(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747389
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】計算機資源割当装置及び方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20150625BHJP
G06F 9/46 20060101ALI20150625BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
G06F9/46 462Z
G06F9/46 350
G06F13/00 357Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-190988(P2012-190988)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-48871(P2014-48871A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2014年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】木村 達明
(72)【発明者】
【氏名】森 達哉
(72)【発明者】
【氏名】滝根 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】松木 辰真
【審査官】
井上 宏一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−182962(JP,A)
【文献】
特表2003−524808(JP,A)
【文献】
特開2006−236351(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/052102(WO,A1)
【文献】
特開2011−164864(JP,A)
【文献】
特開2014− 35717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/46 −9/54
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計算機資源と、前記複数の計算機資源を階層的に束ねる複数のネットワーク資源とを含むネットワークにおける前記計算機資源をユーザに割り当てる計算機資源割当装置であって、
それぞれの前記計算機資源の負荷を示す情報と、それぞれの前記ネットワーク資源の負荷を示す情報とを収集する収集手段と、
計算機資源要求に対して、記憶手段に記憶されている複数の行を含む管理テーブルであって、最下段の行に前記計算機資源ごとの要素を含み、前記最下段以外の行に、前記ネットワーク資源ごとに対応する要素であって、当該行に対して1つ下の行の要素の中で、当該ネットワーク資源によって束ねられる計算機資源又はネットワーク資源に対応する要素を直接的に束ねる要素を含む管理テーブルを参照して計算機資源を割り当てる資源管理手段と、
を有し、
前記資源管理手段は、
前記管理テーブルの前記最下段の各要素に、当該要素に対応する前記計算機資源の負荷を示す情報に基づく第1の数値を設定し、前記最下段以外の行の各要素に、当該要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の行の要素に設定された前記第1の数値を足し合わせた第2の数値と、当該要素に対応する前記ネットワーク資源の負荷を示す情報に基づく第3の数値とを設定する設定手段と、
ユーザからの前記計算機資源要求を取得すると、前記管理テーブルの各行のうち、前記複数の計算機資源の数を当該行に含まれる要素の数によって除した値が、前記計算機資源要求に指定された計算機資源の要求数以上である行の中で最も下の行を選択し、選択した行に含まれる要素のうち、前記第2の数値及び前記第3の数値が最小である要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の要素の中から、前記第1の数値の小さい順に前記要求数分の要素を選択し、選択された要素に対応する計算機資源を前記ユーザに割り当てる割当手段と、
を有することを特徴とする計算機資源割当装置。
【請求項2】
前記割当手段は、
前記選択した行に含まれる要素のうち、前記第2の数値及び前記第3の数値が最小である要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の行の要素であって、前記第1の数値が閾値以下である要素の中から前記第1の数値の小さい順に前記要求数分の要素を選択し、選択された要素に対応する前記計算機資源を前記ユーザに割り当てる、
請求項1記載の計算機資源割当装置。
【請求項3】
前記記憶手段には、相互に異なる複数の計算機資源を含む前記ネットワークごとに前記管理テーブルが記憶され、
前記設定手段は、前記ネットワークごとに前記閾値を変える、
請求項2記載の計算機資源割当装置。
【請求項4】
複数の計算機資源と、前記複数の計算機資源を階層的に束ねる複数のネットワーク資源とを含むネットワークにおける前記計算機資源をユーザに割り当てる計算機資源割当方法であって、
利用状況情報収集手段、管理テーブルを格納する記憶手段、資源管理手段を有する装置において、
それぞれの前記計算機資源の負荷を示す情報と、それぞれの前記ネットワーク資源の負荷を示す情報とを収集する収集ステップと、
前記資源管理手段が、前記記憶手段に記憶されている複数の行を含む前記管理テーブルであって、最下段の行に前記計算機資源ごとの要素を含み、前記最下段以外の行に、前記ネットワーク資源ごとに対応する要素であって、当該行に対して1つ下の行の要素の中で、当該ネットワーク資源によって束ねられる計算機資源又はネットワーク資源に対応する要素を直接的に束ねる要素を含む管理テーブルの前記最下段の各要素に、当該要素に対応する前記計算機資源の負荷を示す情報に基づく第1の数値を設定し、前記最下段以外の行の各要素に、当該要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の行の要素に設定された前記第1の数値を足し合わせた第2の数値と、当該要素に対応する前記ネットワーク資源の負荷を示す情報に基づく第3の数値とを設定する管理テーブル生成ステップと、
ユーザからの計算機資源要求を取得すると、前記管理テーブルの各行のうち、前記複数の計算機資源の数を当該行に含まれる要素の数によって除した値が、前記計算機資源要求に指定された計算機資源の要求数以上である行の中で最も下の行を選択し、選択した行に含まれる要素のうち、前記第2の数値及び前記第3の数値が最小である要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の要素の中から、前記第1の数値の小さい順に前記要求数分の要素を選択し、選択された要素に対応する計算機資源を前記ユーザに割り当てる割り当てステップと、
を行うことを特徴とする計算機資源割当方法。
【請求項5】
前記割り当てステップは、
前記選択した行に含まれる要素のうち、前記第2の数値及び前記第3の数値が最小である要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の行の要素であって、前記第1の数値が閾値以下である要素の中から前記第1の数値の小さい順に前記要求数分の要素を選択し、選択された要素に対応する前記計算機資源を前記ユーザに割り当てる、
請求項4記載の計算機資源割当方法。
【請求項6】
コンピュータを、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の計算機資源割当装置の各手段として機能させるための計算機資源割当プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業者が計算機資源を利用者に提供するための計算機資源割当装置及び方法及びプログラムに係り、特に、事業者が利用者に提供している計算機資源を効率的に管理し、それらを利用者間で公平に割り当てるための計算機資源割当装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多くの計算機資源を保有する事業者が、これらの計算機資源を仮想的に利用者へ時間に応じて貸し付ける事業が行われている。これにより、利用者は物理的な計算機資源の購入や調達を行うことなく、簡単に所望の計算機環境を仮想的に構築し、利用規模に応じた使用が可能となる。こうした事業の利用用途は、Webサーバのバックエンドや、一時的に大規模な分析用に用いるなど様々である。
【0003】
こうした計算機資源貸付事業においては、物理的な1つの計算機上に複数の利用者が利用する仮想的な計算機を複数構成するVirtual Machine(VM)という技術により実現される。このため、ディスクやメモリ、CPUなどの1台の計算機上の計算機資源は複数のVMにより共有されることになる。これにより、事業者は物理的には少量の機器を保有しながら、その資源の最大限の活用が可能となる。
【0004】
しかし、1台の計算機上に複数のVMを構築する性質上、同じ計算機を利用している利用者間での計算機資源の利用に関する競合が発生し、利用者間に割り当てられる計算機資源の不公平や不当な処理速度低下が発生する場合がある。同様に、計算機を相互に接続する、リンクやスイッチ、ルータなどのネットワーク資源の共有による利用者間の競合も発生する。
【0005】
また、事業者の持つ計算機資源は主にデータセンタと呼ばれる計算機を集約して保管する建物内にあり、データセンタ内のLAN内において計算機を相互接続したクラスタと呼ばれる計算機網が構成されている。利用者へ割り付ける計算機資源の競合が発生することと同様に、リンク、スイッチ、ルータなどのネットワーク資源の共有による利用者間の競合による、不公平や利用品質低下などが発生する。
【0006】
この反面、事業者は、利用者に対して例えば、1つの計算機には必ず1つの利用者しかいないというように潤沢に資源を割り当ててしまうと、保有している計算機資源及びネットワーク資源を十分に使いきれないことになるため、利益が低下し、使用電力量が増加するなど運用費用も増加する。このため、利用者の計算機使用状況に応じて保有している計算機資源を割り当てるための効率的な運用方法が必要となる。
【0007】
これに対して、計算機資源及びネットワーク資源の利用者からの要求に対して、効率的に事業者が各資源を割り当てる手法がある(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H.Ballani, P. Costa, T. Kargiannis, and A. Rowstron. Towards Predictable Datacenter Networks, In Sigcomm 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記非特許文献1の技術では、1つの計算機において構築可能なVM数が事前に与えられており、利用者の要求するネットワーク資源を最大限に割り当てるようにするなど、特に利用者の計算機資源の要求した資源を使いきらなかった場合などには、事業者の保有する支援を最大限に活用することができず、非効率的である。また、当該文献の技術では、ネットワーク以外の資源に関する考慮はされていない。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、計算機資源を保有する事業者が、利用者の計算機資源割当要求に対して、利用者間で公平かつ効率的に資源を割り当て、かつ、事業者による効率よい計算機資源及びネットワーク資源の管理を実現することが可能な計算機資源割当装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、
複数の計算機資源と、前記複数の計算機資源を階層的に束ねる複数のネットワーク資源とを含むネットワークにおける前記計算機資源をユーザに割り当て
る計算機資源割当装置であって、
それぞれの前記計算機資源
の負荷を示す情報と、それぞれの前記ネットワーク資源の
負荷を示す情報とを収集する
収集手段と、
計算機資源要求に対して
、記憶手段に記憶されている複数の行を含む管理テーブル
であって、最下段の行に前記計算機資源ごとの要素を含み、前記最下段以外の行に、前記ネットワーク資源ごとに対応する要素であって、当該行に対して1つ下の行の要素の中で、当該ネットワーク資源によって束ねられる計算機資源又はネットワーク資源に対応する要素を直接的に束ねる要素を含む管理テーブルを参照して計算機資源を割り当てる資源管理手段と、
を有し、
前記資源管理手段は、
前記管理テーブル
の前記最下段の各要素に、当該要素に対応する前記計算機資源の負荷を示す情報に基づく第1の数値を設定し、前記最下段以外の行の各要素に、当該要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の行の要素に設定された前記第1の数値を足し合わせた第2の数値と、当該要素に対応する前記ネットワーク資源の負荷を示す情報に基づく第3の数値とを設定する設定手段と、
ユーザからの前記計算機資源要
求を取得すると、前記管理テーブルの
各行のうち、前記複数の計算機資源の数を当該行に含まれる要素の数によって除した値が、前記計算機資源要求に指定された計算機資源の要求数以上である行の中で最も下の行を選択し、選択した行に含まれる要素のうち、前記第2の数値及び前記第3の数値が最小である要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の要素の中から、前記第1の数値の小さい順に前記要求数分の要素を選択し、選択された要素に対応する計算機資源を前記ユーザに割り当てる割当手段と、を有する。
【0012】
また、本発明(請求項2)は、
前記割当手段は、
前記選択した行に含まれる要素のうち、前記第2の数値及び前記第3の数値が最小である要素によって直接的又は間接的に束ねられる前記最下段の行の要素であって、前記第1の数値が閾値以下である要素の中から前記第1の数値の小さい順に前記要求数分の要素を選択し、選択された要素に対応する前記計算機資源を前記ユーザに割り当てる。
【0013】
また、本発明(請求項3)は、
前記記憶手段には、相互に異なる複数の計算機資源を含む前記ネットワークごとに前記管理テーブルが記憶され、
前記設定手段は、前記ネットワークごとに前記閾値を変える。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明によれば、計算機資源を保有する事業者が、利用者の計算機資源割り当て要求に対して、利用者間で公平かつ効率的に資源を割り当て、かつ事業者による効率の良い計算機資源管理を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の管理テーブルと事業者の保有する計算機網の例である。
【
図2】本発明の計算機資源の割当法のフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施の形態における計算機資源管理装置の構成図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態におけるシーケンスチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における管理テーブルの例である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態における計算機資源管理装置の構成図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態における網ごとに管理する管理テーブルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
・計算機資源を有する事業者が、計算機網に対して
図1に示す管理テーブルを持つことにより、本発明の課題を実現する。
【0020】
・事業者はN個の計算機を有し、ルータやスイッチなどの相互接続機器により図
1のような計算機網を構成しているものとする。
【0021】
・利用者は計算機を全計算機のうちのいくつか(n個)の計算機資源割り当てを要求する。なお、1台
の計算機には仮想的な計算機資源を複数割り当てることができる。
【0022】
・事業者は
図2に示すとおり、各計算機の利用状況をディスクIO負荷、ネットワークIO負荷、CPU利用率、メモリ利用率などを監視することにより知ることができる。この数値を以下ではxとして表す。また、相互接続網内のスイッチやルータ、リンクなどの利用率を監視することができるとする。この数値を以下ではyとして表す。
【0023】
・事業者は計算機およびその相互接続網に対して、管理テーブルを保持し、現在の利用者の計算機利用状況xおよび相互接続機器から得られる情報yをもとに新しい利用者に対して所望の計算機資源を割り当てる。
【0024】
以下では
図1を用いて事業者が保持する管理テーブルの説明をする。当該管理テーブルは、後述する第1、第2の実施の形態のクラウド管理部130,230の管理テーブル131,231に対応する。当該管理テーブルの設定は、後述する第1、第2の実施の形態の資源管理部140,240によって行われる。
【0025】
・
図1の最下行の各要素は全計算機資源の最小分割単位を表しており、1台の計算機に対応する。また、各行の上段に位置する要素は、下段の要素を束ねる構成をしており、これは計算機の相互接続網により接続している機器や、同じ相互接続機器に接続している計算機器の分割を表している。なお、各行において下段を束ねる単位は任意に定めることができる。
【0026】
・第i行の要素数m
iは最
上段から順に1からNまで増えていき、K
i = N/m
iを各要素の幅と呼ぶ。
【0027】
・最下行の各要素には、計算機資源の利用状況 (ディスク、CPU、メモリ負荷など) を数値化したコストF(x) を投入する。ただし、各計算機にてxは実際に計測された利用負荷である。F(x)は、もし計算機が利用されていなければ0となり、事業者が適宜設定可能であるとする。
【0028】
・管理テーブルの最下段以外の各行の要素には、それぞれの下段の要素のF(x) の値をすべて足し合わせたものを、その要素のF(x) として記入する。また、相互接続機器 (ルータ、スイッチ) などで収集されるネットワークの負荷(利用帯域)yに対して任意に定める関数Gを用いてG(y) として記入する。G(y) の値の決定法は事業者が適宜設定可能である。
【0029】
以下では、
図1の管理テーブルおよび
図2のフローチャートを用いて利用者への計算機資源割り当て法および利用管理法を説明する。当該割り当て方法は、後述する第1、第2の実施の形態における資源管理部140,240に適用される。
【0030】
利用者からのn個の計算機資源に対する計算機資源要求を取得すると、管理テーブルの第i行の幅K
iとしたときにk
i‐1 < n
≦ k
iを満たす行iを選択する(ステップ1)。
【0031】
行内において、最も要素内のF(x) およびG(y) の値の低いものをランダムに1つ選択する(ステップ3)。ただし、F(x)およびG(y)が、各要素について事前に定められた閾値を超えていれば、利用者への割り当てを中止し(ステップ2)、割り当て失敗とする(ステップ5)。
【0032】
選択された要素が包含している、最下段の要素すなわち各計算機において、F(x)の低いものから順にn個を利用者に割り当てる(ステップ6)。この際、選択した要素のいずれかのF(x)の値が事前に定められた閾値
を超えていれば割り当てを中止し(ステップ4)、割り当て失敗とする(ステップ5)。
【0033】
割り当てられた計算機資源状況xおよびネットワーク利用状況yは、ある時間間隔で更新され、表内の各要素の値F(x)およびG(y)も同時に更新される。
【0034】
以下に、装置構成を示しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
以下の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、説明の簡便化のため、事業者の持つ計算機網が木構造となる運用形態を示し、F(x)およびG(y)を適宜与えるが、本発明の適用範囲はこの限りではない。
【0036】
[第1の実施の形態]
本実施の形態では、事業者が単一の網を持つ場合の例を説明する。
【0037】
図3は、本発明の第1の実施の形態における計算機資源管理装置の構成を示す。
【0038】
計算機資源管理装置100は、ユーザインタフェース110、利用状況情報収集部120、管理テーブル131を有するクラウド管理部130、資源管理部140を有する。ユーザインタフェース110は、相互接続機器及び利用者の端末に接続されている。
【0039】
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるシーケンスチャートである。
【0040】
利用状況情報収集部120は、ユーザインタフェース110を介して随時計算機相互接続網におけるネットワーク利用状況および各計算機の利用状況を収集し(ステップ101,102)、資源管理部140において、以下の処理を行い、クラウド管理部130の管理テーブル131に利用状況情報を格納する(ステップ103)。その際に、収集された情報に基づいて、
F(x) = (利用ユーザ数)×A
+ (直前に利用ユーザ数が変化した時点から現在までのCPU負荷平均)×B
と設定し、
G(y) = (接続ユーザ数)×C
+ (直前に接続ユーザ数が変化した時点から現在までの利用帯域の最大値)
と設定する。F(x)は、利用ユーザ数と実際の計算機資源使用状況の重み付けの形であり、現在の計算機資源の使用状況を表す。F(x)の第二項のAは、直前のCPU資源の利用率を表しており、これにより、利用ユーザ数が多くても実際はCPUの使用していない場合に対応でき、逆に利用ユーザ数は少ないがCPU使用率が高い場合に対応できる。また、G(y) は、現在の接続ユーザ数とネットワーク資源の実際の利用状況の重み付けの形であり、現在のネットワーク資源の使用状況を表す。G(y)の第二項のCは、直前の利用ユーザが用いる可能性のある最大帯域を表しており、これにより、接続ユーザ数が多くても実際はネットワークを使用していない場合に対応でき、逆に利用ユーザ数は少ないが利用帯域が高い場合に対応できる。
【0041】
利用者は事業者が所有する計算機資源管理装置100のユーザインタフェース110へアクセスする(ステップ104)。計算機資源管理装置100の資源管理部140は、クラウド管理部130内の管理テーブル131の現在の計算機資源利用状況を参照し、現在利用可能な計算機資源の状況に応じて、提供可能な計算機資源を割り当て、ユーザインタフェース110を介して通知する(ステップ105)。資源管理部140における資源割り当て方法については、前述の
図2に示すフローチャートのステップ1〜6を行うことにより可能である。利用者は自身の端末に当該計算機資源を表示する。
【0042】
利用者は自身の端末のユーザインタフェースに表示された利用可能な計算機資源の中から、所望の計算機資源を要求する(ステップ106)。計算機資源管理装置100の資源管理部140は、ユーザインタフェース110を介して当該計算資源の要求を取得すると、当該利用者に対して計算機資源を割り当てる(ステップ107)。計算機資源管理装置100の資源管理部140は、割り当てた計算機資源の状況を用いてクラウド管理部130の管理テーブル131を更新する(ステップ108)。
【0043】
計算機資源を割り当てられた利用者は、自身のユーザインタフェースを介して計算機資源へ接続し(ステップ109)、利用することができる。また、計算機利用状況収集部120に各ユーザが利用している計算機の利用状況が提供され(ステップ110)、当該利用状況をユーザインタフェース110を介して利用者に当該利用状況情報を提供することにより、利用者はこれを監視できる。
【0044】
利用者の計算機資源利用終了後は、利用者からユーザインタフェース110を介して利用終了が利用状況収集部120に通知され(ステップ111)、資源管理部140が利用終了となった計算機機器について、「割り当て済み」から「開放」に状態を遷移させ、管理テーブル131を更新する(ステップ112)。この例を
図5に示す。
図5では、利用者2の端末から利用終了が通知されると、計算機の負荷、ネットワークの利用帯域が更新される。
【0045】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では事業者の所有する計算機資源が1つの網のみである例を示したが、本実施の形態では、
図6のように複数の計算機網を所有する場合について説明する。なお、計算機資源管理装置200の構成は
図3と同様である。同図では、計算機資源管理装置200が計算機網A,Bの2つを所有する例を示す。
【0046】
本実施の形態では、複数の計算機網を管理するため、資源管理部240は、計算機資源のF(x)やネットワーク資源のG(y)に対して優先度を付与して、
図7に示すようにクラウド管理部230の管理テーブル231で管理する。優先度の決定方法として、具体的には、事業者が事前にいくつかの計算機資源割当方法について提供形態を定めておくことが可能である。例えば、優先度が高い提供形態を利用する利用者は、別の優先度の低い提供形態を利用する利用者よりも、優先的に多くの計算機資源を得られるようにする。なお、優先度の決定方法については、当該例に限定されることなく、任意の決定方法を採用することが可能である。
【0047】
なお、事業者の保有する計算機網は必ずしも物理的に隔離されている必要はなく、資源分割が行えていれば仮想的に構築することもできる。この場合、利用状況収集部はそれぞれ別々に計算機資源及びネットワーク利用状況を収集し、資源管理部240は網毎に別々に管理テーブル231を構成する。
【0048】
また、ユーザは通常の計算機資源要求とともに、事業者が予め定めた品質レベルの要求を行う。計算機資源管理装置200は、ユーザインタフェース110を介して当該要求を取得すると、資源管理部240により、品質レベルごとに利用者が利用すべき網が選択され、利用者は第1の実施の形態と同様に計算機資源を割り当てられ、ユーザインタフェースを介して計算機資源を利用する。
【0049】
上記のように、管理テーブル231毎に固有である現在の計算機資源の使用状況F(x) および現在のネットワーク資源の使用状G(y)の値、利用者がアクセス時に割り当て失敗となる管理テーブル231に設けられる閾値を適宜変更することで、本形態の利用者の品質要求の差別化が実現できる。例えば、第1の実施の形態のF(x)、G(x) における各重みを優先度の高い要求を待つ網については高くしておくことで、同じ閾値の計算機資源に対して割り当てられる利用者が減少するため、利用品質が向上する。同様に、閾値を下げることで、同じ計算機資源に割り当てられる利用者数が減少し、利用品質が向上する。
【0050】
なお、
図3、
図6に示す計算機資源管理装置の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、計算機資源管理装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0051】
本発明は上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用可能である。
【符号の説明】
【0052】
100,200 計算機資源管理装置
110,210 ユーザインタフェース
120,220 利用状況情報収集部
130,230 クラウド管理部
131,231 管理テーブル
140,240 資源管理部