【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では上記課題を解決するために次の各技術を提供する。
【0013】
まず、本発明で用いられる、光電変換素子からの電子情報出力をオン・オフ制御するスイッチ機能を付与した光電変換セルは、次の構成を有する。
【0014】
1)第1バイポーラトランジスタのベースへ光電変換素子を接続し、
該第1バイポーラトランジスタの第1エミッタ、または第1コレクタを光電変換セルからの電子情報の出力をオン・オフする制御部とする。該第1バイポーラトランジスタの第1エミッタまたは第1コレクタが光電変換セルの出力部となる。該第1バイポーラトランジスタの第1ベース、第1コレクタ、第1ベース・第1コレクタ接合を光電変換素子として用いる場合も含む(フォトトランジスタ)。本発明において光電変換素子は、光入力によって抵抗値が変化する光抵抗(フォトコンダクタ)、光入力により電流、電圧が変化するフォトダイオード、光入力により電気容量値(キャパシタンス)が変化する光容量(フォトキャパシタ)などを指す。
【0015】
さらに第1バイポーラトランジスタの第1エミッタを第2バイポーラトランジスタの第2ベースに接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、該第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部とした構成、この構成にさらに該第2エミッタを第3トランジスタの第3ベースに接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部とした構成とすることもできる。
【0016】
2)光電変換素子の1端にスイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの一方を接続した構成とする。該スイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの他方は、光電変換セルの出力部となる。該スイッチ電界効果トランジスタのゲートが光電変換セルからの電子情報の出力をオン・オフする該制御部となる。さらに、A記載の光電変換セルも光電変換素子としてその1端に該スイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの一方を接続して、該スイッチ電界効果トランジスタのドレインまたはソースの他方は、光電変換セルの出力部とし、該スイッチ電界効果トランジスタのゲートを光電変換セルからの電子情報の出力をオン・オフする該制御部とする。
【0017】
上記課題を解決するために、下記の動作方法を提供する。
【0018】
(1)反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量(畜電器ともいう、以下同様)と、
第1ソース、第1ドレイン、および第1ゲートを有する第1電界効果トランジスタと、
から構成され、
該第1ソースまたは第1ドレインの一方は該反転入力部と接続され、該第1ソースまたは第1ドレインの他方は該出力部と接続されたセンス回路において、
該非反転入力部には、参照電位を供給し、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部を接続し、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線を該反転入力に接続し、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷の電子情報を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セルの出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位が該第1ゲートへ供給されており、
該光電変換セルの出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、
該光電変換セルの出力制御電位を第2時間オフ電位にして、該差動増幅回路の該出力部の電位(または電圧)を保持したのち、
該第1ゲートへ該第1電界効果トランジスタが導通する電位を第3時間供給し、しかる後に該第1電界効果トランジスタを遮断する電位
を該第1ゲートへ供給
し、
該第2時間の該差動増幅回路の該出力部電位をセンス回路の出力とした
ことを特徴とするセンス回路の動作方法。
【0019】
(2)前記第3時間内に同一の前記光電変換セルの出力制御電位をオン電位とした後、オフ電位とする(1)記載のセンス回路の動作方法
【0020】
(3)(1)記載のセンス回路はさらに第2ソース、第2ドレイン、第
2ゲートを有する第2電界効果トランジスタを備え、前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方の前記反転入力部への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタの第2ソースまたは第2ドレインの一方と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方を前記反転入力部へ接続し、該第2電界効果トランジスタの第2ゲートへは該第2電界効果トランジスタが導通する電位を供給する、
ことを特徴とするセンス回路の動作方法。
【0021】
上記課題を解決するために、下記の動作を規定したセンス回路構成を提供する。
【0022】
(4)反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
第1ソース、第1ドレイン、および第1ゲートを有する第1電界効果トランジスタと、
から構成され、
該第1ソースまたは第1ドレインの一方は該反転入力部と接続され、該第1ソースまたは第1ドレインの他方は該出力部と接続され、
該非反転入力部には、参照電位が供給され、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部が接続され、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線が該反転入力に接続され、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換
セルの出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位を該第1ゲートへ供給し、
該光電変換セル出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ第1時間供給し、
該光電変換セルの出力制御電位を第2時間オフ電位にして、該差動増幅回路の該出力部の電位(または電圧)を必要時間保持したのち、
該第1ゲートへ該第1電界効果トランジスタが導通する電位を第3時間供給し、しかる後に該第1電界効果トランジスタを遮断する電位
を該第1ゲートへ供給
し、
該第2時間の該差動増幅回路の該出力部電位をセンス回路の出力とした
ことを特徴とするセンス回路。
【0023】
(5)前記第3時間内に同一の前記光電変換セルの出力制御電位をオン電位とした後、オフ電位とする(4)記載のセンス回路。
【0024】
(6)(4)記載のセンス回路はさらに第2ソース、第2ドレイン、第
2ゲートを有する第2電界効果トランジスタを備え、前記第1電界効果トランジスタの第1ソースまたは第1ドレインの他方の前記反転入力部への接続を解除し、該第2電界効果トランジスタの第2ソースまたは第2ドレインの一方と接続し、該第2ソースまたは第2ドレインの他方を前記反転入力部へ接続し、該第2電界効果トランジスタの第2ゲートへは該第2電界効果トランジスタが導通する電位を供給する、
ことを特徴とするセンス回路。
【0025】
(7)反転入力部、非反転入力部、および出力部を有する差動増幅回路と、
該反転入力部と該出力部との間に接続された電気容量と、
該反転入力と該非反転入力とに接続された抵抗性素子と、
から構成され、
該電気容量の容量値と該抵抗性素子の抵抗値の積が
第1時間以上で、かつ
第2時間以下であって、
該非反転入力部には、参照電位を供給し、
該反転入力部には、電流または電荷を出力する光電変換セルの出力部を接続し、該出力部が光電変換アレイの出力線に接続されている場合は、該出力線を該反転入力に接続し、
該光電変換セルは、該光電変換セルの制御部へ供給される出力制御電位がオフ電位のときは該光電変換の出力部からの有意の電子情報(漏えい電流程度は出力する)は出力せず、該出力制御電位がオン電位に変化することにより該出力部から電流または電荷を出力する光電変換セルであり、
該光電変換セルの出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ
該第1時間供給し、該光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にし
該第2時間保持して、
その間に該差動増幅回路の出力部から電子情報を読み取る
ことを特徴とするセンス回路。
【0026】
(8)出力部と制御部を備えた複数の光電変換セルと、
第1の方向へ延在する複数の出力線と、
複数の(4)または(7)記載のセンス回路と
から少なくとも構成され、
該複数の出力線のうち1つの出力線には該第1方向へ配列された該複数の光電変換セルのいくつかが出力部で接続され、かつ、該複数の(4)または(7)記載のセンス回路の1つが前記反転入力部で接続されてなることを特徴とする光電変換アレイ。
【0027】
(9)(8)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数の選択線と該選択線を駆動する選択線駆動回路を備え、該複数の選択線の1つには第2方向へ配置された前記複数の光電変換セルのいくつかが出力制御部で接続され、該選択線駆動回路は該複数の選択線に順次前記光電変換セル出力制御電位のオフ電位からオン電位さらにオフ電位を供給することを特徴とする光電変換アレイ。
【0028】
(10)(9)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のセンス回路出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のAD(アナログ・ディジタル)変換回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している
第2時間帯に、前記複数のセンス回路出力電位を取り込みAD(アナログ・ディジタル)変換することを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【0029】
(11)(9)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のセンス回路出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のスキャン回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している
第2時間帯に、前記複数のセンス回路出力電位を取り込みスキャンすることを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【0030】
(12)(10)記載の光電変換アレイにおいて、さらに前記複数のAD変換回路はAD変換されたディジタル信号を出力する出力部を備え、該出力部の1つ1つに接続された入力部を有する複数のスキャン回路を設け、前記選択線駆動回路がオフ電位を前記選択線に供給している時間帯に、前記複数のAD変換回路のディジタル出力を取り込みスキャンすることを特徴とする光電変換アレイ、または光電変換アレイの動作方法。
【0031】
(13)出力部と制御部を備えた
前記複数の光電変換セルは、光電変換素子の一端を第1バイポーラトランジスタの第1ベースに接続し、該第1バイポーラトランジスタの第1コレクタまたは第1エミッタの一方を制御部とし、他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に必要な電位供給手段または該第1コレクタを接続し、
該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタ
の何れかである
ことを特徴とする(8)記載の光電変換アレイ。
【0032】
(14)前記光電変換セルは、前記光電変換素子が前記第1バイポーラトランジスタの第1ベース、第1コレクタ、
第1エミッタ、第1ベース・コレクタ接合からなることを特徴とする(フォトトランジスタ)(13)記載の光電変換アレイ。
【0033】
(15)前記光電変換セルは、さらに第2コレクタ、第2ベース、第2エミッタを有する第2バイポーラトランジスタを設け、前記第1エミッタを該第2ベースへ接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、前記第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(13)記載の光電変換アレイ。
【0034】
(16)前記光電変換セルは、さらに第2コレクタ、第2ベース、第2エミッタを有する第2バイポーラトランジスタを設け、前記第1エミッタを該第2ベースへ接続し、該第2エミッタ、該第2コレクタ、前記第1コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(14)記載の光電変換アレイ。
【0035】
(17)前記光電変換セルは、さらに第3コレクタ、第3ベース、第3エミッタを有する第3バイポーラトランジスタを設け、前記第2エミッタを該第3ベースへ接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(15)記載の光電変換アレイ。
【0036】
(18)前記光電変換セルは、さらに第3コレクタ、第3ベース、第3エミッタを有する第3バイポーラトランジスタを設け、前記第2エミッタを該第3ベースへ接続し、該第3エミッタ、該第3コレクタ、前記第1コレクタ、第2コレクタのいずれかを制御部とし、残余の1つを出力部としたことを特徴とする(16)記載の光電変換アレイ。
【0037】
(19)出力部と制御部を備えた
前記複数の光電変換セルは、光電変換素子の一端を第3電界効果トランジスタ(上記スイッチ電界効果トランジスタ)の第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、該光電変換素子の他端に規定の電位を接続し、
該光電変換素子は光照射によって抵抗が変化する光抵抗、または光照射によって電圧、電流の変化するフォトダイオード、光照射によってキャパシタンス値が変化するフォトキャパシタ
の何れかである
ことを特徴とする(8)記載の光電変換アレイ。
【0038】
(20)前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第1エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタは規定の電位を接続した、
ことを特徴とする(13)または(14)記載の光電変換アレイ。
【0039】
(21)前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第2エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタまたは第2コレクタはそれぞれの規定の電位を接続した、
ことを特徴とする(15)または(16)記載の光電変換アレイ。
【0040】
(22)前記光電変換セルは、前記光電変換セルの第3エミッタを第3電界効果トランジスタの第3ドレイン、第3ソースの一方に接続し、該第
3電界効果トランジスタの第3ゲートを制御部とし、該第3ドレイン、第3ソースの他方を出力部とし、第1コレクタまたは第2コレクタまたは第3コレクタはそれぞれの規定の電位を接続した、
ことを特徴とする(17)または(18)記載の光電変換アレイ。
【発明の効果】
【0041】
上記(1)、(4)記載の動作方法と回路構成によれば、
A. 当該光電変換セルが選択される前に選択された光電変換セルの読み出し後の第3時間に第1電界効果トランジスタが導通する電位を第1ゲートへ供給されているので、該第1電界効果トランジスタを介して、前記差動増幅回路の出力から前記差動増幅回路の反転入力とそれと接続された前記アレイの出力線が(光電変換セルの出力部まで)参照電位に駆動される。これにより読み出しの前歴が消去され、常に参照電位からの光電変換セルの電子情報の読出しが可能となる。
【0042】
上記(1)、(4)、記載の動作方法と回路構成によれば、
B.この後、該光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前に、該第1電界効果トランジスタを遮断する電位を該第1ゲートへ供給し、
該セル出力制御電位をオン電位にして該光電変換セルの該出力部から電流または電荷を該反転入力へ供給すると、該第1電界効果トランジスタは遮断されているので、該出力部からの電流または電荷は前記電気容量Cc(ここでは電気容量値もCc)を充電し始め、供給された電荷Q0および該光電変換セルの出力制御電位をオン電位からオフ電位にするまでの間(第1時間)に電気容量に流れ込んだ電流の積分電荷Qiが前記電気容量に蓄積され、前記差動増幅器の出力電位は、該光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にした後は、ほぼVref+(Q0+Qi)/Ccに止まっている。
【0043】
C.この前記差動増幅器の出力電位がほぼ止まっている時間帯(第2時間)の出力電位には前記光電変換セル制御部にオン電位、オフ電位を供給するパルスに原因する雑音---フィードスルー雑音からの影響は少ない。
図6に示すようにオン電位を与えるパルスのフィードスルー雑音Vno、オフ電位を与えるパルスのフィードスルー雑音Vnfは該出力に現れるが、大きさがほぼ同じで符号が逆のため、結局、光電変換セルの制御部に出力制御電位のオフ電位パルスが印加された後では前記差動増幅器の出力電位はフィードスルー雑音の影響は小さくなっている。(上記課題1の解決手段を提供している)
【0044】
D.この前記光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にした後の第2時間帯に(1)、(4)の場合は前記差動増幅器の出力電位がほぼ止まっている時間帯
((7)の場合は前記差動増幅回路の出力電位はなだらかに変化している)を利用して(11)記載のように、光電変換アレイの多数の出力線に接続されたセンス回路出力をサンプリング・スキャンしてゆき、光電変換アレイの出力線列と交叉する方向の電子情報を時間的に直列信号として取り出すことができる。
【0045】
E.(10)(12)記載のように、この前記光電変換セルの出力制御電位をオフ電位にした後で前記差動増幅器の出力電位がほぼ止まっている時間帯を利用して光電変換アレイの多数の出力線に接続されたセンス回路出力をAD変換回路でAD変換し、そのAD変換出力をサンプリング・スキャンしてゆき、光電変換アレイの出力線列と交叉する方向の電子情報を時間的に直列信号として取り出すことができる。(上記課題5の解決手段)
【0046】
上記(2)、(5)により、
F.前記差動増幅器の出力電位がほぼとまったあと(第2時間の後)、前記第1ゲートへ再度前記第1電界効果トランジスタが導通する第3時間の間電位を供給し、かつ同一の光電変換セルの出力制御電位をオン電位とすることにより読み出しきらなかった光電変換セルの蓄積電荷を引出し、次に読み出すときの電荷残留による電子情報誤差を少なくすることができる。また該同一の光電変換セルの出力制御電位をオフ電位とした後も、前記第1電界効果トランジスタが導通する時間帯を設けることにより、読み出し線の電位を参照電位にリセットできるので次の放電変換セルを読み出すときの読み出し電位はどの光電変換セルに対しても前歴は解消される。
【0047】
前記光電変換セルの前記出力部または光電変換アレイの前記出力線は、前記光電変換セルから電子情報を読み出す前(前記光電変換セル出力制御電位がオン電位になる前)に、前記第1電界効果トランジスタを導通するオン電位を前記第1ゲートへ供給して、参照電位としている。したがって該電子情報を読み出す時点では参照電位Vrefで読み出しが始まる。G. 読み出し中の前記光電変換セルの前記出力部または光電変換アレイの前記出力線の電位変化ΔVlは前記差動増幅回路の出力が前記Vref+(Q0+Qi)/Ccとなった時点でも(Q0+Qi)/Cc/Aである。ここでAは前記差動増幅回路の増幅度で、簡単な回路でも1000以上の増幅度は実現できる。したがって前記差動増幅回路の出力が数Vオーダーで動作するとき、前記電位変化ΔVlは数mVとなる。このため、読み出し速度に与える出力線の浮遊容量の影響は電圧出力CMOS光電変換アレイないしは電流出力光電変換アレイでも抵抗で電圧に変換するセンス回路の場合の1/1000となる(一般には1/A)。光電変換セルからの読み出し情報が出力線へ残置されるロスも大幅に減少する。(課題2、3の解決手段)
【0048】
センス回路が電流の増幅、電圧の増幅機能を使用したものであると、増幅度のばらつきがそのままセンス回路出力電圧、電流のばらつきとなるが、本発明の動作方法を適用したセンス回路の場合には、ある程度の増幅度以上であれば、センス回路出力のばらつきは小さく増幅度にばらつきがあってもほぼVref+(Q0+Qi)/Ccとなる。
【0049】
H.このことはセンス回路を構成する素子パラメータのばらつきに許容度が大きく、素子数が少なくてもよく、回路構成が簡単でよいことを結果し、小さな専有面積でセンスアンプアレイ(出力線の数だけ)実現できることを意味する。
【0050】
したがって、(上記課題4の解決手段)
I.動作方法(2)、センス回路(5)により、読み出し時間が不十分であったために光電変換セルに残留していた蓄積電荷を吐き出すことができる。
【0051】
J.動作方法(3)センス回路(6)により、前記第1ゲートへ前記第1電界効果トランジスタが遮断する電位を供給した時に前記第1電界効果トランジスタのゲート・ソースまたはドレイン間寄生容量を通したフィードスルー電流による出力線への擾乱---出力線が参照電位から僅かずれる結果となる---が少なくなる。