末端ビニリデン基が所定の割合で含まれるように調整することで、耐熱性がむしろ高まることは意外な知見である。さらに、本発明の重合体は、高熱処理したとしても、耐熱性を有するだけではなく、金属への接着性が損なわれにくいという有利な効果を奏する。
【0051】
本発明において、「末端ビニリデン基」とは、本発明の重合体を構成する末端基として存在するビニリデン基(H2C=CH−)を意味する。重合体に対し、金属への十分な接着性、及び十分な耐熱性を付与できるという観点から、二重結合中の末端ビニリデン基量は10%以上である。重合体を高温にさらした後でも金属への十分な接着性が損なわれにくいという観点から、二重結合中の末端ビニリデン基量は50%以下である。
【0052】
二重結合中の末端ビニリデン基量の下限は、好ましくは20%以上である。
【0053】
二重結合中の末端ビニリデン基量の上限は、好ましくは35%以下である。
【0054】
二重結合中の末端ビニリデン基量は、で説明した二重結合量(環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量)における、ビニリデン基(α−オレフィン末端ユニット由来のビニリデンピーク)が占める割合として特定される。
【0055】
(その他)
本発明の重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)は、十分な耐熱性を奏する観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。本発明の重合体のTgは、溶媒への溶解性や加工性が良好であるという観点から、好ましくは320℃以下、より好ましくは290℃以下である。
【0056】
なお、本発明において、Tgは、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度20℃/分の条件で測定した値を採用する。
【0057】
本発明の重合体の数平均分子量(Mn)は、重合体から得られる樹脂膜の強度が良好となりやすいという観点から、好ましくは40000以上、より好ましくは60000以上である。また、本発明の重合体のMnは、溶媒へ溶解させた場合の粘度が高くなり過ぎにくいという観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは150000以下である。
【0058】
なお、本発明において、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量として特定される。
【0059】
<本発明の重合体の製造方法>
本発明の重合体は、付加型重合体の製造方法として知られる任意の手法を採用して製造することができる。
【0060】
重合触媒としては、メタロセン系触媒を特に好適に用いることができる。本発明で重合触媒として好適に用いられるメタロセン触媒の具体的な例としては、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)チタンジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)チタンジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本発明の重合体は、重合触媒とともに、助触媒を使用するとより容易に得られやすい。助触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0062】
助触媒としては、アルキルアルミノキサンが好ましく、本発明の重合体を容易に製造するに際しては、少なくも1種類の助触媒を用いる必要がある。アルキルアルミノキサンは、触媒を反応中心の環境に変え、触媒を活性化させるために有効である。
【0063】
アルキルアルミノキサンの製造方法としては、特に限定されないが、通常、アルキルアルミニウムを適度に加水分解することで得られる。アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO−3A、TMAO−200シリーズ、TMAO−340シリーズ(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。
【0064】
その他の助触媒としては、アルキルアルミニウムを用いてもよい。アルキルアルミニウムは触媒活性を低下させる水等と反応するため、スカベンジャー(捕捉剤)として有効である。アルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドが挙げられる。これらの助触媒は単独で用いてもよく、これらの助触媒のうち1以上をアルキルアルミノキサンと組み合わせて用いてもよい。
【0065】
以下に、本発明の重合体の製造方法について、特に好ましい条件を説明する。
【0066】
本発明の重合体は、側鎖に二重結合を有さない単量体を用いた場合であっても、その分子内、及び分子末端に二重結合が導入されるように製造される。二重結合の導入方法としては、メタロセン触媒及びアルキルアルミノキサンを用いた、α−オレフィンの連鎖移動反応を採用することが好ましい。
α−オレフィンの連鎖移動反応の機序は以下のとおりである。α−オレフィンは、そのβ位に、3級炭素に結合した水素が存在している。重合が進行すると、β水素脱離が起こり、連鎖移動が生じる。これにより、分子の骨格中(分子内)だけではなく分子末端にも二重結合を導入できる。
【0067】
α−オレフィンの連鎖移動反応を良好に進行する観点から、アルキルアルミノキサンを助触媒として使用することが好ましい。重合や、二重結合の導入が制御しやすくなるという観点から、アルキルアルミノキサンは、複数の種類よりも、1種類のものを用いることが望ましい。1種類のアルミノキサンを用いることで、適切な二重結合量、及び適切な分子量の重合体をより重合しやすくなる。
【0068】
なお、環状構造を有する単量体と、α−オレフィンとの重合方法として、リビング重合が知られるが、この方法は、反応機構上二重結合を導入することが困難であるため、本発明の重合体の製造方法としては適さない。
【0069】
本発明の重合体のより具体的な製造方法としては、上述のようにアルミノキサンを助触媒に用いる方法、仕込み組成比の調整による方法や、重合体の加熱による方法が挙げられる。以下、各方法について説明する。
【0070】
(仕込み組成比の調整による方法)
本発明の重合体は、本発明の重合体の要件を満たすように、モノマー(環状オレフィンモノマー、及びα−オレフィン)の仕込み組成比を設定し、通常の重合方法を採用することで得ることができる。
【0071】
重合温度は、モノマーの重合反応を進行させることができる範囲であればよく、本発明の重合体が得られる限り特に限定されない。
【0072】
重合時間は、モノマーを十分に重合させることができる範囲であればよく、本発明の重合体が得られる限り特に限定されない。
【0073】
(重合体の加熱による方法)
本発明の重合体は、得られた重合体を加熱(追加加熱)することによっても得ることができる。このような追加加熱を、温度や時間を調整して行うことで、脱水素反応を進行させ、重合体中の二重結合を調整することができる。
したがって、重合体の加熱による方法は、の仕込み組成比の調整による方法よりも、選択できる仕込み組成比の範囲が広くなり得る。
【0074】
追加加熱の温度は、特に限定されないが、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜200℃である。通常、追加加熱の温度が高いほど、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が増加する傾向にある。そのため、追加加熱の温度は過度ではないことが好ましい。
【0075】
追加加熱の時間は、特に限定されないが、時間が長いほど、環状オレフィン重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量が増加する傾向にある。これにともない、二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率は低くなる。
【0076】
追加加熱は、通常、窒素雰囲気下で行われる。
【0077】
(重合体の精製による方法)
本発明の重合体の精製の有無、及び精製方法は特に限定されない。ただし、精製条件は、重合体の構成に若干影響する可能性がある。例えば、重合体を再沈殿によって精製する場合、貧溶媒の量が少なくなるほど、二重結合量が低下する可能性がある。
【0078】
<溶液>
本発明の溶液は、本発明の重合体を、任意の溶媒とともに配合することで調製できる。このような溶液は様々な用途に利用でき、例えば、後述するフィルムや金属樹脂積層体を作製することができる。
【0079】
溶媒は、環状オレフィン重合体を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素溶媒等が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレンが好ましい。溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0080】
本発明の溶液には、本発明の重合体及び溶媒のほか、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の添加剤、本発明の重合体以外の樹脂を適宜配合してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、無機フィラー、酸化防止剤、密着剤等が挙げられる。本発明の重合体以外の樹脂としては、特に限定されないが、本発明の効果を損ないにくいという観点から、比較的低極性の重合体が好ましい。比較的低極性の重合体としては、例えば、脂肪族系ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0081】
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、チッ化ホウ素、フォルステライト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0082】
無機フィラーは、重合性不飽和結合を有する表面処理剤で表面処理されていてもよい。
重合性不飽和結合としては、ビニル基、アリル基、メタリクル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びマレイミドル基等が挙げられる。
表面処理剤としては、重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤が挙げられる。
【0083】
なお、無機フィラーは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレン等の溶媒に分散させて添加してもよい。
【0084】
(本発明の溶液を用いたフィルムの形成)
本発明の溶液はフィルム形成のために好ましく用いられる。フィルム形成の方法としては、例えば、本発明の溶液を支持体上に塗布し、塗布した溶液から溶媒を除去することにより、本発明の重合体を含むフィルム(樹脂膜)を得ることができる。
【0085】
本発明の溶液の塗布方法は特に限定されず、マイクログラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
【0086】
本発明の溶液から得られるフィルムは、比誘電率及び誘電正接が低い傾向にあり、絶縁被膜として好適に使用できる。また、本発明の溶液から得られるフィルムは、高周波における比誘電率及び誘電正接が低い傾向にあり、高周波特性に優れ得るので、電気デバイス又は電子デバイスにおける層間絶縁層として特に好適に使用できる。電気デバイス又は電子デバイスとしては、特に限定されないが、1GHz以上の伝送周波数を用いるデバイス等が挙げられ、具体的には、アンテナ、SAWフィルター、イメージセンサーモジュール、ジャイロセンサーモジュール、RFID、デュプレクサ、ダイプレクサ、チュナーモジュール等が挙げられる。
【0087】
<金属樹脂積層体>
本発明の金属樹脂積層体は、本発明の溶液から得られる樹脂層と、該樹脂層の片面又は両面に設けられる金属箔層とを含む。
【0088】
(樹脂層)
樹脂層としては、本発明の溶液から得られるものであれば任意の形態であり得る。例えば、樹脂層は、上述のように本発明の溶液から得られるフィルム、繊維(ガラス繊維布、PTFE繊維布、等)に本発明の溶液を含浸して得られる繊維強化材、及び、これらを任意の組み合わせで重ねたもの等が挙げられる。樹脂層は単層であってもよく、多層であってもよい。
【0089】
樹脂層の厚さは、特に限定されず、例えば、一般的に採用される値である12.5μm〜150μmであってもよい。
【0090】
(金属箔層)
本発明の金属樹脂積層体を構成する金属箔層の材料としては、特に限定されず、配線基板において通常使用される金属であってもよく、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、等が挙げられる。本発明の金属樹脂積層体は、電気伝導度が高く、コストが低い等の観点から、CCL(copper clad laminate)として好適に使用できるため、金属箔層の材料としては、銅が好ましい。
【0091】
金属箔層として銅箔を採用する場合、圧延銅箔や電解銅箔等を好適に使用できる。
【0092】
金属箔層として銅箔を採用する場合、高速伝送技術に好適に使用できるという観点から、低粗度の銅箔を用いることが好ましい。高粗度(粗さの程度が大きい)であると、高周波信号を伝送する際に表皮効果で導体損失が大きくなるためである。なお、本発明において「粗度」は、「JIS C 6515:1998 プリント配線板用銅はく」で説明される定義が採用される。より具体的には、10点平均粗さの最大値Rzに基づく下記分類のうち、「VL」に相当するものを低粗度の銅箔として好適に使用できる。
「S」(Standard):Rzが14μm以下である
「LS」(Low Profile):Rzが10μm以下である
「VL」(Very Low Profile):Rzが5μm以下である
【0093】
従来、プリント基板に用いられてきたノルボルネン系重合体は、低粗度(「VL」に分類される粗度)の銅箔への接着性が十分ではない可能性があった。しかし、本発明における樹脂層は、このような銅箔に対して良好な接着性を奏する。
【0094】
金属箔層の厚さは、特に限定されず、市販の金属箔の厚さを任意に採用できる。
【0095】
(金属樹脂積層体の製造方法)
金属樹脂積層体の製造方法としては、ラミネート方式、スパッタリング方式、キャスト方式、ボンディングシート等を用いた接着方式を利用できる。
【0096】
金属樹脂積層体の別の製造方法としては、金属箔層(又は樹脂層)の表面に、本発明の溶液(又は金属箔)を塗布等する方法が挙げられる。
【0097】
金属樹脂積層体のさらに別の製造方法としては、本発明の溶液から環状オレフィン重合体フィルムを作製して、該フィルムの表面に金属(特に、銅)をスパッタリングやイオンプレーティング等の方法により金属層を形成する方法も挙げられる。
【0098】
金属箔層は、樹脂層の片面又は両面に形成してもよい。金属箔層は、樹脂層の表面の全面に形成してもよいし、表面の一部にのみ形成してもよい。
【0099】
樹脂層と金属箔層との間には、その他の層(接着剤層等)が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。必要に応じて、金属箔層の表面をキレート剤で処理して金属箔層と樹脂層との密着性を改善させてもよい。本発明の金属樹脂積層体においては、樹脂層と金属箔層との密着性が良好であるので、好ましくは、樹脂層と金属箔層とは直接接触しており、樹脂層と金属箔層との間に他の層等が存在しない。
【0100】
本発明の金属樹脂積層体は、耐熱性、金属への接着性、及び高周波特性が要求される用途に好適に使用できる。例えば、本発明の金属樹脂積層体は、種々の基板(プリント基板(フレキシブルプリント基板等)、金属樹脂積層体を複数重ね合わせた多層基板、高周波用配線基板)、半導体パッケージ用配線フィルム等として好適に使用できる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0102】
<付加型重合体の作製>
以下の材料及び重合方法に基づき、付加型重合体(環状オレフィン重合体)を作製した。
【0103】
(付加型重合体の材料)
以下のモノマー、触媒、及び助触媒を用いた。なお、溶媒としてトルエンを用いた。各材料の仕込み組成比を表1に示す。
【0104】
(モノマー)
2−ノルボルネン(NB):環状オレフィンモノマーに相当する
1−オクテン(1−Oct):α−オレフィンに相当する
1−ヘキセン(1−Hex):α−オレフィンに相当する
【0105】
(触媒)
(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル((t−BuNSiMe2Flu)TiMe2)
【0106】
(助触媒)
助触媒A:TMAO−211トルエン溶液(メチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製)
助触媒B:MMAO−3Aトルエン溶液([(CH3)0.7(iso−C4H9)0.3AlO]nで表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製)
助触媒C:トリイソブチルアルミニウム
助触媒D:トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート
【0107】
【表1】
【0108】
(実施例1〜4、7〜9、比較例2の付加型重合体の重合方法)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び5時間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液に、12mol/Lの塩酸水溶液を、重合反応液に含まれる金属量の10倍量となるように加えた後、蒸留水による洗浄を行って金属塩を除いた。
洗浄後の重合反応液をポリマー溶液に対し1.5倍量のアセトンに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間以上減圧乾燥して、各付加型重合体を得た。
【0109】
(実施例5の付加型重合体の重合方法)
以下のように、重合反応液に加えたアセトン量以外は実施例4と同様にして、実施例5の付加型重合体を得た。
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び5時間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液に、12mol/Lの塩酸水溶液を、重合反応液に含まれる金属量の10倍量となるように加えた後、蒸留水による洗浄を行って金属塩を除いた。
洗浄後の重合反応液をポリマー溶液に対し1倍量のアセトンに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間以上減圧乾燥して、付加型重合体を得た。
【0110】
(実施例6の付加型重合体の重合方法)
以下のように、実施例3と同様にして得られた付加型重合体に対して追加加熱を行い、実施例6の付加型重合体を得た。
実施例3と同様に重合を進め、付加型重合体を得た。得られた付加型重合体に対し、200℃で2時間、窒素雰囲気下で追加加熱を行い、実施例6の付加型重合体を得た。
【0111】
(比較例1の付加型重合体の重合方法)
以下のように、実施例3と同様にして得られた付加型重合体に対して追加加熱を行い、比較例1の付加型重合体を得た。
実施例3と同様に重合を進め、付加型重合体を得た。得られた付加型重合体に対し、250℃で3時間、窒素雰囲気下で追加加熱を行い、比較例1の重合体を得た。
【0112】
(比較例3の付加型重合体の重合方法)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、25℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
25℃の重合温度及び30分間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、メタノールを添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液を多量の塩酸酸性メタノール中に注いで重合体を析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間減圧乾燥して、付加型重合体を得た。
【0113】
(比較例4〜7の付加型重合体の重合方法)
国際公開第2015/178143号公報に記載された方法に基づき、比較例4〜7の付加型重合体を得た。
具体的には、乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、各助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び1時間(比較例4)、1.5時間(比較例5)、4時間(比較例6)、又は5時間(比較例7)の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。得られた重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで重合体を析出させ、濾別及び洗浄を行った後、60℃で1日間以上減圧乾燥して付加型重合体を得た。
【0114】
<付加型重合体の諸特性の評価>
得られた各付加型重合体について、下記の各種測定を行った。その結果を表2に示す。
【0115】
(α−オレフィンの比率)
以下の方法で、各付加型重合体における、α−オレフィンの比率(α−オレフィンに由来する構造単位の含有量)を特定した。
【0116】
用いた装置及び条件は下記のとおりである。
NMR装置:「BrukerAVANCE600」
測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2
測定核種:13C
測定温度:353K
サンプル濃度:80mg/mL
サンプルチューブ径:5mm
測定方法:Inverse gate法
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:4096回
パルス繰り返し時間:10秒
ケミカルシフトのリファレンス:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2に含まれる、重水素化されていない1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを74.47ppmとした。
【0117】
図1に示される13C−NMRスペクトルを取得した。該スペクトルにおいて、α−オレフィンのα位の炭素と反対側の末端の1級炭素(約14ppm)、及び、その隣接炭素(約23ppm)の積分値に基づき、α−オレフィン由来炭素の積分値を算出した。
次いで、25〜55ppmの2種の炭素以外の炭素の積分値から、ヘキセン由来炭素の積分値を引いた積分値を、ノルボルネン(環状オレフィンモノマーに相当する。)ユニット由来の積分値として特定した。
【0118】
下記の式に基づき、α−オレフィンの比率を算出した。
α−オレフィンの比率(mol%)=α−オレフィン由来炭素の積分値/(α−オレフィン由来炭素の積分値+環状オレフィンモノマーユニット由来の積分値)×100
【0119】
なお、図1は、下記サンプルの13C−NMRスペクトルを示す。
PNb:ポリノルボルネン
PHex:ポリヘキセン
Nb/Hex共重合体A:ノルボルネンとα−オレフィン(1−ヘキセン)との共重合体
Nb/Hex共重合体B:ノルボルネンとα−オレフィン(1−ヘキセン)との共重合体
Nb/Hex共重合体C:ノルボルネンとα−オレフィン(1−ヘキセン)との共重合体
【0120】
(二重結合量)
以下の方法で、各付加型重合体における1000構造単位中の二重結合の含有量を特定した。
【0121】
用いた装置及び条件は下記のとおりである。
NMR装置:「BrukerAVANCE600」
測定溶媒:クロロホルム−d
測定核種:1H
測定温度:323K
サンプル濃度:80mg/mL
サンプルチューブ径:5mm
測定方法:Inverse gate法
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:1024回
ケミカルシフトのリファレンス:テトラメチルシランのピークを0ppmとした。
【0122】
以下の3つのピークに基づき、二重結合由来プロトンの積分値を算出し、単結合由来プロトン(2.5〜0.2ppm)の積分値を算出した。次いで、組成分析により特定した組成比に基づき、付加型重合体1000構造単位中に含まれる単結合由来の平均水素数を算出した。
(1)α−オレフィン由来の二重結合のピーク(5.0ppm〜5.5ppm)
(2)ノルボルネン(環状オレフィンモノマー)ユニット由来の二重結合のピーク(4.8ppm〜5.0ppm)
(3)α−オレフィン末端ユニット由来のビニリデンピーク(4.7ppm近辺)
【0123】
で特定した値(付加型重合体1000構造単位中に含まれる単結合由来の平均水素数の割合)に基づき、付加型重合体1000構造単位中の二重結合量(単位:%)を算出した。
【0124】
(末端ビニリデン基の比率)
(二重結合量)において算出した各種二重結合由来の積分値を用い、付加型重合体中の二重結合の含有量における末端ビニリデン基の含有量の比率(単位:%)を算出した。
【0125】
(数平均分子量(Mn))
各付加型重合体について、下記の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を測定した。
装置:「Viscotek TDA302検出器」、及び「Pump autosampler装置」(いずれもMalvern社製)
検出器:RI
溶媒:トルエン
カラム:「TSKgel GMHHR−M」(300mm×7.8mmφ、東ソー社製)
流速:1mL/分
温度:75℃
試料濃度:2.5mg/mL
注入量:100μL
標準試料:単分散ポリスチレン
【0126】
(ガラス転移温度(Tg))
JIS K 7121に準拠して、DSC法に基づく下記の条件で、各付加型重合体のガラス転移温度(単位:℃)を測定した。
DSC装置:示差走査熱量計「DSC−7000X」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
測定雰囲気:窒素
昇温条件:20℃/分
【0127】
<金属樹脂積層体の作製及び評価>
【0128】
各付加型重合体を用いて、以下の方法で、樹脂フィルムを作製し、該フィルムの金属への接着性を評価した。その結果を表2に示す。
【0129】
(樹脂フィルムの作製)
各付加型重合体(20g)をトルエン(80g)に溶解させ、20質量%のトルエン溶液を作製した。得られた溶液を、フィルムアプリケータ(隙間厚250μm)を用いてPETフィルムに塗布し、90℃で8分間乾燥した後、さらに真空乾燥機によって100℃で12時間乾燥し、樹脂フィルムを得た。
【0130】
(銅箔接着性)
各樹脂フィルムを100mm×100mmの大きさに切り出し、「エキシマ照射装置 VUS−3100」(オーク製作所製)を用いて、3分間フィルムの両面に紫外線を照射した。照射後のフィルムを、110mm×110mmにカットした12μmの厚みの銅箔(「CF−T49A−DS−HD2(Rzjis 1μm、「JIS C 6515:1998 プリント配線板用銅はく」における分類のうち「VL」に相当する。)」、福田金属箔紛製)に挟み込み、真空プレス機を用いて真空下250℃で5分、1MPaで圧着し、銅張積層体(金属樹脂積層体)を得た。
【0131】
得られた銅張積層体(金属樹脂積層体)を、カッターを用いて縦横2mm間隔に切り、100個の2mm正方形セルを銅張積層体表面に作った。その上にセロテープ(登録商標)を貼った後に剥がし、樹脂フィルム上に残存したセル数を数え、セル100個中に残存したセルの割合(単位:%)を算出した。得られた値を下記の基準で評価した。残存したセル数が多いほど、樹脂フィルムと銅箔との接着性が高く、銅箔接着性が高いことを意味する。
【0132】
[銅箔接着性の評価基準]
〇:残存したセル数が100個である
△:残存したセル数が80個以上99個である
×:残存したセル数が79個以下である
【0133】
(半田耐熱性)
(銅箔接着性)の項と同様に作製した銅張積層体を、260℃に加熱した半田浴に30秒間浸漬した後の変形状態を目視で観察し、以下の基準で変形を評価した。積層体のふくれが少ないほど、半田耐熱性が高いことを意味する。
【0134】
[半田耐熱性の評価基準]
〇:銅張積層体にふくれが認められない
△:銅張積層体のごく一部にふくれが認められる
×:銅張積層体の全面にふくれが認められない
未実施:樹脂フィルムに銅箔が接着せず銅張積層体が得られなかったので、半田耐熱性を評価していない
【0135】
(熱処理後接着性)
(銅箔接着性)の項と同様に作製した銅張積層体を、150℃に加熱したギアオーブン(「GPHH−102」、エスペック製)で24時間加熱した。加熱後の銅張積層板をオーブンから取り出し、室温まで冷却した。冷却後、カッターを用いて縦横2mm間隔に切り、100個の2mm正方形セルを銅張積層体表面に作った。その上にセロテープ(登録商標)を貼った後に剥がし、樹脂フィルム上に残存したセル数を数え、セル100個中に残存したセルの割合(単位:%)を算出した。得られた値を下記の基準で評価した。残存したセル数が多いほど、高熱処理後であっても樹脂フィルムと銅箔との接着性が高く、熱処理後接着性が高いことを意味する。
【0136】
[熱処理後接着性の評価基準]
〇:残存したセル数が100個である
△:残存したセル数が80個以上99個である
×:残存したセル数が79個以下である
未実施:樹脂フィルムに銅箔が接着せず銅張積層体が得られなかったので、半田耐熱性を評価していない
【0137】
(総合評価)
の3つの評価結果(銅箔接着性、半田耐熱性、及び熱処理後接着性の評価結果)に基づき、以下の基準で総合評価を行った。
〇:3つの評価結果が全て「○」である
△:3つの評価結果に1以上の「△」が含まれ、かつ、「×」が含まれない
×:3つの評価結果に1以上の「×」が含まれる
【0138】
【表2】
【0139】
表2に示されるとおり、本発明の重合体を含む金属樹脂積層体は、耐熱性が高く、金属への接着性が良好であり、さらには、高温(150℃)にさらした後であっても、金属への接着性の低下が抑制されていた。
【国際調査報告】

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