(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-536429(P2017-536429A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】ディスプレイ密封材用組成物、これを含む有機保護層、およびこれらを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
C08F 2/46 20060101AFI20171110BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20171110BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20171110BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20171110BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20171110BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
C08F2/46
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/04
G09F9/30 309
G09F9/30 365
C09K3/10 B
C09K3/10 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-513132(P2017-513132)
(86)(22)【出願日】2015年4月14日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月7日
(86)【国際出願番号】KR2015003694
(87)【国際公開番号】WO2016068416
(87)【国際公開日】20160506
(31)【優先権主張番号】10-2014-0148655
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0050504
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヘ チン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ソン リョン
(72)【発明者】
【氏名】コ,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミ ソン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チ ヨン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H017
4J011
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
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3K107FF18
4H017AA04
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4H017AC04
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4J011AA05
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4J011QC03
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4J011SA78
4J011SA79
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4J011SA87
4J011TA02
4J011UA01
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4J011WA06
5C094AA37
5C094AA38
5C094BA27
5C094DA07
5C094FA04
5C094FB01
5C094FB02
5C094JA08
5C094JA20
(57)【要約】
本発明は、光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含むディスプレイ密封材用組成物に関し、前記光硬化性モノマーは、芳香族炭化水素基を有しないモノマー、および、置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーを含み、下記数式1で表されるプラズマエッチング率が約400nm/min以下であり、表面粗さ(roughness)が約2nm以下であるディスプレイ密封材用組成物に関する。
前記式において、T0は、基材上に前記ディスプレイ密封材用組成物をスプレーで塗布し、紫外線を100mW/cm
2で10秒間照射し硬化させて製造されたサンプルの厚さ(nm)であり、T1は、前記製造されたサンプルを2500W ICP電源、300W RF電源、DCバイアス200V、アルゴン(Ar)流量50sccm、10mtorrの圧力条件で1分間プラズマ処理した後の厚さ(nm)であり、前記T0およびT1は、基材厚さを除いた厚さを表したもので、Mは、プラズマ処理時間(min)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含むディスプレイ密封材用組成物であって、
前記光硬化性モノマーは、
芳香族炭化水素基を有しないモノマー;および、
置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマー、
を含み、
下記数式1で表されるプラズマエッチング率が約400nm/min以下であり、原子間力顕微鏡によって測定された表面粗さ(roughness)が、約2nm以下であるディスプレイ密封材用組成物:
【数1】
(前記数式1において、
T0は、基材上に前記ディスプレイ密封材用組成物をスプレーで塗布し、紫外線を100mW/cm
2で10秒間照射し硬化させて製造されたサンプルの厚さ(nm)であり、
T1は、前記製造されたサンプルを2500W ICP電源、300W RF電源、DCバイアス200V、アルゴン(Ar)流量50sccm、10mtorrの圧力条件で1分間プラズマ処理した後の厚さ(nm)であり、
前記T0およびT1は、基材厚さを除いた厚さを表したものであり、Mはプラズマ処理時間(min)である)。
【請求項2】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、下記式1の構造を含む、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物:
【化1】
(前記化学式1において、Aは、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素であり、
Z
1、Z
2は、それぞれ独立して、下記化学式2で表され、
a、bはそれぞれ0ないし2の整数であり、a+bは1ないし4の整数である。)
【化2】
(前記式において、*は、Aの炭素に対する連結部であり、
Xは、単結合、OまたはSであり、
Yは、置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基であり、
R
1は、水素または炭素数1ないし5のアルキル基であり、
cは、0または1である。)
【請求項3】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、4−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、エチル−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシフェニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシプロピルジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシブチル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシブチルジ(メタ)アクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−(トリフェニルメチルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、4,4’−ジ(アクリロイルオキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジ(2−アクリロイルオキシエトキシ)ビフェニル、これらの構造異性体、またはこれらの混合物のいずれか一つである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項4】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、重量平均分子量が約100g/molないし約1000g/molである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項5】
前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、ビニル基、アクリル基、メタクリル基のうち一つ以上を1個ないし3個有するモノマーである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項6】
前記光硬化性モノマー中、前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーを約5重量%ないし約45重量%で含む、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項7】
前記光硬化性モノマー中、前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーを約55重量%ないし約95重量%で含む、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項8】
前記光硬化性モノマーは、C、H、O、NまたはSから選ばれる元素のみからなる、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項9】
前記光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系の中から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項10】
熱安定剤をさらに含むものである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項11】
前記熱安定剤は、前記ディスプレイ密封材用組成物中に、固形分基準で、約100ppmないし約1000ppmで含むものである、請求項10に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項12】
ディスプレイ部材および前記ディスプレイ部材上に形成された複合保護層を含み、前記複合保護層は、無機保護層および有機保護層を含み、前記有機保護層は、請求項1ないし請求項9のいずれか一項のディスプレイ密封材用組成物の硬化物を含むディスプレイ装置。
【請求項13】
前記無機保護層は、金属、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属ホウ化物、金属酸ホウ化物、金属シリサイドから選ばれる1種以上を含み、
前記金属は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セレニウム(Se)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、遷移金属、ランタノイド金属の中から選ばれる1種以上を含む、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ディスプレイ部材は、LED(light emitting diode)、OLED(Organic light emitting diode)、OLED照明(light instrument)またはLED照明である、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ密封材用組成物、これを含む有機保護層、およびこれらを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学表示装置に用いられる有機電界発光素子は、水分または気体のような環境の影響を受けて特性の劣化または変質の問題が生じやすい。具体的には、水分の影響を受けて、金属電界と有機発光層との界面が剥離し得る。また、金属の酸化により高抵抗化され、有機物自体が水分または酸素によって変質し得る。また、外部または内部で発生するアウトガスによって、有機材料、電極材料の酸化が生じ、有機電界発光素子の発光特性が低下し得る。これより、有機電界発光素子は、水分または酸素からこれを保護する封止用組成物によって封止しなければならない。
【0003】
有機電界発光素子は、無機保護層と有機保護層とで形成された多層構造によって封止化されている。無機保護層は、プラズマによる蒸着によって形成されるが、このとき、プラズマによって有機保護層のエッチングが起こり得る。このようなエッチングは、有機保護層の封止機能に損傷を与え得る。これによって有機発光素子は、発光特性が低下し、信頼性が低下し得る。
【0004】
本発明の背景技術は、韓国特許出願公開第2011−0071039号明細書(LGディスプレイ株式会社)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2011−0071039号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐プラズマ性の高い有機保護層を実現しうるディスプレイ密封材用組成物を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、水分透湿率および酸素透過度が著しく低い有機保護層を実現しうるディスプレイ密封材用組成物を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとするその他の課題は、透明性に優れた有機保護層を実現しうるディスプレイ密封材用組成物を提供することにある。
【0009】
本発明が解決しようとするその他の課題は、表面粗さが低く、表面平坦性に優れた有機保護層を実現しうるディスプレイ密封材用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとするその他の課題は、装置を水分およびガスを含む環境の影響から保護し、装置に経時的な信頼性を付与できる有機保護層を実現しうるディスプレイ密封材用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明が解決しようとするその他の課題は、本発明のディスプレイ密封材用組成物の硬化物を含むディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態に係るディスプレイ密封材用組成物は、光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含み、前記光硬化性モノマーは、
置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマー;および、
芳香族炭化水素基を有しないモノマー、
を含み、
下記数式1で表されるプラズマエッチング率が約400nm/min以下であり、表面粗さ(roughness)が約2nm以下である。
【0013】
【数1】
【0014】
前記式において、
T0は、基材上に前記ディスプレイ密封材用組成物をスプレーで塗布し、紫外線を約100mW/cm
2で約10秒間照射し硬化させて製造されたサンプルの厚さ(nm)であり、
T1は、前記製造されたサンプルを2500W ICP電源、300W RF電源、DCバイアス200V、アルゴン(Ar)流量50sccm、10mtorrの圧力条件で1分間プラズマ処理した後の厚さ(nm)であり、
前記T0およびT1は、基材の厚さを除いた厚さを表したもので、Mはプラズマ処理時間(min)である。
【0015】
本発明の他の形態に係るディスプレイ装置は、装置用部材および前記装置用部材上に形成された保護層を含み、前記保護層は、無機保護層および有機保護層を含み、前記有機保護層は前記ディスプレイ密封材用組成物の硬化物を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の組成物は、耐プラズマ性の高い有機保護層を実現する効果がある。
【0017】
本発明の組成物は、水分透湿率および酸素透過度が著しく低い有機保護層を実現する効果がある。
【0018】
本発明の組成物は、透明性に優れた有機保護層を実現する効果がある。
【0019】
本発明の組成物は、表面粗さが低く、表面平坦性に優れた有機保護層を実現する効果がある。
【0020】
本発明の組成物は、ディスプレイ装置を水分およびガスを含む環境の影響から保護し、装置に経時的な信頼性を付与できる有機保護層を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例に係るディスプレイ装置の断面図である。
【
図2】本発明の他の実施例に係るディスプレイ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明を実施するための最善の形態)
以下、添付した図面を参照して、本出願の具体例をより詳しく説明する。しかし、本出願に開示されている技術は、ここで説明される具体例に限定されず、他の形態で具体化することもできる。単に、ここで紹介する具体例は、開示されている内容が徹底して完全になるように、そして、当業者に本出願の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。図面において、各構成要素を明確に表現するために構成要素の幅や厚さ等の大きさをある程度拡大して表している。また、説明の便宜のため、構成要素の一部のみを図示したりもしたが、当業者であれば構成要素の残りの部分についても容易に把握できる。また、該当分野において通常の知識を有する者であれば、本出願の技術的思想を逸脱しない範囲内で、本出願の思想を多様な他の形態で具現できると考える。
【0023】
本明細書において、「上部」と「下部」とは、図面を基準に定義したものであって、視点によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上(on)」と称されるものは、真上に限らず、中間に他の構造を介在した場合を含んでもよい。一方で、「直接上(directly on)」または「真上」と称されるものは、中間に他の構造を介在しないことを示す。
【0024】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル(acryl)および/またはメタクリル(methacryl)を意味する。
【0025】
本明細書において、「置換の」は、別途の定義がない限り、本発明の官能基のいずれか一つ以上の水素原子が、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基(=NH、=NR、Rは、炭素数1ないし10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジンもしくはヒドラゾン基、カルボキシ基、炭素数1ないし20のアルキル基、炭素数6ないし30のアリール基、炭素数3ないし30のヘテロアリール基、または炭素数2ないし30のヘテロシクロアルキル基で置換されることを意味する。
【0026】
本明細書において、「ヘテロ原子」は、N、O、SおよびPからなる群から選ばれるいずれか一つの原子を意味し、「ヘテロ」は、炭素原子がN、O、SおよびPからなる群から選ばれるいずれか一つの原子で置換されたことを意味する。
【0027】
本明細書において、「耐プラズマ性」は、密封材用組成物の硬化物が、プラズマ処理されたとき、エッチ(etch)されるエッチング率によって判断でき、エッチング率が低いほど耐プラズマ性に優れていると定義する。
【0028】
本明細書において、「アルキレン基」は、両側末端の(メタ)アクリレートの間に二重結合なく飽和された炭化水素で連結されたアルカンジイル基(alkanediyl groups)を意味する。また、アルキレン基の炭素数は、ジ(メタ)アクリレート基にある炭素を除いたアルキレン基自体にある炭素数だけを意味する。
【0029】
本発明の一実施形態に係るディスプレイ密封材用組成物は、ディスプレイ密封材用組成物であって、光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含み、前記光硬化性モノマーは、
置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマー;および、
芳香族炭化水素基を有しないモノマー、
を含み、
下記数式1で表されるプラズマエッチング率が約400nm/min以下であり、表面粗さ(roughness)が約2nm以下であるものでもよい。
【0031】
前記式において、
T0は、基材上にディスプレイ密封材用組成物をスプレ−で塗布し、紫外線を100mW/cm
2で10秒間照射し硬化させて製造されたサンプルの厚さ(nm)であり、
T1は、前記製造されたサンプルを2500W ICP電源、300W RF電源、DCバイアス200V、アルゴン(Ar)流量50sccm、10mtorrの圧力条件で1分間プラズマ処理した後の厚さ(nm)であり、
前記T0およびT1は、基材厚さを除いた厚さを表したものであり、Mは、プラズマ処理時間(min)である。
【0032】
前記硬化後、プラズマエッチング率を有する光硬化性モノマーを用いることによって、有機電界発光素子または有機電界発光素子上に形成された無機保護層上に有機保護層を形成するときに、プラズマ処理によって有機保護層が損傷されるプラズマエッチング率が著しく低く耐プラズマ性の高い有機保護層を提供できる。具体的には、前記プラズマエッチング率は、約400nm/min以下、具体的には、約10nm/minないし390nm/minでもよく、約10nm/minないし385nm/minでもよい。前記式1で表されるプラズマエッチング率が400nm/minを超える場合、有機膜の損傷が増加して素子の信頼性が落ちる。
【0033】
前記表面粗さは、前記ディスプレイ密封材用組成物を基材に蒸着したときの表面屈曲を測定した蒸着表面粗さであって、表面粗さが低いほどディスプレイの平坦性に寄与できる。
【0034】
本発明における粗さは、当業者に知られている一般的な方法による粗さ測定法による方法で測定されてもよい。例えば、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)を用いて測定できる。本発明において、AFM(Atomic Force Microscope)での測定時の表面粗さ(蒸着表面粗さ)は、約2nm以下が好ましく、約0nmないし約2nm、約0nmないし約1.9nm、0nmないし約1.85nmでもよい。本発明に係る表面粗さが、約2nm以下の場合、表面が平坦な有機保護層を提供でき、有機保護層蒸着以後に形成される無機保護層を平坦に蒸着できる。表面粗さが、約2nmを超える場合、有機保護層が平坦化されず、硬化物表面に無機保護層が蒸着される場合に無機保護層が割れる原因となり得る。
【0035】
前記光硬化性モノマーは、光重合開始剤によって硬化反応できる光硬化性モノマーを意味する。前記光硬化性モノマーは、シリコン(Si)を含まない非シリコン系モノマーを用いることができる。例えば、C、H、O、NまたはSから選ばれる元素のみでなるモノマーであってもよいが、これらに限定されない。光硬化性モノマーは、通常の合成方法で合成したものを用いるか、商業的に販売されている製品を購入して用いてもよい。
【0036】
前記光硬化性モノマーは、置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーを含んでもよい。具体的に、前記モノマーは、下記化学式1の構造を含んでもよい。
【0038】
前記式において、Aは、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素であり、
Z
1、Z
2は、それぞれ独立して下記化学式2で表され、
a、bはそれぞれ0ないし2の整数で、a+bは1ないし4の整数である。
【0040】
前記式において、*は、Aの炭素に対する連結部であり、
Xは単結合、酸素原子、または硫黄原子であり、
Yは、置換または非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基または置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基であり、
R
1は、水素または炭素数1ないし5のアルキル基であり、
cは0または1である。
【0041】
前記式において、Aは、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素である。前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換の2個以上のフェニル基が縮合されず、単結合、酸素原子、硫黄原子、置換または非置換の炭素数1ないし5のアルキル基、ヘテロ原子で置換または非置換の炭素数3ないし6のアルキレン基、エテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基によって連結されたことを意味する。例えば、前記2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のトリフェニルメチル基、置換または非置換のターフェニル基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のターフェニレン基、置換または非置換のクォーターフェニレン基、置換または非置換の2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル基、置換または非置換の2,2−ジフェニルプロパン基、置換または非置換のジフェニルメタン基、置換または非置換のクミルフェニル(cumyl phenyl)基、置換または非置換のビスフェノールF基、置換または非置換のビスフェノールA基、置換または非置換のビフェニルオキシ基、置換または非置換のターフェニルオキシ基、置換または非置換のクォーターフェニルオキシ基、置換または非置換のキンキフェニルオキシ基等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0042】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物でもよく、その例としては、4−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、エチル−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシフェニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、4−クミルフェノキシエチルアクリレート、エトキシ化ビスフェニルフルオレンジアクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,2'−フェニルフェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシプロピルジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシブチル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシブチルジ(メタ)アクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−(トリフェニルメチルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、4,4'−ジ(アクリロイルオキシメチル)ビフェニル、2,2'−ジ(2−アクリロイルオキシエトキシ)ビフェニル、これらの構造異性体またはそれらの混合物を含んでもよいが、これに制限されるものではない。また、本発明で言及した(メタ)アクリレートは一例に該当するのみであり、これに限定されるものではなく、さらに、本発明は、構造異性体の関係にあるアクリレートをすべて含む。例えば、本発明の一例として、2,2'−フェニルフェノキシエチルジ(メタ)アクリレートだけ言及されていても、本発明は、その構造異性体に該当する3,2'−フェニルフェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、3,3'−フェニルフェノキシエチルジ(メタ)アクリレート等を全て含む。
【0043】
本発明の一例として、2個以上のフェニル基を有するモノマーは、下記化学式3のモノ(メタ)アクリレートでもよい。
【0045】
前記化学式3において、R
2は、水素またはメチル基であり、R
3は、置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基であり、R
4は、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素である。
【0046】
例えば、前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換の2個以上のフェニル基が縮合されず、単結合、酸素原子、硫黄原子、置換または非置換の炭素数1ないし3のアルキル基、ヘテロ原子で置換または非置換の炭素数3ないし6のアルキレン基、エテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基によって連結されたことを意味する。例えば、前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のトリフェニルメチル基、置換または非置換のターフェニル基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のターフェニレン基、置換または非置換のクォーターフェニレン基、置換または非置換の2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル基、置換または非置換の2,2−ジフェニルプロパン基、置換または非置換のジフェニルメタン基、置換または非置換のクミルフェニル(cumyl phenyl)基、置換または非置換のビスフェノールF基、置換または非置換のビスフェノールA基、置換または非置換のビフェニルオキシ基、置換または非置換のターフェニルオキシ基、置換または非置換のクォーターフェニルオキシ基、置換または非置換のキンキフェニルオキシ基等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の一例として、2個以上のフェニル基を有するモノマーは、下記化学式4のジ(メタ)アクリレートでもよい。
【0049】
前記化学式4において、R
5、R
9は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、R
6、R
8は、それぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基であり、R
7は、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素である。
【0050】
例えば、前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換の2個以上のフェニル基が縮合されず、単結合、酸素原子、硫黄原子、置換または非置換の炭素数1ないし4のアルキル基、ヘテロ原子で置換または非置換の炭素数3ないし6のアルキレン基、エテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基によって連結されたことを意味する。例えば、前記炭化水素は、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のトリフェニルメチレン基、置換または非置換のターフェニレン基、置換または非置換のクォーターフェニレン基、2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチレン基、2,2−ジフェニルプロピレン基、ジフェニルメチレン基等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0051】
前記化学式1において、a、bはそれぞれ0ないし2の整数であり、a+bは1ないし4の整数であり、一例として、a+bは1または2の整数である。
【0052】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーの重量平均分子量は、約100g/mol以上約1000g/mol以下であってもよく、約130g/mol以上約700g/mol以下であってもよく、約150g/mol以上約600g/mol以下であってもよい。
【0053】
前記範囲内で、耐プラズマ性に優れ、表面粗さが低く、透過率により優れた密封材が提供されうる。
【0054】
前記芳香族炭化水素基を有するモノマーは、光硬化性モノマーの総重量に対して約5重量%ないし約45重量%、より具体的には、約10重量%ないし約40重量%で含まれてもよい。前記範囲内で、粘度が密封材の形成に適するとともに耐プラズマ性に優れる。
【0055】
前記光硬化性モノマーは、芳香族炭化水素基を有しないモノマーを含んでもよい。
【0056】
前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、芳香族炭化水素基を含まず、光硬化官能基として、ビニル基、アクリル基、メタクリル基のいずれか一つ以上を1個ないし20個、具体的には、1個ないし6個有するモノマーを含んでもよく、例えば、1個ないし3個、1個ないし2個、1個または2個含んでもよい。
【0057】
本発明において、芳香族炭化水素基を有しないモノマーの重量平均分子量は、約100g/mol以上約500g/mol以下であってもよく、約130g/mol以上約400g/mol以下であってもよく、約200g/mol以上約300g/mol以下であってもよい。前記モノマーの重量平均分子量の範囲内で、工程的により有利な効果が表わされうる。
【0058】
前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、光硬化官能基を有する単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0059】
具体的に、前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、(メタ)アクリレートモノマーであってもよく、炭素数1ないし20のアルキル基、炭素数3ないし20のシクロアルキル基、またはヒドロキシ基および炭素数1ないし20のアルキル基を有する不飽和カルボン酸エステル;炭素数1ないし20のアミノアルキル基を有する不飽和カルボン酸エステル;炭素数1ないし20の飽和または不飽和カルボン酸のビニルエステル;シアン化ビニル化合物;不飽和アミド化合物;モノアルコ−ルまたは多価アルコ−ルの単官能または多官能(メタ)アクリレート等であってもよい。前記「多価アルコ−ル」は、水酸基を2個以上有するアルコ−ルであって、2個ないし20個、好ましくは、2個ないし10個、さらに好ましくは、2個ないし6個有するアルコ−ルを意味する。
【0060】
一例として、芳香族炭化水素基を有しないモノマーのうち、芳香族炭化水素基を有しない(メタ)アクリレートモノマーは、置換または非置換のC1ないしC20のアルキル基、置換または非置換のC1ないしC20のアルキルシリル基、置換または非置換のC3ないしC20のシクロアルキル基、置換または非置換のC1ないしC20のアルキレン基、アミン基、エチレンオキシド基等を有するモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等であってもよい。
【0061】
具体的に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デカニル(メタ)アクリレート、ウンデカニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含む不飽和カルボン酸エステル;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル;ビニルアセテ−ト等の飽和または不飽和カルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド化合物;エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、オクタンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ノナンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、デカンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ウンデカンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の一例として、芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、芳香族基を含まない非芳香族系であって、炭素数1ないし20のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、アミン基を有するモノ(メタ)アクリレート、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド基を有するジ(メタ)アクリレートおよびエチレンオキシド基を有するトリ(メタ)アクリレートのうち、1種以上を含んでもよい。
【0063】
置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートは、具体的に、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに限定されない。
【0064】
アミン基を有するモノ(メタ)アクリレートは、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに限定されない。
【0065】
置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートは、例えば、炭素数1ないし20のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートであてもよく、置換または非置換の長鎖のアルキレン基を含む非シリコン系ジ(メタ)アクリレートであってもよい。このような長鎖のアルキレン基を含む非シリコン系ジ(メタ)アクリレートを含む場合、封止用組成物は、蒸着等の方法で有機発光素子または有機発光素子を封止する無機層上に有機障壁層を形成するのに容易である。置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートは、例えば、オクタンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ノナンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、デカンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ウンデカンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオ−ルジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに限定されない。前記置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキレン基を有するジ(メタ)アクリレートを含む場合、封止用組成物は、光硬化率がさらに向上し、粘度が低くなり得る。
【0066】
エチレンオキシド基を有するジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレートは、具体的に、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに限定されない。
【0067】
前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、光硬化性モノマーの総重量に対して約55重量%ないし約95重量%、具体的には、約60重量%ないし約90重量%で含まれてもよい。前記範囲内で、ディスプレイ密封材用組成物の粘度が有機電界発光素子の密封材形成に適し得る。
【0068】
前記光重合開始剤は、光硬化性反応を遂行できる通常の光重合開始剤を制限なく含む。例えば、光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0069】
トリアジン系開始剤としては、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ビフェニル4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−(トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0070】
アセトフェノン系開始剤としては、2,2'−ジエトキシアセトフェノン、2,2'−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、2,2'−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0071】
ベンゾフェノン系開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−2−メトキシベンゾフェノン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0072】
チオキサントン系開始剤としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0073】
ベンゾイン系開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、またはこれらの混合物であってもよい。
【0074】
リン系開始剤としては、ビスベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、またはこれらの混合物であってもよい。
【0075】
オキシム系としては、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、またはそれらの混合物であってもよい。
【0076】
前記光重合開始剤は、ディスプレイ密封材用組成物中に、光硬化性モノマーと光重合開始剤の合計100重量部に対して、約0.1重量部ないし約20重量部で含んでもよい。前記範囲内で、露光時に光重合が十分に起こり得て、光重合後、残った未反応開始剤によって透過率が低下することを防ぐことができる。具体的には、約0.5重量部ないし約10重量部、より具体的には、約1重量部ないし約8重量部で含んでもよい。また、前記光重合開始剤は、前記ディスプレイ密封材用組成物中の固形分基準で、0.1重量%ないし10重量%、具体的には、0.1重量%ないし8重量%で含んでもよい。前記範囲で、光重合が十分に起こり得て、残った未反応開始剤によって透過率が低下することを防ぐことができる。
【0077】
また、前記光重合開始剤の代わりに、カルバゾール系、ジケトン類、スルホニウム系、ヨードニウム系、ジアゾ系、ビイミダゾール系等の光酸発生剤または光重合開始剤を用いてもよい。
【0078】
本発明の他の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。
【0079】
酸化防止剤は、 封止層の熱的安定性を向上させることができる。酸化防止剤は、フェノール系、キノン系、アミン系およびホスファイト系からなる群から選ばれる1種以上を含んでもよいが、これらに制限されるものではない。例えば、酸化防止剤は、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。
【0080】
酸化防止剤は、前記ディスプレイ密封材用組成物中に、光硬化性モノマーと光重合開始剤の合計100重量部に対して0.01重量部ないし3重量部、具体的には、0.01重量部ないし1重量部で含んでもよい。前記範囲で、優れた熱安定性が表されうる。
【0081】
本発明の他の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物は、熱安定剤をさらに含んでもよい。その結果、本発明の他の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物は、密封材用組成物の常温における粘度変化が抑制されうる。それだけでなく、熱安定剤を含まない密封材用組成物に比べて光透過率と光硬化率とがさらに高められ、プラズマエッチング率がさらに低下されうる。熱安定剤をさらに含む点を除いては、本発明の一実施例に係るディスプレイ密封材用組成物と同一である。そこで、以下では熱安定剤についてのみ説明する。
【0082】
熱安定剤は、密封材用組成物に含まれ、組成物の常温での粘度変化を抑制するもので、通常の熱安定剤を制限なく用いることができる。例えば、熱安定剤は、立体障害のある(sterically hindered)フェノール性熱安定剤を用いることができる。具体的には、ポリ(ジ−シクロペンタジエン−co−p−クレゾール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メタノ−ビ(4−メチル−6−tert−ブチル−フェノール)、6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−チオジ−p−クレゾール、トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコ−ル−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3,3’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N,N’−ヘキサメチレン−ジプロピオンアミド、ペンタエリトリト−ルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ステアリル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート、ペンタエリトリト−ルテトラキス1,3,5−トリス(2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル−ベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリス(3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシフェニルプロピオネート)のうち一つ以上を含んでもよいが、これらに制限されない。
【0083】
熱安定剤は、前記ディスプレイ密封材用組成物中に、固形分基準で、光硬化性モノマーと光重合開始剤との合計に対して約2000ppm以下、例えば、約0.01ppmないし約2000ppm、例えば、約100ppmないし約1000ppmで含んでもよい。前記範囲で、熱安定剤は、密封材用組成物の液状状態の貯蔵安定性と工程性をさらに良くすることができる。
【0084】
前記ディスプレイ密封材用組成物は、紫外線を約10mW/cm
2ないし約500mW/cm
2で約1秒ないし約100秒間照射して硬化できるが、これに限定されない。
【0085】
前記ディスプレイ密封材用組成物で形成された有機保護層を含むディスプレイ装置は、アウトガス発生量が、約2000ppm以下でもよい。前記範囲内で、装置用部材の寿命が長くなり、信頼性が高くなり得る。具体的には、約10ppmないし約1000ppmでもよい。
【0086】
前記アウトガス発生量は、通常の方法で測定できる。例えば、ガラス基板上にディスプレイ密封材用組成物を塗布し、紫外線を約100mW/cm
2で約10秒間照射して硬化させ、塗膜厚さ約5μmの硬化された試片を形成する。塗膜厚さ約5μmに対して、TD−GC/MS(TD:JTD505III、GC/MS:Clarus600、パーキンエルマー社)装備で一定面積(1×5cm
2)に対して約40℃から約320℃まで約10℃/minの昇温速度で加熱捕集されたアウトガス発生量を測定する。
【0087】
前記ディスプレイ密封材用組成物は、硬化後に測定した色座標値YI(ASTM D1925)が約0.5以下、具体的に、約0.1ないし約0.5でもよい。前記範囲内で、ディスプレイ密封材が透明で、白色光に近い光を透過することからディスプレイに適用されうる。
【0088】
前記色座標値は、通常の方法で測定できる。例えば、ガラス基板上にディスプレイ密封材用組成物を塗布し、紫外線を約100mW/cm
2で約10秒間照射して硬化させ、塗膜厚さ約5μmの硬化された試片を形成する。塗膜厚さ約5μmに対して紫外可視分光光度計(UV−visible spectrophotometer)(UV−2450、株式会社島津製作所)分析装備を用いて波長約300nmないし800nmに対する透過率を測定した後、色座標値YI(ASTM D1925)を計算する。
【0089】
前記ディスプレイ密封材用組成物は、硬化後に測定した全光線透過率が、約90%以上約100%以下、具体的に、約95%以上約100%以下で、透過率が高く、透明な有機保護層を提供できる。
【0090】
前記全光線透過率およびヘイズは、ASTM D1003−95 5によって波長約400nmないし約700nmでヘーズメーター(NDH−5000、日本電色工業株式会社)を用いて全光線透過率を測定した。
【0091】
前記ディスプレイ密封材用組成物は、発光前面部に塗布されて用いられる用途であって、色相を表さず、透明でなければならない。ディスプレイ密封材が色相を表す場合、ディスプレイ光源で具現された光が前面部に位置する密封材を透過した以後に、色座標がずれて、具現しようとする色相が歪曲する問題点が生じ得る。また、透明度が低くなるほど前面部で発光する光の効率が落ち、ディスプレイが鮮明に見えなくなり得る。
【0092】
本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物は、有機電界発光素子の密封材として用いることができる。具体的には、有機電界発光素子は、周辺環境、例えば、液体または気体、具体的には、水分または酸素によって損傷したり、有機電界発光素子を含む装置の製造工程で用いられる化学物質によって損傷したりする。そこで、特性が劣化することを防ぐために、有機電界発光素子を周辺環境から遮断させる有機保護層を形成する密封材として用いられうる。
【0093】
本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物は、装置用部材の密封材として用いることができる。具体的には、装置用部材は、周辺環境、例えば、液体または気体、具体的には、水分または酸素によって損傷したり、有機電界発光素子を含む装置の製造工程で用いられる化学物質によって損傷したりする。また、特性が劣化することを防ぐために装置用部材を周辺環境から遮断させる有機保護層を形成する密封材として用いられうる。前記装置用部材は、例えば、フレキシブル有機電界発光素子、有機電界発光素子等であってもよい。
【0094】
本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物は、有機電界発光素子上に形成される有機保護層、または有機電界発光素子上に形成された無機保護層上に形成される有機保護層を形成する用途として用いることができる。前記有機保護層は、蒸着、インクジェット等の方法を用いて形成できるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明の一実施例に係るディスプレイ装置は、装置用部材、および前記装置用部材上に形成された複合保護層を含み、前記複合保護層は、無機保護層および有機保護層を含み、前記有機保護層は、本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物によって形成されうる。
【0096】
以下、
図1を参照して本発明の一実施例に係るディスプレイ装置を説明する。
【0097】
図1は、本発明の一実施例に係るディスプレイ装置の断面図である。本実施例に係るディスプレイ装置100は、基板10、基板10上に形成された装置用部材20、および装置用部材20上に形成され、無機保護層31と有機保護層32とを含む複合保護層30を含み、無機保護層31は、装置用部材20と接触する状態で形成され、有機保護層32は、本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物で形成できる。
【0098】
本発明で、ディスプレイは、LED(light emitting diode)、OLED(Organic light emitting diode)、照明(light instrument)を意味し、前記照明は、OLED照明およびLED照明をともに含むが、その他、当業界で一般的に用いられるディスプレイ装置もすべて含む。
【0099】
前記装置用部材は、フレキシブル有機電界発光素子、有機電界発光素子等であってもよいが、これに限定されない。
【0100】
基板10は特に制限されなく、例えば、透明ガラス、プラスチックフィルム、シリコンまたは金属基板等を用いてもよい。
【0101】
装置用部材20は、例えば、有機電界発光素子でもよく、第1の電極、第2の電極、第1の電極と第2の電極との間に形成された有機発光層を含み、有機発光層は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次的に積層されたものでもよいが、これに制限されない。
【0102】
複合保護層30は、無機保護層31と有機保護層32とを含み、無機保護層31と有機保護層32とは層を構成する成分が相違し、それぞれが装置用部材の密封材として作用し得る。
【0103】
無機保護層31は、有機保護層32と成分が相違し、有機保護層32の効果を補完できる。無機保護層31は、光透過性に優れ、水分および/または酸素遮断性に優れた無機素材で形成されうる。例えば、無機保護層31は、金属、非金属、金属間化合物もしくは合金、非金属間化合物もしくは合金、金属もしくは非金属の酸化物、金属もしくは非金属のフッ化物、金属もしくは非金属の窒化物、金属もしくは非金属の炭化物、金属もしくは非金属の酸素窒化物、金属もしくは非金属のホウ化物、金属もしくは非金属の酸素ホウ化物、金属もしくは非金属のシリサイド、またはこれらの混合物でもよい。金属または非金属は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セレニウム(Se)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、遷移金属、ランタノイド金属等でもよいが、これらに制限されない。具体的に、無機保護層は、シリコン酸化物(SiO
x)、シリコン窒化物(SiN
x)、シリコン酸素窒化物(SiO
xN
y)、ZnSe、ZNO、Sb
2O
3、Al
2O
3等を含むAlO
x、In
2O
3、SnO
2であってもよい。前記で、x、yは、それぞれ1ないし5である。
【0104】
無機保護層31は、プラズマ工程、真空工程、例えば、スパッタリング、化学気相蒸着、プラズマ化学気相蒸着、蒸発、昇華、電子サイクロトロン共鳴−プラズマ蒸気蒸着およびそれらの組み合わせによって蒸着できる。
【0105】
無機保護層31の厚さは特に限定されないが、100Åないし2000Åでもよい。前記範囲内で、封止効果に優れ得る。
【0106】
有機保護層32は、本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物の蒸着、インクジェット、スクリーン印刷、スピンコーティング、ブレードコーティング、硬化単独、またはこれらの組み合わせによって形成することができる。例えば、ディスプレイ密封材用組成物を約1μmないし約50μmの厚さでコ−ティングし、紫外線を約10mW/cm
2ないし約500mW/cm
2で約1秒ないし約100秒間照射して硬化させることができる。
【0107】
図1で図示していないが、有機保護層と無機保護層とは、3層以上交互に蒸着できる。有機保護層が2つ以上の無機保護層の間に蒸着される場合、無機保護層の平滑化特性を確保し、無機保護層の欠陥がまた別の無機保護層に伝播することを防ぐことができる。また、2つ以上の有機保護層の間に蒸着される無機保護層は、装置に対する封止効果を補完または強化できる。
【0108】
複合保護層30は、無機保護層31と有機保護層32とを交互に含むが、無機保護層31と有機保護層32との総個数は制限されない。無機保護層31と有機保護層32との総個数は、酸素および/または水分および/または水蒸気および/または化学物質に対する透過抵抗性の水準によって変更されうる。例えば、無機保護層31と有機保護層32の総個数は10層以下、例えば、2層ないし7層であってもよい。具体的に、無機保護層/有機保護層/無機保護層/有機保護層/無機保護層/有機保護層/無機保護層の順序で7層に形成されてもよい。
【0109】
前記ディスプレイ装置は、アウトガス発生量が、約2000ppm以下であってもよい。前記範囲内で、装置用部材の寿命が長くなり信頼性が高くなり得る。具体的には、約10ppmないし約1000ppmであってもよい。
【0110】
以下、
図2を参照して、本発明の他の実施例に係るディスプレイ装置を説明する。
図2は、本発明の他の実施例に係るディスプレイ装置の断面図である。
【0111】
図2を参照すると、本発明の他の実施例に係るディスプレイ装置200は、基板10、基板10上に形成された装置用部材20および装置用部材20上に形成され、無機保護層31と有機保護層32とを含む複合保護層30を含み、無機保護層31は、装置用部材20が収容された内部空間40を封止し、有機保護層32は、本発明の実施例に係るディスプレイ密封材用組成物で形成できる。無機保護層31が装置用部材20と接触しない点を除いては、上述した本発明の一実施例に係る有機発光素子表示装置と実質的に同一のため記述は省略する。
【0112】
(発明を実施するための形態)
(実施例)
以下、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明の構成および効果をより具体的に説明する。しかし、これらの実施例、比較例および試験例は、本発明に対する理解を助けるために例示の目的としてのみ提供されただけで、本発明の範疇および範囲が、下記実施例、比較例および試験例によって制限されるものではない。
【0113】
(製造例1)
冷却管と攪拌機とを備えた3000mlの反応基にジクロロメタン(dichloromethane、シグマアルドリッチ社)300mlを入れ、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−hydroxibutyl acrylate、新中村化学工業株式会社)200gとトリエチルアミン168gとを入れ、フラスコ内の温度を0℃に下げた後、p−トルエンスルホニルクロライド(p−toluene sulfonyl chloride、シグマアルドリッチ社)278gをジクロロメタン500mlに溶かした溶液を2時間滴下して攪拌した。さらに5時間攪拌後、残留溶媒を蒸留で除去した。得られた化合物300gをアセトニトリル(acetonitrile、シグマアルドリッチ社)1000mlに入れて炭酸カリウム(potassium carbonate、シグマアルドリッチ社)220gと2−フェニルフェノール(2−phenylphonol、シグマアルドリッチ社)141gを追加して80℃で攪拌した。残留溶媒と反応残留物を除去して、下記式5の化合物(分子量296.36)をHPLC純度93%で得た。
【0115】
(製造例2)
冷却管と攪拌機とを備えた2000mlのフラスコにジクロロメタン(dichloromethane、シグマアルドリッチ社)600mlを入れてヒドロキシエチルメタアクリレート(hydroxyethyl methacrylate、シグマアルドリッチ社)58.8gとトリエチルアミン(triethylamine、シグマアルドリッチ社)52.2gを0℃で攪拌しながら、トリフェニルクロロメタン(triphenyl chloromethane、シグマアルドリッチ社)100gをゆっくり添加した。温度を25℃に上げた後、4時間攪拌した。ジクロロメタンを減圧蒸留して除去した後、シリカゲルカラムによって下記式6の化合物124gをHPLC純度97%で得た。
【0117】
(製造例3)
冷却管と攪拌機とを備えた2000mlのフラスコにアセトニトリル(acetonitrile、フィッシャー社)800mlを入れて炭酸カリウム(potassium carbonate、シグマアルドリッチ社)180gとアクリル酸108gを0℃で攪拌しながら、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル(4,4’−bis(chloromethyl)biphenyl、TCI社)150gをゆっくり添加した。温度を70℃に上げた後、12時間攪拌した。アセトニトリルを減圧蒸留して除去した後、シリカゲルカラムによって下記式7の化合物177gをHPLC純度97%で得た。
【0119】
(製造例4)
冷却管と攪拌機とを備えた3000mlの反応基にジクロロメタン(dichloromethane、シグマアルドリッチ社)300mlを入れ、ヒドロキシエチルアクリレート(hydroxiethyl acrylate、新中村化学工業株式会社)200gとトリエチルアミン168gとを入れ、フラスコ内の温度を0℃に下げた後、p−トルエンスルホニルクロライド(p−toluene sulfonyl chloride、シグマアルドリッチ社)278gをジクロロメタン500mlに溶かした溶液を2時間滴下して攪拌した。さらに5時間攪拌後、残留溶媒を蒸留で除去した。得られた化合物300gをアセトニトリル(acetonitrile、シグマアルドリッチ社)1000mlに入れて炭酸カリウム(potassim carbonate、シグマアルドリッチ社)220gと2−フェニルフェノール(2−phenylphonol、シグマアルドリッチ社)141gを追加して80℃で攪拌した。残留溶媒と反応残留物を除去して、下記式8の化合物(分子量296.36)をHPLC純度93%で得た。
【0121】
(製造例5)
冷却管と攪拌機とを備えた3000mlの反応基にジクロロメタン(dichloromethane、シグマアルドリッチ社)300mlを入れ、ヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate、シグマアルドリッチ社)400gとトリエチルアミン168gを入れ、フラスコ内の温度を0℃に下げた後、p−トルエンスルホニルクロライド(p−toluene sulfonyl chloride、シグマアルドリッチ社)278gをジクロロメタン500mlに溶かした溶液を2時間滴下して攪拌した。さらに5時間攪拌後、残留溶媒を蒸留で除去した。得られた化合物300gをアセトニトリル(acetonitrile、シグマアルドリッチ社)1000mlに入れ、炭酸カリウム(potassium carbonate、シグマアルドリッチ社)220gと2,2’−ビスフェノール(2,2’−bisphonol、シグマアルドリッチ社)141gを追加して80℃で攪拌した。残留溶媒と反応残留物を除去して、下記式9の化合物(分子量382.41)をHPLC純度91%で得た。
【0123】
(製造例6)
冷却管と攪拌機とを備えた1000mlの反応基にベンゼンチオール(benzene thiol)100g、ジクロロメタン(dichloromethane、シグマアルドリッチ社)200mlに過塩素酸亜鉛(zinc perchlorate、シグマアルドリッチ社)8.2gを入れて攪拌しながら、スチレンオキシド(strene oxide、シグマアルドリッチ社)109.05gをゆっくり滴下して常温で反応を進行する。4時間後、水とジクロロメタンを用いて無機物を除去した後、残留溶媒を蒸留して192gの1次生成物を得た。2000mlの反応基に得られた1次生成物150gとトリエチルアミン(triethylamine、シグマアルドリッチ社)70.31g、ジクロロメタン500mlを0℃で攪拌しながら、塩化アクリル(acryloyl chloride、シグマアルドリッチ社)64.84gをゆっくり滴下して反応を進めた。滴下が完了した後、温度をゆっくり常温に上げた後、さらに4時間攪拌する。反応終了後、ノルマルヘキサン(n−hexane、大井化金株式会社)で精製して塩と不純物を除去し、残留溶剤を減圧蒸留して下記式10の化合物(分子量284.37)をHPLC純度85%で得た。
【0125】
下記実施例および比較例で用いられた成分は次の通りである。
【0126】
(A)芳香族炭化水素基を有しないモノマー:
(a1)ドデカンジオ−ルジメタアクリレート(dodecandiol dimethacrylate、サートマー社)
(a2)トリエチレングリコ−ルジメタアクリレート(triethylene glycol dimethacrylate、BASF社)
(a3)トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate、BASF社)
(a4)2−ジメチルアミノエチルアクリレート(2−dimethylaminoethyl acrylate、アクロス株式会社)
(B)置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマー:
(b1)製造例1のモノマー
(b2)製造例2のモノマー
(b3)製造例3のモノマー
(b4)製造例4のモノマー
(b5)製造例5のモノマー
(b6)製造例6のモノマー
(b7)CP−011(4−クミルフェノキシエチルアクリレート、韓農化成株式会社)
(b8)ビスフェノールAジメタクリレート(bisphenol A dimethacrylate、アルドリッチ社)
(b9)BPM−102(ビスフェノールAエトキシ化(10)ジメタクリレート、韓農化成株式会社)
(b10)ビスフェノールFエトキシレート(2)ジアクリレート(bisphenol F ethoxylate(2)diacrylate、アルドリッチ社)
(C)光開始剤:リン系開始剤(Darocur TPO、BASF社)。
【0127】
(実施例1)
(a1)90重量部、(b1)10重量部および(C)5重量部を125ml茶色ポリプロピレンボトルに入れ、シェイカーを用いて3時間攪拌し、実施例1のディスプレイ密封材用組成物を製造した。
【0128】
(実施例2ないし25および比較例1ないし15)
各成分の種類および含量を下記表1ないし表3に記載した通りに用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でディスプレイ密封材用組成物を製造した。
【0129】
(物性評価)
(1)プラズマエッチング率(%):厚さ525±5μmのシリコンウェハー上に前記実施例および比較例のディスプレイ密封材用組成物をスプレーで塗布し、紫外線を100mW/cm
2で10秒間照射して硬化させて形成された、有機保護層の厚さ5μmの試片を製造した。製造された試片をICPドライエッチャー(プラズマラボシステム133、オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社)を用いてICP電力2500W、RE電力300W、DCバイアス200V、Arフロー50sccm、圧力10mtorrの条件で、アルゴンガスを1分間プラズマ処理した。プラズマエッチング率は、プラズマ処理前の有機保護層の厚さ(T0)と処理後の有機保護層の厚さ(T1)とを測定して、下記式1によって計算し、下記表1ないし3に結果を表した。前記T0およびT1は、基材厚さを除いた厚さを表し、Mはプラズマ処理時間(min)である。
【0131】
(2)表面粗さ(roughness、nm):前記(1)と同一の試片を製造し、原子間力顕微鏡(XE−100、パーク・システムズ社)に試片を入れた後、ヘッドモードをコンタクトモードに、PSPDディスプレイウィンドウ:A+B→1V、A−B→−500mVないし+500mVに設定して測定した。
【0132】
(3)色座標値YI(ASTM D1925):前記(1)の方式で製造した試片に対して紫外可視分光光度計(UV−visible spectrophotometer)(UV−2450、株式会社島津製作所)分析装備を用いて波長300nmないし800nmに対する透過率を測定した後、色座標値YI(ASTM D1925)を計算した。
【0133】
(4)光透過率(%):前記(1)の方式で製造した試片をASTM D1003−95 5によって、波長400nmないし700nmでヘーズメーター(NDH−5000、日本電色工業株式会社)を用いて全光線透過率を測定した。
【0137】
前記表1ないし表3の結果において、実施例の場合、プラズマエッチング率が低く、耐プラズマ性に著しく優れるとともに、表面粗さ値が2nm以下で、平坦性に優れる。また、色座標値YI(ASTM D1925)が0.50以下で、光透過率が高いため、透明な有機保護層を提供できる。一方で、比較例の場合、実施例に比べてエッチング率が高く表れたり、表面粗さが高く表れたりする問題点がある。
【0138】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造でき、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できることを理解できる。そのため、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なもので、限定的なものではないと理解しなければならない。
【手続補正書】
【提出日】2017年5月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含むディスプレイ密封材用組成物であって、
前記光硬化性モノマーは、
芳香族炭化水素基を有しないモノマー;および、
置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマー、
を含み、
下記数式1で表されるプラズマエッチング率が約400nm/min以下であり、原子間力顕微鏡によって測定された表面粗さ(roughness)が、約2nm以下であるディスプレイ密封材用組成物:
【数1】
(前記数式1において、
T0は、基材上に前記ディスプレイ密封材用組成物をスプレーで塗布し、紫外線を100mW/cm
2で10秒間照射し硬化させて製造されたサンプルの厚さ(nm)であり、
T1は、前記製造されたサンプルを2500W ICP電源、300W RF電源、DCバイアス200V、アルゴン(Ar)流量50sccm、10mtorrの圧力条件で1分間プラズマ処理した後の厚さ(nm)であり、
前記T0およびT1は、基材厚さを除いた厚さを表したものであり、Mはプラズマ処理時間(min)である)。
【請求項2】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、下記式1の構造を含む、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物:
【化1】
(前記化学式1において、Aは、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素であり、
Z
1、Z
2は、それぞれ独立して、下記化学式2で表され、
a、bはそれぞれ0ないし2の整数であり、a+bは1ないし4の整数である。)
【化2】
(前記式において、*は、Aの炭素に対する連結部であり、
Xは、単結合、OまたはSであり、
Yは、置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ
レン基であり、
R
1は、水素または炭素数1ないし5のアルキル基であり、
cは、0または1である。)
【請求項3】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、4−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、エチル−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシフェニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシプロピルジ(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシブチル(メタ)アクリレート、2,2’−フェニルフェノキシブチルジ(メタ)アクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−(トリフェニルメチルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ビフェニル−2−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、4,4’−ジ(アクリロイルオキシメチル)ビフェニル、2,2’−ジ(2−アクリロイルオキシエトキシ)ビフェニル、これらの構造異性体、またはこれらの混合物のいずれか一つである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項4】
前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーは、重量平均分子量が約100g/molないし約1000g/molである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項5】
前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーは、ビニル基、アクリル基、メタクリル基のうち一つ以上を1個ないし3個有するモノマーである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項6】
前記光硬化性モノマー中、前記置換または非置換の2個以上のフェニル基を有するモノマーを約5重量%ないし約45重量%で含む、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項7】
前記光硬化性モノマー中、前記芳香族炭化水素基を有しないモノマーを約55重量%ないし約95重量%で含む、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項8】
前記光硬化性モノマーは、C、H、O、NまたはSから選ばれる元素のみからなる、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項9】
前記光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系の中から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項10】
熱安定剤をさらに含むものである、請求項1に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項11】
前記熱安定剤は、前記ディスプレイ密封材用組成物中に、固形分基準で、約100ppmないし約1000ppmで含むものである、請求項10に記載のディスプレイ密封材用組成物。
【請求項12】
ディスプレイ部材および前記ディスプレイ部材上に形成された複合保護層を含み、前記複合保護層は、無機保護層および有機保護層を含み、前記有機保護層は、請求項1ないし請求項9のいずれか一項のディスプレイ密封材用組成物の硬化物を含むディスプレイ装置。
【請求項13】
前記無機保護層は、金属、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属ホウ化物、金属酸ホウ化物、金属シリサイドから選ばれる1種以上を含み、
前記金属は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、セレニウム(Se)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、遷移金属、ランタノイド金属の中から選ばれる1種以上を含む、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ディスプレイ部材は、LED(light emitting diode)、OLED(Organic light emitting diode)、OLED照明(light instrument)またはLED照明である、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
前記式において、*は、Aの炭素に対する連結部であり、
Xは単結合、酸素原子、または硫黄原子であり、
Yは、置換または非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基または置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ
レン基であり、
R
1は、水素または炭素数1ないし5のアルキル基であり、
cは0または1である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
前記式において、Aは、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素である。前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換の2個以上のフェニル基が縮合されず、単結合、酸素原子、硫黄原子、置
換の炭素数1ないし5のアルキ
レン基、
非置換の炭素数1ないし6(1ないし5、3ないし6)のアルキレン基、ヘテロ原子で置換
の炭素数3ないし6のアルキレン基、エテニレン基、エチニレン基もしくはカルボニル基、または非置換
のエテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基によって連結されたことを意味する。例えば、前記2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のトリフェニルメチル基、置換または非置換のターフェニル基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のターフェニレン基、置換または非置換のクォーターフェニレン基、置換または非置換の2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル基、置換または非置換の2,2−ジフェニルプロパン基、置換または非置換のジフェニルメタン基、置換または非置換のクミルフェニル(cumyl phenyl)基、置換または非置換のビスフェノールF基、置換または非置換のビスフェノールA基、置換または非置換のビフェニルオキシ基、置換または非置換のターフェニルオキシ基、置換または非置換のクォーターフェニルオキシ基、置換または非置換のキンキフェニルオキシ基等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
前記化学式3において、R
2は、水素またはメチル基であり、R
3は、置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ
レン基であり、R
4は、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
例えば、前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換の2個以上のフェニル基が縮合されず、単結合、酸素原子、硫黄原子、置
換の炭素数1ないし3のアルキ
レン基、
非置換の炭素数1ないし6(1ないし3、3ないし6)のアルキレン基、ヘテロ原子で置換
の炭素数3ないし6のアルキレン基、エテニレン基、エチニレン基もしくはカルボニル基、または非置換
のエテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基によって連結されたことを意味する。例えば、前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のトリフェニルメチル基、置換または非置換のターフェニル基、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のターフェニレン基、置換または非置換のクォーターフェニレン基、置換または非置換の2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチル基、置換または非置換の2,2−ジフェニルプロパン基、置換または非置換のジフェニルメタン基、置換または非置換のクミルフェニル(cumyl phenyl)基、置換または非置換のビスフェノールF基、置換または非置換のビスフェノールA基、置換または非置換のビフェニルオキシ基、置換または非置換のターフェニルオキシ基、置換または非置換のクォーターフェニルオキシ基、置換または非置換のキンキフェニルオキシ基等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
前記化学式4において、R
5、R
9は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、R
6、R
8は、それぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1ないし10の直鎖状アルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ
レン基であり、R
7は、置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
例えば、前記置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含む炭化水素、または置換もしくは非置換の2個以上のフェニル基を含むヘテロ原子含有炭化水素は、置換または非置換の2個以上のフェニル基が縮合されず、単結合、酸素原子、硫黄原子、置
換の炭素数1ないし4のアルキ
レン基、
非置換の炭素数1ないし6(1ないし4、3ないし6)のアルキレン基、ヘテロ原子で置換
の炭素数3ないし6のアルキレン基、エテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基、または非置換のエテニレン基、エチニレン基またはカルボニル基によって連結されたことを意味する。例えば、前記炭化水素は、置換または非置換のビフェニレン基、置換または非置換のトリフェニルメチレン基、置換または非置換のターフェニレン基、置換または非置換のクォーターフェニレン基、2−フェニル−2−(フェニルチオ)エチレン基、2,2−ジフェニルプロピレン基、ジフェニルメチレン基等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【国際調査報告】