(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を、ビニル重合体(a1)の全量に対して70質量%〜98質量%有する数平均分子量2000〜7000のビニル重合体(a1)と、
ポリエーテルポリオール(a2)とを含有するポリオール(A)と、
ポリイソシアネート(B)とを反応させて得られるウレタン樹脂(C)よりなる電解液膨潤性樹脂層が、繊維集合体よりなる基材層の少なくとも片面に形成され、両者が一体化していることを特徴とする非水系電池用セパレータ。
請求項1記載のセパレータにおいて、前記ビニル重合体(a1)が、2個の水酸基と1個のメルカプト基とを有する連鎖移動剤(D)、及び、数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を有するビニル単量体(e)を含むビニル単量体(E)を反応させて得られるものである非水系電池用セパレータ。
請求項1から3のいずれか一項のセパレータにおいて、基材層が、少なくとも耐熱性ポリマー層を含んでおり、前記耐熱性ポリマーは、融点が200℃を超える高融点ポリマーもしくは熱不融性ポリマーで構成される非水系電池用セパレータ。
請求項1から4のいずれか一項のセパレータにおいて、基材層を構成する耐熱性ポリマーが、全芳香族ポリアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、及びセルロース系ポリマーからなる群から選択された少なくとも一種で構成されている非水系電池用セパレータ。
請求項6のセパレータにおいて、不織布が、湿式不織布、乾式不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、および静電紡糸不織布からなる群より選択された1種または2種以上の不織布または不織布積層体である非水系電池用セパレータ。
請求項1から7のいずれか一項のセパレータにおいて、基材層が、耐熱性ポリマー層と、融点が100〜200℃の低融点ポリマーからなる低融点ポリマー層との積層体よりなる非水系電池用セパレータ。
請求項8または9のセパレータにおいて、低融点ポリマー層を形成する低融点ポリマーが、ポリオレフィン系ポリマー、エチレン−ビニルアルコール系共重合物、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一種で構成される非水系電池用セパレータ。
片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を、ビニル重合体(a1)の全量に対して70質量%〜98質量%有する数平均分子量2000〜7000のビニル重合体(a1)と、ポリエーテルポリオール(a2)とを含有するポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)を反応させて得られるウレタン樹脂(C)からシートまたはフィルムを作製する工程と、
前記シートまたはフィルムを繊維集合体よりなる支持基材の少なくとも片面に対して貼りあわせる工程と、
を含む非水系電池用セパレータの製造方法。
片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を、ビニル重合体(a1)の全量に対して70質量%〜98質量%有する数平均分子量2000〜7000のビニル重合体(a1)と、ポリエーテルポリオール(a2)とを含有するポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)を反応させて得られるウレタン樹脂(C)の溶液または分散液を作製する工程と、
前記溶液または分散液を、繊維集合体よりなる支持基材に対して塗布または含浸する工程と、
を含む非水系電池用セパレータの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の非水系電池用セパレータは、特殊なウレタン樹脂よりなる電解液膨潤性樹脂層が、繊維集合体よりなる基材層の少なくとも片面に形成され、両者が一体化することで構成されている。
好ましくは、前記電解液膨潤性樹脂層は、実質的に無孔のフィルムで完全膜状に形成されていてもよく、前記基材層は、耐熱性ポリマーよりなる繊維状物と、さらに必要に応じて低融点ポリマーの繊維状物との積層体で形成されていてもよい。
【0029】
(電解液膨潤性樹脂層)
電解液膨潤性樹脂層は、電解液膨潤性樹脂から形成され、前記電解液膨潤性樹脂としては、片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を、ビニル重合体(a1)の全量に対して70質量%〜98質量%有する数平均分子量2000〜7000のビニル重合体(a1)と、ポリエーテルポリオール(a2)とを含有するポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)を反応させて得られるウレタン樹脂(C)を使用することができる。
【0030】
前記ウレタン樹脂(C)は、ポリエーテル構造を主鎖に有し、その側鎖としてビニル重合体(al)由来の構造を有するものである。前記ウレタン樹脂(C)は、前記ウレタン樹脂(C)の全量に対して前記ビニル重合体(a1)由来の構造を2質量%〜50質量%含むものを使用することが好ましい。
【0031】
また、前記ウレタン樹脂(C)の側鎖を形成しうるビニル重合体(al)由来の構造は、ビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800(好ましくは300〜700)のポリオキシエチレン鎖を有する構造である。
【0032】
また、前記ウレタン樹脂(C)としては、イオン伝導性を向上させるうえで、50000〜150000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、前記重量平均分子量は60000〜130000の範囲であるのがより好ましい。
【0033】
前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する前記ポリオール(A)としては、前記したとおり、片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を、ビニル重合体(a1)の全量に対し70質量%〜98質量%有する数平均分子量2000〜7000のビニル重合体(al)と、ポリエーテルポリオール(a2)とを含有するものを使用することが必須である。
【0034】
前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖とし、その側鎖に数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を、ビニル重合体(a1)の全量に対して70質量%〜98質量%有する数平均分子量2000〜7000のビニル重合体(a1)としては、例えば2個の水酸基を有する連鎖移動剤の存在下で、数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を有するビニル単量体(e)を含むビニル単量体(E)を重合することによって得られるものを使用することができる。
【0035】
具体的には、2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(D)の存在下で前記ビニル単量体(E)のラジカル重合を行い、前記メルカプト基を起点として前記ビニル単量体(E)が重合したものが挙げられる。
【0036】
得られたビニル重合体(a1)は、前記連鎖移動剤(D)由来の2個の水酸基を片末端に有するため、この2個の水酸基と後述するポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基とを反応する
ことによってウレタン結合を形成することができる。
【0037】
また、得られたビニル重合体(a1)は、前記連鎖移動剤(D)のメルカプト基を起点として前記ビニル単量体(E)が重合して形成した片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1’)を主鎖としたときに、その側鎖として数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を形成する。
【0038】
前記ポリオキシエチレン鎖は、前記ビニル重合体(al)の全量に対して70質量%〜98質量%の範囲で存在することが、イオン伝導性を向上するうえで必須であり、70質量%〜96質量%の範囲で存在するのが好ましい。前記ポリオキシエチレン鎖は、前記ビニル単量体として数平均分子量200〜800のポリオキシエチレン鎖を有するビニル単量体(e)を特定量使用することによってビニル重
合体(a1)中に前記した特定量を導入することができる。
【0039】
前記ビニル重合体(a1)としては、前記ポリイソシアネート(B)と反応させる際の反応性を向上するうえで、2000〜7000の数平均分子量を有するものを使用することが必要であり、3000〜6500がより好ましい。
【0040】
前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能な連鎖移動剤としては、例えば2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(D)を使用することが好ましい。
前記2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(D)としては、例えば3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、2−メルカプト−1,3−プロパンジオール等を使用することができる。なかでも3−メルカプト−1,2−プロパンジオールを使用するのが、臭気が少なく作業性や安全性の点で優れ、かつ汎用であるため好ましい。
【0041】
また、前記ビニル重合体(al)の製造に使用するビニル単量体(E)としては、例えばポリオキシエチレンモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等のうち、ポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が200〜800であるビニル単量体(e)を含むものを使用することができる。なかでも、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(メタ)アクリレートを使用することが、反応性及びイオン伝導性向上のため好ましい。
【0042】
また、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用するビニル単量体(E)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ビニル単量体(e)のほかにその他のビニル単量体を組み合わせ使用することもできる。
【0043】
前記その他のビニル単量体としては、例えばポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が200〜800の範囲外であるビニル単量体をはじめ、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0044】
前記連鎖移動剤(D)と前記ビニル単量体(E)との重合反応は、例えば50℃〜100℃程度の温度に調整したメチルエチルケトン等の溶剤下、前記連鎖移動剤(D)と前記ビニル単量体(E)を一括または逐次供給し、ラジカル重合させることで進行することができる。これにより、連鎖移動剤(D)のメルカプト基等を起点として前記ビニル単量体(E)のラジカル重合が進行し、所望のビニル重合体(a1)を製造することができる。前記方法で前記ビニル重合体(a1)を製造する際には、必要に応じて従来知られる重合開始剤を使用してもよい。
【0045】
前記方法で得られたビニル重合体(a1)は、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用するポリオール(A)の全量に対して、20質量%〜90質量%の範囲で併用することが好ましく、20質量%〜60質量%の範囲で使用することが、イオン伝導性を向上させるうえでより好ましい。
【0046】
また、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用
するポリオール(A)としては、前記ビニル重合体(a1)とともにポリエーテルポリオール(a2)を使用する。前記ポリエーテルポリオール(a2)は、ウレタン樹脂(C)中にポリエーテル構造を導入するうえで使用するものであり、機械的強度及びイオン伝導性を向上するうえで重要である。
【0047】
前記ポリエーテルポリオール(a2)としては、例えば活性水
素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0048】
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
【0049】
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
【0050】
前記ポリエーテルポリオール(a2)としては、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及び、エチレンオキサイドとテトラヒド
ロフランとの共重合体からなる群より選ばれる1種以上を使用することが、機械的強度及びイオン伝導性を付与するうえで好ましい。また、前記ポリエーテルポリオール(a2)としては、800〜5000の数平均分子量のものを使用することが好ましい。
【0051】
また、前記ポリオール(A)としては、前記ビニル重合体(a1)と前記ポリエーテルポリオール(a2)とを、質量割合:[(al)/(a2)]=1/9〜4/6の範囲で含むものを使用することが、高イオン伝導性と耐久性向上を両立するうえで好ましい。
【0052】
前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用するポリオール(A)としては、前記したものの他に、必要に応じてその他のポリオールを使用することができる。その他のポリオールとしては、例えばポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオール等を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0053】
また、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用するポリイソシアネート(B)としては,例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートや、へキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロへキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートあるいは脂環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。なかでも,4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0054】
前記ウレタン樹脂(C)は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下、前記ビニル重合体(al)と、ポリエーテルポリオール(a2)と、必要に応じてその他のポリオールとを含有するポリオール(A)、及び、前記ポリイソシアネート(B)を反応させることで製造することができる。具体的には、前記反応は、好ましくは20℃〜120℃の範囲で30分〜24時間程度の範囲で行われる。
【0055】
前記ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応は、例えば、前記ポリオール(A)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
【0056】
また、前記ウレタン樹脂(C)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類:テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類:ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を、単独で使用または2種以上を使用することができる。前記有機溶剤は、本発明のウレタン樹脂組成物の溶媒として使用してもよい。
【0057】
本発明で使用するウレタン樹脂(C)を製造する際には、その分子量を比較的高分子量化し、耐擦過性等の更なる向上を図ることを目的として、必要に応じて鎖伸長剤を使用できる。前記鎖伸長剤としては、ポリアミンや、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
【0058】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−へキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロへキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロへキシルメタンジアミン、1,4−シクロへキサンジアミン等を使用することができ、エチレンジアミンを使用することが好ましい。
【0059】
前記活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等を、本発明に係るウレタン樹脂の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用することができる。
【0060】
前記鎖伸長剤は、例えばポリアミンが有するアミノ基と過剰のイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.3〜1.0(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
【0061】
(基材層)
繊維集合体よりなる基材層は、耐電解液性を有しているとともに、電解液膨潤性樹脂層と一体化することができる限り特に限定されず、各種繊維材料を用いて形成される織編物、不織布などのいずれであってもよいが、好ましくは、基材層は不織布である。
【0062】
例えば、不織布は、湿式抄造法、乾式抄造法(サーマルボンド法、ケミカルボンド法など)、スパンレース法、エアレイド法、ニードルパンチ法等により形成される不織布であることが好ましい。薄型かつ均一なシートが得られる点から、湿式抄造による湿式不織布が最も好ましい。
【0063】
前記繊維材料としては、例えば、後述する耐熱性ポリマーから形成される耐熱性ポリマー繊維、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)などが挙げられる。これらの繊維材料は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、不織布層は、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、酸化防止剤など)を含有していてもよい。
【0064】
これらのうち、セパレータの耐熱性を向上させる観点から、基材層は、少なくとも耐熱性ポリマー層を含んでいるのが好ましい。
【0065】
(耐熱性ポリマー層)
耐熱性ポリマー層は、電解液膨潤性樹脂層の支持体として、および必要に応じて設けてもよい低融点ポリマー層が皮膜を形成する際の支持体として機能する。高温に曝された場合であっても、セパレータ全体の形状を保持できる観点から、耐熱性ポリマー層は、融点が200℃を超える高融点ポリマーおよび熱不融性ポリマーからなる群から選択された少なくとも一種の耐熱性ポリマーを含むことが好ましい。
【0066】
耐熱性ポリマーは、所定の耐熱性を有するとともにファイバー形状を形成できるものである限り特に限定されない。例えば、融点が200℃を超えるポリマー(または高融点ポリマー)としては、全芳香族ポリアミド系ポリマー(例えば、p−フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドから共縮重合して得られるパラ系アラミド、m−フェニレンジアミンとイソフタル酸クロリドから共縮重合して得られるメタ系アラミド繊維、芳香族系ポリエーテルアミド繊維など)、ポリイミド系ポリマー(例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)、ポリカーボネート系ポリマー(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリフェニレンサルファイド系ポリマー(例えば、ポリフェニレンサルファイドなど)、ポリフェニレンエーテル系ポリマー(例えば、ポリフェニレンエーテルなど)、ポリエーテルケトン系ポリマー(ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど)、ポリスルホン系ポリマー(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)などが挙げられる。これらの高融点ポリマーは、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
なお、高融点ポリマーの融点は、電池の異常発熱においてセパレータの形態を保持する観点から、200℃を超えること(例えば、205〜400℃程度)が必要であり、好ましくは220〜350℃程度であってもよい。なお、前記融点の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
また、必要により積層させる低融点ポリマーと高融点ポリマーとの融点の差は、例えば、50〜200℃程度、好ましくは60〜180℃程度であってもよい。
【0068】
また、熱不融性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール系ポリマー(例えば、高強力ポリビニルアルコールなど)、セルロース系ポリマー[例えば、精製セルロース(テンセル(登録商標)など)、再生セルロース(ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、銅アンモニアレーヨンなど)、天然セルロース(木材パルプ、麻パルプ、コットンリンターなど)、半合成セルロース(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートポルピオネートなどのセルロースエステル類など)]などが挙げられる。これらの熱不融性ポリマーは、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、高強力ポリビニルアルコール繊維は、溶剤中で紡糸原液をノズルから押し出した直後に急冷させてゲル化(ゼリー状に固化)させ、続いて脱溶媒を行うことにより作製することが可能であり、「クラロン(登録商標)」として、(株)クラレから上市されている。
【0069】
なお、熱不融性ポリマーは、例えば、200℃を超える温度(例えば、205〜400℃程度)の熱に対して、好ましくは220〜350℃程度の熱に対して不溶融性を示せばよい。
【0070】
これらの耐熱性ポリマーのうち、耐熱性と耐電解液性とを両立する観点から、全芳香族ポリアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、セルロース系ポリマーなどが好ましい。
【0071】
耐熱性ポリマー層は、前記耐熱性ポリマーから形成され、繊維径が1000nm以下のナノファイバーと、繊維径が1000nmを超える非ナノファイバーとの混合物を含んでいるのが好ましい。この場合、耐熱性ポリマー層は、耐熱性ポリマーから一旦ナノファイバーと非ナノファイバーとを別々に作製し、これらを混合して作製してもよいし、非ナノファイバーの耐熱性ポリマー繊維を叩解などによりフィブリル化させ、その結果得られたナノファイバーと非ナノファイバーとの混合物より作製してもよい。
【0072】
例えば、混合物中のナノファイバーと非ナノファイバーとの割合(ナノファイバー/非ナノファイバー:質量比)は、10/90〜90/10の広い範囲から選択することができ、好ましくは20/80〜80/20程度、さらに好ましくは30/70〜70/30程度であってもよい。
【0073】
叩解する場合、叩解度としては、CSFで表わして0〜300ml程度であることが好ましく、より好ましくは0〜200ml、さらに好ましくは0〜150mlである。なお、叩解度の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
【0074】
また、耐熱性ポリマーは、耐熱性ポリマー層を形成することができる限り、ナノファイバーと非ナノファイバーとを異なる耐熱性ポリマーの混合物で形成してもよいが、同種の耐熱性ポリマーで形成するのが好ましい。
【0075】
耐熱性ポリマー層が不織布の場合、不織布は、耐熱性ポリマーを主体繊維として含み、さらにバインダー繊維を有していてもよい。この場合、シート強力およびナノファイバーを構成する層との接着性を向上するとともに、セパレータの保液性を向上する観点から、主体繊維とバインダー繊維の配合率(質量部)は、90/10〜50/50程度、好ましくは85/15〜55/45程度であってもよい。
【0076】
(低融点ポリマー層)
基材層は、前述した耐熱性ポリマー層と融点が100〜200℃の低融点ポリマーからなる低融点ポリマー層よりなる不織布であってもよい。この場合、必要により積層する低融点ポリマー層は、融点100〜200℃の低融点ポリマーを含むことが重要である。低融点ポリマー層が融点100〜200℃のポリマーを含むことにより、異常電流や、リチウムデンドライドによる内部短絡によって電池の温度上昇が生じた場合であっても、低融点ポリマー層が溶融して皮膜を形成して抵抗を高め、シャットダウン特性を与えることができる。
低融点ポリマー層は、シャットダウン特性を達成できる限り、基材層において、電解液膨潤性樹脂層側に形成されてもよいし、電解液膨潤性樹脂層とは相反する側に形成されてもよい。
【0077】
低融点ポリマー層を構成する低融点ポリマーとしては、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびエチレン−プロピレン共重合体など);エチレン−ビニルアルコール共重合体;フッ素系ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、エチレンとフッ化ビニリデンとの共重合体など);ビニル系ポリマー(例えば、ポリスチレン、ABS、AS、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン)、アクリル系ポリマー(ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなど)等が挙げられる。これらのポリマーは、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
これらのポリマーのうち、溶融時の皮膜形成性と、電池内での化学的安定性等の点からポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フッ素系ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体)が好ましい。
【0079】
より詳細には、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、好ましくはエチレン単位を25モル%から70モル%含有し、ビニルアルコール単位単独またはビニルアルコールとその他のビニル系モノマーの繰り返し単位からなる共重合体であってもよい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン/酢酸ビニル系共重合体の酢酸ビニル部分をケン化することにより得ることができ、ケン化度としては、例えば、約95モル%以上、好ましくは98モル%以上、より好ましくは99モル%以上100モル%以下であってもよい。
【0080】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体の数平均分子量は、5000〜40000程度であってもよく、好ましくは8000〜30000程度であってもよい。なお、ここで言うEVOHの数平均分子量とは、GPC法により測定した値である。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、例えば(株)クラレよりエバールの商品名で、また日本合成化学工業(株)よりソアノールの商品名で市販されており、上市されている。また、市販されているエチレンと酢酸ビニルからラジカル重合等によってエチレン/酢酸ビニル共重合体を製造し、それをケン化して使用してもよい。
【0081】
低融点ポリマーの融点は、シャットダウン性を発揮する観点から、100〜200℃であることが必要であり、好ましくは120〜180℃程度、さらに好ましくは130〜170℃程度であってもよい。なお、前記融点の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
【0082】
低融点ポリマー層は、前記低融点ポリマーから形成され、繊維径が1000nm以下のナノファイバーを含むのが好ましい。なお、低融点ポリマー層は、シャットダウン効果を阻害しない範囲で非ナノファイバーを含んでいてもよいが、全てがナノファイバーであるのが好ましい。
【0083】
低融点ポリマーからは、メルトブローン法などの公知又は慣用の方法でナノファイバーを作製しても良いが、静電紡糸法を用いて、ナノファイバーの繊維集合体(すなわち、低融点ポリマー層)を形成するのが好ましい。
【0084】
例えば、低融点ポリマー層を構成する繊維の平均繊維径は、通常10〜1000nm程度であってもよく、好ましくは10〜800nm程度、さらに好ましくは30〜600nm程度であってもよい。なお、前記平均繊維径の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
【0085】
(セパレータの製造方法)
本発明のセパレータの製造方法は、繊維集合体よりなる基材層と電解液膨潤性樹脂層とが一体化している限り特に限定されず、様々な方法が考えられる。例えば、製造方法の一実施態様としては、前記ウレタン樹脂(C)から作製されたシートまたはフィルムを、繊維集合体よりなる支持基材の少なくとも片面に対して貼りあわせて積層する工程を少なくとも含んでいればよい。この場合、前記シートまたはフィルムは、通常、後述する方法により、ウレタン樹脂(C)から形成される。また、他の実施態様としては、繊維集合体よりなる支持基材に対して、前記ウレタン樹脂(C)を含む溶液または分散液を含浸または塗布する工程を含んでいてもよい。
【0086】
本発明のセパレータでは、繊維集合体よりなる基材層と電解液膨潤性樹脂層とが一体化しているが、基材層が繊維集合体であることに由来して、その一体の形態としてはさまざまな形態が考えられる。例えば、電解液膨潤性樹脂層は、基材層中の繊維集合体の内部に含浸した状態で存在していてもよいし、繊維集合体表面に存在していてもよいし、さらに繊維集合体の内部及び表面の双方に存在していてもよい。
【0087】
電解液膨潤性樹脂が基材層の表面に存在している場合、電解液膨潤性樹脂は、基材層の少なくとも一方の面に形成されたシート状物またはフィルム状物であってもよい。また、電解液膨潤性樹脂は、基材層上で形成された面において、少なくとも一部を被覆していればよいが、面全体を被覆するのがより好ましい。
【0088】
電解液膨潤性樹脂は、公知または慣用の方法で、基材層に対して、含浸、塗布または積層などにより適用することができる。例えば、電解液膨潤性樹脂をその可溶性溶媒で希釈した樹脂溶液を作成し、基材層に対して前記樹脂溶液を含浸または塗布することにより、基材層の少なくとも表面に電解液膨潤性樹脂のシート状物またはフィルム状物を形成してもよい。
【0089】
また、基材層を支持体として、電解液膨潤性樹脂をキャスト成形し、電解液膨潤性樹脂のシート状またはフィルム状物を基材層の一方または双方の表面に形成してもよい。また、一旦、電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムを作成した後、得られたシートまたはフィルムを基材層に対して貼り合わせてもよい。得られる電池セパレータの品質安定性の観点からは、電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムを作製した後、得られたシートまたはフィルムを基材層に対して貼りあわせる方法が好ましい。
【0090】
なお、電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムは、複数の層より形成されていてもよく、あらかじめ同一種類または別の種類の複数層より形成された電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムを形成した後、基材に対して貼り合わせたり、1層からなる電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムを基材層に対して貼り合せ、積層体とした後、更にその積層体の電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムに対して、同一種類または別の種類の電解液膨潤性樹脂シートまたはフィルムを貼り合せて積層してもよい。
【0091】
なお、作業工程に応じて、電解液膨潤性樹脂は、予め低融点ポリマー層を積層した耐熱性ポリマー層に対して塗布、含浸、または貼り合わせなどにより適用されてもよい。
【0092】
耐熱性ポリマー層において、耐熱性ポリマー繊維集合体に対する電解液膨潤性樹脂の割合は、たとえば、質量比で(前者)/(後者)=30/70〜90/10程度、好ましくは、40/60〜80/20程度、より好ましくは50/50〜75/25程度であってもよい。
【0093】
次に本発明において、必要に応じて積層する、低融点ポリマー層は、低融点ポリマーを用いた織編物、不織布のいずれであってもよいが、好ましくは不織布であり、さらに好ましくはナノファイバーで形成された不織布である。
【0094】
例えば、低融点ポリマー層がナノファイバーで形成された不織布である場合、その形成方法については、適宜設定することが可能であり、融点が100〜200℃の低融点ポリマーから形成され、繊維径が1000nm以下のナノファイバーを調製して、低融点ポリマー層を形成する低融点ポリマー層形成工程と、前記低融点ポリマー層と、耐熱性ポリマー層及び特殊ウレタンの複合体とを積層する積層工程とを少なくとも含んでいる。
【0095】
また、均一で緻密なナノファイバー層を形成できる観点から、静電紡糸法によりナノファイバー層を形成するのが好ましく、このような場合、セパレータの製造方法は、低融点ポリマーを溶融して得られた溶融液を、紡糸原液として調製する紡糸原液調製工程と、前記紡糸原液を用いて静電紡糸法によりナノファイバーを前記耐熱性ポリマー層に積層して複合する静電紡糸工程と、を少なくとも備えている。
【0096】
静電紡糸工程では、まず、ナノファイバーの紡糸原液を調製する。この紡糸原液は、ポリマーを溶解させることのできる溶媒に溶解させた溶解液でも、ポリマーを溶融させた融解液でも、いずれも紡糸原液として静電紡糸法において用いることができる。
【0097】
溶媒にポリマーを溶解させる場合、均一に粒状ゲル物を無くして溶解したものを紡糸原液とすることができる。溶質であるポリマーの種類に応じて、各種溶媒を利用することができ、溶媒としては、例えば、水、有機溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ベンジルアルコール、フェノール、トルエンなどのアルコール類;アセトン、1,4−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−メチルオキサゾリジン−2−オンなどのケトン類;1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソランなどのエーテル類;ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;酢酸、ギ酸などの有機酸類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類;アセトニトリルなどのニトリル類;ピリジンなどのアミン類;N−メチルモルホリンオキシド、N−エチルモルホリンオキシド、N−プロピルモルホリンオキシド、N−イソプロピルモルホリンオキシド、N−ブチルモルホリンオキシド、N−イソブチルモルホリンオキシド、N−ターシャリーブチルモルホリンオキシドなどのN−アルキルモルホリンオキシド類;メチルホルマート、メチルプロピオネートなどのエステル類;スルホランなどのスルホン類など)等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
一方、ポリマーを溶融させる場合は、溶融ポリマーを用いて静電紡糸を行える限り特に限定されず、例えば、ポリマーを押出機や加熱媒体などで加熱溶融させてから紡糸原液として使用してもよいし、静電紡糸の前に、レーザー光線をポリマーの線状体に照射して、ポリマー線状体を加熱溶融させて紡糸原液としてもよい。
【0099】
次いで、上記紡糸原液を用いて、静電紡糸法によりポリマーを紡糸して、ナノメータサイズの極細繊維の集合体、すなわちナノファイバー層を形成する。
静電紡糸の方法としては特に制限はなく、紡糸原液を供給できる導電性部材に高電圧を印加することで、接地した対極側にナノファイバーを堆積させる方法をとる。これにより、原液供給部から吐出された紡糸原液が帯電分裂され、ついで電場により液滴の一点からファイバーが連続的に引き出され、分割された繊維が多数拡散する。ポリマーの濃度が10%以下であっても、溶媒は繊維形成と細化の段階で乾燥しやすく、原液供給部より数cm〜数十cm離れた設置された捕集ベルトあるいはシートに堆積する。堆積と共に半乾燥繊維は微膠着し、繊維間の移動を防止し、新たな微細繊維が逐次堆積し、緻密なシート状のナノファイバー層が得られる。
【0100】
電解液膨潤性樹脂層と基材層との複合体は、必要に応じて、さらにエンボスやカレンダーによる熱圧融着工程を行って、複合体内の接着性(または一体性)を向上させてもよい。また、複合体は、必要に応じて冷間プレスによって目的とする厚さに調整してもよい。
【0101】
(電池用セパレータ)
このようにして得られた電池用セパレータは、総目付が、例えば5〜45g/m
2程度、好ましくは6〜25g/m
2程度、さらに好ましくは7〜20g/m
2程度の範囲であってもよい。
【0102】
基材層は支持体としての役割を持っており、実際の電池の生産工程に耐えうる強力物性が必要なため、基材層は、目付として6〜20g/m
2程度を有するのが好ましく、より好ましくは8〜15g/m
2程度であってもよい。目付が小さすぎると、生産工程に耐えうる強力を確保できない可能性がある。一方、目付が大きすぎると基材の厚みが厚くなりすぎ、電極間距離が遠くなるため、電池抵抗が上昇してしまう虞がある。なお、前記目付の測定方法については、以下の実施例に記載されている。
【0103】
また、電池用セパレータの厚みは、例えば8〜50μm程度、好ましくは10〜30μm程度であってもよい。なお、前記厚みの測定方法については、以下の実施例に記載されている。
【0104】
さらに、電池用セパレータの密度は、例えば0.3〜1.0g/cm
3程度、好ましくは0.4〜0.9g/cm
3程度であってもよい。
【0105】
さらに、本発明の電池用セパレータは、取り扱い性の観点から、例えば、0.7kg/15mm以上(例えば0.7〜3kg/15mm程度)の強力を有していてもよく、好ましくは1.2〜2kg/15mm程度であってもよい。なお、前記強力の測定方法については、以下の実施例に記載されている。
【0106】
また、セパレータの吸液量は、例えば、1.5g/g以上(例えば、1.5〜8g/g程度)であってもよく、好ましくは3〜8g/g程度、より好ましくは5.5〜7.5g/gであってもよい。なお、前記吸液量の測定方法については、以下の実施例に記載されている。
【0107】
さらに、本発明のセパレータの透気度は電解液膨潤性樹脂層と基材層とが一体化されているため、例えば、5000秒/100cc以上であってもよい。なお、前記透気度の測定方法については、以下の実施例に記載されている。
【0108】
さらにまた、本発明の電池用セパレータは、特に、電解液の熱分解により発生するフッ化水素に対する耐性に優れていているのが好ましく、例えば、電池用セパレータは、1mol%の6フッ化リン酸リチウム液中、100℃、30分放置した後の重量減少率が、2%以下であるのが好ましく、より好ましくは1%以下であるのが好ましく、特に0%であるのが好ましい。なお、前記重量減少率の測定方法については、以下の実施例に記載されている。
【0109】
本発明の電池用セパレータは、高出力型の電池に対応しており、初期抵抗値が、例えば0.5〜10Ω程度、好ましくは1〜8Ω程度であってもよい。また、必要により積層する低融点ポリマー層が存在すると、シャットダウン特性に優れるため、セパレータを、[(低融点ポリマー層を構成する低融点ポリマーの融点)+10]℃で、30分加熱した後の抵抗値は、加熱前の初期抵抗値の2倍以上(例えば、2〜300倍程度)、好ましくは3〜200倍程度、さらに好ましくは10〜150倍程度であってもよい。なお、前記初期抵抗値および加熱後の抵抗値の測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
【0110】
(非水系電池)
本発明は、前記セパレータを用いた非水系電池も包含する。非水系電池の基本的な構造は、正極と、負極と、非水電解液と、セパレータとを備え、その他、必要に応じて非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。本発明の非水系電池は、その形状には特に制限されず、コイン型、ボタン型、ペーパー型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。
【0111】
本発明の非水系電池の正極活物質は一次電池と二次電池で一部異なり、例えば、非水電解液一次電池の正極活物質としては、フッ化黒鉛[(CF)
n]、MnO
2、V
2O
5、SOCl
2、SO
2、FeS
2、CuO、CuS等が好適に挙げられる。これらの正極活物質は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、高エネルギー密度が可能であると共に安全性にも優れるため、フッ化黒鉛、MnO
2が好ましい。
【0112】
また、非水電解液二次電池の正極活物質としては、V
2O
5、Nb
2O
5等の金属酸化物、Li
(1−m)NiO
2、Li
(1−m)MnO
2、Li
(1−m)Mn
2O
4、Li
(1−m)CoO
2、Li
(1−m)FeO
2等のリチウム含有複合酸化物(ここで、0≦m<1.0)、LiFePO
4などのポリアニリン系リチウム繊維金属化合物等の導電性ポリマー等が挙げられる。これらの正極活物質は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、高エネルギー密度が可能であると共に安全性にも優れるため、層状構造またはスピネル構造のLi
(1−m)CoO
2、Li
(1−m)NiO
2、Li
(1−m)MnO
2が好ましく、特に、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4が好ましい。
【0113】
本発明の非水系電池の負極活物質は一次電池と二次電池で一部異なり、例えば、非水電解液一次電池の負極活物質としては、リチウム金属、Mg−Li合金、Al−Li合金などのリチウム合金等が挙げられる。これらの負極活物質は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0114】
一方、非水電解液二次電池の負極活物質としては、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そのなかでも特に炭素材料を用いることが好ましい。炭素材料は比表面積が比較的大きくでき、リチウムの吸蔵、放出速度が速いため大電流での充放電特性、出力・回生密度に対して良好となる。特に、出力・回生密度のバランスを考慮すると、充放電に伴い電圧変化の比較的大きい炭素材料を使用することが好ましい。
【0115】
また、このような炭素材料を負極活物質に用いることで、より高い充放電効率と良好なサイクル特性とが得られる。なお、負極活物質として炭素材料を用いた場合には、必要に応じて、導電材および結着材を負極活物質に混合して負極合材を得て、この負極合材を集電体に塗布して用いることが好ましい。
【実施例】
【0116】
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において、各物性値は以下のようにして測定した。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
【0117】
[平均繊維径(nm)]
基材層において、顕微鏡により倍率5000倍で撮影した不織布構成繊維の断面の拡大写真から、無作為に100本の繊維を選び、それらの繊維径を測定し、その平均値を平均繊維径とした。
【0118】
[ポリマー融点(℃)]
試料50mgを示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製:DSC6200)により測定し吸熱ピーク値を融点とした。
【0119】
[目付(g/m
2)]
JIS P 8124「紙のメートル坪量測定方法」に準じて測定した。
【0120】
[厚さ(μm)]
JIS P 8118「紙及び板紙の厚さと密度の試験方法」に準じて測定した。
【0121】
[強力(kg/15mm)]
JIS P 8113「紙及び板紙の引張特性の試験方法」に準じて測定した。
【0122】
[吸液量 g/g]
50mm×50mmの試料を1mol%の4フッ化ホウ酸リチウム液(キシダ化学(株):1mol/L LiBF
4/EC:EMC (3:7)v/v%)(23℃)に浴比1/100の条件で30分浸漬し、30秒間自然液切りした後の試料重量を測定し、保液された液体の重量を浸漬前の試料重量で除することによって吸液量を算出した。
【0123】
[透気度 秒/100cc]
JIS P 8117に準じガーレ式透気度試験器を用いて測定した。
【0124】
[耐電解液性 (%)]
予め秤量した試料サンプル(5×5cm)に対して、1mol%の6フッ化リン酸リチウム液(キシダ化学(株);1mol/L LiPF
6/EC:EMC(3:7)v/v%)を加え、100℃で30分放置した後、試料サンプルを取り出し、水洗、乾燥した試料サンプルの重量を測定し、6フッ化リン酸リチウム液へ浸漬する前後の試料サンプルの重量減少率(%)を求めた。
【0125】
[初期抵抗値(Ω)]
試料を、1mol%の4フッ化ホウ酸リチウム液(キシダ化学(株):1mol/L LiBF
4/EC:EMC (3:7)v/v%)に20℃、30分浸漬し、保液十分な状態(30秒液切りした状態)で、測定雰囲気(20℃×65%RH)にてインピーダンス測定器(国洋電気工業(株)製:KC−547 LCR METER)で測定した。
抵抗値が5Ω以下の試料ならば低抵抗となり、高出力の非水系電池が作製可能なことから○と判定した。それ以上は抵抗が高すぎ、非水系電池として劣ったものとなってしまうため×と判定した。
【0126】
[加熱後抵抗値(Ω)]
ステンレス製密閉容器内に電解液1mol%の6フッ化リン酸リチウム液(キシダ化学(株):1mol/L LiPF
6/EC:EMC (3:7)v/v%)と試料を投入し、オイルバス中で、[(低融点ポリマー層を構成する低融点ポリマーの融点+10)]℃で30分加熱し、加熱後の試料を、保液十分な状態(30秒液切りした状態)で、測定雰囲気(20℃×65%RH)にてインピーダンス測定器(国洋電気工業(株)製:KC−547 LCR METER)で測定した。
加熱前の抵抗値に対し、抵抗値が2倍以上に向上しているサンプルをシャットダウン特性が発現している○と判定し、それ以下を×とした。
【0127】
(実施例1)
(1)ウレタン樹脂組成物の調製
温度計、撹拌装置、還流冷却管、及び窒素導入管を備えた4ツ口フラスコに、メチルエチルケトン500質量部を仕込み、次いで前記反応容器中にポリオキシエチレンモノメチルエーテルメタクリレート(ポリオキシエチレン鎖の数平均分子量500)485質量部と3−メルカプト−1,2−プロパンジオール15質量部を供給し、反応させることによって、ビニル重合体の全量に対するポリオキシエチレン鎖の割合が95質量%である数平均分子量6000で片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−1)を得た。
【0128】
次いで、前記ビニル重合体(a1−1)50質量部と、ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量1500)150質量部、1,4−ブタンジオール15質量部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート100質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン300質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン200質量部を追加し、さらに反応を継続した。
【0129】
反応物の重量平均分子量が80000から120000の範囲に達した時点で、メタノール3質量部投入することで反応を終了し、更に希釈溶剤としてメチルエチルケトン175質量部を追加することによって、ウレタン樹脂を含む不揮発分30質量%のウレタン樹脂組成物(X−1)を得た。
【0130】
(2)不織布層(耐熱性ポリマー層)の製造
1.7dtex、長さ3mmの溶剤紡糸セルロース繊維(コートールズ社製、テンセル)をパルパーとファイバライザーにて叩解し、CSF100mlのフィブリル化物とした。この繊維を主体繊維とし、ポリビニルアルコール系繊維((株)クラレ製、「VPB105-2」)をバインダー繊維として、主体繊維:バインダー繊維の重量比が80:20となるような量で添加してスラリーを調製した。
このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、ドライヤー温度130℃で乾燥を行い、坪量10.9g/m
2、厚さ15μmの耐熱性ポリマー層を作製した。
【0131】
(3)上記にて製造した不織布、ウレタン樹脂組成物(X−1)を用いて、下記の方法にて電池セパレータを製造した。
下記の処方で樹脂溶液1を調製し、ナイフコータを用い離型紙上に全面塗布し、100℃で乾燥させた後、厚さ14μmの電解液膨潤性樹脂フィルム1を形成した。
【0132】
樹脂溶液1
ウレタン樹脂組成物(X−1) 100質量部
ジメチルホルムアミド 15質量部
メチルエチルケトン 15質量部
【0133】
次に、樹脂溶液2を調製し、ナイフコータを用い離型紙上に形成された電解液膨潤性樹脂フィルム1上に全面塗布し、100℃で乾燥させた後、厚さ14μmの電解液膨潤性樹脂フィルム2を形成した。
【0134】
樹脂溶液2
ウレタン樹脂組成物(X−1) 100質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
トルエン 20質量部
【0135】
そして、前記不織布と、電解液膨潤性樹脂フィルム2とを重ね合わせ、ニップロールを用いて貼り合わせた。その後、70℃にて72時間エージングした後、離型紙を剥離して電池セパレータを得た。得られたセパレータの性能を表1に示す。
【0136】
(実施例2)
前記ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量1500)150質量部の代わりに、ポリオキシプロビレングリコール(数平均分子量1500)を150質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で不揮発分30質量%のウレタン樹脂組成物(X−2)を得た。実施例1のウレタン樹脂組成物(X−1)に代えて、このウレタン樹脂組成物(X−2)を用いる以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。得られたセパレータの性能を表1に示す。
【0137】
(実施例3)
前記ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量1500)150質量部の代わりに、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合体(数平均分子量1500)を150質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方
法で不揮発分30質量%のウレタン樹脂組成物(X−3)を得た。実施例1のウレタン樹脂組成物(X−1)に代えて、このウレタン樹脂組成物(X−3)を用いる以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。得られたセパレータの性能を表1に示す。
【0138】
(実施例4)
実施例1の(3)加工以後に(4)として以下の処理を行った。
(4)低融点ポリマー層の形成
まず融点160℃のエチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製:EVAL−G)を14質量%となるようにDMSO溶媒に投入後、25℃で静置溶解し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を用い、紡糸装置にて静電紡糸を行った。
紡糸装置では、口金として内径が0.9mmのニードルを使用し、口金と形成シート引取り装置との間の距離は8cmとした。また、形成シート引取り装置に前記(3)で得られたシートを巻き付けた。次いでコンベア速度0.1m/分、原液を所定の供給量で口金から押し出し、口金に20kV印加電圧を与えて、耐熱性ポリマー層上に平均繊維径が200nmのナノファイバーを3.2g/m
2になるよう積層させた。
【0139】
このようにして得られた複合体を、さらに130℃で熱プレス処理し、耐熱性ポリマー層と低融点ポリマー層とを一体化した。得られたセパレータの性能を表1に示す。
【0140】
(比較例1)
(1)ウレタン樹脂組成物の調製
前記ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量1500)150質量部の代わりに、アジピン酸と1,4−ブタンジオールとを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量1500)を150質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で不揮発分30質量%の比較用ウレタン樹脂組成物(X’−1)を得た。実施例1のウレタン樹脂組成物(X−1)に代えて、このウレタン樹脂組成物(X’−1)を用いる以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。得られたセパレータの性能を表2に示す。
【0141】
(比較例2)
温度計、撹拌装置、還流冷却管、及び窒素導入管を備えた4ツ口フラスコに、メチルエチルケトン450質量部を仕込み、次いで前記反応容器中にポリオキシエチレンモノメチルエーテルメタクリレート(ポリオキシエチレン鎖の数平均分子量1000)400質量部と3−メルカプト−1,2−プロパンジオール7質量部を供給し、反応させることによって、ビニル重合体の全量に対するポリオキシエチレン鎖の割合が95質量%である数平均分子量7000で片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(Y−1)を得た。
【0142】
次いで、温度計、窒素導入管、及び撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記ビニル重合体(Y−1)50質量部と、ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量1500)150質量部、1,4−ブタンジオール15質量部及び4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート100質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン300質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン200質量部を追加し、さらに反応を継続した。
【0143】
反応物の重量平均分子量が80000から120000の範囲に達した時点で、メタノール3質量部投入することで反応を終了し、更に希釈溶剤としてメチルエチルケトン175質量部を追加することによって、ウレタン樹脂を含む不揮発分30質量%の比較用ウレタン樹脂組成物(X’−2)を得た。
【0144】
そして、実施例1のウレタン樹脂組成物(X−1)に代えて、このウレタン樹脂組成物(X’−2)を用いる以外は、実施例1と同様にセパレータを作製した。得られたセパレータの性能を表2に示す。
【0145】
(比較例3)
不織布よりなる基材層(2)を省略すること以外は実施例1と同様に作製した。得られたセパレータの性能を表2に示す。
【0146】
(比較例4)
二軸押出機にポリエチレン(三井化学(株)製:5202B)100質量部を供給し、流動パラフィン120質量部を二軸押出機のシリンダーに設けた注入口から注入して220℃で十分に溶融混練を行うことによりポリエチレン溶液を調製し、二軸押出機の先端に取り付けたTダイからポリエチレン溶液をシート状に押し出し冷却した。このシートを二軸延伸機にセットし、115℃で7×7倍に同時二軸延伸を行い、メチルエチルケトンで流動パラフィンを抽出してポリエチレン微多孔フィルムを得た。得られた微多孔フィルムの性能を表2に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
実施例1〜4のセパレータは、ウレタン樹脂の電解液に対する膨潤性が高いためいずれも初期抵抗が低く、高出力の非水系電池用セパレータとして申し分ない性質を示す。さらに、これらの実施例では、セパレータの強力も高く、製造時における取り扱い性に優れている。さらに、フッ化水素に対する耐性も高く、電解液の分解により発生するフッ化水素(HF)に対してもセパレータの重量は全く変化していない。
【0150】
低融点ポリマー層が存在する実施例4では、低融点ポリマーが異常発熱で溶融して皮膜を形成できるため、加熱後抵抗値が加熱前の抵抗値の8.2倍となり、良好なシャットダウン特性をも示している。
【0151】
一方、比較例1のセパレータは、イオン伝導度が低いため、非水系電池のセパレータとしては使用できるものではない。
【0152】
比較例2のセパレータは、イオン伝導度は有するものの、機械安定性が低下することから、非水系電池のセパレータとしては使用できるものではない。
【0153】
比較例3のセパレータは、強力が低く、セパレータの損傷が発生しやすいため、加工性が悪く非水系電池のセパレータとしては使用できるものではない。
【0154】
比較例4の微多孔フィルムでは初期抵抗が高いため、非水系電池のセパレータとして使用したときに電池の内部抵抗が高くなり、高出力が得られないばかりか、溶融によるシャットダウン特性はあるものの、異常発熱が進み、より高温となったときにシート形態を保っていないため極材同士が接触してさらに危険が増す場合があり、安全機能としては不十分なものとなる。