(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の排泄検知器は、機器を組み合わせた比較的複雑なものであって、寝たきりの老人や病人のおむつに対して繰り返し使用することには適していても、活発に動く乳幼児のおむつに対して使用することには適していない。
【0007】
また、特許文献2に記載の物品は、排便のあったことを検知するために、重金属化合物である酢酸鉛および塩化クロムの少なくとも一方を使用する。しかし、物品が重金属化合物を含むことは、その製造、使用、排気それぞれにおいて好ましいことではない。
【0008】
そこで、この発明では、着用しているおむつに対して排便のあったことを検知することのできる構造が簡単であって重金属化合物を含むことのないインジケータとその収納体との提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、互いに直交する前後方向と横方向とを有し、前胴回り域と、後胴回り域と、前記前後胴回り域間に位置する股下域と、前記前後方向へ延びる吸収体と、排泄を検知するためのインジケータ収容体とを含む使い捨ておむつに関する。
【0011】
本発明に開示の使い捨ておむつは、前記インジケータ収容体は、酸塩基指示薬と前記酸塩基指示薬を保持する担体とによって形成されたインジケータと、前記インジケータを収容する袋とを含み、前記袋は、内面側に位置する通気性のシートと外面側に位置する透視性のシートとの周縁部を互いに接合することによって形成されており、前記袋の外側から前記インジケータにおける前記酸塩基指示薬の変色が視認可能であって、前記酸塩基指示薬は、その変色域がpH3−5の範囲の少なくとも一部を含むものであり、前記担体が、150マイクロメートルよりも小さい粒径を有し、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、酸性白土、炭酸カルシウムで形成される無機物粒子群から選択される、吸着剤として使用可能な多孔質粒子であり、前記酸塩基指示薬が前記粒子の表面に保持されていて酸性のガスと接触すると変色して前記粒子の周囲が酸性の雰囲気にあることを示すことができるとともに、酸性のガスと接触しなくなると変色する前の色に速やかに復元し、前記袋は、互いに交差する複数の接合線によって内部が複数の区画に細分化され、前記区画のそれぞれに前記インジケータが収容されており、前記インジケータ収容体は、前記後胴回り域の外面において前記吸収体の後端縁を跨ぐように取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の実施態様の一つにおいて、前記粒子の粒径が60マイクロメートル以下である。
【0013】
第1発明の実施態様の他の一つにおいて、前記指示薬がブロモクレゾールグリーン、ブロモフェノールブルー、メチルレッド、メチルオレンジのいずれかである。
【0020】
第2発明の実施態様の一つにおいて、前記袋の内面および前記袋に収納されたシート片の表面のいずれかの面に前記インジケータが接着剤を介して接合した状態にある。
【0021】
第2発明の実施態様の一つにおいて、前記袋に収納された不織布片における繊維どうしの間隙に前記インジケータが進入している状態にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明の1つ以上の実施形態に係るインジケータ収納体を有する使い捨ておむつによれば、多孔質粒子の表面に酸塩基指示薬の一つが保持されたものであって、その
酸塩基指示薬の変色域はpH3−5を含んでいる。かような
酸塩基指示薬は重金属を含むことがないものであり、インジケータはそれがおむつに使用されると、おむつに対して排泄された便に由来する酢酸や硫化水素等の酸性のガスと接触すると変色して、便の排泄のあったことを母親や介護者等に知らせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面を参照してこの発明に係るインジケータの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0027】
図1,2は、インジケータ35が使用されている使い捨ておむつ1の部分破断図であって、
図1はおむつ1の内面の側を示し、
図2はおむつ1の外面の側を示している。おむつ1の内面とは、おむつ1が着用されたときに着用者の肌と対向する面を意味し、おむつ1の外面とは、おむつ1が着用されたときに着用者の着衣と対向する面を意味している。
【0028】
図1において、おむつ1は、通気透液性の内面シート2と、通気不透液性の防漏シート3と、通気性の外面シート4と、内面シート2と防漏シート3との間に介在する吸収体6とを有する。内面シート2と防漏シート3とは吸収体6の周縁から延出する部分において重なり合いホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合している。防漏シート3は、吸収体6の周縁から延出するだけの大きさを有していればよいものであるが、図示例においては内面シート2と同形同大に作られている。防漏シート3はまた、それと同形同大に作られている外面シート4に対してホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。
【0029】
おむつ1はまた、互いに直交する前後方向Aと横方向Bとを有し、前後方向Aには、前胴回り域7と、後胴回り域8と、これら両域7,8の間に介在する股下域9とを有する。おむつ1では、両側縁部11が互いに並行して前後方向Aへ延びている。ただし、両側縁部11は、股下域9において、中心線Pに向かって凸となるように湾曲している。中心線Pは、おむつ1の横方向Bの寸法を二等分する線である。また、前後端縁部12,13が互いに並行して横方向Bへ延びている。前後胴回り域7,8のそれぞれでは、前端縁部12に沿って伸長状態で延びる複数条の前胴回り弾性部材14と後端縁部13に沿って伸長状態で延びる複数条の後胴回り弾性部材15とのそれぞれが内面シート2と防漏シート3との間にあって、これら両シート2,3の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。股下域9では、両側縁部11のそれぞれに沿って前後方向Aへ伸長状態で延びる複数条の脚回り弾性部材16が内面シート2と防漏シート3との間にあって、これら両シート2,3の少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。後胴回り域8の両側縁部11のそれぞれには、前後胴回り域7,8を連結するためのテープファスナ17が取り付けられている。ただし、図示例において、テープファスナ17の一方は折り畳まれた状態で示されており、もう一方は横方向Bへ伸展した状態で示されている。テープファスナ17は、マジックテープ(登録商標)を一例とするメカニカルファスナのフック部材や粘着剤で形成された止着部18を有する。止着部18は、前胴回り域7における外面シート4または前胴回り域4に形成されるターゲット域(図示せず)に対して剥離可能に止着する。
【0030】
図2において、おむつ1の後胴回り域8には、インジケータ収納体31が外面シート4に取り付けられている。インジケータ収納体31は、中心線P上にあって、吸収体6の後端縁6b(
図1参照)をまたぐように取り付けられている。したがって、おむつ1の厚さ方向で見たときに、インジケータ収納体31は、前方部分32がいずれも通気性である外面シート4と、防漏シート3と、吸収体6と、内面シート2とを介しておむつ1の着用者の肌(図示せず)と向かい合う。また、後方部分33はいずれも通気性である外面シート4と、防漏シート3と、内面シート2とを介して着用者の肌と向かい合う。このような状態にあるインジケータ収納体31は、着用者の肌と内面シート2との間に生じる空間に対して通気可能につながることができる。ただし、この発明において、外面シート4に対するインジケータ収納体31の取り付け位置は、図示例に限定されるわけではない。インジケータ収納体31は、その全体が吸収体6と重なる位置にあってもよいし、その全体が吸収体6と重ならない位置にあってもよい。また、外面シート4は、おむつ1の外面の肌触りを布様にするために使用されているものであるから、そのような肌触りを必要としないおむつでは、外面シート4の使用を省き、防漏シート3によっておむつの外面を形成することもできる。そのときのインジケータ収納体31は、防漏シート3に対して取り付けられる。
【0031】
図3は、
図2において使用されているインジケータ収納体31の部分破断拡大図であって、外面シート4の一部分が仮想線で示されている。図示例のインジケータ収納体31は、粒子状の多数のインジケータ35と、インジケータ35を収納する通気性の袋36とによって形成されていて、袋36の周縁部がホットメルト接着剤等の接合手段37によって外面シート4に取り付けられている。ただし、その袋36は、接合手段37を選ぶことによって、外面シート4に対して取り外し可能かつ再取り付け可能、取り外し可能かつ再取り付け不能、および取り外し不能のいずれかの態様を取り得る。なお、インジケータ収納体31は、インジケータ35の使用態様の一例を示すものであって、図示例の如くおむつ1に取り付けられていることを必須の要件とするものではない。インジケータ収納体31は、おむつ1とは別個に用意できるものであって、そのインジケータ収納体31に設けられた接合手段37を介しておむつ1に取り付けられればよいものである。
【0032】
インジケータ35は、吸着剤として使用される多孔質粒子の表面に、便に由来する酸性ガスで変色する指示薬を保持させたものである。
【0033】
このような指示薬の担体である多孔質粒子にはシリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、酸性白土、炭酸カルシウムで形成される無機物粒子群から選択された少なくとも一つであって、粒径が10−150マイクロメートル(μm)の範囲にあるものが使用される。多孔質粒子はまた、それを蒸留水と混合して得られる懸濁液のpHがその多孔質粒子に対して使用される指示薬の変色域のpHよりも大きいものであることが好ましい。また、これら多孔質粒子の粒径は、JIS Z 8815に記載された乾式ふるい分け試験方法のうちの機械ふるい分けに基づいて測定されるときの値を意味している。
【0034】
指示薬には、おむつ着用者が排泄した便に由来する酢酸や硫化水素等の酸性ガスが接触したときに変色する指示薬が使用される。そのような指示薬は、変色域にpH3−5の範囲の少なくとの一部を含むものであって、具体的な例としてブロモクレゾールグリーン、ブロモフェノールブルー、メチルレッド、メチルオレンジを挙げることができる。
【0035】
これらの指示薬のいずれかを多孔質粒子の表面に保持させるには、指示薬の0.01−0.10質量%水溶液またはアルコール溶液と多孔質粒子との混合物を作り、その混合物を例えば40℃で蒸発乾固させればよい。蒸発乾固の作業を進めているときには、混合物を適宜の頻度で攪拌する。
【0036】
袋36は、重ね合せた第1シート41と第2シート42とを袋36の周縁部に沿って延びる接合線38において互いに接合することにより形成されている。接合線38を形成するためには、ホットメルト接着剤や溶着、縫合等の適宜の接合手段を使用することができる。ただし、その接合手段は、接合線38において第1シート41と第2シート42とを気密状態で接合できるものであることが好ましい。第1シート41は外面シート4と対向するように使用するもので、第1シート41には通気性であって、かつ、通気路となる部分からインジケータ35が漏れ出ることのないものを使用する。例えば、単位面積当たりの質量が30−80g/m
2の範囲にある熱可塑性合成繊維の不織布や、充填剤として炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の微細粒子を含み、10−50マイクロメートルの厚さを有し、当該技術分野において慣用の通気性プラスチックフィルムを使用する。第2シート42には透視性のものを使用して、インジケータ35における指示薬の変色の状態を袋36の外側から視認可能にする。そのような第2シート42には、10−50マイクロメートルの厚さを有するポリエチレンフィルム等の透明なプラスチックフィルムや、単位面積当たりの質量が30−80g/m
2の範囲にあって無着色の熱可塑性合成繊維で形成されている不織布等を使用することができる。第2シート42はまた、第1シート41と同程度の通気性を有しているものであることが好ましい。袋36は、第1シート41と第2シート42とが通気性のものであると、便に由来する酸性ガスが第1シート41から第2シート42に向かって流れることを容易にしてインジケータ35と酸性ガスとの接触を促進し、インジケータ35を速やかに変色させることができる。なお、袋36を外面シート4に取り付けるための接合手段37は、袋36の周縁を一周するような連続した線を画いていることが好ましい。接合手段37がそのような態様にあると、インジケータ35は第1シート41を通り抜けて袋36の外に出ることがあっても、接合手段37の外側へこぼれ出ることがない。また、接合手段37で囲まれている部分において外面シート4を透過して袋36ヘ向かう酸性ガス(図示せず)は、接合手段37の外側へ流出することがない。ただし、この発明は、外面シート4に対する袋36の取り付け方をそのような態様に限定するものではない。袋36は、その周縁の一部分のみを適宜の接合手段によって外面シート4に取り付けておくこともできる。
【0037】
この発明において、第1シート41や第2シート42等のシート部材が通気性であるというときには、そのシート部材についてのJIS P8117に規定の通気度が400−5000/100ccであることを意味している。
【0038】
また、第1シート41と第2シート42とについて、通気路となる部分からインジケータ35が漏れ出ることがないということは、これらシート41,42についての次の評価試験の結果を意味している。すなわち、
(1)2枚の第1シート41または2枚の第2シート42を重ね合わせて一辺の内のりが5cmである袋を作る。
(2)その袋に1gのインジケータ35を入れて、インジケータ35が漏れ出ることがないように袋の四辺を加熱または接着によってシールする。
(3)シールした袋の質量(初期質量)を求める。
(4)その袋を30cmの高さから水平な木製テーブルの上に落下させる操作を10回繰り返す。
(5)落下操作終了後の袋についての質量(落下後質量)を求める。
(6)初期質量と落下後質量との差を求め、その差が初期質量の0.1%以下であるときの袋を漏れのない袋とする。
【0039】
この発明において、第2シート42等のシート部材が透視性であるというときには、そのシート部材についてのJIS K7375に規定される全光線透過率が50%以上であって、かつインジケータ35の変色前後の色の識別が可能であることを意味している。
【0040】
インジケータ35と袋36とがこのように形成されているインジケータ収納体31を有するおむつ1では、それが着用された状態で便が排泄されると、その便から発生する酢酸ガスや硫化水素ガス等の酸性ガスがおむつ1における外面シート4の外側へ拡散する。酸性ガスの一部は、それがインジケータ収納体31の前方部分32や後方部分33へ進入することによって、インジケータ35における指示薬を変色させる。指示薬が例えばブロモクレゾールグリーンであれば、その指示薬を青色から黄色に変色させる。指示薬の変色は可逆的なものであって、酸性ガスとの接触がなくなれば、指示薬は変色する前の色に復元する。しかし、排泄された便からは酸性ガスが継続的に発生するから、一度変色した指示薬は短時間で変色前の色にまで復元することがなく、母親や介護者に便の排泄があったことを確実に知らせることができる。それゆえにまた、インジケータ35が使用されているおむつ1を着用させているときには、便が排泄された後に、母親等がその便に気が付くことなくおむつを着用させたままにしておくということを防ぐことができる。
【0041】
インジケータ収納体31を有するおむつ1は、着用者が放屁すると、すなわちおならをすると、そのおならに含まれる硫化水素ガス等の酸性ガスによって指示薬は変色することがある。しかし、この場合の酸性ガスと指示薬との接触は一時的なものであるから、指示薬の変色も一時的なもので、酸性ガスの飛散とともに指示薬は変色前の色に短時間のうちに復元する。母親や介護者は、そうした一時的な変色のあることを承知していれば、放屁があったことと便の排泄があったこととを混同することがない。
【0042】
図4は、実施態様の一例を示す
図3と同様な図である。
図4のインジケータ収納体31では、第1シート41と第2シート42とが接合線38において接合しているが、その接合線38には、袋36の周縁部に沿って延びるもの38aの他に、中心線Pに沿って前後方向Aへ延びるもの38bと、接合線38a,38bに直交して横方向Bへ延びるもの38cとがあって,これら接合線38a,38b,38cによって袋36の内部が複数の区画に細分化されている。このように形成されているインジケータ収納体31では、インジケータ35が袋36の内部で一様に分布することを容易にし、おむつ1を着用しているときに、インジケータ35の分布が袋36の隅部や下部に片寄るという問題の発生を抑えることができる。
【0043】
図5,6は、実施態様の一例を示す図であって、
図5は
図3と同様な図であり、
図6は
図5のVI−VI線断面を示す図である。
図5,6において、インジケータ収納体31の袋36を形成している第1シート41と第2シート42との間には、インジケータ固定シート43が介在している。インジケータ固定シート43の一例は、繊度が2−5dtexの熱可塑性合成繊維44(
図6参照)で形成され、単位面積当たりの質量が20−50g/m
2の範囲にあるサーマルボンド不織布等の不織布で形成された通気性のシート片である。インジケータ35は、インジケータ固定シート43の表面を形成している熱可塑性合成繊維44に対してホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合することによってインジケータ固定シート43に保持されていてもよいし、熱可塑性合成繊維44どうしの間隙に進入することによって接着剤を使用することなくインジケータ固定シート43に固定されていてもよいものである。そのインジケータ固定シート43は、第1シート41と第2シート42とによってサンドウィッチされていればよいものであるが、第1シート41と第2シート42との少なくとも一方にホットメルト接着剤等の接着剤を介して接合していてもよいものである。
図5,6におけるインジケータ収納体31は、インジケータ35を袋36の中に一様に分布させることを容易にする他に、インジケータ35を固定するためのホットメルト接着剤を使用しないことによって、酸性ガスに対するインジケータ35の露出面積を大きくすることもできる。インジケータ固定シート43にインジケータ35を固定するには、接着剤が塗布されているかまたは塗布されていないインジケータ固定シート43の表面に対してインジケータ35を散布すればよい。インジケータ35を散布した後のインジケータ固定シート43は、それに振動を与えることによって、インジケータ35を熱可塑性合成繊維44どうしの間隙に進入させることができる。なお、この発明でインジケータ35がインジケータ固定シート43等に固定されているというときには、おむつ1を着用している間においてインジケータ35がシート43に対して不動の状態にあるということを意味する他に、インジケータ35がシート43に対して一時的に不動の状態にあり、おむつ1の扱い方によってはインジケータが動き得る状態にあるということをも意味している。
【0044】
図7,8もまた実施態様の一例を示す図であって、
図7は
図5と同様な図であり、
図8は
図7のVIII−VIII線断面を示す図である。
図7,8において、インジケータ収納体31の袋36に収納されているインジケータ固定シート43は、互いに重なり合う第1固定シート43aと第2固定シート43bとを有し、これら両固定シート43a,43bの間にインジケータ35が介在している。第1固定シート43aと第2固定シート43bとは、通気性の不織布、例えばスパンボンド不織布によって形成されている。インジケータ35は第1固定シート43aおよび/または第2固定シート43bにおける繊維どうしの間隙に進入していてもよいものである。
【0045】
[インジケータの変色試験]
多孔質粒子としてシリカゲルと活性アルミナを使用し、指示薬にはブロモクレゾールグリーンを使用して、多孔質粒子の粒径と、多孔質粒子における指示薬の保持量とを様々に変化させたインジケータを調製し、それぞれのインジケータについて変色試験を実施した。変色試験では、インジケータを酢酸ガスの雰囲気に置くことによって、指示薬の変色が始まるまでに要する時間、指示薬の全体が変色するまでに要する時間、および全体が変色している指示薬の色が元の色にまで復元するのに要する時間を計測した。多孔質粒子の種類と粒径、多孔質粒子における指示薬の保持量、および計測の結果は表1のとおりであった。
【0046】
表1ではまた、粒径が150−425マイクロメートルの範囲にあるシリカゲルについての変色試験結果を比較変色試験1−3として示した。
【0047】
変色試験の方法の詳細は、以下のとおりであった。
1.インジケータの調製
(1)3個の100mlビーカーそれぞれに10gの多孔質粒子を正確に秤量して入れた。
(2)指示薬としてブロモクレゾールグリーン0.04質量%水溶液を作り、多孔質粒子を入れた3個のビーカーそれぞれにこの水溶液を10g,20g,または30g入れてよく攪拌した。各ビーカーは40℃で乾燥し、乾燥が終了するまでの間は1時間毎に攪拌することによって、表面に保持した指示薬の量の異なる各種インジケータを得た。それぞれのインジケータは、正確に秤量し、多孔質粒子における指示薬の保持量(質量%)を求めて、その結果を表1に示した。
2.インジケータの変色試験
(1)「1.インジケータの調製」で得られた各種インジケータから0.1gの試料を採取し、その試料を
図9に示す容量5mlのバイアル瓶(外径23mm、高さ45mm)の底に広げた。
(2)シリカモノリス捕集剤 Mono Trap(登録商標)DCC 18に酢酸を0.05g含浸させた。その捕集剤をバイアル瓶の頂部から10mmの位置に吊り下げた(
図9参照)。
(3)捕集剤を吊り下げてからインジケータを目視によって観察し、インジケータの変色が始まるまでに要する時間、およびインジケータのすべてが変色するまでに要する時間を計測した。計測した結果は、表1に「変色の開始」、「全部の変色」として示した。
3.変色したインジケータの色の復元試験
(1)「2.インジケータの変色試験」において、捕集剤Mono Trapをバイアル瓶の中に10秒間吊してインジケータを変色させた後に、バイアル瓶から取り出した。
(2)捕集剤を取り出してからインジケータが変色する前の色にまで復元するのに要した時間を計測した。その結果を「復元時間」として表1に示した。
【0048】
[比較変色試験]
粒径が150−420マイクロメートルの範囲にあるシリカゲルを使用し、変色試験におけるインジケータの製造手順と同様な手順によって比較変色試験のためのインジケータを製造した。この比較変色試験のためのインジケータを変色試験のためのインジケータと同様にして評価した結果は、表1のとおりであった。
【0049】
表1における変色試験の結果からは、この発明に係るインジケータが酸性のガスと接触すると、インジケータの色が速やかに変化することがわかる。また、変色したインジケータは、酸性のガスと接触しなくなると、変色する前の色に速やかに復元することがわかる。多孔質粒子がシリカゲルであってもアルミナであっても、粒径が大きくなるとインジケータ全部の変色に要する時間と、色の復元に要する時間とが長くなる傾向にあった。多孔質粒子の粒径は、150マイクロメートルよりも小さいことが好ましく、60マイクロメートル以下であることがより好ましい。粒径が150マイクロメートルよりも小さければ、色の復元時間は60分を越えることがなく、粒径が60マイクロメートル以下であれば、インジケータ全部の変色に要する時間が40秒以下になり得る。