特表2015-514826(P2015-514826A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-514826(P2015-514826A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(54)【発明の名称】電気的可分性ポリアミド接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 177/00 20060101AFI20150424BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20150424BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20150424BHJP
   C09J 177/08 20060101ALI20150424BHJP
【FI】
   C09J177/00
   C09J11/04
   C09J11/06
   C09J177/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-561411(P2014-561411)
(86)(22)【出願日】2013年3月12日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2013054972
(87)【国際公開番号】WO2013135677
(87)【国際公開日】20130919
(31)【優先権主張番号】102012203794.2
(32)【優先日】2012年3月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100197594
【弁理士】
【氏名又は名称】川添 雅史
(72)【発明者】
【氏名】ライマー・ホイヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート・コパニア
(72)【発明者】
【氏名】キアラン・マカードル
(72)【発明者】
【氏名】マヌエラ・シュトゥーフェ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーナ・コルベ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EE002
4J040EG001
4J040EH002
4J040EJ022
4J040EL052
4J040GA05
4J040GA07
4J040GA13
4J040HD13
4J040JB01
4J040KA32
4J040LA01
4J040LA06
4J040LA09
4J040NA19
(57)【要約】
10,000〜250,000g/モルの分子量(MW)を有する少なくとも1つのポリアミド20〜90重量%;少なくとも1つの有機または無機塩1〜25重量%;更なる添加剤0〜60重量%を含むメルト接着剤であって、該接着剤は100℃〜220℃の軟化点を有する、メルト接着剤。さらに、基材の可逆的接着接合方法であって、該接着接合は電圧の適用後に張力下で解除される、方法が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 10000〜250000g/モルの分子量(M)を有する少なくとも1つのポリアミド20〜90重量%、
− 少なくとも1つの有機または無機塩1〜25重量%、
− 更なる添加剤0〜60重量%
を含むホットメルト接着剤であって、
該接着剤は100℃〜220℃の軟化点(環球法、ISO 4625−1)を有する、ホットメルト接着剤。
【請求項2】
ポリエーテル、ポリメチレンスルフィド、ポリホスファゼン、ポリエチレンイミン、または2〜10個のOH基を有するポリオールから選択される、極性基を含む化合物5〜25重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
極性基を含む化合物は、i)2または3個のOHまたはNH基を含み、かつ350〜10000g/モルの分子量を有するポリエーテル、および/またはii)1000g/モル未満の分子量を有する2価〜6価のポリオールから選択されることを特徴とする、請求項2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記塩は、K、Na、Li、テトラアルキルホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルアンモニウム、N-アルキル置換環式5または6員環アミン、N-アルキル置換芳香族5員環イミダゾリンから選択されるカチオンを含み、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状基がアルキル基として含まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
前記塩は、i)有機酸としての、脂肪族C2〜C6モノ-またはジカルボン酸、芳香族モノ-またはジカルボン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、またはii)有機スルホアミドとしての、アセスルファメート、サッカリネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、またはトリフルオロメタンカルボニル-トリフルオロメタンスルホニルイミドから選択されるアニオンを含むことを特徴とする、請求項4に記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
前記塩の分子量は1000g/モル未満であることを特徴とする、請求項4または5に記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
前記塩は25℃において液体であることを特徴とする、請求項6に記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
前記ポリアミドは、酸成分に基づいて、少なくとも50モル%のダイマー脂肪酸を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項9】
前記ポリアミドは、アミン成分に基づいて、少なくとも1〜30モル%のポリエーテルアミンを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項10】
層としての接着剤は、電圧の作用下においてその接着強度が低下することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項11】
1〜10のいずれかに記載のホットメルト接着剤の層を9〜80Vの間の電圧に曝すことを特徴とする、ホットメルト接着接合の解除方法。
【請求項12】
前記層を、好ましくは80℃未満において、さらに加熱することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記層は、5μm〜1mmの厚みを有することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
2つの基材およびその間に配置された接着剤層の複合材料であって、接着剤層は請求項1〜10のいずれかに記載のホットメルト接着剤からなる、複合材料。
【請求項15】
固体またはフレキシブル基材が基材として接合され、該基材またはその表面が導電性であることを特徴とする、請求項14に記載の複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の影響下においてその接着強度が減少する、層としての、ポリアミドに基づくホットメルト接着剤に関する。本発明はさらに、ポリアミドから構成され、イオン伝導性成分を含む接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体を含む接着剤、ならびに固体において伝導性を生じ得る種々のイオン液体が知られている。
【0003】
US 2004/0097755には、水素結合を生成し得るイオン性組成物が記載されている。この組成物は、100℃以下の融点を有し、第4級アミン塩を含むと言われている。アミン塩および有機成分の比率は、1:1.5および1:2.5の間であるはずである。
【0004】
US 7,183,433には、100℃以下の凝固点を有するイオン性組成物が記載されている。また、第4級または中和アミンが塩として記載されている;低分子量物質、例えばウレア、エステル、ケトン、フェノール、またはアミドが有機成分として記載されている。
【0005】
WO 2008/150227は、接着強度を有すると言われる電気的軟化性接着剤組成物であって、前記接着強度は電圧の適用下で減少する、組成物を特許請求する。しかし、この組成物はイオン伝導特性を有すると言われている。この組成物は、特にイオン伝導性チャンネルを生成する粒子および繊維を含むと言われている。イオン伝導性粒子の性質および組成に関してさらに述べられているが、その記載は、対応する結合剤に関するさらなる仕様はない。
【0006】
WO 2001/05584およびUS 2008/0283415 A1には、種々のポリマーおよびイオン伝導性物質からなる接着剤が記載されている。これらは、アクリレートおよび/またはエポキシに基づく1または2成分反応性接着剤である。その接着強度は、アクリレート基またはエポキシ基の反応によって確立される。
【0007】
従来技術による組成物は、一部には、ホットメルト接着剤としての使用にあまり適当でない。ポリマー性ベース成分が用いられない場合、その融点または凝固点は比較的低く、その結果、通常の外気温でさえ強力な接合を確保しない。イオン伝導性チャンネルを生成する物質の使用は、使用可能な組成物を制限する。接着剤におけるポリマーは、その特性の観点から、ホットメルト接着剤に対する要件に合致しなければならない。職業上の安全性に関してごくわずかな制限を要求するそれらの成分を選択することがさらに有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0097755号公報
【特許文献2】米国特許第7183433号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/150227号
【特許文献4】国際公開第2001/05584号
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0283415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、ホットメルト接着剤として、ホットメルト塗布に必要な特性を示すホットメルト接着剤を提供することである。この接着剤はさらに、安定した形態で混和性であり、対応する使用に対して融点に殆ど影響しないイオン性物質を含むことを表す。この組成物はさらに、接着剤層として2つの基材の間に適用される場合に良好な接着接合を生じることを表す。接着剤層を通して横方向への電圧の適用下において、接着接合が弱められ、その結果、基材の互いからの解除が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、− 10,000〜250,000g/モルの分子量(MW)を有する少なくとも1つのポリアミド20〜90重量%;− 少なくとも1つの有機または無機塩1〜25重量%;− 更なる添加剤0〜60重量%を含むメルト接着剤であって、該接着剤は80℃〜220℃の軟化点を有する、メルト接着剤によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
重量平均分子量(MW)、ならびに数平均分子量(MN)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて決定される。
【0012】
本発明はさらに、2つの基材を互いに可逆的に接着接合する方法であって、この2つの基材は、溶融した接着剤を用いて互いに接着接合され、この接着剤層は、電圧の適用下において時間とともに後にその接着強度を喪失し、基材は互いから離れることができる、方法に関する。
【0013】
本発明による組成物は、ポリアミドを含まなければならない。これにより、ホットメルト接着剤としてのその使用に必要な特性、例えば接着強度、接着性、密着性、溶融挙動、または安定性が接着剤に付与される。これらの基本的な特性は、必要に応じて、添加剤および添加物質を用いて修飾することができる。
【0014】
ホットメルト接着剤に適当なポリアミドは、ジアミンと反応させた有機ポリカルボン酸から得ることができる。その成分は、広い範囲内で変えることができる;ジカルボン酸およびジアミンが特に適当である。脂肪族または芳香族カルボン酸が含まれてよく、好ましくはダイマー脂肪酸も適当である。ホットメルト接着剤としての使用に対して、これらのポリアミドは、高温、例えば100〜220℃で溶融することを表す。ポリアミドは、室温において固体である。カルボン酸およびアミンは、ゲル化および架橋反応生成物が得られないように選択しなければならない。かかるポリアミドは、原理上、当業者に既知である。
【0015】
適当なポリアミドの1つの群は、ジカルボン酸およびジアミンに基づいて製造することができるものである。例えば、ダイマー脂肪酸不含有ポリアミドに基づくポリアミドを、本発明により適当なポリアミドとして選択することができる。これらは、
− 80〜100モル%の1以上のC4〜C24ジカルボン酸、
− 20〜0モル%の他のモノ-、ジ-、またはトリカルボン酸、
− 10〜90モル%の少なくとも1つの脂肪族ジアミン、
− 10〜80モル%の1以上の脂環式ジアミン、
− 0〜50モル%のポリオキシアルキレンジアミン
から製造することができ、
用いられるジアミンおよびカルボン酸の総量は、それぞれの場合、100モル%を生じる。
【0016】
適当なポリアミドの別の群は、ダイマー脂肪酸およびポリアミンに基づいて製造することができるものである。例えば、次の成分から構成されるポリアミドを用いることができる:
− 50〜98モル%のダイマーまたはポリマー脂肪酸、
− 2〜50モル%のC6〜C24脂肪族または脂環族ジカルボン酸、
− 0〜10モル%のC12〜C18モノカルボン酸、
ここで、その総量は100モル%を生じ、および
− 100〜60モル%の脂肪族および/または脂環族ジアミン、
− 0〜40モル%のポリオキシアルキレンジアミン、
ここでその総量は100モル%を生じる。
【0017】
本発明に関して「ダイマーまたはポリマー脂肪酸」は、天然原料の二量化によって既知の方法で得ることができるものである。それは、不飽和長鎖脂肪酸から製造され、その後、蒸留精製される。これに関して「技術的(technical)」ダイマー脂肪酸は、純度に応じて、5%未満の一塩基性脂肪酸、実質的にC18脂肪酸、例えばリノレン酸またはオレイン酸、98重量%以下のC36二塩基性脂肪酸(厳密な意味でのダイマー脂肪酸)、および少量の高級多塩基性脂肪酸(「トリマー脂肪酸」)を含む。ポリマー脂肪酸混合物におけるモノマー、ダイマー、およびトリマー脂肪酸の相対比率は、用いる開始化合物の性質、ならびに重合、二量化、またはオリゴマー化条件および蒸留分離の程度に依る。蒸留精製されたダイマー脂肪酸は、98重量%以下のダイマー脂肪酸を含む。更なる処理工程において、これらのダイマー脂肪酸は、水素化されてもよい。この種の水素化ダイマー脂肪酸は、本発明によって用いてもよい。
【0018】
他の適当なカルボン酸として、またはダイマー脂肪酸に加えて、ポリアミドの酸成分は、C4〜C24ジカルボン酸を含むことも表す。かかるジカルボン酸の例は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、グルタル酸、スベリン酸、またはピメリン酸、またはその混合物である。種々の芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、または上記のジカルボン酸の混合物が、合成反応において用いられてもよい。
【0019】
種々の10〜18個の炭素原子を有する長鎖アミノカルボン酸、例えば11-アミノウンデカン酸、ラウリルラクタム、またはε-カプロラクタムを添加することが同じく可能である。
【0020】
ジアミン成分は1以上の脂肪族ジアミンから実質的になり、ここで、アミノ基は、炭素鎖の末端に位置する。脂肪族ジアミンは、2〜20個の炭素原子を含み得、ここで、脂肪族鎖は直鎖状または分岐鎖状であってよい。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、1,4-ジアミノブタン、1,3-ペンタンジアミン、メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-(2-アミノメトキシ)エタノール、2-メチルペンタメチレンジアミン、C11-ネオペンタンジアミン、ジアミノプロピルメチルアミン、または1,12-ジアミノドデカンである。特に好ましい第1級アルキレンジアミンは、偶数個の炭素原子を有するC2〜C12ジアミンである。
【0021】
アミノ成分は、環状ジアミンまたは複素環式ジアミン、例えば1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、シクロヘキサンビス(メチルアミン)、イソホロンジアミン、ジメチルピペラジン、ジピペリジルプロパン、ノルボルナンジアミン、またはm-キシリレンジアミンをさらに含んでよい。特定の実施態様では、アルキレンジアミンおよび環状ジアミンの混合物が用いられる。
【0022】
ポリアミドがより大きい柔軟性を有することを意図する場合、ポリオキシアルキレンジアミン、例えばポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、またはポリテトラヒドロフランジアミンがさらに用いられてよい。これに関してポリオキシアルキレンジアミンは、好ましくは150〜4000g/モルの間、好ましくは300〜3000g/モルの間の分子量(数平均、MN)を有する。その量は、特に2〜30モル%のアミン成分であってよい。
【0023】
使用可能な1官能性、2官能性、または3官能性原料を選択する場合、可溶性、すなわち非架橋性の生成物が得られることに注意すべきである。溶融におけるより低い粘度は、直鎖状ポリアミドを構築することによって得られる。
【0024】
一般に、アミンおよびカルボン酸の量は、同量のアミン/カルボン酸が存在するように選択される;カルボキシルまたはアミン末端基を有するポリアミドを得ることができる。例えば、酸価は1〜20mgKOH/gの間であり得る(DIN 53176)。短鎖ジアミンおよび脂肪族ジカルボン酸、および多量のダイマー脂肪酸の選択によって、ポリアミドの粘度および粘度/温度プロフィール、および軟化点の両方が確立され得、その結果、このメルト接着剤が本発明による使用に適当である。分子量(GPCによって得ることができる重量平均分子量MW)は、10,000〜250,000g/モル、特に150,000g/モル以下であり得る。
【0025】
対応するポリアミドは、溶融状態において、1000〜100,000mPasの間(220℃で測定、Brookfield Thermosel RVT、EN ISO 2555)、好ましくは50,000mPas以下、特に1000〜10,000mPasの粘度を有することを表す。適当なポリアミドの軟化点は、100〜220℃の間(ISO 4625-1を通じた環球法[ring-and-ball])、特に140℃より高く200℃までであることを表す。
【0026】
本発明による好ましく適当な実施態様では、50〜75モル%のダイマー脂肪酸、25〜50モル%の6〜24個の炭素原子、特にC6〜C18を有する脂肪族または脂環族ジカルボン酸、および0〜10モル%のモノカルボン酸(その総量は100モル%を生じる)から製造されるポリアミドが使用される。
【0027】
別の好ましい実施態様では、特に2〜12個の炭素原子を有する、脂肪族および脂環族ジアミンの混合物70〜98モル%、およびp-テトラヒドロフランまたはポリプロピレングリコールに基づくポリオキシアルキレンジアミン2〜30モル%(その総量はまた100モル%を生じる)の混合物としてアミンが使用される。
【0028】
ポリアミドの製造方法は既知である:原料を溶融、乾燥し、高温時に互いに反応させる。生じる反応水を混合物から除去する。適当な分子量が得られると、ポリマーを充填し冷却する。ポリマーは、ブロック状、棒状、粒状で充填してよい。しかし、ポリマー合成後に更なる添加剤を直接添加してもよい。
【0029】
ホットメルト接着剤は、通常の添加剤と共に本発明による適当なポリアミドから製造することができる。例えば、可塑剤、接着促進剤、安定剤、消泡剤、均展剤、または充填剤がさらに含まれてよい。可塑剤は組成物の可塑性を増加させる;例えば、エステル、長鎖アミン、スルホン酸エステル等の極性可塑剤が使用可能である。さらに充填剤を少量使用してよく、例えばケイ酸塩、タルク、炭酸カルシウム、粘土、カーボンブラック、またはカラーペーストもしくは顔料である。電導性顔料および充填剤は好ましくは使用しない。しかし、特に、メルト接着剤は、ごく少量(5重量%未満)の顔料または充填剤しか含まない;特には、それは充填剤を含まない。
【0030】
ある実施態様では、ホットメルト接着剤において90重量%以下の量でポリアミドが使用される。また、更なるメルト接着剤ポリマーが含まれてよく、例えばポリウレタン、ポリアクリレート、またはポリエステルである;これらは、溶融においてポリアミドと混和性でなければならず、安定な均質溶融物を生成しなければならない。更なるポリマーの量は、ポリアミドの量に基づいて30%以下であり得る。
【0031】
さらに組成物は酸化防止剤を含んでよい。立体障害性フェノールまたは芳香族アミン由来物タイプの酸化防止剤が特に適当であり、ポリマーの量に基づいて2.5重量%以下の量である。適当な添加剤は当業者に既知であり、当業者は意図する用途およびその特性に従ってそれを選択することができる。
【0032】
本発明によれば、メルト接着剤は少なくとも1つの有機または無機塩を含むことが必要である。これは、室温(25℃)において液体または固体であり得る塩状化合物であるとして理解される。それは、固体塩、およびいわゆる「イオン液体」であってよい。この塩は、ポリアミドにおいて溶融して存在し得る;それは分散状態であってよい;それはポリマー基と関連し得る。イオン性または中性化合物が以下に挙げられるが、これらは、それぞれの場合、対応する塩において存在するイオン性構造体として理解される。同じく、対応する塩が結合状態で結晶水を含んでもよい。
【0033】
例えば、有機酸の塩、例えば脂肪族C2〜C6モノ-またはジカルボン酸、芳香族モノ-またはジカルボン酸、トリフルオロメタンスルホン酸のリチウム、ナトリウム、またはカリウム塩を用いてよい。別の実施態様では、その塩のカチオンとして、アニオンとして上記の酸またはハロゲン化物を含む有機第4級化合物が使用される。更なる好ましい実施態様では、アニオンとして、スルホン基を含む有機化合物、例えばトリフルオロメタンスルホネート、環状構造体としてアセスルファメートまたはサッカリネート、または直鎖状構造体としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはトリフルオロメタンカルボニル-トリフルオロメタンスルホニルイミドが用いられる。
【0034】
適当な有機カチオンは、例えば次の構造体の第4級化合物である:テトラアルキルホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルアンモニウム、NT-アルキル置換環状5または6員環アミン、N+-アルキル置換芳香族5員環イミダゾリン、ここで、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状基がアルキル基として用いられる。このアルキル基は同一または異なってよい。このアルキル基は、必要に応じてOH基で置換されてもよい。原理上、種々のアニオンおよびカチオンは、その化合物がその後に塩状の特性を示すのであれば、組み合わせることができる。好ましい実施態様において、塩状化合物は40℃より高い融点を有することを表す。
【0035】
特に適当なカチオン性基の例は、テトラアルキル置換窒素化合物、例えばN-テトラブチルアンモニウム、N-トリメチル-N-ブチルアンモニウム、N-トリエチル-N-ベンジルアンモニウム、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチル-N-トリオクチルアンモニウム;OH官能性化テトラアルキルアミン、例えばトリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)、アセチルコリン、N-メチル-N-ヒドロキシエチルシクロヘキシルアミン;トリアルキル置換硫黄化合物、例えばトリエチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム;5員環窒素複素環化合物、例えばN-アルキルイミダゾリウム由来物、例えば1-メチル-3-エチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-メチル-3-ノニルイミダゾリウム、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-4-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-2-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム;6員環窒素複素環化合物、例えばアルキル置換ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム化合物、例えば1-ブチルピリジニウム、1-ブチル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-プロピル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-3-プロピルピペリジニウム、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム、1-ブチル-3-メチルピロリジニウム、1-ヘキシル-3-メチルピロリジニウム、および類似化合物である。
【0036】
一部の用途に対して、アニオンとしてハロゲン化物を用いることが好ましい。テトラフルオロボレート、トリフルオロメタンスルホネート、芳香族ジカルボキシレート、例えばフタル酸およびその異性体由来物、スルホン基含有化合物、例えばアセスルファメート、サッカリネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドまたはトリフルオロメタンカルボニル-トリフルオロメタンスルホニルイミドが、アニオンとして特に適当である。
【0037】
好ましい実施態様において、フタル酸水素カリウム、リチウムトリフラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルフェート、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、塩化コリン、コリンアセスルファメート、および/またはコリンサッカリネートが、イオン伝導性成分として用いられる。
【0038】
そのためポリアミドとは異なる更なる成分として、本発明によるホットメルト接着剤は、塩との混和を促進する極性化合物をさらに含んでよい。これは、例えば、ポリホスファゼン、ポリメチレンスルフィド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリエチレンイミン等のポリマーである。低分子量ポリオールを用いてもよい。この化合物は、室温(25℃)において固体または液体であってよい。
【0039】
適当な極性化合物の1つの群は、低分子量の2〜10価脂肪族ポリオールである。これは、1000g/モル以下、好ましくは500g/モル以下の分子量(MN)を有することを表す。特に、3〜6個のOH基が含まれることを表す。その例は、ポリオール、例えばネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、糖アルコール例えばグルコース、アラビノース、キシロース、マンニトール、ソルビトール、アラビノース、または複数のOH基を有する他の化合物である。
【0040】
ポリエーテル構造を有する化合物が特に適当であり、特に2〜4個のOH基またはNH基を有するポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。かかるポリエーテルは商業的に取得可能である。10,000g/モル未満、好ましくは350〜5000g/モルの分子量(MN)を有するポリエーテルポリオールが特に適当である。このポリエーテルは固体または液体であってよい。
【0041】
極性化合物を、単独または混合物として用いてよい。その量は、ホットメルト接着剤に基づいて、0〜25重量%、特に5〜20重量%である。その量は、その化合物の物理的状態にも基づく;接着剤は、まだ室温において固体で存在することを表す。
【0042】
この極性化合物は部分的に吸湿性であることが既知である。化合物の完全乾燥が不要であることが見出された。適当なポリアミドが無水で製造されてもよいが、それは貯蔵時において水を吸収することが多い。本発明によればメルト接着剤が2重量%以下の水を含んでよい。
【0043】
ポリアミドに対して好ましい組成物は、
− 75〜30モル%のダイマー脂肪酸、
− 25〜70モル%のC6〜C24ジカルボン酸、
− 0〜10モル%のモノカルボン酸、
− 66〜98モル%の少なくとも1つのC12以下の脂肪族ジアミン、
− 1〜25モル%の少なくとも1つの脂環族ジアミン、
− 1〜30モル%のポリエーテルジアミン、好ましくはポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールに基づくもの
であり、ここで、ジアミンおよびカルボン酸の総量はそれぞれ100モル%に等しい。わずかに過剰のアミンが含まれてよく、その結果、アミン末端ポリアミドが生じる。
【0044】
本発明による好ましい接着剤組成物は、
− 70〜30重量%のポリアミド、
− 1〜30重量%の無機または好ましくは有機塩、
− 0〜25重量%の少なくとも1つの極性化合物、
− 0.1〜20重量%の添加剤
からなる。
【0045】
特定の実施態様では、極性化合物として300〜5000g/モルの分子量を有するPEGまたはPPGが含まれる;別の好ましい実施態様では、塩として第4級アミノ化合物およびスルホン基含有有機化合物のものが用いられる。
【0046】
メルト接着剤混合物の製造法は当業者に既知である。添加剤を、溶融状態においてポリアミドに混合してよい。重縮合が抑えられている場合、ポリアミドの合成において添加剤が既に添加されていてもよい。既知の混合装置を使用することができる:溶解機、ニーダー、押出機等。本発明による接着剤を次に冷却し、その後すぐに貯蔵することができる。
【0047】
本発明によるホットメルト接着剤を、ホットメルト接着剤として塗布してよい。それは100〜220℃の軟化点を有する。それは、例えば220℃以下の温度において溶融させることができ、流動可能な状態で基材上に塗布される。本発明によるメルト接着剤の粘度は、150〜220℃の塗布温度において500〜25,000mPasの範囲であり得る。その粘度は、利用法に適用させることができ、その結果、温度を上昇させることによって高い粘度を下げることが知られている。直後に、第2の基材を接着剤層に対して押しつけ、物理接着接合が冷却後に生成される。当業者は、メルト接着剤を溶融および塗布するための装置について熟知している。接着剤層の層厚みは同じく当業者に既知であり、当業者はその技術的知識に従ってそれを選択することができる。その層厚みは、通常5〜1000μmの間、特に10〜500μmである。冷却後、固体となった層は、接着接合を生じる。それは非晶質であってよいが、結晶成分を有してもよい。
【0048】
また本発明の目的は、本発明による接着剤層と互いに解除可能に接続された2つの基材である。その基材は、広い範囲内で変わってよい。しかし、それは表面において洗浄されることを表す;必要に応じて、更なるプライマー層または他のコーティングを塗布してもよい。既知のプラスチック、金属、セラミック、または他の基材を基材として用いてよい。基材は固体であり硬質であり得る;フレキシブル基材、例えば単層または多層フィルムを接合してもよい。本発明によれば基材が伝導性を示す場合が有用である。これは、基材自体の伝導性によって達成することができ、基材は、伝導性コーティングを有してよく、または、例えば導電性成分を基材中に組み込む。本発明によるホットメルト接着剤は、金属性基材またはプラスチック基材を接着接合するのに特に適当である。
【0049】
本発明によって生成した接着接合は、電圧の適用によって再度解除することができる。
【0050】
電圧を接着剤層に垂直に、すなわち一方の基材から他方の基材への方向で適用することがこの目的のために必要である。本発明による方法によれば、電圧は9〜100ボルト、特に15〜75ボルトであることが必要である。DC電圧が特に適当である。本発明による接着接合は必要な作動時間後に解除させることができることが見出された。接着性の減少が観察される;2つの基材を、垂直な張力または横方向のせん断下で互いから解除することができる。接着性損失の速度は、塩の量および性質によって影響され得る。より早い分離、例えば10〜60秒が所望であれば、その量を増加させることができる。より早い接着性損失が望ましくないのであれば、例えば2〜5分であれば、少ない量が十分である。
【0051】
本発明の特定の実施態様では、さらに接着剤層が加熱される。特に、80℃以下、特に40〜70℃への加熱が有用である。それにより、接着剤は流動性とならない;生じるのは、電圧の適用に伴う接着性損失のみである。接着接合損失が好ましく観測される。接着剤の薄層のみが存在するため、加熱を素早く行うことができ、それによって、実質的に基材の分離が簡素化される。
【0052】
加熱方法は、一般に当業者に既知である。それは、高温ガス、例えば高温空気を含み得る;放射線源を用いてよい;例えば、IRまたはNIR放射を利用することができる。同じく、超音波を用いて接着剤層を加熱することができる。
【0053】
本発明による接着剤は、複数の基材を接着接合することができる。導電性基材を用いる場合、接着接合は再度、可逆的に解除することができる。高温の際に、メルト接着剤を適用し、接合させる。接合場所を必要に応じて再度解除することができ、その結果、基材の分離が可能である。特に、基材への接着の接着性損失が観察できる。接着接合の意図的でない解除は、2工程メカニズムの好ましい形態によってさらに防がれる。
【実施例】
【0054】
ポリアミド1:
【0055】
既知の製造方法を用いて、100モル%のドデカンジカルボン酸、50モル%のピペラジン、30モル%のJeffamine D 400、および20モル%のエチレンジアミンから縮合によって、水を蒸発させながら、ポリアミドを製造した。
【0056】
このポリアミドは次の値を示す:
MW 13,000g/モル
粘度 9000mPas(225℃)
軟化点 170℃。
【0057】
ポリアミド2:
【0058】
既知の製造方法を用いて、0.1重量部のステアリン酸、19.3重量部のアゼライン酸、69.3重量部のダイマー脂肪酸、15.1重量部のピペラジン、および3.6重量部のエチレンジアミンから縮合によって、水を蒸発させながら、ポリアミドを製造した。0.6重量部の安定剤を混合した。
【0059】
このポリアミドは次の値を示す:
MW 15,500g/モル
溶融粘度 4000mPas(225℃)。
【0060】
接着剤1:
【0061】
7.4gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)を、14.6gのJeffamine D400に添加し、塩が溶解するまで室温で攪拌する。
【0062】
78gのポリアミド1を200℃で溶解させ、攪拌しながら添加剤を添加し、200℃で約8分間混合する。
【0063】
次に接着剤を室温に冷却してよい。
【0064】
接着剤2:
【0065】
4.7gのリチウムトリフルオロメタンスルホネートを、17.3gのJeffamine D400に添加し、塩が溶解するまで室温で攪拌する。
【0066】
78gのポリアミド2を200℃で溶解させ、攪拌しながら添加剤を添加し、200℃で約8分間混合した。
【0067】
次に接着剤を室温に冷却してよい。
【0068】
接着剤3:
【0069】
4.3gの塩化コリンを17.1gのJeffamine D400に添加し、室温で攪拌する;分散体が製造される。
【0070】
78gのポリアミド2を200℃で溶融させ、攪拌しながら添加剤を添加し、200℃で約8分間混合する。
【0071】
次に接着剤を室温に冷却してよく、固体となる。
【0072】
この3つの接着剤をそれぞれ、190℃で溶解させ、洗浄し脱グリース処理したアルミニウム試験片上に塗布し、次に直ぐに第2のアルミニウム試験片に接合させた。このサンプルを室温で2時間放置した。
【0073】
これら測定片は、良好な接着性を示す。基材への電圧の適用後(48V、5分)、接着強度は減少し、張力下において基材を互いに分離することができる。測定片を65℃に加熱すると、同じく接着強度が減少し、同じく張力下において基材を互いに分離することができる。電圧を基材に適当し(48V、5分)、同時に複合材料を65℃に加熱すると、接着強度をほぼ完全に損失される。その後、非常にわずかな張力を用いて、非常に容易に基剤を互いに分離することができる。
【0074】
【表1】
【国際調査報告】