(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パターニングデバイスを支持する前記表面に対して実質的に平行な平面内での前記パターニングデバイスの動きを実質的に防止する第1の拘束デバイスを更に備える、請求項1に記載の支持体。
前記第1の拘束デバイスが、前記平面に対して実質的に平行であって前記第1の方向に対して実質的に垂直である第3の方向の第3の力を前記パターニングデバイスに与え、
前記第2の拘束デバイスが、前記平面に対して実質的に平行であって前記第3の方向とは反対である第4の方向の第4の力を前記パターニングデバイスに与える、請求項5に記載の支持体。
前記パターニングデバイスを前記パターニングデバイス支持体にクランプすることが、前記パターニングデバイス支持体及びプリアライメントシステムの公差内に前記パターニングデバイスを位置決めすることを備える、請求項12に記載の方法。
前記パターニングデバイス支持体の前記表面上に前記パターニングデバイスを位置決めする間に前記パターニングデバイス支持体を発振させることを更に備える、請求項12に記載の方法。
前記パターニングデバイスの前記側縁に当接することによって、前記パターニングデバイスを支持する前記表面に対して実質的に平行な平面内での前記パターニングデバイスの動きを実質的に防止する第1の拘束デバイスを更に備える、請求項18に記載の支持体。
前記第1の拘束デバイスが、前記平面に対して実質的に平行であって前記第1の方向に対して実質的に垂直である第3の方向の第3の力を前記パターニングデバイスに与え、
前記第2の拘束デバイスが、前記平面に対して実質的に平行であって前記第3の方向とは反対である第4の方向の第4の力を前記パターニングデバイスに与える、請求項20に記載の支持体。
前記第1及び第2の拘束デバイスが、ばね作動ピストン、流体作動ピストン、圧電アクチュエータ及びリニアモータの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の支持体。
リソグラフィ装置における、パターニングデバイスを支持する第1の支持体、及び、前記パターニングデバイスによってパターンを与えられた放射ビームが投影される基板を保持する第2の支持体であって、
前記第1の支持体が、
前記第2の支持体に対して前記パターニングデバイスを動かすコンポーネントであって、上平面及び下平面及び側縁を有する前記パターニングデバイスを支持する表面を有する、コンポーネントと、
前記コンポーネント上のクランピング界面であって、1つ以上の開口を有し、前記1つ以上の開口を介して前記パターニングデバイスの前記下平面に負圧をかけて前記パターニングデバイスを前記コンポーネントに結合する、クランピング界面と、
前記コンポーネント上の圧力付与界面であって、前記パターニングデバイスの前記下平面と前記コンポーネントの前記表面との間の摩擦力を低減させるように、前記コンポーネント上への前記パターニングデバイスのクランピングが完了する前に前記クランピング界面の前記1つ以上の開口を介して前記パターニングデバイスの前記下平面のエリアに正流圧を与え、前記コンポーネントの前記表面に作用する前記パターニングデバイスの垂直抗力、及び、前記パターニングデバイスの前記下平面と前記コンポーネントの前記表面との間の接触面積のうち1つを低減させる、圧力付与界面と、
を備え、
前記正流圧の発生が周期的である、支持体。
第2の拘束デバイスを更に備え、前記第2の拘束デバイスが、前記平面に対して実質的に平行であって前記第1の方向とは反対である第2の方向の第2の力を前記パターニングデバイスに与える、請求項28に記載の支持体。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0027] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ実施形態を開示する。開示される実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0021】
[0028] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」、「一例」、「いくつかの実施形態」等に言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0022】
[0029] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0023】
[0030] いくつかの実施形態において、リソグラフィ装置は極端紫外線光(EUV)源を含むことができ、これはEUVリソグラフィのためのEUV放射ビームを発生するように構成されている。一般に、EUV源は放射システム(下記を参照のこと)内で構成され、対応する照明システムが、EUV源のEUV放射ビームを調節するように構成されている。
【0024】
[0031] 以下に記載する実施形態において、「レンズ」及び「レンズ要素」という用語は、文脈によって許される場合、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電気型の光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを指すことができる。
【0025】
[0032] また、以下に記載する実施形態において、「ロングストローク」、「ショートストローク」、及び「超ショートストローク」という用語は、各ストロークの距離間の相対的な差を示すために用いられる。
【0026】
[0033] 更に、本明細書において用いる「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、又は126nmの波長を有する)、極端紫外線(EUV又は軟X線)放射(例えば13.5nmのような5〜20nmの範囲内の波長を有する)、又は5nm未満で動作する硬X線、及びイオンビーム又は電子ビーム等の粒子ビームを含むあらゆるタイプの電磁放射を包含する。一般に、約780〜3000nm(又はそれ以上)の波長を有する放射はIR放射と見なされる。UVとは、約100〜400nmの波長を有する放射を指す。リソグラフィ内では、通常、水銀放電ランプによって生成可能な波長、すなわちG線436nm、H線405nm、又はI線365nmにも適用される。真空UV、又はVUV(すなわち空気により吸収されるUV)とは、約100〜200nmの波長を有する放射を指す。深紫外線(DUV)とは、一般に126nmから428nmまでの範囲の波長を有する放射を指し、一実施形態においては、エキシマレーザが、リソグラフィ装置内で用いられるDUV放射を発生させることができる。例えば5〜20nmの範囲の波長を有する放射は、少なくとも一部が5〜20nmの範囲内に収まる一定の波長帯域を有する放射に関連することは認められよう。
【0027】
[0034] しかしながら、そのような実施形態を更に詳しく説明する前に、本発明の実施形態を実施可能である例示的な環境を提示することは有益である。
【0028】
[0035]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばDUV又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、又はダイナミックパターニングデバイス)MAを支持するように構成されると共に支持構造MT及びパターニングデバイスMAを正確に位置決め又は操作するように構成された第1の位置決めシステムPMに接続されたパターニングデバイス支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成されると共に基板テーブルWT及び基板Wを正確に位置決めするように構成された第2の位置決めシステムPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、を含む。また、リソグラフィ装置LAは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分(例えば1つ以上のダイから成る)C上に投影するように構成された投影システムPSも有することができる。リソグラフィ装置LAにおいて、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。
【0029】
[0036] 照明システムILは、放射Bの誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せ等の種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0030】
[0037] 支持構造MTは、パターニングデバイスMAの配向、リソグラフィ装置LAの設計及び、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0031】
[0038] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームBに与えられるパターンは、集積回路等のターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。パターニングデバイスMAは、(リソグラフィ装置LAにおけるような)透過型、又は反射型(図示せず)とすればよい。パターニングデバイスMAの例には、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、例えばバイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームBにパターンを与える。
【0032】
[0039] 「投影システム」PSという用語は、用いる露光放射に合わせて、又は例えば液浸液の使用もしくは真空の使用等の他の要因に合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び静電気光学システム、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを包含することができる。EUV又は電子ビーム放射のために真空環境を用い得る理由は、他のガスでは放射又はビームを多量に吸収し過ぎる可能性があるからである。従って、真空壁及び真空ポンプを利用することにより、ビーム経路全体に真空環境を提供することができる。
【0033】
[0040] リソグラフィ装置LAは、2つ(デュアルステージ)もしくはそれ以上の基板テーブルWT、又は2つ以上の支持構造MTを有するタイプとしてもよい。そのような「マルチステージ」機械では、追加の基板テーブルWT又は支持構造MTを並列に用いることができ、又は、1つ以上の基板テーブルWT又は支持構造MTを露光に使用している間に、1つ以上の他のテーブルに準備ステップを実行することができる。
【0034】
[0041] イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置LAの一部を形成すると見なされず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラー又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムBDを利用することで、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合、放射源SOがリソグラフィ装置LAの一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0035】
[0042] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えることができる。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCO等の他の種々のコンポーネントを備えることができる。イルミネータILを用いて放射ビームBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0036】
[0043] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル又はウェーハステージ)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の力アクチュエータ(例えば、サーボメカニズム又は他のいずれかの適切な力アクチュエータ)及び1つ位以上の位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、容量センサ、又は他のいずれかの適切な位置検知デバイス)を含むことができる第2の位置決めデバイスPWを利用することで、基板テーブルWT及び基板Wは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、いくつかの実施形態では、1つ以上の力アクチュエータ(例えば、サーボメカニズム又は他のいずれかの適切な力アクチュエータ)及び1つ以上の位置センサ(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、容量センサ、又は他のいずれかの適切な位置検知デバイス。これらは
図1には示していない)を含むことができる第1の位置決めシステムPMを用いて、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対して支持構造MT及びパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。
【0037】
[0044] 一般に、支持構造MTの移動は、第1の位置決めシステムPMの部分を形成するロングストロークコンポーネント(粗動位置決め)及びショートストロークコンポーネント(微動位置決め)を利用することで実現可能である。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2の位置決めシステムPWの部分を形成するロングストロークコンポーネント及びショートストロークコンポーネントを用いて実現可能である。(スキャナに対して)ステッパの場合は、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定することができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0038】
[0045] リソグラフィ装置LAは、以下のモードの少なくとも1つにおいて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル又はウェーハステージ)MT及び基板テーブルWTは基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに与えられたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向又はY方向に移動される。
2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大率(縮小率)及び像反転特性によって求めることができる。
3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。パルス状放射源SOを使用することができ、基板テーブルWTを移動させるたびに又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイ等のプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0039】
[0046] 上述した使用モードの組み合せもしくは変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0040】
[0047]
図2は、一実施形態による、例えばパターニングデバイス支持体又は基板支持体のような物体支持体200と、例えばパターニングデバイス又は基板のような物体202と連結された物体搬送デバイス(
図2には示していない)の把持デバイス210と、の斜視図を示す。
図3は、物体202が物体支持体200上に位置決めされた物体支持体200の斜視図を示す。いくつかの実施形態では、物体202は、例えばマスクもしくはレチクルのようなリソグラフィ装置で用いられるパターニングデバイス、又はリソグラフィ装置と共に用いられる基板(例えばウェーハ)とすることができる。いくつかの実施形態では、物体支持体200は、パターニングデバイス支持体、マスクテーブル、もしくはレチクルステージとすることができ、又は、例えばウェーハテーブルのような基板支持体とすることができる。
【0041】
[0048] パターニングデバイス支持体200は、パターニングデバイス202を動かすように、例えば平面に沿って又は平面外に並進させるように構成された可動コンポーネント204を含むことができる。例えば
図2及び
図3に示すように、パターニングデバイス202は、x軸及びy軸により画定される平面(X−Y平面)に沿って並進することができる。可動コンポーネント204は、パターニングデバイス202が並進する平面に実質的に平行な平面に沿って第2のコンポーネント(図示せず)に対して可動とすることができる。いくつかの実施形態では、第2のコンポーネントは、例えばフレーム又はバランスマス(図示せず)のような基準に対して可動である。
【0042】
[0049] いくつかの実施形態では、可動コンポーネント204はショートストロークコンポーネントであり、第2のコンポーネント(図示せず)はロングストロークコンポーネントである。ロングストロークアクチュエータ(図示せず)が、基準に対して第2の可動コンポーネントを動かす。1つ以上のショートストロークアクチュエータ(図示せず)が、第2の可動コンポーネントに対して可動コンポーネント204を動かすことができる。典型的に、ショートストロークアクチュエータは、比較的高い精度で、第2の可動コンポーネントに対して可動コンポーネント204を位置決めする。ショートストロークアクチュエータは、作動範囲が限定されている。典型的に、ロングストロークアクチュエータは、例えばパターニングデバイス支持体200の全作業空間のような大きい作業範囲を有する。ロングストロークアクチュエータは、比較的低い精度で第2の可動コンポーネントを位置決めする。動作において、ロングストロークアクチュエータ及び第2の可動コンポーネントは、パターニングデバイス202の所望の位置を含むショートストロークアクチュエータの作動範囲内のある位置まで、パターニングデバイス202を動かす。次いでショートストロークアクチュエータ及び可動コンポーネント204は、パターニングデバイス202を所望の位置まで動かす。
【0043】
[0050] 第1の可動コンポーネント204及び第2の可動コンポーネントは、いずれかの適切な形状を有することができる。
【0044】
[0051] いくつかの実施形態において、パターニングデバイス支持体200は、パターニングデバイス202を選択的にかつ堅固に可動コンポーネント204に結合するように構成された1つ以上のクランピング界面を含むことができる。例えば
図2及び
図3に示すように、パターニングデバイス支持体200は、第1のクランピング界面206a及び第2のクランピング界面206bを含むことができる。各クランピング界面206a及び206bは、パターニングデバイス202と選択的にかつ充分に連結することでパターニングデバイス202が可動コンポーネント204に対して動くことを防止するように構成することができる。
【0045】
[0052] いくつかの実施形態では、例えばクランピング界面206a及び206bのような各クランピング界面は、例えば各クランピング界面において負の圧力を生成可能ないずれかの適切なデバイス等の真空発生器と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、クランピング界面206a及び206bは、例えばパターニングデバイス202を可動コンポーネント204に堅固に結合する漏れ真空シールを生成する膜とすることができる。このような膜の実施形態では、クランピング界面206a及び206bは各々、流体を流して真空力を生成することを可能とする1つ以上の開口314a及び314bを画定することができる。真空力は、パターニングデバイス202をクランピング界面206a及び206bに引き寄せ、パターニングデバイス202を可動コンポーネント204に結合する。真空力は、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間に摩擦を発生させる。この摩擦は、把持デバイス210がパターニングデバイス202を解放した後にパターニングデバイス202の内部応力が部分的に又は完全に除去されるのを阻止し得る。
【0046】
[0053] いくつかの真空の実施形態において、リソグラフィ装置は、パターニングデバイス202をクランピング界面206a及び206bに引き寄せる真空力の大きさを選択的にほぼ大気圧に低減するか又はほぼ大気圧に等しく設定するように構成されることで、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の垂直抗力(normal force)(従ってパターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の摩擦)を低下させる、いくつかの実施形態では著しく低下させるようになっている。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の摩擦が低減すると、重力のためにパターニングデバイス202がクランピング界面206a及び206bと接触したままであっても、パターニングデバイス202の内部応力を少なくとも部分的に解放することができる。いくつかの実施形態では、クランピング界面206a及び206bは、クランピング界面206a及び206bの一方が発生する真空力が選択的にほぼ大気圧に低減されるか又はほぼ大気圧に等しく設定される一方で、他方のクランピング界面206a又は206bが発生する真空力は大気圧よりも大きく維持されるように構成されている。
【0047】
[0054] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス支持体200は、例えばパターニングデバイス202の下部平面等のパターニングデバイス202の表面に正流圧エリアを選択的に与えるように構成された1つ以上の正圧付与界面を含むことができる。いくつかの実施形態では、正圧は、パターニングデバイス202と、パターニングデバイス202を支持する可動コンポーネント204の表面との間に与えられる。いくつかの実施形態では、正流圧付与界面は、パターニングデバイス202の局分的な部分に、又は、いくつかの実施形態ではパターニングデバイス202の表面全体に、正流圧エリアを与えるように構成されている。いくつかの実施形態では、各正圧付与界面は、例えば各正圧付与界面において正の圧力を生成可能であるいずれかの適切なデバイス等の圧力差発生器と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の正圧付与界面は、1つ以上のクランピング界面206a及び206bを構成するものと同じ圧力膜を含む。例えば、膜206a及び206bによって画定された開口を通る流体流を反転させて、下向きの真空力でなく、パターニングデバイス202の下に正の過圧を生成することができる。
【0048】
[0055] いくつかの実施形態では、正圧付与界面は、クランピング界面206a及び206bとは別個のコンポーネントである。例えば
図3で最もよく見えるように、パターニングデバイス支持体200は、第1の圧力付与界面315a及び第2の圧力付与界面315bを含むことができ、これらはいくつかの実施形態では別個に又は一緒に正圧エリアを形成することができる。いくつかの実施形態では、圧力付与界面315a及び315bの各々は、例えば、流体流によって正圧エリアを生成することを可能とする開口316a及び316bをそれぞれ画定する膜を含むことができる。
【0049】
[0056] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202と向き合うクランピング界面206a及び206bの側面に正流圧エリアを与えることができる。いくつかの実施形態では、正流圧の大きさは大気圧より大きい。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202がクランピング界面206a及び206bの近傍に位置決めされている場合、正圧エリアは、クランピング界面206a及び206bの表面からある距離にパターニングデバイス202の少なくとも一部を浮かせる。いくつかの実施形態では、正圧エリアは自己平衡化圧力(self-equilibrating pressure)であり、パターニングデバイス202の表面に対して、クランピング界面206a及び206bから離れる方向に正味の力(net force)を発生させて、パターニングデバイス202全体がクランピング界面206a及び206bからある距離に浮くようにする。すなわち、正圧エリアは空気軸受を生成する。パターニングデバイス202全体が浮いているこれらの実施形態では、空気軸受のため、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間に摩擦は全く存在しないか又は実質的に存在せず、これによってパターニングデバイス202の内部圧力を部分的に又は完全に解放することができる。
【0050】
[0057] いくつかの実施形態では、正圧エリアは、パターニングデバイス202の表面に対して、クランピング界面206a及び206bから離れる方向に、パターニングデバイス202の重量より小さい正味の力を発生する。そのような実施形態では、パターニングデバイス202の一部又は全体がクランピング界面206a及び206bの表面との接触を維持し得るが、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の垂直抗力を低減させることができ、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の接触面積を縮小させることができる。垂直抗力の低減又は接触面積の縮小は、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の摩擦を軽減させるので、パターニングデバイス202の内部応力を部分的に又は完全に解放することができる。
【0051】
[0058] いくつかの実施形態では、正圧エリアは非対称的な力の分布を発生させる。すなわち、パターニングデバイス202のある部分には、パターニングデバイス202の別の部分よりも大きい力が加わる。この非対称的な力の分布によってパターニングデバイス202は、例えばx軸又はy軸を中心として回転する。この回転によって、パターニングデバイス202の一部はクランピング界面206a又はクランピング界面206bとの接触を維持するが、パターニングデバイス202の別の浮いた部分はクランピング界面206a又は206bからある距離に離れる。パターニングデバイス202の少なくとも一部とクランピング界面206a又は206bとの間の接触を維持することで、パターニングデバイス202の可動コンポーネント204に対する動きが抑制されるので、パターニングデバイス202が既知の位置にあることを保証するのに有効である。例えば、クランピング界面206a及び206bが正圧発生界面としても機能するいくつかの実施形態では、界面206aが与えることができる正圧エリアの大きさは様々であり、例えば拘束デバイス208aから拘束デバイス308cにかけて増大する。また、界面206bが与えることができる正圧エリアの大きさは、拘束デバイス308dから拘束デバイス208bにかけて増大する。
【0052】
[0059] 正圧エリアを与える時間は様々であり得る。いくつかの実施形態では、正圧エリアは、例えば露光プロセス全体を通して等、長時間にわたって与えることができる。いくつかの実施形態では、正圧エリアは短時間与えられる。例えば短時間は、約0.1秒から約1.0秒までの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、短時間は約0.2秒とすればよい。いくつかの実施形態では、短時間の正圧発生によって、可動コンポーネント204に対するパターニングデバイス202の動きが抑制されるので、パターニングデバイス202が既知の位置にあることを保証するのに有効である。いくつかの実施形態では、正圧エリアを与える時間は約1.0秒より長い。
【0053】
[0060] 正圧の発生は周期的とすることができる。例えば正圧は、例えば約0.2秒のような第1の時間与え、例えば約0.5秒のような第2の時間停止し、例えば約0.2秒のような第3の時間、再び与えることができる。この周期的シーケンスを1回以上繰り返すことができ、各シーケンスで時間を変えることも可能である。
【0054】
[0061] 可動コンポーネント204は、パターニングデバイス202に結合されると、例えば揺動等の発振を起こすように構成することができる。この発振によって、パターニングデバイス202は、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の静止摩擦を克服することで、クランピング界面206a及び206bに対して摺動することができる。次いで、この摺動により、パターニングデバイス202の内部応力を部分的に又は完全に除去することができる。いくつかの実施形態では、正圧エリアを与えている間に可動コンポーネント204が発振する。発振方向は任意の自由度とすることができる。例えば発振は、x軸、y軸、もしくはz軸に沿った並進、x軸、y軸、もしくはx軸を中心とした回転、又はこれらの並進及び回転のいずれかの組み合わせとすればよい。いくつかの実施形態では、発振周波数はノイズ性(noisy)、すなわち広い周波数スペクトルとすることができる。いくつかの実施形態では、発振周波数は1つ以上の個別の周波数とすることができる。例えば、発振周波数を調整して、可動コンポーネント204又はパターニングデバイス202に特定的な固有モードを励起し、接触面の励起を最大化することも可能である。
【0055】
[0062] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス支持体200は、クランピング界面206a及び206b又はパターニングデバイス202のどちらかに接触する、音響振動を選択的に与えるように構成された1つ以上の音波発生界面(図示せず)を含むことができる。音響振動によってパターニングデバイス202は、パターニングデバイス202とクランピング界面206a及び206bとの間の静止摩擦を克服することで、クランピング界面206a及び206bに対して摺動する。次いで、この摺動により、パターニングデバイス202の内部応力を部分的に又は完全に除去することができる。いくつかの実施形態では、正圧エリアを与えている間、又は可動コンポーネント204が発振している間に、音響振動を与える。いくつかの実施形態では、音波発生界面はクランピング界面206a及び206bに埋め込まれている。いくつかの実施形態では、クランピング界面206a及び206bが音波発生界面としても機能する。そのような実施形態では、クランピング界面206a及び206bに流体連通している真空ラインに音波発生器を結合することができる。いくつかの実施形態では、音響振動周波数はノイズ性、すなわち広い周波数スペクトルとすることができる。いくつかの実施形態では、音響振動周波数は1つ以上の個別の周波数とすることができる。例えば、音響振動周波数を調整して、可動コンポーネント204又はパターニングデバイス202に特定的な固有モードを励起し、接触面の励起を最大化することも可能である。
【0056】
[0063] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス支持体200は、パターニングデバイス202を拘束するように構成された1つ以上の拘束デバイスも含むことができ、これによって、パターニングデバイス202がクランピング界面206a及び206bからある距離に浮いている間、パターニングデバイス202が並進する平面内での動きを実質的に防ぐようになっている。いくつかの実施形態では、
図2及び
図3に示すように、パターニングデバイス支持体200は、4つの拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dを含むことができる。いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dは、パターニングデバイス202のコーナーに位置決めされる。いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dは、X−Y平面内のパターニングデバイス202の動き、すなわちx軸及びy軸に沿った並進、並びにz軸を中心とした回転を実質的に防止することができる。いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dは、パターニングデバイス202に1つ以上の力を加えてX−Y平面内のパターニングデバイス202の動きを拘束する力発生デバイスとすればよい。いくつかの実施形態では、例えば正圧エリアを与えている間、可動コンポーネント204が発振している間、又は音響振動が与えられている間に、この面内拘束によってパターニングデバイス支持体200に対するパターニングデバイス202の動きを防ぐことで、パターニングデバイス202が既知の位置にあることを保証するのに有効である。
【0057】
[0064] いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dは、ばねから成る。いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dは気体軸受から成る。
【0058】
[0065] いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dは各々、1つ以上の流体作動ピストンから成る。
図5は、一実施形態による拘束デバイス308cの拡大平面図を示す。
図5に示すように、拘束デバイス308cは、流体ライン422に動作的に結合された第1の流体作動ピストン418を含む。流体ライン422内の流体圧力が変化すると、第1の流体作動ピストン418は、パターニングデバイス202に接触して第1の力を加えるか、又はパターニングデバイス202から離れる方向に動いてこれとの接触から解放されて第1の力を与えることを止める。また、拘束デバイス308cは、第2の流体ライン424に動作的に結合された第2の流体作動ピストン420も含むことができる。流体ライン424内の流体圧力が変化すると、第2の流体作動ピストン420は、パターニングデバイス202の方へ動いてこれに接触して第2の力を加えるか、又はパターニングデバイス202から離れる方向に動いてこれとの接触から解放されて第2の力を与えることを止める。いくつかの実施形態では、ピストン418及び420がパターニングデバイス202と接触していない場合、ピストン418及び420はパターニングデバイスの緩衝器として機能することができる。
【0059】
[0066] いくつかの実施形態では、ピストン418及び420がそれぞれ発生した第1の力及び第2の力の方向は、パターニングデバイス202が並進する平面(例えばX−Y平面)と実質的に平行である。いくつかの実施形態では、第1のピストン418が発生する第1の力の方向は、第2のピストン420が発生する第2の力の方向と実質的に垂直である。
【0060】
[0067] いくつかの実施形態では、力発生デバイス308cは、ピストン418及び420をパターニングデバイス202に近付く方向又はパターニングデバイス202から離れる方向のどちらかに付勢するための、ピストン418及び420にそれぞれ動作的に結合されたばね419及び421を含むことができる。
【0061】
[0068] いくつかの実施形態では、拘束デバイス208a、208b、及び308dは、上述の実施形態に従って同様に構築することができる。
【0062】
[0069] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス支持体200は、例えば拘束デバイス208aのような第1の拘束デバイスを備え、これは、例えばy軸に実質的に平行な方向等の第1の方向の第1の力をパターニングデバイス202に加える。また、パターニングデバイス支持体200は、例えば拘束デバイス308cのような第2の拘束デバイスも含むことができ、これは、y軸に実質的に平行であって第1の方向とは反対である第2の方向の第2の力をパターニングデバイス202に加える。このような実施形態では、この力を加えることで、パターニングデバイス202をy軸に沿って拘束する。同様の構成を用いて、パターニングデバイス202をx軸に沿って拘束することができる。
【0063】
[0070] いくつかの実施形態では、1つ以上の拘束デバイスがパターニングデバイス202に1つ以上の力を加えることで、可動コンポーネント204に対するパターニングデバイス202の位置が、可動コンポーネント204、例えばチャック、及びプリアライメントシステムの公差内にあるようにする。いくつかの実施形態では、拘束デバイスがパターニングデバイス202に与える1つ以上の力の大きさは、パターニングデバイス202の耐用年数を通じてその損傷が最小限で済むか又は防止されるようなものである。
【0064】
[0071] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202は、パターニングデバイス搬送装置(
図2には示していない)の把持デバイス210からパターニングデバイス支持体200に移送又は交換される際に、パターニングデバイス202を実際に使用するため可動コンポーネント204に堅固に固定する前にパターニングデバイス202の残留応力又は変形が軽減又は解消されるようになっている。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス搬送装置は、
図4に概略的に示すようなタレット型の搬送装置430である。デバイス搬送装置430は、例えばパターニングデバイス搬送ロボットのような保管位置432から、例えばパターニングデバイス支持体200のクランピング界面に近接した位置等のパターニングデバイス支持体200まで、パターニングデバイスを移動させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス搬送装置430は、回転可能タレット434と、このタレット434に取り付けられた少なくとも2つの把持デバイス210a及び210bと、を備えている。パターニングデバイス搬送装置430は、把持デバイス210aがパターニングデバイス202aをパターニングデバイス支持体200のクランピング界面の近傍に位置決めする時、第2の把持デバイス210bが第2のパターニングデバイス202bを保管位置432から取り出しているように構成することができる。次いで、把持デバイス210bがパターニングデバイス202bをパターニングデバイス支持体200のクランピング界面に近接して位置決めするように、タレット434は回転することができる(
図4には示していない)。この構成はデバイスのスループットを向上させることができる。
【0065】
[0072] パターニングデバイス搬送装置がパターニングデバイス202をパターニングデバイス支持体200の近くに動かす時、把持デバイス210はパターニングデバイス202を搬送装置に結合している。パターニングデバイス支持体200の圧力付与界面315は、パターニングデバイス支持体200のクランピング界面206a及び206bとパターニングデバイス202との間に正流圧エリアを生成して、パターニングデバイス202がクランピング界面206a及び206bの表面からある距離に浮くようにする。正圧を発生した後、パターニングデバイス202を把持デバイス210から結合解除することができる。例えば、把持デバイス210の真空ユニット212によって発生した真空を完全に解放してパターニングデバイス202を結合解除することができ、把持デバイス210はパターニングデバイス202から離れて移動することができる。
【0066】
[0073] いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202を把持デバイス210から結合解除した後、パターニングデバイス202を把持デバイス210からパターニングデバイス支持体200に移送している間はパターニングデバイス202の平面(例えばX−Y平面)内の動きを実質的に防止するように、パターニングデバイス202は拘束される。いくつかの実施形態では、この面内拘束を行うのは、パターニングデバイス202が例えばクランピング界面206a及び206b等のクランピング界面の表面からある距離に浮いている間である。いくつかの実施形態では、この面内拘束は、例えば
図2から
図4を参照して上述したような拘束デバイス208a、208b、308c、及び308dのような1つ以上の拘束デバイスを用いて行う。いくつかの実施形態では、他の適切な拘束デバイスが用いられる。
【0067】
[0074] 次いで、パターニングデバイス202を選択的にかつ堅固にパターニングデバイス支持体200に結合することができる。例えば、パターニングデバイス202をパターニングデバイス支持体200の可動コンポーネント204に結合する真空を発生させることで、クランピング界面206a及び206bを活性化し、可動コンポーネント204に対するパターニングデバイス202の動きを実質的に防止することができる。パターニングデバイス202が把持デバイス210及びパターニングデバイス支持体200の双方から結合解除され、クランピング界面(複数のクランピング界面)の表面からある距離に浮いている時間期間中、パターニングデバイス202における残留応力及び変形を部分的に又は完全に解放することができる。
【0068】
[0075] いくつかの実施形態では、パターニングデバイスにおけるいかなる残留応力も変形も軽減又は解消されるように、パターニングデバイスは把持デバイスからパターニングデバイス支持体に移送又は交換される。
図7は、一実施形態による、パターニングデバイス202をパターニングデバイス支持体200上に装填する方法を概略的に示す。ステップ736において、把持デバイス210はパターニングデバイス202に結合し、パターニングデバイス202をパターニングデバイス支持体200上に、例えばクランピング界面206a及び206bに近接して位置決めする。ステップ738において、パターニングデバイス支持体200はパターニングデバイス202を堅固に結合させる。例えば、クランピング界面206a及び206bが真空力を発生して、パターニングデバイス202がパターニングデバイス支持体200に対して動くことを実質的に防止することができる。ステップ740において、把持デバイス210はパターニングデバイス202を解放して、パターニングデバイス支持体200から離れる方向に移動する。ステップ742において、パターニングデバイス支持体200は少なくとも部分的に、又はいくつかの実施形態では完全に、パターニングデバイス202を解放する。例えば、クランピング界面206a及び206bにより与えられる真空力を部分的に軽減するか、又はいくつかの実施形態では完全に排除することができる。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス202とパターニングデバイス支持体200との間の垂直抗力が低減し、これが摩擦を軽減するので、ステップ742においてパターニングデバイス202の内部応力を解放することができる。
【0069】
[0076] ステップ744において、パターニングデバイス支持体200は少なくとも1つの応力緩和プロセスを実行する。いくつかの実施形態では、ステップ744において、上述したように、クランピング界面206a及び206bとパターニングデバイス202との間に正圧を加えることができる。いくつかの実施形態では、ステップ744において、上述したように可動コンポーネント204が発振する。いくつかの実施形態では、ステップ744において、上述したように音響振動が与えられる。いくつかの実施形態では、パターニングデバイス支持体200は少なくとも部分的に、又はいくつかの実施形態では完全に、パターニングデバイス202内の内部応力を解放する。いくつかの実施形態では、応力緩和プロセスの2つ以上を順次又は同時に実行することができる。例えばいくつかの実施形態では、可動コンポーネント204が発振している間に正圧を加えることができる。あるいは、例えば
図6は、パターニングデバイス支持体500の、例えば
図6に示すクランピング界面506a及び506b等のクランピング界面(複数のクランピング界面)に位置決めされたパターニングデバイス502の斜視図を示す。これは、パターニングデバイス搬送装置(図示せず)の把持デバイスからパターニングデバイス502を結合解除して、パターニングデバイス502をクランピング界面(複数のクランピング界面)に位置決めした後の状態である。可動コンポーネント204が発振することで、パターニングデバイス502を発振又は振動させることができる。例えば、パターニングデバイス支持体500の可動コンポーネント(図示せず)は、矢印526で示す方向に発振することができる。いくつかの実施形態では、可動コンポーネントは、パターニングデバイス502が並進する平面に対して実質的に平行な方向に発振する。いくつかの実施形態では、可動コンポーネントは、パターニングデバイス502が並進する平面から外れた方向に発振する。この発振は、パターニングデバイス搬送装置の把持デバイス(図示せず)に結合されていることで発生したパターニングデバイス502の残留応力又は歪みを軽減又は解消することができる。いくつかの実施形態では、発振は、パターニングデバイス502の重量による、パターニングデバイス502とパターニングデバイス支持体500、例えばクランピング界面506a及び506bとの間の摩擦を克服し、これが残留応力又は歪みの解放を可能とする。いくつかの実施形態では、可動コンポーネント(図示せず)は、パターニングデバイス502がパターニングデバイス支持体500と堅固に連結されていない時に発振する。例えば、クランピング界面506a及び506bが真空パッドを含むいくつかの実施形態では、クランピング界面506aの真空パッドもクランピング界面506bの真空パッドも、発振中は活性化されない。いくつかの実施形態では、可動コンポーネントは、パターニングデバイス502が部分的に支持体500と連結されている時に発振する。例えば、クランピング界面506a及び506bが真空パッドを備えるいくつかの実施形態では、クランピング界面506a又は506bの真空パッドの1つは発振中に活性化される。可動コンポーネントの発振の周波数、振幅、及び持続時間は様々に変動し得る。
【0070】
[0077] ステップ746において、パターニングデバイス支持体200はパターニングデバイス202に再び結合する。例えばクランピング界面206a及び206bをパターニングデバイス202と連結して、可動コンポーネント204に対するパターニングデバイス202の動きを防止することができる。ステップ746の後に、デバイス製造ステップを実行することができる。
【0071】
[0078] いくつかの実施形態では、ステップ736、738、740、742、744、及び746の1つ以上を実行することで、パターニングデバイス202における残留応力又は変形を緩和する。パターニングデバイス202におけるこれらの残留応力の軽減又は少なくとも部分的な軽減によって、装填間、レチクル間、把持装置間、及び機械間のパターニングデバイスの歪みの再現性を改善することができる。例えば
図8Aから
図8Dは、(1)応力緩和プロセスを実行しなかった装填方法、(2)正の空気圧を約0.5秒間与え、可動コンポーネント204がy軸を中心として発振した装填方法、(3)正の空気圧を約0.5秒間与えた装填方法、(4)正の空気圧を約0.2秒間与えた装填方法に従った、2つの把持デバイスにおけるオーバーレイオフセットの平均的な差を示す。
図8Aから
図8Dに示すように、オーバーレイオフセットの平均的な差は、
図8Aに比べ、
図8Bから
図8Dにおいて小さくなっており、より良い再現性を示している。特に、オーバーレイオフセットの平均的な差が最小であったのは、正の空気圧を約0.2秒与えた場合であった。
【0072】
[0079] ステップ736、738、740、742、744、及び746のシーケンスは、用途に応じて変動する。いくつかの実施形態では、ステップ736、738、740、742、744、及び746は、
図7に示すように順次行われる。いくつかの実施形態では、ステップ736、738、740、742、744、及び746の1つ以上は同時に行われる。例えばいくつかの実施形態では、ステップ744すなわち応力緩和は、ステップ736すなわち把持デバイス210がパターニングデバイス支持体200の方へ移動することのと同時に行われるか、又はステップ740すなわち把持デバイス210がパターニングデバイス支持体200から離れる方向に移動することと同時に行われる。いくつかの実施形態では、応力緩和ステップ744は、ステップ740すなわち把持デバイス210がパターニングデバイス202を解放することよりも前に行われる。いくつかの実施形態では、ステップ736、738、740、742、744、及び746の1つ以上を省略することも可能である。例えばいくつかの実施形態では、パターニングデバイス支持体200がステップ744において少なくとも1つの応力緩和プロセスを実行する前に、ステッ738及び742、すなわちパターニングデバイス支持体200がパターニングデバイス202を堅固に結合させること、次いで少なくとも部分的にパターニングデバイス202を解放することは、省略することができる。
【0073】
[0080] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0074】
[0081] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0075】
[0082] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0076】
[0083] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
【0077】
[0084] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。