(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セメント100質量部と、水12〜35質量部と、粗骨材500〜1000質量部と、硬化促進剤0.5〜5質量部とを混合して表面にセメントペーストが付着した粗骨材粒子を作製する粗骨材粒子作製工程と、
セメント100質量部と、水38〜65質量部と、細骨材200〜400質量部と、凝結遅延剤0.05〜1.5質量部とを混合してフレッシュモルタルを作製するモルタル作製工程と、
前記粗骨材粒子と、前記フレッシュモルタルとを、体積比で3:7〜5:5となるように混合する混合工程とを備えるコンクリートの製造方法。
前記粗骨材粒子作製工程では、更に、増粘剤、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ベントナイト、鉄、鉄化合物からなる群より選択される少なくとも1種を混合する請求項1に記載のコンクリートの製造方法。
前記モルタル作製工程では、更に、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、酸化カルシウム粉末からなる群から選択される少なくとも1種を混合する請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法。
前記凝結遅延剤が、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のコンクリートの製造方法およびコンクリートについて説明する。
本実施形態のコンクリートの製造方法は、
セメント100質量部と、水12〜35質量部と、粗骨材500〜1000質量部と、硬化促進剤0.5〜5質量部とを混合して表面にセメントペーストが付着した粗骨材粒子を作製する粗骨材粒子作製工程と、
セメント100質量部と、水38〜65質量部と、細骨材200〜400質量部と、凝結遅延剤0.05〜1.5質量部とを混合してフレッシュモルタルを作製するモルタル作製工程と、
前記粗骨材粒子と、前記フレッシュモルタルとを、体積比で3:7〜5:5の範囲内で混合する混合工程とを備える。
【0026】
実施形態のコンクリートの製造方法は、前記粗骨材粒子作製工程と、前記フレッシュモルタル作製工程とを別々に実施するが、両工程は同時に平行して実施してもよく、一方の工程を実施してから、その後他方の工程を実施してもよい。
【0027】
『粗骨材粒子作製工程』
本実施形態の粗骨材粒子作製工程は、セメント100質量部と、水12〜35質量部と、粗骨材500〜1000質量部と、硬化促進剤0.5〜5質量部とを混合して表面にセメントペーストが付着した粗骨材粒子を作製する。
【0028】
本実施形態の粗骨材粒子作成工程において、例えば、セメントと水と粗骨材と硬化促進剤とを混合する方法は、すべての材料を一度に混合してもよく、あるいは、材料のうちの一部を混合してから、残りの材料を加えて混合してもよい。
【0029】
本実施形態の粗骨材粒子作製工程は、例えば、セメントと水と粗骨材とを混合して、セメントペーストを粗骨材表面に付着させる付着工程と、
前記付着工程でセメントペーストが付着された粗骨材粒子に前記硬化促進剤を混合して前記セメントペーストを硬化させる硬化工程とを含んでいてもよい。
【0030】
前記付着工程においては、まず、硬化促進剤以外の材料である、セメントと水と粗骨材と必要に応じて配合することができるその他の成分とを混合することで、粗骨材の表面にセメントペーストを付着させる。
さらに、硬化工程では、前記付着工程で表面にセメントペーストが付着した粗骨材に、硬化促進剤を加えて混合して、前記粗骨材の表面に付着したセメントペーストを硬化させる。
このように、セメントペーストを粗骨材の表面に付着させてから硬化促進剤を加えて、セメントペーストを硬化させることで、より確実に粗骨材粒子表面に、未反応のセメントを存在させることができる。
【0031】
尚、本実施形態のコンクリートの製造方法において、粗骨材粒子作製工程、フレッシュモルタル作製工程、および混合工程で使用する混合装置としては、例えば、強制二軸式、強制一軸式、傾胴式、パン型強制式などの公知の生コンクリート製造設備の実機ミキサや、トラックアジテータ車、試験用小型ミキサ等が挙げられる。
【0032】
本実施形態の粗骨材粒子作製工程で使用する混合装置としては、例えば、0.1m
3〜6m
3程度の容量のミキサが好ましい。
前記ミキサ内に、まず、粗骨材、セメント、水、硬化促進剤を投入して回転数10〜60rpm程度で30秒間〜120秒間程度、練混する。
尚、練混ぜ時間は、硬化促進剤を加える前後の総計で60〜240秒間程度が好ましい。
その後、回転数10〜60rpm程度で30秒間〜120秒間程度さらにミキサを回転させながら、粗骨材の表面のセメントペーストを硬化させてもよい。
あるいは、前記ミキサ内に、まず、前記硬化促進剤以外の粗骨材、セメント、水を投入して回転数10〜60rpm程度で30秒間〜120秒間、練混する。その後、硬化促進剤を投入して回転数10〜60rpm程度で60秒間〜240秒間程度さらにミキサを回転させながら、粗骨材の表面のセメントを含むペースト層を硬化させてもよい。
【0033】
尚、前記付着工程と、前記硬化工程とは、別の装置を用いて実施してもよい。
例えば、前記ミキサにて、粗骨材、セメント、水を混合した後に、これらの混合物を別の混合装置に投入し、該混合装置において硬化促進剤を添加して、回転数1〜10rpm程度で1分間〜120分間程度混合して、粗骨材の表面の未水和セメントを含むペースト層を硬化させることで粗骨材粒子を得てもよい。
前記別の混合装置としては、例えば、生コンクリート運搬用のトラックアジテータ車を用いてもよい。この場合、後述するフレッシュモルタル作製工程で得られたフレッシュモルタルを、該アジテータ車に投入することで粗骨材粒子と混合して、そのまま、コンクリートの施工場所に移動して、コンクリートの施工を行なってもよい。
【0034】
前記粗骨材粒子作製工程において作製される粗骨材粒子は、表面にセメントペーストが層を成すよう付着されている。前記セメントペーストの層の厚みは、好ましくは、平均厚み0.1mm以上0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以上0.3mm以下である。
前記層の厚みが前記範囲である場合には、ひび割れ断面において、より高いひび割れ自己治癒性能を得ることができる。
【0035】
前記粗骨材粒子のセメントペーストの層の厚みの測定方法は、以下のとおりである。
粗骨材粒子を1kg採取し、大きさ900mm×500mm×厚さ0.1mmのポリエチレン製袋の中に薄く広げて入れて1日間密封保存した後、採取した粗骨材粒子を、JIS Z 8801−1「試験用網ふるい第1部:金属製網ふるい」に規定された試験用ふるいであって、公称目開き4.75mmのふるいにかけ、ふるいの上に留まる粒子から任意に10個取り出す。取り出した粗骨材粒子を金槌で破砕し、粗骨材粒子の破断面におけるペーストの層の断面を光学顕微鏡あるいはデジタル顕微鏡などを用いて断面画像を撮影し、該断面画像の任意の2箇所における層の厚みを計測した計20箇所の計測値の平均を算出して、層厚みとする。
【0036】
本粗骨材粒子作製工程で用いられる各材料は以下のとおりである。
【0037】
(セメント)
前記セメントとしては、特に限定されるものではないが、ポルトランドセメント、ポルトランドセメントをベースとした混合セメント、超速硬系セメント、その他の公知のセメントなどが挙げられる。
前記ポルトランドセメントとしては、JIS R 5210「ポルトランドセメント」に規定された普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、超早強、耐硫酸塩などの各種ポルトランドセメントが挙げられる。
ポルトランドセメントをベースとした混合セメントとしては、JIS R 5211「高炉セメント」に規定された高炉セメントのA種、B種、C種、JIS R 5212「シリカセメント」に規定されたシリカセメントのA種、B種、C種、JIS R 5213「フライアッシュセメント」に規定されたフライアッシュセメントのA種、B種、C種などが挙げられる。
超速硬系セメントとしては、旧JIS R 2511「耐火物用アルミナセメント」の規格を満たすアルミナセメント、あるいは11CaO・7Al
2O
3・CaX
2(XはFなどのハロゲン元素)系の超速硬セメント、アウイン=カルシウムサルフォアルミネート(3CaO・3Al
2O
3・CaSO
4)系の超速硬セメントなどが挙げられる。
その他のセメントとしては、JIS R 5214「エコセメント」に規定された普通エコセメントなどが挙げられる。
前記セメントは、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0038】
前記セメントの中でも、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントは、ブレーン比表面積が高く、且つエーライト(3CaO・SiO
2)含有量が高いため、短時間で硬化し、粗骨材の表面に未反応のセメントを存在させやすいため、好ましい。
また、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメントおよびアルミナセメントは、硬化時間が早いためセメントペーストの硬化を短時間で行なえるため、好ましい。
中でも、早強ポルトランドセメントは、安価であり入手しやすいため好ましい。
また、アルミナセメントを用いる場合には、アルミナ(Al
2O
3)が55質量%以上含まれている高アルミナ型のアルミナセメントが、膨張性のエトリンガイトなどの水和物を大量に生成させうるため、自己治癒性能をより高めることができるため好ましい。
【0039】
(水)
本実施形態の粗骨材粒子作製工程において使用する水としては、上水道水、工業用水、地下水、河川水、雨水、蒸留水、化学分析用の高純度水(超純水、純水、イオン交換水)などが挙げられる。
水としては、セメントの水和反応、モルタルおよびコンクリート硬化体に悪影響を及ぼす有機物、塩化物イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の不純物を含有しないことが好ましい。
中でも、上水道水又は工業用水が、安価で品質も安定していることから好ましい。
【0040】
前記水の量は、セメント100質量部に対して12〜35質量部の範囲内であることが好ましい。水の量が前記範囲であれば、粗骨材の表面に未反応のセメントを存在させやすくなる。
【0041】
(粗骨材)
本実施形態において粗骨材粒子の作製工程において使用する粗骨材としては、陸砂利(山砂利)、海砂利、川砂利、砕石、高炉スラグ粗骨材、人工軽量粗骨材、再生粗骨材、溶融スラグ粗骨材などが挙げられる。
中でも、各種砂利、JIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」に適合する砕石が安価であり且つ入手しやすいために好ましい。
さらに砕石の中でも、石灰石砕石は、コンクリートの乾燥収縮を低減し、ひび割れそのものの発生を抑制し、あるいは、ひび割れの幅を小さくできるため、特に好ましい。
尚、粗骨材は、JIS A 1102のふるい分け試験に従って測定される粒径が、例えば、5〜40mm程度が好ましい。
【0042】
前記粗骨材の量は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して500〜1000質量部であることが好ましい。
粗骨材の量が前記範囲であることで、粗骨材の表面に未反応のセメントを存在させやすくなる。
尚、粗骨材としては、気乾状態、表乾状態、表面水を有する状態のいずれの状態のものであってもよい。
【0043】
(細骨材)
本実施形態の粗骨材粒子は、さらに細骨材を含んでいてもよい。
前記細骨材としては、陸砂(山砂)、海砂、川砂、砕砂、珪砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材、フェロクロム細骨材、人工軽量細骨材、再生細骨材、溶融スラグ細骨材などが挙げられる。
中でも、陸砂、JIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」に適合する砕砂が安価であり且つ入手しやすいために好ましい。
さらに砕砂の中でも、石灰石砕砂は、コンクリートの乾燥収縮を低減し、ひび割れそのものの発生を抑制し、あるいは、ひび割れの幅を小さくできるため、特に好ましい。
尚、細骨材は、JIS A 1102のふるい分け試験に従って測定される粒径が、例えば、0.15〜5mm程度であることが好ましい。
粗骨材粒子に細骨材を加える場合は、粗骨材粒子の1〜10質量%程度、内割置換することが好ましい。
【0044】
(硬化促進剤)
本実施形態の粗骨材粒子は硬化促進剤を含む。
前記硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、公知のコンクリート用の硬化促進剤の中から選択して用いることができる。前記硬化促進剤としては、無機系の硬化促進剤、有機系の硬化促進剤等が挙げられる。
例えば、無機系の硬化促進剤としては、硫酸アルミニウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムカリウムなどの無機硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムなどのアルカリ炭酸塩;水ガラスなどのケイ酸ナトリウム;アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウムなどのアルミン酸塩;シアン酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ等が挙げられる。
有機系の硬化促進剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類;ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、アクリル酸のカルシウム塩などの有機酸のカルシウム塩などが挙げられる。
中でも、無機系の硬化促進剤が安価で且つ安全性が高いため好ましい。
前記無機系の硬化促進剤の中でも、無機硫酸塩、アルカリ炭酸塩、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸塩が好ましく、さらに、好ましくは無機硫酸塩である。無機硫酸塩を用いることにより、粗骨材の表面付近に未反応のセメントをより存在させやすくなる。
尚、硬化促進剤として無機硫酸塩を使用する場合には、前述のセメントの中でも早強ポルトランドセメントを用いることが、無機硫酸塩と併用することで硬化性が良好となるため好ましい。
前記硬化促進剤は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0045】
前記無機硫酸塩の中でも、硫酸アルミニウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウムが特に好ましい。
【0046】
《硫酸アルミニウム》
硫酸アルミニウムとしては、一般的な粉末状又はフレーク状の工業用硫酸バンド(硫酸アルミニウム=Al
2(SO
4)
3)、水に溶解させた液体硫酸バンドなどが挙げられる。
これらの硫酸アルミニウムは、結晶水を有する硫酸アルミニウム、無水硫酸アルミニウムのいずれであってもよい。
中でも、結晶水を含まない粉末状の無水硫酸アルミニウムは、粉砕しやすいため好ましく、最大粒径が0.1mm以下に調整したものが水に溶解しやすいため特に好ましい。
【0047】
《硫酸リチウム》
硫酸リチウムとしては、一般的な粉末状又はフレーク状の工業用硫酸リチウム(Li
2SO
4)、水に溶解させた硫酸リチウム水溶液などが挙げられる。
これらの硫酸リチウムは、結晶水を有する硫酸リチウム、無水硫酸リチウムのいずれであってもよい。
中でも、吸湿性の低い粉末状の硫酸リチウム一水和物は、粉砕しやすいため好ましく、最大粒径が0.1mm以下に調整したものが水に溶解しやすいため特に好ましい。
【0048】
《硫酸ナトリウム》
硫酸ナトリウムとしては、一般的な粉末状又はフレーク状の無水硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)、硫酸ナトリウム水和物(Na
2SO
4・10H
2O)、水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液などが挙げられる。
これらの硫酸ナトリウムは、結晶水を有する硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウムのいずれであってもよい。
中でも、結晶水を含まない粉末状の無水硫酸ナトリウムは、粉砕しやすいため好ましく、最大粒径が0.1mm以下に調整したものが水に溶解しやすいため特に好ましい。
【0049】
粗骨材粒子に含まれる前記硬化促進剤の量は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して固形分換算で0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。
粗骨材粒子中の硬化促進剤の量が前記範囲であることで、粗骨材の表面付近に未反応のセメントをより存在させやすくなると共に、粗骨材粒子の硬化遅延および、後述するフレッシュモルタルとの混合工程においてコンクリートの偽凝結(こわばり)を抑制することができる。
【0050】
前記硬化促進剤は、粉末状のものを用いても良く、あるいは、液状のもの(例えば、水溶液)を用いても良い。尚、液状の硬化促進剤を用いる場合には、硬化促進剤に含まれる水分を前記水の量に換算、すなわち、硬化促進剤に含まれる水分量を、粗骨材粒子を作製する練混水から控除することが好ましい。
尚、硬化促進剤の固形分換算とは、105℃で恒量になるまで加熱することにより得られる固形分から算出される固形分率から換算される値をいう。
【0051】
さらに、硬化促進剤は、予め人工軽量骨材等の担体に含浸(担持)させておいてもよい。かかる担体に含浸させて硬化促進剤を用いた場合には、硬化促進剤の取扱いが容易になるため好ましい。この場合、硬化促進剤は液状のものを用いることが、担体を硬化促進剤中に浸漬することで容易に担体に硬化促進剤を担持させうるため好ましい。
また、担体としては人工軽量骨材が好ましい。人工軽量骨材は内部空隙を有しているため容易に硬化促進剤を含浸させることができる。人工軽量骨材としては、JIS A 5002「構造用軽量コンクリート骨材」に適合する絶乾密度=1.6g/cm
3前後、24時間吸水率=10質量%程度、粗粒率=FMが2.75程度のものが、安価でかつ入手しやすいため好ましい。
尚、硬化促進剤を担体に含浸させて用いる場合には、前記担体の量は、例えば、硬化促進剤(固形分換算)1質量部に対して10質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
【0052】
(自己治癒助材)
本実施形態の粗骨材粒子作製工程では、増粘剤、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ベントナイト、鉄、鉄化合物からなる群より選択される少なくとも1種をさらに、自己治癒助材として混合してもよい。
増粘剤、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ベントナイト、鉄、鉄化合物は、未反応のセメントと共に、自己治癒性を高める自己治癒助材として機能しうるものである。
尚、これらの自己治癒助材は単独で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0053】
《増粘剤》
前記増粘剤としては、特に限定されるものではなく、公知のコンクリート用の増粘剤の中から選択して用いることができる。前記増粘剤としては、例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)などのセルロース系増粘剤;ポリアクリル酸系、ポリアクリルアミド系などの合成樹脂系増粘剤;ウエランガム、ダイユータンガム、キサンタンガム、ジェランガムなどのバイオガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、カチオン化グアーガム、グアーガム加水分解品などのグアーガム誘導体等の天然系増粘多糖類(グルカン系)の増粘剤等が挙げられる。
中でも、セルロース系増粘剤が入手しやすく且つ安全性が高いため特に好ましい。
前記増粘剤は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0054】
前記増粘剤の量は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換で0.05〜1質量部であることが好ましい。
前記範囲の量である場合には、セメントペーストの粘度が適度に上昇することで、粗骨材の表面にセメントペーストが効率よく付着しやすくなるため、結果的に未反応のセメントによるひび割れの自己治癒能力を効果的に利用できる。
さらに、セメントペーストの粘度が適度に上昇することで、練上り後のミキサ等にセメントペーストが残存しにくくなり、原材料のロスおよび清掃の労力を低減することができる。
前記増粘剤は、粉末状のものを用いても良く、あるいは、溶状のものを用いても良い。液状の増粘剤を用いる場合には、増粘剤に含まれる水分を前記水の量に換算することが好ましい。
【0055】
《硫酸カルシウム》
前記硫酸カルシウム源としては、無水石膏、二水石膏、半水石膏などの一般的な工業用石膏などが挙げられる。前記工業用石膏は、天然品、排煙脱硫時の副生石膏、ふっ酸製造時の副生石膏、りん酸製造時の副生石膏、酸化チタン製造時の副生石膏等の副生品のいずれであってもよい。
中でも、無水石膏が、SO
3含有量が55質量%以上であって、水分を含有せず、微粉砕処理が容易なため好ましい。
前記無水石膏は、最大粒径0.1mm以下に調整されたものを使用することが好ましい。さらに、前記無水石膏の中でも、ブレーン比表面積が5000cm
2/g以上になるまで微粉砕したものを使用することが特に好ましい。
硫酸カルシウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0056】
前記硫酸カルシウム源は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換で、CaSO
4として1〜10質量部含まれるように混合することが好ましい。
前記範囲の量である場合には、粗骨材の表面付近に未反応のセメントと共に硫酸カルシウムが存在することで、ひび割れが発生した際に、粗骨材の表面付近においてセメント由来のカルシウムアルミネートと反応してひび割れを自己治癒させるのに十分な量のエトリンガイトなどの水和物を生成させることで、セメントによる自己治癒効果を高めることができるため好ましい。
【0057】
《水酸化カルシウム》
前記水酸化カルシウム源としては、消石灰等が挙げられる。好ましくは、JIS R 9001「工業用消石灰」に適合する特号消石灰、1号消石灰、2号消石灰などの市販品などが挙げられる。
中でも、Ca(OH)
2と含有量が70質量%以上で、最大粒径0.1mm以下に調整された安価な工業用消石灰である、特号消石灰、1号消石灰などを使用することが好ましい。
前記各水酸化カルシウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0058】
前記水酸化カルシウム源は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換で、Ca(OH)
2として1〜30質量部含まれるように混合することが好ましい。
前記範囲の量である場合には、粗骨材の表面付近に未反応のセメントと共に水酸化カルシウムが存在することで、ひび割れが発生した際に、粗骨材の表面付近においてセメント由来のカルシウムアルミネートと反応してハイドロカルマイトなどのカルシウムアルミネート水和物を生成でき、且つ、ひび割れ箇所に水が供給された場合には、水から供給される炭酸イオンと反応して炭酸カルシウムなどの水和物を生成させることができる。よって、自己治癒効果をより高めることができるため好ましい。
【0059】
《酸化カルシウム》
前記酸化カルシウム源としては、f−CaO(遊離酸化カルシウム)を主成分とする製鋼ペレット製造用生石灰、製鋼転炉用生石灰、硬焼生石灰(死焼生石灰)、超硬焼生石灰、土質改良用生石灰、農業又は園芸用生石灰などの市販品の生石灰、又は、貝殻を焼成して製造した貝灰、製鋼スラグ、カルシアクリンカ、JIS A 6202に適合するコンクリート用膨張材(エトリンガイト系膨張材、エトリンガイト−生石灰複合系膨張材、生石灰系膨張材)等が挙げられる。
中でも、膨張性のエトリンガイトを生成するJIS A 6202に適合するコンクリート用膨張材(エトリンガイト系膨張材、エトリンガイト−生石灰複合系膨張材、生石灰系膨張材)等が好ましい。
前記酸化カルシウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0060】
前記酸化カルシウム源は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換で、CaOとして1〜10質量部含まれるように混合することが好ましい。
前記範囲の量である場合には、粗骨材の表面付近においてセメント由来のカルシウムアルミネートと反応してハイドロカルマイトなどのカルシウムアルミネート水和物を生成でき、且つ水から供給される硫酸イオンと反応してエトリンガイトなどの水和物を生成させることができる。あるいは、ひび割れ箇所に水が供給された場合には、水から供給される炭酸イオンと反応して炭酸カルシウムなどの水和物を生成させることができる。よって、自己治癒効果をより高めることができるため好ましい。
【0061】
《水酸化アルミニウム》
前記水酸化アルミニウム源としては、例えば、市販の工業用水酸化アルミニウム等が挙げられる。
中でも、Al(OH)
3含有量が60質量%以上で、最大粒径0.1mm以下に調整された安価な工業用水酸化アルミニウムを使用することが好ましい。
前記水酸化アルミニウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0062】
前記水酸化アルミニウム源は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換で、Al(OH)
3として1〜10質量部含まれるように混合されることが好ましい。
前記範囲の量である場合には、粗骨材の表面付近においてセメント由来の強いアルカリ性物質である水酸化カルシウムと徐々に反応してカルシウムアルミネート水和物を徐々に生成させることができる。ひび割れ箇所に水が供給された場合には、水から供給される硫酸イオンと反応してエトリンガイトなどの水和物を生成させることができる。よって、ひび割れの自己治癒能力を長期間発揮することができるため好ましい。
【0063】
《ベントナイト》
前記ベントナイトとしては、例えば、Na−ベントナイト、Ca−ベントナイトなどが挙げられる。中でも、Na−ベントナイトが、膨潤性に優れているため好ましく、特に、北米ワイオミング産のNa−ベントナイトが好ましい。
前記各ベントナイトは、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0064】
前記ベントナイトの量は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換で0.5〜30質量部であることが好ましい。
前記範囲の量であることにより、ひび割れ箇所に水が供給された場合には、膨潤することで、ひび割れを閉塞することができる。
【0065】
《鉄又は鉄化合物》
前記鉄又は鉄化合物としては、例えば、金属鉄、又は、マグヘマイト(γ−Fe
2O
3)、マグネタイト(Fe
3O
4)等の酸化鉄などが挙げられる。
金属鉄、又は、鉄酸化物(例えば、マグヘマイト(γ−Fe
2O
3)、マグネタイト(Fe
3O
4))は、水および酸素などと共存することで酸化および水和反応を生じて膨張性の錆であるヘマタイト(α−Fe
2O
3)やゲータイト(ゲーサイト;α−FeOOH)を生じ、ひび割れ箇所を閉塞できる。中でも、Fe(0価の金属鉄)含有量が90質量%以上で、最大粒径0.1mm以下に調整された安価な工業用鉄粉などを使用することが特に好ましい。
前記鉄又は鉄化合物は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0066】
前記鉄または鉄化合物の量は、粗骨材粒子用のセメント100質量部に対して内割置換でFeO(2価の酸化鉄換算)として、0.5〜5質量部含むことが好ましい。
前記範囲の量であることで、ひび割れ箇所に水が供給された場合に空気中の酸素と共に鉄の酸化反応が起き、膨潤性の錆が発生することでひび割れを閉塞することができる。
【0067】
(その他の成分)
本実施形態の粗骨材粒子には、例えば、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。例えば、水の配合量を減らすための各種の化学混和剤などを含んでいてもよい。
化学混和剤としては、コンクリートあるいはモルタル用に市販されている液体状又は粉末状の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤などの公知のものを使用できる。
化学混和剤は、前記粗骨材粒子または前記モルタルに使用するセメント100質量部に対して、固形分換算として0.1〜3.0質量部程度含有させることが好ましい。
液状の化学混和剤を用いる場合には、化学混和剤に含まれる水分を前記水の量に換算、すなわち、化学混和剤に含まれる水分量を、水から控除することが好ましい。
尚、化学混和剤の固形物換算とは、70℃で恒量になるまで加熱することにより、得られる固形分から算出される固形分率から換算される値をいう。
【0068】
また、その他の成分として、粘土鉱物(セピオライト、アタパルジャイト)、タルク、灰長石、明礬石、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、非晶質のシリカ質微粉末(シリカフューム)、天然ポゾラン(珪酸質白土、凝灰岩、シラスなど)、炭酸ジアミドなどの粉末材料を補助材料として含んでいてもよい。
これらの補助材料を添加することでひび割れの自己治癒性能をより向上させうる。
前記補助材料は、本実施形態のコンクリートの流動性に悪影響を及ぼさない範囲で単独又は混合して任意の混合量で用いることができる。
【0069】
『フレッシュモルタル作製工程』
本実施形態のフレッシュモルタル作製工程では、セメント100質量部と、水38〜65質量部と、細骨材200〜400質量部と、凝結遅延剤0.05〜1.5質量部とを混合してフレッシュモルタルを作製する。
【0070】
本実施形態のフレッシュモルタル作製工程では、例えば、セメントと、水と、細骨材と、凝結遅延剤とを、前述したような公知の混合装置に一度に投入して、回転数10〜60rpm程度で30秒間〜120秒間程度混合することで、フレッシュモルタルを得ても良い。
あるいは、前記各材料のうちの一部を混合してから、残りの材料を加えて混合することでフレッシュモルタルを作製してもよい。
【0071】
フレッシュモルタル作製工程で用いられる各材料は以下のとおりである。
【0072】
(セメント)
フレッシュモルタルに用いられるセメントは、前記粗骨材粒子用のセメントと同様のものを使用することができる。
中でも、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどの混合セメントが、凝結時間が遅いため、本実施形態のフレッシュモルタル用のセメントとして用いることが好ましく、さらに普通ポルトランドセメント、高炉セメントが安価で入手しやすいために特に好ましい。
また、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントは、水和反応の遅いビーライト(2CaO・SiO
2)を多量に含むため、硬化時間が長く、コンクリートとした場合に長期間にわたってひび割れ自己治癒能力を付与できるため好ましい。
【0073】
(水)
本実施形態のフレッシュモルタル作製工程において使用する水としては、前記粗骨材粒子作製工程で用いた水と同様のものを使用することができる。
前記水の量は、フレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して38〜65質量部の範囲内であることが好ましい。水の量が前記範囲であれば、モルタルの流動性が適度に保つことができる。
【0074】
(細骨材)
本実施形態のフレッシュモルタルは、細骨材を含む。
前記細骨材としては、前記粗骨材粒子に使用可能な細骨材と同様のものを用いることができる。
中でも、陸砂、JIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」に適合する砕砂が安価であり且つ入手しやすいために好ましい。
さらに砕砂の中でも、石灰石砕砂は、コンクリートの乾燥収縮を低減し、ひび割れそのものの発生を抑制し、あるいは、ひび割れの幅を小さくできるため、特に好ましい。
あるいは、JIS A 5011−2「コンクリート用スラグ骨材:第2部:高炉スラグ骨材」の高炉スラグ細骨材に適合する水砕スラグ砂が、潜在水硬性を有するため、ひび割れが自己治癒しやすいため、特に好ましい。
【0075】
(凝結遅延剤)
前記凝結遅延剤としては、有機系、無機系のものが挙げられる。有機系の凝結遅延剤としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸などのオキシカルボン酸;クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムなどのオキシカルボン酸塩;グルタミン酸などのアミノカルボン酸及びグルタミン酸ナトリウムなどのその塩;糖類;糖アルコール類;リグニンスルフォン酸、フミン酸、タンニン酸などの高分子有機酸及びその塩;ポリアクリル酸などの水溶性アクリル酸及びその塩などが挙げられる。
無機系の凝結遅延剤としては、例えば、ケイ弗化物、ホウ酸及びその化合物、リン酸塩、亜鉛化合物、鉛化合物、銅化合物などが挙げられる。
中でも、クエン酸、グルコン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のオキシカルボン酸塩が安価で且つ安全性が高いため好ましい、
前記凝結遅延剤は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0076】
前記凝結遅延剤の量は、フレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して固形分換算で0.05〜1.5質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
凝結遅延剤の量が前記範囲である場合には、後述する粗骨材粒子との混合工程においてコンクリートの凝結遅延を適度な時間に抑制できるためである。
前記凝結遅延剤は、粉末状のものを用いても良く、あるいは、溶状のものを用いても良い。液状の凝結遅延剤を用いる場合には、含まれる水分を前記水の量に換算、すなわち、凝結遅延剤に含まれる水分の量を水から控除することが好ましい。
尚、凝結遅延剤の固形分換算とは、70℃で恒量になるまで加熱することにより、得られる固形分から算出される固形分率から換算される値をいう。
【0077】
《クエン酸》
クエン酸としては、一般的な粉末状又はフレーク状の工業用または食品添加用の無水クエン酸またはクエン酸一水塩、水に溶解させたクエン酸水溶液などが挙げられる。
これらのクエン酸は、無水クエン酸(C
6H
8O
7)、クエン酸一水塩(C
6H
8O
7・H
2O)のいずれであってもよい。
中でも、結晶水を含まない粉末状の無水クエン酸が、取扱いが容易で、粉砕しやすいため好ましく、最大粒径が0.1mm以下に調整したものが水に溶解しやすいため特に好ましい。
【0078】
《グルコン酸ナトリウム》
グルコン酸ナトリウムとしては、一般的な粉末状又はフレーク状の工業用または食品添加用の無水グルコン酸(C
6H
11NaO
7)、水に溶解させた液体グルコン酸ナトリウム水溶液などが挙げられる。
これらの中でも、最大粒径が0.1mm以下に調整したものが、取扱いが容易で、水に溶解しやすいため、特に好ましい。
【0079】
尚、前記粗骨材粒子に用いる硬化促進剤が無機硫酸塩(硫酸アルミニウム等)である場合には、フレッシュモルタルに用いる凝結遅延剤は、オキシカルボン酸又は/及びオキシカルボン酸塩であることが好ましい。
このような硬化促進剤と凝結遅延剤との組合せであることにより、特に優れたひび割れの自己治癒効果が発揮でき、且つ、混合工程における流動性の低下の抑制効果も優れたコンクリートを得ることができる。
【0080】
前記凝結遅延剤の好ましい組合せとしては、具体的には以下のような組合せが挙げられる。
例えば、凝結遅延剤として、クエン酸等のオキシカルボン酸およびグルコン酸ナトリウム等のオキシカルボン酸塩を併用した場合には、それぞれを単独で用いるよりも、少量添加で高い流動性の低下抑制作用が得られる。
オキシカルボン酸をセメント組成物に単独で多量に添加すると、オキシカルボン酸によってセメントが腐食(中和反応)したり、その粘性によってフレッシュモルタルの流動性が低下したりするおそれがある。また、ナトリウムやカリウムを含むオキシカルボン酸塩をセメント組成物に単独で多量に添加すると、オキシカルボン酸塩の粘性により、フレッシュモルタルの流動性が低下したり、コンクリートのアルカリ骨材反応の原因となる有害なナトリウムイオン、カリウムイオンが増加するおそれがある。
両者を併用することで前記のような問題が生じにくく、より優れた流動性の低下抑制効果が得られる。
【0081】
尚、JIS R 5201「セメントの物理方法」のモルタルを用いたフロー試験に準じて測定した15打フロー値の経時変化で比較を行なった場合、オキシカルボン酸(クエン酸)のみ、オキシカルボン酸塩(グルコン酸ナトリウム)のみを用いたモルタルと比べ、クエン酸及びグルコン酸ナトリウムを併用したモルタルの方が流動性の低下を抑制できた。
具体的には、モルタル配合:早強ポルトランドセメント100質量部、細骨材300質量部、水50質量部、水セメント比=50質量%のモルタルにおいて凝結遅延剤としてオキシカルボン酸(クエン酸)及びオキシカルボン酸塩(グルコン酸ナトリウム)を下記組合せで配合したものを準備した。
(1)凝結遅延剤なし
(2)クエン酸1質量部
(3)グルコン酸ナトリウム1質量部
(4)クエン酸0.4質量部及びグルコン酸ナトリウム0.4質量部
前記(1)〜(4)のモルタルを材料温度及び環境温度30℃の温度条件で、前記15打フロー値を練混ぜ直後と注水から30分経過後に測定した。
その結果、以下のようになり、すなわち(4)は(2)及び(3)に比べて、凝結遅延剤の合計添加量が0.8質量部と少ないにもかかわらず、練上り直後のフロー値が大きく、かつ30分間経過後のフロー値が最も大きかった。
(1):練混ぜ直後241mm → 30分経過後141mm
(2):練混ぜ直後253mm → 30分経過後198mm
(3):練混ぜ直後261mm → 30分経過後189mm
(4):練混ぜ直後267mm → 30分経過後201mm
【0082】
(混合材)
本実施形態のフレッシュモルタル作製工程では、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、酸化カルシウム粉末からなる群から選択される少なくとも1種を混合材として混合してもよい。
尚、混合材は前記モルタルのセメントと内割置換で混和するものである。
前記混合材を混合した場合には、後述する混合工程において粗骨材粒子とフレッシュモルタルを混合した後のコンクリートの流動性低下を防ぎ、また強度が過剰に高くなることを防ぐことができる。硬化後のコンクリートにひび割れが発生した場合に、ひび割れ断面の粗骨材の露出部分(界面)が水和反応しやすくなり、ひび割れを閉塞しやすくなる。よって、より高いひび割れ自己治癒効果を発揮しうる。
【0083】
《石灰石微粉末》
前記石灰石微粉末としては、例えば、ガラス製造用途、フィラー用途、農薬担体用途、排煙脱硫用途など一般的な工業製品製造用として使用される石灰石微粉末(重質炭酸カルシウム)、JIS A 5003「舗装用石灰石粉」に適合する石灰石粉末などが挙げられる。
中でも、ブレーン比表面積3000〜7000cm
2/g程度の粉末度を有する高流動コンクリート製造用の石灰石微粉末が好ましい。
前記石灰石微粉末は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0084】
本実施形態のフレッシュモルタルに含まれる前記石灰石微粉末の量は、フレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して内割置換で石灰石微粉末5〜30質量部が好ましい。
前記石灰石微粉末の量が前記範囲であることで、後述する混合工程においてモルタルの流動性が良好となり、硬化後のコンクリートの強度が高くなり過ぎることを防ぎ、さらに乾燥収縮を低減できる。
【0085】
《高炉スラグ微粉末》
前記高炉スラグ微粉末としては、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に適合する高炉スラグ微粉末3000、高炉スラグ微粉末4000、高炉スラグ微粉末6000、高炉スラグ微粉末8000などの各種高炉スラグ微粉末が挙げられる。
中でも、安価で入手の容易な高炉スラグ微粉末4000が好ましい。
前記高炉スラグ微粉末は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0086】
本実施形態のフレッシュモルタルに含まれる前記高炉スラグ微粉末の量はフレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して内割置換で高炉スラグ微粉末5〜60質量部であることが好ましい。
前記高炉スラグ微粉末の量が前記範囲であることで、後述する混合工程においてモルタルの流動性が良好となり、またコンクリートの圧縮強度が高くなり過ぎることを防ぐことができる。
【0087】
《フライアッシュ》
前記フライアッシュとしては、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」に適合するI種フライアッシュ、II種フライアッシュ、III種フライアッシュ、IV種フライアッシュなどの各種フライアッシュが挙げられる。
中でも、安価で入手の容易なII種フライアッシュが好ましい。
前記高炉スラグ微粉末は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0088】
本実施形態のフレッシュモルタルに含まれる前記フライアッシュの量は、フレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して内割置換でフライアッシュ5〜30質量部であることが好ましい。
フライアッシュの量が前記範囲内であることで、後述する混合工程においてモルタルの流動性が良好となり、またフライアッシュが有するポゾラン反応性により、コンクリートの硬化後にも長期間、ひび割れの自己治癒性能を付与させうるため好ましい。
【0089】
《酸化カルシウム粉末》
前記酸化カルシウム粉末の原料としては、粗骨材粒子に使用されうる前記酸化カルシウム源と同様のものが挙げられる。
中でも、膨張性のエトリンガイトを生成するJIS A 6202に適合するコンクリート用膨張材(エトリンガイト系膨張材、エトリンガイト−生石灰複合系膨張材、生石灰系膨張材)等が好ましい。
前記酸化カルシウム源は、単体で又は任意の組合せで混合して用いてもよい。
【0090】
前記酸化カルシウム源の量は、フレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して内割置換で、CaOとして1〜10質量部であることが好ましい。
例えば、前記酸化カルシウム源として、JIS A 6202に適合するコンクリート用膨張材を用いた場合には、フレッシュモルタル用のセメント100質量部に対して内割置換で2〜20質量部程度混合することが好ましい。
前記範囲の量である場合には、ひび割れ箇所に水が供給された場合には、膨潤性のエトリンガイト又は/及び水酸化カルシウムを生成し、ひび割れを閉塞することができる。
【0091】
(その他の任意成分)
本実施形態のフレッシュモルタルには、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、前記粗骨材粒子の他の成分と同様の成分を配合することができる。
【0092】
『混合工程』
本実施形態のコンクリートの製造方法では、前記粗骨材粒子と、前記フレッシュモルタルとを、体積比で3:7〜5:5の範囲内で混合する混合工程とを実施する。
粗骨材粒子とフレッシュモルタルの体積比は3:7〜5:5、好ましくは3:7〜4:6である。
【0093】
別々に作製された粗骨材粒子とフレッシュモルタルとを前記体積比で混合することによって、前記粗骨材粒子の表面のセメントペーストと前記フレッシュモルタルのセメントペーストが混ざって均一化してしまうことを防ぐことができる。よって、コンクリートのひび割れが自己治癒しやすいように、粗骨材表面に水セメントの小さい、つまり、未反応のセメントが多く残存しうる、セメントペーストを残存させることができる。
【0094】
特に、前記粗骨材粒子作製工程が、前記付着工程と前記硬化工程と含む場合には、粗骨材の表面に水セメント比の小さいペースト(未反応のセメント)をより確実に存在させることができるため、より、自己治癒性能を高めることができる。
本実施形態のコンクリートにおいて、前記粗骨材粒子のセメントペースト部分は、例えば、水セメント比が12〜35質量部のセメントペーストであることが好ましい。
【0095】
本実施形態における混合工程は、例えば、粗骨材粒子とフレッシュモルタルとを所定の量ずつ、混合工程を行なう混合装置に投入して混合してもよい。
あるいは、前記粗骨材粒子を作製した混合装置に、前記フレッシュモルタルを混合して、さらに混合することで混合工程を実施してもよい。
あるいは、前記粗骨材粒子作製工程と混合工程とを、生コンクリート運搬用のトラックアジテータ車を使用して連続的に実施してもよい。
この場合には、まず、生コンクリート製造設備のミキサ等で硬化促進剤以外の粗骨材粒子材料を混合して、粗骨材の表面にセメントペーストを付着させ、その後、アジテータ車に前記硬化促進剤を投入して混合する。そして、粗骨材粒子の表面のセメントペーストが硬化するまで、アジテータ車のドラムを回転させながら混合する。その後、別のミキサ等で作製したフレッシュモルタルを、前記アジテータ車に投入して、さらにアジテータ車のドラムを回転することで、混合工程を実施する。
このように、アジテータ車を使用してコンクリートを製造した場合には、そのまま施工場所にコンクリートを運搬することができ、作業効率がよい。
【0096】
あるいは、本実施形態の混合工程を、コンクリートの施工現場で行なってもよい。
すなわち、粗骨材粒子とフレッシュモルタルを、別々にコンクリートの施工現場に搬送して、施工現場にまず粗骨材粒子を打ち込み、その後、フレッシュモルタルを打込む、いわゆるプレパックドコンクリートの打込み方法で、粗骨材粒子とフレッシュモルタルとを混合して(一体化させて)コンクリートを得ても良い。
【0097】
次に、本発明のコンクリートの製造方法で得られるコンクリートについて説明する。
【0098】
本実施形態の製造方法で得られたコンクリートは、粗骨材の表面付近に未反応のセメントが多く存在している状態である。例えば、
図1に示すように、コンクリート10は、モルタル(凝結遅延剤入り)3と、粗骨材1の表面にセメントペースト(硬化促進剤入り)2が層を成すように付着された粗骨材粒子4とを含んでいる。
前記粗骨材粒子4のセメントペースト2は、前述のように水セメント比が12〜35質量部のセメントペーストからなり、かかる水セメント比のセメントペーストであることによって、コンクリートが硬化した後にも、セメントペースト2中に未反応のセメントが存在している。
【0099】
本実施形態のコンクリートの製造方法で得られるコンクリートは、硬化体1m
3あたりに各成分が以下の範囲で含まれることが好ましい。
すなわち、粗骨材の量は、500〜1000kg、好ましくは600〜800kgである。細骨材の量は、700〜1200kg、好ましくは800〜900kgである。
セメント(助材、硬化促進剤、混合材、凝結遅延剤、担体を含む)の量は、300〜600kg、好ましくは、400〜500kgである。
水(化学混和剤等の液体成分中の水分も含む)の量は、160〜240kg、好ましくは、180〜200kgである。
尚、コンクリートに含まれる空気量は、JIS A 5308に規定された普通コンクリートの空気量である4.5%(許容差±1.5%)程度であることが好ましい。
前記空気量の範囲であれば、流動性あるいは強度、耐凍害性等のコンクリートの基礎物性を適切な範囲に調整できる。
【0100】
本実施形態のコンクリートの硬化後に、例えば、ひび割れが生じる場合があるが、一般に
図1に示すように、コンクリートに発生するひび割れはC、粗骨材粒子4とモルタル3の界面を通過する場合が多いと考えられる。
【0101】
ひび割れが、粗骨材とモルタルの界面を通過すると、通常はひび割れ断面に粗骨材の表面が露出する部分が存在することになる。
尚、ひび割れの断面部における粗骨材の露出面積は、粗骨材の単位量(例えば、水セメント比=50%、設計基準強度=30N/mm
2、目標スランプ=12±2.5cm、空気量=4.5±1.5%のコンクリートの場合:単位粗骨材量=約950kg/m
3、粗骨材単位容積=0.36m
3/m
3)に比例して多い。すなわち、粗骨材の占める体積は、コンクリート体積の36%に及ぶため、ひび割れ断面における粗骨材の露出部分が多くなる。
ひび割れ断面において、モルタルを構成するセメント組成物(セメント+自己治癒性を有する混和材等)に自己治癒成分を混合しておいても、粗骨材表面の露出部分には、自己治癒成分が存在しないあるいは少ない。そして、粗骨材は、粒子直径が5mmから数十mmと極めて大きいため、粗骨材が存在している箇所では自己治癒しにくい部分となることがある。従って、粗骨材の露出部が多いひび割れ断面においては、自己治癒性能が低下する、という問題がある。
一方、確実に自己治癒性能をコンクリートに付与するために、モルタルを構成するセメント組成物に自己治癒性を有する混和材等を多く配合することによって、セメント組成物部分のひび割れ自己治癒能力を高めることなどが考えられる。しかし、自己治癒性を有する混和材等を多くセメント組成物に配合した場合には、コンクリートの流動性の低下、硬化後のコンクリート強度の過剰な上昇、自己収縮の増大、コストの高騰等の問題がある。
【0102】
本実施形態のコンクリートは、前述のように、粗骨材の表面にセメントペーストが層をなすように付着された粗骨材粒子を含むため、ひび割れ断面に存在する粗骨材表面に未反応のセメントを存在させておくことができる。よって、ひび割れの断面において、雨水、地下水等によって水が供給された場合にペースト層中の未反応のセメントが水和反応を起して、ひび割れを閉塞することができる。
また、未反応のセメントの水和反応によってひび割れを閉塞するため、セメント以外の自己治癒能力を有する特殊な混和材等を配合しなくても、あるいは、多量に配合しなくてもひび割れの自己治癒性能を発揮しうる。よって、自己治癒能力を有する特殊な混和材等による流動性の低下、硬化後のコンクリート強度の過剰な上昇、自己収縮の増大、コストの高騰等の問題を抑制しうる。
また、セメント以外の自己治癒能力を有する特殊な混和材等を配合しない場合には、自己治癒能力を有する特殊な混和材等の貯蔵装置や供給装置が不要になり、さらに、コンクリートの製造コストを低減できる。
【0103】
さらに、本実施形態のコンクリートは、通常、生コン工場が常備している材料である粗骨材およびセメントを主材料とし、生コン工場にあるミキサ及びトラックアジテータ車等を用いて前記混合工程を実施することができる。従って、特殊な材料及び設備を使用する必要がないことに加え、加工済み材料を持ち込むことなく、通常の生コン工場において連続的に自己治癒性能を有するコンクリートを製造することができ、加工済みの自己治癒能力を有する特殊な混和材(造粒物など)のデリバリー、貯蔵、供給の手間によるコストの高騰を抑制できる。
【0104】
本実施形態のコンクリートは、高いひび割れ自己治癒性能を発揮しうるため、従来自己治癒が困難であったひび割れ幅が0.2〜0.3mm程度の比較的大きいひび割れでも、自己治癒することが可能となる。
【0105】
本実施形態のコンクリートは、例えば、コンクリート高架橋の上部工・床版底面および橋脚・橋台側面、トンネルの覆工コンクリート、農業用水路などのコンクリート底面および側面、オフィスビル又はマンションなどのスラブ・壁、トンネル用セグメント、ボックスカルバート、L型擁壁などの擁壁製品、U字構、ヒューム管、電柱、コンクリートブロック、コンクリートパネルなどのように、漏水が発生しやすく、且つひび割れの修復が困難であった構造物に好適に使用することができる。
これらの構造物にひび割れが発生した場合であって、ひび割れ箇所に、降雨、降雪、地下水の浸透、河川水、海水などの流入、散水、注水操作などにより水が供給されると、硬化体中の未反応のセメントおよびその他の成分が、水およびセメント中の成分と水和物生成反応等を生じることで、ひび割れを効果的に自己治癒させることができる。
【0106】
前記のようなコンクリートにひび割れが発生した場合には、従来は、ひび割れに有機性または無機性の充填材料を注入する補修工事を行ったり、ひび割れが発生しても構造物に悪影響を与えないようにコンクリートに防水工事、止水工事を施すなどの対策がとられている。しかし、かかる補修工事、防水工事、止水工事などは、大きな費用を必要とする上に、コンクリートの施工工事と同時に防水工事や止水工事を行う場合には、構造物の工期の長期化を招く。特に、コンクリートが、トンネル、鉄道高架橋、自動車高架橋などの構造物である場合には、構造物の供用開始後にこれらのひび割れに対する補修工事を施すことは、交通規制や供用停止などの措置が必要であり、非常に困難であった。
従って、本実施形態のコンクリートを、かかる構造物に用いた場合には、ひび割れが自己治癒されることにより、前記のような補修工事、防水工事、止水工事などが不要または低減されるという利点がある。
【0107】
尚、本実施形態にかかるコンクリートおよびその製造方法は以上のとおりであるが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例】
【0108】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0109】
本実施例のコンクリートで使用した機器は以下のとおりである。
[使用機器]
・アジテータ(試験室における練混ぜ用=1台のミキサで粗骨材粒子およびフレッシュモルタルを交互に作製:SUPER DOUBLE MIXER SD−55、大平洋機工社製、強制二軸ミキサ、容量55リットル、回転数50rpm、200V三相モータ出力3.7kW)
・コンクリート用傾胴式ミキサ(試験室におけるアジテータ車模擬=コンクリート製造用、容量100リットル、200V三相モータ出力2.2kW)
・プラ舟(作製した粗骨材粒子、フレッシュモルタル、コンクリートの受け皿用、リス興業社製、耐衝撃ポリプロピレン製、外寸866mm×522mm×高さ207mm、容量60リットル)
・生コンクリート製造設備(実機設備による粗骨材粒子、フレッシュモルタル製造用=1台のミキサで粗骨材粒子およびフレッシュモルタルを交互に作製:千葉県内のJIS A 5308認定工場、設置ミキサ=日工社製強制二軸式、容量3.0m
3、回転数33rpm)
・トラックアジテータ車(実機設備によるコンクリート製造用:新明和工業社製、中型車、車両寸法:全長6.4m×全幅2.2m×高さ3.4m、適正積載量5〜8t、適正積載容量2.5〜4.0m
3、ドラム回転数1〜10rpm)
・コンクリート用耐圧試験機(島津製作所社製、最大載荷能力3000KN)
・デジタル顕微鏡(キーエンス社製、本体=VHX−1000、レンズ=VH−Z100Rワイドレンジレンズ(倍率100−1000倍))
【0110】
表1に示す各コンクリートに使用した材料は、以下のとおりである。
[材料]
【0111】
(1)セメント
イ)普通ポルドランドセメント(住友大阪セメント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.15g/cm
3、C
3S含有量=56質量%、C
2S含有量=17質量%、Al
2O
3含有量=5.2質量%、SO
3含有量=1.9質量%、ブレーン比表面積=3400cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
ロ)高炉セメントB種(住友大阪セメント社製、JIS R 5211適合品、密度=3.04g/cm
3、MgO含有量=3.2質量%、SO
3含有量=1.9質量%、ブレーン比表面積=3750cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
ハ)早強ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.13g/cm
3、C
3S含有量=65質量%、Al
2O
3含有量=5.0質量%、SO
3含有量=2.8質量%、ブレーン比表面積=4400cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
ニ)低熱ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.24g/cm
3、C
2S含有量=56質量%、Al
2O
3含有量=2.7質量%、SO
3含有量=2.0質量%、ブレーン比表面積=3400cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
【0112】
(2)水
水:上水道水(千葉県船橋市産)
【0113】
(3)その他の成分:化学混和剤
・高性能AE減水剤(レオビルドSP8SV、BASFジャパン社製、ポリカルボン酸系、JIS A 6204の高性能減水剤標準型II種適合品)
【0114】
(4)粗骨材
・粗骨材:茨城県桜川市産硬質砂岩砕石2005(表乾密度=2.65g/cm
3、吸水率=0.6%、FM=6.67、JIS A 5005の砕石2005適合品)
【0115】
(5)細骨材
・細骨材:千葉県富津産陸砂(表乾密度=2.58g/cm
3、吸水率=2.1%、FM=2.65、JIS A 5308の附属書Aの砂利及び砂に適合)
【0116】
(6)自己治癒助材(表1における配合量は、セメントに対する内割置換)
a)増粘剤(メトローズSCH−300L、信越化学工業社製、メチルセルロース系、粉末、最大粒径=0.1mm以下)
b)硫酸カルシウム(天然産無水石膏の微粉砕品、住友大阪セメント社製、密度=2.97g/cm
3、CaO含有量=41.1質量%、Al
2O
3含有量=0.1質量%未満、SO
3含有量=56.7質量%、ブレーン比表面積=6800cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
c)水酸化カルシウム(特号消石灰、吉澤石灰工業社製、JIS R 9001適合品、CaO含有量=74.0質量%、Al
2O
3含有量=0.45質量%、SO
3含有量=0.1質量%未満、密度=2.34g/cm
3、ブレーン比表面積=5000cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
d)酸化カルシウム(超硬焼生石灰、吉澤石灰工業社製、CaO含有量=95.2質量%、Al
2O
3含有量=0.78質量%、SO
3含有量=0.1質量%未満、密度=3.32g/cm
3、ブレーン比表面積=4500cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
e)水酸化アルミニウム(試薬1級:水酸化アルミニウムの粉砕品、関東化学社製、密度=2.4g/cm
3、Al
2O
3含有量=60質量%以上、SO
3含有量=0.1質量%未満、最大粒径=0.1mm以下)
f)Na−ベントナイト(ウエスタンジェル、ベントナイト産業社製、米国ワイオミング産、密度=2.24g/cm
3、Al
2O
3含有量=20.8質量%、SO
3含有量=0.1質量%未満、最大粒径=0.1mm以下)
g)JIS A 6202に適合する膨張材(サクス:エトリンガイト系膨張材、住友大阪セメント社製、密度=2.98g/cm
3、CaO含有量=52.2質量%、Al
2O
3含有量=13.9質量%、SO
3含有量=30.2質量%、ブレーン比表面積=3200cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
h)鉄粉(試薬:鉄粉の粉砕品、関東化学社製、密度=7.6g/cm
3、Fe含有量=90質量%以上、最大粒径=0.1mm以下)
【0117】
(7)硬化促進剤
促1)硫酸アルミニウム(試薬:硫酸アルミニウム13〜14水和物の粉砕品、関東化学社製、密度=2.71g/cm
3、Al
2O
3含有量=14質量%、SO
3含有量=33質量%、最大粒径=0.1mm以下)
促2)硫酸リチウム(試薬:硫酸リチウム一水和物の粉砕品、関東化学社製、密度=2.21g/cm
3、SO
3含有量=61質量%、最大粒径=0.1mm以下)
促3)硫酸ナトリウム(試薬:硫酸ナトリウム10水和物の粉砕品、関東化学社製、密度=2.71g/cm
3、SO
3含有量=53質量%、最大粒径=0.1mm以下)
【0118】
(8)担体用人工軽量骨材
メサライト細骨材(日本メサライト社製、絶乾密度=1.61g/cm
3、24時間吸水率=10.1質量%、粗粒率(FM)=2.77、最大粒径=5mm以下)
【0119】
(9)混合材(表2における配合量は、表2のセメントに対する内割置換の量)
i)石灰石微粉末(カルファインダーCF−90、近江鉱業社製、密度=2.68g/cm
3、CaCO
3含有量=91.2質量%、ブレーン比表面積=5200cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
j)高炉スラグ微粉末(JIS A 6206の高炉スラグ微粉末4000適合品、エスメント社製、密度=2.76g/cm
3、ブレーン比表面積=4200cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
k)フライアッシュ(JIS A 6201のII種適合品、ジェイペック社製、密度=2.46g/cm
3、SiO
2含有量=62質量%、ブレーン比表面積=4250cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
l)JIS A 6202に適合する膨張材(サクス:エトリンガイト系膨張材、住友大阪セメント社製、密度=2.98g/cm
3、CaO含有量=52.2質量%、Al
2O
3含有量=13.9質量%、SO
3含有量=30.2質量%、ブレーン比表面積=3200cm
2/g、最大粒径=45μm以下)
【0120】
(10)凝結遅延剤
遅1)オキシカルボン酸(試薬無水クエン酸の粉砕品、関東化学社製、最大粒径=0.1mm以下)
遅2)オキシカルボン酸の塩(試薬グルコン酸ナトリウムの粉砕品、関東化学社製、最大粒径=0.1mm以下)
【0121】
『粗骨材粒子』
表1示す各配合の材料を用いて粗骨材粒子P−1〜P−38を作製した。
作製方法は以下のとおりである。
【0122】
(試験室における作製:P−1〜3、P−5〜P−20、P−22〜P−34)
まず、コンクリート試験室(試験室;20℃恒温)において、P−1〜3、P−5〜P−20、P−22〜P−34の粗骨材粒子を作製した。前記アジテータ(傾胴式ミキサ=試験室における練混ぜ用)に、セメント、粗骨材、水、硬化促進剤、高性能AE減水剤、自己治癒助材を合計容量が10〜30リットルとなる量を投入して混練した。尚、硬化促進剤は、水に溶解して水と同時に添加した。練混時間は、最初にセメント、粗骨材、自己治癒助材を入れて空練り15秒間、その後、水および高性能AE減水剤を加えてから120秒間とした。
作製した粗骨材粒子は、アジテータからプラ舟に排出し、それぞれ10分間一時保管した。
【0123】
(実機における作製(担持):P−4、P―21)
実機(生コンクリート製造工場;気温30℃)において、P−4、P―21の粗骨材粒子を作製した。
まず、硬化促進剤(固形分率2kg)を、あらかじめ水に溶解して固形分率40質量%の水溶液5kgを調整し、この水溶液を容量60リットルのポリプロピレン製容器に入れておいた絶乾状態の人工軽量細骨材60kgにふりかけて含浸させ、硬化促進剤を担持させた人工軽量細骨材を作製した。この後、硬化促進剤の水溶液を残さず均質に含浸させるため、人工軽量細骨材を6時間おきに撹拌しながら24時間保存した(人工軽量細骨材60kg+水3kg+硬化促進剤2kg=担持済人工軽量骨材65kg)。
前記生コンクリート製造設備(実機製造用)の容量3m
3の強制二軸ミキサにセメント、粗骨材、水、高性能AE減水剤、硬化促進剤を含浸担持させた人工軽量骨材、自己治癒助材を合計容量が1m
3となる量を全て投入して混練した。練混時間は、最初にセメント、粗骨材、硬化促進剤を含浸担持させた人工軽量骨材、自己治癒助材を入れて空練り15秒間、水および高性能AE減水剤を加えてから120秒間とした。
作製した粗骨材粒子は、生コン工場の実機ミキサから排出し、それぞれアジテータ車に投入し(積み込み)、回転数1rpmで15分間アジテータ車のドラムを回転させながら待機させた。
尚、表1中の硬化促進剤及び担体の質量部は、105℃で恒量になるまで加熱して測定した値である。
【0124】
(実機における作製(同時):P−35、P−36)
まず、前記P−4及びP−21と同様の強制二軸ミキサにセメント、粗骨材、水、高性能AE減水剤、硬化促進剤、自己治癒助材を合計容量が1m
3となる量を投入して混練した。尚、硬化促進剤は、水に溶解して水と同時に添加した。練混時間は、最初にセメント、粗骨材、自己治癒助材を入れて空練り15秒間、水および高性能AE減水剤を加えてから120秒間とした。
作製した粗骨材粒子は、生コン工場の実機ミキサから排出し、それぞれアジテータ車に投入し(積み込み)、回転数1rpmで15分間アジテータ車のドラムを回転させながら待機させた。
【0125】
(実機における作製(後添加):P−37、P−38)
前記P−4及びP−21と同様の強制二軸ミキサにセメント、粗骨材、水、高性能AE減水剤、自己治癒助材を合計容量が1m
3となる量を投入して混練した。練混時間は、最初にセメント、粗骨材、自己治癒助材を入れて空練り15秒間、水および高性能AE減水剤を加えてから120秒間とした。その後、混合物を前記アジテータ車に投入し、硬化促進剤を粉末の状態で添加して、回転数1rpmで15分間アジテータ車のドラムを回転さながら待機させた。
【0126】
【表1】
【0127】
『フレッシュモルタル』
表2に示す各配合の材料を用いてフレッシュモルタルM−1〜M−21を作製した。
作製方法は以下のとおりである。
【0128】
(試験室における作製:M−1〜M−20)
まず、コンクリート試験室(試験室;20℃恒温)において、M−1〜M−20のモルタルを作製した。前記アジテータ(試験室における練混ぜ用)に、セメント、細骨材、水、高性能AE減水剤、凝結遅延剤、混合材を合計容量が15〜35リットルとなる量を投入して混練した。練混ぜ時間は、セメント、細骨材、凝結遅延剤、混合材を投入して空練り15秒間、水および高性能AE減水剤を加えてから120秒間とした。
作製したフレッシュモルタルは、アジテータからプラ舟に排出し、それぞれ15分間一時保管した。
【0129】
(実機における作製:M−21)
実機(生コンクリート製造工場:外気温30℃)においてM−21のモルタルを作製した。
まず、前記生コンクリート製造設備(実機製造用)の容量3m
3の強制二軸ミキサにセメント、細骨材、水、高性能AE減水剤、混合材)を合計容量が1.63m
3となる量を投入して混練した。練混時間は、最初にセメント、細骨材、混合材を入れて空練り15秒間、水および高性能AE減水剤を加えてから120秒間とした。
作製したフレッシュモルタルは、生コン工場の実機ミキサから排出し、それぞれ前述の粗骨材粒子を積み込んでおいたアジテータ車に投入し、回転数10rpmで3分間アジテータ車のドラムを回転させて混合し、コンクリートを製造した。
【0130】
【表2】
【0131】
『コンクリートの製造』
表1及び2に示す粗骨材粒子およびフレッシュモルタルを用いて、表3に示す実施例1乃至38、比較例1乃至14のコンクリートを以下の方法で製造した。
尚、粗骨材に付着させた自己治癒助材を含むセメントペーストの密度は、粗骨材と同一とみなして配合修正は行わなかった。同様にフレッシュモルタルの混合材の密度は、セメントと同一とみなして配合修正は行わなかった。また、高性能AE減水剤は、水の一部とみなした。
【0132】
(実施例1乃至32および比較例1乃至14)
試験室にて前記コンクリート用傾胴式ミキサに、プラ舟に一時保管しておいた粗骨材粒子を投入し、回転数1rpmで15分間回転させながら粗骨材の表面に付着させたセメントペーストを硬化させた。
その後、前記傾胴式ミキサに別のプラ舟に一時保管しておいたフレッシュモルタルを投入し、傾胴式ミキサを回転数10rpmで3分間回転させて混合し、粗骨材粒子とフレッシュモルタルとを混合して、実施例1乃至32および比較例1乃至14のコンクリートを得た。
尚、試験室におけるコンクリートの練上り量は、合計量が40リットルとなるように各粗骨材粒子およびフレッシュモルタルの量を調整した。
【0133】
(実施例33乃至38)
実機にて前記アジテータ車に、粗骨材粒子を積み込み、アジテータ車のドラムを回転数1rpmで15分間アジテータ車のドラムを回転させながら待機させ、粗骨材表面に付着させたセメントペーストを硬化させた。
次に実機ミキサで練混したフレッシュモルタルを前記アジテータ車に投入し、回転数10rpmで3分間アジテータ車のドラムを回転させて混合し、粗骨材粒子とフレッシュモルタルとを混合して実施例33乃至38のコンクリートを得た。
尚、コンクリートの練上り量は、合計量が2.63m
3となるように各粗骨材粒子及びフレッシュモルタルの混合量を調整した。
【0134】
【表3】
【0135】
(比較例15及び16)
表4に示す配合で比較例15乃至16のコンクリートを試験室で作製した。
比較例15は、プレーンコンクリート(設計基準強度30N/mm
2、目標スランプ=12.0±2.5cm、目標空気量=4.5±1.5%、W/C=50%(水=175kg/m
3、セメント=350kg/m
3)、s/a=45.3%(細骨材=800kg/m
3、粗骨材=950kg/m
3)であり、セメント、水、高性能AE減水剤、粗骨材、細骨材を二軸強制ミキサに一括投入して、120秒間練り混ぜた。
比較例16は、実施例2と同一材料および配合を使用し、粗骨材粒子とモルタルを別個に練混せず、セメント、水、高性能AE減水剤、粗骨材、細骨材、硬化促進剤、凝結遅延剤を二軸強制ミキサに一括投入して、120秒間練混した。
尚、比較例15及び16のコンクリートの練上がり量は、40リットルとした。
【0136】
【表4】
【0137】
《スランプおよび空気量の測定》
各実施例及び比較例のコンクリートについてスランプおよび空気量を測定した。
スランプは、JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に記載の方法に則して測定した。
また、空気量はJIS A 1128「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法」に記載の方法に則して測定した。結果を表3に示す。
【0138】
《コンクリートの圧縮強度試験》
各実施例および比較例のコンクリートを使用して、直径10cm×高さ20cmの鋼製簡易型枠に打ち込み、コンクリート円柱供試体を6本ずつ作製した。作製した円柱供試体は、鋼製簡易型枠の頭部(開口部)をポリエチレン製フィルムおよび輪ゴムを使用して封かん状態とし、20℃恒温室内で91日間封かん養生した。28日間養生後、供試体6本全てを脱型し、そのうち3本を耐圧試験機を用いて、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に記載の方法に則して材齢91日の圧縮強度を測定した。結果を表3、4に示す。
【0139】
《コンクリートの割裂試験》
前記圧縮試験で使用しなかった3本の供試体について、JIS A 1113「コンクリートの割裂引張強度試験方法」に記載の方法に則して、円柱供試体を割裂し、2つに破断させ、材齢91日の割裂引張強度を測定した。
結果を表3、4に示す。
【0140】
《コンクリートの止水性(通水試験)》
前記割裂引張強度を測定した供試体を用いて、コンクリートの止水性試験を行なった。
割裂(破断)させた円柱供試体は、長さ200mm×幅5mm×厚さ0.2mmのパラフィン製フィルム2枚を円柱の側面両端部に挟みながら2つの破断面を正確に合わせた後、内径95〜115mm可変式×幅12mm×厚さ0.8mmの鋼製結束バンドを2本用いて円柱供試体の外部(側面部分)を2箇所拘束し、デジタルマイクロスコープを用いて円柱供試体に導入したひび割れ部のひび割れ幅を観察(供試体上下面をそれぞれ2箇所ずつ計測)しながら、鋼製結束バンドの張力を調節することによって、円柱供試体上下面の表面部分のひび割れ幅が約0.2〜0.3mmとなるように調整した。この後、円柱供試体上面(供試体作製時の型枠上部側)に通水試験用の内径95mm×高さ80mmの塩化ビニル製パイプを接続し、円柱供試体とパイプの接続部および円柱供試体側面のひび割れ部分に市販のシーリング材(シリコーンゴム)を塗布してシーリングを行った。
かかる供試体を20℃恒温室内に敷設した鋼製グレーチング上に鉛直に静置し、割裂によりひび割れを導入した材齢91日から、円柱供試体の上部に接続した塩化ビニル製パイプに上水道水を注水し、常時8cmの水頭を与えて円柱供試体のひび割れからの漏水量を7日間測定して止水性の評価を、以下の5段階の指標で評価した。
尚、止水性の評価は、3本の円柱供試体の平均値を用いて評価を行った。
【0141】
[ひび割れの自己治癒による止水性の評価]
初期漏水量=通水開始直後の5分間あたりの漏水量
評価A:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の1%以下となる場合
評価B:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の1%よりも大きく、5%以下となる場合
評価C:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量が初期漏水量の5%よりも大きく10%以下となる場合
評価D:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量を初期漏水量の10%よりも大きく25%以下となる場合
評価E:通水試験開始7日目の5分間あたりの漏水量を初期漏水量の25%以下にすることができない場合
【0142】
《セメントペーストの層厚みの測定》
前記粗骨材粒子を作製直後に1kg採取し、セメントペーストを層状に付着させた粗骨材同士が癒着しないように、大きさ900mm×500mm×厚さ0.1mmのポリエチレン製袋の中に薄く広げて入れて1日間密封保存した後、粗骨材を採取し、JIS Z 8801−1「試験用網ふるい第1部:金属製網ふるい」に規定された試験用ふるいであって、公称目開き4.75mmのふるいにかけ、ふるいの上に留まる粒子から任意に10個取り出す。取り出した粗骨材を金槌で破砕し、粗骨材の破断面におけるペーストの層の断面を光学顕微鏡あるいはデジタル顕微鏡などを用いて断面画像を撮影し、該断面画像の任意の2箇所におけるペースト層の厚みを計測した計20箇所の計測値の平均値を求めた。 各厚みの平均値を表3に示す。
【0143】
表3および表4より、各実施例は、スランプ及び空気量共に良好であり、且つ材齢91日における圧縮強度および割裂引張強度に問題はなかった。さらに、止水性の評価もB以上と良好であった。
【0144】
一方、各比較例は以下のような結果であった。
比較例1は、粗骨材粒子の水セメント比が低すぎて、セメントペーストが形成されず、粗骨材にセメントペーストが付着せず、粗骨材粒子が作製できなかった。そのため、この後のコンクリート作製は行わず、以後の各試験、測定は行なわなかった。
比較例2は、粗骨材粒子の水セメント比が高すぎて、セメントペーストのダレが発生し、粗骨材表面にペーストが安定的に付着せず、粗骨材粒子が作製できなかった。そのため、この後のコンクリート作製は行わず、以後の各試験、測定は行なわなかった。
比較例3は、セメントペーストに対して粗骨材の量が不足(ペースト量が過剰)であるため、粗骨材がペーストに埋没して一体化してしまい、粗骨材粒子そのものが作製できなかった。そのため、この後のコンクリート作製は行わず、以後の各試験、測定は行なわなかった。
比較例4は、セメントペーストに対して粗骨材の量が過剰(ペースト量が不足)であるため、粗骨材の表面にセメントペーストが十分に付着されず、粗骨材粒子が作製できなかった。そのため、この後のコンクリート作製は行わず、以後の各試験、測定は行なわなかった。
比較例5は、粗骨材粒子に硬化促進剤を添加しなかったため、フレッシュモルタルと混ぜた後、粗骨材の表面から未硬化のセメントペーストが脱落して、モルタル中のセメント量が増大したため、コンクリートのスランプが極めて小さかった。またモルタル中のセメント量が増大したため、コンクリートの強度が過剰に高くなり、ひび割れ断面において粗骨材が破断した状態で存在していた。そのため、自己治癒に寄与する未反応のセメントを含むセメントペースト層がひび割れ破断面にほとんど露出していないため、自己治癒性能は低かった。
比較例6は、粗骨材粒子の硬化促進剤が過剰であったため、フレッシュモルタルと混ぜた後、モルタル中のセメントの水和反応に影響を及ぼし、コンクリートに偽凝結(こわばり)が発生した。そのため、円柱供試体を作製できず、以後の各試験、測定は行なえなかった。
比較例7は、フレッシュモルタルの水セメント比が低すぎ、モルタルの流動性が低かったため、粗骨材粒子と混ぜた後のコンクリートのスランプが小さくなり過ぎた。そのため、円柱供試体を作製できず、以後の各試験、測定は行なえなかった。
比較例8は、フレッシュモルタルの水セメントが高すぎたため、モルタルの材料分離およびブリーディングが激しかった。そのため、この後のコンクリート作製は行わず、以後の各試験、測定は行なわなかった。
比較例9は、フレッシュモルタルの細骨材が不足であったため、粗骨材粒子と混ぜた後のコンクリートのスランプが極めて小さくなった。またコンクリートの強度が過剰に高くなり、ひび割れ断面において粗骨材が破断した状態で存在していた。そのため、自己治癒に寄与する未反応のセメントを含むセメントペースト層がひび割れ破断面にほとんど露出していないため、自己治癒性能は低かった。
比較例10は、フレッシュモルタルの細骨材が過剰であったため、粗骨材粒子と混ぜた後のコンクリートのスランプが大幅に小さくなった。そのため、円柱供試体を作製できず、以後の各試験、測定は行なえなかった。
比較例11は、フレッシュモルタルに凝結遅延剤を添加しなかったため、粗骨材粒子と混ぜた後、粗骨材粒子に残存する硬化促進剤の影響でコンクリートのスランプが小さくなった。そのため、円柱供試体を作製できず、以後の各試験、測定は行なえなかった。
比較例12は、フレッシュモルタルの凝結遅延剤が過剰であったため、粗骨材粒子と混ぜた後、コンクリートが硬化不良(硬化不足)を起こした。そのため、円柱供試体を作製できず、以後の各試験、測定は行なえなかった。
比較例13は、フレッシュモルタルの量が過剰であったため、粗骨材粒子と混ぜた後のコンクリートの強度が過剰に高くなり、ひび割れ断面において粗骨材が破断した状態で存在していた。そのため、自己治癒に寄与する未反応のセメントを含むセメントペースト層がひび割れ破断面にほとんど露出していないため、自己治癒性能は低かった。
比較例14は、粗骨材粒子の量が過剰であったため、コンクリートのスランプが小さくなり過ぎた。そのため、円柱供試体を作製できず、以後の各試験、測定は行なえなかった。
比較例15は、比較用のプレーンコンクリートであるため、自己治癒性による止水性の評価が低かった。
比較例16は、実施例2と同一材料および配合を使用し、全材料を一括投入してコンクリートを練混ぜた場合であるが、直接添加した硬化促進剤の影響でコンクリートがこわばり、スランプが大幅に小さくなった。このため、ポンプ圧送等に支障をきたすため施工性に問題があると判断された。またセメント量が多いため、コンクリートの強度が過剰に高くなり、ひび割れ断面において粗骨材が破断した状態で存在していた。そのため、自己治癒に寄与する未反応のセメントを含むセメントペースト層がひび割れ破断面にほとんど露出していないため、自己治癒性能は低かった。