特開2015-204412(P2015-204412A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-204412(P2015-204412A)
(43)【公開日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】LEDアレイ駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20151020BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20151020BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
   H05B37/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-83630(P2014-83630)
(22)【出願日】2014年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】稗田 祥正
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宗
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋明
【テーマコード(参考)】
3K273
5F141
5F241
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA07
3K273BA24
3K273BA34
3K273CA02
3K273CA09
3K273CA12
3K273EA06
3K273EA24
3K273EA35
3K273EA40
3K273EA44
3K273FA03
3K273FA06
3K273FA13
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA33
3K273FA39
3K273GA05
3K273GA14
3K273GA28
5F141AA10
5F141AA24
5F141BB02
5F141BB03
5F141BB06
5F141BB10
5F141BB22
5F141BB23
5F141BB24
5F141BB25
5F141BB26
5F141BB32
5F141BB33
5F241AA10
5F241AA24
(57)【要約】
【課題】LEDアレイを駆動する駆動トランジスタにおける電力損失を少なくする。
【解決手段】可変の電圧を出力する電圧レギュレータ21を有する電圧制御ユニット20と、電圧レギュレータ21の出力電圧V1が印加し、n個のLEDからなるLEDアレイ1と駆動トランジスタQ1が直列接続されたLEDアレイ回路31を有するLEDアレイユニット30と、駆動トランジスタQ1をPWM調光制御するとともに、駆動トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電が適正電圧となるように電圧制御ユニット20の電圧レギュレータ21の出力電圧V1を制御する制御ユニット40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変の電圧を出力する電圧レギュレータを有する電圧制御ユニットと、
該電圧制御ユニットの前記電圧レギュレータの出力電圧が印加し、n個(nは正の整数)のLEDからなるLEDアレイと駆動トランジスタが直列接続されたLEDアレイ回路を有するLEDアレイユニットと、
該LEDアレイユニットの前記駆動トランジスタを調光制御するとともに、前記駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧又はドレイン・ソース間電圧が適正電圧となるように前記電圧制御ユニットの前記電圧レギュレータの出力電圧を制御する制御ユニットと、
を備えることを特徴とするLEDアレイ駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDアレイ駆動回路において、
前記電圧レギュレータは出力電圧を制御するスイッチング素子を備え、
前記制御ユニットは、前記LEDアレイユニットの前記LEDアレイ回路の前記駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧又はドレイン・ソース間電圧と前記適正電圧に対応した目標電圧との比較結果に応じて前記スイッチング素子を制御することを特徴とするLEDアレイ駆動回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のLEDアレイ駆動回路において、
前記電圧制御ユニットに前記電圧レギュレータがm個(mは2以上の整数)設けられると共に、前記LEDアレイユニットに、前記m個の電圧レギュレータの電圧が個別的に供給される前記LEDアレイ回路がm個設けられ、
前記m個の電圧レギュレータの出力電圧が、前記制御ユニットによって、前記m個のLEDアレイ回路の内の対応する前記LEDアレイ回路の前記駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧又はドレイン・ソース間電圧に応じて、個別的に制御されることを特徴とするLEDアレイ駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDアレイを駆動トランジスタで駆動する際に、その駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間あるいはドレイン・ソース間に最適電圧を印加できるようにしたLEDアレイ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDアレイ駆動回路として、従来から、直流電圧源51を用いた図3に示すような構成の回路と、直流電流源61を用いた図4に示すような構成の回路(特許文献1)が提案されている。いずれの回路構成においても、n個(nは正の整数)のLEDを直列接続したLEDアレイ1の発する光の強さを制御するためには印加する電流量を制御する必要がある。
【0003】
図3に示すLEDアレイ駆動回路は、LEDアレイ1と駆動トランジスタQ0と電流検出用の抵抗R0を直列接続したLEDアレイ回路52を有する。このLEDアレイ回路52に、直流電圧源51から、LEDアレイ1のn個のLEDの合計順方向電圧n・Vfよりも高い電圧が印加され、トランジスタQ0はオペアンプ53によって制御される。このオペアンプ53は、非反転入力端子にPWM調光電圧V0が印加され、反転入力端子に抵抗R0に発生する帰還電圧が入力する。よって、トランジスタQ0は、抵抗R0に発生する電圧がPWM調光電圧V0に一致する電圧となるように、オペアンプ53により制御されるので、LEDアレイ1にはPWM調光電圧V0に相当する電流が流れる。このとき、オペアンプ53はPWM制御されるので、LEDアレイ1の各LEDが同時に点滅し、その平均輝度が制御される。
【0004】
図4に示すLEDアレイ駆動回路の直流電流源61には、LEDアレイ1の合計順方向電圧n・Vfよりも十分に高い出力電圧範囲をもつものが使用される。このように、LEDアレイ駆動回路を構成する上で直流電流源61を用いると、回路構成が簡単になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−214111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3に示す構成のLEDアレイ駆動回路では、トランジスタQ0を制御することでLEDアレイ回路52に流れる電流が制御されるが、そのLEDアレイ1の全体に印加する電圧の制御は行われない。
【0007】
このため、例えば、自己発熱によってLEDアレイ1の各LEDの順方向電圧Vfが低下した場合は、LEDアレイ1全体に印加するn・Vf電圧が低下する。このため、その分だけ、トランジスタQ0のコレクタ・エミッタ間に印加する電圧Vceが大きくなるため、そのトランジスタQ0における電力損失が大きくなる。また、直流電圧源51の出力電圧が正常値よりも高くなった場合にも同様な問題がある。
【0008】
また、図4に示したLEDアレイ駆動回路では、直流電流源61による微小な電流量の制御が難しく、細かい調光制御を行うことが困難である。
【0009】
本発明の目的は、上記した駆動トランジスタにおける電力損失を少なくし、また細かい調光制御を可能にし、さらに全体回路を電源ユニットやLEDアレイユニットの仕様の影響を受けずに構成できるようにしたLEDアレイ駆動回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、可変の電圧を出力する電圧レギュレータを有する電圧制御ユニットと、該電圧制御ユニットの前記電圧レギュレータの出力電圧が印加し、n個(nは正の整数)のLEDからなるLEDアレイと駆動トランジスタが直列接続されたLEDアレイ回路を有するLEDアレイユニットと、該LEDアレイユニットの前記駆動トランジスタを調光制御するとともに、前記駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧又はドレイン・ソース間電圧が適正電圧となるように前記電圧制御ユニットの前記電圧レギュレータの出力電圧を制御する制御ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のLEDアレイ駆動回路において、前記電圧レギュレータは出力電圧を制御するスイッチング素子を備え、前記制御ユニットは、前記LEDアレイユニットの前記LEDアレイ回路の前記駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧又はドレイン・ソース間電圧と前記適正電圧に対応した目標電圧との比較結果に応じて前記スイッチング素子を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のLEDアレイ駆動回路において、前記電圧制御ユニットに前記電圧レギュレータがm個(mは2以上の整数)設けられると共に、前記LEDアレイユニットに、前記m個の電圧レギュレータの電圧が個別的に供給される前記LEDアレイ回路がm個設けられ、前記m個の電圧レギュレータの出力電圧が、前記制御ユニットによって、前記m個のLEDアレイ回路の内の対応する前記LEDアレイ回路の前記駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧又はドレイン・ソース間電圧に応じて、個別的に制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LEDアレイを駆動する駆動トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧あるいはドレイン・ソース間電圧が適正電圧になるように制御されるので、LEDアレイに印加する電圧が変動しても、その駆動トランジスタにおける電力損失を最小値に制御することができる。また、駆動トランジスタによりLEDアレイに流れる電流を制御できるので、細かい調光制御が可能となる。さらに、LEDアレイ回路単体でそのLEDアレイに流れる電流が制御されるので、全体回路を電源ユニットやLEDアレイユニットの仕様の影響を受けずに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例のLEDアレイ駆動回路の回路図である。
図2図1の制御ユニット内における電圧レギュレータを制御する回路例を示す回路図である。
図3】従来のLEDアレイ駆動回路の回路図である。
図4】別の従来のLEDアレイ駆動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に本発明の1つの実施例のLEDアレイ駆動回路を示す。10は定電圧VA,VBを出力する電源ユニット、20は可変の出力電圧V1,V2,V3を生成する3台の電圧レギュレータ21、22、23を備えた電圧制御ユニット、30は3種類のLEDアレイ回路31、32、33を備えたLEDアレイユニット、40は全体を制御する制御ユニットである。
【0016】
電圧制御ユニット20の電圧レギュレータ21は、電源ユニット10から出力する定電圧VAをスイッチングするトランジスタMP1と、整流用ダイオードD1と、インダクタL1と、分圧抵抗R1,R2と、出力コンデンサC1とを備える。出力電圧V1は、トランジスタMP1がONしたときコンデンサC1に充電される電流によってインダクタL1に蓄積された電圧が、トランジスタMP1がOFFしたときにダイオードD1で整流されてコンデンサC1に蓄積される動作が繰り返されることによって生成される。そして、分圧抵抗R1,R2で分圧された帰還電圧VF1は制御ユニット40に監視電圧として取り込まれる。出力電圧V2,V3を生成する他の電圧レギュレータ22,23も、電圧レギュレータ21と同様の構成で同様に動作する。
【0017】
LEDアレイユニット30のLEDアレイ回路31は、LEDアレイ1と駆動トランジスタQ1の直列回路で構成され、その駆動トランジスタQ1のコレクタ電圧VC1が検出信号として制御ユニット40に取り込まれる。他のLEDアレイ回路32,33も同様の回路構成であり、トランジスタQ2,Q3のコレクタ電圧VC2,VC3が制御ユニット40に取り込まれる。
【0018】
制御ユニット40は、電圧制御ユニット20の電圧レギュレータ21のトランジスタMP1にスイッチング制御信号PWM1を出力する端子PWM1、電圧レギュレータ22,23の同様なトランジスタにスイッチング制御信号PWM2,PWM3を出力する端子PWM2,PWM3を持つ。また、電圧レギュレータ21,22,23の帰還電圧VF1,VF2,VF3を取り込む端子VF1,VF2,VF3を有する。また、LEDアレイユニット30のLEDアレイ回路31,32,33のコレクタ電圧VC1,VC2,VC3を取り込む端子VC1,VC2,VC3を有する。また、LEDアレイ回路31,32,33の駆動トランジスタQ1,Q2,Q3を調光制御する調光信号PWM4,PWM5,PWM6を出力する端子PWM4,PWM5,PWM6を有する。
【0019】
図2は制御ユニット40の一部の回路であり、電圧制御ユニット20の電圧レギュレータ21を制御する回路部分である。41は誤差増幅器であって、LEDアレイ回路31の駆動トランジスタQ1のコレクタ電圧VC1とその目標電圧(駆動トランジスタQ1のON時の最適なコレクタ・エミッタ間電圧)VTを取り込んで、その差分、つまり誤差成分Verを生成する。コレクタ電圧VC1は駆動トランジスタQ1の飽和電圧Vceであり、そのサンプリングは、駆動トランジスタQ1がONしているタイミングで行われる。42はPI演算器であり、誤差増幅器41で得られた誤差成分VerをPI(比例・微分)演算して制御成分を生成する。43はオペアンプであり、PI演算器42から出力する制御成分と三角波発生器44から出力する三角波を比較して、制御成分に対応したパルス幅変調信号PWM1を生成する。この信号PWM1は、端子PWM1から電圧レギュレータ21のトランジスタMP1のゲートにスイッチング信号として出力される。電圧レギュレータ22,23を制御する回路部分も同様に構成され、コレクタ電圧VC2,VC3を取り込んでパルス幅変調信号PWM2,PWM3を出力する。
【0020】
以上のように構成することで、本実施例のLEDアレイ駆動回路では、LEDアレイユニット30のLEDアレイ回路31に電圧V1を印加する電圧レギュレータ21は、LEDアレイ回路31の駆動トランジスタQ1のコレクタ電圧VC1が目標電圧VTに一致するように、その出力電圧V1が制御されることになる。このため、駆動トランジスタQ1のON時のコレクタ・エミッタ間電圧は、常に目標電圧VTになるように制御され、ここにおける必要以上の電力消費が回避される。
【0021】
例えば、LEDアレイ回路31のLEDアレイ1のLEDの順方向電圧Vfが温度によって変動し、その合計電圧n・Vfが小さくなったときは、その合計電圧n・Vfが小さくなった分だけ駆動トランジスタQ1のコレクタ電圧VC1が高くなるが、このように高くなったコレクタ電圧VC1は制御ユニット40に取り込まれる。これにより、制御ユニット40では、図2に示した回路機能によって、信号PWM1のデューティが小さくなるように制御されるので、電圧レギュレータ21の出力電圧V1が低下し、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧が目標電圧VTになるに制御される。以上の動作は、LEDアレイ回路32,33についても同様である。
【0022】
制御ユニット40に取り込まれた電圧レギュレータ21の帰還電圧VF1は、その電圧が予め設定した所定値の範囲内にあるか否かが判定される。そして、帰還電圧VF1が何らかの原因でその範囲を逸脱し異常電圧となっていると判定されたときは、トランジスタMP1を駆動する信号PWM1がOFF(=“H”)に制御され、電圧レギュレータ21の動作が停止される。電圧レギュレータ22,23についても、帰還電圧VF2,VF3に応じて同様に制御される。これらにより、過電圧保護が行われる。
【0023】
なお、以上ではLEDアレイユニット30に3個のLEDアレイ回路31,32,33を備えたので、それぞれのLEDアレイ回路31,32,33のLEDアレイ1に、それぞれ青、赤、緑のLEDを使用することで、そのLEDアレイユニット30によって白色光源を実現することができる。ただし、LEDアレイ回路は他の用途についても使用可能であり、3個に限られるものではない。
【0024】
また、LEDアレイ回路31,32,33の駆動トランジスタQ1,Q2,Q3は、バイポーラトランジスタに限られるものではなく、FETトランジスタを使用することもできる。この場合は、制御ユニット40には、そのFETトランジスタのドレイン・ソース間電圧を検出信号として取り込めばよい。
【符号の説明】
【0025】
10:電源ユニット
20:電圧制御ユニット、21,22,23:電圧レギュレータ
30:LEDアレイユニット、31,32,33:LEDアレイ回路、1:LEDアレイ
40:制御ユニット、41:誤差増幅器、42:PI演算器、43:オペアンプ、44:三角波発生器
51:直流電圧源、52:LEDアレイ回路、53:オペアンプ
61:直流電流源
図1
図2
図3
図4