(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2接続面において、前記第2コア端の基板法線方向の座標差が、全ての前記導波路層について、一定長又は前記一定長の整数倍となっていることを特徴とする請求項1に記載の多層導波路型光入出力端子。
前記マルチコアファイバと前記多層導波路の前記第1コア端との接続及び/または前記多層導波路の前記第2コア端と前記光部品との接続が、スポットサイズ変換器を介して行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層導波路型光入出力端子。
前記多層導波路に含まれる1つ以上の前記導波路コアが、2つ以上の接続ポートを有する分岐導波路を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多層導波路型光入出力端子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図18に示したように、通常のマルチコアファイバ400はそのコア密度を上げるため、接続面上に二次元的にファイバコア402が分布する。一方で、
図19に示すように、光部品である平面型光回路500は、その接続面において、基板503上に形成された導波路クラッド501内に導波路コア502が一次元的に分布する。よってこれら接続面同士を直接接続することはできない。
【0008】
図20に示すように、マルチコアファイバ400と平面型光回路500の接続面同士を接続するため、テーパマルチコアファイバ600を用いてシングルモードファイバアレイ700にファンアウトする方式も報告されているが(非特許文献1参照)、テーパマルチコアファイバ600は長尺となるため、ファンアウト用のシングルモードファイバアレイ700とテーパマルチコアファイバ600を引き回そうと思うと余分なモジュールスペースを要するという問題があった。
【0009】
特許文献2には、テーパ形状の光ファイバを用い、一方の端部を四角格子状に配置し、他方の端部を一列に配置してなる、マルチコアファイバとテープファイバとを接続するために用いられる配列変換器について記載されている。しかしながら、この配列変換器は、テーパ形状の光ファイバを用いて、2次元配列から1次元配列に変換するものであるため、光ファイバを精度良く位置決め及び固定することが難しく、損失が大きくなってしまう虞がある。また、ある程度の長さの光ファイバを用いなければ、配列変換部を作製することができず、部品が大型化してしまうという問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、接続面上に二次元的なファイバコア分布を持つマルチコアファイバと、接続面上に一次元的な導波路コア分布を持つ光部品とを、低損失に接続するための安価且つ小型な多層導波路型光入出力端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために創案された本発明は、基板上に積層された、少なくとも3層の導波路層を含む多層導波路から構成され、
正三角格子型または正方格子型のコア配列となっている少なくとも3つのコアを有するマルチコアファイバと
平面型(同一直線型)のコア配列となっている少なくとも3つのコアを有する光部品とを
コア毎を対応させて接続するために用いられる多層導波路型光入出力端子であって、それぞれの前記導波路層は、一方に第1コア端を有し他方に第2コア端を有する導波路コアと、該導波路コアを囲う導波路クラッドとを有しており、
それぞれの前記導波路層の前記導波路コアの前記第2コア端の前記基板からの高さは、前記第1コア端の前記基板からの高さと等しくなっており、前記マルチコアファイバと接続される側に位置する前記多層導波路型光入出力端子の第1接続面において、前記第1コア端は、前記基板からの高さがそれぞれ異なる位置であって、かつ、前記マルチコアファイバのコア配列と一致するように配置され、
前記第1接続面において、前記第1コア端のコア配列を線対称に区切る直線をk軸としたとき、前記第1コア端の基板法線方向の座標差が、全ての前記導波路層について、一定長又は前記一定長の整数倍となるように、前記第1コア端の基板法線方向が前記k軸に対して傾いて配置され、前記光部品と接続される側に位置する前記多層導波路型光入出力端子の第2接続面において、前記第2コア端は前記基板からの高さがそれぞれ異なる位置に配置され、かつ、前記第2コア端の中心は一直線上に配置されていることを特徴とする多層導波路型光入出力端子である。
【0012】
前記第2接続面において、前記第2コア端の基板法線方向の座標差が、全ての前記導波路層について、一定長又は前記一定長の整数倍となっていると良い。
【0013】
前記第1接続面と前記第2接続面とが、同一面であると良い。
【0014】
前記マルチコアファイバと前記多層導波路の前記第1コア端との接続及び/または前記多層導波路の前記第2コア端と前記光部品との接続が、スポットサイズ変換器を介して行われると良い。
【0015】
前記第2コア端が2つ以上の第2接続面に配置されていると良い。
【0016】
前記多層導波路に含まれる1つ以上の前記導波路コアが、2つ以上の接続ポートを有する分岐導波路を備えていると良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、断面上に二次元的なファイバコア分布を持つマルチコアファイバと、断面上に一次元的な導波路コア分布を持つ光部品とを、低損失に接続するための安価且つ小型な多層導波路型光入出力端子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0020】
図1は、本発明の好適な実施の形態に係る多層導波路型光入出力端子を示す斜視図である。ここでは、その断面において、各コアの中心が正六角形の頂点上に位置するように配置すると共に、この正六角形の中心に1つのコアの中心を配列してなるマルチコアファイバ400が接続対象である場合を例に説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る多層導波路型光入出力端子100は、基板200上に積層された、少なくとも3層(図では第1層から第7層までの7層の導波路層201〜207を含む)の多層導波路101から構成される。
【0022】
各導波路層201〜207は、1つの導波路コア104と、この導波路コア104を覆う導波路クラッド107とを有している。この導波路コア104は、一方に第1コア端103を有し、他方に第2コア端105を有している。この多層導波路101の一端面側に、マルチコアファイバが接続される第1接続面102が位置し、他端面側に、平面型光回路500が接続される第2接続面106が位置している。なお、後述するが、第1接続面102と第2接続面106とが同一面(すなわち、第1コア端103と第2コア端105とが同一面)であってもよいし、第2接続面は、2面以上あってもよい。
【0023】
多層導波路101の第1接続面(例えば、マルチコアファイバから光信号が入力される入力端面)102は、三角格子又は正方格子のいずれかの格子点配置をとる第1コア端(例えば、マルチコアファイバから光信号が入力される入力コア端)103を少なくとも3つ含む。本実施の形態においては、
図3に示すように、マルチコアファイバが接続される側の第1コア端103は7個あり、第1コア端103の中心が、正六角形の各頂点に1つずつと、この正六角形の中心に1つ位置するように配置されている。中心に位置する第1コア端と、周方向で隣り合う2つの第1コア端とを結ぶことにより形成される三角格子が6個ある。
【0024】
第1コア端103によって形成される格子図形(
図3では、第1コア端103a〜103c、103e〜103gの各中心点を結んでできる正六角形)の線対称軸が基板法線に対して傾いていること、及び、少なくとも3つの第2コア端(例えば、マルチコアファイバ400から入力された光信号が出力される出力コア端)105(
図4では7つ)の各中心が、第2接続面(例えば、光部品である平面型光回路500に光信号を出力する出力端面)106において同一直線上に並んでいることを特徴とする。すなわち、第1コア端103及び第2コア端105は、基板200からの高さがそれぞれ異なる位置にある。また、第1コア端103a〜103gの各配置は、接続されるマルチコアファイバ400のコア配列に一致し、第2コア端105a〜105gの各配置は、接続される平面型光回路500のコア配列に一致する。
【0025】
本実施の形態では、
図2に示すように、第1端面(マルチコアファイバ接続面)102をマルチコアファイバ400との接続面、第2接続面(光部品接続面)106を平面型光回路500との接続面としてそれぞれ用いる。
【0026】
図3に第1端面102の拡大図を示す。ここで、103a〜103gは第1コア端、即ち導波路コア104のマルチコアファイバ接続側の接続面を示す。また、第1端面102内で基板200に平行な方向をx軸、基板200に垂直な方向をy軸と定義する。また、第1コア端103の各中心を結んで囲むことによって形成される格子図形(領域。
図3の場合は、第1コア端103a〜103c、103e〜103gの各中心点を結んでできる正六角形が格子図形(領域)となる。)の線対称軸のいずれか1つをk軸と定義し、
図3においては、最下層(導波路層207)の第1コア端103aと最上層(導波路層201)の第1コア端103gの各中心を結ぶ直線をk軸とする。また、このk軸と基板200の法線(y軸)とがなす角度をθと定義する。
【0027】
第1コア端103a〜103gは三角格子点配置をとり、そのコア間距離は接続されるマルチコアファイバ400のコア間距離Dと等しくなるよう設計する。また、k軸をy軸に対して傾けて設計することで、第1コア端103a〜103gを全て異なる層に存在させる(第1コア端103a〜103g及び第2コア端105a〜105gを、基板200からの高さが全て異なる位置に存在させる)ことが可能となる。
【0028】
多層導波路101の各層間の距離d
1〜d
6は、k軸とy軸のなす角θで決定される。一般的な石英製のマルチコアファイバ400のコア間距離Dが数十μm程度の高密度なものであることを考慮すると、d
1〜d
6<D、即ち多層導波路101も高密度な多層導波路でなければならないのは明らかである。
【0029】
多層導波路101を高密度に製造する方法としては、例えば、工程(1):基板200上にコア膜形成、工程(2):コアパターンエッチング、工程(3):クラッド形成、工程(4):クラッド上部平坦化、工程(5):クラッド上部に再度コア膜形成、工程(6):工程(2)〜(5)を繰り返す、という公知の技術が適している。
【0030】
この製造方法において、工程(2)〜(5)における装置条件(コア膜及びクラッドの形成条件、コアパターンのエッチング条件、クラッド上部平坦化条件)を等しくするために、d
1〜d
6は等しい値である方が好ましい。例えば、上述のようにk軸を設定し、第1コア端103が7芯三角格子配置の場合は、
図3に示したようにθ〜=10.8934度とすることで、基板200の法線方向に対する第1コア端103間の距離であるd
1〜d
6は等しくなる。ただし、製造工程において層間距離を層別に制御できる場合は、d
1〜d
6は異なってもよいので、これ以外のθの値を用いても良い。
【0031】
なお、一般的なマルチコアファイバ400や平面型光回路500は、低損失且つシングルモード伝搬が容易な媒体である石英材料で作られている場合が多い。よって、多層導波路型光入出力端子100とこれらの接続対象とを低損失に接続するために、多層導波路型光入出力端子100の多層導波路101は石英材料で作製されることが好ましい。
【0032】
マルチコアファイバ400のコア主軸(k軸に相当する)も第1コア端103a〜103gに合わせてθ回転させて接続される。マルチコアファイバ400から第1コア端103a〜103gに入力された光信号は導波路コア104を通じて第2接続面106まで導波される。
【0033】
図4に第2接続面106の拡大図を示す。ここで、105a〜105gは第2コア端(出力コア端)、即ち導波路コア104の光部品接続側の接続面を示す。導波路コア104に曲げ導波路を用いることで、全ての層について第2コア端105a〜105gのx座標を任意に制御することができるため、これらの各中心を第2接続面106上で同一直線上に配置することができ、第2接続面106と平面型光回路500との接続が可能となる。
【0034】
図4に示したように、第2コア端105a〜105gの各中心のx座標が全て同じ値であった場合(第2コア端105a〜105gの各中心が、基板200の法線に対して平行、かつ、一直線に配置される場合)には、接続時に多層導波路101の基板200と平面型光回路500の基板503のなす角が丁度90度となるため、光軸調整の際に肉眼で接続向きを確認し易いという効果が生まれる。
【0035】
例えば、D=50μmの7芯のマルチコアファイバであった場合に、第2接続面106でのコア間隔d
outは約9.5μmとなり、導波路コア104同士が非常に近接したものとなる。本実施の形態のように導波路コア104同士が近接する場合、隣接層の導波路コア104間の光結合を回避するため多層導波路101の比屈折率差Δは大きい方が良い。比屈折率差Δの値が異なる導波媒質同士を接続する際には損失が生じるため、本実施の形態では、接続損失を回避する観点から、接続対象とするマルチコアファイバ400としては高Δ型やホーリーアシスト型など、等価的な比屈折率差Δ=0.3%よりも大きなものが適している。
【0036】
また、
図5、
図6に示すように、第2コア端105a〜105gのx座標が一方向に一定長さで全て異なっていても良い。この場合、第2コア端105の各中心を結んでできる直線と基板200の法線とのなす角φを大きくするほど、第2コア端105でのコア間隔d
outが
図4に示した場合と比べて広くなる。例えば、D=50μmの7芯のマルチコアファイバであった場合に、φ=72度とすればコア間隔d
outは約35μmとなる。
【0037】
これにより、マルチコアファイバ400のコア密度が高くなった場合に第2コア端105近傍での隣接導波路コア104間の光結合を回避できるといった効果が生まれる。また、コア間隔d
outを大きくしているので、マルチコアファイバ400には前述したような高Δ型やホーリーアシスト型のものを用いる必要はない。
【0038】
更に、コア間隔d
outが大きくなったことにより、後述するスポットサイズ変換器の集積が容易となるといった相乗効果も生まれる。
【0039】
マルチコアファイバ400は、通常、ファイバ内での隣接ファイバコア402間の光クロストークを低減するため、高Δで作製されることが多い。また、マルチコアファイバ400の持つΔの値は、出力側の接続対象である平面型光回路500の持つ比屈折率差とは異なる値を持つ場合がある。
【0040】
従って、マルチコアファイバ400と第1コア端103との間及び/または第2コア端105と平面型光回路500との間に、スポットサイズ変換器(図示せず)を備えさせて接続することにより、比屈折率差が異なるマルチコアファイバ400と平面型光回路500とを低損失で接続することが可能となる。
【0041】
ここでいうスポットサイズ変換器としては、コア幅を導波路端面近傍で局所的に変化させたもの、熱によるコア拡散を利用したものなどが適している。スポットサイズ変換器は多層導波路101内に集積されていても良いし、接続する平面型光回路500側に集積されていても良い。
【0042】
また、多層導波路101に含まれる4つの端面のうち、どの平面をマルチコアファイバと接続される第1端面102、光部品に接続される第2接続面106として選択するかによって、いくつか変形例が考えられる。例えば、
図1に示したように第1端面102と第2接続面106を対向する端面に配置した場合には、接続対象であるマルチコアファイバ400と平面型光回路500が離れて置かれるため、接続時の調芯作業が容易になるといった効果がある。
【0043】
図7、
図8に示すように、第1端面102と第2接続面106を、対向する端面とは異なる平面内に選んでも良い。
図1、
図7、
図8に挙げたような第1・第2接続面の選択の自由度により、例えば、平面型光回路500を含む光モジュールを設計する際、回路基板面に対してマルチコアファイバ400を取り出したい方向に応じて、適した接続端子形状を選択することができ、ファイバ引き回しのための無駄なスペースを省くことができ、光モジュールの小型化に役に立つ。
【0044】
図9に示すように、第2コア端105が2つ以上(図では2つ)の第2接続面106、106’に配置される場合も考えられる。この場合、接続対象として第2接続面の数と同数(図では2つ)の平面型光回路500が必要となる。本実施の形態の応用として、例えば、一方の第2接続面106を石英製スイッチ回路、他方の第2接続面106’を半導体製トランシーバ回路に接続する場合など、異種基板の平面型光回路を1本のマルチコアファイバ400に接続したい時に特に有益である。
【0045】
図10に示すように、多層導波路101に含まれる1つ以上の導波路コア104が、その先に2つ以上(図では2つ)の接続ポートを有する分岐導波路108を備えていても良い。分岐導波路108の例として、Y分岐スプリッタ、スター型スプリッタ、マルチモード干渉や水平型方向性結合を利用したスプリッタなどが考えられる。
【0046】
また、分岐導波路108の複数の接続ポートへの分岐比は均一分岐でも不均一分岐でも良い。前者の場合、例えば、マルチコアファイバ400から入力された1つのチャネルの信号を複数ユーザに分配するブロードキャストなどの用途に適する。後者の場合、例えば、第1コア端103からの入力信号のうちの90%を第2接続面106に接続されたアッテネータ回路や光スイッチ回路に出力し、残りの10%を第2接続面106’に接続された信号モニタに出力すれば、光イコライザやノード装置を小型且つ簡単に実現できる。また、
図11に示すように、分岐導波路108の分岐先それぞれ(第1接続面102、第1接続面102’)にマルチコアファイバを接続し、複数のマルチコアファイバと1つの光部品とを接続するようにしてもよい。
【0047】
ここまで、接続に用いるマルチコアファイバ400のコア配列が三角格子型且つコア芯数が7芯のものについて説明したが、コア配列が正方格子型となったり、コア芯数が変化したりしても本発明を適用することができる。
【0048】
図12〜
図17にその例を示す。
図12は、正三角形の各頂点上にコアの中心が配置されてなる3芯マルチファイバ400aとの接続例、
図13は、正方形の各頂点上にコアの中心が配置されてなる4芯マルチファイバ400bとの接続例、
図14は、正方形の各頂点上、各辺の中心及び正方形の中心にコアの中心が配置されてなる9芯マルチコアファイバ400cとの接続例、
図15は、正三角形格子を13個組み合わせてなる六角形において、この正三角形格子の各頂点上にコアの中心が配置されてなる12芯マルチコアファイバ400dとの接続例、
図16は、正方格子を9個組み合わせてなる正方形において、この正方格子の各頂点上にコアの中心が配置されてなる16芯マルチコアファイバ400eとの接続例、
図17は、正三角形格子を24個組み合わせてなる正六角形において、この正三角形格子の各頂点上にコアの中心が配置されてなる19芯マルチコアファイバ400fとの接続例である。
【0049】
図12においては、導波路層201の第1コア端の中心と、正三角形格子の中心とを結ぶ直線をk軸とし、
図13においては、導波路層201の第1コア端の中心と導波路層202の第1コア端の中心とを結んでできる線分の中心と、導波路層203の第1コア端の中心と導波路層204の第1コア端の中心と、を結んでできる線分の中心とを結ぶ直線をk軸とし、
図14においては、導波路層202の第1コア端の中心と、導波路層208の第1コア端の中心とを結ぶ直線をk軸とし、
図15においては、導波路層204の第1コア端の中心と、導波路層211の第1コア端の中心とを結ぶ直線をk軸とし、
図16においては、導波路層201の第1コア端の中心と導波路層204の第1コア端の中心とを結んでできる線分の中心と、導波路層213の第1コア端の中心と導波路層216の第1コア端の中心とを結んでできる線分の中心と、を結んでできる直線をk軸とし、
図17においては、導波路層201の第1コア端の中心と、導波路層219の第1コア端の中心とを結ぶ直線をk軸とした。これらのk軸に対して、マルチコアファイバのコアの中心を結んで囲むことによって形成される格子図形(領域)は、線対称になっている。また、
図12〜
図17に記載の点線は、基板200の法線を示す。
【0050】
これらの図から明らかなように、コア配列が三角格子型(
図12、
図15、
図17)、正方格子型(
図13、
図14、
図16)いずれの場合についても、多層導波路101の層間距離を等しくするθの値が存在する。
図15、
図17に示すように、ダミー層301、302(導波路コアを含まず、導波路クラッドと同じ材料で形成された層であって、導波路層201と同じ膜厚を有している)を用いることで多層導波路101の層間距離を等しくすることが可能となる場合もある。つまり、隣接する導波路層201〜219にある第1コア端103及び第2コア端105の各中心の基板法線方向(y軸方向)の座標差が、全ての導波路層201〜219について、一定長又は一定長の整数倍となっている。例えば、
図15では、第2層202と第3層203の第1コア端103間及び第2コア端105間には、他の層の第2コア端105間に比べて2倍の座標差がある。
【0051】
ここまで、解り易さのため、
図1、
図5、
図7、
図8、
図9、
図10、
図11では第1端面102、102’及び第2接続面106、106’が基板方向に対して垂直な面として描いたが、実際は接続面でのフレネル反射を回避するため、第1端面102、第2接続面106、106’を基板垂直面に対して斜めに研磨して使用するのが好ましい。
【0052】
ここまで、本発明の用途を平面型光回路500との接続として述べてきたが、平面型光回路500と同様の一次元的なコア分布を持つリボンファイバアレイなどの光部品との接続用途にも本発明が適用できることは言うまでもない。
【0053】
以上説明したように、多層導波路101を用いることで小型且つ安価に作製可能な多層導波路型光入出力端子100が実現される。この多層導波路型光入出力端子100によれば、接続面上に二次元的なファイバコア分布を持つマルチコアファイバ400と、接続面上に一次元的な導波路コア分布を持つ光部品である平面型光回路500とを、低損失に接続することができる。
【0054】
また、本発明における多層導波路101の基板法線がマルチコアファイバ400のコア主軸(k軸)に対して傾いて配置された構造を採用することにより、曲げ導波路や直線導波路といったシンプルな回路要素のみを用いて光回路の構成が可能となるため安価であり、従来技術である縦型方向性結合器のように特性が不安定な回路要素を必要とせず、低損失で歩留まりの良い多層導波路型光入出力端子100が得られる。
【0055】
更に、本発明の多層導波路101の作製方法は、平面型導波路の作製技術を応用するものであるため、容易であり、入出力コア端(導波路コア104)を所定の位置に精度良く配置することができ、マルチコアファイバ及び平面型光回路と低損失で接続することができる。且つ、入出力コア間の距離(導波路コア104の長さ)を小さくすることができるので、多層導波路型光入出力端子100を小型化ができ、これを用いた光モジュールを小型化することができる。
【0056】
また、本発明の平面型光回路等の光部品との接続部のコア配列によっては、光部品との接続時の光軸調整が容易になったり、光クロストーク回避や低損失接続のためのスポットサイズ変換器の集積が容易になったりするといった相乗効果も生まれる。
【0057】
また、本発明の入出力端面の組み合わせは任意であるため、光モジュールに合わせて最適なファイバ引き出し方向を選択することができ、光モジュール設計の自由度が向上し、光モジュールの小型化が容易となるといった効果が生まれる。
【0058】
また、本発明の第2コア端105を2つ以上の端面に配置することで、1個の多層導波路型光入出力端子部品のみを用いて複数の異種基板回路との接続が容易となるといった効果が生まれる。
【0059】
また、本発明における多層導波路101内に分岐導波路108を備えて信号を分岐することで、信号のブロードキャスト機能や信号モニタ機能などを備えた光モジュールが簡単に構築できるといった効果が生まれる。