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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-156785(P2021-156785A)
(43)【公開日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】液状物の状態評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20210910BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20210910BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20210910BHJP
   G01N 33/14 20060101ALI20210910BHJP
【FI】
   G01N27/416 302M
   G01N33/483 F
   G01N33/50 Z
   G01N27/416 302G
   G01N33/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-58654(P2020-58654)
(22)【出願日】2020年3月27日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 平成31年3月27日 刊行物 Proceedins of the 65th Chemical Sensor Symposium,Vol.35,pp.49−51,Supplement A Kyoto,March 27−29,2019 〔刊行物等〕 開催日 平成31年3月27日 集会名、開催場所 第65回化学センサ研究発表会 京都大学吉田キャンパス
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】上面 雅義
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 進一
(72)【発明者】
【氏名】川口 俊一
(72)【発明者】
【氏名】曾根 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】ベガウム パルビン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045DA06
2G045DA74
2G045FB05
(57)【要約】
【課題】発酵等の状態を精度良く評価することができる液状物の状態評価方法を提供する。
【解決手段】この評価方法は、液状物Fの発酵又は醸造の状態を評価する方法であって、液状物Fの発酵又は醸造の過程において液状物F中にて増減する少なくとも二つの物質に対して電気化学的な測定を行う測定ステップと、測定ステップにおける測定結果に基づいて、液状物Fの発酵又は醸造の状態を評価する評価ステップと、を含む。測定ステップでは、上記少なくとも二つの物質の濃度を測定するための共通の又は同一の電気化学センサ11を液状物Fに浸し、上記少なくとも二つの物質の濃度を連続的又は断続的に測定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物の発酵又は醸造の状態を評価する方法であって、
前記液状物の発酵又は醸造の過程において前記液状物中にて増減する少なくとも二つの物質に対して電気化学的な測定を行う測定ステップと、
前記測定ステップにおける測定結果に基づいて、前記液状物の発酵又は醸造の状態を評価する評価ステップと、
を含み、
前記測定ステップでは、前記少なくとも二つの物質の濃度を測定するための共通の又は同一の電気化学センサを前記液状物に浸し、前記少なくとも二つの物質の濃度を連続的又は断続的に測定する、液状物の状態評価方法。
【請求項2】
前記少なくとも二つの物質が、アルコール、有機酸、亜硫酸類からなる群から選ばれる少なくとも二つの物質である、請求項1に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項3】
前記少なくとも二つの物質のうちの少なくとも一つが、クエン酸回路又は解糖系において生成され又は消費される有機酸である、請求項1又は2に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項4】
前記有機酸が、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマール酸、リンゴ酸及びオキサロ酢酸からなる群より選ばれる一つ以上の有機酸である、請求項3に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項5】
前記少なくとも二つの物質のうちの少なくとも一つが亜硫酸類であり、
前記亜硫酸類が、二酸化硫黄、亜硫酸、亜硫酸塩及び亜硫酸エステルからなる群より選ばれる一つ以上の亜硫酸類である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項6】
液状物の発酵又は醸造の状態を評価する方法であって、
前記液状物の発酵又は醸造の過程において前記液状物中にて増減する気体物質及びイオン性物質に対して電気化学的な測定を行う測定ステップと、
前記測定ステップにおける測定結果に基づいて、前記液状物の発酵又は醸造の状態を評価する評価ステップと、
を含み、
前記測定ステップでは、前記気体物質及び前記イオン性物質の濃度を測定するための共通の又は同一の電気化学センサを前記液状物に浸し、前記気体物質及び前記イオン性物質の濃度を連続的又は断続的に測定する、液状物の状態評価方法。
【請求項7】
前記気体物質が前記液状物中の溶存物質である、請求項6に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項8】
前記溶存物質が二酸化硫黄又は亜硫酸であり、前記イオン性物質が亜硫酸塩である、請求項7に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項9】
前記電気化学センサが、作用電極、参照電極、及び対照電極を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項10】
前記電気化学的な測定がボルタンメトリを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項11】
前記液状物が酒類である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項12】
前記酒類が醸造酒類である、請求項11に記載の液状物の状態評価方法。
【請求項13】
前記醸造酒類がぶどう酒である、請求項12に記載の液状物の状態評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物の状態評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分析方法及び分析装置に関する技術が開示されている。この文献には、ワイン等のアルコール性液体または飲料の製造の中間段階または貯蔵における分析のために、エタノールを電気化学的に検出することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、酵素電気化学インピーダンス計測法に基づくバイオセンシング技術に関する技術が開示されている。この文献には、グルコース等の物質の電気化学的定量法において、酵素電極(作用極)、参照極および対極を備える三電極系のバイオセンサを用いることが記載されている。また、酵素の選択によりバイオセンサはエタノールセンサとして使用し得ることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、発酵乳の酸度とL−乳酸濃度の同時自動測定装置が記載されている。この文献には、発酵乳の酸度とL−乳酸濃度が発酵時間と共に変化するので、採取したサンプルについて、酸度とL−乳酸濃度をほぼ同時に測定することが望ましいことが記載されている。
【0005】
特許文献4には、亜硫酸の測定方法及び測定装置に関する技術が開示されている。この文献には、微生物固定化酸素電極を用いて、電気化学的手法により、市販ワイン中の亜硫酸量を測定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2001−519896号公報
【特許文献2】特開2019−39921号公報
【特許文献3】特開平3−210467号公報
【特許文献4】特開平5−95796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば酒類といった飲用の液状物を発酵又は醸造(以下、発酵等という)により製造する際には、発酵等の状態を精度良く評価することが重要である。発酵等の状態を精度良く評価し、発酵等の制御及び終了タイミングの判断を適切に行うことによって、当該液状物の品質を向上し得るからである。従来より、発酵等の状態の評価は、製造に従事する作業者自身の味覚等を利用して行うことが一般的である。しかしながら、作業者自身の味覚を頼りに評価を行う場合、作業者の熟練度、及び複数の作業者間の味覚の違い等により、評価がばらつくという問題がある。
【0008】
また、例えば酒類の発酵等の状態を評価する場合、アルコール濃度のみを測定することも考えられる。しかし、アルコールの濃度変化は液中における様々な反応の結果として生じるものであり、発酵等の状態を直接的に表しているとは言い難い。したがって、アルコール濃度のみの測定では、発酵等の状態を精度良く評価することは難しい。
【0009】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、発酵等の状態を精度良く評価することができる液状物の状態評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、一実施形態による液状物の状態評価方法は、液状物の発酵又は醸造の状態を評価する方法であって、液状物の発酵又は醸造の過程において液状物中にて増減する少なくとも二つの物質に対して電気化学的な測定を行う測定ステップと、測定ステップにおける測定結果に基づいて、液状物の発酵又は醸造の状態を評価する評価ステップと、を含む。測定ステップでは、少なくとも二つの物質の濃度を測定するための共通の又は同一の電気化学センサを液状物に浸し、少なくとも二つの物質の濃度を連続的又は断続的に測定する。
【0011】
別の実施形態による液状物の状態評価方法は、液状物の発酵又は醸造の状態を評価する方法であって、液状物の発酵又は醸造の過程において液状物中にて増減する気体物質及びイオン性物質に対して電気化学的な測定を行う測定ステップと、測定ステップにおける測定結果に基づいて、液状物の発酵又は醸造の状態を評価する評価ステップと、を含む。測定ステップでは、気体物質及びイオン性物質の濃度を測定するための共通の又は同一の電気化学センサを液状物に浸し、気体物質及びイオン性物質の濃度を連続的又は断続的に測定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、発酵等の状態を精度良く評価することができる液状物の状態評価方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る液状物の状態評価方法に用いられる評価装置10の構成を概略的に示す図である。
図2図2(a)は、電気化学センサ11を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)のII−II線に沿った断面図である。
図3図3(a)は、図2(b)の作用電極22を拡大して示す断面図である。図3(b)は、図2(b)の参照電極23を拡大して示す断面図である。
図4図4は、電気化学センサ11が液状物Fに浸された際の電極間の状態を示す図である。
図5図5は、図4に示された状況において作用電極22付近に生じる電気回路モデル(等価回路)を示す図である。
図6図6は、交流インピーダンス法における電荷移動抵抗R1の抵抗値及び電気二重層キャパシタCAの静電容量を求める方法を説明するための図である。横軸は、実数部分を表し、横軸は、虚数部分を表す。
図7図7は、一実施形態に係る液状物Fの状態評価方法を示すフローチャートである。
図8図8は、評価装置10を用いたボルタンメトリによる、ぶどう酒の発酵状態の評価に係る電流−電位曲線(サイクリックボルタモグラム)である。縦軸は電流(単位:mA・cm−2)を表し、横軸は電位(単位:V)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら液状物の状態評価方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る液状物の状態評価方法に用いられる評価装置10の構成を概略的に示す図である。この評価装置10は、例えば酒類といった飲用の液状物を発酵又は醸造(以下、発酵等という)により製造する際に、発酵等の状態を評価するため、液状物の発酵等の過程において液状物中にて増減する少なくとも二つの物質に対して電気化学的な測定を行う。評価装置10は、液状物の発酵等の過程において液状物中にて増減する気体物質及びイオン性物質に対して電気化学的な測定を行ってもよい。図1に示すように、この評価装置10は、電気化学センサ11と、制御部12と、表示部13とを備える。なお、本実施形態において「液状物中にて増減する」こととは、「液状物の発酵等の過程において生成又は消費される」ことを意味する。
【0016】
図2(a)は、電気化学センサ11を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)のII−II線に沿った断面図である。電気化学センサ11は、評価対象である液状物Fに浸され、液状物に含まれる少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度に応じて変動する電気信号を出力する。電気化学センサ11は、長方形状の誘電体基板21と、該誘電体基板21の主面21a上にそれぞれ設けられた作用電極22、参照電極23、及び対照電極(カウンター電極ともいう)24とを有する。誘電体基板21の構成材料は例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂である。誘電体基板21は、例えばフレキシブル配線基板のように可撓性を有してもよい。誘電体基板21の短手方向の幅は例えば12mmであり、誘電体基板21の長手方向の幅は例えば35mmである。
【0017】
作用電極22は、誘電体基板21の長手方向における一端寄りの位置に設けられた円形状の金属膜である。参照電極23は、作用電極22の周囲を囲んで形成された円環状の金属膜である。参照電極23の中心は、作用電極22の中心と一致する。参照電極23と作用電極22との間には、円環状の間隙が設けられている。対照電極24は、参照電極23の周囲を囲んで形成された円環状の金属膜である。対照電極24の中心は、作用電極22及び参照電極23の中心と一致する。換言すると、対照電極24は参照電極23に対して同心円状に形成されている。対照電極24と参照電極23との間には、円環状の間隙が設けられている。
【0018】
作用電極22、参照電極23及び対照電極24を構成する金属は、例えば金(Au)である。その場合、作用電極22、参照電極23及び対照電極24は、誘電体基板21の主面21a上に、例えばメッキ等により形成され得る。更に、作用電極22及び参照電極23の表面は、導電性高分子膜(不図示)によって覆われてもよい。導電性高分子膜は、例えばポリアニリン膜またはポリピロール膜である。導電性高分子膜は、例えば電解重合によって形成され得る。
【0019】
誘電体基板21の内部には、誘電体基板21の長手方向に延在する3本の配線パターン26a〜26cが設けられている。配線パターン26aの一端は作用電極22に接続され、配線パターン26bの一端は参照電極23に接続され、配線パターン26cの一端は対照電極24に接続されている。配線パターン26a〜26cの他端は、作用電極22、参照電極23及び対照電極24が設けられた誘電体基板21の一端とは反対側の誘電体基板21の他端まで直線状に延びている。配線パターン26a〜26cそれぞれの他端は、端子27a〜27cそれぞれに接続されている。端子27a〜27cは、他のコネクタ端子との電気的な接触を可能とするため、主面21a上、または主面21a上とは反対側の裏面上において露出している。
【0020】
図3(a)は、図2(b)の作用電極22を拡大して示す断面図である。図3(a)に示すように、本実施形態の作用電極22は、金属製の基部22aと、基部22aの表面を覆う導電性高分子膜22bとを有する。一例では、基部22aを構成する金属は金(Au)である。その場合、基部22aは、主面21a上に例えばメッキ等により形成され得る。或いは、基部22aは金、白金、銀からなる群から選択される少なくとも一つの金属材料を含んでもよい。基部22aの厚さtaは例えば1mm以上5mm以下であり、基部22aの直径Waは例えば1mm以上5mm以下である。基部22aは、主面21aに沿った円形の上面22aaと、円柱面状の側面22abとを有する。基部22aは、誘電体基板21の内部に埋め込まれたビア25を介して、上述した配線パターン26aと電気的に接続される。
【0021】
導電性高分子膜22bは、基部22aの上面22aa及び側面22abを覆う。一例では、導電性高分子膜22bは上面22aa及び側面22abに密着して接している。一例では、導電性高分子膜22bはポリアニリン膜またはポリピロール膜である。或いは、導電性高分子膜22bは、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)からなる群から選択される少なくとも一つの高分子材料を含んでもよい。導電性高分子膜22bは、例えば電解重合によって形成され得る。導電性高分子膜22bの厚さtbは例えば、10μm以上500μm以下である。基部22aの表面を隙間無く覆うため、導電性高分子膜22bの縁部は基部22aの全周にわたって主面21aに接していてもよい。
【0022】
図3(b)は、図2(b)の参照電極23を拡大して示す断面図である。図3(b)に示すように、本実施形態の参照電極23は、金属製の基部23aと、基部23aの表面を覆う導電性高分子膜23bとを有する。一例では、基部23aを構成する金属は金(Au)である。その場合、基部23aは、主面21a上に例えばメッキ等により形成され得る。或いは、基部23aは金、白金、銀からなる群から選択される少なくとも一つの金属材料を含んでもよい。基部23aの厚さtcは例えば1mm以上5mm以下であり、基部23aの幅Wcは例えば1mm以上5mm以下である。基部23aは、主面21aに沿った円環状の上面23aaと、一対の側面23ab,23acとを有する。側面23abは基部23aの内側面であり、側面23acは基部23aの外側面である。基部23aは、誘電体基板21の内部に埋め込まれた図示しないビアを介して、上述した配線パターン26bと電気的に接続される。
【0023】
導電性高分子膜23bは、基部23aの上面23aa、側面23ab及び23acを覆う。一例では、導電性高分子膜23bは上面23aa、側面23ab及び23acに密着して接している。一例では、導電性高分子膜23bはポリアニリン膜またはポリピロール膜である。或いは、導電性高分子膜23bは、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)からなる群から選択される少なくとも一つの高分子材料を含んでもよい。導電性高分子膜23bは、例えば電解重合によって形成され得る。導電性高分子膜23bの厚さtdは例えば、10μm以上500μm以下である。基部23aの表面を隙間無く覆うため、導電性高分子膜23bの側面23ab側の縁部および側面23ac側の縁部の双方が基部23aの全周にわたって主面21aに接していてもよい。
【0024】
なお、作用電極22及び参照電極23のうち少なくとも一方は、導電性高分子膜が設けられずに基部22a,23aの表面が露出していてもよい。
【0025】
作用電極22、参照電極23、並びに対照電極24は、互いに電気的に隔離されている。ここで、電気的に隔離されているとは、各電極が互いに誘電体のみを介して支持・固定されていることをいい、実質的に互いに絶縁されていることを意味する。本実施形態では、作用電極22、参照電極23、及び対照電極24は全て誘電体基板21を介して固定されており、不使用状態において空気を介して隣り合っている。
【0026】
再び図1を参照する。制御部12は、電気化学センサ11と電気的に接続され、電気化学センサ11の電位制御または電流制御を行い、液状物Fにおける特定の物質濃度を示す電気信号を電気化学センサ11から取得する。具体的には、制御部12は、電気化学センサ11の端子27a〜27c(図2参照)とそれぞれ接触する3つのコネクタ端子を有する。制御部12が電気化学センサ11の電位制御を行う場合、制御部12はポテンショスタットを含む。ポテンショスタットは、作用電極22と対照電極24との間に電圧を印加し、作用電極22と参照電極23との間の電位を設定したい値に制御する。また、制御部12が電気化学センサ11の電流制御を行う場合、制御部12はガルバノスタットを含む。ガルバノスタットは、作用電極22と対照電極24との間の電流を制御し、作用電極22と参照電極23との間の電位を計測する。制御部12は、交流インピーダンス測定、定電位測定、及びサイクリックボルタンメトリー(CV)測定のうち少なくとも1つを行うことにより、例えば液状物FのpH、イオン電導度、有機物量といった発酵等の状態に関する複数の項目のデータを電気信号として取得することができる。制御部12と電気化学センサ11との電気的な接続は、USB(登録商標)インターフェースを介して行われてもよい。制御部12としては、例えば北斗電工株式会社製のHZ7000を用いることができる。
【0027】
表示部13は、例えばモニタ画面(ディスプレイ)によって構成され、制御部12によって測定されたデータを表示する。なお、評価装置10は、制御部12によって測定されたデータに基づいて発酵等の状態評価を行い、その結果を表示部13に出力する評価部を更に備えてもよい。その場合、評価部は、測定データを評価するためのデータテーブルを不揮発性メモリ等に予め記憶しておき、該データテーブルと制御部12によって測定されたデータとを比較することにより、発酵等の状態評価を行ってもよい。また、その場合、表示部13は、制御部12によって測定されたデータとともに、或いは制御部12によって測定されたデータに代えて、評価部による評価結果を表示する。
【0028】
図4は、電気化学センサ11が液状物Fに浸された際の電極間の状態を示す図である。図4に示すように、液状物Fの液中において、作用電極22及び対照電極24の各表面には電気二重層EDが形成される。電気二重層とは、荷電粒子が比較的自由に移動できる系に陽極及び陰極を配置して電位差を与えると、電場に従って荷電粒子が移動し、その結果、陽極の表面に負の荷電粒子(アニオン)、陰極の表面に正の荷電粒子(カチオン)がそれぞれ層状に並んで形成される層である。電気化学センサ11においては、作用電極22が陽極、対照電極24が陰極としてそれぞれ作用する。
【0029】
図5は、図4に示された状況において作用電極22付近に生じる電気回路モデル(等価回路)を示す図である。図5には、電気二重層EDにおける電荷移動抵抗R1、溶液抵抗(伝導度)R2、及び電気二重層キャパシタCAが示されている。これらのうち、電荷移動抵抗R1の抵抗値は酸化還元速度に相当し、局所の水素イオン濃度(pH)に応じて変化する。従って、電荷移動抵抗R1の抵抗値を測定して既知の検量線と照合することにより、液状物FのpHを知ることができる。また、電解質が電気二重層EDに侵入すると、電気二重層キャパシタCAの静電容量が変化する。従って、電気二重層キャパシタCAの静電容量を測定して既知の検量線と照合することにより、電解質の濃度を知ることができる。
【0030】
電荷移動抵抗R1の抵抗値及び電気二重層キャパシタCAの静電容量は、例えば交流インピーダンス法により知ることができる。交流インピーダンス法では、作用電極22と対照電極24との間に交流電圧を印加する。そして、図6に示すように、インピーダンスの実数成分及び虚数成分を複素平面上に描き、ナイキスト線図を作成する。この場合、ナイキスト線図の一部はおおよそ半円状となり、その一端の実数成分Re1は溶液抵抗R2の抵抗値に相当し、他端の実数成分Re2は溶液抵抗R2の抵抗値と電荷移動抵抗R1の抵抗値との和に相当する。従って、これらの差(Re2−Re1)を求めることによって電荷移動抵抗R1の抵抗値を知ることができ、ひいては液状物FのpHを知ることができる。また、ナイキスト線図の半円状部分の頂点Pに対応する周波数は、電気二重層キャパシタCAの静電容量と相関を有する。従って、頂点Pに対応する周波数を求めることにより、電気二重層キャパシタCAの静電容量を知ることができ、ひいては液状物F中の電解質の濃度を知ることができる。なお、実際には、測定精度を高めるため、交流インピーダンス法を改良した電気化学的インピーダンス分光法(EIS)、またはサイクリックボルタンメトリ(CV)などが用いられる。
【0031】
なお、検査項目として液状物のpH及び電解質濃度を検査する場合について上に述べたが、本実施形態による電気化学センサ11を使用することにより、検査項目として、イオン電導度、有機物量等の項目についても同様に検査可能である。すなわち、本実施形態の電気化学センサ11は、多項目を1つのセンサによって測定することを可能とするものである。
【0032】
図7は、本実施形態に係る液状物Fの状態評価方法を示すフローチャートである。この方法は、液状物Fの発酵等の状態を評価する方法であって、例えば上述した評価装置10を用いて実施することができる。この方法によって評価される液状物Fは、例えば酒類である。液状物Fが酒類である場合、該酒類は醸造酒類であってもよい。液状物Fが醸造酒類である場合、該醸造酒類はぶどう酒又は日本酒であってもよい。
【0033】
図7に示されるように、本実施形態の評価方法は、測定ステップST1及び評価ステップST2を含む。測定ステップST1では、液状物Fの発酵等の過程において液状物F中にて増減する、少なくとも二つの物質に対して電気化学的な測定を行う。少なくとも二つの物質は、例えば、アルコール、有機酸、亜硫酸類からなる群から選ばれる少なくとも二つの物質である。少なくとも二つの物質は、例えばアルコールと有機酸との組み合わせ、アルコールと亜硫酸類との組み合わせ、有機酸と亜硫酸類との組み合わせ、アルコールと有機酸と亜硫酸類との組み合わせである。アルコールは、例えばエタノール、イソアミルアルコールである。有機酸は、例えばクエン酸回路又は解糖系において生成又は消費される有機酸である。クエン酸回路又は解糖系において生成又は消費される有機酸は、例えば、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマール酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸である。また、亜硫酸類は、例えば、二酸化硫黄、亜硫酸、亜硫酸塩、亜硫酸エステルである。亜硫酸塩は、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムである。亜硫酸エステルは、例えば亜硫酸メチル、亜硫酸エチル、亜硫酸プロピル、亜硫酸イソプロピル、亜硫酸ブチル、亜硫酸ペンチル、亜硫酸イソアミルである。また、酒類が日本酒の場合、吟醸香を電気化学的に測定することにより、日本酒の発酵等の状態を評価することもできる。吟醸香としては、有機酸エステルやアルコールが挙げられる。有機酸エステルは、例えばカプロン酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酪酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸エチル、酢酸フェニルエチル、乳酸エチルである。アルコールは、例えばイソアミルアルコールである。
【0034】
或いは、測定ステップST1では、液状物Fの発酵等の過程において液状物F中にて増減する、気体物質及びイオン性物質に対して電気化学的な測定を行ってもよい。気体物質は、常温において気体として存在する物質である。気体物質は、液状物中に溶解し、化学的変化を受けることなく存在し得る物質、すなわち、溶存物質であってもよい。溶存物質は、例えば、二酸化硫黄又は亜硫酸が挙げられる。イオン性物質は、液状物中で電荷を有する物質である。イオン性物質は、例えば、亜硫酸塩である。亜硫酸塩は、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムである。亜硫酸エステルは、例えば、亜硫酸メチル、亜硫酸エチル、亜硫酸プロピル、亜硫酸イソプロピル、亜硫酸ブチル、亜硫酸ペンチル、亜硫酸イソアミルである。
【0035】
測定ステップST1では、少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度を測定するために、各物質に対して共通の又は同一の電気化学センサ11を液状物Fに浸し、少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度を連続的又は断続的に測定する。なお、本実施形態において、連続的とは、経時的に途切れることなく測定し続けることをいい、断続的とは、経時的に間隔をあけながら複数回にわたって測定することをいう。また、共通の電気化学センサ11を浸すとは、一の容器内の各物質の濃度測定において単一の電気化学センサ11を用いることをいい、同一の電気化学センサ11を浸すとは、一の容器内の各物質の濃度測定において互いに同一の構成を有する別個の電気化学センサ11を用いることをいう。少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度を連続的又は断続的に測定することにより、酒類等の液状物の発酵等の状態をモニタリングすることができる。また、気体成分に関しては、別途液状物を加熱、又は、窒素、不活性ガス等によるバブリングなどの物理的操作により揮発させ、揮発させた気体成分を別の液状物(例えば、イオン交換水や0.3%過酸化水素水)中に捕捉し、前記別の液状物中に捕捉した気体成分を共通の電気化学センサで測定することもできる。
【0036】
評価ステップST2では、測定ステップST1における測定結果に基づいて、液状物Fの発酵等の状態を評価する。この評価は、測定結果を見た作業者が自身で行ってもよく、上述した評価装置10などの装置において自動的に行ってもよい。
【0037】
以上に説明した、本実施形態による液状物Fの状態評価方法によって得られる効果について説明する。上述したように、本実施形態の評価方法は、液状物Fの発酵等の過程において液状物F中にて増減する少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)に対して電気化学的な測定を行う測定ステップST1と、測定ステップST1における測定結果に基づいて、液状物Fの発酵等の状態を評価する評価ステップST2と、を含む。そして、測定ステップST1では、少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度を測定するための共通の又は同一の電気化学センサ11を液状物Fに浸し、少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度を、連続的又は断続的に測定する。
【0038】
このような評価方法によれば、共通の又は同一の電気化学センサ11を用いて少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)の濃度を電気化学的に測定するので、作業者自身の味覚を頼りに評価を行う場合と比較して、評価のばらつきを抑制し、より正確な評価を行うことができる。故に、発酵等の状態を精度良く評価し、発酵等の制御及び終了タイミングの判断を適切に行って、液状物Fの品質を向上させることができる。また、測定対象である液状物Fそのものに電気化学センサ11を浸して測定を行うことができるので、液状物Fからサンプルを取り分けて測定を行う方法と比較して、容易且つ簡便に測定を行うことができ、測定作業の手間を軽減できる。
【0039】
本実施形態のように、濃度測定対象としての上記少なくとも二つの物質は、アルコール、有機酸、亜硫酸類からなる群から選ばれる少なくとも二つの物質が挙げられる。また、濃度測定対象は、気体物質及びイオン性物質の組み合わせであってもよい。本実施形態の電気化学センサ11によれば、これらの物質を共通又は同一の電気化学センサ11を用いて精度良く測定することができる。また、これらの物質の濃度を知ることは、特に酒類の発酵等の状態を評価するために有効である。したがって、酒類の発酵等の状態を精度良く評価し、酒類の品質を向上することができる。
【0040】
例えば、ぶどう酒の醸造工程には、アルコール発酵工程及びマロラクティック発酵工程が含まれる。アルコール発酵工程では、ぶどうの中に含まれる糖分(ブドウ糖、果糖など)が、酵母の働きによってエタノールと二酸化炭素とに分解される。また、マロラクティック発酵工程では、果汁及びぶどう酒の中に含まれるリンゴ酸が、乳酸菌の働きによって乳酸と炭酸ガスとに分解される。そして、これらの工程において生成されるアルコール及び乳酸等の有機酸の濃度、並びに、これらの工程において消費されるリンゴ酸等の有機酸の濃度は、ぶどう酒の品質を制御するために極めて重要なパラメータである。本実施形態の方法によれば、アルコール及び有機酸を共通又は同一の電気化学センサ11を用いて精度良く測定することにより、ぶどう酒の発酵等の状態を正確且つ容易に評価し、ぶどう酒の品質を向上することができる。
【0041】
図8は、一実施例として、評価装置10を用いてボルタンメトリによりぶどう酒の発酵状態を測定した結果を示す電流−電位曲線(サイクリックボルタモグラム)である。図8において、縦軸は電流(単位:mA・cm−2)、横軸は電位(単位:V)をそれぞれ示している。グラフG1は赤ワイン、グラフG2は白ワイン、グラフG3はロゼワインをそれぞれ示している。電位Vにおける電流の大きさはpH値を表しており、電位Vにおける電流の大きさは有機物の酸化の程度(すなわち有機酸の濃度)を表しており、電位Vにおける電流の大きさはアルコールの酸化の程度(すなわちアルコール濃度)を表している。例えばこの実施例のように、本実施形態の方法によれば、共通の又は同一の電気化学センサ11を用いて、アルコール及び有機酸の各濃度を電気化学的に測定することができる。
【0042】
本実施形態のように、濃度測定対象としての上記少なくとも二つの物質のうちの少なくとも一つは、クエン酸回路又は解糖系において生成され又は消費される有機酸、例えば、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマール酸、リンゴ酸及び、オキサロ酢酸からなる群より選ばれる一つ以上の有機酸であってもよい。本実施形態の電気化学センサ11によれば、クエン酸回路又は解糖系において生成され又は消費される有機酸を精度良く測定することができる。また、クエン酸回路又は解糖系において生成され又は消費される有機酸の濃度を知ることは、特に酒類の発酵等の状態を評価するために有効である。したがって、酒類の発酵等の状態を精度良く評価し、酒類の品質を向上することができる。
【0043】
本実施形態のように、濃度測定対象としての上記少なくとも二つの物質のうちの少なくとも一つは亜硫酸類であり、亜硫酸類は、二酸化硫黄、亜硫酸、亜硫酸塩及び亜硫酸エステルからなる群より選ばれる一つ以上の亜硫酸類であってもよい。本実施形態の電気化学センサ11によれば、これらの亜硫酸類を精度良く測定することができる。また、これらの亜硫酸類の濃度を知ることは、特に酒類(とりわけ、ぶどう酒)の発酵等の状態を評価するために有効である。したがって、酒類(とりわけ、ぶどう酒)の発酵等の状態を精度良く評価し、その品質を向上させると同時に安定した品質にすることができる。
【0044】
本実施形態のように、濃度測定対象としての気体物質は液状物F中の溶存物質であってもよい。本実施形態の電気化学センサ11によれば、液状物F中の溶存物質及びイオン性物質を共通又は同一の電気化学センサ11を用いて精度良く測定することができる。液状物Fの発酵等の過程において液状物F中にて増減するこれらの物質の濃度を精度良く測定することによって、液状物Fの発酵等の状態を精度良く評価することができる。この場合、溶存物質は二酸化硫黄又は亜硫酸であり、イオン性物質は亜硫酸塩であってもよい。例えば液状物Fがぶどう酒である場合、亜硫酸と亜硫酸塩とが平衡状態を保っており、発酵等が進むにしたがってそのバランスが一方へ傾く。したがって、亜硫酸及び亜硫酸塩を測定することにより、ぶどう酒の発酵等の状態を精度良く知ることができる。
【0045】
本実施形態のように、電気化学センサ11は、作用電極22、参照電極23、及び対照電極24を有してもよい。例えばこのような電気化学センサ11を用いることにより、上記少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)を共通の又は同一の電気化学センサ11を用いて精度良く測定することができる。したがって、電気化学センサ11を用いることにより、ぶどう酒等の酒類の発酵などの状態を精度良くモニタリングすることができる。
【0046】
本実施形態のように、作用電極22は、金属製の基部22aと、基部22aの表面を覆う導電性高分子膜22b(例えばポリピロール膜)とを含んでもよい。導電性高分子膜22bを基部22aの表面に被覆しない場合に比較して、導電性高分子膜22bを基部22aの表面に被覆することにより、非特異的な成分の検出を抑制することができ、各物質の測定精度を更に高めることができる。
【0047】
本実施形態のように、参照電極23は、金属製の基部23aと、基部23aの表面を覆う導電性高分子膜23b(例えばポリアニリン膜またはポリピロール膜)とを含んでもよい。導電性高分子膜23bを適用した場合、水の電気化学的挙動を安定化することができる。すなわち、金属極表面のみでは、非特異的な成分の挙動が水の電気化学的挙動と同時に行われ、参照電極としての機能が損なわれるおそれがある。導電性高分子膜23bを基部23aの表面に被覆することにより、非特異的な挙動を抑え、参照電極としてより機能できるので、各物質の測定精度を更に高めることができる。
【0048】
本実施形態のように、電気化学的な測定はボルタンメトリを含んでもよい。例えばボルタンメトリを用いることによって、上記少なくとも二つの物質(又は、気体物質及びイオン性物質)を共通の又は同一の電気化学センサ11を用いて精度良く測定することができる。
【0049】
本実施形態のように、液状物Fは酒類であってもよい。上述したように、本実施形態の評価方法は酒類、特にぶどう酒及び日本酒といった醸造酒類に対して特に有効であり、とりわけ、ぶどう酒に有効である。液状物Fがぶどう酒の場合、少なくとも二つの物質の測定と共に、気体物質及びイオン性物質の測定が有効である。
【0050】
本発明による液状物の状態評価方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、測定方式として交流インピーダンス法、EIS、及びCVを例示したが、測定方式はこれらに限られず、例えば定電位測定法などの他の測定方式を採用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…評価装置、11…電気化学センサ、12…制御部、13…表示部、21…誘電体基板、21a…主面、22…作用電極、22a…基部、22aa…上面、22ab…側面、22b…導電性高分子膜、23…参照電極、23a…基部、23aa…上面、23ab,23ac…側面、23b…導電性高分子膜、24…対照電極、25…ビア、26a〜26c…配線パターン、27a〜27c…端子、CA…電気二重層キャパシタ、ED…電気二重層、F…液状物、P…頂点、R…電荷移動抵抗、R…溶液抵抗、Re,Re…実数成分、ST1…測定ステップ、ST2…評価ステップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8