(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記第1の送気管路を経由して前記気体を送気する送気ステップと、前記第1の送気管路を経由した前記気体の送気を停止して前記圧力検出手段によって前記管腔内の圧力を検出する圧力検出ステップとを交互に繰り返す請求項1〜3のいずれか1項に記載の送気システム。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態である送気システムの概略構成を示した全体構成図である。
図1に示した送気システムは、主として、内視鏡10、挿入補助具70、光源装置20、プロセッサ30、及び送気装置66で構成される。
【0027】
内視鏡10は、患者の管腔内、例えば、患者の胃や大腸などの消化管内に挿入される挿入部12と、この挿入部12に連設される手元操作部14を備える。手元操作部14には、ユニバーサルケーブル16が接続され、ユニバーサルケーブル16の先端にはLGコネクタ18が設けられる。このLGコネクタ18を光源装置20に着脱自在に連結することによって、後述する照明光学系54(
図2参照)に照明光を伝送することができる。また、LGコネクタ18には、ケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ30に着脱自在に連結される。なお、LGコネクタ18には送気・送水用のチューブ26や吸引用のチューブ28が接続される。
【0028】
手元操作部14には、送気・送水ボタン32、吸引ボタン34、及びシャッターボタン36が並設されるとともに、一対のアングルノブ38、38、及び鉗子挿入部40が設けられる。
【0029】
一方、挿入部12は、先端部46、湾曲部48、及び軟性部50で構成され、湾曲部48は、手元操作部14に設けられた一対のアングルノブ38、38を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部46の先端面47を所望の方向に向けることができる。
【0030】
図2に示すように、先端部46の先端面47には、観察光学系52、照明光学系54、54、送気・送水ノズル56、鉗子口58が設けられる。観察光学系52の後方にはCCD(不図示)が配設されており、このCCDを支持する基板には信号ケーブルが接続されている。信号ケーブルは
図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ30に接続される。したがって、
図2の観察光学系52で取り込まれた観察像は、CCDの受光面に結像されて電気信号に変換され、そして、この電気信号が信号ケーブルを介して
図1のプロセッサ30に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ30に接続されたモニタ60に観察画像が表示される。
【0031】
図2の照明光学系54、54の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、
図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通される。そして、ライトガイドの入射端がLGコネクタ18のライトガイド棒(
図3参照)19に配設される。したがって、LGコネクタ18のライトガイド棒19を光源装置20に連結することによって、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系54、54に伝送され、照明光学系54、54から照射される。
【0032】
挿入補助具70は、内視鏡10の挿入部12を消化管内に案内するために用いられる。挿入補助具70は、十分な可撓性を有する筒状体であり、基端から先端まで貫通する挿通路68(
図3参照)を有する。挿入補助具70の内径、即ち、挿通路68の直径は、挿入部12の外径よりも僅かに大きく、挿入部12が挿通可能な大きさを有する。
【0033】
内視鏡10の挿入部12を消化管内に挿入した際には、挿入部12が挿入補助具70の挿通路68に挿通配置され、挿入補助具70が挿入部12の外周面を覆った状態に配置される。
【0034】
また、挿入補助具70の基端には硬質の把持部74が設けられる。その把持部74の基端面には、内視鏡10の挿入部12を挿入補助具70の挿通路68に挿入する開口が設けられ、把持部74の外周面には、炭酸ガスを供給するためのガス供給口76が設けられる。ガス供給口76は自動送気チューブ64を介して送気装置66に接続される。なお、自動送気チューブ64は第1の外部管路に相当する。
【0035】
ここで、内視鏡10及び挿入補助具70の管路構成について説明する。
【0036】
図3は内視鏡10及び挿入補助具70の管路構成を模式的に示した構成図である。
図3に示すように、挿入部12の先端面47に設けられた送気・送水ノズル56には、送気・送水チューブ80が接続されている。送気・送水チューブ80は、送気チューブ82と送水チューブ84に分岐され、それぞれが、手元操作部14に配設したバルブ86に接続される。バルブ86には給気チューブ88と給水チューブ90が接続されるとともに、送気・送水ボタン32が取り付けられる。この送気・送水ボタン32が突出した状態では送気チューブ82と給気チューブ88が連通され、送気・送水ボタン32を押下操作することによって、送水チューブ84と給水チューブ90が連通される。送気・送水ボタン32には通気孔(不図示)が形成されており、この通気孔を介して給気チューブ88が外気に連通される。
【0037】
給気チューブ88と給水チューブ90は、ユニバーサルケーブル16に挿通され、LGコネクタ18の送水コネクタ92まで延設される。送水コネクタ92には、チューブ26が着脱自在に接続され、このチューブ26の先端が貯水タンク27に連結される。そして、給水チューブ90が貯水タンク27の液面下に連通され、給気チューブ88が液面上に連通される。
【0038】
送水コネクタ92には、エアチューブ94が接続されており、このエアチューブ94は、給気チューブ88に連通されている。また、エアチューブ94は、LGコネクタ18を光源装置20に連結することによって、光源装置20内のエアポンプ21に連通される。
【0039】
したがって、エアポンプ21を駆動してエアを送気すると、エアチューブ94を介して給気チューブ88にエアが送気される。このエアは、送気・送水ボタン32の非操作時には、通気孔(不図示)を介して外気に逃げるようになっている。そして、術者が通気孔を塞ぐことによって、給気チューブ88のエアが送気チューブ82に送気され、送気・送水ノズル56からエアが噴射される。また、送気・送水ボタン32を押下操作すると、給気チューブ88と送気チューブ82が遮断されるため、エアチューブ94に給気されたエアは、貯水タンク27の液面上に供給される。これにより、貯水タンク27の内圧が高まって給水チューブ90に水が送液される。そして、送水チューブ84を介して送気・送水ノズル56から水が噴射される。このように送気・送水ノズル56から水またはエアが噴射され、観察光学系52に吹き付けられることによって、観察光学系52が洗浄される。
【0040】
挿入部12の先端面47に設けられた鉗子口58には、鉗子チューブ96が接続される。鉗子チューブ96は分岐して鉗子挿入部40とバルブ98に連通される。よって、鉗子挿入部40から鉗子等の処置具を挿入することによって、鉗子口58から処置具を導出することができる。
【0041】
バルブ98には、吸引チューブ100が接続されるとともに、吸引ボタン34が取り付けられる。この吸引ボタン34が突出した状態では、吸引チューブ100が外気に連通され、吸引ボタン34を押下操作することによって、吸引チューブ100と鉗子チューブ96とが接続される。
【0042】
吸引チューブ100は、LGコネクタ18の吸引コネクタ102まで延設されており、この吸引コネクタ102にチューブ28(
図1参照)を接続することによって、不図示の吸引装置に連通される。したがって、吸引装置を駆動した状態で吸引ボタン34を押下操作することによって、鉗子口58から病変部等を吸引することができる。
【0043】
また、貯水タンク27には、手動送気チューブ65の一端が着脱自在に接続され、液面上に連通される。手動送気チューブ65の他端は送気装置66の手動送気コネクタ145に連結される。これにより、送気装置66の手動送気コネクタ145から送気された炭酸ガスは、手動送気チューブ65を介して貯水タンク27に供給される。そして、光源装置20のエアポンプ21からエアが給気チューブ88に送気される場合と同様に、術者が送気・送水ボタン32を操作すると、送気・送水ノズル56から水又は炭酸ガスが噴射される。なお、手動送気チューブ65は第2の外部管路に相当する。
【0044】
なお、送気装置66から送気される炭酸ガスとエアポンプ21から送気されるエアとが同時に給気チューブ88に供給されることがないように、これらの駆動を択一的に制御する制御手段(不図示)が設けられていることが好ましい。例えば、制御手段は光源装置20又は送気装置66或いはプロセッサ30に設けられ、送気装置66から送気される炭酸ガスの方がエアポンプ21から送気されるエアよりも優先的に供給されるように制御を行う。この場合、エアポンプ21は、炭酸ガスボンベ110の残量がなくなった場合の予備の気体供給源として用いられる。
【0045】
このように、内視鏡10における送気・送水ボタン32のような所定の手動操作部材を術者が手動操作することにより、その手動操作にしたがって送気装置66からの炭酸ガスを消化管内に送気することを、本明細書では「手動送気」という。
【0046】
一方、挿入補助具70の把持部74に設けられたガス供給口76には、自動送気チューブ64の一端が着脱自在に接続され、自動送気チューブ64の他端が送気装置66の自動送気コネクタ144に連結される。
【0047】
挿入補助具70の把持部74に設けられたガス供給口76は、把持部74を形成された管路77を介して挿入補助具70の内部の挿通路68に連通される。挿通路68に挿入部12を挿入した状態においては、挿入補助具70の内周面と挿入部12の外周面との間に隙間が形成されるようになっており、その隙間が挿入補助具70の先端に先端開口部68aを形成する。したがって、ガス供給口76は、管路77及び挿通路68(隙間)を介して先端開口部68aに連通している。
【0048】
これにより、送気装置66の自動送気コネクタ144から送気された炭酸ガスは、自動送気チューブ64及び管路77を経由して挿通路68に供給され、挿通路68の先端開口部68aから消化管内に導入される。
【0049】
なお、図では省略したが、挿入補助具70の把持部74の基端側における挿通路68の開口付近には、消化管内に送気された炭酸ガスが挿通路68を介して体外に流出することを防ぐために、内視鏡10の挿入部12の外周部に密着して気密性を保持する気密保持手段としての弁部材が設けられている。これにより、送気装置66から挿入補助具70の挿通路68に供給された炭酸ガスは、挿通路68を通じて体外に流出することなく先端開口部68aから消化管内に供給される。
【0050】
このように、術者が所定の手動操作部材を手動操作することなく、自動的に送気装置66からの炭酸ガスを消化管内に送気することを、本明細書では「自動送気」という。
【0051】
次に送気装置66の構成について説明する。
【0052】
図4は、送気装置66の構成を示したブロック図である。
【0053】
送気装置66は、以下に説明するように内部の送気管路を通じて手動送気コネクタ145から手動送気用の炭酸ガスを送出する機能を有する。その送気管路は、手動送気コネクタ145が、
図1、
図3にも示したように手動送気チューブ65を介して貯水タンク27に接続されることによって、貯水タンク27及び内視鏡10を介して消化管内に炭酸ガスを送気する送気管路に接続される。これにより、本実施形態の送気システムにおいて、内視鏡10における送気・送水ボタン32の手動操作により消化管内に炭酸ガスを送気するための手動送気用の送気管路(第2の送気管路)が設けられる。
【0054】
また、送気装置66は、以下に説明するように内部の送気管路を通じて自動送気コネクタ144から自動送気用の炭酸ガスを送出する機能を有する。その送気管路は、自動送気コネクタ144が、
図1、
図3にも示したように自動送気チューブ64を介して挿入補助具70に接続されることによって、挿入補助具70を介して消化管内に炭酸ガスを送気する送気管路に接続される。これにより、本実施形態の送気システムにおいて、消化管内に炭酸ガスを自動的に送気するための自動送気用の送気管路(第1の送気管路)が設けられる。
【0055】
図4に示すように、送気装置66は、減圧機構114、第1〜第3電磁弁120、122、124、第1〜第4圧力センサ126、127、128、129、制御部130、及びフロントパネル(操作パネル)131を備えて構成される。
【0056】
送気装置66の高圧コネクタ113には、高圧ホース112の一端が着脱自在に連結され、その他端は気体供給源である炭酸ガスボンベ110に接続されている。すなわち、送気装置66は、高圧ホース112を介して炭酸ガスボンベ110に連通されている。これにより、炭酸ガスボンベ110からの炭酸ガスが、高圧ホース112及び高圧コネクタ113を介して送気装置66に供給される。なお、送気装置66に炭酸ガスを供給するガス供給源は炭酸ガスボンベ110以外であってもよい。
【0057】
高圧コネクタ113には、送気装置66の内部に設けられる内部管路142の一端が接続されている。内部管路142には、炭酸ガスボンベ110から供給された炭酸ガスを所定圧に減圧するための減圧機構114が配設されており、減圧機構114の出口側(高圧コネクタ113とは反対側)は2つの管路142a、142b(以下、第1分岐管路142a、第2分岐管路142bという。)に分岐されている。
【0058】
減圧機構114は、炭酸ガスボンベ110から供給された炭酸ガスの圧力を段階的に適正圧まで減圧する減圧手段であり、直列に配置した2個のレギュレータ(減圧弁)116、118から構成される。例えば、第1レギュレータ116は炭酸ガスボンベ110からの炭酸ガスの圧力を10MPaから0.6MPaに減圧する。そして、第2レギュレータ118は第1レギュレータ116で減圧された炭酸ガスの圧力を0.6MPaから0.05MPaに減圧する。
【0059】
第1圧力センサ126は、炭酸ガスボンベ110から供給される炭酸ガスの圧力を検出する圧力検出手段であり、高圧コネクタ113と減圧機構114との間における内部管路142に接続される。第1圧力センサ126の検出結果は制御部130に出力される。
【0060】
第2圧力センサ127は、減圧機構114で減圧された炭酸ガスの圧力を検出する圧力検出手段であり、減圧機構114と第1電磁弁120との間における内部管路142に接続される。第2圧力センサ127の検出結果は制御部130に出力される。
【0061】
第1電磁弁120は、内部管路142を連通/遮断可能な開閉手段であり、内部管路142における減圧機構114よりも下流側であり、かつ各分岐管路142a、142bに分岐する分岐部よりも上流側に設けられる。第1電磁弁120は、制御部130から出力される制御信号に基づいて開閉動作する。第1電磁弁120の開閉動作により内部管路142は連通/遮断され、各分岐管路142a、142bへの炭酸ガスの供給/非供給が一括して行われる。
【0062】
なお、第1電磁弁120が管路を連通させているときの第1電磁弁120の状態をオープン状態、管路を遮断しているときの第1電磁弁120の状態をクローズ状態という。第2電磁弁122及び第3電磁弁124についても同様とする。
【0063】
第1分岐管路142aは、自動送気用の送気管路(第1の送気管路)の一部を構成し、その端部は自動送気コネクタ144に接続される。第1分岐管路142aの上流側(内部管路142の分岐部側)には、第2電磁弁122が配設される。
【0064】
第2電磁弁122は、第1分岐管路142aを連通/遮断可能な開閉手段であり、制御部130から出力される制御信号に基づいて開閉動作し、第1分岐管路142aを連通させたオープン状態と、第1分岐管路142aを遮断したクローズ状態とに切り替わる。
【0065】
第1分岐管路142aには、第2電磁弁122よりも下流側において第1の流量制限手段としての第1のオリフィス146(絞り部)が設けられる。第1のオリフィス146は、管路の有効開口面積がその上流側及び下流側よりも小さく、第1分岐管路142aを流れる炭酸ガスの流量、即ち、自動送気における炭酸ガスの送気流量を制限する。
【0066】
なお、管路の有効開口面積とは、管路の軸線に直交する断面の面積を示し、管路の断面が円形である場合には管路の半径の二乗に円周率をかけた値となる。
【0067】
第3圧力センサ128及び第4圧力センサ129は、消化管内に炭酸ガスを供給するための送気管路(第1分岐管路142a、自動送気チューブ64、及び挿入補助具70)を介して消化管内の圧力を検出する圧力検出手段であり、第1分岐管路142aにおいて第1のオリフィス146よりも下流側に接続される。各圧力センサ128、129の検出結果は制御部130に出力される。
【0068】
本実施形態では、第3圧力センサ128及び第4圧力センサ129のうち、いずれか一方の圧力センサが主センサとして用いられ、他方の圧力センサが予備センサとして用いられる。これにより、主センサが故障した場合でも予備センサで消化管内の圧力を検出することが可能となり、消化管内の圧力検出の信頼性が向上する。
【0069】
なお、第3圧力センサ128及び第4圧力センサ129の各々が検出した圧力が一定値以上異なる場合には、いずれかの圧力センサが故障したと判断することができる。また、第3圧力センサ128及び第4圧力センサ129として、圧力測定レンジ、耐圧力、及び分解能のうちの少なくとも1つの要素が異なる特性のものを使用することによって、2つの圧力センサが同時に故障することを防止するようにしてもよい。さらに、このように異なる特定のものを使用することによって、各々の圧力センサのみにより圧力を検出する場合よりも高い分解能、広い圧力測定レンジの両立を可能にすることもできる。
【0070】
第2分岐管路142bは、手動送気用の送気管路(第2の送気管路)の一部を構成し、その端部は手動送気コネクタ145に接続される。第2分岐管路142bには、第2の流量制限手段としての第2のオリフィス148(絞り部)が設けられ、また、第2のオリフィス148を迂回するバイパス管路123が接続される。バイパス管路123の途中には、第3電磁弁124が配設され、その下流側に、第3の流量制限手段としての第3のオリフィス150(絞り部)が設けられる。
【0071】
第2のオリフィス148は、管路の有効開口面積がその上流側及び下流側よりも小さく、バイパス管路123を経由せずに第2分岐管路142bを流れる炭酸ガスの流量を制限する。
【0072】
第3のオリフィス150は、管路の有効開口面積がその上流側及び下流側よりも小さく、バイパス管路123を流れる炭酸ガスの流量を制限する。なお、第1〜第3の流量制限手段としての第1〜第3のオリフィス146、148、150は、有効開口面積が固定のものでも可変できるものでもよく、また、第1〜第3の流量制限手段は、オリフィス以外の手段によって送気流量を制限するものであってもよい。
【0073】
第3電磁弁124は、バイパス管路123を連通/遮断可能な開閉手段であり、制御部130から出力される制御信号に基づいて開閉動作し、バイパス管路123を連通させたオープン状態と、バイパス管路123を遮断したクローズ状態とに切り替わる。この第3電磁弁124がオープン状態とクローズ状態とで切り替わることによって手動送気コネクタ145から送出可能となる炭酸ガスの送気流量が2段階で切り替わる構成となっている。
【0074】
第3電磁弁124がオープン状態のときは、第2のオリフィス148を通過した炭酸ガスと、バイパス管路123の第3のオリフィス150を通過した炭酸ガスとを合わせた高流量の炭酸ガスが手動送気コネクタ145から送出可能な状態となる。
【0075】
一方、第3電磁弁124がクローズ状態のときは、炭酸ガスがバイパス管路123を流れないため、第2のオリフィス148のみを通過した低流量の炭酸ガスが手動送気コネクタ145から送出可能な状態となる。
【0076】
フロントパネル(操作パネル)131は、送気装置66を構成する筐体の前面に配置される。フロントパネル131には、電源スイッチ132、表示部134、及び操作部136が設けられており、これらの各部は制御部130に接続されている。
【0077】
図5は、送気装置66のフロントパネル131を示した図である。
図5に示すように、表示部134は、炭酸ガスボンベ110の炭酸ガスの残量を表示する残量表示部202と、炭酸ガスの残量が所定レベル以下となった場合に警告を表示するガス警告表示部204と、消化管内の設定圧力を表示する設定圧表示部206と、消化管内の圧力(現圧力)を表示する圧力表示部208と、消化管内の圧力が設定圧力を超えた場合に警告を表示する圧力警告表示部209とを備える。
【0078】
操作部136は、消化管内の設定圧力を設定するための圧力設定部210と、自動送気のオン(実行)又はオフ(停止)を選択するための自動送気ボタン212等を備える。操作部136の各部が操作された場合には、その操作に対応した操作信号が制御部130に出力される。
【0079】
図4に戻り、制御部130は、送気装置66の全体制御を行っており、CPUやメモリ(いずれも不図示)などを備えて構成される。メモリには、送気装置66を動作させるための制御プログラムや各種設定情報(例えば圧力設定部210で設定された消化管内の設定圧力など)が記憶される。
【0080】
制御部130は、第1圧力センサ126の検出結果に基づき、炭酸ガスボンベ110の炭酸ガスの残量を残量表示部202に表示する。また、制御部130は、炭酸ガスの残量が所定レベル以下になると、ガス警告表示部204により警告を表示するとともに、警報を発生する。これにより、炭酸ガスの残量がなくなる前に炭酸ガスボンベ110を新しいものに交換することが可能となる。
【0081】
また、制御部130は、圧力検出手段としての第3圧力センサ128又は第4圧力センサ129の検出結果に基づき、消化管内の圧力を圧力表示部208に表示するとともに、圧力設定部210により設定された消化管内の設定圧力を設定圧表示部206に表示する。
【0082】
更に、制御部130は、自動送気ボタン212の押下操作にしたがって自動送気のオン(実行)とオフ(停止)との設定を切り替える。
【0083】
自動送気ボタン212は例えば自動復帰型スイッチと連動しており、制御部130はそのスイッチの状態に応じて変化する操作信号により自動送気ボタンが押下操作されたか否かを検出する。そして、自動送気をオフに設定しているときに、自動送気ボタンが押下操作されたことを検出すると、次に自動送気ボタンが押下操作されたことを検出するまでの間は自動送気をオンに設定する。自動送気をオンに設定しているときに、自動送気ボタンが押下操作されたことを検出すると、次に自動送気ボタンが押下操作されたことを検出するまでの間は自動送気をオフに設定する。
【0084】
なお、制御部130は、自動送気のオン/オフを判別する判別手段を構成しており、自動送気のオン/オフを判別する手段は本実施形態のような自動送気ボタン212によるものでなくてもよい。
【0085】
そして、自動送気をオンに設定しているときは、制御部130は、自動送気における送気流量を制御する制御手段として、第2電磁弁122の開閉を制御して第1分岐管路142aを通じて自動送気コネクタ144から炭酸ガスを送出し、消化管内の圧力が圧力設定部210により設定された消化管内の設定圧力となるように、自動送気チューブ64及び挿入補助具70を介して消化管内に炭酸ガスを供給する。
【0086】
また、自動送気をオフに設定しているときは、制御部130は、第2電磁弁122をクローズ状態にし、自動送気コネクタ144からの炭酸ガスの送気を行わない状態にする。
【0087】
一方、手動送気コネクタ145からは、第2分岐管路142bを通じて炭酸ガスが常時送出され得る状態に設定されており、術者が内視鏡10の送気・送水ボタン32を操作することによって、貯水タンク27、及び内視鏡10を介して、即ち、手動送気用の送気管路を介して消化管内に炭酸ガスを供給することが可能である。
【0088】
ただし、自動送気をオンに設定している場合には、制御部130は、第3電磁弁124をクローズ状態とし、第2分岐管路142bを通じて手動送気コネクタ145から送出可能な炭酸ガスの送気流量を低流量の送気流量に設定する。これによって、自動送気と手動送気とが同時に行われた際に増加する消化管内への炭酸ガスの送気流量を適切な流量に制限する。
【0089】
また、自動送気をオフに設定している場合には、制御部130は、第3電磁弁124をオープン状態とし、手動送気コネクタ145から送出可能な炭酸ガスの送気流量を、手動送気のみが行われる場合に適切となる高流量の送気流量に設定する。
【0090】
以上のように構成された本実施形態の送気システムでは、例えば
図6に示すように、内視鏡10の挿入部12は挿入補助具70の挿通路68を挿通した状態で挿入補助具70と共に患者の消化管内に挿入された状態に配置される。そして、送気装置66から貯水タンク27(不図示)及び内視鏡10又は挿入補助具70を介して消化管内に炭酸ガスが供給される。
【0091】
なお、内視鏡10の挿入部12が挿入される消化管としては、胃、食道、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、結腸、直腸)があり、特に好ましくは胃や大腸などである。
図6では、内視鏡10の挿入部12及び挿入補助具70が患者の口から食道を経由して胃の内部に挿入された様子を示している。
【0092】
次に、本実施形態の送気システムにおける手動送気及び自動送気の態様について説明する。
【0093】
手動送気においては、例えば
図7(A)に示すように、術者が内視鏡10の送気・送水ボタン32の通気孔を塞いだ状態(手動送気操作を行っている状態)にすると、その間は、第2分岐管路142bを介した手動送気コネクタ145からの炭酸ガスが消化管内へと連続的に送気される。そして、内視鏡10の送気・送水ボタン32の通気孔を開放すると、消化管内への送気が停止する。このように、手動送気は、炭酸ガスの連続的な送気によって行われる。
【0094】
また、手動送気において実際に送気が行われている際の送気流量(単位時間当たりに送られる炭酸ガスの体積)は、制御部130が流量切替手段として、第2分岐管路142bにおける第3電磁弁124をオープン状態とクローズ状態とで切り替えることによって、
図7(A)及び
図7(B)に示すように、互いに異なる第1送気流量と第2送気流量との2段階に切り替えられるようになっている。
【0095】
この送気流量の切替えは、自動送気がオンか否かに基づいて自動的に行われる。自動送気がオフの場合には、第3電磁弁124がオープン状態に設定され、
図7(A)のように第1送気流量と第2送気流量のうちの高流量の送気流量MF
H(単位は例えばリットル/分)に設定される。なお、送気流量MF
Hは第2送気流量MF
2に相当する。
【0096】
この高流量の送気流量MF
Hは、第2分岐管路142bにおける第2のオリフィス148による流量制限で決まる送気流量と、第2分岐管路142bのバイパス管路123における第3のオリフィス150により流量制限で決まる送気流量とを加算した値となる。
【0097】
一方、自動送気がオンの場合には、第3電磁弁124がクローズ状態に設定され、
図7(B)のように第1送気流量と第2送気流量のうちの低流量の送気流量MF
Lに設定される。なお、送気流量MF
Lは第1送気流量MF
1に相当する。
【0098】
この低流量の送気流量MF
Lは、第2分岐管路142bにおける第2のオリフィス148による流量制限で決まる送気流量に等しい。
【0099】
これらの送気流量は、患者に負担が生じないとされる送気流量MFmax以下の値となるように設定され、次の関係を有する。
【0100】
MF
L<MF
H≦MFmax
このように自動送気がオンされているか否かに応じて、手動送気における送気流量を高流量と低流量とで切り替えることにより、自動送気及び手動送気が併用された場合でも、消化管内の圧力が急激に高くなることが防止され、また、術者の感覚に合った操作性が実現される。
【0101】
また、自動送気が行われる場合には手動送気の送気流量は低流量に切り替えられるので、自動送気及び手動送気の併用時でも、手動送気により消化管内の圧力を微調整しやすくなり、管腔内を適切な拡張状態に維持することが容易となる。
【0102】
一方、自動送気の場合には、
図8に示すように炭酸ガスの間欠的(パルス的)な送気によって行われる。
【0103】
即ち、術者等が送気装置66の自動送気ボタン212を操作して自動送気をオフからオンへの設定に切り替えると、自動送気をオンに設定している間では、第2電磁弁122がオープン状態とクローズ状態とに所定時間ごとに切り替えられる。これにより、第1分岐管路142aを介した自動送気コネクタ144からの炭酸ガスが消化管内へと間欠的に送気される。自動送気をオフへの設定に切り替えると、第2電磁弁122がクローズ状態に切り替えられて消化管内への送気が停止する。
【0104】
また、自動送気をオンに設定している間であっても、圧力検出手段(第3圧力センサ128又は第4圧力センサ129)により取得された消化管内の圧力が圧力設定部210により設定された設定圧力以上となった場合には第2電磁弁122がクローズ状態に維持されて消化管内への送気が停止する。ただし、自動送気自体の停止を意味するものではなく、消化管内の圧力が設定圧力より小さくなった場合には消化管内への間欠的な送気が再開される。
【0105】
このように、自動送気の場合には、
図8に示すように実際に炭酸ガスが連続的に送気されている送気ステップ(1パルス分の工程)と、送気が連続して停止(休止)している非送気ステップ(圧力検出ステップ)との交互の繰り返しによって間欠的な送気が行われる。
【0106】
また、1つの送気ステップと、これに後続する1つの非送気ステップとからなる1つの繰り返し単位を1サイクルというものとすると、その1サイクルの周期Taは、予め決められた時間に設定される。そして、消化管内の圧力に基づいて、1サイクル毎に、各サイクルにおける送気ステップの時間(時間の長さ)t1の割合(t1/Ta:デューティー比という)が設定、変更され、それにしたがって送気ステップの時間t1と非送気ステップの時間t2とが設定、変更される。
【0107】
ここで、
図9(A)〜(C)はデューティー比が異なる3つのサイクルを例示した図であり、同図(B)は、デューティー比が変更可能とする値のうちの最大値となる場合を示している。
【0108】
同図に示すように各サイクルの送気ステップにおける送気流量は、第1分岐管路142aの第1のオリフィス146の有効開口面積S1による流量制限によって決まる略一定の送気流量Aとなる。
【0109】
そして、1つの送気ステップに対して後続する1つの非送気ステップを含めた1サイクルあたりの送気流量の平均値を1サイクルあたりの平均流量というものとすると、その平均流量AFは、デューティー比をDとして、
AF=A・D
となる。
【0110】
このとき、第1のオリフィス146は、デューティー比Dが最大値Dmaxとなるときの平均流量AF(同図(B)に示すサイクルの平均流量)が、手動送気における高流量の送気流量MF
H以下(平均流量AF≦送気流量MF
H)で、かつ、低流量の送気流量MF
Lより大きい(送気流量MF
L<平均流量AF)という条件を満たすように第1分岐管路142aの送気流量を制限する。即ち、次式(1)の条件を満たす。
【0111】
送気流量MF
L<平均流量AF≦送気流量MF
H ・・・(1)
これによって、デューティー比Dが変更可能とする値のうちの任意の値の場合において、平均流量AF≦送気流量MF
H(≦MFmax)という条件を満たし、自動送気の際に患者に負担がかかることを未然に防止している。また、自動送気のみが行われる場合には手動送気に近い感覚で消化管内への送気を行うことが可能となる。さらに、平均流量AFを送気流量MF
Lよりも大きくすることで、自動送気が行われている際に手動送気を併用しても、消化管内の圧力が急激に高くなることなく、手動送気により管腔内の圧力を微調整することができ、管腔内を適切な拡張状態に維持することが容易となる。
【0112】
また、自動送気と手動送気とが同時に行われた場合の最大の送気流量は、自動送気において、デューティー比Dが最大値Dmaxとなるとき平均流量AFと、手動送気における低流量の送気流量MF
Lとを加算した送気流量(平均流量AF+送気流量MF
L)となる。この送気流量(平均流量AF+送気流量MF
L)も手動送気における高流量の送気流量MF
H以下(即ち、MFmax以下)であることが望ましく、次式(2)の条件を満たす。
【0113】
平均流量AF+送気流量MF
L≦送気流量MF
H ・・・(2)
これによって、自動送気が行われる際に手動送気を併用しても、そのときに消化管内に送気される全体の送気流量(AF+MF
L)は、手動送気のみで送気が行われる場合の送気流量MF
H以下となり、自動送気及び手動送気が併用される場合でも、消化管内内の圧力が急激に高くなることを防止できるとともに、術者の感覚に合った操作性を実現することができる。
【0114】
一方、デューティー比Dは、圧力検出手段(第3圧力センサ128又は第4圧力センサ129)により取得された消化管内の圧力Pと圧力設定部210により設定された設定圧力Psとの圧力差ΔP(=Ps−P)と、その圧力差ΔPに対するデューティー比Dを対応付ける対応データに基づいて設定される。対応データは、事前に作成されて制御部130のメモリ等に記憶される。
【0115】
対応データは、圧力差ΔPが所定の閾値以下である場合には、圧力差ΔPが大きくなるほどデューティー比Dが大きな値となるように(即ち、送気ステップの時間t1が長くなるように)に対応付け、圧力差ΔPが閾値を超える場合には、圧力差ΔPによらずデューティー比Dが一定値となるように(即ち、送気ステップの時間t1が一定時間となるように)対応付けるものとなっている。
【0116】
図10に、その対応付けによる圧力差ΔPと送気ステップの時間t1との関係を例示すると、同図のように、圧力差ΔPが閾値4.0mmHg(約533Pa)以下である場合には、圧力差ΔPが大きくなるほど1サイクルにおける送気ステップの時間t1が長くなるように設定される。圧力差ΔPが閾値4.0mmHg(約533Pa)を超える場合には、1サイクルにおける送気ステップの時間t1を600(ms)に設定される。
【0117】
なお、消化管内の圧力Pが設定圧力Ps以上となった場合には、送気ステップの時間t1を0とした場合と同様にして送気を停止させるため、圧力差ΔPが0以下の値(0及び負の値)となる場合にはデューティー比Dを0に設定することに等しい。しかしながら、この場合の送気の停止は、本実施形態では、デューティー比Dの値の設定によるものではないため、デューティー比Dの変更可能とする値に0は含まれないものとする。また、圧力差ΔPは0よりも大きい場合のみを想定する。
【0118】
デューティー比Dは、具体的には、0.1〜0.7の範囲で変更され、これに対応して送気ステップの時間t1は、Ta・0.1〜Ta・0.7の範囲で変更される。
【0119】
例えば、1サイクルの周期Taを6/7秒とすると、送気ステップの時間t1は0.6/7〜0.6秒の範囲で変更される。
【0120】
また、自動送気における非送気ステップの時間t2は、最小(デューティー比Dを最大の0.7としたときの時間)でも(6/7−0.6)秒の期間を有しており、
図9(A)に示すように、その非送気ステップの時間t2のうち、送気ステップの終了直後からの所定の時間(待機時間)t3は、消化管内の圧力が安定するのを待機し、待機時間t3が経過した後の残りの時間(測定時間)t4において圧力検出手段(第3圧力センサ128又は第4圧力センサ129)により消化管内の圧力の検出を実施する。
【0121】
このように自動送気においては、送気が間欠的に行われ、かつ送気が停止している間に消化管内の圧力検出が行われるので、消化管内への自動送気の安定化が図られている。
【0122】
なお、待機時間t3は、少なくとも非送気ステップの時間t2よりも短くなるような値であればよく、非送気ステップの時間t2に応じて変更してもよい。
【0123】
次に、本実施形態における送気装置66の動作について
図11、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0124】
図11は、送気装置66の動作の一例を示したフローチャートである。
【0125】
まず、送気装置66の電源スイッチ132がONにされた後、各部の動作確認などの初期処理が行われる(ステップS10)。
【0126】
次に、制御部130は、前処理として、第1電磁弁120をオープン状態にして内部管路142を連通状態とする(ステップS12)。これにより、内視鏡10の送気・送水ボタン32の操作によって消化管内への炭酸ガスの手動送気が可能な状態となる。以後、電源スイッチ132がオフされたとき等、制御部130が第1電磁弁120をクローズ状態に切り替えるまでは、制御部130が特別な処理を行うことなく、術者の操作にしたがって手動送気が行われる。
【0127】
次に、制御部130は、消化管内の圧力を取得する(ステップS14)。消化管内の圧力検出は、圧力検出手段としての第3圧力センサ128又は第4圧力センサ129により行われ、その検出結果が制御部130に出力される。制御部130は、圧力検出位置から消化管内までの間に生じる圧力損失を補正して消化管内の実際の圧力を算出する。これにより得られた消化管の圧力が圧力表示部208に表示される。
【0128】
次に、制御部130は、自動送気がオンに設定されているか否か判定する(ステップS16)。自動送気がオンに設定されているか否かは、上述のように自動送気ボタン212の操作に基づいて判断される。なお、送気装置66の動作開始時には自動送気のオフに設定された状態とするが、これに限らない。
【0129】
次に、制御部130は、ステップS16においてNOと判定した場合、即ち、自動送気がオンに設定されていないと判定(自動送気がオフに設定されていると判定)した場合には、ステップS18に移行し、第2電磁弁122をクローズ状態にして第1分岐管路142aを非連通状態する。既に、第2電磁弁122がクローズ状態の場合にはその状態を維持する。これにより、消化管内への自動送気をオフ(停止)にした状態にする。
【0130】
続いて、制御部130は、第3電磁弁124をオープン状態にして第2分岐管路142bのバイパス管路123を連通状態にする(ステップS20)。既に、第3電磁弁124がオープン状態の場合にはその状態を維持する。これにより、手動送気による消化管内への送気流量を高流量の送気流量MF
Hに設定する。そして、ステップS14に戻ってステップS14からの処理を繰り返し行う。
【0131】
一方、制御部130は、ステップS16においてYESと判定した場合、即ち、自動送気がオンに設定されていると判定した場合には、ステップS22に移行し、次に説明する自動送気制御の処理を実施し、消化管内への自動送気をオン(実行)にした状態にする。そして、ステップS14に戻ってステップS14からの処理を繰り返し行う。
【0132】
以上のように制御部130は、ステップS14からの処理を繰り返し実行し、電源スイッチ132をオフにする操作が行われると、第1電磁弁120をクローズ状態にして動作を停止する。なお、第1電磁弁120をオープン状態とクローズ状態とを電源スイッチ132によって切り替えるのではなく、所定の操作部材の操作にしたがって切り替えるようにしてもよい。
【0133】
続いて、自動送気制御の処理について説明する。
【0134】
自動送気がオンに設定されている間では、
図11のステップS16においてYESと判定されることによって、ステップS14とステップS22の処理が繰り返されて
図12のフローチャートのような自動送気制御の処理が繰り返し行われる。なお、
図12ではステップS16の判定処理や、電源スイッチ132のオフによって第1電磁弁120をクローズ状態にして送気装置66自体の動作を停止する際の処理については省略しており、これらの処理は適宜行われるものとする。
【0135】
まず、制御部130は、消化管内の圧力を取得した後(ステップS14)、第3電磁弁124をクローズ状態にして第2分岐管路142bのバイパス管路123を非連通状態にする(ステップS30)。既に、第3電磁弁124がクローズ状態の場合にはその状態を維持する。これにより、手動送気による消化管内への送気流量を低流量の送気流量MF
Lに制限する。
【0136】
次に、制御部130はステップS14により取得した消化管内の圧力Pと圧力設定部210により事前に設定された設定圧力Psとを比較し、消化管内の圧力Pが設定圧力Ps以上であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0137】
続いて、制御部130は、ステップS32においてYESと判定した場合、即ち、消化管内の圧力が設定圧力以上であると判定した場合には、以下の処理を行わずにステップS14に戻ってステップS14からの処理を繰り返す。なお、このとき、第2電磁弁122はクローズ状態に維持されており、消化管内への送気は停止した状態となる。
【0138】
一方、ステップS32においてNOと判定した場合、即ち、消化管内の圧力Pが設定圧力Ps未満であると判定した場合には、ステップS34に移行し、消化管内の圧力Pと設定圧力Psとの差分である圧力差ΔP(設定圧力Ps−消化管内の圧力P)を算出する(ステップS34)。
【0139】
次に、制御部130は、ステップS34により算出した圧力差に基づいて、自動送気における送気ステップのデューティー比Dを上述のように事前にメモリに記憶した対応データを用いて設定する(ステップS36)。
【0140】
これにより、圧力差ΔPが所定の閾値以下である場合には、圧力差ΔPが大きいほど送気ステップのデューティー比Dが大きい値に設定され、圧力差ΔPが閾値を超える場合には、圧力差ΔPによらずデューティー比Dが一定値(最大値Dmax)に設定される。
【0141】
次に、制御部130は、ステップS34により設定した送気ステップのデューティー比Dに基づいて送気ステップの時間(長さ)t1と非送気ステップの時間(長さ)t2とを設定する(ステップS38)。具体的には、1サイクルの周期Taに送気ステップのデューティー比Dを乗じて得られる値が送気ステップの時間t1となり、1サイクルの周期Taから送気ステップの時間t1を減じて得た値が非送気ステップの時間t2となる。
【0142】
次に、制御部130は、第2電磁弁122をクローズ状態からオープン状態に切り替えた後、ステップS38で設定した送気ステップの時間t1が経過すると、第2電磁弁122をクローズ状態に切り替える(ステップS40)。これにより、第2電磁弁122がオープン状態となっていた間に、消化管内への送気が行われる。
【0143】
次に、制御部130は、ステップS40において第2電磁弁122をクローズ状態に切り替えてから所定の待機時間t3が経過するまで待機する(ステップS42)。消化管内の圧力はこの待機時間t3の間に安定する。
【0144】
次に、制御部130は、ステップS42により待機時間t3が経過すると、ステップS14に戻り、消化管内の圧力を取得する。
【0145】
続いて、制御部130は、ステップS40により第2電磁弁122をクローズ状態に切り替えてからの経過時間が非送気ステップの時間t2に達する前に、ステップS30〜ステップS38の処理を行い、ステップS32においてYESと判定した場合を除いて、新たに取得した消化管内の圧力に基づいて送気ステップの時間t1と非送気ステップの時間t2を設定する。
【0146】
そして、前回設定した非送気ステップの時間t2の経過(待機時間t3の経過時からの時間t2の経過)と同時にステップS38の送気ステップの処理を実施し、消化管内への送気を行う。
【0147】
以上のように自動送気制御の処理を繰り返すことによって、消化管内の圧力が設定圧力に維持される。
【0148】
なお、本実施形態では、消化管内に送気される気体として炭酸ガスが適用される場合を例にとって説明したが、消化管内に送気される気体は炭酸ガスに限らず、例えばヘリウムガスなどの他の気体であってもよい。
【0149】
以上、本発明に係る送気装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。以下、変形例のいくつかを説明する。
【0150】
[第1の変形例]
図13は、第1の変形例としての内視鏡の管路構成を模式的に示した概略図である。
図13中、
図3と共通又は類似する部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0151】
第1の変形例では、
図13に示すように、自動送気により消化管内に炭酸ガスを供給するための送気管路の一部が、内視鏡10の挿入部12の長手方向に沿って配置された外付け器具である外付けチューブ160により構成される。外付けチューブ160は、テープなどの固定手段(不図示)によって内視鏡10の挿入部12の外周部に固定される。外付けチューブ160の基端側には、自動送気チューブ64の一端が着脱自在に接続されるガス供給口162が形成される。ガス供給口162は、外付けチューブ160の内部に形成される管路(不図示)を介して外付けチューブ160の先端開口部164に連通している。したがって、送気装置66からガス供給口162に供給された炭酸ガスは、外付けチューブ160内部の管路を通って先端開口部164から消化管内に導入される。
【0152】
第1の変形例によれば、挿入補助具70を挿入できない消化管深部でも自動送気することが可能となる。
【0153】
[第2の変形例]
図14は、第2の変形例としての内視鏡システムの概略構成を示した全体構成図である。
図15は、
図15に示した内視鏡の内部構成を示す管路構成図である。
図14及び
図15中、
図1及び
図3と共通又は類似する部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0154】
第2の変形例では、
図14及び
図15に示すように、自動送気により消化管内に炭酸ガスを供給するための送気管路の一部が、内視鏡10の鉗子チューブ96により構成される。
【0155】
鉗子挿入部40には自動送気チューブ64の一端が着脱自在に接続され、自動送気チューブ64の他端が送気装置66の自動送気コネクタ144に連結される。これにより、送気装置66の自動送気コネクタ144から送気された炭酸ガスは、自動送気チューブ64、鉗子挿入部40、及び鉗子チューブ96を経由して鉗子口58から噴射される。
【0156】
第2の変形例によれば、挿入補助具70を使用しない内視鏡システムにおいても特別な管路を設けることなく自動送気を行うことができる。
【0157】
[第3の変形例]
図16は、第3の変形例としての内視鏡の管路構成を模式的に示した概略図である。
図17は、第3の変形例としての送気装置の構成を示したブロック図である。
図16及び
図17中、
図3及び
図4と共通又は類似する部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0158】
第3の変形例では、内視鏡10の挿入部12に長手方向に沿って外付けされた外付けチューブ160が送気管路の一部として構成される点は第1の変形例と同一であるが、消化管内の圧力を検出するための圧力検出管路が上記送気管路とは別に構成される点で異なる。
【0159】
具体的には、
図16に示すように、内視鏡10の鉗子挿入部40には圧力検出用チューブ166の一端が着脱自在に接続され、圧力検出用チューブ166の他端は送気装置66の圧力検出用コネクタ168に連結される。
【0160】
送気装置66の内部には、
図17に示すように、内部管路142及び各分岐管路142a、142bとは非連通状態にある内部管路170が設けられる。内部管路170の一端は圧力検出用コネクタ168に接続される。内部管路170には第5圧力センサ172が接続される。第5圧力センサ172は、消化管内に炭酸ガスを供給するための送気管路(第1分岐管路142a、自動送気チューブ64、及び外付けチューブ160)とは別に構成される圧力検出管路(内部管路170、圧力検出用チューブ166、及び鉗子チューブ96)を経由して消化管内の圧力を検出する。
【0161】
第3の変形例では、消化管内の圧力検出が行われる際、消化管内に炭酸ガスを供給するための送気管路とは別に構成される圧力検出管路を介して消化管内の圧力検出が行われる。これにより、消化管内への送気による影響を受けることなく消化管内の圧力を安定かつ高精度に検出することが可能となる。このため、消化管内の圧力を簡単かつ高精度に目標圧力にすることが可能となる。
【0162】
なお、第3の変形例では、送気管路の一部が外付けチューブ160で構成され、圧力検出管路の一部が鉗子チューブ96で構成される態様を示したが、これに限らず、例えば、第3の変形例とは逆の構成として、送気管路の一部が鉗子チューブ96で構成され、圧力検出管路の一部が外付けチューブ160で構成されてもよい。すなわち、自動送気チューブ64の一端が鉗子挿入部40に接続され、圧力検出用チューブ166の一端が外付けチューブ160のガス供給口162に接続されてもよい。
【0163】
また、内視鏡10の挿入部12に複数の処置具チャンネル(処置具挿通路)が設けられる場合には、一方の処置具チャンネルを送気管路の一部として構成し、他方の処置具チャンネルを圧力検出管路の一部として構成してもよい。
【0164】
また、
図1の実施形態のように挿入補助具70が用いられる場合には、挿入補助具70の挿通路68を送気管路の一部として構成し、内視鏡10の内部管路である鉗子チューブ96を圧力検出管路の一部として構成してもよい。また、これとは逆の構成であってもよい。