特表2016-541005IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-541005(P2016-541005A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】偏光板
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20161205BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20161205BHJP
   C08F 261/04 20060101ALI20161205BHJP
   C08F 271/00 20060101ALI20161205BHJP
   C08F 283/00 20060101ALI20161205BHJP
   C08F 265/02 20060101ALI20161205BHJP
   C08G 65/18 20060101ALI20161205BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   G02B5/30
   C08F2/44 C
   C08F261/04
   C08F271/00
   C08F283/00
   C08F265/02
   C08G65/18
   C08G59/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-518743(P2016-518743)
(86)(22)【出願日】2014年6月26日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】KR2014005702
(87)【国際公開番号】WO2015046720
(87)【国際公開日】20150402
(31)【優先権主張番号】10-2013-0117006
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0067773
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】クワン−スン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヘ−スン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン−ヒ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ナム−ジョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン−ウク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウン−スー・フー
(72)【発明者】
【氏名】ミ−リン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン−ヒュン・ジョン
【テーマコード(参考)】
2H149
4J005
4J011
4J026
4J036
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB11
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4J036FB01
4J036FB03
4J036FB10
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4J036JA15
(57)【要約】
本発明は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護膜とを含み、前記保護膜は、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物、および開環重合性化合物からなる群より選択された1種以上の硬化性化合物;側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマー;および重合開始剤を含む偏光板保護膜用組成物によって形成される偏光板に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護膜とを含み、
前記保護膜は、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物、および開環重合性化合物からなる群より選択された1種以上の硬化性化合物;
側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマー;および
重合開始剤を含む偏光板保護膜用組成物によって形成されることを特徴とする、偏光板。
【請求項2】
前記偏光板保護膜用組成物は、
O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物、および開環重合性化合物からなる群より選択された1種以上の硬化性化合物70重量部〜98.5重量部、
側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマー1重量部〜20重量部、および
重合開始剤0.5重量部〜10重量部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基は、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基、ウレタン基、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基、およびフルオロ基からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物は、アクリル系化合物、ビニル系化合物、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項5】
前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物は、下記の化学式で表される化合物からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【化1】
【請求項6】
前記開環重合性化合物は、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
前記側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマーは、ビニルアルコール系重合体または共重合体、ビニルアクリル酸系重合体または共重合体、ビニルピロリドン系重合体または共重合体、ビニルアセテート系重合体または共重合体、アミド系重合体または共重合体、ビニリデンフルオライド系重合体または共重合体、およびウレタン系重合体または共重合体からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
前記重合開始剤は、陽イオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
前記偏光板保護膜用組成物は、20℃での硬化収縮率が7%〜13%であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
前記偏光板保護膜用組成物は、ガラス転移温度が60℃〜200℃であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項11】
前記偏光板保護膜用組成物は、粘度が30cP〜500cPであることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項12】
前記偏光子の保護膜が形成された面の反対面に、接着剤層を介して保護フィルムが付着していることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項13】
前記保護フィルムは、セルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)フィルム、またはアクリル系フィルムであることを特徴とする、請求項12に記載の偏光板。
【請求項14】
前記保護膜の上部に粘着層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の偏光板を含むことを特徴とする、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板に関するものであって、より具体的には、硬化収縮率が低く、熱的安定性および光学物性にすべて優れた偏光板保護膜用組成物を用いて製造された偏光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の偏光板は、通常、二色性染料またはヨウ素で染色されたポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol、以下、「PVA」という)系樹脂からなる偏光子の両面に接着剤を用いて保護フィルムを積層した構造で使用されてきた。しかし、最近、表示装置の薄型化傾向が加速化されるに伴い、偏光板の厚さを減少させるために、偏光子の一面にのみ保護フィルムを備え、反対面には保護フィルムなしに直接粘着層を形成する片面型偏光板が開発されている。しかし、前記のように偏光子に直接粘着層を形成した片面型偏光板の場合、耐久性が悪く、苛酷な環境下に置かれると、偏光子の亀裂が発生しやすく、保護フィルムと粘着層との収縮率の差によってカールが発生し、表示装置に装着された時、光漏れ現象を引き起こすなどの問題があった。
【0003】
前記のような問題を解決するために、片面型偏光板の偏光子と粘着層との間に陽イオン硬化型樹脂またはラジカル硬化型樹脂を用いた保護膜を形成する技術が提案された。しかし、現在まで提案された保護膜形成用組成物は、組成物内に含まれるモノマー、オリゴマー、またはポリマーがすべて硬化性反応基を含んでいて硬化収縮率が極めて大きく、その結果、保護膜硬化過程で保護膜が収縮しながらカールを発生させ、偏光板の構造安定性が阻害される問題がある。一方、保護膜形成用組成物の硬化収縮率を低下させるために、硬化性反応基のない高分子やカーボンブラックのような固相の無機物などを混合する方策が考えられる。しかし、固相の無機物を混合する場合、着色、光散乱などの問題が発生して光学物性を阻害しやすく、硬化性反応基のない高分子を混合する場合には、組成物のガラス転移温度が2つ以上発生する二重Tg現象によって熱的安定性に劣る問題がある。
【0004】
したがって、硬化収縮率が低く、熱的安定性および光学物性にすべて優れた偏光板用保護膜の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、の問題を解決するためのものであって、硬化収縮率が低く、偏光板の熱的安定性および光学物性を阻害しない保護膜を含む偏光板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護膜とを含み、前記保護膜は、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物、および開環重合性化合物からなる群より選択された1種以上の硬化性化合物;側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマー;および重合開始剤を含む偏光板保護膜用組成物によって形成される偏光板を提供する。
【0007】
この時、前記偏光板保護膜用組成物は、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物、および開環重合性化合物からなる群より選択された1種以上の硬化性化合物70〜98.5重量部、側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマー1〜20重量部、および重合開始剤0.5〜10重量部を含むことが好ましい。
【0008】
一方、本発明において、前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基は、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基、ウレタン基、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基、およびフルオロ基からなる群より選択された1種以上であってよい。
【0009】
また、前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物は、アクリル系化合物、ビニル系化合物、またはこれらの組み合わせであってよく、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート系モノマー、ヒドロキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、カルボキシル(メタ)アクリレート系モノマー、カルボキシル(メタ)アクリレート系オリゴマー、アクリルアミド系モノマー、アクリルアミド系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系モノマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、酸無水物系(メタ)アクリレートモノマー、酸無水物系(メタ)アクリレートオリゴマー、オキサゾリン系(メタ)アクリレートモノマー、オキサゾリン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ビニルピロリドン系モノマー、ビニルピロリドン系オリゴマー、アクリロイルモルホリン系モノマー、アクリロイルモルホリン系オリゴマー、またはこれらの組み合わせであってよく、例えば、下記の化学式で表される化合物からなる群より選択された1種以上であってよい。
【0010】
【化1】
【0011】
一方、前記開環重合性化合物は、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、またはこれらの組み合わせであってよく、これに限定されるものではないが、例えば、エポキシ系化合物、水素化エポキシ系化合物、脂環式エポキシ系化合物、脂肪族エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0012】
次に、前記側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む非硬化型ポリマーは、例えば、ビニルアルコール系重合体または共重合体、ビニルアクリル酸系重合体または共重合体、ビニルピロリドン系重合体または共重合体、ビニルアセテート系重合体または共重合体、アミド系重合体または共重合体、ビニリデンフルオライド系重合体または共重合体、ウレタン系重合体または共重合体、またはこれらの組み合わせであってよく、前記重合開始剤は、陽イオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0013】
一方、本発明において、前記偏光板保護膜用組成物は、20℃での硬化収縮率が7%〜13%程度であり、ガラス転移温度が60℃〜200℃程度であり、粘度が30cP〜500cP程度であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の偏光板は、必要に応じて、前記偏光子の保護膜が形成された面の反対面に、接着剤層を介して保護フィルムが付着するか、前記保護膜の上部に粘着層を追加的に含むことができる。この時、前記保護フィルムは、セルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)フィルム、またはアクリル系フィルムであってよい。
【0015】
他の側面において、本発明は、前記本発明の偏光板を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明で使用される保護膜用組成物は、硬化性成分と非硬化性ポリマーを共に含んでいて硬化収縮率が低いため、保護膜の硬化時に発生する偏光板のカールを最小化することができる。
【0017】
また、本発明の偏光板の場合、保護膜内で硬化性化合物と非硬化性ポリマーとが水素結合された状態で存在するため、二重Tgなどが発生せず、安定的な熱的特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0019】
本発明者らは、偏光板保護膜の硬化時における収縮発生問題を解決するために、研究を重ねた結果、硬化性化合物と、前記硬化性化合物と水素結合可能な非硬化性ポリマーとを含む組成物を用いて保護膜を形成する場合、偏光板の熱的特性および光学物性を低下させない一方で、保護膜の硬化収縮率を低下させることができることを見出して、本発明を完成した。
【0020】
より具体的には、本発明の偏光板は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護膜とを含み、前記保護膜が、(1)硬化性化合物、(2)非硬化型ポリマー、および(3)重合開始剤を含む偏光板保護膜用組成物によって形成されることを特徴とする。
【0021】
この時、前記(1)硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物、および開環重合性化合物からなる群より選択された1種以上であってよいし、この時、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含む。エチレン性不飽和結合を有する化合物が前記のような官能基を含む場合、後述の(2)非硬化性ポリマーと水素結合して安定的な熱的特性を実現することができるからである。開環重合性化合物の場合、開環反応後に、O、Nおよび/またはF原子を含む官能基が生成される場合が多いので、水素結合のために別の官能基が要求されないが、必要な場合には、開環重合性化合物にもO、Nおよび/またはF原子を含む官能基が含まれていてよい。
【0022】
一方、前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基は、これに制限されるものではないが、例えば、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基、ウレタン基、カルボキシル基、無水物基、オキサゾリン基、およびフルオロ基からなる群より選択された1種以上であってよい。
【0023】
一方、本発明で使用可能な前記O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基とエチレン性不飽和結合を有する化合物は、アクリル系化合物、ビニル系化合物、またはこれらの組み合わせであってよく、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート系モノマー、ヒドロキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、カルボキシル(メタ)アクリレート系モノマー、カルボキシル(メタ)アクリレート系オリゴマー、アクリルアミド系モノマー、アクリルアミド系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系モノマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、酸無水物系(メタ)アクリレートモノマー、酸無水物系(メタ)アクリレートオリゴマー、オキサゾリン系(メタ)アクリレートモノマー、オキサゾリン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ビニルピロリドン系モノマー、ビニルピロリドン系オリゴマー、アクリロイルモルホリン系モノマー、アクリロイルモルホリン系オリゴマー、またはこれらの組み合わせであってよいが、これに限定されるものではない。
【0024】
一方、硬化前の組成物の粘度および硬化後のガラス転移温度を調節するために、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物として、2種以上の化合物を混合して使用することができる。例えば、前記エチレン性不飽和化合物として、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を有するアクリレート系化合物とアクリルアミド系化合物との組み合わせを使用するか、O、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を有するアクリレート系化合物とビニルピロリドン系化合物との組み合わせを使用する場合、硬化前の組成物の粘度を低下させて作業性を向上させることができ、硬化後、高いガラス転移温度を実現することができる利点がある。
【0025】
より具体的には、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物は、例えば、下記の化学式で表される化合物からなる群より選択された1種以上であってよい。
【0026】
【化2】
【0027】
次に、前記開環重合性化合物は、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、またはこれらの組み合わせであってよく、これに限定されるものではないが、例えば、芳香族エポキシ系化合物、水素化エポキシ系化合物、脂環式エポキシ系化合物、脂肪族エポキシ系化合物、オキセタン化合物、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0028】
一方、硬化前の組成物の粘度および硬化後のガラス転移温度を調節するために、前記開環重合性化合物として、2種以上の化合物を混合して使用することができ、例えば、前記開環重合性化合物として、脂環式エポキシ系化合物、脂肪族エポキシ系化合物、およびオキセタン化合物を混合して使用する場合、硬化前の組成物の粘度を低下させて作業性を向上させることができ、硬化後、高いガラス転移温度を実現することができる利点がある。
【0029】
この時、前記芳香族エポキシ系化合物は、分子内に少なくとも1つ以上の芳香族炭化水素環を含むエポキシ系化合物を意味し、これに限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0030】
また、前記水素化エポキシ系化合物は、前記芳香族エポキシ系化合物を、触媒の存在下、加圧下で選択的に水素化反応を行うことにより得られるエポキシ系化合物を意味し、これに限定されるものではないが、なかでも特に水素化したビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用することが好ましい。
【0031】
さらに、前記脂環式エポキシ系化合物は、エポキシ基が脂肪族炭化水素環を構成する隣接の2つの炭素原子の間に形成されているエポキシ系化合物を意味し、これに限定されるものではないが、例えば、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキサイド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エンド−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リモネンジオキサイド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジオキサイド、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)、1,2−ビス[5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダノキシル]エタンシクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、3,4−エポキシシクロヘキサンメタノールのε−カプロラクトン(1〜10モル)付加物と、多原子価(3〜20価)アルコール(GR、TMP、PE、DPE、ヘキサペンタエリスリトール)のエステル化化合物などが挙げられる。ながでも、反応性の観点で、特に3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを使用することが好ましい。
【0032】
一方、前記脂肪族エポキシ系化合物は、分子内に脂肪族鎖または脂肪族環を含むエポキシ系化合物を意味し、これに限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0033】
一方、前記オキセタン化合物は、分子内に少なくとも1つのオキセタニル基を有する化合物を意味するもので、これに限定されるものではないが、例えば、3−エチル−3−〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕オキセタン、1,4−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、1,2−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、4,4’−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル、2,2’−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル、2,7−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ナフタレン、ビス〔4−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}フェニル〕メタン、ビス〔2−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}フェニル〕プロパン、ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂の3−クロロメチル−3−エチルオキセタンによるエーテル化変性物、3(4),8(9)−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、2,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ノルボルナン、1,1,1−トリス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕プロパン、1−ブトキシ−2,2−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ブタン、1,2−ビス〔{2−(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}エチルチオ〕エタン、ビス〔{4−(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルチオ}フェニル〕スルフィド、1,6−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサンなどが挙げられる。
【0034】
一方、前記のような硬化性化合物は、偏光板保護膜用組成物全体の重量に対して、70〜98.5重量部程度、好ましくは80〜98.5重量部程度、より好ましくは80〜90重量部程度の含有量で含まれることが好ましい。硬化性化合物の含有量が70重量部未満の場合には、粘度が高くなって膜の形成が難しく、98.5重量部を超える場合には、硬化収縮率の減少効果がわずかである。
【0035】
次に、前記(2)非硬化型ポリマーは、保護膜の硬化収縮率を低下させるための成分であり、二重結合やエポキシ基のように硬化反応を発生させる官能基を含まないポリマーを意味する。一方、本発明で使用される非硬化型ポリマーは、側鎖にO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基を含むことを特徴とする。本発明のように、非硬化型ポリマーの側鎖に前記のような官能基が含まれている場合、これらの官能基によって(1)硬化性化合物と水素結合を形成し、その結果、組成物全体が単一のガラス転移温度を有するようになって、保護膜の熱的特性が安定的に維持できる。
【0036】
前記非硬化型ポリマーの側鎖に含まれるO、NおよびF原子のうちの少なくとも1つ以上を含む官能基は、これに制限されるものではないが、例えば、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基、ウレタン基、カルボキシル基、無水物基、オキサゾリン基、およびフルオロ基からなる群より選択された1種以上であってよい。
【0037】
前記本発明で使用可能な非硬化型ポリマーの具体例としては、ビニルアルコール系重合体または共重合体、ビニルアクリル酸系重合体または共重合体、ビニルピロリドン系重合体または共重合体、ビニルアセテート系重合体または共重合体、アミド系重合体または共重合体、ビニリデンフルオライド系重合体または共重合体、ウレタン系重合体または共重合体などが挙げられ、前記それぞれのポリマーは、単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0038】
この時、前記ビニルアルコール系重合体または共重合体は、下記の化学式1で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0039】
【化3】
【0040】
前記ビニルアクリル酸重合体または共重合体は、下記の化学式2で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0041】
【化4】
【0042】
前記ビニルピロリドン系重合体または共重合体は、下記の化学式3で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0043】
【化5】
【0044】
前記ビニルアセテート系重合体または共重合体は、下記の化学式4で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0045】
【化6】
【0046】
前記アミド系重合体または共重合体は、下記の化学式5で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0047】
【化7】
【0048】
前記ビニリデンフルオライド系重合体または共重合体は、下記の化学式6で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0049】
【化8】
【0050】
前記ウレタン系重合体または共重合体は、下記の化学式7で表される繰り返し単位を含むものであってよい。
【0051】
【化9】
【0052】
前記化学式7において、RおよびR’は、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、またはアリールなどであってよい。
【0053】
一方、前記非硬化型ポリマーは、偏光板保護膜用組成物全体の重量に対して、1〜20重量部程度、好ましくは1〜15重量部程度、より好ましくは1〜10重量部程度の含有量で含まれることが好ましい。非硬化性ポリマーの含有量が1重量部未満の場合には、硬化収縮率の減少効果がわずかであり、15重量部を超える場合には、粘度が高くなって膜を形成しにくいからである。
【0054】
次に、前記重合開始剤は、硬化性化合物の硬化反応を促進させるためのものであり、使用される硬化性化合物の種類に応じて適切な重合開始剤を使用すればよい。例えば、硬化性化合物がアクリレートのようなラジカル硬化型化合物の場合にはラジカル開始剤を、硬化性化合物がエポキシのような陽イオン硬化型化合物の場合には陽イオン開始剤を使用することができ、ラジカル開始剤と陽イオン開始剤を共に使用しても構わない。
【0055】
この時、前記ラジカル開始剤としては、当該技術分野で一般的に使用されるラジカル開始剤が制限なく使用可能であり、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(1−Hydroxy−cyclohexyl−phenyl−ketone)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(2−Hydroxy−2−methyl−1−phenyl−1−propanone)、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(2−Hydroxy−1−[4−(2−hydroxyethoxy)phenyl]−2−methyl−1−propanone)、メチルベンゾイルホルメート(Methylbenzoylformate)、オキシ−フェニル−酢酸−2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル(oxy−phenyl−acetic acid−2−[2oxo−2phenyl−acetoxy−ethoxy]−ethyl ester)、オキシ−フェニル−酢酸−2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル(oxy−phenyl−acetic acid−2−[2−hydroxy−ethoxy]−ethyl ester)、アルファ−ジメトキシ−アルファ−フェニルアセトフェノン(alpha−dimethoxy−alpha−phenylacetophenone)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(2−Benzyl−2−(dimethylamino)−1−[4−(4−morpholinyl)phenyl]−1−butanone)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(2−Methyl−1−[4−(methylthio)phenyl]−2−(4−morpholinyl)−1−propanone)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキサイド(Diphenyl(2,4,6−trimethylbenzoyl)−phosphine oxide)、ホスフィンオキサイド(Phosphine oxide)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(phenyl bis(2,4,6−trimethyl benzoyl))からなるグループより選択された1種以上であってよい。
【0056】
一方、前記陽イオン開始剤は、例えば、スルホニウム塩(Sulfonium salt)またはヨードニウム塩(Iodonium salt)が含まれているものを使用することができる。スルホニウム塩(Sulfonium salt)またはヨードニウム塩(Iodonium salt)が含まれている前記陽イオン開始剤は、例えば、ジフェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Diphenyl(4−phenylthio)phenylsulfonium hexafluoroantimonate)、ジフェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(Diphenyl(4−phenylthio)phenylsulfonium hexafluorophosphate)、(フェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート((phenyl)[4−(2−methylpropyl)phenyl]−Iodonium hexafluorophosphate)、(チオジ−4,1−フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジヘキサフルオロアンチモネート((Thiodi−4,1−phenylene)bis(diphenylsulfonium)dihexafluoroantimonate)、および(チオジ−4,1−フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジヘキサフルオロホスフェート((Thiodi−4,1−phenylene)bis(diphenylsulfonium)dihexafluorophosphate)からなるグループより選択された1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
【0057】
一方、前記重合開始剤は、偏光板保護膜用組成物全体の重量に対して、0.5〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度、より好ましくは2〜4重量部程度の含有量で含まれることが好ましい。重合開始剤の含有量が0.5重量部未満の場合には、硬化速度が遅くなって膜の物性を阻害する恐れがあり、10重量部を超える場合には、未反応重合開始剤によって偏光板の光学物性が阻害される恐れがあるからである。
【0058】
一方、前記のような組成からなる偏光板保護膜用組成物は、20℃での硬化収縮率が7%〜13%程度である。この時、前記硬化収縮率は、保護膜用組成物の硬化前の体積に対する、硬化前後の体積の変化率を意味するもので、下記の式(1)により計算されてよい。
【0059】
式(1):硬化収縮率(%)={(Vi−Vf)/Vi}・100={((m/ρi)−Vf)/(m/ρi)}・100
【0060】
式(1)において、Viは保護膜用組成物の硬化前の体積、Vfは保護膜用組成物の硬化後の体積、mは保護膜用組成物の質量、ρiは保護膜用組成物の硬化前の密度を意味する。
【0061】
また、前記偏光板保護膜用組成物は、ガラス転移温度が60℃〜200℃程度であることが好ましい。保護膜用組成物のガラス転移温度が前記数値範囲を満足する場合、耐熱性に優れた偏光板を製造することができる。
【0062】
さらに、前記偏光板保護膜用組成物は、粘度が30cP〜500cP程度である。保護膜形成用組成物の粘度が前記範囲を満足する場合、一般的なコーティング工程で薄膜の形成が容易である利点がある。
【0063】
前記のような保護膜用組成物を用いて保護膜を形成する場合、保護膜の硬化収縮率が低いため、カールの発生が少なく、光学物性および熱的特性にも優れたものとなった。
【0064】
一方、本発明の偏光板は、前記のような保護膜用組成物を偏光子の少なくとも一面に塗布した後、硬化させて保護膜を形成する方法で製造できる。この時、前記塗布は、当該技術分野でよく知られている塗布方法、例えば、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングなどの方法によって行われてよい。また、前記硬化は、紫外線、電子線などのような活性エネルギー線を照射して行われてよい。
【0065】
一方、前記偏光子は特に制限されず、当該技術分野でよく知られている偏光子、例えば、ヨウ素または二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを使用することができる。前記偏光子は、PVAフィルムにヨウ素または二色性染料を染着させて製造できるが、その製造方法は特に限定されない。
【0066】
一方、本発明の偏光板は、必要に応じて、前記偏光子の一面に接着剤層を介して付着した保護フィルムをさらに備えることができる。この時、前記保護フィルムは、偏光子の保護膜が形成されていない面に付着することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0067】
一方、前記接着剤層は、当該技術分野でよく知られている多様な偏光板用接着剤、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、またはウレタン系接着剤などを用いて形成することができる。より具体的には、前記保護フィルムまたは偏光子の一面に前記のような接着剤を塗布した後、偏光子と前記保護フィルムとを貼り合わせ、熱または活性エネルギー線などを加えて前記接着剤を硬化させることにより、保護フィルムを偏光子に付着させることができる。
【0068】
一方、前記保護フィルムとしては、当該技術分野で一般的に知られている多様な材質の保護フィルム、例えば、セルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)フィルム、アクリル系フィルムなどが制限なく使用できる。ながでも、光学特性、耐久性、経済性などを考慮する時、アクリル系フィルムを使用することが特に好ましい。
【0069】
この時、前記アクリル系保護フィルムは、(メタ)アクリレート系樹脂を含むことができる。(メタ)アクリレート系樹脂を含むフィルムは、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂を主成分として含む成形材料を押出成形によって成形して得ることができる。
【0070】
前記アクリル系保護フィルムは、アルキル(メタ)アクリレート系単位およびスチレン系単位を含む共重合体、および主鎖にカーボネート部を有する芳香族系樹脂を含むフィルムであるか、アルキル(メタ)アクリレート系単位、スチレン系単位、少なくとも1つのカルボニル基で置換された3〜6元素のヘテロ環単位、およびビニルシアニド単位を含むフィルムであってよい。
【0071】
あるいは、前記アクリル系保護フィルムは、芳香族環を有する(メタ)アクリレート系樹脂を含むフィルムであってよい。芳香族環を有する(メタ)アクリレート系樹脂としては、韓国公開特許第10−2009−0115040号に記載された、(a)1種以上の(メタ)アクリレート系誘導体を含む(メタ)アクリレート系ユニット;(b)ヒドロキシ基含有部を有する鎖および芳香族部を有する芳香族系ユニット;および(c)1種以上のスチレン系誘導体を含むスチレン系ユニットを含む樹脂組成物が挙げられる。前記(a)〜(c)ユニットは、それぞれ別の共重合体形態で樹脂組成物に含まれていてもよく、前記(a)〜(c)ユニットのうちの2以上のユニットが1つの共重合体形態で樹脂組成物に含まれていてもよい。
【0072】
あるいは、前記アクリル系保護フィルムは、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂を含むフィルムであってよい。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリレート系樹脂の具体例としては、例えば、日本国公開特許公報第2000−230016号、日本国公開特許公報第2001−151814号、日本国公開特許公報第2002−120326号などに記載されたラクトン環構造を有する(メタ)アクリレート系樹脂が挙げられる。
【0073】
前記アクリル系保護フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂とその他の重合体、添加剤などを任意の適切な混合方法により十分に混合して、熱可塑性樹脂組成物を製造した後、これをフィルム成形して製造するか、または(メタ)アクリレート系樹脂と、その他の重合体、添加剤などを別の溶液に製造した後、混合して均一な混合液を形成した後、これをフィルム成形することもできる。
【0074】
前記熱可塑性樹脂組成物は、例えば、オムニミキサーなど任意の適切な混合機で前記フィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練して製造する。この場合、押出混練に用いられる混合機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど任意の適切な混合機を用いることができる。
【0075】
前記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など任意の適切なフィルム成形法が挙げられる。これらフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
【0076】
前記溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記溶液キャスト法(溶液流延法)を実施するための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。前記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられる。成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
【0078】
前記Tダイ法でフィルムを成形する場合には、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを装着し、フィルム形状に押出されたフィルムを巻き取ってロール形状のフィルムを得ることができる。この時、巻取ロールの温度を適切に調整して押出方向に延伸を加えることにより、一軸延伸することもできる。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時二軸延伸、逐次二軸延伸などを実施することもできる。
【0079】
前記アクリル系保護フィルムは、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのうちのいずれかであってよい。延伸フィルムの場合には、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムであってよく、二軸延伸フィルムの場合には、同時二軸延伸フィルムまたは逐次二軸延伸フィルムのうちのいずれかであってよい。二軸延伸した場合には、機械的強度が向上し、フィルムの性能が向上する。アクリル系フィルムは、他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸する場合にも位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を維持することができる。
【0080】
延伸温度は、フィルム原料である熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度付近の範囲であることが好ましく、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)の範囲内である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であれば、十分な延伸倍率が得られない恐れがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)を超えると、樹脂組成物の流動(フロー)が生じて、安定的な延伸を実施することができない恐れがある。
【0081】
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率が1.1倍未満であれば、延伸に伴う靭性の向上につながらない恐れがある。延伸倍率が25倍を超えると、延伸倍率を高めただけの効果が認められない恐れがある。
【0082】
延伸速度は、一方向に、好ましくは10〜20,000%/min、より好ましくは100〜10,000%/minである。延伸速度が10%/min未満の場合には、十分な延伸倍率を得るためにやや長い時間がかかり、製造費用が上昇する恐れがある。延伸速度が20,000%/minを超えると、延伸フィルムの破断などが生じる恐れがある。
【0083】
アクリル系保護フィルムは、その光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを実施することができる。熱処理条件は特に制限されず、当業界で知られている任意の適切な条件を採用することができる。
【0084】
一方、前記アクリル系保護フィルムには、必要な場合、接着力向上のための表面処理が行われてよく、例えば、前記光学フィルムの少なくとも一面に、アルカリ処理、コロナ処理、およびプラズマ処理からなるグループより選択される少なくとも1つの表面処理を行うことができる。
【0085】
一方、本発明の偏光板は、表示装置パネルまたは位相差フィルムのような光学フィルムとの付着のために、必要に応じて、前記保護膜の上部に粘着層を含むことができる。
【0086】
この時、前記粘着層は、当該技術分野でよく知られている多様な粘着剤を用いて形成されてよく、その種類が特に制限されるものではない。例えば、前記粘着層は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いて形成されてよい。ながでも、透明性および耐熱性などを考慮する時、アクリル系粘着剤を使用することが特に好ましい。
【0087】
一方、前記粘着層は、保護膜の上部に粘着剤を塗布する方法で形成されてもよく、離型シート上に粘着剤を塗布した後、乾燥させて製造される粘着シートを保護膜の上部に付着させる方法で形成されてもよい。
【0088】
前記粘着層の厚さは、これに限定されるものではないが、1μm〜50μm程度、好ましくは5μm〜40μm程度、より好ましくは10μm〜30μm程度であってよい。
【0089】
前記のような本発明の偏光板は、液晶表示装置などのような光学装置に有用に適用可能である。前記光学装置は、例えば、液晶パネルと、この液晶パネルの両面にそれぞれ備えられた偏光板とを含む液晶表示装置であってよいし、この時、前記偏光板のうちの少なくとも1つが本発明にかかる偏光板であってよい。この時、前記液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は特に限定されない。例えば、その種類に制限されず、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型、またはPD(polymer dispersed)型のようなパッシブマトリクス方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)のようなアクティブマトリクス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネルおよび垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルがすべて適用可能である。また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば、上部および下部基板(ex.カラーフィルタ基板またはアレイ基板)などの種類も特に制限されず、この分野で公知の構成が制限なく採用可能である。
【実施例】
【0090】
以下、具体的な実施例を通じて、本発明をより詳細に説明する。
【0091】
実施例1−保護膜用組成物A
2−ヒドロキシエチルアクリレート47g、ノルマルビニルピロリドン45g、ポリビニルアルコール樹脂(日本合成、Gohsefimer Z100)5g、Igarcure819 3gを混合した後、90℃に加熱して、保護膜用組成物Aを製造した。
【0092】
実施例2−保護膜用組成物B
2−ヒドロキシエチルアクリレート47g、ジメチルアクリルアミド(dimethyl acrylamide、DMAA)30g、ポリビニルピロリドン(ISP社、K−15)20g、Igarcure819 3gを混合した後、90℃に加熱して、保護膜用組成物Bを製造した。
【0093】
実施例3−保護膜用組成物C
2−ヒドロキシエチルアクリレート47g、DMAA40g、ポリウレタン(Chokwang Paint社、CPU0320)10g、Igarcure819 3gを混合した後、90℃に加熱して、保護膜用組成物Cを製造した。
【0094】
実施例4−保護膜用組成物D
2−ヒドロキシエチルアクリレート47g、DMAA40g、ポリアクリル酸樹脂(シグマアルドリッチ社、catalog no.323667)10g、Igarcure819 3gを混合した後、低湿環境(湿度20%以下)下、90℃に加熱して、保護膜用組成物Dを製造した。
【0095】
実施例5−保護膜用組成物E
Daicel社のCeloxide2021P(3’−4’−Epoxycyclohexane)methyl3’−4’−epoxycyclohexyl−carboxylate)20g、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(Cyclohexanedimethanol Diglycidyl Ether)20g、Toagosei社のoxt−221(3−Ethyl−3−{[(3−ethyloxetane−3−yl)methoxy]methyl}oxetane)45g、ポリアクリル酸樹脂(シグマアルドリッチ社、catalog no.323667)10g、Dow chemical社のUVI−6992Triarylsulfonium hexafluorophosphate5gを混合した後、60℃に加熱して、保護膜用組成物Eを製造した。
【0096】
比較例1−保護膜用組成物F
2−ヒドロキシエチルアクリレート52g、ノルマルビニルピロリドン45g、Igarcure754 3gを混合して、保護膜用組成物Fを製造した。
【0097】
比較例2−保護膜用組成物G
2−ヒドロキシエチルアクリレート47g、ノルマルビニルピロリドン40g、ポリメチルメタクリレート樹脂(LG MMA HP−202)10g、Igarcure754 3gを混合した後、90℃に加熱して、保護膜用組成物Gを製造した。
【0098】
実験例1
実施例1〜5および比較例1〜2により製造された保護膜用組成物A〜Gの、20℃での硬化収縮率、ガラス転移温度および粘度を、下記の方法で測定した。測定結果は下記の表1に記載した。
【0099】
(1)硬化収縮率:実施例1〜5および比較例1〜2により製造された保護膜用組成物A〜Gの1gの体積(Vi)を、全自動気体比重計(Automatic gas pycnometer)を用いてそれぞれ測定した。その後、前記保護膜用組成物をそれぞれ離型PETフィルム上に塗布して硬化させた後、PETフィルムから剥離させる。剥離された保護膜の体積(Vf)を、全自動気体比重計を用いて測定した後、式(1)を用いて硬化収縮率を計算した。
【0100】
(2)ガラス転移温度:硬化された保護膜の薄片を採取して、Mettler Toledo社のDCS(Differential Scanning Calorimetry)で測定した。測定温度範囲は−30℃〜200℃を1分あたり10℃ずつ2回スキャンし、測定されたガラス転移温度は2回目のスキャン時のガラス転移温度値である。
【0101】
(3)粘度:実施例1〜5および比較例1〜2により製造された保護膜用組成物A〜Gの粘度を、25℃で、Viscometer TV−22(TOKI SANGYO)を用いて測定した。
【0102】
【表1】
【0103】
前記表1に示されているように、比較例1および2の組成物は、実施例1〜5の組成物に比べて硬化収縮率が大きいだけでなく、比較例1の組成物は、粘度が極めて低く、膜の形成に困難が予想され、比較例2の組成物は、二重Tg値を有していて、耐熱性に優れた偏光板を製造するには不適であることが分かる。
【0104】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な修正および変形が可能であることは当技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明である。
【国際調査報告】

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