【文献】
山田貴之,李斗煥,加保貴奈,芝宏礼,山口陽,赤羽和徳,上原一浩,ユーザセントリックワイヤレスネットワークにおける1ビット圧縮センシング技術と巡回ランダム行列による圧縮技術,電子情報通信学会技術研究報告,2012年 5月17日,Vol.112,No.55,pp.59-64
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ランダム測定行列の生成に利用する測定行列生成パラメータの生成と、ランダム復元行列の生成に利用する復元行列生成パラメータの生成と、2ビット量子化に利用する量子化閾値の生成とを行う制御部と、
前記測定行列生成パラメータを利用して、前記ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成部と、
前記ランダム測定行列を利用して信号の圧縮を行う圧縮センシング部と、
前記量子化閾値を利用して、前記圧縮センシング部が出力する圧縮信号の2ビット量子化を行う2ビット量子化部と、
前記復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、
前記ランダム復元行列を利用して2ビット量子化された信号の復元を行い、復元によって得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を前記制御部に通知する信号復元部と
を備え、
前記信号復元部は、
2ビット量子化された信号のうち、前記圧縮センシング部が出力する信号の絶対値が量子化閾値以上であることを第1ビットが示している信号については復元し、前記圧縮センシング部が出力する信号の絶対値が量子化閾値未満であることを第1ビットが示している信号については復元しない
信号処理システム。
ランダム測定行列の生成に利用する測定行列生成パラメータと、ランダム復元行列の生成に利用する復元行列生成パラメータの生成と、有効信号の有無の判定に利用する絶対値判定閾値の生成とを行う制御部と、
前記測定行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成部と、
前記ランダム測定行列を利用して信号の圧縮を行う圧縮センシング部と、
前記圧縮センシング部が出力する圧縮信号の絶対値の和が前記絶対値判定閾値以上であれば前記圧縮信号に対して有効信号を有することを示す信号判定値を付与した信号を出力し、圧縮信号の絶対値の和が前記絶対値判定閾値未満であれば前記圧縮信号に対して有効信号を有さないことを示す信号判定値を付与した信号を出力する絶対値判定部と、
前記絶対値判定部が出力した信号における圧縮信号がゼロ以上であれば、正の値であることを示す符号判定値に前記圧縮信号を変換し、ゼロ未満であれば負の値であることを示す符号判定値に前記圧縮信号を変換し、前記信号判定値と前記符号判定値とを含む信号を出力する符号判定部と、
前記復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、
前記符号判定部が出力した信号における符号判定値について前記ランダム復元行列を利用して復元を行い、復元によって得られた復元信号を出力するとともに復元結果を前記制御部に通知する信号復元部と
を備える信号処理システム。
ランダム測定行列の生成に利用する測定行列生成パラメータの生成と、ランダム復元行列の生成に利用する復元行列生成パラメータの生成と、2ビット量子化に利用する量子化閾値の生成とを行う制御ステップと、
前記測定行列生成パラメータを利用して、前記ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成ステップと、
前記ランダム測定行列を利用して信号の圧縮を行う圧縮センシングステップと、
前記量子化閾値を利用して、前記圧縮センシングステップが出力する圧縮信号の2ビット量子化を行う2ビット量子化ステップと、
前記復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、
前記ランダム復元行列を利用して2ビット量子化された信号の復元を行い、復元によって得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を前記制御ステップに通知する信号復元ステップと
を備え、
前記信号復元ステップでは、
2ビット量子化された信号のうち、前記圧縮センシングステップが出力する信号の絶対値が量子化閾値以上であることを第1ビットが示している信号については復元し、前記圧縮センシングステップが出力する信号の絶対値が量子化閾値未満であることを第1ビットが示している信号については復元しない
信号処理方法。
ランダム測定行列の生成に利用する測定行列生成パラメータと、ランダム復元行列の生成に利用する復元行列生成パラメータの生成と、有効信号の有無の判定に利用する絶対値判定閾値の生成とを行う制御ステップと、
前記測定行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成ステップと、
前記ランダム測定行列を利用して信号の圧縮を行う圧縮センシングステップと、
前記圧縮センシングステップが出力する圧縮信号の絶対値の和が前記絶対値判定閾値以上であれば前記圧縮信号に対して有効信号を有することを示す信号判定値を付与した信号を出力し、圧縮信号の絶対値の和が前記絶対値判定閾値未満であれば前記圧縮信号に対して有効信号を有さないことを示す信号判定値を付与した信号を出力する絶対値判定ステップと、
前記絶対値判定ステップが出力した信号における圧縮信号がゼロ以上であれば、正の値であることを示す符号判定値に前記圧縮信号を変換し、ゼロ未満であれば負の値であることを示す符号判定値に前記圧縮信号を変換し、前記信号判定値と前記符号判定値とを含む信号を出力する符号判定ステップと、
前記復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、
前記符号判定ステップが出力した信号における符号判定値について前記ランダム復元行列を利用して復元を行い、復元によって得られた復元信号を出力するとともに復元結果を前記制御ステップに通知する信号復元ステップと
を備える信号処理方法。
【背景技術】
【0002】
ネットワークの帯域の有効活用などのために、信号(データ系列)をアナログからデジタルに変換(AD変換)した後に圧縮し、圧縮した信号を伝送することが行われている。
なお、本明細書においては、AD変換された信号を圧縮し、圧縮された信号を復元することを圧縮センシングと称する。
また、本明細書においては、AD変換された信号を圧縮し、圧縮された信号の符号情報のみを残し、残された符号情報を利用して元の信号を復元することを1ビット圧縮センシングと称する。
【0003】
圧縮センシングでは、入力データに対してランダム測定行列を乗算することにより圧縮データを生成する。ランダム測定行列は、ランダム変数から構成されるもので、圧縮前のデータの数に対し、圧縮後のデータの数(圧縮後のデータ)が小さくなるような行数で構成される。
また、1ビット圧縮センシングでは、入力データに対してランダム測定行列を乗算し、乗算結果の符号情報のみを残すことにより圧縮データを生成する。圧縮データは符号情報のみによって形成されるため、量子化ビット数分の圧縮効果が得られる。
【0004】
図14を参照して圧縮センシングの概念について説明する。
同図における入力データは、周波数領域または時間領域において疎な信号であり、100個のデータから成る。同図においては、100個の入力データを、40×100によるランダム測定行列で変換することで、40個の圧縮データを生成した例を示している。
また、圧縮センシングでは圧縮データの量子化を行う。圧縮データをKビットで量子化する場合、圧縮データの総ビット数は(40×K)ビットになる。例えば、8ビット量子化(K=8)のを行うのであれば、圧縮後のデータの総ビット数は、320ビットである(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0005】
図15は、圧縮センシングを行う信号処理装置の構成例を示している。
同図に示す信号処理装置において、AD変換部1001は、アナログの入力信号をデジタル信号に変換する。
ランダム測定行列生成部1002は、ランダム変数から成るランダム測定行列を生成する。
圧縮センシング部1003は、ランダム測定行列生成部1002が生成したランダム測定行列を利用して、AD変換部1001から入力したデジタル信号の圧縮を行い、圧縮データを出力する。
ランダム復元行列生成部1004は、ランダム測定行列にIFFT(Inverse fast Fourier transform)行列を乗算することによってランダム復元行列を生成する。
信号復元部1005は、圧縮センシング部1003が出力した圧縮データについて、ランダム測定行列生成部1002が生成したランダム測定行列を利用して復元し、復元信号を出力する。なお、信号復元部1005が信号を復元するにあたっては、例えば、L1−minimizationなどの復元アルゴリズムが用いられる。
【0006】
図16を参照して1ビット圧縮センシングの概念について説明する。
同図における入力データは、周波数領域または時間領域において疎な信号であり、100個のデータから成る。同図においては、100個の入力データを、60×100によるランダム測定行列で変換することで、60個の圧縮データを生成した例を示している。
そのうえで、1ビット圧縮センシングでは、圧縮データから符号情報のみを残すことより1ビット圧縮データを得る。同図におけるsign()は、符号情報のみを残す関数を示す。
一例として、sign(13、−2、5、2)は、(1、−1、1、1)となる。つまり、1ビット圧縮センシングでは、0以上の符号情報を1に変換し、0未満の符号情報を−1に変換することにより1ビット圧縮データを生成する(符号判定)。1ビット圧縮センシングにおいて、圧縮データの量子化に必要なビット数は1ビットであるのに応じて、この場合の1ビット圧縮データとしての総ビット数は60ビットになる(例えば、非特許文献3参照)。
【0007】
図17は、圧縮センシングを行う信号処理装置の構成例を示している。なお、同図において、
図15と同一部分には同一符号を付している。
図17に示す信号処理装置において、AD変換部1001は、アナログの入力信号をデジタル信号に変換する。
ランダム測定行列生成部1002は、ランダム変数から成るランダム測定行列を生成する。
圧縮センシング部1003は、ランダム測定行列生成部1002が生成したランダム測定行列を利用して、AD変換部1001から入力したデジタル信号の圧縮を行い、圧縮データを出力する。
ランダム復元行列生成部1004は、ランダム測定行列にIFFT(Inverse fast Fourier transform)行列を乗算することによってランダム復元行列を生成する。
符号判定部1006は、圧縮センシング部1003が出力した圧縮データの符号について、
図16にて説明した符号判定を行って、符号情報のみを残すことにより1ビット圧縮データを生成する。
信号復元部1005は、符号判定部1006が出力した1ビット圧縮データについて、ランダム測定行列生成部1002が生成したランダム測定行列を利用して復元し、復元信号を出力する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態における信号処理システムの構成例を示している。
同図に示す信号処理システムは、AD変換部101、ランダム測定行列生成部102、圧縮センシング部103、2ビット量子化部104、ランダム復元行列生成部105、信号復元部106及び制御部107を備える。
【0024】
AD変換部101は、アナログの入力信号をデジタルに変換する。AD変換部101が入力する信号は、例えば通信により受信した信号である。
ランダム測定行列生成部102は、ランダム測定行列の生成に利用するパラメータ(測定行列生成パラメータ)を利用してランダム測定行列を生成する。ランダム測定行列生成部102は、制御部107から測定行列生成パラメータを入力する。ランダム測定行列は、例えば、ランダム測定行列の行数及び列数、ランダム測定行列を形成するするランダム変数の種類などである。
【0025】
圧縮センシング部103は、ランダム測定行列を利用して信号の圧縮を行う。
このために、圧縮センシング部103は、AD変換部101から入力したデジタルの信号と、ランダム測定行列生成部102が生成したランダム測定行列との行列演算(乗算)を実行する。
この際に、圧縮センシング部103は、AD変換部101から入力する信号をランダム測定行列の列数ごとに分けて順次的に行列演算を行う。たとえば、AD変換部101から毎秒1000個のデータが出力される場合、ランダム測定行列の行数が40、列数が100(40行×100列のランダム行列)であれば、AD変換部101から出力される信号を、ランダム測定行列の列数に対応させて100個ずつ順次分割してランダム測定行列と行列演算を行う。この場合、AD変換部101から1秒あたりに出力される1000個の信号は、10個の100行×1列のベクトルに分けられ、40行×100列のランダム測定行列と行列演算が行われ、10個の40行×1列のベクトルが生成される。このように生成される40行×1列のベクトルが圧縮データである。
【0026】
2ビット量子化部104は、制御部107から入力した量子化閾値を利用して、圧縮センシング部103が出力する圧縮信号(圧縮データ)の2ビット量子化を行う。
【0027】
図2は、2ビット量子化部104が実行する2ビット量子化の一具体例を示している。
同図においては、圧縮センシング部103により圧縮された圧縮データと、圧縮データについて、量子化閾値=10により2ビット量子化を行って得られた2ビット量子化データが示されている。
2ビット量子化部104は、圧縮データの絶対値が量子化閾値以上(10以上)であれば、2ビット量子化データの第1ビットを「1」とする。一方、圧縮データの絶対値が量子化閾値未満であれば、2ビット量子化データの第1ビットを「0」とする。
また、2ビット量子化部104は、圧縮データが0以上であれば2ビット量子化データの第2ビットを「1」とし、圧縮データが0未満(負の値)であれば2ビット量子化データの第2ビットを「0」とする。
このように、2ビット量子化部104は、圧縮データの2ビット量子化を実行する。
【0028】
説明を
図1に戻す。
ランダム復元行列生成部105は、復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する。
ここで、復元行列生成パラメータは、例えば、測定行例生成パラメータと同じでよい。ランダム復元行列生成部105は、復元行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成し、生成したランダム測定行列の右側に信号の基底の逆変換基底行列を乗算することにより、ランダム復元行列を生成する。
【0029】
一例として、ランダム測定行列が40行×100列によるランダム行列の場合、このランダム測定行列の右側に、100行×100列のIFFT(Inverse fast Fourier transform)行列を乗算し、40行×100列のランダム復元行列を生成する。
この場合において、信号を別の基底で復元する場合は、その基底の逆変換を用いればよい。例えば、周波数領域の係数の復元ではなく、DCT(Discrete Cosine Transform)領域の係数を復元する場合は、IFFTの行列の代わりにIDCT(Inverse Discrete Cosine Transform)行列を乗算することによりランダム復元行列を生成する。
ランダム復元行列生成部105は、ランダム測定行列の生成に用いるパラメータや基底の種類を制御部107から入力する。
【0030】
信号復元部106は、2ビット量子化部104により2ビット量子化された信号の復元を行い、復元によって得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部107に通知する。
信号復元部106は、信号の復号にあたり、ランダム復元行列生成部105が生成したランダム復元行列と2ビット量子化部104が出力する信号(2ビット量子化データ)とを利用する。また、信号復元部106は、例えばBIHT(Binary Iterative Hard Thresholding)などの復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行うことができる。
【0031】
信号復元部106は、2ビット量子化部104が出力する2ビット量子化データの2ビットのうち、第2ビットのみを用いて信号の復元を行う。
例えば、2ビット量子化部の出力が(10、01、10、00、11)という5つの2ビット量子化データである場合、信号復元部106は、これらの2ビット量子化データの第2ビットである(0、1、0、0、1)と、ランダム復元行列とを利用して復元を行う。
【0032】
一方、2ビット量子化データの第1ビットについては、信号有無の判定に利用される。
具体的に、2ビット量子化データが(00、01、00、00、01)の場合、信号復元部106は、第1ビットがすべて「0」であるため、この2ビット量子化データに対応する信号部分は、雑音のみで有効な信号(有効信号)を有さない無信号部分であると判定する。
これに対して、2ビット量子化データとしての2ビットにおける第1ビットが「1」であれば、この2ビット量子化データを利用して復元される復元信号は有効信号を有している有信号部分であると判定する。
信号復元部106は、復元により得た復元信号を出力する。また、信号復元部106は、復元信号と有信号部分と無信号部分についての判定結果などによる復元結果を制御部107に通知する。
【0033】
制御部107は、測定行列生成パラメータの生成と、復元行列生成パラメータの生成と、量子化閾値の生成とを行う。前述のように、測定行列生成パラメータは、ランダム測定行列生成部102がランダム測定行列を生成するのに利用される。復元行列生成パラメータは、ランダム復元行列生成部105がランダム復元行列を生成するのに利用される。量子化閾値は、2ビット量子化部104が2ビット量子化を行うのに利用する。
また、制御部107は、信号復元部106から出力される復元結果の情報を利用して、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、量子化閾値を更新する。
【0034】
図3のフローチャートは、
図1に示した信号処理システムが実行する処理手順例を示している。
AD変換部101は、アナログの入力信号をデジタルに変換する(ステップS101)。
制御部107は、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、量子化閾値を生成する(ステップS102)。また、制御部107は、同じステップS102において、信号復元部106が出力する復元結果に基づいて、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、量子化閾値を更新する。
【0035】
ランダム測定行列生成部102は、ステップS102により制御部107が生成した測定行列生成パラメータを入力し、入力した測定行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成する(ステップS103)。
【0036】
圧縮センシング部103は、ステップS103によりランダム測定行列生成部102が生成したランダム測定行列を利用して、AD変換部101から出力された信号を圧縮し、圧縮データを出力する(ステップS104)。
2ビット量子化部104は、ステップS102により制御部107が生成した量子化閾値を入力し、入力した量子化閾値を利用して圧縮センシング部103が出力する圧縮データの2ビット量子化を行う(ステップS105)。
【0037】
ランダム復元行列生成部105は、制御部107から復元行列生成パラメータを入力し、入力した復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する(ステップS106)。
信号復元部106は、ランダム復元行列生成部105が生成したランダム復元行列を利用して2ビット量子化データを復元し、復元により得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部107に出力する(ステップS107)。
【0038】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態における信号処理システムの構成例は、
図1と同様でよい。
先の第1実施形態における信号復元部106は有効信号の有無に係わらず復元を行うようにされていた。
これに対して、第2実施形態における信号復元部106は、有効信号を有する2ビット量子化データについてのみ復元を行い、有効信号を有さない2ビット量子化データについては復元を行わないように構成される。
【0039】
つまり、信号復元部106は、2ビット量子化部104により2ビット量子化された信号(2ビット量子化データ)のうち、第1ビットが「1」の2ビット量子化データについては復元を行い、第1ビットが「0」の2ビット量子化データについては復元を行わないようにする。
例えば、2ビット量子化データが(10、01、10、00、11)と(00、01、00、00、01)の場合は以下のようになる。この場合、(10、01、10、00、11)の2ビット量子化データには、第1ビットが1の信号があり、(00、01、00、00、01)の2ビット量子化データには、第1ビットが1の信号が無い。これは、(10、01、10、00、11)の2ビット量子化データが有効信号を有することを示し、(00、01、00、00、01)の2ビット量子化データが有効信号を有しておらず、雑音成分のみであることを示している。
【0040】
そこで、信号復元部106は、(10、01、10、00、11)の2ビット量子化データについては復元を行うが、(00、01、00、00、01)の2ビット量子化データについての復元は行わないようにする。
このように、第2実施形態においては、信号復元部106が有信号部分についてのみ復元を行うようにすることで、雑音のみの成分による信号の復元は行われないようにすることができる。これにより、無駄な処理が省かれるために処理負荷の軽減が可能となる。
【0041】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態における信号処理システムの構成例を示している。なお、同図において
図1と同一部分には同一符号を付し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0042】
図4に示す信号処理システムは、AD変換部101、ランダム測定行列生成部102、圧縮センシング部103、ランダム復元行列生成部105、信号復元部106、制御部107、絶対値判定部111及び符号判定部112を備える。
図4において、AD変換部101、ランダム測定行列生成部102、圧縮センシング部103及びランダム復元行列生成部105は、
図1と同様の処理を実行すればよい。
【0043】
絶対値判定部111は、圧縮センシング部103が出力する圧縮データ(圧縮信号)についての絶対値判定を行う。
具体的に、絶対値判定部111は、圧縮センシング部103が出力する圧縮データ(圧縮信号)の絶対値の和が絶対値判定閾値以上であれば圧縮信号に対して有効信号を有することを示す判定ビット(信号判定値の一例)として「1」を付与した信号を出力する。また、絶対値判定部111は、圧縮信号の絶対値の和が絶対値判定閾値未満であれば圧縮信号に対して有効信号を有さないことを示す判定ビットとして「0」を付与した信号を出力する。
つまり、絶対値判定部111は、絶対値判定として、圧縮データの絶対値が一定以上であるか否かについて判定する。
なお、絶対値判定閾値は制御部107が生成する。絶対値判定部111は、制御部107が生成した絶対値判定閾値を入力する。
【0044】
符号判定部112は、圧縮データについての符号判定を行う。
具体的に、符号判定部112は、絶対値判定部111が出力した信号における圧縮信号がゼロ以上であれば、「1」の符号判定データ(正の値であることを示す符号判定値の一例)に圧縮信号を変換する。一方、符号判定部112は、圧縮信号がゼロ未満であれば「0」の符号判定データ(負の値であることを示す符号判定値)に圧縮信号を変換する。そして、符号判定部112は、判定ビットと符号判定データとを含む信号(判定ビット付与符号判定データ)を出力する。
【0045】
図5は、絶対値判定部111による絶対値判定と、符号判定部112による符号判定の例を示している。
絶対値判定部111は、圧縮センシング部103が出力した圧縮データをランダム測定行列の行数ごとに対応して分割する。
図5においては、ランダム測定行列の行数が9である場合が示されている。
【0046】
絶対値判定部111は、制御部107が生成した絶対値判定閾値を入力する。同図においては、絶対値判定閾値が100である場合の例を挙げている。絶対値判定部111は、1行分の圧縮データにおけるデータの絶対値の和を求め、求めた絶対値の和が100(絶対値判定閾値)以上であるか否かについて判定する。
【0047】
そして、絶対値判定部111は、絶対値の和が100以上であれば圧縮データに1の判定ビットを付与し、100未満であれば圧縮データに0の判定ビットを付与する。
具体的に、1つ目の圧縮データは、(100、−110、250、−310、−500、180、50、−320、−50)であるから、圧縮データの絶対値の和は1870である。この場合の絶対値の和は、100以上であるから、1つ目の圧縮データには1の判定ビットが付与される。
また、次の2つ目の圧縮データは、(1、−1.1、2.5、−3.1、−5、1.8、0.5、−3.2、−0.5)であるから、圧縮データの絶対値の和は18.7である。この場合の絶対値の和は、100未満であるから、2つ目の圧縮データには0の判定ビットが付与される。
【0048】
次に、符号判定部112は、絶対値判定部111によって判定ビットが付与された圧縮データ(判定ビット付与データ)について以下のように符号判定を行う。
つまり、符号判定部112は、判定ビット付与データから判定ビットを除いた部分である圧縮データの値が0以上であれば、その圧縮データを「1」に変換する。一方、判定ビットを除いた部分の圧縮データの値が0未満であれば、その圧縮データを「0」に変換する。
【0049】
具体的に、
図5の例では、1つ目の(100、−110、250、−310、−500、180、50、−320、−50)の圧縮データが、(1、0、1、0、0、1、1、0、0)に変換される。また、2つ目の(1、−1.1、2.5、−3.1、−5、1.8、0.5、−3.2、−0.5)は、(1、0、1、0、0、1、1、0、0)に変換される。
この際、符号判定部112は、圧縮データに付加されていた判定ビットについては、廃棄するのではなく、そのまま、符号判定結果に応じて変換したデータ(符号判定データ)に付与した信号(判定ビット付与符号判定データ)を出力する。これにより、本実施形態においては、絶対値の情報が喪失することなく維持される
【0050】
説明を
図4に戻す。
信号復元部106は、符号判定部112が出力した信号における符号判定データについてランダム復元行列を利用して復元を行い、復元によって得られた復元信号を出力するとともに復元結果を制御部107に通知する。
信号復元部106が信号を復元するにあたっては、第1実施形態と同様にBIHTなどの復元アルゴリズムが適用されればよい。
【0051】
この際、信号復元部106は、符号判定部112が出力する信号(判定ビット付与符号判定データ)から判定ビットを除いた符号判定データを利用して復元を行う。
具体的に、
図5の場合であれば、符号判定部112が出力する信号は、(1、1、0、1、0、0、1、1、0、0)と(0、1、0、1、0、0、1、1、0、0)であるが、ぞれぞれの先頭の値は判定ビットである。信号復元部106は、判定ビットを除く、(1、0、1、0、0、1、1、0、0)と(1、0、1、0、0、1、1、0、0)の各符号判定データを利用して信号の復元を行う。
【0052】
符号判定データに付与されている判定ビットは、有効信号の有無の判定に利用される。つまり、信号復元部106は、判定ビットが「1」であれば、符号判定データは有効信号を有する有信号部分に対応すると判定し、判定ビットが「0」であれば、対応の符号判定データは有効信号を有さない無信号部分であると判定する。
信号復元部106は、例えば復元信号と信号の有無を示す判定結果を制御部107に通知する。
【0053】
制御部107は、測定行列生成パラメータの生成と、復元行列生成パラメータの生成と、絶対値判定閾値の生成とを行う。
【0054】
図6のフローチャートは、
図4に示した第3実施形態の信号処理システムが実行する処理手順例を示している。
AD変換部101は、アナログの入力信号をデジタルに変換する(ステップS201)。
制御部107は、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、絶対値判定閾値を生成する(ステップS202)。また、制御部107は、同じステップS202において、信号復元部106が出力する復元結果に基づいて、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、絶対値判定閾値を更新する。
【0055】
ランダム測定行列生成部102は、ステップS201にて制御部107が生成した測定行列生成パラメータを入力し、入力した測定行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成する(ステップS203)。
【0056】
圧縮センシング部103は、ステップS203にてランダム測定行列生成部102が生成したランダム測定行列を利用して、AD変換部101から出力された信号を圧縮し、圧縮データを出力する(ステップS204)。
【0057】
絶対値判定部111は、絶対値判定を実行する(ステップS205)。つまり、絶対値判定部111は、圧縮センシング部103から出力された圧縮データの絶対値の和と、制御部107から入力した絶対値判定閾値とを比較することにより、
図5にて説明したように、「1」あるいは「0」の判定ビットを圧縮データに付与する。
【0058】
符号判定部112は、符号判定を実行する(ステップS206)。つまり、符号判定部112は、絶対値判定部111により判定ビットが付与された圧縮データ(判定ビット付与データ)における圧縮データの値について0以上であれば「1」の符号判定データに変換し、0未満であれば「0」の符号判定データに変換する。符号判定部112は、符号判定データに判定ビットを付与した信号(判定ビット付与符号判定データ)を出力する。
【0059】
ランダム復元行列生成部105は、制御部107から復元行列生成パラメータを入力し、入力した復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する(ステップS207)。
信号復元部106は、ランダム復元行列生成部105が生成したランダム復元行列を利用して符号判定部112が出力した信号における符号判定データを復元し、復元により得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部107に出力する(ステップS208)。
【0060】
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態について説明する。第4実施形態における信号処理システムの構成例は、第3実施形態においける
図4と同様でよい。ただし、以下のように、信号復元部106による復元の処理が第3実施形態と異なる。
第4実施形態における信号復元部106は、符号判定部112から出力された符号判定データのうち、「1」の判定ビットが付与された符号判定データについて復元処理を行い、「0」の判定ビットが付与された符号判定データについては復元を行わないようにする。
つまり、第4実施形態の信号復元部106は、符号判定部112が出力した信号のうち、有効信号を有することを示す判定ビットが付与された信号について復元処理を行い、有効信号を有さないことを示す判定ビットが付与された信号については復元を行わない。
【0061】
このように、信号復元部106が有効信号を有する符号判定データのみの復元を行い、有効信号を有さずない雑音成分のみの符号判定データについては復元を行わないようにすることで、処理負荷の軽減が可能となる。
【0062】
<第5実施形態>
続いて、第5実施形態について説明する。
図7は、第5実施形態における信号処理システムを含む通信システムの全体構成例を示している。第5実施形態における信号処理システムは、複数のリモート局200に対して1つの中央局300が伝送路400を介して通信可能に接続される通信システムにおいて適用される。
【0063】
図8は、リモート局200と中央局300の構成例を示している。まず、リモート局200の構成から説明する。
同図に示すリモート局200は、AD変換部201、ランダム測定行列生成部202、圧縮センシング部203及び2ビット量子化部204を備える。
AD変換部201、ランダム測定行列生成部202、圧縮センシング部203、2ビット量子化部204は、それぞれ、
図1に示した第1実施形態におけるAD変換部101、ランダム測定行列生成部102、圧縮センシング部103、2ビット量子化部104と同様の構成でよい。
【0064】
ただし、第5実施形態におけるランダム測定行列生成部102は、中央局300から伝送された測定行列生成パラメータを入力し、入力した測定行列生成パラメータをランダム測定行列の測定に利用する。同様に、2ビット量子化部204は、中央局300から伝送された量子化閾値を入力し、入力した量子化閾値を2ビット量子化に利用する。
また、リモート局200における2ビット量子化部104は、2ビット量子化によって得られた2ビット量子化データを、伝送路400を介して中央局300に送信する。
【0065】
次に、中央局300の構成について説明する。
中央局300は、ランダム復元行列生成部301、信号復元部302及び制御部303を備える。
ランダム復元行列生成部301は、
図1のランダム復元行列生成部105と同様に、復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する。第5実施形態において、ランダム復元行列生成部301は、制御部303から復元行列生成パラメータを入力する。
【0066】
信号復元部302は、伝送路400を経由してリモート局200から送信された2ビット量子化データを入力し、入力した2ビット量子化データの復元を行う。なお、信号復元部302は、第1実施形態に対応する
図1の信号復元部106と同様の復元アルゴリズムにより復元を行えばよい。
信号復元部302は、復元により得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部303に通知する。
【0067】
制御部303は、測定行列生成パラメータの生成と、復元行列生成パラメータの生成と、量子化閾値の生成とを行う。また、制御部303は、信号復元部106が出力する復元結果を利用して、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ及び量子化閾値を適宜更新する。
【0068】
そのうえで、第5実施形態における制御部303は、測定行列生成パラメータと量子化閾値を、伝送路400を経由してリモート局200に送信する。リモート局200におけるランダム測定行列生成部202は、リモート局200にて受信された測定行列生成パラメータを入力する。また、2ビット量子化部204は、リモート局200にて受信された量子化閾値を入力する。
【0069】
図9のフローチャートは、第5実施形態におけるリモート局200が実行する処理手順例を示している。
リモート局200において、ランダム測定行列生成部202は、中央局300から送信され、リモート局200にて受信された測定行列生成パラメータを入力する(ステップS301)。
また、2ビット量子化部204は、中央局300から送信され、リモート局200にて受信された量子化閾値を入力する(ステップS302)。
AD変換部201は、アナログの入力信号をデジタルに変換する(ステップS303)。
【0070】
ランダム測定行列生成部202は、ステップS301により入力した測定行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成する(ステップS304)。
【0071】
圧縮センシング部203は、ステップS304にてランダム測定行列生成部102が生成したランダム測定行列を利用して、AD変換部101から出力された信号を圧縮し、圧縮データを出力する(ステップS305)。
【0072】
2ビット量子化部204は、ステップS302により入力した量子化閾値を利用して圧縮センシング部203が出力する圧縮データの2ビット量子化を行う(ステップS306)。
2ビット量子化部204は、ステップS306による2ビット量子化によって得られた2ビット量子化データを中央局300に送信する(ステップS307)。
【0073】
図10のフローチャートは、第5実施形態における中央局300が実行する処理手順例を示している。
中央局300において、制御部303は、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、量子化閾値を生成する(ステップS401)。また、制御部303は、ステップS401において、信号復元部106が出力する復元結果に基づいて、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、量子化閾値を更新する。
制御部303は、ステップS401により生成した測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、量子化閾値のうち、測定行列生成パラメータと量子化閾値をリモート局200に送信する(ステップS402)。
【0074】
信号復元部302は、リモート局200から送信され、中央局300にて受信された2ビット量子化データを入力する(ステップS403)。
ランダム復元行列生成部301は、ステップS401にて制御部303が生成した復元行列生成パラメータを入力し、入力した復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する(ステップS404)。
信号復元部302は、ステップS404にてランダム復元行列生成部301が生成したランダム復元行列を利用してステップS403にて入力した2ビット量子化データを復元する。信号復元部302は、復元により得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部303に出力する(ステップS405)。
【0075】
<第6実施形態>
続いて、第6実施形態について説明する。第6実施形態における信号処理システムの構成例は、第5実施形態における
図8と同様でよい。
そのうえで、第6実施形態における信号復元部302は、第2実施形態と同様に、有効信号を有する2ビット量子化データについてのみ復元を行い、有効信号を有さない2ビット量子化データについては復元を行わないように構成される。
つまり、信号復元部106は、2ビット量子化部104が出力する2ビット量子化データのうちで、第1ビットが「1」の信号の復元を行い、第1ビットが「0」の信号の復元を行わないようにする。これにより、中央局300における復元処理の負荷が軽減される。
【0076】
<第7実施形態>
続いて、第7実施形態について説明する。
第7実施形態の信号処理システムは、第5実施形態及び第6実施形態と同様に、
図7の構成による通信システムに含まれる。つまり、第7実施形態の信号処理システムは、リモート局200と中央局300とを伝送路400を経由して通信可能に接続した構成である。
【0077】
図11は、第7実施形態におけるリモート局200と中央局300の構成例を示している。
まず、リモート局200から説明する。なお、同図において、第5実施形態に対応する
図8と同一部分には同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0078】
同図に示すリモート局200は、AD変換部201、ランダム測定行列生成部202、圧縮センシング部203、絶対値判定部211及び符号判定部212を備える。
AD変換部201、ランダム測定行列生成部202、圧縮センシング部203、絶対値判定部211及び符号判定部212は、それぞれ、第3実施形態に対応する
図4のAD変換部101、ランダム測定行列生成部102、圧縮センシング部103、絶対値判定部111及び符号判定部112と同様の処理を実行すればよい。
【0079】
ただし、第7実施形態におけるランダム測定行列生成部202は、中央局300から伝送された測定行列生成パラメータを入力し、ランダム測定行列の測定に利用する。同様に、絶対値判定部211は、中央局300から伝送された絶対値判定閾値を入力し、絶対値判定に利用する。
また、リモート局200における符号判定部212は、符号判定を行って得られた符号判定データに判定ビットを付与した信号(判定ビット付与符号判定データ)を、伝送路400を介して中央局300に送信する。
【0080】
次に、中央局300の構成について説明する。
中央局300は、ランダム復元行列生成部301、信号復元部302及び制御部303を備える。
ランダム復元行列生成部301は、復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する。また、ランダム復元行列生成部301は、制御部303から復元行列生成パラメータを入力する。
【0081】
信号復元部302は、伝送路400を経由してリモート局200から送信された信号(判定ビット付与符号判定データ)を入力し、入力した信号における符号判定データの復元を行う。なお、信号復元部302は、第2実施形態に対応する
図4の信号復元部106と同様の復元アルゴリズムにより復元を行えばよい。
信号復元部302は、復元により得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部303に通知する。
【0082】
制御部303は、測定行列生成パラメータの生成と、復元行列生成パラメータの生成と、絶対値判定閾値の生成とを行う。また、制御部303は、信号復元部106が出力する復元結果を利用して、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ及び絶対値判定閾値を適宜更新する。
【0083】
そのうえで、第7実施形態における制御部303は、測定行列生成パラメータと絶対値判定閾値を、伝送路400を経由してリモート局200に送信する。リモート局200におけるランダム測定行列生成部202は、リモート局200にて受信された測定行列生成パラメータを入力し、入力した測定行列生成パラメータをランダム測定行列の生成に利用する。また、絶対値判定部211は、リモート局200にて受信された絶対値判定閾値を入力し、入力した絶対値判定閾値を絶対値判定に利用する。
【0084】
図12のフローチャートは、第7実施形態におけるリモート局200が実行する処理手順例を示している。
リモート局200において、ランダム測定行列生成部202は、中央局300から送信され、リモート局200にて受信された測定行列生成パラメータを入力する(ステップS501)。
また、絶対値判定部211は、中央局300から送信され、リモート局200にて受信された絶対値判定閾値を入力する(ステップS502)。
AD変換部201は、アナログの入力信号をデジタルに変換する(ステップS503)。
【0085】
ランダム測定行列生成部202は、ステップS501により入力した測定行列生成パラメータを利用してランダム測定行列を生成する(ステップS504)。
【0086】
圧縮センシング部203は、ステップS504にてランダム測定行列生成部102が生成したランダム測定行列を利用して、AD変換部101から出力された信号を圧縮し、圧縮データを出力する(ステップS505)。
【0087】
絶対値判定部211は、ステップS502により入力した絶対値判定閾値を利用して、圧縮センシング部203が出力した圧縮データについて絶対値判定を実行する(ステップS506)。
符号判定部112は、絶対値判定部211により判定ビットが付与された圧縮データ(判定ビット付与データ)について符号判定を実行する(ステップS507)。符号判定部112は、符号判定によって得られた符号判定データに判定ビットを付与した信号(判定ビット付与符号判定データ)を中央局300に送信する(ステップS508)。
【0088】
図13のフローチャートは、第7実施形態における中央局300が実行する処理手順例を示している。
中央局300において、制御部303は、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、絶対値判定閾値を生成する(ステップS601)。また、制御部303は、同じステップS601において、信号復元部106が出力する復元結果に基づいて、測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、絶対値判定閾値を更新する処理も実行する。
制御部303は、ステップS601により生成した測定行列生成パラメータ、復元行列生成パラメータ、絶対値判定閾値のうち、測定行列生成パラメータと絶対値判定閾値をリモート局200に送信する(ステップS602)。
【0089】
信号復元部302は、リモート局200から送信され、中央局300にて受信された信号(判定ビット付与符号判定データ)を入力する(ステップS603)。
ランダム復元行列生成部301は、ステップS601にて制御部303が生成した復元行列生成パラメータを入力し、入力した復元行列生成パラメータを利用してランダム復元行列を生成する(ステップS604)。
信号復元部302は、ステップS604にてランダム復元行列生成部301が生成したランダム復元行列を利用して、ステップS603にて入力した信号における符号判定データを復元する。そして、信号復元部302は、復元により得られた復元信号を出力するとともに、復元結果を制御部303に出力する(ステップS605)。
【0090】
<第8実施形態>
続いて、第8実施形態について説明する。第8実施形態における信号処理システムの構成例は、第7実施形態における対応する
図11と同様でよい。
そのうえで、第8実施形態における信号復元部302は、第4実施形態と同様の復元処理を実行する。つまり、信号復元部302は、符号判定部212から出力された符号判定データのうち、「1」の判定ビットが付与された符号判定データについて復元処理を行い、「0」の判定ビットが付与された符号判定データについては復元を行わないようにする。
これにより、中央局300における処理負荷が軽減される。
【0091】
このように、本実施形態においては、圧縮段階において2ビット量子化、あるいは、絶対値判定と符号判定とを行うことにより、圧縮データに絶対値の情報を含めることが可能になる。これにより、有信号部分と無信号部分とで弁別が可能になるので、無信号部分の雑音を増幅しないようにすることが可能になり、雑音を抑制することができる。また、雑音が抑制されることで圧縮効率も向上させることが可能になる。さらに、有信号部分に対応するデータのみを復号し、無信号部分に対応するデータについては復号しないことにより、復元における処理負荷を軽減できる。
【0092】
上述した実施形態におけるシステム又は各装置をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。