(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性組成物を基材基板上に塗布し、該導電性組成物からなる配線パターンを前記基材基板上に形成する塗布工程と、前記塗布工程により形成された配線パターンを熱硬化する熱硬化工程と、前記熱硬化工程により熱硬化された配線パターンを有する前記基材基板を加圧する加圧工程と、を有する配線基板の製造方法において、
前記導電性組成物として、請求項1〜3のうちいずれか一項記載の導電性組成物を用いることを特徴とする配線基板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、微細な配線パターンを形成する技術として、加熱蒸着法やスパッタリング法で形成した金属薄膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングする手法が知られている。しかしながら、加熱蒸着法やスパッタリング法は真空環境が不可欠であり、その製造コストが問題となっている。また、フォトリソグラフィー法は溶剤を多量に使用するため、環境に対する負荷も問題点として挙げられている。
【0003】
これに対し、印刷法による配線パターンの形成技術は、低コストで多量の製品を効率よく製造することができるため、既に実用的に用いられている。しかしながら、より高い導電性を持つ配線パターンを印刷法にて形成する方法では、形成した導電性パターンに含まれるバインダー成分等を高温で焼成して除去する必要があった。このため、導電性パターンはガラス等の耐熱性硬質基板上に形成されることがほとんどである。
【0004】
一方で、近年の電子デバイスとして、フレキシブルシートディスプレイやフレキシブルRF−ID(ラジオ周波数認識)システム等の急速な普及が期待されている。これらのフレキシブルなデバイスを実現するには、可撓性を持つプラスチックフィルム上に配線パターンを形成しなければならない。しかしながら、可撓性をもつプラスチックフィルムの多くは、高温で軟化・溶融してしまうため、このプラスチックフィルム上に配線パターンを形成することは困難である。
【0005】
かかる課題に対して、例えば、特許文献1では、粒子径がナノオーダーの金属粒子を基材基板上に塗布し、低温(200〜300℃)にて加熱することによって、低抵抗率(約10μΩ・cm)の配線パターンを作製することが可能な導電性ナノ粒子ペーストが提案されている。しかしながら、粒径がナノオーダーの金属粒子は一般的に高価であるため、配線基板を安価に製造することは困難である。
【0006】
これに対して、特許文献2では、ナノオーダーの金属粒子を使用せず、高温加熱を要せず、安価に樹脂性基板上に配線パターンを作製した配線基板、およびこの配線基板を作製する方法が提案されている。具体的には、基材基板の表面に所望の配線パターン状に導電性ペーストを塗布し、得られた配線パターンを加圧ローラで加圧した後、150℃以下の温度にて加熱する。これにより、基材基板と配線パターンとが強固に密着した配線基板を製造するというものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の導電性組成物は、基材基板上に形成した配線パターンを加圧することにより低抵抗化処理する配線基板の製造方法に好適に用いることができる導電性組成物であり、バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂と、硬化剤と、金属粒子と、を含有する。このように本発明の導電性組成物は、バインダー樹脂として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用した点に最大の特徴がある。その結果、本発明によれば、金属粒子として、銀以外のアルミニウムや銅等を用いた場合であっても、形成された配線パターンは基材基板との密着性に優れ、しかも、抵抗値を低下させることができるという効果も得ることができる。以下、本発明の導電性組成物の各成分について、詳細に説明する。
【0018】
<熱可塑性樹脂>
本発明において、導電性組成物を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、フェノキシ系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6ナイロン等のポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂またはフッ素樹脂等を用いることができる。本発明においては、これら熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明においては、ポリエステル系樹脂およびフェノキシ系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0019】
ポリエステル系樹脂としては、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸のうちから選ばれた1種類以上とグリコール類のうちから選ばれた1種類以上を公知の方法により常圧または減圧下で重縮合して得られたものを使用できる。例えば、不飽和脂肪酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。飽和脂肪酸としては、ヘット酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、水素化ビスフェノールA、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、トリメチレングリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0020】
また、フェノキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM骨格(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP(4,4’−(1,4)−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール骨格)骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ(4,4’−シクロヘキシィジエンビスフェノール骨格)骨格を有するフェノキシ樹脂等のビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノキシ樹脂、ノルボルネン骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0021】
このような熱可塑性樹脂は、数平均分子量(Mn)が2000〜200000であることが好ましく、5000〜100000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が2000未満であると、印刷時の転移不良が発生しやすくなり良好な配線パターンの形成が困難となる場合がある。一方、数平均分子量が200000を超えると印刷時に導電性組成物の糸引きに起因するヒゲ欠陥やラインのうねり等が発生しやすくなり印刷適性を損なう場合があるので好ましくない。なお、数平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0022】
<熱硬化性樹脂>
本発明において、導電性組成物を構成する熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または熱硬化性ポリイミド樹脂等を用いることができる。なかでも、エポキシ系樹脂を用いることが好ましい。本発明においては、これら熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0024】
このような熱硬化性樹脂は、数平均分子量(Mn)が100〜50000であることが好ましく、150〜10000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量がかかる範囲から逸脱すると基材基板との密着性を損なう場合があるので好ましくない。
【0025】
以上説明したようなバインダー樹脂としての熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、質量比で95:5〜30:70の割合で配合することが好ましく、より好ましくは90:10〜50:50の割合で配合する。熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との配合割合を上記範囲とすることにより、基材基板との密着性に優れた配線パターンを形成することができ、また、併せて配線パターンの抵抗値を低下させることができる。なお、バインダー樹脂としての配合量は、導電性組成物中に固形分換算で1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%の範囲であることがより好ましい。バインダー樹脂は多いほど、基材基板との優れた密着性を確保することができるが、十分な導電性が得られなくなる場合がある。一方、バインダー樹脂が少なくなると、基材基板との密着性を損なう場合がある。
【0026】
<硬化剤>
本発明において、導電性組成物を構成する硬化剤としては、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂を硬化させることができるものであれば特に制限はなく、公知のものを適宜用いることができる。例えば、フェノール樹脂、イミダゾール化合物、酸無水物、脂肪族アミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第3級アミン、ジシアンジアミド、グアニジン類、またはこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもののほか、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム、テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物、特開平06−73156号公報に記載されているようなエポキシアダクトの表面を、ホウ酸エステル化合物等を用いて処理することにより得られる一液性エポキシ配合物、例えば、エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物等を用いることができる。これらの硬化剤は、単独用いてもよく、または2種以上を併用して用いてもよい。
【0027】
このような硬化剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜20質量部が好ましい。硬化剤の配合量をかかる範囲とすることにより、配線パターンの熱硬化性樹脂を良好に硬化させ、配線パターン中の金属粒子を保持すると共に基材基板との優れた密着性を確保することが可能となる。なお、硬化剤の添加量は、導電性組成物中に固形分換算で0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%の範囲であることがより好ましい。
【0028】
<金属粒子>
本発明において、導電性組成物を構成する金属粒子としては、アルミニウムや銅、銀、金等の粒子を挙げることができるが、コストや低抵抗化処理、マイグレーションの観点から、アルミニウムおよび銅の粒子が好ましい。これら金属粒子は、電子顕微鏡(SEM)を用いて10000倍で観察したランダムな10個の金属粒子の平均粒径で、0.1〜15μmであることが好ましく、0.5〜5μmの範囲であることがより好ましい。これらの金属粒子は、平均粒径が小さいほど金属粒子どうしの接触状態を良好とすることができ、形成される配線パターンの導電性を向上させることが可能となるが、金属粒子の平均粒径がナノオーダーになると低抵抗化処理の効果が十分に得られない場合がある。一方、金属粒子の平均粒径が大きくなると基材基板との密着性を損なう場合がある。
【0029】
本発明の導電性組成物においては、使用する金属粒子の形状については特に制限はないが、球状がより低抵抗化処理には好適である。このような金属粒子の配合量は、導電性組成物中に固形分換算で50〜90容量%であることが好ましく、60〜85容量%の範囲であることがより好ましい。金属粒子の配合量が50容量%未満であると、配線パターン内での金属粒子どうしの接触点が減少し、十分な導電性を得ることができなくなるおそれがある。一方、金属粒子の配合量が90容量%を超えると、相対的にバインダー樹脂の量が減少するので、配線パターンと基材基板との密着性が低下するおそれがある。なお、質量比では、導電性組成物中に固形分換算で65〜99質量%であることが好ましく、75〜97質量%の範囲であることがより好ましい。
【0030】
なお、本発明の導電性組成物には、例えば、印刷適性を損なわない範囲で、金属分散剤、チクソトロピー性付与剤、消泡剤、レベリング剤、希釈剤、可塑化剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、カップリング剤や充填剤等の添加剤を配合してもよい。
【0031】
本発明の導電性組成物を用いて、基材基板上に配線パターンを印刷する場合、通常、本発明の導電性組成物は溶剤で希釈して用いられるが、かかる溶剤としては、金属粒子の分散性がよく揮発性のあるものを用いるのが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−(2−メトキシ−2−メチルエトキシ)−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、および水等を挙げることができる。これら溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0032】
次に、本発明の配線基板の製造方法、および本発明の配線基板について説明する。
本発明の配線基板の製造方法は、導電性組成物を基材基板上に塗布し、該導電性組成物からなる配線パターンを前記基材基板上に形成する塗布工程と、前記塗布工程により形成された配線パターンを熱硬化する熱硬化工程と、前記熱硬化工程により熱硬化された配線パターンを有する前記基材基板を加圧する加圧工程と、を有する。本発明の配線基板の製造方法においては、導電性組成物として上記本発明の導電性組成物を用いることが重要である。上述の通り、本発明の導電性組成物は、配線基板を安価で効率よく製造でき、かつ、基材基板との密着性に優れた配線パターンを形成することができるからである。以下、本発明の配線基板の製造方法について、詳細に説明する。
【0033】
まず、
図1を参照し、配線基板の作製方法について説明する。
図1は、本発明の配線基板の製造方法を示すフローチャートであり、図示する通り、配線基板は、導電性組成物を基材基板上に塗布し、導電性組成物からなる配線パターンを基材基板上に形成する塗布工程(S1)と、塗布工程により形成された配線パターンを熱硬化する熱硬化工程(S2)と、前記熱硬化工程により熱硬化された配線パターンを有する前記基材基板を加圧する加圧工程(S3)と、を経て製造される。塗布工程(S1)では、上記本発明の導電性組成物が所定の配線パターン状に基材基板表面に塗布される。塗布方法としては特に制限はなく、導電性組成物を塗布する方法として公知の手法を適用することができる。塗布方法としては、例えば、各種印刷法(スクリーン印刷法、凹版印刷法、凸版印刷法、平版印刷法)、ディスペンシング法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0034】
次いで、塗布工程(S1)において本発明の導電性組成物が塗布された状態の基材基板は、熱硬化工程(S2)において配線パターンが加熱硬化される。この工程では、塗布された配線パターンの乾燥も同時に行うことができるが、必要に応じて、事前に塗膜乾燥工程を施して配線パターンを乾燥してもよい。本発明の導電性組成物のバインダー樹脂は熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂より構成されており、上述のとおり、バインダー樹脂中に熱硬化性樹脂が存在するため、この熱硬化工程を経ることにより、基材基板との良好な密着性を得ることができる。ここで、熱硬化条件は、好ましくは80〜200℃で1〜120分、より好ましくは100〜170℃で10〜60分とする。
【0035】
次いで、熱硬化工程(S2)において配線パターンが加熱硬化された配線基板は、加圧工程(S3)において加圧される。ここで、加圧工程(S3)では、印刷した導電性組成物と加圧体の間に水平方向の圧力が印加されるように加圧体を駆動させ、導電性組成物の表面にずり応力を発生させる。これにより、金属粒子が塑性変形し、隣接金属粒子間で圧接され導電性の金属結合が形成される。その結果、低抵抗化処理が実現される。
【0036】
さらに必要に応じて、加圧工程(S3)において低抵抗化処理された状態の配線パターンを有する基材基板は、加熱工程において加熱される。この加熱工程では、配線パターンを硬化収縮させることにより、金属粒子どうしの接触確率がさらに増加する。なお、この加熱工程は、加圧工程(S3)において加圧中に同時に実施してもよい。
【0037】
ここで、
図2を用いて、導電性組成物の塗布工程(
図1中S1に相当)について説明する。
図2では、バインダー2と金属粒子3とを有する導電性組成物4を基材基板1上に所定のパターンに塗布する方法として、スクリーン印刷法を採用した場合を示している。
図2に示すように、塗布工程では、所定の配線パターンを印刷可能なスクリーン版5が基材基板1上に配置される。そして、スクリーン版5上に導電性組成物が配置される。
【0038】
次いで、スクリーン版5上に配置された状態の導電性組成物4を、スキージー6を使用して基材基板1側に押し付けながら伸ばす。これにより、基材基板1上に所定の配線パターン状に導電性組成物4が塗布された状態となる。
【0039】
次に、熱硬化工程(
図1中S2に相当)について説明する。熱硬化工程では、加圧工程により加圧された状態の導電性組成物を加熱し、熱硬化させる。以上の工程を経て、配線パターンが形成された状態の配線基板が作製される。なお、本発明では、好ましくは80〜200℃で、より好ましくは100〜170℃の加熱温度にて導電性組成物を熱硬化させる。これにより、基材基板の材料として比較的熱に弱い樹脂性材料を使用した場合でも、基材基板の物性に影響を及ぼすことなく配線パターンを形成させることが可能となる。
【0040】
次に、
図3を参照し、加圧工程(
図1中S3に相当)について説明する。図示するように、加圧工程では、熱硬化工程(
図1参照)により熱硬化された配線パターンを構成する導電性組成物4上に加圧体7を置き、水平方向の圧力が印加されるように加圧体7を駆動させ導電性組成物4を加圧する。これにより、金属粒子3が塑性変形し、隣接金属粒子3間で圧接され、導電性の金属結合3aが形成され、配線パターンの導電性が向上する。なお、図示例においては、加圧体7として加圧ローラを用いているが、本発明においては、加圧体はこれに限られるものではない。
【0041】
以上説明したように、本発明の導電性組成物を基材基板上に塗布し、配線パターンを形成する。これにより、熱硬化性樹脂と基材基板とが強固に密着するため、密着性に優れた配線パターンを有し、かつ、低抵抗化を実現した配線基板を作製することが可能となる。
【0042】
なお、本発明の配線基板の製造方法に用いる基材基板については特に制限はなく、従来から、基材基板の材料として使用される樹脂材料が使用可能である。特に基材基板として樹脂製の基材を用いる場合は、例えば、ポリイミド、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)等を挙げることができ、好適には、ポリエステル系樹脂を用いることができる。
【0043】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)を挙げることができる。また、これらの樹脂材料では導電性組成物の密着性を向上させるために、プライマーを塗布したり、コロナ処理等の処理を施したりすることがあるが、そのような処理を行ってもかまわない。
【実施例】
【0044】
以下、実施を用いて本発明をより詳細に説明する。
<実施例1>
熱可塑性樹脂83質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、熱硬化性樹脂17質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840)、有機溶剤241質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、硬化剤(1)1.7質量部(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N)、硬化剤(2)3.2質量部(エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子433質量部(球状粉、平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で60容量%であった。
【0045】
<実施例2>
熱可塑性樹脂83質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、熱硬化性樹脂17質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840)、有機溶剤289質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、硬化剤(1)1.7質量部(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N)、硬化剤(2)3.2質量部(エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子675質量部(球状粉、平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で70容量%であった。
【0046】
<実施例3>
熱可塑性樹脂83質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、熱硬化性樹脂17質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840)、有機溶剤414質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、硬化剤(1)1.7質量部(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N)、硬化剤(2)3.2質量部(エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子1152質量部(球状粉、平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で80容量%であった。
【0047】
<実施例4>
熱可塑性樹脂83質量部(フェノキシ樹脂:新日鐵化学(株)社製 YP−50)、熱硬化性樹脂17質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840)、有機溶剤289質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、硬化剤(1)1.7質量部(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N)、硬化剤(2)3.2質量部(エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子675質量部(球状粉、平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で70容量%であった。
【0048】
<実施例5>
熱可塑性樹脂83質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、熱硬化性樹脂17質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840)、有機溶剤289質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、硬化剤(1)1.7質量部(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N)、硬化剤(2)3.2質量部(エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子675質量部(長細粉、長軸方向平均粒径4μm、短軸方向平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で70容量%であった。
【0049】
<実施例6>
熱可塑性樹脂83質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、熱硬化性樹脂17質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840)、有機溶剤289質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、硬化剤(1)1.7質量部(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N)、硬化剤(2)3.2質量部(エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)および銅粒子2220質量部(球状粉、平均粒径3μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、銅含有量は、導電性組成物中に固形分換算で70容量%であった。
【0050】
<比較例1>
熱可塑性樹脂100質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、有機溶剤277質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子416質量部(球状粉、平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で60容量%であった。
【0051】
<比較例2>
熱可塑性樹脂100質量部(非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290)、有機溶剤338質量部(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、レベリング・消泡剤5質量部(共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90)、表面改質剤5質量部(シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040)およびアルミニウム粒子648質量部(球状粉、平均粒径2μm)をディゾルバーにて500rpm、20分間撹拌した。その後、7インチサイズセラミックス製3本ロールにて3回混練して導電性組成物を作製した。なお、アルミニウム含有量は、導電性組成物中に固形分換算で70容量%であった。
【0052】
<基板の作製>
得られた実施例1〜6および比較例1、2の導電性組成物を用いて、配線基板を作製した。基材基板としてはポリイミドフィルム50μmを用いた。この基材基板の上に、得られた導電性組成物を用いてスクリーン印刷(パターン印刷)を行った。スクリーン印刷には、300メッシュのポリエステルスクリーン版を用いた。比抵抗値測定用の基板の配線パターンは、0.1cm×40cmとし、密着性評価用の基板の配線パターンは2cm×5cmとした。次いで、基材基板上に形成した配線パターンを、150℃で30分間の条件にて乾燥・熱硬化し、その後、後述する低抵抗化処理を行って配線基板を作製した。
【0053】
<低抵抗化処理>
スクリーン印刷した導電性組成物により形成された配線パターンを加圧機ステージに真空チャックもしくは粘着性テープにより設置し、加圧体と導電性組成物の配線パターンの表面との間にずり応力が発生するように加圧機ステージと加圧体の速度を調整した。このとき発生するずり応力はプレスケール(富士フィルム(株)社製)により計測し、55MPa以上であった。
【0054】
<比抵抗値>
低抵抗化処理を施した抵抗値測定用の配線パターン(0.1cm×40cm)について、HIOKI社製のHIOKI3540mΩハイテスタを用いて配線パターンのライン抵抗値を測定した。得られたライン抵抗値から、下記式を用いて比抵抗値を算出した。
比抵抗値(Ω・cm)=ライン抵抗値(Ω)×膜厚(cm)×ライン幅(cm)/ライン長さ(cm)
得られた結果を、下記表1および2に示す。
【0055】
<密着性>
低抵抗化処理を施した密着性評価用の基板の配線パターン(2cm×5cm)について、クロスカット法(JIS K−5600)に準拠して、1mm間隔の格子状に配線パターンを25個切り込んだ。その上にテープを貼り、剥がした時の状態により密着性の評価を行った。剥離がないものを○、剥離があるものを×とした。得られた結果を下記表1および2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
※1 熱可塑性樹脂A:非晶性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製 バイロン290
※2 熱可塑性樹脂B:フェノキシ樹脂:新日鐵化学(株)社製 YP−50
※3 熱硬化性樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:DIC(株)社製 EPICLON840
※4 硬化剤1:エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物:四国化成工業(株)社製 L−07N
※5 硬化剤2:エポキシイミダゾールアダクト:四国化成工業(株)社製 P0505
※6 金属粒子A:アルミニウム粒子、球状粉、平均粒径2μm
※7 金属粒子B:アルミニウム粒子、長細粉、長軸方向平均粒径4μm、短軸方向平均粒径2μm
※8 金属粒子C:銅粒子、球状粉、平均粒径3μm
※9 レベリング・消泡剤:アルリル系レベリング・消泡剤:共栄社化学(株)社製 ポリフローNo.90
※10 表面改質剤:シランカップリング剤:東レ・ダウコーニング(株)社製 Z−6040
※11 有機溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
※12 HIOKImΩハイテスタの測定レンジを超えて測定不能(非導電性)
【0058】
表1および2より、本発明の導電性組成物を用いて基材基板上に形成した配線パターンは基材基板と強固な密着性を有しており、また、比抵抗値も十分に低いものであることがわかる。以上より、本発明の導電性組成物は、RF−IDなどの電子デバイスの製造に好適に用いることができる。