【実施例】
【0021】
以下本発明の一実施例について図面とともに説明する。
図1は、本発明の一実施例による通知システムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施例による通知システムは、外部からの音声を認識してデータを送信する音声認識中継処理装置10と、音声認識中継処理装置10から送信されるデータを受信し、データに基づく動作指示データを制御対象装置40に送信するとともに、動作指示データを送信したことを知らせる指示送信データを携帯端末50に送信するサーバー20と、検出器30で検出される検出信号からイベントを判断すると、音声認識中継処理装置10に対して制御対象装置40を動作させる識別音声を発する制御装置60とで構成される。
例えば、実験室の場合には、検出器30が温度検出器であり、制御対象装置40が空調機や加熱機であり、検出される温度が異常値になると、空調機を動作させ、又は加熱機を停止する。本実施例では、異常値をイベントとした警報システムで説明するが、検出される温度が正常値に戻った場合や設定値に到達した場合にも適用でき、イベントを任意の設定状態や閾値とすることができる。
【0022】
音声認識中継処理装置10は、外部からの音声を認識する音声認識部11と、音声認識部11で認識した音声データを送信するデータ送信部12とを備えている。
サーバー20は、データ送信部12から送信されるデータを受信するデータ受信部21と、データ受信部21で受信したデータから、制御対象装置40や制御装置60を特定するとともに動作指示データを決定する指示内容決定部22と、指示内容決定部22で決定された動作指示データを制御対象装置40や制御装置60に送信するとともに、動作指示データを送信したことを知らせる指示送信データをあらかじめ通知先として登録している携帯端末50に送信する指示送信部23とを備えている。
制御対象装置40は、指示送信部23からの動作指示データを受信する受信部41と、受信部41で受信した動作指示データによって動作指示を行う動作指示部42とを備えている。
携帯端末50は、指示送信部23からの指示送信データを受信する受信部51と、受信部51で受信した指示送信データによって指示内容を出力する指示内容出力部52とを備えている。指示内容出力部52は、文字データや音声データとして出力される。
制御装置60は、検出器30で検出される検出信号からイベントを判断するイベント判断部61と、イベント判断部61でイベントを判断すると、あらかじめ設定した識別音声を出力する音声出力部62と、サーバー20から送信される送信データを受信する受信部63と、音声出力部62から第1識別音声を出力したタイミングからの時間を計測するタイマー部64と、受信部63で送信データの受信がなされたかを確認する受信確認部65とを備えている。
なお、サーバー20から制御装置60に対して送信する送信データは、制御対象装置40に対して送信される動作指示データと同種のものであることが好ましく、受信部63で動作指示データを受信すると、制御装置60では動作を終了する。
【0023】
図2は、本発明の一実施例による通知システムにおける処理流れを示すフローチャートである。
検出器30は、継続的に実験室内の室温を検出している(S1)。
検出器30で検出される室温データは、制御装置60に入力され、イベント判断部61において異常か否かを判断している(S2)。
イベント判断部61が異常を判断すると音声出力部62から、異常であること、又はこの異常に基づく動作指示を音声で出力する(S3)。なお、本実施例において、異常であること、又はこの異常に基づく動作指示を表す音声を識別音声とする。
制御装置60から識別音声が出力されると、音声認識中継処理装置10では、音声認識部11において、この識別音声を認識する(S4)。
音声認識部11で認識された音声データはデータ送信部12において送信される(S5)。
音声認識中継処理装置10から音声データが送信されると、サーバー20では、データ受信部21において、音声データを受信する(S6)。
データ受信部21で受信された音声データから、指示内容決定部22では、制御対象装置40や制御装置60を特定するとともに動作指示データを決定する(S7)。
指示内容決定部22で決定された動作指示データ、指示送信データ、及び送信データは、指示送信部23において、制御対象装置40や制御装置60に送信するとともに、あらかじめ通知先として登録している携帯端末50に送信する(S8)。
サーバー20から送信されるデータによって、制御対象装置40では動作を行い(S9)、携帯端末50では制御対象装置40を動作させたことを出力し(S10)、制御装置60では正常にサーバー20から指示が送信されたことを確認する(S11)。
【0024】
図3は、本発明の一実施例による通知システムにおける制御装置での処理流れを示すフローチャートである。
制御装置60では、イベント判断部61において異常か否かを判断し(S2)、イベント判断部61が異常を判断すると音声出力部62から第1識別音声を出力する(S3)。ここで第1識別音声は、例えば「空調機を作動」という音声とする。
タイマー部64では、音声出力部62から第1識別音声を出力したタイミングからの時間を計測する(S21)。
【0025】
タイマー部64で計測する時間が第1所定時間を経過し(S22でYes)、第1所定時間より長い時間に設定した第2所定時間内に(S23でNo)、受信部63で指示を受信していない場合には(S24でNo)、音声出力部62から第1識別音声を再度出力する(S25)。
このように、タイマー部64で計測する第1所定時間を経過しても、受信確認部65で指示送信データの受信が確認できない場合には、音声出力部62から第1識別音声を再度出力する(S25)。
制御装置60から第1識別音声を再度出力することで、制御装置60から出力される第1識別音声を、例えば、突発的な他の音によって音声認識中継処理装置10が認識できなかった場合であっても、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
受信確認部65では、第1所定時間が経過した後(S22でYes)、送信データの受信が確認できない限り、第1所定時間より長い時間に設定した第2所定時間内に(S23でNo)、音声出力部62から第1識別音声を繰り返し出力することが好ましい。
例えば騒音が継続した場合であっても、制御装置60から第1識別音声を繰り返し出力することで、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
タイマー部64で計測する時間が第2所定時間内に(S23でNo)、受信部63で指示を受信した場合には(S24でYes)、正常終了となる(S26)。
【0026】
タイマー部64で計測する時間が第2所定時間を経過し(S23でYes)、第2所定時間より長い時間に設定した第3所定時間内に(S27でNo)、受信部63で指示を受信していない場合には(S28でNo)、音声出力部62から第1識別音声と異なる第2識別音声を出力する(S29)。ここで第2識別音声は、例えば「エアコンオン」という音声とする。
制御装置60から出力される第1識別音声を、音声認識中継処理装置10が認識できなかった場合であっても、制御装置60から第2識別音声を出力することで、音声認識中継処理装置10が第2識別音声によって指示を認識できる可能性を高め、制御対象装置40を動作させることができる。
受信確認部65では、第2所定時間が経過した後(S23でYes)、送信データの受信が確認できない限り、第2所定時間より長い時間に設定した第3所定時間内に(S27でNo)、音声出力部62から第2識別音声を繰り返し出力することが好ましい。
制御装置60から第2識別音声を繰り返し出力することで、音声認識中継処理装置10が第2識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
タイマー部64で計測する時間が第3所定時間内に(S27でNo)、受信部63で指示を受信した場合には(S28でYes)、正常終了となる(S30)。
なお、タイマー部64で計測する時間が第3所定時間を経過した場合には(S27でYes)、異常終了となる(S31)。
【0027】
このように、本実施例による通知システムにおける制御装置60は、検出器30で検出される検出信号から異常を判断するイベント判断部61と、イベント判断部61で異常を判断すると、音声認識中継処理装置10に対して、あらかじめ設定した第1識別音声を出力する音声出力部62と、サーバー20から送信される送信データを受信する受信部63と、音声出力部62から第1識別音声を出力したタイミングからの時間を計測するタイマー部64と、受信部63で送信データの受信がなされたかを確認する受信確認部65とを有し、タイマー部64で計測する第1所定時間を経過しても、受信確認部65で送信データの受信が確認できない場合には、音声出力部62から第1識別音声を再度出力する。
制御装置60から出力される第1識別音声を、例えば、突発的な他の音によって音声認識中継処理装置10が認識できなかった場合であっても、制御装置60から第1識別音声を再度出力することで、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
また、本実施例による通知システムにおける制御装置60は、受信確認部65では、第1所定時間が経過した後、送信データの受信が確認できない限り、第1所定時間より長い時間に設定した第2所定時間内に、音声出力部62から第1識別音声を繰り返し出力することが好ましい。
例えば騒音が継続した場合であっても、制御装置60から第1識別音声を繰り返し出力することで、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
【0028】
また、本実施例による通知システムにおける制御装置60は、受信確認部65では、第2所定時間が経過した後、送信データの受信が確認できない場合には、音声出力部62から第1識別音声と異なる第2識別音声を出力する。
制御装置60から出力される第1識別音声を、音声認識中継処理装置10が認識できなかった場合であっても、制御装置60から第2識別音声を出力することで、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識できる可能性を高め、制御対象装置40を動作させることができる。
また、本実施例による通知システムにおける制御装置60は、受信確認部65では、第2所定時間が経過した後、送信データの受信が確認できない限り、第2所定時間より長い時間に設定した第3所定時間内に、音声出力部62から第2識別音声を繰り返し出力する。
制御装置60から第2識別音声を繰り返し出力することで、音声認識中継処理装置10が第2識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
【0029】
また、本実施例による通知システムにおける制御方法は、検出器30で検出される検出信号から異常を判断するイベント判断ステップ(S2)と、イベント判断ステップ(S2)で異常を判断すると、音声認識中継処理装置10に対して、あらかじめ設定した第1識別音声を出力する音声出力ステップ(S3)と、音声出力ステップ(S3)で第1識別音声を出力したタイミングからの時間が第1所定時間を経過しても(S22でYes)、音声認識中継処理装置10から送信されるデータによってサーバー20から送信される送信データを、受信部63で受信しない場合には、第1識別音声を再度出力する音声再出力ステップ(S25)とを有する。
制御装置60から出力される第1識別音声を、例えば、突発的な他の音によって音声認識中継処理装置10が認識できなかった場合であっても、制御装置60から第1識別音声を再度出力することで、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
また、本実施例による通知システムにおける制御方法は、音声再出力ステップ(S25)では、送信データの受信が確認できない限り(S24でNo)、第1所定時間より長い時間に設定した第2所定時間内に、音声出力部62から第1識別音声を繰り返し出力する。
例えば騒音が継続した場合であっても、制御装置60から第1識別音声を繰り返し出力することで、音声認識中継処理装置10が第1識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
【0030】
また、本実施例による通知システムにおける制御方法は、第2所定時間が経過した後(S23でYes)、送信データの受信が確認できない場合には(S28でNo)、音声出力部62から第1識別音声と異なる第2識別音声を出力する異音声出力ステップ(S29)を有する。
制御装置60から出力される第1識別音声を、音声認識中継処理装置10が認識できなかった場合であっても、制御装置60から第2識別音声を出力することで、音声認識中継処理装置10が第2識別音声によって指示を認識できる可能性を高め、制御対象装置40を動作させることができる。
また、本実施例による通知システムにおける制御方法は、異音声出力ステップ(S29)では、送信データの受信が確認できない限り(S28でNo)、第2所定時間より長い時間に設定した第3所定時間内に(S27でNo)、音声出力部62から第2識別音声を繰り返し出力する。
制御装置60から第2識別音声を繰り返し出力することで、音声認識中継処理装置10が第2識別音声を認識でき、制御対象装置40を動作させることができる。
なお、本実施例では、識別音声は、異常であること、又はこの異常に基づく動作指示を表す音声として説明したが、録音したヒトの声であっても合成音声でもよく、ヒトが意味を理解する言語音に限られず音信号も含む。また、音声出力部62からの識別音声の出力は、スピーカを用いた出力の他に、骨伝導式イヤホンを用いた出力でもよく、骨伝導式イヤホンを用いる場合には、骨伝導式イヤホンを音声認識中継処理装置10に装着する。
【0031】
また、制御装置60、又は制御装置60と音声認識中継処理装置10の動作確認を定期的に行う機能を備えていることが好ましい。
この定期的な動作確認のためには、制御装置60に、イベント判断部61が異常を判断した場合に音声出力部62から出力される識別音声とは異なる、動作確認用識別音声を、タイマー部64で計測されたタイミング、例えば24時間間隔で、音声出力部62から出力する。タイマー部64が時計機能を備えている場合には、時刻指定によって行ってもよい。
例えば、毎日零時に音声出力部62から動作確認用識別音声を出力する。音声認識中継処理装置10では、音声認識部11においてこの動作確認用識別音声を認識し(S4)、音声認識部11で認識された音声データをデータ送信部12において送信する(S5)。
【0032】
音声認識中継処理装置10から音声データが送信されると、サーバー20では、データ受信部21において、音声データを受信し(S6)、データ受信部21で受信された音声データから、指示内容決定部22では、制御装置60を特定して送信データを決定する(S7)。
指示内容決定部22で決定された送信データは、指示送信部23において制御装置60に送信する(S8)。制御装置60では、サーバー20からの送信データを受信することで正常動作を確認して処理を終了する。制御装置60でサーバー20からの送信データを受信しない場合には、異常を知らせる出力を行う。
指示内容決定部22で決定された送信データは、指示送信部23において制御装置60に送信するとともに、あらかじめ通知先として登録している携帯端末50に指示送信データを送信することもできる(S8)。この場合には、制御装置60においてだけでなく、携帯端末50においても正常動作の確認結果を知ることができる。
なお、指示内容決定部22で決定された送信データは、指示送信部23において制御装置60に送信する代わりに、あらかじめ通知先として登録している携帯端末50に指示送信データを送信することもできる(S8)。
【0033】
また定期的な動作確認のためには、音声認識中継処理装置10に音出力部を設け、制御装置60には音信号受信部を設け、音出力部からあらかじめ設定した定刻に音信号データを出力し、音信号受信部で音信号データを受信すると、制御装置60から動作確認用識別音声を出力する。
音声認識中継処理装置10では、音声認識部11においてこの動作確認用識別音声を認識し(S4)、音声認識部11で認識された音声データをデータ送信部12において送信する(S5)。
音声認識中継処理装置10から音声データが送信されると、サーバー20では、データ受信部21において、音声データを受信し(S6)、データ受信部21で受信された音声データから、指示内容決定部22では、制御装置60を特定して送信データを決定する(S7)。
【0034】
指示内容決定部22で決定された送信データは、指示送信部23において制御装置60に送信する(S8)。制御装置60では、サーバー20からの送信データを受信することで正常動作を確認して処理を終了する。制御装置60でサーバー20からの送信データを受信しない場合には、異常を知らせる出力を行う。
指示内容決定部22で決定された送信データは、指示送信部23において制御装置60に送信するとともに、あらかじめ通知先として登録している携帯端末50に指示送信データを送信することもできる(S8)。この場合には、制御装置60においてだけでなく、携帯端末50においても正常動作の確認結果を知ることができる。
また、指示内容決定部22で決定された送信データは、指示送信部23において制御装置60に送信する代わりに、あらかじめ通知先として登録している携帯端末50に指示送信データを送信することもできる(S8)。
なお、音声認識中継処理装置10に音出力部を設け、制御装置60には音信号受信部を設け、音出力部からあらかじめ設定した定刻に音信号データを出力し、音信号受信部で音信号データを受信すると、制御装置60から動作確認用識別音声を出力する場合には、音声認識中継処理装置10では、音声認識部11においてこの動作確認用識別音声を認識しない場合に、異常を伝えるデータをデータ送信部12から送信することもできる(S5)。
このように、音声認識部11においてこの動作確認用識別音声を認識しない場合に、異常を伝えるデータをデータ送信部12から送信すると、サーバー20では、あらかじめ通知先として登録している携帯端末50に、異常であることを伝える指示送信データを送信する(S8)。
【0035】
また、制御装置60又は音声認識中継処理装置10に、周囲の騒音に反応して逆位相の音波を発することでノイズを取り除くノイズキャンセリング部を設けることが好ましい。