(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
III族原料ガスと窒素源ガスとの間にバリアガスを介在させて、かつ、該III族原料ガスをベース基板表面に沿った流れで供給することにより、該III族原料ガスと該窒素源ガスとを該ベース基板表面で反応させて、該ベース基板表面にIII族窒化物を製造する方法において、
該ベース基板表面に対して垂直な方向における該III族原料ガスの両側にバリアガスを少なくとも供給し、
該ベース基板表面に近い側のバリアガスを第一バリアガスとし、該ベース基板表面から遠い側のバリアガスを第二バリアガスとしたとき、前記第二バリアガスの供給量(V2)に対する前記第一バリアガスの供給量(V1)の比(V1/V2)が0.2≦(V1/V2)<1.0となるようにバリアガスを供給することを特徴とするIII族窒化物の製造方法。
前記第一バリアガスの線速度(τ1)を前記第二バリアガスの線速度(τ2)以下となるようにバリアガスを供給することを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物の製造方法。
前記第二バリアガスの線速度(τ2)に対する前記第一バリアガスの線速度(τ1)の比(τ1/τ2)が0.05≦(τ1/τ2)≦1.0となるようにバリアガスを供給することを特徴とする請求項2に記載のIII族窒化物の製造方法。
排出口を有する外管と、該外管内に配置した排出口を有する内管とを有する2重管において、該内管の排出口から前記III族原料ガスを供給し、外管と内管との隙間から前記第一バリアガス、及び第二バリアガスを供給し、かつ、内管の排出口の中心を外管の排出口の中心よりもベース基板側にずらすことにより、該第一バリアガスの供給量(V1)を該第二バリアガスの供給量(V2)よりも少なくなるようにバリアガスを供給することを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物の製造方法。
前記III族原料ガスがハロゲン化アルミニウムガスを含み、製造するIII族窒化物がアルミニウムを含有するIII族窒化物であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物は直接遷移型のバンド構造を持ち、バンドギャップエネルギーは0.6 eV〜6.2 eV程度である。例えば窒化アルミニウム(AlN)のバンドギャップエネルギーは6.2 eV程度であり、窒化ガリウム(GaN)のバンドギャップエネルギーは3.4 eVである。また、III族元素2種以上と窒素から構成される混晶とすることで、混晶を構成するIII族窒化物半導体の成分比に応じたバンドギャップエネルギー(0.6〜6.2 eV)の範囲、すなわち、可視光領域を含めた赤外〜深紫外領域といった広範囲な発光波長領域をとることが可能である。
【0003】
従って、III族窒化物を用いることにより、高効率発光デバイスや半導体レーザーの製造が可能になる。また、電子の飽和ドリフト速度が高いことから、高速電子移動トランジスタといった電子デバイスや、負の電子親和力を利用したフィールドエミッタへの応用も可能になる。
【0004】
上記のような発光光源の機能を発現する部分は、従来、基板上に数ミクロン以下の薄膜を積層して形成することで一般的には試みられている。これは公知の分子線エピタキシー(MBE: Molecular Beam Epitaxy) 法、有機金属気相エピタキシー( MOVPE: Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)法などの結晶成長方法により形成され、発光機能の発現を目的とした最適な積層構造の形成について既に多くの研究がなされている。
【0005】
紫外発光素子などの半導体素子は、n電極に電気的に接合したn型半導体層とp電極に電気的に接合したp型半導体との間に、クラッド層、活性層などを含む積層構造を形成する必要があり、発光効率の点から何れの層においても、結晶中の転位や欠陥が少ないことが重要である。そのため上記積層構造は、自立して存在するのに十分な機械的強度をもつ単結晶基板(以下、「自立基板」ともいう。) 上に形成される。この自立基板の性質として、積層体との格子定数差、熱膨張係数差が小さく、また発光層のバンドギャップエネルギー相当の光を透過する性質を有する必要がある。さらに、素子の劣化を防ぐためには熱伝導率が高いことが要求される。以上の点を踏まえると、自立基板は、III族窒化物単結晶基板を用いることが理想的である。
【0006】
上記単結晶基板(自立基板)は、昇華再結晶法、融液成長法、気相成長法などの結晶成長手法により製造されている。中でも、気相成長法であるハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitax、以下単にHVPE法とする場合もある)法は、高速成長および大面積化が容易な手法であることから、III族窒化物単結晶基板の作製において優れた手法である。
【0007】
HVPE法は、以下の方法により実施されている。先ず、水素ガスや窒素ガス、または、それらの混合ガスからなるキャリアを用いて、III族原料ガスと、窒素源ガスであるアンモニアガスを反応域まで輸送する。そして、両ガスを反応域に設置したベース基板上で反応させることにより、該ベース基板上にIII族窒化物を成長させるものである。
【0008】
このHVPE法においては、III族原料ガスと窒素源ガスとの反応速度が速いことから、ノズルから噴出したIII族原料ガスの一部が、ノズル近傍で窒素源ガスと反応してIII族窒化物(粒子)を生成し、これがノズルに付着し易い。ノズルに付着した粒子が剥離し、成長中のIII族窒化物に取り込まれると自立基板の品質が低下するという問題があった。さらに長時間の成長では、付着した粒子がノズルの閉塞を引き起こすおそれがあり、生産性を著しく低下させるという問題があった。
【0009】
上記問題に対し、従来技術として、バリアガスを使用したHVPE法が知られている。例えば、特許文献1〜3に記載するように、同心円状の2重管構造からなるノズルを用いて、III族原料ガスの外周にバリアガスを供給する方法である。具体的には、バリアガスを供給する排出口の中心と、III族原料ガスを供給する排出口の中心とが一致している2重管ノズルを使用して、該III族原料ガスの外周にバリアガスを供給するものである。
【0010】
この方法では、少なくともIII族原料ガスの供給ノズル先端部(排出口)において、該III族原料ガスと窒素源ガスとの間にバリアガスを介在させるため、ノズル近傍での原料ガスの混合を抑制することができる。その結果、原料ガスノズルの閉塞を防ぎ、長時間に渡って成長速度を維持したまま、効率よくIII族窒化物単結晶厚膜を製造することが可能となる。なお、特許文献2においては、一見、バリアガスとIII族原料ガスの供給管が別々に存在するように見えるが、反応炉(反応域)へ両ガスを供給(排出)する排出口においては、中心が一致する同心円状の2重管構造となっている。
【0011】
しかしながら、従来のバリアガスを使用する方法においては、III族窒化物単結晶の収率という点で改善の余地があった。つまり、従来の方法では、供給した原料ガス量に対して成長するIII族窒化物単結晶の量(割合)が少ないという問題があった。現状のHVPE装置では、供給した原料ガスをそれぞれ分別して再利用することは難しいため、供給した原料ガスを少しでもIII族窒化物単結晶に変換することが望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を発明の実施の形態に即して、詳細に説明する。
【0020】
本発明は、HVPE法によるIII族窒化物の製造方法において、ベース基板表面に対して垂直な方向における、III族原料ガスの両側に、バリアガスを少なくとも供給すると共に、該バリアガスの内、該ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)を、該ベース基板表面から遠い側の第二バリアガスの供給量(V2)よりも少なくなるようにバリアガスを供給することを特徴とする。これ以外の部分においては、公知のHVPE法・装置を使用することができる。具体的には、例えば、特許文献1に示されているようなHVPE装置を使用することができる。
図1にHVPE装置について示した。以下、この
図1を用いて本発明を説明する。
【0021】
図1は、横型のHVPE装置の断面図である。そして、III族窒化物は、例えば石英で製造された管壁よりなる反応管11内で製造が行われる。
【0022】
反応管内には、ガスを一方向に流すためにキャリアガスを、常時、反応管11の上流側から下流側(排気口18側)に向かって、該ベース基板表面に沿った流れで供給する。キャリアガスとしては、水素、窒素、ヘリウム、またはアルゴンの単体ガス、もしくはそれらの混合ガスを使用することができる。これらキャリアガスは、あらかじめ精製器を用いて酸素、水蒸気、一酸化炭素或いは二酸化炭素等の不純ガス成分を除去しておくことが好ましい。
【0023】
反応管11には、所定の位置に、その上にIII族窒化物を気相成長させるベース基板10を保持するサセプタ12を設置する。
【0024】
ベース基板10およびサセプタ12は、局所加熱手段14もしくは外部加熱手段13を用いて所定の温度に加熱される。
図1では、局所加熱手段として高周波誘導方式を記載しているが、光加熱方式も使用可能である。外部加熱手段は、石英ガラスの耐熱温度以下の基板加熱や、局所加熱と併用してガス温度の制御を行うために用いるもので、反応管11全周を覆うものでも、一部を覆うものでも良い。一般的な外部加熱手段としては抵抗加熱方式のものが使用可能であり、反応管内部の温度分布を制御するために、外部加熱手段を複数のゾーンに分割して使用することも可能である。
【0025】
本発明の方法は、三塩化アルミニウムを含むIII族ハロゲン化物ガスと窒素源ガスが混合されると反応するような温度以上において効果が大きい。
【0026】
反応管11内には、III族原料ガスを該ベース基板10上に供給するためのIII族原料ガス供給ノズル15が配置される。III族原料ガスとしては、公知のガスが挙げられ、三塩化アルミニウムガス、三塩化ガリウムや一塩化ガリウム、三塩化インジウムや一塩化インジウム等のIII族ハロゲン化物ガスを用いる。
【0027】
これらIII族ハロゲン化物ガスは、公知の方法で製造したものを、III族ハロゲン化物ガス供給ノズル15から反応管11内へ供給すればよい。例えば、特開2003−303774号に記載の通り、III族原料ガス供給ノズル15より上流側にアルミニウム、ガリウム、インジウムなどのIII族金属とハロゲン化水素とを反応させる装置を設け、得られたIII族ハロゲン化物ガスをIII族ハロゲン化物ガス供給ノズル15へ導入するようにすればよい。或いは、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウム等のIII族ハロゲン化物そのものを加熱、気化し、キャリアガスを用いてIII族ハロゲン化物ガス供給ノズル15に導入してもよい。この場合、III族ハロゲン化物には無水結晶であり、かつ不純物の少ないものが好ましい。
【0028】
また、III族窒化物の混晶を作る場合は、目的とする混晶組成に応じて、アルミニウム、ガリウム、インジウム等のハロゲン化物ガスをハロゲン化物ガス供給ノズルから供給して窒素源ガスと反応させればよい。ただし、III族元素に依存してIII族窒化物として基板上へ取り込まれる割合が異なるので、III族ハロゲン化物ガスの供給比率がそのまま混晶組成に対応しないことに注意しなければならない。
【0029】
本発明においては、該III族原料ガスをベース基板表面に沿った流れで供給する。ベース基板表面は、III族窒化物が成長する面である。III族原料ガスをベース基板表面に沿った流れで供給するとは、III族原料ガスが排出口から排出される方向と、ベース基板表面の面の方向が同じであることを指す。そして、本発明においては、III族原料ガス供給ノズルの排出口を、ベース基板10よりも上流側に位置し、該ベース基板表面の上方に配置することが好ましい。この場合、装置の大きさ、供給する各種ガスの量等に応じて適宜決定すればよいが、III族原料ガス供給ノズル15の排出口の真下に位置する、ベース基板表面と同一面の地点からベース基板10までの距離(最短距離)が5〜200mmとなる範囲に、ベース基板10を配置することが好ましい。そして、排出口の高さも特に制限されるものではないが、ベース基板表面から排出口の高さ(該地点から排出口までの高さ:垂直方向の高さ)が5〜50 mmとすることが好ましい。
【0030】
窒素源ガスは、III族原料ガスの両側にバリアガスが存在する状態で供給される場合、反応管11の上流側から下流側に供給されればその位置は特に制限されるものではない。ただし、より効率よくIII族窒化物を製造する、特に窒化アルミニウム単結晶を製造するためには、下記に詳述する第二バリアガスの外側(ベース基板表面から第二バリアガスよりも外側)から、窒素源ガスを供給することが好ましい。窒素源ガスは、特に、アンモニアガスは、拡散し易い。そのため、ベース基板10の表面にIII族窒化物を効率よく成長させ、管壁へ付着するのを抑制するためには、窒素源ガスは、第二バリガスの外側から供給することが好ましい。このような位置から窒素源ガスを供給するには、窒素源ガス供給ノズル17から窒素源ガスを供給すればよい(
図1、
図4参照)。なお、該窒素源ガスは、III族原料ガスを窒化する反応性ガスであり、通常、キャリアガスに希釈して供給される。該窒素源ガスとしては、窒素を含有する反応性ガスが用いられるが、コストと取扱やすさの点で、アンモニアが好ましい。
【0031】
III族窒化物を成長するベース基板10は、サファイア、シリコン、シリコンカーバード、窒化ガリウム、窒化アルミニウムなどが用いられる。
【0032】
ベース基板の表面は、キャリアガス、原料ガス、バリアガスの流れに面している。なお、当然のことではあるが、原料ガス、キャリアガス、バリアガスを供給する側を上流とし、これらガスは、ベース基板表面を通って排気口18(下流側)へと流れる。そのため、反応(III族窒化物の成長)に使用されなかった原料ガスは、そのまま排気口18から排出される。
【0033】
以上のような公知のHVPE製造装置を用いて、本発明は実施することができる。次に、本発明の特徴である、バリアガスの供給方法について説明する。先ず、このバリアガスを供給するためのバリアガス供給ノズルについて説明する。
【0034】
バリアガス供給ノズル
このバリアガス供給ノズル16は、ベース基板表面に対して垂直な方向におけるIII族原料ガスの両側に、バリアガスが供給されるような構造のものにしなければならない。具体的には、横型のHVPE装置を使用する場合には、
図2〜8のように、III族原料ガス供給ノズル15の排出口(III族原料ガス排出口21)の上下両側に第一バリアガスの排出口(第一バリアガス排出口22)と第二バリアガスの排出口(第二バリアガス排出口20)が存在するように、バリアガス供給ノズルを配置しなければならない。
【0035】
この第一、第二バリアガス供給ノズルの排出口、III族原料ガス供給ノズルの排出口は、特に制限されるものではないが、ノズルに付着するIII族窒化物の量を低減するためには、各排出口が同一面上に存在するように配置することが好ましい。なお、横型HVPE装置においては、ベース基板10方向が下側であり、その反対方向が上側(外側)になる。
【0036】
このバリアガス供給ノズルにおいて、排出口の形状は、円形、楕円形、矩形、複数の角を持つ構造のいずれの場合でも良い。III族ハロゲン化ガスとバリアガスは空間的に分離されていれば、
図2に示したような2重管構造でも、
図3や
図7に示したような層状構造であってもよい。
【0037】
バリアガスは、以下の役割を果たすものと考えられる。バリアガスを使用することにより、少なくともIII族原料供給ノズルの排出口21の近傍においては、III族原料ガスと窒素源ガスとの間にバリアガスが介在する。そして、III族原料ガスと窒素源ガスとは、それら原料ガスの間に介在するバリアガス中を徐々に拡散していき、ベース基板10付近で反応してIII族窒化物を成長させるものと考えられる。また、第一バリアガスは、HVPE装置の管壁およびIII族原料ガス供給ノズルに付着するIII族窒化物を抑制しているものと考えられる。窒素源ガスは、装置内で拡散し易いため、第一バリアガスが存在することにより、管壁およびIII族原料ガス供給ノズルに付着するIII族窒化物を抑制するものと考えられる。
【0038】
そのため、バリアガスとしては、窒素ガスもしくはアルゴンガスが好適である。窒素ガスまたはアルゴンガスは、分子量が大きく、原料ガスがバリアガスへ拡散するのが遅くなるため、反応抑制の効果が大きい。しかも、不活性ガスであるため反応に関与しない。ヘリウムガス、或いはネオンガスのような質量の小さいガス種は、それら単体だけでは原料ガスが急速にバリアガス中に拡散するおそれがある。しかし、バリアガスの効果を調整するために窒素ガスまたはアルゴンガスに、水素ガス、ヘリウムガス、或いはネオンガスを混合することは有効な方法である。
【0039】
バリアガス供給ノズルは、
図3、6、7、8に示すような排出口を有するバリアガス供給形態とすることができる。つまり、ベース基板10側に、第一バリアガス供給ノズル22を配置し、その上に、III族原料ガス供給ノズル21、第二バリアガス供給ノズル20の順で配置した積層構造とすることもできる(
図3、6、7、8は、HVPE装置の排気口18側からみた各供給ノズルの排出口を示した図である)。この場合、第一バリアガスと第二バリアガスとの供給方法(供給量、線速度等の調整)は、それぞれ独立して実施すればよい。中でも、バリアガスの供給量を少なくし、バリアガスの供給方法の制御を容易にするためには、第一バリアガス供給ノズルの排出口の面積を、第二バリアガス供給ノズルの排出口の面積より狭くすることが好ましい。こうすることにより、第一バリアガスの供給量を少なくすることができ、かつ、線速度も容易に調整することができるため好ましい。
【0040】
また、バリアガス供給ノズルは、
図2、4、5のように2重管にした場合とすることもできる。これらの例示は、外管と、外管内に配置した内管とからなる2重管の内管から前記III族原料ガスを供給し、外管と内管との隙間から前記第一バリアガス、及び第二バリアガスを供給する場合の例である。この場合、第一バリアガスと第二バリアガスとを分離して供給できるように、外管内部(バリアガス供給ノズル内部)に隔壁を設けてもよい。そして、
図4、5のようにバリアガス供給ノズル16の排出口の中心とIII族原料ガス供給ノズル排出口21の中心とが一致する場合(各排出口が同心円状となる場合)には、第一バリアガスと第二バリアガスとの供給量を各々、独立して調整できるようにすればよい。2重管の構造とすることにより、III族原料ガスを上下側面からバリアガスで覆うことができるため、管壁へ付着するIII族窒化物を少なくできる。
【0041】
また、2重管とする場合には、外管内部に隔壁を設けたノズルの製造が困難となるため、
図2に示した通り、隔壁を設けず、単に内管の排出口の中心を外管の排出口の中心よりもベース基板側にずらした構造とすることが好ましい。
図2のような構造とすることにより、第一バリアガス排出口の面積よりも第二バリアガス排出口の面積が広くなるため、バリアガス供給ノズルにバリアガスを供給するだけで、それらバリアガスの供給量、及び線速度を容易に調整できる(各排出口の面積、及び供給したバリアガス量から第一バリアガス、第二バリアガスの供給量、線速度を算出できる)。このように内管をIII族原料ガス供給ノズル15とし、外管をバリアガス供給ノズル16とした場合には、外管の排出口を上下に均等に2等分する中心線の上側排出口(第二バリアガス排出口20)から排出されるバリアガスを第二バリアガスとする。また、該中心線の下側排出口(第一バリアガス排出口22)から排出されるバリアガスを第一バリアガスとする。
【0042】
本発明において、第一バリアガス、および第二の供給量をそれぞれ独立して制御できる場合には、その供給量の値をそのまま使用すればよい。また、この場合、第一バリアガス、および第二バリアガスの線速度(τ1、τ2)は、第一バリアガス排出口22、および第二バリアガス排出口20における温度、第一バリアガス排出口22の排出口面積、第二バリアガス排出口20の排出口面積、および反応器内の圧力(P)から算出してやればよい。
具体的には、
【0044】
式中、
τ1は第一バリアガスの線速度、V1は第一バリアガスの供給量、S1は第一バリアガス排出口面積であり、
τ2は第二バリアガスの線速度、V2は第二バリアガスの供給量、S2は第二バリアガスの排出口面積であり、
Tはそれぞれのバリアガス排出口温度(第一バリアガス、および第二バリアガスの排出口温度は同じである)であり、Pは反応器内の圧力である。
【0045】
また、例えば、
図2に示したような2重管を用い、投入する全バリアガスを第一バリアガス排出口22、および第二バリアガス排出口20の排出口面積の違いによって、第一バリアガス、および第二バリアガスとする場合には、以下の方法により供給量、および線速度を求めてやればよい。
【0047】
式中、
Vは外管へ投入する全バリアガス供給量、Sは外管の排出口面積(第一バリアガス排出面積S1と第二バリアガス排出口面積S2との合計面積)、S1は第一バリアガス排出口面積であり、これらから算出されるV1は第一バリアガスの供給量である。また、同じく
S2は第二バリアガス排出口面積であり、V、S、およびS2これらから算出されるV2は第二バリアガスの供給量である。そして、これら求めた供給量、T(バリアガス排出口温度(第一バリアガス、および第二バリアガスの排出口温度は同じである))、P(反応器内の圧力)から、τ1(第一バリアガスの線速度)、τ2(第二バリアガスの線速度)を算出してやればよい。
【0048】
以上のような構造の装置、キャリアガス、III族原料ガス、窒素源ガス、バリアガスを使用して、HVPE法によりIII族窒化物を製造する。特に、前記バリアガス供給ノズルを使用することにより、該第一バリアガスの供給量(V1)を該第二バリアガスの供給量(V2)よりも少なくなるようにバリアガスを供給できる。
次に、III族窒化物を製造する際の方法、条件について説明する。
【0049】
製造方法
先ず、HVPE装置にベース基板を導入後、ベース基板表面に付着した有機物を除去する目的で高温状態において10分間程度基板を加熱してサーマルクリーニングを行う。ベース基板として、窒化ガリウム基板や窒化アルミニウム基板を用いる場合には高温状態において窒化ガリウムや窒化アルミニウムが分解する恐れがあるので、装置内に窒素源ガスを供給することが好ましい。中でも、窒素源ガスとしてアンモニアを使用することが好ましく、室温から成長温度までベース基板を昇温する際に、アンモニアガス分圧を1×10
−4atm以上に保持することが好ましい。キャリアガスは、水素または窒素、および水素と窒素の混合ガスを用いることが好ましい。
【0050】
ベース基板は、加熱装置(
図1の加熱装置14)等により300℃以上に加熱される。窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には、ベース基板は、800〜1600℃、好ましくは1200〜1600℃、さらに好ましくは1300〜1500℃の温度に加熱することが好ましい。
【0051】
次に、キャリアガスで希釈したIII族原料ガス、キャリアガスで希釈した窒素源ガス、バリアガスの供給を開始してベース基板上にIII族窒化物を成長させる。本発明においては、これら原料ガス、キャリアガス、バリアガスをベース基板表面に沿った流れで供給する。
【0052】
一般的に、III族原料ガスの供給量は、ベース基板上で成長するIII族窒化物の成長速度を勘案して決定すればよい。ベース基板上に供給される全ガス(キャリアガス、III族原料ガス、窒素源ガス、及びバリアガスの合計ガス) の標準状態における体積の合計に対する、III族原料ガスの標準状態における体積の割合を、III族原料ガスの供給分圧として定義すると、1×10
−5atm〜5×10
−2 atmの範囲が選択される。
【0053】
通常、III族原料ガスはキャリアガスで希釈して供給されるが、キャリアガスで希釈する割合は0.001〜50%であることが好ましい。そして、キャリアガスで希釈したIII族原料ガスの供給量(キャリアガスを含む供給量)は、100〜10000 sccmとすることが好ましい。また、キャリアガスで希釈したIII族原料ガスの線速度(キャリアガスを含む線速度)は、0.1〜50 m/sとすることが好ましい。
【0054】
窒素源ガスの供給量は、上記III族原料ガス供給分圧の1〜200 倍の供給量とすることが好ましい。この範囲にすることにより、窒素源ガスを装置内(反応域)に十分に拡散することができる。この窒素源ガスも通常、キャリアガスで希釈して供給されるが、キャリアガスで希釈する割合は0.0002〜50%であることが好ましい。そして、キャリアガスで希釈した窒素源ガスの供給量(キャリアガスを含む供給量)は、50〜50000 sccmとすることが好ましい。また、キャリアガスで希釈した窒素源ガスの線速度(キャリアガスを含む線速度)は、0.01〜10 m/sとすることが好ましい。
【0055】
本発明においては、以上のような原料ガスを供給する際に、III族原料ガス、及び窒素源ガスとの間にバリアガスを介在させ、III族原料ガスの両側(ベース基板側とその反対側)に、該バリアガスとして第一バリアガスと第二バリアガスを供給する。そして、この第一バリアガスの供給量(V1)を該第二バリアガスの供給量(V2)よりも少なくなるようにバリアガスを供給することを特徴とする。
【0056】
バリアガスの存在により、原料ガスの瞬時の反応を抑制することができ、更に、第一バリアガスの供給量(V1)を該第二バリアガスの供給量(V2)よりも少なくなるように供給するため、ベース基板上のIII族窒化物の収率を高めることができる。第一、二バリアガスの供給量を変えることにより、III族窒化物の収率が高くなる理由は明らかではないが、本発明者等は、以下の通りに推定している。III族原料ガスと窒素源ガスとの反応は、両原料ガスがバリアガス中に拡散してから生じるものと考えられる。そのため、バリアガスを使用する本発明においては、ベース基板10に到達するまでに、両原料ガスの反応を抑制することができるものと考えられる。特に、第二バリアガスの供給量を多くしているため、少ないバリアガス量であっても、その効果が顕著に発揮されるものと考えられる。加えて、第一バリアガスの供給量(V1)が第二バリアガスの供給量(V2)よりも少ないため、両バリアガスに挟まれたIII族原料ガスは、ベース基板の表面に到達し易くなっているものと考えられる。以上の結果から、本発明によれば、長時間に渡ってIII族窒化物を成長することができ、かつ、ベース基板近傍への原料ガス供給量(特に、III族原料ガスの供給量)が向上し、III族窒化物の収率を改善できるものと考えられる。
【0057】
そのため、本発明は、結晶成長の速い、アルミニウムを含むIII族窒化物、特に、窒化アルミニウム単結晶(III族原料ガス:三塩化アルミニウムガス、窒素源ガス:アンモニアガス)は気相成長が起こり易いため、本発明の方法が好適に採用され、第一バリアガスが効果的に作用するものと考えられる。なお、窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には、バリアガス排出口温度は、200〜1200℃、好ましくは300〜1000℃、より好ましくは400〜800℃である。
【0058】
本発明において、よりIII族窒化物の成長割合(収率)を高めるためには、第二バリアガスの供給量(V2)に対する前記第一バリアガスの供給量(V1)の比(V1/V2)が0.2≦(V1/V2)<1.0となるようにバリアガスを供給することが好ましい。さらに、0.4≦(V1/V2)≦0.9とすることが好ましく、0.4≦(V1/V2)≦0.8とすることがより好ましい。なお、バリアガスの絶対量は、特に制限されるものではないが、第二バリアガスの供給量が100〜10000 sccmとすることが好ましい。なお、この供給量は、装置に導入する際の供給量を指す。
【0059】
また、本発明においては、第一バリアガスの供給量が第二バリアガスの供給量よりも少なく、かつ、前記第一バリアガスの線速度(τ1)を前記第二バリアガスの線速度(τ2)以下とすることが好ましい。線速度がこの関係を満足することにより、III族窒化物の収率を高くすることができる。より収率を高くするためには、前記第二バリアガスの線速度(τ2)に対する前記第一バリアガスの線速度(τ1)の比(τ1/τ2)が0.05≦(τ1/τ2)≦1.0となるようにバリアガスを供給することが好ましい。
【0060】
中でも、第一バリアガスの線速度(τ1)と第二バリアガスの線速度(τ2)が等しくなる場合(τ1/τ2=1.0の場合)には、バリアガスの供給量の比が0.4≦(V1/V2)<1.0となるようにバリアガスを供給することが好ましい。さらに、0.4≦(V1/V2)<0.9とすることが好ましく、さらに好ましくは0.4≦(V1/V2)≦0.8とすることが好ましい。
【0061】
また、線速度の比(τ1/τ2)は、0.09≦(τ1/τ2)≦0.9となることが好ましく、0.2≦(τ1/τ2)≦0.8となることがより好ましい。このように線速度比を1.0未満、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下とした場合には、
第一バリアガス、および第二バリアガスの供給量の比(V1/V2)は、0.1≦(V1/V2)≦0.9、さらに好ましくは0.2≦(V1/V2)≦0.8である。
【0062】
以上のような方法で、加熱したベース基板上に、キャリアガス、原料ガス、バリアガスを供給し、III族窒化物をベース基板表面に成長させる。成長層(III族窒化物層)の膜厚は成長前後の基板の重量変化と、基板の表面積、成長層の密度から計算可能である。膜厚は、成長時間はもちろんのこと、供給するIII族原料ガスの供給量、窒素源ガス供給量などによって制御することができる。
【0063】
次に、成長の終了の仕方について説明する。一定時間成長した後、III族原料ガスの供給を停止して、成長を終了し、加熱装置を降温する。キャリアガスに水素を使う場合、窒素源ガスは、基板(III族窒化物成長後の基板)の温度が下がるまで反応管に流通することが望ましい。これは、基板上に成長したIII族窒化物の再分解を防ぐためである。以上の手順により、III族窒化物を得ることができる。
【実施例】
【0064】
以下に、本発明の具体的な実施例、比較例について図を参照しながら説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0065】
実施例1
図1に示すようなHVPE装置を使用した。また、
図7に示されるように、バリアノズル、およびIII族原料ガスノズルが積層構造であるものを使用した。このバリアガスノズルは、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスと該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスを、それぞれ独立して制御できるものを使用した。
【0066】
SiCコートサセプタ上に、ベース基板を設置した。ベース基板には、サファイア(0001)基板上にMOCVD法によって単結晶AlNを積層したAlNテンプレート基板を用いた。
【0067】
III族供給ガスノズルから、三塩化アルミニウムガス(III族ハロゲン化物ガス:III族原料ガス)を水素・窒素の混合キャリアガスで希釈したガス(三塩化アルミニウムガス4sccm、水素・窒素の混合キャリアガス1796sccm、合計1800sccm)を供給した。
【0068】
バリアガスノズルから、第一、第二バリアガスとして窒素ガスを以下の条件で供給した。第一バリアガスの供給量(V1)を462 sccm、線速度(τ1)を1.04 m/sとし、第二バリアガスの供給量(V2)を1038sccm、線速度(τ2)を1.04 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)は0.44、線速度比(τ1/τ2)は1.0であり、第一バリアガスの供給量が少ない状態とした。第一、第二バリアガスの合計供給量は1500sccmとした。
【0069】
窒素源供給ガスノズルから、アンモニアガス(窒素源ガス)を水素・窒素の混合キャリアガスで希釈したガス(アンモニアガス26sccm、水素・窒素の混合キャリアガス174sccm、合計200sccm)を供給した。
【0070】
また、フローチャネル内(反応器内)に供給したガスを排出するために、該反応器内に水素:窒素を7:3の割合で混合した混合キャリアガスを、押し出し用キャリアガスとして6500sccm供給した(ただし、
図1には、押し出し用キャリアガスを供給するノズルは図示していない。)。
【0071】
以上のような条件で反応器内にガスを供給した。反応器内に供給した全ガス(全キャリアガス、三塩化アルミニウムガス、窒素ガスを合計したガス)の合計は10000sccmであった。
【0072】
その他のIII族窒化物の成長条件としては、成長時のベース基板の温度(成長温度)を1450℃とし、成長時間を15分間とした。このような条件でベース基板表面に窒化アルミニウム単結晶を成長させた。
【0073】
窒化アルミニウム単結晶成長後は、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、反応器内を降温した。ベース基板表面に成長した窒化アルミニウム単結晶の分解を防ぐため、反応器内の温度が550℃ に下がるまでアンモニアガスを反応器内に流通させた。その後、反応器内が室温付近まで下がったことを確認して、反応器内から窒化アルミニウム単結晶が成長した基板を取り出した。
【0074】
次に、基板重量を秤量し、成長前後の重量変化、成長時間、III族ハロゲン化物ガス(III族原料ガス)の流量から、以下の式を用いて、AlNの収率を算出した。
【0075】
【数3】
【0076】
その結果、基板上に成長した窒化アルミニウム単結晶(AlN)の収率は5.1%であった。結果を表1にまとめた。
【0077】
実施例2
図7に示されるように、バリアノズルおよびIII族原料ガスノズルが積層構造であるものを使用した。このバリアガスノズルは、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスと該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスを、それぞれ独立して制御できるものを使用した。
【0078】
ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)を300sccm、線速度(τ1)を0.67 m/sとし、該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスの供給量(V2)を1200sccm、線速度(τ2)を1.20 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)は0.25、線速度比(τ1/τ2)は0.56、と、第一バリアガスの供給量および線速度が共に少ない状態とした。
【0079】
上記以外は、実施例1と同じ手順と条件で成長した。その結果、基板上に成長したAlNの収率は5.8%であった。結果を表1にまとめた。
【0080】
比較例1
図8に示されるように、バリアノズルおよびIII族原料ガスノズルが積層構造であるものを使用した。このバリアガスノズルは、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスと該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスを、それぞれ独立して制御できるものを使用した。
【0081】
ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)および該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスの供給量(V2)を750 sccm、線速度(τ1)および線速度(τ2)を1.04 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)は1.0、線速度比(τ1/τ2)は1.0、と、第一バリアガスと第二バリアガスの供給量と線速度を同じ状態にした。
【0082】
上記以外は、実施例1と同じ手順と条件で成長した。その結果、基板上に成長したAlNの収率は4.6%であった。結果を表1にまとめた。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例3
図2に示されるように、バリアノズルおよびIII族原料ガスノズルが円形の2重管構造であり、III族原料ガスノズルがバリアノズル中心より下側(下地基板側)に1mm下にずれて設置されたものを使用した。
【0085】
ベース基板表面に近い側の第一バリアガスと該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスは、その面積比に応じてバリアガスの供給量を決定した。バリアガス全体の供給量1500sccmに対し、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)を598sccm、線速度(τ1)を0.73 m/sとし、該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスの流量(V2)を902sccm、線速度(τ2)を0.73 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)は0.66、線速度比(τ1/τ2)は1.0であり、第一バリアガスの供給量が第二バリアガスの供給量より少ない状態とした。
【0086】
上記以外は、実施例1と同じ手順と条件で成長した。その結果、基板上に成長したAlNの収率は6.5%であった。結果を表2にまとめた。
【0087】
実施例4
図2に示されように、バリアノズルおよびIII族原料ガスノズルが円形の2重管構造であり、III族原料ガスノズルがバリアノズル中心より下側(下地基板側)に0.5mm下にずれて設置されたものを使用した。
【0088】
ベース基板表面に近い側の第一バリアガスと該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスは、その面積比に応じてバリアガスの流量を決定した。バリアガス全体の供給量1500sccmに対し、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)を674 sccm、線速度(τ1)は0.73 m/sとし、該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスの供給量(V2)を826 sccm、線速度(τ2)を0.73 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)は0.82、線速度比(τ1/τ2)は1.0であり、第一バリアガスの供給量が第二バリアガスの供給量より少ない状態とした。
【0089】
上記以外は、実施例1と同じ手順と条件で成長した。その結果、基板上に成長したAlNの収率は8.4%であった。結果を表2にまとめた。
【0090】
実施例5
図2に示されるように、バリアノズルおよびIII族原料ガスノズルが円形の2重管構造であり、III族原料ガスノズルがバリアノズル中心より下側(下地基板側)に2.0mm下にずれて設置されたものを使用した。
【0091】
ベース基板表面に近い側の第一バリアガスと該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスは、その面積比に応じてバリアガスの流量を決定した。バリアガス全体の供給量1500sccmに対し、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)を453 sccm、線速度(τ1)を0.73 m/sとし、該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスの供給量(V2)を1047 sccm、線速度(τ2)を0.73 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)は0.43、線速度比(τ1/τ2)は1.0であり、第一バリアガスの供給量が第二バリアガスの供給量より少ない状態とした。
【0092】
上記以外は、実施例1と同じ手順と条件で成長した。その結果、基板上に成長したAlNの収率は6.4%であった。結果を表2にまとめた。
【0093】
比較例2
図5に示されるように、バリアノズルおよびIII族原料ガスノズルが円形の2重管構造であり、III族原料ガスノズルとバリアノズル中心が一致している場合、即ち同心円の2重管構造であるものを使用した。
【0094】
この時、バリアガス全体の供給量1500sccmに対し、ベース基板表面に近い側の第一バリアガスの供給量(V1)を750 sccm、線速度(τ1)を0.73 m/sとし、該ベース基板表面より遠い側の第二バリアガスの供給量(V2)を750sccm、線速度(τ2)を0.73 m/sとした。その結果、第二バリアガスに対する第一バリアガスの供給量比(V1/V2)が1.0、線速度比(τ1/τ2)が1.0と、第一バリアガスと第二バリアガスの供給量および線速度が同じ状態であった。
【0095】
上記以外は、実施例1と同じ手順と条件で成長した。その結果、基板上に成長したAlNの収率は4.6%であった。
【0096】
【表2】