特許第5828580号(P5828580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5828580
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】絞り機構
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/06 20060101AFI20151119BHJP
   G03B 9/02 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   G03B9/06
   G03B9/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-11931(P2011-11931)
(22)【出願日】2011年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-155005(P2012-155005A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】銘苅 春隆
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆行
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−228358(JP,A)
【文献】 特開平10−268376(JP,A)
【文献】 特開2009−116258(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0205671(US,A1)
【文献】 実開平07−026831(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/06
G03B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円の中心に配置した、内側から外側へ遮蔽面積が増大する第1の絞り機構であって、
前記絞り機構が、複数枚の扇状薄板を備え、
前記複数枚の扇状薄板を、円形を形成するように、扇形の要(かなめ)部分を前記円の中心方向に、扇形の扇沿部分を前記円の円周方向に配置して、互いに重なり合わせ、
前記複数枚の扇状薄板を、扇形の扇沿近傍において、留め具により相互に回動可能に固定し、
更に、前記扇状薄板の各々の、扇形の要部分に、円の中心から半径方向外側に延びる長穴を設け、
前記扇状薄板の各々の、前記長穴を、連結用留め具で、回転及び摺動可能に締結し、
前記扇状薄板を前記円の円周方向の一方の方向に駆動すると、前記複数枚の扇状薄板が、前記円の内側から外側へ前記円の直径を増加し、逆の方向に駆動すると、前記円の外側から内側へ前記円の直径を減少するように開閉し、
前記円の中心部の遮蔽面積を変化させる、第1の絞り機構と、
前記円の円周方向の一方の方向に駆動すると外側から内側へ遮蔽面積が増大し、逆の方向に駆動すると内側から外側へ遮蔽面積が減少するように、前記円の外縁部の遮蔽面積を変化させ第2の絞り機構と、
を備え、
前記第1の絞り機構を、前記円の中心部に配置し、
前記第2の絞り機構を、前記円の外縁部に配置して、
前記第1の絞り機構と、前記第2の絞り機構との間に、リング状の開口部を形成し、
前記第1の絞り機構と、前記第2の絞り機構とを、それぞれ独立に、又は連動させて操作し、
前記第1の絞り機構と前記第2の絞り機構の開閉方向を任意に変化させて、前記リング状の開口部のリング直径と、前記リング状の開口部の開口面積と、を任意に変化させる、
リング型絞り機構。
【請求項2】
前記第1の絞り機構について、
前記複数枚の扇状薄板のうち、重なり合った最下部に設置された扇状薄板において、
前記長穴を、更に、円の中心から偏心した固定ピンと係合させ、前記固定ピンに沿って摺動可能とすることにより、前記最下部に設置された扇状薄板が、前記固定ピンに沿った直線運動のみを行い、前記最下部に設置された扇状薄板以外の扇状薄板が、回転運動を行い、
前記複数枚の扇状薄板のうち、重なり合った最上部に設置された扇状薄板の円周方向の回転角度と、前記絞り機構の直径とが、対応する関係を有する、
請求項1に記載のリング型絞り機構。
【請求項3】
前記第2の絞り機構が、複数枚の弓形薄板と、2つのリング状の板と、を備え、
前記複数枚の弓形薄板のそれぞれの両端部に、それぞれピンを取り付け、
一方の端部の前記ピンを、一方のリング状の板に等間隔に開けた穴に、回転可能に係合させ、
他方の端部の前記ピンを、他方のリング状の板に放射状に開けた細長い穴に、摺動可能に係合させ、
前記複数枚の弓形薄板を、前記2つのリング状の板の間に挟み、絞り羽根として組み合わせ、前記2つのリング状の板を、相対的に回転させることによって、前記複数枚の弓形薄板で形成する前記第2の絞り機構の遮蔽面積を、同心円状に開閉させる、請求項1又は2に記載のリング型絞り機構。
【請求項4】
更に、前記第1の絞り機構と前記第2の絞り機構の開閉速度を任意に変更させる、請求項1から3のいずれか1項に記載のリング型絞り機構。
【請求項5】
前記第1の絞り機構と前記第2の絞り機構の動作を一体で又は個別に制御する制御システムを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のリング型絞り機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り機構に関する。
【背景技術】
【0002】
絞り機構は、カメラや光学顕微鏡など様々な光学機器に利用されている。また、絞り機構は、流体の流量制御機器にも利用されている。
【0003】
光学分野における絞り機構の利用を説明すると、カメラで感光フィルムなどに結像させる場合には、感光フィルムの受光量が許容量を超えると、意図する撮影結果を得られなくので、過度な受光量を防ぐために絞りを利用して受光量の調節が行われる。デジタルカメラ等の固体撮像素子を用いる場合にも、受光の際に発生する電荷が飽和して撮影できなくなることを防ぐために、調節可能な絞り機構を内蔵しているものがある。
【0004】
また、球体表面を対象とした光の照射系で、絞り機構が使用されることがある。すなわち、人間の網膜は、各個人に固有なパターンを有しており、基本的に一生変化することがないため、個人を特定することができ、これを利用した個人認証技術がある。この個人認証技術では、光の照射系で、絞り機構を使用している。網膜は、目の後方に位置する薄い神経細胞組織である。網膜に血液を供給する毛細血管は、非常に複雑な構造をしており、さらに網膜上の血管は周囲の細胞よりも光の吸収率が高いために、適切な光を網膜に照射することにより、網膜上の血管経路を識別することができる。このような網膜スキャンは、低エネルギーの赤外線を照射して行われ、スキャン後に得られた網膜情報は、コンピュータで保存・照会できるように符号化される。人間の目を対象とした個人認証技術には、他に虹彩認識がある。目の瞳孔周辺の虹彩は複雑な模様を有しており、個人を特定するのに充分な多様性がある。虹彩認証では、透明な角膜を通して虹彩の高解像度の画像を撮像するために、角膜からの鏡面反射を防ぐ理由から、微弱な赤外線を照射してカメラ撮影する。虹彩認識は、眼鏡やコンタクトレンズを使用している場合でも適用可能であり、高い認識力が特徴の一つとなっている。
【0005】
上述のような光学絞り機構では、結像面に入る光量を制限するため、絞り機構の開口部を小さくすると、情報量が減少し、ノイズの影響を受けやすくなる。そのため、鮮明な画像を得るためには、飽和しない程度のできる限り多くの光量を確保することが必要である。光学絞り機構には、物理的に光量を調節するために、光を遮り、一部の光だけを通す板状のもの、又は、遮蔽板に空けた孔から構成されているもの、等がある。光学絞り機構は、光を吸収させるために、通常は黒色をしており、孔の大きさを微調整できるように、複数の遮蔽板を重ね合わせたものもある。絞り機構の孔すなわち開口部の形状は、円形又は多角形が多い。本願の以下の記載において、絞り機構の開口部に関する「円」、「円形」という記載には、「円形」に近似できる「多角形」を含むものとする。
【0006】
特許文献1には、異なる形状を有するアパーチャーを取り替えることによって、露光光源から放射された光ビームを成形する手法が、開示されている。また、特許文献2には、比較的光量の強い光ビームの中心部分を、ワイヤーグリッドアパーチャーで遮蔽することによって、偏光方向を調節した光ビームを光ディスクに照射し、アパーチャーの開口部を変化させることができる光学ピックアップ装置が、開示されている。上記2件の手法では、アパーチャーの開口部の形状が固定されており、光ビームの成形形状を変更するためには、光ビームの照射を一旦停止し、アパーチャーを切り換えるしかない。特許文献3には、左右対称の開口部形状を有する二枚の絞り板を、長穴を通して、ピンによってピン留めし、相反した方向にスライド移動させることによって、光ビームの形状を連続的に変化させる手法が、開示されている。しかし、特許文献3のアパーチャーの開口部の形状は、円形又はリング状ではなく、円形又はリング状に開口部の大きさを増減させることはできない。一方、特許文献4には、基板を、蒸発源を中心として円弧状に配置し、蒸発源と基板との間に円盤形状の遮蔽板を導入し、蒸発源と遮蔽板との距離を増減させることによって、グラデーション濃度分布を有するNDフィルターを製造する手法が、開示されている。しかし、特許文献4の手法は、蒸発源に対して可変マスクを提供するものであり、光のような回折効果を有する光源と基板との間に大きな空隙を設けることのできないフォトリソグラフィーでは、利用できない。また、特許文献5には、複数の羽根板を利用した開口絞り機構に対して、ピンホールを併用した絞り機構が、開示されており、特許文献6には、テレセントリックレンズ部と開口絞り機構とを併用した、画像測定装置の事例が、開示されているが、いずれも、単に外側から内側へ遮蔽面積が増大する開口絞り機構に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10‐189411号公報
【特許文献2】特開平09‐212896号公報
【特許文献3】特開平07‐234436号公報
【特許文献4】特開2004‐212463号公報
【特許文献5】実開平07‐026831号公報
【特許文献6】特開2003‐232999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光を照射する対象物が、球表面や円錐表面のような場合、照射位置が対称中心軸より離れるに従って、光源と照射位置との距離が変化する。この場合、距離に応じて光の照射強度が減衰してしまう。通常の絞り機構は、球表面や円錐表面のような対象物に対して、一律な強度の光を同条件で照射するものであるために、中心部と周辺部とでは、対象物に対する光の照射量が不均一になる。
【0009】
そこで、本発明は、本発明の絞り機構を光学絞り機構として利用した場合に、光源と照射位置との相対距離に応じた照射条件で光を照射し、照射位置に依存しない均一な光量を、連続的に照射することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上述の絞り機構を、光学絞り機構として利用するのみならず、本発明の絞り機構の特徴を生かして、様々な分野へ応用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、円の中心に配置した、内側から外側へ遮蔽面積が増大する第1の絞り機構であって、絞り機構が、複数枚の扇状薄板を備え、複数枚の扇状薄板を、円形を形成するように、扇形の要(かなめ)部分を円の中心方向に、扇形の扇沿部分を円の円周方向に配置して、互いに重なり合わせ、複数枚の扇状薄板を、扇形の扇沿近傍において、留め具により相互に回動可能に固定し、更に、扇状薄板の各々の、扇形の要部分に、円の中心から半径方向外側に延びる長穴を設け、扇状薄板の各々の、長穴を、連結用留め具で、回転及び摺動可能に締結し、扇状薄板を円の円周方向の一方の方向に駆動すると、複数枚の扇状薄板が、円の内側から外側へ円の直径を増加し、逆の方向に駆動すると、円の外側から内側へ円の直径を減少するように開閉し、円の中心部の遮蔽面積を変化させる、第1の絞り機構と、円の円周方向の一方の方向に駆動すると外側から内側へ遮蔽面積が増大し、逆の方向に駆動すると内側から外側へ遮蔽面積が減少するように、円の外縁部の遮蔽面積を変化させ第2の絞り機構と、を備え、第1の絞り機構を、円の中心部に配置し、第2の絞り機構を、円の外縁部に配置して、第1の絞り機構と、第2の絞り機構との間に、リング状の開口部を形成し、第1の絞り機構と、第2の絞り機構とを、それぞれ独立に、又は連動させて操作し、第1の絞り機構と第2の絞り機構の開閉方向を任意に変化させて、リング状の開口部のリング直径と、リング状の開口部の開口面積と、を任意に変化させる、リング型絞り機構が提供される。
【0012】
すなわち、請求項1の発明では、内側から外側に展開する第1の絞り機構と、外側から内側に展開する第2の絞り機構と、を組み合わせることにより、リング状の開口部を形成し、このリング状の開口部のリング直径や開口面積を変更することができ、また、第1の絞り機構と第2の絞り機構とは、個別に独立して開閉することができ、又は、両者を機械的に又は作用的に接続して連動させ、1の操作で両者を開閉させることができ、これによって、このリング型絞り機構を例えば光学絞りとして利用する場合には、リング状の開口部を通過する光の位置と光量とを任意に変化させることができる。
そして、第1の絞り機構は、円の内側から外側へ円の直径を増加させ、円の外側から内側へ円の直径を減少させるように開閉し、遮蔽面積を変化させる。第1の絞り機構においては、複数枚の扇状薄板を、全体が円形となるように、互いに重なるように配置しており、扇状薄板を、中心から外側に向かって又は中心の周りに押し引きすることにより、内側から外側に展開する遮蔽面積を、変化させる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第1の絞り機構について、複数枚の扇状薄板のうち、重なり合った最下部に設置された扇状薄板において、長穴を、更に、円の中心から偏心した固定ピンと係合させ、固定ピンに沿って摺動可能とすることにより、最下部に設置された扇状薄板が、固定ピンに沿った直線運動のみを行い、最下部に設置された扇状薄板以外の扇状薄板が、回転運動を行い、複数枚の扇状薄板のうち、重なり合った最上部に設置された扇状薄板の円周方向の回転角度と、絞り機構の直径とが、対応する関係を有する、請求項1に記載のリング型絞り機構が提供される。
【0014】
すなわち、請求項2の発明では、円の内側から外側へ円の直径を増加させるように開閉し、遮蔽面積を変化させる、第1の絞り機構において、最下部の扇状薄板には、直径方向の直線運動のみをさせ、遮断面の中心が移動せず、また、中心となる締結部分で自由回転をしないように構成した。この場合、開閉運動を行っても、最下部に設置される扇状薄板が扇状薄板を止めるためのピンと干渉しないように、最下部に設置される扇状薄板には、他の扇状薄板よりも長い穴を設けることが好ましい。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、第2の絞り機構が、複数枚の弓形薄板と、2つのリング状の板と、を備え、複数枚の弓形薄板のそれぞれの両端部に、それぞれピンを取り付け、一方の端部のピンを、一方のリング状の板に等間隔に開けた穴に、回転可能に係合させ、他方の端部のピンを、他方のリング状の板に放射状に開けた細長い穴に、摺動可能に係合させ、複数枚の弓形薄板を、2つのリング状の板の間に挟み、絞り羽根として組み合わせ、2つのリング状の板を、相対的に回転させることによって、複数枚の弓形薄板で形成する第2の絞り機構の遮蔽面積を、同心円状に開閉させる、請求項1又は2に記載のリング型絞り機構が提供される。
【0020】
すなわち、請求項の発明では、外側から内側へ展開する第2の絞り機構において、複数枚の弓形薄板を、全体がリング状となるように、互いに重なり合うように配置して、第2の絞り機構の外側から内側に展開する遮蔽面積を変化させる。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、更に、第1の絞り機構と第2の絞り機構の開閉速度を任意に変更させる、請求項からのいずれか1項に記載のリング型絞り機構が提供される。
【0022】
すなわち、請求項の発明では、例えば第1の絞り機構と第2の絞り機構とを、それぞれ、電動モータによって駆動し、この電動モータの駆動速度を変化させることによって、リング状の開口部のリング直径や開口面積を任意に変化させることに加え、リング直径や開口面積の変化の速度を、任意に変更させる。
【0023】
請求項に記載の発明によれば、第1の絞り機構と第2の絞り機構の動作を一体で又は個別に制御する制御システムを備える、請求項からのいずれか1項に記載のリング型絞り機構が提供される。
【0024】
すなわち、請求項の発明では、例えば第1の絞り機構と第2の絞り機構とを、それぞれ電動モータによって駆動し、又は第1の絞り機構と第2の絞り機構とを連結して1の電動モータによって駆動し、更に、これらの電動モータをコンピュータ制御することにより、リング直径や開口面積の変化や、変化の速度を、様々な形状の対象物に対応して、均一な光の照射量となるように、又は意図的に光の照射量を変化させて、自動的に制御することができ、有利である。
【発明の効果】
【0025】
各請求項に記載の発明によれば、本発明の絞り機構を、光学絞り機構として利用した場合に、光源と照射位置との相対距離に応じた照射条件で光を照射し、照射位置に依存しない均一な光量を、連続的に照射するという、共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明をリング型絞り機構に適用した場合の、実施形態の概略構成を説明する上面組立図であり、(a)は開口部のリング直径が最大の場合であり、(b)は開口部のリング直径が最小の場合である。
図2】絞りの原理を説明する図であり、(a)は、スルーホールによる光ビームの成形を示す図であり、(b)は、フォトマスクによる光ビームの成形を示す図である。
図3】開閉機能付の開口絞り機構を用いた光ビームの成形を示す図であり、(a)は絞りの開口部直径が最大の場合であり、(b)は絞りの開口部直径が最小の場合である。
図4】本発明をリング型絞り機構に適用した場合の、実施形態の概略構成を説明する図であり、(a)は開口部のリング直径が最大の場合であり、(b)は開口部のリング直径が最小の場合である。
図5】本発明のリング型絞り機構を立体表面への露光に使用する場合の概念図であり、(a)は開口部のリング直径が最大の場合であり、(b)は開口部のリング直径が最小の場合である。
図6】(a)は、図5のリング型絞り機構のリング直径とギャップ距離の関係を示すグラフであり、(b)は、図5のリング型絞り機構のリング直径と光の成形ビーム強度の関係を示すグラフである。
図7】光をリング型絞り機構で成形したリング状ビームを照射する同心円状立体構造体の例であり、(a)は半球体外表面、(b)は半球体内表面、(c)は円錐体外表面、(d)は円錐体内表面である。
図8】本発明のリング型絞り機構に利用する第1の絞り機構の一実施形態の分解図である。
図9】本発明のリング型絞り機構に利用する第2の絞り機構の一実施形態の分解図である。
図10】本発明を、リング型絞り機構に適用した場合の、別の実施形態の概略構成を説明する図である。
図11】本発明のリング型絞り機構を利用する一利用例の原理を説明する、斜視図である。
図12図11に示すリング型絞り機構の一利用例の原理を説明する、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、複数の添付図面において、同一又は相当する部材には、同一の符号を付している。
【0028】
まず、絞りの原理について説明する。図2(a)は、スルーホールによる光ビームの成形を示す図であり、光源から発生した光1は、中心部に円形の開口部3を有するアパーチャー2によって成形され、外周部の一部が遮蔽され、中心部の光ビームだけが通過し、光照射ステージ4の表面に照射される。一方、図2(b)は、光ビームの成形に平板形状のフォトマスク6を利用した場合を例示している。フォトマスク6は、光を透過する基材5と光を遮蔽する部分7とから構成されており、光源から発生した光1は、フォトマスク6の中央部分の円形マスクパターンで遮蔽される。フォトマスク6の、光を透過する基材5の、遮蔽されていない部分を透過した光は、光照射ステージ4の表面に照射される。しかし、上記2つの手法では開口部は固定されており、開口部の形状を連続的に変化させることができない。
【0029】
次に、図3を参照しながら開閉機能付きの開口絞り機構について説明する。開口絞り機構10では、複数枚の薄板の羽根板が互いに重なり合うように配置され、相互の羽根板を係合させる機構によって、開口直径を変化させることができる。図3(a)は開口部の面積が最大の場合の開口絞り機構10を示しており、図3(b)は開口部の面積が最小の場合の開口絞り機構10を示している。開口絞り機構10は、最大開口時と最小開口時の間の任意の中間位置に設定することが可能であり、開口直径を連続的に変更することができる。この開口絞り機構10に対して、光源として、均一の強度分布を有する光源を利用した場合、開口部を通過して成形された光ビームは、均一の強度分布を有しており、この光ビームを照射する対象物が球状表面や円錐表面の場合には、光源と照射位置との間の距離が変化するため、照射対象物の中心部と周辺部との照射量が不均一となる。
【0030】
そこで、本発明では、図4に示したリング型絞り機構を提案する。図4は、本発明のリング型絞り機構の原理を、模式的に示したものであり、本発明のリング型絞り機構は、内側から外側へ遮蔽面積が増大する第1の絞り機構18と、外側から内側へ遮蔽面積が増大する第2の絞り機構19とが、同心円上に配置されており、それぞれの絞り機構は独立して、又は連動して開閉動作を行うことができる。第2の絞り機構19は、図3で説明した、開口絞り機構である。光源から発生した光1は、本発明のリング型絞り機構において、周辺部に配置された、外側から内側へ遮蔽面積が増大する第2の絞り機構19と、中央部に配置された、内側から外側へ遮蔽面積が増大する第1の絞り機構18と、によって形成された、リング状の開口部20を通過し、光照射ステージ4の表面に照射される。図4(a)はリング状の開口部20のリング直径が最大の場合を示しており、図4(b)はリング状の開口部20のリング直径が最小の場合を示している。本発明のリング型絞り機構は、このリング直径とリングの幅とを連続的に変化させることができ、すなわち、リング直径とリングの開口面積とを、連続的に変化させることができる。
【0031】
図1は、本発明のリング型絞り機構の一実施形態を示す組立図の上面図である。図1に記載のリング型絞り機構の実施形態では、機構全体の形状を保持するための外枠23と、円の中心に配置した内側から外側へ遮蔽面積が増大する第1の絞り機構24と、円の外縁部に配置した外側から内側へ遮蔽面積が増大する第2の絞り機構25と、第1の絞り機構24と第2の絞り機構25の開閉動作を連動させる接続ジグ26と、を備えている。外側から内側へ展開する第2の絞り機構25は、複数枚の弓形薄板と、2つのリング状の板と、を備え、複数枚の弓形薄板のそれぞれの両端部に、それぞれピンを取り付け、一方の端部のピンを、一方のリング状の板に等間隔に開けた穴に、回転可能に係合させ、他方の端部のピンを、他方のリング状の板に放射状に開けた細長い穴に、摺動可能に係合させ、複数枚の弓形薄板を、2つのリング状の板の間に挟み、絞り羽根として組み合わせ、2つのリング状の板を、相対的に回転させることによって、複数枚の弓形薄板で形成する開口部を、同心円状に開閉させ、開口直径を変化させることができる。内側から外側へ展開する第1の絞り機構24は、複数枚の扇状薄板を、円形状に互いに重なるように配置し、個々の扇状薄板には、長穴を設け、長穴には、第1の絞り機構24の中心に配置された留め具を係合させている。第1の絞り機構24は、この扇状薄板を、外側から中心に向かって押し引きすることにより、又は、扇状薄板を、中心周りに回転させることにより、絞りの遮蔽面積を変化させる。図1(a)はリング状の開口部27の直径が最大となる場合を示しており、図1(b)はリング状の開口部27の直径が最小となる場合を示している。第1の絞り機構24と第2の絞り機構25とは、それぞれ独立してその遮蔽面積を変化させることができるので、リング状の開口部27のリングの直径とリング幅とを任意に変化させることができる。すなわち、このリング型絞り機構は、開口部のリングの直径と開口面積とを、任意に変化させることができる。
【0032】
次に、図5図6を参照しながら、具体的なリング型絞り機構の利用例について説明する。図5では、半導体素子の製造技術として広く用いられているフォトリソグラフィーにおいて、本発明のリング型絞り機構を利用する場合を説明し、本発明の顕著な効果について説明する。一般的な半導体素子の製造プロセスでは、基板としてSiウエハー等が用いられる。通常、Siウエハーは、平板形状であるが、ベアリング表面の微細加工等、基材が球体や円錐形状のような立体表面を有している場合もある。しかし、図5に例示すように、立体の紫外線感光性樹脂33の表面の断面形状を、ある基準座標においてf(x)と表し、立体の紫外線感光性樹脂33の表面頂上とフォトマスク32の紫外線吸収体表面との距離がg0である場合に、紫外線の照射位置を、立体の紫外線感光性樹脂33の表面頂上を通る対称中心軸からxだけ離すと、立体の紫外線感光性樹脂33の表面とフォトマスク32の紫外線吸収体表面との間の距離gxは、式(1)で表されるように変化してしまう。
【0033】
gx=g0+h0−f(x) (1)
ここで、h0は、立体の紫外線感光性樹脂33の表面頂上の、基準位置からの高さである。
【0034】
また、厚みがgで線吸収係数μの物質層を紫外線が透過する場合、初期強度をI0とすると、物質層の厚みの変化に伴い、透過紫外線の強度Iは、式(2)で表されるように変化してしまう。
【0035】
I=I0-μg (2)
【0036】
図6を参照しながら、上述の2つの式を説明する。式中、もしくは図中で、xと示した値は、図5の立体の紫外線感光性樹脂33の表面頂上を通る対称中心軸から照射位置までの距離を表し、距離xの位置に照射する場合のリング型絞り機構のリング直径は2xで表される。従って、リング直径が、最小値から最大値に向かって増加する場合には、フォトマスク32の紫外線吸収体表面と紫外線感光性樹脂33の表面との距離は、図6(a)のように変化する。そのため、フォトマスク32の紫外線吸収体表面と立体の紫外線感光性樹脂33の表面とのギャップを透過する紫外線は、このギャップを満たしている物質の線吸収係数μと、厚みgに対して、指数関数的に変化する。この関係を念頭に置き、それぞれのリング直径において、適切な照射時間を選択すれば、フォトマスク32の紫外線吸収体表面と立体の紫外線感光性樹脂33の表面とのギャップに依らず、均一な照射量で露光することができる。また、本発明のリング型絞り機構は、照射対象物の形状が同心円状に変化するものであれば、様々な形状に適用できるため、照射対象物としては、円錐形状や円錐穴形状等の、様々な立体的な曲面を有する基材に対して適用することができ、平面に対しても適用することができる。また、フォトマスクは、複数のフォトマスクを併用してもよい。
【0037】
以上は、本発明のリング型絞り機構の用途と、これを利用する効果について説明するために、本発明のリング型絞り機構を、半導体素子の製造技術として広く用いられているフォトリソグラフィーに適用する場合について、例示して説明したが、用途によっては、このようなフォトマスクを全く使用しない場合もあり、フォトマスクの有無は、本発明を限定するものではなく、また、本発明は、光学絞りに限定するものではない。
【0038】
図5では、任意の断面形状を有する同心円上の凸型立体構造体の外表面に、紫外線感光性樹脂を塗布した場合を、例示したが、同じ形状の上下を反転させ、凹型立体構造体の内表面に紫外線感光性樹脂を塗布した場合についても、フォトマスク32の紫外線吸収体表面と紫外線感光性樹脂の表面との間の距離gxの式を変えるだけで、本発明のリング型絞り機構を同様に利用することができる。更に、本発明は、照射対象物の形状が同心円状に変化するものであれば、様々な形状に適用できるため、照射対象物としては、図7の(a)、(b)に示すような球体の外表面や内表面、(c)、(d)に示すような円錐体の外表面や内表面に、紫外線感光性樹脂を塗布した対象物に対しても、フォトマスク32の紫外線吸収体表面と紫外線感光性樹脂の表面との間の距離gxの式を変えるだけで、適用することができ、また、平面の対象物に対しても、フォトマスク32の紫外線吸収体表面と紫外線感光性樹脂の表面との間の距離gxを一定値にするだけで、適用することができる。
【実施例1】
【0039】
[第1の絞り機構]
図8を参照しながら、本発明のリング型絞り機構の、第1の絞り機構の実施例について説明する。本機構は扇状薄板35を複数枚互いに重なり合うように配置し、扇状薄板同士を留め具36、例えば、リベット、により回動可能に固定し、開閉動作に支障を出さないように扇状薄板35の端面を処理している。扇状薄板35の要(かなめ)部分には、支点用の長穴を設け、これを連結用留め具37、例えば、ねじ、で締結することによって、連結した複数枚の扇状薄板35のそれぞれを、これらが形成する円の直径方向に直線運動させ、遮蔽面積を変化させる。また、この絞り機構では、遮断面の中心が移動せず、更に、中心となる締結部分で自由回転をしないことが要求されるので、これらの要求を満たすために、第1の絞り機構の支柱43には、最下部に設置した扇状薄板38を止めるための穴39を、支柱43の中心に対して偏心させて設け、穴39にピン40を係合させ、最下部に設置した扇状薄板38がピン40によって案内されて摺動し、直径方向の直線運動のみを行うように構成した。更に、最下部に設置した扇状薄板38の長穴は、第1の絞り機構を開閉運動させた場合に、扇状薄板38の運動がピン40と干渉しないように、他の扇状薄板の長穴よりも長い穴とした。この構造により、最下部の扇状薄板が、支柱43に対して直径方向の直線運動のみを行い、他の扇状薄板が、支柱43周りの回転運動と支柱43に対する直径方向の直線運動をすることによって、第1の絞り機構の直径を決定することができ、中心が移動しないものとなる。
【0040】
この第1の絞り機構は、最上段に設置した扇状薄板に固定したハンドル41のみを動かすことによって開閉することができ、開閉容易であり、最下部の扇状薄板が、支柱43に対して直径方向の直線運動のみを行い、支柱43周りの回転運動を行わないので、ハンドル41の回転角度と、扇状薄板の形成する円の直径との関係が、一義的な関係となる。
【0041】
第1の絞り機構によって遮断される円板の直径Dinは、式(3)で近似することができる。
【0042】
in=Din(max)−K1θin (3)
【0043】
ここで、θinは、第1の絞り機構のハンドルの回転角度であり、第1の絞り機構によって遮断される円板直径が最大Din(max)の時をハンドル角度0°としている。K1は比例定数である。
【0044】
扇状薄板の材料は金属に限定するものではなく、樹脂等様々な材料を利用することができ、この機構は、扇状薄板を重ね合わせることにより円形を作り出しているため、光の透過率が異なる材料を利用すれば、任意の波長成分を持つ光を選択的に取り出すという、更に有利な効果を発揮することができる。
【0045】
また、第1の絞り機構における扇状薄板の重ね合わせ方を変えれば、回転方向に対する開閉方向を逆にすることができるので、本発明の第1の絞り機構では、回転方向と、それに伴う開閉方向とを、任意に選択することができる。
【実施例2】
【0046】
[第2の絞り機構]
図9を参照しながら、本発明のリング型絞り機構の、第2の絞り機構の実施例について説明する。第2の絞り機構は、複数枚の弓形薄板45を、絞り羽根として組み合わせたものである。弓形薄板45の絞り羽根の両端部には、それぞれピンが取り付けられている。一方の端部のピンは、「蜂の巣」と呼ばれるリング状の板46に等間隔に開けられた穴に、回転可能に係合し、もう一方の端部のピンは、「矢車」と呼ばれるリング状の板47に放射状に開けられた細長い穴48に、摺動可能に係合している。このようにして何枚もの羽根を「蜂の巣」と「矢車」で挟んだ形にして、この2つのリング状の板を、相対的に回転させることによって、複数枚の弓形薄板45の絞り羽根で形成する絞りの大きさを変化させる。
【0047】
第2の絞り機構によって得られる開口直径Doutは、第2の絞り機構のレバー50の回転角度をθoutとし、開口直径が最大Dout(max)の時レバーの回転角度θoutを0°とすると、式(4)で近似することができる。K2は比例定数である。
【0048】
out=Dout(max)−K2θout (4)
【実施例3】
【0049】
[リング型絞り機構]
図10を参照しながら、リング型絞り機構の実施例について説明する。図10に示すリング型絞り機構は、実施例1の第1の絞り機構と実施例2の第2の絞り機構とを組み合わせて構成した機構である。この実施例では、第2の絞り機構のリング状の板46を円筒の中に組み込み、透明な円形台座51に固定し、第1の絞り機構の支柱43を、この透明な円形台座51の中心に固定し、第1の絞り機構を第2の絞り機構の上に設置している。円筒の高さは、第1の絞り機構の最上面に設置してある扇状薄板の位置より高くなっており、ここに透明円板49を、円盤の中心が円筒の中心と一致するように設置している。透明円板49には、円盤の中心から偏心した位置に穴加工が施されており、その穴に第1の絞り機構のハンドル41を挿入する。透明円板49を回転させると、ハンドル41はこの穴に対して常に線接触しながら回転し、第1の絞り機構を開閉することができる。また、第2の絞り機構は、レバー50により開閉する。従って、第1の絞り機構の回転角度と第2の絞り機構の回転角度とをそれぞれ調節し、第1の絞り機構と第2の絞り機構との間にリング状の開口部を形成して、本発明のリング型絞り機構を構成し、この構成によって、リング状の開口部の直径と、リングの幅とを、任意に変化させることができる。
【0050】
上述の構成に対して、更に、透明円板49に施された穴とレバー50とを、締結部品52で連結すると、第1の絞り機構と第2の絞り機構との間にリング状の開口部を形成し、1の動作で、リング状の開口部の直径と、リングの幅とを、同時に任意に変化させることができる。リング状の開口部の直径と、リングの幅とを、任意に変化させることができるということは、言い換えれば、リング状の開口部の直径と、開口面積とを、任意に変化させることができるということである。
【0051】
従って、本発明のリング型絞り機構を、光学絞り機構として利用する場合には、任意の直径と任意のリング幅とを有する、リング状の光を得ることができる。
【0052】
また、第1の絞り機構と第2の絞り機構との連結において、円周方向相対角度を変えて連結することにより、直径を変化させながら一定幅のリング状の光を得ることや、直径を変化させながらリング状の光の幅を変化させることが可能である。また連結を解けば、それぞれ独立した動作が可能である。従って、第1の絞り機構と第2の絞り機構との駆動用に、例えば電動モータ等の駆動装置をそれぞれに取り付けて駆動することができ、或いは、第1の絞り機構と第2の絞り機構とを連結して、電動モータ等の駆動装置1台で駆動することもできる。
【0053】
更に、これらの駆動装置を有する場合には、駆動装置をコンピュータ制御して、コンピュータには、式(1)〜(4)等を組み込み、リング状の光の直径と幅とを、対象物の形状に対応して自動的に制御すると、図5図6で説明したフォトリソグラフィー等において、被照射体の任意の位置に、任意の強度の光を、自動的に連続して照射することができ、有利である。
【0054】
以上において、透明円板や透明な台座の材料は、ガラス素材に限らず、樹脂なども使用することができ、光の使用波長によって光の透過率が異なる材料を利用すれば、任意の波長成分を持つ光を選択的に取り出すという、更に有利な効果を発揮することができる。
【0055】
図11は、フォトマスク6に形成された同心円状の光遮蔽部7を利用して、円筒型被照射体70の表面の紫外線感光性樹脂に、リング状の縞模様を感光させる手法を示している。フォトマスク6の上部から光1、例えば紫外線、を照射すると、フォトマスク6を通過した同心円状の光(紫外線)は、ミラー面60で反射され、円筒型被照射体70の表面の紫外線感光性樹脂に照射され、円筒型被照射体70の表面に、リング状の縞模様を形成する。ミラー面60は、逆円錐状をしており、円筒型被照射体70の円筒中心軸と円錐の母線とのなす角度は、通常45度である。
【0056】
図12は、図11の原理を説明する図であり、フォトマスク6の上部から照射された光1は、フォトマスク6を通過して、図12では、円筒型被照射体70の円筒中心軸に対して平行な同心円状の2つの光線d1、d2となり、ミラー面60で反射され、円筒型被照射体70の円筒中心軸に対して直角方向の光線r1、r2となり、円筒型被照射体70の表面に2つのリング状の縞模様を形成する。
【0057】
ここで、図11図12においてフォトマスク6で形成されるリング状の光線は、目的に応じて、1つ以上いくつでもよく、ミラー面60の円錐の母線とのなす角度は、円筒型被照射体70の表面上に照射するリング状の縞模様の要求に応じて、45度でなくてもよいが、いずれの場合においても、同心円状の光線は、それぞれの光線の幅が同一であっても、内側の光線と外側の光線とでは直径が異なるため、光量が異なる。すなわち、例えば図12(b)、(c)の内側の光線d1と、外側の光線d2とでは、d1の幅とd2の幅とが同一であっても、円筒型被照射体70の表面に照射された場合の光量は異なり、外側の光線による照射のほうが、内側の光線による照射よりも、光量が多くなる。これは、図12(b)、(c)において、θが同一であっても、外側の光線のほうが内側の光線よりも、円弧の長さが長くなることから、容易に理解できるであろう。
従って、光量を等しくしようとすると、内側の光線d1と、外側の光線d2との幅を変化させる調節が必要となり、或いは、濃淡フィルターやレンズ等を利用して光線の強度を調節する必要がある。
【0058】
このような場合、本願発明のリング型絞り機構を利用すると、同心円状の光線の直径と幅とを、任意に変化させることができるので、異なった直径の光線に対して、等しい光量となるように、光線の幅を調節することができ、円筒型被照射体70の表面に、任意の位置で、等しい光量の光線を照射することができる。従って、図11のフォトマスク6のようなフォトマスクを何枚も用意してこれを交換する必要がなく、連続的に、任意の位置に、一定の幅の縞模様を形成したり、或いは、任意の幅をもった縞模様を形成することができ、光量も任意に変化させることができ、有利である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係るリング型絞り機構は、例えば、同心円状の立体表面に塗布した感光性樹脂に対して、リング型絞り機構を介してフォトマスクのパターンを転写すれば、前述と同様に、光源と光照射位置間の距離の変化を配慮した露光条件に制御することができ、球体表面に対して、リング直径を連続して変化させることができるので、この特性を活かして、均一照射量による露光を行い、シームレスパターニングを行うことができる。具体的には、ベアリング球表面に対する微細形状付与の技術として、利用することができる。
【0060】
更に、網膜スキャンのような生体認証技術において、眼球の網膜のような球状内面に対して、光源と赤外線照射位置間との距離の変化を反映させた照射時間の調節をすることにより、球体内面に対して均一な照射量で網膜情報を得ることができ、従来よりも高い感度の撮像が可能となる。また不要な赤外線を網膜に照射しなくて済むので、人体に優しい医療検査装置を構成することができる。
【0061】
以上においては、本願発明の絞り機構の用途を、光に対する絞りとして説明したが、本願発明の絞り機構は、光に対する絞りに限定せず、様々な用途の絞りとして利用することができる。
【0062】
すなわち、本願発明の絞り機構は、光以外の電磁波の絞りとして利用することができる。また、本願発明の絞り機構は、流体の絞りとして利用することができ、流体の可変絞りとして、様々な流体、すなわち、気体、液体、粉体等の固体、の流量の調節を行ったり、これら様々な流体を噴射する用途において、噴射パターンを変化させる機構として利用することができる。
【0063】
このような用途として、本願発明の絞り機構は、電磁波の絞りとして、パラボラアンテナの前面にリング型絞り機構を配置し、リング直径とリングの幅とを任意に変化させることができる特性を生かして、リング直径とリングの幅と、パラボラアンテナに対する相対距離を制御することによって、ある特定波長領域から発せられた電磁波のうち、必要な波長のみを選別する装置を構成することができる。
【0064】
また、本願発明の絞り機構は、気体の絞りとして、リング型絞り機構がリング直径とリングの幅とを任意に変化させることができる特性を生かして、エアーカーテンのエアー吹き付け装置に適用し、円形又はリング状のエアーの拭き付け直径を任意に変化させる装置を構成することができる。
【0065】
更に、本願発明の絞り機構は、液体の絞りとして、リング型絞り機構がリング直径とリングの幅とを任意に変化させることができる特性を生かして、塗料を均一に塗布する装置を構成することができる。
【0066】
更に、本願発明の絞り機構は、粘性の高い流体の絞りとして、リング型絞り機構がリング直径とリングの幅とを任意に変化させることができる特性を生かして、粘性のある食材、例えばドーナッツの原料流体、竹輪の原料流体など、を連続的に押し出し、断片に切断したり、連続運転中に大きさを変化させる等の機能を備えた装置を、構成することができる。
【0067】
また、本願発明の絞り機構の、第1の絞り機構は、大きさを変化させることができる特性を生かし、液体の抵抗として、例えば第1の絞り機構に水を衝突させて霧状にし、この霧の噴霧領域を変化させることができる装置を構成することができる。
【0068】
更に、本願発明のリング型絞り機構を高速で面内回転させ、絞り機構を通過する気体の流れを回転させ、この回転する気体の流れの上に様々な粒子を投下するように構成し、本願発明のリング型絞り機構の直径を任意に変えることができる特性を利用すると、粒子に対する遠心力は質量と回転半径に依存するので、異なる粒子に対して、飛散距離を分離することができ、必要な粒子を選別する装置を構成することができる。
【0069】
以上においては、本願発明の絞り機構を、絞りとして利用する用途として説明したが、本願発明の絞り機構は、その大きさを変化させることができる特性を利用して、更に様々な用途に利用することができる。
【0070】
すなわち、本願発明の絞り機構の第1の絞り機構の扇状薄板に、輻射材を塗布し、ランプやヒーターから発した熱を輻射させ、第1の絞り機構の大きさを任意に変化させることができる特性を利用して、温度領域を任意に変化されることができる円形輻射型ヒーターを構成することができる。
【0071】
また、本願発明の絞り機構の、第1の絞り機構の円周部分をカッター刃として形成し、第1の絞り機構の形成する円の大きさを任意に変化させることができる特性を利用して、直径が変更可能な円盤型カッターを構成することができる。
【0072】
更に、本願発明のリング型絞り機構を、開閉ドーム型競技場の屋根に適用し、屋根の開閉部の大きさを任意に変えることができる開閉ドームとして構成することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 光
2 スルーホール付き遮蔽版
3 開口部
4 光照射ステージ
5 光を透過する基材
6 フォトマスク
7 光遮蔽部
10 開口絞り機構
11 開口部
18 第1の絞り機構
19 第2の絞り機構
20 リング状の開口部
23 外枠
24 第1の絞り機構
25 第2の絞り機構
26 接続ジグ
27 開口部
29 紫外線
30 リング型絞り機構
31 紫外線ビーム
32 フォトマスク
33 紫外線感光性樹脂
34 球体基材
35 扇状薄板
36 留め具
37 留め具
38 扇状薄板(最下部用)
39 固定用穴
40 ピン
41 ハンドル
42 ねじ
43 支柱
44 ワッシャ
45 弓形薄板
46 リング状の板
47 リング状の板
48 細長い穴
49 透明円板
50 レバー
51 透明な円形台座
52 締結部品
60 ミラー面
70 円筒型被照射体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12