特表2021-520614(P2021-520614A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-520614二次電池用正極、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-520614(P2021-520614A)
(43)【公表日】2021年8月19日
(54)【発明の名称】二次電池用正極、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20210726BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20210726BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20210726BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20210726BHJP
   H01M 4/1391 20100101ALI20210726BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20210726BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20210726BHJP
【FI】
   H01M4/13
   H01M4/62 Z
   H01M4/131
   H01M4/139
   H01M4/1391
   H01M4/505
   H01M4/525
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-560892(P2020-560892)
(86)(22)【出願日】2019年9月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月30日
(86)【国際出願番号】KR2019011573
(87)【国際公開番号】WO2020050694
(87)【国際公開日】20200312
(31)【優先権主張番号】10-2018-0107294
(32)【優先日】2018年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・リ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソク・ク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン・キュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・シク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュン・リム
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA02
5H050DA09
5H050EA02
5H050EA06
5H050FA02
5H050GA03
5H050GA22
(57)【要約】
本発明は、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む二次電池用正極を提供する。また、本発明は、正極活物質を含む正極合剤層を形成し、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を形成するステップと、または、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、圧延して正極合剤層を形成するステップと、を含む二次電池用正極の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む、二次電池用正極。
【請求項2】
前記正極活物質を含む正極合剤層と、
前記正極合剤層の表面に形成され、前記リチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層と、
を含む、請求項1に記載の二次電池用正極。
【請求項3】
前記正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)が混合された正極合剤層を含む、請求項1に記載の二次電池用正極。
【請求項4】
前記リチウム系合金(Alloy)は、Li−Al系合金、Li−Si系合金、Li−Sn系合金、Li−Bi系合金及びLi−Sb系合金からなる群より選択される少なくとも一つ以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池用正極。
【請求項5】
前記リチウム系合金(Alloy)は、Li−Al系合金である、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池用正極。
【請求項6】
前記Li−Al系合金は、30から80at%のリチウム及び20から70at%のアルミニウムを含有する、請求項5に記載の二次電池用正極。
【請求項7】
前記正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)は、99:1から1:99の重量比で含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池用正極。
【請求項8】
前記正極活物質は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)からなる群より選択される少なくとも一つ以上の遷移金属陽イオンを含むリチウム遷移金属酸化物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池用正極。
【請求項9】
正極、負極、及び前記正極と負極の間に介在されているセパレータを含み、
前記正極は、請求項1から8のいずれか一項に記載の二次電池用正極である、リチウム二次電池。
【請求項10】
正極活物質を含む正極合剤層を形成し、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を形成するステップと、または
正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、圧延して正極合剤層を形成するステップと、
を含む、二次電池用正極の製造方法。
【請求項11】
前記正極活物質を含む正極合剤層を形成し、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を形成するステップは、
前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)パウダーを塗布し、前記リチウム系合金(Alloy)パウダーが塗布された正極合剤層を圧延してコーティング層を形成する、請求項10に記載の二次電池用正極の製造方法。
【請求項12】
前記正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、圧延して正極合剤層を形成するステップは、
前記正極形成用スラリーが有機溶媒を含まない、請求項10に記載の二次電池用正極の製造方法。
【請求項13】
前記リチウム系合金(Alloy)は、Li−Al系合金、Li−Si系合金、Li−Sn系合金、Li−Bi系合金及びLi−Sb系合金からなる群より選択される少なくとも一つ以上である、請求項10から12のいずれか一項に記載の二次電池用正極の製造方法。
【請求項14】
前記正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)は、99:1から1:99の重量比で含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の二次電池用正極の製造方法。
【請求項15】
前記正極活物質は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)からなる群より選択される少なくとも一つ以上の遷移金属陽イオンを含むリチウム遷移金属酸化物である、請求項10から14のいずれか一項に記載の二次電池用正極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年9月7日付韓国特許出願第10−2018−0107294号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池用正極、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、携帯電話、ノート型パソコン、電気自動車など、電池を用いる電子器具の急速な普及に伴い、小型で軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は、軽量で高いエネルギー密度を有しているため、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これによって、リチウム二次電池の性能を向上させるための研究と開発の努力が活発に進められている。
【0004】
リチウム二次電池は、リチウムイオンの挿入/脱離が可能な正極活物質を含んでいる正極と、リチウムイオンの挿入/脱離が可能な負極活物質を含んでいる負極、前記正極と負極の間に微細多孔性セパレータが介在されている電極組立体にリチウムイオンを含有した電解質が含まれている電池を意味する。
【0005】
リチウム二次電池の正極活物質にはリチウム遷移金属酸化物が用いられ、負極活物質にはリチウム金属、リチウム合金、Si、Snなどの半金属、結晶質或いは非晶質炭素、または炭素複合体などが用いられている。前記活物質を適当な厚さと長さで電極集電体に塗布するか、または活物質自体をフィルム形状に塗布して絶縁体であるセパレータとともに巻き取るか積層して電極群を作製した後、缶またはこれと類似の容器に入れ、電解液を注入して二次電池を製造する。
【0006】
リチウム二次電池の正極で提供するリチウムイオンの一部は、負極の表面で電解質と反応してSEI(Solid Electrolyte Interphase)膜というパッシベーション(passivation)層を形成するために費やされる。すなわち、SEI膜を形成する過程でリチウムイオンを費やし、可逆容量を減少させるという問題点が発生する。よって、正極活物質を最大限活用するためには、負極のSEI(固体電解質界面(Solid electrolyte interface))膜の形成に費やされるリチウムイオンを補完することが必要である。そのため、高容量のリチウム二次電池を開発するために、SEI膜の形成による容量の限界を補完することができる非可逆添加剤の開発が多く研究された。しかし、既存の非可逆添加剤の大部分は、作動電圧帯で可逆的な充電及び放電が発生し、リチウム二次電池の性能に否定的な影響を及ぼしていた。よって、作動電圧帯で可逆的な充電/放電に寄与しない非可逆添加剤としてのリチウムイオン供給物質の開発が依然として必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、初期の充電過程でリチウムイオンを提供し、その後は充電/放電に寄与しない新しい非可逆添加剤を含む二次電池用正極、及びそれを含むリチウム二次電池の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む二次電池用正極を提供する。
【0009】
また、本発明は、正極、負極、及び前記正極と負極の間に介在されているセパレータを含み、前記正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0010】
また、本発明は、正極活物質を含む正極合剤層を形成し、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を形成するステップと、または、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、圧延して正極合剤層を形成するステップと、を含む二次電池用正極の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初期の充電過程でリチウムイオンを提供し、その後は充電/放電に寄与しない新しい非可逆添加剤を含む二次電池用正極を提供することにより、SEI膜の形成による容量の限界を効果的に補完し、高容量のリチウム二次電池を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るリチウムイオン添加剤を用いたリチウム二次電池の模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るリチウム系合金コーティング層を形成する製造方法を概略的に示した図である。
図3】実施例1及び比較例1に係る正極を用いたリチウム二次電池セルの容量を示したグラフである。
図4】実施例2及び比較例1に係る正極を用いたリチウム二次電池セルの容量を示したグラフである。
図5】実施例3及び比較例1に係る正極を用いたリチウム二次電池セルの容量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に対する理解を深めるため、本発明をさらに詳細に説明する。このとき、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0014】
<二次電池用正極>
本発明の二次電池用正極は、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む。
【0015】
前記正極活物質は、正極活物質として通常用いられるリチウム遷移金属酸化物を制限なく適用することができ、より好ましくは、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)からなる群より選択されるいずれか一つ以上の遷移金属陽イオンを含むリチウム遷移金属酸化物を用いることができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、化学式Li1+nMn2−n(ここで、nは0〜0.33)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物、化学式LiNi1−m(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、m=0.01〜0.3)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物、化学式LiMn2−z(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、z=0.01〜0.1)またはLiMn(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)で表されるリチウムマンガン複合酸化物、LiNiMn2−r(ここで、r=0.01〜1)で表されるスピンネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、リン酸鉄リチウム化合物(LiFePO)などが挙げられるが、これらだけに限定されるのではない。または、前記正極活物質として、下記化学式1で表されるリチウム複合遷移金属酸化物を含むことができる。
[化学式1]
LiNi1−b−c−dCoMn2+δ
前記式中、Qは、Al、Zr、Ti、Mg、Ta、Nb、Mo及びCrからなる群より選択されるいずれか一つ以上の元素であり、0.9≦a≦1.5、0≦b≦0.5、0≦c≦0.5、0≦d≦0.1、−0.1≦δ≦1.0である。
【0016】
前記リチウム系合金(Alloy)は、リチウム金属と、少なくとも1種以上のさらに他の金属とからなる合金を意味し、リチウムイオン添加剤、すなわち、非可逆添加剤として含む。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン添加剤を用いたリチウム二次電池の模式図である。図2に示す通り、正極に含まれているリチウムイオン添加剤から供給されるリチウムイオンが負極の表面にSEI(固体電解質界面(Solid electrolyte interface))膜を形成するために費やされ、正極活物質から供給されるリチウムイオンが充電/放電に寄与する。
【0018】
本発明は、前記リチウム系合金(Alloy)をリチウムイオン添加剤として添加することにより、負極のSEI膜の形成に費やされるリチウムイオンをさらに供給することで、SEI膜の形成に正極活物質のリチウムイオンが費やされることを防止し、正極活物質を最大に活用して可逆容量を増加させることができる。
【0019】
また、本発明のリチウム系合金(Alloy)は、物質そのものの高容量特性により、少量の添加だけでも容量の増加が可能である。また、本発明の前記リチウム系合金(Alloy)は、初期の充電過程でリチウムイオンを提供し、その後はリチウム二次電池の作動電圧帯で可逆的な充電/放電に寄与しないため、リチウム二次電池の性能に否定的な影響を及ぼさなくなり得る。
【0020】
前記リチウム系合金(Alloy)は、非可逆容量を補完することができるリチウム系合金(Alloy)であれば制限なく適用することができるが、より好ましくは、Li−Al系合金、Li−Si系合金、Li−Sn系合金、Li−Bi系合金及びLi−Sb系合金からなる群より選択される少なくとも一つ以上であってよい。例えば、Li−Al系合金としてLiAl、LiAlであってよく、Li−Si系合金としてLi21Siであってよく、Li−Sn系合金としてLi17Sn14であってよく、Li−Bi系合金としてLiBiであってよい。さらに好ましくは、リチウム系合金(Alloy)としてLi−Al系合金を用いてよい。前記Li−Al系合金を用いる場合、リチウム(Li)を80at%まで混合可能で高容量特性を有するため、少量の添加だけでも高容量の達成が可能であるという利点があり、アルミニウム(Al)は相対的に軽くて低廉なので、エネルギー密度の増加及び費用の節減ができる。前記Li−Al系合金は、30から80at%のリチウム(Li)及び20から70at%のアルミニウム(Al)を含有することができ、より好ましくは、50から70at%のリチウム(Li)及び30から50at%のアルミニウム(Al)を含有することができ、さらに好ましくは、50から60at%のリチウム(Li)及び40から50at%のアルミニウム(Al)を含有することができる。
【0021】
前記正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)は、99:1から1:99の重量比で含むことができる。より好ましくは、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を95:5から50:50の重量比、さらに好ましくは、90:10から80:20の重量比で含むことができる。前記重量比の範囲内でリチウム系合金(Alloy)を含むことにより、リチウムイオン添加剤からSEI膜の形成に費やされる分の適正量のリチウムイオンをさらに供給することができるため、可逆容量を増加させることができながらも、電池性能の低下を防止することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る二次電池用正極は、前記正極活物質を含む正極合剤層と、前記正極合剤層の表面に形成され、前記リチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層と、を含むことができる。すなわち、リチウム遷移金属酸化物の正極活物質と非可逆添加剤であるリチウム系合金(Alloy)とが互いに異なる層に含まれてよい。このように、リチウム遷移金属酸化物の正極活物質を正極合剤層に含み、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を別に形成する場合、正極を形成する過程でリチウム系合金(Alloy)が溶媒、バインダーなどと反応して容量が減少するのを防止することができるので、高容量の具現にさらに効果的であり得る。
【0023】
また、本発明の他の実施形態に係る二次電池用正極は、前記正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)が混合された正極合剤層を含むことができる。すなわち、リチウム遷移金属酸化物の正極活物質と非可逆添加剤であるリチウム系合金(Alloy)とが同一の層にともに含まれてよい。
【0024】
前記正極合剤層は、正極集電体上に形成されてよく、前記正極活物質とともに導電材及びバインダーをさらに含んでよい。
【0025】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられてよい。また、前記正極集電体は、通常3から500μmの厚さを有してよく、前記正極集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられてよい。
【0026】
前記正極活物質は、正極合剤層の全重量に対し80から98重量%で含むことができ、より好ましくは85から98重量%、最も好ましくは90から95重量%で含むことができる。
【0027】
前記導電材は、電極に導電性を与えるために用いられるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こすことなく電気伝導性を有するものであれば、特別な制限なく使用可能である。具体的な例には、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。前記導電材は、正極合剤層の全重量に対し1から30重量%で含まれてよい。
【0028】
前記バインダーは、正極活物質粒子同士の付着、及び正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を担う。具体的な例には、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ビニリデンフルオリド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF−co−HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。前記バインダーは、正極合剤層の全重量に対し1から30重量%で含まれてよい。
【0029】
<二次電池用正極の製造方法>
本発明の前記リチウム二次電池用正極の製造方法を説明する。
【0030】
本発明の二次電池用正極の製造方法は、正極活物質を含む正極合剤層を形成し、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を形成するステップと、または、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、圧延して正極合剤層を形成するステップと、を含む。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係るリチウム系合金コーティング層を形成する製造方法を概略的に示した図である。
【0032】
図2に示す通り、本発明の一実施形態として、正極活物質を含む正極合剤層を形成し、前記正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)を含むコーティング層を形成する製造方法は、具体的には、正極活物質を含む正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)パウダーを塗布し、前記リチウム系合金(Alloy)パウダーが塗布された正極合剤層を圧延してコーティング層を形成することができる。このように、既存の正極の製造工程を適用して正極合剤層上にリチウム系合金(Alloy)コーティング層を形成することができる。
【0033】
このとき、前記正極合剤層を形成するステップは、先ず、正極活物質、導電材、バインダー及び溶媒をさらに含む正極形成用スラリーを製造することができる。前記正極活物質、導電材及びバインダーの種類及び含量は、前述の二次電池用正極で説明した通りである。前記正極形成用スラリーを形成する溶媒には、当該技術分野で一般に用いられる溶媒であってよく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)または水などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。前記溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚さ、製造収率を考慮して、前記ラジカルポリマーがコーティングされた正極活物質、導電材及びバインダーを溶解または分散させ、その後、正極の製造のための塗布時に優れた厚さ均一度を示し得る粘度を有するようにする程度であれば十分である。次に、前記正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延することにより正極合剤層を製造することができる。このとき、正極合剤層を形成する時に1次圧延し、リチウム系合金(Alloy)パウダーを塗布した後に2次圧延して正極を製造することもでき、正極合剤層を形成する時に1次圧延工程を省略し、リチウム系合金(Alloy)パウダーを正極合剤層上に塗布した後にともに圧延して正極を製造することもできる。
【0034】
一方、他の方法として、前記正極形成用スラリーを別途の支持体上にキャストした後、この支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネートすることで正極合剤層を製造することもできる。
【0035】
本発明の他の実施形態として、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、圧延して正極合剤層を形成する製造方法は、具体的には、正極活物質及びリチウム系合金(Alloy)を含み、導電材、バインダーをさらに含む正極形成用スラリーを製造することができる。前記正極活物質、導電材及びバインダーの種類及び含量は、前述で説明した通りである。このとき、前記リチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーは、有機溶媒を含まなくてよい。一般に正極形成用スラリーの製造時に用いられる有機溶媒を用いる場合、リチウム系合金(Alloy)と有機溶媒が反応して初期容量が発現されないという問題が発生し得る。よって、より好ましくは、前記リチウム系合金(Alloy)を含む正極形成用スラリーは有機溶媒を含まなくてよく、乾式混合(dry mixing)工程で進めることができる。次に、前記正極形成用スラリーを正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延することで正極合剤層を製造することができる。一方、他の方法として、前記正極形成用スラリーを別途の支持体上にキャストした後、この支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネートすることで正極合剤層を製造することもできる。
【0036】
その他、前記リチウム系合金(Alloy)の種類及び含量比は、前述の二次電池用正極で説明した通りである。
【0037】
<リチウム二次電池>
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記正極を含む電気化学素子が提供される。前記電気化学素子は、具体的には、電池またはキャパシタなどであってよく、より具体的には、リチウム二次電池であってよい。
【0038】
前記リチウム二次電池は、具体的には、正極、前記正極と対向して位置する負極、前記正極と負極の間に介在されるセパレータ及び電解質を含み、前記正極は前述で説明した通りである。また、前記リチウム二次電池は、前記正極、負極、セパレータの電極組立体を収納する電池容器、及び前記電池容器を密封する密封部材を選択的にさらに含むことができる。
【0039】
前記リチウム二次電池において、前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体上に位置する負極合剤層を含む。
【0040】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば特に制限されるのではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが用いられてよい。また、前記負極集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、正極集電体と同じく、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態に用いられてよい。
【0041】
前記負極合剤層は、負極活物質とともに、選択的にバインダー及び導電材を含む。前記負極合剤層は、例えば、負極集電体上に負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む負極形成用組成物を塗布して乾燥するか、または前記負極形成用組成物を別途の支持体上にキャストした後、この支持体から剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネートすることで製造されてもよい。
【0042】
前記負極活物質には、リチウムの可逆的な挿入及び脱離が可能な化合物が用いられてよい。具体的な例には、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金などの、リチウムとの合金化が可能な金属質化合物;SiOα(0<α<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のように、リチウムをドープ及び脱ドープすることができる金属酸化物;または、Si−C複合体またはSn−C複合体のように、前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などが挙げられ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。さらに、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が用いられてもよい。また、炭素材料は、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などがいずれも用いられてよい。低結晶性炭素には、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素には、無定形、板状、鱗片状、球形または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソ相ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソ炭素微小球体(meso−carbon microbeads)、メソ相ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0043】
また、前記バインダー及び導電材は、前述の正極で説明したところと同一のものであってよい。
【0044】
一方、前記リチウム二次電池において、セパレータは、負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常リチウム二次電池でセパレータとして用いられるものであれば、特別な制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低い抵抗でありながら電解液含湿能に優れるものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。さらに、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミックス成分または高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に単層または多層構造で用いられてよい。
【0045】
また、本発明で用いられる電解質には、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0046】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒及びリチウム塩を含むことができる。
【0047】
前記有機溶媒には、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割が可能なものであれば、特別な制限なく用いられてよい。具体的には、前記有機溶媒には、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ−ブチロラクトン(γ−butyrolactone)、ε−カプロラクトン(ε−caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R−CN(Rは、C2からC20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが用いられてよい。この中でもカーボネート系溶媒が好ましく、電池の充電/放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)との混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを約1:1から約1:9の体積比で混合して用いるとき、電解液の性能が優秀に表れ得る。
【0048】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で用いられるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特別な制限なく用いられてよい。具体的には、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiIまたはLiB(Cなどが用いられてよい。前記リチウム塩の濃度は、0.1から2.0Mの範囲内で用いた方がよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適した伝導度及び粘度を有するので、優れた電解質性能を表すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0049】
前記電解質には、前記電解質の構成成分以外にも、電池の寿命特性の向上、電池の容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。このとき、前記添加剤は、電解質の全重量に対し0.1から5重量%で含まれてよい。
【0050】
前記のように、本発明に係る正極活物質を含むリチウム二次電池は、優れた放電容量、出力特性及び容量維持率を安定的に示すため、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車の分野などに有用である。
【0051】
これにより、本発明の他の一具現形態によれば、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュール、及びこれを含む電池パックが提供される。
【0052】
前記電池モジュールまたは電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムのうちいずれか一つ以上の中大型デバイスの電源に利用され得る。
【0053】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるよう、本発明の実施例に対して詳しく説明する。しかし、本発明は、幾多の異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0054】
実施例1
LiCoO、カーボンブラック、PVDFバインダーをN−メチルピロリドン溶媒の中に重量比で95:2.5:2.5の割合で混合して正極形成用スラリーを製造し、これをアルミニウム集電体の片面に塗布した後、130℃で乾燥し圧延して正極合剤層を形成した。
【0055】
前記正極合剤層上に正極活物質:Li−Al合金が95:5の重量比となるようにLi−Al合金(Li 50at%、Al 50at%)パウダーを塗布した後、圧延してコーティング層が形成された正極を製造した。
【0056】
実施例2
正極活物質:Li−Al合金が90:10の重量比となるようにしたことを除き、実施例1と同様に実施して正極を製造した。
【0057】
実施例3
LiCoO、カーボンブラック、PTFEバインダーを反応器に投入し、正極活物質:Li−Al合金が98:2の重量比となるようにLi−Al合金(Li 50at%、Al 50at%)パウダーを反応器に投入し、溶媒なしに乾式混合(dry mixing)して正極形成用スラリーを製造した。これをアルミニウム集電体の片面に塗布し、圧延して正極合剤層を形成した。
【0058】
比較例1
LiCoO、カーボンブラック、PVDFバインダーをN−メチルピロリドン溶媒の中に重量比で95:2.5:2.5の割合で混合して正極形成用スラリーを製造し、これをアルミニウム集電体の片面に塗布した後、130℃で乾燥し圧延して正極合剤層を形成した。
【0059】
[実験例:電池容量の評価]
実施例1〜3及び比較例1で製造された正極をそれぞれ用いた。
【0060】
また、負極としてリチウムメタルを用いた。
【0061】
前記のように製造された正極と負極の間に多孔性ポリエチレンのセパレータを介在して電極組立体を製造し、前記電極組立体をケースの内部に位置させた後、ケースの内部に電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。このときの電解液は、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート(EC/DMC/EMCの混合体積比=3/4/3)からなる有機溶媒に1.0M濃度のリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)を溶解させて製造した。
【0062】
前記のように製造された各リチウム二次電池ハーフコインセル(half coin cell)に対し、25℃でCCCVモードで0.1C、4.2Vになるまで充電し、0.1Cの定電流で2.5Vになるまで放電して初期充電/放電の実験を進めた。その結果を下記表1及び図3図5に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
前記表1及び図3図5に示す通り、非可逆添加剤としてリチウム系合金(Alloy)であるLi−Al系合金を用いた実施例1〜3の場合、リチウム系合金(Alloy)を添加していない比較例1に比べて初期充電容量が著しく増加し、初期効率が減少したことを確認することができる。これを介し、実施例1〜3の場合、リチウム系合金(Alloy)が非可逆添加剤として効果的に具現されたことが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】