特許第6055606号(P6055606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6055606砒素吸着剤およびこれを用いた砒素の固定化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055606
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】砒素吸着剤およびこれを用いた砒素の固定化方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/06 20060101AFI20161219BHJP
   C22B 30/04 20060101ALI20161219BHJP
   C22B 3/24 20060101ALI20161219BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B01J20/06 A
   C22B30/04
   C22B3/24
   B01J20/30
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-67382(P2012-67382)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-198839(P2013-198839A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(74)【代理人】
【識別番号】100083910
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 正緒
(72)【発明者】
【氏名】廣吉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真由美
(72)【発明者】
【氏名】河合 崇泰
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀征
(72)【発明者】
【氏名】澤田 満
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−058955(JP,A)
【文献】 特開2005−022937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/06
B01J 20/30
C22B 3/24
C22B 30/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe(II)およびFe(III)を含む溶液にCu(II)を含む溶液を添加してpH3〜4、温度60〜70℃で反応することにより得られることを特徴とする砒素吸着剤の製造方法であって、前記Fe(II)のモル濃度が全Feモル濃度の2/3以下であり且つ前記添加後のCu(II)のモル濃度がFe(II)のモル濃度の1/10以上であることを特徴とする砒素吸着材の製造方法
【請求項2】
前記Fe(II)およびFe(III)を含む溶液がリーチング・SX工程から得られる溶液であることを特徴とする、請求項1記載の砒素吸着剤の製造方法
【請求項3】
Fe(II)およびFe(III)を含む溶液にCu(II)を含む溶液を添加してpH3〜4、温度60〜70℃で反応し、これにより得られる沈殿物に砒素を含有する溶液を接触させて該溶液中の砒素を鉄砒素化合物として固定化する砒素の固定化方法であって、前記Fe(II)のモル濃度が全Feモル濃度の2/3以下であり且つ前記添加後のCu(II)のモル濃度がFe(II)のモル濃度の1/10以上であることを特徴とする砒素の固定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅ヒープリーチングやバクテリアリーチングの浸出液から合成した砒素等の有害物の吸着剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅精錬の分野では、銅を含有する銅鉱石や銅精鉱などの処理対象物(以降、含銅物と称する)から銅を回収する様々な方法が実施されている。例えば、含銅物の一形態である硫化銅鉱石中から銅を回収する一般的な方法に、以下の各工程からなる乾式処理方法がある。
【0003】
(1)選鉱工程
選鉱工程では、鉱山で採掘された銅鉱石を粉砕した後、水を加えてスラリーとし、浮遊選鉱を行う。この浮遊選鉱では、スラリーに抑制剤、起泡剤、捕収剤などで構成される浮選剤を添加すると共に空気を吹き込むことによって、銅を含む鉱物を浮遊させつつ脈石を沈降させて分離を行う。これにより銅品位30%前後の銅精鉱が得られる。得られた銅精鉱は次工程の乾式製錬工程に送られる。
【0004】
(2)乾式製錬工程
乾式製錬工程では、上記選鉱工程で得られた銅精鉱を自溶炉などの炉を用いて熔解し、転炉および精製炉を経て銅品位99%程度の粗銅にまで精製する。得られた粗銅は、次工程の電解工程に送られる前にアノードに鋳造される。この乾式製錬工程では、銅精鉱に含まれる砒素は、スラグやダストや粗銅に分配される。スラグは水砕して埋立て材などに利用され、ダストは炉に繰り返される。また、銅精鉱に含まれる硫黄は、亜硫酸ガスとして分離され、硫酸の原料となる。
【0005】
(3)電解工程
電解工程では、硫酸酸性溶液(電解液)で満たされた電解槽に上記アノードを装入し、カソードとの間に通電して電解精製を行う。この電解精製によって、アノードの銅は溶解された後、カソード上に純度99.99%の電気銅として析出し、製品となる。この時、アノードに分配されていた砒素は電解液中に溶出する。溶出した砒素は、脱銅電解によって脱銅スライムとして回収される。この脱銅スライムは、中間原料とされたり、炉に繰り返されたりする。
【0006】
上述の乾式製錬工程において、スラグに分配された砒素は安定した形態で固定される。しかしダストや脱銅スライムに分配された砒素は不安定な形態であり、そのままの状態で系外に払い出して処分することは望ましくない。そこで、これらのダストや脱銅スライムは、炉に繰り返されたり、別途処理されたりする。こうして銅精鉱中の大部分の砒素分は最終的にスラグに分配され、安定した形態で固定化される。
【0007】
また、銅鉱石から銅を回収する他の方法に、銅を硫酸などにより浸出し、浸出された銅を溶媒抽出によって濃縮した液を用いて、電解採取によって銅カソードとして回収する湿式処理方法がある。この湿式処理法は、一般にヒープリーチング・SX−EW法と呼ばれており、銅鉱石に含まれる銅が酸化物又は炭酸塩の形態であるときには、含有される銅の40〜90%を容易に浸出することができる。すなわち、この方法は、単純な酸浸出で銅を高収率で回収することができる。
【0008】
更に、銅鉱石中の銅鉱物が輝銅鉱(CuS)、斑銅鉱(CuFeS)等の二次硫化鉱物であるときには、バクテリアリーチング法を用いて銅を回収することができる。この方法は、鉄酸化バクテリア等の微生物が共存する条件下で酸化剤として硫酸鉄を含む浸出液を用いることによって、銅を効率的に浸出するものである。
【0009】
上記したように、含銅物からの銅の回収方法には様々な方法があり、いずれも経済的に効率よく銅を回収することができるため、北米又は南米の大規模銅鉱山で広く採用されている。
【0010】
ところで、近年では原料事情が変化し、銅鉱石中の不純物、特に砒素の品位が年々増加する傾向にあり、得られる銅精鉱中の砒素品位も徐々に高くなってきている。具体的に例示すると、以前の銅精鉱中の砒素品位は0.1〜0.2%程度であったが、近年では砒素品位が1%を超える場合も珍しくない。したがって、銅精鉱の処理量が以前と同じであっても、砒素の含有量が増加しているため、上記スラグに固定する処理が追いつかない場合も生じている。この問題を解決するため、スラグ処理設備を新設したり増強したりすることが考えられるが、多大の投資が必要となり、コストを増加させてしまう。
【0011】
そこで、製錬工程で発生する大量の砒素を固定・安定化する方法として、特許文献1にはスラリー中に空気または酸素を吹き込むことにより残渣中に分配させる方法が提案されている。また、特許文献2〜3には、砒素を結晶性の安定な鉄砒素化合物(スコロダイト)として固定化する技術が示されている。更に、特許文献4には、シュベルトマナイトと呼ばれる鉱物を砒素吸着剤として使用する技術が示されている。シュベルトマナイトは、砒素を結晶格子中に取り込んで安定化することを特徴としており、一旦安定化すると上記スコロダイトに匹敵する対溶出性を示すことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−140258号公報
【特許文献2】特開2000−219920号公報
【特許文献3】特開平11−277075号公報
【特許文献4】特開2005−058955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記の方法は、製錬現場で化学合成により砒素含有物質を製造する必要があり、砒素固定の場所が製錬所に限られるために、砒素含有物質を管理型埋立地等高コストな方法で処分せざるを得ないことが問題になっていた。また、砒素固定のための薬剤を調達し、複雑な処理プロセスを稼動させなければならないため、処理コストが高くなることも問題になっていた。
【0014】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、銅ヒープリーチングやバクテリアリーチングの浸出液または溶媒抽出残液から、砒素を効率よく吸着して固定化する砒素吸着剤およびこれを用いた砒素の固定化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明が提供する砒素吸着剤の製造方法は、Fe(II)およびFe(III)を含む溶液にCu(II)を含む溶液を添加してpH3〜4、温度60〜70℃で反応することにより得られることを特徴としており、上記Fe(II)のモル濃度は全Feモル濃度の2/3以下であり且つ上記添加後のCu(II)のモル濃度はFe(II)のモル濃度の1/10以上である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヒープリーチングやバクテリアリーチングの工程液を原料とする砒素吸着剤が提供される。また、その砒素吸着剤を効率良く生産する方法が提供される。本発明の砒素吸着剤を使用すれば、製錬工程等で発生する砒素による環境への影響を抑制できる上、砒素副産物の処理負荷の増加に伴う投資と操業費を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】参考例1〜2及び比較例1〜2の吸着剤の砒素吸着能力を比較したグラフである。
図2】参考例1〜2及び比較例1〜2の吸着剤のX線回折分析結果を示すグラフである。
図3】実施例1〜2、参考例1及び比較例2の吸着剤の砒素吸着能力を比較したグラフである。
図4】実施例1〜2、参考例1及び比較例2の吸着剤のX線回折分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の砒素吸着剤は、リーチング・SX(溶媒抽出)工程から得られる溶液、具体的には銅ヒープリーチングやバクテリアリーチングで繰り返し使用される浸出貴液やその溶媒抽出残液を原料とし、以下の方法で製造される。すなわち、原料溶液としてのリーチングの浸出液または溶媒抽出工程を経た抽出残液の温度を60〜70℃にすると共に、該原料溶液の1Lに対して1Mの炭酸ナトリウム溶液を1〜2ml/minの割合で滴下してpH3〜4に調整して反応させる。
【0019】
このとき、原料溶液には、全Feモル濃度に対するFe(II)のモル濃度の比率が0〜2/3、より好ましくは1/100〜1/10である溶液を用いるのが好ましい。更に、原料溶液には、Cu(II)がFe(II)のモル濃度の1/10以上のモル濃度で含まれているのが好ましい。そして、この反応によって生成した沈殿物をろ過等の固液分離法で回収して砒素吸着剤とする。得られた砒素吸着剤に砒素を含有する溶液を接触させることによって、該溶液中の砒素を鉄砒素化合物として固定化することができる。
【0020】
上記砒素吸着剤の出発原料となる原料溶液は、その由来となる銅鉱山やリーチングの方法を特に限定するものではない。浸出貴液や溶媒抽出残液には、鉱石中から溶出した鉄(Fe)が含まれており、これが砒素吸着剤の原料物質となるため、その濃度は高いほうが好ましい。通常、上記原料溶液の鉄濃度は0.1から5g/L、pHは1〜3である。この原料溶液を反応槽内で60〜70℃に加熱し、所定濃度の炭酸ナトリウム溶液を滴下してpHを徐々に上昇させて反応を行う。
【0021】
発明者らの検討によると、上記炭酸ナトリウム溶液の濃度は1M、滴下速度は上記原料溶液1Lに対して1〜2ml/minが最適であった。この操作によって原料溶液からシュベルトマナイトを主成分とする沈殿物が生成するので、ろ過法や遠心分離法などの一般的な固液分離装置によって沈殿物を回収し、乾燥させて砒素吸着剤とする。
【0022】
発明者らの検討によると、効率よく砒素吸着剤を生成するためには、原料溶液中の鉄はFe(III)の形態であるのが望ましく、Fe(II)の全Feに対する割合は0〜2%が適している。Fe(II)の比率がこの上限を超える場合、砒素吸着能力の低いゲータイトが析出して生成物に混入するからである。これについて発明者らは更に研究を重ねたところ、Fe(II)の濃度が上記の上限を超える場合、具体的にはFe(II)の濃度が全Fe濃度の2/3であっても、Cu(II)のモル濃度がFe(II)のモル濃度の1/10以上となるようにCu(II)を共存させることによって、理由はよくわからないが、ゲータイトの生成が抑制されて純度の高いシュベルトマナイトを製造できることが分かった。
【0023】
通常、銅鉱山のヒープリーチングやバクテリアリーチングでは、場所によって様々なFe濃度、Cu濃度の浸出貴液が産出されるため、上記の条件に合致した浸出貴液を採取するか、あるいは組成の異なる浸出貴液を適宜混合して上記の条件に合致させ、これを出発原料とすればよい。なお、上記砒素吸着剤の原料溶液には浸出貴液から溶媒抽出によって銅を回収した残りの抽出残液も同様に使用することができる。
【0024】
上記の方法において使用する反応槽の形態は特に限定するものではなく、例えば滴下した炭酸ナトリウム溶液が均一に混合されるように適切な形状の撹拌機を具備した一般的な攪拌槽を使用することができる。滴下の方法やその装置も特に限定するものではない。上記の固液分離装置には、市販の真空ろ過装置や遠心分離機を使用すればよい。固液分離で得られる固形分の乾燥方法は特に限定するものではなく、市販の真空乾燥機や定温乾燥機を使用すればよい。なお、砒素吸着剤を製造元の鉱山で使用する場合など、長距離に及ぶ輸送の必要がなければ、乾燥せずに脱水ケークの形態のまま使用することも可能である。
【0025】
得られた砒素吸着剤を用いて砒素含有溶液中の砒素を固定化する方法は特に限定するものではなく、例えば砒素吸着剤が充填された槽や充填塔内に砒素を含有する溶液を通液させることによって当該砒素含有溶液と砒素吸着剤とを接触させ、これにより該溶液中の砒素を鉄砒素化合物として固定化すればよい。
【0026】
以上説明したように、浸出貴液や溶媒抽出残液のFe濃度およびCu濃度を調整して所定のpHおよび温度で反応させることによって簡易に砒素吸着剤を作製することができ、更に得られた砒素吸着剤を用いて簡易に砒素含有溶液から砒素を除去することができる。よって、極めて低コストで砒素による環境への影響を抑制することができる。
【0027】
また、一般的なヒープリーチングやバクテリアリーチングでは、鉄を含む黄銅鉱や黄鉄鉱が溶解することによって、浸出液中に多量の硫酸鉄が含まれている。この浸出液中の鉄分は、溶媒抽出工程で銅を回収する際に抽出残液中に残留し、浸出液の成分としてリーチング工程に繰り返される。繰り返し回数が増加すると、過剰となった硫酸鉄がジャロサイト等の形態でヒープ中に沈殿するため、従来は無用物として廃棄されていた。これに対して、本発明は浸出液中の鉄分を砒素吸着剤として有効に活用することが可能となる。
【実施例】
【0028】
以下に示す実施例、参考例および比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の例では、実験の簡便化と再現性のため、一般的なヒープリーチングやバクテリアリーチングから取り出される溶液の組成を試薬で再現した擬似液を用いた。また、以下の例では、化学分析値はICP発光分析法および原子吸光分光法を用いて求めた。
【0029】
[参考例1]
参考例1では、擬似液として、50mMのFe(SOと10mMのHSOを含んだ溶液を用いた。この擬似液1dmをビーカーに入れ、ホットスターラーで撹拌しながら65.5℃に加熱した。液温を保ったまま、ビーカー内の擬似液に1MのNaCO溶液を1.5mL/minの割合で滴下し、擬似液のpHが3.5に到達したところで滴下を終了した。生成した沈殿を5Aろ紙を用いてろ過し、真空乾燥機中で一昼夜乾燥させた後、メノウ乳鉢で解砕して吸着剤とした。
【0030】
吸着剤の砒素吸着能を確認するため、所定濃度のNaHAsO・7HOを含む1mMのHSO溶液を調整して吸着試験を実施した。その結果、図1に示すように合成した吸着剤の砒素吸着能力は1.5mmol/gであった。
【0031】
[参考例2]
50mMのFe(SOと1mMのFe(SO)と10mMのHSOを含んだ擬似液を用いた以外は参考例1と同じ方法で吸着剤を合成し、参考例1と同様に砒素溶液を使用して吸着実験を行った。その結果、図1に示したように砒素の吸着能力は参考例1と同様であった。
【0032】
[実施例1]
50mMのFe(SOと100mMのFe(SO)と10mMのCu(SO)と10mMのHSOを含んだ擬似液を用いた以外は参考例1と同じ方法で吸着剤を合成し、参考例1と同様に砒素溶液を使用して吸着実験を行った。その結果、図3に示したように砒素の吸着能力は参考例1と同様であった。
【0033】
[実施例2]
50mMのFe(SOと100mMのFe(SO)と100mMのCu(SO)と10mMのHSOを含んだ擬似液を用いた以外は参考例1と同じ方法で吸着剤を合成し、参考例1と同様に砒素溶液を使用して吸着実験を行った。その結果、図3に示したように砒素の吸着能力は参考例1と同様であった。
【0034】
[比較例1〜2]
比較例1では50mMのFe(SOと10mMのFe(SO)と10mMのHSOを含んだ擬似液、比較例2では50mMのFe(SOと100mMのFe(SO)と10mMのHSOを含んだ擬似液を用いた以外は、それぞれ参考例1と同じ方法で吸着剤を合成し、参考例1と同様に砒素溶液を使用して吸着実験を行った。その結果、図1に示したように比較例1の場合には、砒素濃度が1.0mM以下の領域で砒素吸着能力が参考例1〜2に比べて低下した。また、比較例2では、飽和吸着量が参考例1〜2に比べて大幅に低下した。
【0035】
図2に、参考例1〜2および比較例1〜2で合成した吸着剤のX線回折分析結果を示す。比較例では、シュベルトマナイトのピーク以外にゲータイトのピークが現れており、ゲータイトが生成したことが砒素吸着能力の原因であることが明らかである。
【0036】
図4に、実施例1〜2、参考例1および比較例2で合成した吸着剤のX線回折分析結果を示す。実施例1〜2では、Fe(II)が比較例2と同じ100mMであるにもかかわらずゲータイトのピークが小さくなっており、Cu(II)の共存によってゲータイトの生成が抑制され、シュベルトマナイトが優先的に生成したことがわかる。
図1
図2
図3
図4