【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の機構によって解決される。本発明によれば、変更可能な薬物送達デバイスに薬剤の用量を設定するための機構が提案され、その機構は、ハウジングと、用量設定動作中、ハウジングに対して回転するように構成されたスリーブ構成要素と、スリーブ構成要素の可能な回転の総量をある最大量に制限し、それによって最大設定可能用量を制限するように構成された停止部材とを含み、ここで、停止部材は、スリーブ構成要素の可能な回転の総量の変更を可能にするように構成される。それに応じて、停止部材は、最大設定可能用量の変更を可能にするように構成される。
【0011】
それに応じて、機構は、最大設定可能用量を変更することができるように構成される。したがって、その機構を含む薬物送達デバイスを用いて広範な薬剤を送達することができるが、それには、製造の複雑さを最小限に抑える一方で最大用量が決められているものも含まれる。同じ構成要素を実質的に類似の製造設備を用いて組み立て、停止部材によって最大設定可能用量を変更することができる。本発明によって、同じ種類の薬物送達デバイスを、異なる種類の薬剤に、さらには異なる用量を必要とする患者に用いることが可能になる。
【0012】
たとえば、第1の薬物送達デバイスは第1の最大設定可能用量を有することができ、第2の薬物送達デバイスは、第1の最大設定可能用量と異なる第2の最大設定可能用量を有することができる。第1および第2の薬物送達デバイスは、そのそれぞれの停止部材の設定のみが異なるようにすることができる。特に、第1の薬物送達デバイスの停止部材は、第2の薬物送達デバイスにおけるハウジングに対するスリーブ構成要素の可能な回転の総量とは異なる、ハウジングに対するスリーブ構成要素の可能な回転の総量を可能にすることができる。
【0013】
可変用量薬物送達デバイスは、用量を使用者が設定できる薬物送達デバイスとすることができる。使用者は、送達すべき用量を複数の可能な数のうちの1つに設定することができる。
【0014】
ハウジングは、薬物送達デバイスのハウジングとすることができる。それに応じて、ハウジングは、薬物送達デバイスの外側の構成要素とすることができる。特に、スリーブ構成要素および停止部材を、少なくとも部分的にハウジングの内側に配置することができる。
【0015】
スリーブ構成要素は、数字スリーブとすることができる。特に、数字または他の投薬の印を、スリーブ構成要素の外面上に提供することができる。たとえば、スリーブ構成要素は、ハウジングの窓を通して前記数字のうちの1つが見えるように構成することができ、前記見える数字が、現在設定されている用量に対応する。しかしながら、代替的実施形態では、スリーブ構成要素に、数字または他の投薬の印がなくてもよい。スリーブ構成要素は、用量設定動作中、ハウジングに対して第1の回転方向に回転し、さらに用量投薬動作中、ハウジングに対して第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転するように構成することができる。
【0016】
使用者は、スリーブ構成要素を直接動作させること、またはたとえば用量セレクタなど、使用者の入力をスリーブ構成要素の動きに変えるさらなる構成要素を動作させることによってスリーブ構成要素を動作させることが可能である。
【0017】
スリーブ構成要素は、ハウジングに対するスリーブ構成要素の第1の回転方向における各回転が、現在設定されている用量の増加に対応するように構成することができる。スリーブ構成要素の可能な回転の総量を制限することによって、停止部材が最大設定可能用量を効果的に制限する。特に停止部材は、ハウジングに対するスリーブ構成要素の第1の回転方向における可能な回転の総量を制限するように構成することができる。可能な回転の総量は整数または分数とすることができ、したがって、停止部材は総回転角度を制限するように構成することができる。
【0018】
可能な回転の総量が小さいことは、最大設定可能用量が小さいことに対応する。逆もまた同様であり、可能な回転の総量が大きいことは、最大設定可能用量が大きいことに対応する。
【0019】
停止部材は、スリーブ構成要素およびハウジングと別個の要素とすることができる。停止部材は、スリーブ構成要素との係合および係合解除が可能なものとすることができる。別法としてまたは追加として、停止部材は、ハウジングとの係合および係合解除が可能なものとすることができる。
【0020】
停止部材は、可能な回転の総量の変更を可能にするように構成される。しかしながら、機構は、用量設定動作中または用量投薬動作中、可能な回転の総量を変更することができないように構成されることがある。代わりに、可能な回転の総量を変更するために、別の動作が行われなければならない。特に機構は、使用者が可能な回転の総量を変更することを防止するように構成することができる。さらに機構は、製造業者または医療従事者のみがスリーブ構成要素の可能な回転の総量の変更を許容されるように構成することができる。
【0021】
さらに機構は、設定された用量の投薬に適するようにすることもできる。用量設定動作は、薬物送達デバイスを、決められた用量、すなわち薬物送達デバイスの容器内の薬剤の決められた部分量(sub−quantity)を投薬する準備ができた状態に移す動作と定義することができる。さらに用量投薬動作は、あらかじめ設定された用量を投薬する動作と定義することができる。
【0022】
一実施形態によれば、スリーブ構成要素はねじ山を含み、機構はねじ山と係合されるナット部材をさらに含み、ナット部材は、用量設定動作中、ねじ山に沿って移動するように構成され、停止部材は、スリーブ構成要素に対するナット部材の動きを制限することによってスリーブ構成要素の回転を制限するように構成される。
【0023】
特に、ナット部材はゲージ要素とすることができる。ナット部材は、スリーブ構成要素またはハウジングと協働して現在設定されている用量を表示するように構成することができる。
【0024】
ねじ山は、ナット部材がスリーブ構成要素に対して同時の回転および軸方向運動しか行うことができないように構成することができる。ねじ山は螺旋状のねじ山とすることができる。ナット部材は、用量設定動作中、スリーブ構成要素に対して、ねじ山に沿って第1の軸方向および第1の回転方向に移動するように構成することができる。さらにナット部材は、用量投薬動作中、スリーブ構成要素に対して、ねじ山に沿って第1の軸方向と反対の第2の軸方向に、および第1の回転方向と反対の第2の回転方向に移動するように構成することができる。
【0025】
停止部材は、ハウジングに対するスリーブ構成要素の可能な回転の総量に対応する回転が行われた後、スリーブ構成要素に対するナット部材の第1の軸方向における軸方向運動を妨げることによって、またはスリーブ構成要素に対するナット部材の第1の回転方向における回転運動を妨げることによって、スリーブ構成要素に対するナット部材の動きを制限するように構成することができる。
【0026】
一実施形態において、停止部材は、ナット部材と直接係合するように構成することができる。特に、スリーブ構成要素、ナット部材および停止部材は、停止部材がナット部材と係合しているとき、スリーブ構成要素の第1の回転方向におけるさらなる回転を妨げるように互いに協働することができる。停止部材は、ナット部材に当接することによってナット部材と直接係合するように構成することができ、それにより、ナット部材がある方向に当接点を越えてさらに動くことを妨げる。
【0027】
一実施形態において、停止部材は、スリーブ構成要素のねじ山と係合させることができ、ねじ山に沿った停止部材の位置によって、ハウジングに対するスリーブ構成要素の可能な回転の総量を決めることができ、可能な回転の総量は、停止部材をねじ山に沿って動かすことによって変更することができる。特に、停止部材がねじ山に沿ってさらに遠位に動いたとき、可能な回転の総量を減らすことができる。
【0028】
特に停止部材は、薬物送達デバイスの動作中、停止部材が誤ってスリーブ構成要素に対して動くことがないように、スリーブ構成要素と係合させることができる。さらに停止部材は、停止部材をスリーブ構成要素から係合解除すること、および/または停止部材をスリーブ構成要素に対して動かすことが可能であるように、スリーブ構成要素と係合させることができる。
【0029】
停止部材およびねじ山は各々、機構の製造中、停止部材のねじ山に沿った回転を可能にし、組み立て後の薬物送達デバイスでは停止部材の回転を妨げるラチェット機能を含むことができる。
【0030】
特に停止部材は、薬物送達デバイスの使用者が触れることができないように、組み立て後の薬物送達デバイスの内部部材とすることができる。それによって、使用者が停止部材のねじ山に沿った位置を変えるのを防止することができる。この実施形態によって、製造業者が最大設定可能用量を決めることが可能になる。したがって、製造業者が、停止部材のねじ山に沿った位置を変更することによって、各々が異なる最大設定可能用量を有する多数の薬物送達デバイスを製造することが容易になる。したがって、部材、ロジスティックスまたは組み立てラインの設計中、影響(implication)または必要とされる変更を最小限に抑えると共に、同じ構成要素を含む薬物送達デバイスを複数の薬剤または投薬計画(drug regime)に用いることができる。
【0031】
一実施形態において、停止部材およびねじ山は各々、停止部材のねじ山に沿った第1の回転方向における回転を可能にし、停止部材の第1の回転方向と反対の第2の回転方向における回転を妨げるラチェット機能を含む。したがって、こうしたラチェット機能は、デバイスの動作中、過剰な力が停止部材またはスリーブ構成要素に加えられたときに最大設定可能用量が無効になるのを防ぐことができる。
【0032】
一実施形態において、停止部材は当接面を含むことができ、停止部材は、ナット部材が停止部材の当接面に当接しているとき、スリーブ構成要素に対するナット部材の第1の軸方向における軸方向運動を制限するように構成することができる。第1の軸方向は近位方向とすることができる。第1の軸方向は、用量増加の方向または用量設定の方向とすることができる。
【0033】
停止部材の当接面は、遠位を向く面とすることができる。
【0034】
特にナット部材は、スリーブ構成要素に対してねじ山に沿った同時の回転および軸方向運動しか行うことができないように構成することができる。同時の軸方向および回転運動の軸方向部材が妨げられているときには、設定用量をそれ以上増やすことができない。
【0035】
停止部材の当接面は、周方向を向くナット部材の端面が当接するか、または半径方向外側の方向に突出するナット部材の突出部が当接するように構成されるように配置することができる。
【0036】
停止部材は、ハウジングと2つの異なる向きで係合するように構成することができ、各々の向きは、異なる可能な回転の総量に対応する。したがって、停止部材は、ハウジングと係合させたとき、その向きに応じて異なる最大設定可能用量を定めることができる。これにより、停止部材をハウジングと異なる向きで係合させることによって、ハウジングに対するスリーブ部材の可能な回転の総量を変更することが可能になる。それに応じて、最大設定可能用量を変更する簡単な方法が提供される。
【0037】
停止部材は第1の係合機能を含むことができ、ハウジングは第2の係合機能を含むことができ、停止部材の第1の係合機能は、ハウジングの第2の係合機能と直接係合可能であり、第1および第2の係合機能は、第1および第2の係合機能が係合されたとき、ハウジングに対する停止部材の軸方向運動を可能にするように構成される。特に第1および第2の係合機能は、ハウジングに対する停止部材の第2の軸方向における軸方向運動を可能にし、ハウジングに対する停止部材の第1の方向における軸方向運動を妨げるように構成することができる。第2の軸方向は、遠位方向とすることができる。第2の軸方向は、用量を減らす方向または用量を投薬する方向とすることができる。
【0038】
それに応じて、係合機能は、最大設定可能用量の減少を可能にするが、最大設定可能用量の増加を妨げるように構成することができる。あるいは、係合機能は、停止部材がロックされているときには最大設定可能用量の増加を妨げるが、停止部材がロックされていないときには異なる最大設定可能用量の選択を可能にするようにすることができる。さらに第1および第2の係合機能は、第1および第2の係合機能が係合されたとき、ハウジングに対する停止部材の回転運動を妨げるように構成することができる。
【0039】
機構は少なくとも、第2の当接面を含む第2の停止部材をさらに含むことができ、ハウジングは停止部材のちょうど1つと係合するように構成され、停止部材の各々が、それぞれの停止部材の当接面の軸方向位置に応じて、ハウジングに対するスリーブ構成要素の異なる可能な回転の総量を決める。したがって、各停止部材が異なる最大設定可能用量を決める。1つの停止部材をハウジングから取り外し、ハウジングを別の停止部材と係合させることによって、最大設定可能用量を変更することができる。
【0040】
停止部材は、停止部材を特別なツールと係合させることによってのみ、可能な回転の総量を変更できるように構成することが可能である。それによって、使用者が誤って設定可能な用量の最大数を変えることを防止する。
【0041】
ナット部材は、用量設定動作中、スリーブ構成要素に対して第1の回転方向に回転するように構成することができ、ナット部材はさらに、用量投薬動作中、スリーブ構成要素に対して第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転するように構成することができる。それに応じて、用量投薬動作の終わりに、ナット部材は、スリーブ構成要素に対するその初期位置に位置することができる。いつでも、ナット部材とスリーブ構成要素の相対位置は、現在設定されている用量に対応することができる。
【0042】
機構は、最小用量を決める最小用量停止機能をさらに含むことができ、最小用量停止機能は、設定されている用量が少なくとも最小用量と同程度である場合のみ用量投薬動作を行うことができるように構成される。
【0043】
停止部材および第2の停止部材は各々、透明な材料を含むことができる。特に停止部材は、ハウジング内の窓の上に配置するように構成されたレンズ構成要素とすることができる。
【0044】
停止部材は、薬物送達デバイスの外側から見えなくてもよい。むしろ停止部材は、内部部材とすることができる。
【0045】
停止部材は、ハウジングの内側に保持することができる。あるいは、停止部材は、ハウジングの外側から機構の残りの部分に組み付けられるように構成することができる。
【0046】
第2の態様によれば、本発明は、前述の機構を含む薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、可変用量薬物送達デバイスとすることができる。さらに薬物送達デバイスは、機構に対して本明細書に開示される機能的および構造的な特徴を含むことができる。
【0047】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0048】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0049】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタ−デカノイル)ヒトインスリンである。
【0050】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0051】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0052】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0053】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0054】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0055】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0056】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0057】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0058】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0059】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0060】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0061】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0062】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0063】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0064】
次に添付図面を参照して、本発明の非限定的で例示的な実施形態について説明する。