(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-506403(P2015-506403A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(54)【発明の名称】ポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 61/02 20060101AFI20150203BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20150203BHJP
【FI】
C08G61/02
H05B33/14 B
H05B33/22 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-553813(P2014-553813)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(85)【翻訳文提出日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】GB2013050220
(87)【国際公開番号】WO2013114118
(87)【国際公開日】20130808
(31)【優先権主張番号】1201660.6
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1221623.0
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1223369.8
(32)【優先日】2012年12月24日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】597063048
【氏名又は名称】ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ピロー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】コンウェイ,ナターシャ
【テーマコード(参考)】
3K107
4J032
【Fターム(参考)】
3K107AA01
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3K107DD59
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3K107DD71
3K107DD79
3K107DD87
3K107GG06
4J032CA43
4J032CB01
4J032CB03
4J032CB04
4J032CB11
4J032CC03
4J032CD01
4J032CD02
4J032CE03
4J032CF02
4J032CG03
(57)【要約】
式(I)の置換されていてもよい繰り返しユニットを含むポリマー:
【化1】
式中、R
1およびR
2は、各出現時において、独立に、Hまたは置換基から選択され;R
1およびR
2は、連結して環を形成してもよく;Aは、置換されていてもよい線状、分岐または環状アルキル基である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の置換されていてもよい繰り返しユニットを含むポリマー:
【化1】
式中、R
1およびR
2は、各出現時において、独立に、Hまたは置換基から選択され;R
1およびR
2は、連結して環を形成してもよく;Aは、置換されていてもよい線状、分岐または環状アルキル基である。
【請求項2】
R1およびR2が、独立に、水素;置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基;線状もしくは分岐鎖の置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリール基;および置換されていてもよいアルキルからなる群から選択され、式中、アルキル基の1つ以上の非隣接C原子が、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよい、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記式(I)の繰り返しユニットが、2位および7位を通して隣接ユニットに連結する、請求項1または2に記載ポリマー。
【請求項4】
R1およびR2が連結されていない、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー。
【請求項5】
R1およびR2が連結される、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
R
1およびR
2が連結されて、式(II)の繰り返しユニットを形成する、請求項5に記載のポリマー:
【化2】
【請求項7】
式(I)の前記繰り返しユニットが式(III)を有する、請求項1から6のいずれかに記載のポリマー:
【化3】
【請求項8】
前記ポリマーが、式(I)の繰り返しユニットおよび1つ以上のさらなる繰り返しユニットを含む、請求項1から7のいずれかに記載のポリマー。
【請求項9】
前記ポリマーが、式(I)の繰り返しユニット以外の置換されていてもよいフルオレン繰り返しユニットを含む、請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
前記ポリマーが、式(IV)の置換されていてもよい繰り返しユニットを含む、請求項8または9に記載のポリマー:
【化4】
式中、Ar
1およびAr
2は、各出現時において、独立に、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基から選択され、nが1以上であり、RがHまたは置換基であり、xおよびyがそれぞれ独立に1、2または3であり、Ar
1、Ar
2およびRのいずれかは、直接結合または二価の連結基によって連結されてもよい。
【請求項11】
Aが、C1−30アルキルであり、C5−25アルキルであってもよい、請求項1から10のいずれかに記載のポリマー。
【請求項12】
Aが分岐アルキルである、請求項1から11のいずれかに記載のポリマー。
【請求項13】
式(V)の置換されていてもよいモノマー:
【化5】
式中、Xは重合性基であり、R
1、R
2およびXは請求項1から13のいずれかに定義される通りである。
【請求項14】
Xが、金属媒介クロスカップリング反応に関与できる脱離基である、請求項13に記載のモノマー。
【請求項15】
Xが、塩素、臭素、ヨウ素、スルホン酸またはエステル、およびボロン酸またはエステルからなる群から選択される、請求項14に記載のモノマー。
【請求項16】
請求項13から15のいずれかに記載のモノマーを重合する工程を含む、請求項1から12のいずれかに記載のポリマーを形成する方法。
【請求項17】
前記重合が、ニッケル触媒の存在下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記重合が、パラジウム触媒および塩基の存在下で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から12のいずれかに記載のポリマーを含む少なくとも1つの層を含む有機電子デバイス。
【請求項20】
前記デバイスが、アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間の発光層を含む有機発光デバイスである、請求項19に記載の有機電子デバイス。
【請求項21】
請求項1から12のいずれかに記載のポリマーを含む前記少なくとも1つの層が、発光層である、請求項20に記載の有機電子デバイス。
【請求項22】
前記ポリマーが、前記発光層の発光ポリマーである、請求項21に記載の有機電子デバイス。
【請求項23】
前記発光層が、1つ以上の発光材料および請求項1から12のいずれかに記載のポリマーを含む、請求項21に記載の有機電子デバイス。
【請求項24】
前記ポリマーが、三重項受容ポリマーである、請求項23に記載の有機電子デバイス。
【請求項25】
請求項1から12のいずれかに記載のポリマーを含む前記少なくとも1つの層が、前記アノードと前記発光層との間のホール輸送層である、請求項20または21に記載の有機電子デバイス。
【請求項26】
請求項1から12のいずれかに記載のポリマーを含む前記少なくとも1つの層を堆積する工程を含む、請求項19から25のいずれかに記載の有機電子デバイスを形成する方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの層が、ポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含む溶液を堆積させ、前記溶媒を蒸発させることによって形成される、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
有機半導体を含有する電子デバイスは、デバイス、例えば有機発光ダイオード、有機光応答性デバイス(特に有機光起電性デバイスおよび有機光センサ)、有機トランジスタおよびメモリーアレイデバイスに使用するためにますます注目を集めている。有機材料を含有するデバイスは、低重量、低電力消費および可撓性のような利益を提供する。さらに、可溶性の有機材料の使用は、デバイス製造において溶液加工処理、例えばインクジェット印刷またはスピンコーティングの使用を可能にする。
【0002】
有機光電子デバイスは、アノード、カソード、およびこのアノードとカソードとの間の有機半導体層を保持する基板を含んでいてもよい。
【0003】
有機半導体層は、デバイスが有機発光ダイオード(OLED)である場合に有機発光層である。デバイスの作動中、ホールはアノード(例えばインジウムスズオキシド、またはITO)を通してデバイスに注入され、電子はカソードを通して注入される。光の最高被占分子軌道(HOMO)のホールおよび最低空分子軌道(LUMO)の電子は、結合して励起子を形成し、そのエネルギーを光として放出する。好適な発光材料としては、小分子、ポリマー性およびデンドリマー性材料が挙げられる。層に使用するのに好適な発光ポリマーとしては、ポリ(アリーレンビニレン)、例えばポリ(p−フェニレンビニレン)およびポリアリーレン、例えばポリフルオレンが挙げられる。別の方法としてまたは加えて、発光層は、ホスト材料および発光ドーパント、例えば蛍光またはりん光ドーパントを含んでいてもよい。
【0004】
有機光起電性デバイスまたは光センサの作動は、上記で記載されるプロセスの反転を伴い、当該プロセスにおいては、有機半導体層に入射する光子が励起子を生じ、この励起子がホールおよび電子に分離される。
【0005】
ホールおよび電子のOLEDの発光層への移動(または光起電性または光センサデバイスの場合には電極に向かう分離した電荷の移動)を促進するために、追加の層が、アノードとカソードとの間に提供されてもよい。
【0006】
特許文献1には、フルオレン繰り返しユニットを含むポリマーが開示されている。
【0007】
特許文献2には、スピロビフルオレン繰り返しユニットを含むポリマーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第00/46321号
【特許文献2】欧州特許第0707020号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、式(I)の置換されていてもよい繰り返しユニットを含むポリマーを提供する:
【化1】
【0010】
式中、R
1およびR
2は、各出現時において、独立に、Hまたは置換基から選択され;R
1およびR
2は、連結して環を形成してもよく;Aは、置換されていてもよい線状、分岐または環状アルキル基である。
【0011】
R
1およびR
2は、独立に、水素;置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基;線状または分岐鎖の置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基;および置換されていてもよいアルキルからなる群から選択されてもよく、ここでアルキル基の1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよい。
【0012】
式(I)の繰り返しユニットは、その2位および7位を通して隣接ユニットに連結されてもよい。
【0013】
R
1およびR
2は連結されなくてもよい。
【0014】
R
1およびR
2は連結されてもよい。
【0015】
R
1およびR
2は連結されて、式(II)の繰り返しユニットを形成してもよい:
【化2】
【0016】
式(I)の繰り返しユニットは、式(III)を有していてもよい:
【化3】
【0017】
ポリマーは、式(I)の繰り返しユニットおよび1つ以上のさらなる繰り返しユニットを含んでいてもよい。
【0018】
ポリマーは、式(I)の繰り返しユニット以外の置換されていてもよいフルオレン繰り返しユニットを含んでいてもよい。
【0019】
ポリマーが、式(IV)の置換されていてもよい繰り返しユニットを含んでいてもよい:
【化4】
【0020】
式中、Ar
1およびAr
2は、各出現時において、独立に、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基から選択され、nは1以上であり、RはHまたは置換基であり、xおよびyはそれぞれ独立に、1、2または3であり、Ar
1、Ar
2およびRのいずれかは、直接結合または二価連結基によって連結されてもよい。
【0021】
Aは、C
1−30アルキルであってもよく、C
5−25アルキルであってもよい。
【0022】
Aは分岐アルキルであってもよい。
【0023】
第2の態様において、本発明は、式(V)の置換されていてもよいモノマーを提供する:
【化5】
【0024】
式中、Xは、重合性基であり、R
1、R
2およびXは、第1の態様に記載される通りである。
【0025】
第2の態様によれば、Xは、金属媒介クロスカップリング反応に関与できる脱離基であってもよい。
【0026】
第2の態様によれば、Xは、塩素、臭素、ヨウ素、スルホン酸またはエステル、およびボロン酸またはエステルからなる群から選択されてもよい。
【0027】
第3の態様において、本発明は、第2の態様に従うモノマーを重合する工程を含む第1の態様に従うポリマーを形成する方法を提供する。
【0028】
第3の態様によれば、重合はニッケル触媒の存在下で行われてもよい。
【0029】
第3の態様によれば、重合は、パラジウム触媒および塩基の存在下で行われてもよい。
【0030】
第4の態様において、本発明は、第1の態様に従うポリマーを含む少なくとも1つの層を含む有機電子デバイスを提供する。
【0031】
第4の態様によれば、デバイスは、アノード、カソード、およびこのアノードとカソードとの間の発光層を含む有機発光デバイスであってもよい。
【0032】
第4の態様によれば、第1の態様に従うポリマーを含む少なくとも1つの層が発光層であってもよい。
【0033】
第4の態様によれば、第1の態様に従うポリマーを含む少なくとも1つの層は、アノードと発光層との間のホール輸送層であってもよい。
【0034】
第5の態様において、本発明は、第4の態様に従う有機電子デバイスを形成する方法を提供し、この方法は、第1の態様に従うポリマーを含む少なくとも1つの層を堆積させる工程を含む。
【0035】
第5の態様によれば、少なくとも1つの層は、ポリマーおよび少なくとも1つの溶媒を含む溶液を堆積し、溶媒を蒸発させることによって形成されてもよい。
【0036】
ここで本発明を、図を参照してより詳細に記載する:
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施形態に従う有機発光ダイオードの概略図である;
【
図2】本発明の実施形態に従うデバイスおよび比較デバイスのエレクトロルミネッセンススペクトルである;
【
図3】本発明の実施形態に従う発光ポリマーを含む有機発光デバイスおよび比較デバイスについての時間に対する輝度のグラフである;および
【
図4】本発明の実施形態に従う三重項受容ポリマーを発光層に有する有機発光デバイスおよび比較デバイスについての時間に対する輝度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ポリマーは、唯一の繰り返しユニットが式(I)の繰り返しユニットであるホモポリマーもしくはコポリマー、あるいは式(I)の繰り返しユニットおよび1つ以上のさらなる繰り返しユニットを含むコポリマーであってもよい。ポリマーは、好ましくはその骨格に沿って少なくとも部分的に共役している。式(I)の繰り返しユニットは、式(I)の繰り返しユニットの両側において繰り返しユニット間に共役経路を形成し得る。
【0039】
式(I)の繰り返しユニットの置換基Aは、この繰り返しユニットを含むポリマーを一般的な有機溶媒、例えばモノ−またはポリアルキル化ベンゼン中に溶解させるのに役立ち得る。これは、このユニットの9位の置換基の1つまたは両方が、非可溶化または弱可溶化置換基、例えばフェニルまたはメチルである場合に特に有利な場合がある。このようにして、置換基Aは、可溶性を与える場合があるが、同時に9位の置換基は、ポリマーの他の特性を調整するように選択されてもよい。置換基Aはまた、式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーから形成されるポリマーフィルムのモルホロジーを調整するために使用されてもよい。
【0040】
さらに、本発明者らは、アルキル置換基Aは、ポリマーの発光をより短波長にシフトさせる効果を有する(青色シフト)ことを見出した。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、この青色シフトは、置換基Aによる電子供与の結果であり、式(I)の繰り返しユニットのLUMO準位を真空により近づけ、置換基Aが不存在である繰り返しユニットよりも大きいHOMO−LUMOバンドギャップを提供し得る。
【0041】
置換基R
1およびR
2は、ポリマーの物理的および/または電子特性、例えばその可溶性、ガラス転移温度またはLUMO準位を調整するために選択されてもよい。
【0042】
R
1またはR
2がアルキルを含む場合、アルキル基の可能な置換基としては、F、CN、ニトロ、および1つ以上の基R
4で置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールが挙げられ、各R
4は、独立にアルキル、例えばC
1−20アルキルであり、ここで1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子はFで置き換えられてもよい。
【0043】
R
1および/またはR
2がアリールまたはヘテロアリールを含む場合、それぞれアリールまたはヘテロアリール基は独立に置換されていてもよい。アリールまたはヘテロアリール基のための好ましい可能な置換基としては、1つ以上の置換基R
3が挙げられ、ここで各R
3は、独立に、以下からなる群から選択される:
アルキル、例えばC
1−20アルキルであって、式中、1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子は、Fまたは1つ以上の基R
4で置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールで置き換えられてもよいアルキル;
1つ以上の基R
4で置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール、
NR
52、OR
5、SR
5、
フッ素、ニトロおよびシアノ、および
架橋性基、
式中、R
4は、上記で記載される通りであり、各R
5は、独立に、1つ以上のアルキル基で置換されていてもよいアルキルおよびアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択される。好ましいアリール基はフェニルである。
【0044】
存在する場合、式(IV)の繰り返しユニットにおける置換されたNは、独立に各出現時において、NR
5またはNR
6であってもよく、ここでR5は、上記で記載される通りであり、R6は、各出現時において、R
6がアルキルまたは置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールである場合がある。アリールまたはヘテロアリール基R
6の可能な置換基は、R
4またはR
5から選択されてもよい。
【0045】
R
1およびR
2の1つまたは両方は、上記で記載されるような線状もしくは分岐鎖の置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基であってもよい。鎖は、2つ、3つまたはそれ以上のアリールまたはヘテロアリール基を含んでいてもよく、この鎖は、同じアリールまたはヘテロアリール基あるいは2つ以上の異なるアリールまたはヘテロアリール基で構成されてもよい。
【0046】
1つの好ましい配置において、少なくとも1つのR
1およびR
2は、置換されていてもよいC
1−C
20アルキルまたは置換されていてもよいアリール基、特に非置換もしくは置換されていてもよいフェニルを含む。置換されたフェニルR
1および/またはR
2のための好ましい置換基は、1つ以上のC
1−20アルキル基である。
【0047】
R
1およびR
2の両方がフェニルであり、連結される場合、それらはフルオレン環を形成してもよい。R
1およびR
2の連結によって形成されたフルオレン環は、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0048】
R
1および/またはR
2は架橋性であってもよい。例えばR
1および/またはR
2は、重合性二重結合、例えばビニルまたはアクリレート基、またはベンゾシクロブタン基を含んでいてもよい。
【0049】
式(I)の繰り返しユニットの4位は、上記で記載されるような置換基Aで置換される。置換基Aは好ましくは不飽和基、例えば線状、分岐または環状アルキル基、例えばC
1−20アルキル基である。
【0050】
置換基Aで置換された4位以外のフルオレン環系のsp
2炭素原子は、置換されてもよく、または置換されていなくてもよい。存在する場合、これらの他のsp
2炭素原子のための置換基は、好ましくはC
1−20アルキルからなる群から選択され、ここで1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、フッ素、シアノおよびニトロで置き換えられてもよい。
【0051】
R
1およびR
2が連結された式(I)の例示的な繰り返しユニットとしては、以下が挙げられる:
【化6】
【0052】
R
1およびR
2が連結されていない式(I)の例示的な繰り返しユニットは、以下が挙げられる:
【化7】
【0053】
共繰り返しユニット
ポリマーの例示的な共繰り返しユニットとしては、1つ以上の以下を挙げることができる:
−アリールまたはヘテロアリール繰り返しユニット、例えば式(I)の繰り返しユニット以外のフルオレン繰り返しユニット、フェニレン繰り返しユニットおよび/またはトリアジン繰り返しユニット;および
−アリールアミン繰り返しユニット
アリールアミン繰り返しユニットは、式(V)を有していてもよい:
【化8】
【0054】
式中、Ar
1およびAr
2は、各出現時において、独立に、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基から選択され、nが1以上であり、好ましくは1または2であり、Rは、Hまたは置換基、好ましくは置換基であり、xおよびyはそれぞれ独立に1、2または3である。
【0055】
Rは、好ましくはアルキル、例えばC
1−20アルキル、Ar
3、または分岐もしくは線状鎖のAr
3基、例えば−(Ar
3)
rであり、ここでAr
3は、各出現時において、独立に、アリールまたはヘテロアリールから選択され、rは少なくとも1であり、1、2または3であってもよい。
【0056】
Ar
1、Ar
2およびAr
3のいずれかは、独立に、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基は、以下からなる基R
3から選択される:
アルキル、例えばC
1−20アルキルであって、式中、1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子は、Fまたは1つ以上の基R
4で置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールで置き換えられてもよいアルキル基;
1つ以上の基R
4で置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール、
NR
52、OR
5、SR
5、
フッ素、ニトロおよびシアノ、および
架橋性基、
式中、各R
4は、独立にアルキル、例えばC
1−20アルキルであり、ここで、1つ以上の非隣接C原子は、O、S、置換されたN、C=Oおよび−COO−で置き換えられてもよく、アルキル基の1つ以上のH原子は、Fで置き換えられてもよく、各R
5は独立に、アルキルおよび1つ以上のアルキル基で置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールからなる群から選択される。
【0057】
式(V)の繰り返しユニットのアリールまたはヘテロアリール基のいずれかは、直接結合または二価連結原子もしくは基によって連結されてもよい。好ましい二価連結原子および基としては、O、S;置換されたN;および置換されたCが挙げられる。
【0058】
存在する場合、R
3、R
4または二価連結基の置換されたNまたは置換されたCは、独立に各出現時において、それぞれNR
6またはCR
62であってもよく、式中、R
6はアルキルまたは置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリールである。アリールまたはヘテロアリール基R
6の可能な置換基は、R
4またはR
5から選択されてもよい。
【0059】
1つの好ましい配置において、RはAr
3であり、Ar
1、Ar
2およびAr
3のそれぞれは、独立に1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されていてもよい。
【0060】
式(V)を満たす特に好ましいユニットとしては、式1〜3のユニットが挙げられる:
【化9】
【0061】
式中、Ar
1およびAr
2は上記で定義される通りであり;Ar
3は、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである。存在する場合、Ar
3のための好ましい置換基としては、Ar
1およびAr
2について記載される通りの置換基、特にアルキルおよびアルコキシ基が挙げられる。
【0062】
Ar
1、Ar
2およびAr
3は、好ましくはフェニルであり、それらのそれぞれは、独立に上記で記載されるように1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0063】
別の好ましい配置において、式(V)のアリールまたはヘテロアリール基は、フェニルであり、各フェニル基は、1つ以上のアルキル基で置換されていてもよい。
【0064】
別の好ましい配置において、Ar
1、Ar
2およびAr
3はフェニルであり、これらのそれぞれは、1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよく、r=1である。
【0065】
別の好ましい配置において、Ar
1およびAr
2はフェニルであり、これらのそれぞれは、1つ以上のC
1−20アルキル基で置換されてもよく、Rは3,5−ジフェニルベンゼンであり、ここで各フェニルは、1つ以上のアルキル基で置換されていてもよい。
【0066】
アリールアミン繰り返しユニットは、ホール輸送および/または発光特性を提供してもよく、アリールアミン繰り返しユニットを含むポリマーは、好ましくはOLEDのホール輸送層および/または発光層に存在する。
【0067】
アリールアミン繰り返しユニットは、5mol%まで、10mol%まで、25mol%まで、50mol%まで、または75mol%までの量で存在してもよい。ポリマーは、式(V)の1つの繰り返しユニットを含有してもよく、または式(V)の2つ以上の異なる繰り返しユニットを含有してもよい。
【0068】
式(I)の繰り返しユニット以外のポリマーの例示的なフルオレン繰り返しユニットとしては、式(VI)の置換されていてもよい繰り返しユニットが挙げられる:
【化10】
【0069】
式中、R
1およびR
2は、式(I)を参照して上記で記載される通りであり、繰り返しユニットの4位は、置換基Aで置換されない。好ましくは、式(VI)の繰り返しユニットは、その4位では置換されない。
【0070】
式(VI)の繰り返しユニットは、2,7−連結されてもよい。
【0071】
式(I)の繰り返しユニットを含むコポリマーは、1〜99mol%(10〜95mol%であってもよい)の式(I)の繰り返しユニットを含んでいてもよい。ポリマーは、50mol%未満、50mol%、または50mol%を超えるフルオレン繰り返しユニット(式(I)の繰り返しユニットおよび存在する場合は式(VI)の繰り返しユニットの両方を含む)を含んでいてもよい。ポリマーは、特に、50mol%を超えるフルオレン繰り返しユニットを含む場合に、式(I)のフルオレン繰り返しユニットおよび存在する場合式(VI)のユニットの鎖を含んでいてもよい。フルオレン繰り返しユニットの鎖は、特に式(I)および(VI)のフルオレン繰り返しユニットが2位および7位を通して連結する場合に共役してもよい。
【0072】
例示的なフェニレン繰り返しユニットとしては、式(VII)の繰り返しユニットが挙げられる:
【化11】
【0073】
式中、R
1は、式(I)を参照して上記で記載される置換基であり、pは0、1、2、3または4である(1または2であってもよい)。1つの配置において、繰り返しユニットは、1,4−フェニレン繰り返しユニットである。
【0074】
式(VII)の繰り返しユニットは、式(VIIa)を有していてもよく、式中、R
1は各出現時において、同一または異なっていてもよく、置換基である:
【化12】
【0075】
ポリマーは、トリアジンを含む繰り返しユニット、例えば式(VIII)の繰り返しユニットを含有してもよい:
【化13】
【0076】
式中、Ar
1、Ar
2およびAr
3は、式(V)の繰り返しユニットを参照して記載される通りであり、zは独立に、各出現時において、少なくとも1である(1、2または3であってもよい)。Ar
1、Ar
2およびAr
3のそれぞれは、独立に、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。1つの配置において、Ar
1、Ar
2およびAr
3は、各出現時において、フェニルである。例示的な置換基としては、式(V)の繰り返しユニットを参照して上記で記載される通りのR
3、例えばC
1−20アルキルまたはアルコキシが挙げられる。Ar
1、Ar
2およびAr
3は、好ましくはフェニルである。
【0077】
ポリマー合成
本発明のポリマーの調製のための好ましい方法は、金属錯体触媒の金属原子がアリールまたはヘテロアリール基とモノマーの脱離基との間に挿入される「金属挿入」を含む。例示的な金属挿入方法は、例えば国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合、および例えばT.Yamamoto,「Electrically Conducting And Thermally Stable Π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes」,Progress in Polymer Science 1993,17,1153−1205に記載されるようなYamamoto重合である。Yamamoto重合の場合、ニッケル錯体触媒が使用される;Suzuki重合の場合において、パラジウム錯体触媒が使用される。
【0078】
例えば、Yamamoto重合による線状ポリマーの合成において、2つの反応性ロゲン基を有するモノマーが使用され得る。同様に、Suzuki重合方法によれば、少なくとも1つの反応性基は、ホウ素誘導体基、例えばボロン酸またはボロン酸エステルおよびその他の反応性基はハロゲンである。好ましいハロゲンは塩素、臭素およびヨウ素であり、最も好ましくは臭素である。
【0079】
そのため、本願全体を通して示される繰り返しユニットは、好適な脱離基を保持するモノマーから誘導されてもよいことが理解される。同様に、末端基または側鎖基は、好適な脱離基の反応によってポリマーに結合してもよい。
【0080】
Suzuki重合は、レジオレギュラー、ブロックおよびランダムコポリマーを調製するために使用されてもよい。特に、ホモポリマーまたはランダムコポリマーは、一方の反応性基がハロゲンであり、他方の反応性基がホウ素誘導体基である場合に調製されてもよい。あるいは、ブロックまたはレジオレギュラーコポリマーは、第1のモノマーの両方の反応性基がホウ素であり、第2のモノマーの両方の反応性基がハロゲンである場合に調製され得る。
【0081】
ハライドの代わりに、金属挿入に関与できる他の脱離基としては、スルホン酸およびスルホン酸エステル、例えばトシレート、メシレートおよびトリフレートが挙げられる。
【0082】
デバイス
本発明のポリマーは、有機電子デバイス、例えば有機発光ダイオード、有機光応答性デバイス(特に有機光起電性デバイスおよび有機光センサ)または有機トランジスタにおいて活性成分として使用されてもよい。
【0083】
図1は、基板1上に支持されたアノード2、カソード4、このアノードとカソードとの間の発光層3を含む有機発光デバイスを示す。
【0084】
さらなる層、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子ブロッキング層から選ばれる1つ以上の層、および1つ以上のさらなる発光層から選択される1つ以上の層が、アノードとカソードとの間に提供されてもよい。1つの好ましい配置において、ホール輸送層が、アノードと発光層との間に提供されてもよい。別の好ましい配置において、ホール注入層およびホール輸送層が、アノードと発光層との間に提供されてもよい。
【0085】
式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーは、発光層3において、および/または上記で記載される1つ以上のさらなる層に提供されてもよい。1つの好ましい配置において、ポリマーは、発光層に提供される。別の好ましい配置において、OLEDは、アノードと少なくとも1つの発光層との間にホール輸送層を含み、式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーは、ホール輸送層に提供される。
【0086】
発光層に存在する場合、式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーは、発光ポリマーとして機能し得る。さらなる配置において、発光層は、1つ以上の発光材料および式(I)の繰り返しユニットを含む非発光ポリマー、例えば蛍光もしくはりん光発光材料と共に使用される式(I)の繰り返しユニットを含むホストポリマー、または蛍光発光材料と共に使用される式(I)の繰り返しユニットを含む三重項受容ポリマーを含んでいてもよい。
【0087】
蛍光またはりん光材料のためのホストとして使用される場合、式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーのそれぞれ最も低い一重項または最も低い三重項励起状態は、好ましくは共に使用される蛍光もしくはりん光ドーパントと少なくとも同一であるか、またはそれよりも高い。ホストとして使用される場合、式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーは、好ましくは発光層構成成分の少なくとも50mol%を形成する。
【0088】
三重項受容ポリマーとして使用される場合、式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーの最も低い三重項励起状態は、好ましくは、共に使用される蛍光材料の場合と少なくとも同一であるか、またはそれより低く、こうして三重項励起子は、蛍光発光材料から三重項受容ポリマーに移動し得る。三重項受容ポリマーは、そこに形成された三重項励起子を消光し得るか、または三重項−三重項消滅を媒介して、遅延蛍光を生じてもよい。発光ポリマー:三重項受容ポリマー比は、約99:1〜70:30mol%(約99:5〜80:20mol%であってもよい)の範囲であってもよい。式(I)の繰り返しユニットを含む三重項受容ポリマーは、好ましくはコポリマーである。例示的な共繰り返しユニットとしては、アントラセンおよびピレン繰り返しユニットが挙げられ、これらのそれぞれは、非置換であってもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。例示的な置換基としては、C
1−40ヒドロカルビル、例えばC
1−20アルキルが挙げられる。
【0089】
アノード
アノード2のための例示的な材料としては、伝導性有機化合物、伝導性金属酸化物、例えばインジウムスズオキシド、および金属が挙げられる。光がアノードを通して発光する場合、アノードは、伝導性透明材料のクラス、例えばインジウムスズオキシドから選択されてもよい。
【0090】
カソード
カソード4は、電子の発光層への注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。カソードと発光層の材料との間に不利な相互作用の可能性のような他の要因が、カソードの選択に影響する。カソードは、アルミニウム層のような単一材料からなってもよい。あるいはそれは、複数の金属を含んでいてもよく、例えば伝導性材料の二層、例えば低仕事関数材料および高仕事関数材料の二層、例えば国際公開第98/10621号に開示されるようなカルシウムおよびアルミニウム、または国際公開第98/57381号、Appl.Phys.Lett.2002,81(4),634および国際公開第02/84759号に開示されるような元素状バリウムを含んでいてもよい。電子注入を補助するために、カソードは、伝導性材料の1つ以上の層、例えば1つ以上の金属層でキャップ処理された、金属化合物、特にアルカリまたはアルカリ土類金属のオキシドまたはフッ化物の薄層を含んでいてもよい。例示的な金属化合物としては、例えば国際公開第00/48258号に開示されるようなフッ化リチウム;例えばAppl.Phys.Lett.2001,79(5),2001に開示されるようなフッ化バリウム;および酸化バリウムが挙げられる。効率の良い電子のデバイスへの注入を得るために、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。金属の仕事関数は、例えばMichaelson,J.Appl.Phys.48(11),4729,1977に見出されることができる。
【0091】
カソードは、不透明または透明であってもよい。透明なカソードは、アクティブマトリックスデバイスにとって特に有利である。なぜなら、こうしたデバイスにおける透明アノードを通る発光は、発光性ピクセルの底部に位置する駆動電気回路によって少なくとも部分的にブロックされるからである。透明カソードは、透明であるのに十分薄い電子注入材料の層を含む。通常、この層の側部伝導度は、その厚さの結果として低い。この場合、電子注入材料の層は、透明伝導性材料、例えばインジウムスズオキシドのより厚い層と組み合わせて使用される。
【0092】
透明なカソードデバイスは、透明なアノードを有する必要はなく(もちろん、完全に透明のデバイスが所望されない限り)、そのためボトム型発光デバイスのために使用される透明アノードは、アルミニウムの層のような反射性材料の層で置き換えられてもよく、またはそうした層が補充されてもよいことが理解される。透明カソードデバイスの例は、例えば英国特許第2348316号明細書に開示されている。
【0093】
1つの配置において、カソードの表面は、発光層の表面と接触する。別の配置において、1つ以上の層が、カソードと発光層との間に提供されてもよい。例えば有機電子輸送層が、発光層とカソードとの間に提供されてもよい。
【0094】
ホール注入層
伝導性有機または無機材料から形成されてもよい伝導性ホール注入層は、アノード2と発光層3との間に提供されて、アノードから半導体性ポリマーの層へのホール注入を補助してもよい。ドープされた有機ホール注入材料の例としては、置換されていてもよいドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特に欧州特許第0901176号明細書および同第0947123号明細書に開示されるような電荷平衡化ポリ酸、例えばポリスチレンスルホネート(PSS)でドープされたPEDT、ポリアクリル酸またはフッ素化スルホン酸、例えばNafion(登録商標);米国特許第5723873号明細書および米国特許第5798170号明細書に開示されるようなポリアニリン;および置換されていてもよいポリチオフェンまたはポリ(チエノチオフェン)が挙げられる。伝導性無機材料の例としては、遷移金属酸化物、例えばJournal of Physics D:Applied Physics(1996),29(11),2750−2753に開示されるようなVOx、MoOxおよびRuOxが挙げられる。
【0095】
発光層
発光層3に使用するために好適な発光材料としては、小分子、ポリマー性およびデンドリマー性材料およびそれらの組成物が挙げられる。好適な発光ポリマーとしては、共役ポリマー、例えば置換されていてもよいポリ(アリーレンビニレン)、例えばポリ(p−フェニレンビニレン)および置換されていてもよいポリアリーレン、例えば:ポリフルオレン、特に2,7−連結9,9ジアルキルポリフルオレンまたは2,7−連結9,9ジアリールポリフルオレン;ポリスピロフルオレン、特に2,7−連結ポリ−9,9−スピロフルオレン;ポリインデノフルオレン、特に2,7−連結ポリインデノフルオレン;ポリフェニレン、特にアルキルまたはアルコキシ置換ポリ−1,4−フェニレンが挙げられる。こうしたポリマーは、例えばAdv.Mater.2000 12(23)1737−1750およびこの文献の参照文献に開示される。
【0096】
式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーは、発光層の発光ポリマーとして提供されてもよい。
【0097】
発光層は、発光材料単独からなってもよく、または1つ以上のさらなる材料と組み合わせてこの材料を含んでいてもよい。特に、発光材料は、ホールおよび/または電子輸送材料とブレンドされてもよく、または別の方法として、例えば国際公開第99/48160号に開示されるように、ホールおよび/または電子輸送材料に共有結合してもよい。
【0098】
発光コポリマーは、例えば国際公開第00/55927号および米国特許第6353083号明細書に開示されるように、発光領域、ならびにホール輸送領域および電子輸送領域の少なくとも1つを含んでいてもよい。ホール輸送領域および電子輸送領域の一方だけが提供される場合、エレクトロルミネッセンス領域はまた、ホール輸送および電子輸送機能の他方を提供してもよい−例えば上記で記載されるような式(V)のアミンユニットは、ホール輸送および発光機能の両方を提供してもよい。発光繰り返しユニット、ならびにホール輸送繰り返しユニットおよび電子輸送繰り返しユニットの一方または両方を含む発光コポリマーは、米国特許第6353083号明細書のように、ポリマー主鎖に、またはポリマー骨格から枝分かれしたポリマー側鎖基にこうしたユニットを提供してもよい。
【0099】
好適な発光材料は、電磁スペクトルのUV、可視および/または赤外領域において発光してもよい。OLEDは、赤色、緑色および青色発光材料の1つ以上を含有してもよい。
【0100】
青色発光材料は、480nm以下(400〜480nmであってもよい)の範囲のピーク波長を有するフォトルミネッセンススペクトルを有していてもよい。
【0101】
緑色発光材料は、480nmを超えて560nmまでの範囲にピーク波長を有するフォトルミネッセンススペクトルを有していてもよい。
【0102】
赤色発光材料は、560nmを超えて630nmまでの範囲にピーク波長を有するフォトルミネッセンススペクトルを有していてもよい。
【0103】
複数の発光材料が使用されてもよい。例えば、赤色、緑色および青色発光材料が、白色発光を得るために使用されてもよい。これらの異なる発光材料は、同一または異なる発光層中にあってもよい。
【0104】
発光層は、ホスト材料および少なくとも1つの発光ドーパントを含んでいてもよい。ホスト材料は、ドーパントの不存在下で自ら発光する材料であってもよい。ホスト材料およびドーパントがデバイスに使用される場合、ドーパント単独で発光してもよい。別の方法として、ホスト材料および1つ以上のドーパンが発光してもよい。白色光は、複数の光源からの発光、例えばホストおよび1つ以上のドーパントの両方からの発光または複数のドーパントからの発光によって得られてもよい。
【0105】
蛍光発光ドーパントの場合、ホスト材料の一重項励起状態エネルギー準位(S
1)は、ホスト材料から蛍光発光ドーパントへ一重項励起子が移動し得るように、蛍光発光ドーパントのエネルギー準位よりも高くすべきである。同様に、りん光発光ドーパントの場合、ホスト材料の三重項励起状態のエネルギー準位(T
1)は、ホスト材料から蛍光発光ドーパントへ三重項励起子が移動し得るように、りん光発光ドーパントのエネルギー準位より高くすべきである。ホスト材料は、本発明に従うポリマーであってもよい。2,7位以外の位置での式(I)の繰り返しユニットのフルオレン環の連結は共役が少なく、結果として、式(I)の繰り返しユニットが2,7位以外の位置を通して連結する対応するポリマーより高いS
1および/またはT
1準位を保持するポリマーを提供し得る。
【0106】
例示的なりん光発光ドーパントとしては、式(IX)の置換されていてもよい錯体を含む金属錯体が挙げられる:
ML
1qL
2rL
3s
(IX)
式中、Mは金属であり;L
1、L
2およびL
3のそれぞれは、配位基であり;qは整数であり;rおよびsはそれぞれ独立に0または整数であり;(a.q)+(b.r)+(c.s)の合計は、Mにおいて利用可能な配位部位の数に等しく、ここでaは、L
1における配位部位の数であり、bはL
2における配位部位の数であり、cはL
3における配位部位の数である。
【0107】
重元素Mは、強力なスピン軌道カップリングを誘導し、三重項またはそれ以上の状態からの迅速な項間交差および発光を可能にする(りん光)。好適な重金属Mとしては、dブロック金属、特に2列および3列の金属、すなわち39から48および72から80の元素、特にルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金および金が挙げられる。イリジウムが特に好ましい。
【0108】
例示的なリガンドL
1、L
2およびL
3としては、炭素または窒素ドナー、例えばポルフィリンまたは式(X)の二座リガンドが挙げられる:
【化14】
【0109】
式中、Ar
4およびAr
5は、同一または異なっていてもよく、独立に、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールから選択され;X
1およびY
1は、同一または異なっていてもよく、独立に、炭素または窒素から選択され;Ar
4およびAr
5は、共に縮合してもよい。X
1が炭素であり、Y
1が窒素であるリガンドが特に好ましい。
【0110】
二座リガンドの例を以下に示す:
【化15】
【0111】
Ar
4およびAr
5のそれぞれは、1つ以上の置換基を保持し得る。2つ以上のこれらの置換基は、連結されて環、例えば芳香族環を形成してもよい。
【0112】
dブロック元素と共に使用するのに好適な他のリガンドとしては、ジケトネート、特にアセチルアセトネート(acac);トリアリールホスフィンおよびピリジンが挙げられ、そのそれぞれが置換されていてもよい。
【0113】
例示的な置換基としては、式(V)を参照して上記で記載されるような基R
3基R
3が挙げられる。特に好ましい置換基としては、例えば国際公開第02/45466号、同第02/44189号、米国特許出願公開第2002−117662号明細書および同第2002−182441号明細書に開示されるような錯体の発光を青色シフトさせるために使用されてもよいフッ素またはトリフルオロメチル;JP2002−324679に開示される通りであり得るアルキルまたはアルコキシ基、例えばC
1−20アルキルまたはアルコキシ;例えば国際公開第02/81448号に開示されるように、発光性材料として使用される場合に錯体へのホール輸送を補助するために使用されてもよいカルバゾール;例えば国際公開第02/68435号および欧州特許第1245659号明細書に開示されるように、さらなる基の結合のためにリガンドを官能化するのに役立ち得る臭素、塩素またはヨウ素;および例えば国際公開第02/66552号に開示されるように、金属錯体の溶液加工処理性を得るまたは向上させるために使用されてもよいデンドロンが挙げられる。
【0114】
発光デンドリマーは、通常、1つ以上のデンドロンに結合する発光コアを含み、ここで各デンドロンは、分岐点および2つ以上の樹枝状分岐を含む。好ましくはデンドロンは、少なくとも部分的に共役され、少なくとも1つの分岐点および樹枝状分岐が、アリールまたはヘテロアリール基、例えばフェニル基を含む。1つの配置において、分岐点の基および分岐基は、すべてフェニルであり、各フェニルは、独立に1つ以上の置換基、例えばアルキルまたはアルコキシで置換されていてもよい。
【0115】
デンドロンは、置換されていてもよい式(XI)を有していてもよい:
【化16】
【0116】
式中、BPは、コアに結合するための分岐点を表し、G
1は第1世代分岐基を表す。
【0117】
デンドロンは、第1、第2、第3またはそれ以上の世代のデンドロンであってもよい。G
1は、置換されていてもよい式(XIa)におけるように、2つ以上の第2世代分岐基G
2などで置換されていてもよい:
【化17】
【0118】
式中、uは0または1であり;uが0である場合にvは0であり、またはuが1である場合に0または1であってもよく;BPは、コアへの結合のための分岐点を表し、G
1、G
2およびG
3は、第1、第2および第3世代のデンドロン分岐基を表す。
【0119】
BPおよび/またはいずれかの基Gは、1つ以上の置換基、例えば1つ以上のC
1−20アルキルまたはアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0120】
使用される場合、発光ドーパントは、ホスト材料に対して約0.05mol%から約20mol%までの量(約0.1〜10mol%であってもよい)で存在してもよい。
【0121】
発光ドーパントは、ホスト材料と物理的に混合してもよく、または発光ドーパントの電荷輸送材料への結合に関して上記で記載される同じ様式においてホスト材料に化学的に結合してもよい。
【0122】
式(I)の繰り返しユニットを含むポリマーは、発光ドーパント、例えば赤色または緑色りん光ドーパントのためのホストとして使用されてもよい。
【0124】
発光層は、パターニングされてもよく、またはパターニングされていなくてもよい。パターニングされていない層を含むデバイスは、例えば照明源として使用してもよい。白色発光デバイスは、この目的のために特に好適である。パターニングされた層を含むデバイスは、例えばアクティブマトリックスディスプレイまたはパッシブマトリックスディスプレイであってもよい。アクティブマトリックスディスプレイの場合、パターニングされたエレクトロルミネッセンス層は、通常、パターニングされたアノード層およびパターニングされていないカソードと組み合わせて使用される。パッシブマトリックスディスプレイの場合、アノード層は、アノード材料の平行縞模様、エレクトロルミネッセンス材料の平行縞模様、およびアノード材料に垂直に配列されたカソード材料から形成され、ここでエレクトロルミネッセンス材料およびカソード材料の縞模様は、通常、フォトリソグラフィによって形成された絶縁材料(「カソードセパレータ」)の縞模様によって分離される。
【0125】
電荷輸送層
ホール輸送層は、アノードと発光層との間に提供されてもよい。同様に、電子輸送層は、カソードと発光層との間に提供されてもよい。
【0126】
同様に、電子ブロッキング層は、アノードと発光層との間に提供されてもよく、ホールブロッキング層は、カソードと発光層との間に提供されてもよい。輸送およびブロッキング層は、組み合わせて使用されてもよい。そのHOMOおよびLUMO準位に依存して、単一層が、ホールおよび電子の一方を輸送すると共に、ホールまたは電子の他方をブロックしてもよい。
【0127】
存在する場合、アノード2と発光層3との間に位置するホール輸送層は、好ましくは5.5eV以下、より好ましくは約4.8〜5.5eVのHOMO準位を有する。HOMO準位は、サイクリックボルタンメトリーによって測定される。
【0128】
存在する場合、発光層3とカソード4との間に位置する電子輸送層は、サイクリックボルタンメトリーによって測定される場合に、好ましくは約3〜3.5eVのLUMO準位を有する。例えば、0.2〜2nmの範囲の厚さを有する一酸化ケイ素もしくは二酸化ケイ素の層または他の誘電体薄層が発光層3と層4との間に提供されてもよい。
【0129】
ホール輸送ポリマーは、アリールアミン繰り返しユニット、特に式(V)の繰り返しユニットを含んでいてもよい。このポリマーは、ホモポリマーであってもよく、またはアリーレン共繰り返しユニット、例えば式(I)の繰り返しユニットを含むコポリマーであってもよい。
【0130】
電荷輸送ユニットは、ポリマー主鎖またはポリマー側鎖に提供されてもよい。
【0131】
封止
OLEDは、湿分および酸素に対して感受性の傾向がある。従って、基板は、好ましくは湿分および酸素のデバイスへの侵入を防止するために良好なバリア特性を有する。基板は、一般にガラスであるが、特にデバイスの可撓性が所望される場合には代替基板が使用されてもよい。例えば、基板は、プラスチック層およびバリア層から交互に構成される基板が開示される米国特許第6268695号にあるように、プラスチックを含んでいてもよく、または欧州特許第0949850号明細書に開示されるように、薄いガラスおよびプラスチックのラミネートを含んでいてもよい。基板は、透明カソードを有するOLEDの場合に不透明であってもよい。
【0132】
デバイスは、好ましくは湿分および酸素の侵入を防ぐために封止材(図示せず)で封止される。好適な封止材としては、ガラスのシート、好適なバリア特性を有するフィルム、例えば二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、窒化ケイ素または例えば国際公開第01/81649号に開示されているようなポリマーおよび誘電体の交互スタック、または例えば国際公開第01/19142号に開示されているような気密性容器が挙げられる。透明カソードデバイスの場合、透明封止層、例えば一酸化ケイ素または二酸化ケイ素が、ミクロンレベルの厚さに堆積されてもよいが、1つの好ましい実施形態においてこうした層の厚さは20〜300nmの範囲にある。基板または封止材に浸透し得る大気湿分および/または酸素の吸収のためのゲッター材料が、基板と封止材との間に配設されてもよい。
【0133】
溶液加工処理
ポリマーを含有する層は、1つ以上の溶媒中のポリマー溶液を堆積させ、続いて溶媒を蒸発させることによって形成されてもよい。
【0134】
溶液堆積方法としては、コーティング技術、例えばスピンコーティング、浸漬コーティングおよびブレードコーティングおよび印刷技術、例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷およびロール印刷が挙げられる。
【0135】
コーティング方法、例えばスピンコーティングは、エレクトロルミネッセンス材料のパターニングが不要であるデバイス−例えば照明用途または単純なモノクロセグメント化ディスプレイに特に好適である。
【0136】
印刷技術、例えばインクジェット印刷は、高情報量ディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に好適である。デバイスは、第1の電極、典型的にはアノードにわたってパターニングされた層を提供し、1つの色(モノクロデバイスの場合)またはマルチカラー(マルチカラー、特にフルカラーデバイスの場合)の印刷のためにウェルを規定することによってインクジェット印刷されてもよい。パターニングされた層は、通常、例えば欧州特許第0880303号明細書に記載されるようなウェルを規定するためにパターニングされるフォトレジストの層である。
【0137】
ウェルの代替として、インクは、パターニングされた層内に規定されるチャンネルに印刷されてもよい。特に、フォトレジストは、チャンネルを形成するためにパターニングされてもよく、ウェルと異なり、複数のピクセルにわたって延び、チャンネル末端部で閉じていてもよく、または開いていてもよい。
【0138】
OLEDの複数の層が、溶液加工処理によって形成される場合、隣接層の混ざりを防止するための技術は、後続層の堆積の前に1つの層を架橋すること、および/またはこれらの層のうちの第1の層が形成された材料が、第2の層を堆積させるために使用される溶媒に可溶性とならないように隣接層材料を選択することを含む。例えば、溶媒中の溶液からホール輸送材料を堆積させることによって形成されたホール輸送層は、発光層を形成するための発光材料の溶液堆積の前に架橋させてもよい。架橋は、熱または光架橋であってもよい。
【0139】
本発明のポリマーは、架橋性基で置換されていてもよい。この置換基は、式(I)の繰り返しユニットに結合してもよくおよび/または存在する場合は共繰り返しユニットに結合してもよい。好適な架橋性基としては、反応性炭素−炭素二重結合、例えばビニルおよびアクリレート基、特にCH
2基を含む二重結合基を含む基、および置換されていてもよいベンゾシクロブタンを含む基が挙げられる。
【0140】
[実施例]
モノマー実施例1
【化18】
【0141】
モノマー実施例2
モノマー2を以下の方法に従って調製した。
【化19】
【0142】
化合物1:
無水酢酸(408.36g,4mol)を、4,4’−ジブロモジフェン酸(400g,1mol)に添加した。得られたスラリーを撹拌し、一晩還流加熱し、次いで60℃に冷却した。酢酸(600ml)を添加し、撹拌された混合物を1時間還流加熱し、次いで室温まで冷却した。得られた褐色固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、真空オーブン(50℃,約2日間)で乾燥させ、褐色固体として化合物1(368.42g,96%)を得た。
【0143】
化合物2:
フェニルリチウム(346.1ml,ジ−n−ブチルエーテル中の1.8M,0.623mol)を、乾燥窒素下、無水THF(1.5L)中の化合物1(119g,0.312mol)の撹拌された冷却(−78℃)溶液に滴下した。反応混合物を、約2時間撹拌し、次いで室温まで加温し、一晩撹拌した。次いで反応混合物を、氷/水浴中に冷却し、水(200ml)を滴下し、混合物を真空下で濃縮して、暗褐色ワックス状固体を得た。固体を、ジエチルエーテル中に溶解し、水で2回洗浄し、水性構成成分をジエチルエーテルで抽出し、合わせた有機抽出物を、無水MgSO
4で乾燥し、溶媒を真空下で除去して褐色油を得た。油を塩酸(2Mの水溶液)中で撹拌し、褐色沈殿物を得て、これを濾過し、粉砕した(ヘキサン)。このプロセスにより、褐色固体を得て、これをさらなる精製なしに次の段階で使用した。
【0144】
化合物3:
クロロベンゼン(750ml)を化合物2(160g,0.297mol)に添加し、淡褐色スラリーを得た。トリフルオロ酢酸(750ml)を撹拌混合物に添加し(色が直ちに淡褐色から黒色に変化した)、すべての残留材料を溶解させた。撹拌された混合物を、2日間還流加熱し、次いで室温まで冷却した。水(300ml)を添加して、反応をクエンチした。生成物を、エチルアセテート(5×500ml)に抽出し、水で洗浄し、水性抽出物をさらなる分量のエチルアセテートで抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO
4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去して、固体としての化合物3を得た(139.06g,90%)。
【0145】
化合物4
化合物3(139g,0.267mol)を乾燥窒素雰囲気下、激しく撹拌しながらドライトルエン(1L)に溶解した。塩化チオニル(33.6ml,0.452mol)を添加し、撹拌混合物を24時間還流加熱し、塩化水素を発生させた。混合物を室温まで冷却し、トルエンおよび過剰の塩化チオニルを真空蒸留によって除去し、褐色固体を得て、さらに精製することなく使用した。
【0146】
化合物6:
亜鉛顆粒(32.93g,0.504mol)および塩化リチウム(21.35g,0.504mol)を、激しく撹拌しながら真空下に165℃に90分間加熱し、次いで乾燥窒素雰囲気を導入した。次いでヨウ素(4.26g,16.8mmol)および乾燥THF(500ml)を撹拌混合物に添加し、これは直ちに褐色溶液を形成し、10分かけて脱色した。混合物を還流加熱し、7−ブロモエチルトリデカン(5,93g,0.336mol)を一度に添加した。加熱は、約65時間継続し、GCMSは、完全な反応が生じたことを明らかにした。材料は、精製することなく後続の段階で使用した。
【0147】
化合物7:
シアン化銅(33.1g,0.370mol)および塩化リチウム(31.3g,0.738mol)を、激しく混合しながら真空下で165℃に5時間加熱した。撹拌した混合物を室温まで冷却し、乾燥THF(500ml)を添加し、混合物を15分間冷却した(氷/塩浴)。化合物6(0.336mol,想定)をカニューレによって添加し、混合物を15分間撹拌した。化合物4(0.267mol,想定)を混合物にカニューレによって迅速に添加し、撹拌された混合物を室温まで一晩加温した。水酸化ナトリウム(水性10%w/v,約500ml)を混合物に添加し、これを5分間共に撹拌した後、THFを真空下で除去した。生成物をヘキサン(約1L)に抽出し、混合物を分離した。有機相をブリーチに対して1時間撹拌し、有機相を分離し、無水MgSO
4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。得られた固体をシリカプラグに通過させ(ヘキサン,溶出のためにDCMの体積フラクションを増大させる)、橙色油(87g,46%)を得た。LCMSは、類縁メチルエステル(約19%)および化合物5のエステル(約5%)の存在を明らかにしたが、これは容易に分離できなかった。混合物をさらに精製することなく進めた。
【0148】
化合物8:
トリフルオロ酢酸(350ml,3.78mol)を化合物7(85g,0.121mol)に添加し、混合物を撹拌した。トリエチルシラン(100ml,2.4mol)を混合物に添加し、これを一晩共に撹拌した。TLCは、不完全な反応を明らかにしたので、追加のトリエチルシラン(40ml)を添加し、混合物を60℃に加熱し、反応をさらに2時間継続させた。温度を70℃に増大させ、反応を一晩継続させた。得られた沈殿物を濾過し、水およびアセトニトリルで洗浄した。次いで固体をシリカプラグに通過させ(10%DCM/ヘキサン)、次いでヘキサン/アセトニトリルから再結晶化させた。得られた固体を2回エチルアセテート/IPA、トルエン/メタノールおよびトルエン/アセトニトリルから再結晶化させ、次いでDCM中に溶解させ、メタノールから沈澱させ、無色の固体として化合物8を得た(29.69g,36%,HPLCによる99.7%純度)。
【0149】
ポリマー実施例1
以下のモノマーのポリマーを、国際公開第00/53656号に記載されるようなSuzuki重合によって調製した:
【化20】
【0150】
ポリマー実施例1のガラス転移温度オンセットは116℃であった。
【0151】
比較ポリマー1
比較のために、モノマー2を非置換2−7−ジブロモ−9,9−ジフェニルフルオレンで置き換えた以外は、ポリマー実施例1について記載される通りにポリマーを調製し、比較ポリマー1を調製した:
【化21】
【0152】
比較ポリマー1のガラス転移温度オンセットは155℃であった。
【0153】
ポリマー実施例2
以下のモノマーのポリマーを、国際公開第00/53656号に記載される通りにSuzuki重合によって調製した:
【化22】
【0154】
デバイス実施例1
以下の構造を有するOLEDを調製した:
ITO/HIL/HTL/EL/カソード
ここでITOはインジウムスズオキシドであり;HILは、Plextronics,Inc.から入手可能な365nm厚さのホール注入層であり、HTLは、以下に記載されるモノマーのSuzuki重合によって形成されたホール輸送ポリマーの堆積および架橋によって形成された22nm厚さのホール輸送層である;ELは、90mol%のポリマー実施例1および10mol%の添加ポリマーのブレンドから形成された70nm厚さのエレクトロルミネッセンス層である。添加剤ポリマー1は以下に示されるモノマーのSuzuki重合によって形成された;カソードは、2nm層のフッ化金属、100nm層のアルミニウムおよび100nm層の銀から形成されるカソードである。
【0155】
ホール注入層、ホール輸送層およびエレクトロルミネッセンス層をそれぞれ、スピンコーティングによって堆積した。ホール輸送層のスピンコーティングの後、ホール輸送ポリマーの架橋性基を架橋するために、この層を180℃で1時間加熱した。
【0156】
エレクトロルミネッセンス層を堆積した後、160℃で10分間加熱した。
【0157】
添加剤ポリマーおよびホール輸送ポリマーを形成するために使用されたモノマーを以下に示す。これらのポリマーはそれぞれ、国際公開第00/53656号に記載される通りのSuzuki重合によって形成した。
【0159】
添加剤ポリマーは、発光ポリマーからの三重項励起子を受容し、三重項−三重項消滅を可能にし、これがデバイスの蛍光発光に寄与し得る。
【0161】
比較デバイス1
ポリマー実施例1に代えて比較ポリマー1を使用した以外は、デバイス実施例1に従ってOLEDを調製した。
【0162】
図2を参照して、デバイス実施例1(実線)および比較デバイス1(破線)のエレクトロルミネッセンススペクトルは、わずかに短いピーク波長にシフトする。
図3を参照して、デバイス実施例1のT
60(すなわち、デバイスの輝度が、一定の電流にてそのオリジナル値の60%に降下するのにかかる時間)は顕著に長い。いかなる理論にも束縛されないが、寿命のこうした改善は、比較ポリマー1を含有するフィルムに比べてポリマー実施例1を含有するポリマーのフィルムにおける改善されたフィルムモルホロジーによるものであり得ると考えられる。
【0163】
デバイス実施例2
以下に記載される発光ポリマーおよび添加剤ポリマーとしてのポリマー実施例2を90:10のモル比で含む混合物によってエレクトロルミネッセンス層を形成した以外は、デバイス実施例1に従って、デバイスを調製した。
【0164】
デバイス実施例2の発光ポリマーは、以下のモノマーの国際公開第00/53656号に記載される通りのSuzuki重合によって形成された:
【化25】
【0165】
比較デバイス2
ポリマー実施例2を上記で記載される添加剤ポリマー1で置き換えた以外は、デバイス実施例2に従って、デバイスを調製した。
【0166】
図4を参照して、添加剤ポリマーとしてポリマー実施例2を含有するデバイス実施例2が、比較デバイス2よりも長い寿命を有することがわかる。
【0167】
本発明は、特定の例示的な実施形態の観点で記載されているが、本明細書に開示される特徴の種々の変更、代替および/または組み合わせは、以下の特許請求の範囲に示される、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかであることが理解される。
【国際調査報告】