(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-502484(P2020-502484A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】ガス感知センサー
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20191220BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
G01N27/00 J
H01L29/06 601D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-520374(P2019-520374)
(86)(22)【出願日】2017年11月2日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月29日
(86)【国際出願番号】KR2017012334
(87)【国際公開番号】WO2018084602
(87)【国際公開日】20180511
(31)【優先権主張番号】10-2016-0144843
(32)【優先日】2016年11月2日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0145147
(32)【優先日】2017年11月2日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】505176556
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、クワン ソブ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ハン ベウム
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ドン スン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ビット ナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジュ イェオン
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AB09
2G060AE19
2G060AF20
2G060BA07
2G060DA01
2G060DA06
2G060DA09
2G060DA14
2G060HC10
2G060KA01
(57)【要約】
本発明は、ガス感知センサーに関し、本発明の日側面によれば、基板と、基板上に設けられたゲート電極と、ゲート電極上に設けられた絶縁層と、絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、ソース電極とドレーン電極の間に設けられたn型チャネルと、n型チャネル上に設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層とを含むガス感知センサーが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板上に設けられたゲート電極と、
ゲート電極上に設けられた絶縁層と、
絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、
ソース電極とドレーン電極との間に設けられたn型チャネルと、
n型チャネル上に設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層と、を含むガス感知センサー。
【請求項2】
前記量子ドット層の量子ドットは、コロイド状量子ドットである、請求項1に記載のガス感知センサー。
【請求項3】
前記量子ドット層の量子ドットは、II−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、IV族半導体化合物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載のガス感知センサー。
【請求項4】
前記量子ドットは、AuS、AuSe、AuTe、AgS、AgSe、AgTe、AgO、CuS、CuSe、CuTe、CuO、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、AuSeS、AuSeTe、AuSTe、AgSeS、AgSeTe、AgSTe、CuSeS、CuSeTe、CuSTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、AuAgS、AuAgSe、AuAgTe、AuCuS、AuCuSe、AuCuTe、AuZnS、AuZnSe、AuZnTe、AuCdS、AuCdSe、AuCdTe、AuHgS、AuHgSe、AuHgTe、AgZnS、AgZnSe、AgZnTe、AgCuS、AgCuSe、AgCuTe、AgCdS、AgCdSe、AgCdTe、AgHgS、AgHgSe、AgHgTe、CuZnS、CuZnSe、CuZnTe、CuCdS、CuCdSe、CuCdTe、CuHgS、CuHgSe、CuHgTe、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAS、GaSb、InN、InP、InAS、InSb、GaNP、GaNAS、GaNSb、GaPAS、GaPSb、InNP、InNAS、InNSb、InPAS、InPSb、GaInNP、GaInNAS、GaInNSb、GaInPAS、GaInPSb、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、Si、Ge、SiC、およびSiGeよりなる群から選択される一つ以上である、請求項3に記載のガス感知センサー。
【請求項5】
量子ドットは、リガンド置換された量子ドットである、請求項1に記載のガス感知センサー。
【請求項6】
量子ドットは、有機リガンドおよび無機リガンドのうち少なくとも一つのリガンドに置換された量子ドットである、請求項5に記載のガス感知センサー。
【請求項7】
前記n型チャネルは、IGZO、ZnO、ZTO、IZO、IHZO、AlN、InN、GaNおよびInGaNよりなる群から選択されるいずれか一つのn型物質よりなる、請求項1から6のいずれか一項に記載のガス感知センサー。
【請求項8】
基板と、
基板上に設けられたゲート電極と、
ゲート電極上に設けられた絶縁層と、
絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、
絶縁層上に設けられ、ソース電極およびドレーン電極を電気的に連結するように設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層と、を含むガス感知センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス感知センサーに関し、特に量子ドットを利用したガス感知センサーに関する。
【0002】
本出願は、2016年11月2日付けの韓国特許出願第10−2016−0144843号および2017年11月2日付けの韓国特許出願第10−2017−0145147号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
量子ドット(Quantum dot)は、そのサイズを調節することにより、エネルギーバンドギャップを容易に調節でき、このような特性を利用して発光材料に使用できる。また、量子ドットは、多様な波長の光を吸収して電荷を発生させることができ、したがって、発光材料の他にもバイオセンサーおよび光感知センサーの素材に活用できる。
【0004】
従来、二酸化炭素の濃度を測定するためにNDIRセンサーが使用されているが、リアルタイム測定のためには、エネルギー消耗が大きく、装備のウォーム−アップ(warm−up)時間が長いため、非効率的であるという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、量子ドット層とターゲットガス分子と帯内における電子遷移エネルギーの共鳴による量子ドット層の電流変化を測定できるガス感知センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、基板と、基板上に設けられたゲート電極と、ゲート電極上に設けられた絶縁層と、絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、ソース電極とドレーン電極との間に設けられたn型チャネルと、n型チャネル上に設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層と、を含むガス感知センサーが提供される。
【0007】
また、本発明の他の態様によれば、基板と、基板上に設けられたゲート電極と、ゲート電極上に設けられた絶縁層と、絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、絶縁層上に設けられ、ソース電極およびドレーン電極を電気的に連結するように設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層と、を含むガス感知センサーが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明の少なくとも一実施形態に係るガス感知センサーによれば、量子ドット層の電子−遷移エネルギーとターゲットガス分子の振動エネルギーの共鳴(resonance)による量子ドット層の電流変化を測定できるので、ターゲットガスの濃度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るガス感知センサーを示す概略断面図である。
【
図2】量子ドット層の帯内における電子−遷移エネルギーとターゲットガス分子の振動エネルギーの共鳴を説明するための概念図である。
【
図3】本発明のガス感知センサーを利用した実験結果を示すグラフである。
【
図4】本発明のガス感知センサーを利用した実験結果を示すグラフである。
【
図5】本発明のガス感知センサーを利用した実験結果を示すグラフである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るガス感知センサーを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るガス感知センサーを添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
また、参照符号に関係なく、同一または対応の構成要素は、同一または同様の参照番号を付与し、これに対する重複説明を省略することとし、説明の便宜のために図示された各構成部材のサイズおよび形状は、誇張されたり縮小され得る。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態に係るガス感知センサー100を示す概略断面図であり、
図2は、量子ドット層の帯内における電子−遷移エネルギーとターゲットガス分子の振動エネルギーの共鳴を説明するための概念図であり、
図3は、本発明のガス感知センサーを利用した実験結果を示すグラフである。
【0013】
本発明は、n型チャネル上に形成された量子ドット層160を含むガス感知センサー100を提供する。また、前記量子ドット層160は、ターゲットガス(例えば、二酸化炭素)分子170の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられる。
【0014】
また、量子ドット層160の帯内における電子−遷移エネルギーを調節することにより、ガス感知センサー100は、多様なガス濃度の測定に使用され得る。
【0015】
また、量子ドット層160とターゲットガス分子と電子−振動エネルギー伝達による量子ドット層の電位が変わるようになるが、この際に発生する微細な電位差を電流変化に誘導して測定できる。
【0016】
図1を参照すると、第1実施形態に係る前記ガス感知センサー100は、基板110、ゲート電極140、絶縁層180、ソース電極120、ドレーン電極130、n型チャネル150、および量子ドット層160を含む。
【0017】
具体的に、本発明の一実施形態に係るガス感知センサー100は、基板110と、基板110上に設けられたゲート電極140と、ゲート電極140上に設けられた絶縁層180と、絶縁層180上にそれぞれ設けられたソース電極120およびドレーン電極130とを含む。また、ガス感知センサー100は、ソース電極120とドレーン電極130との間に設けられたn型チャネル150と、電流が流れるように設けられ、n型チャネル150上に設けられた量子ドット層160とを含む。また、ソース電極120とドレーン電極130は、それぞれ絶縁層180とn型チャネル150上にわたって設けられる。
【0018】
また、前記n型チャネル150は、ソース電極120とドレーン電極130を電気的に連結するように設けられる。
【0019】
量子ドット層160は、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギー(帯内における電子遷移エネルギー)を有するように設けられる。
【0020】
また、量子ドット層160は、ソース電極120とドレーン電極130を電気的に連結するように設けられてもよく、量子ドット層160は、ソース電極120とドレーン電極130を電気的に連結しないように設けられてもよい。
【0021】
量子ドット層160は、球形状を有する複数の量子ドットが層を成すように配列されたものであり、量子ドットは、そのサイズと組成を調節することにより、電子構造のエネルギーギャップを容易に調節することができる。
【0022】
量子ドットを利用したガス感知センサー100の作動原理は、量子ドット層160に流れる電流をリアルタイムで感知して、量子ドット層160の電流変化を利用することである。例えば、量子ドットを利用したガス感知センサー100の場合、電界効果薄膜トランジスターTFTと結合してこれを応用できる。
【0023】
また、量子ドット層160は、フィルム形態で製造され得る。
【0024】
前記電界効果薄膜トランジスターにおいて量子ドット層160の電流変化は、その電子がn型チャネル150の伝導チャネル(conduction channel)に移動して臨界電圧の変化を発生させ、これを測定してバイオセンサーに応用できる。具体的に、前記電界効果薄膜トランジスターにおいて量子ドット層16の表面で起こる官能基の変化は、量子ドットの電位を変化させるが、この微細な電位の変化を、電子がn型チャネルの伝導チャネルの電流変化に変換および増幅させるようになる。つまり、量子ドットにおける表面電位の変化は、すなわち薄膜トランジスターにおける電流変化を示すようになるが、臨界電圧の変化にも現れ、これを測定してガス感知センサー100に応用できる。
【0025】
具体的に、TFTにおいてソース電極120とゲート電極130との間に臨界電圧(threshold voltage)以上の電圧が印加されると、n型チャネルで伝導チャネルが形成され、これを通じて、ソース電極120とドレーン電極130との間に電子が移動し得る。また、量子ドットの電位もやはり、n型伝導チャネルに影響を与えることができるので、臨界電圧に影響を及ぼすことができる。
【0026】
図2を参照すると、本発明によるガス感知センサー100において、ソース電極120とゲート電極130との間に電流をリアルタイムで測定すると、量子ドット層160に誘導される電位差を観察することができ、ターゲットガス分子(gas molecule)から量子ドット層160(QD)に伝達される特定の電子−振動エネルギー伝達(electric−Vibrational energy transfer)により変化した電流を測定するように設けられる。また、測定しようとする電流は、ターゲットガス分子の特定の官能基の振動によって量子ドットの帯内における遷移エネルギーが吸収されて、電流の変化が起こるようになる。
【0027】
また、ターゲットガス分子の振動による電位の増加は、新規な且つ実現可能性が高い測定方式であり、バイオ分子の濃度に応じて電位値が比例するようになる。
【0028】
また、量子ドット層160とガス分子振動との間のカップリングによるエネルギー伝達であるので、ガス分子と量子ドット層160との間の物理的距離に対する情報も測定できる。
【0029】
なお、本発明で使用できるn型チャネル150は、IGZO、ZnO、ZTO、IZO、IHZO、AIN、InN、GaNおよびInGaNよりなる群から選択されるいずれか一つのn型物質よりなり得る。
【0030】
特に、IGZOよりなるn型チャネル15が好ましいが、これは、優れた光学透明性、非結晶構造、高い電子移動性を有しており、また、量子ドットが直接IGZOチャネル上に機能化され得るためである。ひいては、IGZOチャネルは、直接アクティブマトリクスバックプレーンとして機能し得るので、別途の集積化工程が省略され得るという長所がある。
【0031】
また、本発明で使用できる量子ドットは、コロイド状量子ドットを使用することが好ましい。コロイド状量子ドットを使用する場合、n型チャネル15上にスピンコーティングのような簡単な方法で形成することができ、量子ドットを均一に分布させることができる。
【0032】
前記量子ドットは、II−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、IV族半導体化合物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
具体的に、前記量子ドットは、AuS、AuSe、AuTe、AgS、AgSe、AgTe、AgO、CuS、CuSe、CuTe、CuO、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、AuSeS、AuSeTe、AuSTe、AgSeS、AgSeTe、AgSTe、CuSeS、CuSeTe、CuSTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、AuAgS、AuAgSe、AuAgTe、AuCuS、AuCuSe、AuCuTe、AuZnS、AuZnSe、AuZnTe、AuCdS、AuCdSe、AuCdTe、AuHgS、AuHgSe、AuHgTe、AgZnS、AgZnSe、AgZnTe、AgCuS、AgCuSe、AgCuTe、AgCdS、AgCdSe、AgCdTe、AgHgS、AgHgSe、AgHgTe、CuZnS、CuZnSe、CuZnTe、CuCdS、CuCdSe、CuCdTe、CuHgS、CuHgSe、CuHgTe、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAS、GaSb、InN、InP、InAS、InSb、GaNP、GaNAS、GaNSb、GaPAS、GaPSb、InNP、InNAS、InNSb、InPAS、InPSb、GaInNP、GaInNAS、GaInNSb、GaInPAS、GaInPSb、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、Si、Ge、SiC、およびSiGeよりなる群から選択されるいずれか一つ以上が使用できる。
【0034】
特に、本発明の一実施形態に係るガス感知センサー100は、赤外線領域、特に中赤外線領域で電子遷移を有する量子ドット層160が使用できる。この場合、前記量子ドットの種類またはサイズを調節して、赤外線領域、特に1000nm〜20μmの波長、好ましくは、1000nm〜8000nmの波長の光を吸収する量子ドットが使用できる。また、コロイド状量子ドットは、低費用で大面積の加工が可能であるので、本発明においてもコロイド状量子ドットを利用することが好ましい。
【0035】
また、前記量子ドットは、リガンド置換された量子ドットが使用できる。量子ドットは、有機リガンドおよび無機リガンドのうち少なくとも一つのリガンドに置換され得る。前記リガンドの例としては、EDT(ethanedithol)、BDT(butanethiol)、MPA(mercaptocarboxylic acid)、CTAB(tyltrimethylammonium bromide)、HTAC(hexadecyltrimethylammonium chloride)、TBAI(tetrabutylammonium iodide)、またはNa2Sが挙げられる。
【0036】
量子ドットは、コロイド状溶液の分散性と安定性のためにオレイン酸リガンドで取り囲んでいる構造を有している。この状態の量子ドットもガス感知センサーに適用できるが、オレイン酸リガンドは、鎖構造が長いため、量子ドットで発生した電子がn型チャネル150に移動するのに妨げられる。したがって、より短い鎖構造のリガンドとして前記のリガンドに置換することが好ましい。前記リガンド置換された量子ドットを使用する場合、例えばオレイン酸リガンドで取り囲まれた量子ドットをn型チャネル150上に形成した後、前記リガンドと反応させて置換する方法で使用できる。
【0037】
これとは異なって、コロイド状量子ドット層の有機物質リガンドを単分子有機リガンドまたは無機リガンドに置換してターゲットバイオ分子の接近性を向上させ、バイオ分子の官能基の振動モードと量子ドット層の帯内における遷移の共鳴を容易にし得る。
【0038】
一実施形態において、電荷移動のための有機リガンドとしては、前述したEDT、BDT、MPAなどの長さが短い二座リガンド(bidentate ligand)を使用する計画であり、無機リガンドと混合してコロイド状量子ドット層のフィルム構造を均一に形成することができる。
【0039】
CTAB(Cetyltrimethylammonium bromide)、CTACl(Cetyltrimethylammonium chloride)、TBAI(Tributylammonium iodide)などのハロゲンイオンを提供する化合物を利用して合成した後に使用されている有機リガンドをBr
−、Cl
−、I
−などのハロゲンイオンに置換し得る。有機リガンドで取り囲まれたコロイド状量子ドット層で構成されたフィルム上に数分間ハロゲンイオンを存在するようにして、常温で置換過程を進めることができる。フィルムの厚さは、順次に増加させることができ、厚さは、10nmから300nmまでであってもよい。ハロゲンの場合、原子リガンドであるので、リガンドによる振動運動がないため、中赤外線領域でターゲットガス分子以外の共鳴現象を起こす分子を除去することができる。これにより、より向上し且つ安定した電気信号を得ることができる。
【0040】
無機リガンドに置換する他の方法としては、極性溶液と無極性溶液との極性差を利用する方法が利用され得る。無極性有機リガンドに改質されているコロイド状量子ドット溶液を極性無機リガンド溶液と常温で撹拌させる場合、コロイド状量子ドットの表面に極性リガンドが改質されるようになって、コロイド状量子ドットの誘電率が増加する。したがって、無機リガンドに改質されたコロイド状量子ドットは、極性溶液に存在するようになる。極性無機リガンドに改質されたコロイド状量子ドット溶液は、表面の上にコロイド溶液をコーティングさせることができるという長所がある。
【0041】
また、前記絶縁層180は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、HfO2、またはSiNxなどで形成され得る。
【0042】
また、前記ゲート電極140は、金属で形成され得、例えばCr、MO、Al、Ti/Au、Ag、Cu、およびPtよりなる群から選択され得る。
【0043】
また、前記ソース電極120およびドレーン電極130は、それぞれ金属で形成され得、例えばCr、Ti/Au、MO、Al、Ag、Cu、PtおよびWよりなる群から選択され得る。
【0044】
なお、前述した絶縁層180、n型チャネル150、量子ドット層160、ソース電極およびドレーン電極120、130以外の残りの構成は、一般的にガス感知センサー100において使用できるものであれば、特に限定されない。
【0045】
例えば、前記基板110としては、ガラス基板やプラスチック基板が使用され得る。
【0046】
図3〜
図5を参照すると、
図1に示されたガス感知センサー100において、n型チャネル上に所定の遷移エネルギーを有するコロイド量子ドットフィルムをコートして、ガス感知センサーのId(ドレーン電流)−Vg(ゲート電圧)を測定しつつ、二酸化炭素ガスによる電流値の変動を測定した。量子ドット層160は、200〜300nmの厚さでスピンコーティングし、ガス感知センサーのゲート電圧Vgのスイープ範囲(sweeping range)は、−10Vから10Vに設定した。量子ドット層と二酸化炭素ガス間のエネルギー共鳴によるId−Vg特性曲線においてドレーン電流の変動または臨界電圧Vtの変動を通じてガス感知システムを構築した。
【0047】
図3〜
図5を参照すると、二酸化炭素ガスの存在によりガス感知センサーの臨界電圧Vtが移動したことを確認することができる。また、二酸化炭素ガスを除去すると、臨界電圧Vtがさらに戻ることを確認することができる。これは、二酸化炭素が量子ドット層に吸着されながら変化する電位変化または量子ドット層の表面の化学的吸着における電気的結合力が、量子ドット層の下で電流が流れるn型チャネル150に電場で影響を与えるので、そのため、臨界電圧Vtに影響を及ぼすことを確認することができる。
【0048】
最初の状態である
図3を参照すると、直線Hとx軸Vgとの交差線である臨界電圧Vtが4V以下で形成されることを確認することができる。
【0049】
また、
図4を参照すると、二酸化炭素の吸着が生じた場合、臨界電圧Vtが4V以上に変更されることを確認することができる。
【0050】
また、
図5を参照すると、二酸化炭素が除去された場合、さらに臨界電圧Vtが4V以下に戻ることを確認することができ、これにより、量子ドット層160で二酸化炭素と反応が行われることが分かる。
【0051】
なお、未説明符号Lは、ドレーン電流Idをログlogスケールと平方根(square root)スケールで表示したグラフを示す。
【0052】
図6は、本発明の第2実施形態に係るガス感知センサー200を示す概略断面図である。
【0053】
図6を参照すると、ガス感知センサー200は、基板210と、基板210上に設けられたゲート電極240と、ゲート電極240上に設けられた絶縁層280と、絶縁層280上にそれぞれ設けられたソース電極220およびドレーン電極230と、を含む。また、ガス感知センサー200は、絶縁層280上に位置し、ソース電極220とドレーン電極230との間に電流が流れるように設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層260を含む。
【0054】
第2実施形態では、第1実施形態とは異なって、n型層150が設けられなくてもよく、量子ドット層260がソース電極220とドレーン電極230を電気的に連結する。
【0055】
上記で説明された本発明の好ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明における通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更および付加は、下記の特許請求の範囲に属すると見なすべきである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の少なくとも一実施形態に係るガス感知センサーによれば、量子ドット層の電子−遷移エネルギーとターゲットガス分子の振動エネルギーの共鳴による量子ドット層の電流変化を測定できるので、ターゲットガス濃度を測定できる。
【0057】
[項目1]
基板と、
基板上に設けられたゲート電極と、
ゲート電極上に設けられた絶縁層と、
絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、
ソース電極とドレーン電極との間に設けられたn型チャネルと、
n型チャネル上に設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層と、を含むガス感知センサー。
[項目2]
量子ドット層の量子ドットは、コロイド状量子ドットである、項目1に記載のガス感知センサー。
[項目3]
量子ドット層の量子ドットは、II−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、IV族半導体化合物、またはこれらの組み合わせを含む、項目1または2に記載のガス感知センサー。
[項目4]
量子ドットは、AuS、AuSe、AuTe、AgS、AgSe、AgTe、AgO、CuS、CuSe、CuTe、CuO、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、AuSeS、AuSeTe、AuSTe、AgSeS、AgSeTe、AgSTe、CuSeS、CuSeTe、CuSTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、AuAgS、AuAgSe、AuAgTe、AuCuS、AuCuSe、AuCuTe、AuZnS、AuZnSe、AuZnTe、AuCdS、AuCdSe、AuCdTe、AuHgS、AuHgSe、AuHgTe、AgZnS、AgZnSe、AgZnTe、AgCuS、AgCuSe、AgCuTe、AgCdS、AgCdSe、AgCdTe、AgHgS、AgHgSe、AgHgTe、CuZnS、CuZnSe、CuZnTe、CuCdS、CuCdSe、CuCdTe、CuHgS、CuHgSe、CuHgTe、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAS、GaSb、InN、InP、InAS、InSb、GaNP、GaNAS、GaNSb、GaPAS、GaPSb、InNP、InNAS、InNSb、InPAS、InPSb、GaInNP、GaInNAS、GaInNSb、GaInPAS、GaInPSb、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、Si、Ge、SiC、およびSiGeよりなる群から選択される一つ以上である、項目3に記載のガス感知センサー。
[項目5]
量子ドットは、リガンド置換された量子ドットである、項目1に記載のガス感知センサー。
[項目6]
量子ドットは、有機リガンドおよび無機リガンドのうち少なくとも一つのリガンドに置換された量子ドットである、項目5に記載のガス感知センサー。
[項目7]
n型チャネルは、IGZO、ZnO、ZTO、IZO、IHZO、AlN、InN、GaNおよびInGaNよりなる群から選択されるいずれか一つのn型物質よりなる、項目1から6のいずれか一項に記載のガス感知センサー。
[項目8]
基板と、
基板上に設けられたゲート電極と、
ゲート電極上に設けられた絶縁層と、
絶縁層上にそれぞれ設けられたソース電極およびドレーン電極と、
絶縁層上に設けられ、ソース電極およびドレーン電極を電気的に連結するように設けられ、ターゲットガス分子の振動エネルギーと共鳴が起こり得る電子遷移エネルギーを有するように設けられた量子ドット層と、を含むガス感知センサー。
【国際調査報告】