特表2020-515609(P2020-515609A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2020-515609がんの治療のための抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターの併用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515609(P2020-515609A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】がんの治療のための抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターの併用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20200501BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200501BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20200501BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20200501BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20200501BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20200501BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20200501BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20200501BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200501BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200501BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20200501BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20200501BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20200501BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20200501BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20200501BHJP
【FI】
   A61K39/395 DZNA
   A61K39/395 N
   A61K45/00
   A61K31/5377
   A61K31/7048
   A61K31/704
   A61K31/4745
   A61K31/513
   A61K33/24
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   G01N33/48 P
   G01N33/574 A
   G01N33/574 D
   C12N9/99
   C07K16/28
   C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】74
(21)【出願番号】特願2019-553550(P2019-553550)
(86)(22)【出願日】2018年3月27日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月27日
(86)【国際出願番号】EP2018057708
(87)【国際公開番号】WO2018178040
(87)【国際公開日】20181004
(31)【優先権主張番号】17163837.2
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17204926.4
(32)【優先日】2017年12月1日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(71)【出願人】
【識別番号】510069249
【氏名又は名称】ファイザー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン,アストリッド
(72)【発明者】
【氏名】ダムストラップ,ラース
(72)【発明者】
【氏名】プロカイン,アンネ−カトリン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2G045
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA01
2G045AA24
2G045AA26
2G045AA29
2G045BA13
2G045BB22
2G045BB24
2G045CA02
2G045CA11
2G045CA18
2G045CA24
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB02
2G045CB17
2G045CB26
2G045DA14
2G045DA36
2G045FA11
2G045FA37
2G045FB01
2G045FB02
2G045FB03
2G045FB12
2G045FB15
2G045GC15
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC41
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086BC73
4C086CB22
4C086EA10
4C086EA11
4C086GA07
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、がんの治療に有用な併用療法に関する。特に、本発明は、任意選択的に1つまたは複数の追加の化学療法剤または放射線療法を伴う、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む療法の併用に関する。療法の併用は、PD−L1発現について試験結果が陽性であるがんを有する対象を治療する際に使用されることが特に意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要としている対象におけるがんを治療するための方法であって、抗PD−L1抗体、またはその抗原結合断片、およびDNA−PKインヒビターを前記対象に投与するステップを含み、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、方法。
【請求項2】
前記抗PD−L1抗体が、配列番号7または8のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗PD−L1抗体が、アベルマブである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記DNA−PKインヒビターが、(S)−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(7−モルホリン−4−イル−キナゾリン−4−イル)−フェニル]−(6−メトキシピリダジン−3−イル)−メタノール、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、卵巣、膵臓のがん、およびその組織学的サブタイプから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記がんが、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)、結腸直腸がん(CRC)、原発性神経内分泌腫瘍および肉腫から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターが、前記がんのファーストライン治療で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記がんが、SCLC進展型(ED)、NSCLC、およびSCCHNの群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、少なくとも1ラウンドの以前のがん療法を受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記がんが、これまでの療法に対して抵抗性であった、または抵抗性となった、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターが、前記がんのセカンドラインまたはそれ以上の治療で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記がんが、既治療の再発性転移性NSCLC、切除不能局所進行NSCLC、既治療SCLC ED、全身治療に適さないSCLC、既治療の再発性または転移性SCCHN、再照射に適格性を有する再発性SCCHN、および既治療の低頻度マイクロサテライト不安定性(MSI−L)またはマイクロサテライト安定性(MSS)転移性結腸直腸がん(mCRC)の群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗PD−L1抗体が、50〜80分にわたり、静脈内注入により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記抗PD−L1抗体が、2週間毎に1回(Q2W)、体重1kg当たり約10mgまたは約800mgの用量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記DNA−PKインヒビターが、経口により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記DNA−PKインヒビターが、1日1回(QD)または1日2回(BID)、約1〜約800mgの用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記DNA−PKインヒビターが、1日2回(BID)、約400mgの用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
化学療法(CT)、放射線療法(RT)、または化学療法および放射線療法(CRT)を前記対象に施行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記化学療法が、エトポシド、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン、フルオロウラシル、プラチン、アントラサイクリン、およびその組み合わせの群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エトポシドが投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記エトポシドが、静脈内注入により、約1時間にわたり投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記エトポシドが、3週間毎に1〜3日目(D1〜3 Q3W)に、約100mg/mの量で投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記トポテカンが投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記トポテカンが、3週間毎に1〜5日目(D1〜5 Q3W)に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
シスプラチンが投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記シスプラチンが、静脈内注入により、約1時間にわたり投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記シスプラチンが、3週間毎に1回(Q3W)、約75mg/mの量で投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記エトポシドおよびシスプラチンの両方が、連続してどちらかの順序で、または実質的に同時に投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記アントラサイクリンが、最大生涯蓄積用量に到達するまで投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記放射線療法が、20〜35フラクション当たり約35〜70Gyを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記放射線療法が、電子、光子、プロトン、α放射体、その他のイオン、放射性核種、ホウ素捕捉中性子、およびその組み合わせにより与えられる治療から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
導入相を含み、任意選択的に前記導入相終了後に維持相が後続する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターが、前記導入相もしくは維持相において同時的に、任意選択的にその他の相において非同時的に投与される、または前記抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターが、前記導入相および維持相において非同時的に投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
同時的投与が、前記抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを連続してどちらかの順序で、または実質的に同時に投与することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記導入相が、前記DNA−PKインヒビターを単独で、または抗PD−L1抗体、化学療法、および放射線療法の群から選択される1つまたは複数の療法と同時的に投与することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記維持相が、前記抗PD−L1抗体を単独で、もしくは前記DNA−PKインヒビターと同時的に投与すること、またはそれらのいずれも投与しないことを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記導入相が、前記DNA−PKインヒビターとPD−L1抗体の同時的投与を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記導入相が、前記DNA−PKインヒビターの投与を含み、前記維持相が、前記導入相終了後の前記抗PD−L1抗体の投与を含む、請求項36および37に記載の方法。
【請求項40】
前記導入相が、任意選択的にシスプラチンを伴う、前記DNA−PKインヒビターとエトポシドとの同時的投与を含み、前記維持相が、前記導入相終了後に、任意選択的に前記DNA−PKインヒビターを伴う、前記抗PD−L1抗体の投与を含み、前記がんが、SCLC EDである、請求項7、20、36、および37に記載の方法。
【請求項41】
前記導入相が、前記DNA−PKインヒビター、エトポシド、およびシスプラチンの三者併用を含む、請求項7、20、36、および37に記載の方法。
【請求項42】
前記導入相が、任意選択的に前記シスプラチンを伴う、前記抗PD−L1抗体、前記DNA−PKインヒビター、およびエトポシドの同時的投与を含み、任意選択的に、前記導入相終了後の前記維持相をさらに含み、前記維持相が、前記抗PD−L1抗体の投与を含み、前記がんが、SCLC EDである、請求項7、20、36、および37に記載の方法。
【請求項43】
前記導入相が、前記抗PD−L1抗体、前記DNA−PKインヒビター、エトポシド、およびシスプラチンの四者併用を含む、請求項7、20、36、および37に記載の方法。
【請求項44】
前記エトポシドが、任意選択的に前記シスプラチンと共に、最大6サイクルまたはSCLC EDが進行するまで投与される、請求項7、20、36、および37に記載の方法。
【請求項45】
前記導入相が、前記抗PD−L1抗体、前記DNA−PKインヒビター、イリノテカン、およびフルオロウラシルの同時的投与を含み、前記がんが、mCRC MSI−Lである、請求項13、20、および36に記載の方法。
【請求項46】
前記導入相が、前記DNA−PKインヒビターと放射線療法または化学放射線療法との同時的施行を含み、前記維持相が、前記導入相終了後の前記抗PD−L1抗体の投与を含み、前記がんが、NSCLCまたはSCCHNである、請求項7、36、および37に記載の方法。
【請求項47】
前記導入相が、前記抗PD−L1抗体、前記DNA−PKインヒビター、および放射線療法の同時的施行を含み、前記がんが、NSCLCまたはSCCHNである、請求項7および36に記載の方法。
【請求項48】
抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、および少なくとも薬学的に許容される添加剤またはアジュバントを含む医薬組成物であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、医薬組成物。
【請求項49】
DNA−PKインヒビターと併用する医薬品として使用するための抗PD−L1抗体であって、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、抗PD−L1抗体。
【請求項50】
抗PD−L1抗体と併用する医薬品として使用するためのDNA−PKインヒビターであって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、DNA−PKインヒビター。
【請求項51】
DNA−PKインヒビターと併用してがんの治療で使用するための抗PD−L1抗体であって、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、抗PD−L1抗体。
【請求項52】
抗PD−L1抗体と併用してがんの治療で使用するためのDNA−PKインヒビターであって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、DNA−PKインヒビター。
【請求項53】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、組合せ物。
【請求項54】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む、医薬品として使用するための組合せ物であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、組合せ物。
【請求項55】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む、がんの治療で使用するための組合せ物であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、組合せ物。
【請求項56】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物の、がん治療用の医薬品を製造するための使用であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、使用。
【請求項57】
抗PD−L1抗体と、対象におけるがんを治療するまたはその進行を遅延させるために、前記抗PD−L1抗体をDNA−PKインヒビターと併用することに関する指示を含む添付文書とを含むキットであって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、キット。
【請求項58】
DNA−PKインヒビターと、対象におけるがんを治療する、またはその進行を遅延させるために、前記DNA−PKインヒビターを抗PD−L1抗体と併用することに関する指示を含む添付文書とを含むキットであって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、キット。
【請求項59】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターと、対象におけるがんを治療する、またはその進行を遅延させるために、前記抗PD−L1抗体および前記DNA−PKインヒビターを使用することに関する指示を含む添付文書とを含むキットであって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、キット。
【請求項60】
第1の容器、第2の容器、および添付文書を含み、第1の容器が、前記抗PD−L1抗体を含む少なくとも1つの用量の医薬品を含み、第2の容器が、前記DNA−PKインヒビターを含む少なくとも1つの用量の医薬品を含み、前記添付文書が、前記医薬品を使用してがんについて対象を治療することに関する指示を含む、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
前記指示が、前記医薬品が、免疫組織化学アッセイ法により、PD−L1発現について試験結果が陽性であるがんを有する対象の治療に使用されることが意図されていることを示す、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
対象から採取されたサンプル中のPD−L1発現に基づき、がんを有する前記対象を治療するための組合せ物の使用をターゲット層に奨励するステップを含む、DNA−PKインヒビターと併用される抗PD−L1抗体を通知する方法であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、方法。
【請求項63】
前記PD−L1発現が、1つまたは複数の一次抗PD−L1抗体を使用して、免疫組織化学により決定される、請求項62に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの治療に有用な併用療法に関する。特に、本発明は、任意選択的に1つまたは複数の追加の化学療法剤または放射線療法を伴う、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む療法の併用に関する。療法の併用は、PD−L1発現について試験結果が陽性であるがんを有する対象を治療する際に使用されることが特に意図されている。
【背景技術】
【0002】
T細胞を共刺激する機構について、それが細胞ベースの免疫応答を増強する可能性があることから、近年、治療上の関心が顕著に高まっている。抗原提示細胞(APC)上で発現する共刺激分子は、T細胞によるクローン増殖、サイトカイン分泌、およびエフェクター機能の増進を促進および誘発する。共刺激が存在しない場合には、T細胞は、抗原刺激に対して応答しづらくなる可能性があり、有効な免疫応答が開始せず、さらに外来抗原に対して枯渇または忍容を引き起こす可能性がある(Lenschow et al., Ann. Rev. Immunol. (1996) 14: 233)。近年、阻害性の受容体であるプログラム死−1ポリペプチド(PD−1)の発現が誘発および維持されると、それと同時的にT細胞機能不全または免疫不応答が生ずることが発見された。プログラム死1(PD−1)受容体、ならびにPD−1リガンド1および2(それぞれPD−L1およびPD−L2)は、免疫制御において不可欠な役割を果たしている。PD−1は活性化T細胞上で発現しており、間質細胞、腫瘍細胞、またはその両方により発現されるPD−L1(B7−H1としても知られている)およびPD−L2により活性化され、T細胞死および限局性の免疫抑制を開始し(Dong et al. (1999) Nat Med 5: 1365; Freeman et al. (2000) J Exp Med 192: 1027)、腫瘍の発達および増殖のための免疫寛容環境を提供している可能性がある。反対に、この相互作用の阻害は、局所的T細胞応答を増強する可能性があり、また非臨床動物モデルにおいて抗腫瘍活性に関与すると考えられている(Iwai et al. (2002) PNAS USA 99: 12293)。その結果、PD−1/PD−L1軸を標的とするいくつかのモノクローナル抗体(mAb)薬剤が、様々ながんについて研究されており、また抗PD−1および抗PD−L1mAbに関する数百もの臨床試験が目下、活発に行われている。
【0003】
PD−L1は、広範囲のがんにおいて高頻度で発現しており、一部の種類のがんでは最大88%に達する。肺、腎臓、膵臓、および卵巣のがんを含む、いくつかのこのようながんでは、PD−L1の発現は、生存率の低下および予後不良と関連する。興味深いことに、Tリンパ球に浸潤する腫瘍の大部分は、正常な組織内のTリンパ球および末梢血Tリンパ球とは対照的に、PD−1を主として発現し、腫瘍反応性T細胞におけるPD−1の上方制御は、抗腫瘍免疫応答障害に寄与する可能性があることを示唆する(Ahmadzadeh et al. (2009) Blood 14(8): 1537)。これは、PD−1発現T細胞と相互作用するPD−L1発現腫瘍細胞により媒介されるPD−L1シグナリングの利用に起因し、その結果、T細胞活性化の減弱および免疫監視機構の回避を引き起こすと考えられる(Keir et al. (2008) Annu. Rev. Immunol. 26: 677)。したがって、PD−L1/PD−1相互作用を阻害すれば、CD8+T細胞媒介性の腫瘍の殺傷が増強すると考えられる。
【0004】
T細胞免疫性に対する類似した改善が、PD−L1が結合パートナーであるB7−1と結合するのを阻害することにより観測された。このような知見に基づき、PD−1/PD−L1軸の遮断が、がんを有する患者における抗腫瘍免疫応答を増強するために治療的に使用され得る。したがって、PD−1/PD−L1軸を標的とする免疫チェックポイントインヒビターについて、臨床現場において集中的に調査されてきたが、メラノーマ、メルケル細胞癌、非小細胞肺がん、頭頸部がん、腎細胞癌、尿路上皮癌、およびホジキンリンパ腫を含む、いくつかの種類のがんにおいて臨床的活性が明らかにされた。PD−1およびPD−L1インヒビターは、治療において飛躍的な進歩、および多くの場合、長期寛解を示すものの、応答率は10%〜61%の間の範囲であり、多くの患者は代替療法をなおも必要としている。したがって、がん治療における最近の傾向は併用免疫療法に傾いているが、しかしその成否は、併用レジメンにおいて適正な薬物の併用、用量、およびスケジュールを見出す課題の解決、ならびに毒性および副作用の管理次第である。
【0005】
DNA修復不全は、腫瘍において一般的である。タバコへの曝露と関連したパターンであるC>A塩基転換が支配的な遺伝子突然変異の全体像を有する腫瘍は、免疫チェックポイントインヒビターから利益を得る可能性がより高かったが、またこのゲノム喫煙シグネチャーは、患者が報告する喫煙履歴よりも免疫チェックポイント遮断応答についてより予測的であった(Rizvi NA)。さらに、免疫チェックポイントインヒビターから長期的利益を実現した患者のうちの数名は、DNAの複製または修復に関与する遺伝子(例えばPOLE、POLD1、およびMSH2等)において体細胞性の変化を伴う腫瘍を有した。
【0006】
PD−1軸シグナリングの直接的なリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L2)を通じた該シグナリングの阻害が、がんを治療するためのT細胞免疫性(例えば、腫瘍免疫性)を増強する手段として提案されている。さらに、T細胞免疫性に対する類似した増強が、PD−L1と結合パートナー、B7−1との結合を阻害することにより観測された。さらに、PD−1シグナリングの阻害をその他の経路と組み合わせると、治療特性がさらに最適化する(例えば、国際公開第2016/205277号パンフレットまたは同第2016/032927号パンフレット)。
【0007】
DNA修復不全状態およびDNA修復機能成熟状態の両方において、DNA修復標的化剤と免疫チェックポイント剤との併用を試験するために、いくつかの臨床試験が現在進行中である。複数の併用研究が、DNA損傷応答(DDR)インヒビター、例えばポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)、および毛細血管拡張性運動失調症およびRAD3関連タンパク質(ATR)インヒビター等を伴う免疫チェックポイントインヒビターと関係している。さらに、ミスマッチ修復不全腫瘍における抗PD−1/PD−L1治療薬の奏功は、DDRインヒビターを用いて突然変異負荷を増加させると、がんの免疫原性と免疫療法に対するその後の応答を増加させるかという興味深い問題を提起する(Brown et al. (2017) Cancer Discovery 7(1): 20)。例えば、DNA−PKcsインヒビターおよび抗B7−H1抗体を使用して化学療法抵抗性であり得る腫瘍を治療するための材料および方法が、国際公開第2016/014148号パンフレットに提示されている。
【0008】
広範な研究の対象となってきた酵素の1つの重要なクラスとして、プロテインキナーゼが挙げられる。プロテインキナーゼは、細胞内で様々なシグナル伝達プロセスのコントロールに関わっている構造的に関連した酵素の大きなファミリーを構成する。プロテインキナーゼは、その構造および触媒機能が保存されていることから、共通先祖遺伝子から進化したと考えられている。ほとんどすべてのキナーゼは、類似した250〜300個のアミノ酸触媒ドメインを含有する。キナーゼは、それがリン酸化する基質により(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/トレオニン、脂質等)、いくつかのファミリーに分類され得る。DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA−PK)は、DNAと併せて活性化されるセリン/トレオニンプロテインキナーゼである。生化学的および遺伝的データは、DNA−PKは、(a)DNA−PKcsと呼ばれる触媒サブユニット、および(b)2つの制御コンポーネント(Ku70およびKu80)から構成されることを示す。機能的用語において、DNA−PKは、一方ではDNA二本鎖切断(DSB)修復の、そして他方では体細胞性またはV(D)J組み換えの重要な構成成分である。さらに、DNA−PKおよびそのコンポーネントは、クロマチン構造の調節およびテロメアの維持を含む、さらに生理学的なプロセスの多様性と関係している(Smith & Jackson (1999) Genes and Dev 13: 916; Goytisolo et al. (2001) Mol. Cell. Biol. 21: 3642; Williams et al. (2009) Cancer Res. 69: 2100)。
【0009】
DNA形態のヒト遺伝物質は、酸化性の代謝の副生成物として主に形成される活性酸素種(ROS)の攻撃を常に受けている。ROSは一本鎖切断形態のDNA損傷を引き起こす能力を有する。二本鎖切断は、一本鎖切断がすぐそばで事前に生じた場合に発生する可能性がある。さらに、一本鎖および二本鎖切断は、DNA複製フォークが損傷を受けた塩基パターンに遭遇した場合に引き起こされ得る。さらに、外因性の影響、例えば電離照射(例えば、ガンマまたは粒子放射線)、および特定の抗がん医薬品(例えば、ブレオマイシン)等は、DNA二本鎖切断を引き起こす能力を有する。DSBは、すべての脊椎動物の機能的免疫系の形成にとって重要であるプロセス、すなわち体細胞組換えの中間体としてさらに生ずる可能性がある。DNA二本鎖切断が修復されない、または誤って修復された場合には、突然変異および/または染色体異常が生ずるおそれがあり、その結果、細胞死を引き起こすおそれがある。DNA二本鎖切断に起因する重度の危険性に対抗するために、真核細胞はそれを修復するためのいくつかの機構を開発した。より高度の真核生物は、DNA依存性プロテインキナーゼが重要な役割を担う、いわゆる非相同末端結合を主に使用する。生化学的調査から、DNA−PKは、DNA−DSBの発生により最も効果的に活性化されることが判明した。DNA−PKコンポーネントが突然変異しており、そして非機能的である細胞系は、放射線感受性であることが判明している。
【0010】
多くの疾患は、上記および本明細書において記載されるような媒介型のイベントが引き金となって引き起こされる異常な細胞の応答、増殖、およびプログラム細胞死の回避と関連する。がんは、無制御に増殖し、場合によっては転移する(拡散する)傾向を有する細胞の異常な増殖である。がんは1つの疾患ではない。がんは、100を超える異なる特徴的な疾患の群である。がんは、身体の任意の組織と関係し、そして各身体エリアにおいて多くの異なる形態を有する可能性がある。ほとんどのがんは、それが開始する細胞または臓器の種類に応じて命名される。がんが拡散(転移)しても、新規腫瘍には元の(原発)腫瘍と同一の名称が与えられる。特定のがんの頻度は性別に依存し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、がんの治療に対する新規の治療選択肢を開発する必要性が存続する。さらに、既存の療法よりも多くの有効性を有する療法が必要とされている。本発明の好ましい併用療法は、いずれかの治療剤単独による治療よりも多くの有効性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、がんを有する対象は、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せにより治療可能であるという発見から提起される。したがって、第1の態様では、本発明は、それを必要としている対象内のがんを治療するために、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを対象に投与するステップを含む方法を提供する。悪性腫瘍を有する対象における腫瘍の増殖または進行を阻害する方法も提供される。対象における悪性細胞の転移を阻害する方法も提供される。対象における転移発現および/または転移増殖リスクを減少させる方法も提供される。悪性細胞を有する対象における腫瘍退縮を誘発する方法も提供される。併用療法は、対象における客観的応答、好ましくは完全応答または部分応答を引き起こす。いくつかの実施形態では、がんはPD−L1陽性がん性疾患として特定される。
【0013】
本発明により治療される特別な種類のがんとして、肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、膵臓のがん、およびその組織学的サブタイプが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、がんは、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)、結腸直腸がん(CRC)、原発性神経内分泌腫瘍および肉腫から選択される。
【0014】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、がんのファーストライン、セカンドラインまたはそれ以上の治療において(すなわち、対象における療法を超えて)投与され得る。いくつかの実施形態では、SCLC進展型(ED)、NSCLC、およびSCCHNが、ファーストライン治療について選択される。いくつかの実施形態では、がんは、これまでのがん療法に対して抵抗性である、または抵抗性となる。本発明の併用療法は、1つまたは複数の化学療法によりこれまでに治療された、または放射線療法を受けたが、しかしそのような過去の治療が奏功しなかったがんを有する対象の治療においても使用可能である。セカンドライン治療または適用外の治療に向くがんは、既治療の(pre-treated)再発性転移性NSCLC、切除不能な局所的に進行したNSCLC、SCLC ED、既治療のSCLC ED、全身治療に適さないSCLC、既治療の再発性または転移性SCCHN、再照射に適格性を有する再発性SCCHN、事前治療された低頻度マイクロサテライト不安定性(MSI−L)またはマイクロサテライト安定性(MSS)転移性結腸直腸がん(mCRC)、mCRCを有する患者の既治療サブセット(すなわち、MSI−LまたはMSS)、およびこれまでの治療後に進行し、そして満足の行く代替的治療選択肢を有さない切除不能なまたは転移性の高頻度マイクロサテライト不安定(MSI−H)またはミスマッチ修復不全の固形腫瘍であり得る。いくつかの実施形態では、これまでの治療後に進行し、そして満足の行く代替的治療選択肢を有さない進行したまたは転移性のMSI−Hまたはミスマッチ修復不全の固形腫瘍は、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターの併用により治療される。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、ヒト対象の治療で使用される。いくつかの実施形態では、PD−L1はヒトPD−L1である。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR)を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖を含む。抗PD−L1抗体は、好ましくは配列番号7または8のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。いくつかの好ましい実施形態では、抗PD−L1抗体はアベルマブである。
【0017】
いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、静脈内(例えば、静脈内注入として)、または皮下、好ましくは静脈内に投与される。より好ましくは、抗PD−L1抗体は、静脈内注入として投与される。最も好ましくは、インヒビターは、50〜80分間、極めて好ましくは1時間の静脈内注入として投与される。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、体重1kg当たり約10mgの用量で1週間おき(すなわち、2週間毎または「Q2W」)に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、1時間のIV注入として、Q2W、800mgの固定された投与レジメンで投与される。
【0018】
いくつかの態様では、DNA−PKインヒビターは、(S)−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(7−モルホリン−4−イル−キナゾリン−4−イル)−フェニル]−(6−メトキシピリダジン−3−イル)−メタノール(「化合物1」)または薬学的に許容されるその塩である。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビターは、経口により投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビターは、約1〜800mgの用量で、1日に1回または2回(すなわち、「QD」または「BID」)投与される。好ましくは、DNA−PKインヒビターは、約100mg QD、200mg QD、150mg BID、200mg BID、300mg BID、または400mg BID、より好ましくは約400mg BIDの用量で投与される。
【0019】
好ましい実施形態では、DNA−PKインヒビターの第II相推奨用量は、経口により、1日2回、400mgであり、またアベルマブの第II相推奨用量は、IVにより、2週間毎、10mg/kgである。好ましい実施形態では、DNA−PKインヒビターの第II相推奨用量は、カプセルとして、1日2回、400mgであり、またアベルマブの第II相推奨用量は、Q2W、800mgである。
【0020】
その他の実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、化学療法(CT)、放射線療法(RT)、または化学放射線療法(CRT)と併用して使用される。化学療法剤は、エトポシド、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン、フルオロウラシル、プラチン(Platin)、アントラサイクリン、およびその組み合わせであり得る。好ましい実施形態では、化学療法剤は、ドキソルビシンであり得る。前臨床研究から、DNA−PKインヒビターとの抗腫瘍相乗的効果が、重大な毒性が付加することなく明らかとなった。
【0021】
いくつかの実施形態では、エトポシドが、静脈内注入により約1時間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、エトポシドは、3週間毎に1〜3日目(すなわち、「D1〜3 Q3W」)に、約100mg/mの量で投与される。いくつかの実施形態では、シスプラチンが、静脈内注入により約1時間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、シスプラチンは、3週間毎に1回(すなわち、「Q3W」)、約75mg/mの量で投与される。いくつかの実施形態では、エトポシドおよびシスプラチンの両方が、連続して(時間を空けて)どちらかの順序で、または実質的に同時に(一度に)投与される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンが、IVにより、21〜28日毎、40〜60mg/mの量で投与される。用量および投与スケジュールは、腫瘍の種類および既存の疾患および骨髄予備能に応じて変化し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、トポテカンが、3週間毎に1〜5日目(すなわち、「D1〜5 Q3W」)に投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、アントラサイクリンが、最大生涯累積用量に到達するまで投与される。
【0025】
放射線療法は、電子、光子、プロトン、α放射体、その他のイオン、放射性核種、ホウ素捕捉中性子、およびその組み合わせを用いて与えられる治療であり得る。いくつかの実施形態では、放射線療法は、20〜35フラクション当たり約35〜70Gyを含む。
【0026】
さらなる態様では、併用レジメンは導入相を含み、任意選択的に、導入相終了後に維持相(または地固め相)が後続する。治療レジメンは、両相において異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、治療レジメンは両相において異なる。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、導入相または維持相において同時的に(同一の相の期間中に)投与される。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体またはDNA−PKインヒビターは、他方の相において、任意選択的に化学療法、放射線療法、または化学放射線療法と共にさらに投与され得る。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、導入相および維持相において非同時的に投与される。同時的投与は、どちらかの順序で連続して(すなわち、一方の治療は他方の治療後に行われる)、またはまさに同一の治療相において実質的に同時に(すなわち、両方の治療は実質的に一度に行われる)、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを投与することを含む。非同時的投与は、2つの異なる治療相において、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを連続して投与することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビターは、導入相において単独投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビターは、導入相において1つまたは複数の療法と同時的に投与される。そのような療法は、抗PD−L1抗体、化学療法、または放射線療法、またはその組み合わせと関係する可能性がある。導入相は、DNA−PKインヒビターおよびPD−L1抗体の同時的投与を特に含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、維持相は存在しない。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体も、またDNA−PKインヒビターも、維持相において投与されない。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体が、維持相において単独投与される。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、維持相において、DNA−PKインヒビターと同時的に投与される。
【0029】
いくつかの実施形態では、導入相はDNA−PKインヒビターの投与を含み、導入相終了後、維持相は抗PD−L1抗体の投与を含む。DNA−PKインヒビターおよび抗PD−L1抗体の両方は、単独で、または1つまたは複数の化学療法剤、放射線療法、または化学放射線療法と同時的に投与され得る。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態では、SCLC EDは、任意選択的にシスプラチンを伴う、DNA−PKインヒビターとエトポシドの同時的投与を含む導入相において治療され、そして導入相終了後の、任意選択的にDNA−PKインヒビターを伴う抗PD−L1抗体の投与を含む維持相において治療される。本明細書において、導入相は、SCLC ED治療に対して、DNA−PKインヒビター、エトポシド、およびシスプラチンの三者併用を特に含む。いくつかのその他の好ましい実施形態では、SCLC EDは、任意選択的にシスプラチンを伴う、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、およびエトポシドの同時的投与を含む導入相において治療される。本明細書において、導入相は、SCLC ED治療に対して、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、エトポシド、およびシスプラチンの四者併用を特に含む。導入相終了後、SCLC ED治療は、抗PD−L1抗体の投与を含む維持相において継続され得る。いくつかの実施形態では、エトポシドは、任意選択的にシスプラチンと共に、最大6サイクルまたはSCLC EDが進行するまで投与される。
【0031】
いくつかのその他の好ましい実施形態では、mCRC MSI−Lは、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、イリノテカン、およびフルオロウラシルの同時的投与を含む導入相において治療される。
【0032】
いくつかのその他の好ましい実施形態では、NSCLCまたはSCCHNは、DNA−PKインヒビターおよび放射線療法または化学放射線療法の同時的施行を含む導入相において治療され、導入相終了後、抗PD−L1抗体の投与を含む維持相において治療される。本明細書において、導入相は、NSCLCまたはSCCHN治療に対して、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、および放射線療法の同時的施行を特に含む。
【0033】
さらなる態様では、本発明は、サンプル、好ましくは対象から採取された腫瘍サンプル中のPD−L1発現に基づき、がんを有する対象を治療するための組合せ物の使用を奨励する(promoting)ステップを含む、DNA−PKインヒビターと併用される抗PD−L1抗体を、ターゲット層に対して通知する(advertising)方法とも関連する。PD−L1発現は、例えば1つまたは複数の一次抗PD−L1抗体を使用して、免疫組織化学により決定可能である。
【0034】
抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、および少なくとも薬学的に許容される添加剤またはアジュバントを含む医薬組成物もまた本明細書において提供される。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、単一のまたは分離した単位投与剤形で提供される。
【0035】
医薬品として使用するための、特にがんの治療で使用するための、DNA−PKインヒビターと併用される抗PD−L1抗体も本明細書において提供される。同様に、医薬品として使用するための、特にがんの治療で使用するための、抗PD−L1抗体と併用されるDNA−PKインヒビターが提供される。任意の目的を有する、医薬品として使用するための、またはがんの治療における、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物も提供される。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む、がん治療用の医薬品を製造するための併用の使用も提供される。
【0036】
さらなる態様では、本発明は、抗PD−L1抗体と、対象におけるがんを治療するまたはその進行を遅延させるための、DNA−PKインヒビターと併用される抗PD−L1抗体の使用に関する指示を含む添付文書とを含むキットに関する。DNA−PKインヒビターと、対象におけるがんを治療するまたはその進行を遅延させるための、抗PD−L1抗体と併用されるDNA−PKインヒビターの使用に関する指示を含む添付文書とを含むキットも提供される。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターと、対象におけるがんを治療するまたはその進行を遅延させるための、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターの使用に関する指示を含む添付文書とを含むキットも提供される。キットは、第1の容器、第2の容器、および添付文書を含む場合があり、第1の容器は、抗PD−L1抗体を含む少なくとも1つの用量の医薬品を含み、第2の容器は、DNA−PKインヒビターを含む少なくとも1つの用量の医薬品を含み、そして添付文書は、該医薬品を使用してがんについて対象を治療することに関する指示を含む。指示は、医薬品が、免疫組織化学(IHC)アッセイ法により、PD−L1発現について試験結果が陽性であるがんを有する対象を治療する際に使用されることが意図されていることを記載し得る。
【0037】
様々な実施形態では、対象に投与される抗PD−L1抗体はアベルマブであり、および/またはDNA−PKインヒビターは、(S)−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(7−モルホリン−4−イル−キナゾリン−4−イル)−フェニル]−(6−メトキシピリダジン−3−イル)−メタノール、または薬学的に許容されるその塩である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】アベルマブの重鎖配列を示す図である。(A)配列番号7は、アベルマブの完全長重鎖配列を表す。配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有するCDRを下線により表示する。(B)配列番号8は、C末端リジンを有さないアベルマブの重鎖配列を表す。配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有するCDRを下線により表示する。
図2】(配列番号9)アベルマブの軽鎖配列を示す図である。配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有するCDRを下線により表示する。
図3-1】アベルマブ(DNA傷害剤を含まない)と併用される化合物1(akaM3814)は、同一遺伝子のMC38腫瘍モデルにおいて、単一薬剤治療と比較して腫瘍増殖阻害が高まり、そして生存率が改善したことを示す図である。M3814を、0日目から開始して毎日適用した;アベルマブは、3、6、および9日目に適用した。
図3-2】(上記の通り。)
図4-1】放射線療法、M3814、およびアベルマブを併用すると、同一遺伝子のMC38モデルにおいて、放射線療法単独、放射線療法およびM3814、または放射線療法およびアベルマブに対して優れた腫瘍増殖コントロールが実現したことを示す図である。
図4-2】(上記の通り。)
図5-1】1L SCLC開発においてアベルマブを含める選択肢を示す図である。(1)臨床的利益(SD、PR、またはCR)を享受する患者について、CT+M3814+(維持相アベルマブ、または維持相アベルマブ+M3814)併用MS100036−0022における追加の第3群;(2)CT+/−M3814+/−アベルマブによる4群試験(同時的)(要因デザイン、併用効果に対する各薬物の寄付の評価を可能にする);(3)別の試験(CT+アベルマブ+/−M3814)およびプール解析に関する計画。非盲検第I相bパートによる多施設試験の後、SCLC EDを有する対象において、エトポシドおよびシスプラチンと併用されるDNA−PKインヒビター(M3814)およびアベルマブの有効性、安全性、忍容性、およびPKを評価するために、ランダム化、プラセボ対照、二重盲検、第II相パートが続いた。
図5-2】(上記の通り。)
図5-3】(上記の通り。)
図6】第3群と同時的に、CT+M3814+アベルマブを併用する1L SCLC開発において、アベルマブを含める選択肢を示す図である。
図7】四者併用とそれに続くアベルマブ維持相による1L SCLC開発において、アベルマブを含める選択肢を示す図である(すべての群)。
図8】CTを伴うアベルマブ+M3814に対する開発機会:2L SCLC EDにおける第II相試験の案を示す図である。
図9】RTを伴わないアベルマブ+M3814に対する開発機会:mCRC低頻度MSIを有する患者を対象とするSoCとの併用を示す図である。
図10】第I相b用量漸増研究:アベルマブ+M3814(DNA−PKi)を示す図である。(1)適応拡大:2L CRC低頻度MSI;(2)適応拡大:1L/2L SCCHNおよび1L/2L NSCLC。
【発明を実施するための形態】
【0039】
定義
下記の定義は、読者に役立つように提供される。別途定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記、およびその他の科学的または医学的用語または専門用語は、化学および医療技術分野における当業者により一般的に理解される意味を有することが意図される。いくつかのケースでは、一般的に理解される意味を有する用語が、明確にするため、および/またはすぐに参照できるようにするために本明細書において定義され、またそのような定義が本明細書に組み込まれているが、そうだからといって、当技術分野において一般的に理解される用語の定義に対する実質的な差異を表わすものと解釈するべきでない。
【0040】
「a」、「an」、および「the」には、その内容について別途明確な指示がない限り複数形の指示物が含まれる。したがって、例えば、抗体(an antibody)という場合、それは1つもしくは複数の抗体、または少なくとも1つの抗体を指す。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数」、および「少なくとも1つ」は、本明細書では交換可能に使用される。
【0041】
「約」が、数値的に定義されるパラメーター(例えば、抗PD−L1抗体もしくはDNA−PKインヒビターの用量、または本明細書に記載する併用療法を用いた治療時間の長さ)を修飾するのに使用されるとき、パラメーターは、そのパラメーターについて記載された数値よりも10%低く、または高く変化し得ることを意味する。例えば、約10mg/kgの用量は、9mg/kg〜11mg/kgの間で変化し得る。
【0042】
患者(およびこの慣用句の文法的に同等な用語)への薬物「を投与すること(administering)」または「の投与(administration of)」とは、医学的専門家による患者への投与であり得る、もしくは自己投与であり得る直接投与、および/または薬物を処方する行為であり得る間接的投与を指す。例えば、患者に薬物を自己投与するよう指示する医師、または患者に薬物に関する処方箋を提供する医師は、患者に薬物を投与する。
【0043】
「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、炭化水素、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等の標的と特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、天然のポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、別途規定しない限り、特異的結合に関して天然の抗体と競合するあらゆる抗原結合断片またはその抗体断片、抗原結合部分を含む融合タンパク質(例えば、抗体−薬物コンジュゲート)、抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意のその他の改変されたコンフィギュレーション、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、および多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)も含む。
【0044】
抗体の「抗原結合断片」または「抗体断片」は、抗原結合能力をなおも有する天然の抗体の一部分、および/または天然の抗体の可変領域を含む。抗原結合断片として、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、およびFv断片、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメおよびラクダ抗体)、相補性決定領域(CDR)を含む断片、単鎖可変断片抗体(scFv)、単鎖抗体分子、抗体断片から形成された多重特異性抗体、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NAR、およびbis−scFv、直鎖抗体(linear antibody)(例えば、米国特許第5,641,870号明細書、実施例2;Zapata et al. (1995) Protein Eng. 8HO: 1057を参照)、ならびにポリペプチドに結合する特異抗原を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部分を含有するポリペプチドが挙げられる。抗体をパパイン消化すると、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、および残りの「Fc」断片(容易に結晶化する能力を反映する名称)が生成する。Fab断片は、H鎖(V)の可変領域ドメイン、および1つの重鎖(C1)の第1の定常ドメインと共に、全L鎖から構成される。各Fab断片は抗原結合に関して一価である、すなわち単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシン処理すると、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合したFab断片におよそ対応し、そして抗原と架橋する能力をなおも有する単一の大きなF(ab’)断片が得られる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含むC1ドメインのカルボキシ末端においていくつかの追加の残基を有することから、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)がフリーのチオール基を有するFab’に対する、本明細書における名称である。F(ab’)抗体断片は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の一組として本来生成された。抗体断片のその他の化学的結合も公知である。
【0045】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」または「ADCC」とは、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)と結合した分泌Igが、このような細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を有する標的細胞と特異的に結合し、その後細胞毒により標的細胞を殺傷するのを可能にする細胞傷害性の形態を指す。抗体は細胞傷害性細胞を武装化させ、そしてこの機構により標的細胞を殺傷するのに必要とされる。ADCCを媒介する主要細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFc発現が、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9: 457-92 (1991)の464頁、表3にまとめられている。
【0046】
「抗PD−L1抗体」とは、がん細胞上で発現するPD−L1がPD−1に結合するのを遮断する抗体を意味する。ヒト対象が治療の対象とされる本発明の治療方法、医薬品、および使用のいずれかにおいて、抗PD−L1抗体はヒトPD−L1に特異的に結合し、そしてヒトPD−L1がヒトPD−1に結合するのを遮断する。抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であり得るが、またヒト定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1またはIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’−SH、F(ab’)2、scFv、およびFv断片からなる群から選択される。ヒトPD−L1に結合し、そして本発明の治療方法、医薬品、および使用において有用であるモノクローナル抗体の例は、国際公開第2007/005874号パンフレット、同第2010/036959号パンフレット、同第2010/077634号パンフレット、同第2010/089411号パンフレット、同第2013/019906号パンフレット、同第2013/079174号パンフレット、同第2014/100079号パンフレット、同第2015/061668号パンフレット、および米国特許第8,552,154号明細書、同第8,779,108号明細書、および同第8,383,796号明細書に記載されている。本発明の治療方法、医薬品、および使用においてPD−L1抗体として有用な特異的抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体として、例えば、非限定的に、アベルマブ(MSB0010718C)、ニボルマブ(BMS−936558)、MPDL3280A(IgG1を工学的に操作した抗PD−L1抗体)、BMS−936559(完全にヒトの抗PD−L1、IgG4モノクローナル抗体)、MEDI4736(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を取り除くために、Fcドメイン内に三重の突然変異を有する工学的に操作されたIgG1κモノクローナル抗体)、および国際公開第2013/019906号パンフレットの配列番号24および配列番号21の重鎖および軽鎖可変領域をそれぞれ含む抗体が挙げられる。
【0047】
「バイオマーカー」とは、疾患の状況を示唆する生体分子、ならびに生体分子の定量的および定性的測定を一般的に指す。「予後的バイオマーカー」は、療法と独立して疾患転帰と相関関係を有する。例えば、腫瘍の低酸素状態は、陰性予後マーカーである−腫瘍の低酸素状態が高いほど、疾患の転帰が陰性となる可能性が高い。「予測的バイオマーカー」は、患者が特定の療法に対して陽性的に反応する可能性があるか、その可能性を示唆する。例えば、HER2プロファイリングは、乳がん患者がハーセプチン(トラスツズマブ、Genentech社)に応答する可能性があるか、その可能性を判定するために、該患者で一般的に使用される。「応答バイオマーカー」は、療法に対する応答の指標を提供し、したがって療法が奏功するかその示唆を提供する。例えば、前立腺特異抗原のレベルが減少すれば、前立腺がん患者に対する抗がん療法が奏功していることを一般的に示唆する。本明細書に記載する治療に適する患者を特定する、または選択するための基準としてマーカーが使用されるとき、マーカーは、治療の前および/または期間中に測定可能であり、また取得された数値は、下記のいずれかを評価する際に臨床医により使用される:(a)個人が治療(複数可)を初めて受けることの適切性の有無;(b)個人が治療(複数可)を初めて受けることの不適切性の有無;(c)治療に対する応答性;(d)個人が治療(複数可)を継続して受けることの適切性の有無;(e)個人が治療(複数可)を継続して受けることの不適切性の有無;(f)用量の調整;(g)臨床的利益の可能性予測;または(h)毒性。当業者により十分理解されるように、臨床現場でバイオマーカーを測定することは、このパラメーターが、本明細書に記載する治療の投与を開始、継続、調整、および/または中止するための基準として使用されたことの明確な示唆となる。
【0048】
「血液」とは、赤血球、白血球、血漿、凝固因子、小タンパク質、血小板、および/またはクリオプレシピテートを含む、ただしこれらに限定されない、対象内を循環する血液のすべての成分を指す。これは、一般的に、ヒト患者が血液を提供するときに供血される血液の種類である。血漿は、全血中の血液細胞が一般的に懸濁している血液の黄色い液体成分として当技術分野において公知である。血漿は、総血液容量の約55%を占める。血漿は、抗凝固剤を含有する新鮮血のチューブを、遠心機内で、血液細胞がチューブの底部に落下するまでスピニングすることにより調製され得る。血漿は、次に流出または取り出される。血漿は、およそ1025kg/mまたは1.025kg/lの密度を有する。
【0049】
「がん」、「がん性の」、または「悪性」とは、未制御の細胞増殖により一般的に特徴づけられる哺乳動物における生理条件を指す、または記載する。がんの例として、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、および肉腫が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。そのようながんのより具体的な例として、扁平上皮癌、ミエローマ、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、胃腸(管)のがん、腎臓がん、卵巣がん、肝がん、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、結腸直腸がん、子宮内膜がん、腎がん、前立腺がん、甲状腺がん、メラノーマ、軟骨肉腫、神経芽細胞腫、膵がん、多形膠芽細胞腫、子宮頸がん、脳がん、胃がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸癌、および頭頸部がんが挙げられる。
【0050】
「化学療法」は、がんの治療において有用な化学化合物である化学療法剤を伴う療法である。化学療法剤の例として、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド等;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン等;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパ等;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチロロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);δ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール);β−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(CPT−11(イリノテカン)、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、および9−アミノカンプトテシン)を含む);ブリオスタチン;ペメトレキセド;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼルシン、およびビセレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;TLK−286;CDP323、経口α−4インテグリンインヒビター;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファミド、およびウラシルマスタード等;ニトロスレアス、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムヌスチン等;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質等(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγIIおよびカリケアマイシンωII(例えば、Nicolaou et al. (1994) Angew. Chem Intl. Ed. Engl. 33: 183を参照);ジネマイシンAを含むジネマイシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連の色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射剤、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC等、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピュロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;代謝抵抗物質、例えばメトトレキサート、ゲムシタビン、テガフール、カペシタビン、エポチロン、および5−フルオロウラシル(5−FU)等;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、およびトリメトレキサート等;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニン等;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、およびイマチニブ(2−フェニルアミノピリミジン誘導体)、およびその他のc−Kitインヒビター等;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、およびトリロスタン等;葉酸補充剤、例えばフロリン酸等;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド、例えばマイタンシンおよびアンサミトシン等;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体(JHS Natural Products社、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル、アルブミンを工学的に操作したパクリタキセルのナノ粒子製剤、およびドキセタキセル;クロランブシル;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン等;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;オキサリプラチン;ロイコボビン;ビノレルビン;ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸等;上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに上記の2つ以上の組み合わせ、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの複合療法に対する略号)、またはFOLFOX(5−FUおよびロイコボビンと併用したオキサリプラチンによる治療レジメンに対する略号)等が挙げられる。
【0051】
「臨床転帰」、「臨床パラメーター」、「臨床応答」、または「臨床エンドポイント」とは、任意の臨床的観察所見、または療法に対する患者の反応に関係する測定を指す。臨床転帰の非限定的な例として、腫瘍応答(TR)、全生存率(OS)、無増悪生存率(PFS)、無病生存率、腫瘍再発までの時間(TTR)、腫瘍進行までの時間(TTP)、相対リスク(RR)、毒性、または副作用が挙げられる。
【0052】
「完全応答」または「完全寛解」とは、治療に応答してがんのすべての兆候が消散することを指す。これは、がんが治癒したことを必ずしも意味しない。
【0053】
「含むこと(comprising)」とは、本明細書で使用する場合、組成物および方法には、列挙した要素が含まれるが、しかしその他を排除しないことを意味することが意図されている。「から実質的になる(consisting essentially of)」とは、組成物および方法を定義するのに使用されるとき、組成物または方法にとって何らかの実質的な重要性を有するその他の要素が排除されることを意味するものとする。「からなる(consisting of)」とは、主張された組成物および実質的な方法ステップに対するその他の配合物について、その痕跡的要素を超える部分を排除することを意味するものとする。このような移行用語(transition term)のそれぞれにより定義される実施形態は、本発明の範囲内である。したがって、方法および組成物は、追加のステップおよびコンポーネントを含み得る(含む(comprising))、あるいは重要でないステップおよび組成物も含む(から実質的になる(consisting essentially of))ことが意図されているが、あるいは記載された方法ステップまたは組成物に限る(からなる(consisting of))ことが意図される。
【0054】
「用量」および「投与量」とは、投与用の活性薬剤または治療薬剤の特定の量を指す。そのような量は、ヒト対象およびその他の哺乳動物に対する一体的な投薬物として適する物理的に分離したユニットを指す「剤形」内に含まれ、各ユニットは、望ましい発現、忍容性、および治療効果を生み出すように計算された、事前決定量の活性な薬剤を、1つまたは複数の適する薬学的添加剤、例えば担体等と関連して含有する。
【0055】
「ダイアボディ」とは、Vドメインが鎖内ではなく鎖間で対形成し、これにより2価の断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片がもたらされるように、VとVドメインの間に短鎖リンカー(約5〜10残基)を有するsFv断片を構築することにより調製される小型の抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディとは、2つの抗体のVおよびVドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号明細書;国際公開第1993/11161号パンフレット;Hollinger et al. (1993) PNAS USA 90: 6444により詳細に記載されている。
【0056】
「T細胞機能を増強する」とは、持続的な、もしくは増幅された生物学的機能を有するように、または消耗もしくは不活性化したT細胞を回復もしくは再活性化させるように、T細胞を誘導、強制、または刺激することを意味する。T細胞機能を増強する例として、CD8+T細胞からのy−インターフェロン分泌量、増殖、抗原応答性(例えば、ウイルス、病原体、または腫瘍の排除)が、介入前のそのようなレベルと比較したときに増加することが挙げられる。1つの実施形態では、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定するやり方は当業者にとって公知である。
【0057】
「Fc」は、ジスルフィドにより共に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む断片である。抗体のエフェクター機能は、Fc領域内の配列により決定され、同領域は、特定の種類の細胞上に見出されるFc受容体(FcR)によってやはり認識される。
【0058】
本発明の抗体の「機能的断片」は、天然の抗体の抗原結合領域もしくは可変領域、または改変されたFcR結合能力を保持もしくは有する抗体のFc領域を一般的に含む、天然の抗体の一部分を含む。機能的な抗体断片の例として、直鎖抗体、単鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0059】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する最低限度の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインおよび1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体(非共有結合的に緊密に会合している)から構成される。これら2つのドメインのフォールディングに起因して、抗原に結合するためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの高度可変ループ(HおよびL鎖に由来するそれぞれ3つのループ)が生ずる。ただし、単鎖可変ドメイン(または抗原に対して特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)であっても、完全な結合部位よりも親和性は劣るものの、抗原を認識し、それと結合する能力を有する。
【0060】
「ヒト抗体」は、ヒトにより産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有し、および/または本明細書に開示するように、ヒト抗体を作製する技術のいずれかを使用して作製された抗体である。このヒト抗体の定義では、ヒト以外の抗原結合残基を含むヒト化抗体が特に除外される。ファージディスプレイライブラリーを含む、当技術分野において公知の様々な技術を使用して、ヒト抗体が産生可能である(例えば、Hoogenboom and Winter (1991), JMB 227: 381; Marks et al. (1991) JMB 222: 581を参照)。ヒトモノクローナル抗体の調製においてやはり利用可能なものとして、Cole et al. (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, page 77; Boerner et al. (1991), J. Immunol 147(l): 86; van Dijk and van de Winkel (2001) Curr. Opin. Pharmacol 5: 368に記載されている方法が挙げられる。ヒト抗体は、抗原投与に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、しかしその内因性遺伝子座が無効化されている遺伝子導入動物、例えば免疫化されたキセノマウス(例えば、XENOMOUSE技術に関する米国特許第6,075,181号明細書;および同第6,150,584号明細書を参照)に抗原を投与することにより調製可能である。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体に関するLi et al. (2006) PNAS USA, 103: 3557も参照。
【0061】
ヒト以外(例えば、マウス)の抗体の「ヒト化」形態は、ヒト以外の免疫グロブリンに由来する最低限度の配列を含有するキメラ抗体である。1つの実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVRに由来する残基が、望ましい特異性、親和性、および/または能力を有する、ヒト以外の種、例えばマウス、ラット、ウサギ、またはヒト以外の霊長類等のHVRに由来する残基(ドナー抗体)に置き換わっているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基が、対応するヒト以外の残基に置き換わっている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体内に見出されない残基を含み得る。このような改変は、抗体性能、例えば結合親和力等をさらに精緻化するために加えることができる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的に2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、その場合、高度可変ループのすべてまたは実質的にすべてが、ヒト以外の免疫グロブリン配列の同ループに対応し、そしてFR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリン配列の同領域に該当するが、ただし、FR領域は、抗体性能、例えば結合親和力、異性化、免疫原性等を改善する1つまたは複数の個々のFR残基置換を含み得る。FR内のこのようなアミノ酸置換の数は、H鎖内では6個以下、およびL鎖内では3個以下であるのが一般的である。ヒト化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、一般的にはヒト免疫グロブリンの同部分も含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al. (1986) Nature 321: 522; Riechmann et al. (1988), Nature 332: 323; Presta (1992) Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593; Vaswani and Hamilton (1998), Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1: 105; Harris (1995) Biochem. Soc. Transactions 23: 1035; Hurle and Gross (1994) Curr. Op. Biotech. 5: 428;ならびに米国特許第6,982,321号明細書および同第7,087,409号明細書を参照。
【0062】
「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書において「抗体」と交換可能に使用される。基本的な4鎖抗体ユニットは、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、J鎖と呼ばれる付加的なポリペプチドを伴う5の基本的なヘテロ四量体ユニットから構成され、そして10個の抗原結合部位を含有する一方、IgA抗体は重合化して、J鎖と共に多価集合体を形成し得る2〜5個の基本的な4鎖ユニットを含む。IgGの場合、4鎖ユニットは、一般的に約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によりH鎖とリンクする一方、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つまたは複数のジスルフィド結合により相互にリンクする。各HおよびL鎖は、一定の間隔が置かれた鎖内ジスルフィド架橋をやはり有する。各H鎖は、N末端において可変ドメイン(V)を有し、その後にα鎖およびγ鎖のそれぞれについて3つの定常ドメイン(C)、およびμおよびεアイソタイプについて4つのCドメインが続く。各L鎖は、N末端において可変ドメイン(V)を有し、その他方の末端部に定常ドメインが後続する。VはVとアライメントされ、そしてCは重鎖の第1の定常ドメイン(C1)とアライメントされる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖および重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている。VおよびVは共に対形成して単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造および特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th Edition, Sties et al. (eds), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, page 71 and Chapter 6を参照。脊椎動物に由来するL鎖は、その種を問わず、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、κおよびλと呼ばれる2つの明確に異なる型の一方に割り振られ得る。その重鎖(C)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り振られ得る。α、δ、ε、γ、およびμとそれぞれ名付けられた重鎖を有する5つのクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在する。γおよびαクラスは、C配列内の比較的軽微な差異および機能に基づいてサブクラスにさらに分割され、例えばヒトは下記のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgK1を発現する。
【0063】
「注入」または「注入すること」とは、薬物含有溶液を、治療目的で血管を通じて身体に導入することを指す。一般的に、これは、静脈内(IV)バッグを経由して実現される。
【0064】
「〜と併用して」または「〜と併せて」とは、1つの治療方式を別の治療方式に付加して投与することを指す。したがって、「〜と併用して」または「〜と併せて」とは、他方の治療方式を個人に対して投与する前、期間中、または後に、一方の治療方式を投与することを指す。本明細書で使用する場合、化合物1および追加の化学療法剤の投与に関して、用語「〜と併用して」とは、化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の化学療法剤のそれぞれが、任意の順番で(すなわち、同時にまたは連続して)、または単一の組成物、製剤、もしくは単位投与剤形に含めて共に患者に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、用語「併用」とは、化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤が、同時にまたは連続して投与されることを意味する。特定の実施形態では、化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤を含む同一の組成物内で同時に投与される。特定の実施形態では、化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、分離した組成物に含めて同時に投与される、すなわち、化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、分離した単位投与剤形に含めてそれぞれ同時に投与される。化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の化学療法剤は、適切な投与プロトコールに基づき、同一日または異なる複数の日に、任意の順序で投与されるものと認識される。
【0065】
「単離された」とは、その他の物質を実質的に含まない分子、または生物学的物質もしくは細胞物質を指す。1つの態様では、用語「単離された」とは、天然源中に存在する、その他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞のオルガネラ、または組織もしくは臓器それぞれから分離された、核酸、例えばDNAもしくはRNA等、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞のオルガネラ、または組織もしくは臓器を指す。用語「単離された」とは、組換えDNA技術により産生されるとき、細胞物質、ウイルス性物質、もしくは培養培地、または化学的に合成されるときには化学的前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まない核酸またはペプチドも指す。さらに、「単離された核酸」は、断片として自然に発生するものではなく、そして天然状態では見出されない核酸断片を含むことを意味する。用語「単離された」は、その他の細胞タンパク質から単離されるポリペプチドを指すためにも本明細書で使用され、そして精製後のポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を含むことを意味する。用語「単離された」は、その他の細胞または組織から単離される細胞または組織を指すためにも本明細書で使用され、そして、培養および工学的に操作された細胞または組織の両方を含むことを意味する。例えば、「単離された抗体」とは、その産生環境(例えば、天然または組換え)のコンポーネントから特定、分離、および/または回収された抗体である。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その産生環境に由来するすべてのその他のコンポーネントとの関連性を一切有さない。その産生環境の汚染性のコンポーネント、例えば組換えトランスフェクト細胞に起因するコンポーネント等は、抗体に関する研究、診断または治療上の使用を一般的に妨害する物質であり、また酵素、ホルモン、およびその他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質を含み得る。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、(1)例えばローリー法により決定される場合、抗体について95重量%を上回る、およびいくつかの実施形態では、99重量%を上回るまで;(1)スピニングカップシークエネーターの使用により、N末端アミノ酸配列または内部アミノ酸配列について少なくとも15残基を取得するのに十分な程度まで、あるいは(3)クマシーブルーまたは好ましくは銀染色を使用して、非還元または還元条件下、SDS−PAGEで均質となるまで精製される。抗体の天然環境に関して、その少なくとも1つのコンポーネントが存在しないということから、「単離された抗体」には、組換え細胞内にin−situで存在する抗体も含まれる。ただし、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1回の精製ステップにより調製される。
【0066】
「転移性の」がんとは、身体の1つの部分(例えば、肺)から身体の別の部分に拡散したがんを指す。
【0067】
「モノクローナル抗体」とは、本明細書で使用する場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、自然発生的な突然変異の可能性および/またはわずかな量で存在し得る翻訳後修飾(例えば、異性化およびアミド化)を除き、集団を構成する個々の抗体は同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異性が高く、単一の抗原部位を標的とする。異なる決定要素(エピトープ)を標的とする異なる抗体が一般的に含まれるポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定要素を標的とする。その特異性に付加して、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物により合成され、かつその他の免疫グロブリンにより汚染されていないという点において有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られるような抗体の特徴を表わし、また何らかの特別な方法による抗体産生を必要とするものと解釈されない。例えば、本発明に基づき使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein (1975) Nature 256: 495; Hongo et al. (1995) Hybridoma 14 (3): 253; Harlow et al. (1988) Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed.; Hammerling et al. (1981) In: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563 (Elsevier, N.Y.))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al. (1991) Nature 352: 624; Marks et al. (1992) JMB 222: 581; Sidhu et al. (2004) JMB 338(2): 299; Lee et al. (2004) JMB 340(5): 1073; Fellouse (2004) PNAS USA 101(34): 12467;およびLee et al. (2004) J. Immunol. Methods 284(1-2): 119を参照)、およびヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全部を有する動物内でヒトまたはヒト様抗体を産生する技術(例えば、国際公開第1998/24893号パンフレット;同第1996/34096号パンフレット;同第1996/33735号パンフレット;同第1991/10741号パンフレット;Jakobovits et al. (1993) PNAS USA 90: 2551; Jakobovits et al. (1993) Nature 362: 255; Bruggemann et al. (1993) Year in Immunol. 7: 33;米国特許第5,545,807号明細書;同第5,545,806号明細書;同第5,569,825号明細書;同第5,625,126号明細書;同第5,633,425号明細書;および同第5,661,016号明細書;Marks et al. (1992) Bio/Technology 10: 779; Lonberg et al. (1994) Nature 368: 856; Morrison (1994) Nature 368: 812; Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnol. 14: 845; Neuberger (1996), Nature Biotechnol. 14: 826;およびLonberg and Huszar (1995), Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93を参照)を含む、様々な技術により作製され得る。本明細書のモノクローナル抗体にはキメラ抗体(免疫グロブリン)が特に含まれ、その場合、重鎖および/または軽鎖の一部分は、特定の種に由来する抗体、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一である、または相同である一方、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種に由来する抗体、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびに望ましい生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片内の対応する配列と同一である、または相同である(例えば、米国特許第4,816,567号明細書;Morrison et al. (1984) PNAS USA, 81: 6851を参照)。
【0068】
「ナノボディ」とは、単一の単量体可変抗体ドメインからなる断片である単一ドメイン抗体を指す。全抗体と同様に、ナノボディは特異抗原と選択的に結合することができる。分子量は12〜15kDaに過ぎず、単一ドメイン抗体は一般的な抗体(150〜160kDa)よりもかなり小型である。最初の単一ドメイン抗体は、ラクダ類に見出される重鎖抗体から工学的に操作された(例えば、W. Wayt Gibbs, "Nanobodies", Scientific American Magazine (August 2005)を参照)。
【0069】
「客観的応答」とは、完全な応答(CR)または部分応答(PR)を含む、測定可能な応答を指す。
【0070】
「部分応答」とは、治療に応答した、1つもしくは複数の腫瘍または病変のサイズの減少、あるいは身体内のがんの範囲の減少を指す。
【0071】
「患者」および「対象」は、がんに対して治療を必要とする哺乳動物を指すのに、本明細書では交換可能に使用される。一般的に、患者は、1つもしくは複数のがんの症状に罹患していると診断された、またはそのリスクに晒されているヒトである。特定の実施形態では、「患者」または「対象」は、ヒト以外の哺乳動物、例えばヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、マウス、もしくはラット、または薬物および療法のスクリーニング、特徴づけ、および評価で使用される動物等を指し得る。
【0072】
「PD−L1発現」とは、本明細書で使用する場合、細胞表面上のPD−L1タンパク質、または細胞もしくは組織内のPD−L1 mRNAにおける、あらゆる検出可能なレベルの発現を意味する。PD−L1タンパク質の発現は、腫瘍組織切片のIHCアッセイ法において診断用PD−L1抗体を用いて、またはフローサイトメトリーにより検出され得る。あるいは、腫瘍細胞によるPD−L1タンパク質の発現は、PD−L1に特異的に結合する結合剤(例えば、抗体断片、アフィボディ(affibody)等)を使用して、PET画像検査により検出され得る。PD−L1 mRNA発現を検出および測定する技術として、RT−PCRおよびリアルタイム定量RT−PCRが挙げられる。
【0073】
「PD−L1陽性」のがん性疾患を含む「PD−L1陽性」のがんは、細胞表面に存在するPD−L1を有する細胞を含むがんである。用語「PD−L1陽性」とは、がんの細胞表面において、十分なレベルのPD−L1を産生するがんも指し、したがって抗PD−L1抗体は、前記抗PD−L1抗体がPD−L1と結合することにより媒介される治療効果を有する。
【0074】
「薬学的に許容される」とは、物質または組成物は、製剤を構成するその他の配合物、および/またはそれを用いて治療される哺乳動物と、化学的および/または毒性学的に適合性を有さなければならないことを示唆する。「薬学的に許容される担体」として、生理学的に適合性のあるあらゆるすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性および抗真菌性の薬剤、等張性吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に許容される担体の例として、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等のうちの1つまたは複数、ならびにその組み合わせが挙げられる。
【0075】
「再発」がんとは、最初の療法、例えば手術等に対して応答した後に、当初の部位において、または遠隔部位において再成長したがんである。局所的「再発」がんとは、これまでに治療されたがんと同一の場所において、治療後に復活するがんである。
【0076】
1つの症状または複数の症状の「低下」(およびこの慣用句の文法的に同等の用語)とは、症状(複数可)の重症度または頻度の減少、または症状(複数可)の除去を指す。
【0077】
「血清」とは、凝固した血液から分離可能な透明の液体を指す。血清は、赤血球および白血球および血小板を含有する正常な非凝固血液の液体部分である血漿とは異なる。血清は、血液細胞(血清は白血球または赤血球を含まない)にも凝固因子にも該当しない成分である。血清は、血餅の形成に役立つフィブリノゲンを含まない血漿である。血餅は、血清と血漿の相違をもたらす塊である。
【0078】
「単鎖Fv」は、「sFv」または「scFv」とも省略され、一本のポリペプチド鎖に繋がったVおよびV抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VとVドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、同リンカーは、sFvが抗原結合に要する望ましい構造を形成するのを可能にする。sFvのレビューについては、例えば、Pluckthun (1994), In: The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore (eds.), Springer-Verlag, New York, pp. 269を参照。
【0079】
「療法に適する」または「治療に適する」とは、同一のがんを有し、かつ同一の療法を受けるが、しかし比較することを目的として検討される異なる特徴を有する患者と比較して、患者は1つまたは複数の望ましい臨床転帰を示す可能性があることを意味するものとする。1つの態様では、検討される特徴とは、遺伝的多形または体細胞突然変異である(例えば、Samsami et al. (2009) J Reproductive Med 54(1): 25を参照)。別の態様では、検討される特徴は、遺伝子またはポリペプチドの発現レベルである。1つの態様では、より望ましい臨床転帰は、腫瘍応答、例えば腫瘍細胞量低下等の可能性が比較的高めまたは比較的良好である。別の態様では、より望ましい臨床転帰は、比較的長めの全生存期間である。なおも別の態様では、より望ましい臨床転帰は、比較的長めの無増悪生存期間または腫瘍進行までの時間である。なおも別の態様では、より望ましい臨床転帰は、比較的長めの無病生存期間である。別の態様では、より望ましい臨床転帰は、腫瘍再発の相対的な低下または遅延である。別の態様では、より望ましい臨床転帰は、比較的減少した転移である。別の態様では、より望ましい臨床転帰は、比較的低下した相対リスクである。なおも別の態様では、より望ましい臨床転帰は、比較的抑えられた毒性または副作用である。いくつかの実施形態では、2つ以上の臨床転帰が同時に検討される。1つのそのような態様では、遺伝的多形の遺伝子型等の特徴を有する患者は、同一のがんを有し、かつ同一の療法を受けるが、しかし該特徴を有さない患者と比較して、2つ以上のより望ましい臨床転帰を示し得る。本明細書で定義するように、患者は本療法に適すると考えられる。別のかかる態様では、ある特徴を有する患者は、1つまたは複数の望ましい臨床転帰を示し得るが、しかし1つまたは複数のあまり望ましくない臨床転帰を同時に示す場合もある。臨床転帰は、次に全体的に検討され、そして患者の具体的な状況および臨床転帰の意義を考慮しながら、患者が本療法に適するかどうかの決定がしかるべく下される。いくつかの実施形態では、無増悪生存率または全生存率が、全体的な意思決定において、腫瘍応答よりも重い重み付けがなされる。
【0080】
「持続的な応答」とは、本明細書に記載する治療剤または併用療法による治療中止後の持続的な治療効果を意味する。いくつかの実施形態では、持続的な応答は、少なくとも治療期間と同一の期間、または治療期間よりも少なくとも1.5、2.0、2.5、もしくは3倍長い期間を有する。
【0081】
「全身性の」治療は、原薬が血流を通じて移動し、身体全体にわたり細胞に到達し、影響を及ぼす治療である。
【0082】
抗PD−L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはDNA−PKインヒビターの「治療有効量」とは、本発明のそれぞれのケースにおいて、がんを有する患者に投与したときに、意図した治療効果、例えば、患者内のがんの1つまたは複数の症状の軽減、改善、一時的緩和、もしくは除去、またはがん患者を治療する過程でもたらされる任意のその他の臨床結果を有する、必要な用量および期間における有効な量を指す。治療効果は、1用量の投与により必然的に生ぜず、一連の用量の投与後にのみ生じ得る。したがって、治療有効量は、1つまたは複数の投与において投与され得る。そのような治療有効量は、個人の疾患状態、年齢、性別、および体重等の要因、ならびに個人において望ましい応答を誘発する抗PD−L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはDNA−PKインヒビターの能力に基づき変化し得る。治療有効量は、抗PD−L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはDNA−PKインヒビターの何らかの毒性効果または有害効果よりも、治療上有益な効果が勝るような量でもある。
【0083】
状態または患者「を治療すること」または「の治療」とは、臨床結果を含む、有益なまたは望ましい結果を取得するステップを踏むことを指す。本発明の目的に照らせば、有益なまたは望ましい臨床結果として、がんの1つもしくは複数の症状の軽減、改善;疾患の範囲の縮減;疾患進行の遅延もしくは低速化;疾患状態の改善、一時的緩和、もしくは安定化;またはその他の有益な結果が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。「治療すること」または「治療」という場合、それには、予防ならびに状態の確立した症状の軽減が含まれるものと認識される。状況、障害、または状態「を治療すること」またはその「治療」には、したがって(1)状況、障害、もしくは状態に苦しんでいる、または罹患しやすいが、しかし該状況、障害、または状態の臨床的または亜臨床的な症状をいまだ経験していない、または呈していない対象内で発現する該状況、障害、または状態について、その臨床症状が現れるのを予防する、または遅延させること、(2)状況、障害、または状態を阻害すること、すなわち疾患の発症またはその再発(維持治療の場合)またはその少なくとも1つの臨床的もしくは亜臨床的な症状を阻止、低減し、または遅延させること、あるいは(3)疾患を軽減または減弱すること、すなわち状況、障害、もしくは状態、またはその臨床的もしくは亜臨床的な症状の少なくとも1つの退化を引き起こすことが含まれる。
【0084】
「腫瘍」とは、がんと診断された、またはがんを有することが疑われる対象に適用される場合、任意のサイズの悪性または悪性の可能性のある新生物または組織塊を指し、原発腫瘍および続発性新生物が含まれる。固形腫瘍は、嚢胞または液体エリアを通常含まない組織の異常な増殖または塊である。異なる種類の固形腫瘍は、それを形成する細胞の種類について命名される。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、固形腫瘍を一般的に形成しない。
【0085】
「単位投与剤形」とは、本明細書で使用する場合、治療される対象に適する治療製剤の物理的に独立したユニットを指す。ただし、本発明の組成物の総日用量は、担当の医師により健全な医学的判断の範囲内で決定されるものと理解される。任意の特定の対象または生物に対する具体的な有効用量レベルは、治療の対象とされる障害および障害の重症度;採用された具体的な活性薬剤の活性;採用された具体的な組成物;対象の年齢、体重、全体的な健康、性別、および食事;採用された具体的な活性薬剤の投与の時間および排泄速度;治療の期間;採用された具体的化合物(複数可)と併用される、または同時に使用される薬物および/または追加の療法、ならびに医療技術分野において周知の類似した要因を含む、様々な要因に依存する。
【0086】
「可変性」とは、可変ドメインの特定のセグメントが、抗体間で配列において広範に異なる事実を指す。Vドメインは抗原結合に関係し、特定の抗体の特異性をその特定の抗原に対して定義する。ただし、変動は、可変ドメインのスパン全体にわたり均等に分布していない。むしろ、軽鎖および重鎖可変ドメインの両ドメイン内の高度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメント内に濃縮されている。可変ドメインのより高度な保存性の部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖可変ドメインのそれぞれは、3つのHVRにより結ばれた、概ねベータ−シートコンフィギュレーションを採る4つのFR領域を含み、HVRはベータ−シート構造を結ぶループを形成し、場合によってその一部を形成する。各鎖内のHVRは、FR領域により共に接近して保持され、そして他方の鎖に由来するHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al. (1991) Sequences of Immunological Interest, 5thedition, National Institute of Health, Bethesda, MDを参照)。定常ドメインは、抗体と抗原との結合に直接関係しないが、しかし様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害性における抗体の関与等を示す。
【0087】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、「V」および「V」とそれぞれ呼ばれる場合がある。このようなドメインは、一般的に抗体の最も可変的な部分であり(同一クラスのその他の抗体と比較して)、抗原結合部位を含有する。
【0088】
本明細書で使用する場合、複数の事項、構造的要素、組成的要素、および/または材料が、便宜上共通したリスト内に提示され得る。ただし、このようなリストは、リストの各メンバーが、異なる固有のメンバーとして個別に特定されるかのようにみなされるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーのいずれについても、共通する群の中にそれらが提示されていることにもっぱら基づき、否定する表示もないことから、同一リストの任意のその他のメンバーの事実上の同等物として解釈してはならない。
【0089】
濃度、量、およびその他の数値データは、本明細書において、範囲を伴うフォーマットで表わされ得る、または提示され得る。そのような範囲を伴うフォーマットは、便宜上および簡潔性の理由から単に使用されているものと理解され、したがって範囲の限界として明示的に列挙した数値が含まれるだけでなく、各数値および部分範囲が明示的に列挙されているかのように、すべての個々の数値または当該範囲に包含される部分範囲も含まれるものと柔軟に解釈するべきである。例証として、「約1〜約5」の数値上の範囲には、明示的に列挙した数値の約1〜約5だけでなく、示された範囲内の個々の数値および部分範囲もやはり含まれるものと解釈するべきである。したがって、この数値上の範囲には、個々の数値、例えば2、3、および4等、ならびに部分範囲、例えば1〜3、2〜4、および3〜5等、ならびに個別に1、2、3、4、および5が含まれる。この同一の原理は、最低または最大として1つの数値のみ列挙する範囲にも適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の幅または記載されている特徴を問わず適用されるべきである。
【0090】
略号
説明で使用されるいくつかの略号として下記事項が挙げられる:
1L:ファーストライン
2L:セカンドライン
ADCC:抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性
BID:1日2回
CDR:相補性決定領域
CR:完全応答
CRC:結腸直腸がん
CRT:化学放射線療法
CT:化学療法
DNA:デオキシリボ核酸
DNA−PK:DNA依存性プロテインキナーゼ
DNA−PKi:DNA依存性プロテインキナーゼインヒビター
DSB:二本鎖切断
ED:進展型
Eto:エトポシド
Ig:免疫グロブリン
IHC:免疫組織化学
IV:静脈内
mCRC:転移性結腸直腸がん
MSI−H:高頻度マイクロサテライト不安定
MSI−L:低頻度マイクロサテライト不安定
MSS:マイクロサテライト安定
NK:ナチュラルキラー
NSCLC:非小細胞肺がん
OS:全生存率
PD:進行性疾患
PD−1:プログラム死1
PD−L1:プログラム死リガンド1
PES:ポリエステルスルホン
PFS:無増悪生存率
PR:部分応答
QD:1日1回
QID:1日4回
Q2W:2週間毎
Q3W:3週間毎
RNA:リボ核酸
RP2D:第II相推奨用量
RR:相対リスク
RT:放射線療法
SCCHN:頭頸部の扁平上皮癌
SCLC:小細胞肺がん
SoC:標準治療
SR:持続的応答
TID:1日3回
Topo:トポテカン
TR:腫瘍応答
TTP:腫瘍進行までの時間
TTR:腫瘍再発までの時間
【0091】
記述的実施形態
療法の併用およびその使用方法
いくつかの化学療法および放射線療法は、免疫原性腫瘍細胞死を促進し、また抗腫瘍免疫性を促進する腫瘍微環境を形成することができる。DNA修復インヒビターによるDNA−PK阻害は、放射線療法または化学療法により誘発される免疫原性細胞死を引き起こす契機となり、それを増加させ、したがってT細胞応答をさらに増加させる可能性がある。インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)の活性化経路および後続するI型インターフェロンの誘発およびPD−L1発現は、DNA内の二本鎖切断に対する応答の一部である。さらに、体細胞突然変異負荷が高い腫瘍は、新生抗原形成の増加におそらく起因して、チェックポイントインヒビターに対して特に応答性である。特に、ミスマッチ修復不全性のCRCにおいて強い抗PD1応答が認められる。DNA修復インヒビターは、腫瘍の突然変異率、したがって新生抗原のレパートリーをさらに増加させる可能性がある。いずれの理論にも拘泥するものではないが、本発明者らは、例えば、特にDNA傷害性の介入、例えば放射線療法もしくは化学療法等を併用してDSB修復を阻害することにより、または遺伝的に不安定な腫瘍において二本鎖切断(DSB)が集合すると、腫瘍は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む抗PD−L1抗体による治療に対して敏感になるという前提を設ける。PD−1およびPD−L1間の相互作用の阻害は、T細胞応答を増強し、臨床的抗腫瘍活性と関係する。PD−1は、活性化T細胞により発現される重要な免疫チェックポイント受容体であり、主に周辺組織内の免疫抑制および機能と関係し、該周辺組織において、T細胞は、腫瘍細胞、間質細胞、またはその両方により発現される免疫抑制的なPD−1リガンドPD−L1(B7−H1)およびPD−L2(B7−DC)と遭遇し得る。
【0092】
本発明は、DNA−PKインヒビターおよび抗PD−L1抗体における、ならびに放射線療法、化学療法、または化学放射線療法と併用されるDNA−PKインヒビターおよび抗PD−L1抗体における併用利益の驚くべき発見に一部起因し、ここで、抗PD−L1抗体は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む。DNA−PKは、VDJ組み換えにおける主要な酵素であり、したがってDNA−PKの欠損は、マウスにおいてSCID(重度複合型免疫不全)表現型を引き起こすというほどに免疫抑制的である可能性があるので、DNA−PKインヒビターを前記抗PD−L1抗体に付加することは禁忌であると予想された。対照的に、本発明の併用は、単一薬剤治療と比較して腫瘍増殖を遅延させた(例えば、図3を参照)。治療スケジュールおよび用量を、潜在的相乗作用が明らかとなるように設計した。最適な化合物1/放射線療法レジメン、ならびにアベルマブ/放射線療法レジメンは、この特定の腫瘍モデルにおいて有効であり過ぎるかもしれない。In−vitroデータでは、任意選択的に放射線療法を伴い、DNA−PKインヒビター、特に化合物1を、PD−L1抗体、特にアベルマブと併用した際のその相乗作用が、DNA−PKインヒビターまたはアベルマブと対比して実証された(例えば、図3または図4を参照)。
【0093】
したがって、1つの態様では、本発明は、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片もしくは機能的断片、およびDNA−PKインヒビターを対象に投与するステップを含む、それを必要としている対象におけるがんを治療するための方法を提供する。PD−L1およびDNA−PKとそれぞれ関連した疾患または障害の1つまたは複数の症状を治療するのに十分である、治療有効量の抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターが、本発明の方法において適用されるものと理解されなければならない。
【0094】
特に、本発明は、抗PD−L1抗体、またはその抗原結合断片、およびDNA−PKインヒビターを対象に投与するステップを含む、それを必要としている対象におけるがんを治療するための方法であって、前記抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、方法を提供する。
【0095】
1つの実施形態では、抗PD−L1抗体は、モノクローナル抗体である。1つの実施形態では、抗PD−L1抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を発揮する。1つの実施形態では、抗PD−L1抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。1つの実施形態では、抗PD−L1抗体は、単離された抗体である。様々な実施形態では、抗PD−L1抗体は、これまでに定義したような上記特性のうちの1つまたは複数の組み合わせにより特徴づけられる。
【0096】
様々な実施形態では、抗PD−L1抗体は、アベルマブである。アベルマブ(以前はMSB0010718Cと命名された)は、免疫グロブリン(Ig)G1アイソタイプの完全にヒトモノクローナル抗体である(例えば、国際公開第2013/079174号パンフレットを参照)。アベルマブは、PD−L1と選択的に結合し、そしてそのPD−1との相互作用を競合的に遮断する。作用機序は、PD−1/PD−L1相互作用の阻害およびナチュラルキラー(NK)に基づく抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)に立脚する(例えば、Boyerinas et al. (2015) Cancer Immunol Res 3: 1148を参照)。T細胞を標的とする抗PD−1抗体と比較して、アベルマブは腫瘍細胞を標的とし、したがってそれが有する副作用はより少ないと期待され、それにはPD−L1を遮断してもPD−L2/PD−1経路はそのまま維持され、周辺の自己寛容を促進するので、自己免疫関連の安全問題に関わるリスクが抑えられることが含まれる(例えば、Latchman et al. (2001) Nat Immunol 2(3): 261を参照)。
【0097】
アベルマブ、その配列、および多くのその特性は、国際公開第2013/079174号パンフレットに記載されており、そこでは、本特許出願の図1(配列番号7)および図2(配列番号9)に示すように、配列番号32および33に基づく重鎖および軽鎖配列を有するA09−246−2と命名されている。しかし、抗体生成過程で、重鎖のC末端リジン(K)が切り離されることが頻繁に観測されている。この変化は、抗体−抗原結合に影響を及ぼさない。したがって、いくつかの実施形態では、アベルマブの重鎖配列のC末端リジン(K)は存在しない。C末端リジンを有さないアベルマブの重鎖配列を図1B(配列番号8)に示す一方、図1A(配列番号7)は、アベルマブの完全長重鎖配列を示す。さらに、国際公開第2013/079174号パンフレットに示すように、アベルマブの特性の1つは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を発揮するその能力であり、これにより何らかの重大な毒性を示すことなく細胞溶解を誘発することにより、PD−L1を有する腫瘍細胞に直接作用する。好ましい実施形態では、抗PD−L1抗体は、図1Aまたは1B(配列番号7または8)、および図2(配列番号9)に示す重鎖および軽鎖配列を有するアベルマブ、またはその抗原結合断片である。
【0098】
いくつかの態様では、DNA−PKインヒビターは、化合物1の構造を有する(S)−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(7−モルホリン−4−イル−キナゾリン−4−イル)−フェニル]−(6−メトキシピリダジン−3−イル)−メタノール、
【0099】
【化1】
または薬学的に許容されるその塩である。
【0100】
化合物1は、2016年3月24日に公開された米国特許出願公開第2016/0083401号明細書に詳細に記載されており(本明細書では、「‘401公開資料」と呼ぶ)、その全体が本明細書により参照として本明細書に組み込まれている。化合物1は、‘401公開資料の表4では化合物136と命名されている。化合物1は、様々なアッセイ法およびDNA−PKの阻害を実証する療法モデルにおいて活性である(例えば、‘401公開資料の表4を参照)。したがって、化合物1または薬学的に許容されるその塩は、本明細書において詳細に記載するように、DNA−PKの活性と関連した1つまたは複数の障害を治療するのに有用である。
【0101】
化合物1は、結晶学研究および酵素反応速度研究により実証されるように、DNA−PKの強力な選択的ATP競合的インヒビターである。DNA−PKは、5つの追加のタンパク質因子(Ku70、Ku80、XRCC4、リガーゼIV、およびArtemis)と共に、NHEJを経由するDSBの修復において重要な役割を演ずる。DNA−PKのキナーゼ活性は、適切で遅滞のないDNA修復およびがん細胞の長期生存にとって必須である。いかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、化合物1の主要な効果は、DNA−PK活性およびDNA二本鎖切断(DSB)修復の抑制であり、DNAの修復変化およびDNA傷害剤の抗腫瘍活性の増強をもたらすと考えられている。
【0102】
本明細書に記載する方法は、化合物1の製剤、用量、および投与レジメン/スケジュールについて言及し得るものの、そのような製剤、用量、および/または投与レジメン/スケジュールは、化合物1の任意の薬学的に許容される塩にも同じように適用されるものと理解される。したがって、いくつかの実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩、またはその薬学的に許容される塩に関する用量または投与レジメンは、本明細書に記載する化合物1に関する用量または投与レジメンのいずれかから選択される。
【0103】
薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば酢酸イオン、コハク酸イオン、またはその他のカウンターイオン等の組み込みと関係し得る。カウンターイオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機性または無機性の部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に2つ以上の荷電した原子を有し得る。複数の荷電した原子が薬学的に許容される塩の一部である事例は、複数のカウンターイオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つもしくは複数の荷電した原子および/または1つもしくは複数のカウンターイオンを有し得る。本発明の化合物が塩基である場合、望ましい薬学的に許容される塩は、当技術分野において利用可能な任意の適する方法、例えば無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸等、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸またはガラクツロン酸等、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸または酒石酸等、アミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸等、芳香族酸、例えば安息香酸または桂皮酸等、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸等による遊離塩基の処理により調製され得る。本発明の化合物が酸である場合には、望ましい薬学的に許容される塩は、任意の適する方法、例えば、無機塩基または有機塩基、例えばアミン(一級、二級、もしくは三級)等、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物等による遊離酸の処理により調製され得る。適する塩の実例として、アミノ酸、例えばグリシンおよびアルギニン等、アンモニア、一級、二級、および三級アミン、および環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン、およびピペラジン等に由来する有機塩、およびナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウムに由来する無機塩が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
【0104】
1つの実施形態では、本発明の療法の併用は、ヒト対象の治療で使用される。1つの実施形態では、抗PD−L1抗体は、ヒトPD−L1であるPD−L1を標的とする。療法の併用による治療において期待される主な利益は、このようなヒト患者における前記抗体、特にアベルマブによるリスク/ベネフィット比の増加である。
【0105】
1つの実施形態では、がんは、PD−L1陽性のがん性疾患として特定される。薬力学的分析により、PD−L1の腫瘍発現は、治療有効性について予測的であり得ることが明らかである。本発明によれば、がんは、好ましくは少なくとも0.1%〜少なくとも10%の間、より好ましくは少なくとも0.5%〜5%の間、最も好ましくは少なくとも1%のがんの細胞において、その細胞表面にPD−L1が存在する場合には、PD−L1陽性とみなされる。1つの実施形態では、PD−L1発現は、免疫組織化学(IHC)により決定される。
【0106】
別の実施形態では、がんは、肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、卵巣、膵臓のがん、およびその組織学的サブタイプ(例えば、アデノ、扁平上皮、大細胞)から選択される。好ましい実施形態では、がんは、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)、結腸直腸がん(CRC)、原発性神経内分泌腫瘍および肉腫から選択される。
【0107】
様々な実施形態では、本発明の方法は、第1、第2、第3、またはそれ以降の治療ラインとして採用される。治療ラインとは、患者が受ける異なる薬物治療またはその他の療法による治療の順番における場所を指す。ファーストラインの療法レジメンは、最初に実施される治療であり、セカンドまたはサードラインの療法は、ファーストラインの療法後またはセカンドラインの療法後にそれぞれ実施される。したがって、ファーストラインの療法は、疾患または状態に対する最初の治療である。がんを有する患者では、ファーストラインの療法は、時に一次療法または一次治療と呼ばれ、手術、化学療法、放射線療法、またはこれらの療法の併用であり得る。一般的には、患者は、陽性の臨床転帰を示さなかった、またはファーストもしくはセカンドラインの療法に対して臨床的に不十分な応答しか示さなかった、または陽性の臨床応答を示したが、しかし後に再発を経験し、時に初期の陽性応答を誘発した初期の療法に対して今では抵抗性となった疾患を有することから、患者には後続する化学療法レジメン(セカンドまたはサードラインの療法)が実施される。
【0108】
本発明の療法の併用により提供される安全性および臨床的有用性が確認される場合には、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターのこの併用は、がん患者におけるファーストラインの設定として妥当性を有する。特に、併用は、SCLC進展型(ED)、NSCLC、およびSCCHNの群から選択されるがんに罹患した患者に対する新しい標準治療となり得る。
【0109】
後期ラインの治療、特にがんのセカンドラインまたはそれ以上の治療において、本発明の療法の併用が適用されるのが好ましい。対象が少なくとも1ラウンドの事前のがん療法を受けたのであれば、これまでの療法の数に制限はない。これまでのがん療法のラウンドとは、例えば、1つもしくは複数の化学療法剤、放射線療法、または化学放射線療法により対象を治療するための定義されたスケジュール/相であって、完了したまたはスケジュールに先立ち終了したそのようなこれまでの治療について対象が応答できなかったようなスケジュール/相を指す。1つの理由として、がんはこれまでの療法に対して抵抗性であった、または抵抗性となったことが考えられる。がん患者を治療する現行の標準治療(standard of care(SoC))は、毒性のある古い化学療法レジメンの投与と多くの場合関係する。SoCは、生活の質を妨害する可能性がある強い有害事象(例えば続発性のがん等)の高いリスクと関連する。抗PD−L1抗体/DNA−PKインヒビターの併用、好ましくはアベルマブと(S)−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(7−モルホリン−4−イル−キナゾリン−4−イル)−フェニル]−(6−メトキシピリダジン−3−イル)−メタノールまたは薬学的に許容されるその塩の併用における毒性プロファイルは、SoC化学療法よりもかなり良好と思われる。1つの実施形態では、抗PD−L1抗体/DNA−PKインヒビターの併用、好ましくはアベルマブと(S)−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(7−モルホリン−4−イル−キナゾリン−4−イル)−フェニル]−(6−メトキシピリダジン−3−イル)−メタノールまたは薬学的に許容されるその塩の併用は、単剤および/もしくは多剤化学療法、放射線療法、または化学放射線療法に対して抵抗性のがんを有する患者において、SoC化学療法と同様に有効であり、またそれよりも良好な忍容性を示すと考えられる。
【0110】
好ましい実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、これまでに治療された再発性転移性NSCLC、切除不能な局所的に進行したNSCLC、これまでに治療されたSCLC ED、全身治療に適さないSCLC、これまでに治療された再発性(relapsing)(再発性(recurrent))または転移性SCCHN、再照射に適格性を有する再発性SCCHN、およびこれまでに治療された低頻度マイクロサテライト不安定性(MSI−L)またはマイクロサテライト安定性(MSS)転移性結腸直腸がん(mCRC)の群から選択されるがんのセカンドラインまたはそれ以上の治療、より好ましくはセカンドラインの治療において投与される。SCLCおよびSCCHNは、特に既に全身療法を受けたものである。MSI−L/MSS mCRCは、全mCRCの85%において生ずる。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターの二者併用の安全性/忍容性および有効性プロファイルが患者において確立されたら、標準用量の抗PD−L1抗体、および第II相推奨用量(RP2D)のDNA−PKインヒビターを使用して、いずれの場合も本明細書に記載するように、二本鎖切断を導入するための化学療法(例えば、エトポシドもしくはトポテカン)、放射線療法、または化学放射線療法を含む追加の拡張コホートが標的となる。
【0111】
併用療法において抗PD−L1抗体を採用するいくつかの実施形態では、投与レジメンは、治療のコース全体を通じて約14日間(±2日間)、または約21日間(±2日間)、または約30日間(±2日間)の間隔をおいて、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/kgの用量で抗PD−L1抗体を投与するステップを含む。併用療法において抗PD−L1抗体を採用するその他の実施形態では、投与レジメンは、約0.005mg/kg〜約10mg/kgの用量で抗PD−L1抗体を、患者内用量漸増式で投与するステップを含む。用量を漸増するその他の実施形態では、投与間の間隔は、例えば、第1および第2の投与の間が約30日間(±2日間)、第2および第3の投与の間は約14日間(±2日間)というように徐々に短縮される。特定の実施形態では、第2回投与に後続する投与について、投与間隔は約14日間(±2日間)である。特定の実施形態では、対象には、本明細書に記載する抗PD−L1抗体のいずれかを含む医薬品の静脈内(IV)注入が投与される。いくつかの実施形態では、併用療法内の抗PD−L1抗体は、約1mg/kg Q2W(Q2W=2週間毎に1回投与)、約2mg/kg Q2W、約3mg/kg Q2W、約5mg/kg Q2W、約10mg/kg Q2W、約1mg/kg Q3W(Q3W=3週間毎に1回投与)、約2mg/kg Q3W、約3mg/kg Q3W、約5mg/kg Q3W、および約10mg Q3Wからなる群から選択される用量で静脈内に投与されるアベルマブである。本発明のいくつかの実施形態では、併用療法内の抗PD−L1抗体はアベルマブであり、約1mg/kg Q2W、約2mg/kg Q2W、約3mg/kg Q2W、約5mg/kg Q2W、約10mg/kg Q2W、約1mg/kg Q3W、約2mg/kg Q3W、約3mg/kg Q3W、約5mg/kg Q3W、および約10mg/kg Q3Wからなる群から選択される用量において、液体医薬品の状態で投与される。いくつかの実施形態では、治療サイクルは、併用治療の初日より開始し、そして2週間継続する。そのような実施形態では、併用療法は、好ましくは少なくとも12週間(6サイクルの治療)、より好ましくは少なくとも24週間、およびなおいっそうより好ましくは患者がCRを実現した後、少なくとも2週間投与される。
【0112】
併用療法において抗PD−L1抗体を採用するいくつかの実施形態では、投与レジメンは、約400〜800mgの用量、Q2W、フラット投与で抗PD−L1抗体を投与するステップを含む。好ましくは、フラット投与レジメンは、Q2W、フラット投与での400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、または800mgである。より好ましくは、フラット投与レジメンは、Q2W、フラット投与での800mgである。併用療法内で抗PD−L1抗体を採用するいくつかのより好ましい実施形態では、投与レジメンは、約14日間(±2日間)の間隔をおいて静脈内に投薬される800mgの固定投与である。
【0113】
別の実施形態では、抗PD−L1抗体、好ましくはアベルマブが、2週間毎(Q2W)にIVで投薬される。特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、2週間毎(Q2W)に、体重1kg当たり約10mgの用量で、静脈内に50〜80分間投与される。より好ましい実施形態では、アベルマブの用量は、体重1kg当たり10mgであり、2週間毎(Q2W)に1時間の静脈内注入として投与される。特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、2週間毎(Q2W)に約800mgの固定用量で、静脈内に50〜80分間投与される。より好ましい実施形態では、アベルマブの用量は800mgであり、2週間毎(Q2W)に1時間の静脈内注入として投与される。施設毎の注入ポンプの変動を考慮して、マイナス10分およびプラス20分の時間範囲が許容される。
【0114】
薬物動態研究から、10mg/kgの用量のアベルマブは、薬物動態プロファイルが予測可能な優れた受容体占拠を実現することが実証された(例えば、Heery et al. (2015) Proc 2015 ASCO Annual Meeting, abstract 3055を参照)。この用量は良好な忍容性を示し、また長期応答を含む抗腫瘍活性の兆候も観測された。アベルマブは、管理上の理由に起因して、各サイクルの投与において、スケジュール化された日の前後最長3日間投与され得る。薬物動態シミュレーションもまた、入手可能な範囲の体重においてアベルマブに曝露したとき、その変動は、10mg/kg Q2Wと比較して、800mg Q2Wの方がより小さいことを示唆した。曝露は、メジアン体重の集団近傍において類似した。体重が軽い対象は、体重に基づく投与法を使用したとき、残りの集団と比較してわずかに低めの曝露、およびフラット投与法を適用したときわずかに高めの曝露の傾向を有した。このように曝露が相違したときの影響は、全集団にわたり体重を問わず、臨床的に意味があるとは予想されない。さらに、800mg Q2W投与レジメンは、全体重分類において、Q2W投与間隔の全体にわたり、アベルマブ血清濃度を>95%TOに維持するのに必要とされるCtrough>1mg/mLを実現するものと期待される。好ましい実施形態では、1時間IV注入、Q2Wとして投与される800mgの固定投与レジメンが、臨床試験においてアベルマブに利用される。
【0115】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む、薬学的に許容される組成物を、1日に1、2、3、または4回投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物は、1日1回(「QD」)、特に連続して投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物は、1日2回、特に連続して投与される。いくつかの実施形態では、1日2回投与とは、「BID」投与される、または1日のうちで2つの異なる時刻において2つの等しい用量が投与される化合物または組成物を指す。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物が、1日3回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物は、「TID」投与される、または1日のうちで3つの異なる時刻において3つの等しい用量が投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物は、1日4回投与される。いくつかの実施形態では、化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物は、「QID」投与される、または1日のうちで4つの異なる時刻において4つの等しい用量が投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、絶食条件下の患者に投与され、そして1日の全用量は、上記および本明細書において検討された任意の用量である。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、摂食条件下の患者に投与され、そして1日の全用量は、上記および本明細書において検討された任意の用量である。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、経口により投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、1日1回または2回、連続して、経口により投薬される。好ましい実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、約1〜約800mgの用量で、1日1回(QD)または1日2回(BID)投与される。好ましい実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、約400mgの用量で1日2回(BID)投与される。
【0116】
患者の健全性にとって必要と考えられる同時的治療は、治療担当医師の裁量において実施され得る。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、化学療法(CT)、放射線療法(RT)、または化学療法および放射線療法(CRT)と併用して投与される。本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、本発明は、PD−L1およびDNA−PKと関連した1つまたは複数の疾患または障害の重症度または進行を治療し、安定化または減少させる方法であって、追加の化学療法剤と併用して、抗PD−L1抗体およびDNA−PKのインヒビターを、それを必要としている患者に投与するステップを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、化学療法剤は、エトポシド、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン、フルオロウラシル、プラチン、アントラサイクリンの群、およびその組み合わせから選択される。
【0117】
特定の実施形態では、追加の化学療法剤は、エトポシドである。エトポシドは、DNAおよび複製期間中のDNAの巻戻しを支援するトポイソメラーゼII酵素と三元複合体を形成する。これは、DNA鎖の再ラーゲーションを阻止し、DNA鎖の切断を引き起こす。がん細胞はより急速に分裂するので、健常細胞よりもがん細胞の方がこの酵素に依存する。したがって、エトポシド治療はDNA合成においてエラーを引き起こし、がん細胞のアポトーシスを促進する。いかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、DNA−PKインヒビターは、DNAにおけるDSB修復に関する主要な経路の1つを遮断し、したがって修復プロセスを遅延させ、エトポシドの抗腫瘍活性の増強を引き起こすと考えられている。In−vitroデータより、エトポシド単独に対して、エトポシドと併用した化合物1の相乗作用が実証された。したがって、いくつかの実施形態では、エトポシドと化合物1または薬学的に許容されるその塩との提供される併用は、相乗的である。
【0118】
特定の実施形態では、追加の化学療法剤はトポテカンである。
【0119】
特定の実施形態では、本発明の療法の併用は、化学療法、特に単一の細胞増殖抑制剤として、または二重もしくは三重レジメンの一部として用いられるエトポシドおよびアントラサイクリン治療とさらに併用される。そのような化学療法を含め、DNA−PKインヒビターは、好ましくは、2週間毎に投薬される抗PD−L1抗体、特にアベルマブと共に1日1回または2回投薬され得る。アントラサイクリンが使用される場合には、アントラサイクリンによる治療は、最大生涯累積用量に到達したら中止される(心毒性に起因)。
【0120】
特定の実施形態では、追加の化学療法剤は、プラチンである。プラチンは、白金に基づく化学療法剤である。本明細書で使用する場合、用語「プラチン」は、用語「白金酸塩剤(Platinating agent)」と交換可能に使用される。白金酸塩剤は、当技術分野において周知されている。いくつかの実施形態では、プラチン(または白金酸塩剤)は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、およびサトラプラチンから選択される。
【0121】
特定の実施形態では、プラチンはシスプラチンである。シスプラチンは、いくつかの異なる方法で細胞DNAを架橋して、有糸分裂による細胞分裂を妨げる。DNAの変化において最も重要なものは、プリン塩基とのストランド内架橋である。このような架橋は、主にヌクレオチド切り出し修復により修復される。損傷を受けたDNAは、チェックポイント機構を活性化させ、修復が不可能と判明したときには、次にアポトーシスを活性化させる。特定の実施形態では、提供される方法は、患者に対する放射線療法の施行をさらに含む。
【0122】
特定の実施形態では、追加の化学療法剤は、カルボプラチンである。
【0123】
いくつかの実施形態では、追加の化学療法は、エトポシドとプラチンの両方の併用である。特定の実施形態では、本発明は、それを必要としている患者において、肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、卵巣、膵臓、およびその組織学的サブタイプ(例えば、アデノ、扁平上皮、大細胞)から選択されるがんを治療する方法であって、エトポシドおよびプラチンから選択される少なくとも1つの追加の治療剤と併用して、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、提供される方法は、患者に対する放射線療法の施行をさらに含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、追加の化学療法は、エトポシドとシスプラチンの両方の併用である。特定の実施形態では、本発明は、それを必要としている患者において、肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、膵臓、およびその組織学的サブタイプ(例えば、アデノ、扁平上皮、大細胞)から選択されるがんを治療する方法であって、エトポシドおよびシスプラチンから選択される少なくとも1つの追加の治療剤と併用して、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、提供される方法は、患者に対する放射線療法の施行をさらに含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、追加の化学療法は、エトポシドとカルボプラチンの両方の併用である。
【0126】
本発明の方法に基づき、抗PD−L1抗体および追加の化学療法と併用されるDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、およびその組成物が、上記提示の障害の重症度を治療するまたは減少させるのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与される。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、感染症の重症度、具体的な薬剤、その投与様式等に応じて対象毎に変化する。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要としている患者において、肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、卵巣、膵臓、およびその組織学的サブタイプ(例えば、アデノ、扁平上皮、大細胞)から選択されるがんを治療する方法であって、いずれの場合にも地方の臨床標準治療ガイドラインに基づく量で、抗PD−L1抗体と、プラチンおよびエトポシドから選択される少なくとも1つの追加の治療剤とを併用して、約1〜約800mgの量、好ましくは約10〜約800mgの量、より好ましくは約100〜約400mgの量のDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、1日1回、2回、3回、または4回、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、1日1回(「QD」)投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、1日2回投与とは、「BID」投与される、または1日のうちで2つの異なる時刻において2つの等しい用量が投与される化合物または組成物を指す。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、1日3回投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、「TID」投与される、または1日のうちで3つの異なる時刻において3つの等しい用量が投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、1日4回投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、「QID」投与される、または1日のうちで4つの異なる時刻において4つの等しい用量が投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤を含む薬学的に許容される組成物は、治療の間に様々な日数(0、14、21、28)を置いて、様々な日数(例えば、14、21、28)投与される。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、絶食条件下の患者に投与され、そして1日の全用量は、上記および本明細書において検討された任意の用量である。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、摂食条件下の患者に投与され、そして1日の全用量は、上記および本明細書において検討された任意の用量である。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、利便性の理由から経口により投与される。いくつかの実施形態では、経口により投与されるとき、化学療法剤は、食事および水と共に投与される。別の実施形態では、化学療法剤は、水またはジュース(例えば、リンゴジュースまたはオレンジジュース)に分散され、そして懸濁物として経口により投与される。いくつかの実施形態では、経口により投与されるとき、化学療法剤は絶食状態で投与される。化学療法剤は、皮内、筋肉内、腹腔内、経皮的、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、粘膜を経由して、吸入により、または耳、鼻、眼、もしくは皮膚に対して局所的に、やはり投与可能である。投与様式は、ヘルスケア開業医の裁量に委ねられ、また医学的状態の部位に一部依存し得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、エトポシドは、静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、エトポシドは、約50〜約100mg/mの量で静脈内に投与される。最も一般的には、エトポシドは、100mg/mで投与される。いくつかの実施形態では、エトポシドは、静脈内注入により、約1時間にわたり投与される。特定の実施形態では、エトポシドは、静脈内注入により、約100mg/mで60分間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、エトポシドは、3週間毎、1日目〜3日目(D1〜3 Q3W)に、約100mg/mの量で投与される。特定の実施形態では、エトポシドは、静脈内注入により1日目に投与され、次に静脈内注入または経口投与により、2日目および3日目に投与される。
【0130】
特定の実施形態では、トポテカンは、3週間毎、1日目〜5日目(D1〜5 Q3W)に投与される。
【0131】
特定の実施形態では、シスプラチンは、静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、シスプラチンは、静脈内注入により約1時間にわたり投与される。特定の実施形態では、シスプラチンは、約50〜約75mg/mの量で静脈内に投与される。最も一般的には、シスプラチンは、75mg/mで投与される。特定の実施形態では、シスプラチンは、静脈内注入により、約75mg/mで60分間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、シスプラチンは、3週間毎に1回(Q3W)、約75mg/mの量で投与される。
【0132】
特定の実施形態では、本発明は、それを必要としている患者におけるがんを治療する方法であって、シスプラチンおよびエトポシドと併用して、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。最も一般的には、シスプラチンは75mg/mで投与され、またエトポシドは100mg/mで投与される。
【0133】
いくつかの実施形態では、エトポシドおよびシスプラチンは、どちらかの順序で連続して、または実質的に同時に投与される。追加の化学療法剤は、分離した組成物、製剤、もしくは単位投与剤形に含めて任意の順序で(すなわち、同時にまたは連続して)、または単一の組成物、製剤、もしくは単位投与剤形に含めて共に、患者に投与される。特定の実施形態では、エトポシドは、エトポシドおよびシスプラチンを含む同一の組成物に含めて同時に投与される。特定の実施形態では、エトポシドおよびシスプラチンは、分離した組成物に含めて同時に投与される、すなわちエトポシドおよびシスプラチンは、分離した単位投与剤形に含めてそれぞれ同時に投与される。エトポシドおよびシスプラチンは、適切な投与プロトコールに基づき、同一日または異なる日に、任意の順序で投与されるものと認識される。
【0134】
特定の実施形態では、本発明は、それを必要としている患者において、好ましくは肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、卵巣、膵臓、およびその組織学的サブタイプ(例えば、アデノ、扁平上皮、大細胞)から選択されるがんを治療する方法であって、抗PD−L1抗体、ならびに好ましくはエトポシドおよびシスプラチンから選択される少なくとも1つの追加の治療剤と併用して、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む方法を提供し、その場合、(i)DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および追加の治療剤は、任意選択的に抗PD−L1抗体と共に、同一の組成物内に提供される、(ii)DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および抗PD−L1抗体は、任意選択的に追加の治療剤と共に、同一の組成物内に提供される、または(iii)抗PD−L1抗体および追加の治療剤は、任意選択的にDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩と共に、同一の組成物内に提供される。特定の実施形態では、提供される方法は、患者に対する放射線療法の施行をさらに含む。
【0135】
特定の実施形態では、本発明は、それを必要としている患者において、好ましくは肺、頭頸部、結腸、神経内分泌系、間葉、乳房、膵臓、およびその組織学的サブタイプ(例えば、アデノ、扁平上皮、大細胞)から選択されるがんを治療する方法であって、抗PD−L1抗体、ならびに好ましくはエトポシドおよびシスプラチンから選択される少なくとも1つの追加の治療剤と併用して、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む方法を提供するが、その場合、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、抗PD−L1抗体、および追加の治療剤は、前記患者に同時にまたは連続して投与するために分離した組成物に含めて提供される。特定の実施形態では、提供される方法は、患者に対する放射線療法の施行をさらに含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要としている患者においてがんを治療する方法であって、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与するステップ、その後にシスプラチンの投与、次にエトポシドの投与を含む、方法を提供する。特定の実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1が、シスプラチンの投与前約1〜2時間、好ましくは約1.5時間投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1が、前記患者にQDで投与される。特定の実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1が、5日間投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1が、約4日間〜約3週間、約5日間、約1週間、または約2週間投与される。
【0137】
特定の実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩は、放射線療法と併用して投与される。特定の実施形態では、提供される方法は、エトポシドおよびシスプラチンの一方または両方と併用して、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を投与することを含み、前記方法は、患者に対して放射線療法を施行するステップをさらに含む。特定の実施形態では、放射線療法は、20〜35フラクション当たり約35〜70Gyを含む。いくつかの実施形態では、放射線療法は、標準的なフラクション化(1.8〜2Gy、1週間に5日間)を用いて、最大50〜70Gyの総線量まで、1日1回実施される。例えば、1フラクション当たりより低線量であるが、しかし1日2回、DNA−PKインヒビター(やはり1日2回投薬される)と共に実施されるその他のフラクション化スケジュールも想定される。より短い期間により高い日線量も実施可能である。1つの実施形態では、定位放射線療法、ならびにガンマナイフが使用される。一時的緩和の場合では、その他のフラクション化スケジュール、例えば5フラクションで25Gyまたは10フラクションで30Gyも幅広く使用されている。いずれの場合も、アベルマブは、2週間毎に投薬されるのが好ましい。放射線療法の場合、治療期間は放射線療法が実施されるときのタイムフレームである。このような介入は、電子、光子、およびプロトン、α放射体、またはその他のイオンを用いて与えられる治療、放射性核種による治療、例えば甲状腺がんの患者に与えられる131Iによる治療、ならびにホウ素中性子捕捉療法で治療される患者の治療に適用される。
【0138】
いくつかの実施形態では、併用レジメンは以下のステップを含む:(a)医師の指示または管理の下、対象は、DNA−PKインヒビターの初回投与を受ける前にPD−L1抗体の投与を受ける、;および(b)医師の指示または管理の下、対象は、DNA−PKインヒビターの投与を受ける。いくつかの実施形態では、併用レジメンは以下のステップを含む:(a)医師の指示または管理の下、対象は、PD−L1抗体の初回投与を受ける前にDNA−PKインヒビターの投与を受ける;および(b)医師の指示または管理の下、対象は、PD−L1抗体の投与を受ける。いくつかの実施形態では、併用レジメンは以下のステップを含む:(a)対象に自己投与を処方するステップ、および対象が、DNA−PKインヒビターの初回投与前に、PD−L1抗体を自己投与したことを検証するステップ;ならびに(b)DNA−PKインヒビターを対象に投与するステップ。いくつかの実施形態では、併用レジメンは以下のステップを含む:(a)対象に自己投与を処方するステップ、および対象が、PD−L1抗体の初回投与前に、DNA−PKインヒビターを自己投与したことを検証するステップ;ならびに(b)PD−L1抗体を対象に投与するステップ。いくつかの実施形態では、併用レジメンは、対象が、DNA−PKインヒビターの初回投与前にPD−L1抗体の投与を受けた後、DNA−PKインヒビターを対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、併用レジメンは、抗PD−L1抗体の初回投与前に、対象が、DNA−PKインヒビターの投与を受けた後、抗PD−L1抗体を対象に投与するステップを含む。
【0139】
さらなる態様では、併用レジメンは、導入相を含み、任意選択的に、導入相終了後に維持相が後続する。本明細書で使用する場合、併用治療は、定義された期間の治療(すなわち、第1相または導入相)を含む。そのような期間または相の終了後、別の定義された期間の治療が後続し得る(すなわち、第2相または維持相)。換言すれば、安定な疾患またはそれよりより良好な疾患を有する患者において、化学療法治療が完了したら、維持戦略が有利であると考えられ、疾患進行まで患者を治療する。特定の実施形態では、維持には、好ましくは抗PD−L1抗体単剤療法、より好ましくはアベルマブ単剤療法、またはDNA−PKインヒビターとの併用が含まれ得る。
【0140】
治療レジメンは、導入相および維持相において異なる。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、導入相もしくは維持相において同時的に投与され、任意選択的にその他の相においては非同時的に投与される、または抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、導入相および維持相において非同時的に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、導入相または維持相において同時的に投与される(同じ相の期間中に)。特に、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターが導入相において同時的に投与される場合には、それらは維持相において再び同時的に投与されることはなく、またその逆も成り立つ。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体またはDNA−PKインヒビターは、任意選択的に化学療法、放射線療法、または化学放射線療法と共に、その他の相においてさらに投与され得る。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、導入相および維持相において非同時的に投与される、すなわち、両者のうちの一方が導入相において、そして他方が維持相において投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、同時的投与は、連続してどちらかの順序でまたは実質的に同時に、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを投与することを含む。本明細書で使用する場合、同時的投与は、いずれの場合にも1つの同じ相の治療期間中に、連続してどちらかの順序でまたは実質的に同時に、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを投与することを含む。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、分離した組成物、製剤、もしくは単位投与剤形に含めて、または単一の組成物、製剤、もしくは単位投与剤形に含めて共に、患者に対して任意の順序で(すなわち、同時にまたは連続して)投与される。特定の実施形態では、抗PD−L1抗体は、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む同一組成物に含めて同時に投与される。特定の実施形態では、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、分離した組成物に含めて同時に投与される、すなわちこの場合、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、分離した単位投与剤形に含めてそれぞれ同時に投与される。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターは、適切な投与プロトコールに基づき、同一日または異なる日に、任意の順序で投与されるものと認識される。対照的に、非同時的投与は、2つの異なる治療の相において、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを連続して投与することを含む、すなわち、両者のうち一方のみが導入相において、そして他方が維持相において投与される。
【0142】
抗PD−L1抗体、好ましくはアベルマブが、DNA−PKインヒビターと同時的に(単独で、または化学療法もしくは放射線療法、またはその両方と併用して)、あるいは連続して、すなわちDNA−PKインヒビターによる治療(化学療法または放射線療法を伴う/伴わない)が中止した後に(維持療法として)投薬され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビターは、導入相において単独投与される。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビターは、導入相において1つまたは複数の療法と同時的に投与され、そのような療法は、抗PD−L1抗体、化学療法、および放射線療法の群から選択される。導入相は、DNA−PKインヒビターおよびPD−L1抗体の同時的投与を特に含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、維持相において単独投与される。いくつかの実施形態では、抗PD−L1抗体は、維持相においてDNA−PKインヒビターと同時的に投与される。いくつかの実施形態では、維持相においていずれも投与されない。いくつかの実施形態では、維持相が存在しない。
【0145】
いくつかの実施形態では、導入相は、DNA−PKインヒビターの投与を含み、導入相終了後、維持相が、抗PD−L1抗体の投与を含む。DNA−PKインヒビターおよび抗PD−L1抗体は、いずれも単独で、1つまたは複数の化学療法剤、放射線療法、または化学放射線療法と同時的または非同時的に投与され得る。化学療法および/または放射線療法は、好ましくは導入相において施行される。
【0146】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、導入相および維持相の期間中に、対象におけるSCLC EDを治療する方法を提供し、導入相は、任意選択的にシスプラチンと共に、DNA−PKインヒビターおよびエトポシドの同時的投与を含み、維持相は、導入相終了後に、任意選択的にDNA−PKインヒビターと共に、抗PD−L1抗体を投与することを含む。本明細書において、導入相は、SCLC EDを治療するために、DNA−PKインヒビター、エトポシド、およびシスプラチンの三者併用を特に含む(例えば、図5(1)を参照)。
【0147】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、導入療法後、セカンドラインおよび地固め治療期間中に進行した転移性のNSCLCを有する対象を治療する方法を提供する。導入相は、抗PD−L1抗体および放射線療法と併用してDNA−PKインヒビターを投与することを含むが、維持相は、任意選択的にDNA−PKインヒビターと共に、抗PD−L1抗体を投与することを含む。本明細書において、導入相は、DNA−PKインヒビター、アベルマブ、および放射線療法の三者併用を特に含む。
【0148】
いくつかのその他の好ましい実施形態では、本発明は、導入相の期間中に対象におけるSCLC EDを治療する方法を提供し、該導入相は、任意選択的にシスプラチンと共に、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、およびエトポシドの同時的投与を含み、そして任意選択的に、該導入相終了後の維持相をさらに含み、該維持相は、抗PD−L1抗体の投与を含む(例えば、図5(2)、図5(3)、または図6を参照)。本明細書において、導入相は、SCLC EDを治療するために、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、エトポシド、およびシスプラチンの四者併用を特に含む。導入相終了後、SCLC ED治療は、抗PD−L1抗体の投与を含む維持相において継続され得る(例えば、図7を参照)。化学療法による治療期間は、場合によっては6サイクルで打ち止めとなる(例えば、SCLCを治療するとき)または悪性疾患の進行までである。いくつかの実施形態では、エトポシドは、任意選択的にシスプラチンと共に、最大6サイクルまたはSCLC EDの進行まで投与される。いずれの理論にも拘泥するものではないが、化学療法後、残留腫瘍細胞は、複製期間中に自然発生的なDSBを継続して生成し、それによって残留腫瘍細胞はDNA−PKインヒビターの標的となる。SCLCについて化学療法を受けるほとんどの患者は、せいぜい部分応答を実現するに過ぎず、したがって化学療法後に生ずるDSB修復を阻害するために、DNA−PKインヒビターを免疫チェックポイントインヒビター、すなわち抗PD−L1抗体と併用し、腫瘍負荷および/または疾患再発をさらに低下させる維持療法から利益を得る。
【0149】
1つの実施形態では、SCLCは、セカンドラインまたはそれ以降において治療される。特に、SCLCには、難治性のSCLCを有する患者(すなわち、疾患が3カ月以内に再発する患者のOSは約5.7カ月、PFSは2.6カ月、およびRRは約10%である)、および再発したSCLCを有する患者(すなわち、疾患が3カ月後に再発する患者のOSは7.8カ月およびRRは約23%である)が含まれる。難治性のSCLCを有する患者の場合、トポテカンが幅広く使用されているものの、SoCは存在しない(例えば、図8を参照)。
【0150】
いくつかのその他の好ましい実施形態では、本発明は、導入相期間中にmCRC MSI−Lを治療する方法を提供し、同法は、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、イリノテカン、およびフルオロウラシルの同時的投与を含む。1つの実施形態では、低頻度MSIのmCRCは、セカンドラインまたはそれ以上で治療される。結腸直腸がん(CRC)は、例えば治療に影響を与えるKRASおよびNRAS突然変異状態に基づき、いくつかの分子サブグループに細分化され得る(例えば、EGFR標的とVEGF標的)。別の特徴づけは、マイクロサテライト状態、すなわち安定(MSS)または不安定、低頻度(MSI−L)または高頻度(MSI−H)に基づく。MSI−Hは、CRCを有する全患者の約15%のみに、しかしMSI−L/MSSは85%に認められる。初期の研究から、単剤療法でのPD−xは、MSS/MSI−L CRC患者に対して効果がないことが判明した(0% ORR)(Le et al. (2015), N Engl J Med 372: 2509)(例えば、図9または図10(1)を参照)。
【0151】
いくつかのその他の好ましい実施形態では、本発明は、導入相および維持相の期間中にNSCLCまたはSCCHNを治療する方法を提供し、該導入相は、DNA−PKインヒビターおよび放射線療法または化学放射線療法の同時的施行を含み、該導入相終了後、該維持相は、抗PD−L1抗体の投与を含む。本明細書において、導入相は、NSCLCまたはSCCHNを治療するために、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、および放射線療法の同時的施行を特に含む。1つの実施形態では、NSCLCのファーストライン治療において、化学放射線療法にはアベルマブが後続する。1つの実施形態では、NSCLCのファーストライン治療において、放射線療法がアベルマブと同時的に施行される。1つの好ましい実施形態では、SCCHNのファーストライン治療において、化学放射線療法にはアベルマブが後続する。1つの好ましい実施形態では、放射線療法は、SCCHNのファーストライン治療において、アベルマブと同時的に施行される。1つの好ましい実施形態では、放射線療法は、再照射(40〜50Gy)に適格性を有する再発性SCCHNのセカンドライン治療において、アベルマブと同時的に施行される。再発性/転移性のSCCHNを有する患者のOSは約5〜7カ月、PFSは4〜5カ月、およびRRは約30%である。再発性/転移性のSCCHNを有する患者の場合、フルオロウラシルならびにタキサンを伴い/伴わずにメトロトレキサート(metrotrexate)、プラチンが使用されるが、SoCは存在しない(例えば、図10(2)を参照)。
【0152】
本明細書において、DNA−PKインヒビターと併用して医薬品として使用するための抗PD−L1抗体も提供される。抗PD−L1抗体と併用して医薬品として使用するためのDNA−PKインヒビターも同様に提供される。DNA−PKインヒビターと併用してがんの治療で使用するための抗PD−L1抗体も提供される。抗PD−L1抗体と併用してがんの治療で使用するためのDNA−PKインヒビターも同様に提供される。
【0153】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物も提供される。医薬品として使用するための、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物も提供される。がんの治療で使用するための、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物も提供される。
【0154】
別途明記されない限り、上記した様々な実施形態において、抗PD−L1抗体は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含むものと理解されなければならない。
【0155】
抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターを含む組合せ物の、がん治療用の医薬品を製造するための使用も提供され、該抗PD−L1抗体は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む。
【0156】
療法の併用に関する本明細書のこれまでの教示は、それを使用する方法、ならびに「療法の併用およびその使用方法」と題する本セクションのすべての態様およびその実施形態を含め、がんを治療する際に使用される医薬品、抗PD−L1抗体、および/またはDNA−PKインヒビター、ならびに併用、および該当する場合には、本セクションの態様およびその実施形態に対して有効であり、また制限を設けずに適用可能である。
【0157】
医薬製剤およびキット
いくつかの実施形態では、本発明は、抗PD−L1抗体を含む薬学的に許容される組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的に許容される組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、化学療法剤の薬学的に許容される組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、および少なくとも薬学的に許容される添加剤またはアジュバントを含む医薬組成物を提供する。上記および下記の様々な実施形態では、抗PD−L1抗体は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩を含む組成物は、抗PD−L1抗体および/または化学療法剤を含む組成物から分離している。いくつかの実施形態では、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および抗PD−L1抗体および/または化学療法剤は、同一の組成物中に存在する。
【0158】
特定の実施形態では、本発明は、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、ならびにエトポシドおよびシスプラチンのうちの少なくとも1つを含む組成物を、任意選択的に抗PD−L1抗体と共に提供する。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、ならびにエトポシドおよびシスプラチンのうちの少なくとも1つを含み、経口投与用として製剤化される。
【0159】
代表的なそのような薬学的に許容される組成物は、下記および本明細書においてさらに記載されている。
【0160】
経口投与用の液体剤形として、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。化合物1または薬学的に許容されるその塩、および/または化学療法剤に付加して、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性な賦形剤、例えば水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ピーナッツ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物等を含有し得る。さらに不活性な賦形剤として、経口組成物には、アジュバント、例えば湿潤剤等、乳化および懸濁剤、甘味料、香味料(原文lavouring)、および芳香剤を含めることができる。
【0161】
注射用調製物、例えば、無菌注射用の水性または油性の懸濁物は、適する分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に基づき製剤化され得る。無菌注射用調製物は、無菌注射用の溶液、無毒性で非経口的に許容される賦形剤または溶媒中の懸濁物またはエマルジョン、例えば、1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。採用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒として、水、リンガー溶液、U.S.P.、および等張食塩水が挙げられる。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として慣習的に利用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無菌不揮発性油が採用され得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸等は、注射剤の調製で使用される。
【0162】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通じた濾過により、または滅菌水もしくはその他の無菌注射用媒体に溶解もしくは分散可能な無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、使用する前に滅菌処理され得る。
【0163】
抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1、および/または追加の化学療法剤の効果を延長するために、多くの場合、皮下または筋肉内注射からの吸収を低速化するのが望ましい。これは、水に難溶性である結晶性/非結晶性物質の液体懸濁物の使用により達成され得る。吸収速度は、その溶解速度に依存し、遡れば結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与される抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および/または化学療法剤の吸収遅延は、化合物を油ビヒクル中に溶解または懸濁することにより実現される。注射用デポ形態は、生分解性のポリマー、例えばポリラクチド−ポリグリコリド等の中で、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および/または化学療法剤からなるマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する化合物の比、および採用された具体的なポリマーの性質に依存して、化合物の放出速度は制御可能である。その他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポ注射用製剤は、化合物を身体組織と適合性を有するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に捕捉することによっても調製される。
【0164】
直腸または膣腔投与用の組成物は、好ましくは坐剤であり、これは、本発明の化合物を、周囲温度で固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔内で融解し、活性化合物を放出する、適する非刺激性の添加剤または担体、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、または坐薬ワックス等と混合することにより調製可能である。
【0165】
経口投与用の固体剤形として、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される添加剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等、および/またはa)充填剤または増量剤、例えばスターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸等、b)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア等、c)保水物質、例えばグリセロール等、d)崩壊剤、例えば寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム等、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン等、f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物等、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土等、ならびにi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等、およびその混合物と混合される。カプセル、錠剤、および丸薬の場合は、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0166】
類似したタイプの固体組成物も、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような添加剤を使用する、軟および硬ゼラチンカプセル内の充填剤として採用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶性コーティングや製薬技術分野において周知のその他のコーティング等と共に調製され得る。そのような固体剤形は、任意選択的に不透明化剤を含有し得るが、また腸管の特定の部分において有効成分(複数可)をそれに限り、または優先的に、任意選択的に遅延した方式で放出する組成物からなる場合もある。使用可能である埋め込み組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0167】
抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および/または化学療法剤は、上記のように1つまたは複数の添加剤と共にマイクロカプセル化された形態でもあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶性コーティング、放出制御型コーティング、および製薬技術分野において周知のその他のコーティング等と共に調製され得る。そのような固体剤形では、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および/または化学療法剤は、少なくとも1つの不活性な賦形剤、例えばスクロース、ラクトース、またはスターチ等と共に混合され得る。そのような剤形は、通常の実践法と同様に、不活性な賦形剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤およびその他の錠剤化補助剤、例えばステアリン酸マグネシウムや微結晶セルロース等も含み得る。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。そのような剤形は、任意選択的に不透明化剤を含有し、また腸管の特定の部分において有効成分(複数可)をそれに限り、または優先的に、任意選択的に遅延した方式で放出する組成物からなる場合もある。使用可能である埋め込み組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0168】
抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、好ましくは化合物1または薬学的に許容されるその塩、および/または化学療法剤の局所的または経皮投与用の剤形として、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬、またはパッチが挙げられる。有効成分は、薬学的に許容される担体、および必要に応じて任意の必要とされる防腐剤またはバッファーと共に、無菌条件下で混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬も、本発明の範囲内に含まれるものとして検討される。さらに、本発明は、身体に対する化合物の制御された送達を実現するというさらなる長所を有する経皮パッチの使用について検討する。そのような剤形は、化合物を適切な媒体中に溶解または分注することにより作製可能である。吸収促進薬も、皮膚を横断する化合物の流れを増加させるために使用可能である。速度は、速度制御メンブレンを設けることにより、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲル内に分散することにより制御可能である。
【0169】
一般的に、本発明による抗PD−L1抗体または抗原結合断片は、対象への投与に適する医薬組成物中に組み込まれ、該医薬組成物は、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片、および薬学的に許容される担体を含む。多くの場合、組成物内には、等張化剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール等、または塩化ナトリウムが含まれるのが好ましい。薬学的に許容される担体は、微量の助剤、例えば湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤、またはバッファー等をさらに含み得るが、それらは抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片の保管寿命または有効性を増強する。
【0170】
本発明の組成物は、様々な形態であり得る。そのような形態として、例えば、液体、半固体、および固体の剤形、例えば液体溶液(例えば、注射用および注入用の溶液)、分散物または懸濁物、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム、および坐剤等が挙げられる。好ましい形態は、意図した投与様式および療法用途に依存する。代表的な好ましい組成物は、注射用または注入用の溶液の形態、例えばヒトの受動免疫化で使用される組成物と類似した組成物等である。好ましい投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内)である。好ましい実施形態では、抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片は、静脈内注入または注射により投与される。別の好ましい実施形態では、抗PD−L1抗体もしくはその抗原結合断片は、筋肉内または皮下注射により投与される。
【0171】
治療組成物は、製造および保管条件下で、一般的に無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散物、リポソーム、または高い薬物濃度に適するその他の秩序構造物として製剤化され得る。無菌の注射液は、上記列挙した配合物のうちの1つまたは組み合わせと共に、活性な抗PD−L1抗体またはその抗原結合断片を、適切な溶媒中に必要とされる量で組み込み、必要に応じて、その後に濾過式の滅菌処理を行うことにより調製可能である。一般的に、分散物は、有効成分を、基本的な分散媒体および上記列挙したものに由来する必要とされるその他の配合物を含有する無菌のビヒクル中に組み込むことにより調製される。無菌の注射液を調製するための無菌の粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、予め滅菌フィルター処理された溶液に由来する有効成分+任意の追加の望ましい配合物の粉末がその方法から得られる。溶液の適正な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチン等の使用により、分散物の場合は必要とされる粒径を維持することにより、および界面活性剤の使用により維持され得る。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物内に含めることにより実現し得る。
【0172】
1つの実施形態では、アベルマブは、IV投与を意図した無菌、透明、および無色の溶液である。アベルマブバイアルの内容物は非発熱性であり、そして静菌性防腐剤を含有しない。アベルマブは20mg/mL溶液として製剤化され、そしてゴム隔膜を備えたストッパー付きの単回使用ガラスバイアル内に供給され、そしてアルミニウムポリプロピレンフリップオフシールで密閉される。投与するためには、アベルマブは、0.9%塩化ナトリウム(正常食塩溶液)で稀釈されなければならない。インライン式、ポリエーテルスルホン(PES)からなる低タンパク質結合性0.2ミクロンフィルターを備えたチューブが投与期間中に使用される。
【0173】
さらなる態様では、本発明は、抗PD−L1抗体と、対象におけるがんを治療するまたはその進行を遅延させるための、DNA−PKインヒビターと併用される抗PD−L1抗体の使用に関する指示を含む添付文書とを含むキットに関係する。DNA−PKインヒビターと、対象におけるがんを治療する、またはその進行を遅延させるための、抗PD−L1抗体と併用されるDNA−PKインヒビターの使用に関する指示を含む添付文書とを含むキットも提供される。抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターと、対象におけるがんを治療する、またはその進行を遅延させるための、抗PD−L1抗体およびDNA−PKインヒビターの使用に関する指示を含む添付文書とを含むキットも提供される。上記キットの様々な実施形態では、抗PD−L1抗体は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む。キットは、第1の容器、第2の容器、および添付文書を含み得るが、第1の容器は、抗PD−L1抗体を含む少なくとも1つの用量の医薬品を含み、第2の容器は、DNA−PKインヒビターを含む少なくとも1つの用量の医薬品を含み、添付文書は、該医薬品を使用して対象をがんについて治療することに関する指示を含む。第1および第2の容器は、同一または異なる形状(例えば、バイアル、シリンジ、およびボトル)、および/または材料(例えば、プラスチックまたはガラス)から構成され得る。キットは、医薬品を投与する際に有用であり得るその他の材料、例えば賦形剤、フィルター、IVバッグ、およびライン、針、およびシリンジ等をさらに含み得る。指示は、医薬品が、免疫組織化学(IHC)アッセイ法により、PD−L1発現について試験結果が陽性であるがんを有する対象の治療に使用されることが意図されていることを示し得る。
【0174】
療法の併用に関する本明細書のこれまでの教示は、それを使用する方法、ならびに「療法の併用およびその使用方法」と題する上記セクションのすべての態様およびその実施形態を含め、医薬製剤およびキット、ならびに該当する場合には、「医薬製剤およびキット」と題する本セクションの態様およびその実施形態に対して有効であり、制限を設けずに適用可能である。
【0175】
さらなる診断、予測、予後、および/または療法に関する方法
本開示は、診断、予測、予後、および/または療法に関する方法であって、目的とするマーカーの発現レベルの同一性の決定に少なくとも一部基づく方法をさらに提供する。特に、がん患者サンプル中のヒトPD−L1の量は、患者が本発明の療法の併用を利用するがん療法に対して有利に反応する可能性があるかどうか、その可能性を予測するのに使用可能である。
【0176】
任意の適するサンプルが、本方法で使用可能である。そのようなサンプルの非限定的な例として、針生検、コア生検、および針アスピレートから単離可能な血清サンプル、血漿サンプル、全血、膵液サンプル、組織サンプル、腫瘍ライセート、または腫瘍サンプルのうちの1つまたは複数が挙げられる。例えば、組織、血漿、または血清サンプルは、治療前および任意選択的に本発明の療法の併用による治療中に患者から採取される。治療中に取得される発現レベルは、患者の治療開始前に取得された数値と比較される。取得される情報は、患者が、がん療法に対して有利または不利に応答したか示唆し得るという点において予後的であり得る。
【0177】
本明細書に記載する診断アッセイ法を使用して取得される情報は、単独で、またはその他の情報、例えば、その他の遺伝子の発現レベル、臨床化学パラメーター、組織病理学パラメーター、もしくは対象の年齢、性別、および体重等、ただしこれらに限定されない情報と組み合わせて使用され得るものと理解される。単独で使用されるとき、本明細書に記載する診断アッセイ法を使用して取得される情報は、治療の臨床転帰を判断もしくは特定する、治療目的で患者を選択する、または患者を治療する等の際に有用である。一方、その他の情報と組み合わせて使用されるとき、本明細書に記載する診断アッセイ法を使用して取得される情報は、治療の臨床転帰を判定もしくは特定する際のその支援、治療目的で患者を選択する際のその支援、または患者を治療する際のその支援等において有用である。特別な態様では、発現レベルは診断パネルにおいて使用可能であり、診断パネルのそれぞれは、最終診断、予後、または患者に対して選択された治療に寄与する。
【0178】
任意の適する方法が、PD−L1ペプチド、DNA、RNA、またはPD−L1レベルに関するその他の適する読み出し情報を測定するのに使用可能であり、その例は本明細書に記載されており、および/または当業者に周知されている。
【0179】
いくつかの実施形態では、PD−L1レベルを決定するステップは、PD−L1の発現を決定するステップを含む。いくつかの好ましい実施形態では、PD−L1レベルは、例えば、PD−L1特異的リガンド、例えば抗体または特異的結合パートナー等を用いた、患者サンプル中のPD−L1ペプチド濃度により決定される。結合イベントは、該結合イベントについてマーカータンパク質と競合する標識されたPD−L1標準品を含む、標識されたリガンドまたはPD−L1特異的部分、例えば、抗体または標識された競合的部分の使用等、例えば、競合的または非競合的方法により検出可能である。マーカー特異的リガンドがPD−L1と複合体を形成する能力を有する場合には、複合体形成は、サンプル中のPD−L1発現を示唆する可能性がある。様々な実施形態では、バイオマーカータンパク質レベルは、定量的ウェスタンブロット、複合型イムノアッセイフォーマット、ELISA、免疫組織化学、組織化学を含む方法、または腫瘍ライセートのFACS解析法、蛍光免疫染色法、ビーズに基づく懸濁イムノアッセイ法、Luminex技術、または近接ライゲーションアッセイ法の使用により決定される。好ましい実施形態では、PD−L1発現は、1つまたは複数の一次抗PD−L1抗体を使用する免疫組織化学により決定される。
【0180】
別の実施形態では、バイオマーカーRNAレベルは、マイクロアレイチップ、RT−PCR、qRT−PCR、マルチプレックスqPCR、またはin−situハイブリダイゼーションを含む方法により決定される。本発明の1つの実施形態では、DNAまたはRNAアレイは、固体表面上に固定されたPD−L1遺伝子により提示される、またはそれにハイブリダイズするポリヌクレオチドの配置を含む。例えば、必要な場合には、適切なサンプル調製ステップ、例えば、組織ホモジナイゼーション後に、PD−L1 mRNAを決定する範囲まで、サンプルのmRNAが単離され、そして特にマイクロアレイプラットフォーム上、増幅有り/無しで、マーカー特異的プローブ、またはPCRに基づく検出法、例えば、マーカーmRNAの一部分に対して特異的なプローブを用いたPCR伸長ラベリング用のプライマーとハイブリダイズし得る。
【0181】
いくつかのアプローチが、腫瘍組織切片のIHCアッセイ法において、PD−L1タンパク質の発現を定量することについて記載されている(Thompson et al. (2004) PNAS 101(49): 17174; Thompson et al. (2006) Cancer Res. 66: 3381; Gadiot et al. (2012) Cancer 117: 2192; Taube et al. (2012) Sci Transl Med 4, 127ra37;およびToplian et al. (2012) New Eng. J Med. 366 (26): 2443)。1つのアプローチは、PD−L1発現について陽性または陰性の単純なバイナリーエンドポイントを採用しており、陽性結果は、細胞表面メンブレン染色の組織学的エビデンスを表わす腫瘍細胞の割合(%)として定義される。PD−L1発現について陽性としてカウントされる腫瘍組織切片は、総腫瘍細胞の少なくとも1%、好ましくは5%である。PD−L1 mRNA発現のレベルは、定量的RT−PCRで頻繁に使用される1つまたは複数の参照遺伝子、例えばユビキチンC等のmRNA発現レベルと比較され得る。いくつかの実施形態では、悪性細胞による、および/または腫瘍内の浸潤性免疫細胞によるPD−L1発現(タンパク質および/またはmRNA)のレベルは、該当するコントロールによるPD−L1発現(タンパク質および/またはmRNA)のレベルとの比較に基づき、「過剰発現」または「上昇」として決定される。例えば、コントロールPD−L1タンパク質またはmRNA発現レベルは、同一の型の非悪性細胞内、または一致した正常組織から得た切片内で定量化されるレベルであり得る。
【0182】
好ましい実施形態では、本発明の療法の併用の有効性は、腫瘍サンプル中のPD−L1発現によって予測される。抗PD−L1一次抗体を用いた免疫組織化学は、抗PD−L1抗体、例えばアベルマブ等で治療された患者から得られた試料をホルマリン固定パラフィン包埋して連続的に切り出したものについて実施可能である。
【0183】
本開示は、本発明の併用ががん患者の療法治療に適するかどうか判定するキットであって、患者から単離されたサンプル中のPD−L1のタンパク質レベルまたはそのRNAの発現レベルを決定する手段と使用説明書とを含む前記キットも提供する。別の態様では、キットは免疫療法用のアベルマブをさらに含む。本発明の1つの態様では、患者が本発明の療法の併用で治療されるとき、高PD−L1レベルの判定は、PFSまたはOSの向上を示唆する。キットの1つの実施形態では、PD−L1タンパク質レベルを決定する手段は、PD−L1と個々に特異結合する抗体である。
【0184】
なおも別の態様では、本発明は、対象から採取されたサンプル中のPD−L1発現に基づき、がんを有する対象を治療するための組合せ物の使用をターゲット層に奨励するステップを含む、DNA−PKインヒビターと併用される抗PD−L1抗体を通知する方法であって、該抗PD−L1抗体が、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む重鎖、ならびに配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む軽鎖を含む、方法を提供する。奨励は、利用可能な任意の手段により実施され得る。いくつかの実施形態では、奨励は、本発明の療法の併用の市販製剤を伴う添付文書による。奨励は、抗PD−L1抗体、DNA−PKインヒビター、または別の医薬品の市販製剤を伴う添付文書にもより得る(治療が、本発明の療法の併用およびさらなる医薬品による療法であるとき)。奨励は、医師または医療提供者に対する文書または口頭によるコミュニケーションにより得る。いくつかの実施形態では、奨励は添付文書によるが、その場合添付文書は、PD−L1発現レベルを測定した後、本発明の療法の併用を用いて、およびいくつかの実施形態では、別の医薬品と併用して療法を受けるという指示を提供する。いくつかの実施形態では、奨励には、別の医薬品を伴い/伴わずに、本発明の療法の併用による患者の治療が後続する。いくつかの実施形態では、添付文書は、患者のがんサンプルがPD−L1バイオマーカーレベルが高いことにより特徴づけられる場合には、本発明の療法の併用が、患者を治療するのに使用されることを表示する。いくつかの実施形態では、添付文書は、患者のがんサンプルが発現するPD−L1バイオマーカーレベが低い場合には、本発明の療法の併用は患者を治療するのに使用されないことを表示する。いくつかの実施形態では、PD−L1バイオマーカーレベルが高いとは、患者が本発明の療法の併用により治療されるとき、測定されたPD−L1レベルは、PFSおよび/またはOSが向上する可能性と相関関係を有することを意味し、その逆も成り立つ。いくつかの実施形態では、本発明の療法の併用により治療されない患者と比較して、PFSおよび/またはOSは減少する。いくつかの実施形態では、促進は添付文書によるが、その場合、添付文書は、最初にPD−L1レベルを測定した後、DNA−PKインヒビターと併用されるアベルマブにより療法を受けるという指示を提供する。いくつかの実施形態では、促進には、別の医薬品を伴い/伴わずに、DNA−PKインヒビターと併用したアベルマブによる患者の治療が後続する。本発明に基づき適用可能な、通知および指示するさらなる方法、またはビジネス法が、例えば、米国特許出願公開第2012/0089541号明細書に記載されている(その他の薬物およびバイオマーカーについて)。
【0185】
療法の併用に関する本明細書のこれまでの教示は、それを使用する方法、ならびに「療法の併用およびその使用方法」と題する上記セクションのすべての態様およびその実施形態を含め、方法およびキット、ならびに該当する場合には「さらなる診断、予測、予後、および/または治療に関する方法」と題する本セクションの態様およびその実施形態に対して有効であり、制限を設けずに適用可能である。
【0186】
本明細書で引用された参考資料のすべては、本明細書により、本発明の開示において、参照として組み込まれている。
【0187】
本発明は、本明細書に記載する特定の分子、医薬組成物、使用、および方法に限定されず、したがってそのような事柄はもちろん変化し得ると理解される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するために限定されており、そして本発明の範囲を限定するようには意図されておらず、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるものと、やはり理解される。本発明に基づき必須である技術は、本明細書に詳記されている。詳記されないその他の技術は、当業者に周知されている公知標準法に対応する、または技術は、引用された参考資料、特許出願、または標準的な文献に、より詳細に記載されている。本出願においてその他の示唆が与えられない限り、それらは例に限定して用いられ、本発明に基づき必須であるとはみなされず、むしろその他の適するツールおよび生体物質に置き換わり得る。
【0188】
本明細書に記載するものと類似したまたは同等の方法および材料も、本発明の実践または試験において使用可能であるではあるものの、適する実施例が下記に記載されている。実施例では、汚染性の活性とは無縁である(実用上可能である限り)標準的な試薬およびバッファーが使用される。実施例は明確に示された特性の組み合わせに限定されず、むしろ例示された特性は、本発明の技術的問題が解決される限り、無制限に再度組み合わせ可能であるものと、実施例は特に解釈されるべきである。同様に、特許請求の範囲のいずれかに記載の特性は、1つまたは複数のその他の特許請求の範囲に記載の特性と組み合わせることができる。概略的および詳細に記載されている本発明が例証されるが、ただし下記の実施例により限定されない。
【実施例】
【0189】
[実施例1]
アベルマブと併用されるDNA−PKインヒビター
M3814(化合物1)とアベルマブとの併用の可能性について、マウス結腸腫瘍モデルMC38を使用して、マウスを対象に入念に検討した。このモデルは、アベルマブのT細胞媒介性の抗腫瘍効果を研究するための必要要件である免疫適格性マウスの使用を可能にする。実験の構成には、1×10個の腫瘍細胞を動物の右脇腹に注射することにより、C57BL6/NマウスにおいてMC38腫瘍を誘発することが含まれた。カリパスを使用して長さと幅を測定することにより、腫瘍増殖を経時的に監視した。腫瘍が平均サイズ50〜100mmまで確立されたとき、マウスを10匹ずつ4治療群に細分化し、そして治療を開始した。この日を0日目として定義した。群1はビヒクル治療を受けた。群2は、M3814を、10ml/kgの容積、150mg/kgで、1日1回、経口投与を受けた。群3は、3、6、および9日目に、5ml/kgの容積、400μg/マウスで、1日1回、アベルマブの静脈内投与を受けた。群4は、3、6、および9日目に、10ml/kgの容積、150mg/kgで、1日1回、M3814の経口投与、および5ml/kgの容積、400μg/マウスで、1日1回、アベルマブの静脈内投与を受けた。
【0190】
研究の結果として、M3814とアベルマブの併用治療は、単剤療法治療のいずれに対しても有意に優れた(図3)。データのKaplan−Meyer評価から、各治療群の腫瘍のサイズが0日目におけるその初期容積と比較して2倍となるのに必要とされるメジアン時間は、群1について6日間、群2について10日間、群3について13日間、および群4について20日間であることが明らかにされた。13日目に計算された各T/C値は、群2について47%、群3について60%、および群4について21%であった。治療は全体的に良好な忍容性を示した。
【0191】
[実施例2]
アベルマブおよび放射線療法と併用されるDNA−PKインヒビター
M3814(化合物1)、アベルマブ、および放射線療法の併用の可能性について、マウス結腸腫瘍モデルMC38を使用して、マウスを対象に入念に検討した。このモデルは、アベルマブのT細胞媒介性の抗腫瘍効果を研究するための必要要件である免疫適格性マウスの使用を可能にする。実験の構成には、1×10個の腫瘍細胞を動物の右脇腹に注射することにより、C57BL6/NマウスにおいてMC38腫瘍を誘発することが含まれた。カリパスを使用して長さと幅を測定することにより、腫瘍増殖を経時的に監視した。腫瘍が平均サイズ50〜100mmまで確立されたとき、マウスを10匹ずつ4治療群に細分化し、そして治療を開始した。この日を0日目として定義した。群1は、2Gyの日線量で連続5日間、電離照射(IR)およびビヒクル治療を受けた。群2は、2Gyの日線量で、連続5日間のIR、および各IRフラクションの30分前に、10ml/kgの容積、100mg/kgで、1日1回、連続5日間、M3814の経口投与を受けた。群3は、2Gyの日線量で、連続5日間のIR、ならびに8、11、および14日目に、5ml/kgの容積、400μg/マウスで、1日1回、アベルマブの静脈内投与を受けた。群4は、2Gyの日線量で、連続5日間のIR、ならびに各IRフラクションの30分前に、10ml/kgの容積、100mg/kgで、1日1回、連続5日間、M3814の経口投与、ならびに8、11、および14日目に、5ml/kgの容積、400μg/マウスで、1日1回、アベルマブの静脈内投与を受けた。
【0192】
研究の結果として、M3814、アベルマブ、およびIRの併用治療は、M3814およびIR、ならびにアベルマブおよびIRよりも有意に優れた(図4)。データのKaplan−Meyer評価から、各治療群の腫瘍のサイズが、0日目におけるその初期容積と比較して2倍となるのに必要とされるメジアン時間は、群1について10日間、群2について21日間、群3について10日間、および群4については、60%の動物が各腫瘍容積に到達しなかったので、研究終了の28日目までに到達しなかったことが明らかになった。治療は全体的に良好な忍容性を示した。
【0193】
[実施例3]
DNA−PKインヒビターおよびアベルマブを用いた併用研究
この実施例は、これまでに治療された低頻度MSI/MSS安定CRCを有する患者を対象として、アベルマブ(MSB0010718C)と併用されるDNA−PKインヒビター(M3814)の安全性、有効性、薬物動態、および薬力学を評価する臨床試験研究について例証する。
【0194】
この研究は、アベルマブと併用して投薬されるとき、DNA−PKiの最大耐用量(MTD)を推定し、そして第II相推奨用量(RP2D)を選択するように設計された、非盲検、多施設共同、用量漸増試験である。アベルマブと併用して投薬される場合のDNA−PKiのMTDが推定されたら(用量設定部分)、安全性プロファイル、抗腫瘍活性、薬物動態、薬力学、およびバイオマーカーの調節について、併用をさらに特徴づけるために、用量拡大相が開始される。プロトコールデザインは表1に記載されている。
【0195】
用量設定相は、ベバシズマブ、セツキシマブ、5−フルオロウラシル、イリノテカン、およびオキサリプラチンを含め、進行した疾患について事前の全身療法を受けたことのある、CRCを有する患者を対象として、MTDおよびRP2Dを推定する。用量設定は、表1に示すように、最大5つの潜在的な用量レベル(DL)が試験される、古典的な3+3デザインに従う。
【0196】
用量漸増相は、その進行した疾患について事前の全身療法を受けたことのある、CRCを有する患者を対象とした、アベルマブと併用されるDNA−PKiに関する拡大試験用量の特定に通じる。拡大試験用量は、MTD(すなわち、アベルマブと併用して投薬される場合のDNA−PKiの最高用量であり、<33%の患者においてDLTが生じることと関連する)、またはRP2D、すなわち治験責任医師および治験依頼者により安全かつ許容されることが宣言された最高試験用量である。拡大試験用量が特定されたら、用量拡大相が開始され、そしてアベルマブと併用されるDNA−PKiが、1つの疾患特異的コホート内のこれまでに治療されたCRCを有する患者、およびこれまでに治療されたSCLCを有する患者、最大およそ20〜40例を対象に評価される。
【0197】
【表1】
【0198】
組み入れ基準:組織学的または細胞学的に確認された、進行した低頻度MSI/MSS安定CRC(群1)またはSCLC(群2)。原発腫瘍摘出試料から得た、保管用ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織ブロックが必須である(すべての患者)。拡大コホートに限り、治験登録から6カ月以内に実施された手順から得られない場合、および患者が中間に位置する全身的な抗がん治療を受けなかった場合には、局所的に再発性または転移性の病変から得た新規腫瘍生検が必須である。RECISTバージョン1.1の定義に従い、少なくとも1つの測定可能な病変。年齢≧18歳。米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0または1。骨髄機能、腎臓および肝臓機能が適正。用量設定相に登録される患者数は、観測された安全性プロファイル、および試験される用量レベルの数に依存する。最大およそ95例の患者(用量設定相および用量拡大相を含む)が、治験に登録されるものと予測される。
【0199】
治験治療:DNA−PKiが、連続的な投与スケジュールに基づき、食物摂取せずに、経口により(PO)、1日2回(BID)投薬される。アベルマブは、1時間静脈内注入(IV)として2週間毎に(Q2W)投薬される。すべての患者において、疾患進行、患者拒絶、患者追跡不能、許容されない毒性が確認されるまで、または治験が治験依頼者により中止されるまでのいずれかが最初に到来するまで、治験薬による治療は継続し得る。アベルマブ注入関連の反応を緩和するために、25〜50mg IV、または経口等価量のジフェンヒドラミン、および650mg IVまたは経口等価量のアセトアミノフェン/パラセタモール(現地の実践法に従う)の事前投薬レジメンが、アベルマブの各投与前のおよそ30〜60分において投与され得る。これは、現地治療標準
およびガイドラインに基づき、適宜改変され得る。
【0200】
腫瘍の評価:抗腫瘍活性が、RECISTバージョン1.1を使用して、6週間の間隔をおいて、放射線腫瘍評価により評価される。完全および部分応答が、初回文書化後少なくとも4週間において、反復した画像検査に基づき確認される。治験登録から6〜12カ月後、腫瘍評価は、それほど頻繁ではなく、すなわち12週間の間隔をおいて実施されるべきである。さらに、放射線腫瘍評価は、疾患進行が疑われる(例えば、症状の悪化)ときは常に、および治療の終了/中止時に(過去6週間以内に実施されなかった場合)、やはり実施される。放射線画像検査がPDを示す場合には、腫瘍評価は、PDを確認するために、少なくとも≧4週間後に反復すべきである。ベースライン時および脳転移が疑われるときには、脳コンピュータ断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像検査(MRI)スキャンが必要とされる。骨スキャン(骨シンチグラフィー)または18−フルオロデオキシグルコース−陽電子放出断層撮影法/CT(18FDG−PET/CT)が、ベースライン時に、次にベースラインにおいて骨転移が存在する場合に限り、16週間毎に必要とされる。さもなければ、新規骨転移が疑われる場合にのみ、骨の画像検査が必要とされる。骨の画像検査は、骨転移を有する患者に対して、CRの確認時にやはり必要とされる。
【0201】
薬物動態/免疫原性評価:PK/免疫原性サンプリングが収集される。
【0202】
探索的バイオマーカー評価:本研究において実施されるバイオマーカー分析の重要な目的は、DNA−PKiとアベルマブを併用する治療利益について、おそらくは予測的なバイオマーカーを調査することである。さらに、腫瘍および血液生体試料のバイオマーカー研究が、アベルマブと併用されるDNA−PKiの作用機序、ならびに潜在的な抵抗性機構について理解を深めるのに役立つように実施される。保管された組織サンプルおよび転移性の病変に由来する腫瘍生体試料が、DNA、RNA、もしくはタンパク質マーカーの候補、または関連するマーカーのシグネチャーを、治験薬による治療から利益を得る可能性が最も高い患者を特定するその能力について分析するのに使用される。分析され得るマーカーとして、PD−L1発現腫瘍浸潤性のCD8+Tリンパ球およびT細胞受容体遺伝子配列定量が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。疾患進行時に取得される任意選択的な腫瘍生検は、後天的な抵抗性機構を調査するのに使用される。コア針生検もしくは切除生検、または摘出試料のみが適する。
【0203】
末梢血液:現地規則により、または治験審査委員会もしくは倫理委員会の決定により禁止されない限り、探索的バイオマーカー評価用に、試料が、バイオバンク内に全血、血清、および血漿として保持される。サンプルは、作用機序、またはDNA−PKiおよびアベルマブに対する抵抗性の発現にとって意義あることが知られているまたは疑われる細胞、DNA、RNA、またはタンパク質マーカーを特定する、または特徴づけるのに使用され得る。これには、DNA−PKiと併用されるアベルマブによる治療から優先的に利益を得ると考えられる患者を特定する際に役立ち得るバイオマーカーが含まれ、そのようなバイオマーカーとして抗腫瘍免疫応答または標的の調節と関連するバイオマーカー、例えば可溶性VEGF−A、IL−8、IFNγ、および/または組織FoxP3、PD−1、およびPD−L2等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。生体試料は、可能な限り、投与前およびPKサンプルと同時に取得されるべきである。
【0204】
[実施例4]
DNA−PKi、アベルマブ、および化学療法による併用研究
この実施例は、SCLCを有する患者を対象とする、DNA−PKi(M3814)およびアベルマブ(MSB0010718C)と、エトポシドとの併用(三者併用、群1)、ならびにシスプラチンおよびエトポシドとの併用(四者併用、群2)における安全性、有効性、薬物動態、および薬力学を評価する臨床試験研究について例証する。いくつかのケースでは、シスプラチン/カルボプラチンは、この実施例において白金と呼ばれ、シスプラチンは、カルボプラチンに置き換えることができる。
【0205】
この研究は、三者併用の一環として、または四者併用の一環として、併用投薬されるときに、DNA−PKiの最大耐用量(MTD)を推定し、そして第II相推奨用量(RP2D)を選択するようにデザインされた非盲検、多施設共同、用量漸増試験である。アベルマブおよびエトポシドと併用して投薬される場合のDNA−PKiのMTDおよび/またはRP2Dが推定されたら(用量設定部分)、安全性プロファイル、抗腫瘍活性、薬物動態、薬力学、およびバイオマーカーの調節について、併用をさらに特徴づけるために用量拡大相が開始される。三者併用の用量漸増が終了したら、四者併用の用量漸増が開始する。プロトコールデザインは設定表2aまたは表2bに記載されている。
【0206】
用量設定相は、進行した疾患に対して事前の全身療法を受けたことのある、SCLC進展型を有する患者を対象に、エトポシドまたはイリノテカンと併用されるカルボプラチン/シスプラチンを含め、MTDおよび/またはRP2Dを推定する。用量設定は、表2aまたは表2bに示すように、最大5つの潜在的用量レベル(DL)が試験される、古典的な3+3デザインに従う。
【0207】
用量漸増相は、その進行した疾患について事前の全身療法を受けたことのある、SCLCを有する患者を対象とした、アベルマブおよびエトポシドと併用されるDNA−PKiに関する拡大試験用量の特定に通じる。拡大試験用量は、MTD(すなわち、アベルマブおよびエトポシドと併用して投薬される場合のDNA−PKiの最高用量であり、患者の<33%においてDLTが生じることと関連する)、またはRP2D、すなわち治験責任医師および治験依頼者により安全かつ許容されることが宣言された最高試験用量である。拡大試験用量が特定されたら、用量拡大相が開始され、そしてアベルマブおよびエトポシドと併用されるDNA−PKiが、これまでに治療されたSCLCを有する患者、最大およそ20〜40例を対象に評価される。三者併用による用量漸増の終了後、類似したスキームが、これまでに治療されなかったSCLC EDを有する患者を対象とした、DNA−PKi、アベルマブ、エトポシドおよびシスプラチンの評価において使用される。
【0208】
【表2-1】
【0209】
【表2-2】
【0210】
組み入れ基準:組織学的または細胞学的に確認されたSCLC。原発腫瘍摘出試料から得た、保管用ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織ブロックが必須である(すべての患者)。拡大コホート群1に限り、治験登録から6カ月以内に実施された手順から得られない場合、および患者が中間に位置する全身的な抗がん治療を受けなかった場合には、局所的に再発性または転移性の病変から得た新規腫瘍生検が必須である。RECISTバージョン1.1の定義に従い、少なくとも1つの測定可能な病変。年齢≧18歳。米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0または1。骨髄機能、腎臓および肝臓機能が適正。用量設定相に登録される患者数は、観測された安全性プロファイル、および試験される用量レベルの数に依存する。最大およそ95例の患者(用量設定相および用量拡大相を含む)が、治験に登録されるものと予測される。
【0211】
治験治療:DNA−PKiが、連続的な投与スケジュールに基づき、食物摂取せずに、経口により(PO)、1日2回(BID)投薬される。アベルマブは、1時間静脈内注入(IV)として2週間毎に(Q2W)投薬される。エトポシドは、3週間毎に反復して1、2、および3日目に、IVまたは経口により投薬される。白金は、3週間毎、1日目に投薬される。群1のすべての患者において、疾患進行、患者拒絶、患者追跡不能、許容されない毒性が確認されるまで、または治験が治験依頼者により中止されるまでのいずれかが最初に到来するまで、治験薬による治療は継続し得る。群2では、PDを有さない患者は、6サイクル後に治療を中止する。一部また完全寛解が認められた患者は、施設ガイドラインに基づき、胸部放射線照射およびまたは予防的頭部放射線照射を受けることができる。化学療法の6サイクル後、進行性疾患を有さないすべての患者では、進行するまで維持治療としてアベルマブが単独で、またはDNA−PKiと併用して投薬され得る。アベルマブ注入関連の反応を緩和するために、25〜50mg IV、または経口等価量のジフェンヒドラミン、および650mg IVまたは経口等価量のアセトアミノフェン/パラセタモール(現地の実践法に従う)の事前投薬レジメンが、アベルマブの各投与前のおよそ30〜60分において投与され得る。これは、現地治療標準およびガイドラインに基づき、適宜改変され得る。
【0212】
腫瘍の評価:抗腫瘍活性が、RECISTバージョン1.1を使用して、6週間の間隔をおいて、放射線腫瘍評価により評価される。完全および部分応答が、初回文書化後少なくとも4週間において、反復した画像検査に基づき確認される。治験登録から6〜12カ月後、腫瘍評価は、それほど頻繁ではなく、すなわち12週間の間隔をおいて実施されるべきである。さらに、放射線腫瘍評価は、疾患進行が疑われるときは常に、および治療の終了/中止時に(過去6週間以内に実施されなかった場合)、やはり実施される。放射線画像検査がPDを示す場合には、腫瘍評価は、PDを確認するために、少なくとも≧4週間後に反復すべきである。ベースライン時および脳転移が疑われるときには、脳コンピュータ断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像検査(MRI)スキャンが必要とされる。骨スキャン(骨シンチグラフィー)または18フルオロデオキシグルコース−陽電子放出断層撮影法/CT(18FDG−PET/CT)が、ベースライン時に、次にベースラインにおいて骨転移が存在する場合に限り、16週間毎に必要とされる。さもなければ、新規骨転移が疑われる場合にのみ、骨の画像検査が必要とされる。骨の画像検査は、骨転移を有する患者に対して、CRの確認時にやはり必要とされる。
【0213】
薬物動態/免疫原性評価:PK/免疫原性サンプリングが収集される。
【0214】
探索的バイオマーカー評価:本研究において実施されるバイオマーカー分析の重要な目的は、DNA−PKiとアベルマブを併用する治療利益について、おそらくは予測的なバイオマーカーを調査することである。さらに、腫瘍および血液生体試料のバイオマーカー研究が、アベルマブと併用されるDNA−PKiの作用機序、ならびに潜在的な抵抗性機構について理解を深めるのに役立つように実施される。保管された組織サンプルおよび転移性の病変に由来する腫瘍生体試料が、DNA、RNA、もしくはタンパク質マーカーの候補、または関連するマーカーのシグネチャーを、治験薬による治療から利益を得る可能性が最も高い患者を特定するその能力について分析するのに使用される。分析され得るマーカーとして、PD−L1発現腫瘍浸潤性のCD8+Tリンパ球およびT細胞受容体遺伝子配列定量が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。疾患進行時に取得される任意選択的な腫瘍生検は、後天的な抵抗性機構を調査するのに使用される。コア針生検もしくは切除生検、または摘出試料のみが適する。
【0215】
末梢血液:現地規則により、または治験審査委員会もしくは倫理委員会の決定により禁止されない限り、探索的バイオマーカー評価用に、試料が、バイオバンク内に全血、血清、および血漿として保持される。サンプルは、作用機序、またはエトポシドもしくはエトポシド/白金と併用して投薬される場合の、DNA−PKiおよびアベルマブに対する抵抗性の発現にとって意義あることが知られているまたは疑われる細胞、DNA、RNA、またはタンパク質マーカーを特定する、または特徴づけるのに使用され得る。これには、DNA−PKiと併用されるアベルマブによる治療から優先的に利益を得ると考えられる患者を特定する際に役立ち得るバイオマーカーが含まれ、そのようなバイオマーカーとして抗腫瘍免疫応答または標的の調節と関連するバイオマーカー、例えば可溶性VEGF−A、IL−8、IFNγ、および/または組織FoxP3、PD−1、およびPD−L2等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。生体試料は、可能な限り、投与前およびPKサンプルと同時に取得されるべきである。
【0216】
[実施例5]
化学療法を伴う/伴わないDNA−PKi、アベルマブ、および放射線療法による併用研究
この実施例は、SCCHNまたはその他のがん、例えば食道がん等を有する患者を対象とする、DNA−PKi(M3814)およびアベルマブ(MSB0010718C)と、放射線療法(RT)との併用(三者併用−群1)、ならびに化学−放射線療法(CRT)との併用(四者併用−群2)における安全性、有効性、薬物動態、および薬力学を評価する臨床試験研究について例証する。CRTのケモバックボーンは、多くの場合シスプラチン単独であるが、しかしその他の薬物、例えば5−フルオルウラシル等、ただしこれらに限定されない薬物と併用することも可能である。
【0217】
この研究は、三者併用の一環としてまたは四者併用の一環として併用投薬されるときに、DNA−PKiの最大耐用量(MTD)を定義し、そして第II相推奨用量(RP2D)を選択するようにデザインされた非盲検、多施設共同、用量漸増試験である。アベルマブおよびRTと併用して投薬される場合のDNA−PKiのMTDおよび/またはRP2Dが推定されたら(用量設定部分)、安全性プロファイル、抗腫瘍活性、薬物動態、薬力学、およびバイオマーカーの調節について、併用をさらに特徴づけるために用量拡大相が開始される。三者併用の用量漸増が完了したら、四者併用(CRT)の用量漸増が開始する。プロトコールデザインは、表3aまたは表3bに記載されている。
【0218】
用量設定相は、根治目的で行われるフラクション化されたRTで治療を受けた、横隔膜上部に位置する悪性腫瘍を有する、事前の全身療法を受けなかった患者において、MTDおよびRP2D(群1)を推定する。用量設定は、表3aまたは表3bに示すように、最大5つの潜在的な用量レベル(DL)が試験される、古典的な3+3デザインに従う。
【0219】
用量漸増相は、SCCHNを有するが、その疾患について事前の全身療法を受けなかった患者を対象とした、アベルマブとRTと併用されるDNA−PKiに関する拡大試験用量の特定に通じる。拡大試験用量は、MTD(すなわち、アベルマブおよびRTと併用して投薬される場合のDNA−PKIの最高用量であり、患者の<33%においてDLTが生じることに関連する)、またはRP2D、すなわち治験責任医師および治験依頼者により、安全かつ許容されることが宣言される最高試験用量である。拡大試験用量が特定されたら、用量拡大相が開始され、そしてアベルマブおよびRTと併用されるDNA−PKiが、これまでに治療されなかったSCCHNを有する、最大およそ20〜40例の患者を対象として評価される。RT併用の用量漸増が完了した後、類似したスキームが、これまでに治療されなかったSCCHNを有する患者を対象として、DNA−PKi、アベルマブ、およびCRTを評価するのに使用される。
【0220】
【表3-1】
【0221】
【表3-2】
【0222】
組み入れ基準:組織学的または細胞学的に確認された、用量漸増パートにおける横隔膜上部の疾患および用量拡大パートにおける未治療のSCCHN。原発腫瘍摘出試料から得た、保管用ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織ブロックが必須である(すべての患者)。RECISTバージョン1.1の定義に従い、少なくとも1つの測定可能な病変。年齢≧18歳。米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0または1。骨髄機能、腎臓および肝臓機能が適正。用量設定相に登録される患者数は、観測された安全性プロファイル、および試験される用量レベルの数に依存する。最大およそ95例の患者(用量設定相および用量拡大相を含む)が、治験に登録されるものと予測される。
【0223】
治験治療:DNA−PKiが、連続的な投与スケジュールに基づき、食物摂取せずに、経口により(PO)、1日1回(QD)投薬される。アベルマブは、1時間静脈内注入(IV)として2週間毎に(Q2W)投薬される。RTは、1週間に1日、2グレー(Gy)、5回の複数フラクションで、6〜7週間実施される。ただし、その他のフラクションスケジュールおよびフラクション当たりの線量も想定可能である。すべてのケースにおいて、DNA−PKiは、RTの前1〜2時間において投薬される。すべての患者において、疾患進行まで、アベルマブ単独、またはDNA−PKiとの併用が維持として投薬され得る。アベルマブ注入関連の反応を緩和するために、25〜50mg IV、または経口等価量のジフェンヒドラミン、および650mg IVまたは経口等価量のアセトアミノフェン/パラセタモール(現地の実践法に従う)の事前投薬レジメンが、アベルマブの各投与前のおよそ30〜60分において投与され得る。これは、現地治療標準およびガイドラインに基づき、適宜改変され得る。
【0224】
腫瘍の評価:抗腫瘍活性が、RECISTバージョン1.1を使用して、6週間の間隔をおいて、放射線腫瘍評価により評価される。完全および部分応答が、初回文書化後少なくとも4週間において、反復した画像検査に基づき確認される。治験登録から6〜12カ月後、腫瘍評価は、それほど頻繁ではなく、すなわち12週間の間隔をおいて実施されるべきである。さらに、放射線腫瘍評価は、疾患進行が疑われるときは常に、および治療の終了/中止時に(過去6週間以内に実施されなかった場合)、やはり実施される。放射線画像検査がPDを示す場合には、腫瘍評価は、PDを確認するために、少なくとも≧4週間後に反復すべきである。ベースライン時および脳転移が疑われるときには、脳コンピュータ断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像検査(MRI)スキャンが必要とされる。骨スキャン(骨シンチグラフィー)または18フルオロデオキシグルコース−陽電子放出断層撮影法/CT(18FDG−PET/CT)が、ベースライン時に、次にベースラインにおいて骨転移が存在する場合に限り、16週間毎に必要とされる。さもなければ、新規骨転移が疑われる場合にのみ、骨の画像検査が必要とされる。骨の画像検査は、骨転移を有する患者に対して、CRの確認時にやはり必要とされる。
【0225】
薬物動態/免疫原性評価:PK/免疫原性サンプリングが収集される。
【0226】
探索的バイオマーカー評価:本研究において実施されるバイオマーカー分析の重要な目的は、DNA−PKiとアベルマブを併用する治療利益について、おそらくは予測的なバイオマーカーを調査することである。さらに、腫瘍および血液生体試料のバイオマーカー研究が、アベルマブと併用されるDNA−PKiの作用機序、ならびに潜在的な抵抗性機構について理解を深めるのに役立つように実施される。保管された組織サンプルおよび転移性の病変に由来する腫瘍生体試料が、DNA、RNA、もしくはタンパク質マーカーの候補、または関連するマーカーのシグネチャーを、治験薬による治療から利益を得る可能性が最も高い患者を特定するその能力について分析するのに使用される。分析され得るマーカーとして、PD−L1発現腫瘍浸潤性のCD8+Tリンパ球およびT細胞受容体遺伝子配列定量が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。疾患進行時に取得される任意選択的な腫瘍生検は、後天的な抵抗性機構を調査するのに使用される。コア針生検もしくは切除生検、または摘出試料のみが適する。
【0227】
末梢血液:現地規則により、または治験審査委員会もしくは倫理委員会の決定により禁止されない限り、探索的バイオマーカー評価用に、試料が、バイオバンク内に全血、血清、および血漿として保持される。サンプルは、作用機序、またはエトポシドもしくはエトポシド/白金と併用して投薬される場合の、DNA−PKiおよびアベルマブに対する抵抗性の発現にとって意義あることが知られているまたは疑われる細胞、DNA、RNA、またはタンパク質マーカーを特定する、または特徴づけるのに使用され得る。これには、DNA−PKiと併用されるアベルマブによる治療から優先的に利益を得ると考えられる患者を特定する際に役立ち得るバイオマーカーが含まれ、そのようなバイオマーカーとして抗腫瘍免疫応答または標的の調節と関連するバイオマーカー、例えば可溶性VEGF−A、IL−8、IFNγ、および/または組織FoxP3、PD−1、およびPD−L2等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。生体試料は、可能な限り、投与前およびPKサンプルと同時に取得されるべきである。
【0228】
[実施例6]
機構的説明
これまでに記載の通り、ただしいかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、DNA−PKインヒビターのM3814は、DNA二本鎖切断(DDSB)を修復するための2つの主要経路について、そのうちの1つを強力かつ選択的に遮断し、そして電離照射(IR)および化学療法と相乗的効果を有する。
【0229】
DDSBの存在下でDNA−PK触媒活性を阻害することにより、M3814は、DNA修復およびATMに対する負の制御シグナルを同時に抑制し、CHK2およびp53依存性の細胞周期停止を含む、ATM依存性シグナリングの活性化の強化を実現することを示す実験データが存在する。電離照射(2〜5Gy)の単回照射および持続的なM3814への曝露により、増殖性のp53野生型がん細胞(A549、A375、H460)を併用治療すると、完全な細胞周期の遮断が誘発された。治療から4〜7日間以内に、細胞は大型/扁平な形態およびβ−Gal染色という典型的な老化表現型を取得した。A549細胞におけるライブセルイメージングおよびBrdUラベリングにより、MDM2インヒビターであるNutlin−3aによる選択的p53活性化により引き起こされた完全に可逆的な老化様表現型とは対照的に、この表現型はM3814を除去した後でも可逆的でないことが実証された。同質遺伝子のp53−null型A549細胞は、その細胞周期を完全に停止する能力を喪失しており、老化誘発におけるp53の役割が確認された。
【0230】
Nanostring PanCancer免疫パネルによる、IR/M3814で誘発された老化A549およびA375細胞に由来するmRNAの解析から、インターフェロン、サイトカイン/ケモカイン、および補体を含む、いくつかの免疫応答経路から得られる遺伝子の大きな群において、その活性化が明らかとなった。18個の遺伝子が、コントロールと比較して>3〜150倍、共通して上方制御されていた。遺伝子発現におけるこのような大幅な変化は徐々に構築されたが、また老化表現型の発現と相関した。誘発されたサブセットに由来するいくつかのタンパク質を、細胞培地(Meso Scale Discovery社)内で測定し、そしてそのタンパク質は、M3814の不在下、老化細胞により分泌されることが確認された。ライブイメージングにより、M3814で誘発された老化細胞から得られた培養培地は、ヒトPBMC由来の免疫細胞に対する免疫調節効果の増加を示した。
【0231】
いかなる特定の理論にも拘泥するつもりもないが、M3814は、DDSB障害に応答して、ATM/p53/CHK2依存性の細胞周期停止を大幅に強化し、そして強力な免疫調節性の分泌表現型を有する永続的早期老化を効果的に誘発する能力を有することが認められることから、本発明によるがんの放射線免疫療法に対する併用アプローチの利益について、さらなる説明を提供するものと考えられている。
【0232】
[実施例7]
放射線療法(一時的緩和線量)を伴う/伴わないDNA−PKiおよびアベルマブによる併用研究
この実施例は、2パートからなる臨床試験研究について例証する:パートAは、DNA−PKi(M3814)およびアベルマブ(MSB0010718C)(二者併用)の安全性、有効性、薬物動態、および薬力学を評価することを目的とし、ならびにパートBは、アベルマブ(MSB0010718C)および放射線療法(RT)と併用されるDNA−PKi(M3814)(三者併用)の安全性、有効性、薬物動態、および薬力学を評価することを目的とする。
【0233】
この研究は、二者併用の一環として、および三者併用の一環として併用投薬されるときに、DNA−PKiの最大耐用量(MTD)および/または第II相推奨用量(RP2D)を定義するようにデザインされた非盲検、多施設共同、用量漸増試験である。アベルマブおよびRTと併用して投薬される場合のDNA−PKiのMTDおよび/またはRP2Dが定義されたら、選択された患者集団(すなわち、事前に治療されたが、チェックポイントインヒビターでまだ治療を受けたことがない転移性NSCLC、またはチェックポイントインヒビターに対して難治性の事前に治療を受けた転移性NSCLC)を対象として、安全性プロファイル、抗腫瘍活性、薬物動態、薬力学、およびバイオマーカーの調節について併用をさらに特徴づけるために、用量拡大相が開始される場合がある。プロトコールデザインは表4に記載されている。
【0234】
用量設定相のパートAは、進行したまたは転移性の固形腫瘍を有する患者を対象として、アベルマブと併用されるDNA−PKiのMTDおよび/またはRP2Dを定義する一方、パートBは、肺内に原発性または転移性の病変を伴う進行したまたは転移性の固形腫瘍を有する患者で、フラクション化されたRTに適格性を有する患者を対象として、アベルマブおよび一時的緩和RTと併用されるDNA−PKiのMTDおよび/またはRP2Dを定義する。用量設定は、最大4つの潜在的な用量レベル(DL)のDNA−PKiが各パートにおいて試験されるベイジアンデザインに従う。
【0235】
用量漸増相は、DNA−PKiとアベルマブとの併用(パートA)、ならびにDNA−PKiとアベルマブおよびRTとの併用(パートB)に関する拡大試験用量の特定に通じる。拡大試験用量は、MTD(すなわち、アベルマブ(パートA)、ならびにアベルマブおよびRT(パートB)と併用して投薬される場合のDNA−PKiの最高用量)、および/またはRP2D、すなわち、治験責任医師および治験依頼者により安全かつ許容されることが宣言された最高試験用量である。拡大試験用量が特定されたら、用量拡大相が開始される可能性があり、そしてアベルマブおよびRTと併用されるDNA−PKiが、これまでに治療された転移性のNSCLCを有する患者、最大およそ20〜40例を対象に評価され(群1)、ならびにアベルマブと併用されるDNA−PKiが、各群(群2および群3)についておよそ20〜40例の患者を対象に、これまでに治療されたSCLC−EDおよびCRC低頻度MSIまたはMSS安定において評価される。
【0236】
【表4】
【0237】
組み入れ基準:放射線療法に適格性を有する、組織学的または細胞学的に確認された、進行した転移性のNSCLC(群1)、低頻度MSI/MSS安定CRC(群2)、またはSCLC(群3)。原発腫瘍摘出試料から得た、保管用ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織ブロックが必須である(すべての患者)。拡大コホートに限り、治験登録から6カ月以内に実施された手順から得られない場合、および患者が中間に位置する全身的な抗がん治療を受けなかった場合には、局所的に再発性または転移性の病変から得た新規腫瘍生検が必須である。RECISTバージョン1.1の定義に従い、少なくとも1つの測定可能な病変。年齢≧18歳。米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0または1。骨髄機能、腎臓および肝臓機能が適正。用量設定相に登録される患者数は、観測された安全性プロファイル、および試験される用量レベルの数に依存する。最大およそ95例の患者(用量設定相および用量拡大相を含む)が、治験に登録されるものと予測される。
【0238】
治験治療:DNA−PKiが、連続的な投与スケジュールに基づき、群1につき、経口により(PO)、1日1回(QD)および1日2回(BID)投薬される。アベルマブは、800mg固定用量の1時間静脈内注入(IV)として、2週間毎に(Q2W)投薬される。すべての患者において、疾患進行、患者拒絶、患者追跡不能、許容されない毒性が確認されるまで、または治験が治験依頼者により中止されるまでのいずれかが最初に到来するまで、治験薬による治療は継続し得る。アベルマブ注入関連の反応を緩和するために、25〜50mg IV、または経口等価量のジフェンヒドラミン、および650mg IVまたは経口等価量のアセトアミノフェン/パラセタモール(現地の実践法に従う)の事前投薬レジメンが、アベルマブの各投与前のおよそ30〜60分において投与され得る。これは、現地治療標準およびガイドラインに基づき、適宜改変され得る。
【0239】
腫瘍の評価:抗腫瘍活性が、RECISTバージョン1.1を使用して、6週間の間隔をおいて、放射線腫瘍評価により評価される。完全および部分応答が、初回文書化後少なくとも4週間において、反復した画像検査に基づき確認される。治験登録から6〜12カ月後、腫瘍評価は、それほど頻繁ではなく、すなわち12週間の間隔をおいて実施されるべきである。さらに、放射線腫瘍評価は、疾患進行が疑われる(例えば、症状の悪化)ときは常に、および治療の終了/中止時に(過去6週間以内に実施されなかった場合)、やはり実施される。放射線画像検査がPDを示す場合には、腫瘍評価は、PDを確認するために、少なくとも≧4週間後に反復すべきである。ベースライン時および脳転移が疑われるときには、脳コンピュータ断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像検査(MRI)スキャンが必要とされる。骨スキャン(骨シンチグラフィー)または18フルオロデオキシグルコース−陽電子放出断層撮影法/CT(18FDG−PET/CT)が、ベースライン時に、次にベースラインにおいて骨転移が存在する場合に限り、16週間毎に必要とされる。さもなければ、新規骨転移が疑われる場合にのみ、骨の画像検査が必要とされる。骨の画像検査は、骨転移を有する患者に対して、CRの確認時にやはり必要とされる。
【0240】
薬物動態/免疫原性評価:PK/免疫原性サンプリングが収集される。
【0241】
探索的バイオマーカー評価:本研究において実施されるバイオマーカー分析の重要な目的は、DNA−PKiとアベルマブを併用する治療利益について、おそらくは予測的なバイオマーカーを調査することである。さらに、腫瘍および血液生体試料のバイオマーカー研究が、アベルマブと併用されるDNA−PKiの作用機序、ならびに潜在的な抵抗性機構について理解を深めるのに役立つように実施される。保管された組織サンプルおよび転移性の病変に由来する腫瘍生体試料が、DNA、RNA、もしくはタンパク質マーカーの候補、または関連するマーカーのシグネチャーを、治験薬による治療から利益を得る可能性が最も高い患者を特定するその能力について分析するのに使用される。分析され得るマーカーとして、PD−L1発現腫瘍浸潤性のCD8+Tリンパ球およびT細胞受容体遺伝子配列定量が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。疾患進行時に取得される任意選択的な腫瘍生検は、後天的な抵抗性機構を調査するのに使用される。コア針生検もしくは切除生検、または摘出試料のみが適する。
【0242】
末梢血液:現地規則により、または治験審査委員会もしくは倫理委員会の決定により禁止されない限り、探索的バイオマーカー評価用に、試料が、バイオバンク内に全血、血清、および血漿として保持される。サンプルは、作用機序、またはDNA−PKiおよびアベルマブに対する抵抗性の発現にとって意義あることが知られているまたは疑われる細胞、DNA、RNA、またはタンパク質マーカーを特定する、または特徴づけるのに使用され得る。これには、DNA−PKiと併用されるアベルマブによる治療から優先的に利益を得ると考えられる患者を特定する際に役立ち得るバイオマーカーが含まれ、そのようなバイオマーカーとして抗腫瘍免疫応答または標的の調節と関連するバイオマーカー、例えば可溶性VEGF−A、IL−8、IFNγ、および/または組織FoxP3、PD−1、およびPD−L2等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。生体試料は、可能な限り、投与前およびPKサンプルと同時に取得されるべきである。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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【国際調査報告】