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特開2019-197483人工物領域特定装置、人工物領域特定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-197483(P2019-197483A)
(43)【公開日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】人工物領域特定装置、人工物領域特定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20191018BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
   G06T7/00 640
   G06T1/00 285
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-92309(P2018-92309)
(22)【出願日】2018年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 和也
(72)【発明者】
【氏名】高木 基宏
(72)【発明者】
【氏名】三反崎 暁経
(72)【発明者】
【氏名】清水 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】島田 裕
(72)【発明者】
【氏名】谷口 行信
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057AA14
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC07
5B057DC08
5L096AA06
5L096BA18
5L096CA02
5L096EA27
5L096FA10
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA30
(57)【要約】
【課題】画像内において建物などの人工物が写っている領域をより高精度に特定する。
【解決手段】人工物領域特定装置は、画像データから画像内において第一の線と第二の線が交差する点である1以上のコーナーそれぞれの位置を取得する第一取得部と、第一取得部が取得した前記コーナーそれぞれの位置を表す座標に、当該座標を基準とした距離と人工物が存在する度合との関係をモデル化した確率分布を設定する確率分布設定部と、確率分布設定部により設定された1以上の確率分布に基づき、画像内において外観にコーナーを有する人工物が支配的な領域を取得する第二取得部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データから画像内において第一の線と第二の線が交差する点である1以上のコーナーそれぞれの位置を取得する第一取得部と、
前記第一取得部が取得した前記コーナーそれぞれの前記位置を表す座標に、前記座標を基準とした距離と人工物が存在する度合との関係をモデル化した確率分布を設定する確率分布設定部と、
前記確率分布設定部により設定された1以上の前記確率分布に基づき、前記画像内において外観にコーナーを有する人工物が支配的な領域を取得する第二取得部と、
を備える人工物領域特定装置。
【請求項2】
前記第一取得部は、前記画像内において前記人工物が存在する方向をさらに取得し、
前記確率分布設定部は、前記コーナーの前記位置を表す座標に、前記コーナーにおいて前記人工物が存在する方向に伸長した前記確率分布を設定する、
請求項1に記載の人工物領域特定装置。
【請求項3】
前記第一取得部は、前記画像内において前記人工物が存在する方向をさらに取得し、
前記確率分布設定部は、前記コーナーの前記位置を表す座標に、前記コーナーにおいて前記人工物が存在する方向にピークをずらした前記確率分布を設定する、
請求項1に記載の人工物領域特定装置。
【請求項4】
前記人工物は、建物である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の人工物領域特定装置。
【請求項5】
画像データから画像内において第一の線と第二の線が交差する点である1以上のコーナーそれぞれの位置を取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップにおいて取得した前記コーナーそれぞれの前記位置を表す座標に、前記座標を基準とした距離と人工物が存在する度合との関係をモデル化した確率分布を設定する確率分布設定ステップと、
前記確率分布設定ステップにおいて設定された1以上の前記確率分布に基づき、前記画像内において外観にコーナーを有する人工物が支配的な領域を取得する第二取得ステップと、
を有する人工物領域特定方法。
【請求項6】
コンピュータを、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の人工物領域特定装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工物領域特定装置、人工物領域特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、衛星、ドローンなどから空撮した画像を用いて、建物の新築や解体等の時間的変化の有無を確認し、その情報を地図の更新作業に活用している。建物の新築や解体の変化を効率的に判断するためには、空撮画像中に建物が映っている領域を良好に特定することが重要となる。非特許文献1では、空撮画像から建物を検出するために、色彩情報とエッジ情報を活用している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三冨 創,松岡 昌志,山崎 文雄,“空撮画像を用いた汎用的な建物被害抽出方法に関する考察”,土木学会論文集,2002年7月,No.710/I-60,p.413-425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、道路や駐車場と建物との分離が難しく、特定精度を低下させることがあった。これは、道路や駐車場も、くっきりとしたエッジを持つ特性があるためである。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、画像内において建物などの人工物が写っている領域をより高精度に特定することができる人工物領域特定装置、人工物領域特定方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、画像データから画像内において第一の線と第二の線が交差する点である1以上のコーナーそれぞれの位置を取得する第一取得部と、前記第一取得部が取得した前記コーナーそれぞれの前記位置を表す座標に、前記座標を基準とした距離と人工物が存在する度合との関係をモデル化した確率分布を設定する確率分布設定部と、前記確率分布設定部により設定された1以上の前記確率分布に基づき、前記画像内において外観にコーナーを有する人工物が支配的な領域を取得する第二取得部と、を備える人工物領域特定装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上述の人工物領域特定装置であって、前記第一取得部は、前記画像内において前記人工物が存在する方向をさらに取得し、前記確率分布設定部は、前記コーナーの前記位置を表す前記座標に、前記コーナーにおいて前記人工物が存在する方向に伸長した前記確率分布を設定する。
【0008】
本発明の一態様は、上述の人工物領域特定装置であって、前記第一取得部は、前記画像内において前記人工物が存在する方向をさらに取得し、前記確率分布設定部は、前記コーナーの前記位置を表す前記座標に、前記コーナーにおいて前記人工物が存在する方向にピークをずらした前記確率分布を設定する。
【0009】
本発明の一態様は、上述の人工物領域特定装置であって、前記人工物は、建物である。
【0010】
本発明の一態様は、画像データから画像内において第一の線と第二の線が交差する点である1以上のコーナーそれぞれの位置を取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップにおいて取得した前記コーナーそれぞれの前記位置を表す座標に、前記座標を基準とした距離と人工物が存在する度合との関係をモデル化した確率分布を設定する確率分布設定ステップと、前記確率分布設定ステップにおいて設定された1以上の前記確率分布に基づき、前記画像内において外観にコーナーを有する人工物が支配的な領域を取得する第二取得ステップと、を有する人工物領域特定方法である。
【0011】
本発明の一態様は、コンピュータを、上述のいずれかに記載の人工物領域特定装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、画像内において建物などの人工物が写っている領域をより高精度に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態による建物領域特定装置の機能ブロック図である。
図2】同実施形態によるFAST特徴量を用いたコーナー検出処理を説明するための図である。
図3】同実施形態による建物領域特定装置の処理動作を示すフローチャートである。
図4】同実施形態によるコーナーに設定された確率分布を示す図である。
図5】同実施形態によるコーナーに設定された確率分布を示す図である。
図6】同実施形態による確率分布総和ベクトルを示す図である。
図7】第2の実施形態による建物領域特定装置の機能ブロック図である。
図8】同実施形態による建物領域特定装置の処理動作を示すフローチャートである。
図9】同実施形態によるコーナーに設定された確率分布を示す図である。
図10】同実施形態によるコーナーに設定された確率分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態では、画像内に人工物が1つ以上のコーナーを保持した形状で写っていることを想定する。画像として、例えば、空撮画像を用いることができる。ここで、コーナーとは、2本の線分がそれぞれの端点で交差してできる点を意味する。例えば、人工物が四角形の場合は、4つのコーナーを持つ。以下では、人工物が建物である場合を例に説明する。
【0015】
まず、人工物領域特定装置の一例である建物領域特定装置は、空撮画像において、特定の条件を満たす画素をコーナーとして検出する。次に、建物領域特定装置は、コーナーとして検出された座標を起点に、建物が存在する確率分布をあてはめる。これは、コーナーとして検出された箇所の周辺に建物が存在している、若しくは、コーナーとして検出された箇所は建物の一部であるとの仮定に基づいている。建物領域特定装置は、すべてのコーナーに対して上記の確率分布をあてはめた後にそれらの値を合算し、その合算した値を画像内において建物が存在する確率が高いか低いかを表す値と定める。最後に、建物領域特定装置は、指定したしきい値と建物が存在する確率を表す値とを比較し、しきい値を上回る領域を建物領域として出力する。
【0016】
通常、建物は複数のコーナーに囲まれている。例えば、矩形の建物には4つのコーナーがある。従って、確率分布を合算すると、建物領域は、建物ではない領域とくらべて、コーナーの数の分だけ値が大きくなる。つまり、確率分布の合算を用いることによって、建物が存在する可能性がある領域として判定しやすくなる。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による建物領域特定装置100の構成を示す機能ブロック図である。建物領域特定装置100は、画像データ入力部1と、コーナー検出用パラメータ入力部2と、コーナー検出部3と、ループ処理部4と、確率分布情報入力部5と、確率分布加算部6と、ループ完了判定部7と、しきい値入力部8と、しきい値比較部9とを備える。
【0018】
画像データ入力部1は、空撮画像の画像データを入力する。画像データ入力部1は、画像データを、建物領域特定装置100と接続される他の装置や建物領域特定装置100が備える図示しない記憶部などから読み込む。
【0019】
コーナー検出用パラメータ入力部2は、キーボード、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置により、コーナー検出処理に必要なパラメータ一式を入力し、コーナー検出部3に出力する。コーナー検出用パラメータ入力部2は、パラメータ一式を、建物領域特定装置100と接続される他の装置や建物領域特定装置100が備える図示しない記憶部から読み出してもよい。
【0020】
コーナー検出部3は、コーナー検出用パラメータ入力部2により入力されたパラメータ一式を用いたコーナー検出処理により、画像データが示す画像内におけるコーナーを検出し、その座標位置を取得する。
【0021】
ループ処理部4は、確率分布加算部6に対して、コーナー検出部3が検出したコーナーそれぞれについて処理を行うよう指示する。
【0022】
確率分布情報入力部5は、既存の入力装置により確率分布情報を入力する。確率分布情報は、建物が存在する確率を示す分布の形状を表す。例えば、確率分布を2次元正規分布とする場合は、平均ベクトル、分散ベクトルの情報などが確率分布情報の例として挙げられる。確率分布情報入力部5は、建物領域特定装置100と接続される他の装置や建物領域特定装置100が備える図示しない記憶部から確率分布情報を読み出してもよい。
【0023】
確率分布加算部6は、コーナー検出部3が検出した各コーナーの座標位置を基準として、画像データ内の全画素について、確率分布情報入力部5により入力された確率分布情報を設定し、それら設定された確率分布情報を加算する。なお、画像データ内の画素には、該コーナーを基準とした確率分布に0が設定される場合もある。確率分布0が設定される画素には、確率分布情報を設定しないこととしてもよい。確率分布加算部6は、画像データ内の画素毎に、各コーナーに設定された確率分布情報の値を加算する。これにより、画像データ内の各画素について建物の存在確率を合計した値が得られる。
【0024】
ループ完了判定部7は、コーナー検出部3が検出したすべてのコーナーについて、確率分布情報の加算処理を終えたかを判定する。ループ完了判定部7は、未処理のコーナーがあると判定した場合は、未処理のコーナーについてループ処理を行うようループ処理部4に指示する。ループ完了判定部7は、全てのコーナーについて処理済みと判定した場合は、確率分布情報の加算結果をしきい値比較部9に出力する。
【0025】
しきい値入力部8は、建物が支配的な領域(以下、「建物領域」と記載)であるか否かを判定するために確率分布情報の加算結果との比較に用いるしきい値を既存の入力装置により入力する。しきい値入力部8は、建物領域特定装置100と接続される他の装置や建物領域特定装置100が備える図示しない記憶部からしきい値を読み出してもよい。
【0026】
しきい値比較部9は、画像データ内の各画素について、全てのコーナーそれぞれに設定した確率分布情報を加算した結果を取得し、しきい値入力部8から読み込んだしきい値と画像データ内の画素毎に比較する。しきい値比較部9は、存在確率の合計値がしきい値よりも大きな画素により構成される領域を建物領域と判断し、存在確率の合計値がしきい値以下の画素により構成される領域を建物領域ではないと判断する。
【0027】
コーナー検出部3がコーナー検出に用いる方法の例として、FAST特徴量を用いた検出方法、Moravecの検出方法、Harrisの検出方法などが挙げられる。ここでFAST特徴量を用いたコーナー検出処理について説明する。
【0028】
図2に、FAST特徴量を用いたコーナー検出処理を説明するための図である。同図に示す1マスは1画素を表す。注目画素をpとし、注目画素pを中心とした円周上の画素を順にp:1〜p:Xとする。同図では、X=16である。また、注目画素pの輝度値をl、画素p:x(xは1以上X以下の整数)の輝度値lp:xとする。16個の要素からなる特徴ベクトルのx番目の要素の値を、輝度値l+しきい値t≦輝度値l:xであればBrigter、輝度値l−しきい値t<輝度値lp:x<輝度値l+しきい値tであればSimilaer、輝度値l−しきい値t≧輝度値lp:xであればDarkerとする。Brigter又はDarkerが所定以上連続する要素がある場合、注目画素pはコーナーであると判定される。なお、p:Xとp:1は連続しているとみなす。
【0029】
図3は、図1に示す建物領域特定装置100の処理動作を示すフローチャートである。
まず、画像データ入力部1は、空撮画像の画像データを読み込み、コーナー検出部3に出力する(ステップS1)。コーナー検出用パラメータ入力部2は、コーナー検出に必要なパラメータ一式を入力し、コーナー検出部13に出力する。例えば、コーナー検出にFAST特徴量を用いる場合は、コーナーと判定するための連続画素のしきい値や、精度向上のための非最大値抑制機能のオンオフ制御フラグなどがパラメータ一式として挙げられる。コーナー検出部3は、コーナー検出用パラメータ入力部2から受信したパラメータ一式を使用したコーナー判定処理により、画像データ入力部1が読み込んだ画像データが示す画像内における1以上のコーナーを検出する。コーナー検出部3は、画像データ内で検出したコーナーの画素の位置を表す座標値をループ処理部4に出力する(ステップS2)。
【0030】
ループ処理部4は、コーナー検出部3から出力されたすべてのN個のコーナーを対象にして、n=1,2,…,Nのそれぞれについて、ステップS4を繰り返し行うループ処理を実行する(ステップS3)。
【0031】
確率分布加算部6は、画像座標上に、現在処理対象としているn番目のコーナーの座標位置を起点として、確率分布情報入力部5から入力された確率分布情報を設定し、確率分布総和ベクトルSに加算する(ステップS4)。なお、画像座標上とは、画像データ内の各画素、と言い換えてもよい。
【0032】
N個のコーナーのうちいずれのコーナーであるかを表すインデクスをn(nは1以上N以下の整数)、n番目のコーナーであるコーナーnの画像上の座標を(Xn,Yn)とする。また、確率分布情報が示す確率分布を2次元正規分布とし、平均値(ピーク位置)を(u,v)、分散を(σx,σy)とする。このとき、画像上の位置(x,y)における、コーナーnが与える確率分布fnは以下の式(1)で示される。
【0033】
【数1】
【0034】
確率分布総和ベクトルSの各要素S(x,y)は、N個の全コーナー分の式(1)が示す確率分布を合計した以下の式(2)となる。
【0035】
【数2】
【0036】
図4図5は、各コーナーに設定された確率分布を示す図であり、図6は確率分布総和ベクトルSを示す図である。図4図5はそれぞれ、40×40画素の画像を仮定し、図4はコーナーの座標が(15,15)、図5はコーナーの座標が(25,25)に存在した場合の確率分布を示す。線L1は建物の輪郭であり、線L1が示す輪郭により囲まれた領域を建物領域と仮定する。確率値は等高線として表現している。図6は、図4に示す確率分布と図5に示す確率分布の2つの確率分布を重ね合わせた確率分布総和ベクトルSを示す。
【0037】
図3のステップS4の処理の後、ループ完了判定部7は、すべてのコーナーについて処理が完了しているかどうかを判定する。ループ完了判定部7は、完了していないと判定すると、次の処理対象のコーナーを選択するようループ処理部4に指示し、処理を引き渡す。ループ完了判定部7は、すべてのコーナーについて処理が完了していると判定すると、確率分布総和ベクトルSをしきい値比較部9に出力する。
【0038】
しきい値入力部8は、確率分布総和ベクトルSの各画素の値に対して適用し、建物領域か否か判定するためのしきい値を入力する。しきい値比較部9は、ループ完了判定部7から出力された確率分布総和ベクトルSが示す各画素の確率分布の合計値S(x,y)と、しきい値入力部8から読み込んだしきい値とを比較する(ステップS5)。しきい値比較部9は、しきい値以上であればその画素の領域を建物領域と判定して判定結果を出力し(ステップS6)、しきい値未満の画素の領域を建物領域ではないと判定して判定結果をする(ステップS7)。
【0039】
[第2の実施形態]
コーナーは、主に点として検出されるため、第1の実施形態のように、そこに単純に確率分布をあてはめた場合には、コーナーを中心として等方的に確率分布が広がる。しかし、建物のコーナーは、例えば屋根等の端点として画像に映るため、建物が実際に存在するのはコーナーを起点とした一部の方向のみである。従って、建物がありそうな方向が分かる場合には、コーナーを中心として確率分布を等方的に広げるよりも、その方向に確率分布を伸ばす、あるいは、確率分布をずらすことによって、コーナーからその方向への確率分布を高めることができると考えられる。そこで、第2の実施形態による建物領域特定装置は、コーナーにおいて建物が存在すると想定される方向を検出し、検出した方向に基づいて確率分布を伸長するか、確率分布の設定中心となる座標をコーナーの座標からずらす。あるいは、建物領域特定装置はその両方を行う。
【0040】
図7は、第2の実施形態による建物領域特定装置110の構成を示す機能ブロック図である。建物領域特定装置110は、画像データ入力部11と、コーナー検出用パラメータ入力部12と、コーナー検出部13と、ループ処理部14と、コーナー方向検出用パラメータ入力部15と、コーナー方向検出部16と、確率分布情報入力部17と、確率分布加算部18と、ループ完了判定部19と、しきい値入力部20と、しきい値比較部21とを備える。画像データ入力部11、コーナー検出用パラメータ入力部12、コーナー検出部13、ループ処理部14、確率分布情報入力部17、ループ完了判定部19、しきい値入力部20及びしきい値比較部21のそれぞれは、図1に示す第1の実施形態における建物領域特定装置100の画像データ入力部1、コーナー検出用パラメータ入力部2、コーナー検出部3、ループ処理部4、確率分布情報入力部5、ループ完了判定部7、しきい値入力部8及びしきい値比較部9と同様の機能を有する。
【0041】
コーナー方向検出用パラメータ入力部15は、コーナーの方向を検出するために必要なパラメータ情報一式を読み込み、コーナー方向検出部16に出力する。コーナー方向検出部16は、画像内で検出された各コーナーにおいて建物領域が存在すると想定される方向を検出する。確率分布加算部18は、各コーナーの座標位置に確率分布情報を設定し、それら設定された確率分布情報を加算する。このとき、確率分布加算部18は、確率分布情報入力部17により入力された確率分布情報が示す建物の存在確率の分布を、建物領域が存在すると想定される方向に確率分布が重点的に伸びるように加工してから加算を行う。また、確率分布加算部18は、各コーナーの座標位置よりも、確率分布の平均値(ピーク位置)が建物領域の中に来るように、建物領域が存在すると想定される方向に確率分布情報が表すピークをずらして設定してもよい。
【0042】
図8は、図7に示す建物領域特定装置110の処理動作を示すフローチャートである。
まず、画像データ入力部11は、空撮画像の画像データを読み込み、コーナー検出部13に出力する(ステップS11)。コーナー検出用パラメータ入力部12は、コーナー検出に必要なパラメータ一式を入力し、コーナー検出部13に出力する。例えば、コーナー検出にFAST特徴量を用いる場合は、コーナーと判定するための連続画素のしきい値や、精度向上のための非最大値抑制機能のオンオフ制御フラグなどがパラメータ一式として挙げられる。コーナー検出部13は、画像データ入力部11が読み込んだ画像データが示す画像領域内において1以上のコーナーを検出し、検出したコーナーの座標値をループ処理部14に出力する(ステップS12)。コーナー検出部3がコーナー検出に利用する検出方法の例としては、FAST特徴量による検出、Moravecの検出方法、Harrisの検出方法などが挙げられる。
【0043】
ループ処理部14は、コーナー検出部13から出力されたすべてのN個のコーナーを対象にして、n=1,2,…,NのそれぞれについてステップS14〜ステップS15を繰り返し行うループ処理を実行する(ステップS13)。
【0044】
コーナー方向検出部16は、コーナー方向検出用パラメータ入力部15が入力したパラメータ情報一式を用い、現在処理対象としているn番目のコーナーについて、建物領域が存在すると想定される方向を検出し、確率分布加算部18に出力する(ステップS14)。例えば、FAST特徴量による検出を行った際には、明るい画素と暗い画素に2分して連続する画素数をカウントした際、連続数が少ない画素の方向を建物が存在する方向として定める方法が考えられる。その他、入力装置などを用いて外部より明示的に指定されてもよい。
【0045】
確率分布加算部18は、コーナー方向検出部16から建物領域が存在すると想定される方向の情報を読み込み、確率分布情報入力部17か確率分布情報を読み込む。確率分布を2次元正規分布とする場合は、確率分布情報として、平均ベクトル、分散ベクトルの情報などが挙げられる。確率分布加算部18は、現在処理対象としているn番目のコーナーの座標位置を起点とした画像座標上に確率分布情報を設置し、確率分布総和ベクトルSに加算する(ステップS15)。
【0046】
コーナーのインデクスをn、コーナーnの画像上の座標を(Xn,Yn)とする。一方、確率分布を2次元正規分布とし、平均値(ピーク位置)を(u,v)、分散を(σx,σy)としたとき、画像上の位置(x,y)における、コーナーnが与える確率分布fnは以下の式(3)で示される。
【0047】
【数3】
【0048】
ここで、コーナー方向検出部16から読み込んだ、建物領域が存在すると想定される方向が(cx,cy)であれば、確率分布がその方向に重点的に伸びるように、(σx,σy)を設定することが望ましい。また、確率分布の平均値(ピーク位置)が建物領域の中に来るように平均値(ピーク位置)を(u,v)からずらしてもよい。確率分布総和ベクトルSの各要素S(x,y)は、N個の全コーナー分の確率分布を合計した以下の式(4)となる。
【0049】
【数4】
【0050】
図9は、コーナーに設定された確率分布を示す図である。同図では、40×40画素の画像を仮定し、コーナー座標を(20,20)と設定した例である。右上に配置された線L2が建物輪郭であり、線L2が示す輪郭により囲まれた領域を建物領域と仮定する。確率値は等高線として表現している。同図では、確率分布を建物が存在する方向に伸ばしている。図10は、図9の確率分布に対して、平均値が建物領域の中に来るようにずらした例である。このように各コーナーの確率分布を設定してもよい。
【0051】
図8のステップS15の処理の後、ループ完了判定部19は、すべてのコーナーについて処理が完了しているかどうかを判定する。ループ完了判定部19は、完了していないと判定すると、次の処理対象のコーナーを選択するようループ処理部14に指示し、処理を引き渡す。ループ完了判定部19は、すべてのコーナーについて処理が完了していると判定すると、確率分布総和ベクトルSをしきい値比較部21に出力する。
【0052】
しきい値入力部20は、確率分布総和ベクトルSの各要素の値に対して適用し、建物領域か否か判定するためのしきい値を入力する。しきい値比較部21は、確率分布総和ベクトルSが示す各画素の確率分布の合計値S(x,y)と、しきい値入力部8から読み込んだしきい値とを比較する(ステップS16)。しきい値比較部21は、しきい値以上であればその画素の領域を建物領域と判定して判定結果を出力し(ステップS17)、しきい値未満の画素の領域を建物領域ではないと判定して判定結果をする(ステップS18)。
【0053】
上述した実施形態の建物領域特定装置100、110は、建物には上空から見た時の外観に道路や駐車場などの他の人工物や自然の領域と比較して建物にはコーナーが多いという性質に基づき、空撮画像等の画像における建物の領域を推定する。建物領域特定装置100、110は、画像上の任意の点を基準とした所定の範囲内におけるコーナーの多さに基づき、建物であるか否かの推定を統計的な手法で行う。
【0054】
上述した実施形態によれば、人工物領域特定装置は、第一取得部と、確率分布設定部と、第二取得部とを備える。第一取得部は、画像データから画像内において第一の線と第二の線が交差する点である1以上のコーナーそれぞれの位置を取得する。第一取得部は、例えば、コーナー検出部3である。確率分布設定部は、第一取得部が取得したコーナーそれぞれの位置を表す座標に、その座標を基準とした距離と人工物が存在する度合との関係をモデル化した確率分布を設定する。確率分布設定部は、例えば、確率分布加算部6である。第二取得部は、確率分布設定部により設定された1以上の確率分布に基づき、画像内において外観にコーナーを有する人工物が支配的な領域を取得する。第二取得部は、例えば、しきい値比較部9である。
【0055】
第一取得部は、画像内において人工物が存在する方向をさらに取得してもよい。確率分布設定部は、コーナーの位置を表す座標に、そのコーナーにおいて人工物が存在する方向に伸長した又はピークをずらした確率分布を設定する。例えば、第一取得部はコーナー検出部13及びコーナー方向検出部16であり、確率分布設定部は、確率分布加算部18である。
【0056】
上述した実施形態における建物領域特定装置100、110の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0057】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1、11…画像データ入力部、 2、12…コーナー検出用パラメータ入力部、 3、13…コーナー検出部、 4、14…ループ処理部、 5、17…確率分布情報入力部、 6、18…確率分布加算部、 7、19…ループ完了判定部、 8、20…しきい値入力部、 9、21…しきい値比較部、 15…コーナー方向検出用パラメータ入力部、 16…コーナー方向検出部、 100、110…建物領域特定装置
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