(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記瞳面の少なくとも第3及び第4の光源領域からの放射線を用いてさらに照明及び処理ステップを実行するステップであって、前記第3及び第4の光源領域が、前記光軸に対して互いに正反対の位置にあるとともに、前記第1及び第2の光源領域と角度範囲及び径方向距離が同様であるが前記光軸に対して90°回転している、ステップと、
前記第1の方向に直交する第2の方向に周期的なフィーチャを有するマークをスキャンしながら輝度の変動を検出するステップと、
前記検出された変動から少なくとも第2の測定方向のマークの位置を計算するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
前記第1、第2、第3及び第4の光源領域からの放射線が同時に使用されて前記放射線スポットが形成され、現在スキャンされているマーク又はマークの一部が前記第1の方向又は前記第2の方向に周期的なフィーチャを有するか否かに応じて、前記回折放射線の一部が選択的にマスキングされる、請求項2に記載の方法。
放射線が、現在スキャンされているマーク又はマークの一部が前記第1の方向又は前記第2の方向に周期的なフィーチャを有するか否かに応じて、前記第1及び第2の光源領域又は前記第3及び第4の光源領域に選択的に供給される、請求項2に記載の方法。
前記第1及び第2の光源領域のコヒーレント放射線が単一の光源供給位置の放射線を第2の自己参照干渉計内に供給することで生成され、前記第1及び第2の光源領域が前記光源供給位置によって決定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記第1の方向に直交する第2の方向に周期的なフィーチャを含むマークの位置の測定のために、前記照明構成が前記瞳面の少なくとも第3及び第4の光源領域からの放射線を供給するようにさらに動作可能であり、
前記第3及び第4の光源領域が、前記光軸に対して互いに正反対の位置にあるとともに、前記第1及び第2の光源領域と角度範囲及び径方向距離が同様であるが前記光軸に対して90°回転している、請求項8に記載の装置。
前記照明構成が、現在スキャンされているマーク又はマークの一部が前記第1の方向又は前記第2の方向に周期的なフィーチャを有するか否かに応じて、前記第1及び第2の光源領域又は前記第3及び第4の光源領域のいずれかに選択的に供給されるように動作可能である、請求項9に記載の装置。
前記光源領域から前記対物レンズへ放射線を偏向させる、前記光源領域の各々に対応するミラー部分を有するビームスプリッタをさらに備え、各光源領域の前記ミラー部分がまた、前記マークからのゼロ次信号の反射後に干渉計に進入する正反対の位置の光源領域からの放射線を阻止する役割を果たす、請求項8〜10のいずれか一項に記載の装置。
前記照明構成が、単一の光源供給位置の前記第2の干渉計に供給される放射線から前記第1及び第2の光源領域にコヒーレント放射線を生成する第2の自己参照干渉計を含み、前記第1及び第2の光源領域が前記光源供給位置によって決定される、請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0017]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
− 放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTa又はWTbと、
− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0019】
[0018] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0020】
[0019] 支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0021】
[0020] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0022】
[0021] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0023】
[0022] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁気型光学システム及び静電気型光学システム、又はそれらの任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0024】
[0023] 本明細書で示すように、本装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)反射タイプでもよい。
【0025】
[0024] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであってよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、又は1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備プロセスを実行することができる。
図1の例の2つの基板テーブルWTa及びWTbはこの例示である。本明細書に開示された本発明は自立して使用できるが、本発明は特にシングル又はマルチステージ装置の露光前測定ステージに追加の機能を提供できる。
【0026】
[0025] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムとの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が存在するというほどの意味である。
【0027】
[0026]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0028】
[0027] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0029】
[0028] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTa/WTbは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0030】
[0029] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTa/WTbは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTa/WTbがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTa/WTbは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、マスクテーブルMTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTa/WTbを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTa/WTbを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0031】
[0030] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[0031] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa及びWTbと基板テーブルをその間で交換できる2つのステーション(露光ステーション及び測定ステーション)とを有するいわゆるデュアルステージタイプである。露光ステーションで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションで他方の基板テーブル上に別の基板を装着でき、したがって、様々な準備ステップを実行できる。準備ステップは、レベルセンサLSを用いた基板表面のマッピングと、アライメントセンサASを用いた基板上のアライメントマークの位置の測定と、を含んでもよい。これによって装置のスループットが大幅に増大する。位置センサIFが、基板テーブルが測定ステーション及び露光ステーションにあるときの基板テーブルの位置を測定できない場合、第2の位置センサを提供して両方のステーションで基板テーブルの位置の追跡を可能にすることができる。本発明は、1つだけの、又は3つ以上の基板テーブルを有する装置に適用可能である。
【0033】
[0032] この装置は、本明細書に記載する様々なアクチュエータ及びセンサのすべての移動及び測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUをさらに含む。LACUはまた、装置の動作に関連する所望の計算を実施する信号処理及びデータ処理能力を含む。実際、制御ユニットLACUは、各々が装置内のサブシステム又はコンポーネントのリアルタイムデータ取得、処理及び制御を扱う多数のサブユニットのシステムとして実現されるであろう。例えば、1つの処理サブシステムを基板ポジショナPWのサーボ制御専用にしてもよい。別々のユニットを用いて粗動及び微動アクチュエータ、又は異なる軸を扱ってもよい。別のユニットを位置センサIFの読み出し専用にしてもよい。装置の全体の制御を上記サブシステム処理ユニットと通信する中央制御ユニットによって実行させ、オペレータとその他の装置をリソグラフィ製造プロセスに従事させることができる。
【0034】
[0033]
図2(a)は、それぞれX位置及びY位置の測定のために基板W上に提供されたアライメントマーク202、204の例を示す。この例の各々のマークは、基板に塗布又はエッチングされる製品層内に形成された一連のバーを含む。各バーは規則的な間隔を空け、格子線の役割を果たすので、マークは周知の空間的周期(ピッチ)を有する回折信号と見なすことができる。X方向のマーク202上のバーはY軸に平行でX方向の周期性を提供する一方、Y方向のマーク204上のバーはX軸に平行でY方向の周期性を提供する。アライメントセンサAS(
図1に示す)は、各マークを放射線スポット206、208で光学的にスキャンし、正弦波などの周期的に変化する信号を得る。この信号の位相が分析されてアライメントセンサに対するマークの位置、ひいては基板Wの位置が測定され、アライメントセンサは装置の基準フレームRFに対して固定される。スキャン運動は幅広の矢印によって概略的に示され、スポット206又は208の前進位置が点線の輪郭で示されている。アライメントパターン内のバー(格子線)のピッチは通常、基板上に形成される製品フィーチャのピッチよりもはるかに大きく、アライメントセンサASは、パターンを基板に塗布するために用いる露光放射線よりもはるかに長い放射線波長(又は普通は複数の波長)を使用する。微細位置情報が得られるが、バーの数が多ければ、反復信号の位相を正確に測定できる。
【0035】
[0034] 粗及び微細マークを提供でき、したがって、アライメントセンサは周期的信号の様々な周期と周期内の正確な位置(位相)とを区別することができる。また、様々なピッチのマークをこのために使用できる。また、これらの技術は当業者であれば周知であり、本明細書では詳述しない。そのようなセンサの設計と動作は当技術分野では周知であり、各リソグラフィ装置は独自の設計のセンサを有してもよい。本明細書の説明の目的で、アライメントセンサASは一般的にUS6961116号(den Boef他)に記載された形態であると仮定する。
図2(b)は、X位置及びY位置が照明スポット206を用いた1回の光学スキャンによって得られる同様のアライメントシステムで使用する改良型マークを示す。マーク210は、X及びY軸の両方に対して45度に配置されたバーを有する。このX及びY方向の組合せ測定は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる公開特許出願US2009/195768A号(Bijnen他)に記載の技術を用いて実行できる。
【0036】
[0035]
図3は、既知のアライメントセンサASの概略ブロック図である。照明源220は、対物レンズ224を通して基板W上に位置するマーク202などのマーク上にスポットミラー223によって偏向される1つ以上の波長の放射ビーム222を提供する。
図2に概略的に示すように、上記US6961116号に基づく本発明のアライメントセンサの例では、マーク202が照明される照明スポット206はマークそれ自体の幅よりもわずかに小さい直径を有してもよい。
【0037】
[0036] マーク202によって散乱する放射は対物レンズ224によって捕捉され、情報搬送ビーム226にコリメートされる。自己参照干渉計228は上記US’116号に開示されたタイプであり、ビーム226を処理してセンサアレイ230上に別々のビームを出力する。スポットミラー223は、好都合にはこの地点でゼロ次絞りとしての役割を果たすため、情報搬送ビーム226はマーク202からの高次回折放射線のみを含む(これは測定にとって必須ではないが、信号対雑音比を改善する)。センサグリッド230内の個々のセンサからの輝度信号232が処理ユニットPUに提供される。ブロック228内の光学処理とユニットPU内のコンピュータ処理との組合せによって、基準フレームRFに対する基板上のX及びY位置の値が出力される。処理ユニットPUは、設計の選択及び便宜上の問題として、
図1に示す制御ユニットLACUとは別個のユニットであってもよく、又は同じ処理ハードウェアを共用してもよい。ユニットPUが別個のユニットである場合、信号処理の一部はユニットPU内で、また別の部分はユニットLACU内で実行できる。
【0038】
[0037] 上述したように、図示のタイプの単一の測定は、マークの1つのピッチに対応する一定の範囲内のマークの位置を固定するだけである。より粗い測定技術がこれと併用され、正弦波のどの周期がマークされた位置を含む周期であるかを識別する。粗及び/又は微細レベルでの同じプロセスを異なる波長で繰り返して精度を上げ、マークの製造材料及びそれを支持する材料にかかわらずマークの堅牢な検出を可能にできる。波長を光学的に多重化及び多重解除して同時処理を可能にでき、及び/又は、時分割又は周波数分割によって多重化することができる。本発明の例は、1つの波長での1回の測定だけに言及し、その範囲を拡張して実用的で堅牢な測定装置(アライメントセンサ)を提供するのに必要な改良は当業者であれば容易に思い付くであろう。
【0039】
[0038] 測定プロセスを詳細に参照すると、
図3のv
wの符号が付いた矢印はスポット206がマーク202の長さLを横切るスキャン速度を示す。この例では、実際のアライメントセンサAS及びスポット206は静止しているが、速度v
wで移動するのは基板Wである。したがって、基板Wの移動方向と反対の方向にマーク202を効果的にスキャンしながらアライメントセンサを基準フレームRFに厳格かつ正確に搭載できる(
図1)。基板は、この運動において基板テーブルWT上の搭載と基板位置決めシステムPWとによって制御される。
【0040】
[0039] 本発明の優先期日では公開されていない先行特許出願US13/369,614号に記載されているように、リソグラフィ装置に要求される高生産性要件では、基板上の多数の位置でのアライメントマークの測定をできるだけ迅速に実行することが要求され、これは、スキャン速度v
wが高速であり、したがって、各マーク位置の獲得に使える時間T
ACQが短いということを意味する。単純に言うと、式T
ACQ=L/v
wが適用される。先行出願US13/369,614号は獲得時間を長くするようにスポットの逆方向のスキャン運動を付与する技術について記載する。所望であれば、本明細書に新たに開示されたタイプのセンサ及び方法に同じスキャンスポット技術を適用できる。
【0041】
[0040] より小さい格子のピッチを有するマーク上に整列することには利益がある。実際の生産でのオーバレイは、一般的に試験状況下よりもかなり大きい。調査によれば、これは製品ウェーハ上のアライメントマークが処理中に非対称になるためである。アライメントマークのピッチを小さくすると測定されたアライメント位置の非対称性の効果が低減する。
【0042】
[0041] 当業者であれば、アライメント格子のピッチを小さくする幾つかのオプションは、(i)使用する放射線の波長を小さくすること、(ii)アライメントセンサ光学装置のNAを増加させること、(iii)オフアクシス照明を使用すること、であることを知っている。アライメント格子は、多くの場合、吸収フィルム(例えば、アモルファスカーボンハードマスク)の下に位置するため、短波長が常に可能とは限らない。NAを増加させることは一般的に可能であるが、ウェーハからの安全な距離を有する小型の対物レンズが必要なため、これは好まれない。したがって、オフアクシス照明は魅力的である。
【0043】
セグメント化照明プロファイルによる位置測定
[0042]
図4は、上記の先行公開US6,961,116号に記載のアライメントセンサの光学系500を示す。これによって、具体的なセグメント化照明モードが導入され、その結果、とりわけ、精度を向上させるアライメントマークの小さいピッチが可能になり、また別個のスキャトロメータ計器ではなくアライメントセンサを用いてスキャトロメトリタイプの測定を実行できる。X及びY位置の同時測定を実行できるように、上記公開出願US2009/195768号の開示に基づいてさらなる改良を実行できる。本発明の例のために、位置測定は一方向のみで実行されるものとする。
【0044】
[0043]
図3の概略図との比較を容易にするために、光学系500の幾つかの部分には
図3で使用するのと同様の参照符号が付与されている(但し、接頭辞は「2」ではなく「5」)。したがって、図は、光源520と、照明ビーム522と、対物レンズ524と、情報搬送ビーム526と、自己参照干渉計528と、検出器530a及び530bとを示している。これらの検出器からの信号532a及び532bは、下記の新規のフィーチャを実施するために適宜改良された処理ユニットPUによって処理される。幾つかの支線を有する光軸Oは、光学系500を貫通する破線で示されている。この詳細な概略図に示される追加のコンポーネントは以下の通りである。照明サブシステム540内で、光源520からの放射線は、光ファイバ542を介してそれがレンズ544及び546を備える光学系に入射する地点へ送達される。各レンズが単一の素子によって概略的に示される場合、実際の実施形態は実際には素子のグループを含んでもよい。反射型光学要素も使用できる。レンズ544と546との間で、光源からの放射線によって形成されるビームは平行で、対物レンズ524の瞳面Pの逆投影である平面P’を通過する。この平面内には固定式又は構成可能な照明アパーチャ548が提供され、
図5(j)に示す対称のセグメント化照明パターンなどの照明の特定のモードが可能になる。a及びbの符号が付いた2つの正反対の四分円がこのアパーチャパターン内で明るく(透明で)、その他の2つの四分円は暗い(不透明である)。このタイプのアパーチャは、公開特許出願US2010/201963号から、スキャトロメトリ装置では知られている。この改良型照明アパーチャの利点を以下に説明する。固定ミラー550によって回折してレンズ552によってコリメートされた照明ビーム522が照明サブアパーチャシステム540からビームスプリッタ554へ送達され、ビームスプリッタ554は、照明ビーム522を対物レンズ524を通して基板Wと行き来する情報搬送ビーム526から分離する。
【0045】
[0044] 情報搬送ビーム526の処理について言及すると、ビームはUS6,961,116号の既知のアライメントセンサと同じ方法で自己参照干渉計528内へ進入する。干渉計528は簡易化された2次元構成で示されているが、実際には、この先行特許に記載するようにプリズムその他の素子の3次元構成を含む。同様に、干渉計の一部である偏光素子は図を見やすくするために省略した。自己参照干渉計528の機能は、既知の例と同様に、情報搬送ビーム526を受光し、それを2つの等しい部分に分割し、それらの部分を互いに180°回転させ、それらの部分を再び出射ビーム582に結合させることである。固定偏向ミラー588を有する別のレンズ584及び586は共に、このビームを偏光ビームスプリッタ592及び検出器530a及び530bを備える検出サブシステムへ送達する。
【0046】
[0045] ビームスプリッタ592は、互いに逆相の2つの干渉パターンを生成する。したがって、干渉計528が検出器530a上の1地点で破壊的な干渉を生成する場合、検出器530b上の対応する地点で建設的な干渉が生成される。2つの検出器530a及び530bから信号を減算することで、共通モード輝度ノイズの影響を低減し、アライメントセンサ全体からより正確な出力を得ることができる。
【0047】
[0046]
図3の既知のアライメントセンサでは、検出器230が基板Wの平面に対応する画像面に配置されているが、改良型光学系500内の検出器530a及び530bは対物レンズ524の瞳面Pと共役の平面P“内に位置する。各検出器530a及び530b画像センサ、例えば、CCDカメラセンサであってもよい。あるいは、差込み詳細図内で530a’/530b’で示すように、画像センサの代わりに個々の地点検出器を配備してもよい。いずれの場合も、平面P”の放射線場は基板の像ではなく、照明アパーチャ548と共役のマーク202の回折スペクトルである。このタイプの検出システムでは、マーク202の位置情報を得るのに必要なアライメント信号はまだ得ることができるが、さらに検出器530a及び530bによって検出される瞳面像を用いて基板W上のマーク又はその他のフィーチャの追加の特性を分析してスキャトロメトリを実行することができる。例えば、アライメント及び/又はオーバレイターゲットの非対称性を分析でき、それによって、例えば、デバイス層間のオーバレイエラーの測定が容易になる。
【0048】
[0047] 未公開の先行出願US13/369,614号に記載のように、別個の計器ではなくアライメントセンサを用いてターゲットの非対称性を測定する方法の利点は、アライメントセンサとオーバレイ測定装置との間の位置決めエラーが解消されるという点である。別の利点は、マスク内の非対称性に関する情報を用いてセンサを使用する位置測定の精度を向上させることができるという点である。その理由として、非対称性が、非対称性と好適な式の情報を用いて補正可能な報告された位置の系統的なエラーを導入する場合があることが挙げられる。
【0049】
[0048] アパーチャ548によって提供される照明パターンが
図5のa及びbの符号が付いた四分円を有する一方で、アライメントマーク202の線の所与の方向の回折に起因する回折パターンが548’のパターンで表される。このパターンでは、a
0及びb
0の符号が付いたゼロ次反射に加えて、a
−1、a
+1、b
−1及びb
+1の符号が付いた1次回折信号が示されている。照明アパーチャのその他の四分円は暗く、より一般的には照明パターンが180°の回転対称を有するため、回折次数がa
−1及びb
+1の信号は「空き」であり、これは、それらが照明アパーチャのその他の部分からのゼロ次又は高次信号に重なっていないということを意味する。セグメント化照明パターンのこの特性を利用して、従来の円形対称照明アパーチャを使用した場合に結像可能な最小ピッチの半分のピッチを有する回折格子(アライメントマーク)から雑音がない1次信号を得ることができる。この回折パターン548’とそれをスキャトロメトリに利用できる方法が既知の出願US2010/201963号に記載されている。アライメントセンサ光学系500の干渉計528では、
図5に示され548”の符号が付いた回折パターン548’の180°回転したコピーも形成され、548’と混合する。これらのパターンは、アライメントマーク202のスキャン中に互いに干渉して位置信号を提供する。
【0050】
[0049] 市場で幅広く使用されているUS’116号のセンサと比較して、
図4の改良型センサはアパーチャ548の変更だけでなく、干渉計528の完全に異なる検出構成を必要とする。既知のアライメントセンサは全光学場を単一の輝度値に簡易に統合できるが、平面P”内の輝度を空間的に分解して瞳面像の異なる部分にある高次信号を分離してゼロ次信号を無視する必要がある。検出光学装置の再設計によって既存の設計への適合性が低減する。センサ530a及び530bが画像センサであるバージョンでは、センサ及び/又は電子回路にスループットを維持するために必要な性能レベルを与える作業は複雑で高価である。瞳像面P”の領域内の一定の地点でのみ放射線を収集する検出器530a’及び530b’が使用される場合、検出器で空間分解を提供するように光学系を再設計する必要が依然としてある。一定の場所での輝度のみのサンプリングは、大量の光が破棄されて、動作の精度及び/又は速度が低減し、又はよりコスト高の検出器が必要になるということを意味する。さらに、
図4の装置の動作は各々がわずかに異なるセンサ収差を受ける幅広い範囲の入射角からマーク上に入射する放射線を結合するので、全体の測定結果はプロセス変動の影響をより受けやすい。さらに、セグメント化照明プロファイルはピッチが小さいマークに適しているが、現在使用されている粗いピッチのマークには適していない。これは、粗いピッチのマークの様々な高次数+1、+2などが近接して並び、重なり始めるからである。その結果、実際にセグメント化アパーチャを使用するためには、従来のマークの測定時にアパーチャを取り外した機械的構成を配置する必要がある。
【0051】
[0050]
図5以降を参照して以下に説明する例では、検出器側での空間分解を必要とせずに小さくした格子ピッチを使用できるアライメントセンサ(より一般的には、位置測定装置)が示されている。新規の照明モードを使用することで、これらの装置は、現在の検出器の設計を変更せず、且つ照明プロファイルを変更せずに、広範囲の様々なピッチ、例えば、1μm未満から20ミクロンのピッチまでを有するマークの位置を測定することができる。
【0052】
[0051] これから説明する例に共通の第1のフィーチャは、限られた範囲の入射角(瞳面内の限られた径方向距離)でのオフアクシス照明の使用である。オフアクシス照明の場合、放射線の光源領域は瞳の周辺部分、すなわち、光軸から少しの距離だけ離れた部分に閉じ込められる。照明を瞳の最周辺部に閉じ込めることで、アライメントマークの最小可能ピッチが実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAまで小さくなる。ここで、λは使用する放射線の波長、NAは計器(例えば、アライメントセンサ又はより一般的には位置測定装置)の対物レンズの開口数である。説明する例はまた、装置のビームスプリッタ内でスポットミラーの特定の分散を使用し、これによって、所望の照明を提供し、ゼロ次回折放射線の視野絞りとしての役割を果たす。照明モードを変更することなく、X、Y及びXYマークのいずれかの上に整列できる「ユニバーサル」照明プロファイルを設計できるが、このことで、装置内の性能について多少の妥協及び/又は多少の複雑さが生じることはやむをえない。あるいは、様々なマークタイプでの使用する専用のモードを設計し、選択することもできる。様々な偏光の照明も選択できる。
【0053】
[0052] 説明するすべてのプロファイルで、照明プロファイルは、対物レンズの瞳内の少なくとも第1及び第2の光源領域からコヒーレント放射線を供給する。第1及び第2の光源は、(少なくとも光軸から離れているという意味で)上記瞳の周辺部分に閉じ込められている。それらの光源は各々角度範囲が制限され、光軸に対して互いに正反対の位置にある。例から分かるように、光源領域は極めて小さいスポットの形態であってもよく、又はより広がった形態であってもよい。別の光源領域も提供でき、特に第1及び第2の領域から90°回転した位置に第3及び第4の光源領域を提供できる。装置は全体として、これらの特定の照明プロファイルを提供する動作に限定される必要はない。装置は、既知の又は開発を待つ様々なプロファイルの使用を好む別の使用モードを有してもよい。その一例は、既存のマスク及び測定方法に適合するオンアクシス照明プロファイルである。
【0054】
[0053] まず
図5及び
図6を参照しながら、
図2(a)及び
図2(b)に示す様々なマスクタイプのためのオフアクシス照明モードの選択について説明する。
図3の既知のセンサでは、任意の方向(X、Y及びXY)で発生する回折スポットは格子ピッチがλ/NA以下である限り、光学系の瞳内に安全に収まる。+n次信号が−n次信号に重なるときにアライメント信号を抽出できる。これは、自己参照干渉計228を用いて実行できる。本発明のように、オフアクシス照明を使用したい場合、単一照明モードで、又は波ハードウェア内で容易に選択可能なモードによって3つの格子方向をすべてサポートしなければならない。
【0055】
[0054]
図5は、(a)所望のオフアクシス照明プロファイル、(b)その結果として得られる回折スポット、及び(c)X軸方向の向きを有するマーク(
図2(a)の202)のための干渉計の後段に所望される瞳面像を概略的に示す。
図5内のマークは、既知のアライメントセンサに適合するピッチを有する。各図内の円は光学系の瞳を表し、マーク内の周期性の方向は円を横切る点線で表される。(a)では、2つの照明スポットが互いに正反対の位置にあり、光軸(O、図示せず)を中心に180°対称の照明プロファイルを提供する(これらのスポットが瞳面内に存在し、マークそれ自体の上の、又はマークの像内のスポットと混同してはならないことは当業者には明らかであろう。他方、瞳面内の180°は画像面内の180°の回転とも同等である)。スポットはX軸(点線)上に位置しておらず、X軸からわずかな角度だけオフセットされる。したがって、スポットはX軸を横切る方向に、すなわち、格子の周期性の方向を横切って、互いにオフセットしている。(b)に、アライメントマーク202の格子によって生起する結果として得られる回折パターンが示されている。一方のスポットで、回折次数+1及び+2の信号が瞳内にある。他方のスポットでは、回折次数−1及び−2の信号が瞳内の次数+1及び+2の信号から180°の位置にある。各スポットのゼロ次回折(鏡面反射)は、他方のスポットの位置に正確に一致する。
【0056】
[0055] 上記オフセットのために、格子のピッチにかかわらず、各スポットの回折次数の信号は他方のスポットの信号から分離したままである。オフセットが存在せず、照明スポットが正確にX、Y及び/又はXY軸上にある装置を考えることができる。しかしながら、そのような構成は、様々な回折次数の信号の不要な重なりを回避し、必要な回折次数の信号が阻止されることを回避したいとすれば、使用できるマークピッチ及び放射線波長の組合せに対する多くの制約を課す。広帯域又は多色放射が使用される実施形態では、ここに示すように、高次回折信号は単一のスポットではなく、1次スペクトル、2次スペクトルなどに拡散する。これによって、次数間の不要な重なりの可能性は大きくなる。ここでは話を分かりやすくするためにのみ、次数をスポットとして表す。
【0057】
[0056]
図5(c)は、マーク像の180°回転したコピーを混合する干渉計を(b)の回折信号が通過した結果を示す。0次スポットは、視野絞りによって阻止されるものとする。そのような視野絞りの簡易な実施態様について以下の例で説明する。+1/−1、+2/−2などで表されるように、各高次信号の正及び負の信号は重畳し、混合する。元の照明スポットが互いにコヒーレントであるとすると、その効果は単一の照明スポットの正及び負の次数の信号の混合と同じである。したがって、位置測定装置の干渉計、検出光学装置及び検出回路は、
図3の既知の装置内と同じであってもよい。
【0058】
[0057]
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)は、
図5で使用されるマークのピッチの半分を有するX方向マークの対応する照明プロファイル、回折パターン及び干渉計出力を示す。この例では、次数+1及び−1の信号のみが瞳内に収まるが、これはマーク位置を認識するには十分であり、実質的にλ/2NAである格子ピッチの下限、すなわち、既知の計器内に適用されるピッチの半分を表す。
【0059】
[0058]
図5及び
図6では、部分(d)、(e)及び(f)は、同様に、Y方向のマーク(
図2(a)の204)用に設計された照明モードの照明プロファイル、回折パターン及び干渉計出力を示す。
図5及び
図6の部分(a)、(b)及び(c)に関する上記のすべての内容はこれらの部分に等しく適用される。
【0060】
[0059]
図5及び
図6では、部分(g),(h)及び(i)は、XYマーク(
図2(b)の210)の照明プロファイルを示す。マークは各々がX及びY軸に対して45°という格子線の向きが異なる部分を有するため、照明プロファイル内には2対のスポットが提供される。X及びYの例と同様、各対のスポットは互いに正反対の位置にあり、格子の周期性の方向を横切る方向に互いにわずかにオフセットされている。2対のスポットは、XYマークのスキャン時に同時に存在する必要はないことに留意されたい。対応する周期性の方向を有するマークの部分をスキャンする際には各対をオンにすることができる。両方のスポット対が同時に照明された場合であっても、基板から対物レンズが受光する回折次数の信号はスキャンされているマークの部分の周期性の方向に対応する信号だけである。したがって、(g),(h)及び(i)に示されるスポットは、XYマークの両方の対からの照明と回折信号の組合せである。
【0061】
[0060]
図5及び
図6から、最小ピッチを許容する理想的な照明プロファイルは、3つのマークタイプ全部で異なっていることは明らかであろう。
図11以降を参照しながら以下に説明する例では、照明システムは、マークタイプに従って選択可能なこれらの理想的な照明モードを実質的に提供するように構成されている。そのシステムを説明する前に、ある種の妥協点を含みながら3つの格子方向のすべてに適合する多目的照明プロファイルが構築された
図7〜
図10の例について説明する。
【0062】
[0061]
図5及び
図6の部分(j)は、上記の多目的照明プロファイル648を示す。
図4に示すプロファイル548と比較すると、プロファイル648は2つではなく4つの被照明セグメントを含む。さらに、各セグメントは径方向距離が制限され、瞳の周辺部内にのみ存在する。例えば、各セグメントは、瞳の径方向距離の10%未満、又は5%未満の径方向距離を有していてもよい(このことから、図面が正確な縮尺図ではないことが分かる)。厳密に言うならば、照明の径方向距離は、1ミリメートル未満、例えば、0.5mm前後であるが、一方、瞳のサイズは1〜3cm程度である。各セグメントは、光軸(Z軸)から瞳の径方向に0.5、0.6、0.7.0.8又は0.9よりも遠くにある瞳の周辺部に閉じ込められる。この例のセグメントは部分的に環状であると説明でき、各々のセグメントは光軸を中心に45°、又はわずかに小さい角度の位置にある。したがって、各セグメントは、各々が90°の位置にある
図4に示す照明の四分円と比較して制限された角度範囲を有する。
図5及び
図6の部分(j)内の小さい円で示すように、これら4つのセグメントは、
図5及び
図6の部分(a)、(d)及び(g)に示す照明スポット位置のすべてを包含し、その結果、すべてのマークタイプを同じ「ユニバーサル」照明プロファイルで好適に照明できることが分かる。
【0063】
[0062] 所望の信号を生成するためには、対向するセグメントは干渉計528についてコヒーレントでなければならないことを念頭に置いて、
図5の部分(j)の照明プロファイルを幾つかの方法で生成して実用的な計器を形成できる。特に広帯域光源が含まれるときには、光源の放射線のコヒーレンス長/時間は極めて短い。単色レーザ光源を用いた場合であっても、US’116号は、例えば、複数の反射からの干渉を解消するために、短いコヒーレンス時間が好まれると教示している。したがって、光源から各セグメントまでの光路長は極めて厳密に一致しなければならない。所望のプロファイルに直接対応するアパーチャを幅広の平行ビーム内に配置してもよいが、その結果、光の損失は比較的大きい。光の損失を回避するために、様々な代替の解決策を提案する。
【0064】
[0063]
図7は、照明プロファイル648を有する測定装置の第1の例を示す。読者は、既知のアライメントセンサ及び
図4の例から引き継いだ多数の素子に気が付くであろう。同じ参照番号が使用されているが、接頭辞は「2」又は「5」は「6」に変わっている。したがって、照明サブシステム640は、放射源620と、ファイバ642とを備える。レンズ652及びビームスプリッタ654を介して入射ビーム622が瞳面Pを有する対物レンズ624へ送達される。対物レンズ624は、ウェーハW上のアライメントマーク202/204/210上にスポット606を形成する。情報搬送ビーム626は、ビームスプリッタ654を通って自己参照干渉計628へ達する。自己参照干渉計628は、放射場を2つの等しい部分に分割し、それらの部分を互いに180°回転させ、それらの部分を再び出射ビーム682に結合させる。レンズ684は、放射場全体を
図3の既知のアライメントセンサと同様の装置である検出器630上に合焦させる。検出器630での空間分解は必要ないが、当然ながら別の目的のために提供することができる。
【0065】
[0064] 対物レンズ624の入口で所望の照明プロファイル648を達成するために、ファイバ642からの照明光が光を環状に分散させるいわゆるアキシコンミラー702へ送達される。傾斜した環状形態の第2のミラー704がこの放射線をレンズ652に供給する。その結果、入射ビーム622は、706に示す環状の放射プロファイルを有する。ビームスプリッタ654内で、離散的なミラーセグメント710が内部界面上の所望の照明プロファイル648に対応するパターン内に形成される。実際、このパターンは歪んだ形態で界面に塗布しなければならないため、入射及び出射方向から見てこのパターンは図示のようになる。環状プロファイル706の径方向距離は所望のセグメント648の径方向距離に一致し、放射線損失を低減する。しかしながら、放射線はビームスプリッタを真っ直ぐに通過するため、ミラーセグメントがない角度位置で放射線の50%が失われる。
【0066】
[0065] 環状プロファイル706及びセグメント化環状ミラー710の結果として、所望の照明プロファイル648が達成される。環状プロファイル706の径方向距離は、所望のセグメントの径方向距離に一致し、放射線損失を低減する。しかしながら、放射線はビームスプリッタを真っ直ぐに通過するため、ミラーセグメントがない位置で放射線の50%が失われる。しかしながら、
図4のビームスプリッタ554内で必要な従来の半透明界面より劣っているものではない。セグメント化ミラーは、セロ次回折放射線の視野絞りとしての第2の機能を果たす。しかしながら、
図3の既知のアライメントセンサのスポットミラー223とは異なり、セグメント化された各ミラーは専用の視野絞りとして機能できない。これは、ゼロ次回折放射線がターゲットに反射して対物レンズにその入射角と180°逆の角度で再入射するからである。しかしながら、ミラー710は180°対称のパターンを有するため、ミラー710の各セグメントは正反対の位置にあるセグメントのゼロ次信号を阻止する視野絞りの役割を果たすことができる。このようにして、追加のコンポーネントなしに、ゼロ次信号は干渉計628に入射する前に情報搬送ビーム626から除去される。ゼロ次信号を阻止することなく位置信号(バリエーション)を抽出することは依然として可能であるが、その場合、ゼロ次信号はノイズの形態を構成する背景輝度(DC成分)を提供する。
【0067】
[0066]
図8は、傾斜した環状ミラー704が円錐台形ミラーと交換された
図7の装置のわずかに改良されたバージョンを示す。
図7及び
図8の両方の例で、アキシコンレンズを用いて同様の効果を達成できるが、アキシコンミラー702は色収差の影響を受けにくい。
【0068】
[0067]
図9は、「妥協」照明プロファイル648の幾つかの限界と可能な解決策とを示す。新しい位置測定装置を開発する目的は、より小さい格子ピッチを有するマークを用いた測定を可能にすることであるが、新しい装置は幅広いピッチの既存のマークにも十分に適合しなければならないということが重要である。
図9(a)は、粗いピッチを有するXマークの回折パターンを示す。マークのピッチと放射線の波長によっては、最下部の四分円の−1次信号は右側の四分円の+1次信号に重なり得るということが分かる。これは不要な効果である。さらに、干渉計の後で重なる最下部の−1次信号と最上部の+1次信号によって、アライメントセンサ内に存在し得る収差のためにやはり不要である追加の干渉パターンが生成される。さらに、この図では、高次信号が存在するときに、図を見やすくするためにゼロ及び1次信号しか示していない。ゼロ次信号はスポットミラー710によって阻止されるが、粗いマークの場合、1次だけでなく、2次、3次及び高次信号もすべて瞳内に収まり、追加の干渉をさらに複雑にする。
【0069】
[0068]
図9(b)は、この干渉の問題の解決策を示す。図示のように、瞳の各部分は視野絞り720で阻止される。この視野絞りは、例えば
図7で示すように、干渉計628の後段に配置でき、又は干渉計の前段で情報搬送ビーム626内に配置してもよい。
【0070】
[0069]
図9(c)は、同様の粗いピッチを有するYマークの回折パターンを示す。
図9(b)に示す視野絞り720は、
図9(d)に示すように、90°回転する(又は別の視野絞りで代用される)。したがって、視野絞りは、X、Y及びXYマークについて調整可能である(それぞれ上部、下部、左右及びプラスマイナス45°)。US’116にすでに記載されているように、位置情報がその地点によってビーム内にすでに符号化されているので、干渉計の下流に位置する視野絞り720のアライメント及び光学的品質は特に重要というわけではない。視野絞りの回転は、実際には、電子的制御によって不透明又は透明にできるセグメントを有するLCDデバイスなどのプログラマブル可能な空間光変調器によって実現できる。2つの異なる向きを有するXYマーク210の場合、視野絞りの向きは図示の視野絞りに対して45°であり、マークのスキャン中に切り替わるように制御される。
【0071】
[0070] 小さいピッチアライメントターゲットの場合、不要な干渉パターンを引き起こす高次信号は対物レンズのNAの外側にあって瞳面内にはないため、これらの視野絞り720は不要である。視野絞り720はいかなる場合でも省略可能であるが、プロセス感度が増加するという不利益を伴うことに留意されたい。これは、大きい範囲の入射角が使用され、わずかに異なる入射角を有する光がわずかに異なるセンサ収差を被ることが理由である。
【0072】
[0071]
図10は、異なる「ユニバーサル」照明プロファイル848を用いた別の位置測定装置を示す。角度範囲を低減し、
図9(a)に示す問題の幾つかを回避し、同時に光の過度の消耗を回避するために、幾つかの四重レンズ802及び804を用いて入射放射線をプロファイル806を有する4つの輝点に集中させる。これらのスポットはスポットミラー810によって合致し、対物レンズ624の瞳面Pに所望の照明プロファイル848が形成される。プロファイル848内のスポットは2対であり、各対において180°対称である。各対は互いに90°の位置にあり、X及びY軸に対して22.5°の位置にある。スポットはプロファイル648の環状セグメントよりも小さく、これによって、異なる次数の信号間の干渉のリスクが低減する。スポットは、瞳面内の径方向距離と角度範囲とが制限されている。例えば、各スポットは、瞳の径方向距離の20%未満、10%未満又は5%未満の径方向距離を有してもよい(このことから、図面が正確な縮尺図ではないことが分かる)。厳密に言うならば、照明の径方向距離は1ミリメートル未満、例えば、0.5mm前後であるが、一方、瞳のサイズは1〜5cm程度である。各スポットは光軸上にはなく、光軸(Z軸)から瞳の径方向に0.5、0.6、0.7.0.8又は0.9よりも遠くにある。各スポットの角度範囲は10°未満又は5°未満であってもよい。
【0073】
[0072] X、Y及びXYマークについて、高次スポットが回折放射線場内にある方向がプロファイル848上の白い点線で示されている。次に、照明プロファイル806は以下の特性を有する。(i)各スポットは径方向距離及び角度範囲が制限され、(ii)各スポット対内で、スポットは、X、Y又はXYマークの周期性のいずれかの方向を横切る方向に互いにオフセットされている。したがって、これらの回折方向に沿って並ぶ高次スポットは、少なくとも放射場の中央部分では互いに干渉しない。特に粗いマークを測定する場合、既述の例と同様に調整可能な視野絞り720を提供できる。
【0074】
[0073]
図5〜
図10を参照する上記の例は、光の損失が制限(約4倍)された小さいピッチのアライメントマークを測定する能力を追加しながら、現在のアライメントセンサの検出器側をそのままで離れることができるという利点を有する。
図10の構成は、最小ピッチに関しては多少妥協している。これは、照明スポットが周期性の方向に関してそのような極限位置にないからである。そうは言うものの、検出器アレイを用いて瞳ベースの検出を実行することは依然として可能である。この1つの利点は、アライメントセンサを用いて角度分解スキャトロメトリを実行できるということである。例えば、専用のスキャトロメータは、より広範囲の入射角を用いてそのような測定をよりよく実行できるが、別個のメトロロジーツール内ではなく、リソグラフィツール内にあるアライメントセンサハードウェアを用いてそのような測定を実行できることの利点もある。
【0075】
[0074] 最後に、上記の
図4、
図7、
図8及び
図10に示す例で、干渉計の周囲で実際に必要な幾つかの偏光素子を省略している。これは、この考え方の説明を簡単化するのに過ぎない。実際の実施態様では、それらを含む必要がある。さらに、マークタイプに従って様々な偏光を用いて測定を行い、及び/又は各マーク上で複数の偏光を用いて測定を行なうことが通例である。所望の偏光を達成するフィーチャは当業者には明らかであろう。
【0076】
[0075]
図11以降に、単一の「妥協」照明プロファイル内のすべてのマークタイプをカバーしようとすることなく、
図5及び
図6に示す照明パターンの原理に基づいて位置測定装置の例を説明する。それらの装置によって、各マークタイプについて「理想的な」照明プロファイルを選択でき、視野絞りの回転又は視野絞りのコンポーネントの交換を回避することができる。またこの装置は、アキシコン及び組みレンズに関連付けられた費用と製造上の困難を回避する。これらのコンポーネントの代わりに、上記の別の例は、プリズムを用いたオフアクシススポットを生成する。特に、位置測定それ自体で使用されるのと同じタイプの自己参照干渉計は、短いコヒーレンス長又は時間を有する放射線から対称のコヒーレントスポットの対を生成する方法を提供する。各対内のスポットの偏光が両方共合致し選択可能であることを確実にする特別の技術及び/又はコンポーネントが提示される。これらの技術について説明する。
【0077】
[0076]
図11は、マークタイプによる様々なモードで使用可能な装置、すなわち、照明支線内の自己参照干渉計を用いたオフアクシス照明を可能にする偏光提案アセンブリの概略図を示す。この装置について、まず光軸Oのみを示し、ビームを示さずに説明する。次いで、装置の主要コンポーネントの参照番号は先行する図で使用された参照番号に対応するが、この例では従来とは異なるコンポーネントでは接頭辞が「9」である。したがって、以下に詳述する特別の特性を有する照明サブシステム940が示されている。基本的に変更がないコンポーネントは、ビームスプリッタ654、瞳面Pを有する対物レンズ624及び自己参照干渉計628である。干渉計628は放射線場を2つの等しい部分に分割し、それらの部分を互いに対して180°回転させ、それらの部分を再び出射ビーム682に結合させる。干渉計は従来の例と比較してわずかに異なるように描かれているが、いずれの例でも、これは複雑な3次元形状の2次元表現である。レンズ684は、全放射線場を
図3の既知のアライメントセンサと同様の装置である検出器630上に合焦させる。
【0078】
[0077]
図11は、装置内に提供できる様々な光学的フィーチャを示す。位置測定に検出器630での空間分解は必要ないが、当然ながら別の目的のために提供することができる。
図11の装置は、情報搬送放射線の小部分をカメラ装置932内に偏向する追加のビームスプリッタ930を含む。このカメラは、角度分解スキャトロメトリ及びその他の目的のために、放射線の瞳面像を記録できる。別のオプションは、ビームスプリッタ654と対物レンズ624との間に四分の一波長板936を含むことである。この機能については後述する。
【0079】
[0078] 上述したように、
図11の装置は、
図5又は
図6の(a)、(d)及び(g)に示す照明プロファイルを有する直接に選択可能な照明モードを実施するように設計されている。図示の例は、代替の偏光を有し、実質的に可動部品がないこれらのプロファイルのいずれかをさらに実施することができる。様々なコンポーネントが稼働してこれを達成する。最初に、照明源942はすべての利用可能な照明を、ビームスプリッタ654の下方の照明プロファイルに望まれる角度範囲及び径方向距離を実質的に有する微細スポット944内に集中させるように設計される。スポット944の位置は、光学系の入口瞳954内で移動可能であり、移動でき、又はこの例では、本明細書で光源供給位置と呼ばれる9つの所定の位置から選択できる。これらは、瞳の周縁の周囲に45°の間隔を空けた1〜8の符号が付いた位置、プラス中心位置である。切替可能な光ファイバはこれらを提供するのに好適であるが、複数の位置の間を物理的に移動する単一のファイバも考えられる。
図5のすべての照明モードを生成するには、図から分かるように、実際には4つの光源供給位置しか必要でない(例えば、位置1〜4)。8つの位置を装備することで、以下に詳述するように、偏光子コンポーネントを動かすことなく2つの交代可能な偏光モードを選択できる。中心のスポットは、所望のときにオンアクシス照明を使用できるようにするためにのみ提供される。
【0080】
[0079] 照明源942から現れる照明は単色光であってもよいが、通常は本来広帯域光、例えば、白色光である。知られているように、ビーム内の波長の多様性は測定の堅牢性を増加させる。しかしながら、本質的に広帯域光であるために、光源の放射線は短いコヒーレンス長を有する。光源供給位置1〜8はX、Y及びXY軸上に直接存在するのではなく、
図5及び
図6を参照して上述した理由でオフセットされている。希望があればそれらを各軸の上に配置することも可能である。そのようにしても、波長と格子ピッチとの一定の組合せでの各回折次数の信号間の干渉のリスクが導入されるだけである。
【0081】
[0080] 照明システムの別のコンポーネントは、2分の1波長板960、プリズムデバイス962及び改良型2分の1波長板964である。例えば、プリズムデバイス962は自己参照干渉計628と同一であり、その結果、その位置が光源942で選択された単一のスポットの位置によって決定される互いに対向した1対のコヒーレントスポットを効果的に生成する。すなわち、好適な光源供給位置を選択することで、所望の1対の光源領域に放射を供給することができる。プリズムデバイス962を以後、「入射干渉計」962と呼んで、マークからの情報搬送放射線を処理する干渉計628と区別する。入射干渉計962は主軸が瞳のX及びY軸に整列し、45°偏光放射線を供給されるとその回転及び結合機能を実行するように設計されている。2分の1波長板960は高速軸がX又はY軸に対して22.5°の向きにあり、光源から発するX又はY時方向に偏光した放射線を45°偏光放射線に変化させる役割を果たす。2分の1波長板の効果はゼロであり、入射光の偏光は高速軸に整列する。その他の点では、2分の1波長板の効果は、高速軸の方向に偏光を反射することである。45°偏光が好適な設計の光源942から直接発せられたと仮定すると、板960は省略できるであろう。
【0082】
[0081] 入射干渉計の下流に位置する改良型2分の1波長板964は、この用途のために特に設計されたが幅広い実用性がある新規のコンポーネントである。その新規のフィーチャは、光軸の周囲の異なる地点で高速軸の向きが異なるという点である。この例は、特に、一方の半分がX及びY軸の1つに平行の向きの高速軸を有し、一方、他方の半分は、X及びY軸に対して45°の向きの高速軸を有するように分割線966を有する。より一般的には、第1の場所の高速軸が第1の場所に正反対の第2の場所の高速軸に対して45°の向きであるということが板964の1つのフィーチャである。この条件はセグメント数を増やせば満たされるが、この例では、分割線966で十分である。分割線966はY軸に対して22.5°の角度をなす。この角度を選択することで、分割線はあらゆる光源供給位置との干渉を回避し、改良板の製造を容易にする。特に、図示の分割板は、単一の均一な2分の1波長板を高速軸に対して22.5°の線に沿って2つに切断し、一方の半分を裏返し、2つを再び重ね合わせることで形成できる。高速軸の向きが入射放射線の偏光方向に対して適切である限り、以下に詳述する機能を達成するためにY軸に対する22.55°の選択は任意である。オンアクシス照明を邪魔なく通過させるための穴968が光軸に形成される。各片が何らかの方法で互いに平行で光軸を中心とする好適な位置に保持されている限り、各片を重ね合わせる方法は重要でないことは言うまでもない。実際の実施形態では、各片を支持のための平面ガラス板に接合してもよく、又は入射干渉計962の出射面に直接に接合してもよい。
【0083】
[0082] ビームスプリッタ654では、スポットミラー910が8つの周辺位置にあってすべての所望のオフアクシススポット位置の役割を果たす。中心のスポットミラーが提供され、オンアクシス照明を用いた他のすべての動作モードを可能にする。これらのスポットの角度範囲及び径方向距離が極めて小さく、例えば、瞳の径方向距離の2〜5%であり、角度範囲も同様に小さい(例えば、10又は5度未満、例えば、1〜3度)。例えば、瞳の直径が1cm〜3cmの例示の装置では、各スポットは約0.5ミリメートルの直径を有していてもよい。
【0084】
[0083] 以下の説明のために、図で様々な平面(1)〜(7)に符号が付いている。これらは物理的なコンポーネントではない。これらの平面の場所は重要ではない。何故なら、それらはすべての光線が平行であるはずの平面にあるからである。
【0085】
[0084]
図12(a)は、光源供給位置1が選択され照明される第1の照明モードで動作する
図11の装置を示す。このファイバのみをオンにすると、平面(1)に
図12(b)に描く瞳面が生成される。点は照明の場所を示し、矢印は偏光の方向を示す。ビームが第1の2分の1波長板960に当たると、(2)に示すように、偏光は45°回転する。次いでビームが入射干渉計962に進入し、そこで2つのコピーに分割され、各コピーは互いに対して180°回転して再結合される。したがって、(3)で、直交偏光した2つの光線が得られ、光線は2分の1波長板964に当たる。別々の波長板の間の界面966の向きは(3)の線で示されている。2分の1波長板の効果はゼロであり、入射光の偏光は高速軸に整列する。その他の点では、2分の1波長板の効果は高速軸の方向に偏光を反射することである。したがって、高速軸が入射偏光に対して45°の場合、偏光は90°回転する。右側の光線の偏光は分割された2分の1波長板964によって90°回転するが、左側の光線の偏光は変化しない。これは、その偏光が高速軸に直交するからである。したがって、(4)に、Xマーク202を格子線に直交する偏光で照明するのに適した
図5(d)の照明プロファイルと同様の照明プロファイルが生成される。
【0086】
[0085]
図13は、Xマーク202を格子線に平行な偏光で照明するのに適した照明プロファイルを生成する方法を示す。このためには、
図13(a)に示すように、最下部のファイバ(光源供給位置5)をオンにするだけでよい。最下部のファイバをオンにすると、(1)に、
図13(b)に示す瞳面が生成される。点内の矢印は偏光方向を示す。これは、光源供給位置1(
図12(b)の(1)を参照)で得られるのと同じ偏光である。ビームが第1の2分の1波長板960に当たると、(2)に示すように、偏光は45°回転する。次いで入射干渉計962に進入し、その出力が(3)に示される。ここでも互いに直交する2つの光線が示されている。光源供給位置1及び5は互いに正反対の位置にあるので、これらの光線は
図12(b)と同じ位置にあるが、この場合は、偏光は
図12(b)の(3)の偏光に直交している。
【0087】
[0086] これら2つの光線が2分の1波長板964に当たると(界面線の向きは(3)の線で示されている)、光線の偏光はやはり分割された2分の1波長板964によって90°回転するが、(3)の左側の光線の偏光は変化しない。したがって、このようにして、Xマークを格子線に平行な偏光で照明するのに適した照明プロファイルが生成される。
【0088】
[0087]
図12及び
図13から、新規の照明システム940を用いて、光源放射線の偏光を変えるのではなく、光源供給位置を切り替えるだけで、両方の偏光内の所与のマークに適した照明プロファイルを生成する方法が分かる。光源放射線が極めて短いコヒーレンス長/時間を有する時であっても、2つのスポットは単一の入射光線から形成される。
【0089】
[0088]
図14は、(a)〜(h)で、光源供給位置1〜8の適切な1つを選択することのみで、
図5及び
図6で提案した照明プロファイルのいずれかを生成する方法を示す。
図14(a)は
図12(b)に対応し、
図14(b)は
図13(b)に対応する。これらの数字は漏れがないように繰り返しているだけである。XYマークに関して、2つの光源供給位置が順に活性化され、
図5(g)に示す照明プロファイルの2対のスポットが達成される。XYマークの異なる部分についての選択を
図14の(e)/(f)及び(g)/(h)に示す。
【0090】
[0089]
図11〜
図14は第1の照明源942によって平面(l)内に設定され、平面(2)内で45°回転する各光源供給位置での偏光を示す。平面(2)での所望の偏光が、放射線が照明源942から出現するときにすでに存在し、2分の1波長板960が省略できるような構成が可能である。各光源供給位置での所望の偏光を有する放射線の送達が、偏光を保存する既知のタイプの光ファイバを用いて調整できる。ファイバ端部を適切に回転させて搭載することで、所望の角度に偏光した放射線を各々の光源供給位置の第2の干渉計962へ送達することができる。
【0091】
[0090] 上記で一度に1つの光源供給位置を照明することを提案したが、これには、例えば、2つの異なる偏光を用いて位置を測定したい場合、マークを2回以上スキャンする必要がある。また、XYマークのスキャン中に照明モードを切り替える必要がある。2つの測定を同時に行なえるように光信号を多重化するオプションがある。同時に、照明モードを切り替えることなくXYマークの異なる部分をスキャンし測定できるように、多重化を適用できる。そのような多重化を実行する簡易な方法は、周波数分割多重化である。この技術で、各光源供給位置からの放射線は、位置情報を搬送する時間変動信号の周波数よりもはるかに高くなるように選択された特性周波数で変調される。そのような変調を用いて、2つの光源供給位置を活性化して、例えば、同じであるが偏光が異なる照明プロファイル(例えば、
図12及び
図13のような)を提供することができる。検出器630に到達する回折し処理された光信号は流体放射線の偏光の混合であるが、光源放射線のそれぞれの周波数に同調したフィルタを用いて電気的に分離できる。時分割多重化も使用できるが、光源と検出器との正確な同期が必要である。各周波数での変調は、例えば、単純な正弦波又は方形波である。
【0092】
[0091] 位置センシング又はその他の形態のメトロロジーを問わず、マークを円偏光で照明したい場合、四分の一波長板936を挿入できる。これを
図11に光学的フィーチャとして示した。この方法は、直線偏光を円偏光に変換する(また元に戻す)効果がある。従来と同様に、正確な光源供給位置でファイバを活性化することで、スポットの位置が選択される。円偏光の方向(時計回り/反時計回り)は、
図14の異なる直線偏光の選択と同じ方法で、反対側の光源供給位置を選択することで偏光できる。
【0093】
[0092]
図15は、単一の照明ファイバを機械的に平行移動させて瞳面内の選択した位置まで移動させる代替構成を示す。この実施態様は、所定の選択のみではなく、任意の入射角から格子を照明できるという利点を有する。しかしながら、連続的に変化する位置を可能にするためには、ごく少数の画定位置に強力な反射型スポットミラーを配置する代わりに、ビームスプリッタ654全体を半透明にする必要がある。したがって、そのような装置は、測定エラー(また、その結果としてのリソグラフィプロセス内のアライメントエラー)の発生を回避する慎重な実施態様を必要とし、半透明のビームスプリッタを2回通過することで放射線の75%が失われる。
【0094】
[0093]
図16は、
図11の装置の機能を有するが特別の分割された2分の1波長板964がない装置を示す。その代わりに、図示のように、高速軸がX又はY軸に対して22.5°の方向を向いた簡易な2分の1波長板970が提供される。したがって、直交する偏光((3)での)を有する1対の光線が入射干渉計962から出現する場合、2分の1波長板970は、その偏光が(4)に示すようになるようにそれらを45°回転させる。マークの周期性に直交するか又はそれに平行な所望の代替の偏光を生成するために、(4’)に示すように、両方の偏光が整列した放射場を生む偏光子972が提供される。この後段に、偏光子を経た偏光を選択的に回転させる能動素子974が提供され、実際に望まれる選択可能な偏光が達成される。この能動素子は、例えば、電子的に制御される液晶であってもよく、又は回転可能な2分の1波長板であってもよい。
【0095】
[0094] 別の代替策は、US’116号に記載の変形形態である偏光ニュートラルの自己参照干渉計を使用することである。しかしながら、逆反射、50%を超える光損失及び吸収を考慮に入れる必要がある。
【0096】
[0095] 上記新規の位置測定装置の幾つかの利点をまとめると、
−小さいピッチのアライメントマークは、既存の自己参照干渉計及び検出器のノウハウとインフラストラクチャとを変更せずに測定できる。
−照明モードを変更することなくX、Y,及びXY格子の測定を可能にする幾つかの「ユニバーサル」照明プロファイルが示されている。より粗いマーク上の複数の回折次数の信号間の不要な干渉があるために、干渉計の後段の視野絞りをモード間で調整可能にすべきであるが、この視野絞りのアライメントは干渉計の前段のアパーチャのアライメントほどには重要でない。
−その他の例では、別の可動又は能動部品なしに、光源供給位置を変更するだけで選択できるマーク固有の照明モードが提供される。改良型2分の1波長板を使用して、このように偏光も切り替えることができる。大きい範囲、例えば、約1μm〜20μm前後の大きい範囲のピッチを有するマークからアライメント信号を抽出できる。
−アライメントマークに関してサポートされる可能な最小ピッチがλ/NAからほぼλ/2NAまで短くなった。小ピッチアライメントマーク上で得られるアライメント信号は、マークの変形の影響を受けにくい。マークの変形は、一般的にウェーハの縁部でより目立つ。将来、450mmのウェーハなどの大型基板の処理及び測定が予測されるときには、これらのエッジ効果は深刻さを増す。これらの効果は、小ピッチアライメントマークを使用することで低減できる。
−スポットミラーによって実施される照明スポット(より一般的には光源領域)を備える照明プロファイルは、1つのスポットのスポットミラーが反対側のスポットのゼロ次数信号の視野絞りとしての役割を果たすように1対として構成できる。
−照明プロファイルの生成中に限られた量の光子が失われる。幾つかの例では、照明システムに入射するほぼすべての光子が使用される。
−空間分解能力がある検出器を追加して、第1にアライメントセンサとして設計された(例えば、位置測定用)装置を拡張して瞳面検出ができるようになった。
これによって、入射角の範囲は制限されるが、角度分解スキャトロメトリ、ひいてはマークの再構築が可能になった。
【0097】
非対称測定への応用
[0096] ここまで説明したように、位置測定装置を用いて、例えば、
図1に示すようなリソグラフィ装置内のアライメント位置を得ることができる。アライメントマークが非対称のときにはエラーが発生する。非対称アライメントマークによって引き起こされるアライメントエラーは、リソグラフィ装置の動作中の測定を用いたデバイス内のオーバレイエラーに寄与する。オフアクシス位置測定装置の動作方法を変更することで、以下に簡潔に説明するように、同じハードウェアを用いてマークの非対称性を直接測定できる。これは、リソグラフィ装置のアライメント中の非対称性によって引き起こされるアライメントエラーを測定し補正する可能性を提起する。
【0098】
[0097]
図17(a)及び
図17(b)は、
図11の光学系内の(1)の照明入射(光源942)の偏光を調整して入射干渉計962のコピー及び回転挙動を「オフにする」効果を示す。上述したように、使用する特定の干渉計の特徴的挙動は、入射光線が45°偏光することを必要とする。コピー及び回転挙動をオフにすると、今度は、オフアクシス照明が一方の側のみから入射する照明プロファイルが得られ、装置は+1次信号と−1次信号との輝度を互いに別々に測定できる。
図17(a)及び
図17(b)では、
図11の装置内の様々な平面(2)、(3)、(4)、(6)及び(7)のプロファイルが2つの異なる入射偏光について示されている。+1次信号と−1次信号との輝度の差は非対称マークによって引き起こされる輝度非対称性の尺度である。非対称性の認識によって、対称の照明プロファイルが同様の処理を受けた同じ1つ以上のマーク上で使用されるときに装置によって測定される位置に補正を加えることができる。
【0099】
[0098] アライメントターゲットの最も正確な再構築に関し、広帯域、例えば、白色光源の使用を提案する。
図17では、1次信号が、スポットではなく、波長による高次回折次数信号の拡散の効果である長いスペクトルとして、(6)及び(7)に示されている。入射偏光方向は、偏光を回転させる能動コンポーネントを追加することで調整できる。従来と同様に、適切な光源供給位置、必要であれば、適切な視野絞りを選択することで、X、Y及びXYマーク上の輝度の非対称性を同様の方法で決定できる。非対称性測定及び補正は、
図7〜
図9の装置を好適に改良して上記第1及び第2の光源領域の一方からの放射線を同時に使用することで可能になる。
【0100】
[0099] アライメントセンサを制御し、それによって検出される信号を処理し、これらの信号からリソグラフィパターニングデバイスの制御の際に使用するのに適した位置測定値を計算する処理ユニットPUは、詳細は割愛するが、ある種のコンピュータアセンブリを含むのが通常である。コンピュータアセンブリは装置外部の専用コンピュータであってもよく、アライメントセンサ専用の処理ユニットであってもよく、又はリソグラフィ装置全体を制御する中央処理装置LACUであってもよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラムプロダクトをロードするように構成できる。その結果、コンピュータプログラムプロダクトがダウンロードされると、コンピュータアセンブリはアライメントセンサASを用いてリソグラフィ装置の使用を制御することができる。
【0101】
[00100] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。このような代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0102】
[00101] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明はその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、文脈によっては光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0103】
[00102] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を包含する。
【0104】
[00103] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
【0105】
[00104] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0106】
[00105] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。