(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【0013】
スクアリリウム色素は一般に会合しやすく、光電変換素子用又は太陽電池用色素としては色素間のエネルギー移動が生じやすいと考えられる。N置換基が短いアルキル基である場合、会合しやすく、色素間でエネルギー移動を起こし失活する恐れがある。また、カルボキシインドレニン骨格を有するスクアリリウム色素は吸収波長が短く十分な光を吸収することができない。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、近赤外領域における光電変換効率の向上可能な新規な色素を提供し、これを用いた色素増感太陽電池及び光電変換素子を提供することを目的とする。また、簡易に合成する方法を提供すること、失活し難い近赤外領域に適したスクアリリウム色素を提供することを目的とする。更に、広範囲な領域において光電変換効率の向上可能な色素増感太陽電池及び光電変換素子を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、下記式(1)で表わされるスクアリリウム色素に関する。
式中、R
1〜R
7、及びR'
1〜R'
7は独立に、水素原子、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C5〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子を表し、X及びYは独立に水素又は-COOR(Rは水素又はC1〜C12のアルキル基である)を表し、少なくとも一方は-COORであり、R
8及びR'
8は独立に、C1〜C30のアルキル基、C1〜C30のハロゲン置換アルキル基、C1〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO
3-(RはC1〜C30のアルキル基である)を表すが、少なくとも一方はC3〜C30のアルキル基、C3〜C30のハロゲン置換アルキル基、C3〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO3-(RはC1〜C30のアルキル基である)である。
【0016】
式(1)において、R
1〜R
7、及びR'
1〜R'
7は独立に、水素原子、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C5〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子であり、X及びYは独立に水素又は-COOR(Rは水素又はC1〜C12のアルキル基である)であり、少なくとも一方は-COORであり、R
8及びR'
8は独立に、C3〜C30のアルキル基、C3〜C30のハロゲン置換アルキル基、C3〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO
3-(RはC1〜C30のアルキル基である)であることが好ましい。
【0017】
上記のスクアリリウム色素には、下記式(2)で表わされるスクアリリウム色素がある。
式中、R
1〜R
5、R'
1〜R'
5、R
6〜R
7、R'
6〜R'
7、X、Y、R
8及びR'
8は式(1)と同意である。好ましくは、R
1〜R
5、及びR'
1〜R'
5は独立に、水素原子又はハロゲン原子であり、R
6〜R
7、及びR'
6〜R'
7は独立に、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C5〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子である。
【0018】
更に、本発明は下記式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素に関する。
式中、R
1〜R
7は独立に、水素原子、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C5〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子を表し、XはCOOR(Rは水素又はC1〜C12のアルキル基である)を表し、R
8はC3〜C30のアルキル基、C3〜C30のハロゲン置換アルキル基、C3〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-若しくはRSO
3-(RはC1〜C30のアルキル基である)を表す。R
9は水素原子又はC1〜C12のアルキル基を表すが、Xが-COOH以外の場合は、水素である。
【0019】
上記セミスクアリリウム色素には、下記式(4)で表わされるスクアリリウム色素がある。
式中、R
1〜R
8、R
9、Xは、式(3)と同意である。
【0020】
また、本発明は、色素を用いる色素増感太陽電池又は光電変換素子において、用いる色素が上記のスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素であることを特徴とする色素増感太陽電池又は光電変換素子に関する。ここで、上記のスクアリリウム色素と共に、上記のセミスクアリリウム色素を用いることができる。
【0021】
下記一般式(5)で表わされる置換ベンゾ[e]インドール化合物は、新規化合物であり、これは上記のスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素の中間体として有用である。
式中、R
1〜R
7は、式(1)と同意である。Xは式(3)と同意である。R
10はC1〜C30のアルキル基であり、かつ環に隣接する炭素は1級又は2級の炭素である。
【0022】
有利には、下記式(6)で表わされる上記の置換ベンゾ[e]インドール化合物である。
式中、R
1〜R
7、R
10及びXは、式(5)と同意である。R
10は好ましくは、メチル基である。
【0023】
上記一般式(5)及び(6)で表わされる置換ベンゾ[e]インドール化合物の塩は、同様に新規化合物であり、これは上記のスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素の中間体として有用である。これらの塩は下記式(7)、有利には式(8)で表わされる。
式中、R
1〜R
8は、式(1)と同意である。R
10、Xは、式(5)と同意である。Z
−はカウンターアニオンとなるハロゲンイオン、BF
4−又はCClO
4−を表わすが、R
8がRCOO-又はRSO
3-の場合、Z
−は存在しない。
【0024】
式中、R
1〜R
8、R
10、Z
−及びXは、式(7)と同意である。R
10は好ましくは、メチル基である。
【0025】
上記の置換ベンゾ[e]インドール化合物は、下記式(9)の化合物と下記式(10)の化合物を酢酸パラジウムと2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチルの存在下で反応させることによって下記式(11)のエステル化アリールヒドラジンを製造し、さらに、このエステル化アリールヒドラジンと下記式(12)のケトンをパラトルエンスルホン酸一水和物の存在下で反応させる工程を逐次行うことで製造できる。
【0027】
式中、A
1〜A
6及びB
1〜B
2は水素原子、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C6〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子であり、また、A
1〜A
6のうち少なくとも一つはCOOH基又はCOOR(RはC1〜C12のアルキル基である)である。D
1〜D
2はC1〜C12のアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、又はC6〜C12のアリール基である。ここで、A
1〜A
6は、式(7)におけるR
1〜R
5とXを与え、B
1〜B
2はR
6〜R
7を与える。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の光電変換素子又は色素増感太陽電池は、式(1)で表されるスクアリリウム色素、式(3)で表されるセミスクアリリウム色素又は両者を増感色素として含む。なお、色素増感太陽電池は光電変換素子を利用するものであるため、両者の説明の多くが共通するので、共通する説明は色素増感太陽電池で代表して説明する。
【0030】
本発明のスクアリリウム色素について説明する。本発明のスクアリリウム色素は、式(1)で表わされる。
【0031】
式(1)において、R
1〜R
7、及びR'
1〜R'
7は独立に、水素原子、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C5〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子を表すが、好ましくは水素原子、C1〜C6のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C6のシクロアルキル基、C1〜C6のアルコキシル基、C6〜C8のアリール基、C6〜C8の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子である。より好ましくは、R
1〜R
5、及びR'
1〜R'
5は水素原子又はハロゲン原子であり、R
6〜R
7、及びR'
6〜R'
7はC1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C6〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子である。さらに好ましくは、R
1〜R
5、及びR'
1〜R'
5は水素原子であり、R
6〜R
7、及びR'
6〜R'
7はメチル基である。
【0032】
式(1)におけるR
8及びR'
8は独立に、C1〜C30のアルキル基、C1〜C30のハロゲン置換アルキル基、C1〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO3-を表す。そして、R
8及びR'
8の少なくとも一方は、C3〜C30のアルキル基、C3〜C30のハロゲン置換アルキル基、C3〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO3-である。ここで、RCOO-又はRSO3-におけるRは、C1〜C30のアルキル基、好ましくはC3〜C20のアルキル基である。R
8及びR'
8は同じであっても異なってもよい。R
8及びR'
8のいずれか一方がC3以上の基であれば他方はH又はC1〜2の基であってよい。R
8及びR'
8が同じであれば合成及び精製が容易という利点がある。
【0033】
好ましくは、式(1)において、R
8及びR'
8の少なくとも一方は、C4〜C20のアルキル基、C4〜C20のハロゲン置換アルキル基、C4-C20のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO3-であり、より好ましくはC4〜C20のアルキル基、C4〜C20のフッ素置換アルキル基である。ここで、RはC1〜C6のアルキル基であることが好ましい。
【0034】
また、R
8及びR'
8は独立に、C3〜C30のアルキル基、C3〜C30のハロゲン置換アルキル基、C3〜C30のヒドロキシカルボニルアルキル基又はRCOO-又はRSO3-であることが好ましい。ここで、RはC1〜C30のアルキル基、好ましくはC3〜C20のアルキル基で、より好ましくはC1〜C6のアルキル基である。
【0035】
R
8及びR'
8が置換アルキル基である場合、ハロゲン置換アルキル基、ヒドロキシカルボニルアルキル基が好ましい。置換基が炭素を有する場合、その炭素は前記炭素数に含まれる。好ましいR
8及びR'
8としては、C3〜C30の分岐又は直鎖のアルキル基又はフッ素置換アルキル基が挙げられ、より好ましくはn-アルキル基又はフッ素置換n-アルキル基である。ここで、R
8及びR'
8の少なくとも一方が、上記置換アルキル基であればよいが、両方であることがより好ましい。
【0036】
式(1)において、X及びYは独立に水素又は-COOR(Rは水素又はC1〜C12のアルキル基である)を表し、XとYの両方又はいずれか一方が-COORである。上記Rが水素の場合はカルボキシ基となる。ここで、Rとしては、水素又はC1〜C6のアルキル基が好ましい。更に好ましくは、XとYのいずれか一方が-COOHであり、もう一方が-COOH又は水素である。
【0037】
式(1)で表されるスクアリリウム色素の中でも、式(2)で表されるスクアリリウム色素が好ましい。式(2)においては、R
1〜R
5、R'
1〜R'
5、R
6〜R
7、R'
6〜R'
7、X、Y、R
8及びR'
8は式(1)と同意である。
【0038】
好ましくは、式(2)において、R
1〜R
5、及びR'
1〜R'
5は独立に、水素原子又はハロゲン原子であり、R
6〜R
7、及びR'
6〜R'
7は独立に、C1〜C12のアルキル基、C1〜C4のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C12のアルコキシル基、C5〜C12のアリール基、C6〜C12の芳香族アルコキシル基又はハロゲン原子である。
【0039】
次に、本発明のセミスクアリリウム色素について説明する。本発明のセミスクアリリウム色素は、式(3)で表わされる。
【0040】
式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素は、式(1)で表わされるスクアリリウム色素の2つのベンゾインドール骨格の一方を除いた構造の化合物であり、類似した構造を有する。式(3)で表わされるスクアリリウム色素は、式(1)で表わされるスクアリリウム色素の中間体として得ることができる。このセミスクアリリウム色素は、式(1)で表されるスクアリリウム色素と同様の用途に使用できる。有利には、式(1)で表されるスクアリリウム色素と共に使用することができる。
【0041】
式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素の中でも(4)で表されるセミスクアリリウム色素が好ましく挙げられる。
式(3)及び(4)において、同じ記号は同じ意味を有する。そして、R
1〜R
8は、式(1)のR
1〜R
8と同じ意味を有する。Xは-COOR(Rは水素又はC1〜C12のアルキル基である)を表す。R
9は、XがCOOHの場合は、水素又はC1〜C12のアルキル基であり、XがCOOH以外の場合は水素である。好ましくは、XがCOOHであり、R
9は水素である。
【0042】
式(5)、(6)、(7)及び(8)及びで表される置換ベンゾ[e]インドール化合物又はその塩は、式(1)、(2)、(3)又は(4)で表されるスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素の中間体である。したがって、同一記号の置換基は同じ意味を有する。
【0043】
正確な理由は定かではないが、C3〜C30の長鎖のアルキル基はスクアリリウム色素の会合を防いで、色素間のエネルギー移動に起因する電荷分離損失を低減すると考えられる。
【0044】
式(1)で表わされるスクアリリウム色素の合成は、ヒドラジノナフタレンカルボン酸エステルを原料にベンゾインドレニンカルボン酸エステルを合成し、次にハロゲン化アルキルと反応させ、ベンゾインドレニンカルボン酸エステルのアルキル化塩を合成する。次に、この塩とスクアリン酸と反応させ、エステル部位を加水分解して合成することができる。
【0045】
カルボキシインドレニンはBioconjugate Chem., 2003,Vol.14,1048−1051.に合成法が記載されている。
【0046】
これを参考にエステル化ナフタレンブロマイドから非特許文献4,5を参考に下式における化合物6を合成することができる。式中、BINAPは、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチルである。
【0048】
N-アルキルカルボキシベンゾインドレニン塩はDyes and Pigments, 11, 1989, p21-35.を参考に合成することができる。アルキル基の炭素数を変化させたハロゲン化アルキルを使用することにより、炭素数の異なるN-アルキルカルボキシベンゾインドレニン塩を合成することができる。
【0050】
式(1)で表わされるスクアリリウム色素は、N-アルキルカルボキシインドレニン塩とスクアリン酸を用い、Dyes And Pigments, 11, 1989, p21-35.を参考にして合成することができる。
【0052】
また、式(2)で表わされるセミスクアリリウム色素は、非特許文献2を参考にして合成することができる。下記式において、RはC3〜C30のアルキル基である。
【0054】
上記、式(1)で表わされるスクアリリウム色素、及び式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素は単独又は共同で、本発明の光電変換素子又は色素増感太陽電池用色素に使用される。
【0055】
式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素は比較的短波長側に吸収領域を有するので、短波長領域における光電変換素子又は色素増感太陽電池用色素として優れる。また、式(1)で表わされるスクアリリウム色素と併用することにより広範囲の領域で光吸収して良好な光電変換素子を与える。また、式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素は、式(1)で表わされるスクアリリウム色素の中間体でもあるので、同様な原料から合成できるという利点を有するだけでなく、性質が類似するので、両者を併用した場合の相互作用による劣化等の問題が生じにくいという利点がある。式(1)で表わされるスクアリリウム色素と式(3)で表わされるセミスクアリリウム色素を併用する場合、好ましい使用割合は(1)/(3)の比で0.3〜10、より好ましくは1〜4の範囲である。
【0056】
色素増感太陽電池は使用する光源によって、増感色素の吸収波長域を選ぶことができる。目的とする光源の波長域に合わせるように骨格を選ぶことができる。こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を有していることが好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、SO
3H基、シアノ基、-P(O)(OH)
2基、-OP(O)(OH)
2基、-OH基又はオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレート及びα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。これらの中でもCOOH基が好ましく、上記式(1)及び式(3)で表されるスクアリリウム色素はCOOH基を有する点でも好ましい。
【0057】
本発明の色素を用いた光電変換素子又は色素増感太陽電池の基本構成の一例を
図1により説明する。
図1は光電変換素子の一例を示す断面図であり、基板1上に、導電層2及び一つ以上の層で構成された半導体層に増感用の色素が吸着された色素吸着半導体層3が、積層された表面電極10と、基板4上に導電層5が設けられた対向電極11を有し、両電極間に電解質層6を配した構成となっている。色素吸着半導体層3は、電極の一部を構成するため半導体電極ともいう。色素吸着半導体層3はチタニアあるいは金属酸化物微粒子を用い1つの層として塗工・焼結されたもの、又は複数回の塗工・焼結により形成された層であり、色素が吸着された半導体層であり、酸化チタン粒子等の金属酸化物粒子とこの粒子の表面を覆うように存在する増感色素からなっている。なお、光は表面電極10側から入る。そして、本発明の色素増感太陽電池は、上記と同様な基本構成を有するが外部回路で仕事をさせるようにしたものである。そして、色素光電変換素子を色素増感太陽電池とする方法は上記特許文献1〜2等で公知であり、これら公知の方法でよい。
【0058】
基板1としては、透明な絶縁材料であれば特に限定されるものではなく、例えば通常のガラス板やプラスチック板などが挙げられ、更には屈曲性のあるものでも良く、例えばPET樹脂などが挙げられるが、好ましくは約500℃を上限にした酸化チタンを焼付ける工程に耐え得る耐熱材料であることであり、透明なガラス板が挙げられる。
【0059】
次に、この基板1の表面に基材の透明性を損なわないような導電層2を設けるが、導電層としてはいわゆる透明電極として知られているITO、FTO、ATOあるいはこれらを組み合わせたものでよく、更には透明性を損なわない厚みの金属層であってもよい。これらの導電層を設ける方法は特に限定されるものではなく、スパッタリング、蒸着(CVD及びPVDを含む)、スプレー、レーザアブレーションあるいはペースト化した各材料を用いるスピンコート、バーコート、スクリーン印刷の手法など既知の手法を用いることができる。中でも、スプレー法又は気相で行われるスパッタリング又は蒸着法が適する。
【0060】
この上に、色素吸着半導体層3を設ける。通常は半導体として金属酸化物の層を形成したのち、これに増感色素を吸着させる。金属酸化物としては、光電変換材料と知られているものが使用でき、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン等を挙げることができる、中でも酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等の酸化チタンの他、水酸化チタン、含水酸化チタン類であってもよい。また、Nb、V又はTaの各元素の少なくとも1つを酸化チタンに対して30ppm〜5%の重量濃度(金属元素として)になるようドーピングしてもよい。このような金属酸化物であれば、本発明に用いることが可能であるが、平均粒子径が5〜500nm、好ましくは10〜200 nmの範囲の微粒子であることがよい。
【0061】
金属酸化物の層を前記導電層2上に形成するが、その方法については、特に限定されるものではなく、例えばペースト化した金属酸化物をスピンコート、印刷、スプレーコートなどの各手法を用いても良い。また、製膜後に酸化チタン等の金属酸化物の焼結などを目的に焼成することも可能である。次に、金属酸化物に増感用の色素を吸着させて色素吸着金属酸化物として、色素吸着半導体層3とする。
【0062】
本発明では増感色素に特徴があり、その他の層又は材料は公知の構造又は材料とすることができ、
図1に示す構造のものに限らない。
【0063】
色素吸着半導体層3を構成する材料は、半導体と色素であるが、通常、半導体は金属酸化物、好ましくは酸化チタンであるので、半導体を金属酸化物又は酸化チタンで代表することがある。また、色素増感用の色素としては、上記、式(1)及び/又は式(3)で表わされるスクアリリウム色素である。上記スクアリリウム色素はNに置換するアルキル基の炭素数が大きいため、良好な光電変換素子及び色素増感太陽電池を与える。
【0064】
色素はこれを溶解する溶媒に溶解してチタニア半導体層に吸着させる。吸着溶媒は色素が可能である溶媒であれば、使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ノルマルブタノール等の脂肪族アルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、ラクトン類、カプロラクタム類を使用することができる。好ましくはメタノール、エタノール又はアセトニトリルである。
【0065】
色素溶液にデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸(DCA)等の共吸着剤を溶解した色素溶液を用い、吸着してもよい。
【0066】
色素は超臨界流体、加圧流体に溶解して吸着させてもよい。具体的には、炭酸ガスや炭酸ガスにエントレーナーを加えた溶液により吸着させることが好ましい。
【0067】
色素の吸着した金属酸化物には、更にCO
2超臨界流体中でカルボン酸を吸着させてもよい。カルボン酸を吸着させる効果は、非特許文献J. Photochem. and Photobio. A, Chem. 164 (2004) 117により公知である。しかしながら、色素吸着やリンス処理と同様に、酸化チタンなどの金属酸化物の微細孔内部まで有効に吸着させることが重要である。色素の吸着した金属酸化物(色素の吸着した金属酸化物層を有する基板であってもよい)とカルボン酸を、圧力範囲5〜30Mpaであり、温度範囲が40〜60℃で形成されるCO
2超臨界流体中又は加圧CO
2中に置くことで、有効にカルボン酸を吸着できる。カルボン酸としては、好ましくは安息香酸、酢酸、アニス酸、ニコチン酸を挙げることができる。これらカルボン酸は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのうちの少なくともいずれか1種類を含むアルコールに溶解した状態で使用することが好ましく、そのカルボン酸濃度が0.01〜10mol/Lの範囲であることが好ましい。
【0068】
上記のように基板1、導電層2及び色素吸着半導体層3からなる表面電極10は負極として作用する。もう一方の正極として作用する電極(対向電極)11は
図1に示すように、表面電極10と対向して配置する。正極となる電極は、導電性の金属などでよく、また、例えば通常のガラス板やプラスチック板などの基板4に金属膜や炭素膜等の導電層5を施したものでもよい。
【0069】
負極となる表面電極10と、正極となる対向電極11の間には、電解質層6を設ける。この電解質層6を構成する電解質の種類は、光励起され半導体への電子注入を果した後の色素を還元するための酸化還元種を含んでいれば特に限定されず、液状の電解質であってもよく、これに公知のゲル化剤(高分子又は低分子のゲル化剤)やイオン液体と金属酸化物を混練した擬固体を添加して得られるゲル状の電解質であってもよい。
【0070】
例えば、溶液電解質に用いる電解質の例としては、ヨウ素とヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI
2等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、臭素と臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr
2 等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わせ、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール、アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン、キノン等が挙げられる。電解質は混合して用いてもよい。
【0071】
また、電解質としては、高沸点を有する溶融塩電解質が好ましい。半導体電極が色素吸着酸化チタン層からなる場合は、溶融塩電解質と組み合わせることにより、特に優れた電池特性を発揮する。溶融塩電解質組成物は溶融塩を含む。溶融塩電解質組成物は常温で液体であるのが好ましい。主成分である溶融塩は室温において液状であるか又は低融点の電解質であり、その一般的な例としては「電気化学」、1997年、第65巻、第11号、p.923 等に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等が挙げられる。溶融塩は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、LiI、NaI、KI、LiBF
4、CF
3COOLi、CF
3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併用することもできる。通常、溶融塩電解質組成物はヨウ素を含有する。溶融塩電解質組成物の揮発性は低いことが好ましく、溶媒を含まないことが好ましい。溶融塩電解質組成物はゲル化して使用してもよい。
【0072】
電解液に溶媒を使用する場合は、粘度が低く高イオン移動度を示し、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロトン極性物質、水等が挙げられる。これらの溶媒は混合して用いることもできる。
【0073】
電解質層6を設ける方法は特に限定されるものではなく、例えば両電極の間にフィルム状のスペーサ7を配置して隙間を形成し、その隙間に電解質を注入する方法でも良く、また、負極内面に電解質を塗布などした後に正極を適当な間隔をおいて積載する方法でも良い。電解質が流出しないよう、両極とその周囲を封止することが望ましいが、封止の方法や封止材の材質については特に限定するものではない
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明について更に詳細に説明する。なお、
実施例5は参考例であると理解される。
【0075】
合成例1
【0076】
エトキシカルボニルベンゾインドレニンは、1−ブロモ−4−エトキシカルボニルナフタリン、ベンゾフェノンヒドラゾン、酢酸パラジウム、BINAP、ナトリウムブトキシド、メチルイソプロピルケトン、p−トルエンスルホン酸の市販試薬を用い合成した。1−ブロモ−4−エトキシカルボニルナフタリン78.87mmolをトルエン溶媒中で溶解させ、酢酸パラジウム、BINAPを加え、その後にベンゾヒドラゾン78.87mol、ナトリウムブトキシドを加え80℃で終夜反応させた。さらにメチルイソプロピルケトン123.46mmolとp−トルエンスルホン酸1水和物を加えエタノール溶媒中で終夜反応させ、目的物であるベンゾインドレニンエステルを30%の収率で得た。
【0077】
合成例2
N-n-アルキルエトキシカルボニルベンゾインドレニン塩の合成は、2,3,3‐トリメチル-6-エトキシカルボニルベンゾインドレニン0.1molと1-ヨウ化エタンを20mlのエタノールに溶かし、還流しながら7時間反応させた。固形分をろ過し、1-n-エチル-2,3,3-トリメチル-6-エトキシカルボニルベンゾインドレニウムアイオダイドを55%の収率で得た。
【0078】
合成例3
N-n-アルキルエトキシカルボニルベンゾインドレニン塩の合成は、2,3,3‐トリメチル-6-エトキシカルボニルベンゾインドレニン0.1molと1-ヨウ化ブタンを20mlのエタノールに溶かし、還流しながら48時間反応させた。固形分をろ過し、1-n-ブチル-2,3,3-トリメチル-6-エトキシカルボニルベンゾインドレニウムアイオダイドを55%の収率で得た。
【0079】
合成例4
N-n-アルキルエトキシカルボニルベンゾインドレニン塩の合成は、2,3,3‐トリメチル-6-エトキシカルボニルベンゾインドレニン0.1molと1-ヨウ化オクタンを20mlのエタノールに溶かし、還流しながら72時間反応させた。固形分をろ過し、1-n-オクチル-2,3,3-トリメチル-6-エトキシカルボニルベンゾインドレニウムアイオダイドを55%の収率で得た。
【0080】
合成例5
スクアリリウム色素の合成は、1-n-ブチル-2,3,3-トリメチル-5-エトキシカルボニル-ベンゾインドレニウムアイオダイド0.7mmolとスクアリン酸3mmolを40mlの容積比ベンゼン:ブタノール=1:4の溶媒に溶かし、1mlのキノリンを加え、水を除去しながら還流し15時間反応させた。室温に冷却し、固形分をろ過した。ジエチルエーテルで固形分を洗浄し、スクアリリウム色素のエステル体を得た。カラム精製した後、水酸化ナトリウム水溶液で加水分解し目的のスクアリリウム色素D‐1を得た。
【0081】
合成例6
エトキシカルボニルベンゾインドレニン塩を合成する際に、1-ヨウ化ブタンの代わりに1-ヨウ化オクタン又は1-ヨウ化エタンを使用した以外は合成例5と同様にしてスクアリリウム色素D‐2、D−6を得た。スクアリリウム色素D‐2のIRスペクトルを
図2に示す。
【0082】
合成例7
非対称スクアリリウム色素はカルボキシインドレニン塩とスクアリン酸エステルを1当量ずつ反応させ、セミスクアリリウムを合成した。その後続けて、もう一方のインドレニン塩を反応させ非対称型スクアリリウム色素を合成した。
カルボキシベンゾインドレニン塩として合成例2で得られたものと、別にベンゾインドレニン塩として合成例1における1−ブロモ−4−エトキシカルボニルナフタリンの代わりに1−ブロモナフタリンを用いて得られたベンゾインドレニンを合成し、さらにこれを1−ヨウ化オクタンを用いてアルキル化したベンゾインドレニン塩を用い、J.Am.Chem.Soc., 129,p10320-10321.を参考に非対称型スクアリリウム色素D-3を合成した。
【0083】
合成例8
カルボキシインドレニン塩として、合成例3における1-ヨウ化オクタン用いて得られたカルボキシインドレニン塩と、別にベンゾインドレニン塩として合成例1における1−ブロモ−4−エトキシカルボニルナフタリンの代わりに1−ブロモナフタリンを用いて得られたベンゾインドレニンを合成し、さらにこれを1−ヨウ化オクタンを用いてアルキル化したベンゾインドレニン塩を用い、J.Am.Chem.Soc. 129,p10320-10321を参考に非対称型スクアリリウム色素D-4を合成した。
【0084】
合成例9
カルボキシインドレニン塩として、合成例2における1-ヨウ化ブタンを用いて得られたカルボキシインドレニン塩とスクアリ酸ブチルエステルを使用して得られたセミスクアリリウムエステルを水酸化ナトリウム水溶液で加水分解し、セミスクアリリウム色素D-5を合成した。
【0085】
合成例10
カルボキシインドレニン塩として、合成例4で得られたものを用い、もう一方としてメチルキノリンをエチル化したヨード塩とを用い合成例8と同様の方法で、非対称スクアリリウム色素D-7を合成した。
【0086】
合成例11
カルボキシインドレニン塩として、合成例1において、1−ブロモ−4−エトキシカルボニルナフタリンの代わりに、4−ブロモ安息香酸エチルを用い、合成例3において、1-ヨウ化ブタンの代わりに1-ヨウ化エタンを用い、合成例5と同様の方法で、対称スクアリリウム色素D-8を合成した。
【0087】
合成例12
カルボキシインドレニン塩として、合成例1において、1−ブロモ−4−エトキシカルボニルナフタリンの代わりに、4−ブロモ安息香酸エチルを用い、合成例3において、1-ヨウ化ブタンの代わりに1-ヨウ化プロピオン酸を用い、合成例5と同様の方法で、対称スクアリリウム色素D-9を合成した。
【0088】
合成例13
カルボキシインドレニン塩として、合成例3において、1-ヨウ化ブタンの代わりに1,1,1-トリフオロ-4-ヨウ化ブタンを用い、合成例5と同様の方法で、対称スクアリリウム色素D-10を合成した。
【0089】
本発明のスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素の具体例を構造式21〜37と、表1〜3に示す。表1〜3において、R
9、R
10、X及びYは、構造式に付された記号に対応する。
【0090】
【0091】
合成例1〜13で得たスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素D-1〜D-10のR
9、R
10、X及びY及び紫外可視領域における最大吸収波長(λmax)を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
実施例1
30mm×25mm×3mmの透明導電膜付ガラス基板として日本板ガラス製のFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜付ガラス基板(商品名:Low‐Eガラス)を使用した。
次に、導電性膜付き基板の導電性膜上に、酸化チタン膜を形成した。酸化チタンは、市販の酸化チタンペースト(ソラロニクス社製Dペースト)を使用した。これを、導電性膜付き基板の導電性膜上に、スキージ印刷の手法で5mm×5mmの範囲に塗工し、乾燥後450℃で焼成して厚み15μmの酸化チタン層を形成した積層板を得た。
【0096】
色素としてD-1を使用した。これを3×10
-4mol/L 、DCAを3×10
-3mol/Lとなるようにエタノールに溶解させた。色素の吸着は、色素を溶媒に溶かし色素溶液を作成し、容器に色素溶液を入れ、更に上記酸化チタン層を形成した積層板を配置し、2時間静置後、容器から色素の吸着した積層板を取り出した。
【0097】
この積層板の酸化チタンの膜を形成した5mm×5mmの外周4辺に厚み50μmのアイオノマー樹脂からなるシート状の熱可塑性接着剤(三井デュポンポリケミカル社商品名;ハイミランシート)を、電解液が注入できるよう、外周部の2箇所に約1mm程度の隙間を設けるようにして貼り付けた。この熱可塑性接着剤は、封止材であると同時に、両極間のスペーサの役割を果たす。次に、正極となる厚み10nmの白金膜をスパッタリングの手法で形成したガラス基板を、白金側が酸化チタン側と対向するように前記熱可塑性接着剤フィルムを介して貼り合わせた。この熱可塑性接着剤フィルムの隙間から、0.5MのLiI、0.5Mのt-ブチルピリジンと、0.05Mのヨウ素を主成分として含むアセトニトリル溶液を毛細管現象を利用して基材と正極の間に満たした。電解質を満たした後、直ちに前記隙間をエポキシ樹脂接着剤で封止して、光電変換素子を得た。
【0098】
実施例2〜5
色素D-2、D-3、D-4又はD-5を用いた他は、実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
【0099】
実施例6
色素D-1を2.25×10
-4mol/LとD-5を0.75×10
-4mol/LとDCAを3.0x10
-3mol/Lとなるようエタノールに溶かし、2種類の色素を混合吸着する他は、実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
【0100】
実施例7
色素D-10を用い実施例1を用いた他は、実施例1と同様にして、光電変換素子を得た。
【0101】
比較例1〜4
色素D-1に代えて色素D-6、D-7、D-8又はD-9を使用した他は、実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
【0102】
実施例及び比較例で作成した光電変換素子を色素増感太陽電池として、その電池特性をソーラーシミュレータを用いAM1.5、100mW/cm
2の擬似太陽光を用い、I-Vカーブトレーサーを用いて特性評価した。変換効率(%)、短絡電流(Jsc: mA/cm
2)、開放電圧(Voc: V)、フィルファクター(ff:形状係数)の各特性を測定した結果を表4に示す。表中、ηは変換効率であり、λmaxは最大吸収波長であり、λ
0は吸収端波長である。
【0103】
【表4】
【0104】
本発明のスクアリリウム色素又はセミスクアリリウム色素を使用した光電変換素子又はこれから構成した色素増感太陽電池は、近赤外光領域における光電変換効率が高い。また、このスクアリリウム色素と共に、セミスクアリリウム色素を用いることにより、400nmから830nmまでの光を吸収することができ、高価なRu色素を使うことなく、2つの色素の相乗効果により光電変換効率がより向上する。また、本発明のスクアリリウム色素は光電変換効率が高い光電変換素子又はこれから構成した色素増感太陽電池を与える。