特許第5967406号(P5967406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5967406センス回路とその動作方法および光電変換アレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967406
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】センス回路とその動作方法および光電変換アレイ
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/44 20060101AFI20160728BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G01J1/44 F
   G01J1/44 P
   H01L31/00 A
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-8686(P2012-8686)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-148442(P2013-148442A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】林 豊
(72)【発明者】
【氏名】太田 敏隆
(72)【発明者】
【氏名】永宗 靖
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博文
(72)【発明者】
【氏名】米田 和洋
(72)【発明者】
【氏名】愛須 克彦
(72)【発明者】
【氏名】根来 宝昭
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−346950(JP,A)
【文献】 特開平08−152478(JP,A)
【文献】 特開2011−149901(JP,A)
【文献】 特開2010−217661(JP,A)
【文献】 特開2008−172336(JP,A)
【文献】 特開平05−037250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00−1/60
H01L 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
第1ソース、第1ドレイン、および第1ゲートを有する第1電界効果トランジスタと、
から構成され、
該第1ソースまたは第1ドレインの一方は該反転入力部と接続され、該第1ソースまたは第1ドレインの他方は該出力部と接続されたセンス回路において、
該非反転入力部には、参照電位を供給し、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部を接続し、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線を該反転入力に接続し、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷の電子情報を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セルの出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位が該第1ゲートへ供給されており、
該光電変換セルの出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、
該光電変換セルの出力制御電位を第2時間オフ電位にして、該差動増幅回路の該出力部の電位(または電圧)を保持したのち、
該第1ゲートへ該第1電界効果トランジスタが導通する電位を第3時間供給し、しかる後に該第1電界効果トランジスタを遮断する電位該第1ゲートへ供給
該第2時間の該差動増幅回路の該出力部電位をセンス回路の出力とした
ことを特徴とするセンス回路の動作方法。
【請求項2】
前記第3時間内に同一の前記光電変換セルの出力制御電位をオン電位とした後、オフ電位とすることを特徴とする請求項1記載のセンス回路の動作方法
【請求項3】
請求項1記載のセンス回路はさらに第2ソース、第2ドレイン、第ゲートを有する第2電界効果トランジスタを備え、前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方の前記反転入力部への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタの第2ソースまたは第2ドレインの一方と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方を前記反転入力部へ接続し、該第2電界効果トランジスタの第2ゲートへは該第2電界効果トランジスタが導通する電位を供給する、
ことを特徴とする請求項1記載のセンス回路の動作方法。
【請求項4】
反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
第1ソース、第1ドレイン、および第1ゲートを有する第1電界効果トランジスタと、
から構成され、
該第1ソースまたは第1ドレインの一方は該反転入力部と接続され、該第1ソースまたは第1ドレインの他方は該出力部と接続され、
該非反転入力部には、参照電位が供給され、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部が接続され、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線が該反転入力に接続され、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位を該第1ゲートへ供給し、
該光電変換セル出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、
該光電変換セルの出力制御電位を第2時間オフ電位にして、該差動増幅回路の該出力部の電位(または電圧)を必要時間保持したのち、
該第1ゲートへ該第1電界効果トランジスタが導通する電位を第3時間供給し、しかる後に該第1電界効果トランジスタを遮断する電位該第1ゲートへ供給
該第2時間の該差動増幅回路の該出力部電位をセンス回路の出力とした
ことを特徴とするセンス回路。
【請求項5】
前記第3時間内に同一の前記光電変換セルの出力制御電位をオン電位とした後、オフ電位とすることを特徴とする請求項4記載のセンス回路。
【請求項6】
請求項4記載のセンス回路はさらに第2ソース、第2ドレイン、第ゲートを有する第2電界効果トランジスタを備え、前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方の前記反転入力部への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタの第2ソースまたは第2ドレインの一方と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方を前記反転入力部へ接続し、該第2電界効果トランジスタの第2ゲートへは該第2電界効果トランジスタが導通する電位を供給する、
ことを特徴とする請求項4記載のセンス回路。
【請求項7】
反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
該反転入力と該非反転入力とに接続された抵抗性素子と、
から構成され、
該電気容量の容量値と該抵抗性素子の抵抗値の積が1時間以上で、かつ時間以下であって、
該非反転入力部には、参照電位を供給し、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部を接続し、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線を該反転入力に接続し、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換の出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セルの出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、該光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にし第2時間保持して、その間に該差動増幅回路の出力部から電子情報を読み取る
ことを特徴とするセンス回路。
【請求項8】
出力部と制御部を備えた複数の光電変換セルと、
第1の方向へ延在する複数の出力線と、
複数の請求項4または請求項7記載のセンス回路と
から少なくとも構成され、
該複数の出力線のうち1つの出力線には該第1方向へ配列された該複数の光電変換セルのいくつかが出力部で接続され、かつ、該複数の請求項4または請求項7記載のセンス回路の1つが前記反転入力部で接続されてなることを特徴とする光電変換アレイ。
【請求項9】
請求項8記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の選択線と該選択線を駆動する選択線駆動回路を備え、該複数の選択線の1つには第2方向へ配置された前記複数の光電変換セルのいくつかが出力制御部で接続され、該選択線駆動回路は該複数の選択線に順次前記光電変換セル出力制御電位のオフ電位からオン電位さらにオフ電位を供給することを特徴とする光電変換アレイ。
【請求項10】
請求項9記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のセンス回路出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のAD(アナログ・ディジタル)変換回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している第2時間帯に、前記複数のセンス回路出力電位を取り込みAD(アナログ・ディジタル)変換することを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【請求項11】
請求項9記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のセンス回路出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のスキャン回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している第2時間帯に、前記複数のセンス回路出力電位を取り込みスキャンすることを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【請求項12】
請求項10記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のAD変換回路はAD変換されたディジタル信号を出力する出力部を備え、該出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のスキャン回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している時間帯に、前記複数のAD変換回路のディジタル出力を取り込みスキャンすることを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【請求項13】
出力部と制御部を備えた前記複数の光電変換セルは、光電変換素子の一端を第1バイポーラトランジスタの第1ベースに接続し、該第1バイポーラトランジスタの第1コレクタまたは第1エミッタの一方を制御部とし、他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に必要な電位供給手段または該第1コレクタを接続し、
該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタの何れかである
ことを特徴とする請求項8記載の光電変換アレイ。
【請求項14】
前記光電変換セルは、前記光電変換素子が前記第1バイポーラトランジスタの第1ベース、第1コレクタ、第1エミッタ、第1ベース・コレクタ接合からなることを特徴とする請求項13記載の光電変換アレイ。
【請求項15】
前記光電変換セルは、さらに第2コレクタ、第2ベース、第2エミッタを有する第2バイポーラトランジスタを設け、前記第1エミッタを該第2ベースへ接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、前記第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする請求項13記載の光電変換アレイ。
【請求項16】
前記光電変換セルは、さらに第2コレクタ、第2ベース、第2エミッタを有する第2バイポーラトランジスタを設け、前記第1エミッタを該第2ベースへ接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、前記第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする請求項14記載の光電変換アレイ。
【請求項17】
前記光電変換セルは、さらに第3コレクタ、第3ベース、第3エミッタを有する第3バイポーラトランジスタを設け、前記第2エミッタを該第3ベースへ接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする請求項15記載の光電変換アレイ。
【請求項18】
前記光電変換セルは、さらに第3コレクタ、第3ベース、第3エミッタを有する第3バイポーラトランジスタを設け、前記第2エミッタを該第3ベースへ接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする請求項16記載の光電変換アレイ。
【請求項19】
出力部と制御部を備えた前記複数の光電変換セルは、光電変換素子の一端を第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に規定の電位を接続し、
該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタの何れかである
ことを特徴とする請求項8記載の光電変換アレイ。
【請求項20】
前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第1エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタは規定の電位を接続した、
ことを特徴とする請求項13または請求項14記載の光電変換アレイ。
【請求項21】
前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第2エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタまたは第2コレクタはそれぞれの規定の電位を接続した、
ことを特徴とする請求項15または請求項16記載の光電変換アレイ。
【請求項22】
前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第3エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタまたは第2コレクタまたは第3コレクタはそれぞれの規定の電位を接続した、
ことを特徴とする請求項17または請求項18記載の光電変換アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光強度、光波長などの光情報や、光学像を、電流、電荷、若しくは電圧又はデジタルデータを含む電子情報に変換する光電変換装置や撮像装置などにおいて使用されるセンス回路とその動作方法およびそれを用いた光電変換アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSセンサーのように電子情報出力が電圧出力である光電変換セルの場合は、電圧増幅回路が従来、センス回路として用いられてきた。この場合、セル出力の接続された出力線の充放電電圧が大きく、多数のセルが出力線へ接続されたときには出力線に合計として大きな浮遊容量が接続されたことになり、読み出し速度を阻害し、さらに出力線に重畳した雑音電圧に微小電圧信号が埋もれてしまい高感度化が阻害されていた。
【0003】
一方、フォトダイオードのように電流出力の光電変換素子から電子情報を得る場合はセンス回路を工夫することによっては高速動作の可能性があるが、抵抗素子を用いて電圧変換をするセンス回路では上記と同じ問題に遭遇した。
【0004】
さらに、従来、出力電子情報は時間的に連続な処理のみを行う場合はセンス回路の出力電圧信号は時間変動が大きく、AD変換などのためには、ピーク電圧または平均電圧をサンプルホールドする回路をセンス回路の出力に設ける必要があった。
【0005】
一方、フォトダイオードの出力光電流を積分して出力電圧を信号処理する技術が、特許第3146502号および特許第4280101号に開示されている。これらの技術ではフォトダイオードからの光電流が積分回路に流れている最中に、その出力電圧を信号処理しているのでスイッチ雑音を回避する付加回路が必要であること、およびフォトダイオードは常時積分回路に接続されているので、アレイ状の光電変換セルからの信号処理には使用できないことが問題であった。これを回避するためにフォトダイオード等の光電変換素子に出力電流などをオン・オフするスイッチ機能を付与すると、そのスイッチ制御パルス雑音が出力に重畳して微弱光に対応する電子情報を取り出すことが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3146502号
【特許文献2】特許第4286101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1.上記のようにオン・オフスイッチ機能を付与した光電変換素子、光電変換セル(本発明ではアレイ状に接続できる光電変換ユニットを光電変換セルとよぶ。)はスイッチパルスのフィードスルー雑音により検出感度が劣化する。本発明ではこの解決を課題の一つとする。さらに本発明の解決課題は下記に挙げられる。
【0008】
2.光電変換セルが電流出力の場合、出力線の電位変化を小さくして、1つの光電変換セルの読み出しに必要とされる時間を小さくして読み出しの高速化を図る。
【0009】
3.出力線に多数のセルが接続されて出力線の浮遊容量が増加しても、出力電流が出力線の充放電に使用される割合を小さくして、出力信号のロスを抑えて読みだす。
【0010】
4.光電変換セルの出力を経時的に増幅するセンス回路は、センス速度を改善するために、出力線ごとにセンス回路を設けてセンス回路をアレイ化するとき、増幅度のばらつきを抑える必要があり、そのために回路が複雑になり、半導体チップ上の専有面積が大きくなるため、多数の(たとえば1000を超える)アレイ化は難しくなる。光電変換セルからの同一出力に対するセンス回路の出力電圧のばらつきを減らし、かつ構成を簡単化することも本発明の課題である。
【0011】
5. AD変換回路を直付けにできるセンス回路を各出力線毎にアレイ配置出来るようにする。各出力線の出力がディジタル信号になっていることは、各出力線の出力をスキャンして光電変換アレイの直列出力信号を作るときに出力スキャンによる雑音を受けにくくする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では上記課題を解決するために次の各技術を提供する。
【0013】
まず、本発明で用いられる、光電変換素子からの電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を付与した光電変換セルは、次の構成を有する。
【0014】
1)第1バイポーラトランジスタのベースへ光電変換素子を接続し、
該第1バイポーラトランジスタの第1エミッタ、または第1コレクタを光電変換セルからの電子情報の出力をオン・オフする制御部とする。該第1バイポーラトランジスタの第1エミッタまたは第1コレクタが光電変換セルの出力部となる。該第1バイポーラトランジスタの第1ベース、第1コレクタ、第1ベース・第1コレクタ接合を光電変換素子として用いる場合も含む(フォトトランジスタ)。本発明において光電変換素子は、光入力によって抵抗値が変化する光抵抗(フォトコンダクタ)、光入力により電流、電圧が変化するフォトダイオード、光入力により電気容量値(キャパシタンス)が変化する光容量(フォトキャパシタ)などを指す。
【0015】
さらに第1バイポーラトランジスタの第1エミッタを第2バイポーラトランジスタの第2ベースに接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、該第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部とした構成、この構成にさらに該第2エミッタを第3トランジスタの第3ベースに接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部とした構成とすることもできる。
【0016】
2)光電変換素子の1端にスイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの一方を接続した構成とする。該スイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの他方は、光電変換セルの出力部となる。該スイッチ電界効果トランジスタのゲートが光電変換セルからの電子情報の出力をオン・オフする該制御部となる。さらに、A記載の光電変換セルも光電変換素子としてその1端に該スイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの一方を接続して、該スイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの他方は、光電変換セルの出力部とし、該スイッチ電界効果トランジスタのゲートを光電変換セルからの電子情報の出力をオン・オフする該制御部とする。
【0017】
上記課題を解決するために、下記の動作方法を提供する。
【0018】
(1)反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量(畜電器ともいう、以下同様)と、
第1ソース、第1ドレイン、および第1ゲートを有する第1電界効果トランジスタと、
から構成され、
該第1ソースまたは第1ドレインの一方は該反転入力部と接続され、該第1ソースまたは第1ドレインの他方は該出力部と接続されたセンス回路において、
該非反転入力部には、参照電位を供給し、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部を接続し、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線を該反転入力に接続し、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷の電子情報を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セルの出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位が該第1ゲートへ供給されており、
該光電変換セルの出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、
該光電変換セルの出力制御電位を第2時間オフ電位にして、該差動増幅回路の該出力部の電位(または電圧)を保持したのち、
該第1ゲートへ該第1電界効果トランジスタが導通する電位を第3時間供給し、しかる後に該第1電界効果トランジスタを遮断する電位該第1ゲートへ供給
該第2時間の該差動増幅回路の該出力部電位をセンス回路の出力とした
ことを特徴とするセンス回路の動作方法。
【0019】
(2)前記第3時間内に同一の前記光電変換セルの出力制御電位をオン電位とした後、オフ電位とする(1)記載のセンス回路の動作方法
【0020】
(3)(1)記載のセンス回路はさらに第2ソース、第2ドレイン、第ゲートを有する第2電界効果トランジスタを備え、前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方の前記反転入力部への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタの第2ソースまたは第2ドレインの一方と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方を前記反転入力部へ接続し、該第2電界効果トランジスタの第2ゲートへは該第2電界効果トランジスタが導通する電位を供給する、
ことを特徴とするセンス回路の動作方法。
【0021】
上記課題を解決するために、下記の動作を規定したセンス回路構成を提供する。
【0022】
(4)反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
第1ソース、第1ドレイン、および第1ゲートを有する第1電界効果トランジスタと、
から構成され、
該第1ソースまたは第1ドレインの一方は該反転入力部と接続され、該第1ソースまたは第1ドレインの他方は該出力部と接続され、
該非反転入力部には、参照電位が供給され、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部が接続され、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線が該反転入力に接続され、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位を該第1ゲートへ供給し、
該光電変換セル出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、
該光電変換セルの出力制御電位を第2時間オフ電位にして、該差動増幅回路の該出力部の電位(または電圧)を必要時間保持したのち、
該第1ゲートへ該第1電界効果トランジスタが導通する電位を第3時間供給し、しかる後に該第1電界効果トランジスタを遮断する電位該第1ゲートへ供給
該第2時間の該差動増幅回路の該出力部電位をセンス回路の出力とした
ことを特徴とするセンス回路。
【0023】
(5)前記第3時間内に同一の前記光電変換セルの出力制御電位をオン電位とした後、オフ電位とする(4)記載のセンス回路。
【0024】
(6)(4)記載のセンス回路はさらに第2ソース、第2ドレイン、第ゲートを有する第2電界効果トランジスタを備え、前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方の前記反転入力部への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタの第2ソースまたは第2ドレインの一方と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方を前記反転入力部へ接続し、該第2電界効果トランジスタの第2ゲートへは該第2電界効果トランジスタが導通する電位を供給する、
ことを特徴とするセンス回路。
【0025】
(7)反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
該反転入力と該非反転入力とに接続された抵抗性素子と、
から構成され、
該電気容量の容量値と該抵抗性素子の抵抗値の積が1時間以上で、かつ第2時間以下であって、
該非反転入力部には、参照電位を供給し、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部を接続し、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線を該反転入力に接続し、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換の出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セルの出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、該光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にし第2時間保持して、その間に該差動増幅回路の出力部から電子情報を読み取る
ことを特徴とするセンス回路。
【0026】
(8)出力部と制御部を備えた複数の光電変換セルと、
第1の方向へ延在する複数の出力線と、
複数の(4)または(7)記載のセンス回路と
から少なくとも構成され、
該複数の出力線のうち1つの出力線には該第1方向へ配列された該複数の光電変換セルのいくつかが出力部で接続され、かつ、該複数の(4)または(7)記載のセンス回路の1つが前記反転入力部で接続されてなることを特徴とする光電変換アレイ。
【0027】
(9)(8)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の選択線と該選択線を駆動する選択線駆動回路を備え、該複数の選択線の1つには第2方向へ配置された前記複数の光電変換セルのいくつかが出力制御部で接続され、該選択線駆動回路は該複数の選択線に順次前記光電変換セル出力制御電位のオフ電位からオン電位さらにオフ電位を供給することを特徴とする光電変換アレイ。
【0028】
(10)(9)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のセンス回路出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のAD(アナログ・ディジタル)変換回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している第2時間帯に、前記複数のセンス回路出力電位を取り込みAD(アナログ・ディジタル)変換することを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【0029】
(11)(9)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のセンス回路出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のスキャン回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している第2時間帯に、前記複数のセンス回路出力電位を取り込みスキャンすることを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【0030】
(12)(10)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のAD変換回路はAD変換されたディジタル信号を出力する出力部を備え、該出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のスキャン回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している時間帯に、前記複数のAD変換回路のディジタル出力を取り込みスキャンすることを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【0031】
(13)出力部と制御部を備えた前記複数の光電変換セルは、光電変換素子の一端を第1バイポーラトランジスタの第1ベースに接続し、該第1バイポーラトランジスタの第1コレクタまたは第1エミッタの一方を制御部とし、他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に必要な電位供給手段または該第1コレクタを接続し、
該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタの何れかである
ことを特徴とする(8)記載の光電変換アレイ。
【0032】
(14)前記光電変換セルは、前記光電変換素子が前記第1バイポーラトランジスタの第1ベース、第1コレクタ、第1エミッタ、第1ベース・コレクタ接合からなることを特徴とする(フォトトランジスタ)(13)記載の光電変換アレイ。
【0033】
(15)前記光電変換セルは、さらに第2コレクタ、第2ベース、第2エミッタを有する第2バイポーラトランジスタを設け、前記第1エミッタを該第2ベースへ接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、前記第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(13)記載の光電変換アレイ。
【0034】
(16)前記光電変換セルは、さらに第2コレクタ、第2ベース、第2エミッタを有する第2バイポーラトランジスタを設け、前記第1エミッタを該第2ベースへ接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、前記第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(14)記載の光電変換アレイ。
【0035】
(17)前記光電変換セルは、さらに第3コレクタ、第3ベース、第3エミッタを有する第3バイポーラトランジスタを設け、前記第2エミッタを該第3ベースへ接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(15)記載の光電変換アレイ。
【0036】
(18)前記光電変換セルは、さらに第3コレクタ、第3ベース、第3エミッタを有する第3バイポーラトランジスタを設け、前記第2エミッタを該第3ベースへ接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(16)記載の光電変換アレイ。
【0037】
(19)出力部と制御部を備えた前記複数の光電変換セルは、光電変換素子の一端を第3電界効果トランジスタ(上記スイッチ電界効果トランジスタ)の第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に規定の電位を接続し、
該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタの何れかである
ことを特徴とする(8)記載の光電変換アレイ。
【0038】
(20)前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第1エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタは規定の電位を接続した、
ことを特徴とする(13)または(14)記載の光電変換アレイ。
【0039】
(21)前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第2エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタまたは第2コレクタはそれぞれの規定の電位を接続した、
ことを特徴とする(15)または(16)記載の光電変換アレイ。
【0040】
(22)前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第3エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタまたは第2コレクタまたは第3コレクタはそれぞれの規定の電位を接続した、
ことを特徴とする(17)または(18)記載の光電変換アレイ。
【発明の効果】
【0041】
上記(1)、(4)記載の動作方法と回路構成によれば、
A. 当該光電変換セルが選択される前に選択された光電変換セルの読み出し後の第3時間に第1電界効果トランジスタが導通する電位を第1ゲートへ供給されているので、該第1電界効果トランジスタを介して、前記差動増幅回路の出力から前記差動増幅回路の反転入力とそれと接続された前記アレイの出力線が(光電変換セルの出力部まで)参照電位に駆動される。これにより読み出しの前歴が消去され、常に参照電位からの光電変換セルの電子情報の読出しが可能となる。
【0042】
上記(1)、(4)、記載の動作方法と回路構成によれば、
B.この後、該光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位を該第1ゲートへ供給し、
該セル出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ供給すると、該第1電界効果トランジスタは遮断されているので、該出力部からの電流または電荷は前記電気容量Cc(ここでは電気容量値もCc)を充電し始め、供給された電荷Q0および該光電変換セルの出力制御電位をオン電位からオフ電位にするまでの間(第1時間)に電気容量に流れ込んだ電流の積分電荷Qiが前記電気容量に蓄積され、前記差動増幅器の出力電位は、該光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にした後は、ほぼVref+(Q0+Qi)/Ccに止まっている。
【0043】
C.この前記差動増幅器の出力電位がほぼ止まっている時間帯(第2時間)の出力電位には前記光電変換セル制御部にオン電位、オフ電位を供給するパルスに原因する雑音---フィードスルー雑音からの影響は少ない。図6に示すようにオン電位を与えるパルスのフィードスルー雑音Vno、オフ電位を与えるパルスのフィードスルー雑音Vnfは該出力に現れるが、大きさがほぼ同じで符号が逆のため、結局、光電変換セルの制御部に出力制御電位のオフ電位パルスが印加された後では前記差動増幅器の出力電位はフィードスルー雑音の影響は小さくなっている。(上記課題1の解決手段を提供している)
【0044】
D.この前記光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にした後の第2時間帯に(1)、(4)の場合は前記差動増幅器の出力電位がほぼ止まっている時間帯(7)の場合は前記差動増幅回路の出力電位はなだらかに変化している)を利用して(11)記載のように、光電変換アレイの多数の出力線に接続されたセンス回路出力をサンプリング・スキャンしてゆき、光電変換アレイの出力線列と交叉する方向の電子情報を時間的に直列信号として取り出すことができる。
【0045】
E.(10)(12)記載のように、この前記光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にした後で前記差動増幅器の出力電位がほぼ止まっている時間帯を利用して光電変換アレイの多数の出力線に接続されたセンス回路出力をAD変換回路でAD変換し、そのAD変換出力をサンプリング・スキャンしてゆき、光電変換アレイの出力線列と交叉する方向の電子情報を時間的に直列信号として取り出すことができる。(上記課題5の解決手段)
【0046】
上記(2)、(5)により、
F.前記差動増幅器の出力電位がほぼとまったあと(第2時間の後)、前記第1ゲートへ再度前記第1電界効果トランジスタが導通する第3時間の間電位を供給し、かつ同一の光電変換セルの出力制御電位をオン電位とすることにより読み出しきらなかった光電変換セルの蓄積電荷を引出し、次に読み出すときの電荷残留による電子情報誤差を少なくすることができる。また該同一の光電変換セルの出力制御電位をオフ電位とした後も、前記第1電界効果トランジスタが導通する時間帯を設けることにより、読み出し線の電位を参照電位にリセットできるので次の放電変換セルを読み出すときの読み出し電位はどの光電変換セルに対しても前歴は解消される。
【0047】
前記光電変換セルの前記出力部または光電変換アレイの前記出力線は、前記光電変換セルから電子情報を読み出す前(前記光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前)に、前記第1電界効果トランジスタを導通するオン電位を前記第1ゲートへ供給して、参照電位としている。したがって該電子情報を読み出す時点では参照電位Vrefで読み出しが始まる。G. 読み出し中の前記光電変換セルの前記出力部または光電変換アレイの前記出力線の電位変化ΔVlは前記差動増幅回路の出力が前記Vref+(Q0+Qi)/Ccとなった時点でも(Q0+Qi)/Cc/Aである。ここでAは前記差動増幅回路の増幅度で、簡単な回路でも1000以上の増幅度は実現できる。したがって前記差動増幅回路の出力が数Vオーダーで動作するとき、前記電位変化ΔVlは数mVとなる。このため、読み出し速度に与える出力線の浮遊容量の影響は電圧出力CMOS光電変換アレイないしは電流出力光電変換アレイでも抵抗で電圧に変換するセンス回路の場合の1/1000となる(一般には1/A)。光電変換セルからの読み出し情報が出力線へ残置されるロスも大幅に減少する。(課題2、3の解決手段)
【0048】
センス回路が電流の増幅、電圧の増幅機能を使用したものであると、増幅度のばらつきがそのままセンス回路出力電圧、電流のばらつきとなるが、本発明の動作方法を適用したセンス回路の場合には、ある程度の増幅度以上であれば、センス回路出力のばらつきは小さく増幅度にばらつきがあってもほぼVref+(Q0+Qi)/Ccとなる。
【0049】
H.このことはセンス回路を構成する素子パラメータのばらつきに許容度が大きく、素子数が少なくてもよく、回路構成が簡単でよいことを結果し、小さな専有面積でセンスアンプアレイ(出力線の数だけ)実現できることを意味する。
【0050】
したがって、(上記課題4の解決手段)
I.動作方法(2)、センス回路(5)により、読み出し時間が不十分であったために光電変換セルに残留していた蓄積電荷を吐き出すことができる。
【0051】
J.動作方法(3)センス回路(6)により、前記第1ゲートへ前記第1電界効果トランジスタが遮断する電位を供給した時に前記第1電界効果トランジスタのゲート・ソースまたはドレイン間寄生容量を通したフィードスルー電流による出力線への擾乱---出力線が参照電位から僅かずれる結果となる---が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明のセンス回路の第1実施形態を示す回路図
図2-1】本発明のセンス回路の他の実施形態を示す回路図
図2-2】本発明のセンス回路の他の実施形態を示す回路図
図3】本発明に係る光電変換アレイの第1の実施形態を示す回路ブロック図
図4】本発明に係る光電変換アレイの他の実施形態を示す回路ブロック図
図5】本発明のセンス回路の他の実施形態を示す回路図
図6】本発明に係る光電変換アレイの他の実施形態の回路動作を説明する動作波形図
図7-1】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能をバイポーラトランジスタにより付与した光電変換セルの第1実施例を示す回路図
図7-2】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能をバイポーラトランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図8-1】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能をバイポーラトランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図8-2】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能をバイポーラトランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図9-1】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能をバイポーラトランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図9-2】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能をバイポーラトランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図10】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を電界効果トランジスタにより付与した光電変換セルの第1実施例を示す回路図
図11-1】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を電界効果トランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図11-2】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を電界効果トランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図12】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を電界効果トランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
図13】電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を電界効果トランジスタにより付与した光電変換セルの他の実施例を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明のセンス回路2000−iの第1実施形態を示す回路図である。差動増幅回路2000は、反転入力部2001と、非反転入力部2002と、出力部2003を有し、その反転入力部2001と出力部2003の間には電気容量10が接続されている。また反転入力部2001は、第1電界効果トランジスタ200−1の第1ソースまたは第1ドレインの一方211と接続され、出力部2003は、第1電界効果トランジスタ200−1の第1ソースまたは第1ドレインの他方212と接続されている。
【0054】
非反転入力部2002には、参照電位が供給される。反転入力部2001には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部が接続されている。該光電変換セルは該出力部のほかに、制御部を備え、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する。この光電変換セルの実施例は後述する。
【0055】
図6は、第1実施形態の回路動作を説明する電圧波形図である。ここで[Vg3j]、[Vg3(j+1)]と記した電圧波形は、隣接する2つの光電変換セルの出力制御電位の変化を示し、該光電変換セルの出力制御電位のオフ電位がハイレベルで、光電変換セルの出力制御電位のオン電位がローレベルである例を用いて説明するが、両者の極性は反対でも構わない。
【0056】
ゲート213の電位[Vg1]が、電界効果トランジスタ200−1を導通させる電位(ここではローレベル)である場合、非反転入力部2002と出力部(端子)2003は導通し、その結果、出力部2003は参照電位を出力する。
【0057】
次に、この状態から、ゲート213の電位[Vg1]が、電界効果トランジスタ200−1を遮断させる電位(ここではハイレベル)に変更しても、反転入力部から電気入力がなければ何も変化しない。故にこの時点では前記差動増幅回路の出力も変化しない。続いて、出力制御電位 [Vg3j]をオフ電位からオン電位に変更し、前記光電変換セルの出力をイネーブルにすることで、前記光電変換セルからの電荷、電流を図6のt1で示す時間帯(第1時間)に前記電気容量に蓄積し電圧変換し、前記差動増幅回路から出力を得る事ができる。
【0058】
その後、出力制御電位をオン電位からオフ電位に変更し、光電変換セル出力をディスエーブルにする。前記差動増幅回路からの出力電位はこの時点から図6でt2と記されている時間帯(第2時間)だけ保持されている。この出力電位を前記光電変換セルのアナログ電子情報として利用することができるが、さらにこの後、別途設けられたAD変換回路を用いて、このAD変換回路入力部へ前記差動増幅回路の出力電位を入力してアナログ値をディジタル値に変換することによって前記光電変換セルのディジタル電子情報を得ることができる。これにより光電変換セルがオンしてからオフするまでの間に出力された電荷、電流のほとんどすべてを前記電気容量に蓄積、電圧変換して出力電位をアナログ電子情報として要すればディジタル電子情報として得ることができる。これは、光電変換セルがオフの間に光電変換セル内に光電変換により蓄積された電荷量とオンの間に光電変換セル内で発生した光電流に相関のある量である。なお、光電変換セルの構成によっては光電変換セル内で光電変換により蓄積された電荷、発生した光電流は増幅されて光電変換セルから出力する。
【0059】
前記t2の間前記差動増幅回路からの出力電位が保持されたあと、図6でt3と記された時間帯(第3時間)は前記第1電界効果トランジスタの第1ゲートへ導通電位を与えると、前記差動増幅回路の出力と反転入力とが導通して、前記反転入力部、出力線は非反転入力部電位である参照電位Vrefとなる。この時、今まで読みだされていた光電変換セルの制御部にオン電位を供給することにより、読み出し切れていない残余の蓄積電荷が光電変換セルに残存する場合は出力線は低インピーダンスの差動増幅回路出力につながっているので、これを引き出すことが出来る。t3時間後に前記第1電界効果トランジスタの第1ゲートへ遮断電位を与えると、次の光電変換セルを読み出す準備が出来る。この後、次の光電変換セルの制御部へオン電位を図6の出力制御電位[Vg3(j+1)]で示すように供給すると、次の光電変換セルの読み出しが始まる。
【0060】
ここで、前記第1電界効果トランジスタの第1ゲートへ遮断電位を与えた時、前記第1電界効果トランジスタのゲート・ソースまたはドレイン間寄生容量を通して出力線へフィードスルー電流が流れる。この時出力線はフローティング状態のため、出力線電位が参照電位から変化する結果となる(図6のVft参照)。このフィードスルー電流による出力線電位変化Vftを少なくするため、図2−1のように第2電界効果トランジスタ200−2を前記第1電界効果トランジスタ200−1と前記反転入力部2001との間に挿入する。前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方211の前記反転入力部2001への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタ200−2の第2ソースまたは第2ドレインの一方222と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方221を前記反転入力部へ接続する。該第2電界効果トランジスタの第2ゲート223へは該第2電界効果トランジスタが導通する導通電位を供給する。
【0061】
前記第1電界効果トランジスタの第1ゲートへ遮断する電位変化を与えた時も、前記第2ゲートへは導通電位を与えることにより、前記第1ゲートからのフィードスルー電流の多くは第2電界効果トランジスタのチャネル-第3ゲートを通って分流して出力線電位変化を少なくする。
【0062】
このフィードスルー電流の原因である電界効果トランジスタのスイッチ動作を除いたセンス回路を図2−2に示す。電界効果トランジスタの代わりに抵抗性素子30が差動増幅回路2000の出力部2003と反転入力部2001に接続されている。該抵抗性素子の等価抵抗値Rpは並列に接続されている電気容量の容量値C(10)との時定数CRpがt1より大きいことが必要であるが、t3の間で出力が減衰する必要があるのでCRpはt3より小さい必要がある。t3が大きい、読み出し間隔が長い場合に有用である。ただし、光電変換セル自体にリセット機能、または出力線へVfefへのリセット機能を備えている場合はt3は小さくてもよい。
【0063】
図3は、本発明に係る光電変換アレイを示す回路ブロック図である。光電変換アレイは、交差する第1方向および第2方向に沿ってマトリクス状に配列された複数の光電変換セル1001−i−j(i=1〜m、j=1〜n)と、マトリクス駆動のための複数の選択線11−j(j=1〜n)および複数の出力線12−i(i=1〜m)と、各出力線と接続された複数のリファレンス入力付センス回路2000−i(i=1〜m)と、各センス回路からの出力信号を時系列で読み出してシリアル画像信号を出力するスキャン回路3000と、各リファレンス入力付センス回路に対して参照電位を供給する参照電位供給手段4001などを備える。
【0064】
各センス回路2000−i(i=1〜m)は、図1または図2に示したセンス回路を含み、先に説明した方法でその都度選択されイネーブルになった光電変換セル出力電荷、電流を電気容量に蓄積、電圧に変換し、読み出し後出力電圧をリセット、次の光電変換セル出力電荷、電流を電気容量に蓄積、電圧に変換処理を行なうことで、複数個配置された光電変換セルの位置に応じた光強度電子情報を得ることができる。
【0065】
なお、図3において、センス回路は列の数だけ用意されており、1つのセンス回路は行の数に等しい個数の光電変換セル出力を処理する構成を示しているが、光電変換セルとセンス回路の個数や組み合わせは任意であり、目的、用途に応じて組み合わせることができる。
【0066】
図4は、図3の光電変換アレイに更に光電変換セル制御部を第2方向へ接続する選択線を駆動する選択線駆動回路5000と前記複数のセンス回路2000-i(i=1〜m)の出力部へその入力を接続された複数のAD変換回路4000−i(i=1〜m)を設けた場合の構成を示す。選択線駆動回路は公知のシフトレジスタで実現できる。選択線11−j(j=1〜n)は選択線駆動回路5000から順次オフ電位、オン電位、オフ電位を供給されスキャンされる。AD変換回路4000−iは図6のt2の時間帯にセンス回路2000−iからの出力をAD変換してディジタル情報出力し、スキャン回路3000Dによりそのディジタル情報が時系列で読みだされてシリアルディジタル情報として出力する。
【0067】
図5はセンス回路の変形例で、蓄積電荷―電圧変換係数を可変とするために電気容量10−1、10−2、10−3一端へそれぞれ電界効果トランジスタ20−1、20−2、20−3のソースまたはドレインの一端を直列に接続した組み合わせが差動増幅回路の出力部と反転入力部へ接続されている。該電界効果トランジスタのソースまたはドレインの他端を反転入力部へ、該電気容量の他端を差動増幅回路の出力部へ接続した構成が望ましい。電界効果トランジスタ20−1、20−2、20−3のゲート20−13、20−23、20−33のいずれかへ該電界効果トランジスタが導通する電位を与えた電気容量10−1、10−2、10−3のいずれかが有効に働き、光電変換セルからの電荷、電流を蓄積、電圧変換する。
【0068】
図7〜9は、本発明に関わる光電変換セルの幾つかの例を示す回路図で、バイポートランジスタを光電変換セルの選択に利用する例を示す。
【0069】
図7-1は光電変換素子101(光抵抗、フォトダイオード、フォトキャパシタなど)の一端を第1バイポーラトランジスタ100−1の第1ベース120−1に接続し、該第1バイポーラトランジスタの第1コレクタ110−1または第1エミッタ130−1の一方を制御部とし、他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に必要な電位供給手段400または該第1コレクタ110−1を接続した構成をしめす。102は光入力を模式的に示している
【0070】
図7−2は前記光電変換素子がフォトダイオードの場合に、それが前記第1バイポーラトランジスタの第1ベース、第1コレクタ、第1ベース・コレクタ接合からなるダイオードと領域を共有することによりフォトトランジスタを形成していてこれを光電変換セルとして用いる場合の回路図を示す。
【0071】
図8は、図7の構成に、さらに第2コレクタ110−2、第2ベース120−2、第2エミッタ130−2を有する第2バイポーラトランジスタ100−2を設け、前記第1エミッタ130−1を該第2ベース120−2へ接続し、該第2エミッタ130−2、該第2コレクタ110−2、前記第1コレクタ110−1のいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部とした場合の回路図を示す。図8−1は図7−1の回路に第2バイポーラトランジスタ100−2を設けた場合に対応し、図8−2は図7−2の回路に第2バイポーラトランジスタ100−2を設けた場合に対応する。
【0072】
図9は、図8の構成に、さらに第3コレクタ110−3、第3ベース120−3、第3エミッタ130−3を有する第3バイポーラトランジスタ100−3を設け、前記第2エミッタ130−2を該第3ベース120−3へ接続し、該第3エミッタ130−3、該第3コレクタ110−3、前記第2コレクタ110−2、前記第1コレクタ110−1のいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部とした場合の回路図を示す。図9−1は図8−1の回路に第3バイポーラトランジスタ100−3を設けた場合に対応し、図9−2は図8−2の回路に第3バイポーラトランジスタ100−3を設けた場合に対応する。
【0073】
図10は光電変換素子101の一端を第3電界効果トランジスタ200−3(上記スイッチ電界効果トランジスタ)の第3ドレイン、第3ソースの一方231に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲート233を制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方232を出力部とし、該光電変換素子の他端に必要な電位を接続して構成した光電変換セルで、該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタ等である
【0074】
図11図7の回路で第1エミッタ130−1を第3電界効果トランジスタ200−3の第3ドレイン、第3ソースの一方231に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲート233を制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方232を出力部とし、該光電変換素子の他端、第1コレクタにそれぞれ必要な電位を接続して構成した光電変換セルで、図11−1は図7−1の回路で第1エミッタ130−1を第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方231に接続した場合に対応し、図11−2は図7−2の回路で第1エミッタ130−1を第3電界効果トランジスタ第3ドレイン、第3ソースの一方231に接続した場合に対応する。
【0075】
図12図8−2の回路で第2エミッタを第3電界効果トランジスタ200−3の第3ドレイン、第3ソースの一方231に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲート233を制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方232を出力部とし、第1コレクタ110−1、第2コレクタ110−2にそれぞれ必要な電位を接続して構成した光電変換セルである。
【0076】
図13図9−2の回路で第3エミッタ130−3を第3電界効果トランジスタ200−3の第3ドレイン、第3ソースの一方231に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲート233を制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方232を出力部とし、第1コレクタ110−1、第2コレクタ110−2、第3コレクタ110−3にそれぞれ必要な電位を接続して構成した光電変換セルである。
【0077】
本発明で用いられる光電変換セルの出力部から電荷、電流が出力するまたは遮断するために、該光電変換セルの制御部に与えられる電位の説明をする。本発明では該出力部から電荷、電流が出力するために必要な制御部電位(出力制御電位とも呼ぶ)をオン電位、該出力部から電荷、電流を遮断する(漏洩電流レベルの電流は流れるが)ために必要な制御部電位(出力制御電位とも呼ぶ)をオフ電位と言う。
【0078】
説明を簡単にするために、図7〜9の光電変換セルで使われているバイポーラトランジスタは次の条件を満たすとする。
1.逆方向電流増幅率(コレクタをエミッタとして順方向バイアスで、エミッタをコレクタとして逆方向バイアスで使用した場合の電流増幅率)が順方向電流増幅率に比べて桁違いに小さい。
2.エミッタ・ベース接合面積はコレクタ・ベース接合面積より小さく、エミッタ・ベース接合に照射される光量は前記光電変換素子に照射される光量より小さい(エミッタ金属電極で覆われている部分は光照射があっても有効ではない)。
【0079】
この場合、エミッタ接合が逆バイアスされている時またはコレクタ接合が順バイアスされているときは該光電変換セルの出力部からは電荷、電流の出力は遮断されており、「オフ」状態である。逆にエミッタ接合が順バイアスされ、コレクタ接合が逆バイアスされている時は、当該光電変換セルの出力部からの電荷、電流の出力が得られ、「オン」状態である。なお、「電荷が該出力部から出力する」ときは、電荷Qをその出力する時間tで割った電流(平均値はQ/t)が短時間に流れる。
【0080】
図7〜9の光電変換セルでは、第1エミッタ3−1(図7の場合)ないしは第2エミッタ3−2(図8の場合)ないしは第3エミッタ3−3(図9の場合)を制御部とする場合、当該エミッタを有するバイポーラトランジスタのコレクタに対して約0.7V以上逆バイアス(npn形の場合はコレクタ電位に対して負電位、pnp形の場合はその逆。以下同様。)となる電位がオフ電位であり、順バイアス(npn形の場合はコレクタ電位に対して正電位、pnp形の場合はその逆。以下同様。)になる場合がオン電位で、第1または第2または第3コレクタ、および当該エミッタから光電変換セルの電荷、電流出力が得られる。これらの電位は通常、その電位を発生するパルス回路から前記選択線を通して当該エミッタへ与えられる。なお、必要な電位供給手段400から供給される電位は、該制御部へオフ電位が供給された時、第1エミッタを逆バイアスする電位を選択する。
【0081】
図7〜9の光電変換セルでは、第1コレクタ1−1(図7、8、9の場合)ないしは第2コレクタ1−2(図8、9の場合)ないしは第3コレクタ1−3(図9の場合)を制御部とする場合、当該コレクタを図7の場合第1エミッタ3−1に対して、図8の場合は第2エミッタ3−2に対して、図9の場合は第3エミッタ3−3に対して約0.7V以上の逆バイアス(バイポーラトランジスタがnpnの場合は負、pnpの場合は正)とする電位がオフ電位で、図7〜9の光電変換セルの出力はオフとなり、順バイアス(バイポーラトランジスタがnpnの場合は正、pnpの場合は負)とする電位がオン電位で、該光電変換セル出力部として選ばれた第1または第2または第3コレクタ、および第1または第2または第3エミッタから光電変換セルの電荷、電流出力が得られる。
【0082】
図10〜13の光電変換セルに関しては第3電界効果トランジスタが光電変換セルのスイッチの役割を果たすので、光電変換セル内のバイポーラトランジスタは主として増幅機能を果たしている。第3電界効果トランジスタのソース、ドレインの他方232が出力部、ゲート233が制御部となっているので、オン電位、すなわち、ゲートへ出力部232の電位よりゲート閾値電圧を超えて第3トランジスタを導通させる電位---オン電位を供給して光電変換セルから電荷、電流を出力部232を通して出力させ、ゲートへ出力部232の電位よりゲート閾値電圧を超えない電位を与えて第3トランジスタを遮断して、該光電変換セルから電荷、電流を出力部232から遮断する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、光電変換アレイの感度、検出速度を改善することができるので、光電変換を利用する、センサー、事務機器、科学機器の応用分野を広げる目的で利用される。高感度の光電変換装置、撮像装置としてAD変換を行ないディジタル出力として光信号情報を得る事を可能にし、利用範囲を拡大する。
【符号の説明】
【0084】
10:電気容量
10−1:電気容量
10−2:電気容量
10−3:電気容量
20−1:電界効果トランジスタ
20−13:上記電界効果トランジスタのゲート
20−2:電界効果トランジスタ
20−23:上記電界効果トランジスタのゲート
20−3:電界効果トランジスタ
20−33:上記電界効果トランジスタのゲート
30:抵抗性素子
11−j(j=1〜n):選択線
12−i(i=1〜m):出力線
100−1:第1バイポーラトランジスタ
100−2:第2バイポーラトランジスタ
100−3:第3バイポーラトランジスタ
101:光電変換素子
102:入力光
110−1:第1バイポーラトランジスタのコレクタ
110−2:第2バイポーラトランジスタのコレクタ
110−3:第3バイポーラトランジスタのコレクタ
120−1:第1バイポーラトランジスタのベース
120−2:第2バイポーラトランジスタのベース
120−3:第3バイポーラトランジスタのベース
130−1:第1バイポーラトランジスタのエミッタ
130−2:第2バイポーラトランジスタのエミッタ
130−3:第3バイポーラトランジスタのエミッタ
200−1:第1電界効果トランジスタ
200−2:第2電界効果トランジスタ
200−3:第3電界効果トランジスタ
211:第1電界効果トランジスタのソースまたはおよびドレインの一方
212:第1電界効果トランジスタのソースまたはおよびドレインの他方
213:第1電界効果トランジスタのゲート
221:第2電界効果トランジスタのソースまたはドレインの一方
222:第2電界効果トランジスタのソースまたはドレインの他方
223:第2電界効果トランジスタのゲート
231:第3電界効果トランジスタのソースまたはドレインの一方
232:第3電界効果トランジスタのソースまたはドレインの他方
233:第3電界効果トランジスタのゲート
400:必要な電位供給手段
1000−i−j(i=1〜m、j=1〜n):光電変換セル
2000:差動増幅回路
2000−i(i=1〜m):リファレンス入力付センスアンプ
2001:反転入力部
2001−i(i=1〜m):センスアンプの入力
2002:非反転入力部
2002−i(i=1〜m):センスアンプのリファレンス入力
2003:センス回路の出力(差動増幅回路の出力部でもある)
3000:スキャン回路
3000D:ディジタル信号のスキャン回路
4000−i:AD変換回路
4001:第4電位供給手段
5000:選択線駆動回路
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13