(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表面形状解析部は、前記濃度ヒストグラムから濃度レベルの平均値、コントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度のうち少なくとも1つを評価値として演算し、演算された評価値に基づいて前記被検物の表面形状を解析する請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面形状測定装置。
前記表面形状解析部は、演算された前記評価値を表面形状が既知である基準の被検物について予め演算された基準評価値と比較することにより前記被検物の表面形状を測定する請求項4に記載の表面形状測定装置。
前記表面形状を解析するステップは、前記濃度ヒストグラムから濃度レベルの平均値、コントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度のうち少なくとも1つを評価値として演算し、演算された評価値に基づいて前記被検物の表面形状を解析する請求項7〜9のいずれか1項に記載の表面形状測定方法。
前記表面形状を解析するステップは、演算された前記評価値を表面形状が既知である基準の被検物について予め演算された基準評価値と比較することにより前記被検物の表面形状を測定する請求項10に記載の表面形状測定方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、パスタ等の麺類は、その断面形状に対応する形状のノズル孔が形成されたダイスを用いて麺材料を押出成形した後、乾燥させることにより製造されるが、ダイスを形成する材料により、麺類の軸方向の表面がざらざらとした粗い形状になったり、つるつるした滑らかな形状になったりする。更には、乾燥によっては、麺類の表面にクラック等の発生がみられることもある。
このような表面形状の違いは、麺類の固さを左右する吸水挙動を変化させるとともにソース等の絡み具合にも影響を及ぼす。麺類の表面のクラック等は、品質及び外観上好ましくない場合もある。このため、麺類の表面がどのような形状を有しているのか詳細に把握することが必要とされる。
このうどんやパスタのような麺類等の加工食品や樹脂成型物といった非金属試料のように、柔らかな表面を有する被検物の表面形状は、硬い被検物の測定を行う従来の触針式表面形状測定法では、ダイヤモンド製蝕針によって被検物表面をなぞるため、被検物が削れてしまい、適切に測定ができない。
【0003】
現在、表面形状測定で主に利用されている2つの方法(反射光を利用した光干渉式表面形状測定法、及び共焦点レーザ顕微鏡を用いた表面形状測定法)は、非接触式測定法であるため、触針式表面形状測定法で測定できない被検物を分析することが可能である。
このため、上述の加工食品等の柔らかな表面を有する被検物の表面形状は、一般的に、光干渉式表面形状測定法や、特許文献1に開示されるような共焦点レーザ顕微鏡を用いて測定されている。このような共焦点レーザ顕微鏡は、被検物にレーザ光を照射し、被検物により反射された光を検出することで表面画像を取得するため、やわらかな麺類の表面を触針でなぞることなく測定を行うことができる。また、この顕微鏡は、レーザ光のスポット径が非常に小さいため、麺類の表面の微細な凹凸であっても、高精度の測定が行うことができる。
【0004】
一方、食品ではなく、かつ被検物の表面形状自体ではないが、表面形状に起因するシンチレーション(面ぎら)を評価する技術が、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示の技術は、被検物である防眩フィルムの表面が凹凸形状であるために発生する、即ち表面凹凸によって生じる面ぎらを定量的に評価するものであり、光源から被検物に光を入射し、被検物からの反射光又は透過光を撮影して画像データとして取り込み、取り込んだ光の輝度分布の画像処理を行い、輝度分布のバラツキの標準偏差を求め、求めた標準偏差値を被検物の表面の凹凸によって変化する面ぎら値とし、この面ぎら値が所定値以下か否かで被検物の性能、即ち防眩性を評価している。
また、特許文献3には、研磨加工された金属部品の加工表面自体の粗さの測定ではないが、加工表面の状態を反映する反映面、即ち加工表面の凹凸を再現した表面を持つレプリカに対し、反映面の背面から略垂直に光を照射し、透過した透過光をマイクロスコープの受光面で受光し、受光面において所定の値以上の強度を持った透過光が広がった範囲を特定し、特定された範囲に基づいて加工表面の粗さを判定する技術が開示されている。
【0005】
なお、食品の分野では、特許文献4に、可視光から赤外線領域の食品内部に浸透性のある特定波長の光を用い、分光分析法、光切断法による三次元測定法、画像解析手法を利用して、食品の透過光又は反射光の吸光度の二次元分布を画像として取り込み、被対象物の深さ方向における吸光度に換算し、被対象物が移動する間に、被対象物内部の二次元又は三次元位置における性状判定を行い、その位置の品質(成分、食感、物性、形状等)、特に成分含量変化を伴わない物性変化やその均一性を評価する評価する技術が開示されている。
また、特許文献5には、緑色の第1波長域の光にてウェーファ等の食品の表面を照明してカラーカメラ等の撮像装置で食品表面の反射光像(G画像)を得、得られたG画像から焦げにより黒色や茶褐色に変色した製造欠陥である黒点を検出し、赤色の第2波長域の光を食品の裏面側から照明してその透過光像(R画像)を得、得られたR画像から上記黒点及び欠けた小片の混入による製造欠陥である2重部分を検出し、更に、自然環境下の可視光像、特に青色の第3波長域のB画像を得、得られたB画像から食品内の孔やその周辺部の欠け等の製造欠陥を検出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来の2つの非接触測定法は、高精度の光学装置を利用することから、実際の製造ライン上で被検物の測定を行うには適していないという問題がある。
即ち、特許文献1に開示の技術は、麺類の表面の微細な凹凸であっても、高精度の測定が行うことができるものであるが、用いられるレーザ顕微鏡が、非常に高価である上に、測定操作が複雑で測定に時間がかかるという問題がある。
また、特許文献2に開示の技術では、面ぎら値の大小に応じた被検物の表面の凹凸の存在を把握することはできるが、面ぎら値で評価しているのは防眩性能であるため、被検物の表面の凹凸形状や凹凸分布などについて高精度に測定することができないという問題がある。
また、特許文献3に開示の技術では、マイクロスコープの受光面における閾値以上の強度の透過光の広がり範囲に基づいて加工表面の粗さを判定するので、微細な表面粗さを測定できても、被検物の表面の凹凸形状や凹凸分布などについて高精度に測定することができないという問題がある。
【0008】
また、特許文献4に開示の技術では、分光分析法、光切断法による三次元測定法、画像解析手法を利用しているが、求めているのは、食品の深さ方向における吸光度であり、食品内部の位置の品質であるため、被検物の表面の凹凸形状や凹凸分布などについて高精度に測定することができないという問題がある。
更に、特許文献5に開示の技術では、G画像で食品表面の黒点、R画像で内部の2重部分、B画像で食品内の孔やその周辺部の欠けの食品形状等の製造欠陥を検出することができるが、B画像で検出しているのは、食品内の孔やその周辺部の欠け等の食品自体の形状であるため、被検物の表面の凹凸形状や凹凸分布などについて高精度に測定することができないという問題がある。
上述したように、特許文献2〜5に開示の技術は、簡易な測定技術ではあるが、特許文献1に開示の技術と同等に高精度な測定結果を得ることができないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、うどんやパスタを含む麺類等の被検物における表面形状を容易に且つ高精度に測定することができる表面形状測定装置及び方法を提供することを課題とする。
特に、本発明の課題は、特許文献1に開示の技術のように、上述した共焦点レーザ顕微鏡を用いた表面形状測定法と同等に高精度な測定結果を、より簡便かつ迅速に得ることができる表面形状測定装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る表面形状測定装置は、被検物に照明光を照射する光源部と、光源部から照射された照明光に対する被検物の透過光により被検物の画像を取得する撮像部と、撮像部で取得された被検物の画像の濃度ヒストグラムを作成すると共に作成された濃度ヒストグラムの形状から被検物の表面形状を解析する表面形状解析部とを備え
、表面形状解析部は、濃度ヒストグラムで表される濃度分布状態から前記被検物の表面形状を解析し、表面形状解析部は、濃度ヒストグラムの濃度分布状態を、予め表面形状が既知である基準の被検物について予め測定された表面の凹凸の基準ヒストグラムと比較することにより、被検物の表面全体の凹凸を測定し、基準ヒストグラムは、既知の被検物をレーザ顕微鏡法により測定し作成された既知の被検物の最大谷深さ基準高さのヒストグラムであり、そのパターン形状は既知の被検物の画像の濃度ヒストグラムのパターン形状と高い相関性を有する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様に係る表面形状測定方法は、被検物に照明光を照射し、照射された照明光に対する被検物の透過光により被検物の画像を取得し、取得された被検物の画像の濃度ヒストグラムを作成し、作成された濃度ヒストグラムに基づいて被検物の表面形状を解析
し、表面形状を解析するステップは、濃度ヒストグラムで表される濃度分布状態から被検物の表面形状を解析し、表面形状を解析するステップは、濃度ヒストグラムの濃度分布状態を、予め表面形状が既知である基準の被検物について予め測定された表面の凹凸の基準ヒストグラムと比較することにより、被検物の表面全体の凹凸を測定し、基準ヒストグラムは、既知の被検物をレーザ顕微鏡法により測定し作成された既知の被検物の最大谷深さ基準高さのヒストグラムであり、そのパターン形状は前記既知の被検物の画像の濃度ヒストグラムのパターン形状と高い相関性を有する。
【0012】
ここで、上記第1の態様の表面形状解析部、または上記第2の態様の表面形状を解析するステップは、被検物の表面形状として被検物の表面全体の凹凸の状態を解析することが好ま
しい。
また、被検物は、麺類であることが好まし
い。
【0013】
また、上記第1の態様の表面形状解析部、または上記第2の態様の表面形状を解析するステップは、濃度ヒストグラムから濃度レベルの平均値、コントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度のうち少なくとも1つを評価値として演算し、演算された評価値に基づいて被検物の表面形状を解析することが好ましく、また、演算された評価値を表面形状が既知である基準の被検物について予め演算された基準評価値と比較することにより被検物の表面形状を測定することがより好ましい。
また、上記第1の態様では、光源部は、照明光として被検物に白色光を照射し、表面形状解析部は、撮像部で取得された被検物のカラー画像のRGBのうち少なくとも1つの色に対する濃度ヒストグラムを作成することがより好ましい。
また、上記第2の態様では、照明光は白色光であり、表面形状を解析するステップは、取得された被検物の画像をRGB分解すると共にRGBのうち少なくとも1つの色に対する濃度ヒストグラムを作成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、うどんやパスタを含む麺類等の被検物において、照明光が照射された被検物からの透過光により被検物の透過画像を取得し、この透過画像から濃度ヒストグラムを作成すると共に濃度ヒストグラムに基づいて表面形状を解析するので、被検物の表面形状、例えば、被検物の表面の凹凸の状態を容易に且つ高精度に測定することができる。
また、本発明によれば、作成される濃度ヒストグラムの形状は、共焦点レーザ顕微鏡による測定から取得されたグラフの形状と非常に高い相関関係があるため、共焦点レーザ顕微鏡を用いた従来技術の表面形状測定法と同等の測定結果を、より簡便かつ迅速に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面に示す好適な実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係る表面形状測定装置の一構成例を示す。
同図に示す本実施形態の表面形状測定装置10は、被検物としてパスタ等の麺類からなる円筒状試料Sに対向して配置された光源部12と、試料Sを間に挟むように光源部12に対向して配置された撮像部14と、撮像部14に接続された表面形状解析部16とを有する。
【0017】
光源部12は、試料Sの軸方向に対して垂直な方向から試料Sに照明光を照射するものである。光源部12としては、特に制限的ではなく、試料Sを透過する照明光を照射できればどのようなものでも良いが、特定波長域の光、例えば青光(B光:波長450〜495nm)、赤光(R光:波長620〜750nm)、及び緑光(G:波長495〜570nm)の少なくとも1つの単色光を含む照明光を照射することが好ましく、青光を含む照明光を照射することがより好ましい。例えば、光源部12として、青色(B)LED(発光ダイオード)、緑色(G)LED、赤色(R)LED等の単色LEDや、Rレーザ、Gレーザ、Bレーザ等の単色レーザの1以上から構成しても良いし、RGBの3色の単色LEDや単色レーザからなる白色LEDや、単色LEDや単色レーザと蛍光体からなる擬似白色LEDから構成しても良い。本実施形態では、光源部12として、白色LED又は擬似白色LEDを光源として内蔵するLEDライトボードを用いることができる。
【0018】
撮像部14は、光源部12から照射された照明光に対する試料Sの透過光に基づいて試料Sのカラー画像を取得するものである。撮像部14としては、試料Sのカラー画像を少なくとも3原色(RGB、もしくはC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー))の異なる波長域(色)に分解して、例えばRGB分解して各色のデジタル画像データを取得することができれば、どのようなカラー撮像素子から構成されるものであっても良い。カラー撮像素子としては、CCD撮像素子や無機CMOS撮像素子や有機CMOS撮像素子等を用いることができる。なお、単色光を照射する光源部12を用いる場合には、当該単色のデジタル画像データを取得できる単色用撮像素子であっても良い。本実施形態では、撮像部14として、上記カラー撮像素子を用いる汎用のデジタルカメラやCCDカメラ等から構成することができる。
【0019】
本実施形態の撮像部14に用いられる撮像素子によって取得される各色のデジタル画像データの階調数は、特に制限的ではなく、各色に付き8ビット程度あればよい。
【0020】
表面形状解析部16は、撮像部14に接続された画像解析部18と、画像解析部18に接続された判定部20を有している。
画像解析部18は、撮像部14により取得された試料Sのカラー画像の異なる全ての色(波長域)、例えばRGBデジタル画像データを撮像部14から受信し、全色(RGB)うちの少なくとも1つの色に対して、各色毎のデジタル画像データを用いて各色毎の濃度ヒストグラムを作成する。本実施形態では、RGBうちのB(青色)の濃度ヒストグラムを作成するのが好ましい。なお、以下の説明では、試料Sのカラー画像のRGBの3原色の内のB(青色)の濃度ヒストグラムを代表例として説明するが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0021】
判定部20は、画像解析部18で作成された濃度ヒストグラムから試料Sの表面形状を解析するもので、例えば、濃度ヒストグラムで表される濃度分布状態から表面形状、即ち表面の凹凸の状態を解析するものである。判定部20としては、予め表面形状が既知である基準試料について予め測定された表面の凹凸の大きさ(高さ)の基準ヒストグラムを格納しておき、それらの基準ヒストグラムと、濃度ヒストグラムの濃度分布状態を比較することにより、試料Sの表面の凹凸を解析することが好ましい。基準ヒストグラムは、判定部20のメモリ(図示せず)等に格納しておいても良いし、判定部20の外部のメモリ(図示せず)等に格納しておいても良い。
ところで、本発明者らは、上述のように、撮像部14により取得された試料Sのカラー画像の少なくとも1つの色に対する、画像解析部18で作成された濃度ヒストグラム(
図2(A)及び(B)参照)と、特許文献1に開示されているような共焦点レーザ走査型顕微鏡を用いた測定法(以下、レーザ顕微鏡法(LSM(Laser Scanning Microscopy)という)を用いて求められた試料Sの表面の凹凸形状の最大谷深さ基準高さのヒストグラム(
図3(A)参照)とが、高い相関性を持つことを知見したことから本発明に至ったものである。
【0022】
そこで、詳細は後述するが、予め、多数の既知の試料、例えば、異なる材質の種々のダイスを用いて製造された試料について、
それぞれ、LSM法を用いて試料の表面の凹凸形状の最大谷深さ
を基準高さ
とするヒストグラム
(最大谷深さ基準高さのヒストグラム)を求めると共に
、画像解析部18において濃度ヒストグラ
ムを求
め、そ
れらの
高い相関性から、最大谷深さ基準高さのヒストグラムを濃度ヒストグラムの校正用として定めてお
く。即ち、最大谷深さ基準高さのヒストグラムのパターン形状(高さ分布状態)
を濃度ヒストグラムのパターン形状(濃度分布状態)の校正用として定めておく。
その後、上述のようにして求められた所定の又は未知の試料Sの濃度ヒストグラムに基づいて、予め校正用として求められている複数の最大谷深さ基準高さのヒストグラムの中から、その濃度ヒストグラムに相関する(と相関性が高い)最大谷深さ基準高さのヒストグラムを求め、所定の試料Sの最大谷深さ基準高さのヒストグラムを定めることができ、所定の試料Sを特定することができる。その結果、所定の試料Sが、例えば、どの材質のダイスで製造された試料であるかを特定することもできる。
【0023】
なお、更に、予め、上記最大谷深さ基準高さのヒストグラムの高さの値を、上記濃度ヒストグラムの濃度の校正値として求めておくことにより、所定の、又は未知の試料Sの濃度ヒストグラムから、相関する(と相関性が高い)最大谷深さ基準高さのヒストグラムを求め、その濃度ヒストグラムの濃度値に相当する、相関する最大谷深さ基準高さのヒストグラムの高さの値を求めることができる。即ち、濃度値を最大谷深さ基準高さのヒストグラムの高さの値に変換することができる。
【0024】
また、判定部20は、更に、画像解析部18で作成された、試料Sの濃度ヒストグラムから試料Sの表面形状に関わる評価値を演算すると共に、この評価値を予め演算された基準評価値、例えば、基準試料の評価値と比較することによって、試料Sにおける表面形状を解析する。ここで、評価値としては、濃度レベルの平均値MEN、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTのうち少なくとも1つを採用することができる。
【0025】
ところで、本発明者らは、試料Sの濃度ヒストグラムと、LSM法を用いて作成された試料Sの最大谷深さ基準高さのヒストグラムとが高い相関性を持つことから、試料Sの濃度ヒストグラムから演算される評価値と、試料Sの最大谷深さ基準高さのヒストグラムから演算される評価値とが高い相関性を持つこと(
図4(A)〜
図6(B)参照)を知見している。
このため、基準評価値(基準試料の評価値)として、例えば、同一の試料の濃度ヒストグラムと相関するLSM法によって作成された最大谷深さ基準高さのヒストグラムから演算される評価値を用いることもできる。なお、これらの基準評価値は、判定部20のメモリ(図示せず)等に格納しておいても良いし、判定部20の外部のメモリ(図示せず)等に格納しておいても良い。
【0026】
ここで、画像の各画素の所定の色、例えばBの濃度を、例えばレベル0(0階調)〜レベル(L−1)(L−1階調)のL階調、例えば、256階調(L=256、8ビット)に正規化したときの画像中に現れる所定色(B)の濃度レベルi(=0〜L−1)の頻度をP(i)とすると、平均値MEN、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTは、それぞれ以下の式(1)によって表すことができる。
【0028】
次に、本発明の表面形状測定装置の作用及び本発明の表面形状測定方法について詳細に説明する。
図1に示した表面形状測定装置の動作について説明することにより、本発明装置の作用及び本発明法を説明する。
ここでは、
図1の表面形状測定装置10を用いて、予め表面形状が既知である基準の試料Sとして、異なる材質の5種類のダイス、例えば、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アルミニウム及びブロンズ製のダイスを用いて製造された試料S0、S1、S2、S3及びS4に対して、それぞれ、濃度ヒストグラムを作成する。その後、試料S0〜S4に対して、作成された濃度ヒストグラムから、それぞれ、平均値MEN、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTのそれぞれの評価値の演算を行う。
【0029】
試料S0〜S4は、いずれも同一素材(例えば、デュラムセモリナ(加水率32wt%(w.b.)))のパスタでありながらダイスの違いにより表面形状が互いに異なるもので、S0は、滑らかな表面を有する試料(ダイス:テフロン(登録商標)製)、S1は、S0より粗い表面を有する試料(ダイス:ポリプロピレン製)、S2は、多少粗い表面を有する試料(ダイス:ポリカーボネート製)、S3は、S2より粗い表面を有する試料(ダイス:アルミニウム製)、S4は、この中では最も粗い表面を有する試料(ダイス:ブロンズ製)である。
本実施形態の表面形状測定装置10では、光源部12として1000cd/m
2の薄型LEDライトボード(株式会社ネオテックスマテリアル社製)を用い、撮像部14としてデジタルカメラ(Canon EOS 40)を使用する。
【0030】
まず、試料S0を光源部12と撮像部14の間の所定の位置に載置し、光源部12から試料S0の軸方向に対して垂直に多色光(白色光)からなる照明光を照射する。この時、光源部12と撮像部14の間に配置された透明な載置台の上に試料S0を載置するが、光源部12として用いられるLEDライトボードの光射出面上に直接試料S0を載置してもよい。
そして、光源部12からの照明光に対する試料S0の透過光を捉えることにより撮像部14として用いられるデジタルカメラで試料S0の24ビットカラー画像を取得する。なお、試料S1〜S4についても、同様にして24ビットカラー画像を取得する。ここで、カラー画像は、RGBの3原色カラー画像で、各色8ビットデジタル画像データからなる24ビットのカラー画像である。このカラー画像取得の際の撮影範囲は、約1.5mm×20mmとし、その分解能は1画素(ピクセル)当たり4μmとしているが、特に限定されるものではない。例えば、分解能は、1画素(ピクセル)当たり0.7μm〜4μmとしても良い。
【0031】
滑らかな表面を有する試料S0の画像は、表面における反射が少ないために、透過光量が多く、明るくなるので、低濃度(高輝度)になる。試料S1〜S3は、その表面が少しずつ粗くなるので、表面における反射が少しずつ増加し、透過光量が少しずつ減少することから、それらの画像は、少しずつ濃度が高くなる(輝度が低下する)。そして、最も粗い表面を有する試料S4の画像は、表面における反射が多いために、透過光量が少なく、暗くなるので、高濃度(低輝度)となる。
【0032】
こうして取得されたカラー画像を、表面形状解析部16の画像解析部18でRGBの各色の8ビットデジタル画像データ毎に分離し、各色8ビット、即ちL=256階調としてRGB3色のそれぞれの色に対する濃度ヒストグラムを作成する。
このようにして作成された試料S0〜S4の青(B)色に対する濃度ヒストグラムを
図2(A)に示す。横軸は濃度(輝度値)、縦軸は頻度をそれぞれ表している。ここで、
図2(A)に示す濃度ヒストグラムの横軸(輝度値)を反転させた濃度ヒストグラムを
図2(B)に示す。
なお、本発明において、パスタ等の麺類の試料では、濃度ヒストグラムは、青(B)色の画像、即ちデジタル画像データを用いて作成するのが好ましい。その理由は、波長が短く精度がよいこと、及びパスタ等の麺類の試料の色は、黄色から橙色であり、その補色が青紫から青であるからである。したがって、RGBのいずれの色の濃度ヒストグラムを作成するのかは、対象とする試料Sの色に応じて適切なものを選択すれば良い。
【0033】
図2(A)及び(B)に示すように、滑らかな表面を持つ試料S0の濃度ヒストグラムは、規格化輝度値約187(高輝度)に高い頻度のピークを持ち、半値幅が狭く、裾の広がりの少ないシャープな分布パターンを有し、表面が少しずつ粗くなり、樹脂製のダイスである点で一致する試料S1〜S2の濃度ヒストグラムは、試料S0の濃度ヒストグラムに比べて、低い頻度のピークを持つ規格化輝度値が約165、約158と順次低輝度側にシフトしているが、半値幅が広く、裾の広がりの多いブロードな類似の分布パターンを有しており、更に表面が更に粗くなり、金属製のダイスである点で一致する試料S3〜S4の濃度ヒストグラムは、試料S0の濃度ヒストグラムに比べて、低い頻度のピークを持つ規格化輝度値が約146、約141と順次低輝度側にシフトしているが、半値幅が広く、裾の広がりの多いブロードな類似の分布パターンを有しており、試料S0〜S4の濃度ヒストグラムは、それぞれ異なる所定の濃度に頻度のピークを有し、それぞれ異なる所定濃度範囲に分布する濃度分布パターンを示しており、それぞれ互いに分離可能な特徴的な分布パターンを示していることが分かる。
【0034】
一方、上述した従来技術のように、試料S0〜S4の表面をレーザ顕微鏡を用いたLSM法によって測定した測定結果を示すグラフを
図3(A)に、LSM法による測定の概要を説明する説明図を
図3(B)を示す。ここでは、レーザ顕微鏡として、共焦点レーザー顕微鏡VK−8710(キーエンス社製)を用いるが、これに限定されないのは言うまでもない。
試料S0〜S4の表面の所定領域、例えば、約500μm(0.5mm)×約700μm(0,7mm)の範囲に対して、LSM法による表面形状の凹凸の測定を行い、
図3(B)に示すように、測定された凹凸の最大谷深さDを基準とする凹凸のピーク高さ(μm)を測定して、最大谷深さ基準の高さの頻度を求め、そのヒストグラムを作成する。
このようにして作成された各試料S0〜S4の最大谷深さ基準の高さのヒストグラム(以下、単に、高さヒストグラムという)が
図3(A)に示される測定結果である。
図3(A)の高さヒストグラムにおいて、横軸は最大谷深さ基準の高さ(μm)、縦軸は頻度を表している。
【0035】
図3(A)に示すように、滑らかな表面を持つ試料S0の高さヒストグラムは、高さ約21μmに高い頻度のピークを持ち、半値幅が狭く、裾の広がりの少ないシャープな分布パターンを有し、表面が少しずつ粗くなり、樹脂製のダイスである点で一致する試料S1〜S2の高さヒストグラムは、試料S0の高さヒストグラムに比べて、少し低い頻度のピークを持つ高さが約29μm、約36μmと順次高い側にシフトしているが、少しブロードな類似の分布パターンを有しており、更に表面が更に粗くなり、金属製のダイスである点で一致する試料S3〜S4の高さヒストグラムは、試料S0の高さヒストグラムに比べて、低い頻度のピークを持つ高さが約62μm、約64μmと順次高い側にシフトしているが、半値幅が広く、裾の広がりの多いブロードな類似の分布パターンを有しており、試料S0〜S4の高さヒストグラムは、それぞれ異なる所定の高さに頻度のピークを有し、それぞれ異なる所定高さ範囲に分布する高さ分布パターンを示しており、それぞれ互いに分離可能な特徴的な分布パターンを示していることが分かる。
【0036】
図2(B)に示す試料S0〜S4の濃度ヒストグラムと、
図3(A)に示す試料S0〜S4の高さヒストグラムとを比較すると、試料S0の濃度ヒストグラムと高さヒストグラムとは、極めて高い相関性を示しており、試料S1及びS2の濃度ヒストグラムと高さヒストグラムとは、試料S0の両ヒストグラムに対しても、それぞれ高い相関性を示しており、また、試料S3及びS4の濃度ヒストグラムと高さヒストグラムとは、試料S0の両ヒストグラムや、試料S1及びS2のそれぞれの両ヒストグラムに対しても、それぞれ高い相関性を示していることが分かる。
そこで、予め、既知の多くの試料の濃度ヒストグラムに対して高い相関性のある高さヒストグラムを校正用の基準ヒストグラムとして、判定部20の内部又は外部のメモリ等に格納させておく。更に、既知の多くの試料の濃度ヒストグラムの各濃度値に対して、高い相関性のある高さ
ヒストグラムの高さの値を校正値として、判定部20の内部又は外部のメモリ等に格納させておく。
【0037】
その結果、表面形状解析部16の画像解析部18で、
図2(A)に示す試料S(S0〜S4)の濃度ヒストグラムが作成された場合に、判定部20において、試料Sの濃度ヒストグラムに相関性のある基準ヒストグラムとして、
図3(A)に示す高さヒストグラムの1つを求めることができ、試料Sの濃度ヒストグラムの濃度値から相関性のある高さストグラムの高さの値を求めることもできる。
こうして、本発明においては、
図2(A)に示すような各濃度ヒストグラムを作成することで、共焦点レーザ顕微鏡を用いたLSM法と同程度に高精度な測定を行うことができる。
【0038】
さらに、判定部20で、このように画像解析部18で作成された試料SのB色に対する各濃度ヒストグラムから、上記式(1)に基づいて演算を行い、平均値MEN、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTを算出し、算出されたコントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギ値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTを試料Sの表面形状に関わる評価値として用いて、この評価値を予め演算された基準評価値と比較することによって、試料Sにおける表面形状を解析するようにしても良い。
なお、これらの評価値に関しては、上述のように、試料Sの表面形状が粗くなるほど、濃度レベルのピーク値が低下したヒストグラムになるので、平均値MEN、コントラスト値CNT及びエネルギー値EGYが減少する一方、分散値VAR、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTは増加する傾向となる。
【0039】
即ち、
図2(A)に示す試料S0〜S4のB色に対する各濃度ヒストグラムから、上記式(1)に基づいて演算を行い、本発明法による試料Sのカラー画像の(B)濃度の平均値MEN、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTを算出することができる。
一方、上記式(1)は、
図3(A)に示す試料S0〜S4の表面粗さの最大谷深さ基準の高さのヒストグラムに関しても、LSM法で得られた試料Sの表面粗さを高さとして、レベル0(1μm)〜レベルL−1((Lμm)のLレベル、例えば、128レベル(L=128、7ビット)に正規化した時に、表面粗さとして現れる高さのレベルi(=0〜L−1)の頻度をP(i)とすることにより、同様に適用することができ、LSM法で得られた試料Sの最大谷深さ基準の高さのヒストグラムから、上記式(1)に基づいて、従来のLSM法による試料Sの最大谷深さ基準の高さの平均値MEN、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTを同様にして算出することができる。
【0040】
こうして算出された本発明法による試料Sのカラー画像の(B)濃度の評価値である、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTと、従来のLSM法による試料Sの最大谷深さ基準の高さの評価値である、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTとのそれぞれの相関関係を示すグラフを、
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)、
図5(B)、
図6(A)及び
図6(B)に示す。
これらの
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)、
図5(B)、
図6(A)及び
図6(B)から明らかなように、コントラスト値、分散値、エネルギ値、エントロピ値、歪度及び尖度のいずれの評価値においても、本発明法による試料Sのカラー画像の(B)濃度と、従来のLSM法による試料Sの最大谷深さ基準の高さとは、即ち、本発明法と従来のLSM法とは、高い相関性を持つことが分かる。
【0041】
各試料S0〜S4について本発明法で得られたコントラスト値及びLSM法で得られたコントラスト値との相関関係を
図4(A)において、両者の相関関係を評価する
寄与率(R
2)の結果は、R
2が0.972と非常に小さく、本発明法による測定値が共焦点レーザ顕微鏡を用いたLSM法による測定値とほぼ同程度の精度を有していることが分かる。
また、
図4(B)に示す分散値の相関関係、
図5(A)に示すエネルギ値の相関関係、
図5(B)に示すエントロピ値の相関関係、
図6(A)に示す歪度の相関関係、及び
図6(B)に示す尖度の相関関係においても、本発明法とLSM法との両者の相関関係を評価する
寄与率(R
2)は、それぞれ、0.735、0.795、0.805、0.848、及び0.801と非常に小さく、これらの分散値、エネルギ値、エントロピ値、歪度及び尖度のいずれの評価値においても、本発明法による測定値が共焦点レーザ顕微鏡を用いたLSM法による測定値とほぼ同程度の精度を有していることが分かる。
【0042】
したがって、
図2(A)に示すような試料S0〜S4のB色に対する各濃度ヒストグラムから算出された本発明法による試料Sのカラー画像の(B)濃度の評価値、即ち、コントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度に対して、予め、
図3(A)に示すような試料S0〜S4の表面形状の凹凸の最大谷深さ基準の高さのヒストグラムから、LSM法による試料Sの最大谷深さ基準の高さの評価値の、コントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度を算出しておき、それぞれ相関性のある、LSM法による高さの評価値、即ち、コントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度を、それぞれ基準評価値、即ち、基準コントラスト値、基準分散値、基準エネルギー値、基準エントロピ値、基準歪度及び基準尖度として判定部20内外のメモリに格納しておき、本発明法により、試料Sの濃度の評価値、即ちコントラスト値、分散値、エネルギー値、エントロピ値、歪度及び尖度を、基準評価値、即ち、基準コントラスト値、基準分散値、基準エネルギー値、基準エントロピ値、基準歪度及び基準尖度と比較することにより、試料Sの表面形状や表面粗さを解析し、特定する、すなわち測定することができる。
【0043】
なお、予め、LSM法による試料Sの最大谷深さ基準の高さの基準評価値に対応付けられている本発明法による試料Sのカラー画像の(B)濃度の評価値を、濃度評価値校正用の基準評価値として用いても良い。
また、本発明においては、予め複数の基準となる試料、例えば試料となるパスタ等の麺類を製造するダイス毎に標準となる試料を製造しておき、基準となる試料について上記の評価値を求めて、基準試料の評価値を基準評価値としても良い。
【0044】
即ち、判定部20において、例えば、試料Sの色Bに対する濃度コントラスト値CNTが、基準コントラスト値CNTと比較され、比較結果に基づいて試料Sにおける表面形状が解析される。試料Sのコントラスト値CNTの大きさが、例えば、基準評価値となる試料S0のコントラスト値CNTと同程度あるいはそれより小さければ、試料Sの表面形状は、S0の表面形状よりも滑らかな表面形状を有することが明らかになり、上記試料S0のコントラスト値CNTから基準評価値となる試料S1のコントラスト値CNTの間であれば、試料S0の表面形状よりは粗く試料S1の表面形状よりも滑らかな形状であることが明らかとなり、また、基準評価値となる試料S3のコントラスト値CNTから基準評価値となる試料S4のコントラスト値CNTの間であれば、試料S3の表面形状よりは粗く試料S4の表面形状より滑らかな形状であることが明らかとなり、試料S4のコントラスト値CNTより大きければ、試料S4の表面形状より粗い表面形状を有していることが明らかとなる。
【0045】
試料Sのコントラスト値CNT以外の分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTのいずれかの評価値を、対応する基準評価値と比較することによっても試料Sにおける表面形状の解析を行うことが可能である。但し、エネルギ値EGYについては、試料Sの評価値が基準評価値より小さくなるほど、基準の試料よりも表面形状が粗いものであると判断され、分散値VAR、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTについては、試料Sの評価値が基準評価値より大きくなるほど、基準の試料よりも表面形状が滑らかなものであると判断される。
【0046】
また、1つの評価値だけでなく、コントラスト値CNT、分散値VAR、エネルギー値EGY、エントロピ値EPY、歪度SKEW及び尖度KURTのうちの複数の評価値を求め、それぞれ基準評価値と比較した結果に基づいて表面形状を解析してもよい。
この場合、複数の評価値が同時に同一の傾向を示している場合に、それに対応して試料Sの表面形状を解析することができる。例えば、試料Sについて、コントラスト値CNTと分散値VARの双方を演算し、試料Sのコントラスト値CNTが基準評価値より大きく且つ試料Sの分散値VARが基準評価値より小さい場合にのみ、試料Sにおける表面形状は基準の試料の表面形状よりも滑らかであるとあると判断され、一方、試料Sのコントラスト値CNTが基準評価値より小さく且つ試料Sの分散値VARが基準評価値より大きい場合にのみ、試料Sに基準の試料よりも粗い表面形状であると判断する。
複数の評価値を同時に使用することで、より詳細に表面形状の解析を行うことが可能となる。
【0047】
なお、上記の実施の形態では、RGBカラー画像の青色Bに対する試料Sの評価値を求め、基準評価値と比較しているが、RGBカラー画像の内の赤色Rあるいは緑色Gに対する試料Sの評価値を、RあるいはGに対する試料の基準評価値とそれぞれ比較することによっても、試料Sにおける表面形状を解析することができる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、白色LEDを用いた光源部12から試料に白色光からなる照明光を照射し、撮像部14で取得したRGBカラー画像を用いて画像解析部18でRGB各色に対する濃度ヒストグラムをそれぞれ作成したが、これに限るものではなく、画像解析部18でRGBのうちいずれか1色又は2色に対する濃度ヒストグラムのみを作成するようにしてもよい。また、光源としては、LEDに限らず、各種の光源を使用することができる。
【0049】
さらに、光源部12が単色光源を内蔵し、光源部12から試料に照明光として単色光を照射し、撮像部14で取得した単色画像から画像解析部18が直接当該色の濃度ヒストグラムを作成するように構成することもできる。このようにすれば、撮像部14でのRGBカラー画像の取得や、画像解析部18におけるRGBデジタル画像データの分離が不要になり、処理が簡素化される。
【0050】
以上のように、本実施の形態の表面形状測定装置及び方法によれば、試料に対して演算された評価値を基準評価値や基準の試料の評価値と比較することにより、試料の表面形状を共焦点レーザ顕微鏡の測定とほぼ同じ程度の高精度な解析を行うことができ、また、試料の表面形状を容易に測定することが可能となる。
【0051】
なお、本発明の表面形状測定装置及び方法は、スパゲティ等のパスタの他、うどん、ひやむぎ、素麺、冷麺、中華麺、そば等の各種の麺類に広く適用することができる。また、このような麺類に限らず、少なくとも所定の波長の光を透過するものであれば特に制限的ではなく、例えば、鶏卵、餃子の皮、春巻の皮、焼売の皮、グミ等を被検体として適用することができる。
【0052】
以上、本発明に係る表面形状測定装置及び方法について種々の実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行っても良いのはもちろんである。