【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法は、材料溶液を充填したダイスに基材を通過させ、この際に、ダイスの内部形状に応じて基材と共に溶剤が持ち出されることを利用し、基材表面に塗膜を形成するものである。
【0007】
近年、長尺基材に対してより膜厚精度の高い薄膜を形成することが望まれている。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、高い精度で、再現性にも優れた膜厚を得ることが可能な薄膜形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
長尺部材への塗膜材の塗布装置であって、長尺部材を保持するガイド部と、前記ガイド部と対向して配置され、塗膜材を前記長尺部材へ塗布するダイス部と、前記ダイス部に接続された配管を介して前記ダイス部に塗膜材を供給する塗膜材供給部と、前記ダイス部の方向に対する前記ガイド部の押圧力を調整可能な圧力調整部と、
前記ガイド部の荷重を検出して、前記ダイス部の内部における前記塗膜材の圧力を検出する圧力検出部と、を具備し、前記圧力調整部は、前記圧力検出部により検出された圧力に応じて、前記ダイス部に対する前記ガイド部の位置を調整することで、前記ダイス部の内部における前記塗膜材の圧力変動を抑制することが可能であり、前記ガイド部は、前記ダイス部に対向して設けられ、前記圧力検出部は、前記ガイド部に形成された荷重検知部であり、前記荷重検知部で検知する荷重の方向と、前記ガイド部自体の自重の方向は同一であり、前記荷重検知部で検知される荷重から、前記ガイド部自体の自重と、前記長尺部材から前記ガイド部が受ける荷重を差し引いて、前記ダイス部内の前記塗膜材の圧力を検出することを特徴とする塗膜材塗布装置である。
【0010】
前記ガイド部は、常に前記荷重検知部で検知される荷重の方向と反対方向に圧力調整部により力を受けており、前記荷重検知部で検知される荷重の方向と反対方向の力を調整することで、前記ダイス部に対する前記ガイド部の位置を調整してもよい。
【0011】
前記ガイド部の位置を調整する駆動部を備え、前記駆動部は、前記長尺部材の移動方向に対する前記ガイド部の中心に対して、前記ダイス部の出口側に偏心して設置されてもよい。
【0012】
第1の発明によれば、ダイス部の内部の圧力を調整するために、ダイス部側ではなくガイド部側の位置を制御するため、ダイス部に接続され、塗膜材を圧送するための配管の影響がない。したがって、膜厚の精度が高く、配管の取り外しや接続作業の影響を受けることがない。このため、再現性にも優れる。
【0013】
また、ガイド部をダイス部に対して一定の力で押し付ければ、ダイス部内の圧力を略一定に保つことができる。このため、構成がシンプルであり、制御が容易である。
【0014】
また、ガイド部の荷重を検出する圧力検出部を設けることで、より正確にダイス部内の塗膜材の圧力を制御することができる。
【0015】
また、ガイド部がダイス部の下方に設けられ、荷重検知部で検知される荷重から、ガイド部自体の荷重と、長尺部材からガイド部が受ける荷重を差し引いて、ダイス部内の塗膜材の圧力を検出することで、正確な圧力を検知することができる。
【0016】
この際、ガイド部が、上方に向けて押圧力を発揮するため、ダイス部内の圧力が増加した場合には、ガイド部が上方から受ける塗膜材の圧力、ガイド部の自重および長尺部材からの荷重は、いずれも下向きの力となる。したがって、ダイス部内の圧力が増加した場合には、瞬時にガイド部の位置を下方に移動させることができる。
【0017】
一方、ダイス部内の圧力が低下した際には、ダイス部よりも荷重の小さなガイド部の自重と長尺部材からの荷重を差し引いた荷重で押圧すればよい。したがって、ガイド部を設定範囲の押圧力で常に上方に力を付与させればよいため、上方からダイス部を吊り下げた場合と比較して、精密な制御が可能となる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明にかかる塗膜材塗布装置を用いた長尺部材への塗膜材の塗布方法であって、前記ダイス部へ塗膜材を供給しながら、前記ガイド部と前記ダイス部との間に長尺部材を移動させて、前記圧力調整部によって、前記ダイス部内の前記塗膜材の圧力を略一定に制御した状態で、前記長尺部材の前記ダイス部側の面に前記塗膜材を連続的に塗布することを特徴とする長尺部材への塗膜材の塗布方法である。
【0019】
第2の発明によれば、塗布膜厚を精密に制御することが可能であり、塗膜の再現性にも優れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高い精度で、再現性にも優れた膜厚を得ることが可能な薄膜形成装置等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、塗布装置1を示す側方断面図であり、
図2は
図1のC−C線断面図である。塗布装置1は、主に、ガイド部3、ダイス部5、荷重検出部7、駆動部9、配管11等から構成される。なお、以下の説明において、基材である長尺部材13の上面に対して塗膜材15を塗布する方法について説明する。
【0023】
ガイド部3は、長尺部材13を下方から保持する部材である。すなわち、長尺部材13は、ガイド部3と接触する。ダイス部5は、ガイド部3の上方に配置される。ダイス部5は、内部にキャビティを有する。ダイス部5の例えば後方には配管11が接続される。したがって、外部の図示を省略した加圧容器もしくはディスペンサー等の塗膜材供給部から、配管11を介してダイス部5内部のキャビティに対して塗膜材15を連続して送り込むことができる(図中矢印A方向)。このとき、塗膜材15の圧力もしくは流量が制御される。
なお、塗膜材の材質は、例えばPVDF(PolyVinylidene DiFluoride)、PZT(lead zirconate titanate)、P3HT(poly(3−hexylthiophene−2,5−diyl))、PCBM([6,6]−Phenyl−C
61−Butyric Acid Methyl Ester)、PEDOT:PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(styrene sulfonate))などの物質を、水、トルエン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、アセトンなどの溶媒に溶解したものであるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0024】
ダイス部5の入口形状は長尺部材13の断面形状と略同形状とし、出口形状は塗布後の長尺部材13の断面形状と略同形状とする。なお、ダイス部5の入口形状は長尺部材13の幅方向に一様な形状が望ましいが、円形であっても良い。また、ダイス部5の内部でのキャビティの断面形状は、出口側(図中右側)に向かって径を大きくしてもよく、不変であっても良いが、ダイス部内の圧力を高め制御性を向上させる観点から、
図1に示すように、出口側に向かって連続的もしくは段階的に小さくなるようにすることが望ましい。
【0025】
ここで、長尺部材13は、長手方向に連続した部材であり、例えば、径が数μm〜数mmの断面が円形の基材であっても、矩形等の繊維状基材(線状体)であってもよく、幅が数mm以上で厚さが数μm〜数mmの平板状基材であってもよい。また、長尺部材13の材質は例えば、ガラス、樹脂、金属であるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明では、略矩形断面の平板状の長尺部材13の例を示す。
【0026】
図2に示すように、ガイド部3とダイス部5との間を長尺部材13が通過する。この際、長尺部材13の上面側が、ダイス部5の塗膜材15で満たされたキャビティに露出する。すなわち、長尺部材13とダイス部5の内面との間には隙間が形成される。したがって、長尺部材13の上面側は、キャビティ内の塗膜材15と接触する。
【0027】
同様に、長尺部材13の両側面とダイス部5およびガイド部3の内側面との間にも隙間が形成される。なお、長尺部材13の側面には、必ずしも塗膜材15を塗布する必要がない場合もあるが、長尺部材13と、ダイス部5およびガイド部3の内側面との間に隙間が形成されないと、長尺部材13を、塗布装置1内をスムーズに通過させることができない。したがって、長尺部材13を塗布装置1内で高速で通過させることが可能な程度に、隙間を形成することが好ましい。
【0028】
なお、ダイス部5およびガイド部3と長尺部材13の側面とのクリアランスは数10μm以上で、接触することなく走行可能なレベルとする。また、クリアランスが大き過ぎると液だれを引き起こすので100μm程度を上限とするのが望ましい。
【0029】
長尺部材13の下面の少なくとも一部は、ガイド部3と接触する。ここで、ガイド部3上を進行する長尺部材13には、キャビティ内の塗膜材15の圧力が付与されるとともに、長尺部材13の供給および巻き取り装置により所定の張力が与えられる。また、長尺部材13は、張力が付与された状態(直線状)に対して、ガイド部3によって、やや上方に持ち上げられた状態で保持される。すなわち、長尺部材13によってガイド部3は、下方へ押さえつけられる。このようにすることで、ガイド部3と長尺部材13とを密着させることができる。
【0030】
図1に示すように、ガイド部3の下部には、荷重検出部7および駆動部9が設けられる。荷重検出部7は、例えばロードセル等であり、ガイド部3から受ける荷重を検知することができる。前述の通り、ダイス部5の内部のキャビティには、所定の圧力で塗膜材15が連続して充填される。
【0031】
一方、ダイス部5を通過する長尺部材13は、その厚みが必ずしも一定ではない。このため、長尺部材13の厚み変動に応じて、キャビティ内の塗膜材15の圧力(特に長尺部材13の出口側における圧力)が変動する。例えば、長尺部材13の一部にわずかに厚い部分があると、長尺部材13とダイス部5のクリアランスが小さくなる。このため、当該部位における圧力が増加する。逆に、長尺部材13の一部にわずかに薄い部分があると、長尺部材13とダイス部5のクリアランスが大きくなる。このため、当該部位における圧力が低下する。
【0032】
なお、このような圧力の変動は、長尺部材13とのクリアランスが最も小さいダイス部5の出口近傍で顕著になる。したがって、塗膜材15の圧力を監視することで、長尺部材13とダイス部5との(特に出口近傍での)クリアランスの変動を検出することができる。すなわち、荷重検出部7は、ダイス部5内部の塗膜材15の圧力を検出可能な圧力検出部である。
【0033】
ダイス部5のキャビティ内の塗膜材15の圧力が変動すると、ガイド部3への荷重が変動する。したがって、荷重検出部7によって、ガイド部3から受ける荷重を検出することで、キャビティ内部の圧力変動を検出することができる。すなわち、長尺部材13の厚み変動を検出することができる。
【0034】
駆動部9は、移動ステージ等の荷重付与装置およびガイド手段としての固定ステージ等から構成され、荷重検出部7と接続される。荷重検出部7で圧力変動が検出されると、駆動部9を、この圧力変動に応じて上下に移動させる(図中矢印B方向)。
【0035】
駆動部9は、一定の力でガイド部3をダイス部5側に押し付ける。ダイス部5内の圧力変動が生じると、駆動部9は、ダイス部5の方向(図中上方)に対するガイド部3の押圧力を調整する。すなわち、駆動部9はダイス部5の内部の圧力調整部として機能する。このように、駆動部9を動作させることで、ダイス部5の内部を一定の圧力で保持するように調整することができる。
【0036】
なお、駆動部9は、長尺部材13の移動方向に対するガイド部3の中心に対して、ダイス部5の出口側(図中右側)に偏心して設置される。このようにすることで、ダイス部5の出口における圧力をより正確に把握し、ダイス部5の出口側におけるガイド部3の位置を精密に調整することができる。
【0037】
なお、ガイド部3は、長尺部材13との接触により、その進行方向に対して力を受ける。また、駆動部9がガイド部3の中心からずれた位置に配置されることで、ガイド部3が斜めに移動する恐れがある。このため、ガイド部3をダイス部5に対して平行に維持しつつ上下動させるために、ガイド部3には、図示を省略したガイド機構が設けられる。このガイド機構は、ガイド部3もしくはガイド部3に連結された部材に備えられ、ガイド部3が駆動部9により駆動される際、駆動部9による駆動方向に対しては機械的に規制しない一方、駆動部9による駆動方向と直角方向に対しては機械的に規制するものである。このガイド機構は、たとえばエアベアリングであり、ガイド部3が望ましくない方向へ変位するのを抑制しつつ低摺動での直動を実現する。
【0038】
このようにすることで、長尺部材13とダイス部5の隙間(特に出口部)が所定のクリアランスとなるように調整される。したがって、ダイス部5内に供給する塗膜材15の圧力を制御することで、所望の膜厚の薄膜を形成することができる。
【0039】
駆動部9によるガイド部3の押圧力を制御する場合には、例えば以下のようにすればよい。荷重検出部7によって検出される荷重は、ガイド部3内の塗膜材15の圧力と、ガイド部3の自重と、長尺部材13の張力に応じて、長尺部材13から受ける荷重の和である。ここで、ガイド部3の自重と、長尺部材13の張力は一定である。したがって、荷重検出部7で検知された荷重変動は、概ねダイス部5内の塗膜材15の圧力変動であるといえる。
【0040】
ここで、荷重検出部7により検出される荷重が増加したと判断すると、駆動部9によって瞬時にガイド部3を下方に移動させる必要がある。この際、駆動部9は、圧力増加に伴う荷重分をキャンセルするだけ移動させればよい。この場合には、ガイド部3の自重と長尺部材13からの荷重は、いずれも下方に向いて付与されるため、この力も利用することで、圧力変動に対して瞬時にガイド部3を下方に移動させることができる。
【0041】
逆に、荷重検出部7により検出される荷重が低下したと判断すると、駆動部9によって瞬時にガイド部3を上方に移動させる必要がある。この場合には、ガイド部3の自重と長尺部材13からの荷重は、いずれも下方に向いて付与されるため、これに対抗してガイド部3を移動させる必要がある。しかし、駆動部9は、常に上方に向けて力を発揮しているため、ガイド部3を上方に移動させる際に、力の方向を変化させる必要がない。したがって、圧力変動に対して瞬時にガイド部3を上方に移動させることができる。
【0042】
このように、駆動部9を下方のガイド部3側に配置することで、より精密な位置制御が可能となる。ダイス部5は、内部に塗膜材を保持するためのキャビティが形成されるため、ガイド部3よりも大きい。このため、ダイス部5側に荷重検出部7および駆動部9を配置した場合、軽量なガイド部3の位置制御を行う場合と比較して、重量の大きなダイス部5に対して位置制御を行う場合は、迅速かつ細かな位置制御が困難である。さらに、ダイス部5には、配管11が接続されるため、配管11とともにダイス部5を移動させる必要がある。このため、ダイス部5を精密に制御することが困難である。さらに、配管11の接続や取り外しを行うたびに、ガイド部3の移動の挙動が変化する恐れがある。このように、本発明のように、ガイド部3側の位置制御を行うことで、膜厚をより精密に制御することができる。
【0043】
なお、長尺部材13の厚み変動が小さい場合や、塗膜材15の厚み変化の許容幅が大きい場合には、荷重検出部7を用いずに、常に一定の力でガイド部3を上方に押圧可能な駆動部9のみを配置してもよい。
【0044】
次に、長尺部材13の表面に塗膜材15に塗膜を形成する方法について説明する。長尺部材13は、ホビン等から供給装置(図示省略)により、長尺部材13前処理装置(図示省略)へ送られる。供給装置から連続して巻き出される長尺部材13は、前処理装置によっての表面の洗浄・表面改質が行われる。例えば、走行する長尺部材13に対して所定の成分のガス(プラズマが望ましい)や液体を照射もしくは浸漬して長尺部材13の表面の洗浄や表面改質が行われる。
【0045】
前処理装置の後工程には塗布装置1が配置される。なお、前処理装置から塗布装置1にかけては不活性ガスを満たす等により長尺部材13が外気にさらされない構造にするのが望ましい。塗布装置1に導入された長尺部材13は、前述の通り、ダイス部5の内部において、塗膜材15と接触する。ダイス部5内部を長尺部材13が通過する際、長尺部材13の表面に塗膜材15が付着する。長尺部材13がダイス部5から導出する際に、長尺部材13の上面と、ダイス部5の内面とのクリアランスに応じた厚みの塗膜材15が持ち出される。
【0046】
このようにして、長尺部材13に塗膜材15が塗布された後、図示を省略した乾燥・熱処理装置によって、塗膜材15を乾燥し、所望の厚みの薄膜が形成される。また、薄膜が形成された長尺部材13が図示を省略した巻き取り装置によって巻き取られる。このようにして、塗膜材15が塗布された長尺部材13を形成することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ガイド部3側を駆動部9によって制御するため、ガイド部3側を制御する場合と比較して、より精度よく位置を制御することができる。また、配管11の影響を受けることがないため、再現性も高い。したがって、長尺部材13の表面の膜厚を精度よく形成することができる。
【0048】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図3は、塗布装置20を示す側方断面図である。なお、以下の説明において、塗布装置1と同様の構成については、
図1、
図2と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。塗布装置20は、塗布装置1と同様の構成を具備するが、ダイス部23が用いられる点で異なる。
【0049】
ダイス部23には配管11が接続される。ダイス部23には、可変テーパ部21が設けられる。可変テーパ部21は、ダイス部23の出口に対応する部位近傍を軸として、テーパ角度が変化するように移動可能である(図中矢印D方向)。ダイス部23の本体は、可変テーパ部21の回転に伴い可変テーパ部21の先端が接触するように断面円弧状に曲面で構成される。したがって、ダイス部23の本体部と可変テーパ部21とで囲まれた空間がキャビティとなる。
【0050】
可変テーパ部21は、あらかじめ位置が設定される。その状態で、前述した塗布装置1と同様に、長尺部材13に塗膜材15を塗布することができる。
【0051】
このように、可変テーパ部21を設け、可変テーパ部21の角度を調整することで、ダイス部23の出口側の圧力を変更することができる。したがって、所望の圧力に設定した後、駆動部9等を用いてダイス部23の内部の圧力を制御することで、設定した圧力を一定に保ち、塗膜材15を長尺部材13に塗布することができる。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明の一実施例を示す。
図1に示す塗布装置1を用いて長尺部材へ塗膜材を塗布した。
長尺部材13として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)に酸化インジウムスズ(ITO)が製膜されたものを幅5mmにスリット加工したものを用いた。塗膜材としては、導電性ポリマー材料であるpoly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(styrene sulfonate) (PEDOT:PSS) 水分散液(Heraeus社製:CLEVIOS P AI 4083(商品名))を用いた。
【0053】
長尺部材の進行速度を5m/minとし、長尺部材13の表面に厚さ約150nmの塗膜を形成した。このとき、駆動部9を動作させることで、ダイス部5の内部の圧力を1.2kPaに保持するように調整した。長尺部材13に塗膜材15が塗布された後、塗膜材15を乾燥・熱処理装置によって150℃を超えない温度に加温された窒素流で乾燥し塗膜を形成した。また、塗膜が形成された長尺部材13を巻き取り装置によって巻き取った。以上により、長尺部材の表面に塗膜が形成された。
【0054】
薄膜が形成された長尺部材13を約100mm採取し、長さ方向が20mm、40mm、64mmとなる点において、それぞれ幅方向の異なる点から5か所ずつ塗膜の厚さを測定した。結果を
図4に示す。
図4に示すように、本実施形態によれば、全ての測定位置において目標値150nmの±5%以内の厚さで塗膜が形成されていた。
【0055】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、ダイス部5等を下方に配置し、ガイド部3を上方に配置した場合には、駆動部9等はガイド部3の上方に配置すればよい。この場合でも、ガイド部3には配管11が接続されないため、ガイド部3の位置を制御する場合と比較して、精度よく圧力制御を行うことができる。