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特開2017-58730インシデント情報管理装置、インシデント情報管理方法、及びインシデント情報管理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-58730(P2017-58730A)
(43)【公開日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】インシデント情報管理装置、インシデント情報管理方法、及びインシデント情報管理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20170303BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20170303BHJP
【FI】
   G08G1/00 A
   G08G1/09 F
   G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-180507(P2015-180507)
(22)【出願日】2015年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】武内 重樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕介
(72)【発明者】
【氏名】井前 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 学
(72)【発明者】
【氏名】舘 裕之
(72)【発明者】
【氏名】金丸 直義
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 伸栄
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181EE11
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC24
5H181MC25
5H181MC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通信環境が整っていない地域においても、精度の高い道路交通情報を簡易に提供する。
【解決手段】インシデント情報管理装置20は、インシデント情報共有サーバ40及び他のインシデント情報管理装置にインシデント情報を送信する通信部21と、移動体から移動体情報を取得する移動体情報取得部23と、移動体情報、インシデント内容、及び問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部26と、インシデント内容及び問合せの要否を判定するフィルタ処理部28と、問合せが不要であると判定された場合に、インシデント内容を含むインシデント情報を生成するインシデント情報生成部30と、インシデント情報をインシデント情報共有サーバ40及び他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう通信部21を制御するインシデント共有制御部31と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、通信ネットワークを介してインシデント情報をインシデント情報共有サーバ及び他のインシデント情報管理装置と互いに送受信するインシデント情報管理装置であって、
前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置に前記インシデント情報を送信する通信部と、
前記移動体から動作に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報、インシデント内容、及び前記インシデント内容について問合せの必要があるか否かを表す問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部と、
前記移動体情報取得部によって取得された移動体情報に関連付けて記憶されているインシデント内容及び問合せの要否を判定するフィルタ処理部と、
前記フィルタ処理部によって前記問合せが不要であると判定された場合に、前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成するインシデント情報生成部と、
前記インシデント情報生成部によって生成された前記インシデント情報を前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう前記通信部を制御するインシデント共有制御部と、
を備えることを特徴とするインシデント情報管理装置。
【請求項2】
前記フィルタ処理部によって前記問合せが必要であると判定された場合に、前記フィルタ処理部によって判定されたインシデント内容が表すインシデントが発生しているか否かを確定するインシデント確定部を備え、
前記インシデント情報生成部は、前記インシデント確定部によって前記インシデント内容が表すインシデントが発生していることが確定されると前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のインシデント情報管理装置。
【請求項3】
前記インシデント確定部は、前記インシデント内容が表す前記インシデントが発生しているか否かを問い合わせる発生問合せ音声を出力し、前記発生問合せ音声が出力されてから所定の時間内に入力された発生回答音声に基づいて、前記インシデントが発生しているか否かを確定することを特徴とする請求項2に記載のインシデント情報管理装置。
【請求項4】
前記フィルタ情報記憶部は、前記インシデント内容を、該インシデント内容の分類を表すインシデント分類に関連付けて記憶し、
前記インシデント共有制御部は、前記インシデント内容に関連付けて前記フィルタ情報記憶部に記憶されているインシデント分類に基づいて前記インシデント情報を送信するか否かを判定し、送信すると判定された前記インシデント情報を送信するよう前記通信部を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインシデント情報管理装置。
【請求項5】
前記通信部は、他のインシデント情報管理装置によって生成されたインシデント情報を受信し、
前記通信部によって受信した前記インシデント情報を記憶するインシデント情報記憶部と、
前記インシデント情報記憶部に記憶されている前記インシデント情報に含まれる位置情報が表す第1の位置から所定の距離以内に、前記移動体情報取得部によって取得された前記移動体情報に含まれる位置情報が表す第2の位置があるか否かを判定する位置判定部、を備え、
前記位置判定部によって前記第2の位置が前記第1の位置から所定の距離以内にあると判定された場合、前記インシデント確定部は、前記インシデント情報に含まれるインシデント内容が表すインシデントが継続しているか否かに基づいて、前記インシデント情報記憶部に記憶されている前記インシデント情報を更新することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインシデント情報管理装置。
【請求項6】
前記インシデント確定部は、前記インシデント内容が表す前記インシデントが継続しているか否かを問い合わせる継続問合せ音声を出力し、前記継続問合せ音声が出力されてから所定の時間内に入力された継続回答音声に基づいて、前記インシデントが継続しているか否かを確定することを特徴とする請求項5に記載のインシデント情報管理装置。
【請求項7】
通信ネットワークを介してインシデント情報をインシデント情報共有サーバと互いに送受信し、移動体情報、インシデント内容、及び前記インシデント内容について問合せの必要があるか否かを表す問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部を備えるインシデント情報管理装置が実行するインシデント情報管理方法であって、
前記インシデント情報管理装置により、
前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置に前記インシデント情報を送信するステップと、
前記移動体から動作に関する移動体情報を取得する移動体情報取得するステップと、
前記移動体情報取得部によって取得された移動体情報に関連付けて記憶されているインシデント内容及び問合せの要否を判定するステップと、
前記フィルタ処理部によって前記問合せが不要であると判定された場合に、前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成するステップと、
前記インシデント情報生成部によって生成された前記インシデント情報を前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう前記通信部を制御するステップと、
を含むことを特徴とするインシデント情報管理方法。
【請求項8】
通信ネットワークを介してインシデント情報をインシデント情報共有サーバと互いに送受信し、移動体情報、インシデント内容、及び前記インシデント内容について問合せの必要があるか否かを表す問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部を備えるインシデント情報管理装置を構成するコンピュータに
前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置に前記インシデント情報を送信するステップと、
前記移動体から動作に関する移動体情報を取得する移動体情報取得するステップと、
前記移動体情報取得部によって取得された移動体情報に関連付けて記憶されているインシデント内容及び問合せの要否を判定するステップと、
前記フィルタ処理部によって前記問合せが不要であると判定された場合に、前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成するステップと、
前記インシデント情報生成部によって生成された前記インシデント情報を前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう前記通信部を制御するステップと、
を実行させることを特徴とするインシデント情報管理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インシデント情報管理装置、インシデント情報管理方法、及びインシデント情報管理用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、交通安全、渋滞対策等を目的として、人と車と道路とを情報で結ぶITS(Intelligent Transport Systems)技術を活用した次世代路車協調システムの研究開発・実証実験が推進されてきた(非特許文献1)。
【0003】
非特許文献1には、次世代路車協調システムは、道路に設置された「ITSスポット」と車に搭載された「ITSスポットカーナビ」との間で3G(3rd Generation)通信又はLTE(Long Term Evolution)通信を行うことにより道路交通情報を車に提供することが記載されている。
【0004】
また、非特許文献2には、車が走行中に走行路周辺の情報(周辺情報)を取得し、通信ネットワークを介して取得した周辺情報を情報センタに送信することが記載されている。これによって、周辺情報が情報センタに集約され、道路交通情報として他の車に配信される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「道路:ITSスポットサービス」、[online]、国土交通省、[平成27年7月30日検索]、インターネット<URL: http://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/spot_dsrc/>
【非特許文献2】「internavi LINC」、[online]、ホンダ、[平成27年7月30日検索]、インターネット<URL: http://www.honda.co.jp/internavi/about/floating/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載のITSスポットを用いて3G通信又はLTE通信を提供するための通信環境が整っていない地域では車から周辺情報を取得することができないこともある。また、非特許文献2に記載の技術を利用した場合、ノイズを除去するために、多数の車によって取得された十分な量の周辺情報の統計を用いて道路交通情報を提供する必要がある。しかし、北海道等のように広大な土地を有する地域においては、走行している車の数が少ないため十分な量の周辺情報を取得することができず、精度の高い道路交通情報を提供できないことがある。
【0007】
また、走行中の車が情報センタに送信する周辺情報の精度を高めるために、車の運転手がインシデント情報を補正することが考えられる。しかし、周辺情報を補正するために車の運転者が煩雑な操作を行うことによって、安全な運転が妨げられるおそれがある。
【0008】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、通信環境が整っていない地域においても、精度の高い道路交通情報を簡易に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係るインシデント情報管理装置は、移動体に搭載され、通信ネットワークを介してインシデント情報をインシデント情報共有サーバ及び他のインシデント情報管理装置と互いに送受信するインシデント情報管理装置であって、前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置に前記インシデント情報を送信する通信部と、前記移動体から動作に関する移動体情報を取得する移動体情報取得部と、前記移動体情報、インシデント内容、及び前記インシデント内容について問合せの必要があるか否かを表す問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部と、前記移動体情報取得部によって取得された移動体情報に関連付けて記憶されているインシデント内容及び問合せの要否を判定するフィルタ処理部と、前記フィルタ処理部によって前記問合せが不要であると判定された場合に、前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成するインシデント情報生成部と、前記インシデント情報生成部によって生成された前記インシデント情報を前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう前記通信部を制御するインシデント共有制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るインシデント情報管理方法は、通信ネットワークを介してインシデント情報をインシデント情報共有サーバと互いに送受信し、移動体情報、インシデント内容、及び前記インシデント内容について問合せの必要があるか否かを表す問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部を備えるインシデント情報管理装置が実行するインシデント情報管理方法であって、前記インシデント情報管理装置により、前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置に前記インシデント情報を送信するステップと、前記移動体から動作に関する移動体情報を取得する移動体情報取得するステップと、前記移動体情報取得部によって取得された移動体情報に関連付けて記憶されているインシデント内容及び問合せの要否を判定するステップと、前記フィルタ処理部によって前記問合せが不要であると判定された場合に、前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成するステップと、前記インシデント情報生成部によって生成された前記インシデント情報を前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう前記通信部を制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るインシデント情報管理用プログラムは、通信ネットワークを介してインシデント情報をインシデント情報共有サーバと互いに送受信し、移動体情報、インシデント内容、及び前記インシデント内容について問合せの必要があるか否かを表す問合せ要否を関連付けて記憶するフィルタ情報記憶部を備えるインシデント情報管理装置を構成するコンピュータに前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置に前記インシデント情報を送信するステップと、前記移動体から動作に関する移動体情報を取得する移動体情報取得するステップと、前記移動体情報取得部によって取得された移動体情報に関連付けて記憶されているインシデント内容及び問合せの要否を判定するステップと、前記フィルタ処理部によって前記問合せが不要であると判定された場合に、前記インシデント内容を含むインシデント情報を生成するステップと、前記インシデント情報生成部によって生成された前記インシデント情報を前記インシデント情報共有サーバ及び前記他のインシデント情報管理装置のいずれか1つ以上に送信するよう前記通信部を制御するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信環境が整っていない地域においても、精度の高い道路交通情報を簡易に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るインシデント情報共有システムの全体構成図である。
図2図1に示すインシデント情報管理装置の機能構成図である。
図3図2に示すインシデント情報記憶部に記憶されているインシデント情報の例を示す図である。
図4図2に示すフィルタ情報記憶部に記憶されているインシデント情報の例を示す図である。
図5図2に示す緊急度情報記憶部に記憶されている緊急度情報の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態におけるインシデント情報の生成及び共有に関する動作を示すシーケンス図である。
図7】本発明の実施形態におけるインシデント情報の更新及び共有に関する動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
<インシデント情報共有システムの機能構成>
まず、図1を参照して本実施形態の全体構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、インシデント情報共有システム1は、インシデント情報を管理するための複数のインシデント情報管理装置20及びインシデント情報共有サーバ40を備える。また、インシデント情報管理装置20及びインシデント情報共有サーバ40は通信ネットワークに接続され、互いに情報を送受信する。インシデント情報とは、移動体2の搭乗者が遭遇したインシデントに関する情報であり、インシデント情報を一意に識別するインシデントID、インシデント情報が生成又は更新された時刻及び位置(以降、「第1の位置」という)、インシデントの内容であるインシデント内容、並びにインシデントが継続しているか否かを表すインシデント状態を含む情報である。
【0017】
なお、以降において、複数のインシデント情報管理装置20のうち、一のインシデント情報管理装置をインシデント情報管理装置20Aといい、他のインシデント情報管理装置をインシデント情報管理装置20Bという。インシデント情報管理装置20Aの機能構成について詳細に説明し、インシデント情報管理装置20Bの機能構成についての説明は省略するが、インシデント情報管理装置20Bの機能構成はインシデント情報管理装置20Aの機能構成と同様である。また、以降の説明においては、移動体2のうち、インシデント情報管理装置20Aを搭載する移動体を移動体2Aといい、インシデント情報管理装置20Bを搭載する移動体を移動体2Bという。
【0018】
インシデント情報管理装置20Aは、自動車、自転車、その他の人が搭乗する乗物である移動体2Aに搭載される装置であり、カーナビゲーションシステムと連携したり、カーナビゲーションシステムが備える機能の一部であったりする。また、インシデント情報管理装置20は、例えばスマートフォンのような携行可能な装置であってもよい。
【0019】
また、インシデント情報共有サーバ40は、例えば、インフォメーションセンタ61に設けられる。また、インシデント情報共有サーバ40は、道の駅等に設けられているインフォメーションポート62を介して複数のインシデント情報管理装置20A及び20Bとインシデント情報を送受信してもよい。また、通信ネットワークは、3G/LTE等の無線通信ネットワークである。また、インフォメーションセンタ61とインフォメーションポート62との間の通信に用いられる通信ネットワークは有線通信ネットワークであってもよい。
【0020】
また、インシデント情報管理装置20Aは、車車間通信ネットワークを介して、他のインシデント情報管理装置20Bにインシデント情報を送受信する。また、インシデント情報管理装置20Aは、Wi−Fiを用いた路車間通信ネットワークを介してインフォメーションポート62とインシデント情報を送受信してもよい。
【0021】
<インシデント情報管理装置の機能構成>
インシデント情報管理装置20Aは、図2に示すように、通信部21、入出力部22、移動体情報取得部23、位置判定部24、インシデント情報記憶部25、フィルタ情報記憶部26、緊急度情報記憶部27、フィルタ処理部28、インシデント確定部29、インシデント情報生成部30、インシデント共有制御部31、地図情報記憶部32、及び表示部33を備える。
【0022】
通信部21は、通信ネットワークを介して、インシデント情報共有サーバ40と互いにインシデント情報を送受信する。また、通信部21は、車車間通信ネットワークを介して他のインシデント情報管理装置20Bと互いにインシデント情報を送受信する。
【0023】
入出力部22は、インシデント確定部29の制御によって音声を出力したり、移動体2Aの内部や周辺の音声を入力したりする。また、入出力部22は、搭乗者の操作又は音声によって移動体2Aの目的地を表す目的地情報を入力する。
【0024】
移動体情報取得部23は、移動体2Aから、移動体2Aの動作に関する移動体情報を取得する。移動体情報は、インシデント情報管理装置20Aを搭載した移動体2Aに取り付けられたセンサによって検出されたセンサ情報、及び移動体2Aを制御する制御装置(図示せず)から送信された制御情報を含む。
【0025】
センサ情報とは、例えば、移動体2A周辺の画像を表す画像情報、移動体2A周辺又は内部の音声を表す音声情報、移動体2Aの加速度を表す加速度情報、移動体2Aの角速度を表すジャイロ情報、移動体2Aの位置(以降、「第2の位置」という)を表す位置情報、移動体2Aの搭乗者の心拍数を表す心拍数情報等である。また、制御情報とは、移動体2Aのエンジンの状態を表すエンジン情報、ハンドル操作の内容を表すハンドル情報等である。
【0026】
また、移動体情報取得部23は、カメラ、マイク、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS等を用いた位置センサ、心拍計、制御情報を受信する受信ポート等により実現される。
【0027】
なお、移動体情報取得部23は、後述の各処理に適した形式で上記の各種情報を取得してもよいし、上記の各センサ等が検出する生データを取得し、取得した生データに演算を施して各処理に適した形式に変換してもよい。
【0028】
位置判定部24は、通信部21によって受信されたインシデント情報に含まれる位置情報が表す第1の位置から所定の距離以内に、移動体情報取得部23によって取得された移動体情報に含まれる位置情報が表す第2の位置があるか否かを判定する。
【0029】
インシデント情報記憶部25は、通信部21によってインシデント情報共有サーバ40から受信したインシデント情報を記憶する。図3に示すように、インシデント情報記憶部25は、インシデントID、時刻、位置、移動体情報、インシデント内容、及びインシデント状態を関連付けたインシデント情報を記憶する。
【0030】
フィルタ情報記憶部26は、図4に示すように、移動体情報、インシデント内容についての問合せが必要であるか不要であるかを表す問合せ要否、インシデント分類、及びインシデント内容を関連付けて記憶している。
【0031】
緊急度情報記憶部27は、図5に示すように、インシデント内容、及びインシデント内容を他のインシデント情報管理装置20Bと共有する緊急性の度合いを表す緊急度を関連付けて記憶している。
【0032】
フィルタ処理部28は、移動体情報取得部23によって取得された移動体情報に基づいてインシデント内容を判定する。インシデント内容には、例えば、「事故」、「路面凍結」、「エゾシカ出現」、「運転者不注意」、「美景観」等がある。具体的には、フィルタ処理部28は、移動体情報に関連付けてフィルタ情報記憶部26に記憶されているインシデント内容を抽出する。
【0033】
図4に示すように、例えば、移動体情報取得部23によって、急ブレーキがかけられたことを表すブレーキ情報、及びエンジン停止の状態であることを表すエンジン情報が取得された場合、フィルタ処理部28は、インシデント内容が「事故」であり、インシデント内容の問合せが「不要」であると判定する。
【0034】
また、例えば、移動体情報取得部23によって、移動体2Aが直進していることを表す位置情報、及びハンドルが回転されていることを表すハンドル情報が取得された場合、フィルタ処理部28は、インシデント内容が「路面凍結」であり、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定する。
【0035】
また、例えば、移動体情報取得部23によって、「エゾシカが出た」という音声を表す音声情報、及び急ブレーキがかけられたことを表すブレーキ情報が取得された場合、フィルタ処理部28は、インシデント内容が「エゾシカ出現」であり、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定する。
【0036】
また、例えば、移動体情報取得部23によって、移動体の内部から搭乗者らによる所定の閾値より大きい音量(大音量)の音声を表す音声情報が取得された場合、フィルタ処理部28は、インシデント内容が「事故」又は「美景観」であり、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定する。
【0037】
インシデント確定部29は、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定されると、フィルタ処理部28によって判定されたインシデント内容のインシデントが発生しているか否かを確定する。具体的には、インシデント確定部29は、フィルタ処理部28によって判定されたインシデント内容のインシデントが発生しているか否かを問い合わせる発生問合せ音声を入出力部22に出力させ、入出力部22が発生問合せ音声を出力してから所定の時間内に回答として入力された音声である発生回答音声に基づいてインシデント内容を確定する。
【0038】
例えば、インシデント確定部29は、フィルタ処理部28によって、インシデント内容が「路面凍結」であり、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定された場合、入出力部22に「路面凍結ですか?」という発生問合せ音声を出力させる。また、例えば、インシデント確定部29は、フィルタ処理部28によって、インシデント内容が「エゾシカ出現」であり、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定された場合、入出力部22に「エゾシカが出現しましたか?」という発生問合せ音声を出力させる。また、例えば、インシデント確定部29は、フィルタ処理部28によって、インシデント内容が「事故」又は「美景観」であり、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定された場合、入出力部22に「事故が発生しましたか?」という発生問合せ音声と「景観が美しいですか?」という発生問合せ音声とを出力させる。
【0039】
また、インシデント確定部29は、入出力部22が発生問合せ音声を出力してから所定の時間内に搭乗者による回答を表す発生回答音声が入力された場合、発生回答音声に基づいてインシデント内容を確定する。具体的には、インシデント確定部29は、入出力部22に「はい」という発生回答音声が入力されると、フィルタ処理部28によって判定されたインシデント内容を確定する。インシデント確定部29は、入出力部22に「いいえ」という発生回答音声が入力されると、フィルタ処理部28によって判定されたインシデント内容を確定しない。
【0040】
また、インシデント確定部29は、通信部21がインシデント情報共有サーバ40又は他のインシデント情報管理装置20Bからインシデント情報を受信し、位置判定部24によって、第1の位置から所定の距離以内に第2の位置があると判定された場合に、受信したインシデント情報に含まれるインシデント内容のインシデントが継続しているかを問い合わせる継続問合せ音声を入出力部22に出力させる。
【0041】
また、インシデント確定部29は、入出力部22が継続問合せ音声を出力してから所定の時間内に搭乗者による回答として継続回答音声が入力された場合、継続回答音声に基づいてインシデント情報に含まれるインシデント状態を更新する。具体的には、インシデント確定部29は、入出力部22が「事故の状態は継続していますか」という継続問合せ音声が出力されてから所定の時間内に、入出力部22に「はい」という継続回答音声が入力されると、インシデント情報のインシデント状態を「継続」と更新する。また、インシデント確定部29は、入出力部22に「いいえ」という継続回答音声が入力されると、インシデント情報のインシデント状態を「解決済」と更新する。また、インシデント確定部29は、インシデント情報において、更新されたインシデント状態に関連付けて記憶されている時刻をインシデント状態が更新された時刻に更新する。
【0042】
インシデント情報生成部30は、フィルタ処理部28によってインシデント内容が判定され、問合せ要否が「不要」であると判定されると、インシデント情報を生成する。また、インシデント情報生成部30は、インシデント確定部29によってインシデント内容が確定されると、インシデント情報を生成する。
【0043】
インシデント共有制御部31は、インシデント確定部29によってインシデント情報が生成又は更新されると、インシデント内容に関連付けてフィルタ情報記憶部26に記憶されているインシデント分類に基づいて、インシデント情報を送信するか否かを判定する。また、インシデント共有制御部31は、通信部21が通信可能な通信方式を選択し、送信すると判定されたインシデント情報を通信部21が送信するよう制御する。
【0044】
具体的には、インシデント分類が所定のもの、例えば「事故」、「事故注意」、「観光情報」である場合、これらのインシデント分類に関連付けられているインシデント内容は他の移動体と共有すべきものであるため、インシデント共有制御部31は、そのインシデント情報を「送信」すると判定する。また、インシデント分類が所定のものでない場合、すなわちインシデント分類が「その他」である場合、このインシデント分類に関連付けられているインシデント内容は他の移動体2Bの搭乗者と共有する必要がないため、インシデント共有制御部31は、そのインシデント情報を「非送信」とすると判定する。
【0045】
ここで、インシデント共有制御部31が通信方式を決定し、通信部21を制御する方法について詳細に説明する。
【0046】
インシデント共有制御部31は、まず、通信部21が3G通信又はLTE通信によって通信可能な状態であるか否かを判定する。3G通信又はLTE通信によって通信可能な状態であると判定された場合、通信方式「3G通信又はLTE通信」を選択する。そして、インシデント共有制御部31は、送信すると判定されたインシデント情報を、通信部21が3G通信又はLTE通信を用いて送信するよう制御する。
【0047】
また、3G通信又はLTE通信によって通信可能な状態でないと判定された場合、インシデント共有制御部31は、通信部21が車車間通信によって通信可能な状態であるか否かを判定する。車車間通信によって通信可能な状態であると判定された場合、通信方式「車車間通信」を選択する。そして、インシデント共有制御部31は、インシデント共有制御部31は、送信すると判定されたインシデント情報を、通信部21が車車間通信を用いて送信するよう制御する。
【0048】
また、車車間通信によって通信可能な状態でないと判定された場合、インシデント共有制御部31は、通信部21が通信不可であると決定し、通信方式「なし」を選択する。この場合、インシデント共有制御部31は、通信可能であると判定されるまで通信部21を監視する。そして、通信部21が通信可能と判定されて通信方式が決定されると、インシデント共有制御部31は、決定された通信方式を用いてインシデント情報を送信するよう通信部21を制御する。
【0049】
また、インシデント共有制御部31は、通信部21がインシデント情報を送信できなかった場合、送信制御を行った所定の時間経過後に、インシデント情報を再送信するよう通信部21を制御する。また、インシデント共有制御部31は、インシデント内容に関連付けて緊急度情報記憶部27に記憶されている緊急度に基づいて、インシデント情報を送信する順を決定し、決定された順でインシデント情報を送信するよう通信部21を制御してもよい。
【0050】
また、インシデント共有制御部31は、通信部21によってインシデント情報共有サーバ40又は他のインシデント情報管理装置20から受信したインシデント情報をインシデント情報記憶部25が記憶するよう制御する。
【0051】
地図情報記憶部32は、後述する表示部33に表示させる地図を表す地図情報を記憶している。
【0052】
表示部33は、移動体情報取得部23によって取得された移動体2Aの位置情報及び入出力部22に入力された目的地情報に基づいて、移動体2Aの走行予定の経路を含む地図を地図情報記憶部32から抽出して表示する。また、表示部33は、インシデント情報に含まれる位置情報が表す第1の位置に対応する地図上の位置にインシデント内容を表示することによって通知する。
【0053】
<インシデント情報共有サーバの機能構成>
図1に示すように、インシデント情報共有サーバ40は、通信部41及びインシデント情報記憶部42を備える。
【0054】
通信部41は、通信ネットワークを介してインシデント情報管理装置20と互いにインシデント情報を送受信する。
【0055】
インシデント情報記憶部42は、通信部41によってインシデント情報管理装置20Aから受信されたインシデント情報を記憶する。インシデント情報記憶部42は、インシデント情報管理装置20Aのインシデント情報記憶部25と同様に、図3に示すように、インシデントID、時刻、位置、移動体情報、インシデント内容、及びインシデント状態を関連付けて記憶する。
【0056】
また、インシデント情報記憶部42は、インシデント情報管理装置20Aから、又は複数のインシデント情報管理装置20A及び20Bから同一のインシデントIDを含む複数のインシデント情報を受信した場合、遅い方の時刻を含むインシデント情報を記憶する。また、受信した複数のインシデント情報についてインシデントIDが同一でなく、位置情報の表す位置が所定の距離内にある場合、時刻が遅い方のインシデント情報を記憶する。
【0057】
<インシデント情報の生成に関する動作>
図6を参照して、インシデント情報共有システム1におけるインシデント情報の生成及び共有に係る動作を説明する。
【0058】
まず、運転者等の操作により移動体2Aの動作が開始されると、移動体情報取得部23は移動体情報を移動体2から取得する(ステップS11)。
【0059】
ステップS11で移動体情報が取得されると、フィルタ処理部28は、取得された移動体情報に基づいてインシデント内容を判定するフィルタ処理を行う(ステップS12)。
【0060】
また、ステップS12でインシデント内容が判定されると、フィルタ処理部28は、移動体情報に基づいて問合せの要否を判定する(ステップS13)。ステップS13で問合せが「必要」であると判定されると、インシデント確定部29は、フィルタ処理部28によって判定されたインシデント内容のインシデントが発生しているかを問い合わせてインシデント内容を確定する(ステップS14)。
【0061】
ステップS12でインシデント内容が判定され、問合せが「不要」であると判定されると、又はステップS14でインシデント内容が確定されると、インシデント確定部29はインシデント情報を生成し、インシデント共有制御部31がインシデント情報を共有するために他のインシデント情報管理装置20B及びインシデント情報共有サーバ40にインシデント情報を送信するよう通信部を制御する(ステップS15)。
【0062】
次に、ステップS15で、インシデント共有制御部31はインシデント情報を送信できたか否かを判定する(ステップS16)。インシデント情報が送信できた場合には、インシデント情報管理装置20Aは処理を終了する。また、インシデント情報が送信できなかった場合には、送信制御を行った所定の時間経過後にステップS15に戻って、インシデント共有制御部31がインシデント情報を再送信するよう通信部21を制御する。
【0063】
<インシデント情報の更新及び共有に関する動作>
続いて、図7を参照して、インシデント情報共有システム1におけるインシデント情報の更新及び共有に関する動作について説明する。
【0064】
まず、運転者等の操作により移動体2Aの動作が開始されると、通信部21が随時、インシデント情報共有サーバ40又は他のインシデント情報管理装置20Bからインシデント情報を受信する。また、移動体情報取得部23は、移動体2Aの位置情報を含む移動体情報を随時、移動体2から取得する(ステップS21)。一方、表示部33は、移動体情報取得部23によって取得された位置情報、及び入出力部22によって受け付けられた目的地情報に基づいて走行予定の経路を含む地図を地図情報記憶部32から抽出して表示する。
【0065】
そして、位置判定部24が、インシデント情報に含まれる位置情報が表す第1の位置から所定の距離以内に、移動体情報取得部23によって取得された移動体情報に含まれる位置情報が表す第2の位置があるか否かを判定する。第1の位置から所定の距離以内に第2の位置があると判定されると、表示部33が第1の位置に対応する地図上の位置にインシデント内容を表示することによってインシデント情報を通知する(ステップS22)。
【0066】
そして、インシデント確定部29は、受信したインシデント情報に含まれるインシデント内容のインシデントが継続しているか否かを確定する(ステップS23)。そして、インシデント確定部29はインシデントが継続しているか否かに基づいてインシデント情報のインシデント状態及び時刻を更新する。
【0067】
次に、インシデント共有制御部31は、通信方式を選択する。そして、インシデント共有制御部31は、インシデント分類に基づいて、選択された通信方式を用いて更新されたインシデント情報を共有するために、インシデント情報共有サーバ40及び他のインシデント情報管理装置20Bに送信するよう通信部21を制御する(ステップS24)。
【0068】
そして、インシデント共有制御部31がインシデント情報を送信できたか否かを判定する(ステップS25)。インシデント情報が送信できた場合には、インシデント情報管理装置20Aは処理を終了する。また、インシデント情報が送信できなかった場合には、送信制御を行った所定の時間経過後にステップS24に戻って、インシデント共有制御部31はインシデント情報を共有するために再送信するよう通信部21を制御する。
【0069】
以上のように、本実施形態のインシデント情報共有システム1においては、フィルタ処理部28が、移動体情報取得部23によって取得された移動体情報に基づいてインシデント内容を判定し、該インシデント内容を含むインシデント情報を他のインシデント情報管理装置20B及びインシデント情報共有サーバ40に送信する。そのため、移動体2Aの搭乗者が移動体2Aの走行中に入力等の操作を行わなくても、インシデント情報共有システム1を利用する他の移動体2Bの搭乗者とインシデント情報を共有することができる。
【0070】
また、本実施形態のインシデント情報共有システム1においては、フィルタ処理部28によって問合せが必要であると判定された場合、インシデント確定部29は、問合せを出力させて、出力から所定の時間内に入力された回答に基づいてインシデント内容を確定する。そのため、移動体情報のみからは推定することが困難であるインシデントについても、その内容を高い精度で確定することができる。したがって、インシデント情報共有システム1を利用する搭乗者は高い精度のインシデント情報を共有することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態のインシデント情報共有システム1においては、インシデント確定部29は、入出力部22に問合せをする発生問合せ音声出力させて、発生問合せ音声が出力されてから所定の時間内に入力された発生回答音声に基づいてインシデント内容を確定する。移動体2Aの運転者は音声によって問合せに対する回答をすることができるため、インシデント情報管理装置20Aを操作することによって安全な運転を妨げられることがない。
【0072】
また、本実施形態のインシデント情報共有システム1においては、インシデント共有制御部31が、インシデント分類に基づいてインシデント情報を送信するよう通信部21を制御する。具体的には、インシデント分類が「事故」、「事故注意」等であるインシデント情報は他の移動体2Bの搭乗者と共有すべきであり、このようなインシデント情報のみを通信部21に送信させる。また、インシデント分類が「その他」であるインシデント情報は他の移動体2Bの搭乗者と共有する必要がなく、このようなインシデント情報のみを通信部21に送信させない。したがって、インシデント情報共有システム1は通信量を節減することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態のインシデント情報共有システム1においては、インシデント共有制御部31が通信方式を決定して、該通信方式を用いてインシデント情報を送信する。したがって、例えば、3G通信及びLTE通信が行えない環境であった場合に車車間通信を利用してインシデント情報を送信することによって、迅速にインシデント情報を共有することができる。さらに車車間通信が行えない環境であった場合にはインシデント情報を記憶し、通信環境が改善してから送信するため、確実にインシデント情報を共有することができる。
【0074】
本実施形態においては、インシデント情報管理装置20が、各種センサによって実現される移動体情報取得部23、並びにマイク及びスピーカによって実現される入出力部22を備えるとしたが、移動体情報取得部23及び入出力部22のいずれか1つ以上は移動体2Aが備えるものとし、取得又は入出力された情報をインシデント情報管理装置20に送信してもよい。
【0075】
本実施形態においては、表示部33が、第2の位置に対応する地図上の位置にインシデント内容を表示することによってインシデントを搭乗者に通知するが、例えば、入出力部22がインシデント内容を音声で出力することによってインシデントを搭乗者に通知してもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、インフォメーションポート62は、インシデント情報管理装置20A及びインフォメーションセンタ61から受信したインシデント情報を例えば電光掲示板に表示してもよい。これによって、インシデント情報管理装置20Aを備えない移動体の搭乗者等がインシデント情報を知ることができる。
【0077】
また、本実施形態においては、一例として、移動体情報取得部23によって、「エゾシカが出た」という音声を表す音声情報が取得され、急ブレーキがかけられたことを表すブレーキ情報が取得された場合、フィルタ処理部28は、インシデント内容の問合せが「必要」であると判定する。しかし、フィルタ処理部28によって音声を認識する精度が所定の値より高い場合、インシデント内容の問合せが「不要」であると判定してもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、移動体2Aの位置情報及び目的地情報に基づいて、移動体2Aの走行予定の経路を含む地図を地図情報記憶部32から抽出して表示するが、搭乗者によって入出力部22に入力された位置を表す情報に基づいて地図を表示してもよい。
【0079】
また、インシデント情報記憶部25は、インシデント情報が生成又は更新されてから、インシデント内容ごとに予め定められている時間が経過した場合に、そのインシデント内容に係るインシデント情報を削除してもよい。この場合、インシデント情報記憶部25を実現するメモリの容量を節減することが可能となる。また、このようにして不要な情報を削除することによって表示部32は必要な情報だけを表示することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、インシデント情報管理装置20の各機能は、これらの機能を実現する処理内容を記述したプログラム(インシデント情報管理用プログラム)をコンピュータの記憶部に記憶しておき、当該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行することで実現してもよい。
【0081】
上述の実施形態及び実施例は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態及び実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態及び実施例に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 インシデント情報共有システム
2,2A,2B 移動体
20,20A,20B インシデント情報管理装置
21,41 通信部
22 入出力部
23 移動体情報取得部
24 位置判定部
25,42 インシデント情報記憶部
26 フィルタ情報記憶部
27 緊急度情報記憶部
28 フィルタ処理部
29 インシデント確定部
30 インシデント情報生成部
31 インシデント共有制御部
32 地図情報記憶部
33 表示部
40 インシデント情報共有サーバ
61 インフォメーションセンタ
62 インフォメーションポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7