(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電板は、その円形状の外縁から中心部に向かって切り欠き形成された第1及び第2の切欠部を有し、前記接地部及び前記出力部は、前記第1及び第2の切欠部の前記中心部側で前記導電板にそれぞれ接続された、請求項1乃至3の何れか1項に記載の放射電力検出器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態の要約]
本発明の実施の形態に係る放射電力検出器は、放送用アンテナの放射電力を検出することが可能な放射電力検出器において、放送用アンテナの長手方向の中心軸に対して平行となるように配置される導電板と、前記導電板よりも前記放送用アンテナから離間して配置された接地導体と、前記接地導体と前記導電板とを接続する接地部と、前記放送用アンテナから放射される電力により前記導電板に発生する電気信号を前記導電板から前記接地導体側に出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記接地部よりも前記放送用アンテナの前記中心軸に近接して設けられたものである。
【0016】
以下、本発明に係る放射電力検出器の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る放射電力検出器を備えたアンテナ装置が設置される電波塔の構成例を示す図である。
【0018】
この電波塔1は、地面に対して鉛直方向に立設された塔部1aと、塔部1aの上部に設置されたアンテナ部1bとを備え、アンテナ部1bは、異なる高さに順次設置された複数のアンテナ装置群10〜14を有している。複数のアンテナ装置群10〜14は、それぞれが複数(例えば80個)のアンテナ装置を周方向に配列した環状に構成されている。
【0019】
また、複数のアンテナ装置群10〜14には、図略の送信装置から主給電線、及び主給電線が分岐した分岐給電線を介して高周波電流が供給され、互いに異なる周波数の電波を主として水平方向に放射する。これらのアンテナ装置群10〜14は、例えば470MHzから770MHzまでの地上波デジタル放送用のテレビ電波を送信するために用いられ、その出力は例えば1kwから10kWである。
【0020】
(アンテナ装置の構成)
図2は、例えばアンテナ装置群10を構成する1つのアンテナ装置100の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0021】
本実施の形態では、アンテナ装置100が放送用アンテナとして双ループアンテナ21を備えた場合について説明する。アンテナ装置100は、この双ループアンテナ21と、双ループアンテナ21から放射された電波を反射する反射板22と、反射板22と双ループアンテナ21との間に設けられた給電部23と、双ループアンテナ21を反射板22に対して支持する2つの支持部24と、反射板22に固定された放射電力検出器3とを備えている。
【0022】
双ループアンテナ21は、第1〜第4のアンテナ素子211〜214を有する4素子形の4L双ループアンテナである。双ループアンテナ21は、長手方向(
図2の上下方向)の中心軸C
1を有し、この中心軸C
1に沿って第1〜第4のアンテナ素子211〜214が一列に配列されている。
【0023】
第1〜第4のアンテナ素子211〜214は、それぞれが半円状の一対の導体の開口部を向かい合わせた形状を有している。また、第1のアンテナ素子211と第2のアンテナ素子212は、中心軸C
1に平行な一対の導体からなる結合線路21aによって結合されている。同様に、第2のアンテナ素子212と第3のアンテナ素子213、及び第3のアンテナ素子213と第4のアンテナ素子214は、中心軸C
1に平行な一対の導体からなる結合線路21b及び結合線路21cによって結合されている。
【0024】
第2のアンテナ素子212と第3のアンテナ素子213との間の結合線路21bには、双ループアンテナ21に高周波電流を給電するための給電部23が設けられている。
図2(b)に示すように、給電部23は+側の給電板23aと−側の給電板23bとを有し、これら両給電板23a,23bが結合線路21bを構成する一対の導体のそれぞれに電気的に接続されている。なお、両給電板23a,23bは、反射板22の双ループアンテナ21とは反対側で、図略の分岐給電線に接続されている。
【0025】
また、第1のアンテナ素子211と第4のアンテナ素子214は、双ループアンテナ21の長手方向における両端部において、支持部24によって反射板22に対して支持されている。
【0026】
反射板22は、板状の電導体からなり、双ループアンテナ21に対向して設けられている。また、反射板22は、双ループアンテナ21との間に例えばλ
0/4(λ
0は双ループアンテナ21が送信する電波の周波数帯の中心周波数における波長)の間隔を保って第1〜第4のアンテナ素子211〜214と平行に配置されている。反射板22は、電波塔1(
図1に示す)に設置された状態において、電気的に接地されている。
【0027】
反射板22には貫通孔22aが形成され、この貫通孔22aに放射電力検出器3が固定されている。貫通孔22aは、反射板22の法線方向から見た場合に、第2のアンテナ素子212と第3のアンテナ素子213の間であって、結合線路21bに対して中心軸C
1に直交する方向(
図2の左方向)に変位した位置に形成されている。
【0028】
(放射電力検出器の構成)
図3は、
図2における放射電力検出器3及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。
図4は、放射電力検出器3を、その一部の部品を省略して示す斜視図である。
【0029】
図3及び
図4に示すように、放射電力検出器3は、電力結合部31,出力部32,及び接地部33を有する放射電力検出素子30と、電気的に接地された導電性金属からなる回路基板34と、放射電力検出素子30及び回路基板34を収容する樹脂カバー35とを備えている。
図3では、樹脂カバー35の輪郭を破線で示し、その内部を表している。また、
図4では樹脂カバー35の図示を省略している。
【0030】
放射電力検出素子30は、円形状に形成された板状の電力結合部31と、電力結合部31に一体に形成された四角形状の出力部32及び接地部33とを有している。より具体的には、放射電力検出素子30は、電力結合部31となる円形部を含む1枚の導体からなる単板の導電部材を折り曲げて形成され、この円形部に対して直交するように折り曲げられた部分が出力部32及び接地部33となっている。この放射電力検出素子30の成形方法については後述する。
【0031】
電力結合部31は、双ループアンテナ21の中心軸C
1及び反射板22(
図1に示す)に対して平行となるように配置されている。この電力結合部31は、双ループアンテナ21に電力結合し、双ループアンテナ21から放射される電波の強度に応じた電力を発生させる。電力結合部31は、本発明の導電板の一例である。
【0032】
本実施の形態では、放射電力検出素子30が、銅を主成分とし、3.5%以上9.0%以下のすず、及び0.03%以上0.35%以下のりんを含むりん青銅からなる。また、放射電力検出素子30には、母材であるりん青銅の表面に金メッキを施してもよい。
【0033】
図4に示すように、電力結合部31は概ね円形状であり、その円形状の外縁から中心Oに向かって切り欠き形成された第1の切欠部320及び第2の切欠部330を有している。
【0034】
出力部32は、第1の切欠部320の内側(中心O側)で電力結合部31に接続されている。つまり、出力部32は、電力結合部31の円形の外縁よりも内側で折り曲げ形成され、この折り曲げられた部分よりも外側が第1の切欠部320となっている。また、出力部32は、双ループアンテナ21との電力結合によって電力結合部31に発生する電気信号を、電力結合部31から回路基板34側に出力する。
【0035】
接地部33は、第2の切欠部330の内側(中心O側)で電力結合部31に接続されている。つまり、接地部33は、電力結合部31の円形の外縁よりも内側で折り曲げ形成され、この折り曲げられた部分よりも外側が第2の切欠部330となっている。また、接地部33は、電力結合部31と回路基板34とを電気的に接続する。
【0036】
図3及び
図4に示すように、第1の切欠部320及び第2の切欠部330は、電力結合部31の円形の外縁の中心Oを挟んで対向する位置に形成されている。すなわち、出力部32と接地部33とは、電力結合部31の中心Oを挟んで対向する位置に形成されている。
【0037】
図3に示すように、放射電力検出器3は、出力部32が接地部33よりも双ループアンテナ21の中心軸C
1に近接するように配置されている。より具体的には、電力結合部31の中心Oを含みかつ出力部32及び接地部33の幅方向の中心を通る電力結合部31の中心軸C
2と双ループアンテナ21の中心軸C
1との交差角αが90°となるように配置されている。つまり、本実施の形態では、放射電力検出素子30の出力部32と接地部33とは、電力結合部31に対し、双ループアンテナ21の中心軸C
1に直交する方向に並んで設けられている。
【0038】
図4に示すように、出力部32は、電力結合部31を回路基板34と平行に支持する柱部32aと、柱部32aよりも先端側に設けられた先端部32bとからなる。柱部32aは、電力結合部31と直交するように折り曲げられている。また、先端部32bは、柱部32aに直交して電力結合部31と平行になるように、電力結合部31の中心Oから遠ざかる方向に折り曲げられている。
【0039】
同様に、接地部33は、電力結合部31を回路基板34と平行に支持する柱部33aと、柱部33aよりも先端側に設けられた先端部33bとからなる。柱部33aは、電力結合部31と直交し、かつ出力部32の柱部32aと向かい合うように折り曲げられている。また、先端部33bは、柱部33aに直交して電力結合部31と平行になるように、電力結合部31の中心Oから遠ざかる方向に折り曲げられている。接地部33の先端部33bは、ボルト301によって回路基板34に固定され、この回路基板34と電気的に接続されている。
【0040】
回路基板34は、電力結合部31よりも双ループアンテナ21から離間して配置されている。より具体的には、回路基板34は、反射板22と平行になるように配置され、同じく反射板22と平行になるように配置された電力結合部31よりも、反射板22の法線方向において反射板22に近い位置(双ループアンテナ21の第2及び第3のアンテナ素子212,213や結合線路21bから遠い位置)に配置されている。
【0041】
また、回路基板34は、例えば銅等の導電性金属からなり、電力結合部31よりも厚い厚みを有する円板状に形成されている。また、回路基板34には、出力部32の先端部に対応する位置に、四角形状の貫通孔34aが形成されている。回路基板34は、本発明における接地導体の一例である。なお、回路基板34は、母材である銅等の導電性金属の表面に金メッキを施してもよい。
【0042】
回路基板34の電力結合部31と反対側の面には、例えばエポキシ樹脂からなる絶縁性の実装基板340が固定されている。実装基板340には、後述する検波回路を構成する複数の電子部品が実装されている。また、出力部32の先端部32bは、回路基板34の貫通孔34aを介して、実装基板340にボルト301によって固定されている。実装基板340には、出力部32の先端部との対向部に図略の電極が設けられ、出力部32は、ボルト301による固定によって、この電極に接触した状態が保たれる。
【0043】
図4に示すように、回路基板34は、第1のベース部材36に固定されている。第1のベース部材36は、例えばステンレス等の導電性金属からなり、平板上の本体部36aと、本体部36aに対して突出して形成された円筒状の円筒部36bとを一体に有している。本体部36aは四角形状であり、その四隅には第1のベース部材36を反射板22に固定するための貫通孔36cが設けられている。
【0044】
回路基板34の周縁部には、複数(本実施の形態では8個)の固定用の孔が設けられており、回路基板34は、この固定用の孔に挿通された複数(固定用の孔と同数)のボルト301によって円筒部36bの先端面に固定されている。つまり、回路基板34は、反射板22及び第1のベース部材36を介して電気的に接地されている。
【0045】
また、前述のように回路基板34と電力結合部31とは接地部33によって接続されているので、電力結合部31と反射板22とは共に接地されており、双ループアンテナ21から電波が放射されていない状態において、電力結合部31及び反射板22は同電位である。
【0046】
図5は、実装基板340の裏面に実装された電子部品により構成される検波回路の例を示し、(a)は包絡線検波回路の回路図、(b)は倍電圧検波回路の回路図である。実装基板340の裏面には、これらのうちの何れかの検波回路が設けられている。
【0047】
図5(a)に示すように、包絡線検波回路は、放射電力検出素子側に接続される一対の入力電極I
11,I
12と、双ループアンテナ21から入力電力に応じた空中線電力の電波が放射されているか否かを判定する図略のネットワークアナライザ側に接続される一対の出力電極O
11,O
12と、ダイオードD
11,抵抗器R
11,及びコンデンサC
11とを備えて構成されている。
【0048】
ダイオードD
11は、入力電極I
11と出力電極O
11との間に、入力電極I
11側をアノード、出力電極O
11側をカソードとして接続されている。ダイオードD
11と出力電極O
11との間の配線L
11と、入力電極I
12と出力電極O
12との間の配線L
12との間には、抵抗器R
11及びコンデンサC
11が並列に接続されている。
【0049】
また、
図5(b)に示すように、倍電圧検波回路は、放射電力検出素子側に接続される一対の入力電極I
21,I
22と、一対の出力電極O
21,O
22と、第1及び第2のコンデンサC
21,C
22と、第1及び第2のダイオードD
21,D
22と、抵抗器R
21とを備えて構成されている。
【0050】
入力電極I
21と出力電極O
21との間には、第1のコンデンサC
21及び第1のダイオードD
21が直列に接続されている。ダイオードD
21は、入力電極I
21側のアノードが第1のコンデンサC
21に接続され、カソードが出力電極O
21に接続されている。第1のコンデンサC
21とダイオードD
21との間には、第2のダイオードD
22のカソードが接続され、第2のダイオードD
22のアノードは、入力電極I
22と出力電極O
22との間の配線L
22に接続されている。また、ダイオードD
21と出力電極O
21との間の配線L
21と、配線L
22との間には、抵抗器R
21及び第2のコンデンサC
22が並列に接続されている。
【0051】
これらの包絡線検波回路又は倍電圧検波回路を適用した場合において、入力電極I
11,I
21は、放射電力検出素子30の出力部32に接続され、入力電極I
12,I
22は、接地部33に接続される。また、出力電極O
11,O
21は、例えば放射電力検出器3と上記ネットワークアナライザとを接続する図略の同軸ケーブルの芯線に接続され、出力電極O
12,O
22は、この同軸ケーブルの編組線(シールド線)に接続される。
【0052】
図6は、放射電力検出素子30の加工及び組立ての手順を説明する説明図である。
【0053】
図6(a)は、放射電力検出素子30として形成される前の1枚の平板状の導電部材40を示す。この導電部材40は、中央部に形成された円形部41と、円形部41の一側及び他側に突出する長方形状の第1及び第2の板部42,43とが一体に形成されている。
【0054】
円形部41には、互いに平行なスリット状の一対の切れ込み41a,41aが形成され、この一対の切れ込み41a,41aの間に第1の板部42が形成されている。また、円形部41には、切れ込み41a,41aの延長線上に、互いに平行なスリット状の一対の切れ込み41b,41bが形成され、この一対の切れ込み41b,41bの間に第2の板部43が形成されている。なお、切れ込み41a,41aの長さは、切れ込み41b,41bの長さよりも長く形成されている。
【0055】
第1の板部42は、
図6(a)に示す一点鎖線の位置で円形部41に対して山折される根元部42aと、根元部42aに対して
図6(a)に示す破線の位置で谷折される先端部42bとからなる。また、第2の板部43は、
図6(a)に示す一点鎖線の位置で円形部41に対して山折される根元部43aと、根元部43aに対して
図6(a)に示す破線の位置で谷折される先端部43bとからなる。先端部42b,43bには、それぞれ貫通孔420b,430bが形成されている。
【0056】
図6(b)は、導電部材40を折り曲げて形成された放射電力検出素子30を示す。この放射電力検出素子30は、導電部材40の円形部41が電力結合部31として、第1の板部42が出力部32として、第2の板部43が接地部33として、それぞれ形成されている。出力部32の柱部32aは根元部42aに対応し、先端部32bは先端部42bに対応する。また、接地部33の柱部33aは根元部43aに対応し、先端部33bは先端部43bに対応する。
【0057】
出力部32の先端部32bには、第1の板部42の貫通孔420bに対応する貫通孔320bが形成されている。なお、図示は省略しているが、接地部33の先端部33bにも、第2の板部43の貫通孔430bに対応する貫通孔が形成されている。また、一対の切れ込み41a,41aに挟まれた領域は、放射電力検出素子30における第1の切欠部320となり、一対の切れ込み41b,41bに挟まれた領域は、放射電力検出素子30における第2の切欠部330となる。
【0058】
図6(c)は、放射電力検出素子30が取り付けられる前の回路基板34、及び回路基板34に固定された実装基板340の一部を示す。実装基板340の表面には、銅等の金属箔からなる電極340aが形成され、この電極340aが回路基板34の四角形状の貫通孔34aから露出している。電極340aの中心部には、円形状の貫通孔340bが形成されている。電極340aは、
図5に示す検波回路の入力電極I
11又は入力電極I
21に相当する。また、回路基板34の外周部には、周方向に沿って8個の貫通孔34bが等間隔に形成されている。
【0059】
図6(d)は、放射電力検出素子30が回路基板34に対して固定された状態を示す。この固定は、出力部32の先端部32bが実装基板340に、接地部33の先端部33bが回路基板34に、それぞれボルト301によって締め付けられることにより行われる。また、出力部32の先端部32bが実装基板340に固定されることにより、先端部32bが電極340aに電気的に接触する。
【0060】
図7は、
図4に示した第1のベース部材36に組み付けられる樹脂カバー35,第2のベース部材37,及び第3のベース部材38を示す。
【0061】
図7(a)に示すように、第3のベース部材38は、ステンレス等の金属からなり、平板状に形成された平板部38aと、平板部38aの法線方向に突出して形成された円筒部38bとを一体に有している。円筒部38bは、平板部38aの中央部に形成され、その内面が後述する樹脂カバー35の筒部35aを挿通させる貫通孔となっている。また、平板部38aの四隅には、後述するボルトを通過させるための貫通孔38cが形成されている。
【0062】
図7(b)に示すように、第2のベース部材37は、ステンレス等の金属からなり、平板状に形成された平板部37aの中央部に、後述する樹脂カバー35の鍔部35bが嵌合される貫通孔37bが形成されている。平板部37aには、第3のベース部材38の貫通孔38cに対応する位置に、4つの貫通孔37cが形成されている。
【0063】
図7(c)に示すように、樹脂カバー35は、非導電性の樹脂からなり、有底円筒状に形成された筒部35aと、筒部35aの開口部の周縁に径方向に突出して形成された鍔部35bとを一体に有している。筒部35aには、複数(本実施の形態では2個)の排水用の貫通孔35cが、筒部35aの軸方向に沿って並列して形成されている。
【0064】
図7(d)に示すように、第1のベース部材36は、前述のように平板状の本体部36aと円筒状の円筒部36bとを有している。円筒部36bの外径は樹脂カバー35の筒部35aの内径よりも僅かに小さく形成され、樹脂カバー35は、円筒部36bを収容可能である。また、本体部36aの貫通孔36cの位置は、第3のベース部材38の貫通孔38c及び第2のベース部材37の貫通孔37cの位置に対応している。
【0065】
放射電力検出器3の組み付けは、第1のベース部材36の円筒部36bに、
図6(d)に示す放射電力検出素子30が固定された回路基板34を複数のボルト301(
図4に示す)によって固定し、この円筒部36b,回路基板34,及び放射電力検出素子30を樹脂カバー35内に収容し、さらに第2のベース部材37、及び第3のベース部材38をこの順序で重ね合わせることにより行われる。
【0066】
図8は、第1のベース部材36に、樹脂カバー35,第2のベース部材,及び第3のベース部材38が組み付けられた放射電力検出器3の全体を示す。
【0067】
第1のベース部材36の本体部36a、第2のベース部材37、及び第3のベース部材38の平板部38aは、平面視において長辺及び短辺の長さが共通する長方形状に形成されている。また、樹脂カバー35は、その鍔部35bが第2のベース部材37の貫通孔37bに収容され、かつ第1のベース部材36及び第3のベース部材38によって鍔部35bの軸方向への移動が規制されて保持されている。
【0068】
(放射電力検出器の反射板への取り付け)
図9は、上記のように組み立てられた放射電力検出器3をアンテナ装置100の反射板22に取り付ける状態を示す図である。
【0069】
放射電力検出器3には、先端部が屈曲された金属製の筒状部材39が固定された状態で反射板22に組み付けられる。この筒状部材39は、実装基板340の裏面に実装された電子部品により構成される検波回路の出力信号をネットワークアナライザに伝達するための図略の同軸ケーブルを引き出すために用いられる。
【0070】
放射電力検出器3の反射板22への着脱は、電波塔1(
図1に示す)における作業の容易性を考慮して、反射板22の裏側から行うことが可能である。
【0071】
すなわち、反射板22の裏側(双ループアンテナ21が設けられた側とは反対側)から反射板22の貫通孔22aに、放射電力検出器3の樹脂カバー35の先端部を貫通孔35cが下側となるように挿入し、第1〜第3のベース部材36〜38を反射板22の裏側に固定する。反射板22の貫通孔22aは、第3のベース部材38の円筒部38bの外径よりも大きく形成され、放射電力検出器3は、第3のベース部材38の円筒部38bの外周面が貫通孔22aの内周面に向かい合うように固定される。第1〜第3のベース部材36〜38の固定は、反射板22の表側に頭部が固定された4つのボルト302a(
図9では2つのみ示す)と、第1のベース部材36に当接するナット302bとの螺合によって行われる。
【0072】
(放射電力検出素子の寸法)
図10は、放射電力検出素子30の電力結合部31の平面図、及び放射電力検出素子30の側面図を示す。
【0073】
電力結合部31には、直径Dの円形の外縁の一部を切り欠いて、第1の切欠部320及び第2の切欠部330が形成されている。直径Dは例えば30.0mmである。第1の切欠部320及び第2の切欠部330の幅Wは、例えば10.0mmである。また、第1の切欠部320の切り込みの長さL
1は例えば10.8mmであり、第2の切欠部330の切り込みの長さL
2は例えば5.1mmである。
【0074】
このように、第1の切欠部320の切り込みの長さL
1は、第2の切欠部330の切り込みの長さL
2よりも長く、長さL
1は、長さL
2の2倍以上の長さに設定されている。また、長さL
1と長さL
2との合計の寸法は、電力結合部31の半径(D/2)よりも大きく設定されている。
【0075】
電力結合部31の厚さtは、例えば0.3mmである。また、電力結合部31の回路基板34(
図4に示す)からの高さ(以下、この高さを「素子高」という)Hは、例えば5mm以上20mm以下である。
【0076】
(放射電力検出素子の実験結果)
図11は、実験対象の放射電力検出器3が取り付けられたアンテナ装置100と、その周辺に配置された第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104と、アンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104に高周波電流を分配して供給する分配器6と、分配器6に高周波電流を供給する第1のポート51及び放射電力検出器3からの出力信号を受け付ける第2のポート52を有するネットワークアナライザ5と、を備えた実験装置の構成例を示す。
【0077】
第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104は、放射電力検出器3が取り付けられていないことを除いては、上記説明したアンテナ装置100と同様に構成されている。つまり、アンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104は、それぞれが同じ形状の双ループアンテナ21を備え、共通する指向性及び利得等の特性を有している。
【0078】
アンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104は、直径の異なる2つの同心円C
01及びC
02に沿って周方向に配置されている。外側の同心円C
01の直径は例えば7.0mであり、同心円C
01と同心円C
02との直径の差dは、例えば30cmである。
【0079】
同心円C
01上には、アンテナ装置100が中央部に位置するように、アンテナ装置100と第3及び第4の放射用アンテナ装置103,104とが配置されている。また、同心円C
02上には、アンテナ装置100と第3の放射用アンテナ装置103とに挟まれる位置に第1の放射用アンテナ装置101が配置され、アンテナ装置100と第4の放射用アンテナ装置104とに挟まれる位置に第2の放射用アンテナ装置102が配置されている。
【0080】
アンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104には、分配器6の出力側に接続された分岐給電線61〜65を介して高周波電流が供給される。分配器6の入力側には、主給電線60を介してネットワークアナライザ5の第1のポート51から高周波電流が供給される。
【0081】
また、アンテナ装置100に取り付けられた放射電力検出器3には同軸ケーブル300が接続され、放射電力検出器3の出力信号が同軸ケーブル300を介してネットワークアナライザ5の第2のポート52に入力される。
【0082】
以上のように構成された実験装置によって、アンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104から電波を放射した際の放射電力検出器3の出力信号の信号強度と、アンテナ装置100を除く第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104から電波を放射した際の放射電力検出器3の出力信号の信号強度とを比較することにより、放射電力検出器3の検出精度を評価する。
【0083】
つまり、アンテナ装置100から電波が放射されているときの信号強度と、アンテナ装置100から電波が放射されていないときの信号強度とを比較し、その差が大きければアンテナ装置100からの電波の放射状態を精度よく検出できることとなる。一方、アンテナ装置100以外の第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104から放射された電波の回り込みにより、信号強度に大きな差が生じない場合には、放射電力検出器3によるアンテナ装置100からの電波の放射状態を精度よく検出できないこととなる。
【0084】
図12は、
図11に示す実験装置における実験結果を示すグラフであり、(a)はアンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104から電波を放射した際の電力結合部31の電力結合量を、(b)は第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104のみから電波を放射した際の電力結合部31の電力結合量を、それぞれデシベル値で示したものである。これらのグラフでは、各アンテナ装置から放射される電波の周波数を横軸とし、各周波数における電力結合部31の電力結合量を縦軸に示している。また、電力結合量の測定は、放射電力検出素子30の素子高Hを5mm,10mm,及び20mmに設定して行った。
【0085】
図12(a)に示すように、電力結合部31の電力結合量は、素子高Hが高いほど(電力結合部31が双ループアンテナ21に近づくほど)大きくなる。また、素子高Hが高いほど、電力結合量における周波数依存性が高くなる。つまり、素子高Hが高いほど、電力結合量が周波数によって変化しやすくなる。
【0086】
また、
図12(b)に示すように、アンテナ装置100からの電波の放射を中断すると、何れの素子高Hにおいても電力結合量が小さくなる。また、アンテナ装置100から電波を放射しない状態であっても、
図12(a)と同様に、素子高Hが高いほど電力結合量における周波数依存性が高くなっている。
【0087】
ここで、電力結合量における周波数依存性は低い方が望ましい。これは、周波数依存性が高いと、アンテナ装置100から放射される電波の周波数に応じてアンテナ装置100から電波が放射されているか否かを判定するための電力結合量の閾値を調整する必要があるためであり、また、電波塔1(
図1に示す)にアンテナ装置100が設置された状態では、周波数が異なる電波を放射する他のアンテナ装置群からの電波によって、この判定が正しく行われない場合が考えられるためである。
【0088】
図12(a),(b)のグラフに示す実験結果より、素子高Hが低いほど周波数依存性が低くなり、素子高Hを5mmとした場合には、500MHz以上600MHz以下の周波数帯域において、アンテナ装置100から電波が放射されているか否かを、例えば50dBを閾値として判定できることが分かる。
【0089】
また、素子高Hを低くすることは、放射電力検出素子30の耐振性の向上にも寄与する。つまり、素子高Hを低くすることによって放射電力検出素子30の剛性が高くなり、アンテナ装置100が電波塔に設置された状態でも、長期に亘って所期の性能を発揮することが可能となる。
【0090】
図13及び
図14は、放射電力検出素子30の双ループアンテナ21に対する向きと電力結合量との関係を示し、
図13(a)〜(d)は放射電力検出素子30の双ループアンテナ21に対する向きを90°ごとに変化させた各回転位置における放射電力検出素子30を、
図14(a)は各回転位置における電力結合量を、
図14(b)及び(c)は、
図13の(a)及び(b)に示す回転位置における電力結合量の周波数及び素子高Hとの関係を、それぞれ示す。
【0091】
図13(a)に示す第1の回転位置では、電力結合部31の中心Oを含みかつ出力部32及び接地部33の幅方向の中心を通る電力結合部31の中心軸C
2と、双ループアンテナ21の中心軸C
1との交差角αが90°であり、出力部32が接地部33よりも中心軸C
1に近接するように、放射電力検出素子30が配置されている。
【0092】
図13(b)に示す第2の回転位置では、電力結合部31の中心軸C
2と双ループアンテナ21の中心軸C
1とが平行であり、出力部32が第3のアンテナ素子213側、接地部33が第2のアンテナ素子212側となるように、放射電力検出素子30が配置されている。
【0093】
図13(c)に示す第3の回転位置では、電力結合部31の中心軸C
2と、双ループアンテナ21の中心軸C
1との交差角αが90°であり、接地部33が出力部32よりも中心軸C
1に近接するように、すなわち出力部32が接地部33よりも中心軸C
1から離間するように、放射電力検出素子30が配置されている。
【0094】
図13(d)に示す第4の回転位置では、電力結合部31の中心軸C
2と双ループアンテナ21の中心軸C
1とが平行であり、出力部32が第2のアンテナ素子212側、接地部33が第3のアンテナ素子213側となるように、放射電力検出素子30が配置されている。
【0095】
図14(a)に示す放射電力検出素子30の各回転位置における電力結合量を示すグラフでは、
図13(a)の第1の回転位置における電力結合量を横軸の(1)に、
図13(b)の第2の回転位置における電力結合量を横軸の(2)に、
図13(c)の第3の回転位置における電力結合量を横軸の(3)に、
図13(d)の第4の回転位置における電力結合量を横軸の(4)に、それぞれ示している。なお、各回転位置における放射電力検出素子30の素子高Hは22mmとした。
【0096】
このグラフに示すように、第1の回転位置における電力結合量は、第2の回転位置及び第4の回転位置における電力結合量よりも高くなっている。第2の回転位置における電力結合量と第4の回転位置における電力結合量とは同等である。また、第3の回転位置における電力結合量は、第2の回転位置及び第4の回転位置における電力結合量よりも低くなっている。この実験結果より、出力部32を接地部33よりも双ループアンテナ21に近接して設けることで、出力部32を接地部33よりも双ループアンテナ21に離間して設けた場合よりも、高い電力結合量が得られることが分かる。
【0097】
図14(b)は、放射電力検出素子30の第1の回転位置における電力結合量を、素子高Hが12mm,17mm,22mmの場合について、500MHz以上600MHz以下の周波数帯域において測定した結果を示している。また、
図14(c)は、放射電力検出素子30の第2の回転位置における電力結合量を、
図14(b)と同様の条件で測定した結果を示している。
【0098】
図14(b)及び(c)に示すように、何れの素子高H、及び何れの周波数においても、第1の回転位置における電力結合量が第2の回転位置における電力結合量を上回っている。また、第1の回転位置では、第2の回転位置に比較して、素子高Hの変動に対する電力結合量の変化幅が小さくなっている。この実験結果より、出力部32を接地部33よりも双ループアンテナ21に近接して設けることで、高い電力結合量が得られると共に、電力結合量の素子高Hに対する依存性が低いので、素子高Hを低くできることが分かる。
【0099】
図15は、実験装置におけるアンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104の配置を変更した例である。
図11に示す実験装置では、外側の同心円C
01上にアンテナ装置100,ならびに第3及び第4の放射用アンテナ装置103,104を配置し、内側の同心円C
02上に第1及び第2の放射用アンテナ装置101,102を配置したが、この実験装置では、外側の同心円C
01上に第1及び第2の放射用アンテナ装置101,102を配置し、内側の同心円C
02上にアンテナ装置100,ならびに第3及び第4の放射用アンテナ装置103,104を配置している。その他の構成は同じであるので、共通する構成要素には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0100】
図16は、
図15に示す実験装置の構成で測定した周波数と電力結合量との関係を示すグラフであり、(a)はアンテナ装置100及び第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104から電波を放射した際の電力結合部31の電力結合量を、(b)は第1〜第4の放射用アンテナ装置101〜104のみから電波を放射した際の電力結合部31の電力結合量を、それぞれ示す。
【0101】
図16(a),(b)に示すように、アンテナ装置100から電波を放射した場合としない場合とで電力結合量に明確な差が表れ、また素子高Hを低くした方が、周波数依存性が低くなっている。
【0102】
(本実施の形態の作用及び効果)
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0103】
(1)放射電力検出素子30の出力部32を接地部33よりもループアンテナ21の中心軸C
1に近接するように配置したので、出力部32を接地部33よりも中心軸C
1から遠ざかるように配置した場合に比較して、放射電力検出素子30の素子高Hを低くすることができる。従って、放射電力検出素子30の耐振性を高めることができる。また、本実施の形態では、出力部32と接地部33とをループアンテナ21の中心軸C
1に直交する方向に並べて配置したので、素子高Hを低くできる効果を最大限に発揮することができる。
【0104】
(2)放射電力検出素子30の電力結合部31を円形状に形成し、出力部32と接地部33とを電力結合部31の中心を挟んで対向する位置に形成したので、出力部32及び接地部33によって電力結合部31をバランス良く支持することができ、放射電力検出素子30の耐振性を高めることができる。
【0105】
(3)電力結合部31に第1及び第2の切欠部320,330を形成し、これらの切欠部320,330の電力結合部31に対する中心側で出力部32及び接地部33を電力結合部31に接続したので、放射電力検出素子30が固定される回路基板34の大きさを小さくできると共に、電力結合部31がその外縁と中心との間で支持されるため、より放射電力検出素子30の耐振性を高めることができる。
【0106】
(4)放射電力検出素子30を単板の導電部材40の折り曲げにより形成したので、複数の部材を組み合わせる必要がなく、容易に放射電力検出素子30を形成できると共に、放射電力検出素子30を軽量化することができる。また、本実施の形態では、放射電力検出素子30をバネ性の高いりん青銅から形成しているので、折り曲げ形成した屈曲部における破断の発生を抑制することが可能となる。
【0107】
(5)放射電力検出素子30の電力結合部31は、接地部33により接地され、反射板22と同電位であるため、放射電力検出器3を反射板22に取り付けることによるループアンテナ21の放射特性への影響を抑制することができる。
【0108】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これに限らず、例えば以下に示すように変形することも可能である。
【0109】
(変形例1)
図17(a)は、第1の変形例に係る放射電力検出素子70を示す。この放射電力検出素子70は、第1及び第2の切欠部720,730が形成された円形状の導電板からなる電力結合部71と、第1の切欠部720の電力結合部71の中心O側で電力結合部71に接続された出力部72と、第2の切欠部730の中心O側で電力結合部71に接続された接地部73とを有している。
【0110】
出力部72は、電力結合部71に直交する方向に延びる柱部72aと、柱部72aの先端側で電力結合部71と平行に形成された先端部72bとを有する。また、接地部73は、柱部72aと対向して電力結合部71に直交する方向に延びる柱部73aと、柱部73aの先端側で電力結合部71と平行に形成された先端部73bとを有する。先端部72b及び先端部73bには、それぞれ貫通孔(先端部72bの貫通孔720bのみ図示する)が形成されている。
【0111】
第2の切欠部730の切り込みの長さ(電力結合部71の切り欠きがないとした場合の電力結合部71の外縁から柱部72aまでの距離)は、第1の切欠部720の切り込みの長さ(同じく電力結合部71の切り欠きがないとした場合の電力結合部71の外縁から柱部73aまでの距離)と同一に設定されている。つまり、
図6(b)に示す放射電力検出素子30における電力結合部31に対する第2の切欠部330の大きさの割合よりも、電力結合部71に対する第2の切欠部730の大きさの割合が大きくなっている。
【0112】
図17(b)は、この放射電力検出素子70が固定される回路基板34Aを示す。この回路基板34Aは、その外周部に形成された8個の貫通孔34bに加え、これらの貫通孔34bよりも回路基板34Aの内側に、接地部73を固定するための貫通孔34cが形成されている。その他の構成は、
図6(c)に示す回路基板34と同じである。
【0113】
図17(c)は、第1のベース部材36に回路基板34Aが固定され、さらに回路基板34Aに放射電力検出素子70が固定された状態を示す。この図に示すように、第1のベース部材36に回路基板34A及び放射電力検出素子70を組み付けた後、樹脂カバー35,第2のベース部材37,及び第3のベース部材38(何れも
図7に示す)を組み付けて放射電力検出器を構成する。
【0114】
(変形例2)
図18(a)は、第2の変形例に係る放射電力検出素子80を示す。この放射電力検出素子80の電力結合部81は、出力部82に対応して形成された第1の切欠部820、及び接地部83に対応して形成された第2の切欠部830に加え、放射状に切り欠かれた第3〜第8の切欠部811〜816が形成されている。
【0115】
出力部82は、電力結合部81に直交する柱部82aと、柱部82aの先端側で電力結合部81と平行に形成された先端部82bとを有し、接地部83は、電力結合部81に直交する柱部83aと、柱部83aの先端側で電力結合部81と平行に形成された先端部83bとを有する。先端部82b及び先端部83bには、それぞれ貫通孔(先端部82bの貫通孔820bのみ図示する)が形成されている。
【0116】
図18(b)は、放射電力検出素子80が固定される回路基板34Bを示す。この回路基板34Bは、その外周部に周方向に沿って形成された第1〜第8の貫通孔341〜348を有している。回路基板34Bに形成された貫通孔34aからは、実装基板340の電極340aが露出している。
【0117】
図18(c)は、第1のベース部材36に回路基板34Bがボルト301によって固定され、さらに回路基板34Bに放射電力検出素子80が固定された状態を示す。
【0118】
図18(a)〜(c)に示すように、放射電力検出素子80の第3〜第5の切欠部811〜813は、第2〜第4の貫通孔342〜344に対応する位置に形成され、第6〜第8の切欠部814〜816は、第6〜第8の貫通孔346〜348に対応する位置に形成されている。つまり、回路基板34Bの法線方向から見た場合に、第3〜第5の切欠部811〜813を介して第2〜第4の貫通孔342〜344を目視可能であり、第6〜第8の切欠部814〜816を介して第6〜第8の貫通孔346〜348を目視可能である。
【0119】
従って、回路基板34Bを第1のベース部材36に組み付ける際に、第3〜第5の切欠部811〜813からボルト301を締めるための工具を挿入し、ボルト301を締め付けることができる。
【0120】
(他の変形例)
上記実施の形態では、アンテナ装置100が4素子形の双ループアンテナ21を備えた場合について説明したが、これに限らず、2素子形の双ループアンテナを用いてもよい。あるいは、2素子形の双ループアンテナをその中心軸方向に沿って2つ並べてもよい。この場合でも、出力部32が接地部33よりも双ループアンテナの中心軸に近接するように放射電力検出器3を配置することにより、放射電力検出素子30の素子高Hを低くすることができる。
【0121】
また、双ループアンテナに限らず、ダイポールアンテナを用いることも可能である。この場合、ダイポールアンテナの一対のエレメントの延伸方向がアンテナの長手方向であり、一対のエレメントの中心軸がアンテナの中心軸となる。
【0122】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び変形例は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態又は変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。