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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189614(P2015-189614A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】窒素含有多孔質炭素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/082 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   C01B21/082 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-67146(P2014-67146)
(22)【出願日】2014年3月27日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】田邊 裕史
(72)【発明者】
【氏名】松浦 幹也
(72)【発明者】
【氏名】前川 一彦
(57)【要約】
【課題】メソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造すること。
【解決手段】芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つヒドロキシ基、酸性基および塩基性基からなる群より選ばれる極性基を有する極性ブロック(S)と、不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性である非極性ブロック(T)とを有するブロック共重合体(Z)および特定のN−メチロール化合物を含有する水分散液中で、N−メチロール化合物を重合し、混合物を得る第1工程、得られた混合物から水を除去して重合体組成物を得る第2工程、並びに得られた重合体組成物を不活性ガス雰囲気下で加熱する第3工程、を含む窒素含有多孔質炭素の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つヒドロキシ基、酸性基および塩基性基からなる群より選ばれる極性基を有する極性ブロック(S)と、不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性である非極性ブロック(T)とを有するブロック共重合体(Z)および
下記式(1):
【化1】
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRで示されるアミノ基を表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
で示されるN−メチロール化合物を含有する水分散液中で、前記N−メチロール化合物を重合し、混合物を得る第1工程、
得られた混合物から水を除去して重合体組成物を得る第2工程、並びに
得られた重合体組成物を不活性ガス雰囲気下で加熱する第3工程、
を含む窒素含有多孔質炭素の製造方法。
【請求項2】
極性基がスルホ基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
芳香族ビニル化合物がスチレンおよびα−メチルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一つであり、不飽和脂肪族炭化水素がイソブテン、ブタジエンおよびイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
N−メチロール化合物が下記式(2):
【化2】
(式中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
で示される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
第1工程の重合温度が20〜100℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
第3工程の加熱温度が400〜1200℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有多孔質炭素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化や環境汚染の問題を解決するため、二酸化炭素を発生しないクリーンなエネルギー源の一つとして固体高分子型燃料電池が注目されている。固体高分子型燃料電池の電極に用いる触媒として、通常、白金またはその合金をカーボンブラックなどの担体に担持した白金触媒が用いられている。この白金触媒の課題として、長寿命化と活性の向上が挙げられる。
【0003】
固体高分子型燃料電池の起動と停止に伴う白金の凝集によって、白金触媒が活性を失うことが知られている。非特許文献1には、窒素ドープされた炭素コーティングを有するカーボンナノチューブ(N−CNT)を担体とする白金触媒では、白金の凝集を抑制できることが報告されている。該N−CNTが白金の凝集を抑える仮説として、非特許文献1の第1頁右欄第1〜6行には、窒素原子のようなヘテロ原子が炭素材料表面への白金の吸着を強めることが記載されている。また、該N−CNTをX線光電子分光法によって分析すると、ピリジン型窒素に由来する398.7eVのピーク、グラファイト型窒素に由来する401.1eVのピークおよび酸化物型窒素に由来する404.0eVのピークが観察されることが記載されている。
【0004】
一方、非特許文献2には、粒径約22nmのコロイド粒子により細孔構造を転写された炭素(colloid-imprinted carbon, CIC)を担体とする白金触媒は、優れた電極触媒活性を示すことが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Physical Chemistry Chemical Physics, 2012, 14, pp. 6444-6447
【非特許文献2】Electrochemistry Communications 10 (2008) pp. 659-662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載されているように、窒素含有炭素を白金触媒の担体として用いると白金触媒の長寿命化に寄与すると考えられる。また、非特許文献2に記載されているように、メソ孔(すなわち細孔径2〜50nmの細孔)を有する多孔質炭素は白金触媒(特に固体高分子型燃料電池に用いる白金触媒)の担体として有効であり、白金触媒の高活性化に寄与すると考えられる。このような事情に鑑み、本発明はメソ孔を有する窒素含有多孔質炭素の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の方法によってメソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造できることを見出した。
【0008】
[1] 芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つヒドロキシ基、酸性基および塩基性基からなる群より選ばれる極性基を有する極性ブロック(S)と、不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性である非極性ブロック(T)とを有するブロック共重合体(Z)および
下記式(1):
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRで示されるアミノ基を表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
で示されるN−メチロール化合物を含有する水分散液中で、前記N−メチロール化合物を重合し、混合物を得る第1工程、
得られた混合物から水を除去して重合体組成物を得る第2工程、並びに
得られた重合体組成物を不活性ガス雰囲気下で加熱する第3工程、
を含む窒素含有多孔質炭素の製造方法。
[2] 極性基がスルホ基である、前記[1]の製造方法。
[3] 芳香族ビニル化合物がスチレンおよびα−メチルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一つであり、不飽和脂肪族炭化水素がイソブテン、ブタジエンおよびイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、前記[1]または[2]の製造方法。
[4] N−メチロール化合物が下記式(2):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
で示される化合物である、前記[1]〜[3]のいずれかの製造方法。
[5] 第1工程の重合温度が20〜100℃である、前記[1]〜[4]のいずれかの製造方法。
[6] 第3工程の加熱温度が400〜1200℃である、前記[1]〜[5]のいずれかの製造方法。
【0013】
なお、以下では上記式(1)または(2)で示されるN−メチロール化合物を、それぞれ「N−メチロール化合物(1)」または「N−メチロール化合物(2)」と略称する。また、ヒドロキシ基、酸性基および塩基性基からなる群より選ばれる極性基を「極性基」と略称する。また、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つ極性基を有する極性ブロック(S)を「極性ブロック(S)」と、不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性である非極性ブロック(T)を「非極性ブロック(T)」と略称する。また、極性ブロック(S)と非極性ブロック(T)とを有するブロック共重合体(Z)を「ブロック共重合体(Z)」と略称する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例2で得られた窒素含有多孔質炭素のX線光電子分光法による測定結果を示すグラフである。
図2】実施例1〜4で得られた窒素含有多孔質炭素の細孔径分布曲線である。
図3】実施例2で得られた窒素含有多孔質炭素の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1工程]
本発明の製造方法は、ブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液中で、該水分散液に含有されるN−メチロール化合物(1)を重合し、N−メチロール化合物(1)の重合体、ブロック共重合体(Z)および水を含有する混合物を得る第1工程を含む。ここで水分散液とは水を分散媒とする分散液を意味する。
【0017】
<ブロック共重合体(Z)>
ブロック共重合体(Z)は、極性ブロック(S)と非極性ブロック(T)とを、それぞれ1個以上有する。ブロック共重合体(Z)が複数の極性ブロック(S)を有する場合、それらの構造(例えば構造単位の種類、重合度、極性基の種類や導入割合など)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。また、ブロック共重合体(Z)が複数の非極性ブロック(T)を有する場合、それらの構造(例えば構造単位の種類、重合度など)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0018】
ブロック共重合体(Z)としては、例えばS−T型ジブロック共重合体、S−T−S型トリブロック共重合体、T−S−T型トリブロック共重合体およびこれらの混合物(例えばT−S−T型トリブロック共重合体とS−T型ジブロック共重合体との混合物)などが挙げられる(前記SおよびTは、それぞれ極性ブロック(S)および非極性ブロック(T)を表す)。ブロック共重合体(Z)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
ブロック共重合体(Z)は、上記水分散液中で極性ブロック(S)を外側にし、非極性ブロック(T)を内側にしたミセル(以下「ミセル」と略称する)を形成すると考えられる。
【0020】
本発明は、かかる水分散液中でミセルを形成することができるブロック共重合体(Z)を使用することを特徴の一つとする。なお、ブロック共重合体(Z)の代わりに極性ブロック(S)を有さない共重合体(例えば、後述するブロック共重合体(Z))を用いると、ミセルを形成することができずメソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造することができない。
【0021】
極性ブロック(S)はヒドロキシ基、酸性基(例えばスルホ基、ホスホン酸基(−P(O)(OH))、カルボキシ基など)および塩基性基(例えばアミノ基など)からなる群より選ばれる極性基を有する。該極性基としては酸性基が好ましく、スルホ基がより好ましい。なお、酸性基および塩基性基はいずれも塩の形態として存在していてもよい。
【0022】
ブロック共重合体(Z)1gあたりの極性基の含有量は、ミセルの安定性の観点から0.2〜3mmol/gが好ましく、0.5〜2mmol/gがより好ましく、0.7〜1.5mmol/gがさらに好ましい。
【0023】
極性基がヒドロキシ基である場合、該極性基の含有量はH−NMR測定によって算出できる。H−NMR測定は、必要に応じてヒドロキシ基に保護基(例えばトリメチルシリル基)を導入したのちに行ってもよい。
【0024】
極性基が酸性基または塩基性基である場合、該極性基の含有量は中和滴定により算出できる。なお、塩の形態の酸性基または塩基性基である場合の極性基の含有量は、極性基を遊離形態の酸性基または塩基性基に変換した後に中和滴定することによって算出できる。
【0025】
ブロック共重合体(Z)は、例えば芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を有し、且つ極性基を有さないブロック(S)(以下「ブロック(S)」と略称する)および非極性ブロック(T)を有するブロック共重合体(Z)(以下「ブロック共重合体(Z)」と略称する)を製造し、次いで得られたブロック共重合体(Z)のブロック(S)に公知の方法によって極性基を導入することによって製造できる。
【0026】
ブロック共重合体(Z)の数平均分子量(Mn)は5,000〜200,000が好ましく、30,000〜150,000がより好ましく、50,000〜130,000がさらに好ましい。Mnが5,000〜200,000であるブロック共重合体(Z)から得られるブロック共重合体(Z)を使用することによって、窒素含有多孔質炭素の製造においてメソ孔を形成しやすくなる。なお、本明細書においてMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準ポリスチレン換算)により測定される値である。
【0027】
ブロック共重合体(Z)におけるブロック(S)の含有量は10〜80質量%の範囲であることが好ましく、細孔径のバラつきが小さい窒素含有多孔質炭素を得る観点から20〜70質量%の範囲であることがより好ましい。
また、ブロック共重合体(Z)における非極性ブロック(T)の含有量は20〜90質量%の範囲であることが好ましく、細孔径のバラつきが小さい窒素含有多孔質炭素を得る観点から30〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
なお、これら含有量はH−NMRで観測されるブロック(S)および非極性ブロック(T)の積分値を元に定められる。
【0028】
ブロック(S)は芳香族ビニル化合物を単量体として重合することで形成できる。かかる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルビフェニル、ビニルターフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−フェノキシスチレンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、上記の芳香族ビニル化合物のビニル基上の水素原子のうち、芳香環のα−位の炭素(α−炭素)に結合した水素原子が他の置換基によって置換されていてもよい。かかる置換基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基(例えばクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロエチル基など)、アリール基(例えばフェニル基など)などを挙げることができる。置換されたビニル基を有する芳香族ビニル化合物としては、例えばα−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−4−エチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
【0030】
かかる芳香族ビニル化合物のうち極性基(特にスルホ基)導入の容易さの観点から、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルビフェニル、ビニルターフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−フェノキシスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチレン、α−メチル−4−エチルスチレンおよび1,1−ジフェニルエチレンが好ましく、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、ビニルビフェニルおよびα−メチルスチレンがより好ましく、スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、ビニルビフェニルおよびα−メチルスチレンがさらに好ましく、スチレンおよびα−メチルスチレンが特に好ましい。
【0031】
ブロック(S)およびこれから誘導される極性ブロック(S)は、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族ビニル化合物以外の単量体(以下「他の単量体(a)」と略称する)に由来する構造単位を含んでいてもよい。他の単量体(a)としては、例えば炭素数4〜8の共役ジエン(例えばブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエンなど)、炭素数2〜8のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテンなど)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなど)、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)、ビニルエーテル(例えばメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなど)などが挙げられる。他の単量体(a)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
ブロック(S)中の他の単量体(a)に由来する構造単位の含有量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、他の単量体(a)に由来する構造単位が含まれないことが最も好ましい。また、ブロック(S)中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0033】
ブロック(S)一つあたりのMnは1,000〜80,000が好ましく、3,000〜70,000がより好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましい。ブロック(S)一つあたりのMnが1,000〜80,000であるブロック共重合体(Z)から得られるブロック共重合体(Z)を使用することによって、細孔径の均一性が高い窒素含有多孔質炭素を製造することができる。
【0034】
非極性ブロック(T)は不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位を有し、且つ非晶性であるブロックである。非極性ブロック(T)が非晶性であることは、ブロック共重合体(Z)の動的粘弾性を測定して、結晶性オレフィン重合体に由来する貯蔵弾性率の変化がないことによって確認できる。
【0035】
非極性ブロック(T)は不飽和脂肪族炭化水素を単量体として重合することで形成できる。不飽和脂肪族炭化水素としては、例えば炭素数2〜8のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテンなど)、炭素数4〜8の共役ジエン(例えばブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエンなど)などが挙げられる。これら不飽和脂肪族炭化水素は1種を単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。不飽和脂肪族炭化水素として共役ジエンを使用する場合、重合(結合)の様式は1,2−結合であっても、1,4−結合であっても、これらが混ざっていてもよい。
【0036】
かかる不飽和脂肪族炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ヘプタジエンが好ましく、ブタジエン、イソブテン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ヘプタジエンがより好ましく、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび2−エチル−1,3−ブタジエンがさらに好ましく、イソブテン、ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0037】
非極性ブロック(T)は、本発明の効果を損なわない範囲で不飽和脂肪族炭化水素以外の単量体(以下「他の単量体(b)」と略称する)に由来する構造単位を含んでいてもよい。他の単量体(b)としては、例えば芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、ビニルナフタレンなど)、ハロゲン含有ビニル化合物(例えば塩化ビニルなど)、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)、ビニルエーテル(例えばメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなど)などが挙げられる。他の単量体(b)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
非極性ブロック(T)中の他の単量体(b)に由来する構造単位の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、非極性ブロック(T)中の不飽和脂肪族炭化水素に由来する構造単位の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0039】
非極性ブロック(T)一つあたりのMnは3,000〜150,000が好ましく、10,000〜120,000がより好ましく、20,000〜100,000がさらに好ましい。非極性ブロック(T)一つあたりのMnが3,000〜150,000であるブロック共重合体(Z)は水への分散性が良好でミセルを形成しやすくなり、メソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造しやすくなる。
【0040】
ブロック共重合体(Z)を製造するための前記単量体の重合方法としては、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法などを適宜選択することができる。これらの中で、工業的な容易さから、ラジカル重合法、アニオン重合法およびカチオン重合法が好ましく、分子量および分子量分布の制御の観点から、リビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法およびリビングカチオン重合法がより好ましい。
【0041】
ブロック共重合体(Z)をリビングアニオン重合によって製造する方法として、不飽和脂肪族炭化水素として共役ジエンを用いる場合を例とすると、
(1)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、芳香族ビニル化合物を逐次重合させて、S−T−S型トリブロック共重合体(Z)を得る方法(前記SおよびTは、それぞれブロック(S)および非極性ブロック(T)を表す。以下同じ);
(2)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で芳香族ビニル化合物、共役ジエンを逐次重合させた後、安息香酸フェニルなどのカップリング剤を添加して、S−T−S型トリブロック共重合体(Z)を得る方法;
(3)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中で、アニオン重合開始剤として有機リチウム化合物および重合末端アニオンの活性化剤である極性化合物(例えばエーテル、アミンなど)の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、芳香族ビニル化合物を重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、安息香酸フェニルなどのカップリング剤を添加して、S−T−S型ブロック共重合体(Z)を得る方法;
(4)シクロヘキサンなどの非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で、t−ブチルスチレン、スチレン、共役ジエンを所望の順番で各1回以上逐次添加し、3種類以上のブロックからなるブロック共重合体(Z)を得る方法
などが挙げられる。
【0042】
ブロック共重合体(Z)をリビングカチオン重合によって製造する方法として、不飽和脂肪族炭化水素としてイソブテンを用いる場合を例とすると、ハロゲン化炭化水素および炭化水素の混合溶媒中、−78℃で、2官能性ハロゲン化開始剤を用いて、ルイス酸存在下、イソブテンをカチオン重合させた後、スチレンなどの芳香族ビニル化合物を重合させて、S−T−S型トリブロック共重合体(Z)を得る方法(例えばMakromol. Chem., Macromol. Symp. 32, pp. 119−129 (1990).に記載の方法)が挙げられる。
【0043】
ブロック共重合体(Z)を製造するための単量体として、炭素−炭素二重結合を複数有する不飽和脂肪族炭化水素を使用する場合、通常、得られる重合体に炭素−炭素二重結合が残存する。この場合、公知の水素添加反応(水添反応)によって水素添加(水添)し、重合後に残存する炭素−炭素二重結合の一部または全部を飽和結合に変換してもよい。炭素−炭素二重結合の水素添加率(水添率)は50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。水添率はH−NMR測定によって算出することができる。
【0044】
上述のようにして製造したブロック共重合体(Z)に、公知の方法で極性基を導入することによってブロック共重合体(Z)を製造することができる。
【0045】
ブロック共重合体(Z)にスルホ基を導入する方法としては、公知のスルホン化反応が挙げられ、例えばブロック共重合体(Z)の溶液や懸濁液に後述するスルホン化剤を添加する方法や、ブロック共重合体(Z)にガス状のスルホン化剤を直接添加する方法が挙げられる。
【0046】
スルホン化剤としては、硫酸、硫酸と脂肪族酸無水物との混合物、クロロスルホン酸、クロロスルホン酸と塩化トリメチルシリルとの混合物、三酸化硫黄、三酸化硫黄とトリエチルホスフェートとの混合物、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸などが例示される。
【0047】
スルホン化反応に用いる溶媒としては、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ヘキサンなどの直鎖脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素およびこれらの混合溶媒が例示できる。
【0048】
また、例えばブロック共重合体(Z)へのホスホン酸基(−P(O)(OH))の導入方法としては、ブロック共重合体(Z)の溶液や懸濁液を調製し、無水塩化アルミニウムの存在下で、該ブロック共重合体(Z)をクロロメチルエーテルなどと反応させ、芳香環にハロメチル基を導入後、これに三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させて、さらに加水分解反応を行ってホスホン酸基を導入する方法などが挙げられる。また、該ブロック共重合体(Z)に三塩化リンと無水塩化アルミニウムを加えて反応させ、芳香環にホスフィン酸基(−PH(O)(OH))を導入後、硝酸により該ホスフィン酸基を酸化してホスホン酸基に変換する方法が挙げられる。
【0049】
また、例えばブロック共重合体(Z)へのアミノ基の導入方法としては、ブロック共重合体(Z)をクロロメチル化し、次いでアミンなどと反応させる方法などが挙げられる。
【0050】
<N−メチロール化合物(1)>
本発明で用いるN−メチロール化合物(1)は、下記式(1)で示される。
【0051】
【化3】
【0052】
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRで示されるアミノ基を表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
【0053】
式(1)中のXで表される炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。
【0054】
式(1)中のR〜Rで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基などが挙げられ、この中でも炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がさらに好ましい。
【0055】
式(1)中のR〜Rで表されるヒドロキシアルキル基は、上述のアルキル基の少なくとも1つ(好ましくは1〜3つ、最も好ましくは1つ)の水素原子がヒドロキシ基で置換されたものを意味する。かかるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基および3−ヒドロキシプロピル基が好ましく、ヒドロキシメチル基が最も好ましい。
【0056】
式(1)中のR〜Rで表されるアルコキシアルキル基は、上述のアルキル基の少なくとも1つ(好ましくは1〜3つ、最も好ましくは1つ)の水素原子がアルコキシ基で置換された官能基を意味する。かかるアルコキシ基の具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられ、上記アルコキシアルキル基としてはメトキシメチル基、2−メトキシエチル基および3−メトキシプロピル基が好ましく、メトキシメチル基および2−メトキシエチル基がより好ましい。
【0057】
第1工程における重合を促進する観点から、N−メチロール化合物(1)として、Xが−NRであり、且つR〜Rが互いに独立して水素原子またはヒドロキシメチル基である化合物が好ましい。N−メチロール化合物(1)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、後述する方法でN−メチロール化合物(1)を製造する場合、通常、複数のN−メチロール化合物(1)の混合物となる。N−メチロール化合物(1)におけるヒドロキシメチル基(−CHOH)の数の平均値は1〜4が好ましく、1.5〜3がより好ましい。
【0058】
N−メチロール化合物(1)のうち、得られる窒素含有多孔質炭素中の窒素導入量を高める観点から、下記式(2)で示される化合物(即ち、少なくとも一つのヒドロキシメチル基を有するメチロールメラミン)が好ましい。
【0059】
【化4】
【0060】
(式中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
【0061】
式(2)中のR〜Rの説明は、式(1)で説明したものと同じである。N−メチロール化合物(2)として、R〜Rが互いに独立して水素原子またはヒドロキシメチル基である化合物が好ましい。N−メチロール化合物(2)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。N−メチロール化合物(2)におけるヒドロキシメチル基(−CHOH)の数の平均値は1〜4が好ましく、1.5〜3がより好ましい。
【0062】
N−メチロール化合物(1)は、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒド(以下「ホルムアルデヒド類」と称する)と下記式(3)で示されるアミン(以下「アミン(3)」と称する)とを反応(N−メチロール化反応)させることで得られる。
【0063】
【化5】
【0064】
(式中、Xは水素原子、炭化水素基または−NRを表し、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基を表す。)
【0065】
アミン(3)の具体例としては、メラミン(R=R=R=H、X=NRでありかつR=R=H)、ベンゾグアナミン(R=R=R=H、X=フェニル基)、アセトグアナミン(R=R=R=H、X=メチル基)などが挙げられ、得られる窒素含有多孔質炭素中の窒素導入量を高める観点からメラミンが好ましい。
【0066】
ホルムアルデヒド類としてはホルムアルデヒドが好ましく、かかるホルムアルデヒドはホルムアルデヒド溶液として用いることが好ましい。ホルムアルデヒド溶液の溶媒としては、水、極性有機溶媒およびこれらの混合溶媒が挙げられ、水が好ましい。極性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノールなどのアルコール;テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、シクロヘキサノンなどのケトンなどが挙げられる。極性有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ホルムアルデヒド溶液中のホルムアルデヒド濃度は5〜80質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
【0067】
N−メチロール化反応におけるホルムアルデヒド類の使用量は、アミン(3)が有する−NH−で示される部分構造に対して、HCHO換算で1〜6モル倍が好ましく、1.5〜3モル倍がより好ましい。上記使用量が1モル倍以上であることで反応の進行が促進され、6モル倍以下であることで原料コスト上有利となるので、工業生産性が高まる。
【0068】
N−メチロール化反応は一般に溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、水およびこれらの混合溶媒が挙げられ、水が好ましい。極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノールなどのアルコール;テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、シクロヘキサノンなどのケトンなどが挙げられる。極性有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。N−メチロール化反応における溶媒の使用量は、生成するN−メチロール化合物(1)の溶解性の観点から、アミン(3)の0.5質量倍以上が好ましい。
【0069】
N−メチロール化反応を促進する観点から、アミン(3)以外の塩基を反応系に加えてもよい。該塩基としては、除去の容易さなどの観点からアンモニアおよびトリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなど)が好ましく、アンモニアがより好ましい。該塩基は第1工程の後に留去してもよいし、N−メチロール化合物(1)中に残留させたまま第2工程に供してもよい。
【0070】
N−メチロール化反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でも行ってもよいが、通常、大気下で行われる。N−メチロール化反応の反応温度は50〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。N−メチロール化反応の反応時間は、加熱温度、ホルムアルデヒド類の使用量、アミン(3)の使用量などにより異なるが、一般的には1分間〜1時間である。
【0071】
N−メチロール化反応は、通常前記ホルムアルデヒド水溶液にアミン(3)を添加して行う。アミン(3)は通常ホルムアルデヒド水溶液に溶解せずに分散するが、N−メチロール化反応の進行に伴って、分散していたアミン(3)が消失するとともに生成したN−メチロール化合物(1)が溶媒に溶解し均一な水溶液が得られる。かかる均一な水溶液が得られるまでN−メチロール化反応を行うことが好ましい。N−メチロール化反応によって得られたN−メチロール化合物(1)は、再結晶などの公知の方法で上記溶液から単離した後に第1工程に用いてもよく、上記水溶液のまま用いてもよい。なお、N−メチロール化反応で得られたN−メチロール化合物(1)の水溶液は、通常、複数のN−メチロール化合物(1)を含有する。操作の簡略化の観点から、得られたN−メチロール化合物(1)の水溶液をそのまま第1工程で用いることが好ましい。なお、N−メチロール化合物(1)の構造は、上記溶液から塩基性物質および溶媒を除去したのち、H−NMR測定によって特定できる。
【0072】
第1工程におけるN−メチロール化合物(1)の使用量は、ブロック共重合体(Z)100質量部に対して100〜800質量部が好ましく、120〜400質量部がより好ましい。この使用量を100質量部以上とすることで、本発明の製造方法で得られる窒素含有多孔質炭素の収率を高められ、800質量部以下とすることで、本発明の製造方法で得られる窒素含有多孔質炭素は白金担持量に優れる傾向となる。
【0073】
第1工程において、重合前のブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液中のN−メチロール化合物(1)およびブロック共重合体(Z)の合計含有量は、生産性の観点から0.5〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0074】
第1工程で使用するブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含む水分散液は、好適には、例えば、
(i)ブロック共重合体(Z)の水分散液を調製し、
(ii)別途、上述のN−メチロール化反応によってN−メチロール化合物(1)を製造し、
(iii)前記(i)で調製した水分散液に、前記(ii)で得られたN−メチロール化合物(1)を添加する
ことによって製造することができる。
【0075】
上記(iii)では、上記(ii)で得られたN−メチロール化合物(1)を単離して、上記(i)で調製したブロック共重合体(Z)の水分散液に添加してもよく、上記(ii)で行うN−メチロール化反応後の反応混合液(通常、水溶液)をそのまま上記(i)で調製したブロック共重合体(Z)の水分散液に添加してもよい。操作の簡略化の観点から、N−メチロール化反応後の溶液をそのまま上記(i)で調製したブロック共重合体(Z)の水分散液に添加することが好ましい。N−メチロール化合物(1)の添加方法に特に制限はなく、一括添加、逐次添加および連続添加のいずれでもよい。
【0076】
上記(i)におけるブロック共重合体(Z)の水分散液の調製方法としては、例えば
(1)ブロック共重合体(Z)の有機溶液に水を添加して攪拌した後に、有機溶媒を除去する方法(転相乳化法)、
(2)ブロック共重合体(Z)の有機溶液に、アルコールなどの極性有機溶媒を添加して攪拌し、さらに水を添加した後に、元の有機溶液に含まれていた有機溶媒および添加した極性有機溶媒を除去する方法
などが挙げられる。
【0077】
また上記(i)におけるブロック共重合体(Z)の水分散液におけるブロック共重合体(Z)の含有量は1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。該含有量は水分散液の固形分として求めることができ、詳しくは、該水分散液を加熱乾燥式水分計(株式会社エー・アンド・デイ製MX−50)で150℃で60分間乾燥させ、乾燥前の水分散液の質量および乾燥後に得られた固形物(すなわちブロック共重合体(Z))の質量から次式により固形分を算出することができる。
ブロック共重合体(Z)の含有量(質量%)=100×乾燥後に得られた固形物の質量(g)/乾燥前の水分散液の質量
【0078】
またかかるブロック共重合体(Z)の水分散液において、ミセルを形成しているブロック共重合体(Z)の平均分散粒径は、細孔の均一性の高いメソ孔を得る観点から5〜200nmの範囲が好ましく、10〜100nmの範囲がより好ましい。該平均分散粒径は動的光散乱法で測定した値である。詳しくは、後述の実施例に動的光散乱法の測定条件および装置を記載する。
【0079】
ブロック共重合体(Z)の水分散液においてミセルを形成しているブロック共重合体(Z)の平均分散粒径は、ブロック共重合体(Z)のMn、各ブロックの比率、各ブロックの結合様式、極性基の種類、極性基の量などによって調整できる。例えばブロック共重合体(Z)のMnが大きいと、かかる平均分散粒径は大きくなる傾向がある。また、極性基の極性が低いと、かかる平均分散粒径は大きくなる傾向がある。また、ブロック共重合体(Z)の極性基の含有量が少ないと、かかる平均分散粒径は大きくなる傾向がある。
【0080】
第1工程におけるN−メチロール化合物(1)の重合は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、通常、大気下で行われる。
かかる重合を行う重合温度は20〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。また重合時間は、本発明で得られる窒素含有多孔質炭素の細孔の均一性を高める観点から10分間〜10時間が好ましく、20分間〜2時間がより好ましい。
【0081】
ブロック共重合体(Z)およびN−メチロール化合物(1)を含有する水分散液は、重合を促進させるために、酸性であることが好ましく、そのpHは5以下であることがより好ましい。該水分散液を酸性に調整する目的で酸を含有させてもよい。かかる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸およびこれらの混合物が挙げられる。無機酸および有機酸はいずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ブロック共重合体(Z)の極性基が酸性基である場合、上記した酸を含有させることなく水分散液を酸性に調整できるので好ましい。
【0082】
[第2工程]
本発明の製造方法は、第1工程で得られた混合物から水を除去して重合体組成物を得る第2工程を含む。かかる重合体組成物は、N−メチロール化合物(1)の重合体中に粒子状のブロック共重合体(Z)が分散された構造を形成していると考えられる。
【0083】
水の除去方法に特に限定はなく、公知の方法、例えばろ過、自然乾燥、加熱、減圧およびこれらの組み合わせを適宜採用することができる。水を除去するために加熱する場合、加熱温度は30〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。水を除去するために減圧する場合、その圧力は、1.3〜13,000Paが好ましく、13〜1,300Paがより好ましい。また、水の除去は大気下で行っても、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また、第1工程で得られた混合物に含まれる水を第3工程の加熱温度までに昇温する間に除去してもよい。すなわち、第2工程の水の除去と第3工程のための昇温とを同時に行ってもよい。
【0084】
[第3工程]
本発明の製造方法は、第2工程で得られた重合体組成物を不活性ガス雰囲気下で加熱する第3工程を含む。第3工程において、N−メチロール化合物(1)の重合体中に分散された粒子状のブロック共重合体(Z)が除去されてメソ孔が形成されるとともに、N−メチロール化合物(1)の重合体が窒素含有炭素に変換され、メソ孔を有する窒素含有多孔質炭素が製造されると考えられる。
【0085】
不活性ガスは、窒素、アルゴンまたはこれらの混合気体が好ましく、窒素がより好ましい。
【0086】
加熱温度は400〜1200℃が好ましく、500〜1000℃がより好ましい。加熱温度を400℃以上とすることで加熱時間を短縮でき、1200℃以下とすることで窒素含有多孔質炭素の回収率が高まる。そのため、加熱温度を400〜1200℃とすることで、窒素含有多孔質炭素の生産性が高まる。加熱温度にて保持する時間(加熱時間)は30分間〜12時間が好ましい。
【0087】
加熱温度までの昇温速度は1〜50℃/分が好ましく、2〜30℃/分がより好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることで生産性が向上し、50℃/分以下とすることで得られる窒素含有多孔質炭素の細孔の均一性が向上する。この昇温は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0088】
第3工程の後、通常、得られた窒素含有多孔質炭素を常温まで冷却する。冷却速度は1〜50℃/分が好ましく、5〜30℃/分がより好ましい。冷却速度を1℃/分以上とすることで生産性が向上する。冷却方法に特に制限はなく、公知の冷却装置を用いても、自然冷却してもよい。
【0089】
<窒素含有多孔質炭素>
本発明の製造方法で得られる窒素含有多孔質炭素は、炭素骨格中に窒素原子が導入されている。窒素含有多孔質炭素の窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)は、CHN元素分析によって求めることができる。該原子比(N/C)に特に限定はないが、通常0.05〜0.3程度である。
【0090】
本発明の製造方法で得られる窒素含有多孔質炭素中の窒素原子の化学結合状態は、X線光電子分光法により決定することができる。1s軌道の電子の結合エネルギーは、ピリジン型では398.7eV、グラファイト型では401.1eV、酸化物型では404.0eVであり、X線光電子分光法から得られたスペクトルをピーク分離することで、窒素原子の化学結合状態を各化学結合状態に帰属することができる。
【0091】
本発明の製造方法では、メソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造することができる。また、後述の実施例で示すように、本発明の製造方法では細孔径の均一性が高いメソ孔を有する窒素含有多孔質炭素を製造できる。窒素含有多孔質炭素の細孔径は10〜50nmであることが好ましく、15〜40nmであることがより好ましい。ここで窒素含有多孔質炭素の細孔径は、窒素ガスの平衡圧力に対する窒素ガスの吸着量をプロットして得られる窒素吸着等温線からBJH法により算出される細孔径分布曲線における最大ピークの細孔径を指す(島津評論,vol.48,No.1(1991.6)第35〜44頁参照)。
【実施例】
【0092】
以下、実施例などを用いて本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0093】
1.重合体の特性評価
(1)数平均分子量(Mn)の測定
以下の測定装置および条件によって、重合体のMnを測定した。なお、重合体のMnは、標準ポリスチレンの較正曲線を用いて換算した。
GPCシステム:東ソー社製「HLC−8220GPC」
カラム:TSK guard Column Super MP−M;TSK gel G3000H;およびTSKgel Super Multipore HZ−Mをこの順に直列に連結して使用した。
RI検出器:HLC−8220GPC
カラムオーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
標準サンプル:ポリスチレン
【0094】
(2)ブロック共重合体(Z)におけるブロック(S)の含有量、非極性ブロック(T)中の1,4−結合量および水添率並びにブロック共重合体(Z)のスルホン化率の測定
以下の測定装置および条件によって、H−NMRを測定し、ブロック共重合体(Z)におけるブロック(S)の含有量、非極性ブロック(T)中の1,4−結合量および水添率並びにブロック共重合体(Z)のスルホン化率(極性ブロック(S)中の芳香族ビニル化合物に由来する構造単位に対するスルホ基の導入率)を算出した。
H−NMRシステム:日本電子製JNM−ECX400
溶媒:重水素化クロロホルム
基準ピーク:テトラメチルシラン
【0095】
(3)スルホ基の含有量の測定
ブロック共重合体(Z)を秤量(秤量値a(g))し、100質量倍のテトラヒドロフランに溶解させた。該溶液に過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液((300〜500)×a(mL))を添加して、密閉系で12時間攪拌した。フェノールフタレインを指示薬として、水中に発生した塩化水素を0.01規定の水酸化ナトリウム標準水溶液(力価f)にて中和滴定(滴定量b(mL))した。以上の結果から、ブロック共重合体(Z)1gあたりのスルホ基の含有量を、次式から算出した。
ブロック共重合体(Z)1gあたりのスルホ基の含有量(mmol/g)=(0.01×b×f)/a
【0096】
(4)非極性ブロック(T)の非晶性評価
ブロック共重合体(Z)(20質量%)のトルエン/2−プロパノール(質量比5/5)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム(三菱樹脂社製「MRV」)上に約350μmの厚さで塗工し、熱風乾燥機にて100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ30μmの膜を得た。得られた膜を、広域動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数:11Hz)にて昇温速度3℃/分で−80℃から250℃まで昇温して、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)および損失正接(tanδ)を測定した。結晶性オレフィン重合体に由来する80〜100℃における貯蔵弾性率の変化の有無から、非極性ブロック(T)の非晶性を評価した。この結果、下記製造例で得られたすべてのブロック共重合体(Z)において上記貯蔵弾性率の変化がなく、それらの非極性ブロック(T)は非晶性であった。
【0097】
(5)水分散液中のブロック共重合体(Z)の平均分散粒径の測定
動的光散乱法による粒径測定装置(大塚電子社製「FPAR−1000」)を用いて、製造例7〜9で製造したブロック共重合体(Z)の水分散液中のブロック共重合体(Z)の平均分散粒径を測定した。測定温度は26℃で行い、ストークス・アインシュタイン式を用いて粒径を算出し、得られた粒径を平均して平均分散粒径を求めた。
【0098】
(6)N−メチロール化合物(1)の分析
N−メチロール化合物(1)中のヒドロキシメチル基(−CHOH)の数は、以下の測定装置および条件によって、H−NMRを測定し、算出した。
H−NMRシステム:日本電子製JNM−ECM400
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
基準ピーク:テトラメチルシラン
【0099】
2.第1工程で使用する成分の製造
[製造例1:ブロック共重合体(Z)−1の製造]
各原料は予め充分に脱水したものを用いた。撹拌装置付き耐圧容器を充分に窒素置換した後、撹拌しつつ172gのα−メチルスチレン、251gのシクロヘキサン、47.3gのメチルシクロヘキサンおよび5.9gのテトラヒドロフランを各々添加した後、−10℃に冷却し、さらに16.8mLのsec−ブチルリチウム(1.3M)のシクロヘキサン溶液を添加し、5時間撹拌を続けて重合反応を行った。このとき重合溶液をサンプリングして重合体(ポリ(α−メチルスチレン))のMnを確認したところ7,100であった。次いで、35.4gのブタジエンを添加し、30分間撹拌後、1,680gのシクロヘキサンを加えた。このとき重合溶液をサンプリングして確認した重合体(ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン型のジブロック共重合体)のMnと前記したポリ(α−メチルスチレン)のMnとの差からポリブタジエンブロックのMnは3,350であった。次いで、重合溶液に1時間かけて310gのブタジエンを添加した。かかるブタジエンの添加開始と同時に昇温を始め、30分かけて60℃まで昇温したのち、60℃で30分間保持した。ブタジエン添加完了後、さらに60℃にて1時間重合した。その後、重合溶液に、21.8mLのα,α’−ジクロロ−p−キシレン(0.5M、トルエン溶液)を加え、60℃にて1時間撹拌することで、カップリング反応を行い、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)型のトリブロック共重合体(「mSEBmS」と略称する)を合成した。得られたmSEBmSのMnは79,500であり、非極性ブロック(T)中の1,4−結合量は44.0%、ブロック(S)の含有量(すなわち、α−メチルスチレン単位の含有量)は31質量%であった。
次いで、mSEBmSのシクロヘキサン溶液を調製し、充分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のチーグラー系触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水添反応を行い、ポリ(α−メチルスチレン)−水添ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)型のトリブロック共重合体(「ブロック共重合体(Z)−1」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−1の水添率は99.6モル%であり、Mnは79,600であり、各ポリ(α−メチルスチレン)ブロックのMnはいずれも7,100であり、水添ポリブタジエンブロックのMnは65,400であった。
【0100】
[製造例2:ブロック共重合体(Z)−1の製造]
製造例1で得られた100gのブロック共重合体(Z)−1を、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて40℃、50Paで6時間乾燥し、次いで窒素置換した後、1000mLの塩化メチレンを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、41.8mLの塩化メチレン中、0℃にて21.0mLの無水酢酸と9.34mLの硫酸とを反応させて得られたスルホン化剤を、20分かけて徐々に滴下した。25℃にて7時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した重合体を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、次いでろ過した。この洗浄およびろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ取した重合体を20℃、50Paで12時間乾燥してスルホン化物(「ブロック共重合体(Z)−1」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−1のスルホン化率は50モル%であり、スルホ基の含有量は1.06mmol/gであった。
【0101】
[製造例3:ブロック共重合体(Z)−2の製造]
撹拌装置付き耐圧容器中に充分に脱水した2,000gのシクロヘキサン、充分に脱水した150gのスチレンおよび3.6mLのsec−ブチルリチウム(1.3M)のシクロヘキサン溶液を加え、50℃で60分間重合した後、282gのイソプレンを加え60分間重合することで、ポリスチレン−ポリイソプレン型ジブロック共重合体(「SI」と略称する)を合成した。得られたSIのMnは124,000であり、ブロック(S)の含有量(すなわち、スチレン単位の含有量)は35質量%であった。
次いで、SIのシクロヘキサン溶液を調製し、充分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のチーグラー系触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水添反応を行い、ポリスチレン−水添ポリイソプレン型のジブロック共重合体(「ブロック共重合体(Z)−2」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−2の水添率は98.5モル%であり、Mnは124,700であり、ポリスチレンブロックのMnは32,000であり、水添ポリイソプレンブロックのMnは92,700であった。
【0102】
[製造例4:ブロック共重合体(Z)−2の製造]
製造例3で得られた100gのブロック共重合体(Z)−2を、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて40℃、50Paで6時間乾燥し、次いで窒素置換した後、1000mLの塩化メチレンを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、41.8mLの塩化メチレン中、0℃にて19.7mLの無水酢酸と9.0mLの硫酸とを反応させて得られたスルホン化剤を、20分かけて徐々に滴下した。25℃にて3時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した重合体を製造例2と同様に洗浄、ろ過、真空乾燥してスルホン化物(「ブロック共重合体(Z)−2」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−2のスルホン化率は27モル%であり、スルホ基の含有量は0.88mmol/gであった。
【0103】
[製造例5:ブロック共重合体(Z)−3の製造]
撹拌装置付き耐圧容器を充分に窒素置換した後、300gのスチレン、2,200gのシクロヘキサンを投入し、撹拌を開始した。16.5mLのsec−ブチルリチウム(1.3M)のシクロヘキサン溶液を添加し、50℃で1時間重合した。このとき重合液をサンプリングして確認した重合体(ポリスチレン)のMnは14,000であった。次いで、5.4gのテトラヒドロフランおよび150gのブタジエンを添加し、1時間重合した。その後、重合溶液に21.8mLのα,α’−ジクロロ−p−キシレン(0.5M、トルエン溶液)を加え、60℃にて1時間撹拌することで、カップリング反応を行い、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン型ブロック共重合体(以下SBSと略称する)を合成した。得られたSBSのMnは55,000であり、ブロック(S)の含有量(すなわち、スチレン単位の含有量)は67質量%であった。
次いで、SBSのシクロヘキサン溶液を調製し、充分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のチーグラー系触媒を用いて、水素雰囲気下において80℃で5時間水添反応を行い、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレン型のトリブロック共重合体(「ブロック共重合体(Z)−3」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−3の水添率は99.5モル%であり、そのMnは56,000であり、各ポリスチレンブロックのMnはいずれも14,000であり、水添ポリブタジエンブロックのMnは28,000であった。
【0104】
[製造例6:ブロック共重合体(Z)−3の製造]
製造例5で得られた50gのブロック共重合体(Z)−3を、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて40℃、50Paで6時間乾燥し、次いで窒素置換した後、1000mLの塩化メチレンを加え、50℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、20.5mLの塩化メチレン中、0℃にて10.7mLの無水酢酸と4.8mLの硫酸とを反応させて得られたスルホン化剤を、20分かけて徐々に滴下した。50℃にて3時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した重合体を製造例2と同様に洗浄、ろ過、真空乾燥してスルホン化物(「ブロック共重合体(Z)−3」と称する)を得た。得られたブロック共重合体(Z)−3のスルホン化率は18モル%であり、スルホ基の含有量は1.0mmol/gであった。
【0105】
[製造例7:ブロック共重合体(Z)−1の水分散液の製造]
製造例2で合成した30gのブロック共重合体(Z)−1を270gのテトラヒドロフラン/2−メチルプロパノール混合溶媒(質量比50/50)に溶解し、ブロック共重合体(Z)−1(含有量10質量%)の溶液を調製した。この溶液に300gのメタノールを追加し、さらに600gの水を加えた後、エバポレータで有機溶媒を除去した。さらに水を100g加えた後、再度エバポレータで濃縮し、水分散液を得た。上述した方法で測定した該水分散液の固形分は11.8質量%であった。また、該水分散液中のブロック共重合体(Z)−1の平均分散粒径は32nmであった。
【0106】
[製造例8:ブロック共重合体(Z)−2の水分散液の製造]
ブロック共重合体(Z)−2を用いたこと以外は製造例7と同様にして水分散液を得た。上述した方法で測定した該水分散液の固形分は10.0質量%であった。また、動的光散乱法により測定した該水分散液中のブロック共重合体(Z)−2の平均分散粒径は68nmであった。
【0107】
[製造例9:ブロック共重合体(Z)−3の水分散液の製造]
ブロック共重合体(Z)−3を用いたこと以外は製造例7と同様にして水分散液を得た。上述した方法で測定した該水分散液の固形分は6.7質量%であった。また、動的光散乱法により測定した該水分散液中のブロック共重合体(Z)−3の平均分散粒径は19nmであった。
【0108】
[製造例10:メチロールメラミン水溶液の製造]
還流管を付し、磁気攪拌子を入れた100mLの三口フラスコに、10gのホルムアルデヒド水溶液(和光純薬工業社製、ホルムアルデヒド濃度37質量%、ホルムアルデヒド量3.7g)と5gの1Mアンモニア水(関東化学社製)を添加し、室温で撹拌混合した。得られた混合物に、室温で8.0gのメラミン(和光純薬工業社製、特級)を一括で添加した後、混合物を大気下で撹拌しながら室温から80℃まで5分間かけて昇温し、さらに80℃で40分間撹拌した。N−メチロール化反応の進行に伴い、添加当初で分散していた固体状のメラミンはなくなり、均一なメチロールメラミン水溶液が23.0g得られた。
得られたメチロールメラミン水溶液から1gを採取し、100℃で60分間乾燥したところ、500mgの固体が得られた。得られた固体は、H−NMRスペクトルから1分子あたり平均2個メチロール化されたメチロールメラミン(即ち、平均して2個のヒドロキシメチル基(−CHOH)を有するメチロールメラミン)であることを確認した。また前記H−NMRスペクトルでは、他の化合物に由来するピークが見られなかった。この結果から、得られたメチロールメラミン水溶液中の前記メチロールメラミン含有量を50質量%と決定した。
【0109】
3.窒素含有多孔質炭素の製造
[実施例1]
還流管を付し、磁気撹拌子を入れた容量100mLの三口フラスコに、製造例9で得られたブロック共重合体(Z)−3の水分散液21.5g(ブロック共重合体(Z)−3:1.44g含有)を添加した後、該水分散液を撹拌しながら大気下で80℃に昇温し、製造例10で得られたメチロールメラミン水溶液4.7g(メチロールメラミン:2.35g含有)を一括で添加して、水分散液を調製した、重合前の水分散液のpH=7.8)。得られた水分散液をさらに80℃にて30分間攪拌することによって、メチロールメラミンを重合し、ゲル状の混合物を得た(第1工程)。該混合物を三口フラスコからテフロン容器上に取り出して磁気攪拌子を除去した後、大気下にて100℃に昇温した後、100℃で1時間加熱することによって水を除去して、重合体組成物3.4gを得た(第2工程)。次いで得られた重合体組成物1.0gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で800℃まで昇温し、800℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、粉末状の窒素含有多孔質炭素134mgを得た(第3工程)。
【0110】
[実施例2]
製造例9で得られたブロック共重合体(Z)−3の水分散液21.5g(ブロック共重合体(Z)−3:1.44g含有)の代わりに、製造例7で得られたブロック共重合体(Z)−1の水分散液12.1g(ブロック共重合体(Z)−1:1.43g含有)を用いたこと以外は、実施例1と同様に第1工程および第2工程を行い、重合体組成物3.4gを得た(第1工程における重合前の水分散液のpH=7.8)。次いで得られた重合体組成物1.5gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で800℃まで昇温し、800℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、粉末状の窒素含有多孔質炭素187mgを得た(第3工程)。
【0111】
[実施例3]
第3工程の加熱温度を800℃から1000℃に変更したこと以外は実施例2と同様にして、粉末状の窒素含有多孔質炭素147mgを得た。
【0112】
[実施例4]
製造例9で得られたブロック共重合体(Z)−3の水分散液21.5g(ブロック共重合体(Z)−3:1.44g含有)の代わりに、製造例8で得られたブロック共重合体(Z)−2の水分散液10.8g(ブロック共重合体(Z)−2:1.08g含有)を用い、製造例10で得られたメチロールメラミン水溶液の使用量を3.5g(メチロールメラミン:1.75g含有)に変更したこと以外は、実施例1と同様に第1工程および第2工程を行い、重合体組成物2.5gを得た(第1工程における重合前の水分散液のpH=7.8)。次いで得られた重合体組成物1.0gを、窒素雰囲気下にて2.7℃/分の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で1時間加熱した後、7℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、粉末状の窒素含有多孔質炭素115mgを得た(第3工程)。
【0113】
4.窒素含有多孔質炭素の特性評価
(1)窒素原子の化学結合状態の解析
走査型X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製「PHI Quantera SXM」)を用いて得られた窒素含有多孔質炭素のX線光電子分光測定を行い、窒素原子の化学結合状態を決定した。X線源はMgKα線を用い、分析領域は約1000μmφとした。
【0114】
実施例2で得られた窒素含有多孔質炭素のX線光電子分光の測定結果を図1に示す。得られたスペクトルの解析を行ったところ、398.2eVおよび400.8eVの位置にピークが存在することが分かった。398.2eVのピークは、ピリジン型の窒素原子に相当し、400.8eVのピークはグラファイト型の窒素原子に相当すると判断できることから、本発明の製造方法で得られた窒素含有多孔質炭素の窒素原子の化学結合状態は、非特許文献1のN−CNTの窒素原子の化学状態と類似している。そのため、本発明の製造方法で得られた窒素含有多孔質炭素を、白金またはその合金の担体として用いれば、白金またはその合金の凝集を抑え、白金触媒の高寿命化に有効であると考えられる。
【0115】
(2)元素分析
元素分析装置(Perkin Elmer社製「2400II型」)を用いて、得られた窒素含有多孔質炭素のCHN元素分析を行い、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)を算出した。
【0116】
表1に実施例2および3で得られた窒素含有多孔質炭素の元素分析のデータを示す。実施例2および3で得られた窒素含有多孔質炭素には、それぞれ炭素原子に対して0.07および0.24の原子比で窒素原子が存在することが確認された。
【0117】
【表1】
【0118】
(3)比表面積、細孔容積および細孔径の測定
得られた窒素含有多孔質炭素を、1Paにて100℃で6時間乾燥処理した。次いで、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製「BELSORP−miniII」)を使用し、乾燥処理後の窒素含有多孔質炭素の窒素吸脱着等温線を測定した。得られた窒素吸着等温線から、BET法を用いて比表面積を算出した。また、前記窒素吸着等温線からBJH法を用いて、該乾燥処理後の窒素含有多孔質炭素の細孔容積および細孔径を算出した。
【0119】
表2に実施例1〜4で使用したブロック共重合体(Z)の種類、使用量および水分散液中の平均分散粒径、メチロールメラミンの使用量、第3工程における加熱温度、並びに実施例1〜4で得られた窒素含有多孔質炭素の比表面積、細孔容積および細孔径のデータを示す。実施例1〜4で得られた窒素含有多孔質炭素の細孔径は6.2〜28.3nmであり、これらの窒素含有多孔質炭素はメソ孔を有することが確認された。また、水分散液中のブロック共重合体(Z)の平均分散粒径の上昇に伴って、より大きな細孔径が得られることが分かった。
【0120】
【表2】
【0121】
実施例1〜4で得られた窒素含有多孔質炭素の細孔径分布曲線を図2に示す。実施例1〜4で得られた窒素含有多孔質炭素の細孔径分布曲線はいずれもシャープであり、本発明の製造方法で得られた窒素含有多孔質炭素は、細孔径の均一性が高いメソ孔を有することが確認された。
【0122】
実施例2で得られた窒素含有多孔質炭素の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。走査型電子顕微鏡写真からも、本発明の製造方法で得られた窒素含有多孔質炭素には多数のメソ孔が確認された。
図1
図2
図3