【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、請求項1の特徴を有する薬物送達デバイスによって解決される。薬物送達デバイスは、薬剤のユーザ可変用量を設定するための用量設定部材と、用量設定部材により設定された用量を示すためのディスプレイとを含む。通常、数字ホイールは、用量設定部材に回転方向に連結されて、用量設定部材の回転用量設定運動が数字ホイールに伝わるようになっている。これにより、実際に設定された用量が表示される。本発明は、ディスプレイの数字ホイールの外周に一連のマーキングを設け、プリズムを用いて数字ホイールのマーキングの像を、好ましくは90°逸らすというアイデアに基づく。ホイールの外周は、1つ1つの数字が示されるか、または1つおきの数字が示された一連のマーキングと、中間位置を印付ける線とを配置するのに十分な空間を有する領域である。一方、ホイールの外周は、用量設定中および投薬中にユーザが読むことのできる最も便利なマーキングの位置ではないことがあるため、逸らすことにより使いやすさを高める。
【0014】
逸らす方向に関して、用量設定中および/または用量投薬中に作動が必要な方向へディスプレイが向いていると、一部のユーザにとって便利である。たとえば、用量設定のために平面における回転が必要であり、用量投薬のために前記平面に垂直に押すことが必要である場合、ディスプレイをこの面に隣接して配置してもよい。好ましくは、数字ホイールは軸の周りを回転可能であり、プリズムは、数字ホイールのマーキングの像が前記軸に平行な方向へ逸れるように配置される。
【0015】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのプリズムは三角プリズムであり、一連のマーキングは、数字ホイールの外周に反転して(鏡映して)設けられて、プリズムを通して可読である。
【0016】
代替案として、単純な(三角)プリズムの代わりに五角プリズムを使用してもよく、像を反転させることなく、すなわち像の左右像を変化させることなく、像を直角に伝えることができる。したがって、一連のマーキングは、数字ホイールの外周に鏡映されずに設けられる。
【0017】
好ましくは、プリズムの表面は、数字ホイール上のマーキングを拡大するように設計される。これにより、数字ホイールの外周面で使用可能な限られた空間であっても、設定予定の用量のすべての単位(または1つおきの単位)の個々の数字を設けることができ、これをユーザが便利に読むことができる。
【0018】
薬物送達デバイスの人間工学設計は、カートリッジを受けるためのコンパートメントにより画成された長手方向軸を有するハウジングを含んでよく、用量設定部材は、回転軸がハウジングの長手方向軸に垂直な状態で、ハウジング内に回転可能に配置される。
【0019】
好ましい実施形態において、薬物送達デバイスは、カートリッジ栓に作用するプランジャに軸方向負荷を加えるパワーリザーバをさらに含む。カートリッジからの制御されない投薬を回避するために、プランジャに連結された保持部材を設けて、プランジャをパワーリザーバの力に対抗して保持する。保持部材に連結された解放部材により、保持部材、およびしたがってプランジャが投薬予定の用量に対応する所望の距離だけ動くことができる。言い換えると、パワーリザーバの動作下で引張負荷が保持部材に作用し、用量投薬中に保持部材が解放される。本発明に適したパワーリザーバの例は圧縮ばねである。
【0020】
好ましくは、薬物送達の駆動機構は、ハウジング、プランジャ、パワーリザーバ、保持部材、および解放部材を含む。保持部材に連結されたプランジャは、ハウジング内に保持された場合にカートリッジの栓に作用するのに適している。パワーリザーバ、好ましくは予め緊張させたばねは、ハウジングとプランジャとの間に、たとえばカートリッジまたはそのコンパートメントにより画成された長手方向軸と同軸に配置される。解放部材は、好ましくは、第1の状態および第2の状態の間で動作可能である。第1の状態において、解放部材は保持部材をハウジングに拘束することにより、パワーリザーバの作用下でプランジャの動きを防ぐ。第2の状態において、解放部材はハウジングに対して可動であるため、パワーリザーバを用いたプランジャの動きが可能になる。
【0021】
ばねなどの使用は、カートリッジの内容物を排出するのに必要なユーザの力を減らすという利点を有する。予め緊張させたばねは、用量設定中に必要な力を低下させるというさらなる利点を有する。予め緊張させたばねの代わりとして、用量設定中にチャージもしくは緊張させたばねまたは他の適切なパワーリザーバを使用してもよい。カートリッジの内容物を排出するのに必要な力がユーザではなくパワーリザーバにより提供されるデバイスの別の利点は、デバイスのダイヤル伸長部を回避することができる点であり、これは、用量が設定されているかどうか、または設定用量の量に関係なく、デバイスのサイズが同じままであることを意味する。これによりデバイスがより小型になり使いやすくなる。
【0022】
保持部材は、好ましくは、ガラスまたはアラミド繊維強化ポリウレタンなどの高い引張係数および強度を有する可撓性要素である。保持部材は、ベルトまたはケーブルの形を有してよい。保持部材に作用する負荷は引張力であるため、保持部材をスプールなどに巻き付けることによって駆動機構のサイズをさらに小さくすることができるが、これは圧力懸架式ピストンロッドでは不可能である。加えて、保持部材は、軸方向圧力負荷を伝える圧縮剛性を必要とするピストンロッドと比較してサイズが小型であってよい。
【0023】
プランジャを保持部材の一端に拘束してもよい。好ましくは、プランジャは、軸方向に、すなわちカートリッジの長手方向に保持部材に固定される。代替案として、プランジャは、保持部材の一体部材、たとえば保持部材の拡大端であってもよい。
【0024】
好ましい実施形態によれば、解放部材はハウジングに対して回転可能な第2の状態にある。たとえば、保持部材は、解放部材とギア係合するドラムまたはスプールに取り付けられ、巻き付けられる。したがって、解放部材の回転により、保持部材をドラムまたはスプールから、ばねなどの作用下でプランジャがカートリッジに押し込まれる距離に対応する所望の距離だけ巻き出すことができる。代替案として、保持部材を解放部材に直接取り付け、または巻き付けてもよい。
【0025】
用量設定部材は、用量設定中に解放部材に対して回転可能であってよく、用量投薬中に解放部材と共に回転してよい。好ましくは、用量設定部材と解放部材とは、それぞれの回転軸がハウジングの長手方向軸に垂直な状態で、ハウジング内に回転可能に配置される。この構成部材の配置は、デバイスのサイズおよび使いやすさに関する利点を有する。用量設定部材と解放部材とを同軸に配置してもよい。しかしながら、この共通軸は、保持部材を取り付けることのできるドラムまたはスプールの軸からずれていてよい。
【0026】
好ましい実施形態によれば、薬物送達デバイスは、最大設定可能用量および最小設定可能用量を定義するリミッタ機構を含む。通常、最小設定可能用量はゼロ(0IUのインスリン製剤)であり、リミッタが、用量投薬終了時にデバイスを停止させるようになっている。最大設定可能用量、たとえば60、80または120IUのインスリン製剤を制限して、過剰摂取の危険を減らし、非常に大きい用量の投薬に必要な追加のばね力を回避し、かつ異なる用量サイズを必要とする広範囲の患者に適したものとすることができる。好ましくは、最小用量および最大用量の限界がハードストップ機能により提供される。たとえば、ハウジングに対する用量設定部材の回転は、最小用量位置および最大用量位置を画成する回転止め具により制限される。最小用量止め具は、保持部材を介してパワーリザーバにより及ぼされる負荷に十分に耐えるよう頑丈でなければならない。
【0027】
薬物送達デバイスは、用量設定部材の回転軸の方向へ軸方向に可動のトリガをさらに含んでよい。トリガを作動させることにより、解放部材を第1および第2の状態の間で切り替える。たとえば、トリガはクラッチに作用することができ、このクラッチは、第1の状態で、すなわちトリガが作動されていないときに、解放部材をハウジングに拘束し、トリガが作動されるとすぐに、用量投薬のために解放部材の回転を可能にする。
【0028】
用量投薬中に解放部材に回転方向に連結されるダイヤルギアを、薬物送達デバイスに設けてもよい。これにより、ダイヤルギアの減速を使用して投薬速度を制御することができる。一般に、デバイスのダイヤルギアなどの部材を減速させる摩擦を生じさせる様々な方法がある。たとえば、構成部材をダイヤルギアに押し付けてもよい。代替案として、ラチェットを設けて、これをダイヤルギアに対して係合および係合解除させることができるようにしてもよい。さらに、ダイヤルギアに作用する可撓性要素を使用してもよい。好ましい実施形態によれば、摩擦手段は、不動の構成部材と(回転する)ダイヤルギアとの間で作用する多板クラッチシステムを含む。多板クラッチシステムは、ばね、ダイヤルギアに回転方向に拘束される少なくとも1つの第1のクラッチ板、および少なくとも用量投薬中にハウジングに回転方向に拘束される少なくとも1つの第2のクラッチ板を含んでよい。ばねはクラッチ板を互いに押し付けることができるため、回転板と非回転板との間に摩擦を生じさせてダイヤルギアを減速させる。
【0029】
好ましくは、多板クラッチシステムは、少なくとも用量投薬中にハウジングに回転方向に拘束され、第2のクラッチ板に回転方向に拘束されるケージをさらに含み、ばねは、ケージをダイヤルギアの少なくとも1つの構成部材に向かって付勢する。ばね、ケージおよび/またはダイヤルギアの軸方向位置を修正することにより、用量投薬中にダイヤルギアを減速させる様々な摩擦が生じる。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、注射デバイスで使用するための投薬速度制御機構が提供され、この投薬速度制御機構は、設定用量の投薬を開始するように変位可能な解放ボタンまたはトリガと、用量投薬中にパワーリザーバにより駆動される第1の構成部材と、用量投薬中に不動である第2の構成部材とを有する。速度制御機構は、用量投薬中に解放ボタンの位置に応じて第1の構成部材を減速させるための摩擦手段を含む。言い換えると、ユーザは、デバイス内の摩擦を増加または低減させることによって投薬速度を制御し、したがって、パワーリザーバによって提供される完全な投薬速度、または内部摩擦によって低下した速度を使用することができる。
【0031】
好ましくは、解放ボタンまたはトリガを第1の距離だけ押し下げて、たとえばクラッチを解放することにより用量投薬を開始しなければならず、その後、これを第2の距離だけさらに押し下げて、投薬速度を制御し修正することができる。これは、解放ボタンの位置によりドライバを減速させる摩擦がある場合の例もない場合の例も含む。代替案として、解放ボタンまたはトリガの位置を変化させることにより、ドライバを減速させる摩擦の大きさを個々に、好ましくは段階的に修正または調節してもよい。
【0032】
好ましい実施形態において、摩擦は、ボタンまたはトリガが第1の距離だけ押し下げられた直後に高レベルになり、第2の距離の全部またはほんの一部だけボタンまたはトリガがさらに押されると低減する。通常、解放ボタンまたはトリガは、ハウジングの軸方向に、ハウジングに対して押される。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、手持ち式注射デバイスは、クリッカ部材を含む。用量設定中および用量投薬中に異なるクリッカ機構が有効であってもよい。たとえば、ハウジングとダイヤル部材との間で用量設定フィードバックを発生させてもよい。ハウジングに固定されたシャーシと解放部材との間で用量投薬フィードバックを発生させてもよい。追加の非視覚的フィードバック、すなわち可聴および/または触覚フィードバックを設定用量の投薬終了時にのみユーザに与えるために、デバイスが最小用量止め具に戻るときにシャーシとダイヤルギアとの間のクリッカが有効であってもよい。これらのフィードバック信号を区別するために、設定用量の投薬終了時にのみ発生する用量投薬フィードバックの終了は、さらなるフィードバックとは異なる。たとえば、異なる音を発生させてもよい。
【0034】
非視覚的フィードバックに加えて、薬物送達デバイスは、通常、実際の設定用量を示すディスプレイを有する。たとえば、一連のマーキングが数字ホイールの外周に設けられた状態で、数字ホイールを用量設定部材と同軸に配置し、用量設定部材に回転方向に連結してもよい。
【0035】
薬物送達デバイスは、用量設定のための用量ダイヤルグリップと、クラッチ手段(1つまたは複数のクラッチを含み得る)とを含んでよく、このクラッチ手段は、用量設定中に用量ダイヤルグリップを用量設定部材に回転方向に連結し、用量投薬中に用量ダイヤルグリップを用量設定部材から回転方向にデカップリングし、用量設定部材を解放部材に回転方向に連結する。好ましくは、このクラッチはトリガにより作動される。このクラッチの配置は、用量ダイヤルグリップが、用量投薬中に動く部材に干渉することなく、投薬中に自由に回転するという利点を有する。代替案として、投薬中に用量ダイヤルグリップをハウジングに拘束してもよい。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、駆動機構は、軸方向に変位可能に案内され、用量設定部材および解放部材の一方に対して回転不能であるナットをさらに含む。たとえば、ナットと用量設定部材または解放部材とが、対応するスプラインおよび切欠きを備える。ナットは、用量設定部材および解放部材の他方のねじ山に係合するねじ山をさらに有し、用量設定中の用量設定部材と解放部材との相対回転によってナットが端部止め具に向かって動くようになっている。本発明によれば、注射デバイスは、薬剤を含むカートリッジと前述した駆動機構とを含んでよい。ナットと端部止め具とを注射デバイスの駆動機構に設けて、注射デバイス内の薬剤の(投薬可能な)量を超える用量の設定をナットにより防ぐようにしてもよい。言い換えると、好ましくは、端部止め具は用量設定中にナットが移動するトラックの長さを画成し、トラックの長さはカートリッジ内の薬剤の(投薬可能な)総量に対応する。
【0037】
本発明によるデバイスは、好ましくは使い捨て注射デバイスである。デバイスは、用量を設定するのに必要なトルクが小さく、薬剤の投薬をトリガするのに必要な力が小さく、ゼロから所定の最大値までの範囲内で用量を選択することができる。デバイスは、部材の数が比較的少なく、非常に小型のサイズで、費用重視のデバイスの適用にとって特に魅力的なものである。
【0038】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0039】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0040】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0041】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0042】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0043】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0044】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0045】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0046】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0047】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0048】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0049】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0050】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0051】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0052】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0053】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0054】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0055】
以下で、添付の概略的な図面を参照しながら本発明についてさらに詳細に説明する。