特表2018-507276(P2018-507276A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-507276粘着剤組成物、これから形成された粘着フィルムおよびこれを含むディスプレイ部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-507276(P2018-507276A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、これから形成された粘着フィルムおよびこれを含むディスプレイ部材
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20180216BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180216BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20180216BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20180216BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20180216BHJP
【FI】
   C09J4/02
   C09J11/06
   C09J7/00
   C09J7/02 Z
   G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-533908(P2017-533908)
(86)(22)【出願日】2015年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2017年8月21日
(86)【国際出願番号】KR2015013049
(87)【国際公開番号】WO2016104979
(87)【国際公開日】20160630
(31)【優先権主張番号】10-2014-0187619
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ,グァン ファン
(72)【発明者】
【氏名】カク,ビョン ト
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル チン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ヒョン ラン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ソン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,チェ ヒョン
【テーマコード(参考)】
2H149
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB04
2H149AB11
2H149BA02
2H149FA66
2H149FB01
2H149FD03
2H149FD12
2H149FD25
2H149FD30
2H149FD31
2H149FD33
2H149FD35
2H149FD47
2H149FD48
4J004AA01
4J004AB06
4J004BA02
4J004CB03
4J004CC02
4J004EA05
4J004FA04
4J004FA08
4J040FA081
4J040FA091
4J040FA101
4J040GA05
4J040GA13
4J040GA25
4J040GA27
4J040GA29
4J040HD30
4J040JA01
4J040JA09
4J040JB07
4J040JB09
4J040KA03
4J040KA11
4J040KA16
4J040KA42
4J040LA02
4J040LA03
4J040LA06
4J040LA10
4J040MA05
4J040MA10
4J040MB05
4J040NA17
(57)【要約】
本発明の粘着剤組成物は、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物;およびナノ粒子;を含む組成物で、前記ナノ粒子は、シリコーン系重合体を含み、平均粒径は、約5nmないし約800nmである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物;および
ナノ粒子;を含む組成物で、
前記ナノ粒子は、シリコーン系重合体を含み、平均粒径は、約5nmないし約800nmである、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、ガラス転移温度(Tg)が約−80℃ないし約−20℃である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記共単量体は、アルキル(メタ)アクリレート単量体、エチレンオキシドを有する単量体、プロピレンオキシドを有する単量体、アミン基を有する単量体、アミド基を有する単量体、アルコキシ基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、フェニル基を有する単量体およびシラン基を有する単量体のうち一つ以上を含み、前記共単量体のガラス転移温度(Tg)は約−150℃ないし約0℃である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記ナノ粒子は、コアシェル構造で、前記コアと前記シェルのガラス転移温度は下記式1を満たす、請求項1に記載の粘着剤組成物:
【数1】
(前記式1において、Tg(c)はコアのガラス転移温度(℃)で、Tg(s)はシェルのガラス転移温度(℃)である)。
【請求項5】
前記コアのガラス転移温度は、約−200℃ないし約−40℃で、前記シェルのガラス転移温度は約15℃ないし約200℃である、請求項4に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記コアは、ポリシロキサンを含み、前記シェルはポリ(メタ)アクリレートを含む、請求項4に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子は、前記単量体混合物100重量部に対して、約0.1重量部ないし約20重量部で含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
前記粘着剤組成物は、開始剤および架橋剤のうち一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の粘着剤組成物で形成された粘着フィルム。
【請求項10】
前記粘着フィルムは、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物から重合された水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を含む、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項11】
前記水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する(メタ)アクリレート約15重量%ないし約45重量%および共単量体約55重量%ないし約85重量%を含む単量体混合物から重合されたものである、請求項10に記載の粘着フィルム。
【請求項12】
前記粘着フィルムは、ナノ粒子をさらに含み、前記ナノ粒子は、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体との屈折率の差異が約0.05以下である、請求項10に記載の粘着フィルム。
【請求項13】
前記粘着フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が約0℃以下である、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項14】
前記粘着フィルムは、80℃で貯蔵弾性率が約10KPaないし約1,000KPaである、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項15】
前記粘着フィルムは、25℃で貯蔵弾性率が約10KPaないし約1,000KPaである、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項16】
前記粘着フィルムは、−20℃で貯蔵弾性率が約10KPaないし約1,000KPaである、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項17】
前記粘着フィルムは、80℃の貯蔵弾性率と−20℃の貯蔵弾性率との割合が約1:1ないし約1:20である、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項18】
前記粘着フィルムは、100μm厚さにおけるヘイズが約4%以下である、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項19】
前記粘着フィルムは、100μm厚さで200%延伸後、ヘイズが約5%以下である、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項20】
前記粘着フィルムは、100μm厚さで、下記式2によるリカバリー力が約30%ないし約98%である、請求項9に記載の粘着フィルム:
【数2】
(前記式2において、横×縦(約50mm×約20mm)のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:約75μm)の両末端部をそれぞれ第1の末端部、第2の末端部としたとき、横×縦(約20mm×約20mm)の粘着フィルムによってPETフィルム2個それぞれの末端部を互いに粘着させて、PETフィルムの第1の末端部/粘着フィルム(横×縦、約20mm×約20mm)/PETフィルムの第2の末端部の順で粘着させた試片を製造し、前記PETフィルムの両末端部にそれぞれジグを固定し、一方のジグは固定させ、他方のジグは約300mm/minの速度で引っ張って前記粘着フィルムの厚さ(単位:μm)の約1000%の長さ(厚さの約10倍、X)に到達した後、約10秒間維持し、引っ張った速度と同一速度で復元(約300mm/min)して前記粘着フィルムに約0KPaの力が加えられたときの粘着フィルムが伸びた長さがX(単位:μm)である)。
【請求項21】
前記粘着フィルム(約13cm×約3cm、厚さ約100μm)の一面に約50μm厚さのPETおよび前記粘着フィルムの裏面に約100μm厚さのPETが積層された粘着フィルムを約1cm間隔の平行な枠の間に、前記粘着フィルムの横の長さが約1/2になるように約50μmPET方向に曲げて入れ、温度約70℃、湿度約93%で約24時間エイジング(Aging)した場合、気泡発生面積が約0%である、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項22】
前記粘着フィルムは、コロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対する25℃におけるTピール(T−peel)剥離強度が約400gf/inないし約4,000gf/inである、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項23】
前記粘着フィルムは、コロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対する60℃でのTピール(T−peel)剥離強度が約200gf/inないし約3,000gf/inである、請求項9に記載の粘着フィルム。
【請求項24】
光学フィルム;および
前記光学フィルムの一面または両面に付着された請求項9に記載の粘着フィルムを含む、ディスプレイ部材。
【請求項25】
前記光学フィルムはタッチパネル、ウィンドウ、偏光板、カラーフィルター、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射偏光フィルム、反射防止フィルム、補償フィルム、輝度向上フィルム、配向膜、光拡散フィルム、ガラス飛散防止フィルム、表面保護フィルム、OLED素子バリア層、プラスチックLCD基板、ITO(indium tin oxide)、FTO(fluorinated tin oxide)、AZO(aluminum dopped zinc oxide)、CNT(carbon nanotube)を含むフィルム、Agナノワイヤー(nanowire)を含むフィルムまたはグラフェン(graphene)を含むフィルムを含む、請求項24に記載のディスプレイ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、これから形成された粘着フィルムおよびこれを含むディスプレイ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
透明粘着フィルムは、粘着フィルムであって、光学表示装置において部品を積層する層間接着または携帯電話のタッチスクリーンの貼り付けに用いられる。
【0003】
特に、光学表示装置のうち静電容量方式のタッチパッド(Touchpad)は、粘着フィルムによってウィンドウまたはフィルムに貼り付けられ、ウィンドウまたはフィルムの静電容量の変化を感知することによって特性を発揮する。タッチパッドにおいて粘着フィルムは、ウィンドウガラスとTSPセンサーガラスとの間に積層される。
【0004】
透明粘着フィルムは、光を97%以上透過させてガラスのような機能をしながらも既存の両面テープに比べて画面の鮮明度を高め、接着性も良好であるという長所がある。透明粘着フィルムは、携帯電話だけでなく、表示画面が中大型サイズのTablet PC、TV等に用いられてもよい。
【0005】
最近になって、光学表示装置の使用環境、保管環境および/または製造環境等が過酷になり、また、フレキシブル(flexible)光学表示装置等に対する関心が高まりながら、多様な物性が要求されている。特に、フレキシブルディスプレイに適用するために、広い温度区間で粘弾性特性が維持され、リカバリー特性にも優れた透明粘着フィルムが必要である。
【0006】
これと関連する先行技術は、韓国公開特許第2007−0055363号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2007−0055363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、接着力に優れるとともに、広い温度区間で粘弾性特性が維持され、リカバリー特性にも優れた粘着剤組成物、これから形成された粘着フィルムおよびこれを含むディスプレイ部材を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、透明度が高く、過酷条件で信頼性に優れた粘着剤組成物、これから形成された粘着フィルムおよびこれを含むディスプレイ部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点に係る粘着剤組成物は、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物、およびナノ粒子を含む組成物で、前記ナノ粒子は、シリコーン系重合体を含み、平均粒径は約5nmないし約800nmである。
【0011】
本発明の別の観点に係る粘着フィルムは、前記粘着剤組成物で形成することができる。
【0012】
本発明のまた別の観点に係るディスプレイ部材は、光学フィルムおよび前記光学フィルムの一面または両面に前記のうちいずれか一つの粘着フィルムを形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、接着力に優れ、広い温度区間で粘弾性特性が維持され、リカバリー特性にも優れるだけでなく、透明度が高く、過酷条件で信頼性に優れた粘着剤組成物、これから形成された粘着フィルムおよびこれを含むディスプレイ部材を提供する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一具体例に係るディスプレイ部材の断面図である。
図2】Tピール(T−peel)剥離強度測定のための試片の概念図である。
図3】リカバリー力測定のための試片の断面図および平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0016】
本明細書において、「共重合体」は、オリゴマー、ポリマー、または樹脂を含むことができる。
【0017】
本明細書において、「共単量体」は、水酸基を有する(メタ)アクリレートと重合する単量体であって、水酸基を有する(メタ)アクリレートと重合が可能なものであれば制限されない。
【0018】
本明細書において、「(メタ)アクリル系共重合体」は、アクリル系単量体混合物およびナノ粒子の共重合体を意味する。
【0019】
本明細書において、単量体の「ガラス転移温度」は、測定対象単量体のホモポリマーに対して、ティー・エイ・インスツルメント社のDSC Discoveryを用いて測定したガラス転移温度を意味する。具体的に、測定対象単量体のホモポリマーに対して約20℃/分の速度で約100℃まで温度を上げ、次いで、同じ速度で約−180℃まで冷却させた後、約10℃/分の速度で約100℃まで昇温したときの吸熱転移曲線のデータを得た後、前記吸熱転移曲線の変曲点をガラス転移温度として決定できる。
【0020】
本明細書において、「平均粒径」は、マルバーン社のゼータサイザーナノZS装備で水系または有機系溶媒で測定し、Z平均値で表現されるナノ粒子の粒径である。
【0021】
本明細書において、「コアシェル構造」は、通常のコアシェル構造を意味し、前記コアまたは前記シェルが複数層である構造も含み、「最外層」は、前記複数層中の最も外側の層を意味し、「コアシェル粒子」は、コアシェル構造を有するナノ粒子を意味する。
【0022】
本明細書において、「コロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET) フィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度」は、下記i)〜v)の測定方法で測定した値を意味する。
【0023】
i)粘着剤組成物を離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、紫外線で約2000mJ/cmの光量を照射して厚さ約100μmの粘着フィルムとPETフィルムの粘着シートを製造する。
【0024】
ii)コロナ処理機を用いて約78doseの線量で放電させながら約2回コロナ処理(総線量:約156dose)させた約150mm×約25mm×約75μm(横×縦×厚さ)のPETフィルムを準備する。
【0025】
iii)前記粘着シートから約100mm×約25mm×約100μm(横×縦×厚さ)の粘着フィルムサンプルを得て、前記粘着フィルムサンプルの両面に前記PETフィルムのコロナ処理された面をそれぞれ合紙し、図2の(a)で図示した試片を製造する。
【0026】
iv)試片を、圧力約3.5bar、約50℃で約1,000秒間オートクレーブし、TA.XT_Plusテクスチャーアナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(製))に試片を固定させる。
【0027】
v)TA.XT_Plusテクスチャーアナライザーに一方のPETフィルムを固定し、他方のPETフィルムを約50mm/minの速度で引っ張ってTピール(T−peel)剥離強度を測定する。(図2の(b)を参照)
本明細書において、「コロナ処理されないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(以下、non−コロナPET)に対するTピール(T−peel)剥離強度」は、測定方法中、ii)のPETフィルムにコロナ処理をしないことを除いては、前記「コロナ処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度」の測定方法と同様に測定した剥離強度を意味する。
【0028】
本明細書において、「リカバリー力」は、横×縦(約50mm×約20mm)のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:約75μm)の両末端部をそれぞれ第1の末端部、第2の末端部としたとき、横×縦(約20mm×約20mm)の粘着フィルムによってPETフィルム2個それぞれの末端部を互いに粘着させ、PETフィルムの第1の末端部/粘着フィルム/PETフィルムの第2の末端部の順で粘着され、PETフィルムと粘着フィルムとの間の接触面積が横×縦(約20mm×約20mm)になる試片で測定される。(図3の(a)、(b)参照)図3の(a)を参照すると、常温(約25℃)で前記試片のうち、粘着されないPETフィルムの両末端部にそれぞれジグ(jig)を固定し、一方のジグは固定させ、他方のジグは約300mm/minの速度で前記粘着フィルムの厚さ(単位:μm)の約1000%の長さ(粘着フィルムの初期厚さの約10倍、X)ほど引っ張った後、約10秒間維持し、粘着フィルムを引っ張った速度と同一速度(約300mm/min)で復元して前記粘着フィルムに約0KPaの力が加えられたときの粘着フィルムが伸びた長さをX(単位:μm)としたとき、リカバリー力(%)は、下記式2で計算される値である:
【0029】
【数1】
【0030】
このとき、前記粘着フィルムの初期厚さは、20μmないし300μmでもよい。リカバリー力は、TA.XT_Plusテクスチャーアナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(製))で測定できる。リカバリー力は25℃で測定できる。
【0031】
本明細書において、「伸び率」は、粘着フィルムを厚さ約100μm、約5cm×約5cmの大きさにカットした後、隙間なく密着するように巻いてTA(TA.XT_Plusテクスチャーアナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(製))に両端を固定し、約300mm/minの速度で延伸させる場合、前記粘着フィルムの切れる瞬間の長さを延伸前の長さ(100%)に対する割合(%)で表したものを意味する。
【0032】
本明細書において、「気泡発生面積」は、粘着フィルム(約13cm×約3cm、厚さ約100μm)の一面に約50μm厚さのPETおよび前記粘着フィルムの裏面に約100μm厚さのPETが積層された粘着フィルムを、約1cm間隔の平行な枠の間に横の長さが約1/2になるように約50μmのPET方向に曲げて入れ、約70℃、湿度約93%で約24時間エイジング(Aging)し、気泡が発生した部分を光学顕微鏡(オリンパス社、EX−51、30倍率)で測定した画像をマウンテック社のMac−viewソフトウェアで分析し、面積に対して気泡の大きさと占める面積との割合を測定した値(%)である。
【0033】
粘着剤組成物
本発明の一観点に係る粘着剤組成物は、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物、およびナノ粒子を含む組成物で、前記ナノ粒子は、シリコーン系重合体を含み、平均粒径は約5nmないし約800nmである。
【0034】
水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体単量体混合物
単量体混合物は、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む。前記単量体混合物は、重合され、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を形成できる。
【0035】
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、1個以上の水酸基を有する炭素数1ないし20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、1個以上の水酸基を有する炭素数5ないし20のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、または1個以上の水酸基を有する炭素数6ないし20のアリール基を有する(メタ)アクリル酸エステルでもよい。
【0036】
水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートのうち一つ以上でもよく、必ずこれに制限されるものではない。特に、水酸基を有する炭素数1ないし5のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体を用いることによって粘着フィルムの接着力の上昇効果がより表れ得る。
【0037】
具体例において、前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、ガラス転移温度(Tg)が約−80℃ないし約−20℃、具体的に、約−60℃ないし約−35℃である水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いることができる。例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を用いることができるが、必ずこれに制限されるものではない。前記温度範囲で粘着フィルムは、低音および常温における粘弾性特性に優れる。
【0038】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、単量体混合物のうち約15重量%ないし約45重量%、具体的に、約25重量%ないし約40重量%で含まれてもよい。前記範囲で粘着フィルムのヘイズが低く、接着力に優れた効果がある。
【0039】
共単量体は、アルキル(メタ)アクリレート単量体、エチレンオキシドを有する単量体、プロピレンオキシドを有する単量体、アミン基を有する単量体、アミド基を有する単量体、アルコキシ基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、フェニル基を有する単量体およびシラン基を有する単量体のうち一つ以上を含むことができるが、必ずこれに制限されるものではない。
【0040】
前記アルキル(メタ)アクリレート単量体は、非置換の炭素数1ないし20の線形または分枝型のアルキル(メタ)アクリル酸エステルを含んでもよい。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含むことができる。具体的に、炭素数4ないし8のアルキル(メタ)アクリル系単量体を用いることによって初期粘着力の増大効果がより表れ得る。
【0041】
前記エチレンオキシドを有する単量体は、エチレンオキシド基(−CHCHO−)を含有する(メタ)アクリレート系単量体を1種以上含んでもよい。例えば、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノペンチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドジメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドジエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノイソプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノイソブチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ−tert−ブチルエーテル(メタ)アクリレート等のポリエチレンオキシドアルキルエーテル(メタ)アクリレートでもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0042】
前記プロピレンオキシドを有する単量体は、ポリプロピレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノペンチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドジメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドジエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノイソプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノイソブチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ−tert−ブチルエーテル(メタ)アクリレート等のポリプロピレンオキシドアルキルエーテル(メタ)アクリレートでもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0043】
前記アミノ基を有する単量体は、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体でもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0044】
アミド基を有する単量体は、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアミド基含有(メタ)アクリル系モノマーでもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0045】
前記アルコキシ基を有する単量体は、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エトキシペンチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−メトキシペンチル(メタ)アクリレート、3−エトキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ブトキシヘキシル(メタ)アクリレートでもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0046】
前記リン酸基を有する単量体としては、2−メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスフェート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリル系単量体でもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0047】
前記スルホン酸基を有する単量体は、スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリル系単量体でもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0048】
前記フェニル基を有する単量体は、p−tert−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート等のフェニル基を有するアクリル系ビニル単量体が可能であるが、必ずこれに制限されるものではない。
【0049】
前記シラン基を有する単量体は、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有するビニル単量体でもよいが、必ずこれに制限されるものではない。
【0050】
前記共単量体は、単量体混合物中、約55重量%ないし約85重量%、具体的に、約60重量%ないし約75重量%で含まれてもよい。前記範囲で粘着フィルムは、優れた接着力と信頼性に優れた効果がある。
【0051】
他の具体例において、前記共単量体は、ガラス転移温度(Tg)が約−150℃ないし約0℃であるものを用いることができる。ここで、ガラス転移温度は、例えば、各測定対象単量体のホモポリマーに対して、ティー・エイ・インスツルメント社のDSC Q20を用いて測定できる。具体的に、各単量体のホモポリマーに対して約20℃/分の速度で約100℃まで温度を上げた後、同じ速度で約−180℃まで冷却させた後、約10℃/分の速度で約100℃まで昇温したときの吸熱転移曲線のデータを得た後、前記吸熱転移曲線の変曲点をガラス転移温度と決めた。前記ガラス転移温度(Tg)が約−150℃ないし約0℃である共単量体は、約−150℃ないし約0℃のガラス転移温度(Tg)を有するものであれば、制限なく用いることができる。具体的に、ガラス転移温度(Tg)が約−150℃ないし約−20℃である単量体、より具体的には、ガラス転移温度(Tg)が約−150℃ないし約−40℃である単量体を用いることができる。
【0052】
また他の具体例において、前記共単量体は、アルキル(メタ)アクリレート単量体、エチレンオキシドを有する単量体、プロピレンオキシドを有する単量体、アミン基を有する単量体、アミド基を有する単量体、アルコキシ基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、フェニル基を有する単量体およびシラン基を有する単量体のうち、ガラス転移温度(Tg)が約−150℃ないし約0℃であるものを一つ以上用いることができる。
【0053】
このような共単量体は、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等を含むアルキル(メタ)アクリレート単量体;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノペンチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート等を含むアルキレンオキシド基含有(メタ)アクリレート単量体;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等を含むアミノ基を有する(メタ)アクリレート単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等を含むアルコキシ基を有する(メタ)アクリレート単量体;2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を含むシラン基を有する(メタ)アクリレート単量体のうち一つ以上でもよい。
【0054】
他の具体例において、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を形成する単量体混合物は、カルボキシ基を有する単量体をさらに含んでもよい。
【0055】
前記カルボキシ基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、3−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、4−カルボキシブチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸等でもよいが、必ずこれらに制限されるものではない。
【0056】
前記カルボキシ基を有する単量体は、単量体混合物中、約0.1重量%ないし約10重量%、具体的に、約0.1重量%ないし約7重量%、より具体的に、約0.1重量%ないし約5重量%含むことができる。前記範囲で粘着フィルムの接着力が高く、信頼性に優れた効果がある。
【0057】
ナノ粒子
前記接着剤組成物は、ナノ粒子が含まれることによって粘着フィルムの低温および/または常温粘弾性に優れ、架橋された構造を有するようになり、粘着フィルムの高温粘弾性が安定的に発揮される。具体例において、前記ナノ粒子は、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体と化学的結合を形成し得る。
【0058】
具体的に、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体との屈折率の差異が小さい特定平均粒径を有するナノ粒子を適用してナノ粒子を含むにもかかわらず、優れた透明性を有する粘着フィルムを得ることができる。
【0059】
前記ナノ粒子は、平均粒径が約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770,780、790または800nmでもよい。また、前記ナノ粒子は、平均粒径が約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記ナノ粒子は、平均粒径が約5nmないし約800nm、具体的に、約5nmないし約700nm、より具体的に、約10nmないし約400nmでもよい。前記範囲でナノ粒子の凝集を防止でき、透明度に優れる。
【0060】
前記ナノ粒子は、前記粘着剤混合物で形成される水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体との屈折率の差異が約0.05以下、具体的に、約0以上約0.05以下、具体的に、約0以上約0.03以下、より具体的に、約0以上約0.02以下でもよい。前記範囲で粘着フィルムの透明度に優れる。
【0061】
前記ナノ粒子は、コアシェル構造で、前記コアと前記シェルのガラス転移温度は下記式1を満たすことができる。
【0062】
【数2】
【0063】
(前記式1において、Tg(c)はコアのガラス転移温度(℃)で、Tg(s)はシェルのガラス転移温度(℃)である)
具体的に、前記コアのガラス転移温度は、約−200℃ないし約−40℃、具体的に、約−200℃ないし約−80℃、より具体的に、約−200℃ないし約−90℃でもよい。前記範囲で低温(約−20℃)で求められる貯蔵弾性率の値を具現でき、低温および/または常温粘弾性特性に優れる。
【0064】
前記ナノ粒子は、シリコーン系重合体を含んでもよく、前記シリコーン系重合体は前記のコアシェル構造を有し得る。
【0065】
具体的に、前記シリコーン系重合体のコアは、前記ナノ粒子コアのガラス転移温度を有するポリシロキサンまたはその混合物でもよい。前記ポリシロキサンは、例えば、オルガノシロキサン(共)重合体でもよい。オルガノシロキサン(共)重合体は、架橋されないものを用いることができ、架橋された(共)重合体を用いてもよい。耐衝撃性、着色性のために架橋状態のオルガノシロキサン(共)重合体を用いることができる。これは架橋された形態のオルガノシロキサンで、具体的に、架橋されたジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサンまたはその2以上の混合物等を用いることができる。2以上のオルガノシロキサンが共重合された形態を用いることによって屈折率を約1.41〜約1.50に調節できる。
【0066】
前記オルガノシロキサン(共)重合体の架橋状態は、各種有機溶媒によって溶解される程度によって判断できる。架橋状態が深化するほど溶媒によって溶解される程度が小さくなる。架橋状態を判断するための溶媒としては、アセトンやトルエン等を用いることができ、具体的に、オルガノシロキサン(共)重合体は、アセトンやトルエンによって溶解されない部分を有し得る。オルガノシロキサン共重合体のトルエンに対する不溶成分は約30%以上でもよい。
【0067】
追加的に、前記オルガノシロキサン(共)重合体には、アルキルアクリレート架橋重合体をさらに含んでもよい。前記アルキルアクリレート架橋重合体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を用いることができる。例えば、ガラス転移温度が低いn−ブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートを用いることができる。
【0068】
具体的に、前記シリコーン系重合体は、シェルのガラス転移温度が約15℃ないし約200℃、具体的に約15℃ないし約180℃、より具体的に、約15℃ないし約150℃でもよい。前記範囲で粒子の工程性に優れる長所がある。
【0069】
前記シェルは、前記ガラス転移温度を有するポリ(メタ)アクリレートを含むことができる。例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレートおよびポリベンジルメタクリレートのうち、一つ以上を含んでもよく、必ずこれに制限されるものではない。具体的に、ポリメチルメタクリレートを含んでもよい。
【0070】
前記シェルは、2以上の層を含むことができる。この場合、ナノ粒子の最外層は、ガラス転移温度(Tg)が約15℃ないし約200℃であるポリアルキル(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0071】
一具体例において、粘着剤組成物に含まれるナノ粒子は、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体の製造時に単量体混合物と一緒に重合された状態で用いることができる。このような場合、前記ナノ粒子は、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体内に含まれた状態で用いることができる。
【0072】
他の具体例において、粘着剤組成物は既に製造された状態の水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体と併せてナノ粒子を含んでもよい。このような場合、前記ナノ粒子は、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体と別途の状態で粘着剤組成物に含まれてもよい。
【0073】
前記ナノ粒子は、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物100重量部に対して、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5または20重量部で含まれてもよい。また、前記ナノ粒子は、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を形成する単量体混合物100重量部に対して、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記ナノ粒子は、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を形成する単量体混合物100重量部に対して、約0.1重量部ないし約20重量部、具体的に、約0.1重量部ないし約18重量部、より具体的に、約0.1重量部ないし約15重量部で含まれてもよい。前記範囲で粘弾性と貯蔵弾性率およびリカバリー力のバランスをなし得る。
【0074】
前記ナノ粒子のコアとシェルとの重量比は、約1:1ないし約9:1、具体的に、約1:1ないし約8:1、より具体的に、約1.5:1ないし約8:1でもよい。前記範囲で広い範囲において粘弾性特性が維持され、相溶性およびリカバリー力に優れる。
【0075】
前記粘着剤組成物は、開始剤および架橋剤のうち一つ以上をさらに含んでもよい。
【0076】
開始剤
開始剤は、光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができる。前記開始剤は、部分重合するプレポリマーの製造時に用いられた開始剤と同じか、他の開始剤を用いることができる。
【0077】
前記光重合開始剤としては、光照射等による硬化過程で前述のラジカル重合性化合物の重合反応を誘導し、第2の架橋構造を具現できるものであれば、どんなものでも用いることができる。例えば、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系またはホスフィンオキシド系光開始剤等を用いることができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]および2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド等が挙げられる。本出願においては、前記のうち、一種または二種以上を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0078】
前記熱重合開始剤の種類は、重合性化合物の重合反応を誘導し、第2の架橋構造を具現できるものであれば特に限定されなく、例えば、アゾ系化合物、過酸化物系化合物またはレドックス(redox)系化合物のような通常の開始剤を用いることができる。前記において、アゾ系化合物の例としては、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−トリルアゾビス(イソブチロニトリル)、2,2−トリルアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−ニトアゾビス−2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル、ジメチル−2,2−メチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)および2,2−ピオアゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げられ、過酸化物系化合物の例としては、過乳酸カリウム、過硫酸アンモニウムまたは過酸化水素のような無機過酸化物;またはジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、ビス(4−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシカーボネート、ブチルペルオキシネオデカノエート、ジプロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジエトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジエトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ヘキシルペルオキシジカーボネート、ジメトキシブチルペルオキシジカーボネート、ビス(3−メトキシ−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、ジブチルペルオキシジカーボネート、ジセチル(dicetyl)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチル(dimyristyl)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシピバレート(peroxypivalate)、ヘキシルペルオキシピバレート、ブチルペルオキシピバレート、トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジメチルヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、アミルペルオキシネオデカノエート、ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、アミルペルオキシピバレート(pivalate)、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルペルオキシド、ジラウロイル(dilauroyl)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドまたはジベンゾイルペルオキシド等のような有機過酸化物を挙げることができ、レドックス系化合物の例としては、過酸化物系化合物と還元剤を併用した混合物等を挙げることができるが、これに制限されるものではない。本出願においては、前記のようなアゾ系、過酸化物系またはレドックス系化合物の一種または二種以上の混合を用いることができる。
【0079】
開始剤は、単量体混合物100重量部に対して、約0.01重量部ないし約5重量部、具体的に、約0.005重量部ないし約3重量部、より具体的に、約0.1重量部ないし約1重量部で含むことができる。前記範囲で硬化反応が完全に進行でき、残量の開始剤が残って粘着フィルムの透過率が低下されることを防ぐことができ、また、気泡発生を下げることができ、優れた反応性を有し得る。
【0080】
架橋剤
架橋剤は、多官能性(メタ)アクリレートとして、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等のような2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート等の3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型アクリレート;およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物等の6官能型アクリレート等を挙げることができるが、これに制限されるものではない。これらは単独または2種以上混合して用いることができる。具体的に、架橋剤は、水酸基を2個ないし20個有する多価アルコールの多官能性 (メタ)アクリレートを用いることにより優れた耐久信頼性を有する効果がある。
【0081】
架橋剤は、単量体混合物100重量部に対して、約0.01重量部ないし約5重量部、具体的に、約0.03重量部ないし約3重量部、具体的に、約0.1重量部ないし約0.3重量部で含むことができる。前記範囲で粘着フィルムの接着力と信頼性が増加する効果がある。
【0082】
他の具体例において、前記粘着剤組成物は、シランカップリング剤をさらに含んでもよい。
【0083】
シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、シロキサン系またはエポキシ系シランカップリング剤をさらに含んでもよいが、これに制限されない。シランカップリング剤は、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、約0.01重量部ないし約5重量部、具体的に、約0.01重量部ないし約2重量部、より具体的に、約0.01ないし約0.5重量部で含んでもよい。前記範囲で粘着フィルムの信頼性増加の効果がある。
【0084】
添加剤
粘着剤組成物は、選択的に硬化促進剤、イオン性液体、リチウム塩、無機充填剤、軟化剤、分子量調節剤、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂(ポリオール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン樹脂等)、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料(着色顔料、体質顔料等)、処理剤、紫外線遮断剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、凝集剤、潤滑剤および溶剤等の通常の添加剤をさらに含んでもよい。
【0085】
前記粘着剤組成物は、非硬化性化合物をさらに含んでもよい。前記粘着剤組成物は、溶媒を含まなく、25℃粘度が約300cPsないし約50,000cPsでもよい。粘着剤組成物が溶媒を含まないことによって、気泡発生を下げ、信頼性を高めることができる。前記範囲で粘着剤組成物は優れたコーティング性と厚さ均一性を得る効果がある。
【0086】
粘着フィルム
本発明の一つの具体例に係る粘着フィルムは、前記粘着剤組成物で形成されてもよい。前記粘着フィルムは、水酸基を有する(メタ)アクリレートおよび共単量体を含む単量体混合物から重合された水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を含んでもよい。
【0087】
具体的に、単量体混合物に開始剤を入れ、部分重合して水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体(プレポリマー)を含むシロップを製造した後、前記シロップにナノ粒子を投入して粘着剤組成物を製造できる。または水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体、共単量体(例えば、ガラス転移温度(Tg)が約−150℃ないし約0℃である共単量体)およびナノ粒子を含む混合物に開始剤を入れ、部分重合して水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体(プレポリマー)を含むシロップを製造できる。
【0088】
前記部分重合された水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、約50万g/molないし約300万g/mol、具体的に、約100万g/molないし約280万g/molでもよい。前記範囲で粘着フィルムの耐久性を高めることができる。
【0089】
前記部分重合された水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を含むシロップに開始剤および/または架橋剤を混合して粘着剤組成物を製造し、前記粘着剤組成物をコーティングしてUV硬化する段階を含む方法で粘着フィルムを製造できる。
【0090】
具体例において、粘着フィルムは、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を形成する単量体混合物、ナノ粒子および光重合開始剤を混合して部分重合し、前記部分重合されたシロップに付加的光重合開始剤および/または架橋剤を添加して製造された粘着剤組成物を離型フィルムにコーティングした後、硬化させて製造できる。硬化は、無酸素状態において、低圧ランプで波長約300nmないし約400nmで照射量約400mJ/cmないし約30,000mJ/cmの照射を含んでもよい。前記コーティングの厚さは、特別な制限はなく、約10μmないし約2mm、具体的に、約20μmないし約1.5mmでもよい。
【0091】
粘着フィルムはOCAフィルムとして用いられてもよく、または光学フィルム上に形成され粘着型光学フィルムとして用いられてもよいが、前記光学フィルムとして偏光板を挙げることができる。偏光板は、偏光子、偏光子上に形成された保護フィルムを含み、ハードコーティング層、反射防止層等をさらに含んでもよい。
【0092】
粘着フィルムは、厚さが約10μmないし約2mm、具体的に、約50μmないし約1.5mmでもよい。前記範囲で光学表示装置に用いることができる。
【0093】
前記粘着フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が約0℃以下、具体的に、約−150、−145、−140、−135、−130、−125、−120、−115、−110、−105、−100、−95、−90、−85、−80、−75、−70、−65、−60、−55、−50、−45、−40、−35、−30、−25、−20、−15、−10、−5または0℃でもよい。また、前記粘着フィルムは、ガラス転移温度(Tg)は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記粘着フィルムは、ガラス転移温度(Tg)は約−150℃ないし約0℃、具体的に、約−150℃ないし約−20℃、より具体的に、約−150℃ないし約−30℃でもよい。前記範囲で粘着フィルムは低音および常温での粘弾性特性に優れる。
【0094】
前記粘着フィルムは、80℃で貯蔵弾性率が約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000KPaでもよい。また、前記粘着フィルムは、80℃で貯蔵弾性率が約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記粘着フィルムは、80℃で貯蔵弾性率は、約10KPaないし約1,000KPa、具体的に、約約10KPaないし約300KPa、より具体的に、約10KPaないし約100KPaでもよい。前記範囲で粘着フィルムは、高温でも粘弾性(elastic)特性が発現され、高温で頻繁に畳まれる場合にも、粘着フィルムが被着剤から離れなく、また、粘着フィルムが溢れ出す現象を防止でき、粘着フィルムのリカバリー力に優れる。
【0095】
前記粘着フィルムは、25℃で貯蔵弾性率が約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000KPaでもよい。また、前記粘着フィルムは、25℃で貯蔵弾性率が約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記粘着フィルムは、25℃で貯蔵弾性率は約10KPaないし約1000KPa、具体的に、約10KPaないし約500KPa、より具体的に、約10KPaないし約300KPa、より具体的に、約10KPaないし約150KPaでもよい。前記範囲で常温での粘着フィルムの粘弾性特性が発現され、リカバリー力に優れる長所がある。
【0096】
前記粘着フィルムは、−20℃で貯蔵弾性率が約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000KPaでもよい。また、前記粘着フィルムは−20℃で貯蔵弾性率が約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記粘着フィルムは、−20℃で貯蔵弾性率は、約10KPaないし約1000KPa、具体的に、約10KPaないし約700KPa、より具体的に、約10KPaないし約500KPa、より具体的に、約10KPaないし約200KPaでもよい。前記範囲で粘着フィルムは低音でフレキシブルデバイスに用いられるとき、柔軟で、白化現象がなく、光学素材用として用いることができる長所がある。
【0097】
また、粘着フィルムの80℃の貯蔵弾性率と−20℃の貯蔵弾性率との割合は、約1:1ないし約1:20、具体的に、約1:1ないし約1:15、より具体的に、約1:1ないし約1:10でもよい。前記範囲で粘着フィルムは広い温度範囲(約−20℃ないし80℃)で被着剤間の接着力が落ちなく、粘着フィルムをフレキシブル(flexible)光学部材に用いることができる。
【0098】
前記粘着フィルムは、100μmの厚さでのヘイズが約4%以下、具体的に、約3%以下、より具体的に、約2%以下でもよい。前記範囲で前記粘着フィルムを光学表示装置に用いた場合、優れた透明度を表す。
【0099】
前記粘着フィルムは、100μmの厚さで約200%延伸後、ヘイズが約5%以下、具体的に、約3%以下、より具体的に、約2%以下でもよい。前記範囲で粘着フィルムはディスプレイに用いる場合、優れた透明度を表す。
【0100】
前記粘着フィルムは、100μmの厚さで下記式2によるリカバリー力が約30%ないし約98%、具体的に、約40%ないし約95%、より具体的に、約40%ないし約90%でもよい。前記範囲で粘着フィルムをフレキシブル(flexible)光学表示装置に適用でき、寿命も長くなる長所がある。
【0101】
【数3】
【0102】
(前記式2において、横×縦(約50mm×約20mm)のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:約75μm)の両末端部をそれぞれ第1の末端部、第2の末端部としたとき、横×縦(約20mm×約20mm)の粘着フィルムによってPETフィルム2個それぞれの末端部を互いに粘着させ、PETフィルムの第1の末端部/粘着フィルム(横×縦、約20mm×約20mm)/PETフィルムの第2の末端部の順で粘着させた試片を製造し、前記PETフィルムの両末端部にそれぞれジグを固定し、一方のジグは固定させ、他方のジグは約300mm/minの速度で引っ張って前記粘着フィルムの厚さ(単位:μm)の約1000%の長さ(厚さの約10倍、X)に到達した後、約10秒間維持し、引っ張った速度と同一速度で復元(約300mm/min)して前記粘着フィルムに約0KPa力が加えられたときの粘着フィルムが伸びた長さがX(単位:μm)である)
前記粘着フィルム(約13cm横×約3cm縦、厚さ約100μm)を温度約70℃、湿度約93%で約24時間エイジング(Aging)した場合、気泡発生面積(%)が約0%でもよい。前記範囲で高温高湿でも被着剤との離れが発生しない。
【0103】
前記「気泡発生面積」は、粘着フィルム(横約13cm×縦約3cm、厚さ約100μm)の一面に約50μm厚さのPETおよび前記粘着フィルムの裏面に約100μm厚さのPETが積層された粘着フィルムを約1cm間隔の平行な枠の間に前記粘着フィルムの横の長さが約1/2になるように50μmPET方向に曲げて入れ、温度約70℃、湿度約93%で約24時間エイジング(Aging)し、光学顕微鏡(オリンパス社、EX−51)で測定した画像をマウンテック社のMac−viewソフトウェアで分析して、面積に対して気泡の大きさと占める面積との割合を測定した値(%)である。
【0104】
前記粘着フィルムは、厚さ約100μm、約5cm×約5cmの大きさにカットした後、隙間なく密着するように巻いてTA(TA.XT_Plusテクスチャーアナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(製))に両端を固定し、約300mm/minの速度で延伸させる場合、前記粘着フィルムの切れる瞬間の長さが延伸前の長さに比べて約800%ないし約2,000%、具体的に、約800%ないし約1,800%、より具体的に、約900%ないし約1,800%でもよい。前記範囲で粘着フィルムは広い温度範囲での粘弾性が維持され、信頼性に優れる。
【0105】
前記粘着フィルムは、剥離強度を増加させるために、粘着剤組成物が塗布される面に予め表面処理、例えば、約150mJ/cm2以上のコロナ前処理段階を経てもよい。具体的に、コロナ前処理段階を経る場合、25℃および60℃の粘着フィルムのTピール(T−peel)剥離強度がさらに増加し得る。例えば、コロナ前処理は、コロナ処理機(Now plasma)を用いて、約78doseの線量で接着対象表面(例:PETフィルム)を約2回処理する方法で行うことができ、必ずこれに制限されるものではない。
【0106】
前記粘着フィルムは、100μmの厚さで、常温(25℃)でコロナ処理されたPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度が約400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900または4000gf/inでもよい。また、前記粘着フィルムは、100μmの厚さで、常温(25℃)でコロナ処理されたPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度が約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記粘着フィルムは、100μmの厚さにおいて、常温(25℃)でコロナ処理されたPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度が約400gf/inないし約4,000gf/in、具体的に、約500gf/inないし約4,000gf/in、より具体的に、約700gf/inないし約3,500gf/inでもよい。前記範囲で常温での接着力および信頼性に優れる。
【0107】
また、前記粘着フィルムは、100μmの厚さで、60℃でコロナ処理されたPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度が、約200、250、300、350、400、450,500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900または3000gf/inでもよい。また、前記粘着フィルムは、100μmの厚さで、60℃でコロナ処理されたPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度が約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲でもよい。例えば、前記粘着フィルムは、100μmの厚さで、60℃でコロナ処理されたPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度が約200gf/inないし約3,000gf/in、具体的に、約500gf/inないし約2,000gf/in、より具体的に、約500gf/inないし約1,500gf/inでもよい。前記範囲で高温での粘着フィルムが曲率形状を有する場合にも粘着力および信頼性に優れる。
【0108】
前記粘着フィルムのTピール(T−peel)剥離強度は、下記の通り測定する。約100mm×約25mm×約100μm(横×縦×厚さ)の粘着フィルムの両面に横×縦×厚さ(約150mm×約25mm×約75μm)のコロナ処理されたPETフィルムのコロナ前処理された面をそれぞれ合紙して、圧力約3.5bar、約50℃で約1000秒間オートクレーブし、TA.XT_Plusテクスチャーアナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(製))に固定させる。25℃または60℃で一方のPETフィルムは固定し、他方のPETフィルムを約50mm/minの速度で引っ張ってPETフィルムに対するTピール(T−peel)剥離強度を測定する。前記PETフィルムのコロナ前処理は、例えば、コロナ処理機(Now plasma)を用いて約78doseの線量でPETフィルムを約2回処理(総線量:約156dose)させることができ、必ずこれに制限されるものではない。
【0109】
ディスプレイ部材
本発明のまた別の観点は、ディスプレイ部材に関する。
【0110】
前記ディスプレイ部材は、光学フィルム;および前記光学フィルムの一面または両面に付着された前記粘着フィルムを含んでもよい。
【0111】
図1は、本発明の一具体例に係るディスプレイ部材の断面図である。
【0112】
図1によれば、ディスプレイ部材は、光学フィルム40および前記光学フィルム40の一面に形成された粘着剤層または粘着フィルムを含んでもよい。図1において200は粘着剤層または粘着フィルムでもよい。
【0113】
一具体例において、前記ディスプレイ部材は、光学フィルム40;および前記光学フィルム40の一面または両面に形成された粘着剤層200を含んでもよい。
【0114】
前記粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物で形成されてもよい。具体的に、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体を形成する単量体混合物、ナノ粒子および光重合開始剤を混合して重合し、前記重合体に付加的光重合開始剤を添加して製造された粘着剤組成物を前記光学フィルムに塗布またはコーティングする方法で粘着剤層を形成できる。前記粘着剤層は乾燥過程をさらに含んでもよい。
【0115】
他の具体例において、前記ディスプレイ部材は、光学フィルム40;および前記光学フィルムの一面または両面に形成された本発明の粘着フィルム200を含んでもよい。
【0116】
前記光学フィルムとしては、タッチパネル、ウィンドウ、偏光板、カラーフィルター、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、補償フィルム、輝度向上フィルム、配向膜、光拡散フィルム、ガラス飛散防止フィルム、表面保護フィルム、OLED素子バリア層、プラスチックLCD基板、ITO(indium tin oxide)を含むフィルム、FTO(fluorinated tin oxide)を含むフィルム、AZO(aluminum dopped zinc oxide)を含むフィルム、CNT(carbon nanotube)を含むフィルム、Agナノワイヤー(nanowire)を含むフィルムまたはグラフェン(graphene)を含むフィルム等の透明電極フィルム等を挙げることができる。前記光学フィルムの製造方法は、本発明の属する分野の通常の知識を有する者によって容易に製造できる。
【0117】
例えば、タッチパネルに前記粘着フィルムを用いてウィンドウや光学フィルムに付着してディスプレイ部材を形成できる。または、従来のように通常の偏光フィルムに粘着フィルムで適用してもよい。具体的に、ディスプレイ装置は、光学表示装置であって、静電容量式携帯電話を含んでもよい。
【0118】
具体例において、ディスプレイ部材は、光素子部上に第1の粘着フィルム、前記第1の粘着フィルム上にタッチ機能部、前記タッチ機能部上に第2の粘着フィルム、および前記第2の粘着フィルム上にウィンドウフィルムが順次的に積層されたものでもよい。
【0119】
前記光素子部は、OLED、LEDまたは光源を含むものでもよく、前記第1の粘着フィルムまたは第2の粘着フィルムは、本発明の粘着フィルムでもよい。タッチ機能部は、タッチパネルでもよく、これに制限されない。
【0120】
また、ウィンドウフィルムは光学的に透明かつフレキシブルな樹脂で形成できる。例えば、ウィンドウフィルムは基材層とハードコーティング層とを含んでもよい。
【0121】
前記基材層は、ポリエチレンテレフタレートポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタアクリレート等を含むポリ(メタ)アクリレート樹脂のうちいずれか一つ以上でなってもよい。
【0122】
前記ハードコーティング層は、鉛筆硬度試験時に約6H以上の強度を有し得、具体的に、シロキサン樹脂で形成されてもよい。
【0123】
他の具体例において、ディスプレイ部材は、LCDセルの両面に偏光子が積層された液晶パネルと、機能性フィルム(例:反射防止フィルム)とを互いに粘着させるDAT(double sided adhesive tape)、機能性フィルム上に形成されたタッチパネル部を含んでもよい。タッチパネル部は、第1の粘着フィルム、第1の粘着フィルム上に積層された第1の透明電極フィルム、第2の粘着フィルムおよび第2の透明電極フィルムを含む。第2の透明電極フィルム上には電極および電極に対するオーバーコーティング層が形成されており、オーバーコーティング層上には第3の粘着フィルムとウィンドウガラスとが順次的に積層されている。空気層(air gap)は合紙時に除去できる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明の好ましい実施例によって本発明の構成および作用をより詳しく説明する。但し、これは本発明の好ましい例示として提示されたもので、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されるものと解釈されてはならない。
【0125】
ここに記載されない内容は、本技術分野で熟練された者であれば十分に技術的に類推できるもののため、その説明を省略する。
【0126】
実施例
(A)単量体混合物
(a1)2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)を用いた。
【0127】
(a2)4−ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を用いた。
【0128】
(B)ナノ粒子
(b1)屈折率が、1.43、平均粒径が170nmで、トルエン不溶分が41%であるジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン架橋共重合体99.5gとn−ブチルアクリレート127.2g、トリアリルイソシアヌレート2.4gを常温で混合し、ナトリウムドデシルベンゼンサルフェート1.4gをイオン交換水760gに分散させた状態のシリコーン混合物を製造した。前記混合液の温度を75℃に維持し、ポタシウムパーサルフェート2.4gを投入して重合反応を4時間進行させた。その後、ポタシウムパーサルフェート0.7gをさらに投入し、メチルメタアクリレート64.8gとメチルアクリレート7.25gを混合した溶液を15分間滴下した。そして、75℃で4時間反応を進行させて常温で冷却した。(反応転換率:97.4%)最終反応液と1.5%のMgSO4水溶液を75℃で混合し、水洗、乾燥過程を経てナノ粒子を製造し、その存在を確認した。製造されたナノ粒子は、屈折率(NB)が1.45で、平均粒径が173nmで、コアとシェルとの重量比は2.36:1であった。
【0129】
(b2)屈折率が、1.45、平均粒径が210nmで、トルエン不溶分が60%であるジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン架橋共重合体120gと2−エチルヘキシルアクリレート127.2g、トリアリルイソシアヌレート2.4gを常温で混合し、ナトリウムドデシルベンゼンサルフェート2.8gをイオン交換水980gに分散させた状態のシリコーン混合物を製造した。前記混合液の温度を75℃で維持し、ポタシウムパーサルフェート2.4gを投入して重合反応を4時間進行させた。この後、ポタシウムパーサルフェート0.7gをさらに投入してメチルメタアクリレート64.8gとメチルアクリレート7.25gを混合した溶液を15分間滴下した。その後、75℃で4時間反応を進行させて常温で冷却した。(反応転換率:95.8%)最終反応液と1.5%のMgSO4水溶液を75℃で混合し、水洗、乾燥過程を経てナノ粒子を製造し、その存在を確認した。製造されたナノ粒子は屈折率(NB)が1.46で、平均粒径が214nmで、コアとシェルとの重量比は2.79:1であった。
【0130】
(C)ラジカル型光重合開始剤
(c1)BASF社で製造されたイルガキュア651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)製品を用いた。
【0131】
(c2)BASF社で製造されたイルガキュア184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)製品を用いた。
【0132】
(D)添加剤(カップリング剤):信越社で製造されたKBM−403を用いた。
【0133】
実施例1
2−エチルヘキシルアクリレート(a1)60重量%、4−ヒドロキシブチルアクリレート(a2)40重量%を含む単量体混合物100重量部に対して、ナノ粒子(b1)2.5重量部および光重合開始剤(c1)(イルガキュア651)0.005重量部をガラス容器内でしっかり混合した。ガラス容器内の溶解された酸素を窒素気体に換えて、低圧ランプ(50mw/cm、三共電気社で製造されたBL Lamp)を用いて紫外線を照射することによって混合物を部分重合させ、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体(プレポリマー)、ナノ粒子および重合されない単量体混合物でなるシロップを製造した。前記シロップに付加的光重合開始剤(c2)(イルガキュア184)を0.35重量部添加して粘着剤組成物(粘度:1500cPs)を製造した。
【0134】
生成された粘着剤組成物をポリエステルフィルム(離型フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm)上にコーティングして、厚さ100μmの粘着フィルムを形成した。そして、上部に75μm厚さの離型フィルムをカバーした後、両面に6分間低圧ランプ(50mw/cm、三共電気社で製造されたBL Lamp)を用いて照射して透明粘着シートを収得した。前記粘着フィルムのガラス転移温度(Tg)は−38.6℃であった。
【0135】
実施例2ないし実施例5および比較例1
実施例1で各成分の含量を下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同様の方法を遂行して透明粘着シートを製造した。
【0136】
実施例と比較例で製造した粘着フィルムに対して下記表1の物性を評価し、その結果を下記表1に表した。
【0137】
物性評価方法
(1)ガラス転移温度(Tg、℃):実施例と比較例の粘着フィルムに対して、15mg(on 6mm Al Pan)のサンプルを作り、窒素雰囲気(50mL/min)で20℃/minの昇温速度で100℃まで昇温し、同じ速度で−80℃まで冷却させた後(第1の加熱条件(1st run))、10℃/minの昇温速度で100℃まで昇温しながら粘着フィルムのガラス転移温度(Tg)を測定した。
【0138】
(2)貯蔵弾性率:動的粘弾性測定装置であるARES(アントンパール社 MCR−501)を用いてせん断速度1 rad/sec、ひずみ1%のオートストレイン条件で粘弾性を測定した。離型フィルムを除去した後に製造した粘着フィルムを1mmの厚さで積層し、直径が8mmの穿孔機で積層物を穿孔して試片として用いた。−60℃ないし90℃の温度範囲で5℃/minの温度上昇速度で測定を遂行し、−20℃、25℃、80℃で弾性率を記録した。
【0139】
(3)Tピール(T−peel)剥離強度:コロナ処理機を用いて78doseの線量で放電させながら横×縦×厚さ(150mm×25mm×75μm)のPETフィルムにコロナ2回処理(総線量:156dose)させた。実施例と比較例の粘着シートから100mm×25mm×100μm(横×縦×厚さ)の大きさの粘着フィルムサンプルを得た。前記粘着フィルムサンプルの両面に前記PETフィルムのコロナ処理された面をそれぞれ合紙し、図2の(a)で図示した試片を製造した。試片を圧力3.5bar、50℃で1000秒間オートクレーブし、TA.XT_Plusテクスチャーアナライザー(ステーブルマイクロシステムズ(製))に試片を固定させた。図2の(b)を参照すると、TA.XT_Plusテクスチャーアナライザーを用いて、25℃で一方のPETフィルムを固定し、他方のPETフィルムを50mm/minの速度で引っ張って25℃でのT−Peel剥離強度を測定した。(図2(b)参照)
また、TA.XT_Plusテクスチャーアナライザーを用いて、60℃で一方のPETフィルムは固定し、他方のPETフィルムを50mm/minの速度で引っ張って60℃でのT−Peel剥離強度を測定した。
【0140】
(4)ヘイズ:ヘーズメーター(日本電色社のモデルNDH 5000)装備を用いた。ASTM(American Society for Testing and Measurement)試験方法D1003−95(「透明プラスチックの濁度および視感透過率に対する標準試験法(Standard Test for Haze and Luminous Transmittance of Transparet Plastic)」)によって100μm厚さでのヘイズを測定した。
【0141】
(5)200%延伸後のヘイズ:製造された粘着フィルムのサンプル(5cm×5cm、厚さ100μm)の両端を水平引張試験機の両面に固定し、両面の離型フィルムを除去した後、長さ方向に200%延伸した状態(初期長さの2倍、サンプルが10cmになった状態)で下部にはガラス板、上部には離型フィルムを当てて2kgのローラーを通過させた粘着フィルムを接着させて延伸された試片を製造した。そして、上部の離型フィルムを除去した後、ヘイズを前記ヘイズ測定法と同様の方法で測定した。
【0142】
(6)リカバリー力:横×縦(50mm×20mm)のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ:75μm)の両末端部をそれぞれ第1の末端部、第2の末端部としたとき、横×縦(20mm×20mm)の粘着フィルムによってPETフィルム2個それぞれの末端部を互いに粘着させ、PETフィルムの第1の末端部/粘着フィルム/PETフィルムの第2の末端部の順で粘着され、PETフィルムと粘着フィルムとの間の接触面積が横×縦(20mm×20mm)になる試片で測定される。(図3の(a)、(b)参照)図3の(a)を参照すると、常温(25℃)で前記試片のうち、粘着フィルムがないPETフィルムの両末端部にそれぞれジグ(jig)を固定し、一方のジグは固定させ、他方のジグは300mm/minの速度で前記粘着フィルムの厚さ(単位:μm)の1000%の長さ(粘着フィルムの初期厚さの10倍、X)ほど引っ張った後、10秒間維持し、引っ張った速度と同一速度(300mm/min)で復元して前記粘着フィルムに0KPaの力が加えられたときの粘着フィルムが伸びた長さをX(単位:μm)としたとき、下記式2でリカバリー力(%)を計算した。
【0143】
【数4】
【0144】
(7)気泡発生面積(%):粘着フィルム(横13cm×縦3cm、厚さ100μm)の一面に50μm厚さのPETおよび前記粘着フィルムの裏面に100μm厚さのPETが積層された粘着フィルムを1cm間隔の平行な枠の間に、前記粘着フィルムの横の長さが1/2になるように50μmPET方向に曲げて入れ、70℃、湿度93%で24時間エイジング(Aging)し、光学顕微鏡(オリンパス社、EX−51)で測定した画像をマウンテック社のMac−viewソフトウェアで分析して、面積に対して気泡の大きさと占める面積との割合を測定した値(%)である。
【0145】
(8)屈折率測定:アタゴ社のDR−M2多波長アッベ屈折計を用いて測定した。
【0146】
【表1】
【0147】
(前記表1において、Nはナノ粒子を除いた水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体自体の粘着フィルム状態の屈折率で、Nはナノ粒子の屈折率で、|N−N|はナノ粒子の屈折率と、水酸基を有する(メタ)アクリル系共重合体の屈折率との差異である。)
前記表1に表れている通り、本願発明の範囲である実施例の粘着フィルムは、広い温度範囲での粘弾性特性が維持され、リカバリー力および気泡発生面積等で優れた物性を有するだけでなく、低いヘイズ(透明性)および優れた接着力を有することが分かる。
【0148】
その反面、ナノ粒子を含まない比較例はこの通りにはならない。
【0149】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造でき、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できるということを理解できる。そのため、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なもので、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】