(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
【解決手段】本発明の粘着剤組成物は、酸価が0mgKOH/g〜20.0mgKOH/gである粘着性樹脂、及び下記の化学式1で表示されるシリケートオリゴマーを含む光学フィルム用粘着剤組成物を含み、リワーク性と信頼性を両立させることが可能である:
前記粘着剤組成物は、前記粘着性樹脂100重量部に対して前記シリケートオリゴマーを約0.01重量部〜約50重量部含む、請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
前記粘着剤組成物は、前記架橋剤として、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤及び過酸化物系架橋剤のうちの1種以上を、前記粘着性樹脂100重量部に対して約0.01重量部〜約20重量部含む、請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
前記粘着剤組成物は、前記粘着性樹脂100重量部に対して、前記シランカップリング剤を約0.001重量部〜約10重量部さらに含む、請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
前記粘着層は、温度23℃、湿度65%RHの条件で約1時間放置した後、下記の式1によるゲル分率が約65重量%〜約95重量%である、請求項13又は14に記載の粘着層:
[式1]
ゲル分率(重量%)={(Wc−Wa)/(Wb−Wa)}×100
前記式1において、Wbは、前記粘着層0.2gをフッ素樹脂(TEMISHNTF−1122、日東電工株式会社)で被せた場合の重量で、Waは、前記フッ素樹脂の重量である。また、Wcは、前記フッ素樹脂で被せた粘着層を約40mlのエチルアセテートに23℃で7日間浸すことによって可溶分を抽出し、前記フッ素樹脂で被せた粘着層をアルミニウムカップ上で130℃で2時間乾燥させた後、可溶分が除去されたフッ素樹脂で被せた粘着層の重量である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の光学フィルム用粘着剤組成物は、酸価が約0mgKOH/g〜約20.0mgKOH/gである粘着性樹脂、シリケートオリゴマー及び架橋剤を含む。以下、具体例の光学フィルム用粘着剤組成物を形成するための組成に対して説明する。
【0034】
一具体例の粘着性樹脂は、酸価が約0mgKOH/g〜約20mgKOH/gである。具体的に、粘着性樹脂は、酸価が0mgKOH/g、0.1mgKOH/g、0.2mgKOH/g、0.3mgKOH/g、0.4mgKOH/g、0.5mgKOH/g、0.6mgKOH/g、0.7mgKOH/g、0.8mgKOH/g、0.9mgKOH/g、1.0mgKOH/g、1.1mgKOH/g、1.2mgKOH/g、1.3mgKOH/g、1.4mgKOH/g、1.5mgKOH/g、1.6mgKOH/g、1.7mgKOH/g、1.8mgKOH/g、1.9mgKOH/g、2.0mgKOH/gになってもよい。また、前記粘着性樹脂は、酸価が約前記数値のうちの一つ以上及び約前記数値のうちの一つ以下の範囲になってもよい。例えば、粘着性樹脂の酸価は、約10mgKOH/g以下、より具体的には約3mgKOH/g以下、さらに具体的には約1mgKOH/g以下であってもよい。例えば、前記粘着性樹脂は、酸価が約0mgKOH/g超及び約20mgKOH/g以下になってもよい。前記の範囲で、粘着性樹脂は、粘着剤組成物の接着力及び信頼度に優れ、リワーク性と均衡をなすことができる。
【0035】
粘着性樹脂は、水酸基含有単量体を構成単位として含む単量体を構成単位として含んでもよい。例えば、前記水酸基含有単量体は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、ポリオールなどを含んでもよいが、これに制限されない。
【0036】
粘着性樹脂は、粘着性を有し、また、酸価が約0mgKOH/g〜約20mgKOH/gである樹脂であれば特に制限されない。このような粘着性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタンポリマー及びポリエステルのうちの一つ以上を含んでもよい。粘着性樹脂は、これらのうちのいずれか1種のみで構成されてもよく、これらの樹脂の混合物で構成されてもよい。また、粘着性樹脂は、これらの樹脂の共重合体であってもよい。このような粘着性樹脂を使用する場合、粘着剤組成物は、光学フィルムの光学的特性を満足させるのに有利である。
【0037】
一具体例の粘着性樹脂は、(メタ)アクリル系ポリマーを含んでもよい。(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート単量体を、主な骨格を構成する重合単位として含む重合体;であってもよく、アルキル(メタ)アクリレート単量体及びその他の共単量体を重合単位として含む共重合体(以下、アルキル(メタ)アクリレート共重合体);であってもよい。
【0038】
前記アルキル(メタ)アクリレートの単量体は、直鎖型又は分枝鎖型アルキル基の炭素数が1〜18であることを例示することができる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソミリスチル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などを例示することができる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。具体的に、これらの前記アルキル基の平均炭素数は3〜9であってもよい。
【0039】
前記アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単量体及び1種類以上の共単量体を共重合して製造することができる。前記共単量体は、アルキル(メタ)アクリレート単量体と重合可能な単量体を意味し、前記アルキル(メタ)アクリレート単量体と重合可能なものであれば特に制限されない。前記1種類以上の共単量体は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有することができる。この場合、粘着性樹脂の接着性や耐熱性が改善され得る。
【0040】
前記共単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有単量体;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリールスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有単量体などを含んでもよい。
【0041】
また、前記共単量体は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系単量体;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系単量体;などを含んでもよい。この場合、粘着剤組成物の改質効果があり得る。
【0042】
前記共単量体は、例えば、改質単量体として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステル単量体;(メタ)アクリル酸テトラビドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系単量体;なども使用可能である。また、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどを使用してもよい。
【0043】
また、前記共単量体は、例えば、ケイ素原子を含有するシラン系単量体などを含んでもよい。シラン系単量体は、例えば、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどを含んでもよい。
【0044】
また、前記共単量体は、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸;及び多価アルコールとのエステル化物などの(メタ)アクリロイル基;及びビニル基;などの不飽和二重結合を2個以上有する多作用性単量体を含んでもよい。
【0045】
また、前記共単量体は、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格に、単量体成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを含んでもよい。
【0046】
前記共単量体の含量は、全体の単量体(アルキル(メタ)アクリレート共重合体の重合単位として使用される単量体)の総重量に対して約0重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約15重量%、具体的に約0.1重量%〜約10重量%であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物は、リワーク性及び信頼性を両立するのに有利である。
【0047】
一具体例の(メタ)アクリル系共重合体は、共単量体としてヒドロキシル基含有単量体を用いてもよい。この場合、粘着剤組成物の接着性及び耐久性が向上し得る。前記ヒドロキシル基含有単量体は、架橋剤との反応性が豊かであるので、粘着剤組成物の凝集性及び耐熱性をさらに向上させることができる。また、前記ヒドロキシル基含有単量体は、粘着剤組成物のリワーク性をさらに向上させることができる。共単量体としてヒドロキシル基含有単量体を含有する場合、その比率は、全体の単量体の総重量に対して約0.01重量%〜約15重量%、約0.03重量%〜約10重量%、約0.05重量%〜約7重量%であってもよい。
【0048】
他の具体例の(メタ)アクリル系共重合体は、共単量体としてカルボキシル基含有単量体を用いてもよい。この場合、共単量体は、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合、架橋剤との反応点を形成することができる。また、前記共単量体は、粘着剤組成物のリワーク性をさらに向上させることができる。共重合単量体として、カルボキシル基含有単量体を含有する場合、その比率は、全体の単量体の総重量に対して約0.05重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約8重量%、約0.2重量%〜約6重量%であってもよい。
【0049】
更に他の具体例の(メタ)アクリル系共重合体は、共単量体としてヒドロキシル基含有単量体及びカルボキシル基含有単量体を併用してもよい。
【0050】
具体例において、(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が約30万〜約300万であってもよい。具体的に、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、約50万〜約250万、より具体的に約80万〜約230万であってもよい。この場合、粘着剤組成物は、耐久性及び耐熱性が向上し得る。さらに具体的に、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は約70万〜約230万であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の耐熱性がさらに向上し、粘度が適切であり、塗工に有利になり得る。また、多量の希釈溶剤が投入される過程を省略することができ、費用を節減することができる。本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定し、ポリスチレン換算によって算出された値を意味する。
【0051】
一具体例の(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、約−10℃以下、約−25℃以下であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物は、柔軟性及び初期粘着性が向上し、低い圧力でも十分な接着力を発揮することができる。また、ガラス転移温度の下限は、約−100℃以上、約−80℃以上、約−70℃以上であってもよい。このような範囲内で、ポリエステルの耐熱性が低下することを防止することができる。
【0052】
(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の重合方法を適宜選択することができる。また、前記重合方法によって得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のうちのいずれかであってもよい。
【0053】
一具体例において、(メタ)アクリル系ポリマーは溶液重合で製造することができる。この場合、重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられてもよい。具体的に、溶液重合は、窒素などの不活性ガス気流下で重合開始剤を付加し、通常、50℃〜85℃程度で、約5時間〜約30時間程度の反応条件で行うことができる。
【0054】
他の具体例において、(メタ)アクリル系ポリマーはラジカル重合で製造することができる。ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは、特に限定されなく、適宜選択して使用してもよい。重合開始剤、連鎖移動剤などは、その使用量、反応条件などを調節することによって、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量を制御することができる。重合開始剤は、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2硫酸塩、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(和光純薬工業株式会社製品、VA−057)などのアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせた酸化還元系開始剤などであってもよいが、これらに限定されることはない。
【0055】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の含有量は、例えば、全体の単量体100重量部に対して、約0.005重量部〜約1重量部、約0.02重量部〜約0.5重量部であってもよい。例えば、重合開始剤として、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを用いて前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマー(A)を製造することができる。この場合、具体的な重合開始剤の使用量は、単量体成分の全体量100重量部に対して、約0.06重量部〜約0.2重量部、又は約0.08重量部〜約0.175重量部であってもよい。
【0056】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどであってもよい。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の含有量は、全体の単量体成分100重量部に対して約0.1重量部以下であってもよい。
【0057】
乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどの陰イオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの非イオン系乳化剤などを挙げることができる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリールエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬株式会社製品)、アデカリアソープ(Adekaria soap)SE10N、SR−10N(ADEKAケミカルサプライ株式会社製品)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に導入されるので、耐水性が良好になり得る。乳化剤の使用量は、単量体成分の全体量100重量部に対して、約0.3重量部〜約5重量部、重合安定性や機械的安定性から約0.5重量部〜約2重量部であってもよい。
【0058】
次は、ウレタンポリマーに対して説明する。一具体例において、粘着性樹脂として利用可能なウレタンポリマーは、例えば、ポリオールとイソシアネートとを反応させたものであってもよい。具体的に、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを例に挙げることができる。
【0059】
ポリエステルポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールが用いられてもよい。
【0060】
一具体例のポリエステルポリオールは、酸成分と2価以上のポリオール成分を脱水・重合して得られる。酸成分としては、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸などを例示することができる。2価以上のポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3'−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−4−エチル−1,5−ペンタンジオールなどを含む2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンを含む3価アルコール;及びペンタエリスリトールなどを含む4価アルコールのうちの一つ以上を例示することができる。
【0061】
他の具体例のポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールなどであってもよい。
【0062】
ポリエステルポリオールの分子量は、低分子量から高分子量まで使用可能である。具体的には、分子量が約1,000〜約5,000であるポリエステルポリオール、より具体的には分子量が約2,500〜約3,500であるポリエステルポリオールを用いてもよい。前記範囲内で、ポリエステルポリオールは、ポリウレタンのゲル化を防止し、ポリウレタン自体の凝集力を向上させることができる。ポリエステルポリオールの使用量は、ポリウレタンを構成するポリオール中の約10モル%〜約70モル%、より具体的には、約35モル%〜約65モル%であってもよい。
【0063】
ポリエーテルポリオールとしては、公知のポリエーテルポリオールが用いられてもよい。
【0064】
一具体例のポリエーテルポリオールは、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのオキシラン化合物を重合させることによって得られるポリエーテルポリオールであってもよい。具体的に、ポリエーテルポリオールは、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを含む官能基数が2以上であるものを例示することができる。
【0065】
他の具体例において、前記開始剤は、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのグリコール類;及びエチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミンなどの多価アミン類;を併用して使用してもよい。
【0066】
ポリエーテルポリオールの分子量は、低分子量から高分子量まで使用可能である。ポリエーテルポリオールは、重量平均分子量が具体的に約1,000〜約5,000、より具体的には約2,500〜約3,500であってもよい。前記範囲内で、ポリエーテルポリオールは、ウレタンポリマーのゲル化を防止し、ポリウレタン自体の凝集力を向上させることができる。
【0067】
ポリエーテルポリオールの含量は、ポリウレタンを構成するポリオール中の約20モル%〜約80モル%、より具体的には、約40モル%〜約65モル%であってもよい。
【0068】
一具体例において、ポリエーテルポリオールとしては、二作用性のポリエーテルポリオールを用いてもよい。他の具体例において、ポリエーテルポリオールは、分子量が約1,000〜約5,000であると同時に、1分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを含んでもよい。この場合、ポリエーテルポリオールは、ウレタンポリマーに粘着力と再剥離性とのバランスを具現することができる。更に他の具体例において、ポリエーテルポリオールは、分子量が約2,500〜約3,500であると同時に、少なくとも三作用以上であるポリオールを一部或いは全部用いてもよい。この場合、ポリエーテルポリオールは、ウレタンポリマーのゲル化を防止し、反応性を向上させ、ポリウレタン自体の凝集力を向上させることができる。
【0069】
一具体例で用いられるイソシアネートは、公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどを含む有機ポリイソシアネート化合物であってもよい。
【0070】
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネートなどを含んでもよい。
【0071】
脂肪族ポリイソシアネートは、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを含んでもよい。
【0072】
芳香脂肪族ポリイソシアネートは、ω,ω'−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを含んでもよい。
【0073】
脂環族ポリイソシアネートは、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを含んでもよい。
【0074】
また、イソシアネートは、前記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、水と反応したビュレット体、イソシアヌレート環を有する三量体なども併用可能である。
【0075】
一具体例において、ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)などを使用してもよい。
【0076】
ウレタンポリマーの合成に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用してもよく、例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物などを挙げることができる。
【0077】
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)などを例示することができる。
【0078】
有機金属系化合物として、錫系化合物、非錫系化合物を例示することができる。錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルフィド、トリブチル錫スルフィド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキシド、トリブチル錫エトキシド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロリド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫などを例示することができる。
【0079】
非錫系化合物としては、例えば、ジブチルチタンジクロリド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタントリクロリドなどのチタン系;オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系;2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系;安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系;ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系;及びナフテン酸ジルコニウムなどを例示することができる。
【0080】
一具体例のウレタンポリマーの合成時、前記各例示のうちの一つ以上の触媒を使用する場合、ウレタンポリマーの反応時間を短縮させることができる。
【0081】
他の具体例のウレタンポリマーの合成時、前記各例示のうちの二つ以上の触媒を組み合わせて使用する場合、ウレタンポリマーのゲル化を防止し、反応溶液の濁度を低下させることができる。特に、ポリオールとして、反応性に差があるポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを共に使用してウレタンポリマーを合成する場合、ゲル化防止効果がさらに優秀になり得る。また、前記各例示のうちの二つ以上の触媒を使用する場合、ウレタンポリマーの合成時の反応速度、触媒の選択性などを制御することができる。前記二つ以上の触媒の組み合わせとして、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、錫系/錫系などを用いてもよく、具体的には、錫系/錫系、より具体的には、ジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫との組み合わせを使用してもよい。
【0082】
一具体例において、ジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫とを組み合わせてウレタンポリマー合成の触媒として使用する場合、ジブチル錫ジラウレート:2−エチルヘキサン酸錫の重量比が約1:1未満であってもよく、具体的には約1:0.2〜約1:0.6であってもよい。前記範囲内で、ウレタンポリマーのゲル化を低下させる効果がさらに向上し得る。
【0083】
上述した触媒の使用量は、ポリオールとイソシアネートの総量に対して約0.01重量%〜約1.0重量%であってもよい。
【0084】
一具体例のポリウレタンは、多作用イソシアネート化合物と混合して使用してもよい。多作用イソシアネート化合物は、例えば、上述した有機ポリイソシアネート化合物及びそれらのトリメチロールプロパン付加体、水と反応したビュレット体、又はイソシアヌレート環を有する三量体などを含んでもよい。
【0085】
一具体例において、ウレタンポリマーと多作用イソシアネートを配合して使用する場合、多作用性イソシアネートは、ウレタンポリマー100重量部に対して1重量部〜20重量部で含まれてもよい。具体的には、2重量部〜10重量部である。前記範囲内で、ウレタンポリマーを含む粘着性樹脂の粘着力及び凝集力をさらに向上させることができる。
【0086】
一具体例のウレタンポリマーの合成時、反応温度は約100℃以下であってもよく、より具体的には約85℃〜約95℃であってもよい。前記範囲内で、ウレタンポリマーの架橋構造を制御するのに有利であり、これを通じて、所定の分子量、化学構造を有するポリウレタンを得ることができる。
【0087】
一具体例のポリウレタンは、重量平均分子量が約10,000〜約200,000、具体的に約15,000〜約100,000、より具体的に約20,000〜約50,000であってもよい。前記範囲内で、ウレタンポリマーを含む粘着性樹脂の粘着力及び凝集力をさらに向上させることができ、耐熱性及び機械的強度をさらに向上させることができる。また、前記範囲内で、粘着性樹脂の柔軟性の消失を防止することができ、これを通じて、初期粘着性及び全体の接着力を向上させることができる。この場合、粘着剤組成物は、低い圧力でも容易に接着可能である。
【0088】
一具体例のポリウレタンのガラス転移温度は、約−10℃以下、約−25℃以下であってもよい。前記範囲内で、粘着性樹脂の柔軟性の消失を防止することができ、これを通じて、初期粘着性及び全体の接着力を向上させることができる。この場合、粘着剤組成物は、低い圧力でも容易に接着可能である。また、ガラス転移温度は、具体的に下限が約−100℃以上、約−80℃以上、約−70℃以上であってもよい。このような範囲内で、粘着性樹脂の耐熱性がさらに向上し得る。
【0089】
一具体例において、ウレタンポリマーの希釈に使用される溶剤としては、公知の溶媒を使用してもよく、例えば、水、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトンなどを挙げることができる。一具体例では、溶媒としてトルエンを使用してもよい。この場合、ウレタンポリマーの溶解性、溶剤の沸点などが優秀になり得る。
【0090】
次は、ポリエステルに対して説明する。一具体例のポリエステルは、ポリオール成分及びカルボン酸成分からなるものを原料として使用し、これらを重縮合させて得られる。
【0091】
一具体例において、ポリエステルの合成時に使用するポリオール成分としては、側鎖にアルコキシ基を有するジオール及び前記側鎖にアルコキシ基を有するジオール以外のポリオールのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0092】
側鎖にアルコキシ基を有するジオールは、メトキシエチレングリコール、メトキシプロピレングリコール、メトキシブチレングリコール、エトキシエチレングリコール、エトキシプロピレングリコール、エトキシブチレングリコール、ジメトキシエチレングリコール、ジメトキシプロピレングリコール、ジメトキシブチレングリコール、ジエトキシエチレングリコール、ジエトキシプロピレングリコール、ジエトキシブチレングリコールなどを使用してもよく、これに制限されることはない。
【0093】
側鎖にアルコキシ基を有するジオール以外のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖脂肪族ジオール;ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオールなどの炭化水素基側鎖を有する脂肪族ジオールなどを使用してもよい。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0094】
一具体例において、側鎖にアルコキシ基を有するジオール以外のポリオールとしては、炭素数2〜6の直鎖脂肪族ジオール、具体的には、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコールや、炭素数1〜4の炭化水素基側鎖を有する脂肪族ジオール、より具体的には、ネオペンチルグリコールを使用してもよい。この場合、粘着剤組成物の初期粘着性、機械的強度、及び耐熱性をバランス良く両立させることができる。
【0095】
また、必要に応じて、ポリエステルの合成時に使用するポリオール成分は、ポリエーテルジオール及び3価以上の多価アルコールのうちの一つ以上をさらに含んでもよい。
【0096】
ポリエーテルジオールとしては、エチレンオキシド、プロピオンオキシド、テトラヒドロフランなどを開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを例示することができ、これらを1種又は2種以上用いてもよい。
【0097】
3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどを例示することができ、これらを1種又は2種以上用いてもよい。一具体例では、前記例示の3価以上の多価アルコールのうちトリメチロールプロパンを使用してもよい。この場合、ポリエステルは、耐熱性がさらに向上し得る。3価以上の多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、例えば、約0.1モル%〜約5.0モル%、具体的に約0.5モル%〜約3.0モル%であってもよい。
【0098】
ポリエステルの合成時に使用されるカルボン酸成分は、特に限定されなく、例えば、側鎖にアルコキシ基を有するカルボン酸を含んでもよい。この場合、得られるポリエステル系樹脂の側鎖にアルコキシ基を導入することができる。
【0099】
もちろん、上述したポリオール成分及びカルボン酸成分のうちのいずれにも、側鎖にアルコキシ基を含む原料成分を用いることができる。
【0100】
側鎖にアルコキシ基を有するカルボン酸としては、日本公開特許第2004−307462号公報に記載されているポリビニルエーテルなどを例示することができる。
【0101】
一具体例では、上述したカルボン酸の各例示のうち、数平均分子量が約500〜約3,000で、アルコキシ基を有するカルボン酸を使用してもよい。この場合、ポリエステルは、初期粘着性、機械的強度、及び耐熱性をバランスよく両立させることができる。
【0102】
また、側鎖にアルコキシ基を有するカルボン酸以外のカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などの芳香族ジカルボン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などの飽和ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸類などの不飽和ジカルボン酸;などを含んでもよく、これらを1種又は2種以上用いてもよい。
【0103】
一具体例のカルボン酸成分は、必要に応じて、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸などの3価以上のカルボン酸をさらに含んでもよい。一具体例では、これらのうち、芳香族ジカルボン酸、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、炭素数6〜12(カルボキシル基の炭素を含む)の脂肪族ジカルボン酸、より具体的にはセバシン酸を使用してもよい。この場合、ポリエステルは、粘着剤組成物の初期粘着性、機械的強度、及び耐熱性をバランス良く両立させることができる。
【0104】
一具体例のポリエステル系樹脂中のアルコキシ基の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂1分子当たり、アルコキシ基を約5個〜約300個、約60個〜約150個程度導入することができる。このような範囲内で、粘着剤組成物の初期粘着力、機械的強度、及び耐熱性をさらに向上させることができる。
【0105】
ポリエステルの合成時、ポリオール成分の配合比率は、カルボン酸成分1当量当たりポリオール成分約1当量以上、約1.2当量以上、約2.0当量以下であってもよい。前記範囲内で、ポリエステルの分子量を適切な範囲に調節することができ、収率をさらに向上させることができる。
【0106】
ポリエステルの重縮合反応時には、まず、重合(エステル化)反応が行われた後、縮合反応が行われ得る。このような重合(エステル化)反応においては、触媒が用いられてもよい。前記エステル化反応の触媒としては、具体的に、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系;三酸化アンチモンなどのアンチモン系;酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム系;などの触媒や、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキシドなどを例示することができ、これらの1種或いは2種以上を用いてもよい。
【0107】
前記エステル化触媒の配合量は、全体反応物の総合に対して約1ppm〜約10,000ppm、約10ppm〜約5,000ppm、約10ppm〜約3,000ppmであってもよい。前記範囲内で、反応の重合度を向上させ、反応時間を短縮させ、副反応をさらに低下させるという効果を具現することができる。
【0108】
重合(エステル化)反応時の反応温度は、約160℃〜約260℃、具体的には約180℃〜約250℃、より具体的には約200℃〜約250℃であってもよい。前記範囲内で、反応の重合度を向上させ、反応時間を短縮させ、副反応をさらに低下させるという効果を具現することができる。また、重合(エステル化)反応は、常圧下で実施することができる。
【0109】
一具体例において、重合(エステル化)反応が行われた後、縮合反応が行われ得る。このとき、追加の触媒をさらに添加してもよい。ポリエステルの合成時、縮合反応に使用される触媒は、上述したエステル化反応時に使用可能な触媒と同一の種類を同一の程度の含量で使用してもよい。縮合反応は、具体的には約220℃〜約260℃、より具体的には約230℃〜約250℃の反応温度で反応系を徐々に減圧させ、最終的には約5hPa以下で反応させることができる。このような反応温度範囲内で、反応物の反応性を向上させることができ、ポリエステルの分解などの副反応をさらに低下させることができる。
【0110】
一具体例のポリエステルは、重量平均分子量が約10,000〜約200,000、具体的に約15,000〜約100,000、より具体的に約20,000〜約50,000であってもよい。前記重量平均分子量の範囲内で、粘着剤組成物として適用した場合に十分な凝集力を得ることができ、さらに優れた耐熱性及び機械的強度を確保することができる。また、前記範囲内で、粘着剤組成物は、柔軟性及び初期粘着性が向上し、低い圧力でも十分な接着力を発揮することができる。
【0111】
一具体例のポリエステルのガラス転移温度は、約−10℃以下、約−25℃以下であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物は、柔軟性及び初期粘着性が向上し、低い圧力でも十分な接着力を発揮することができる。また、ガラス転移温度の下限は、約−100℃以上、約−80℃以上、約−70℃以上であってもよい。このような範囲内で、ポリエステルの耐熱性が低下することを防止することができる。
【0112】
一具体例において、ポリエステルの希釈に使用される溶剤としては、公知の溶媒を使用してもよい。例えば、水、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトンなどを挙げることができる。一具体例では、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸エチルを使用してもよい。この場合、ポリエステルの溶解性、溶剤の沸点などが優秀になり得る。
【0114】
一具体例のシリケートオリゴマーは、以下の化学式1で表示される。
【0117】
前記化学式1において、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、X
1、X
2は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、nは1〜100の整数である。アルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。また、アルキル基は、直鎖構造又は分枝鎖構造であってもよい。具体的に、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基で、X
1、X
2は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基になってもよい。例えば、R
1〜R
4は、それぞれ独立的にメチル基、エチル基、フェニル基であってもよい。
【0118】
具体的に、シリケートオリゴマーは、単一種のオリゴマー又は複数種類のオリゴマーの混合物であってもよい。
【0119】
シリケートオリゴマーの重量平均分子量は約300〜約30,000であってもよい。シリケートオリゴマーの重量平均分子量がこの範囲内の値になる場合、粘着剤組成物は、リワーク性及び接着性をさらに優れた水準で両立させることができる。
【0120】
具体例において、シリケートオリゴマーは、前記化学式1において、R
1〜R
4、X
1及びX
2がメチル基で、重量平均分子量が約300〜約20,000であるシリケートオリゴマー、前記化学式1において、R
1〜R
4、X
1及びX
2がメチル基で、重量平均分子量が約20,000超〜約30,000以下であるシリケートオリゴマー、及び前記化学式1において、R
1、R
2、R
3、R
4、X
1又はX
2がフェニル基を含むシリケートオリゴマーのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0121】
前記重量平均分子量が約300〜約20,000であるメチルシリケートオリゴマー、重量平均分子量が約20,000超〜約30,000以下であるメチルシリケートオリゴマー、及び前記化学式1のR
1、R
2、R
3、R
4、X
1又はX
2がフェニル基を含むシリケートオリゴマーを一つ以上含む場合、粘着剤組成物は、リワーク性及び接着性をさらに優れた水準で両立させることができる。
【0122】
シリケートオリゴマーの重量平均分子量は、具体的には約500〜約25,000、より具体的には約600〜約5,000、さらに具体的には約800〜約3,500であってもよい。
【0123】
粘着性樹脂とシリケートオリゴマーとの混合比
【0124】
一具体例に係る粘着剤組成物は、粘着性樹脂100重量部に対して、シリケートオリゴマーを約0.01重量部〜約50重量部含んでもよい。前記粘着剤組成物は、粘着性樹脂100重量部に対して、シリケートオリゴマーを約0.01重量部、0.05重量部、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部、30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部又は50重量部含んでもよい。また、前記粘着剤組成物は、粘着性樹脂100重量部に対して、シリケートオリゴマーを約前記数値のうちの一つ以上及び約前記数値のうちの一つ以下の範囲になってもよい。例えば、粘着性樹脂100重量部に対して、シリケートオリゴマーを約0.01重量部〜約50重量部、具体的に約0.5重量部〜約20重量部、より具体的に約0.5重量部〜約10重量部、さらに具体的に約1重量部〜約5重量部含んでもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の初期リワーク性及び加熱後の接着力がさらに向上し得る。前記範囲内で、粘着剤組成物は、リワーク性及び接着性をさらに優れた水準で両立させることができる。
【0126】
一具体例の粘着剤組成物には、架橋剤を含有してもよい。
【0127】
架橋剤としては、有機系架橋剤や多作用性金属キレートを用いてもよい。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などを例示することができる。多作用性金属キレートとしては、多価金属が有機化合物と共有結合又は配位結合していることを例示することができる。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどを例示することができる。共有結合又は配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などを例示することができ、有機化合物としては、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などを例示することができる。
【0128】
具体例において、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド架橋剤及び過酸化物型架橋剤のうちの一つ以上を使用してもよい。過酸化物系架橋剤を使用する場合は、エージング(aging)が不要な粘着層を製造することができる。粘着剤層の製造工程において、ハンドリング向上という観点でエージングが必要でない粘着剤層が強く要求されている。したがって、粘着剤層のエージングが必要でないことは、製造工程において非常に大きな長所になる。前記エージングが不要な粘着層は、リワーク性と信頼性に優れるだけでなく、粘着層製造工程中の取り扱い性が向上するという長所を有する。
【0129】
イソシアネート系架橋剤は、例えば、トリレンジイソシアネート、クロロフェニルレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート単量体又は前記イソシアネート単量体をトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物;及びイソシアヌレート化物又はイソシアネートビューレット型化合物、さらには、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型(prepolymer)のイソシアネート;のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0130】
具体的に、イソシアネート系架橋剤は、ポリイソシアネート化合物であってもよく、より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選ばれた1種又はそれに由来するポリイソシアネート化合物であってもよい。前記ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選ばれた1種又はそれに由来するポリイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、三量体型水添キシリレンジイソシアネート及びポリオール変性イソホロンジイソシアネートなどを含んでもよい。前記例示したポリイソシアネート化合物は、水酸基との架橋反応速度が優秀であり得る。また、例示したポリイソシアネート化合物は、ポリマーに含まれる酸、塩基を触媒として架橋反応を迅速に進めることができるので、特に架橋の早速化に寄与することができる。
【0131】
カルボジイミド系架橋剤としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物を具体的に用いてもよく、公知のポリカルボジイミド化合物を用いてもよい。カルボジイミド化合物は、例えば、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドであってもよい。さらに具体的に、ポリカルボジイミド化合物は、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものであってもよい。
【0132】
前記ポリカルボジイミド化合物に使用されるジイソシアネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートのうちの1種以上を使用してもよい。また、前記例示のうちの2種以上の混合物を使用してもよい。
【0133】
このとき、カルボジイミド化反応に使用される触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、或いはこれらの3−ホスホレン異性質体などのホスホレンオキシドを用いてもよい。
【0134】
具体例において、高分子量ポリカルボジイミド化合物としては、日清紡績株式会社製品であるカルボジライトシリーズを挙げることができる。その中でも、カルボジライトV−01、03、05、07、09を使用する場合、有機溶剤との相溶性が優秀であり得る。
【0135】
過酸化物系架橋剤としては、加熱又は光照射によってラジカル活性種を発生し、粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進めるものであれば制限なく使用可能であり、具体的には、1分間半減期温度が約50℃〜約160℃又は約60℃〜約140℃である過酸化物系架橋剤を使用してもよい。この場合、作業性や安定性が向上し得る。
【0136】
具体的に、過酸化物系架橋剤としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:約90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:約92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:約92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:約103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:約109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:約110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:約116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:約117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:約124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:約128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:約130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:約136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:約149.2℃)などを挙げることができる。その中でも、特に架橋反応効率が良好であるという点で、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:約92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:約116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:約130.0℃)などが具体的に用いられる。
【0137】
過酸化物半減期とは、過酸化物の分解速度を示す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間を言う。一具体例において、過酸化物の分解温度や半減期などは、例えば、各メーカーカタログなどに記載されている通りに従うことができる。例えば、過酸化物の分解温度や半減期などは、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
【0138】
オキサゾリン系架橋剤は、具体的に、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロフェニル−2−オキサゾリン、2−イソプロフェニル−4−メチル−2−オキサゾリン及び2−イソプロフェニル−5−エチル−2−オキサゾリンのうちの一つ以上を含んでもよいが、これに制限されない。オキサゾリン系架橋剤としては、商業的に販売されるものを使用してもよい。例えば、オキサゾリン系架橋剤としては、株式会社日本触媒のエポクロスWS−300、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700、エポクロスK−1000シリーズ、エポクロスK−2000シリーズなどのオキサゾリンギ含有アクリル系ポリマーを単独で使用してもよく、2種以上併用して使用してもよいが、これに制限されることはない。
【0139】
架橋剤の使用量は、粘着性樹脂100重量部に対して、約0.01重量部〜約20重量部、また、約0.03重量部〜約10重量部であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の凝集力に優れ、加熱時の発泡発生率を低下させることができ、耐湿性に優れ、信頼性試験などでリワーク性が向上し得る。
【0140】
一具体例では、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。このような具体例において、イソシアネート系架橋剤の含量は、前記粘着性樹脂100重量部に対して、約0.01重量部〜約2重量部、約0.02重量部〜約2重量部、約0.05重量部〜約1.5重量部であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の凝集力、耐久性試験でのリワーク性などをさらに向上させることができる。
【0141】
他の具体例では、架橋剤として、過酸化物系架橋剤1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。過酸化物系架橋剤を使用する場合、エージングが不要な粘着層を製造することができる。粘着剤層の製造工程において、ハンドリング向上という観点でエージングを必要としない粘着剤層が強く要求されている。したがって、粘着剤層のエージングが必要でないことは、製造工程で非常に大きな長所となる。前記エージングが不要な粘着層は、リワーク性と信頼性に優れるだけでなく、粘着層製造工程中における取り扱い性が向上するという長所を有する。
【0142】
このような具体例における過酸化物系架橋剤の含量は、前記粘着性樹脂100重量部に対して、約0.01重量部、0.02重量部、0.03重量部、0.04重量部、0.05重量部、0.06重量部、0.07重量部、0.08重量部、0.09重量部、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1.0重量部、1.1重量部、1.2重量部、1.3重量部、1.4重量部、1.5重量部、1.6重量部、1.7重量部、1.8重量部、1.9重量部又は2.0重量部であってもよい。また、前記過酸化物系架橋剤の含量は、前記粘着性樹脂100重量部に対して、約前記数値のうちの一つ以上及び約前記数値のうちの一つ以下の範囲になってもよい。例えば、前記過酸化物系架橋剤の含量は、前記粘着性樹脂100重量部に対して、約0.01重量部〜約2重量部、具体的に約0.02重量部〜約2重量部、より具体的に約0.04重量部〜約1.5重量部、さらに具体的に約0.05重量部〜約1重量部であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の加工性、リワーク性、架橋安定性、リワーク性などをさらに向上させることができる。
【0144】
一具体例の粘着剤組成物は、シランカップリング剤をさらに含有してもよい。シランカップリング剤を用いる場合、粘着剤組成物の耐久性をさらに向上させることができる。シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチルリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などを使用してもよい。前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0145】
前記シランカップリング剤の含量は、上述した粘着性樹脂100重量部に対して、約0.001重量部〜約10重量部、約0.001重量部〜約5重量部、約0.01重量部〜約1重量部、約0.02重量部〜約1重量部、約0.05重量部〜約0.6重量部であってもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の耐久性を向上させ、液晶セルなどの光学部材に対する接着力を確保することができる。
【0146】
また、一具体例の粘着剤組成物は、上述した各成分以外の添加剤をさらに含んでもよい。例えば、添加剤は、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのポリエーテル化合物、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粒子形態、ホイル形状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御可能な範囲内で、還元剤を付加した酸化還元系添加剤を使用してもよい。
【0148】
上述した各具体例に粘着剤組成物を用いて、各種光学フィルム上に粘着層を形成してもよい。このような粘着層が形成された光学フィルムは、粘着型光学フィルムとも称される。粘着層を形成する方法は、例えば、前記粘着剤組成物を離型剤が処理されたセパレータ(第1セパレータ)などに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去することによって粘着層を形成した後、これを光学フィルムに転写する方法;又は光学フィルムに前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去することによって粘着層を光学フィルムに形成する方法;などであってもよい。粘着剤組成物の塗布時には、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新しく添加してもよい。
【0149】
セパレータとしては、例えば、シリコーンライナーが具体的に用いられてもよい。このようなライナーは、例えば、ライナーの一面上にシリコーン系離型剤が処理されたものであってもよい。このようなシリコーン系離型剤は、セパレータに形成された粘着剤組成物が光学フィルムに転写されることを容易にすることができる。
【0150】
具体的な粘着層の形成方法は、粘着剤組成物をセパレータ又は光学フィルム上に塗布して塗布膜を形成する方法を含んでもよい。前記塗布膜の形成後、塗布膜を加熱・乾燥する方法も含み得る。加熱乾燥温度は、約40℃〜約200℃、具体的には約50℃〜約180℃であり、さらに具体的には約70℃〜約170℃であってもよい。加熱温度を前記範囲にすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤組成物を得ることができる。
【0151】
乾燥時間は、適当に、適切な時間を採用することができる。前記乾燥時間は、具体的には約5秒〜約20分、より具体的には約5秒〜約10分、特に具体的には約10秒〜約5分であってもよい。
【0152】
一具体例において、粘着剤組成物を光学フィルムの表面に塗布する場合、光学フィルムの表面には、アンカー層に対する形成処理、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を実施した後で粘着層を形成(接着補助層)してもよい。また、粘着層の表面に易接着処理を行ってもよい。
【0153】
粘着剤組成物の塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディープロールコート、バーコート、ナイフコート、エアナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコートなどによる押出コート法などの方法を挙げることができる。
【0154】
粘着層の形成時に架橋処理を行うことができる。このような架橋処理は、粘着層の乾燥工程時の温度で行ってもよく、乾燥工程後に別途の架橋処理工程を設けて行ってもよい。前記架橋処理は、架橋剤全体の添加量を調整すると共に、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分に考慮することができる。
【0155】
具体的に、使用する架橋剤により、架橋処理温度や架橋処理時間などは調整が可能である。一具体例において、粘着剤組成物の形成時の架橋処理温度は、約170℃以下、具体的に約130℃以下であってもよい。前記の範囲で、粘着層形成時のエネルギー効率を向上させることができる。また、粘着層を形成するための基材として、特定のセパレータ(例:PET)を使用する場合、オリゴマーなどの異物の生成を抑制できるという長所がある。前記異物(例:オリゴマー)は、30ppm以下、具体的に10ppm以下で生成され得る。前記の範囲で、前記異物を光学フィルム用粘着剤として使用するのに適切である。
【0156】
また、架橋処理時間については、生産性や作業性を考慮して設定することができる。一具体例において、粘着剤組成物の形成時の架橋処理時間は、約0.2分〜約20分、約0.5〜約10分程度であってもよい。
【0157】
一具体例において、架橋処理時の過酸化物系架橋剤で過酸化物架橋処理を行うことによって粘着層を形成することができる。
【0158】
粘着層は、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタンポリマー及びポリエステルのうちの一つ以上を含む粘着性樹脂、下記の化学式1で表示されるシリケートオリゴマー及び過酸化物系架橋剤を含む粘着剤組成物の架橋処理で形成される粘着層であって、温度23℃、湿度65%RHで、粘着層の形成から1時間放置した後、下記の式1によるゲル分率が約40重量%〜約95重量%であってもよい。
【0161】
前記化学式1において、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、X
1、X
2は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、nは1〜100の整数である。
【0163】
ゲル分率(重量%)={(Wc−Wa)/(Wb−Wa)}×100
【0164】
前記式1において、Wbは、前記粘着層0.2gをフッ素樹脂(TEMISHNTF−1122、日東電工株式会社)で被せた場合の重量で、Waは、前記フッ素樹脂の重量である。また、Wcは、前記フッ素樹脂で被せた粘着層を40mlのエチルアセテートに約23℃で約7日間浸すことによって可溶分を抽出し、前記フッ素樹脂で被せた粘着層をアルミニウムカップ上で約130℃で約2時間乾燥させた後、可溶分が除去されたフッ素樹脂で被せた粘着層の重量である。
【0165】
粘着剤組成物が過酸化物架橋処理で粘着層を形成する場合、約1時間後のゲル分率が約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%になってもよい。また、前記1時間後のゲル分率は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲になってもよい。例えば、粘着剤組成物が過酸化物架橋処理で粘着層を形成する場合、約1時間後のゲル分率が約40重量%〜約95重量%、具体的に約65重量%〜約95重量%の範囲を満足し得る。前記の範囲で、粘着層は、プレス現象と耐久性低下のおそれがなく、エージングが必要でないので、作業性に優れるという長所を有する。
【0166】
過酸化物架橋処理時間としては、過酸化物架橋処理温度(約170℃以下、具体的に約130℃以下)に該当する半減期時間以上を過酸化物架橋処理に用いてもよい。
【0167】
前記粘着性樹脂は、酸価が約0mgKOH/g、0.1mgKOH/g、0.2mgKOH/g、0.3mgKOH/g、0.4mgKOH/g、0.5mgKOH/g、0.6mgKOH/g、0.7mgKOH/g、0.8mgKOH/g、0.9mgKOH/g、1.0mgKOH/g、1.1mgKOH/g、1.2mgKOH/g、1.3mgKOH/g、1.4mgKOH/g、1.5mgKOH/g、1.6mgKOH/g、1.7mgKOH/g、1.8mgKOH/g、1.9mgKOH/g、2.0mgKOH/gになってもよい。また、前記粘着性樹脂は、酸価が約前記数値のうちの一つ以上及び約前記数値のうちの一つ以下の範囲になってもよい。例えば、粘着性樹脂の酸価は、約0mgKOH/g〜約20.0mgKOH/g、具体的に約0mgKOH/g〜約10.0mgKOH/g、より具体的に約0mgKOH/g〜約5.0mgKOH/g、さらに具体的に約0mgKOH/g〜約3.0mgKOH/gになってもよい。前記の範囲で、粘着剤組成物は、接着力及び信頼性に優れ、リワーク性との均衡をなすことができる。
【0168】
前記組成物は、過酸化物系架橋剤を含んでおり、過酸化物架橋処理で粘着層を形成することができる。
【0169】
過酸化物架橋処理では、過酸化物系架橋剤の約50重量%以上が分解され得る。過酸化物系架橋剤の50重量%以上を分解させることによって、粘着層のゲル分率を約40重量%〜約95重量%にすることができる。
【0170】
前記粘着層は、初期接着力と加熱後の接着力との差が1N/25mm以下であってもよい。前記の範囲で、粘着層のリワーク性及び信頼性に優れる。
【0171】
前記初期接着力は、下記の初期ガラス板に対する接着力で、加熱後の接着力は、下記の加熱後のガラス板に対する接着力であって、初期ガラス板及び加熱後のガラス板は次のように製作する。
【0172】
粘着型偏光フィルム(サンプル)を、幅25mm×長さ100mmに切り取り、厚さ0.5mmの無アルカリガラス板(コーニング株式会社製品、イーグルXG)に、ラミネータを使用して貼り付ける。次に、偏光フィルム付着ガラス板を約50℃、5atmで15分間オートクレーブ処理することによって、偏光フィルムを無アルカリガラスに完全に密着させる。これによって、初期ガラス板を製作する。そして、前記初期ガラス板を50℃の乾燥条件下で48時間加熱し、加熱後のガラス板を製作する。そして、初期ガラス板及び加熱後のガラス板の接着力を以下の方法で測定する。
【0173】
引張試験機(株式会社オリエンテック製品、テンシロン万能材料試験機STA−1150)を用いて、各ガラス板から偏光フィルムを剥がすときの接着力(N/25mm)を測定する。測定条件は、約23℃、相対湿度約50%、剥離角度約180゜、剥離速度約300mm/分とする。また、剥がすことは、JIS Z0237の粘着テープ及び粘着シート試験の方法による。
【0174】
粘着層は、加熱後の接着力が約3N/25mm以下、具体的に約2.5N/25mm以下になってもよい。前記の範囲で、粘着層のリワーク性及び信頼性に優れる。
【0175】
粘着層の厚さは、特に制限されないが、例えば、約1μm〜約100μmであってもよく、具体的には、約2μm〜約50μm、より具体的には約2μm〜約40μmで、さらに具体的には約5μm〜約35μmである。前記範囲内で、粘着層の接着力とリワーク性を効果的に両立させることができる。
【0176】
前記粘着層の表面が保管中に露出しなければならない場合は、離型剤処理されたセパレータ(第2セパレータ)をさらに形成することによって粘着層を保護することができる。このような第2セパレータは、粘着層の適用時に除去して使用する。
【0178】
本発明の粘着型光学フィルムは、光学フィルム及び前記光学フィルムの一面又は両面に形成された前記粘着層を含んでもよい。
【0179】
前記光学フィルムとしては、液晶表示装置などの画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光子を挙げることができる。具体的に、前記粘着型光学フィルムは、偏光子、前記偏光子の一面に形成された保護層、及び前記偏光子の他面に形成された粘着層を含み、前記粘着層は、前記の光学フィルム用粘着剤組成物で形成されたものであってもよい。
【0180】
偏光子は、偏光子の少なくとも一面に透明保護フィルムを備えてもよい。偏光子は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分泡沫化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系部分鹸化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨードや異色性染料の異色性物質を吸着させて1軸延伸させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン系配向フィルムなどを挙げることができる。具体例では、偏光子として、ポリビニルアルコール系フィルム及びヨードなどの異色性物質からなる偏光子を使用してもよい。この場合、偏光フィルムの光学度及び取り扱い性がさらに優秀になり得る。偏光子の厚さは、特に制限されないが、例えば、約5μm〜約80μmであってもよい。
【0181】
保護層は、偏光子を保護可能なものであれば制限されない。具体的に、保護層は透明保護フィルムであってもよい。前記透明保護フィルムは、偏光子の一側又は両側に接着剤層によって接合され得る。偏光子と透明保護フィルムの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステルなどを例示することができる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、例えば、約0.5重量%〜約60重量%の固形分を含有してもよい。その他に、偏光子と透明保護フィルムの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などを挙げることができる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、前記各種透明保護フィルムに対して適切な接着性を示す。一具体例の偏光子と透明保護フィルムとを接着する接着剤は、金属化合物フィラーをさらに含有してもよい。
【0182】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れた熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びこれらの混合物を挙げることができる。また、偏光子の一側には、透明保護フィルムが接着剤層によって接合されるが、他側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコン系などの熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂を用いてもよい。透明保護フィルム中には、任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などを挙げることができる。透明保護フィルム中の前記熱可塑性樹脂の含有量は、具体的には約50重量%〜約100重量%、より具体的には約50重量%〜約99重量%、さらに具体的には約60重量%〜約98重量%、特に具体的には約70重量%〜約97重量%である。透明保護フィルム中の前記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下である場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現されないおそれがある。
【0183】
透明保護フィルムの厚さは、適宜決定できるが、一般には、強度や取り扱い性などの作業性及び薄層性などの点で約1μm〜約500μm程度で、特に、約1μm〜約300μm、約5μm〜約200μmであってもよい。特に、一具体例の粘着層は、厚さが約40μm以下である薄い透明保護フィルムに直接粘着層を形成する場合に適している。
【0184】
他の具体例において、保護層は、保護コーティング層になってもよい。保護コーティング層は、活性エネルギー線硬化性化合物及び開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で形成することができる。前記活性エネルギー線硬化性化合物は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、及びイソシアヌレート系化合物のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0185】
保護コーティング層は、厚さが約5μm〜約200μm、具体的に約5μm〜約20μm、より具体的に約4μm〜約10μmになってもよい。前記範囲で、保護コーティング層は、接着剤を使用することなく偏光子上に直接形成することができ、偏光板を薄型化させることができる。
【0186】
また、前記粘着型光学フィルムは、他の光学フィルムと積層させることが可能である。他の光学フィルムとしては、例えば、反射板や半透過板、位相差フィルム(1/2や1/4などの波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられる場合がある光学層となるものを挙げることができる。これらは、前記偏光フィルムに、実用時に積層し、1層又は2層以上用いてもよい。例えば、粘着型光学フィルムは、前記粘着層上に形成された位相差フィルムをさらに含んでもよい。
【0187】
粘着型光学フィルムに前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式でも形成可能であるが、予め積層して光学フィルムとする場合、品質の安定性や組立作業などに優れ、液晶表示装置などの製造工程を向上できるという利点がある。積層には、粘着層などの適切な接着手段を使用可能である。前記偏光フィルムと他の光学層との接着時、それらの光学軸は、目的とする位相差特性などに応じて適切な配置角度とすることが可能である。
【0188】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨードで染色して1軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨードの水溶液に浸漬することによって染色し、本来の長さの3倍〜7倍に延伸することによって作成することができる。必要に応じて、ポリビニルアルコールをホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛などを含有していてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬してもよい。また、必要に応じて、染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することによってポリビニルアルコール系フィルム表面の汚染やブロッキング防止剤を洗浄できること以外に、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることによって染色ムラなどの不均一を防止するという効果もある。延伸は、ヨードで染色した後で行ってもよく、染色しながら行ってもよく、また、延伸してからヨードで染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸させることができる。
【0189】
また、光学フィルムとしては、例えば、反射板や半透過板、位相差フィルム(1/2や1/4などの波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルム、表面処理フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられる場合がある光学層となるものを挙げることができる。これらは、単独で光学フィルムとして用いることが可能な以外に、前記偏光フィルムに、実用時に積層し、1層又は2層以上用いてもよい。例えば、光学フィルム及び前記粘着層を含む粘着型光学フィルムは、粘着層上に形成された位相差フィルムをさらに含んでもよい。
【0190】
上記に列挙した各種光学フィルムの膜厚は特に制限されないが、一具体例に係る粘着剤組成物は、光学フィルムが薄い(例えば、約100μm以下)場合であっても、光学フィルムに対するリワーク性を確保しながら高い信頼性を有する。また、光学フィルムには、接着補助層を形成し、この接着補助層上に粘着層を形成してもよい。接着補助層は、粘着層に対する濡れ性などが光学フィルムより大きい層である。接着補助層は、例えば、光学フィルムに対するコロナ処理によって製作される。接着補助層を別途に準備し、これを光学フィルムに貼り付けてもよい。具体的に、前記接着補助層は、光学フィルム表面及び粘着層表面のうちの一つ以上に形成することができる。接着補助層を形成することによって、粘着層を光学フィルム上に容易に形成することができる。
【0191】
図1及び
図2は、粘着型光学フィルムの例を示す。
図1に示した粘着型光学フィルム10は、光学フィルム11、及び光学フィルム11の一面に形成された粘着層12を備えている。粘着層12は、上述したように、例えば、光学フィルム11の一面に粘着剤組成物の溶液を塗布し、その後、溶媒を除去することによって光学フィルム11上に形成される。光学フィルム11は、例えば、偏光子になってもよい。このように、粘着剤組成物は、光学フィルム上に予め形成された粘着層として使用されてもよい。また、粘着層12は、光学フィルム11の両面に形成されていてもよい。
図2は、粘着型光学フィルム10の変形例を示す。
図2に示した粘着型光学フィルム10は、光学フィルム11と粘着層12との間に形成された接着補助層11aを有する。接着補助層11aは、粘着層12に対する濡れ性などが光学フィルム11よりも大きい層である。
【0192】
本発明の表示装置は、前記粘着型光学フィルムを含んでもよい。表示装置の例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などを挙げることができる。
【0193】
図3及び
図4は、一具体例に係る粘着層が形成された表示装置の構成例を示す。
図3に表示された表示装置20は、表示素子21、粘着剤層22、及び光学フィルム23を備えている。光学フィルム23は、表示素子21の両面上に配置され、粘着剤層22は、表示素子21と光学フィルム23とを接着させる。表示装置20は、粘着剤層22及び光学フィルム23からなる粘着型光学フィルムを表示素子21の両面に貼り付けることによって製作してもよい。また、表示素子21の両面に粘着剤層22を形成し、粘着剤層22に光学フィルム23を貼り付けてもよい。
【0194】
図4は、表示装置20の変形例である。
図4に示したように、複数層の光学フィルムを表示素子21上に設置してもよい。
図4に表示される表示装置20では、
図3に表示される表示装置20の光学フィルム23上に粘着層24及び光学フィルム25がさらに設置されている。粘着層24及び光学フィルム25は、粘着剤層22及び光学フィルム23と同様の方法によって光学フィルム23上に設置される。
【0195】
表示装置20は、上述したように、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。表示装置20が液晶表示装置となる場合、表示素子21は液晶セルとなり、光学フィルム23は偏光フィルムとなる。また、光学フィルム25は、例えば、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム及び各種保護フィルムなどとなる。また、表示装置20が液晶表示装置となる場合、粘着剤層22と表示素子21との間に位相差板を配置してもよい。また、位相差板と表示素子21は粘着層によって接着されてもよい。表示素子21の膜厚は特に制限されないが、一具体例に係る粘着剤組成物は、表示素子21が薄い(例えば、200μm以下)場合であっても、表示素子21に対するリワーク性を確保しながら高い信頼性を有する。すなわち、一具体例に係る粘着剤組成物は、光学フィルム及び表示素子のうちのいずれか一側又は両側が薄い場合であっても、これらに対するリワーク性を確保しながら高い信頼性を有する。
【0197】
本発明の粘着層製造方法は、基材の一面又は両面に光学フィルム用粘着剤組成物で粘着層を形成する段階を含み、前記光学フィルム用粘着剤組成物は、酸価が約0mgKOH/g〜約20.0mgKOH/gである粘着性樹脂、及び下記の化学式1で表示されるシリケートオリゴマーを含んでもよい。
【0200】
前記化学式1において、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、X
1、X
2は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、nは1〜100の整数である。具体的に、R
1〜R
4は、それぞれ独立的に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基で、X
1、X
2は、それぞれ独立的に、水素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基になってもよい。例えば、R
1〜R
4は、メチル基、エチル基、フェニル基であってもよい。
【0201】
前記基材は光学フィルムであってもよい。前記光学フィルムとしては、液晶表示装置などの画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。光学フィルムは、粘着層に記載したものと実質的に同一である。例えば、光学フィルムとしては偏光フィルムを挙げることができる。
【0202】
前記粘着層を形成する段階は、基材の一面又は両面に光学フィルム用粘着剤組成物を含む層を形成する段階、及び前記光学フィルム用粘着剤組成物を含む層に対して過酸化物架橋処理を行う段階を含んでもよい。
【0203】
粘着層の製造時、過酸化物架橋処理を行うことができる。このような架橋処理は、前記粘着層形成過程で記載したものと実質的に同一であり、具体的に、過酸化物架橋処理は、過酸化物架橋剤が約50重量%以上分解され、130℃以下で行うことができ、粘着層のゲル分率を約40重量%〜約95重量%にしてもよい。
【0204】
一具体例において、前記光学フィルム用粘着剤組成物は、粘着性樹脂約100重量部に対して、過酸化物系架橋剤を約0.01重量部〜約2重量部含み、約0.02重量部〜約2重量部、約0.04重量部〜約1.5重量部、約0.05重量部〜約1重量部をさらに含んでもよい。
【0205】
他の具体例において、前記光学フィルム用粘着剤組成物は、粘着性樹脂100重量部に対してシリケートオリゴマーを約0.01重量部〜約50重量部、具体的に約0.5重量部〜約20重量部、より具体的に約0.5重量部〜約10重量部、さらに具体的に約1重量部〜約5重量部含んでもよい。前記範囲内で、粘着剤組成物の初期リワーク性及び加熱後の接着力がさらに向上し得る。
【0206】
更に他の具体例において、前記光学フィルム用粘着剤組成物は架橋剤をさらに含んでもよい。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などを使用してもよいが、これに制限されない。
【実施例】
【0207】
次に、一具体例の実施例について説明する。以下の実施例において、溶液の濃度は、溶液の総重量に対する重量%で示す。
【0208】
[実施例]
【0209】
<A.リワーク性及び信頼性評価のための実施例>
【0210】
下記の実施例及び比較例により、粘着層のリワーク性及び信頼性を評価した。
【0211】
製造例1(アクリル樹脂の製造例)
【0212】
以下の工程により、粘着性樹脂の一例であるアクリル樹脂(ポリマーA1)を製作した。撹拌翼、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4口フラスコに、ブチルアクリレート99重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1重量部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.15重量部を酢酸エチル100重量部と共に注入した。そして、混合溶液を穏やかに撹拌しながら4口フラスコに窒素ガスを導入して窒素置換した。その後、フラスコ内の液体温度を55℃付近に維持し、単量体同士に対して5時間重合反応を行わせた。これによって、ポリマーA1の溶液を製作した。ポリマーA1の重量平均分子量(Mw)は210万であった。また、ポリマーA1の酸価は0mgKOH/gであった。ポリマーA1の組成(ポリマーA1を構成する単量体の重量比)、重量平均分子量及び酸価を表1に示す。
【0213】
ここで、ポリマーA1の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定した。測定装置及び測定条件は次の通りである。
【0214】
分析装置:東ソー株式会社製品、HLC−8120GPC
【0215】
カラム:東ソー株式会社製品、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
【0216】
カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm、合計90cm
【0217】
カラム温度:40℃
【0218】
流量:0.8ml/分
【0219】
注入量:100μl
【0220】
溶離液:テトラヒドロフラン
【0221】
検出器:時差屈折計(RI)
【0222】
標準試料:ポリスチレン
【0223】
また、ポリマーA1の酸価は、以下の工程によって測定した。トルエン、イソプロピルアルコール及び蒸留水を50:49.5:0.5の重量比で含む混合溶媒を調剤した。次に、ポリマーA1約0.5g(固形分基準)を精密に秤量し、これを前記混合溶媒50gに溶解させた。これにより、滴定用サンプル溶液を調剤した。このサンプル溶液を、平沼産業株式会社製品の滴定装置、型式「COMTITE−550」を用いて、0.1規定のKOH水溶液によって中和滴定した。得られた結果と下記の[式2]により、ポリマーA1の酸価を算出した。
【0224】
[式2]
【0225】
酸価[mgKOH/g]=(a−b)×5.611×F/S
【0226】
式2において、
【0227】
a:サンプル溶液の滴定に必要なKOH水溶液の量[ml]
【0228】
b:ブランク(混合溶媒)の滴定に必要なKOH水溶液の量[ml]
【0229】
F:KOH水溶液の力価
【0230】
S:滴定に提供したサンプル溶液に含有される樹脂の重量[g]
【0231】
である。
【0232】
製造例2〜7(アクリル樹脂の製造例)
【0233】
4口フラスコに投入する単量体の種類及び重量比を表1のように変更したこと以外には、製造例1と同様の工程を行うことによって、ポリマーA2〜A6を製作した。また、ポリマーA2〜A7の重量平均分子量及び酸価を製造例1と同様の方法によって測定した。結果を表1にまとめて示す。
【0234】
製造例8(ウレタン樹脂の製造例)
【0235】
以下の工程により、ウレタン樹脂(ポリマーA8)を製作した。撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−1010(2作用ポリエステルポリオール、OH価112mg/g、株式会社クラレ製品)51.9g、アデカポリエーテル(Adeka polyether)G−1500(三作用性ポリエーテルポリ、三作用性、OH価109mg/g、株式会社ADEKA製品)32.2g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)(住友バイエルウレタン株式会社製品)15.9g、トルエン66.7g、触媒として2−エチルヘキサン酸鉄0.03g、ナフテン酸鉛0.04gを投入した。
【0236】
次に、混合溶液を90℃まで徐々に昇温させ、単量体同士を4時間重合反応させた。赤外分光光度計(IR)で残存イソシアネート基を確認し、イソシアネート基に対応するピークが消えたタイミングに反応を終了し、反応後の混合溶液、すなわち、ウレタン樹脂の溶液を冷却させた。ウレタン樹脂の溶液は、無色透明で、固形分60重量%であった。また、製造例1と同様の方法によって重量平均分子量及び酸価を測定した結果、重量平均分子量は50,000、酸価は0.5KOHmg/gであった。ポリマーA8の組成(ポリマーA8を構成する単量体の重量比)、重量平均分子量及び酸価を表2に示す。
【0237】
製造例9(ポリエステル樹脂の製造例)
【0238】
以下の工程により、ポリエステル樹脂(ポリマーA9)を製作した。温度計、撹拌機、蒸留管、冷却器を備えた4口セパラブルフラスコに、エチレングリコール11.7g、ネオペンチルグリコール18.6g、イソフタル酸11.8g、セバシン酸57.9g及びテトラ−n−ブチルチタネート0.15gを投入した。その後、混合溶液を150℃〜270℃で150分間加熱することによってエステル化反応を行い、続いて、反応系の圧力を徐々に下げ、30分後に133Paとし、また、減圧を継続しながら180分間反応を行った。次に、反応後の混合溶液を酢酸エチルで希釈することによってポリエステル樹脂の溶液を得た。この溶液の固形分は60重量%であった。ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び酸価を製造例1と同様の方法によって測定した結果、重量平均分子量は38,000、酸価は0.3KOHmg/gであった。ポリマーA9の組成(ポリマーA8を構成する単量体の重量比)、重量平均分子量及び酸価を表3に示す。
【0239】
【表1】
【0240】
【表2】
【0241】
【表3】
【0242】
前記表1〜3の成分含量は重量部で表示した。
【0243】
製造例10(高分子量タイプの製造例)
【0244】
以下の工程により、高分子量タイプのシリケートオリゴマーB1を製作した。テトラメトキシシラン152g(1モル、4当量)をテトラヒドロフラン(以下、「THF」とも称する)500gに溶解させた。次に、得られた溶液に0.35重量%の塩酸水溶液72g(8当量)を添加して混合した。次に、混合溶液を20℃で1時間放置することによってテトラメトキシシランの加水分解を行った。次に、加水分解後の溶液、すなわち、反応溶液にポリメトキシシロキサン(三菱化学株式会社製品「MKCシリケートMS−51」)450gを添加することによって2時間還流を行った。その後、反応溶液の温度を150℃まで高めることによってTHFを流出させた。これによって、無色透明であると同時に、液体形態のシリケートオリゴマーB1を得た。シリケートオリゴマーB1の重量平均分子量は25,000であった。また、原料のポリメトキシシロキサン(「MKCシリケートMS−51」)は、重量平均分子量900のオリゴマーである。よって、加水分解されたテトラメトキシシランとポリメトキシシロキサンとが結合することによって、高分子量のシリケートオリゴマーが生成された。シリケートオリゴマーB1のR
1〜R
4、X
1及びX
2は、いずれもメチル基である化学式1で表示される。
【0245】
また、シリケートオリゴマーB1の重量平均分子量の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定した。
【0246】
測定装置及び測定条件は次の通りである。
【0247】
分析装置:東ソー株式会社製品、HLC−8120GPC
【0248】
カラム:TSKgel、SuperHZM−H/HZ4000/HZ2000
【0249】
カラムサイズ:6.0mm(内径)×150mm
【0250】
カラム温度:40℃
【0251】
流量:0.6ml/分
【0252】
注入量:20μl
【0253】
溶離液:テトラヒドロフラン
【0254】
検出器:時差屈折計(RI)
【0255】
標準試料:ポリスチレン
【0256】
製造例11(フェノキシタイプの製造例)
【0257】
以下の工程により、化学式1において、R
1〜R
4、X
1及びX
2がフェニル基又はメチル基(R
1〜R
4、X
1、又はX
2がフェニル基を含む)であるシリケートオリゴマーB2を製作した。テトラフェノキシシラン400g(1モル、4当量)をTHF500gに溶解させた。次に、得られた溶液に0.35重量%の塩酸水溶液72g(8当量)を添加して混合した。次に、混合溶液を20℃で1時間放置することによってテトラフェノキシシランの加水分解を行った。次に、加水分解後の溶液、すなわち、反応溶液にポリメトキシシロキサン(三菱化学株式会社製品「MKCシリケートMS−51」)450gを添加することによって2時間還流を行った。その後、反応溶液の温度を150℃まで高めることによってTHFを流出させた。これによって、無色透明な液体形態であるシリケートオリゴマーB2を得た。前記シリケートオリゴマーB2の重量平均分子量を製造例10と同様の方法で測定した結果、シリケートオリゴマーB2の重量平均分子量は5,000であった。また、原料であるポリメトキシシロキサン(「MKCシリケートMS−51」)は分子量900のオリゴマーである。よって、加水分解されたテトラフェノキシシランとポリメトキシシロキサンとが結合することによって、R
1〜R
4、X
1及びX
2がフェニル基又はメチル基であるシリケートオリゴマーB2が生成された。
【0258】
また、本発明者は、前記以外にもいくつかのシリケートオリゴマーを入手し、これらを以下の各実験に提供した。
【0259】
光学フィルムの製造例
【0260】
製造例12(片保護偏光フィルム)
【0261】
以下の工程により、光学フィルムとして片保護偏光フィルムを製作した。厚さ20μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比が異なるロール間において、30℃、0.3重量%のヨード溶液中で1分間染色しながら3倍まで延伸した。その後、延伸フィルムを60℃、4重量%のホウ酸、10重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率6倍まで延伸した。次に、延伸フィルムを30℃、1.5重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することによって洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行った。これによって偏光子を得た。そして、偏光子の一面に、厚さ20μmのアクリル系フィルム(ラクトン変性アクリル系樹脂フィルム)をポリビニルアルコール系接着剤によって接合させた。アクリル系フィルムは、保護フィルムの一例である。これによって、合計厚さが27μmである片保護偏光フィルムを作成した。
【0262】
<実施例1>
【0263】
粘着剤組成物の製作
【0264】
製造例1で得られたポリマーA1溶液の固形分100重量部に対して、シリケートオリゴマーBとして、コルコート株式会社製品であるメチルシリケート51(重量平均分子量550)5重量部、イソシアネート系架橋剤タケネートD110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の75重量%酢酸エチル溶液、1分子中のイソシアネート基数:3個、三井化学株式会社製品)0.1重量部、及びシランカップリング剤(商品名:KBM−403、信越化学工業株式会社製品、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.1重量部を配合した。これによって、粘着剤組成物溶液(固形分15重量%)を得た。粘着剤組成物の組成を表4に示す。
【0265】
粘着型偏光フィルム(粘着型光学フィルム)の製作
【0266】
前記粘着剤組成物溶液を、シリコーン処理を実施した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製品、MRF38、オリゴマー防止層なし)の一面に、乾燥後の粘着層の厚さが20μmになるように塗布した。次に、塗布層を100℃で2分間乾燥処理することによって粘着層を形成した。前記製造例12で製造した片保護偏光フィルムに対してコロナ放電量80[W・分/m
2]でコロナ処理を行った偏光子面(コロナ処理を行った面)に粘着層を接合させることによって粘着型偏光フィルムを製作した。
【0267】
実施例2〜22、比較例1〜8
【0268】
粘着性樹脂の組成を表4、表5及び表6に示した組成に変更したこと以外には、実施例1と同様の処理を行うことによって粘着型偏光フィルムを製作した。
【0269】
【表4】
【0270】
【表5】
【0271】
【表6】
【0272】
表4、表5及び表6において、シリケートオリゴマーB3は、R
1〜R
4、X
1及びX
2がいずれもメチル基で、重量平均分子量が600であるメチルシリケート51である。シリケートオリゴマーB4は、R
1〜R
4、X
1及びX
2がいずれもメチル基で、重量平均分子量が900であるメチルシリケート53A(コルコート株式会社製品)である。シリケートオリゴマーB5は、R
1〜R
4、X
1及びX
2がブチル基(15%)で、残りがメチル基(85%)で、重量平均分子量が3,200であるMKCシリケートMS58B15(三菱化学株式会社製品)である。シリケートオリゴマーB6は、R
1〜R
4、X
1及びX
2がメチル基(50%)とエチル基(50%)で、重量平均分子量が1,300であるEMS−485(コルコート株式会社製品)である。シリケートオリゴマーB7は、R
1〜R
4、X
1及びX
2がいずれもエチル基で、重量平均分子量が1,400であるエチルシリケート48(コルコート株式会社製品)である。
【0273】
また、パーロイルTCPは、日油株式会社(NOF CORPORATION)製品である過酸化物系架橋剤である。
【0274】
<物性評価方法>
【0275】
(1)信頼性評価試験
【0276】
各実施例及び比較例に係る粘着型偏光フィルム(粘着型光学フィルム)に対して、信頼性評価試験を行った。具体的には、粘着型偏光フィルム(サンプル)を37インチサイズ(縦56.4cm×横75.2cmサイズ)に切り取り、厚さ0.5mmの無アルカリガラス(alkali−free glass)(コーニング株式会社製品、イーグルXG)にラミネータ(ラミネーティングマシン)を使用して貼り付けた。また、無アルカリガラスは、液晶セルガラス基板として使用されるものである。また、実際の液晶セルには、厚さ0.25mmの無アルカリガラスを2枚くっ付けたものを使用することになる。そして、本試験及び後述する接着力及びリワーク性評価試験では、粘着型偏光フィルムをこのような無アルカリガラスの両面に貼り付ける。よって、これらの特性が優秀であることは、粘着型偏光フィルムを液晶セルの偏光フィルムとして適宜使用可能であることを意味する。
【0277】
続いて、偏光フィルム付着ガラス板を50℃、0.5MPaで15分間オートクレーブ処理することによって、前記サンプルを完全に無アルカリガラスに密着させた。このような処理が施行された偏光フィルム付着ガラス板(以下、「初期ガラス板」とも称する)を85℃で500時間維持した(加熱試験)。また、初期ガラス板に対して60℃/95%RH(相対湿度)の雰囲気下で500時間処理を実施した(加湿試験)。また、初期ガラス板を85℃で30分、−40℃で30分維持するヒートサイクルを300サイクル行った(ヒートショック試験)。各試験後、偏光フィルムとガラスとの間の外観を下記の基準で肉眼で評価した。評価結果を表7、表8及び表9に示した。
【0278】
◎:発泡、剥離、浮き上がりなどの外観上の変化が全くない。
【0279】
○:少しではあるが、端部に剥離又は発泡があるが、実用上の問題はない。
【0280】
△:端部に剥離又は発泡があるが、特別な用途でない限り、実用上の問題はない。
【0281】
×:端部に著しく剥離があり、実用上の問題がある。
【0282】
(2)接着力及びリワーク性評価試験
【0283】
各実施例及び比較例に係る粘着型偏光フィルム(粘着型光学フィルム)に対して、接着力評価試験を行った。具体的には、粘着型偏光フィルム(サンプル)を、幅25mm×長さ100mmに切り取り、厚さ0.5mmの無アルカリガラス板(コーニング株式会社製品、イーグルXG)に、ラミネータを使用して貼り付けた。次に、偏光フィルム付着ガラス板を50℃、5atmで15分間オートクレーブ処理することによって、偏光フィルムを無アルカリガラスに完全に密着させた。これによって、初期ガラス板を製作した。次に、初期ガラス板を50℃の乾燥条件下で48時間加熱した。これによって、加熱後のガラス板を製作した。そして、初期ガラス板及び加熱後のガラス板の接着力を以下の方法で測定した。
【0284】
すなわち、引張試験機(株式会社オリエンテック製品、テンシロン万能材料試験機STA−1150)を用いて、各ガラス板から偏光フィルムを剥がすときの接着力(N/25mm)を測定した。測定条件は、23℃、相対湿度50%、剥離角度180゜、剥離速度300mm/分とした。また、剥がすことは、JIS Z0237の粘着テープ及び粘着シート試験の方法に準拠して行った。
【0285】
また、粘着型偏光フィルム(サンプル)に対して、リワーク性評価試験を行った。具体的には、まず、粘着型偏光フィルム(サンプル)に対して接着力評価試験と同様の処理を実施することによって、初期ガラス板及び加熱後のガラス板を製作した。但し、粘着型偏光フィルム(サンプル)のサイズは、幅420mm×長さ320mmとした。その後、初期ガラス板及び加熱後のガラス板から人の手によって偏光フィルムを剥離させた。そして、前記と同様の処理を3回繰り返した。すなわち、初期ガラス板及び加熱後のガラス板をそれぞれ3枚作成し、各ガラス板から偏光フィルムを剥離させた。そして、下記基準で各粘着剤組成物のリワーク性(実際のリワーク性)を評価し、これを表7、表8及び表9に示した。
【0286】
◎:3枚とも糊残留、偏光フィルムの破断がなく良好に剥離可能である。無アルカリガラスの破断はなかった。
【0287】
○:3枚のうちの一部のフィルムが破断されたが、再度の剥離によって剥離された。無アルカリガラスの破断はなかった。
【0288】
△:3枚ともフィルムが破断されたが、再度の剥離によって剥離された。無アルカリガラスの破断はなかった。
【0289】
×:3枚とも糊残留が生じたり、又は、何回か剥離させても、フィルムの破断によって剥離させることができなかった。また、無アルカリガラスが破断される場合があった。
【0290】
【表7】
【0291】
【表8】
【0292】
【表9】
【0293】
表7及び表8に表示したように、本実施例に係る粘着剤組成物は、リワーク性と信頼性を両立させていることを確認することができた。特に、評価試験で使用した偏光フィルム、無アルカリガラスはいずれも薄型であるが、本実施例に係る粘着剤組成物を使用した場合、偏光フィルム及び無アルカリガラスをほとんど破壊することなく無アルカリガラスから剥離させることができた。また、表9によると、接着力が3N/25mm超になる場合、リワーク性が低下する傾向があることが分かる。
【0294】
<B.リワーク性、信頼性及び作業性に関する実施例>
【0295】
下記の実施例及び比較例により、粘着層のリワーク性、信頼性及び作業性(粘着フィルムのエージング必要有無)を評価した。
【0296】
シリケートオリゴマー
【0297】
シリケートオリゴマーとして、A.リワーク性及び信頼性評価のための実施例で使用したシリケートオリゴマーを準備した。具体的に、前記のシリケートオリゴマーB1(製造例10)、B2(製造例11)、メチルシリケート51(シリケートオリゴマーB3)、メチルシリケート53A(シリケートオリゴマーB4)、MKCシリケートMS58B15(シリケートオリゴマーB5)、EMS−485(シリケートオリゴマーB6)、エチルシリケート48(シリケートオリゴマーB7)を準備した。
【0298】
過酸化物架橋剤
【0299】
過酸化物系架橋剤として、A.リワーク性及び信頼性評価のための実施例で使用したパーロイルTCP(1分間半減期温度92.1℃)以外にも、パーブチルND(日油株式会社、第1分間半減期温度103.5℃)、パーブチルPV(日油株式会社、第1分間半減期温度110.3℃)を準備した。
【0300】
光学フィルムの製造
【0301】
A.リワーク性及び信頼性評価のための実施例で使用した光学フィルム(片保護偏光フィルム)を準備した。
【0302】
実施例23〜47及び比較例9〜15
【0303】
粘着剤組成物の組成を表10及び表11の組成としたこと、そして、乾燥温度を表10及び表11に示す温度に適用したことを除いては、実施例1と同一にして粘着型偏光フィルムを製造した。具体的に、乾燥温度は、過酸化物系架橋剤の種類に応じて異なる温度を適用した。例えば、実施例23は、1分半減期温度が92.1℃であるパーロイルTCP、120℃(2分)の乾燥温度を適用した。この乾燥処理により、過酸化物係架橋剤の50重量%以上が分解された。
【0304】
【表10】
【0305】
【表11】
【0306】
前記表11において、V−05は、日清紡績株式会社製品であるカルボジイミド系架橋剤で、WS−500は、株式会社日本触媒のオキサゾリン系架橋剤で、Tetrad Xは、三菱ガス化学株式会社のエポキシ系架橋剤である。
【0307】
<物性評価方法>
【0308】
(1)信頼性、接着力及びリワーク性評価試験:A.リワーク性及び信頼性評価のための実施例と同一の方法で評価を実施し、これを表12及び表13に示した。
【0309】
(2)ゲル分率の算出:ゲル分率は、粘着剤組成物を乾燥後の厚さが20μmになるように100℃で2分間乾燥し、架橋処理することによって粘着層を形成し、前記粘着層を温度23℃、湿度65%RHの条件で1時間放置した後、下記の式1で算出することができる。
【0310】
[式1]
【0311】
ゲル分率(重量%)={(Wc−Wa)/(Wb−Wa)}×100
【0312】
前記式1において、Wbは、前記粘着層0.2gをフッ素樹脂(TEMISHNTF−1122、日東電工株式会社)で被せた場合の重量で、Waは、前記フッ素樹脂の重量である。また、Wcは、前記フッ素樹脂で被せた粘着層を40mlのエチルアセテートに23℃で7日間浸すことによって可溶分を抽出し、前記フッ素樹脂で被せた粘着層をアルミニウムカップ上で130℃で2時間乾燥させた後、可溶分が除去されたフッ素樹脂で被せた粘着層の重量である。
【0313】
(3)エージングの必要有無評価(作業性):前記で算出したゲル分率が40重量%以上であると、プレス現象と耐久性低下に対するおそれがなく、エージング処理を必要としない。したがって、ゲル分率によって、エージングの必要有無を次のように評価した。評価結果を表12及び表13に示した。
【0314】
○:ゲル分率が65%以上である場合、プレス現象、加工性及び耐久性低下のおそれがない。
【0315】
△:ゲル分率が40%以上65%未満である場合、プレス現象のおそれがない。
【0316】
×:ゲル分率が40%未満である場合、プレス現象が生じ、加工性及び耐久性が悪化する。
【0317】
ここで、プレス現象とは、A.リワーク性及び信頼性評価のための粘着型光学フィルム(サンプル)のように製造したとき、前記光学フィルム表面で肉眼でプレスが確認されることを意味し、加工性低下とは、A.リワーク性及び信頼性評価のための粘着型光学フィルム(サンプル)のように製造(420mmX320mm)し、1時間以内に前記光学フィルムに1辺の長さが270mmである正四角形の穴を開け、手の感触及び肉眼で偏光フィルムの側面に接着性が感じられたり、偏光フィルムの表面汚染有無が観察されることを意味する。
【0318】
(4)PETオリゴマー析出量測定:前記で製作した粘着型偏光フィルム(セパレータを含む)を60℃、90%RHの条件で500時間放置した後、分離器を除去した。続いて、粘着型偏光フィルムで粘着層を0.025g採取し、クロロホルム1mlを追加し、室温で18時間振とう(shaking)した後、アセトニトリルを5mlさらに抽出して3時間振とうした。得られた溶液を0.45mlのメンブレインフィルタでろ過し、三量体のPETオリゴマーの標準品を一定濃度に調整することによって検量線を作成し、検量線を用いて粘着剤に含まれたPETオリゴマーの量(ppm)を要求した。検量線は、PETオリゴマーの濃度(ppm)を知っているサンプルを用いてHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)で測定した。HPLC装置、HPLCの測定条件及びPETオリゴマー量の定量方法は次の通りである。
【0319】
HPLC装置:アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)第1200シリーズ
【0320】
測定条件
【0321】
カラム:アジレント・テクノロジー第ZORBAX SB−C18
【0322】
カラム温度:40℃
【0323】
熱流量:0.8ml/min
【0324】
溶離液組成:水/アセトニトリル逆相グラジエント条件
【0325】
注入量:5μl
【0326】
検出器:PDA(フォトダイオードアレイ)
【0327】
定量方法:PETオリゴマー三量体の標準試料をクロロホルムに溶解した後、これをアセトニトリルで希釈することによって一定濃度に標本品を調整した。そのHPLC面積と調整濃度で検量線を作成した。そして、前記検量線に従ってサンプルPETオリゴマー量(粘着剤層へのオリゴマーの析出量)を求めた。結果を表12及び表13に示した。
【0328】
【表12】
【0329】
【表13】
【0330】
表12及び表13に示したように、実施例に係る粘着剤組成物は、ベースポリマーである酸価が0mgKOH/g〜20.0mgKOH/gである粘着性樹脂(A)、シリケートオリゴマー(B)及び過酸化物系架橋剤を含有する。そして、このような粘着剤組成物から得られた粘着層を有する粘着型光学フィルムは、該当粘着層がシリケートオリゴマー(B)を含有することによって、粘着型光学フィルムを液晶セルなどにくっ付けた直後の接着力が低下させることができる。また、各種工程を経ることによって長時間が経過したり、高温で貯蔵されたりしても、液晶セルなどに対する接着力の増加がなく、液晶セルなどから粘着型光学フィルムを容易に剥離することができ、リワーク性に優れる。すなわち、液晶セルを損傷又は汚染せず、粘着型光学フィルムを再使用することができる。特に、大型液晶セルでは平面粘着型光学フィルムの剥離が困難であったが、本発明によると、大型液晶セルでも平面粘着型光学フィルムを容易に剥離することができる。
【0331】
また、本実施例では、過酸化物系架橋剤を粘着剤組成物溶液に特定の比率で含み、粘着剤組成物溶液の塗布膜を加熱・乾燥する場合、エージングを必要としないので、作業性に優れ、リワーク性と信頼性に優れ、製造工程面で優れたハンドリング性を有する粘着型光学フィルムを提供する。また、乾燥温度を130℃以下とし、粘着剤層へのオリゴマーの析出量を減少させることができる。
【0332】
以上、添付の図面を参照しながら本発明の適切な実施形態に対して詳しく説明したが、本発明はこのような例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範疇内において、各種変形例又は修正例に想到し得ることは明確であるので、これらに対しても、当然、本発明の技術的範囲に属するものと理解される。