特表2015-534264(P2015-534264A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-534264基板処理システム及び基板を処理する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534264(P2015-534264A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】基板処理システム及び基板を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20151030BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20151030BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/06 Z
   C23C14/56 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-530304(P2015-530304)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月15日
(86)【国際出願番号】EP2012067656
(87)【国際公開番号】WO2014037057
(87)【国際公開日】20140313
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グラウ, オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】コパラル, エルカン
【テーマコード(参考)】
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BA03
4K029BA08
4K029BA11
4K029BA45
4K029BA50
4K029BB02
4K029CA05
4K029DC13
4K029JA01
4K029KA01
4K029KA02
4K029KA03
4K029KA09
5F131AA03
5F131BA03
5F131BB13
5F131CA32
5F131DA05
5F131DA33
5F131DA42
5F131DA52
5F131DA68
5F131DC22
5F131DC23
5F131GA05
5F131GA26
5F131GA32
(57)【要約】
基板処理システムが提供される。当該基板処理システムは、前端モジュール、ロードモジュール及び処理モジュールを含む。モジュールは、これらのモジュール間での搬送方向に沿った基板移送のために、配置される。前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールのうちの少なくとも1つは、基板又は基板キャリアを支持するための少なくとも2つの個別トラックを提供する、移送デバイスを含む。基板移送デバイスの当該少なくとも2つのトラックの2つ又はそれ以上は、搬送方向に直角の切り替え方向に互いに対して移動し得る。少なくとも第1のロードモジュール、第2のロードモジュール、及び処理モジュールの各々は、デュアルトラック移送デバイスを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端モジュール、
ロードモジュール、及び
処理モジュール
を備える、基板処理システムであって、
前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールは、これらモジュール間での搬送方向に沿った基板移送のために配置され、
前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールのうち少なくとも1つは、基板もしくは基板キャリアを支持するための少なくとも2つの個別のトラックを提供する移送デバイスを備え、少なくとも2つのトラックのうち2つ以上は、互いに、搬送方向に対して直角の切り替え方向に可動である、
基板処理システム。
【請求項2】
前端モジュールは、基板又は基板キャリアを支持するための2つのトラックを提供するデュアルトラック移送デバイスを備える、デュアルトラックスイングモジュールであり、2つのトラックは、互いに、切り替え方向に可動である、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
処理モジュールは、前端モジュールで始まるモジュールの列の最後のモジュールであり、処理モジュールは、基板又は基板キャリアを支持するための2つのトラックを提供するデュアルトラック移送デバイスを含み、2つのトラックは、切り替え方向に、互いに対して可動である、請求項1又は2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前端モジュール及び処理モジュールのうち少なくとも1つの、移送デバイスの2つのトラックは、切り替え方向に互いを通過するために可動である、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項5】
(a)デュアルトラック移送デバイスを含み、任意選択的に、互いに、切り替え方向に可動である2つのトラックを提供する、第2の処理モジュール、及び
(b)デュアルトラック移送デバイスを含む第3の処理モジュール
のうち少なくとも1つを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項6】
ロードモジュールは第1のロードモジュールであり、基板処理システムは第2のロードモジュールを備え、
これらモジュール間の基板移送のために、第1のロードモジュールは前端モジュールに連結され、第2のロードモジュールは第1のロードモジュールに連結され、
第1のロードモジュールは、第1のロードモジュールを中真空へとポンプダウンするように適合される第1のポンプシステムに連結され、第2のロードモジュールは、第2のロードモジュールを高真空へとポンプダウンするように適合される第2のポンプシステムに連結され、
第1のロードモジュールは、基板又は基板キャリアを支持するための2つの静止トラックを提供する第1の固定されたデュアルトラック移送デバイスを含み、第2のロードモジュールは、基板又は基板キャリアを支持するための2つの静止トラックを提供する第2の固定されたデュアルトラック移送デバイスを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前端モジュール、
第1のロードモジュール、
第2のロードモジュール、及び
処理モジュール
を備える、基板処理システムであって、
前端モジュール、第1のロードモジュール、第2のロードモジュール、及び処理モジュールは、これらのモジュール間での搬送方向に沿った基板移送のために配置され、
第1のロードモジュール、第2のロードモジュール、及び処理モジュールの各々は、基板又は基板キャリアを支持するための、及び、基板又は基板キャリアを少なくとも搬送方向に移動させるための、厳密に2つの個別のトラックを提供する、デュアルトラック移送デバイスを備える、
基板処理システム。
【請求項8】
基板処理システムは、デュアルトラック基板処理システムであり、前端モジュールは、基板又は基板キャリアを支持するための、及び、基板又は基板キャリアを少なくとも搬送方向に移動させるための、厳密に2つの個別のトラックを提供する、デュアルトラックスイングモジュールである、請求項7に記載の基板処理システム。
【請求項9】
基板処理システムにおいて基板を処理する方法であって、
基板を、基板処理システムの真空部分へと、搬送方向に沿って移送すること、
真空部分の処理モジュールにおいて、基板を支持している第1のトラックと、第2のトラックとの間で、搬送方向に直角の切り替え方向の、相対的な移動を実施すること、及び
真空処理モジュールにおいて、基板上に層を堆積すること
を含む、方法。
【請求項10】
真空処理モジュールは、デュアルトラック真空処理モジュールであり、第2のトラックは空であり、第1のトラックと第2のトラックとが切り替え方向の相対的な移動中に互いを通過する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
基板を第1のトラックから隣接するモジュールへと移送すること、及び同時に、第2の基板が第2のトラックによって支持されるように、第2の基板を隣接するモジュールから処理モジュールへと移送することを含み、
隣接するモジュールは第2の処理モジュール又はロードモジュールである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
処理モジュールにおいて、空である第1のトラックと第2の基板を支持している第2のトラックとの間で切り替え方向の相対的な移動を実施することを含み、第1のトラックと第2のトラックとは切り替え方向の相対的な移動中に互いを通過する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板処理システムは、基板を真空部分へと移送するための、及び、基板を真空部分から受けるための、第1のデュアルトラックロードモジュール及び第2のデュアルトラックロードモジュールを含み、方法は、
基板を第1のデュアルトラックロードモジュールの第1の静止トラックから、第2のデュアルトラックモジュールの空の第1の静止トラックへと移送することを含み、及び同時に、さらなる基板を第2のデュアルトラックロードモジュールの第2の静止トラックから第1のデュアルトラックロードモジュールの空の第2の静止トラックへと移送することを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
基板支持システムは、基板を第1のデュアルトラックロードモジュールへと移送するための、及び、基板を第1のデュアルトラックロードモジュールから受けるための、デュアルトラックスイングモジュールを含み、方法は、
デュアルトラックスイングモジュールにおいて、基板を支持している第1のトラックと空である第2のトラックとの間で切り替え方向の相対的な移動を実施することを含み、第1のトラックと第2のトラックとは切り替え方向の相対的な移動中に互いを通過する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
基板をデュアルトラックスイングモジュールの第1のトラックから、第1のデュアルロードモジュールの空の第1の静止トラックへと移送し、及び同時に、さらなる基板を第1のデュアルトラックロードモジュールの第2の静止トラックからデュアルトラックスイングモジュールの第2のトラックへと移送することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板移送のための移送デバイスを含む基板処理システム、及び、基板処理システムにおいて基板を処理する方法に関する。幾つかの実施形態は、実質的に垂直に配向された基板を処理するための基板処理システムに関する。特に、幾つかの実施形態は、デュアルトラック基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばTFTメタライゼーションプロセスなどの幾つかの技術的応用においては、基板上に、異なる材料の層が交互に堆積される。これは典型的には、例えばスパッタリングステップなどのコーティングステップ又は堆積ステップのシーケンスで行われ、エッチング又は構造化などの他の処理ステップもまた、様々な堆積ステップの前や、間や、後に行われる。例えば、「材料1」−「材料2」−「材料1」のシーケンスで多重層スタックを堆積することができる。種々の処理ステップにおけるコーティング速度や層の厚さの違いにより、層を堆積するための処理チャンバにおける処理時間は、大幅に変動し得る。
【0003】
多重層スタックを堆積するために、処理モジュールの幾つかの構成を提供することができる。例えば、堆積モジュールのインライン配置及びクラスタ配置を使用することができる。典型的なクラスタ配置は、中央ハンドリングモジュール及びこれに接続される幾つかの処理モジュール又は堆積モジュールを備える。コーティングモジュールは、同じ又は異なるプロセスを実施するように装備されてよい。典型的なインラインシステムは、幾つかの後続する処理モジュールを含み、複数の基板がインラインシステムで連続的に又は準連続的に処理されるように、処理ステップは1つのチャンバとその他のチャンバとで順に実行される。
【0004】
クラスタツールは異なるサイクル時間を可能にするが、基板のハンドリングがかなり複雑化し、中央ハンドリングチャンバに設けられる複雑な移送システムを要求する。インラインシステムにおける処理タクトは、典型的には最長の処理時間によって決まる。2つの搬送経路を用意して、コーティング中の第2の基板を第1の基板が追い越せるようにする。
【0005】
それでもなお、基板処理システムを改善することが求められており、所与の出力容量に対してモジュール数を低減してコストを削減することや、同一又は同等のモジュール数に対して出力容量を増大させることなどである。タクトタイムを減少させるように改善されたプロセス実施方法、及び、そのような方法を実施することが可能なシステムも求められている。
【発明の概要】
【0006】
上記に照らして、独立請求項によるシステム及び方法が提示される。さらなる詳細は、従属請求項、明細書の記載、及び図面から理解することができる。
【0007】
一実施形態によれば、基板処理システムが提供される。当該基板処理システムは、前端モジュール、ロードモジュール及び処理モジュールを含む。基板処理システムは、第2のロードモジュールを含んでもよい。モジュールは、これらのモジュール間での搬送方向に沿った基板移送のために、配置される。前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールのうちの少なくとも1つは、基板又は基板キャリアを支持するための少なくとも2つの個別トラックを提供する、基板移送デバイスを含む。基板移送デバイスの当該少なくとも2つのトラックの2つ又はそれよりも多くは、搬送方向に直角な切り替え方向に互いに対して移動し得る。基板移送デバイスはデュアルトラック基板移送デバイスであり得、当該デュアルトラック基板移送デバイスの2つのトラックは、搬送方向に対して直角の切り替え方向に、互いに対して可動であり得る。少なくとも第1のロードモジュール、第2のロードモジュール、及び処理モジュールの各々は、デュアルトラック移送デバイスを含み得る。
【0008】
別の実施形態によれば、基板処理システムにおいて基板を処理する方法が提供される。当該方法は、基板を搬送方向に沿って基板処理システムの真空部分へと移送することを含む。当該方法は、第1のトラックと第2のトラックとの間の相対的な移動を実施することをさらに含む。第1のトラックは基板を支持する。相対的な移動は、真空部分の処理モジュールにおいて、搬送方向に対して直角の切り替え方向(switch direction)に実施される。方法は、真空処理モジュールにおいて基板上に層を堆積することをさらに含む。
【0009】
本発明は、記載した方法ステップを実施するための装置部分を含めて、開示した方法を実行するためのシステムにも係わっている。これらの方法ステップは、ハードウェアコンポーネント、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータ、これら2つの任意の組み合わせ、又は任意の他の方式によって実施できる。さらに、本発明は、記載したシステムが動作する又は製造される方法にも係わっている。これは、当該システムのすべての機能を実行するための方法ステップを含む。
【0010】
上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、より具体的な説明を得ることができる。添付の図面は実施形態に関連し、以下の記述において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態による、基板処理システムの概略図を示す。
図2】実施形態による、基板処理システムの概略図を示す。
図3】実施形態による、基板処理システムの概略図を示す。
図4】実施形態による、基板上に1つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図5】実施形態による、基板上に1つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図6】実施形態による、基板上に1つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図7】実施形態による、基板上に1つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図8】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図9】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図10】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図11】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図12】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図13】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図14】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図15】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図16】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図17】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図18】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図19】実施形態による、基板上に3つの層を堆積する基板処理方法の概略図、及び、対応する基板処理システムを示す。
図20】実施形態による、移送デバイスを示す。
図21】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図22】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図23】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図24】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図25】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図26】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図27】実施形態による、移送デバイスの基板支持素子を示し、移送デバイスにおいて基板を移動させる方法を示す。
図28】実施形態による、基板を処理する方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、各図に一又は複数の例が示されている様々な実施形態を細部にわたり参照する。各例は説明として提示されており、限定を意味するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を用いて、または他の実施形態と組み合わせて、さらに別の実施形態を得ることができる。本開示は、このような修正形態又は変形形態を含むことが意図されている。
【0013】
図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ又は類似のコンポーネントを指す。全体的に、個々の実施形態に関して相違点のみが説明される。対応する実施形態のより深い理解のために、図示される構造は必ずしも縮尺通り又は角度通り描かれておらず、特徴が強調されていることがある。
【0014】
本明細書で使用する「方向」という用語は、ベクトル方向(「AからBへ」)の意味に限定されず、直線をたどることのできる両方のベクトル方向(「AからBへ」及び「BからAへ」)を含む。例えば、垂直方向は上へ及び下への両方の概念を含む。したがって、図面において、方向は、2つの頭部を備えた矢印で示される。
【0015】
本明細書で使用する「基板」という用語は、ガラス基板などの基板を包含する。したがって、基板は、典型的には、1.4m及びそれを上回るサイズの、典型的には5m及びそれを上回るサイズの大面積基板である。例えば、5.5m(Gen8.5)、9m(Gen10)など又はこれらよりも大きい、1.43m(Gen5)及びこれを上回る基板サイズが実現可能である。
【0016】
典型的には、基板は垂直に配向される、又は、実質的に垂直に配向される。したがって、実質的に垂直に配向される基板は、例えば、最大で15°又は最大で10°の、例えば、5°〜7°又はそれ未満の数度の傾斜を伴う安定した移送を可能にするために、処理システム内で、垂直配向からの幾らかの偏差を有することができることを理解されたい。したがって、基板は、実質的に又は本質的に垂直に配向されると称される。その最大表面(前面及び背面)に対する法線が実質的に水平に配向される場合、すなわち、法線が最大で数度の、例えば最大で15°又は最大で10°の、例えば5°から7°もしくはそれ未満の傾斜を有する場合、基板は実質的に垂直に配向される。最大表面のうちの少なくとも1つ、すなわち、前面及び背面のうちのすくなくとも1つは、典型的には、基板処理システムにおいてコーティングされ、同システム内で、実施形態による基板移送デバイスが使用できる。実質的に水平に配向される基板は、最大で15°又は最大で10°など、5°から7°もしくはそれ未満など、最大で数度、垂直方向から傾斜される、その最大表面に対する法線を有する。
【0017】
一実施形態によれば、基板処理システムが提供される。当該基板処理システムは、実質的に垂直に配向された基板を処理する、具体的にはコーティングするためのシステムであり得る。基板処理システムは、インラインシステムであり得る。基板処理システムは、前端モジュール、ロードモジュール及び処理モジュールを含む。基板処理システムは、さらなるロードもしくは処理モジュール、例えば、第2のロードモジュール及び/又は第2の、第3の、もしくは第4の処理モジュールを含み得る。2つのロードモジュールを備える実施形態において、第1のロードモジュールは、第1のロードモジュールを中真空へとポンプダウンするように適合される第1のポンプシステムに連結され得、第2のロードモジュールは、第2のロードモジュールを高真空へとポンプダウンするように適合される第2のポンプシステムに連結され得る。中真空は、約0.1mbarなど、0.05mbar〜1mbarの間の範囲にあり得る。高真空は0.001mbar又はこれ未満であり得、典型的には、約510−5mbarなど、10−5mbar〜10−4mbarの範囲にあり得る。
【0018】
幾つかの実施形態で、前端モジュールは、基板をキャリアにロードするために適合される。前端モジュールは、基板処理システムの大気部分、すなわち、真空下にない部分を形成し得る。一又は複数のロードモジュールは、基板処理システムの大気部分と真空部分との間のロックであり得る。ロードモジュールは、基板もしくは基板キャリアを真空部分内へとロードする又は真空部分内からアンロードすると見なされ得る。真空部分は、一又は複数の処理モジュールを含み得る。一又は複数の処理モジュールは、一又は複数の真空処理モジュールであり得る。基板処理システムの真空部分のモジュール内に、高真空が存在し得る。
【0019】
前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールは、これらのモジュール間での搬送方向に沿った基板移送のために、配置され得る。基板は、各々のキャリアで移送され得る。基板処理システムは、搬送方向に、互いに平行に伸びる少なくとも2つの搬送経路を有し得る。典型的には、基板処理システムは、第1の搬送経路及び第2の搬送経路を有する。第1の搬送経路及び第2の搬送経路は、搬送方向に対して直角の方向に、互いに対して変位される。この方向が切り替え方向と称される。
【0020】
前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールのうちの少なくとも1つは、例えば、デュアルトラック基板移送デバイス又はトリプルトラック基板移送デバイス、又はクアドラプルトラック基板移送デバイスなどの基板移送デバイスを含む。処理モジュールは、前端モジュールから始まるモジュールの列における、最後のモジュールであり得る。処理モジュールは、基板移送デバイスを含み得る。デュアルトラック基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するための2つの個別トラックを提供し、トリプルトラック基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するための3つの個別トラックを提供し、クアドラプル基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するための4つの個別トラックを提供し、nタプル(n−tuple)トラックの基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するためのn個の個別トラックを提供し、ここでnは自然数である。トラックは、基板又は基板キャリアを支持することができる、画定されたスペースである。トラックは、基板支持アセンブリ又はその支持素子によって画定され得る。nタプルトラックの基板移送の、任意の数mのトラックは、搬送方向に対して直角の少なくとも一方向に、具体的には切り替え方向に、互いに対して可動であり得、ここで、mは0からnの範囲外の整数である。換言すれば、基板移送デバイスの少なくとも2つのトラックのうち、2つ又はこれを上回るものは、少なくとも切り替え方向に、互いに対して可動であり得る。デュアルトラック基板移送デバイスで、2つのトラックは、搬送方向に対して直角の少なくとも一方向に、具体的には切り替え方向に、互いに対して可動であり得る。
【0021】
例えば、トラックが全く移動されることができない固定されたデュアルトラック基板移送デバイスと比較して、又は、国際出願第2009/156196A1に記載の硬直的に可動なトリプルトラック移送手段のような、硬直的にのみ可動な(only rigidly moveable)移送デバイスと比較して、この種のデュアルトラック基板移送デバイスは、相対的に可動なデュアルトラック基板移送デバイスと称される。「硬直的に可動な」という用語は、トラックが、互いの固定距離を維持したまま、グループとして又は組み合わせとしてのみ移動されることができることを意味する。国際出願第2009/156196A1号の内容は、本開示の内容と適合する限りにおいて、参照により本明細書に組み込まれる。2つのトラックの切り替え方向の相対的な移動が可能であることによって、国際出願第2009/156196A1に記載の硬直的に可動なトリプルトラックの解決策と比較して、処理モジュール内で基板上への層の堆積が実施される、処理領域におけるスペースを節減することができる。このスペースを節減することにより、堆積プロセスの質に好影響を与えることができる。相対的な移動が可能であることによりプロセスの実施に関する柔軟性も増大し、したがって、タクトタイムを削減した改善された基板処理の実施が可能となり得る。
【0022】
略説すれば、厳密に2つのトラックを含むモジュールは、例えば、デュアルトラックスイングモジュール又はデュアルトラック処理モジュールなど、デュアルトラックモジュールと称される。トラックが固定された場所を有するデュアルトラックモジュールは固定されたデュアルトラックモジュールと称され、2つのトラックが互いに対して移動されることができる上述のデュアルトラックモジュールは、相対的に可動なデュアルトラックモジュールと称される。移送デバイスは、例えば、トラックが固定された場所で静止している移送デバイスに対しては固定デュアルトラック移送デバイスなど、同様の命名法で称される。トリプル、クアドラプル、又はnタプルのデバイス、モジュール、及びシステムに対して、類似の命名法が適用される。これらは、場合によって、n個のトラックのうち相対的に可動なものがない場合には「固定された」又は「硬直的に可動な」と称され、n個のトラックのすべてが互いに相対的に可動である場合には「完全に相対的に可動な」と称される。簡略化するために、2つのトラックを備えるデュアルトラック基板移送デバイスを下記で説明する。記載するいかなる特徴も、トリプル、クアドラプル、及びnタプルのデバイス、モジュール、並びにシステムの、トラックもしくはコンポーネントの幾つか又はすべてにも、さらなる記載なく適用されることを理解されたい。
【0023】
基板移送デバイスの2つのトラックは、互いから独立して少なくとも切り替え方向に可動であり得る。前端モジュール、処理モジュール、又は移送モジュールなどの他のモジュールは、2つのトラックが切り替え方向に互いを通過するように構成され得る。互いを通過することは、下記を意味する。Xが、第1のトラック及び第2のトラックの法線に平行な法線を有する平面であると仮定し、ここで、平面Xは、切り替え方向に見たときにトラック間にはない。1つの時点で、第1のトラックが第2のトラックよりも切り替え方向に測定して平面Xにより近い場合、第1のトラックと第2のトラックとが互いを通過した後、近位性の関係が逆転する。通過後、切り替え方向に測定して、第2のトラックは第1のトラックよりも平面Xにより近い。2つのトラックが切り替えられたと称されてもよい。
【0024】
第1のトラックは第1の搬送経路と位置合わせされ、異なるときに、第2の搬送経路にも位置合わせされ得る。換言すれば、第1のトラックは、第1の搬送経路と位置合わせ可能であり、代替的に第2の搬送経路と位置合わせされ得る。第2のトラックは第1の搬送経路と位置合わせされ、異なるときに、第2の搬送経路にも位置合わせされ得る。換言すれば、第2のトラックは、第1の搬送経路と位置合わせ可能であり、代替的に第2の搬送経路と位置合わせされ得る。
【0025】
処理モジュールにおいて、第1のトラック及び/又は第2のトラックは、処理位置と位置合わせ可能であり得る。処理位置は、典型的には、第1の搬送経路及び第2の搬送経路よりも堆積ソースに近い。基板又は基板キャリアは、処理位置において、堆積マスクとの位置合わせに供され得る。堆積マスクは、堆積ソースに関して固定された場所で不動であることができる。処理位置は、処理モジュールにおける第1の搬送経路又は第2の搬送経路の一部分と一致することがある。しかしながら、ここで、堆積マスクが、及び可能な場合には堆積ソースさえもが、基板又は基板キャリアの方向に、層の堆積のために移動される必要があるかもしれない。処理モジュールは、1つよりも多い堆積ソース、例えば、2つの堆積ソースを含み得る。したがって、1つよりも多い処理位置が、処理モジュールごとに存在し得る。1つよりも多い堆積ソースを備える処理モジュールは、トリプルトラック又はクアドラプルトラックモジュールでさえあり得、例えば、完全に相対的に可動なトリプルトラック又はクアドラプルトラックモジュールであり得る。それらのトラックは、1つよりも多い処理位置と位置合わせ可能であり得る。
【0026】
図1は、基板処理システム1000の実施形態を概略的に示す。図1は、(実質的に)垂直に配向される基板が処理される場合には上面図を表し、例えば、スパッタダウン(sputter down)処理モジュールにおける(実質的に)水平に配向される基板が処理される場合には側面図を表す。基板処理システム1000は、前端モジュール1100、ロードモジュール1200及び処理モジュール1400を含む。処理モジュール1400は堆積ソース1450を含む。実施形態によれば、堆積ソースは例えば、スパッタソース、より具体的にはロータリターゲットスパッタソースであり得る。ロータリターゲットは、平面ターゲット技術と比較して優れたターゲット表面冷却を通じて、高堆積レートを可能にし得る。処理モジュール1400内に処理位置Pが示される。前端モジュール1100は、基板をキャリアへロードする及びキャリアからアンロードするための、スイングモジュールであり得る。スイングモジュールは、基板又は基板キャリアを支持するための2つのトラックを備えるデュアルトラック移送デバイスを含む、デュアルトラックスイングモジュールであり得、ここで2つのトラックは、切り替え方向に互いに対して可動である。代替的に、前端モジュールは、基板をロードする又はアンロードするための6軸ロボットなど、一又は複数のロボットを含み得る。さらなる代替例によれば、前端モジュールは、実質的に垂直な基板ロード及びアンロードのためのデバイスを含み得る。
【0027】
基板処理モジュール1000は、例えば、第2のロードモジュール1300及び/又は参照記号1500で示される一又は複数のさらなるモジュール、例えば、さらなる処理モジュールなどのさらなるモジュールを、任意選択的に含み得る。これらの任選択的なモジュールは、図1では破線で示されている。2つの搬送経路T1及びT2は搬送方向Tに沿って伸び、切り替え方向Sに離間されている。スイングモジュールの形態で実施される場合の前端モジュール1100は、2つのトラック1112及び1122を有する相対的に可動なデュアルトラック基板移送デバイスを含み得る。図1の両矢印は、トラック1112及び1122が互いに対して、又は、互いから独立して、少なくとも切り替え方向Sに可動であることを示す。処理モジュール1400は、2つのトラック1412及び1422を有する相対的に可動なデュアルトラック基板移送デバイスを含むように示されている。図1の両矢印は、トラック1412及び1422が互いに対して、又は、互いから独立して、少なくとも切り替え方向Sに可動であることを示す。
【0028】
モジュールは、隣接するモジュールのすべてのペア間での基板移送のために配置される。例えば、下記で詳述するように、各々の基板がロードされた基板又は基板キャリアは、隣接するモジュール間で交換され得、典型的には同時に交換され得る。基板又は基板キャリアは、例えば前端モジュール1100及び処理モジュール1400においてなど、少なくとも1つのモジュールにおいて、一方の搬送経路から他方の搬送経路へと支持するトラックと共に、相対的に可動な基板移送デバイスによって移動され得る。これにより、タクトタイム削減につながり得る素早い横断方向の移動が可能となる。さらに、基板又は基板キャリアを一方の搬送経路から他方の搬送経路へと移動させるためにハンドリングデバイスでハンドリングすることと比較して、基板又は基板キャリアをトラックと共に移動させる場合は、有害となり得る粒子が発生しない。
【0029】
図2は、前端モジュール1100、第1のロードモジュール1200、第2のロードモジュール1300、及び(第1の)処理モジュール1400、並びに任選択的な一又は複数のモジュール1500の各々において2つの平行線によって示されるように、デュアルトラックモジュールのみを含む基板処理システムの一実施形態を示す。デュアルトラックモジュールのみを含む基板処理システムは、略してデュアルトラック基板処理システムと称される。実施形態によるデュアルトラック基板処理システムは、例えば、1つ又は複数の層でのコーティングなどの基板処理を、従来のクラスタデザイン基板処理システムと同量の処理チャンバを使用する場合にはより高い出力容量で可能にする、又は、従来のクラスタデザイン基板処理システムと比較して同じ出力容量であるが使用処理チャンバ数を減らして、可能にすることができる。さらに、例えば本明細書でより詳細に説明されるプロセス実施で、素早いタクトタイムが実現する。
【0030】
前端モジュール1100、第1のロードモジュール1200、第2のロードモジュール1300、及び処理モジュール1400は、搬送方向Tに沿った隣接するモジュールのすべてのペア間の基板移送のために、配置される。モジュールのデュアルトラック移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するため並びに基板又は基板キャリアを少なくとも搬送方向に移動させるための、厳密に2つの個別トラックを備える。基板又は基板キャリアは、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて、例えば、インライン基板処理システムの第1のモジュール及び最後のモジュールにおいて、1つの搬送経路T1から別の搬送経路T2へと移動され得る。
【0031】
図3は、基板処理システムのさらなる実施形態を示す。一実施形態によれば、基板上に1つの層を、例えばITO層又はIGZO層を、堆積するように適合される基板処理システムが提供される。この基板処理システムはデュアルトラック基板処理システムである。これは、少なくとも切り替え方向Sに互いに対して可動な2つのトラック1112及び1122を備える、相対的に可動なデュアルトラック前端モジュール1100、固定されたトラック1215及び1225を備える第1の固定されたデュアルトラックロードモジュール1200、固定されたトラック1315及び1325を備える第2の固定されたデュアルトラックロードモジュール1300、並びに、少なくとも切り替え方向Sに互いに対して可動な2つのトラック1412及び1422を備える、相対的に可動なデュアルトラック処理モジュール1400からなる。処理モジュール1400における堆積ソースは、例えば、ロータリITOスパッタターゲット又はロータリIGZOスパッタターゲットを包含する。この基板処理システムにおいて1つの層で基板をコーティングするための可能なプロセスの実施が、図4〜7に関して説明される。
【0032】
図3に示すさらなる実施形態によれば、基板上に3つの層を、例えばMo−Al−Mo層構造を、堆積するように適合される基板処理システムが提供される。この基板処理システムはデュアルトラック基板処理システムである。これは、少なくとも切り替え方向Sに互いに対して可動な2つのトラック1112及び1122を備える、相対的に可動なデュアルトラック前端モジュール1100、固定されたトラック1215及び1225を備える第1の固定されたデュアルトラックロードモジュール1200、固定されたトラック1315及び1325を備える第2の固定されたデュアルトラックロードモジュール1300、少なくとも切り替え方向Sに互いに対して可動な2つのトラック1412及び1422を備える、第1の相対的に可動なデュアルトラック処理モジュール1400、並びに、少なくとも切り替え方向Sに互いに対して可動な2つのトラック1512及び1522を備える、第2の相対的に可動なデュアルトラック処理モジュール1500からなる。処理モジュール1400における堆積ソースは、例えば、ロータリMoスパッタターゲットを包含し得る。処理モジュール1500における堆積ソースは、例えば、ロータリAlスパッタターゲットを包含し得る。この基板処理システムにおいて3つの層で基板をコーティングするための可能なプロセスの実施が、図8〜14に関して説明される。
【0033】
同様の基板処理システムが、基板上に2つの層を、例えばMo−Cu層構造を、堆積するために適合され得る。ここで、処理チャンバ1400はロータリCuスパッタターゲットを包含し得、したがって処理チャンバ1500はロータリMoスパッタターゲットを包含し得る。この場合、チャンバ1400内の移送デバイスは、相対的に可動なデュアルトラック基板移送デバイスである必要はない。少なくとも、第1のトラック及び第2のトラックのトラック切り替えもしくはトラック交換、又は、両トラックの個別の移動が可能である必要がない。チャンバ1400内の基板移送デバイスは、例えば、処理位置と処理位置に隣接する搬送経路とに位置合わせ可能な1つの可動トラック、並びに、他方の搬送経路に位置する1つの固定されたトラックを備える、デュアルトラック移送デバイスであり得る。
【0034】
さらなる実施形態によれば、基板上に3つの層を、例えばMo−Al−Mo層構造を、堆積するように適合される基板処理システムは、第3の処理モジュールを含み得る。第1の基板処理モジュールの第1の堆積ソース及び第2の基板処理モジュールの第2の堆積ソースがMoスパッタターゲット及びAlスパッタターゲットをそれぞれ包含する一方で、第3の処理モジュール内の堆積ソースは、例えば、ロータリMoスパッタターゲットを含み得る。この実施形態で、第1の処理モジュール及び第2の処理モジュールは、相対的に可動なデュアルトラック基板移送デバイスを含むことができるが、必須ではない。幾つかの実施形態では、インラインで設けられた数個の処理モジュールのうち最後の処理モジュールのみが、トラック切り替え又はトラック交換能力を備えた相対的に可動なデュアルトラック基板移送デバイスを含む。その他の処理モジュールは、例えば、処理位置及び処理位置に隣接する搬送経路と位置合わせ可能な1つの可動トラック、並びに、他方の搬送経路に位置する1つの固定されたトラックを備える、デュアルトラック移送デバイスを含み得る。さらなる実施形態によれば、デュアルトラック前端モジュールは、6軸ロボットなどの一又は複数のロボットを含む前端モジュールに替えてもよい。
【0035】
図4〜7は、図3に関連して基板処理システムを示し、ここで、前端モジュール1100はロック910によって第1のロードモジュール1200に連結され、第1のロードモジュール1200はロック920によって第2のロードモジュール1300に連結され、第2のロードモジュールはロック930によって処理モジュール1400に連結される。図8〜19に示す処理モジュール1400、1500及び1600を連結するロック940及び950を含む、チャンバ間のロックは、それらを介したチャンバ間の基板移送を可能にする。少なくとも、真空部分におけるロック及びロードモジュール間のロック、例えば、ロック920、930、940、及び950は、真空気密であり得る。
【0036】
図4〜7で、並びに図8〜14及び図15〜19でも、基板又は基板キャリアを支持するように構成されるトラックは図示されていない。基板又はキャリアのルートを示すために基板又はキャリアのみが示されており、ここで、矢印は、現在図示されている状態に後続する移動を示す。後述では、略称として、いかなる限定も含意せずに、「キャリア」という語が参照される。さらに、キャリアのルーティングは典型的には循環プロセスであり、完全なサイクルと典型的にその後実施される任意のさらなるサイクルとを理解するために必要な部分のみが示されていることを理解されたい。解説を始める状態は、任意に選択されている。図4〜19は、基板を処理する方法の実施形態と共に、これらの図に示すキャリアルーティングスキームを含む、当該方法のすべての機能を実施するように適合された基板処理システムの実施形態を示す。
【0037】
図4〜7は、1つの層がすべての各基板上にコーティングされる、具体的なルーティングスキームを使用する実施形態を示す。図4で、キャリア12は第2の搬送経路T2上で前端モジュール1100に位置し、キャリア22は第1の搬送経路T1上で第1のロードモジュール1200に位置し、キャリア32は第2の搬送経路上で第2のロードモジュール1300に位置し、キャリア42は第1の搬送経路T1上で処理モジュール1400に位置している。処理された基板はキャリア12からアンロードされ、新しい基板がキャリア12にロードされる。キャリア12は、これを支持するトラックを伴い第1の搬送経路T1へと切り替え方向Sに移動され、他方のトラックはトラックの切り替えを実施し、キャリア42は、これを支持するトラックを伴い処理位置Pへと切り替え方向Sに移動され、他方のトラックはトラックの切り替えを実施し、図5に示す状態となる。
【0038】
キャリア42の基板は堆積ソース1450からコーティングを受ける、例えば、ロータリスパッタターゲットからITO又はIGZOコーティングを受ける。キャリア22及び32は、ロードモジュール1200及び1300間で同時に交換され、図6に示す状況となる。コーティングが完了すると、キャリア42は第2の搬送経路T2へと切り替え方向に移動される。キャリア22及び42は、モジュール1300及び1400間で同時に交換され、キャリア12及び32は、モジュール1100及び1200間で交換され、図7に示す状況となる。
【0039】
図7における状況は、以前キャリア12が占めていた位置を今度はキャリア32が占め、以前キャリア22が占めていた位置を今度はキャリア12が占め、以前キャリア42が占めていた位置を今度はキャリア22が占め、以前キャリア32が占めていた位置を今度はキャリア42が占めているのみで、図4に示す状況に相当する。処理された基板はキャリア32からアンロードされ、新しい基板がキャリア32にロードされ、キャリアが説明されたように順序を変えられて先述のようにプロセスは続行する。
【0040】
この方式で、例えば、約500Aの厚さを備えるITO層が、50秒未満の、約45秒もしくはそれ未満又は約38秒もしくはそれ未満などのタクトタイムで、すべての各基板上に堆積され得る。代替的な実施例では、約500Aの厚さを備えるIGZO層が、55秒未満の、約51秒もしくはそれ未満又は約38秒もしくはそれ未満などのタクトタイムで、すべての各基板上に堆積され得る。
【0041】
図8〜14は、3つの層がすべての各基板上にコーティングされる、具体的なルーティングスキームを使用する実施形態を示す。図8で、キャリア12は第1の搬送経路T1上で前端モジュール1100に位置し、キャリア22は第1の搬送経路T1上で第1のロードモジュール1200に位置し、キャリア32は第2の搬送経路上で第2のロードモジュール1300に位置し、キャリア42は第1の搬送経路T1上で第1の処理モジュール1400に位置し、キャリア82は処理位置Pで第2の処理モジュール1500に位置して堆積ソース1550からコーティングを受けている。キャリア42は、第2の搬送経路T2上で静止したままであり得る他方のトラックを通過して、モジュール1400における処理位置へと、これを支持するトラックを伴い切り替え方向Sに移動される。これにより、図9に示す状態となる。
【0042】
キャリア82の基板は堆積ソース1550からのコーティングを、例えばロータリスパッタターゲットからのAlコーティングを依然として受け、キャリア42の基板は堆積ソース1450からの第1のコーティングを、例えばロータリスパッタターゲットからの第1のMoコーティングを受ける。キャリア22及び32は、ロードモジュール1200及び1300間で同時に交換され、図10に示す状況となる。第1のコーティングが完了すると、キャリア42は第1の搬送経路T1へと切り替え方向に移動される。キャリア82は、例えば、厚いAlコーティングなどのより厚いコーティングが必要とされるので、堆積ソース1550からのコーティングを依然として受け得る。これにより、図11に示す状態となる。
【0043】
堆積ソース1550からのコーティングが完了すると、キャリア82は第2の搬送経路T2へと切り替え方向に移動される。キャリア42及び82は、モジュール1400及び1500間で同時に交換され、キャリア12及び32は、モジュール1100及び1200間で交換され、図12に示す状況となる。キャリア82は、図8に示すよりも前の状態で第1のコーティングを既に受けたと想定すると、堆積ソース1450からの第2のコーティング、例えば第2のMoコーティングを受けるために、第2の経路T2からモジュール1400における処理位置へと移動される。キャリア42は、堆積ソース1550からのコーティングを受けるために、第1の搬送経路からモジュール1500における処理位置へと移動される。処理された基板はキャリア32からアンロードされ、新しい基板がキャリア32にロードされる。キャリア32は、モジュール1100において第2の搬送経路T2から第1の搬送経路T1へと移動され、図13に示す状況となる。
【0044】
キャリア82の基板の第2のコーティングが完了すると、キャリア82の基板は3つの層によって、例えばMo−Al−Mo層構造によってコーティングされている。キャリア82は第2の搬送経路T2へと移動される。キャリア42の基板は、モジュール1500において依然としてコーティングを受け得る。キャリア82及び22は、ロードモジュール1300及び1400間で同時に交換され、図14に示す状況となる。
【0045】
図14における状況は、以前キャリア12が占めていた位置を今度はキャリア32が占め、以前キャリア22が占めていた位置を今度はキャリア12が占め、以前キャリア42が占めていた位置を今度はキャリア22が占め、以前キャリア82が占めていた位置を今度はキャリア42が占め、以前キャリア32が占めていた位置を今度はキャリア82が占めているのみで、図8に示す状況に相当する。図8〜13に関して先述したように、キャリアが説明されたように順序を変えられて、プロセスは続行する。
【0046】
この方式で、例えば、約500Aの厚さの第1のMo層、約3500Aの厚さのAl層、及び約500Aの厚さの第2のMo層のMo−Al−Mo層構造が、80秒未満の、例えば75秒又は70未満のタクトタイムで、すべての各基板上に堆積され得る。
【0047】
変形例では、3つの処理モジュールがMo−Al−Moの順でインラインで提供され、ここで、プロセスの実施が図4〜7と同様の環状プロセスであるがラインに3つの処理モジュールを備えるように、最後の処理モジュール及び前端モジュールがトラックの切り替えを実施する。2つの処理モジュールのみを備えるコンパクトなデザインはさらなる処理モジュールのコストを大幅に節減するが、環状プロセスの実施を伴う3つの処理モジュールの変形例は、タクトタイムを削減し得る。例えば70秒未満の、例えば68秒又は60秒を切るタクトタイムが達成され得る。例えば、比較的厚いAl層が2つの連続した処理モジュールで堆積され得る、層分割(layer split)技術が使用され、これにより3つ及び4つの処理モジュールとなる。これによりタクトタイムがさらに削減され、例えば約51秒など55秒未満となり得るが、さらなる処理モジュールという追加コストがかかる。
【0048】
さらなる変形例では、図8〜14に示す基板処理システムが、Mo−Cu構造などの2層構造を堆積するために使用され得る。このプロセスの実施は、ラインに2つの処理モジュールを備えるが図4〜7と同様の環状プロセスであるように、最後の処理モジュール例えばMo処理モジュール及び前端モジュールのみが、トラックの切り替えを実施する。約500AのMo層及び約6000AのCu層でのMo−Cu層構造の堆積は、75秒未満の、例えば70秒もしくはそれ未満の、又は50秒を切る例えば約48秒のタクトタイムで実施され得る。
【0049】
ここでも層分割技術が使用され得る。例えば、2つの連続したCu処理モジュール、すなわち合計で3つの処理モジュールが使用される場合、50秒未満の、例えば45秒又はそれ未満の38秒などのタクトタイムが、やはりさらなる処理モジュールの追加コストがかかるものの、同じ層構造で達成され得る。図15〜19は、そのようなタクトタイムを達成できる、層分割技術による2つの異なる層の堆積、例えば、Mo−Cu層構造の堆積を示す。
【0050】
図15〜19は、2つの異なる層がすべての各基板上にコーティングされる、具体的なルーティングスキームを使用する実施形態を示す。図15で、キャリア12は第2の搬送経路T2上で前端モジュール1100に位置し、キャリア22は第1の搬送経路T1上で第1のロードモジュール1200に位置し、キャリア32は第2の搬送経路上で第2のロードモジュール1300に位置し、キャリア42は第1の処理モジュール1400における処理位置に位置し、キャリア44は第1の搬送経路T1上で第1の処理モジュール1400に位置し、キャリア82は第2の処理モジュール1500における処理位置Pに位置し、キャリア84は第1の搬送経路T1上で第2の処理モジュール1500に位置し、キャリア92は第1の搬送経路T1上で第3の処理モジュール1600に位置している。処理モジュール1400における堆積ソース1450及び処理モジュールにおける堆積ソース1550は、同じターゲット材料、例えば、Cuを包含する。キャリア84は、第3の処理チャンバ1600で以前に第1の層でコーティングされたと仮定して、第2の層の第1の部分を受け、キャリア44は、第2の処理チャンバ1500において第2の層の第1の部分で、及び、第3の処理チャンバ1600において第1の層で、以前にコーティングされたと仮定して、第2の層の第2の部分を受ける。キャリア92は、それを支持しているトラックと共に、第3の処理モジュール1600における処理位置へと切り替え方向Sに移動される。処理された基板はキャリア12からアンロードされ、新しい基板がキャリア12にロードされ得る。キャリア12は第1の搬送経路T1へと移動される。これにより、図16に示す状態となる。
【0051】
キャリア22及び32は、ロードモジュール1200及び1300間で同時に交換される。キャリア44、84、及び92がコーティングステップを完了すると、これらはそれぞれ第2の搬送経路へと移動され、図17に示す状況となる。キャリア12及び32は、モジュール1100及び1200間で同時に交換される。キャリア22及び44は、モジュール1300及び1400間で同時に交換される。キャリア92及び82は、モジュール1500及び1600間で同時に交換される。これにより、図18に示す状態となる。
【0052】
処理された基板はキャリア32からアンロードされ、新しい基板がキャリア32にロードされる。キャリア84は、堆積ソース1450から第2のコーティングの第2の部分を受けるために、処理モジュール1400において第2の搬送経路T2から処理位置へと移動される。キャリア92は、堆積ソース1550から第2のコーティングの第1の部分を受けるために、処理モジュール1400において第2の搬送経路T2から処理位置へと移動される。これにより、図19に示す状態となる。
【0053】
図19における状況は、以前キャリア12が占めていた位置を今度はキャリア32が占め、以前キャリア22が占めていた位置を今度はキャリア12が占め、以前キャリア42が占めていた位置を今度はキャリア22が占め、以前キャリア82が占めていた位置を今度はキャリア42が占め、以前キャリア92が占めていた位置を今度はキャリア82が占め、以前キャリア84が占めていた位置を今度はキャリア92が占め、以前キャリア44が占めていた位置を今度はキャリア84が占め、以前キャリア32が占めていた位置を今度はキャリア44が占めているのみで、図15に示す状況に相当する。図8〜13に関して先述したように、キャリアが説明されたように順序を変えられて、プロセスは続行する。このプロセスの実施は環状プロセスであり、ここで、トラックの切り替えは前端モジュール1100と第3の処理モジュール1600とにおいてのみ発生する。
【0054】
下記では、移送デバイスの実施形態が記載される。移送デバイスのさらなる実施形態も、「基板処理システム及び基板を移動する方法(Substrate transfer device and method of moving substrates)」と題する、本願と同日に出願され同一の出願人に譲渡された、代理人整理番号17594P−WOのPCT出願においてより詳細に開示され、その内容は全体として本願に組み込まれる。これら移送デバイスのすべては、基板処理システムの実施形態と、それらのさらなる実施形態が得られるように、組み合わせて使用され得る。
【0055】
実施形態によれば、搬送方向に沿った基板移送のための移送デバイス、及び、搬送方向に沿って伸びる第1の搬送経路と第2の搬送経路との間の変更のための移送デバイスは、基板処理システムのモジュールにおいて、例えば、相対的に可動なデュアルトラック前端モジュールにおいて又は相対的に可動なデュアルトラック処理モジュールにおいて、提供され得る。移送デバイスは、第1のトラックを画定する第1の基板支持アセンブリを含み得る。移送デバイスは、第2のトラックを画定する第2の基板支持アセンブリをさらに含み得る。第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、少なくとも切り替え方向に、互いに対して可動であり得る。移送デバイスは、一又は複数のさらなるトラックを画定する、一又は複数のさらなる基板支持アセンブリを含み得る。さらなる基板支持アセンブリのうち任意のものが、第1の基板支持アセンブリ、第2の基板支持アセンブリ、及び/又はその他のさらなる基板支持アセンブリに対して、少なくとも切り替え方向に可動であり得る。簡略化するために、2つのトラックを備えるデュアルトラック基板移送デバイスのみを下記で説明する。記載するいかなる特徴も、トリプル、クアドラプル、及びnタプルの基板移送デバイスの、基板支持アセンブリの幾つか又はすべてにも、さらなる記載なく適用されることを理解されたい。
【0056】
さらに、前記同時係属出願の段落[0016]〜[0029]に記載の移送デバイスのいずれの特徴も、本明細書に記載の移送デバイスと組み合わせて使用され得る。これらの段落及び対応する図は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
図20は移送デバイス100を示す。トラックの搬送経路との位置合わせ、トラックの相対的な移動、及び互いを通過するトラックの状況が示されている。第1の搬送経路T1及び第2の搬送経路T2は、切り替え方向Sに測定した距離dで離間されている。第1のトラックは第1の基板支持アセンブリ110によって画定され、第2のトラックは基板支持アセンブリ120によって画定されている。基板支持アセンブリ110は、基板支持アセンブリ110の左の曲線矢印で示すように、任意選択で第1の搬送経路T1に位置合わせされ、任意選択で第2の搬送経路T2に位置合わせされる。第2の基板支持アセンブリ120もまた、第2の基板支持アセンブリ120の右の曲線矢印で示すように、任意選択で第1の搬送経路T1に位置合わせされ、任意選択で第2の搬送経路T2に位置合わせされる。図の中間部の2つの対向する矢印で示すように、第1の基板支持アセンブリ110は第2の基板支持アセンブリ120を、又は第2の基板支持アセンブリ120は第1の基板支持アセンブリ110を、通過し得る。移送デバイスが処理モジュールにおいて使用される場合、第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、任選択的に処理モジュールの処理位置とも位置合わせされ得る。
【0058】
先述の同時係属出願もまた、モジュールのさらなる詳細及びこれらが連結されて基板移送を可能にする方式を開示している。特に、前記同時係属出願の段落[0031]〜[0034]に記載のいずれの特徴も、記載のモジュールと組み合わせて使用され得る。これらの段落及び対応する図は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
図21〜23は、移送デバイス及び移送システム、及び、当該移送デバイス又は移送システムによって基板が移動され得る方法を示す。図21は、第1の支持素子312を含む第1の基板支持アセンブリ310、及び、第2の支持素子322を含む第2の基板支持アセンブリ320を示す。概略的に図示する支持素子は、例えば、磁気案内素子又はローラもしくはベルトなどの機械的支持素子を表す。
【0060】
図21に示すように、第1の基板支持アセンブリ310は基板50を支持する。支持は、少なくとも部分的に第1の支持素子312を介して提供される。支持素子312は、基板50又はそのキャリアを支持しながら処理位置Pに移動される。第2の基板支持アセンブリの第2の支持素子322は、第1の搬送経路T1へと移動される。基板50は、そのトラックにおいて支持されながら移動される。基板50及び第1の支持素子312は、処理位置Pへの移動の過程で第2の支持素子322を通過する。第1の支持素子312及び第2の支持素子322は、同時に移動し得る。代替的に、支持素子の組のうちの1つのみが移動する。例えば、基板50を支持している第1の支持素子312は、まず処理位置Pへと移動し得、次いで第2の基板支持素子322が第1の搬送経路T1との位置合わせへと移動し得る。いずれの場合にも、切り替え方向に、第1の支持素子と第2の支持素子との間で相対的な移動がある。
【0061】
図22は、基板50が処理位置Pにあり堆積ソース250からのコーティング層を受ける状況を示す。基板50上への層の堆積後、第1の支持素子312及び基板50は、キャリア50上の矢印で示すように、第2の搬送経路T2へと移動する。図23は、別の処理モジュール又はロードモジュール又は前端モジュールであり得る、さらなるモジュール500を示す。さらなるモジュール500は第2の移送デバイスを含む。
【0062】
第2の移送デバイスは、基板支持素子412及び422をそれぞれ含む、2つのさらなる基板支持アセンブリ410、420を含む。第2の基板60は、第1の搬送経路T1と位置合わせされ、基板支持素子412によって支持される。図23は、第2の搬送経路T2に沿ったチャンバ200からチャンバ500への第1の基板50の、及び、第1の搬送経路T1に沿ったチャンバ500からチャンバ200への第2の基板60の、同時の移送を示す。以前は空であった支持アセンブリ420の支持素子422は、チャンバ500において第1の基板50を受け、以前は空であった支持アセンブリ320の支持素子322は、チャンバ200において第2の基板60を受ける。基板処理は、続行され得る。基板60が移動されて、以前の基板50と同様の方式でコーティングされる。
【0063】
先述の同時係属出願もまた、このようなタイプ及び数の支持素子のさらなる詳細を開示する。特に、前記同時係属出願の段落[0035]〜[0036]及び[0043]〜[0046]に記載のいずれの特徴も、本明細書に記載の基板移送デバイスと組み合わせて使用され得る。これらの段落及び対応する図は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
第1の基板支持アセンブリは第1の支持素子を含み得、第2の基板支持アセンブリは第2の支持素子を含み得、第1の支持素子の少なくとも部分及び第2の支持素子の少なくとも部分は、回避(evasion)方向に、互いに対して可動であり得る。回避方向は、搬送方向に対して直角であり、切り替え方向に対して直角である。第1の基板支持アセンブリの第1の支持素子及び第2の基板支持アセンブリの第2の支持素子は、切り替え方向及び回避方向の両方に、互いに対して可動であり得る。第1の支持素子は、又は少なくともその部分は、回避方向に可動であり得る。付加的に又は代替的に、第2の支持素子は、又は少なくともその部分は、回避方向に可動であり得る。第1の支持素子及び第2の支持素子は、又は少なくともその各々の部分は、回避方向に独立して可動であり得る。
【0065】
回避移動のために、支持素子は傾斜されるように構成され得る。支持素子は、傾斜を通じて回避方向に変位をとり得る。図24〜27は、傾斜による回避移動を概略的に示す。図示の例は、垂直に位置合わせされた基板60及び基板キャリア62に関する。この例は、図21及び図22に示す基板50に類似した基板60の、移動を実現する具体的な実施形態と見なされることができる。傾斜角及び他の寸法は、図示のために誇張されている。
【0066】
図24は、堆積ソース250を含む真空モジュール200を示す。真空モジュール200は、堆積ソース250に対向する壁204を有する。搬送デバイスは、第1の基板支持アセンブリ310及び第2の基板支持アセンブリ320を有する。第1の基板支持アセンブリ310は、ローラ314の組及び磁気案内素子312の組を含む。第2の基板支持アセンブリ320は、現在基板60を保持している基板キャリア62を支持する、ローラ324の組及び磁気案内素子322の組を含む。ローラの軸は、真空モジュール200の壁204における開口を通って非真空領域600へと伸びる。
【0067】
キャリア62の基板60は、図21の第1の搬送経路に位置合わせされる。例えば、基板60及び基板キャリア62は、例えば図23と同様に、第1の搬送経路に沿ってこのモジュール内へと移送されてきた。第1の基板支持アセンブリの、現在は空の支持素子312及び314は、それらが存在する軸を傾斜することによって、回避方向Eに移動される。図24に示す実施形態で、一又は複数の磁気案内素子312は上方に移動され、ローラ素子314は下方に移動され、図25に示す状況となる。
【0068】
図25に示すように、支持素子312及び314が傾斜した第1の基板支持アセンブリ310は、壁204の方へと切り替え方向Sに移動され、支持素子322及び324が基板キャリア62を支持している第2の基板支持アセンブリ320は、堆積ソース250の方へと切り替え方向Sに移動される。
【0069】
図26では、基板キャリア62及び基板60は、第2のトラックによって支持されながら、処理位置へと移動されている。傾斜した支持素子312及び314は、第2の基板支持アセンブリ320の基板60及び支持素子322、324を通過すると、傾斜解除されることができる、すなわち、それらの軸が水平位置に戻されることができる。図27は、第1のトラックが第1の搬送経路と位置合わせされ、基板60を伴う第2のトラックが処理位置と位置合わせされている状況を示す。第1の基板支持アセンブリ310によって画定される第1のトラック、及び、第2の基板支持アセンブリ320によって画定される第2のトラックは、互いを通過した。基板の処理が完了した後、基板60及び基板キャリア62は左に移動されて第2の搬送経路と位置合わせされ、ここで、図23と同様に、隣接するチャンバとの基板の交換が実行される。
【0070】
先述の同時係属出願はまた、支持素子の傾斜能力についてのさらなる詳細も開示する。特に、前記同時係属出願の段落[0048]〜[0062]に記載のいずれの特徴も、記載の基板移送デバイスと組み合わせて使用され得る。これらの段落及び対応する図は、参照により本明細書に組み込まれる。当該同時係属出願はさらに、基板支持素子のピボット移動の形態の、代替的な回避移動を開示する。段落[0063]〜[0068]に記載のいずれの特徴も、記載の基板移送デバイスと組み合わせて使用され得る。これらの段落及び対応する図は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
本開示の基板処理システムのモジュールと組み合わせて使用される移送デバイスは、任意の数の下記の特徴も含み得る:第1のトラックが第1の搬送経路と及び代替的に第2の搬送経路と位置合わせされるように、第1の基板支持アセンブリは少なくとも切り替え方向に可動であり得る;第2のトラックが第1の搬送経路と及び代替的に第2の搬送経路と位置合わせされ得るように、第2の基板支持アセンブリは少なくとも切り替え方向に可動であり得る。第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリは、第1のトラックと第2のトラックとが互いを切り替え方向に通過するように、互いに対して可動であり得る。第1の基板支持アセンブリは第1の支持素子を含み得、第2の基板支持アセンブリは第2の支持素子を含み得、第1の支持素子の少なくとも部分及び第2の支持素子の少なくとも部分は、搬送方向と切り替え方向との両方に対して直角の回避方向に、互いに対して可動であり得る。第1の支持素子は、第1の磁気支持素子の組を含み得;第2の支持素子は第2の磁気支持素子の組を含み得;第1の磁気支持素子の組及び第2の磁気支持素子の組のうち少なくとも一方は、磁気支持素子のそれぞれ他方の組に対して回避方向に変位を取るために、ピボットされる又は傾斜されるように構成され得る。第1の支持素子は、第1のローラ支持素子の組を含み得;第2の支持素子は第2のローラ支持素子の組を含み得;第1のローラ支持素子の組及び第2のローラ支持素子の組のうち少なくとも一方は、ローラ支持素子のそれぞれ他方の組に対して回避方向に変位を取るために、ピボットされる又は傾斜されるように構成され得る。第1の磁気支持素子の組及び第2の磁気支持素子の組は、実質的に垂直に配向された基板又は基板キャリアの最上部を支持するように構成され得る;第1のローラ支持素子の組及び第2のローラ支持素子の組は、実質的に垂直に配向された基板又は基板キャリアの底部を支持するように構成され得、;第1の磁気支持素子の組及び第2の磁気支持素子の組は上昇されるように構成され得、第1のローラ素子の組及び第2のローラ素子の組は下降されるように構成され得る。基板又は基板キャリアを保持しているとき、第1の磁気支持素子及び第1のローラ支持素子の組並びに第2の磁気支持素子及び第2のローラ支持素子は、第1の基板支持アセンブリ及び第2の基板支持アセンブリの相対的な切り替え方向の移動中、互いを通過することができる。
【0072】
さらなる実施形態によれば、基板処理システムにおいて基板を処理する方法が提供される。図28のブロック図で示される一実施形態によれば、方法2800は、参照記号2810において、基板を基板処理システムの真空部分へと搬送方向に沿って移送することを含む。方法は、参照記号2820で、真空部分の処理モジュールにおいて、搬送方向に直角の切り替え方向の相対的な移動を、第1のトラックと第2のトラックとの間で実施することをさらに含み、ここで第1のトラックが基板を支持している。方法は、参照記号2830において、真空処理モジュールにおいて基板上に層を堆積することをさらに含む。
【0073】
方法はさらに、処理モジュールにおいて、切り替え方向の相対的な移動を第1のトラックと第2のトラックとの間で実施することを含み得、第2のトラックは第2の基板を支持し、第1のトラックは空であり、第1のトラックと第2のトラックとは切り替え方向の相対的な移動中に互いを通過する。基板処理システムは、基板を真空部分へと移送するための及び基板を真空部分から受けるための、第1のデュアルトラックロードモジュール及び第2のデュアルトラックロードモジュールを含み得る。方法は、基板を第1のデュアルトラックロードモジュールの第1の静止トラックから、第2のデュアルトラックモジュールの空の第1の静止トラックへと移送することを含み得、及び、典型的には同時に、さらなる基板を第2のデュアルトラックロードモジュールの第2の静止トラックから第1のデュアルトラックロードモジュールの空の第2の静止トラックへと移送することを含み得る。この動作は、2つのモジュール間での(同時)基板交換、上記の例では2つのロードモジュール間での基板交換と称される。
【0074】
基板支持システムは、基板を第1のデュアルトラックロードモジュールへと移送するための及び基板を第1のデュアルトラックロードモジュールから受けるための、デュアルトラックスイングモジュールを含み得る。方法は、デュアルトラックスイングモジュールにおいて、第1のトラックと第2のトラックとの間で、切り替え方向の相対的な移動を実施することを含み得、ここで、第1のトラックが基板を支持する。第2のトラックは空であり得る。第1のトラック及び第2のトラックは、切り替え方向の相対的な移動中に、互いを通過し得る。方法はさらに、基板をデュアルトラックスイングロードモジュールの第1のトラックから、第1のデュアルトラックモジュールの空の第1の静止トラックへと移送することを含み得、及び、典型的には同時に、さらなる基板を第1のデュアルトラックロードモジュールの第2の静止トラックからデュアルトラックスイングモジュールの第2のトラックへと移送することを含み得る。換言すれば、方法は、スイングモジュールと第1のロードモジュールとの間の(同時)基板交換を含み得る。方法はさらに、さらなるモジュールの任意のペア間での、例えば、ロードモジュールと処理モジュールとの、又は、第1の処理モジュールと第2の処理モジュールとの間の、基板交換又は同時基板交換を含み得る。
【0075】
基板処理システムにおいて基板を処理する方法は、基板処理システムにおいて基板を移動させる方法を含み得る。基板を移動させる方法は、下記のいずれをも含み得る:第1の搬送経路に沿って基板をモジュール内へと移動させること;モジュール内で基板を、少なくとも、第1の搬送経路に直角の切り替え方向に移動させること;モジュール内で、典型的には空の基板支持アセンブリの支持素子を移動させることであり、ここで、(空の)基板支持アセンブリの基板及び支持素子は、切り替え方向に互いに対して移動され且つ互いを通過する。空の基板支持アセンブリの支持素子の移動は、下記の少なくとも1つを含み得る:第1の搬送経路と切り替え方向との両方に直角の回避方向への移動、及び、切り替え方向への移動。
【0076】
基板を移動させる方法は、基板が第1のトラックによって支持されるように基板を移送することを含み得る。第1のトラックは、第1の基板支持アセンブリの第1の支持素子によって画定され得る。空の基板支持アセンブリは、第2の基板支持アセンブリであり得、空の基板支持アセンブリの支持素子は、第2のトラックを画定する第2の支持素子であり得る。基板を移動させることは、第1のトラックが基板を支持している間に当該第1のトラックを移動させることを含み得る。基板を支持している第1のトラック及び第2の支持素子によって画定される第2のトラックは、切り替え方向に互いに対して移動され得、互いを通過し得る。
【0077】
方法は、第2の支持素子の少なくとも部分をピボットさせること又は傾斜させることを含み得る。モジュールは、処理位置を有する処理モジュールであり得る。基板を移動させることは、基板を処理位置へと移動させることを含み得る。方法は、処理位置において基板上に層を堆積することを含み得る。方法は、基板を第2の搬送経路に沿ってモジュールの外へと移送すること、及び、典型的には同時に、第2の基板を第1の搬送経路に沿ってモジュール内へと移送することを含み得、ここで、第2の基板は空の基板支持アセンブリの支持素子によって受けられる。
【0078】
先述の同時係属出願はさらに、本明細書に記載の実施形態による基板を処理する方法と組み合わせ可能な、基板を移動させる方法についての詳細を開示する。特に、前記同時係属出願の段落[0069]〜[0077]に記載のいずれの特徴も、本明細書に記載の方法と組み合わせて使用され得る。これらの段落及び対応する図は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、記載の実施形態による基板処理システムのいかなる特徴も、基板を処理する方法において使用され得、これによりさらなる実施形態が得られる。一方で、基板処理システム及びそれらのコンポーネントは、記載の方法の各々を実行するように構成され得る。記載の基板を処理する方法のうち任意のものを実施するための、本明細書に記載の実施形態の任意のものによる基板処理システムの使用が、さらなる実施形態によって提供される。
【0079】
本明細書で用いられる用語及び表現は説明するものであり限定するものではなく、そのような用語及び表現の使用において、示され説明される特徴の任意の等価物を排除する意図はない。以上の説明は実施形態を対象としているが、範囲を逸脱することなくその他の実施形態及び追加の実施形態を考案することができ、当該範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。
図1
図2
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図11
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図20
図21
図22
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図26
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2015年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端モジュール(1100)
ロードモジュール(1200,1300)、及び
処理モジュール(1400)
を備える、基板処理システム(1000)であって、
前端モジュール(1100)、ロードモジュール(1200,1300)、及び処理モジュール(1400)は、これらモジュール間での搬送方向(T)に沿った基板移送のために配置され、
前端モジュール(1100)、ロードモジュール(1200,1300)、及び処理モジュール(1400)のうち少なくとも1つは、基板もしくは基板キャリア(12,22,32,42)を支持するための少なくとも2つの個別のトラック(1112、1122,1215,1225,1315,1325,1412,1422)を提供する移送デバイス(100)を備え、少なくとも2つのトラック(1112,1122,1412,1422)のうち2つ以上は、互いに、搬送方向(T)に対して直角の切り替え方向(S)に可動である、
基板処理システム(1000)
【請求項2】
前端モジュール(1100)は、基板又は基板キャリア(12)を支持するための2つのトラック(1112,1122)を提供するデュアルトラック移送デバイス(100)を備える、デュアルトラックスイングモジュールであり、2つのトラック(1112)は、互いに対して切り替え方向(S)に可動である、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
処理モジュール(1400)は、前端モジュール(1100)で始まるモジュールの列の最後のモジュールであり、処理モジュール(1400)は、基板又は基板キャリア(42)を支持するための2つのトラック(1412,1422)を提供するデュアルトラック移送デバイス(100)を含み、2つのトラック(1412,1422)、互いに対して切り替え方向(S)に可動である、請求項1又は2に記載の基板処理システム(1000)
【請求項4】
前端モジュール(1100)及び処理モジュールのうち少なくとも1つの、移送デバイス(100)の2つのトラック(1112,1122,1412,1422)は、切り替え方向(S)に互いを通過するために可動である、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理システム(1000)
【請求項5】
(a)デュアルトラック移送デバイス(100)を含み、任意選択的に、互いに対して切り替え方向に可動である2つのトラックを提供する、第2の処理モジュール(1500)、及び
(b)デュアルトラック移送デバイス(100)を含む第3の処理モジュール(1600)
のうち少なくとも1つを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板処理システム(1000)
【請求項6】
ロードモジュールは第1のロードモジュール(1200)であり、基板処理システム(1000)は第2のロードモジュール(1300)を備え、
これらモジュール間の基板移送のために、第1のロードモジュール(1200)は前端モジュール(1100)に連結され、第2のロードモジュール(1300)は第1のロードモジュール(1200)に連結され、
第1のロードモジュール(1200)は、第1のロードモジュール(1200)を中真空へとポンプダウンするように適合される第1のポンプシステムに連結され、第2のロードモジュール(1300)は、第2のロードモジュール(1300)を高真空へとポンプダウンするように適合される第2のポンプシステムに連結され、
第1のロードモジュール(1200)は、基板又は基板キャリアを支持するための2つの静止トラック(1215,1225)を提供する第1の固定されたデュアルトラック移送デバイス(100)を含み、第2のロードモジュール(1300)は、基板又は基板キャリアを支持するための2つの静止トラック(1315,1325)を提供する第2の固定されたデュアルトラック移送デバイス(100)を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の基板処理システム(1000)
【請求項7】
前端モジュール(1100)
第1のロードモジュール(1200)
第2のロードモジュール(1300)、及び
処理モジュール(1400)
を備える、基板処理システム(1000)であって、
前端モジュール(1100)、第1のロードモジュール(1200)、第2のロードモジュール(1300)、及び処理モジュール(1400)は、これらのモジュール間での搬送方向(T)に沿った基板移送のために配置され、
第1のロードモジュール(1200)、第2のロードモジュール(1300)、及び処理モジュール(1400)の各々は、基板又は基板キャリア(12,22,32,42)を支持するための、及び、基板又は基板キャリア(12,22,32,42)を少なくとも搬送方向(T)に移動させるための、厳密に2つの個別のトラック(1112、1122,1215,1225,1315,1325,1412,1422)を提供する、デュアルトラック移送デバイス(100)を備える、
基板処理システム(1000)
【請求項8】
基板処理システムは、デュアルトラック基板処理システムであり、前端モジュール(1100)は、基板又は基板キャリア(12)を支持するための、及び、基板又は基板キャリア(12)を少なくとも搬送方向(T)に移動させるための、厳密に2つの個別のトラック(1112,1122)を提供する、デュアルトラックスイングモジュールである、請求項7に記載の基板処理システム(1000)
【請求項9】
基板処理システム(1000)において基板を処理する方法(2800)であって、
基板を、基板処理システム(1000)の真空部分へと、搬送方向(T)に沿って移送すること(2810)
真空部分の処理モジュール(1400)において、基板を支持している第1のトラックと、第2のトラックとの間で、搬送方向(T)対して直角の切り替え方向(S)における相対的な移動を実施すること、及び
真空処理モジュール(200)において、基板上に層を堆積すること(2830)
を含む、方法(2800)
【請求項10】
真空処理モジュール(200)は、デュアルトラック真空処理モジュールであり、第2のトラックは空であり、第1のトラックと第2のトラックとが切り替え方向(S)の相対的な移動中に互いを通過する、請求項9に記載の方法(2800)
【請求項11】
基板を第1のトラックから隣接するモジュールへと移送すること、及び同時に、第2の基板が第2のトラックによって支持されるように、第2の基板を隣接するモジュールから処理モジュール(1400)へと移送することを含み、
隣接するモジュールは第2の処理モジュール(1500)又はロードモジュール(1200,1300)である、請求項9又は10に記載の方法(2800)
【請求項12】
処理モジュール(1400)において、空である第1のトラックと第2の基板を支持している第2のトラックとの間で切り替え方向(S)の相対的な移動を実施することを含み、第1のトラックと第2のトラックとは切り替え方向(S)の相対的な移動中に互いを通過する、請求項11に記載の方法(2800)
【請求項13】
基板処理システム(1000)は、基板を真空部分へと移送するための、及び、基板を真空部分から受けるための、第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)及び第2のデュアルトラックロードモジュール(1300)を含み、方法(2800)は、
基板を第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)の第1の静止トラック(1215,1225)から、第2のデュアルトラックモジュール(1300)の空の第1の静止トラック(1315,1325)へと移送することを含み、及び同時に、さらなる基板を第2のデュアルトラックロードモジュール(1300)の第2の静止トラック(1315,1325)から第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)の空の第2の静止トラック(1215,1225)へと移送することを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法(2800)
【請求項14】
基板処理システム(1000)は、基板を第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)へと移送するための、及び、基板を第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)から受けるための、デュアルトラックスイングモジュール(1100)を含み、方法(2800)は、
デュアルトラックスイングモジュール(1100)において、基板を支持している第1のトラック(1112)と空である第2のトラック(1122)との間で切り替え方向(S)の相対的な移動を実施することを含み、第1のトラック(1112)と第2のトラック(1122)とは切り替え方向の相対的な移動中に互いを通過する、請求項13に記載の方法(2800)
【請求項15】
基板をデュアルトラックスイングモジュール(1100)の第1のトラック(1112)から、第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)の空の第1の静止トラック(1215)へと移送し、及び同時に、さらなる基板を第1のデュアルトラックロードモジュール(1200)の第2の静止トラック(1215)からデュアルトラックスイングモジュール(1100)の第2のトラック(1122)へと移送することを含む、請求項14に記載の方法(2800)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
前端モジュール、ロードモジュール、及び処理モジュールのうちの少なくとも1つは、例えば、デュアルトラック基板移送デバイス又はトリプルトラック基板移送デバイス、又はクアドラプルトラック基板移送デバイスなどの基板移送デバイスを含む。処理モジュールは、前端モジュールから始まるモジュールの列における、最後のモジュールであり得る。処理モジュールは、基板移送デバイスを含み得る。デュアルトラック基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するための2つの個別トラックを提供し、トリプルトラック基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するための3つの個別トラックを提供し、クアドラプル基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するための4つの個別トラックを提供し、nタプル(n−tuple)トラックの基板移送デバイスは、基板又は基板キャリアを支持するためのn個の個別トラックを提供し、ここでnは自然数である。トラックは、基板又は基板キャリアを支持することができる、画定されたスペースである。トラックは、基板支持アセンブリ又はその支持素子によって画定され得る。nタプルトラックの基板移送デバイスの、任意の数mのトラックは、搬送方向に対して直角の少なくとも一方向に、具体的には切り替え方向に、互いに対して可動であり得、ここで、mは0からnの範囲外の整数である。換言すれば、基板移送デバイスの少なくとも2つのトラックのうち、2つ又はこれを上回るものは、少なくとも切り替え方向に、互いに対して可動であり得る。デュアルトラック基板移送デバイスで、2つのトラックは、搬送方向に対して直角の少なくとも一方向に、具体的には切り替え方向に、互いに対して可動であり得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
堆積ソース1550からのコーティングが完了すると、キャリア82は第2の搬送経路T2へと切り替え方向に移動される。キャリア42及び82は、モジュール1400及び1500間で同時に交換され、キャリア12及び32は、モジュール1100及び1200間で交換され、図12に示す状況となる。キャリア82は、図8に示すよりも前の状態で第1のコーティングを既に受けたと想定すると、堆積ソース1450からの第2のコーティング、例えば第2のMoコーティングを受けるために、第2の搬送経路T2からモジュール1400における処理位置へと移動される。キャリア42は、堆積ソース1550からのコーティングを受けるために、第1の搬送経路からモジュール1500における処理位置へと移動される。処理された基板はキャリア32からアンロードされ、新しい基板がキャリア32にロードされる。キャリア32は、モジュール1100において第2の搬送経路T2から第1の搬送経路T1へと移動され、図13に示す状況となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
図15〜19は、2つの異なる層がすべての各基板上にコーティングされる、具体的なルーティングスキームを使用する実施形態を示す。図15で、キャリア12は第2の搬送経路T2上で前端モジュール1100に位置し、キャリア22は第1の搬送経路T1上で第1のロードモジュール1200に位置し、キャリア32は第2の搬送経路T2上で第2のロードモジュール1300に位置し、キャリア44は第1の処理モジュール1400における処理位置に位置し、キャリア42は第1の搬送経路T1上で第1の処理モジュール1400に位置し、キャリア84は第2の処理モジュール1500における処理位置Pに位置し、キャリア82は第1の搬送経路T1上で第2の処理モジュール1500に位置し、キャリア92は第1の搬送経路T1上で第3の処理モジュール1600に位置している。処理モジュール1400における堆積ソース1450及び処理モジュールにおける堆積ソース1550は、同じターゲット材料、例えば、Cuを包含する。キャリア84は、第3の処理チャンバ1600で以前に堆積ソース1650から第1の層でコーティングされたと仮定して、第2の層の第1の部分を受け、キャリア44は、第2の処理チャンバ1500において第2の層の第1の部分で、及び、第3の処理チャンバ1600において第1の層で、以前にコーティングされたと仮定して、第2の層の第2の部分を受ける。キャリア92は、それを支持しているトラックと共に、第3の処理モジュール1600における処理位置へと切り替え方向Sに移動される。処理された基板はキャリア12からアンロードされ、新しい基板がキャリア12にロードされ得る。キャリア12は第1の搬送経路T1へと移動される。これにより、図16に示す状態となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
処理された基板はキャリア32からアンロードされ、新しい基板がキャリア32にロードされる。キャリア84は、堆積ソース1450から第2のコーティングの第2の部分を受けるために、処理モジュール100において第2の搬送経路T2から処理位置へと移動される。キャリア92は、堆積ソース1550から第2のコーティングの第1の部分を受けるために、処理モジュール1400において第2の搬送経路T2から処理位置へと移動される。これにより、図19に示す状態となる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
方法はさらに、処理モジュールにおいて、切り替え方向の相対的な移動を第1のトラックと第2のトラックとの間で実施することを含み得、第2のトラックは第2の基板を支持し、第1のトラックは空であり、第1のトラックと第2のトラックとは切り替え方向の相対的な移動中に互いを通過する。基板処理システムは、基板を真空部分へと移送するための及び基板を真空部分から受けるための、第1のデュアルトラックロードモジュール及び第2のデュアルトラックロードモジュールを含み得る。方法は、基板を第1のデュアルトラックロードモジュールの第1の静止トラックから、第2のデュアルトラックロードモジュールの空の第1の静止トラックへと移送することを含み得、及び、典型的には同時に、さらなる基板を第2のデュアルトラックロードモジュールの第2の静止トラックから第1のデュアルトラックロードモジュールの空の第2の静止トラックへと移送することを含み得る。この動作は、2つのモジュール間での(同時)基板交換、上記の例では2つのロードモジュール間での基板交換と称される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
基板支持システムは、基板を第1のデュアルトラックロードモジュールへと移送するための及び基板を第1のデュアルトラックロードモジュールから受けるための、デュアルトラックスイングモジュールを含み得る。方法は、デュアルトラックスイングモジュールにおいて、第1のトラックと第2のトラックとの間で、切り替え方向の相対的な移動を実施することを含み得、ここで、第1のトラックが基板を支持する。第2のトラックは空であり得る。第1のトラック及び第2のトラックは、切り替え方向の相対的な移動中に、互いを通過し得る。方法はさらに、基板をデュアルトラックスイングロードモジュールの第1のトラックから、第1のデュアルトラックロードモジュールの空の第1の静止トラックへと移送することを含み得、及び、典型的には同時に、さらなる基板を第1のデュアルトラックロードモジュールの第2の静止トラックからデュアルトラックスイングモジュールの第2のトラックへと移送することを含み得る。換言すれば、方法は、スイングモジュールと第1のロードモジュールとの間の(同時)基板交換を含み得る。方法はさらに、さらなるモジュールの任意のペア間での、例えば、ロードモジュールと処理モジュールとの、又は、第1の処理モジュールと第2の処理モジュールとの間の、基板交換又は同時基板交換を含み得る。
【国際調査報告】