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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202387(P2018-202387A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】機能性構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/035 20060101AFI20181130BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B01J29/035 M
   B01J35/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-105668(P2018-105668)
(22)【出願日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】特願2017-108586(P2017-108586)
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】中坂 佑太
(72)【発明者】
【氏名】吉川 琢也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 禎宏
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 將行
(72)【発明者】
【氏名】稲森 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 尋子
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 可織
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA11
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169CC05
4G169DA06
4G169EB18X
4G169EC11X
4G169EC12X
4G169EC13X
4G169FB14
4G169FB18
4G169FB20
4G169FB30
4G169FC08
4G169ZA36B
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC04
4G169ZD03
4G169ZD05
4G169ZF05A
4G169ZF05B
(57)【要約】
【課題】金属含有クラスターの機能低下を抑制して長寿命化を実現することができ、煩雑な交換作業を要せず、省資源化を図ることができる機能性構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】機能性構造体1は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体10と、該骨格体に内在する少なくとも1つの金属含有クラスター20とを備える。骨格体10は、該骨格体10の内部に、上記多孔質構造の複数の孔11aが互いに連通するように形成された通路11を有する。金属含有クラスター20は、骨格体10の少なくとも通路11に存在している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体と、
前記骨格体に内在する少なくとも1つの金属含有クラスターと、
を備え、
前記骨格体が、互いに連通する通路を有し、
前記金属含有クラスターが、前記骨格体の少なくとも前記通路に存在していることを特徴とする、機能性構造体。
【請求項2】
前記通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造によって画定される一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる拡径部を有し、
前記金属含有クラスターが、前記通路の前記拡径部に存在していることを特徴とする、請求項1記載の機能性構造体。
【請求項3】
前記拡径部は、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔同士を連通している、請求項2記載の機能性構造体。
【請求項4】
前記金属含有クラスターは、触媒機能を有する金属微粒子であり、
前記骨格体は、前記金属微粒子を担持する担体であることを特徴とする、請求項2または3記載の機能性構造体。
【請求項5】
前記金属微粒子の金属元素(M)が、前記機能性構造体に対して0.5〜2.5質量%で含有されていることを特徴とする、請求項4記載の機能性構造体。
【請求項6】
前記金属微粒子の平均粒径が、0.2nm〜2nmであることを特徴とする、請求項4または5記載の機能性構造体。
【請求項7】
前記通路の平均内径は、0.1nm〜1.5nmであり、
前記拡径部の内径は、0.5nm〜50nmであることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項記載の機能性構造体。
【請求項8】
前記骨格体の外表面に保持された少なくとも1つの他の機能性物質を更に備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の機能性構造体。
【請求項9】
前記骨格体に内在する前記金属含有クラスターの含有量が、前記骨格体の外表面に保持された前記少なくとも1つの他の機能性物質の含有量よりも大きいことを特徴とする、請求項8記載の機能性構造体。
【請求項10】
前記ゼオライト型化合物は、ケイ酸塩化合物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の機能性構造体。
【請求項11】
前記金属含有クラスターは、Au、Ag、Cu、Pt、Rh、Pd、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ir、Zr、Ce、Al、Nb、Ti、Bi、Mo、V、W、Mg、およびRuからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子からなることを特徴とする、請求項1〜10のいずか1項記載の機能性構造体。
【請求項12】
ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体を得るための前駆体材料(A)に金属含有溶液が含浸された前駆体材料(B)を水熱処理する水熱処理工程と、
前記前駆体材料(B)を水熱処理して得られた前駆体材料(C)を焼成する焼成工程と、
を有することを特徴とする機能性構造体の製造方法。
【請求項13】
さらに、前記前駆体材料(C)に還元処理を行う工程を有することを特徴とする、請求項12記載の機能性構造体の製造方法。
【請求項14】
前記焼成工程の前に、非イオン性界面活性剤を、前記前駆体材料(A)に対して50〜500質量%添加することを特徴とする、請求項12または13記載の機能性構造体の製造方法。
【請求項15】
前記焼成工程の前に、前記前駆体材料(A)に前記金属含有溶液を複数回に分けて添加することで、前記前駆体材料(A)に前記金属含有溶液を含浸させることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項記載の機能性構造体の製造方法。
【請求項16】
前記焼成工程の前に前記前駆体材料(A)に前記金属含有溶液を含浸させる際に、前記前駆体材料(A)に添加する前記金属含有溶液の添加量を、前記前駆体材料(A)に添加する前記金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)に対する、前記前駆体材料(A)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算して、10〜1000となるように調整することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項記載の機能性構造体の製造方法。
【請求項17】
前記水熱処理工程において、前記前駆体材料(C)と構造規定剤とを混合することを特徴とする、請求項16記載の機能性構造体の製造方法。
【請求項18】
前記水熱処理工程が塩基性雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項16記載の機能性構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質構造の骨格体と金属含有クラスターとを備える機能性構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油コンビナートの製油所では、原油から、ナフサと呼ばれる石油化学原料や、重油、軽油、灯油、ガソリン、LPガス等の各種燃料が製造されている。原油は、上記の石油化学原料や各種燃料の他、様々な不純物が混ざり合った混合物であるため、原油に含まれる各成分を蒸留、分離する工程が必要となる。
【0003】
そこで石油精製プロセスでは、各成分の沸点差を利用し、常圧蒸留装置における塔内の棚段で原油を加熱して成分毎に分離し、分離後の各物質を濃縮している。これにより、LPガス、ナフサ等の低沸点物質が常圧蒸留装置の上部棚段で取り出されると共に、重油等の高沸点物質が常圧蒸留装置の底部から取り出される。そして、分離、濃縮された各物質に脱硫等の二次処理を施すことにより、各種燃料製品が製造される。
【0004】
一般に、石油改質用触媒は、上記石油精製プロセスにおいて低沸点のナフサ等を効率良く改質してオクタン価の高いガソリン等を製造するために使用されている。原油中のナフサ留分はそのままではオクタン価が低く、車両を走らせるガソリンとしては不適合であるため、ナフサ留分中のオクタン価の低いパラフィン分およびナフテン分を、石油改質用触媒を用いてオクタン価の高い芳香族分に改質することにより、車両の燃料に適した性状の改質ガソリンを製造している。
【0005】
また、原油の重質化に伴い、重質油を直脱装置、間脱装置などの水素化脱硫装置にて水素化脱硫処理して得られる脱硫重油、脱硫重質軽油等を更に分解して、脱硫ナフサ、脱硫灯油、脱硫軽油等を増産する水素化分解処理が行われている。例えば、常圧蒸留残渣油を水素化分解処理することにより、脱硫灯軽油留分、脱硫ナフサ留分の得率を増大して脱硫重油を低減し、且つ、その脱硫重油を接触分解装置にてLPG留分、FCCガソリン留分、LCO留分を生産することによって残渣油を低減し、軽質油留分を増大させる。このとき、代表的なゼオライトである結晶性アルミノシリケート担体からなる触媒や、ゼオライトと多孔性無機酸化物とを特定の割合で含む水素化分解触媒が提案されている。
【0006】
例えば、水素化分解触媒として、Y型ゼオライトからなる担体の表面に、Pd、Pt、Co、Fe、Cr、Mo、W及びこれらの混合物から選択される材料からなる金属が沈着されてなる触媒が開示されている(特許文献1)。
【0007】
また、自動車分野においては、ディーゼルエンジンを搭載した車両の排気ガス用触媒構造体として、基材セラミック表面にセラミック担体を配置し、該セラミック担体に主触媒成分及び助触媒成分の双方を担持してなるセラミック触媒体が提案されている。このセラミック触媒体では、γ−アルミナからなるセラミック担体の表面に、結晶格子中の格子欠陥等からなる多数の細孔が形成されており、Ce−Zr、Pt等からなる主触媒成分がセラミック担体の表面近傍に直接担持された構成を有している(特許文献2)。
【0008】
上記のような石油精製プロセスや自動車分野で使用する触媒として、上記特許文献1及び2に記載の触媒以外に、金属含有クラスター触媒の使用が有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0030934号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0109383号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のような触媒構造体では、触媒粒子が担体の表面或いは表面近傍に担持されているため、石油精製プロセスでの改質処理中や自動車からの排ガスの処理中に被改質物質等の流体から受ける力や熱などの影響に因って触媒粒子が担体内で移動し、触媒粒子同士の凝集(シンタリング)が発生し易い。触媒粒子同士の凝集が生じると、触媒としての有効表面積が減少することで触媒活性が低下することから寿命が通常よりも短くなるため、触媒構造体自体を短期間で交換・再生しなければならず、交換作業が煩雑であると共に、省資源化を図ることができないという問題がある。また、石油改質用触媒は、通常、常圧蒸留装置の下流側に連結されて石油精製プロセスにおいて連続的に使用されるため、触媒の再活性化技術を適用し難く、仮に再活性化技術を適用できたとしても作業が非常に煩雑となる。また、このような機能の経年的な低下の抑制或いは防止は、触媒分野のみならず様々な技術分野での課題として挙げられている。特に、金属含有クラスターを用いた場合にもその機能の長期的な維持を図るべく解決策が望まれている。
【0011】
本発明の目的は、金属含有クラスターの機能低下を抑制して長寿命化を実現することができ、煩雑な交換作業を要せず、省資源化を図ることができる機能性構造体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の要旨構成を有する。
[1]ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体と、
前記骨格体に内在する少なくとも1つの金属含有クラスターと、
を備え、
前記骨格体が、互いに連通する通路を有し、
前記金属含有クラスターが、前記骨格体の少なくとも前記通路に存在していることを特徴とする、機能性構造体。
[2]前記通路は、前記ゼオライト型化合物の骨格構造によって画定される一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれとも異なる拡径部を有し、
前記金属含有クラスターが、前記通路の前記拡径部に存在していることを特徴とする、上記[1]記載の機能性構造体。
[3]前記拡径部は、前記一次元孔、前記二次元孔及び前記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔同士を連通している、上記[2]記載の機能性構造体。
[4]前記金属含有クラスターは、触媒機能を有する金属微粒子であり、
前記骨格体は、前記金属微粒子を担持する担体であることを特徴とする、上記[2]または[3]記載の機能性構造体。
[5]前記金属微粒子の金属元素(M)が、前記機能性構造体に対して0.5〜2.5質量%で含有されていることを特徴とする、上記[4]記載の機能性構造体。
[6]前記金属微粒子の平均粒径が、0.2nm〜2nmであることを特徴とする、上記[4]または[5]記載の機能性構造体。
[7]前記通路の平均内径は、0.1nm〜1.5nmであり、
前記拡径部の内径は、0.5nm〜50nmであることを特徴とする、上記[2]〜[6]のいずれか1つに記載の機能性構造体。
[8]前記骨格体の外表面に保持された少なくとも1つの他の機能性物質を更に備えることを特徴とする、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の機能性構造体。
[9]前記骨格体に内在する前記金属含有クラスターの含有量が、前記骨格体の外表面に保持された前記少なくとも1つの他の機能性物質の含有量よりも大きいことを特徴とする、上記[8]記載の機能性構造体。
[10]前記ゼオライト型化合物は、ケイ酸塩化合物であることを特徴とする、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の機能性構造体。
[11]前記金属含有クラスターは、Au、Ag、Cu、Pt、Rh、Pd、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ir、Zr、Ce、Al、Nb、Ti、Bi、Mo、V、W、Mg、およびRuからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子からなることを特徴とする、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の機能性構造体。
[12]ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体を得るための前駆体材料(A)に金属含有溶液が含浸された前駆体材料(B)を水熱処理する水熱処理工程と、
前記前駆体材料(B)を水熱処理して得られた前駆体材料(C)を焼成する焼成工程と、
を有することを特徴とする機能性構造体の製造方法。
[13]さらに、前記前駆体材料(C)に還元処理を行う工程を有することを特徴とする、上記[12]記載の機能性構造体の製造方法。
[14]前記焼成工程の前に、非イオン性界面活性剤を、前記前駆体材料(A)に対して50〜500質量%添加することを特徴とする、上記[12]または[13]記載の機能性構造体の製造方法。
[15]前記焼成工程の前に、前記前駆体材料(A)に前記金属含有溶液を複数回に分けて添加することで、前記前駆体材料(A)に前記金属含有溶液を含浸させることを特徴とする、上記[12]〜[14]のいずれか1つに記載の機能性構造体の製造方法。
[16]前記焼成工程の前に前記前駆体材料(A)に前記金属含有溶液を含浸させる際に、前記前駆体材料(A)に添加する前記金属含有溶液の添加量を、前記前駆体材料(A)に添加する前記金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)に対する、前記前駆体材料(A)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算して、10〜1000となるように調整することを特徴とする、上記[12]〜[15]のいずれか1つに記載の機能性構造体の製造方法。
[17]前記水熱処理工程において、前記前駆体材料(C)と構造規定剤とを混合することを特徴とする、上記[16]記載の機能性構造体の製造方法。
[18]前記水熱処理工程が塩基性雰囲気下で行われることを特徴とする、上記[16]記載の機能性構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属含有クラスターの機能低下を抑制して長寿命化を実現することができ、煩雑な交換作業を要せず、省資源化を図ることができる機能性構造体およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る機能性構造体の構成を概略的に示す図であり、(a)は模式図、(b)は部分拡大断面図である。
図2図1の機能性構造体の機能の一例を説明するための部分拡大断面図であり、(a)は篩機能、(b)は触媒機能を説明する図である。
図3図3は、図1の機能性構造体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4図1の機能性構造体の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態の機能性構造体は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体と、骨格体に内在する少なくとも1つの金属含有クラスターとを備える。骨格体が互いに連通する通路を有し、金属含有クラスターが骨格体の少なくとも前記通路に存在している。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[機能性構造体の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る機能性構造体の構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は部分拡大断面図である。なお、図1における機能性構造体は、その一例を示すものであり、本発明に係る各構成の形状、寸法等は、図1のものに限られないものとする。
【0017】
図1(a)に示すように、機能性構造体1は、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体10と、該骨格体10に内在する少なくとも1つの金属含有クラスター20とを備える。金属含有クラスター20は、単独又は骨格体10と協働することによって一又は複数の機能を有する物質であり、上記機能には、例えば触媒機能、発光(或いは蛍光)機能、吸光機能、識別機能等が含まれる。金属含有クラスター20は、例えば触媒機能を有する触媒物質である。金属含有クラスター20は、触媒機能を有する金属微粒子であることが好ましい。なお、「金属含有クラスター」とは、金属を含有し、複数個の原子が結合した原子集団を意味する。この機能性構造体1において、複数の金属含有クラスター20,20,・・・は、骨格体10の多孔質構造の内部に存在し、好適には包接されている。金属含有クラスター20の一例である触媒物質は、好ましくは1種以上の金属又は金属酸化物の微粒子である。金属及び金属酸化物の種類の詳細については後述する。
【0018】
骨格体10は、図1(b)に示すように、該骨格体10の内部に、上記多孔質構造の複数の孔11a,11a,・・・が互いに連通するように形成された通路11を有する。通路11は、ゼオライト型化合物の骨格構造によって画定される一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかと、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれとも異なる拡径部12とを有していることが好ましく、このとき、金属含有クラスター20は、少なくとも拡径部12に存在していることが好ましく、少なくとも拡径部12に包接されていることがより好ましい。ここでいう一次元孔とは、一次元チャンネルを形成しているトンネル型またはケージ型の孔、もしくは複数の一次元チャンネルを形成しているトンネル型またはケージ型の複数の孔(複数の一次元チャンネル)を指す。また、二次元孔とは、複数の一次元チャンネルが二次元的に連結された二次元チャンネルを指し、三次元孔とは、複数の一次元チャンネルが三次元的に連結された三次元チャンネルを指す。金属含有クラスター20は、骨格体10の少なくとも通路11に存在しており、好ましくは骨格体10の少なくとも通路11に保持されており、好ましくは骨格体10の拡径部12に包接されている。これにより、金属含有クラスター20の骨格体10内での移動がさらに規制され、金属含有クラスター20の離脱や、金属含有クラスター20、20同士の凝集をさらに有効に防止することができる。包接とは、金属含有クラスター20が骨格体10に内包されている状態を指す。このとき金属含有クラスター20と骨格体10とは、必ずしも直接的に互いが接触している必要はなく、金属含有クラスター20と骨格体10との間に他の物質(例えば、界面活性剤等)が介在した状態で、金属含有クラスター20が骨格体10に間接的に存在していても良い。
【0019】
図1(b)では金属含有クラスター20が拡径部12に存在しているが、これに限らず、金属含有クラスター20の少なくとも一部が露出した状態で通路11の内壁に存在していてもよい。また、金属含有クラスター20の外表面の少なくとも一部が露出した状態で通路11の内壁に存在していてもよい。例えば、金属含有クラスター20が金属微粒子又は金属酸化物微粒子である場合、金属微粒子又は金属酸化物微粒子の外表面の少なくとも一部が露出した状態で通路11の内壁に存在していてもよい。
また、拡径部12は、上記一次元孔、上記二次元孔及び上記三次元孔のうちのいずれかを構成する複数の孔11a,11a同士を連通しているのが好ましい。これにより、骨格体10の内部に、一次元孔、二次元孔又は三次元孔とは異なる別途の通路が設けられるので、金属含有クラスター20の機能をより発揮させることができる。
【0020】
骨格体10は、好ましくは少なくとも1つの触媒物質(例えば、金属微粒子)を担持する担体である。通路11は、骨格体10の内部に、分岐部或いは合流部を含んで三次元的に形成されており、拡径部12は、通路11の上記分岐部或いは合流部に設けられるのが好ましい。
【0021】
骨格体10に形成された通路11の平均内径Dは、上記一次元孔、二次元孔及び三次元孔のうちのいずれかを構成する孔11aの短径及び長径の平均値から算出され、例えば、0.1nm〜1.5nmであり、好ましくは0.5nm〜0.8nmである。上記金属微粒子又は金属酸化物微粒子が存在する拡径部12の内径Dは、例えば、0.5nm〜50nmであり、好ましくは1.1nm〜40nm、より好ましくは1.1nm〜3.3nmである。
【0022】
骨格体10は、ゼオライト型化合物で構成される。ゼオライト型化合物としては、例えば、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、陽イオン交換ゼオライト、シリカライト等のケイ酸塩化合物、アルミノホウ酸塩、アルミノヒ酸塩、ゲルマニウム酸塩等のゼオライト類縁化合物、リン酸モリブデン等のリン酸塩系ゼオライト類似物質などが挙げられる。中でも、ゼオライト型化合物はケイ酸塩化合物であることが好ましい。
ゼオライト型化合物の骨格構造は、FAU型(Y型またはX型)、MTW型、MFI型(ZSM−5)、FER型(フェリエライト)、LTA型(A型)、MWW型(MCM−22)、MOR型(モルデナイト)、LTL型(L型)、BEA型(ベータ型)などの中から選択され、好ましくはMFI型であり、より好ましくはZSM−5である。ゼオライト型化合物には、各骨格構造に応じた孔径を有する孔が複数形成されており、例えばMFI型の最大孔径は0.636nm(6.36Å)、平均孔径0.560nm(5.60Å)である。
【0023】
一例では、金属微粒子又は金属酸化物微粒子が拡径部12内に留まり、金属微粒子又は金属酸化物微粒子の骨格体10内での移動が規制される。よって、金属微粒子又は金属酸化物微粒子が流体から外力を受けた場合であっても金属微粒子又は金属酸化物微粒子が骨格体10内で移動することが無く、一の金属微粒子又は金属酸化物微粒子が他の金属微粒子又は金属酸化物微粒子と接触するのを防止することができる。金属含有クラスターである金属微粒子又は金属酸化物微粒子の平均粒径は特に限定されないが、具体的には0.2nm〜2nmであり、好ましくは0.5nm〜1nmである。
また、金属含有クラスター20の金属元素(M)は、機能性構造体1に対して0.5〜2.5質量%で含有されているのが好ましく、機能性構造体1に対して0.5〜1.5質量%で含有されているのがより好ましい。例えば、金属元素(M)がCoである場合、Co元素の含有量(質量%)は、[(Co元素の質量)/(機能性構造体1の全元素の質量)]×100で表される。
【0024】
上記金属含有クラスターは、Au、Ag、Cu、Pt、Rh、Pd、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ir、Zr、Ce、Al、Nb、Ti、Bi、Mo、V、W、Mg、およびRuからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子からなることが好ましい。また、上記金属含有クラスターは、下記一般式(1)で表される金属酸化物であってもよい。
・・・(1)
但し、上記一般式(1)において、Mは、Au、Ag、Cu、Pt、Rh、Pd、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ir、Zr、Ce、Al、Nb、Ti、Bi、Mo、V、W、Mg、およびRuからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子であり、nおよびmは整数であり、nは30以下である。nは好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。また、nは6以上が好ましく、より好ましくは9以上である。nを上記範囲とすることにより、金属含有クラスターのサイズ制御とともに、酸化度(価数)の制御を行うことができる。上記一般(1)式において、m/n比が0より大きく2以下であり、好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.55〜0.75である。m/n比を上記範囲とすることにより、金属含有クラスター特有の酸化度となることで、触媒性能が増大する。
【0025】
このような金属含有クラスターである金属酸化物としては、例えば酸化コバルト(CoOx)、酸化ニッケル(NiOx)、酸化鉄(FeOx)、酸化銅(CuOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化セリウム(CeOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ニオブ(NbOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化ビスマス(BiOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化バナジウム(VOx)、酸化クロム(CrOx)等が挙げられ、上記のいずれか1種以上を主成分とすることが好ましい。
【0026】
また、金属含有クラスターである金属としては、例えば白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等が挙げられ、上記のいずれか1種以上を主成分とすることが好ましい。
【0027】
機能性構造体1に対する、金属含有クラスター20としての金属微粒子又は金属酸化物微粒子の含有量である、金属含有クラスター20を構成する金属元素(M)に対する、骨格体10を構成するケイ素(Si)の割合(原子数比Si/M)は、10〜1000であるのが好ましく、50〜200であるのがより好ましい。上記割合が1000より大きいと、活性が低いなど、金属含有クラスターとしての作用が十分に得られない可能性がある。一方、上記割合が10よりも小さいと、金属含有クラスター20の割合が大きくなりすぎて、骨格体10の強度が低下する傾向がある。尚、この場合、金属微粒子又は金属酸化物微粒子とは、骨格体10の内部に存在し、好適には保持或いは担持された微粒子を言い、骨格体10の外表面に付着した微粒子を含まない。
【0028】
[機能性構造体の機能]
機能性構造体1は、例えば残渣油等の重質油に含まれる所定分子を透過する分子篩能を有する。具体的には、図2(a)に示すように、骨格体10の外表面10aに形成された孔11aの内径以下の大きさを有する分子が、骨格体10内に浸入することができ、孔11aの内径を超える大きさを有する分子は、骨格体10内への浸入が規制される。この分子篩能により、孔11aに入ることができる所定分子を優先的に反応させることができる。
【0029】
また、上記反応によって孔11a内で生じた分子のうち、孔11aから骨格体10の外部に出ることができる分子のみを生成物として得ることができ、孔11aから骨格体10の外部に出ることができない分子は、孔11aから出ることができる大きさの分子に変換された後、孔11aから骨格体10の外部に出る。これにより、触媒反応によって得られる生成物を所定分子に規制することができる。
【0030】
また、機能性構造体1の一例では、通路11の拡径部12に金属含有クラスター20が存在し、好適には包接されている。よって、孔11a、すなわち通路11に浸入した分子が金属含有クラスター20と接触する。また、金属含有クラスター20が触媒物質、例えば金属微粒子又は金属酸化物微粒子である場合、金属微粒子又は金属酸化物微粒子の一次平均粒径Dが、通路11の平均内径Dよりも大きく、拡径部12の内径Dよりも小さい場合には(D<D<D)、金属微粒子又は金属酸化物微粒子と拡径部12との間に小通路13が形成され(図中の矢印)、小通路13に浸入した分子が、金属微粒子又は金属酸化物微粒子と接触する。このとき、金属含有クラスター20は、拡径部12に存在することによって移動が制限され、通路11に浸入した分子等を含む流体との接触面積を維持することができる。
【0031】
そして、通路11に浸入した分子が金属含有クラスター20としての金属微粒子又は金属酸化物微粒子に接触すると、金属微粒子又は金属酸化物微粒子中の酸素による酸化分解反応によって分子(被改質物質)が改質される。例えば、金属酸化物微粒子に含まれる酸化鉄を触媒とする場合、下記に示すように、残渣油等の重質成分に含まれるアルキル芳香族化合物を、アルコール及びケトンに分解し、ケトン(アセトフェノン)からベンゼンを生成する。このように金属触媒又は金属酸化物触媒による酸化分解処理を行うことにより、従来の水素化分解処理で使用される水素が不要となり、水素供給の地域的制限やコストの観点で十分に利用することができなかった重質成分を軽質油に改質することができる。
【0032】
【化1】
【0033】
機能性構造体1は、自動車の排気ガス中に含まれる炭化水素(HC)を酸化分解する触媒として機能することもできる。この場合、骨格体10の外表面10aに形成された孔11aの内径以下の大きさを有する排気ガス成分が、担体10内に浸入することができ、孔11aの内径を超える大きさを有する排気ガス成分は、担体10内への浸入が規制される。この篩能により、孔11aに入ることができる排気ガス成分(炭化水素などの有害物質)を優先的に反応させることができる。そして、通路11に浸入した排気ガス成分が酸化触媒としての金属含有クラスター20に接触すると、酸化反応によって排気ガス成分が無害化される。例えば、下記に示すように、排気ガス中の有害物質である炭化水素は、機能性構造体1により効率的に二酸化炭素及び水に変換される。このように酸化触媒である金属含有クラスター20による酸化処理を行うことにより、排気ガス中の有害物質量を効果的に低減することができる。
+(y+z/4)O→yCO+z/2H
【0034】
同様に、排気ガス中の粒子状物質である固体すすや可溶性有機成分等も、酸化触媒である金属含有クラスターに接触すると、酸化反応によって効率的に二酸化炭素及び水等に変換されて無害化される。
【0035】
[機能性構造体の製造方法]
図3は、図1の機能性構造体1の製造方法を示すフローチャートである。以下、骨格体に内在する金属含有クラスターが金属微粒子である場合を例に、機能性構造体の製造方法の一例を説明する。
【0036】
(ステップS1:準備工程)
図3に示すように、先ず、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体を得るための前駆体材料(A)を準備する。前駆体材料(A)は、好ましくは規則性メソ細孔物質であり、機能性構造体の骨格体を構成するゼオライト型化合物の種類(組成)に応じて適宜選択できる。
【0037】
ここで、機能性構造体の骨格体を構成するゼオライト型化合物がケイ酸塩化合物である場合には、規則性メソ細孔物質は、細孔径1〜50nmの細孔が1次元、2次元または3次元に均一な大きさかつ規則的に発達したSi−O骨格からなる化合物であることが好ましい。このような規則性メソ細孔物質は、合成条件によって様々な合成物として得られるが、合成物の具体例としては、例えばSBA−1、SBA−15、SBA−16、KIT−6、FSM−16、MCM−41等が挙げられ、中でもMCM−41が好ましい。なお、SBA−1の細孔径は10〜30nm、SBA−15の細孔径は6〜10nm、SBA−16の細孔径は6nm、KIT−6の細孔径は9nm、FSM−16の細孔径は3〜5nm、MCM−41の細孔径は1〜10nmである。また、このような規則性メソ細孔物質としては、例えばメソポーラスシリカ、メソポーラスアルミノシリケート、メソポーラスメタロシリケート等が挙げられる。
【0038】
前駆体材料(A)は、市販品および合成品のいずれであってもよい。前駆体材料(A)を合成する場合には、公知の規則性メソ細孔物質の合成方法により行うことができる。例えば、前駆体材料(A)の構成元素を含有する原料と、前駆体材料(A)の構造を規定するための鋳型剤とを含む混合溶液を調製し、必要に応じてpHを調整して、水熱処理(水熱合成)を行う。その後、水熱処理により得られた沈殿物(生成物)を回収(例えば、ろ別)し、必要に応じて洗浄および乾燥し、さらに焼成することで、粉末状の規則性メソ細孔物質である前駆体材料(A)が得られる。ここで、混合溶液の溶媒としては、例えば水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等を用いることができる。また、原料は、骨格体の種類に応じて選択されるが、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)等のシリカ剤、フュームドシリカ、石英砂等が挙げられる。また、鋳型剤としては、各種界面活性剤、ブロックコポリマー等を用いることができ、規則性メソ細孔物質の合成物の種類に応じて選択することが好ましく、例えばMCM−41を作製する場合にはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の界面活性剤が好適である。水熱処理は、例えば、密閉容器内で、80〜800℃、5時間〜240時間、0〜2000kPaの処理条件で行うことができる。焼成処理は、例えば、空気中で、350〜850℃、2〜30時間の処理条件で行うことができる。
【0039】
(ステップ2:含浸工程)
次に、準備した前駆体材料(A)に、金属含有溶液を含浸させ、前駆体材料(B)を得る。
【0040】
金属含有溶液は、機能性構造体の金属微粒子等を構成する金属元素(M)に対応する金属成分(例えば、金属イオン)を含有する溶液であればよく、例えば、溶媒に、金属元素(M)を含有する金属塩を溶解させることにより調製できる。このような金属塩としては、例えば、塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩等の金属塩が挙げられ、中でも硝酸塩が好ましい。溶媒としては、例えば水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等を用いることができる。
【0041】
前駆体材料(A)に金属含有溶液を含浸させる方法は、特に限定されないが、例えば、後述する水熱処理工程の前に、粉末状の前駆体材料(A)を撹拌しながら、金属含有溶液を複数回に分けて少量ずつ添加することが好ましい。また、前駆体材料(A)の細孔内部に金属含有溶液がより浸入し易くなる観点から、前駆体材料(A)に、金属含有溶液を添加する前に予め、添加剤として界面活性剤を添加しておくことが好ましい。このような添加剤は、前駆体材料(A)の外表面を被覆する働きがあり、その後に添加される金属含有溶液が前駆体材料(A)の外表面に付着することを抑制し、金属含有溶液が前駆体材料(A)の細孔内部により浸入し易くなると考えられる。
【0042】
このような添加剤としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、分子サイズが大きく前駆体材料(A)の細孔内部には浸入できないため、細孔の内部に付着することは無く、金属含有溶液が細孔内部に浸入することを妨げないと考えられる。非イオン性界面活性剤の添加方法としては、例えば、後述する焼成工程の前に、非イオン性界面活性剤を、前駆体材料(A)に対して50〜500質量%添加するのが好ましい。非イオン性界面活性剤の前駆体材料(A)に対する添加量が50質量%未満であると上記の抑制作用が発現し難く、非イオン性界面活性剤を前駆体材料(A)に対して500質量%よりも多く添加すると粘度が上がりすぎるので好ましくない。よって、非イオン性界面活性剤の前駆体材料(A)に対する添加量を上記範囲内の値とする。
【0043】
また、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量は、前駆体材料(A)に含浸させる金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)の量(すなわち、前駆体材料(B)に内在させる金属元素(M)の量)を考慮して、適宜調整することが好ましい。例えば、後述する水熱処理工程の前に、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量は、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)に対する、前駆体材料(A)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算して、10〜1000となるように調整することが好ましく、50〜200となるように調整することがより好ましい。例えば、前駆体材料(A)に金属含有溶液を添加する前に、添加剤として界面活性剤を前駆体材料(A)に添加した場合、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量を、原子数比Si/Mに換算して50〜200とすることで、金属微粒子の金属元素(M)を、機能性構造体1に対して0.5〜2.5質量%で含有させることができる。前駆体材料(B)の状態で、その細孔内部に存在する金属元素(M)の量は、金属含有溶液の金属濃度や、上記添加剤の有無、その他温度や圧力等の諸条件が同じであれば、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量に概ね比例する。また、前駆体材料(B)に内在する金属元素(M)の量は、機能性構造体の骨格体に内在する金属微粒子等を構成する金属元素の量と比例関係にある。したがって、前駆体材料(A)に添加する金属含有溶液の添加量を上記範囲に制御することにより、前駆体材料(A)の細孔内部に金属含有溶液を十分に含浸させることができ、ひいては、機能性構造体の骨格体に内在させる金属微粒子等の量を調整することができる。
【0044】
前駆体材料(A)に金属含有溶液を含浸させた後は、必要に応じて、洗浄処理を行ってもよい。洗浄溶液として、水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶液を用いることができる。また、前駆体材料(A)に金属含有溶液を含浸させ、必要に応じて洗浄処理を行った後、さらに乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥処理としては、一晩程度の自然乾燥や、150℃以下の高温乾燥が挙げられる。なお、金属含有溶液に含まれる水分や、洗浄溶液の水分が、前駆体材料(A)に多く残った状態で、後述の焼成処理を行うと、前駆体材料(A)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造が壊れる恐れがあるので、十分に乾燥するのが好ましい。
【0045】
(ステップS3:水熱処理工程)
次に、ゼオライト型化合物で構成される多孔質構造の骨格体を得るための前駆体材料(A)に金属含有溶液が含浸された前駆体材料(B)と、構造規定剤とを混合した混合溶液を作製し、水熱合成して、前駆体材料(C)を得る。
【0046】
構造規定剤は、骨格体の構造を規定するための鋳型剤であり、例えば界面活性剤である。構造規定剤は、機能性構造体の骨格体の骨格構造に応じて選択することが好ましく、例えばテトラメチルアンモニウムブロミド(TMABr)、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)等の界面活性剤が好適である。
【0047】
前駆体材料(B)と構造規定剤との混合は、本水熱処理工程時に行ってもよいし、水熱処理工程の前に行ってもよい。また、上記混合溶液の調製は、特に限定されず、前駆体材料(B)と、構造規定剤とを、溶媒とを同時に混合してもよいし、溶媒に、前駆体材料(B)と、構造規定剤とをそれぞれ個別に分散させた状態にし、それぞれの分散溶液を混合してもよい。溶媒は、例えば水、アルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、混合溶液は、水熱合成を行う前に、酸又は塩基を用いてpHを調整しておくことが好ましい。
【0048】
水熱処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、密閉容器内で、80〜800℃、5時間〜240時間、0〜2000kPaの処理条件で行うことが好ましい。また、水熱処理は、塩基性雰囲気下で行われることが好ましい。ここでの反応メカニズムは必ずしも明らかではないが、前駆体材料(B)を原料として水熱処理を行うことにより、前駆体材料(B)の規則性メソ細孔物質としての骨格構造は次第に崩れるが、前駆体材料(B)の細孔内部での金属成分の位置は概ね維持されたまま、構造規定剤の作用により、機能性構造体の骨格体としての新たな骨格構造(多孔質構造)が形成される。このようにして得られた機能性構造体は、多孔質構造の骨格体と、骨格体に内在する金属成分を備え、さらに骨格体はその多孔質構造により複数の孔が互いに連通した通路を有し、金属成分はその少なくとも一部分が骨格体の通路に存在している。
【0049】
水熱処理後に得られる沈殿物(機能性構造体)は、回収(例えば、ろ別)後、必要に応じて洗浄、乾燥および焼成することが好ましい。洗浄溶液としては、水、またはアルコール等の有機溶媒、若しくはこれらの混合溶液を用いることができる。乾燥処理としては、一晩程度の自然乾燥や、150℃以下の高温乾燥が挙げられる。なお、沈殿物に水分が多く残った状態で、焼成処理を行うと、機能性構造体の骨格体としての骨格構造が壊れる恐れがあるので、十分に乾燥するのが好ましい。
【0050】
なお、本実施形態では、上記水熱処理工程において、前駆体材料(B)と構造規定剤とを混合した混合溶液を調製して、前駆体材料(B)を水熱処理しているが、これに限らず、前駆体材料(B)の種類によっては構造規定剤を使用せずに、水熱処理工程を行うことができる。例えば、最終的にFAU型のゼオライト型化合物を得る場合には、構造規定剤を使用せずに水熱処理を行うことができる。
【0051】
(ステップS4:焼成工程)
次に、水熱処理により得られた前駆体材料(C)を焼成し、機能性構造体を得る。焼成処理は、例えば、空気中で、80〜850℃、2時間〜30時間の処理条件で行うことが好ましい。このような焼成処理により、規則性メソ細孔物質の孔内に含浸された金属成分が結晶成長し、孔内に金属含有クラスターが形成される。このとき、骨格体はその多孔質構造により複数の孔が互いに連通した通路を有し、金属含有クラスターが内在する通路部分には、金属含有クラスターの平均粒径に相当する内径、またはそれより若干大きい内径を有する拡径部が形成される。つまり、金属含有クラスターは、予め前駆体材料(C)に内在しているため、上記焼成処理により骨格体を合成する際に、骨格体の通路の拡径部に金属含有クラスターが内包されやすい。その結果、金属含有クラスターが骨格体の通路の拡径部に内包された機能性構造体が合成される。
【0052】
以上説明した製造方法は、前駆体材料(A)に含浸させる金属含有溶液に含まれる金属元素(M)が、酸化され難い金属種(例えば、貴金属)である場合の一例である。
【0053】
前駆体材料(A)に含浸させる金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)が、酸化され易い金属種(例えば、Fe、Co、Cu等)である場合には例えば、上記水熱処理工程後に、前駆体材料(C)に還元処理を行うことが好ましい。金属含有溶液中に含まれる金属元素(M)が、酸化され易い金属種である場合、含浸処理(ステップS2)の後の工程(ステップS3)における熱処理により、金属成分が酸化されてしまう。そのため、水熱処理工程(ステップS3)で形成される骨格体には、金属酸化物微粒子が内在することになる。そのため、骨格体に、金属からなる金属含有クラスターが内在する機能性構造体を得るためには、上記水熱処理後に、さらに水素ガス等の還元ガス雰囲気下で還元処理することが望ましい(ステップS5:還元処理工程)。還元処理を行うことにより、骨格体に内在する金属酸化物微粒子が還元され、金属酸化物微粒子を構成する金属元素(M)に対応する金属微粒子が形成される。その後、焼成処理を行うことにより、骨格体に、金属からなる金属含有クラスターが内在する機能性構造体が得られる。
なお、上記では、金属微粒子からなる金属含有クラスターを内包する機能性構造体の製造方法例を説明した。金属酸化物微粒子からなる金属含有クラスターを内包する機能性構造体を製造する際には、上記の還元処理を行う必要はない。
【0054】
図4は、図1の機能性構造体1の変形例を示す模式図である。図1の機能性構造体1は、骨格体10に内在する少なくとも1つの金属含有クラスター20を備えるが、これに限らず、図3に示すように、機能性構造体2が、骨格体10の外表面10aに保持された少なくとも1つの他の機能性物質30を更に備えていてもよい。この他の機能性物質30は、一又は複数の機能を有する物質であり、単独又は骨格体10と協働することによって一又は複数の機能を有する物質であり、上記機能には、例えば触媒機能、発光(或いは蛍光)機能、吸光機能、識別機能等が含まれる。好ましくは機能性物質30は触媒物質である。機能性物質30が有する機能は、金属含有クラスター20が有する機能と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、金属含有クラスター20、機能性物質30の双方が触媒物質、例えば金属微粒子である場合、機能性物質30である金属微粒子の材料は、金属含有クラスター20である金属微粒子の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。本構成によれば、機能性構造体2の機能発揮を更に促進することができる。特に、金属含有クラスター20,機能性物質30が金属微粒子である場合、機能性構造体1と比較して、機能性構造体2に保持された金属微粒子の含有量を増大することができ、金属微粒子による触媒反応を更に促進することができる。
【0055】
この場合、骨格体10の内部に存在する金属含有クラスター20の含有量は、骨格体10の外表面10aに担持された他の機能性物質30の含有量よりも大きいことが好ましい。機能性物質30が金属微粒子である場合、機能性構造体2に対する、機能性物質30としての金属微粒子の含有量(M/Si)は、0.001at%〜30at%であり、好ましくは0.01〜15at%である。これにより、骨格体10の内部に存在する金属微粒子による触媒反応が支配的となり、安定的な触媒反応を実現することができる。
【0056】
上述したように、本実施形態によれば、骨格体10は、複数の孔11a,11a,・・・が互いに連通するように形成された通路11を有しており、金属含有クラスター20が骨格体10の通路11に存在するので、流体が小さい孔径の通路11を流れる際に生じる流路抵抗(摩擦力)の影響に因り、金属含有クラスター20が通路11内の流体から受ける力を減少させることができ、金属含有クラスター20の脱離を抑制して、金属含有クラスター20の機能を長期的に発揮することが可能となる。また、通路11が骨格体10内で三次元的な立体構造を有することで、曲がりや分岐に因って流路抵抗が更に増大し、金属含有クラスター20の脱離を更に抑制することができる。特に、流体が重質油分解成分等を含む高粘性の液体である場合、上記流路抵抗の影響が大きくなり、金属含有クラスター20が通路11内の流体から受ける力をより減少させることができる。よって、機能低下を抑制して、機能性構造体1の長寿命化を図ることができる。加えて、金属含有クラスター20の長寿命化により金属含有クラスター20の交換時期のスパンが長くなるので、機能性構造体1の交換作業が簡便となる。更に、使用済みの機能性構造体1の廃棄量を大幅に低減することができ、省資源化を図ることができる。
【0057】
また、機能性構造体1の一例では、通路11が、該通路11に設けられた拡径部12を有し、金属含有クラスター20が、通路11の拡径部12に存在するので、金属含有クラスター20の骨格体10内での移動が規制され、金属含有クラスター20の脱離を防止することができる。特に、通路11に複数の拡径部12が設けられ、複数の拡径部12の各々に金属含有クラスター20が存在する場合に、各拡径部に存在する各金属含有クラスターの脱離を防止することができ、金属含有クラスター20同士の凝集を防止することができる。
【0058】
また、金属含有クラスター20が金属微粒子又は金属酸化物微粒子であり、骨格体10が上記金属微粒子又は金属酸化物微粒子を担持する担体である場合、(i)多孔質構造の分子篩能によって所定の被改質物質を選択的に浸入させることができ、更に、(ii)骨格体10内での金属微粒子又は金属酸化物微粒子の移動が規制され、金属微粒子又は金属酸化物微粒子同士のシンタリングを防止することができ、触媒としての有効表面積の減少を格段に抑制することができる。このため、金属微粒子又は金属酸化物微粒子の触媒機能によって所定の被改質物質を酸化分解して所定化合物を長期的に得ることができる。よって、触媒活性の低下を抑制して、機能性構造体1の長寿命化を図ることができる。また、触媒の長寿命化により機能性構造体1の交換作業が簡便となり、使用済みの機能性構造体1の廃棄量を大幅に低減することができ、省資源化を図ることができる。
【0059】
特に、重質成分の改質の際に機能性構造体1を用いることにより、これまで十分に利用できなかった重質成分の接触分解処理を促進することができ、脱硫ナフサ、脱硫灯油、脱硫軽油、脱硫重油等の得率を向上することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態に係る機能性構造体について述べたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【実施例】
【0061】
(実施例1〜64)
[前駆体材料(A)の合成]
シリカ剤(テトラエトキシシラン(TEOS)、和光純薬工業株式会社製)と、鋳型剤としての界面活性剤とを混合した混合水溶液を作製し、適宜pH調整を行い、密閉容器内で、80〜300℃、100時間、水熱処理を行った。その後、生成した沈殿物をろ別し、水およびエタノールで洗浄し、さらに600℃、24時間、空気中で焼成して、表1〜4に示される種類および孔径の前駆体材料(A)を得た。なお、界面活性剤は、前駆体材料(A)の種類に応じて(「前駆体材料(A)の種類:界面活性剤」)以下のものを用いた。
・MCM−41:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)(和光純薬工業株式会社製)。
【0062】
[金属含有クラスターが存在する触媒構造体の合成]
次に、表1〜4に示される種類の金属微粒子からなる金属含有クラスターを構成する金属元素(M)に応じて、該金属元素(M)を含有する金属塩を、水に溶解させて、金属含有水溶液を調製し、添加剤としてのポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル(NIKKOL BO−15V、日光ケミカルズ株式会社製)の水溶液を添加する前処理を行った。次に、粉末状の前駆体材料(A)に、金属含有水溶液を複数回に分けて少量ずつ添加し、室温(20℃±10℃)で12時間以上乾燥させて、前駆体材料(B)を得た。なお、金属塩は、以下のものを用いた。
・Co:硝酸コバルト六水和物:和光純薬工業株式会社製、製品名「硝酸コバルト(II)六水和物,99.9%」、
・Ni:硝酸ニッケル六水和物:和光純薬工業株式会社製、製品名「硝酸ニッケル(II)六水和物,99.9%」、
・Fe:硝酸鉄九水和物:和光純薬工業株式会社製、製品名「硝酸鉄(III)九水和物,99.9%」
・Cu:硝酸銅三水和物:和光純薬工業株式会社製、製品名「硝酸銅(II)三水和物,99.9%」
【0063】
また、前駆体材料(A)に添加する金属含有水溶液の添加量は、該金属含有水溶液中に含まれる金属元素(M)に対する、前駆体材料(A)を構成するケイ素(Si)の比(原子数比Si/M)に換算したときの数値が、100になるように調整した。
【0064】
次に、上記のようにして得られた金属含有水溶液を含浸させた前駆体材料(B)と、必要に応じて表1〜4に示す構造規定剤とを混合して混合水溶液を作製し、密閉容器内で、80〜300℃、表1〜4に示すpHおよび時間の条件で、水熱処理を行った。次に、生成した沈殿物をろ別し、水洗し、100℃で12時間以上乾燥させ、さらに600℃、24時間、空気中で焼成した。その後、焼成物を回収し、水素ガスの流入下で、400℃、350分間、還元処理した。
【0065】
次に、得られた前駆体材料(C)を、600℃、24時間、空気中で焼成して、機能性構造体を得た。
【0066】
(比較例1)
比較例1では、MFI型シリカライトに平均粒径50nm以下の酸化コバルト粉末(II,III)(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)を混合し、骨格体としてのシリカライトの外表面に、金属含有クラスターである酸化コバルト微粒子を付着させた機能性構造体を得た。MFI型シリカライトは、金属を添加する工程以外は、実施例と同様の方法で合成した。
【0067】
(比較例2)
比較例2では、酸化コバルト微粒子を付着させる工程を省略したこと以外は、比較例1と同様の方法にてMFI型シリカライトを合成した。
【0068】
[評価]
担体と金属含有クラスターとを備える上記実施例の機能性構造体および比較例のシリカライトについて、以下に示す条件で、各種特性評価を行った。
【0069】
[A]骨格体の通路の平均内径、金属含有クラスター(金属微粒子)の存在状態および粒径の確認
実施例1〜64で得られた機能性構造体について、XRD(X線回折装置;D8 Advance(ブルカー株式会社製))により骨格体内の通路の平均内径を測定した。XRDによる通路の平均内径の測定条件は、測定範囲:2θ=5〜70°、線源:CuKαとした。
また、SAXS(小角X線散乱)を用いて、金属含有クラスターの存在状態および粒径を分析した。より具体的には、SAXSによる測定は、Spring−8のビームラインBL19B2を用いて行った。得られたSAXSデータは、Guinier近似法により球形モデルでフィッティングを行い、機能性構造体中のCuからなる金属含有クラスターの確認およびその粒径を測定した。この結果、骨格体内部に粒径1.0nmの金属含有クラスターが、粒径が揃いかつ非常に高い分散状態で存在していることが分かった。
【0070】
[B]触媒活性
触媒活性は、以下の条件で評価した。まず、機能性構造体を、常圧流通式反応装置に0.2g充填し、窒素ガス(N)をキャリアガス(5ml/min)とし、400℃、2時間、ブチルベンゼン(重質油のモデル物質)の分解反応を行った。反応終了後に、回収した生成ガスおよび生成液を、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により成分分析した。なお、生成ガスの分析装置には、TRACE 1310GC(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、検出器:熱伝導度検出器)を用い、生成液の分析装置には、TRACE DSQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、検出器:質量検出器、イオン化方法:EI(イオン源温度250℃、MSトランスファーライン温度320℃、検出器:熱伝導度検出器))を用いた。さらに、上記成分分析の結果に基づき、ブチルベンゼンよりも分子量が小さい化合物(具体的には、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、クメン、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン等)の収率(mol%)を求めた。上記化合物の収率は、反応開始前のブチルベンゼンの物質量(mol)に対する、生成液中に含まれるブチルベンゼンよりも分子量が小さい化合物の物質量の総量(mol)の百分率(mol%)として算出した。そして、以下の基準に従って、触媒活性を評価した。
【0071】
「◎」:生成液中に含まれるブチルベンゼンよりも分子量が小さい化合物の収率が40mol%以上である場合、触媒活性(分解能)が優れていると判定した。
「○」:生成液中に含まれるブチルベンゼンよりも分子量が小さい化合物の収率が25mol%以上40mol%未満である場合、触媒活性が良好であると判定した。
「△」:生成液中に含まれるブチルベンゼンよりも分子量が小さい化合物の収率が10mol%以上25mol%未満である場合、触媒活性が良好ではないものの合格レベル(可)でありと判定した。
「×」:生成液中に含まれるブチルベンゼンよりも分子量が小さい化合物の収率が10mol%未満である場合を触媒活性が劣る(不可)と判定した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表1〜4から明らかなように、単位骨格内に金属含有クラスターが所定量、保持されている実施例1〜64では、ブチルベンゼンの分解反応の触媒活性が良好であることが分かった。一方、骨格体の外表面にのみ金属含有クラスターを付着させた比較例1および機能性物質を何ら有していない比較例2の骨格体そのものでは、ブチルベンゼンの分解反応に対してほとんど触媒活性を示さなかった。
【符号の説明】
【0077】
1 機能性構造体
10 骨格体
10a 外表面
11 通路
11a 孔
12 拡径部
20 金属含有クラスター
30 機能性物質
一次平均粒径
平均内径
内径
図1
図2
図3
図4