特表2017-536933(P2017-536933A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-536933(P2017-536933A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】医用装置パッケージ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20171117BHJP
【FI】
   A61M5/00 518
   A61M5/00 516
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-531154(P2017-531154)
(86)(22)【出願日】2015年12月11日
(85)【翻訳文提出日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015079364
(87)【国際公開番号】WO2016092058
(87)【国際公開日】20160616
(31)【優先権主張番号】14307014.2
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルクス−マイノルフ・ディットリヒ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066NN00
4C066QQ78
(57)【要約】
内部空間を有する容器(11)を画成する複数のパネル(12〜20)を含む医用装置の構成要素のためのパッケージ(10)。医用装置の第1の構成要素は、内部空間内に配置される。医用装置の第1の構成要素は、薬剤送達デバイスを含む。容器(11)は、容器(11)の底壁を形成するベースパネル(12)を含む。少なくとも1つの蓋パネル(16)は、ベースパネル(12)に連結され、容器(11)が開構成へと操作されるときにベースパネル(12)と同一平面に延びる位置へと折り畳み可能である。少なくとも1つの蓋パネル(16)は、容器(11)が開構成にあるときに使用者が医用装置の構成要素を置くことができる準備面を形成する滅菌面を含む。さらに、容器(11)の内部空間内に薬剤容器(26)を含むそのようなパッケージを含む医用装置が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用装置の構成要素のためのパッケージ(10)であって:
内部空間を有する容器(11)を画成する複数のパネル(12〜20)と;
内部空間内に配置され薬剤送達デバイス(25)を含む、医用装置の第1の構成要素と;
を含み、
ここで、容器(11)は、容器(11)の底壁を形成するベースパネル(12)を含み;
該パッケージは、ベースパネル(12)に連結され、容器(11)が開構成へと操作されるときにベースパネル(12)と同一平面に延びる位置まで折り曲げ可能な、少なくとも1つの蓋パネル(16)をさらに含み;
ここで、該少なくとも1つの蓋パネル(16)は、容器(11)が開構成にあるときに使用者が医用装置の構成要素を置くことができる準備面を形成する滅菌面を含む、
前記パッケージ。
【請求項2】
滅菌面は、少なくとも1つの蓋パネル(16)の表面に施される殺菌剤を含むコーティングを含む、請求項1に記載のパッケージ(10)。
【請求項3】
少なくとも1つの蓋パネル(16)は、該少なくとも1つの蓋パネル(16)が内部空間を少なくとも部分的に取り囲む閉構成へと折り曲げ可能である、請求項1または2に記載のパッケージ(10)。
【請求項4】
蓋パネル(16)の滅菌面は、容器(11)が閉構成にあるとき、容器(11)の内面を形成する、請求項3に記載のパッケージ(10)。
【請求項5】
パッケージ(10)の閉位置において互いに重なり合う複数の蓋パネル(13、14、15、16)を含み、準備面を含む前記少なくとも1つの蓋パネル(16)は、最も内側の蓋パネルを構成する、請求項4に記載のパッケージ(10)。
【請求項6】
少なくとも1つの蓋パネル(16)は、容器(11)の閉構成において、ベースパネル(12)に接着される、請求項3〜5のいずれか1項に記載のパッケージ(10)。
【請求項7】
少なくとも1つの蓋パネル(16)は、ベースパネル(12)に接着される医用装置の第2の構成要素(36)によってベースパネル(12)に接着される、請求項6に記載のパッケージ(10)。
【請求項8】
医用装置の第2の構成要素は、殺菌剤を収容するパケット(35)を含む、請求項7に記載のパッケージ(10)。
【請求項9】
少なくとも1つの蓋パネル(16)は、容器(11)の側方壁パネルを構成する中間パネル(20)によってベースパネル(12)に連結される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパッケージ(10)。
【請求項10】
容器(11)のパネル(12〜20)は、単一の平坦な材料ブランクから形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパッケージ(10)。
【請求項11】
容器(11)は、該容器(11)のすべてのパネル(12〜20)が互いに同一平面にある開構成へと構成可能である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のパッケージ(10)。
【請求項12】
容器(11)の少なくとも1つのパネル(13)には、薬剤送達デバイス(25)の使用のための指示が印刷される、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパッケージ(10)。
【請求項13】
容器(11)の閉構成において互いに重なり合う複数の蓋パネル(13、14、15、16)を含み、使用についての指示を含む前記パネルは、最も外側の蓋パネル(13)を構成する、請求項12に記載のパッケージ(10)。
【請求項14】
薬剤送達デバイス(25)は、ボーラス注射デバイスを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のパッケージ(10)。
【請求項15】
容器(11)の内部空間内に薬剤容器(26)をさらに含む請求項1〜14のいずれか1項に記載のパッケージ(10)を含む医用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに関し、詳細には、医用装置および/またはその部材のためのパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な疾病で、薬剤の注射による定期的な処置が必要とされている。当業界で既知の注射デバイスは、薬剤の注射を送達するための注入およびパッチポンプを含む。注目を集めている他のタイプの注射デバイスは、ボーラス注射器である。より高粘度の注射可能液を含み従来の液体薬剤よりも大量に投与される生物学的薬剤が次第に開発されてきている。ボーラス注射器のなかには、比較的大量の薬剤、典型的には少なくとも1ml、場合によっては数mlの薬剤での使用を対象とするものがある。そのような大量の薬剤の注射は、数分または数時間要することがある。そのような大容量ボーラス注射器は、大容量デバイス(LVD)と呼ばれることがあり、充填済みの使い捨て薬剤送達デバイス、または、別法として、患者もしくは医療関係者が使用前に薬剤カートリッジを挿入しなければならない使い捨て薬剤送達デバイスを含むことができる。LVDのような注射デバイスを使用するには、まず、それを患者の適切な注射部位において支持し、設置後、患者または他の者(使用者)が注射を開始する。
【0003】
特に、使用前に薬剤カートリッジの挿入が必要な患者操作デバイスの場合、開始から終了までの薬剤送達プロセスは、複雑な多数の工程からなるプロセスになることがある。工程は、薬剤を注射する実際のプロセスの開始が可能になる前に、薬剤投与のためにデバイスを準備するために、デバイス構成要素をすべて集め、準備領域を殺菌し、それぞれのパッケージから各構成要素を取り出し、構成要素を組み立てることを含むことがある。いくつかの薬剤送達デバイスは、投与予定の薬剤が予め装填されて提供されるのに対して、他の送達デバイスは、別個になった薬剤カートリッジを受けるチャンバを含み、患者はデバイスの使用準備を整えるために送達デバイスのチャンバに薬剤カートリッジを装填しなければならない。したがって、そのようなプロセスは、覚えたうえで実行するには患者にとって複雑であり、彼または彼女の日課の邪魔になり、また特に患者がプロセスに詳しくない場合、薬剤投与プロセスを正しく実行することができない可能性があるという危険性がある。
【0004】
医用デバイスは、特別な医学的および/または技術的なスキルのない者、たとえば患者自身などによってよく使用される。したがって、医用デバイスのような、複雑なデバイスのためのパッケージは、しばしば、デバイスの使用に必要な工程が患者によって正確に実施されることを確実にするために、最初に使用するときの指示が書かれたマニュアルを含む。しかし、そうしたマニュアルがパッケージ内にあっても、患者がそれを無視することがある。特に、使用者への調査では、使用者の最初の動作として、しばしば、マニュアルを取り出しそれを外に置き、それによってマニュアルが見えなくなって使用者はそれを忘れてしまうことが分かった。
【0005】
さらに、調査から、患者は、たとえば電子医用デバイスである医用デバイスと最初に関わるとき、他の電子デバイスの知識を参考にすることが分かった。しかし、実際のデバイスとメンタルモデルの操作に違いがある場合、結果的にデバイスの使用方法を誤ることがある。さらに、どの構成要素を最初に使用しなければならないかが明確でないと、患者は、デバイスを動作させるために使用または組み立てなければならない大量の構成要素を収容するパッケージによって混乱することがあることが分かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、使用が簡単であり患者の日課のそれほど邪魔にならない薬剤送達装置および投与プロセスを患者に提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、医用装置の構成要素のためのパッケージであって、内部空間を有する容器を画成する複数のパネルと、内部空間内に配置され薬剤送達デバイスを含む医用装置の第1の構成要素とを含み、ここで、容器は、容器の底壁を形成するベースパネルを含み、パッケージは、ベースパネルに連結され容器が開構成へと操作されるときにベースパネルと同一平面に延びる位置まで折り曲げ可能な、少なくとも1つの蓋パネルをさらに含み、ここで、少なくとも1つの蓋パネルは、容器が開構成にあるときに使用者が医用装置の構成要素を置くことができる準備面を形成する滅菌面を含む、医用装置の構成要素のためのパッケージを含む、医用装置の構成要素のためのパッケージを提供する。
【0008】
パッケージは、有利には、使用者が、机の上または台所のカウンターの上など、装置の下になる面を殺菌する、衛生的にする、消毒するまたは他のやり方で清浄化する必要のない、医用装置の構成要素のための準備面を提供することができる。これは、装置の使用の間に置かれる予定の医用装置の構成要素のための清潔な、消毒されたおよび/または殺菌した領域を確保する助けとなり得る。
【0009】
滅菌面は、少なくとも1つの蓋パネルの表面に施される殺菌剤を含むコーティングを含むことができる。これは、有利には、より長い時間にわたって準備面を清潔で、消毒されかつ/または殺菌された状態にすることができ、したがって面の汚染の可能性を減少させることができる。
【0010】
少なくとも1つの蓋パネルは、少なくとも1つの蓋パネルが内部空間を少なくとも部分的に取り囲む閉構成へと折り曲げ可能であってよい。
【0011】
蓋パネルの滅菌面は、容器が閉構成にあるとき、容器の内面を形成することができる。これは、有利には、使用前の面の汚染の回避を助けるように外部要素から準備面を守ることができる。
【0012】
容器は、パッケージの閉位置において互いに重なり合う複数の蓋パネルを含むことができ、準備面を含む前記少なくとも1つの蓋パネルは、最も内側の蓋パネルを構成することができる。これは、さらに有利には、準備面の汚染を防ぐ助けとなり得る。
【0013】
少なくとも1つの蓋パネルは、容器の閉構成において、ベースパネルに接着される。これは、有利には、使用前の閉じられたパッケージを封止することができる。
【0014】
少なくとも1つの蓋パネルは、ベースパネルに接着される医用装置の第2の構成要素によってベースパネルに接着される。これは、デバイスの使用前に患者または使用者に構成要素を扱うようにさせ、したがって記憶補助を生み出し、および/または装置の使用の手順工程を行わざるを得なくさせる。
【0015】
医用装置の第2の構成要素は、殺菌剤を収容するパケットを含むことができる。これは、有利には、患者または使用者がパッケージを開けるときに殺菌剤にアクセスし、それによって手順のある時点でそれを使用することを思い起こすことを確実にする助けとなり得る。
【0016】
少なくとも1つの蓋パネルは、容器の側方壁パネルを構成する中間パネルによってベースパネルに連結される。
【0017】
容器のパネルは、単一の平坦な材料ブランクから形成される。これは、有利には、容器の製造の容易さおよび/または単純さを促進することができる。
【0018】
容器は、容器のすべてパネルが互いに同一平面にある開構成へと構成可能であってよい。これは、有利には、患者または使用者に体裁のよい容器の開構成をもたらすことができ、収容されている医薬装置とあわせてパッケージの向上された使いやすさを提供することができる。
【0019】
容器の少なくとも1つのパネルには、薬剤送達デバイスの使用のための指示を印刷することができる。これは、装置への多数の構成要素の必要性を回避する助けとなり、また患者または使用者が取り扱う必要のある別個の取扱説明書の必要を回避することができる。
【0020】
パッケージの容器は、容器の閉構成において互いに重なり合う複数の蓋パネルを含むことができ、使用についての指示を含む前記パネルは、最も外側の蓋パネルを構成することができる。これは、患者または使用者がパッケージを最初に開けたときに指示を見ることを確実にする助けとなり、また、装置の使用におけるエラーを回避する助けとなり得る。
【0021】
薬剤送達デバイスは、ボーラス注射デバイスを含むことができる。
【0022】
本発明は、さらに、容器の内部空間内に薬剤容器をさらに含む上述したようなパッケージを含む医用装置を提供する。
【0023】
次に、添付の図面を参照して、ほんの一例として、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】閉構成にある、本発明の第1の実施形態のパッケージの斜視図である。
図2】パッケージが部分的に開けられている、第1の中間構成にある、図1のパッケージの斜視図である。
図3】パッケージが部分的に開けられている、第2の中間構成にある、図1および図2のパッケージの斜視図である。
図4】開構成にある、図1図3のパッケージの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図4は、容器11と、容器11内に保持されるボーラス注射装置の様々な構成要素と関連の材料とを含む、本発明の第1の実施形態による薬剤パッケージ10を示す。容器11は、厚紙または他の適切なシート材料の折り曲げられたブランクで形成される。容器11を形成するブランクは、様々な一体形成の矩形パネルを構成し、ベースパネル12と、外側蓋パネル13と、第1および第2の側方蓋パネル14、15と、内側蓋パネル16とを含む。蓋パネル13、14、15、16は、組み立て後の容器11の壁パネルを構成するそれぞれの中間パネル(17、18、19、20)を介してベースパネル12の縁に連結される。外側蓋パネル13は、第1の壁パネル17を介してベースパネル12の1つの縁に接合される。第1および第2の側方蓋パネル14、15は、それぞれ第2および第3の壁パネル18、19によって、外側壁パネル17に隣り合うように、ベースパネル12の対向する縁に接合される。内側蓋パネル16は、第4の壁パネル20によって、第1の壁パネル17の反対のベースパネル12の縁に接合される。
【0026】
第1の壁パネル17から離れた外側蓋パネル13の縁は、クロージャタブ21を含む。内側蓋パネル16は、内側蓋パネル16と第4の壁パネル20との間の折り目の近くに、タブスロット22を含む。
【0027】
内側蓋パネル16は、第4の壁パネル20から離れたところに、第1のフラップ23と、第1のフラップに隣り合う第2のフラップ24とを含む。
【0028】
折り目は、隣り合った包装パネルの間の接合部にわたって延び、図3および図4では破線で示されている。
【0029】
ボーラス注射装置の様々な構成要素およびデバイスの使用に必要な関連の材料は、容器11に収容され、ボーラス注射デバイス25(以降、「デバイス25」と称される)と、デバイス25に挿入予定の薬剤カートリッジ26とを含む。殺菌スワブ27およびガーゼパッド28は、第2の側方蓋パネル15上に設けられる。殺菌スワブ27は、患者の皮膚の所期の注射部位を消毒するのに使用することができる。ガーゼパッド28は、注射部位における殺菌スワブ27からの残余殺菌剤を乾かすのに使用することができる。第1の側方蓋パネル14は、デバイス25の適切な使用を患者に案内する指示シート30を収容するポケット29を備える。場合により、第1の側方蓋パネル14は、さらに、デバイス25のより詳細な指示および仕様ならびに薬剤カートリッジ26内の薬剤についての医学/薬学情報を提供する詳細な取扱説明書32を収容する第2のポケット31を含むこともできる。
【0030】
内側蓋パネル16の表面は、パッケージ10の使用のときに、患者または他の使用者がデバイス25および薬剤カートリッジ26を含むボーラス注射装置の構成要素を置くことができる準備面としての役割を果たすように構成される。内側蓋パネル16の準備面は、準備面としての内側蓋パネル16の表面を表すマーキング、印または他の絵33を含むことができる。内側蓋パネル16の面は、滅菌面であり、および/または表面の滅菌状態を維持するように、殺菌、殺菌するまたは消毒するコーティングまたは他の処理が設けられる。殺菌コーティングは、準備面に塗布されるキャリア材料に殺菌剤を含むことができる。殺菌剤は、準備面に印刷されるインキを含むことができ、準備面であることを表すマーキング33が殺菌インキ(sterilizing ink)などを含むこともできる。別法として、またはそれに加えて、準備面は、容器ブランクおよび/またはパッケージ10の製造の間に殺菌剤により予め処理することができる。
【0031】
外側蓋パネル13の表面は、パッケージ10の使用またはデバイス25の操作のための順次的な指示、または患者もしくは他の使用者についての他の関連情報を示す詳細な指示34を含むことができる。
【0032】
図4から、デバイス25および薬剤カートリッジ26は、容器のベースパネル12上に設けられ、ベースパネル12に接着される密閉封止ブリスタパック(図示せず)内に設けられる、またはベースパネル12の所定位置に別のやり方で固定される。さらに、デバイス25および薬剤カートリッジ26は、ベースパネル12に固定的に固定されず、その代わりに、容器を図1に示される閉構成に折り曲げるときに、単にベースパネル12上にそれらを置いて容器11内に閉じ込めてもよい。
【0033】
図1に示されるパッケージ10の閉構成では、デバイス25および薬剤カートリッジ26は、ベースパネル12上に配置され、第4の壁パネル20は、ベースパネル12から垂直方向に延びる。内側蓋パネル16は、それがデバイス25および薬剤カートリッジ26を覆うように第4の壁パネル20から垂直方向に延びる、閉位置にある。したがって、内側蓋パネル16は、容器11の内部空間の上側壁を形成し、したがって内部空間を少なくとも部分的に取り囲む。内側蓋パネル16の第1のフラップ23は、ベースパネル12の方へと延び、内側蓋パネル16の第2のフラップ24は、ベースパネル12と同一平面にある。この構成は、図3に示される第2の中間位置において見ることができる。
【0034】
第2および第3の壁パネル18、19は、ベースパネル12から垂直方向に延び、第1および第2の側方蓋パネル14、15は、それらが第2および第3の壁パネル18、19に対して垂直方向に内側蓋パネル16の上に延びる、閉位置に折り曲げられる。したがって、第1および第2の側方蓋パネル14、15は、容器11の内部空間の上側壁を形成し、したがって、内部空間を少なくとも部分的に取り囲む。この構成は、図2に示される第1の中間構成において見ることができる。
【0035】
第1の壁パネル17は、ベースパネル12に対して垂直方向に延び、外側蓋パネル13は、それが第1の壁パネル17に対して垂直方向に第1および第2の側方蓋パネル14、15の上に延びる、閉位置に折り曲げられる。クロージャタブ21は、タブスロット22に受け入れられ、パッケージ10を閉じた状態で保持する。したがって、外側蓋パネル13は、容器11の内部空間の上側壁を形成し、したがって、内部空間を少なくとも部分的に取り囲む。
【0036】
図2を参照すると、パケット35は、第1および第2の側方蓋パネル14、15に接着されそれらを共に保持し、パッケージ10の内部へのアクセスを防ぐ。パケット35は、患者がデバイス25を取り扱う前に彼らの手を殺菌することを可能にするように、棒状石鹸、または他の消毒または殺菌剤(図示せず)を収容する。パケット35は、取り外すことができ、それによって第1および第2の側蓋パネルを内側蓋パネル16から離れるように折り曲げることが可能になる。
【0037】
第2のフラップ24は、第2のフラップ24の縁およびベースパネル12に接着されるサシェ36によって、ベースパネル12に固定される。サシェ36は、その後の薬剤投与プロセスにおいて注射部位としての役割を果たす患者の皮膚の領域を患者が清浄化し殺菌することを可能にするように殺菌スワブ(図示せず)を収容する。サシェ36は、取り外すことができ、それによって第2のフラップ24、したがって内側蓋パネル16全体をベースパネル12から離れるように折り曲げることが可能になる。サシェ36は、第2の側方蓋パネル15の内部にある殺菌スワブ27の追加、またはその代わりであってよい。
【0038】
次に、本発明の例示的な実施形態のパッケージ10の使用について説明する。使用は、患者がデバイス25を用いて薬剤を自己投与するためにパッケージを使用する観点から述べられるが、本発明のパッケージ10の使用は、患者による使用に限定されず、患者ではなくたとえば医療従事者である第3者による使用を含むことを理解されたい。
【0039】
患者は、閉構成にあるパッケージ10を手に取り、クロージャタブ21をタブスロット22から持ち上げ、外側蓋パネル13を第1および第2の側方蓋パネル14、15から離れるように折り曲げる。すると、パッケージ10は、図2に示されるような第1の中間構成になる。そして、患者に対して、石鹸を収容するパケット35が現れる。パケット35が取り外されるまで、パッケージをさらに開け続けることはできない。これは、患者にパケット35を手に取らせ、石鹸に気付かせ、プロセスの次の工程に進む前に手を洗うことが必要であることを患者に思い起こさせる役割を果たす。
【0040】
この段階で、患者には、外側蓋パネル13の内面にある詳細な指示34が示され、したがって、プロセスの早い段階からこの先の明確な操作指示が得られる。本発明の例示的な一実施形態では、詳細な指示34は、「1.手を洗う。」、「2.注射器を準備する。」、「3.注射する。」、「4.注射器を処分する。」ことを示すことができる。本発明のさらなる例示的な一代替実施形態では、詳細な指示34は、「1.手を洗う。」、「2.注射部位を殺菌する。」、「3.注射器を準備する。」、「4.注射する。」、「5.注射器を処分する。」ことを示すことができる。
【0041】
パケット35を取り外した後、患者は、第1および第2の側方蓋パネル14、15を内側蓋パネル16から離れるように折り曲げ、閉位置から開位置にすることができる。すると、パッケージ10は、図3に示される第2の中間構成になる。ここでは、容器11の内部空間は、閉位置の状態にある内側蓋パネル16によってのみ取り囲まれている状態にある。次いで、患者には、必要に応じて、デバイス25の正しい使用についての情報を提供する指示シート30および詳細な取扱説明書32が示される。さらに、使用者には、殺菌スワブを収容するサシェ36が示され、それを取り外すまでパッケージをさらに開け続けることはできない。これは、患者にサシェ36を手に取らせ、殺菌スワブに気付かせ、プロセスの次の工程に進む前、またはデバイス35へのアクセスが可能になる前に、彼らの皮膚の所期の注射部位を殺菌することが必要であることを患者に思い起こさせる役割を果たす。
【0042】
サシェ36を取り外し、注射部位を殺菌してから、患者は、ベースパネル12から離れるように内側蓋パネル16をひろげることができる。内側蓋パネル16は、その閉位置から開位置にひろげられる。内側蓋パネル16は、ベースパネル12に平らに平行かつ同一平面になるように折り曲げることができる。すると、パッケージ10は、図4に示される開構成になる。それによって、装置の準備面は上方に向いた状態になる。準備面を表す絵33は、患者に対する視覚インジケータとして、内側蓋パネル16の面上に露出する。そして、患者は、他の面との接触により汚染されることもなく、デバイス25または薬剤カートリッジ26を置くのに内側蓋パネル16の準備面を使用することができる。
【0043】
次いで、患者には、デバイス25および薬剤カートリッジ26が示される。そして、患者は、薬剤カートリッジ26をデバイスに装填し、製造業者の指示通りにデバイス25を使用して薬剤投与プロセスを実行することができる。デバイス25の使用後、デバイス25および薬剤カートリッジ26は処分してよい。あるいは、再利用可能デバイスの場合、薬剤カートリッジ26を取り外して処分し、デバイス25は、その後の使用のために保持することもできる。
【0044】
第2の側方蓋パネル15は、さらに、薬剤送達プロセス中またはその後に場合により必要となることがある材料を含むことができる。これは、絆創膏(plaster)37および/または追加のガーゼパッド38を含むことができる。
【0045】
平らにひらかれた内側蓋パネル16によって形成されるデバイス準備面を含むパッケージ10は、有利には、使用中に置かれるパッケージ10の下になる面を患者または他の使用者が清浄化および/または消毒する必要性を回避することができる。たとえば、パッケージ10の使用を開始する前にテーブル表面の領域を殺菌する必要がなくなる。これは、薬剤装置の構成要素の汚染の危険を最小限にする助けとなり得る。これは、さらに、パッケージ10の使用および薬剤投与プロセス全体を、患者にとってより単純にし、煩わしいことを行わずに済むことができるようにする。さらに、滅菌準備面は、患者による追加の表面殺菌工程の必要性を回避する。さらに、滅菌準備面は、薬剤投与プロセスの間における準備面の汚染をなくす、またはそこに置かれるあらゆる医用装置構成要素の汚染をなくすことを確実にする助けとなり得る。
【0046】
内側蓋パネル16の準備面は、容器11が閉構成にあるとき、容器11の内面を形成する。すなわち、準備面は、容器11が閉構成にあるとき、内側に向いている。これは、有利には、準備面が環境要素に曝されることを回避し、したがって、パッケージ10の使用前に準備面が汚染されることを回避する助けとなり得る。その上、準備面は、容器11の最も内側の蓋パネルに形成される。すなわち、容器11の閉構成において、内側蓋パネル16は、最も内側にあり、外側蓋パネル13は、最も外側にあり、第1および第2の側方蓋パネル14、15は、外側蓋パネル13と内側蓋パネル16との間に配置される。したがって、内側蓋パネル16およびその関連の準備面の上には、容器11の少なくとも1つのさらなるパネルがあり、それによって、その周囲状態に直接曝されることが防止される。それによって、さらに有利には、パッケージ10の輸送および収納の間、したがって使用する前に、内側蓋パネル16およびその準備面は環境要素から守られる。これは、準備面を滅菌状態にしておくことについての上述した利点をもたらすことができる。
【0047】
薬剤送達プロセスを完了するのに患者に必要なすべての必要材料を含む本発明のパッケージ10は、プロセスを実行しやすくし、薬剤投与プロセスを開始する前に患者が様々な供給源から材料を集める必要性を回避する助けとなる。これは、投与処置における患者エラーを回避する助けとなり、さらに、患者を安心させ、彼らがよりリラックスする助けとなり、プロセスが彼または彼女のライフスタイルをあまり邪魔しないようにする。
【0048】
パッケージ10は、デバイス25と、別個の薬剤カートリッジ26とを含むとして述べられているが、本発明は、この構成に限定されず、別法として、本発明のパッケージは、薬剤装填済みデバイス25を含むこともできる。そのようなデバイス25は、装填済みカートリッジ26またはデバイス25と一体形成されたリザーバを含むことができる。さらに、本発明は、デバイス25が薬剤カートリッジ26を受け入れるパッケージ10に対する限定を意図するものではない。デバイス25は、本発明の範囲内にある薬剤容器またはリザーバのあらゆる形態を受けることができ、そのような容器またはリザーバから患者に薬剤を投薬するように構成される。
【0049】
例示的な実施形態のパッケージ10は、パケット35およびサシェ36がパッケージ10からそれぞれ取り外されるまで患者がパッケージ10をさらに開けることができないように、所定位置に接着されるパケット35およびサシェ36を有するとして述べられている。しかし、それぞれは、患者にプロセスを思い起こさせる役割を果たすが、本発明は、パッケージ10の所定位置に接着されるこれらの構成要素のどちらかに対する限定を意図するものではない。別法として、パッケージは、閉位置にある内側蓋パネル16ならびに第1および第2の側方蓋パネル14、15の一方または両方を保持するように所定位置に接着される医用装置の代替構成要素を含むこともできる。パケット35およびサシェ36の一方または両方は、パッケージ10を完全に開けるのに必ずしも除去する必要のない、パッケージ内の他の場所にも設けてもよい。さらに、パッケージ10は、パケット35および/またはサシェ36の代わりに、部分的に閉じられる第1および第2の中間構成においてパックを保持する機能を果たす封止ラベルを含むこともできる。あるいは、これらの構成にあるときにパッケージ10を保持するように、関連したパネル/タブを、オーバーラップ領域において共に接着させてもよい。これは、特に、石鹸のパケット35および/または殺菌スワブのサシェ36がパッケージ10内の他の場所に設けられる場合であってよい。パッケージ10がパケット35および/またはサシェ36の代わりにラベルを含む場合、ラベルは、患者または他の使用者に、手を洗うまたは所期の注射部位を殺菌することを思い起こさせるような文章および/または絵を含むことができる。したがって、パッケージ10を開けることができるようになる前にプロセスを思い起こさせる機能は、患者が石鹸パケット35または殺菌スワブサシェ36を実際に手に取らなくても保持される。
【0050】
図示され上記で述べられる薬剤パッケージ10の特定の構成は、一例に過ぎず、本発明の薬剤パッケージの発明の概念を例示する役割しか果たさない。パッケージおよび容器の代替構成は、本発明の範囲に包含されるものとすることを理解されたい。たとえば、容器の1つまたはそれ以上のパネルは、矩形、方形またはあらゆる他の適切な形状であってよい。また、本発明の範囲内で他のタイプの薬剤送達デバイスおよび薬剤容器をパッケージ10とともに使用することができることが明らかであろう。パッケージ10は、液体および気体の両方の薬剤および関連のデバイスとともに使用することができる。たとえば、薬剤は、気体吸入薬剤を含むことができる。そのような薬剤は、薬剤送達デバイスに受け入れられるキャニスタのような加圧薬剤容器内に設けられる。
【0051】
パッケージ10の容器11は、厚紙ブランクから作ることができるが、本発明はそのような材料に限定されず、本発明の範囲内で、プラスチックまたは金属を含むあらゆる他の適切な材料を使用することができる。容器11は、プラスチック積層カードのような、材料の混成物から作ることもできる。容器11は、単一の材料ブランクから折り曲げることができる。折り目は、容器11のシート材料における弱化ラインを含むことができる。弱化ラインは、ブランクの厚さが減少されたライン、または他の変形ラインであってよい。弱化ラインは、1つまたはそれ以上のスコアライン、ミシン目、または本体11の材料のエンボシングを含むことができる。これは、費用効果が高く製造が簡単なパッケージ容器の構成になるという点で有利である。
【0052】
容器は、単一、一体の材料ブランクから形成することができる。しかし、本発明は、この構成に対する限定を意図するものではなく、容器11は、互いに連結される複数の包装構成要素から形成することもできる。様々なパネルは、共に連結される別個の構成要素であってもよい。パネルは、パネルの材料とは異なる材料であってよい材料のセクションによって連結してもよい。たとえば、連結材料は、パネルの材料よりも可撓性のある材料であってよい。たとえば、パネルは、堅い厚紙から作られ、連結材料のセクションは、可撓性プラスチックまたはゴムまたはより可撓性の厚紙であってもよい。
【0053】
本発明のパッケージ10は、平坦な材料ブランクから形成される容器に対する限定を意図するものではなく、その代わりに、パッケージの1つまたはそれ以上の部分を非平坦構造として形成することもできる。たとえば、ベースパネル12は、第1および第2の側方蓋パネル14、15と外側蓋パネル13とがトレイ形容器に連結されるトレイ形容器に置き換えてもよい。しかし、そのような一実施形態では、それでもなお、パッケージのパネルは、平坦にトレイ形容器のベース面と同一平面になるように折り曲げ可能である必要がある。したがって、内側蓋パネル16は、それでもなお、上述したように折り曲げることができるように、第4のパネルによってそのようなトレイ形容器のベース面に連結される。
【0054】
デバイス25および薬剤カートリッジ26は、場合により、ベースパネル12に接着される密閉封止ブリスタパック内に設けられるとして上記で述べられているが、デバイス25および薬剤カートリッジ26を所定位置に固定する他の手段も、本発明の範囲に入るものとする。たとえば、デバイス25および/または薬剤カートリッジ26は、ベースパネル12に形成される表面形成物によって保持してもよい。たとえば、ベースパネル12は、デバイス25および/または薬剤カートリッジ26をベースパネル12上の所定位置に摩擦嵌めまたはスナップ嵌めのように固定する突起付きで形成することもできる。そのような形成物は、容器11を形成するシート材料にエンボス加工されるまたは穴があけられる。デバイス25および/または薬剤カートリッジ26のそのような機械的な固定は、構成要素を所定位置に接着する接着剤の使用に加えられるまたはその代わりであってよい。
【0055】
パッケージ10は、別々になった側方蓋パネル14、15を含まなくてもよく、その代わりに、内側蓋パネル16の上に部分的または全体的に延びる1つの単一側方蓋パネルを含むこともできる。それでもなお、そのような構成は、側方蓋パネルがひろげられるまで、内側蓋パネル16が開けられないようにする役割を果たす。したがって、単一側方蓋パネルは、側方蓋パネルの縁および内側蓋パネル16において閉じるように接着される。接着密閉は、側方蓋パネルの縁と内側蓋パネル16の上にあるパケット35またはラベルによってなされる。あるいは、側方蓋パネルの縁と内側蓋パネル16との間に接着剤を塗布してもよい。
【0056】
本発明は、図示され上述される薬剤パッケージ10の例示的な構成に対する限定を意図するものではない。本発明の範囲内の代替パッケージでは、まず、第1および第2の側方パネル14、15がそれらの閉位置に折り曲げられ、第1および第2の側方パネル14、15の上に内側蓋パネル16がその閉位置へと折り曲げられる。そのような構成では、第1および第2の側方パネル14、15は、容器11内の最も内側に配置される。そのようなパッケージの代替構成では、それでもやはり、内側蓋パネル16の滅菌準備面は、第1および第2の側方蓋パネル14、15と接触することにより、またさらに外側蓋パネル13により覆われることにより、環境要素からの汚染から守られることを理解されたい。
【0057】
本発明の実施形態では、内側蓋パネル16だけが、たとえばその縁に接着されるサシェ36によって、閉じた状態にされる。あるいは、第1および第2の側方パネル14、15だけが、たとえばそれらに接着されるパケット35によって閉じた状態になってもよい。あるいは、内側蓋パネル16と第1および第2の側方パネル14、15の両方が、上述したように閉じた状態になってもよい。
【0058】
本発明は、準備面をもたらす内側蓋パネル16が容器11の奥行、幅全体にわたって延びる実施形態に対する限定を意図するものではない。代替実施形態では、内側蓋パネル16は、図示され上述されるよりも幅が狭いまたは奥行がなくてよく、したがって、その閉位置において容器11の幅または奥行の一部にしか延びない。そのようなサイズが減少された内側蓋パネルは、有利には、パッケージの材料コストを低減させることができる。しかし、パッケージ10が提供することができる準備面のサイズを最大にするように内側蓋パネル16の面を最大にすることが有利である。
【0059】
本発明の実施形態は、準備面を含む内側蓋パネル16がパッケージ10の唯一の蓋パネルを構成するように、外側蓋パネル13および/または第1および第2の側方蓋パネル14、15を省くことができる。
【0060】
サシェ36内に設けられる殺菌スワブおよび/またはパケット35内の殺菌剤は、適切な殺菌剤が染み込んだ吸収性パッドを含むことができる。用語「殺菌剤」は、殺菌薬品、ならびに、殺菌薬品を含む、スワブ、ワイプ、バー、ゲルおよび液体を含めた構成要素または材料を包含するものとする。同様に、内側蓋パネルの滅菌準備面は、任意の適切な殺菌剤または薬品で予め処理されるまたはそれが含侵された材料を含むことができる。例示的な殺菌剤は、これらに限定されないが、イソプロパノール、イソプロピルアルコール、溶解物(dissolution)としてのイソプロピルアルコール、たとえば70%溶解物としてのイソプロピルアルコール、イオナイド(ionide)チンキ、過酸化水素、クロラミンT、アルコール(たとえば、エタノール、1−プロパノール)、フェノール、窒素化合物、クロルヘキシジン、および/または洗浄剤を含む。さらに、本明細書および本発明の文脈を通して使用される用語「sterile(滅菌、殺菌)」、「sterilizing(滅菌、殺菌)」および「sterilized(滅菌、殺菌)」は、また、清浄化、消毒および/または衛生的にされる表面、薬剤および動作を包含するものとする。用語「sterile」は、用語「清浄化された」、「消毒された」および/または「衛生的にされた」と相互に代替可能に使用することができる。すなわち、用語「sterile」は、本発明のパッケージおよび医用装置の使用中における患者の感染の危険を減少させるように細菌、バクテリア、微生物および/または他の汚染物の存在が減少される清浄度の向上の変化の度合いを包含するものとする。用語「sterile」は、そのような汚染物が完全に無い、完全な破壊および/または除去の定義に対する限定を意図するものではない。
【0061】
ガーゼパッド28、38は、任意の適切な材料を含むことができ、これらに限定されないが、ガーゼスポンジ、綿、セルロース、レーヨンまたは他の多孔質フィルタ材料を含むことができる。さらに、本発明のパッケージ10は、ガーゼパッド28、38を提供する実施形態に限定されず、本発明の代替実施形態は、ガーゼパッド28、38を省くこともできる。
【0062】
デバイス25は、薬剤を皮下的に送達するように構成されるが、そうではなくて、たとえばマイクロニードルを使用する皮内注射、または他のやり方での注射用に構成してもよい。
【0063】
デバイス25は、大容量デバイス(LVD)として知られているタイプのボーラス注射デバイスであってよい。LVD注射デバイスは、薬剤の比較的大量の用量、具体的には、少なくとも1ml、典型的には最大2.5mlまで、しかし場合によっては最大10mlまでの薬剤を投薬するように構成される。
【0064】
ボーラス注射デバイスは、所定時間内に患者の体内にある分量の薬剤を入れるように、それぞれの薬剤のボーラスを送達するように構成される。しかし、注射速度は、重要ではなく、すなわち必ずしも厳格に管理しなくてもよい。しかし、送達部位の周辺の組織にダメージを与えないようにするために、送達速度の(生理学的な)上限がある。薬剤のボーラス用量を送達するのに要する時間は、薬剤の量(分量)、薬剤の粘度、および注射デバイスの使用が意図される注射部位の性質を含むいくつかの要因に応じて、数分から数時間の間となることがある。
【0065】
使用者または医療従事者の視点から、注射デバイスは、患者のライフスタイルおよびスケジュールに最小限の影響しか与えないように構成され、それによって患者が注射の合間に彼または彼女の病気を思い出すことが最小限になることが望ましい。治療のための処置スケジュールは、一般的に、断続的であり、すなわち、週に1度、隔週に1度、または毎月1度の注射であることがある。したがって、患者には、通常、彼または彼女の病気に関するルーチンがなく、したがって、必要な注射を実施する最低限のルーチン/経験しかない。したがって、患者によるその操作を簡素化する注射デバイスの構成、関連の装置および関連の包装が非常に望まれている。
【0066】
注射デバイスの構成は、ボーラス動作を対象としているので、基本動作に使用される目的の注射デバイスとは大きく異なる。さらに、その使用も大きく異なる。たとえば、基本タイプのインスリンポンプは、一般的に、比較的高価である。というのも、それは、プログラム可能な送達速度プロファイル、ボーラス計算機(bolus calculator)などのような糖尿病に特有の精巧な機能を多数含むからである。さらに、注入セットを介した身体への連結によって、患者は、治療の進行中に彼/彼女の視界内にあるポンプを扱い、操作することができる。さらに、糖尿病患者は、通常、注入セットをセットアップし、ポンプに連結し、それを動作させ、シャワーを浴びるときなどの間はポンプが水に曝されないように一時的にポンプを連結解除するというルーチンを有する。それとは対照的に、上述したボーラス注射デバイスは、比較的単純であり、安価なデバイスである。それらは、薬剤で再び満たすことができない単回使用デバイスとして提供され、したがって、さらに、複雑さおよびコストが低減される。
【0067】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味する。いくつかの実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有することができ、または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA分子、RNA分子、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモン、もしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物を含むことができる。様々なタイプまたはサブタイプの化合物も企図される。たとえば、RNAは、RNAi、siRNAまたはmiRNAを含むことができる。他の実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症または関節リウマチの処置または予防に有用である。いくつかの実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症の処置または予防のための少なくとも1つのペプチドを含むことができる。薬学的に活性な化合物は、さらに、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物を含むことができる。
【0068】
インスリン類似体としては、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンを含むことができる。
【0069】
インスリン誘導体としては、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンを含むことができる。
【0070】
エキセンジン−4としては、たとえば、エキセンジン−4(1−39)を含むことができる。
【0071】
ホルモンとしては、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含むことができる。
【0072】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含むことができる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。
【0073】
抗体としては、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている略球状血漿タンパク質(約150kDa)を含むことができる。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有することができるので、糖タンパク質にも分類されることもある。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり;分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0074】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2本の重鎖および2本の軽鎖を含むことができる「Y」字型の分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり得;各軽鎖は約220アミノ酸長であり得る。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらのフォールディングを安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含むことができる。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは、典型的には、約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリンフォールドを有する。
【0075】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが規定され;これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0076】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)および可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインから構成される定常領域、および可撓性を加えるためのヒンジ領域を有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一のB細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0077】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン:すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を含み;哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0078】
抗体の一般的な構造は類似し得るが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つであることが多い可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、通常、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0079】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0080】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンを有する塩である。薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0081】
いくつかの実施形態では、様々な粘度の薬剤が注射可能である。たとえば、粘度は、約3〜約50cPの範囲であってよい。他の実施形態では、粘度は、約3cP未満、または約50cPを上回ってもよい。注射は、さらに、薬剤を患者の身体の皮下、筋肉内または経皮的な場所に送達することを含むことができる。薬剤は、液体、ゲル、スラリー、懸濁液、粒子、粉末または他のタイプの形態であってよい。
【0082】
典型的な注射量は、約1mL〜約10mLの範囲であってよい。注射速度は、約0.5mL/分、約0.2mL/分、または約0.1mL/分であってよい。そのような注射プロファイルは、流量が概ね一定、または継続時間が概ね連続的、または両方が概ね一定かつ連続的であってよい。これらの注射は、単一の投与工程で行うことができる。そのような注射プロファイルは、ボーラス注射と呼ばれる。
【0083】
そのような薬剤について機能する送達デバイスは、針、カニューレ、または薬剤を患者に送達するように構成される他の注射要素を用いることができる。そのような注射要素は、たとえば、外側サイズすなわち外径が27G未満であってよい。さらに、注射要素は、剛性または可撓性であってよく、1つまたはそれ以上の広範な材料を使用して形成される。いくつかの実施形態では、注射要素は、2つ以上の構成要素を含むことができる。たとえば、剛性トロカールは、可撓性カニューレと共に動作することができる。はじめに、トロカールとカニューレの両方を共に動かして皮膚を穿孔することができる。次いで、カニューレを標的組織内に少なくとも部分的に残しながら、トロカールを後退させることができる。その後、カニューレは、別に、送達デバイス内に後退させることができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】